(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0073 20190101AFI20221219BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20221219BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
F24F1/0073
F24F1/0007 401C
F24F13/08
(21)【出願番号】P 2018018406
(22)【出願日】2018-02-05
【審査請求日】2021-01-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌和
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-023923(JP,U)
【文献】特開2008-075897(JP,A)
【文献】特開平04-084040(JP,A)
【文献】実開昭61-018429(JP,U)
【文献】特表平07-500071(JP,A)
【文献】米国特許第04713099(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面内方向に対して垂直なリブを有する吸込みグリルと、
前記吸込みグリルに対して着脱可能なフィルタと、
を備え、
前記フィルタの外周を構成する第1枠部の外周面
の一側面には、前記フィルタの面内方向に突出する張り出し部が形成され、
前記張り出し部の先端には、前記吸込みグリルと前記フィルタが互いに固定されたときの前記リブの位置に対応して、前記リブを挿入することが可能な切欠き部が形成されて
おり、
前記吸込みグリルに設けられた第2枠部には、水平方向に突出した突起部が形成され、
前記フィルタの前記第1枠部には、前記突起部が挿入される係止穴が形成されており、
前記張り出し部と前記係止穴は、前記フィルタにおいて同一辺に設けられ、
前記突起部及び前記係止穴が挿入された状態で、前記突起部及び前記係止穴を支点にして、前記フィルタが回動可能である空気調和機。
【請求項2】
前記リブは、前記吸込みグリルの1辺において複数箇所に形成されている請求項
1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記リブは、前記吸込みグリルの前記第2枠部から前記吸込みグリルの外枠部にわたって形成されている請求項
1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天井埋込み型空気調和機において、室内ユニットの下面中央部には吸込み口が形成され、吸込み口には、吸込みグリルと、吸込みグリルの上方にフィルタが設置される。吸込みグリルは、室内ユニットの本体部に対して着脱可能である。フィルタを清掃又は交換する場合、フィルタが取り付けられた吸込みグリルが本体部から取り外され、取り外された吸込みグリルからフィルタが外される。そして、清掃された又は新しいフィルタが吸込みグリルに固定され、フィルタが固定された吸込みグリルが本体部に取り付けられる。
【0003】
下記の特許文献1には、エアフィルタの枠部がエア吸込みの抵抗とならないように、エアフィルタの開口部を区画する枠部の内側が、吸込みグリルの吸込口を区画する枠部の外側に取り付けられることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸込みグリルとフィルタを互いに固定するため、吸込みグリルの枠部には水平方向に突出した突起部が形成され、フィルタの外周に設けられた枠部に形成された係止穴に、吸込みグリルの突起部が係止される。吸込みグリルにフィルタを取り付ける場合、まず、吸込みグリルの突起部をフィルタの係止穴に挿入する必要がある。
【0006】
しかし、吸込みグリルやフィルタのサイズに比べて、突起部や係止穴のサイズが小さいため、作業者は、突起部や係止穴を見つけにくいだけでなく、吸込みグリルにフィルタを取り付けるとき、フィルタの係止穴を吸込みグリルの突起部に対して位置合わせしづらいという問題がある。そのため、フィルタを吸込みグリルに取り付ける際、作業効率が低下している。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、吸込みグリルにフィルタを効率良く取り付けることが可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の空気調和機は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る空気調和機は、面内方向に対して垂直なリブを有する吸込みグリルと、前記吸込みグリルに対して着脱可能なフィルタと備え、前記フィルタの外周を構成する第1枠部の外周面の一側面には、前記フィルタの面内方向に突出する張り出し部が形成され、前記張り出し部の先端には、前記吸込みグリルと前記フィルタが互いに固定されたときの前記リブの位置に対応して、前記リブを挿入することが可能な切欠き部が形成されており、前記吸込みグリルに設けられた第2枠部には、水平方向に突出した突起部が形成され、前記フィルタの前記第1枠部には、前記突起部が挿入される係止穴が形成されており、前記張り出し部と前記係止穴は、前記フィルタにおいて同一辺に設けられ、前記突起部及び前記係止穴が挿入された状態で、前記突起部及び前記係止穴を支点にして、前記フィルタが回動可能である。
【0009】
この構成によれば、フィルタの外周を構成する第1枠部には切欠き部が形成されており、吸込みグリルに設けられたリブを切欠き部に挿入できる。吸込みグリルとフィルタを互いに固定する際、フィルタに形成された切欠き部に、吸込みグリルに設けられたリブを挿入することによって、フィルタが吸込みグリルに対して位置決めされる。フィルタに形成された切欠き部は、吸込みグリルとフィルタが互いに固定されたときのリブの位置に対応していることから、切欠き部にリブを挿入して位置決めすることによって、吸込みグリルとフィルタが嵌合しやすくなり、吸込みグリルにフィルタを効率良く取り付けることができる。
また、吸込みグリルに設けられた第2枠部には突起部が形成されており、水平方向に突出している。また、フィルタの第1枠部には係止穴が形成され、突起部が挿入される。これにより、吸込みグリルの突起部とフィルタの係止穴が係り合い、吸込みグリルとフィルタが互いに固定される。
【0012】
上記発明において、前記リブは、前記吸込みグリルの1辺において複数箇所に形成されてもよい。
【0013】
上記発明において、前記リブは、前記吸込みグリルの前記第2枠部から前記吸込みグリルの外枠部にわたって形成されてもよい。
【0014】
これらの構成によれば、作業者は、吸込みグリルに形成されたリブを視認しやすいため、吸込みグリルにフィルタを効率良く取り付けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、吸込みグリルにフィルタを効率良く取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る天井埋込み型空気調和機の室内ユニットを示す下面図である。
【
図2】
図1のII-II線で切断した縦断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る吸込みグリル及びフィルタを示す斜視図であり、吸込みグリルとフィルタが離れた状態を示す。
【
図4】本発明の一実施形態に係る吸込みグリル及びフィルタを示す斜視図であり、吸込みグリルにフィルタの1辺を載置した状態を示す。
【
図6】本発明の一実施形態に係る吸込みグリル及びフィルタを示す部分拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施形態に係る天井埋込み型空気調和機について、図面を参照して説明する。なお、本明細書では、天井埋込み型空気調和機に本発明を適用する場合について説明するが、本発明はこの例に限定されず、吸込みグリルにフィルタを着脱できる構成を有すれば、他の形式の空気調和機でもよい。
【0018】
天井埋込み型空気調和機(以下「空気調和機」という。)は、室内ユニット1と、室外ユニット(図示せず。)と、室内ユニット1及び室外ユニットとを結ぶ冷媒配管(図示せず。)などを備える。
室内ユニット1は、ケース本体2が天井に埋込まれて設置される。ケース本体2の内部には、
図2に示すように、熱交換器7、ドレンパン10、モータ5、送風機6、ベルマウス12等が内蔵され、このケース本体2の下部には天井面に露出する天井パネル8が装着される。
図1は、室内ユニット1を室内側から見た、すなわち室内ユニット1の下面から見た下面図であり、
図2は、
図1のII-II線で切断した縦断面図である。
【0019】
室内ユニット1の下面中央部には吸込み口3が形成され、この吸込み口3に隣接した位置に、室内ユニット1の下面外周部に沿って一方向に長い吹出し口4が形成される。吸込み口3には、吸込みグリル11と、吸込みグリル11の上方にフィルタ13とが設置される。ドレンパン10は、熱交換器7の下部に設けられ、熱交換器7から滴下するドレン水を受ける。ベルマウス12は、ドレンパン10の下部に設けられる。天井パネル8は、吸込み口が形成された本体部の一例である。
【0020】
空気調和機が運転すると、図示しない室外ユニットからの冷媒が熱交換器7を循環し、モータ5によって送風機6が駆動される。送風機6の駆動によって、室内空気が吸込み口3から吸込みグリル11、フィルタ13を通り、ベルマウス12に案内されて送風機6へ吸入される。そして、吸入された空気は、熱交換器7を通過することで、冷却又は加熱され、その後、吹出し口4から室内へ吹き出される。
【0021】
吸込みグリル11は、吸込み口3の上流側に設けられ、天井パネル8に対して着脱可能である。吸込みグリル11は、
図3及び
図4に示すように、四角形状を有するプラスチック製のパネル状部材であり、外枠部14と、外枠部14の内側に設けられるグリル部15とを有する。
【0022】
外枠部14は、ほぼ四角形状を有し、各辺を構成する部材は板状部材である。外枠部14の板状部材の板面は、吸込みグリル11の面内方向に対して垂直である。
【0023】
グリル部15には、格子が構成される。グリル部15には、フィルタ13を保護しつつ、吸込み時の圧力損失が上昇しすぎない程度の開口率を有する複数の開口部が形成される。開口部の形状は、
図1等に示す例では六角形であるが、長方形、正方形など他の多角形形状でもよい。グリル部15は、各辺において、外枠部14と平行に設けられた枠部16を有する。
【0024】
グリル部15の枠部16は、ほぼ四角形状を有し、各辺を構成する部材は板状部材である。枠部16の板面は、吸込みグリル11の面内方向に対して垂直である。枠部16の内部にグリル部15が設置される。
【0025】
枠部16の外周面には、枠部16から水平方向に突出した突起部18が形成される。すなわち、突起部18の突出方向は、吸込みグリル11の面内方向に対して平行である。突起部18の突出長さは、枠部16に対向する外枠部14まで到達しない長さであり、かつ、フィルタ13の係止穴22と係り合うことが可能な長さである。
【0026】
外枠部14とグリル部15の枠部16との間には、リブ17が設けられる。リブ17は、板状部材であり、リブ17の板面が吸込みグリル11の面内方向に対して垂直になるように設けられる。リブ17は、吸込みグリル11の剛性を高めることもできる。リブ17の一端は外枠部14に接続され、リブ17の他端は枠部16に接続される。リブ17の長手方向は、リブ17に接続される外枠部14又は枠部16に対して垂直である。リブ17は、外枠部14又は枠部16の各辺において複数本、例えば5本~9本ずつ設置される。
【0027】
フィルタ13は、四角形状を有するプラスチック製の枠部19と、枠部19に設置される網状の濾材(図示せず。)を有する。フィルタ13は、吸込みグリル11に対して着脱可能である。
【0028】
枠部19は、フィルタ13の外周を構成する。枠部19の外周面には、枠部19から水平方向に張り出し部20が形成される。すなわち、張り出し部20の突出方向は、フィルタ13の面内方向に対して平行である。張り出し部20は、例えば、枠部19の長手方向に沿って長い形状を有する。張り出し部20の張り出し長さは、フィルタ13が吸込みグリル11に設置されたとき、吸込みグリル11の外枠部14まで到達しない長さである。
【0029】
張り出し部20には、枠部19とは反対側の端部において切欠き部21が形成される。切欠き部21は、枠部19の1辺の長手方向に対して垂直な方向に切り欠かれている。切欠き部21の幅は、吸込みグリル11に設けられたリブ17を挿入できる長さである。
【0030】
切欠き部21は、吸込みグリル11とフィルタ13が互いに固定されたときのリブ17の位置及び数に対応して形成される。吸込みグリル11とフィルタ13を互いに固定する際、
図4及び
図5に示すように、フィルタ13に形成された切欠き部21に、吸込みグリル11に設けられたリブ17を挿入することによって、フィルタ13が吸込みグリル11に対して位置決めされる。
【0031】
フィルタ13に形成された切欠き部21は、吸込みグリル11とフィルタ13が互いに固定されたときのリブ17の位置に対応している。したがって、切欠き部21にリブ17を挿入して位置決めすることによって、吸込みグリル11の枠部16とフィルタ13の枠部19が嵌合し、かつ、突起部18と係止穴22が係合しやすくなるため、吸込みグリル11にフィルタ13を効率良く取り付けることができる。
【0032】
図3、
図5及び
図6に示すように、フィルタ13の枠部19には、フィルタ13の面内方向に対して水平な板材19Aと垂直な板材19Bが互いに結合された部分があり、当該部分に係止穴22が形成される。吸込みグリル11とフィルタ13が互いに固定されたときの突起部18の位置及び数に対応して形成される。係止穴22には突起部18が挿入される。これにより、
図6に示すように、吸込みグリル11の突起部18とフィルタ13の係止穴22が係り合い、吸込みグリル11とフィルタ13が互いに固定される。
【0033】
フィルタ13の張り出し部20と係止穴22は、フィルタ13において同一辺に設けられる。これにより、張り出し部20に形成された切欠き部21を、吸込みグリル11のリブ17に対して位置合わせしながら、吸込みグリル11の突起部18をフィルタ13の係止穴22に挿入できる。
【0034】
次に、吸込みグリル11に対するフィルタ13の取り付け方法について説明する。
吸込みグリル11にフィルタ13を取り付ける場合、吸込みグリル11の突起部18をフィルタ13の係止穴22に挿入する。そのため、まず、
図4及び
図5に示すように、フィルタ13の張り出し部20に形成された切欠き部21を、吸込みグリル11のリブ17に対して位置合わせする。そして、吸込みグリル11に対してフィルタ13を垂直又は傾けた状態で、フィルタ13に形成された切欠き部21に、吸込みグリル11に設けられたリブ17を挿入する。
【0035】
これにより、フィルタ13が吸込みグリル11に対して位置決めされる。このとき、吸込みグリル11の突起部18の位置が、フィルタ13の係止穴22の位置に対応していることから、吸込みグリル11の突起部18をフィルタ13の係止穴22に挿入しやすい。
【0036】
次に、吸込みグリル11の突起部18をフィルタ13の係止穴22に挿入した状態で、突起部18及び係止穴22の位置を支点にして、吸込みグリル11にフィルタ13を重ね合わせるようにフィルタ13を回動させる。そして、吸込みグリル11にフィルタ13が重ね合わされたとき、吸込みグリル11の突起部18とフィルタ13の係止穴22が係合したままとなり、吸込みグリル11とフィルタ13を互いに固定することができる。
【0037】
従来、フィルタ13には、本実施形態に係る切欠き部21が形成されていなかったことから、作業者は、吸込みグリル11にフィルタ13を取り付けるとき、フィルタ13の係止穴22を吸込みグリル11の突起部18に対して位置合わせしづらい。これに対し、本実施形態によれば、フィルタ13に形成された切欠き部21に、吸込みグリル11に設けられたリブ17を挿入することによって、フィルタ13が吸込みグリル11に対して位置決めされる。
【0038】
リブ17は、吸込みグリル11の1辺に複数箇所に形成されており、また、吸込みグリル11の枠部16から外枠部14にわたって長く形成されていることから、吸込みグリル11に形成された突起部18に比べて作業者はリブ17を視認しやすい。また、リブ17の板面は面内方向に対して垂直に設けられており、水平方向に突出した突起部18を係止穴22に挿入する場合に比べて、切欠き部21にリブ17を挿入しやすい。そして、フィルタ13に形成された切欠き部21は、吸込みグリル11とフィルタ13が互いに固定されたときのリブ17の位置に対応している。以上より、切欠き部21にリブ17を挿入して位置決めすることによって、吸込みグリル11の枠部16とフィルタ13の枠部19が嵌合し、かつ、突起部18と係止穴22が係合しやすくなるため、吸込みグリル11にフィルタ13を効率良く取り付けることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 :室内ユニット
2 :ケース本体
3 :吸込み口
4 :吹出し口
5 :モータ
6 :送風機
7 :熱交換器
8 :天井パネル
10 :ドレンパン
11 :吸込みグリル
12 :ベルマウス
13 :フィルタ
14 :外枠部
15 :グリル部
16 :枠部
17 :リブ
18 :突起部
19 :枠部
19A :板材
19B :板材
20 :張り出し部
21 :切欠き部
22 :係止穴