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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】カメラを較正するコンピュータ実装方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20221219BHJP
   G06T 7/80 20170101ALI20221219BHJP
【FI】
H04N5/232
G06T7/80
H04N5/232 945
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017126752
(22)【出願日】2017-06-28
(65)【公開番号】P2018007253
(43)【公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】16305777.1
(32)【優先日】2016-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500102435
【氏名又は名称】ダッソー システムズ
【氏名又は名称原語表記】DASSAULT SYSTEMES
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィヴォス ドガニス
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-181753(JP,A)
【文献】特開2008-046687(JP,A)
【文献】特開2007-064684(JP,A)
【文献】特開2014-115939(JP,A)
【文献】米国特許第06437823(US,B1)
【文献】米国特許第08106968(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
G06T 7/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを較正するコンピュータ実装方法であって、
a.ビデオストリームを前記カメラ(CAM)から取得し、それをスクリーン(DY)上に表示するステップと、
b.前記スクリーン上に、前記ビデオストリームに重ね合わされる、あらかじめ決定された目標エリアのセットのうちからの目標エリア(102)の表現を表示するステップと、
c.較正パターン(100)を前記ビデオストリーム内で検出し、それが、前記目標エリアの中で適合するかどうかを周期的にチェックするステップであって、
- 前記較正パターンの少なくとも1つの縁部(202)を検出し、前記目標エリアの対応する縁部(201)とのその平行度をチェックするステップ、および/または
- 前記較正パターンの少なくとも2つの縁部を検出し、前記縁部の間の角度を測定し、それを、前記目標エリアの2つの対応する縁部の間の角度と比較するステップ
を含む、ステップと、
d.前記較正パターンが前記目標エリアの中で適合することが見出されたときに、前記較正パターンの画像を前記ビデオストリームから抽出し、それを記憶するステップと
を備え、
前記ステップa.からd.は、前記あらかじめ決定された目標エリアのセットのうちからの互いに異なるそれぞれの目標エリアを使用して複数回反復され、各々の目標エリアは、前記較正パターンの、それを担持する物理的支持体(101)がそれぞれの位置を前記カメラの視野の中でとるときに前記カメラにより確認されるような、外形に対応し、前記コンピュータ実装方法は、次いで、
e.前記カメラの内部較正パラメータを、前記記憶された画像を処理することにより推定するステップ
を備えることを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記ステップc.は、前記較正パターンが、前記目標エリアの少なくともあらかじめ決定された割合を満たすかどうかをチェックするステップを備えることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記ステップc.は、前記較正パターンの少なくとも1つの隅部(206)を検出し、前記目標エリアの対応する隅部(205)に対するその近接度をチェックするステップを備えることを特徴とする請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
- 前記較正パターンの点と、前記目標エリアの対応する点との間の距離、
- 前記較正パターンの点を、前記目標エリアの対応する点と合致させるために要される並進の方向、および、
- 前記較正パターンの幾何学的要素と、前記目標エリアの幾何学的要素との間の対応関係
の、少なくとも1つを指示する、少なくとも1つのグラフィカルパターン(203、204)を、前記スクリーン上に表示するステップc’をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
ステップa.からd.は、10から20の間に含まれる複数回分、前記物理的支持体の異なる位置に対応する、それぞれの目標エリアを使用して反復されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記物理的支持体の前記位置の少なくとも過半数は、前記カメラの光学軸に垂直でも平行でもないことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記較正パターンは、平面パターンであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記ステップe.は、Zhangのアルゴリズムを使用して実行されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
カメラ(CAM)にインターフェイス接続されるコンピュータシステムに、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法を実行させるためのコンピュータ実行可能命令を備える、コンピュータプログラム。
【請求項10】
カメラにインターフェイス接続されるコンピュータシステムに、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法を実行させるための、コンピュータ実行可能命令を含むことを特徴とするコンピュータ可読データ記憶媒体(M1、M2、M3、M4)。
【請求項11】
メモリ(M1、M2、M3、M4)と、スクリーン(DY)と、カメラ(CAM)とに結合されるプロセッサ(P)を備えるコンピュータシステムであって、前記メモリは、前記コンピュータシステムに、請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法を実行することにより前記カメラを較正させるための、コンピュータ実行可能命令を記憶することを特徴とするコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラを較正するためのコンピュータ実装方法に関する。より正確には、本発明は、デジタルカメラの「内部(intrinsic)」較正に、すなわち、焦点長、主点、および任意選択により、歪みパラメータを含む、その光学応答を決定するパラメータの推定に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、例えば、仮想物体を表す、3Dコンピュータ生成される画像が、ビデオカメラにより捕捉される画像の上部に重ねられる、拡張現実(AR)の分野に適用される。仮想画像および実画像を、最も現実的な方法で合体させるために、ビデオカメラの正確な較正が要される。実際のところARは、仮想3D物体をレンダリングするために使用される、仮想カメラを規定することを必要とする。この仮想カメラは、背景でレンダリングされる実世界を捕捉するために使用される実カメラと、可能な限り接近してマッチングしなければならない。カメラの製造者により提供されるデータは、普通は、満足がいく結果を与えるには正確さが不充分であり、較正に頼ることを必要とする。
【0003】
カメラ較正は、全面的に精度に関するものである。良好に較正されたカメラなしでは、レンダリングされる物体は、それらが実際のものであるかのようには見えず、ユーザ体験が台無しにされる。
【0004】
拡張現実は、特に要求の厳しい用途であるが、正確なカメラ較正を要する唯一のものではない。他の用途は、例えば、3Dボリューム再構築を含み、その場合カメラは多くの場合、深度カメラである。
【0005】
本発明は、1つまたは数個の特定の用途に制限されず、それは、ビデオカメラの正確な較正が要されるときはいつでも有用であり得る。
【0006】
カメラ較正を行うために使用される最も普及した技法は、Zhangのアルゴリズムとして知られており、非特許文献1による論文で説明されている。
【0007】
この技法を使用してカメラを較正するために、ユーザは、以下のことを行わなければならない。
【0008】
1.レーザプリンタを使用して、較正パターン(典型的には、黒および白要素の規則的配列)を印刷する、
2.印刷されたパターンを測定して、そのサイズが、プリンタによりスケールを変更されていないということを確実にする、
3.パターンを、堅い厚紙、木の小片、または、さらに良好には、ガラスなどの、堅い表面上に糊着し、パターンが(例えば、紙とパターンとの間に気泡がないということをチェックすることにより)直線的なままであるということを確実にする、
4.パターンをカメラの前部で位置設定し、それをあちこちに動かして、その向きおよび位置を変化させる、
5.パターンの、数個の異なる位置および向き(「ポーズ(pose)」)に対応する画像を捕捉する、ならびに、
6.画像を、上記で参照された論文で詳細に説明されている数学的アルゴリズムによって処理する。
【0009】
処理ステップは、それ自体だけで、既存のソフトウェアを使用して容易に実行され得る。較正パターンを製造することは、長々しいことがあるが、特に困難ではない。実際のところ、較正プロセスの、最も困難で時間を消費する部分は、ステップ4および5、すなわち、パターンを位置設定すること、および、その画像の適したセットを取得することにより構成される。実際のところ、良好な画像分布を考慮しながら、パターンの多くの異なる写真を撮影することは非常に困難であり、少なすぎる画像は、正しくない、または、少なくとも正確でないカメラ較正に至ることになり、同様のポーズの多すぎる画像は、パラメータの推定でのバイアスに至ることがある。さらに、画像の相当量の割合が、例えば、パターンの部分が可視でないので、較正アルゴリズムにより活用可能でないことが判明し、そのことが較正セットのサイズを低減するというリスクがある。したがって、一般的な推奨は、そのエラーおよびバイアスが、プロセスにおいて平均的な線に落ち着くことを希望して、可能な限り多くの写真を撮影することである。さらには、較正は再現性を欠き、同じカメラを較正する2人のユーザ(または、それを2回較正する同じユーザ)は、ポーズの異なるセットを使用し、したがって、わずかに異なる較正パラメータを見出すことになる。
【0010】
特許文献1もまた、パターンの複数の画像での歪みを検出することによりカメラを較正する方法を説明している。
【0011】
経験豊富な人によるいかなる案内もなしでは、初心者ユーザは、結局は何度も何度も不正確なカメラ較正をすることになり、時間がかかり、苛立ちを感じることになる。
【0012】
さらに、人が較正を単独で行うことは困難である。ほとんどの場合、少なくとも2人の人々が必要であり、一方の人が、カメラの前部で、要求されるポーズでパターンを保ち、他方の人が、画像の取得を、例えばキーを押すことによりトリガする。両方の作業を一度に行おうとする人は、十中八九、画像取得をトリガするときに、パターンを無計画に動かすことで終了することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許第8106968号明細書
【非特許文献】
【0014】
【文献】Z. Zhang “A Flexible New Technique for Camera Calibration.” IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence. Vol. 22, No. 11, 2000, pp. 1330-1334)
【文献】A. Datta et al. “Accurate Camera Calibration using Iterative Refinement of Control Points” IEEE 12th International Conference on Computer Vision Workshops (ICCV Workshops), 2009
【発明の概要】
【0015】
本発明は、従来技術のこれらの欠点を解決することを目的とする。それは、この狙いを、複雑なカメラ較正プロセスを通してユーザを案内する、カメラ較正「ウィザード」、すなわち、ソフトウェアアシスタントを提供することにより達成する。ユーザに、可能な限り多くのポーズの多くの写真を撮影させ、次いで、無効または冗長と考えられるものを断らせる代わりに、本発明は、ユーザに、コンピュータスクリーン上に連続的に表示される目標エリアにより具現される、要求されるポーズのあらかじめ決定されたセットを提供する。スクリーンを通して提供される視覚フィードバックは、ユーザが、物理的較正パターンを、表示される目標エリアに対して位置合わせすることを援助し、ソフトウェアは、いつ較正パターンが、現在表示されている目標エリアに対して、その画像を取得し、次いで、後に続く目標エリアを表示する前に、正しく位置合わせされるかを検出する。それぞれのポーズに関連付けられる、すべてのあらかじめ決定された目標エリアが表示されており、対応するパターン画像が取得されていると、較正アルゴリズム(ステップ6)は、従来技術でのように、ただし、適した(普通は、最適な、または最適に近い)較正セットを使用することの保証を伴って実行され得る。適正な較正が、Zhangのアルゴリズム、または、任意の他の適した方法を使用して行われ得る。
【0016】
本発明は、較正プロセスを単純化および加速し、一方で、その品質、信頼性、および再現性を改善する。
- 較正ポーズおよび手順の完全な制御を維持することにより、それは、ポーズが別個であることになり、パターンが、それらの各々に対して良好に検出されることを保証する。同じように、これは、較正結果は信頼性が高く、較正品質は予測可能であるということを確実にし得る。
- ユーザは前もって、どれだけ多くのステップが、手順の終了の前に残されているかを知り、苛立ちを回避する。
- 画像取得は、パターンが、的確な位置にある(それが、目標エリアに適合する)ときに自動的にトリガされ、そのことは、較正が、単一のユーザにより、エラーの最小限のリスクを伴って行われることを可能とする。
- ポーズは、較正を行うコンピュータシステムによりあらかじめ決定され提案されるので、ユーザは、いかなる個別の専門技術も有することを必要とせず、較正の精度はおおむねユーザに依存しない。
- ポーズの数はかなり低く、例えば10から20の間であってもよく、本発明者は、11個の適するように選定されたポーズが、カメラの焦点長を0.01°の精度によって較正することを可能とするということを実験的に見出している。結果として、全体のポーズ取得プロセスは、数分をとるのみであり得る。
【0017】
本発明の目的は、次いで、カメラを較正するコンピュータ実装方法であって、
a.ビデオストリームを前記カメラから取得し、それをスクリーン上に表示するステップと、
b.スクリーン上に、ビデオストリームに重ね合わされる、目標エリアの表現を表示するステップと、
c.較正パターンをビデオストリーム内で検出し、それが、目標エリアの中で適合するかどうかを周期的にチェックするステップと、
d.較正パターンが目標エリアの中で適合することが見出されたときに、その較正パターンの画像をビデオストリームから抽出し、それを記憶するステップと
を備え、
前記ステップa.からd.は、互いに異なる、および、カメラの視野の中の、較正パターンを担持する物理的支持体の異なる位置に対応する、それぞれの目標エリアを使用して複数回反復され、コンピュータ実装方法は、次いで、
e.カメラの内部較正パラメータを、記憶された画像を処理することにより推定するステップ
を備えるコンピュータ実装方法である。
【0018】
本発明の個別の実施形態によれば、
- 前記ステップc.は、較正パターンが、目標エリアの少なくともあらかじめ決定された割合を満たすかどうかをチェックするステップを備え得る。
- 前記ステップc.は、較正パターンの少なくとも1つの縁部を検出し、目標エリアの対応する縁部とのその平行度をチェックするステップを備え得る。
- 前記ステップc.は、較正パターンの少なくとも2つの縁部を検出し、前記縁部の間の角度を測定し、それを、目標エリアの2つの対応する縁部の間の角度と比較するステップを備え得る。
- 前記ステップc.は、較正パターンの少なくとも1つの隅部を検出し、目標エリアの対応する隅部に対するその近接度をチェックするステップを備え得る。
- 方法は、較正パターンの点と、目標エリアの対応する点との間の距離;較正パターンの点を、目標エリアの対応する点と合致させるために要される並進の方向;および、較正パターンの幾何学的要素と、目標エリアの幾何学的要素との間の対応関係の、少なくとも1つを指示する、少なくとも1つのグラフィカルパターンを、スクリーン上に表示するステップc’をさらに備え得る。
- ステップa.からd.は、10から20の間で備えられるいくつかの回数、前記物理的支持体の異なる位置に対応する、それぞれの目標エリアを使用して反復され得る。
- 物理的支持体の前記位置の少なくとも過半数は、カメラの光学軸に垂直でも平行でもないものであり得る。
- 前記較正パターンは、平面パターンであり得る。
- 前記ステップe.は、Zhangのアルゴリズムを使用して実行され得る。
【0019】
本発明の別の目的は、カメラにインターフェイス接続されるコンピュータシステムに、そのような方法を実行させるための、コンピュータ実行可能命令を備えるコンピュータ可読データ記憶媒体上に記憶されるコンピュータプログラム製品である。
【0020】
本発明の別の目的は、カメラにインターフェイス接続されるコンピュータシステムに、そのような方法を実行させるための、コンピュータ実行可能命令を含むコンピュータ可読データ記憶媒体である。
【0021】
本発明のさらに別の目的は、メモリと、スクリーンと、カメラとに結合されるプロセッサを備えるコンピュータシステムであって、メモリは、コンピュータシステムに、そのような方法を実行することによりカメラを較正させるための、コンピュータ実行可能命令を記憶するコンピュータシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の追加的な特徴部および利点は、添付の図面と関連した後続の説明から明らかとなろう。
図1】従来技術から知られている較正パターンを示す図である。
図2】本発明の実施形態による較正方法で使用される、図1の較正パターンの11個のポーズのセットを示す図である。
図3】較正されるカメラにより取得され、図1による較正パターンをカメラの前部で保持するユーザを示すシーン、および、このシーンに重ね合わされる、目標エリアを表示する、コンピュータスクリーンを示す図である。
図4】同様のシーンを表示するが、較正パターンは目標エリアに適合するように動かされている、図3のコンピュータスクリーンを示す図である。
図5】同様のシーンを表示するが、目標エリアの外観はユーザに較正画像が取得されたということを通知するために変化している、図3および4のコンピュータスクリーンを示す図である。
図6図3と同じシーンを表示する、図3から5のコンピュータスクリーンを示す図であり、そのシーンに対して、グラフィカルパターンのセットが、ユーザを較正パターンの位置設定において支援するために重ねられている。
図7】本発明の実施形態による方法を実行するのに適したコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、白背景上の黒ディスクの規則的配列により形成される較正パターン100を示す。他のパターン、例えば、市松模様または格子が、本発明を実行するために使用され得るが、これは、最良の精度を最小限の数のポーズによって提供するので、特に有利であることが判明しており、非特許文献2を確認されたい。このパターンは、例えば堅い厚紙パネルであり得る、物理的支持体101により担持される。3次元(すなわち、意図的に非平面の)較正パターンが、さらには使用され得るが、推奨されない。例えば明滅する光源を備える、「アクティブ」較正パターンが、さらには使用され得る。
【0024】
上記で解説されたように、発明的なコンピュータプログラムは、較正パターンを数個の異なるポーズで、較正されるカメラの視野の中で配置するように、ユーザを導く。図2は、較正を迅速に、それにもかかわらず正確に行うことを可能とする、図1のパターンに対する11個のポーズのセットを示す。第1のポーズ(順序は重要ではないが)は、カメラに、視野の中央で面するパターンに対応し、パターンの平面は、カメラの焦点軸に垂直である(特に凝視すると、パターンは、焦点平面内に、または、それに平行で近い平面内に在る)。第2および第3のポーズは、パターンを、それぞれ左の方に、および右の方に傾け、一方で、それを視野の中央の近くに保つことにより獲得される。第4の(第5の)ポーズは、第2の(第3の)ものと同様であるが、パターンは、より多く回され、さらには、視野の右(左)の方にずらされる。第6の(第7の)ポーズは、パターンを上方に(下方に)回し、それを視野の下部(上部)の方にずらすことにより獲得される。第8の、第9の、第10の、および第11のポーズでは、パターンは、おそらくは矩形の、視野の、隅部の方にずらされ、その中央の方に傾斜させられる。第1のポーズを除くすべては、パターンが焦点平面に平行でないので、遠近感を誘発するものであり、遠近感を伴わない第1のポーズは、レンズ歪みを推定するために有用である。
【0025】
ポーズの他のセットが、本発明の範囲から逸脱することなく使用され得る。有利にはセットは、すべてが互いに異なる(精度を確実にするために)10より少なくない、および(プロセスの過大な継続期間を回避するために)20より多くないポーズを備え得る。
【0026】
本発明によれば、ユーザは、彼/彼女自身をカメラの前部で、較正パターン100を担持する物理的支持体101を保持する状態で、位置設定する。カメラは、コンピュータに接続され、このコンピュータのスクリーン -モニタまたはディスプレイとも呼ばれる- に近く(または、そのスクリーンの上部に、またはさらには、そのスクリーンと統合されて)配置される。カメラは、物理的支持体101を、およびしたがって、較正パターン100を含むシーンの画像の系列を取得し、それらをデジタルビデオストリームに変換する。次いでコンピュータは、ビデオストリームをカメラから取得し、スクリーンを駆動してそのビデオストリームを表示し、したがってユーザは、鏡の中のような、彼自身、および較正パターンを確認する。スクリーンはさらには、カメラからのビデオストリームに重ね合わされる、コンピュータにより生成され、較正パターンに対する目標エリアを表す幾何形状102を表示する。より正確には、この幾何形状は、較正パターンの、それが図2のセットのポーズの1つによって位置設定される時にカメラにより確認されるような、外形に対応し得る。これは、図3上で示されている。この例示的な実施形態では、目標エリア102は、破線の外形により表されるが、他の表現が可能であり、例えば目標エリアは、目標パターンの半透明の表現であり得る。
【0027】
ユーザは、較正パターンを動かして、コンピュータスクリーンにより表示されるその画像を、目標エリアに適合させることを試みる(図4を確認されたい)。この時間の間、コンピュータは、ビデオストリームを処理して、よく知られている画像処理アルゴリズムを使用して、パターンを検出し、それがまさに目標エリアに適合するかどうかを決定する。それが適合するならば、コンピュータは、パターンの画像をビデオストリームから抽出し、それをそのメモリ内に記憶し、それは、視覚フィードバックをユーザに提供して、彼に画像取得を通知し(図5の例に関しては、目標エリア102の外形の外観が変化させられる)、セットの、後に続くポーズに対応する目標エリアを表示することを(画像取得プロセスが終わっていない限り)開始する。すでに使用された目標エリアは、半透明の外観を伴って表示されたままであってよく、そのことによってユーザは、行われている進行を「確認する」。
【0028】
代替として、ユーザが、パターンを動かすことの代わりに、カメラを保持し、静的なパターンの周りで動かすことが、より好都合であることがある。これは典型的には、較正するカメラが、タブレットコンピュータまたはスマートフォンの背面側部上にあるときの場合である。
【0029】
較正パターンが適正に目標エリアに適合すると決定することは、既知のアルゴリズムを使用して実行され得る。例えばコンピュータは、パターン(またはむしろ、カメラにより取得されるその画像)が、目標エリアの表面の、少なくともあらかじめ決定された最小限の割合、例えば75%を満たすということをチェックし得る。代替としてまたは追加的に、コンピュータは、較正パターンの対応する縁部と、目標エリアの対応する縁部との間の平行度をチェックし得る。パターンはほとんどの場合、遠近感のある状態で確認されるということを考えると、その2つの連続する縁部の間の角度を測定し、それを、目標エリアの対応する角度と比較することが、さらには有用であり得る。コンピュータはさらには、較正パターンの隅部が、目標エリアのそれらに十分接近しているかどうかをチェックし得る。より正確であるがより柔軟でない手法は、どこでパターンの各々の特徴部が、目標エリアの内側で射影されるべきであるかを算出し、これらの射影された特徴部を、実際に検出されたものと比較することにある。
【0030】
本発明の個別の実施形態によれば、コンピュータは、ユーザが、較正パターンを目標エリアに対して位置合わせすることを援助するグラフィカルパターンを生成し、スクリーン上に表示し得る。これらのパターンの一部が、図6上で示されている。この図上では、目標の4つの側部201は、異なる外観を有し得る(実際の実装形態では、それらは、異なる色を有し得る)。較正パターンの対応する側部202は、識別され、同様の外観(同じ色)を伴って表示される。コンピュータはさらには、目標エリアの隅部205を、較正パターンの対応する隅部206に接続する線203、204を描画し得る。これらの線の方向は、2つの隅部を合致させるために要される並進の方向を指示し、線の外観は、対応する隅部の間の距離を指し示すものであり得る(線203および204を比較されたい)。より一般的には、グラフィカルパターンは、とりわけ、
- 較正パターンの点と、目標エリアの対応する点との間の距離、
- 較正パターンの点を、目標エリアの対応する点と合致させるために要される並進の方向、および、
- 較正パターンの幾何学的要素と、目標エリアの幾何学的要素との間の対応関係
を指し示すものであり得る。
【0031】
本発明の例示的な実施形態による方法を実行するのに適したコンピュータが、図7への参照によって説明される。図7ではコンピュータは、上記で説明されたプロセスを行う中央処理装置(CPU)Pを含む。プロセスは、実行可能プログラム、すなわち、コンピュータ可読命令のセットとして、RAM M1もしくはROM M2などのメモリ内に、もしくは、ハードディスク駆動装置(HDD)M3、DVD/CD駆動装置M4上に記憶され得るものであり、または、遠隔で記憶され得る。較正パターンの少なくとも1つの参照画像(図1を参照)、および、較正パターンの、異なるあらかじめ決定されたポーズに対応する、目標エリア102のセット(図2を参照)は、メモリデバイスM1からM4の1つもしくは複数上に、または遠隔で記憶される。
【0032】
請求項に記載の発明は、コンピュータ可読命令、ならびに/または、較正パターン、および、目標エリアのセットが記憶される、コンピュータ可読媒体の形式により制限されない。例えば、命令、較正パラメータの試行セット、およびデジタルモデルは、CD、DVD上に、FLASHメモリ、RAM、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、ハードディスク、または、サーバもしくはコンピュータなどの、コンピュータ支援設計ステーションが通信する任意の他の情報処理デバイス内に記憶され得る。プログラム、較正パターン、および、目標エリアのセットは、同じメモリデバイス上に、または、異なるメモリデバイス上に記憶され得る。
【0033】
さらに、発明的な方法を実行するのに適したコンピュータプログラムは、CPU800、および、Microsoft VISTA(登録商標)、Microsoft Windows(登録商標)7、UNIX(登録商標)、Solaris、LINUX(登録商標)、Apple MAC-OSなどのオペレーティングシステム、および、当業者に知られている他のシステムと関連して実行する、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、または、オペレーティングシステムのコンポーネント、または、それらの組合せとして提供され得る。
【0034】
CPU Pは、アメリカのIntelのXenonプロセッサ、もしくは、アメリカのAMDのOpteronプロセッサであってもよく、または、アメリカのFreescale CorporationのFreescale ColdFire、IMX、もしくはARMプロセッサなどの、他のプロセッサタイプであり得る。代替的にCPUは、アメリカのIntel CorporationのCore2 Duoなどのプロセッサであってもよく、または、当業者が認識することになるように、FPGA、ASIC、PLD上で、もしくは、ディスクリート論理回路を使用して実装され得る。さらにCPUは、上記で説明された発明的なプロセスのコンピュータ可読命令を行うために協働的に作動する、複数個のプロセッサとして実装され得る。
【0035】
図7でのコンピュータ支援設計ステーションはさらには、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット、および同様のものなどのネットワークとインターフェイス接続するための、アメリカのIntel CorporationのIntel Ethernet PROネットワークインターフェイスカードなどの、ネットワークインターフェイスNIを含む。コンピュータ支援設計ステーションは、Hewlett Packard HPL2445w LCDモニタなどの、スクリーンまたはディスプレイDYとインターフェイス接続するための、アメリカのNVIDIA CorporationのNVIDIA GeForce GTXグラフィックスアダプタなどの、ディスプレイコントローラDCをさらに含む。汎用入出力インターフェイスIFは、キーボードKB、ならびに、ローラボール、マウス、タッチパッド、および同様のものなどのポインティングデバイスPDとインターフェイス接続する。ディスプレイ、キーボード、およびポインティングデバイスは、ディスプレイコントローラおよび入出力インターフェイスとともに、グラフィカルユーザインターフェイスを形成する。すべてのこれらのコンポーネントは、ISA、EISA、VESA、PCI、または同様のものであり得る通信バスCBSを介して、互いに接続される。さらに、較正されるカメラCAMがさらには、ビデオストリームをCPU Pに提供するために、バスCBSに接続され、そのCPU Pは、上記で解説されたようにそれを処理する。
【0036】
ディスプレイ、キーボード、ポインティングデバイス、ならびに、ディスプレイコントローラ、ディスクコントローラ、ネットワークインターフェイス、および入出力インターフェイスの、一般的な特徴部および機能性の説明は、これらの特徴部は知られているので、本明細書では簡潔さのために省略されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7