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特許7195737鼻腔の構造をマッピングするシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】鼻腔の構造をマッピングするシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/233 20060101AFI20221219BHJP
   A61B 8/12 20060101ALI20221219BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20221219BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20221219BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20221219BHJP
   G01B 21/20 20060101ALI20221219BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
A61B1/233
A61B8/12
A61B34/20
G01B7/00 101E
G01B21/00 E
G01B21/20 Z
G06T1/00 400B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2017555385
(86)(22)【出願日】2016-04-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-07-05
(86)【国際出願番号】 US2016026910
(87)【国際公開番号】W WO2016171938
(87)【国際公開日】2016-10-27
【審査請求日】2019-04-11
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】62/150,912
(32)【優先日】2015-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/825,551
(32)【優先日】2015-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516389190
【氏名又は名称】アクラレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acclarent, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ケステン・ランディ・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】リン・アーサー・エム
(72)【発明者】
【氏名】ジェンキンス・トーマス・アール
(72)【発明者】
【氏名】ジロトラ・ロヒット
(72)【発明者】
【氏名】ラグルズ・サンドラ・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】サンカラン・ミーラ・エル
(72)【発明者】
【氏名】オルソン・キャスリン
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】伊藤 幸仙
【審判官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-529743(JP,A)
【文献】特表2013-540502(JP,A)
【文献】特開2007-61617(JP,A)
【文献】特開2005-230159(JP,A)
【文献】特表2007-516044(JP,A)
【文献】特開平10-277041(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0030458(US,A1)
【文献】米国特許第10362965(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
A61B 13/00 - 18/18
A61F 2/01
A61N 7/00 - 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の上顎洞をマッピング及び/又はイメージングするための装置であって、
(a)ハンドルアセンブリであって、
(i)本体と、
(ii)ナビゲーションシステムに電気信号を伝達するように構成されたケーブルと、
(iii)前記ケーブルの遠位端と結合した、アダプタの第1の部分と、を含むハンドルアセンブリと、
(b)前記ハンドルアセンブリから遠位に延びるガイドチューブであって、遠位端を有するガイドチューブと、
(c)前記ハンドルアセンブリと取り外し可能に結合するように構成されたカートリッジアセンブリであって、前記カートリッジアセンブリは、
(i)アクチュエータであって、前記アクチュエータの対向する側面に形成された一対の長手方向の通路を介して、前記カートリッジアセンブリのスロット内に滑動可能に配置されており、ワイヤを前記ガイドチューブに対して動かすために、前記アクチュエータは前記本体に対して長手方向に移動可能である、アクチュエータと、
(ii)前記アクチュエータに結合されて、前記電気信号を前記ケーブルに伝達するように構成された前記ワイヤであって、前記ワイヤは前記ガイドチューブ内で滑動可能に配置され、前記ワイヤは、
(A)センサを含む遠位端部分であって、前記ワイヤの前記遠位端部分は、前記本体に対して移動するように構成され、前記遠位端部分は前記ワイヤの長さ方向に、前記上顎洞の小孔の長さに対応する3mm~8mmの長さを有し、前記遠位端部分は前記ワイヤの前記遠位端部分以外の部分よりも剛性である、遠位端部分と、
(B)前記アダプタの第2の部分で終了する近位端であって、前記アダプタの前記第2の部分は前記アダプタの前記第1の部分と取り外し可能に結合するように構成され、前記近位端は前記本体に対して固定されている、近位端と、
(C)前記ワイヤの前記遠位端部分が前記本体に対して近位側に移動するときに、前記本体に対する前記ワイヤの前記遠位端部分の運動の自由度を提供するサービスループとして、前記本体内に集まるように構成されている、中間部分と、
を含む、ワイヤと、
を含む、カートリッジアセンブリと、
を含み、
前記センサは、前記ナビゲーションシステムと協同して患者内の解剖学的構造のマップを生成するように構成されており、
前記アクチュエータは、前記ガイドチューブに対する近位位置と、前記ガイドチューブに対する中間位置と、前記ガイドチューブに対する遠位位置との間で前記ワイヤを駆動するように構成され、
前記装置は、
前記ワイヤが前記近位位置にあるとき、前記ワイヤの前記遠位端部分の遠位端は前記ガイドチューブの前記遠位端と同一平面になり、前記装置は、前記ガイドチューブの前記遠位端が前記上顎洞の前記小孔の近位開口部に接触したときに曲がり及び柔軟性をもたらさない剛性モードであり、
前記ワイヤが前記中間位置にあるとき、前記ワイヤの前記遠位端部分の近位端は前記ガイドチューブの前記遠位端とほぼ同一平面になり、前記装置は、前記ワイヤの前記遠位端部分の前記遠位端前記上顎洞の前記小孔の遠位開口部に達したときに中間量の曲がり又は柔軟性をもたらす柔軟モードであり、
前記ワイヤが前記遠位位置にあるとき、前記ワイヤの前記遠位端部分の前記近位端は前記ガイドチューブの前記遠位端よりも遠位にあり、前記装置は、前記ワイヤの前記遠位端部分の前記遠位端が前記上顎洞に接触したときに前記上顎洞の損傷を防止することができるように最も大きい曲がり又は柔軟性をもたらす伸張モードであるように、構成されており、
前記ハンドルアセンブリは、前記アクチュエータが前記ワイヤの前記中間位置に関連付けられた位置に達したときに、操作者に触覚及び/又は可聴フィードバックをもたらすように構成された特徴部を含む、装置。
【請求項2】
前記ガイドチューブは、前記ワイヤの前記遠位端部分よりも剛性である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ガイドチューブは、事前形成された湾曲部を伴う遠位領域を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ガイドチューブの少なくとも遠位部分は展性がある、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記ワイヤの前記遠位部分は、事前形成された湾曲部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記事前形成された湾曲部は頂点に対する角度を規定する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記事前形成された湾曲部は曲線を規定する、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記ワイヤの前記遠位端部分の前記遠位端はボール先端部を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記センサは前記ボール先端部内に組み込まれている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記センサはコイルを含み、前記コイルは電磁界内での前記ワイヤの前記遠位端部分の動きに反応する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ハンドルアセンブリは複数の位置インジケータを提供し、前記位置インジケータは第1のインジケータと第2のインジケータと第3のインジケータを含み、前記第1のインジケータは前記近位位置と関連付けられ、前記第2のインジケータは前記遠位位置と関連付けられ、前記第3のインジケータは前記中間位置と関連付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記位置インジケータは触覚フィードバック特徴部を含み、前記触覚フィードバック特徴部はデテント構造を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
患者の上顎洞をマッピング及び/又はイメージングするための装置であって、
(a)ハンドルアセンブリであって、
(i)本体と、
(ii)ナビゲーションシステムに電気信号を伝達するように構成されたケーブルと、を含むハンドルアセンブリと、
(b)前記ハンドルアセンブリから遠位に延びるガイドチューブアセンブリであって、剛性部材と展性部材とを含むガイドチューブアセンブリと、
(c)前記ハンドルアセンブリと取り外し可能に結合するように構成されたカートリッジアセンブリであって、
(i)回転可能な部材を含むアクチュエータと、
(ii)前記ケーブルに前記電気信号を伝達するように構成されたワイヤであって、前記ワイヤは前記ガイドチューブアセンブリ内で滑動可能に配置され、前記ワイヤは、
(A)近位端と、
(B)センサを含む遠位端部分であって、前記センサは、前記ナビゲーションシステムと協同して、患者内の解剖学的構造の画像誘導ナビゲーションをもたらすように構成され、前記ワイヤは前記アクチュエータに結合され、前記ワイヤの前記遠位端部分が前記アクチュエータの動きに応じて動く間に、前記ワイヤの前記近位端が前記本体に対して固定されたままであるように構成させるように、前記アクチュエータは、前記ワイヤの前記遠位端部分を前記ガイドチューブアセンブリに対して動かすように、前記本体に対して移動可能であり、前記回転可能な部材の長手軸の周りでの前記回転可能な部材の回転が、前記ワイヤの長手軸の周りで前記ワイヤを同時に回転させるように、前記回転可能な部材は前記ワイヤに機械的に結合されており前記遠位端部分は前記ワイヤの長さ方向に、前記上顎洞の小孔の長さに対応する3mm~8mmの長さを有し、前記遠位端部分は前記ワイヤの前記遠位端部分以外の部分よりも剛性である、遠位端部分と、
(C)前記近位端が前記本体に対して固定される間に、前記本体に対する前記遠位端部分の運動の自由度を提供するために、サービスループとして、前記本体内に位置し、前記本体内に集まるように構成された中間部分と、
を含む、ワイヤと、
を含む、カートリッジアセンブリと、
を含み、
前記アクチュエータは、前記アクチュエータの対向する側面に形成された一対の長手方向の通路を介して、前記カートリッジアセンブリのスロット内に滑動可能に配置されており、前記ワイヤを前記ガイドチューブアセンブリに対して動かすために、前記アクチュエータは前記本体に対して長手方向に移動可能であり、
前記アクチュエータは、前記ガイドチューブアセンブリに対する近位位置と、前記ガイドチューブアセンブリに対する中間位置と、前記ガイドチューブアセンブリに対する遠位位置との間で前記ワイヤを駆動するように構成され、
前記装置は、
前記ワイヤが前記近位位置にあるとき、前記ワイヤの前記遠位端部分の遠位端は前記ガイドチューブアセンブリの前記遠位端と同一平面になり、前記装置は、前記ガイドチューブアセンブリの前記遠位端が前記上顎洞の前記小孔の近位開口部に接触したときに曲がり及び柔軟性をもたらさない剛性モードであり、
前記ワイヤが前記中間位置にあるとき、前記ワイヤの前記遠位端部分の近位端は前記ガイドチューブアセンブリの前記遠位端とほぼ同一平面になり、前記装置は、前記ワイヤの前記遠位端部分の前記遠位端前記上顎洞の前記小孔の遠位開口部に達したときに中間量の曲がり又は柔軟性をもたらす柔軟モードであり、
前記ワイヤが前記遠位位置にあるとき、前記ワイヤの前記遠位端部分の前記近位端は前記ガイドチューブアセンブリの前記遠位端よりも遠位にあり、前記装置は、前記ワイヤの前記遠位端部分の前記遠位端が前記上顎洞に接触したときに前記上顎洞の損傷を防止することができるように最も大きい曲がり又は柔軟性をもたらす伸張モードであるように、構成されており、
前記ハンドルアセンブリは、前記アクチュエータが前記ワイヤの前記中間位置に関連付けられた位置に達したときに、操作者に触覚及び/又は可聴フィードバックをもたらすように構成された特徴部を含む、装置。
【請求項14】
前記展性部材は内側チューブを含み、前記剛性部材は外側シースを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記展性部材は第1の管腔を含み、前記ワイヤは前記展性部材の前記第1の管腔内に滑動可能に配置されている、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記展性部材はさらに第2の管腔を含み、前記第2の管腔は、前記展性部材の遠位端に吸引をもたらすように構成されている、請求項15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
画像誘導手術(IGS)は、コンピュータを用いて、患者の身体内に挿入された機器の場所の、手術前に得られた画像のセット(例えば、CT又はMRIスキャン、3Dマップなど)に対するリアルタイム相関を得て、機器の現在位置を手術前に得られた画像に重ね合わせる技術である。いくつかのIGS処置では、術野のデジタルトモグラフィスキャン(例えば、CT又はMRI、3Dマップなど)を外科手術の前に得る。次に、特別にプログラムされたコンピュータを用いて、デジタルトモグラフィスキャンデータをデジタルマップに変換する。外科手術中、センサ(例えば、電磁界を発生させ及び/又は外部で発生した電磁界に反応する電磁コイル)が装着された特別な機器を用いて処置を実行し、同時に、センサがコンピュータに各手術用器具の現在位置を示すデータを送る。コンピュータは、機器装着センサから受信したデータを、術前トモグラフィスキャンから作成されたデジタルマップと相関づける。トモグラフィスキャン画像をビデオモニタ上にインジケータ(例えば、十字線又は照明されたドット)とともに表示して、スキャン画像に示された解剖学的構造に対する各手術用器具のリアルタイム位置を示す。これにより、外科医は、器具自体を体内のその現在の位置において直接見ることができない場合であっても、ビデオモニタを見ることによって各センサ搭載器具の正確な位置を知ることができる。
【0002】
ENT及び洞手術で用い得る電磁IGSシステムの例としては、InstaTrak ENT(商標)システム(GE Medical Systems、Salt Lake City, Utahから入手可能)が挙げられる。本開示に従って用いるように変更することができる電磁気画像誘導システムの他の例としては、これらに限定されないが、CARTOR(登録商標)3システム(Biosense-Webster, Inc.、Diamond Bar, California)、Surgical Navigation Technologies, Inc.(Louisville, Colorado)から入手可能なシステム、及びCalypso Medical Technologies, Inc.(Seattle, Washington)から入手可能なシステムが挙げられる。
【0003】
本明細書の教示に従って用いるように変更することができる方法、デバイス、及び/又はシステムの更なる他の例としては、これらに限定されないが、以下で開示されるものが挙げられる:米国特許第8,702,626号、発明の名称「Guidewires for Performing Image Guided Procedures」(2014年4月22日発行)(この開示は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許第8,320,711号、発明の名称「Anatomical Modeling from a 3D Image and a Surface Mapping」(2012年11月27日発行)(この開示は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許第8,190,389号、発明の名称「Adapter for Attaching Electromagnetic Image Guidance Components to a Medical Device」(2012年5月29日発行)(この開示は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許第8,123,722号、発明の名称「Devices、Systems and Methods for Treating Disorders of the Ear、Nose and Throat」(2012年2月28日発行)(その開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、及び米国特許第7,720,521号、発明の名称「Methods and Devices for Performing Procedures within the Ear、Nose、Throat and Paranasal Sinuses」(2010年5月18日発行)(この開示は本明細書において参照により組み込まれている)。
【0004】
本明細書における教示に従って用いるように変更することができる方法、デバイス、及び/又はシステムのその他の更なる例には、これらに限定されないが、以下の文献に開示されるものが挙げられる:米国特許公開第2014/0364725号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear、Nose、Throat and Paranasal Sinuses」(2014年12月11日公開)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許公開第2014/0200444号、発明の名称「Guidewires for Performing Image Guided Procedures」(2014年7月17日公開)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許公開第2012/0245456号、発明の名称「Adapter for Attaching Electromagnetic Image Guidance Components to a Medical Device」(2012年9月27日公開)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許公開第2011/0060214号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear、Nose、Throat and Paranasal Sinuses」(2011年3月10日公開)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許公開第2008/0281156号、発明の名称「Methods and Apparatus for Treating Disorders of the Ear Nose and Throat」(2008年11月13日公開)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、及び米国特許公開第2007/0208252号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear、Nose、Throat and Paranasal Sinuses」(2007年9月6日公開)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)。
【0005】
内視鏡下機能的副鼻腔手術(FESS)、バルーンサイナプラスティ(balloon sinuplasty)、及び/又はその他のENT処置に適用した場合、画像誘導システムを用いることによって、外科医は、内視鏡だけを通して見ることによって実現できるよりも、手術用器具のより正確な動き及び位置決めを実現することができる。これは、典型的な内視鏡の画像が空間的に制限された2次元の視線の視界だからである。画像誘導システムを用いることによって、空間的に制限された2次元の直接視線の内視鏡視野において実際に見えるものだけではなく、術野を囲む生体構造すべてのリアルタイムの3次元図が得られる。その結果、画像誘導システムは、FESS、バルーンサイナプラスティ、及び/又はその他のENT処置の実行中に特に有用であり得、特に、通常の解剖学的目印が存在しないか又は内視鏡的に視覚化することが難しい場合にそうである。
【0006】
当該技術分野において、画像誘導ENT処置において用いる改善されたセンサが搭載された機器及びデバイスの開発が依然として求められている。いくつかのシステム及び方法が、医療処置における画像誘導を提供するために作製され用いられているが、本発明者より前の誰も、添付の請求項に記載の本発明を作製することも用いることもしていないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書は、本発明を具体的に示し、明確にその権利を請求する特許請求の範囲をもって結論となすものであるが、本発明は以下の特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでより深い理解が得られるものと考えられる。図中、同様の参照符合は同様の要素を示す。
図1】典型的なマッピング及びナビゲーションデバイスの斜視図である。
図2図1のデバイスの典型的な使い捨てカートリッジの斜視図である。
図3図2のカートリッジの典型的な柔軟なワイヤ及びアクチュエータの斜視図である。
図4図2のカートリッジ内に組み込まれ得る別の典型的な柔軟なワイヤの遠位端の斜視図である。
図5図2のカートリッジ内に組み込まれ得る更に別の典型的な柔軟なワイヤの遠位端の斜視図である。
図6A図1のデバイスの側面図であって、図2のカートリッジがデバイスのハンドルから離間されている図である。
図6B図1のデバイスの側面図であって、図2のカートリッジがデバイスのハンドルの方に移動し、図3の柔軟なワイヤの遠位部分がデバイスのガイドチューブ内に位置し、柔軟なワイヤの近位部分がデバイスのケーブルと結合している図である。
図6C図1のデバイスの側面図であって、図2のカートリッジがデバイスのハンドルと結合され、図3の柔軟なワイヤが第1の長手方向位置にある図である。
図6D図1のデバイスの側面図であって、図2のカートリッジがデバイスのハンドルと結合され、図3の柔軟なワイヤが第2の長手方向位置まで移動している図である。
図6E図1のデバイスの側面図であって、図2のカートリッジがデバイスのハンドルと結合され、図3の柔軟なワイヤが第3の長手方向位置まで移動している図である。
図7図1のデバイス用いて洞マッピング及びイメージングを行なうためのシステムの概略的な図形図である。
図8A】上顎洞開口部に隣接して位置する図1のデバイスの正面図であり、図3の柔軟なワイヤが図6Cの第1の長手方向位置にある図である。
図8B】上顎洞開口部に隣接して位置する図1のデバイスの正面図であり、図3の柔軟なワイヤが図6Dの第2の長手方向位置まで移動している図である。
図8C】上顎洞開口部に隣接して位置する図1のデバイスの正面図であって、図3の柔軟なワイヤが図6Eの第3の長手方向位置まで移動している図である。
図9】洞マッピング及びイメージングするための方法を概略的に例示するフローチャートである。
図10】別の典型的なマッピング及びナビゲーションデバイスの斜視図である。
図11図10のデバイスの側面図である。
図12】更に別の典型的なマッピング及びナビゲーションデバイスの斜視図である。
図13図12のデバイスの側面図である。
図14図10のデバイスのハンドルアセンブリの詳細な斜視図である。
図15図10のデバイスのガイドチューブの遠位端の詳細な斜視図である。
図16図14のハンドルアセンブリの詳細な側断面図である。
図17図14のハンドルアセンブリの別の詳細な斜視図である。
図18A図10のデバイスの斜視図であって、デバイスの柔軟なワイヤが第1の長手方向位置にある図である。
図18B図10のデバイスの斜視図であって、図18Aの柔軟なワイヤが第2の長手方向位置に移動している図である。
図18C図10のデバイスの斜視図であって、図18Aの柔軟なワイヤが第3の長手方向位置に移動している図である。
【0008】
図面は、決して限定することを意図しておらず、本発明の種々の実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが考えられる。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明は示される正確な配置に限定されない点が理解される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特定の例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。例えば、様々であるが。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものとみなされるべきである。
【0010】
「近位」及び「遠位」なる用語は、本明細書では、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医に対して用いられることが理解されるであろう。すなわち、エンドエフェクタは、より近位のハンドピースアセンブリに対して遠位にある。便宜上及び明確さのために、「上部」及び「下部」といった空間に関する用語もまた、本明細書において、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医を基準として用いられている点も更に理解されよう。しかしながら、外科器具は、多くの配向及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0011】
本明細書に記載の教示、表現要素、変形物、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現要素、変形物、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点も更に理解される。したがって、以下に記載の教示、表現要素、変形物、実施例などは、互いに独立して考慮されるべきでない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な適切な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。かかる改変例及び変形例は、特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0012】
I.典型的なマッピング及びナビゲーションデバイス
図1に示すのは、患者の鼻腔、患者の鼻腔に付随する通路(例えば、副鼻腔口及び腔、前頭陥凹、耳管など)、及び/又は他の解剖学的な通路(例えば、耳、鼻、又は喉などの中)をマッピング及び/又はナビゲートするために用い得る典型的なマッピング及びナビゲーションデバイス(10)である。本実施例のマッピング及びナビゲーションデバイス(10)は、ハンドル(20)、ガイドチューブ(30)、及びカートリッジアセンブリ(100)を含む。本実施例では、ハンドル(20)はステンレス鋼で形成されているが、当然のことながら任意の他の好適な材料を用いてもよい。場合によって、ハンドル(20)とガイドチューブ(30)との組み合わせは再利用可能なデバイス(例えば、複数患者、滅菌可能)として提供され、一方で、カートリッジアセンブリ(100)は使い捨てデバイス(例えば、単一患者のみ、滅菌不可)として提供される。本実施例のハンドル(20)はユーザが鉛筆を持つように把持することができる。あるいは、ピストルグリップ構成又はパワーグリップ技術が挙げられるがこれらに限定されないその他の種々の好適な構成及び把持技術を用いてもよい。ガイドチューブ(30)はハンドル(20)から遠位に延びている。
【0013】
ガイドチューブ(30)の全部又は一部(例えば、0.3cm~5センチメートル(2インチ))は、ガイドチューブ(30)がワイヤ(130)からのいかなる信号にも干渉しないように、低透磁率を有する材料(例えば、これらに限定されないが、316ステンレス鋼、ニチノール、コバルトクロム、タングステン、PEEK、及びポリカーボネート)を含んでいてもよい。いくつかの変形例では、ガイドチューブ(30)の遠位部分のみが非強磁性であるかそうでなければ低透磁性である。本実施例のガイドチューブ(30)は、その遠位端(DE)に湾曲した遠位部分(32)を含む。いくつかの変形例では、ガイドチューブ(30)は、Relieva Flex(商標)Sinus Guide Catheter(Acclarent, Inc.、Menlo Park, California)と同様に構成されている。単に一例として、湾曲した遠位部分(32)は約20°の曲げ角度を提供し得る。あるいは、任意のその他の好適な曲げ角度を用いてもよい。本実施例では、ガイドチューブ(30)は剛性である。いくつかの他の変形例では、ガイドチューブ(30)は展性があり、そのため、オペレータはガイドチューブ(30)を任意の所望の曲げ角度まで変形させることができ、ガイドチューブ(30)は、選択された曲げ角度を以後の使用の間に維持することができる。ガイドチューブ(30)がとることができる他の好適な形状は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。
【0014】
図2にカートリッジアセンブリ(100)を示す。後に詳細に説明するように、カートリッジアセンブリ(100)は、ハンドル(20)の開口部(22)に収容されて、その結果、ハンドル(20)と結合するように構成されている。いくつかの代替的な変形例では、カートリッジアセンブリ(100)の特徴及び機能はハンドル(20)内に完全に組み込まれている。カートリッジアセンブリ(100)は、ハウジング(110)、手動のアクチュエータ(120)、及び柔軟なワイヤ(130)を含む。ハウジング(110)は、ハウジング(110)の最上表面(114)に形成されている長手方向のスロット(112)を含む。アクチュエータ(120)のスレッド(121)は、スレッド(121)の対向する側面に形成された一対の長手方向の通路(123)(図3)を介して、ハウジング(110)のスロット(112)内に滑動可能に配置されており、その結果、後に詳細に説明するように、アクチュエータ(120)は、スロット(112)内を、近位の長手方向位置(図6C)、中間の長手方向位置(図6D)、及び遠位の長手方向位置(図6E)の間で平行移動するように構成されている。ハウジング(110)の最上表面(114)には、一連の可視マーカー(115A、115B、115C)がスロット(112)に隣接して位置している。マーカー(115A、115B、115C)は、アクチュエータ(120)の近位の長手方向位置、中間の長手方向位置、及び遠位の長手方向位置にそれぞれ対応する。アクチュエータ(120)は可視マーカー(125)を含むが、これは、ハウジング(110)のマーカー(115A、115B、115C)と整列して、アクチュエータ(120)が各対応する長手方向位置に達したことを視覚的に示すように構成されている。付加的に又は代替的に、ハウジング(110)及び/又はアクチュエータ(120)は更に、アクチュエータ(120)が各長手方向位置に達したときにオペレータに触覚及び/又は可聴フィードバックをもたらすように構成された特徴部(例えば、機械的なデテント)を含んでいてもよい。
【0015】
本実施例のワイヤ(130)は柔軟な積層コイル構成を含む。ワイヤ(130)はハウジング(110)の中を完全に通って延び、そのためワイヤ(130)の近位部分(P)はハウジング(110)から近位に延び、ワイヤ(130)の遠位部分(D)はハウジング(110)から遠位に延びるようになっている。ワイヤ(130)の近位部分(P)は、ハウジング(110)の近位表面(117)に形成された開口部(116)内に固く固定されており、その結果、近位部分(P)はハウジング(110)に対して静止したままであるように構成されている。開口部(116)にワイヤ(130)の近位部分(P)を固く固定するために用いることができる種々の好適な構造及び技術は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。後に詳細に説明するように、近位部分(P)はアダプタ(131)を含む。アダプタ(131)は、カートリッジアセンブリ(100)のワイヤ(130)をハンドル(20)のケーブル(24)と結合するように構成されている。いくつかの変形例では、アダプタ(131)の代わりに、1つ以上のピン、1つ以上の露出した電気接点、1つ以上のソケット、及び/又は1つ以上のその他の特徴部であって、カートリッジアセンブリ(100)がハンドル(20)と結合されたときにハンドル(20)内の相補的特徴と嵌合するように構成されたものを用いる。カートリッジアセンブリ(100)及びハンドル(20)のこれらの代替的な嵌合特徴部によって、カートリッジアセンブリ(100)をハンドル(20)と結合したときに、ワイヤ(130)とケーブル(24)との間の電気連通がもたらされ得る。このような嵌合特徴部がとることができる種々の好適な形状は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。
【0016】
張力緩和部(28)が、ケーブル(24)がハンドル(20)を出る点に設けられている。ケーブル(24)は、以下に詳細に説明するように、コンソール(210)と結合していてもよい。また後に詳細に説明するように、ワイヤ(130)の遠位部分(D)は、ハウジング(110)の遠位表面(図示せず)に形成された開口部(図示せず)内に滑動可能に配置されており、そのため、遠位部分(D)はハウジング(110)に対して平行移動するように構成されている。ワイヤ(130)は、近位部分(P)と遠位部分(D)との間に配置されたサービスループ(S)を含む。サービスループ(S)はハウジング(110)内に位置付けられており、遠位部分(D)に運動の自由度をもたらし、その結果、近位部分(P)はハウジング(110)に対して固定されたままで、ハウジング(110)に対する遠位部分(D)の平行移動に対応するように構成されている。
【0017】
図3において最もよく分かるように、ワイヤ(130)はアクチュエータ(120)のスレッド(121)の底面に形成された長手方向の通路(126)内に位置している。ワイヤ(130)は、ハウジング(110)のスロット(112)内でアクチュエータ(120)が平行移動するとワイヤ(130)の平行移動が同時に起こるように、通路(126)内に固定されている。詳細には、アクチュエータ(120)はワイヤ(130)の遠位部分(D)とサービスループ(S)の遠位に結合されており、そのため、スロット(112)内でアクチュエータ(120)が平行移動すると、ワイヤ(130)の遠位部分(D)の平行移動が同時に起こるようになっている。前述したように、サービスループ(S)は遠位部分(D)に運動の自由度をもたらして、近位部分(P)がハウジング(110)に対して固定されたままで、ハウジング(110)に対する遠位部分(D)の平行移動に対応するように構成されている。
【0018】
後により詳細に説明するように、カートリッジアセンブリ(100)がハンドル(20)内に結合された状態で、ワイヤ(130)の遠位部分(D)は、ハンドル(20)の穴(26)内及びガイドチューブ(30)内に滑動可能に収容されるように構成されており、その結果、ワイヤ(130)は、ハウジング(110)に対するアクチュエータ(120)の平行移動に反応して、穴(26)及びガイドチューブ(30)内を平行移動するように構成されている。このワイヤ(130)の平行移動によって、ガイドチューブ(30)に対するワイヤ(130)の遠位端(132)の平行移動が、アクチュエータ(120)が近位の長手方向位置、中間の長手方向位置、及び遠位の長手方向位置の間で平行移動するときに起こる。これは前述した通りであり、また後に詳細に説明する。ガイドチューブ(30)は、ワイヤ(130)を滑動可能に収容するように構成された管腔を画定し、その結果、ガイドチューブ(30)はワイヤ(130)を湾曲した遠位端(32)を通って外に誘導することができる。カートリッジアセンブリ(100)のいくつかの変形例では、ガイドチューブ(30)は、カートリッジアセンブリ(100)と一体になった構成部品であってもよい。
【0019】
本実施例のアクチュエータ(120)は更に、スレッド(121)の上部内に回転可能に配置されている回転可能な部材(128)を含む。本実施例の回転可能な部材(128)は、スレッド(121)内でスレッド(121)に対して回転可能である。回転可能な部材(128)の一部はスレッド(121)に対して露出しており、そのため、オペレータは指又は親指を回転可能な部材(128)と直接係合させて、回転可能な部材(128)の回転を生じさせることができる。回転可能な部材(128)の長手軸の周りで回転可能な部材(128)が回転すると、ワイヤ(130)の長手軸の周りでワイヤ(130)の回転が同時に起こるように、回転可能な部材(128)はワイヤ(130)と機械的に結合されている。詳細には、回転可能な部材(128)は、回転可能な部材(128)の回転がワイヤ(130)の回転を同時に起こすように構成されるように、スレッド(121)の通路(126)内に固定されたワイヤ(130)部分と機械的に関連付けられていてよい。単に一例として、回転可能な部材(128)及びワイヤ(130)は、ギア、1つ以上のケーブル、1つ以上のベルト、及び/又は回転可能な部材(128)の回転に反応してワイヤ(130)の回転をもたらすように動作可能な任意のその他の構成部品を介して結合され得る。ワイヤ(130)はねじれに対して十分な強度を有しており、その結果、回転可能な部材(128)によるワイヤ(130)の回転はワイヤ(130)の遠位端(132)に伝達される。いくつかの代替的な変形例では、回転可能な部材(128)が省略されている。
【0020】
図3に示すように、本実施例のワイヤ(130)の遠位端(132)は実質的にまっすぐであり、非外傷性の遠位先端部を含む。図4及び5に示すように、ワイヤ(130)の遠位端は、事前形成された湾曲部(図4)、事前形成された曲線(図5)、又は任意のその他の適切な構成を含んでいてもよい。したがって、ワイヤ(130)が回転したら、遠位端(132)が再位置合わせ又は再配向され得ることを理解されたい。また当然のことながら、遠位端(132)の先端は、これらに限定されないが、ドーム形状、ボール形状、ブルーベリー形状、又は任意のその他の好適な形状など、任意の好適な構成を有していてもよい。
【0021】
図2~3及び6A~6Eに概略的に示すように、本実施例のワイヤ(130)の遠位端(132)は、位置センサ(135)と超音波センサ(136)とを含む。後により詳細に説明するように、センサ(135、136)によって、ワイヤ(130)の遠位端(132)を用いて、患者の鼻腔、患者の鼻腔に付随する通路(例えば、副鼻腔口及び腔、前頭陥凹、耳管など)、及び/又はその他の解剖学的な通路(例えば、耳、鼻、又は喉などの中)のマッピング及び/又はナビゲーションをもたらすことが可能になる。当然のことながら、ワイヤ(130)のいくつかの変形では、位置センサ(135)を含んで、超音波センサ(136)を省略してもよい。ワイヤ(130)の何らかの他の変形では、超音波センサ(136)を含んで、位置センサ(135)を省略してもよい。位置センサ(135)及び/又は超音波センサ(136)を有することに加えて又はその代わりに、ワイヤ(130)の遠位端(132)は、手術野をリアルタイムで可視化するように構成されたカメラを含んでもよい。
【0022】
本実施例では、位置センサ(135)は、コイルが、ワイヤ(130)の遠位端(132)に埋め込まれ、ワイヤ(130)の長さに沿って延びる1つ以上の電線導管と連通している。位置センサ(135)が電磁界内に位置しているときに、その磁界内での位置センサ(135)の動きによってコイルに電流が発生することができ、この電流はワイヤ(132)に沿って、更にケーブル(24)に沿って伝達することができる。この現象によって、システム(200)は、3次元空間内での遠位端(132)の場所の決定を可能にすることができる。これについては以下に詳細に説明する。
【0023】
単に一例として、ワイヤ(130)の位置センサ(135)及び/又は他の構成部品を以下の文献の教示の少なくとも一部に従って構成し動作可能としてもよい:米国特許第8,702,626号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許第8,320,711号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許第8,190,389号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許第8,123,722号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許第7,720,521号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許公開第2014/0364725号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許公開第2014/0200444号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許公開第2012/0245456号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許公開第2011/0060214号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許公開第2008/0281156号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、及び/又は米国特許公開第2007/0208252号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)。別の単なる説明例として、ワイヤ(130)を、米国仮特許出願第[代理人整理番号ACC5103USPSP.0626027]号、発明の名称「Guidewire with Navigation Sensor」(本出願と同日に出願)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)の教示の少なくとも一部に従って構成し動作可能としてもよい。ワイヤ(130)を構成し動作可能とし得る他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなる。
【0024】
図6A~6Eに示すのは、デバイス(10)のアセンブリ及び動作の典型的な方法である。図6Aに示すのは、ハンドル(20)から離間されたカートリッジアセンブリ(100)である。図6Bに示すように、カートリッジアセンブリ(100)をハンドル(20)の方に動かすと、ワイヤ(130)の近位部分(P)のアダプタ(131)がハンドル(20)のケーブル(24)と結合し、ワイヤ(130)の遠位部分(D)がハンドル(20)の穴(26)の中及びガイドチューブ(30)の管腔の中に位置付けられる。図6Cに示すのは、ハンドル(20)の開口部(22)内に結合されたカートリッジアセンブリ(100)である。カートリッジアセンブリ(100)はハンドル(20)の開口部(22)内に、スナップフィット方法、締まりばめ方法、摩擦フィット方法、又は任意の他の適切な方法で結合してよい。カートリッジアセンブリ(100)及び/又はハンドル(20)は、ラッチ、留め金、クランプ、及び/又は任意のその他の好適な特徴部を含んで、カートリッジアセンブリ(100)をハンドル(20)に対して取り外し可能に固定してもよい。
【0025】
図6Cに示すように、アクチュエータ(120)が近位の長手方向位置にある状態では、ワイヤ(130)の遠位端(132)の先端はガイドチューブ(30)の遠位縁(34)と同一平面になるように位置する。図6Dに示すように、アクチュエータ(120)を中間の長手方向位置よりも遠位に平行移動させると、ワイヤ(130)の遠位端(132)がガイドチューブ(30)の遠位端(DE)から延びて、遠位端(132)の少なくとも一部がガイドチューブ(30)の遠位縁(34)よりも遠位となるようになっている。いくつかの変形例では、この段階でガイドチューブ(30)の遠位縁(34)を過ぎて遠位に延びるワイヤ(130)の長さは3mm~8mm、又はより詳細には5mmである。あるいは、この段階では任意の他の好適な長さのワイヤ(130)がガイドチューブ(30)の遠位縁(34)を過ぎて遠位に延びてもよい。図6Eに示すように、アクチュエータ(120)が遠位の長手方向位置まで更に遠位に平行移動すると、ワイヤ(130)の遠位端(132)はガイドチューブ(30)の遠位端(DE)から更に延びる。いくつかの変形例では、この段階でガイドチューブ(30)の遠位縁(34)を過ぎて遠位に延びるワイヤ(130)の長さは10mm~25mmである。あるいは、この段階では任意の他の好適な長さのワイヤ(130)がガイドチューブ(30)の遠位縁(34)を過ぎて遠位に延びてもよい。
【0026】
後に詳細に説明するように、患者内でデバイス(10)を使用している間に、ワイヤ(130)の遠位端(132)は、患者の副鼻腔及び/又は他の解剖学的構造(例えば、耳、鼻、又は喉などの中)に関連付けられる1つ以上の解剖学的構造に接触し得る。ワイヤ(130)は、このような接触が生じたときに、少なくともアクチュエータ(120)及びワイヤ(130)が図6Dに示す中間の長手方向位置にあるときに、長手方向に向けられた力に反応して生じる座屈に耐えるように十分な柱強度を有し得る。ワイヤ(130)は、付加的に又は代替的に、このような接触が閾値負荷を超えたときに曲がるように構成されていてもよい。例えば、ワイヤ(130)を、7ニュートンの力、又は任意の他の適切な力を超える負荷にさらされたたときに曲がるように構成してもよい。また、アクチュエータ(120)及びワイヤ(130)が、図6Dに示す中間の長手方向位置又は図6Eに示す遠位の長手方向位置にある場合に、遠位縁(34)から遠位に延びるワイヤ(130)の長さによって遠位端(132)が横方向に歪むことが、遠位端(132)が、患者の副鼻腔及び/又は他の解剖学的構造と関連付けられた1つ以上の解剖学的構造に接触したときに可能であることを理解されたい。これは、遠位端(132)が特に脆い解剖学的構造に接触するときに有用であり得る。言い換えれば、ワイヤ(130)がもたらす柔軟性によって、本明細書で説明するように、マッピング又はナビゲーションのプロセスの間に遠位端(132)が脆い解剖学的構造に対して押されたときに、遠位端(132)が脆い解剖学的構造を不注意に破砕させることが防がれ得る。
【0027】
前述から理解されるように、デバイス(10)は、アクチュエータ(120)及びワイヤ(130)の長手方向位置に基づいて3つの異なるモードで提供され得る。アクチュエータ(120)及びワイヤ(130)が図6Cに示す近位位置にあるとき、デバイス(10)は剛性モードである。剛性モードでは、ワイヤ(130)は、遠位端(132)が解剖学的構造に接触したときに何ら柔軟性をもたらさない。アクチュエータ(120)及びワイヤ(130)が図6Dに示す中間位置にあるとき、デバイス(10)は柔軟モードである。柔軟モードでは、ワイヤ(130)は、遠位端(132)が解剖学的構造に接触したときに中間量の「曲がり」又は柔軟性をもたらす。アクチュエータ(120)及びワイヤ(130)が図6Eに示す遠位位置にあるとき、デバイス(10)は伸張モードである。伸張モードでは、ワイヤ(130)は、遠位端(132)が解剖学的構造に接触したときに最も大きい「曲がり」又は柔軟性をもたらす。
【0028】
デバイス(10)を患者内で用いた後に、オペレータはカートリッジアセンブリ(100)を取り外し廃棄してもよい。デバイス(10)の残りの構成部品は消毒して更なる使用に備えてもよい。消毒後に、別の新しいカートリッジアセンブリ(100)を廃棄したカートリッジアセンブリ(100)の代わりに用い、デバイス(10)をもう一度用いてもよい。したがって、デバイス(10)のいくつかの変形例では、カートリッジアセンブリ(100)は使い捨てであってよい。
【0029】
II.典型的なマッピング及びイメージングシステム及び方法
オペレータは、デバイス(10)を用いて、目標とする解剖学的構造の3D画像を得たいと望む場合がある。図7は、目標とする構造(例えば、患者の上顎洞(MS))をイメージング及びマッピングするための典型的なシステム(200)の概略的な図形図である。単に一例として、システム(200)を米国特許第8,320,711号、発明の名称「Anatomical Modeling from a 3D Image and a Surface Mapping」(2012年11月27日発行)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)の教示の少なくとも一部により構成及び動作可能としてもよい。システム(200)はデバイス(10)を含み、これは、経鼻的に挿入され鼻腔(NC)を通して進められて、図8Aに示すように上顎洞(MS)の中又はその付近でガイドチューブ(30)の遠位端(DE)を位置決めする。デバイス(10)を位置付けた後、オペレータがアクチュエータ(120)を遠位に平行移動させることによってワイヤ(130)をガイドチューブ(30)を通して遠位に進めることで、ワイヤ(130)の遠位端(132)が上顎洞(MS)の小孔(O)を通って上顎洞(MS)の体腔内に入るようになっている。これを、図8B(中間の長手方向位置のアクチュエータ(120))及び8C(遠位の長手方向位置のアクチュエータ(120))に示す。当然のことながら、上顎洞(MS)は、本実施例では単に説明を目的として示している。
【0030】
システム(200)の位置決めサブシステムは、外部の場発生コイル(202)のセットを含む。場発生コイル(202)は、当該技術分野で既知の構成部品及び技術により電磁界を発生させるように構成されている。場発生コイル(202)の場所は、位置決めサブシステムの固定された座標空間において画定されている。本実施例では、図7に示すように、場発生コイル(202)は患者の頭部の付近に配置されて、患者の頭部が場発生コイル(202)によって発生した電磁界内に位置するようになっている。
【0031】
前述したように、本実施例のワイヤ(130)の遠位端(132)は位置センサ(135)を含む。コイル(202)によって発生した場に基づいて、位置センサ(135)は位置関係信号を生成し、これらの信号をコンソール(210)に送信する。コンソール(210)内の位置決めプロセッサ(212)は、位置センサ(135)の位置関連信号からワイヤ(130)の遠位端(132)の位置座標を計算する。ワイヤ(130)の遠位端(132)を上顎洞(MS)の内面上の1つ以上の場所と接触させてもよく、各場所における座標を決定し、コンソール(210)内に点の行列として記憶させてもよい。記憶した行列を以下では解剖学的マップと言う。
【0032】
ワイヤ(130)の遠位端(132)は更に、トランスデューサを含む超音波センサ(136)を含んでいてもよい。トランスデューサは、超音波エネルギーを発生させ、反射された超音波エコーを受け取る。反射されたエコーに基づいて、超音波センサ(136)は、超音波関連信号をコンソール(210)内の画像処理装置(214)に送信する。画像処理装置(214)は、これらの超音波関連信号を複数の位置及び方位の超音波センサ(136)から受信し、これらの信号を処理して、3D超音波画像を3D空間内に構成し得る(ボクセルのセット(すなわち、3D画素)を含む)。画像処理装置(214)は、他の機能、例えば等高線描出を実行するように構成してもよい。3D可視化技術を用いて、画像処理装置(214)はまた、3D物体(例えば、描出された等高線)をコンソール(210)のディスプレイ(216)上に表示する。
【0033】
コンソール(210)は対話式であってよく、オペレータが、表示された項目をポインティングデバイス(例えば、トラックボール又はマウス(218))を用いて制御し、及び/又はキーボード(220)を用いてコマンドを入力することが可能となっていてもよい。場合によっては、オペレータは、マウス(218)及び/又はキーボード(220)を用いて、ディスプレイ(216)を通して表示された画像内のある特定の解剖学的特徴又は領域に印を付ける及び/又は注釈を付けてもよい。
【0034】
本実施例では、位置決めプロセッサ(212)及び画像処理装置(214)の機能を、本明細書で説明する機能を行なうようにソフトウェアでプログラムされた汎用コンピュータを用いて実施する。ソフトウェアは、例えば、コンピュータに電子形態でネットワークを介してダウンロードしてもよいし、又は代替的に、コンピュータに有形媒体(例えばCD又はDVDなど)で供給してもよい。位置決めプロセッサ(212)及び画像処理装置(214)は、別個のコンピュータを用いて若しくは単一のコンピュータを用いて実施してもよいし、又はシステム(200)の他の演算機能と一体化してもよい。付加的に又は代替的に、位置決め及び画像処理機能の少なくとも一部を専用のハードウェアを用いて行なってもよい。
【0035】
図9は、目標とする構造(例えば、患者の上顎洞(MS))のマッピング及びイメージングを行なうための典型的なプロセス(250)を概略的に例示するフローチャートである。データ取得工程(252)では、ユーザは上顎洞(MS)内のデバイス(10)を操作して、目標とする構造の超音波画像データ及び解剖学的マップデータを、位置センサ(135)及び超音波センサ(136)を介して取得する。解剖学的マップデータをシステム(200)のユーザが描出してもよい。付加的に又は代替的に、解剖学的マップデータは、コンタクトマッピング(例えば、電気解剖学的マップ)によって取得してもよく、このマッピングでは、ワイヤ(130)の遠位端(132)を上顎洞(MS)の内面上の複数の点と接触させる。
【0036】
種子生成工程(254)では、画像処理装置(214)が、解剖学的マップデータから1つ以上の種子点を自動的に生成する。種子点は、マップに含まれる特定の点であってもよいし、又はいくつかの測定点から内挿法及び/又は外挿法によって決定してもよい。場合によっては、表面は解剖学的マップ内の点の多項式最小二乗法によって生成してもよく、単一の種子点を表面の中間点として決定する。あるいは、種子点はシステム(200)のオペレータが選択してもよい。
【0037】
次に等高線検出工程(256)では、種子点に基づいて音波画像内の等高線を検出し描出する。等高線は上顎洞(MS)の内面に対応し得る。等高線検出及び描出は種子点に基づいている。検出としては、エッジ検出方法、相関関係方法、動き検出方法、及び当該技術分野で既知のその他の方法を挙げることができる。エッジ検出の良く知られた方法は「Canny」エッジ検出方法であり、これは、F.J.Canny、「A Computational Approach to Edge Detection」、IEEE Trans PAMI、8(6):679~698、1986に説明されている。改善された方法(「Canny」エッジ検出方法に基づく)は、米国特許公開第2009/0080738号、発明の名称「Edge Detection In Ultrasound Images」(2009年3月26日公開)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)に記載されている。工程(256)の出力は、画像処理装置(214)によって生成された当初の超音波3D画像をセグメント化する1つ以上の等高線を画定する3次元の行列である。あるいは、等高線はパラメータ方程式を用いて画定してもよい。等高線が上記工程により決定されたら、等高線を、超音波画像及び解剖学的マップを視覚化する後続の工程において適用することができる。
【0038】
マップ向上工程(260)では、工程(252)で取得した解剖学的マップの分解能を、等高線から抽出された点を用いて向上させる。工程(260)には3つのサブ工程が含まれている。サブ工程(262)では、工程(256)で決定した等高線を、電気解剖学的マップ内の点と位置が合うように3D座標空間内で変換する。一実施形態では、等高線の変換を最小2乗法、最良適合アルゴリズムに基づいて行なう。
【0039】
その後、点抽出サブ工程(264)において、等高線点を変換された等高線から抽出し、解剖学的マップに加えることによって、マップの密度を向上させる。等高線点の抽出は、与えられた密度の2D格子を等高線の表面上に投影し格子交点における点を抽出することによって、自動的に行うことができる。
【0040】
サブ工程(266)では、向上されたマップの図(抽出された等高線点の座標を含む)を表示する。図は概ね、3D可視化方法(3Dデータをディスプレイ(216)の2D平面上に投影するなど)を用いて3D画像として表示されている。通常、表示画像は、トラックボール若しくはマウス(218)及び/又はキーボード(220)を介して回転させて、複数の視野から見るようにしてもよい。
【0041】
等高線表示工程(267)では、工程(256)で決定した等高線を3D可視化方法を用いて表示する。解剖学的マップからの生理的パラメータを等高線の表面上で内挿及び/又は外挿して、等高線をパラメータ値を示す強調表示を用いて表示することができる。強調表示は着色又はシェーディングなど、種々の手段によって示すことができる。また同様の等高線表面の強調表示を用いて、3D超音波画像からの画像データ(すなわち、ボクセル)を表示することもできる。等高線表面の各点を、3D画像内の対応する座標におけるボクセルの値によって強調してもよい。また、等高線を、他の供給元(例えば、MRI、CT、又はX線イメージング)から抽出された3D画像データに基づいて強調してもよい。また、等高線を、与えられた半径方向オフセットによって変換してもよく、3D画像データ強調表示をオフセット座標に従って表示してもよい。これはタマネギの皮を様々な深さで見ることに似ている。
【0042】
更なる例では、画像処理装置(214)は、等高線に基づいて表面ではなく閉じた体積を生成することができる。閉じた体積内では、障害物のない解剖学的構造に対応するボクセルは透明に見え、組織又は他の障害物に対応するボクセルは相対的に暗く不透明に見えるように、3D画像源から抽出したボクセルを様々な程度の透明度で表示してもよい。
【0043】
補足取得工程(268)では、追加のマップ点をワイヤ(130)を用いて測定し、解剖学的マップに加えることによって、マップ密度を増加させる。
【0044】
コンソール(210)のディスプレイ(216)を介して表示される画像が、新たな取得データと新たな取得データに基づく後続の計算とに基づいて更新されるように、プロセス(250)をリアルタイムで繰り返し行なってもよい。
【0045】
III.典型的なナビゲーション方法
前述したように、マッピング及びナビゲーションデバイス(10)をシステム(200)とともに用いて、患者内の画像誘導ナビゲーションを行ってもよい。ワイヤ(130)の遠位端(132)を用いて、患者内の解剖学的構造のジェントルプロービングを行なってもよい。これによって、内視鏡視野内で直接視覚化することができる解剖学的構造及び内視鏡視野の外側にある解剖学的構造を位置センサ(135)を用いて特定することができる。デバイス(10)を用いて、生体構造の任意の部分(例えば、鼻の生体構造内の構造及び空間、例えば前頭陥凹内の前頭流出路及び細胞、篩骨蜂巣、副鼻腔口、頭蓋底、視神経、頸動脈など)をジェントルプロービングを介して特定して、粘膜及び解剖学的構造に対する損傷を防止することができる。ワイヤ(130)の遠位端(132)から観察したときに、ワイヤ(130)の遠位端(132)は解剖学的構造を特定することができ、システム(200)のナビゲーションソフトウェアは、この場所情報を用いて、コンピュータレンダリングされた内視鏡視野をディスプレイ(216)を介して生成することができる。これによって、ワイヤ(130)の遠位端(132)からのレンダリングされた内視鏡視野を可視化することが可能になって、洞体腔の洞流出路、口、及び壁などを観察することができるようになるであろう。以下に詳細に説明するようないくつかの変形例では、デバイス(10)の修正例によって、血液、粘液、及びその他の流体を手術野から除去するための吸引ももたらされる。ワイヤ(130)が後退位置にある状態で、デバイス(10)は、標準的なナビゲーション可能プローブ及び/又は後述するデバイス(10)の変形では吸引デバイスとして働く。
【0046】
3Dマップ又は画像が前述したように生成された後に、オペレータはデバイス(10)をナビゲーションツールとして用いることを望む場合がある。前述したように、本実施例のワイヤ(130)の遠位端(132)は位置センサ(135)を含む。コイル(202)によって発生した場に基づいて、位置センサ(135)は位置関係信号を生成して、これらの信号をコンソール(210)に送信する。位置決めプロセッサ(212)は、位置センサ(135)の位置関係信号からワイヤ(130)の遠位端(132)の位置座標を計算する。コンソール(210)は、位置センサ(135)及び位置決めプロセッサ(212)から受信したデータを3D画像と相関づける。3D画像をディスプレイ(216)上にインジケータ(例えば、十字線又は照明されたドット)とともに表示して、3D画像に示された解剖学的構造に対するワイヤ(130)の遠位端(132)のリアルタイム位置を示す。このように、たとえオペレータが遠位端(132)を身体内のその現在位置において直接視覚化することができなくても、オペレータはコンソール(210)のディスプレイ(216)を見ることによって遠位端(132)の正確な位置を知ることができる。
【0047】
前述したことを考慮して、本明細書で説明するように生成された3D画像又はマップに関連してこのような機器のナビゲーションを提供するために、ワイヤ(130)を様々な種類の機器に組み込むことができることを理解されたい。またこのような代替的な機器を用いて、本明細書で説明するように生成した3D画像又はマップを生成してもよい。言い換えれば、ワイヤ(130)及びその付随する機能は、デバイス(10)以外の種々の機器に容易に組み込むことができると考えられる。単に一例として、ワイヤ(130)及びその付随する機能は、本来は従来の吸引デバイス、本来は従来のプローブデバイス、本来は従来の要求者デバイスなどに容易に組み込むことができる。ワイヤ(130)及びその付随する機能を、本来は従来の機器に組み込むと、脆い解剖学的構造(例えば、鼻腔内に見られるものなど)の周りで機器を用いることが容易になることによってこのような機器が向上させことができる。言い換えれば、ワイヤ(130)がもたらす柔軟性によって、本明細書で説明するように、ワイヤ(130)を組み込んだ機器をマッピング又はナビゲーションのプロセス中に用いたときに、遠位端(132)が脆い解剖学的構造に対して押された際に、遠位端(132)が脆い解剖学的構造を偶然に破砕させることを防ぎ得る。ワイヤ(130)がもたらす柔軟性がない場合には、従来の機器は、脆い解剖学的構造を破砕する場合がある。脆い解剖学的構造の周りでワイヤ(130)によってもたらされるこの向上された有用性は、遠位端(132)が内視鏡視野の外側の領域(オペレータが本来、盲目的に機器を操作している場所)に配置されているときに、特に有用であり得る。
【0048】
IV.展性のあるガイドチューブ及び吸引特徴部を伴う典型的なマッピング及びナビゲーションデバイス
図10及び11に示すのは、システム(200)とともに、また前述したデバイス(10)に加えて又はその代わりに用いて、患者の鼻腔、患者の鼻腔に付随する通路(例えば、副鼻腔口及び腔、前頭陥凹、耳管など)、及び/又は他の解剖学的な通路(例えば、耳、鼻、又は喉などの中)をマッピング及び/又はナビゲートすることができる別の典型的なマッピング及びナビゲーションデバイス(300)である。本実施例のマッピング及びナビゲーションデバイス(300)は、ハンドルアセンブリ(320)とガイドチューブアセンブリ(330)とを含む。本実施例では、ハンドルアセンブリ(320)とガイドチューブアセンブリ(330)との組み合わせを、使い捨てデバイス(例えば、単一患者のみ、滅菌不可)として提供する。場合によっては、ハンドルアセンブリ(320)とガイドチューブアセンブリ(330)との組み合わせを、再利用可能なデバイス(例えば、複数患者、滅菌可能)として提供する。本実施例のハンドルアセンブリ(320)はユーザが鉛筆を持つように把持することができる。あるいは、ピストルグリップ構成又はパワーグリップ技術が挙げられるがこれらに限定されないその他の種々の好適な構成及び把持技術を用いてもよい。
【0049】
ハンドルアセンブリ(320)は、本体(322)、手動のアクチュエータ(324)、及び柔軟なワイヤ(340)を含む。図14において最もよく分かるように、本体(322)は、本体(322)の最上表面(328)に形成されている長手方向のスロット(326)を含む。アクチュエータ(324)が本体(322)のスロット(326)内に、アクチュエータ(324)の対向する側面に形成された一対の長手方向の通路(図示せず)を介して滑動可能に配置されており、その結果、後により詳細に説明するように、アクチュエータ(324)は、近位の長手方向位置(図18A)、中間の長手方向位置(図18B)、及び遠位の長手方向位置(図18C)の間でスロット(326)内を平行移動するように構成されている。本体(322)の最上表面(328)は、スロット(326)に隣接する本体(322)の側面(329)に沿って位置している一連の可視マーカー(325A、325B、325C)を含む。マーカー(325A、325B、325C)は、アクチュエータ(324)の近位の長手方向位置、中間の長手方向位置、及び遠位の長手方向位置にそれぞれ対応する。アクチュエータ(324)は、本体(322)のマーカー(325A、325B、325C)と整列してアクチュエータ(324)が各対応する長手方向位置に達したことを視覚的に示すように構成されている可視マーカー(327)を含む。付加的に又は代替的に、本体(322)及び/又はアクチュエータ(324)は更に、アクチュエータ(324)が各長手方向位置に達したときにオペレータに触覚及び/又は可聴フィードバックをもたらすように構成された特徴部(例えば、機械的なデテント)を含んでいてもよい。当然のことながら、本体(322)及び/又はアクチュエータ(324)は単純にマーカー(325A、325B、325C、327)及び/又は機械的なデテントが全く無くてもよく、そのため構成部品は単に任意的であり必須ではない。また当然のことながら、図示していないが、アクチュエータ(324)は、前述したアクチュエータ(120)の回転可能な部材(128)と実質的に同様に動作するように構成された回転可能な部材を含んでいてもよい。
【0050】
ガイドチューブアセンブリ(330)はハンドルアセンブリ(320)から遠位に延びる。本実施例のガイドチューブアセンブリ(330)は、外側シース(332)と内側チューブ(334)とを含む。内側チューブ(334)は外側シース(332)内に位置してそこから遠位に延びて、そのため、内側チューブ(334)の近位長さ(351)は外側シース(332)(図16)の中に入り、内側チューブ(334)の遠位長さ(337)は外側シース(332)に対して露出するようになっている。本実施例では、外側シース(332)は剛性であり、その結果、外側シース(332)内に位置する内側チューブ(334)の近位長さ(351)が、外側シース(332)の形状に順応するようになっている。デバイス(300)のいくつかの変形例では、外側シース(332)は、図10及び11に示すように、実質的にまっすぐである。あるいは、外側シース(332)は、図12及び13に示すように、事前形成された湾曲部分(336)を含んでいてもよい。単に一例として、湾曲部分(336)は約20°の曲げ角度を提供し得る。あるいは、任意のその他の好適な曲げ角度を用いてもよい。
【0051】
本実施例では、内側チューブ(334)は展性があり、その結果、オペレータは内側チューブ(334)の遠位長さ(337)を任意の所望の曲げ角度まで変形させることができ、遠位長さ(337)は、選択された曲げ角度を以後の使用の間に維持できる。単に一例として、遠位長さ(337)は、約1.3センチメートル~約7.6センチメートル(約0.5インチ~約3.0インチ)の長さであり得る。あるいは、任意のその他の好適な長さを使用できる。いくつかの変形例では、内側チューブ(334)はデバイス(300)の全長に沿って延びている。内側チューブ(334)の長さとは関係なく、内側チューブ(334)を、内側チューブ(334)の周り又はその内部に位置する金属又はプラスチックの編みひも又はコイルで強化してもよい。ガイドチューブアセンブリ(330)のいくつかの変形例では、外側シース(332)を完全に省略して、ガイドチューブアセンブリ(330)の全長に展性があるようにしてもよい。ガイドチューブアセンブリ(330)の他の変形例では、外側シース(332)が内側チューブ(334)の全長に渡って延びていてもよいし、又は内側チューブ(334)を完全に省略してガイドチューブアセンブリ(330)の全長が剛性となるようにしてもよい。ガイドチューブアセンブリ(330)の更に他の変形例では、ガイドチューブアセンブリ(330)をRelieva Flex(商標)Sinus Guide Catheter(Acclarent, Inc.、Menlo Park, California)と同様に構成する。更に別の単なる説明例として、ガイドチューブアセンブリ(330)は、2つの管状要素、例えば内側チューブ(334)及び外側シース(332)の代わりに、単一の管状要素からなっていてもよい。例えば、ガイドチューブアセンブリ(330)は、異なる剛性の材料を伴う単一の管状要素を含んで、単一の管状要素の近位領域が剛性である一方で、単一の管状要素の遠位領域に展性があるようにしてもよい。単一の管状要素の変形例の更に別の単なる説明例として、単一の管状要素を堅い材料、例えば金属で形成し、遠位部分を焼きなましして、単一の管状要素の遠位部分に展性があるようにしてもよい。ガイドチューブアセンブリ(330)がとり得る他の好適な形状は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。
【0052】
図15において最もよく分かるように、内側チューブ(334)は、複数の管腔(331,333,335)が内部に形成され、内側チューブ(334)の全長に渡って延びている。後に詳細に説明するように、管腔(331)はワイヤ(340)を滑動可能に収容するように構成されており、そのため、管腔(331)は、ワイヤ(340)が内側チューブ(334)内を内側チューブ(334)に対して平行移動するときに、ワイヤ(340)をガイドチューブアセンブリ(330)の長さに沿って誘導するように構成されている。
【0053】
管腔(333)は展性部材(350)を収容するように構成されている。展性部材(350)は内側チューブ(334)に展性をもたらすように構成されている。いくつかの変形例では、内側チューブ(334)の外部領域を形成する材料(管腔(331,333,335)を画定する材料を含む)は柔軟で非展性であり、その結果、内側チューブ(334)の展性は展性部材(350)だけによってもたらされるようになっている。展性部材(350)は、展性のあるワイヤ、ロッド、又はチューブを含んでいてもよい。展性部材(350)は、付加的に又は代替的に、関節接合部を含んでいてもよい。展性部材(350)の全部又は一部(例えば、0.3cm~5センチメートル(2インチ))は、低透磁率を有する材料(例えば、これらに限定されないが、316ステンレス鋼、ニチノール、コバルトクロム、タングステン、PEEK、及びポリカーボネート)を含んで、展性部材(350)がワイヤ(340)からのいかなる信号とも干渉しないようになっていてもよい。展性部材を形成するために用いることができる種々の好適な材料及び構成(350)は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。
【0054】
管腔(335)は、内側チューブ(334)の遠位端に吸引をもたらして、手術野から血液、粘液、及びその他の流体を取り除くように構成されている。図16に示すように、管腔(335)は、本体(322)内に形成された管腔(352)と流体連通している。本体(322)の管腔(352)の近位端はルアーポート(354)において終了する。これは図10~11において最もよく分かる。吸引/真空源をルアーポート(354)と結合して内側チューブ(334)の遠位端に吸引をもたらしてもよい。図16~17において最もよく分かるように、本体(322)は更に、本体(322)の管腔(352)と流体連通している吸引ポート(356)を含む。オペレータは、内側チューブ(334)の遠位端に管腔(335)を介してもたらされる吸引を、自分の指又は親指を用いてポート(356)を選択的に覆うか又は露出させることによって制御する一方で、同時にデバイス(320)を操縦し及び/又はアクチュエータ(324)を平行移動させることができる。例えば、オペレータは自分の親指を用いてポート(356)を覆うと同時に、自分の人差し指を用いてアクチュエータ(324)を平行移動させることができる。ポート(356)が覆われているときは、吸引源からの吸引が、内側チューブ(334)の遠位端まで管腔(335)を介して十分に送出され得る。ポート(356)が覆われていないときは、吸引源からの吸引はポート(356)を通って大気まで伝達され、その結果、無吸引又は限定された量の吸引のみがポート(356)を越えて更に遠位に進むようになっている。言い換えれば、内側チューブ(334)の遠位端は、ポート(356)が覆われているときには完全な吸引を受け、内側チューブ(334)の遠位端は、ポート(356)が覆われていないときには吸引を受けないか又は限定された吸引しか受けない。
【0055】
ポート(356)は、図では、本体(322)の底面(353)に形成されているが、当然のことながら、ポート(356)は任意の他の好適な場所に設けられてもよい。例えば、ポート(356)はアクチュエータ(324)上に配置されてもよい。別の単なる説明例として、ポート(356)をアクチュエータ(324)よりも近位の本体(322)上の位置に配置してもよい。更に別の説明例として、ポート(356)は本体(322)の側面上に配置されてもよい。ポート(356)に対して選択した特定の場所とは関係なく、ポート(456)は、オペレータがポート(356)を選択的に覆う/露出させることができると同時に、ポート(356)を選択的に覆う/露出させるために用いたのと同じ手を用いてアクチュエータ(324)を動作させることができる位置に配置され得る。ポート(356)に関する様々な好適な代替的な場所及び構成は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。また当然のことながら、ポート(356)の代わりに、ルアーポート(354)の上流に配置されたフットスイッチ駆動のバルブを用いてもよい。
【0056】
ワイヤ(340)を、前述したワイヤ(130)と実質的に同じに構成し動作可能としてもよい。本実施例のワイヤ(340)は柔軟な積層コイルデザイン構成を含む。ワイヤ(340)は、内側チューブ(334)の本体(322)及び管腔(331)を完全に通って延びている。前述したように、ワイヤ(340)は、ガイドチューブアセンブリ(330)の内側チューブ(334)内を内側チューブ(334)に対して平行移動するように構成されている。ワイヤ(340)はアクチュエータ(324)に固定されており、そのため、本体(322)のスロット(326)内でアクチュエータ(324)が平行移動すると、内側チューブ(334)に対するワイヤ(340)の平行移動が同時に起こるようになっている。このワイヤ(340)の平行移動によって、ガイドチューブアセンブリ(330)に対するワイヤ(340)の遠位端(342)の平行移動が、アクチュエータ(324)が近位の長手方向位置、中間の長手方向位置、及び遠位の長手方向位置の間で平行移動するときに生じる。これは前述した通りであり、また後に詳細に説明する。
【0057】
ワイヤ(340)の遠位端(342)を、前述したワイヤ(130)の遠位端(132)と実質的に同じに構成し動作可能としてもよい。本実施例のワイヤ(340)の遠位端(342)は実質的にまっすぐであり、非外傷性の遠位先端部を含む。ワイヤ(130)を参照して前述したように、ワイヤ(340)の遠位端(342)は、事前形成された湾曲部(図4)、事前形成された曲線(図5)、又は任意のその他の適切な構成を含んでいてもよい。また当然のことながら、遠位端(342)の先端は、これらに限定されないが、ドーム形状、ボール形状、ブルーベリー形状、又は任意のその他の好適な形状など、任意の好適な構成を有していてもよい。
【0058】
本実施例のワイヤ(340)の遠位端(342)は、位置センサ(345)と超音波センサ(346)とを含む。後により詳細に説明するように、センサ(345、346)によって、ワイヤ(340)の遠位端(342)を用いて患者の鼻腔、患者の鼻腔に付随する通路(例えば、副鼻腔口及び腔、前頭陥凹、耳管など)、及び/又はその他の解剖学的な通路(例えば、耳、鼻、又は喉などの中)のマッピング及び/又はナビゲーションをもたらすことが可能になる。当然のことながら、ワイヤ(340)のいくつかの変形では、位置センサ(345)を含んで、超音波センサ(346)を省略してもよい。ワイヤのいくつかの他の変形では、超音波センサ(346)を含んで、位置センサ(345)を省略してもよい。位置センサ(345)及び/又は超音波センサ(346)を有することに加えて又はその代わりに、ワイヤ(340)の遠位端(342)は、手術野をリアルタイムで可視化するように構成されたカメラを含んでもよい。
【0059】
本実施例では、位置センサ(345)は、コイルが、ワイヤ(340)の遠位端(342)に埋め込まれ、ワイヤ(340)の長さに沿って延びる1つ以上の電線導管と連通している。位置センサ(345)が電磁界(例えば、システム(200)のコイル(202)によって発生する)内に位置しているときに、その磁界内での位置センサ(345)の動きによってコイルに電流が発生することができ、この電流はワイヤ(340)に沿って伝達することができる。この現象によって、前述したシステム(200)は、3次元空間内での遠位端(342)の場所の決定を可能にすることができる。これについては以下に詳細に説明する。
【0060】
単に一例として、ワイヤ(340)の位置センサ(345)及び/又は他の構成部品を以下の文献の教示の少なくとも一部に従って構成し動作可能としてもよい:米国特許第8,702,626号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許第8,320,711号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許第8,190,389号(開示内容は本明細書において参照により取り入れられている)、米国特許第8,123,722号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許第7,720,521号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許公開第2014/0364725号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許公開第2014/0200444号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許公開第2012/0245456号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許公開第2011/0060214号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許公開第2008/0281156号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、及び/又は米国特許公開第2007/0208252号(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)。別の単なる説明例として、ワイヤ(340)を、米国仮特許出願第[代理人整理番号ACC5103USPSP.0626027]号、発明の名称「Guidewire with Navigation Sensor」(本出願と同日に出願)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)の教示の少なくとも一部に従って構成し動作可能としてもよい。ワイヤ(340)を構成し動作可能とし得る他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなる。
【0061】
図18A~18Cに示すのは、デバイス(300)の動作の典型的な方法である。図18Aに示すように、アクチュエータ(324)が近位の長手方向位置にある状態で、ワイヤ(340)の遠位端(342)の先端は内側チューブ(334)の遠位縁(355)と同一平面になるように位置する。アクチュエータ(324)を、図18Bに示すように、中間の長手方向位置よりも遠位に平行移動させると、ワイヤ(340)の遠位端(342)が内側チューブ(334)の遠位端から延びて、遠位端(342)の少なくとも一部が内側チューブ(334)の遠位縁(355)よりも遠位となるようになっている。いくつかの変形例では、この段階で内側チューブ(330)の遠位縁(355)を過ぎて遠位に延びるワイヤ(340)の長さは0.5cm~1.5cmである。あるいは、この段階で任意の他の好適な長さのワイヤ(340)が内側チューブ(334)の遠位縁(355)を過ぎて遠位に延びてもよい。図18Cに示すように、アクチュエータ(324)が遠位の長手方向位置まで更に遠位に平行移動すると、ワイヤ(340)の遠位端(342)は内側チューブ(334)の遠位端から更に延びる。いくつかの変形例では、この段階で内側チューブ(334)の遠位縁(355)を過ぎて遠位に延びるワイヤ(340)の長さは2cm~3.5cmである。あるいは、この段階で任意の他の好適な長さのワイヤ(340)が内側チューブ(334)の遠位縁(355)を過ぎて遠位に延びてもよい。
【0062】
デバイス(10)を参照して説明したように、患者内でデバイス(300)を使用している間に、ワイヤ(340)の遠位端(342)は、患者の副鼻腔及び/又は他の解剖学的構造(例えば、耳、鼻、又は喉などの中)に関連付けられる1つ以上の解剖学的構造に接触し得る。ワイヤ(340)は、このような接触が生じたときに、少なくともアクチュエータ(324)及びワイヤ(340)が図18Bに示す中間の長手方向位置にあるときに、長手方向に向けられた力に反応して生じる座屈に耐えるように十分な柱強度を有し得る。ワイヤ(340)は、付加的に又は代替的に、このような接触が閾値負荷を超えたときに曲がるように構成されていてもよい。例えば、ワイヤ(340)を、7ニュートンの力、又は任意の他の適切な力を超える負荷にさらされたときに曲がるように構成してもよい。また、アクチュエータ(324)及びワイヤ(340)が図18Bに示す中間の長手方向位置又は図18Cに示す遠位の長手方向位置にある場合に、遠位縁(355)から遠位に延びるワイヤ(340)の長さによって遠位端(342)が横方向に歪むことが、遠位端(342)が、患者の副鼻腔及び/又は他の解剖学的構造と関連付けられた1つ以上の解剖学的構造に接触したときに可能であることを理解されたい。これは、遠位端(342)が特に脆い解剖学的構造に接触するときに有用であり得る。言い換えれば、ワイヤ(340)がもたらす柔軟性によって、本明細書で説明するように、マッピング又はナビゲーションのプロセスの間に遠位端(342)が脆い解剖学的構造に対して押されたときに、遠位端(342)が脆い解剖学的構造を不注意に破砕させることが防がれ得る。
【0063】
前述から理解されるように、デバイス(300)は、アクチュエータ(324)及びワイヤ(340)の長手方向位置に基づいて3つの異なるモードで提供され得る。アクチュエータ(324)及びワイヤ(340)が図18Aに示す近位位置にあるとき、デバイス(300)は剛性モードである。剛性モードでは、ワイヤ(340)は、遠位端(342)が解剖学的構造に接触したときに何ら柔軟性をもたらさない。アクチュエータ(324)及びワイヤ(340)が図18Bに示す中間位置にあるとき、デバイス(300)は柔軟モードである。柔軟モードでは、ワイヤ(340)は、遠位端(342)が解剖学的構造に接触したときに中間量の「曲がり」又は柔軟性をもたらす。いくつかの変形例では、ワイヤ(340)の遠位端(342)は、デバイス(300)が図18Bに示す柔軟モードのときに、内側チューブ(334)の遠位縁(355)よりも約0.5cm~約1.5cm遠位である。アクチュエータ(324)及びワイヤ(340)が図18Cに示す遠位位置にあるとき、デバイス(300)は伸張モードである。伸張モードでは、ワイヤ(340)は、遠位端(342)が解剖学的構造に接触したときに最も大きい「曲がり」又は柔軟性をもたらす。単に一例として、遠位端(342)が内側チューブ(334)の遠位縁(355)に対して約2.0cm、約2.5cm、約3.0cm、又は最大約3.5cm遠位になる長手方向位置までワイヤ(340)を進めてもよい。
【0064】
デバイス(300)は、前述したシステム(200)とともに用いてもよい。デバイス(300)を用いて解剖学的構造のジェントルプロービングを、ワイヤ(340)の遠位端(342)を用いて行なう。これにより、内視鏡的に直接視覚化することができない解剖学的構造又は内視鏡視野の外側である解剖学的構造を、位置センサ(345)及び/又は超音波センサ(346)を用いて特定することができるであろう。これは、デバイス(10)及びシステム(200)を参照して前述した通りである。デバイス(300)を用いて、生体構造の任意の部分、例えば患者の鼻腔内の構造及び空間(例えば、副鼻腔口及び腔、前頭陥凹、耳管など)、及び/又は他の解剖学的な通路(例えば、耳、鼻、又は喉などの中)をジェントルプロービングを介して特定して、任意のこのような解剖学的構造に対する損傷を防止することができる。したがって、前述したように、ワイヤ(340)の遠位端(342)によって構造を特定することができ、システム(200)のナビゲーションソフトウェアは、この場所情報を用いて、コンピュータレンダリングされた3D画像をディスプレイ(216)を介して生成することができる。またデバイス(300)を用いて吸引をもたらして、手術野から血液、粘液、及びその他の流体を取り除いてもよい。ワイヤ(340)が後退位置にある状態で、デバイス(300)を標準的なナビゲーション可能プローブとして及び/又は単純な吸引デバイスとして用いてもよい。
【0065】
デバイス(300)を患者内で用いた後で、デバイス(300)を消毒して更なる使用に備えてもよい。あるいは、デバイス(300)を一度使用した後に廃棄してもよい。
【0066】
V.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点においても提示され得るいずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではない点が理解されるべきである。一切の放棄を意図するものではない。以下の実施例は単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法での構成及び適用が可能であることが考えられる。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の要素を省略してもよいことも考えられる。したがって、本発明者によって、又は対象となる本発明者の継承者によって、後日そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は要素のいずれも必須であるとしてみなされるべきではない。以下に言及される要素以外の更なる要素を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、これらの更なる要素は、特許性に関連するいずれの理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例
【0067】
(実施例1)
装置であって、(a)ハンドルアセンブリであって、(i)本体と、(ii)アクチュエータと、を含むハンドルアセンブリと、(b)ハンドルアセンブリから遠位に延びるガイドチューブであって、遠位端を有するガイドチューブと、(c)ガイドチューブ内に滑動可能に配置されたワイヤであって、ワイヤはセンサを含む遠位端を有し、センサはナビゲーションシステムと協同して患者内の解剖学的構造のマップを生成するように構成され、ワイヤはアクチュエータに結合され、アクチュエータは、ワイヤをガイドチューブに対して動かすように、本体に対して移動可能である、ワイヤと、を含む、装置。
【0068】
(実施例2)
実施例1又は以下の実施例のうちのいずれかの装置であって、ハンドルアセンブリは本体から延びるケーブルを更に含む、装置。
【0069】
(実施例3)
実施例2の装置であって、ケーブルはナビゲーションシステムと結合されてセンサからの信号をナビゲーションシステムに伝達する、装置。
【0070】
(実施例4)
実施例1~3のいずれかの装置であって、ハンドルアセンブリはカートリッジを更に含み、カートリッジは本体と取り外し可能に結合するように構成されている、装置。
【0071】
(実施例5)
実施例4の装置であって、アクチュエータは、アクチュエータが本体から取り外し可能であるようにカートリッジ内に組み込まれている、装置。
【0072】
(実施例6)
実施例4~5のいずれかの装置であって、カートリッジが本体から取り外されたときにワイヤがガイドチューブから取り外し可能であるようにワイヤがカートリッジと一体である、装置。
【0073】
(実施例7)
実施例1~6のいずれかの装置であって、ガイドチューブは本体と一体になっている、装置。
【0074】
(実施例8)
実施例1~7のいずれかの装置であって、ガイドチューブは剛性である、装置。
【0075】
(実施例9)
実施例8の装置であって、ガイドチューブは、事前形成された湾曲部を伴う遠位領域を有する、装置。
【0076】
(実施例10)
実施例1~9のいずれかの装置であって、ガイドチューブの少なくとも遠位部分は展性がある、装置。
【0077】
(実施例11)
実施例1~10のいずれかの装置であって、ワイヤの遠位部分は、事前形成された湾曲部を含む、装置。
【0078】
(実施例12)
実施例11の装置であって、事前形成された湾曲部は頂点に対する角度を規定する、装置。
【0079】
(実施例13)
実施例11の装置であって、事前形成された湾曲部は曲線を規定する、装置。
【0080】
(実施例14)
実施例1~13のいずれかの装置であって、ワイヤはボール先端部を伴う遠位端を有する、装置。
【0081】
(実施例15)
実施例14の装置であって、センサはボール先端部内に組み込まれている、装置。
【0082】
(実施例16)
実施例1~15のいずれかの装置であって、センサはコイルを含む、装置。
【0083】
(実施例17)
実施例16の装置であって、コイルは電磁界中のワイヤの遠位端の動きに反応する、装置。
【0084】
(実施例18)
実施例1~17のいずれかの装置であって、アクチュエータは、ガイドチューブに対する近位位置とガイドチューブに対する遠位位置との間でワイヤを駆動するように構成され、ワイヤの遠位端は、ワイヤが近位位置にあるときにガイドチューブの遠位端と同一平面になり、ワイヤの遠位端は、ワイヤが遠位位置にあるときに、ガイドチューブの遠位端よりも遠位にある、装置。
【0085】
(実施例19)
実施例18の装置であって、ハンドルアセンブリは複数の位置インジケータを提供し、位置インジケータは第1のインジケータと第2のインジケータとを含み、第1のインジケータは近位位置と関連付けられ、第2のインジケータは遠位位置と関連付けられている、装置。
【0086】
(実施例20)
実施例19の装置であって、インジケータは視覚インジケータを含む、装置。
【0087】
(実施例21)
実施例19~20のいずれかの装置であって、インジケータは触覚フィードバック特徴部を含む、装置。
【0088】
(実施例22)
実施例21の装置であって、触覚フィードバック特徴部はデテント構造を含む、装置。
【0089】
(実施例23)
実施例19の装置であって、インジケータは第3のインジケータを更に含み、第3のインジケータは、中間位置に配置されたアクチュエータとワイヤとに関連付けられ、中間位置は遠位位置と近位位置との間に位置する、装置。
【0090】
(実施例24)
実施例1~23のいずれかの装置であって、ワイヤはハンドルアセンブリ内にサービスループを形成する、装置。
【0091】
(実施例25)
実施例24の装置であって、ワイヤの近位部分はハンドルアセンブリに対して固く固定され、サービスループは、ワイヤの近位部分がハンドルアセンブリに対して固く固定されたままである間に、ワイヤの遠位部分がハンドルアセンブリに対して平行移動できるように構成されている、装置。
【0092】
(実施例26)
実施例1~25のいずれかの装置であって、ワイヤはガイドチューブ内で回転可能である、装置。
【0093】
(実施例27)
実施例26の装置であって、アクチュエータは、ガイドチューブ内でワイヤを回転させるように動作可能な回転可能な部材を含む、装置。
【0094】
(実施例28)
装置であって、(a)ハンドルアセンブリであって、(i)本体と、(ii)アクチュエータと、を含むハンドルアセンブリと、(b)ハンドルアセンブリから遠位に延びるガイドチューブアセンブリであって、剛性部材と展性部材とを含むガイドチューブアセンブリと、(c)ガイドチューブアセンブリ内に滑動可能に配置されたワイヤであって、ワイヤはセンサを含む遠位端を有し、センサは、ナビゲーションシステムと協同して、患者内の解剖学的構造の画像誘導ナビゲーションをもたらすように構成され、ワイヤはアクチュエータに結合され、アクチュエータは、ワイヤをガイドチューブに対して動かすように、本体に対して移動可能である、ワイヤと、を含む、装置。
【0095】
(実施例29)
実施例28の装置であって、展性部材は内側チューブを含み、剛性部材は外側シースを含む、装置。
【0096】
(実施例30)
実施例28~29のいずれかの装置であって、展性部材は剛性部材から遠位に延びる、装置。
【0097】
(実施例31)
実施例28~30のいずれかの装置であって、展性部材は少なくとも1つの管腔を含む、装置。
【0098】
(実施例32)
実施例31の装置であって、ワイヤは展性部材の少なくとも1つの管腔のうちの管腔内に滑動可能に配置されている、装置。
【0099】
(実施例33)
実施例31~32のいずれかの装置であって、展性部材は柔軟部分と展性部分とを含み、柔軟部分は展性部材の少なくとも1つの管腔のうちの管腔を画定し、展性部分は柔軟部分によって画定された管腔内に配置されている、装置。
【0100】
(実施例34)
実施例31~33のいずれかの装置であって、展性部材の少なくとも1つの管腔のうちの管腔は、展性部材の遠位端に吸引をもたらすように構成されている、装置。
【0101】
(実施例35)
実施例34の装置であって、本体は、展性のある内部部材の遠位端に吸引をもたらすように構成された管腔と流体連通しているルアーポートを含む、装置。
【0102】
(実施例36)
実施例28~35のいずれかの装置であって、剛性部材は実質的にまっすぐである、装置。
【0103】
(実施例37)
実施例28~36のいずれかの装置であって、剛性部材は、事前形成された湾曲部を含む、装置。
【0104】
(実施例38)
実施例37の装置であって、事前形成された湾曲部は頂点に対する角度を規定する、装置。
【0105】
(実施例39)
実施例37の装置であって、事前形成された湾曲部は曲線を規定する、装置。
【0106】
(実施例40)
実施例28~39のいずれかの装置であって、ワイヤはボール先端部を伴う遠位端を有する、装置。
【0107】
(実施例41)
実施例40の装置であって、センサはボール先端部内に組み込まれている、装置。
【0108】
(実施例42)
実施例28~41のいずれかの装置であって、センサはコイルを含む、装置。
【0109】
(実施例43)
実施例42の装置であって、コイルは電磁界中のワイヤの遠位端の動きに反応する、装置。
【0110】
(実施例44)
実施例28~43のいずれかの装置であって、アクチュエータは、ガイドチューブアセンブリに対する近位位置とガイドチューブアセンブリに対する遠位位置との間でワイヤを駆動するように構成され、ワイヤの遠位端は、ワイヤが近位位置にあるときにガイドチューブアセンブリの遠位端と同一平面になり、ワイヤの遠位端は、ワイヤが遠位位置にあるときに、ガイドチューブアセンブリの遠位端よりも遠位にある、装置。
【0111】
(実施例45)
実施例44の装置であって、ハンドルアセンブリは複数の位置インジケータを提供し、位置インジケータは第1のインジケータと第2のインジケータとを含み、第1のインジケータは近位位置と関連付けられ、第2のインジケータは遠位位置と関連付けられている、装置。
【0112】
(実施例46)
実施例45の装置であって、インジケータは視覚インジケータを含む、装置。
【0113】
(実施例47)
実施例45の装置であって、インジケータは触覚フィードバック特徴部を含む、装置。
【0114】
(実施例48)
実施例47の装置であって、触覚フィードバック特徴部はデテント構造を含む、装置。
【0115】
(実施例49)
実施例45の装置であって、インジケータは第3のインジケータを更に含み、第3のインジケータは、中間位置に配置されたアクチュエータとワイヤとに関連付けられ、中間位置は遠位位置と近位位置との間に位置する、装置。
【0116】
(実施例50)
実施例28~49のいずれかの装置であって、アクチュエータは、ガイドチューブアセンブリ内でワイヤを回転させるように動作可能な回転可能な部材を含む、装置。
【0117】
(実施例51)
装置を用いる方法であって、装置は、(a)ハンドルアセンブリであって、(i)本体と、(ii)アクチュエータと、を含むハンドルアセンブリと、(b)ハンドルアセンブリから遠位に延びるガイドチューブであって、遠位端を有するガイドチューブと、(c)ガイドチューブ内に滑動可能に配置されたワイヤであって、ワイヤはセンサを含む遠位端を有し、センサは、ナビゲーションシステムと協同して患者内の解剖学的構造のマップを生成するように構成され、ワイヤはアクチュエータに結合され、アクチュエータは、ワイヤをガイドチューブに対して動かすように、本体に対して移動可能である、ワイヤと、を含み、本方法は、(a)ガイドチューブの遠位端を患者の鼻孔を通して挿入することと、(b)アクチュエータを作動させてワイヤをガイドチューブに対して駆動して、ワイヤの遠位端がガイドチューブの遠位端よりも遠位に配置されるようにすることと、(c)ワイヤの遠位端をナビゲーションシステムとともに用いて、患者の鼻腔内の解剖学的構造をマッピングすることと、を含む、方法。
【0118】
VI.その他
本明細書に記載の例のうちのいずれも、上述のものに加えて又はそれに代えて、様々な他の特徴を含み得る点が理解されるべきである。あくまで例としてであるが、本明細書に記載の例のうちのいずれも、参照によって本明細書に援用される様々な参考文献のいずれかに開示されている様々な特徴のうちの1つ以上を有することができる。
【0119】
本明細書に記載の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現要素、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な適当な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。かかる改変例及び変形例は、特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0120】
本明細書に参照により組み込まれると言及されたいかなる特許、刊行物、又は他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれた内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載された他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれることを認識されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれるいかなる矛盾する記載にも優先するものとする。参照によって本明細書に組み込まれるものとするが、既存の定義、記載、又は本明細書に記載される他の開示物と矛盾する任意の内容、又はそれらの一部は、組み込まれた内容と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれるものとする。
【0121】
本明細書に開示される装置の変形物は、1回の使用後に処分されるように設計するか又は複数回使用されるように設計することができる。いずれか又は両方の場合において、変形形態は、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含み得る。詳細には、装置の変形物は分解されてもよく、また、装置の任意の数の特定の部品又は部材を任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外すことができる。特定の部品を洗浄及び/又は交換した後、装置の変形物は、再調整用の施設において、又は外科処置の直前に外科チームによって、その後の使用のために再組立することができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を使用できる点を認識するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、すべて本出願の範囲内にある。
【0122】
あくまで例としてであるが、本明細書に記載の変形例は手術に先立って処理することができる。まず、新品又は使用済みの器具を入手し、必要に応じて洗浄することができる。次いで器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次いで、容器及び器具を、ガンマ線、X線、又は高エネルギー電子などの容器を透過し得る放射線野に置くことができる。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌済みの器具を滅菌容器内で保管することができる。密封容器は、医療施設で開封されるまで器具を滅菌状態に保つことができる。デバイスはまた、β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の別の技術を用いて滅菌され得る。
【0123】
本発明において様々な変形例について図示し説明したが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる応用が、当業者による適切な改変形態により、本発明の範囲から逸脱することなく実現可能である。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかとなるであろう。例えば、上述の実施例、変形例、幾何学形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0124】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)ハンドルアセンブリであって、
(i)本体と、
(ii)アクチュエータと、を含むハンドルアセンブリと、
(b)前記ハンドルアセンブリから遠位に延びるガイドチューブであって、遠位端を有するガイドチューブと、
(c)前記ガイドチューブ内で滑動可能に配置されたワイヤであって、前記ワイヤはセンサを含む遠位端を有し、前記センサは、ナビゲーションシステムと協同して患者内の解剖学的構造のマップを生成するように構成され、前記ワイヤは前記アクチュエータに結合され、前記アクチュエータは、前記ワイヤを前記ガイドチューブに対して動かすように、前記本体に対して移動可能である、ワイヤと、を含む、装置。
(2) 前記ハンドルアセンブリは更にカートリッジを含み、前記カートリッジは、前記本体に取り外し可能に結合するように構成され、前記アクチュエータは、前記アクチュエータが前記本体から取り外し可能であるように前記カートリッジ内に組み込まれている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記ガイドチューブは剛性である、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記ガイドチューブは、事前形成された湾曲部を伴う遠位領域を有する、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記ガイドチューブの少なくとも遠位部分は展性がある、実施態様1に記載の装置。
【0125】
(6) 前記ワイヤの遠位部分は、事前形成された湾曲部を含む、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記事前形成された湾曲部は頂点に対する角度を規定する、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記事前形成された湾曲部は曲線を規定する、実施態様6に記載の装置。
(9) 前記ワイヤはボール先端部を伴う遠位端を有する、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記センサは前記ボール先端部内に組み込まれている、実施態様9に記載の装置。
【0126】
(11) 前記センサはコイルを含み、前記コイルは電磁界内での前記ワイヤの前記遠位端の動きに反応する、実施態様1に記載の装置。
(12) 前記アクチュエータは、前記ガイドチューブに対する近位位置と前記ガイドチューブに対する遠位位置との間で前記ワイヤを駆動するように構成され、前記ワイヤの前記遠位端は、前記ワイヤが前記近位位置にあるときに前記ガイドチューブの前記遠位端と同一平面になり、前記ワイヤの前記遠位端は、前記ワイヤが前記遠位位置にあるときに、前記ガイドチューブの前記遠位端よりも遠位にある、実施態様1に記載の装置。
(13) 前記ハンドルアセンブリは複数の位置インジケータを提供し、前記位置インジケータは第1のインジケータと第2のインジケータとを含み、前記第1のインジケータは前記近位位置と関連付けられ、前記第2のインジケータは前記遠位位置と関連付けられている、実施態様1に記載の装置。
(14) 前記インジケータは触覚フィードバック特徴部を含み、前記触覚フィードバック特徴部はデテント構造を含む、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記ワイヤは前記ハンドルアセンブリ内にサービスループを形成し、前記ワイヤの近位部分は前記ハンドルアセンブリに対して固く固定され、前記サービスループは、前記ワイヤの前記近位部分が前記ハンドルアセンブリに対して固く固定されたままである間に、前記ワイヤの遠位部分が前記ハンドルアセンブリに対して平行移動できるように構成されている、実施態様1に記載の装置。
【0127】
(16) 装置であって、
(a)ハンドルアセンブリであって、
(i)本体と、
(ii)アクチュエータと、を含むハンドルアセンブリと、
(b)前記ハンドルアセンブリから遠位に延びるガイドチューブアセンブリであって、剛性部材と展性部材とを含むガイドチューブアセンブリと、
(c)前記ガイドチューブアセンブリ内で滑動可能に配置されたワイヤであって、前記ワイヤはセンサを含む遠位端を有し、前記センサは、ナビゲーションシステムと協同して、患者内の解剖学的構造の画像誘導ナビゲーションをもたらすように構成され、前記ワイヤは前記アクチュエータに結合され、前記アクチュエータは、前記ワイヤを前記ガイドチューブに対して動かすように、前記本体に対して移動可能である、ワイヤと、を含む、装置。
(17) 前記展性部材は内側チューブを含み、前記剛性部材は外側シースを含む、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記展性部材は少なくとも1つの管腔を含み、前記ワイヤは前記展性部材の前記少なくとも1つの管腔の第1の管腔内に滑動可能に配置されている、実施態様16に記載の装置。
(19) 前記展性部材の前記少なくとも1つの管腔の第2の管腔は、前記展性部材の遠位端に吸引をもたらすように構成されている、実施態様18に記載の装置。
(20) 装置を用いる方法であって、前記装置は、
(a)ハンドルアセンブリであって、
(i)本体と、
(ii)アクチュエータと、を含むハンドルアセンブリと、
(b)前記ハンドルアセンブリから遠位に延びるガイドチューブであって、遠位端を有するガイドチューブと、
(c)前記ガイドチューブ内に滑動可能に配置されたワイヤであって、前記ワイヤはセンサを含む遠位端を有し、前記センサは、ナビゲーションシステムと協同して患者内の解剖学的構造のマップを生成するように構成され、前記ワイヤは前記アクチュエータに結合され、前記アクチュエータは、前記ワイヤを前記ガイドチューブに対して動かすように、前記本体に対して移動可能である、ワイヤと、を含み、
前記方法は、
(a)前記ガイドチューブの遠位端を患者の鼻孔を通して挿入することと、
(b)前記アクチュエータを作動させて前記ワイヤを前記ガイドチューブに対して駆動して、前記ワイヤの前記遠位端が前記ガイドチューブの前記遠位端よりも遠位に配置されるようにすることと、
(c)前記ワイヤの前記遠位端をナビゲーションシステムとともに用いて、前記患者の前記鼻腔内の解剖学的構造をマッピングすることと、を含む、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C