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特許7195750位置特定システム、位置特定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】位置特定システム、位置特定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/08 20060101AFI20221219BHJP
   G06Q 50/28 20120101ALI20221219BHJP
【FI】
G01S5/08
G06Q50/28
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018066028
(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2019172466
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-02-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 良行
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/050246(WO,A1)
【文献】特開2011-226959(JP,A)
【文献】特開2014-065566(JP,A)
【文献】特開2017-044501(JP,A)
【文献】特開2011-055130(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0180713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - G01S 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内に設けられ、予め前記屋内の位置を示す座標情報と対応付けられた位置特定用タグと、
前記屋内を移動する移動体にて当該移動体が搬送する対象物を上下動させる上下動部に設けられる高さ特定用タグと、
記移動体に設けられ、前記位置特定用タグ及び前記高さ特定用タグが発信する発信信号を取得するタグ情報取得部と、
前記タグ情報取得部が取得した前記位置特定用タグからの発信信号及び前記位置特定用タグに対応づけられた座標情報に基づいて前記移動体の位置を示す座標情報を特定する移動体位置特定部と、
前記対象物の位置を示す座標情報と前記対象物の高さ方向の位置を示す座標情報とを特定する対象物位置特定部と、
を備え、
前記タグ情報取得部は、前記位置特定用タグの発信信号から当該位置特定用タグを識別するタグ識別情報を取得し、当該タグ識別情報に予め関連付けられた前記位置特定用タグの座標情報を取得し、
前記移動体位置特定部は、前記位置特定用タグから送信される発信信号の入射角度と当該位置特定用タグに関連付けられた座標情報とに基づいて前記移動体の位置を示す座標情報を特定
前記対象物位置特定部は、前記移動体の位置を示す座標情報に基づいて前記対象物の位置を示す座標情報を特定し、前記高さ特定用タグから送信される発信信号の入射角度に基づいて前記タグ情報取得部と前記上下動部との間の距離との関係から得られる前記高さ特定用タグの高さ方向の位置に基づき、前記対象物の高さ方向の位置を示す座標情報を特定する、
位置特定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の位置特定システムであって、
前記移動体位置特定部は、前記タグ情報取得部が読み取った複数の前記位置特定用タグの位置情報に基づいて前記移動体の位置を示す座標情報を特定する、
位置特定システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の位置特定システムであって、
複数の前記対象物に各々設けられる受動タグと、
前記移動体に設けられ、前記受動タグに電波を伝達し前記受動タグから返される反射信号を読み取る読取装置と、
前記移動体が移動したときに前記読取装置が読み取る前記受動タグからの反射信号の状態の変化の違いに基づいて複数の前記対象物から搬送対象物を特定する搬送対象物特定部と、を更に備える、
位置特定システム。
【請求項4】
屋内に設けられ、予め前記屋内の位置を示す座標情報と対応付けられた位置特定用タグと、前記屋内を移動する移動体にて当該移動体が搬送する対象物を上下動させる上下動部に設けられる高さ特定用タグと、から発信される発信信号を前記移動体に設けられるタグ情報取得部が取得するステップと、
前記位置特定用タグから発信される発信信号及び前記位置特定用タグに対応づけられた座標情報に基づいて前記移動体の位置を示す座標情報を特定するステップと、
前記対象物の位置を示す座標情報と前記対象物の高さ方向の位置を示す座標情報とを特定するステップと、
を含み、
前記取得するステップでは、前記位置特定用タグの発信信号から当該位置特定用タグを識別するタグ識別情報を取得し、当該タグ識別情報に予め関連付けられた前記位置特定用タグの座標情報を取得し、
前記移動体の位置を示す座標情報を特定するステップでは、前記位置特定用タグから送信される発信信号の入射角度と当該位置特定用タグに関連付けられた座標情報とに基づいて前記移動体の位置を示す座標情報を特定し、
前記対象物の位置を示す座標情報と前記対象物の高さ方向の位置を示す座標情報とを特定するステップでは、前記移動体の位置を示す座標情報に基づいて前記対象物の位置を示す座標情報を特定し、前記高さ特定用タグから送信される発信信号の入射角度に基づいて前記タグ情報取得部と前記上下動部との間の距離との関係から得られる前記高さ特定用タグの高さ方向の位置に基づき、前記対象物の高さ方向の位置を示す座標情報を特定する、
位置特定方法。
【請求項5】
コンピュータに、
屋内に設けられ、予め前記屋内の位置を示す座標情報と対応付けられた位置特定用タグと、前記屋内を移動する移動体にて当該移動体が搬送する対象物を上下動させる上下動部に設けられる高さ特定用タグと、から発信される発信信号を前記移動体に設けられるタグ情報取得部が取得する手順と、
前記位置特定用タグから発信される発信信号及び前記位置特定用タグに対応づけられた座標情報に基づいて前記移動体の位置を示す座標情報を特定する手順と、
前記対象物の位置を示す座標情報と前記対象物の高さ方向の位置を示す座標情報とを特定する手順と、
を実行させ、
前記取得する手順では、前記位置特定用タグの発信信号から当該位置特定用タグを識別するタグ識別情報を取得し、当該タグ識別情報に予め関連付けられた前記位置特定用タグの座標情報を取得し、
前記移動体の位置を示す座標情報を特定する手順では、前記位置特定用タグから送信される発信信号の入射角度と当該位置特定用タグに関連付けられた座標情報とに基づいて前記移動体の位置を示す座標情報を特定し、
前記対象物の位置を示す座標情報と前記対象物の高さ方向の位置を示す座標情報とを特定する手順では、前記移動体の位置を示す座標情報に基づいて前記対象物の位置を示す座標情報を特定し、前記高さ特定用タグから送信される発信信号の入射角度に基づいて前記タグ情報取得部と前記上下動部との間の距離との関係から得られる前記高さ特定用タグの高さ方向の位置に基づき、前記対象物の高さ方向の位置を示す座標情報を特定する、
ログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置特定システム、位置特定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、倉庫内に設置された複数のアクティブRFID(Radio Frequency Identifier)リーダが、移動体に設けられたアクティブRFIDタグを読み取ることで、移動体の位置を検出するシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-086912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、倉庫内に設置されたアクティブRFIDリーダが、移動体に設けられたアクティブRFIDタグを読み取る場合、倉庫内に多くの荷物が置かれていると、荷物によって電波が遮断されるおそれがある。その場合、アクティブRFIDリーダがアクティブRFIDタグを読み取れず、倉庫内における移動体の位置を特定できなくなる。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、屋内の状況に関わらず移動体の位置を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様によれば、位置特定システムは、屋内に設けられ、予め前記屋内の位置を示す座標情報と対応付けられた位置特定用タグと、前記屋内を移動する移動体にて当該移動体が搬送する対象物を上下動させる上下動部に設けられる高さ特定用タグと、記移動体に設けられ、前記位置特定用タグ及び前記高さ特定用タグが発信する発信信号を取得するタグ情報取得部と、前記タグ情報取得部が取得した前記位置特定用タグからの発信信号及び前記位置特定用タグに対応づけられた座標情報に基づいて前記移動体の位置を示す座標情報を特定する移動体位置特定部と、前記対象物の位置を示す座標情報と前記対象物の高さ方向の位置を示す座標情報とを特定する対象物位置特定部と、を備え、前記タグ情報取得部は、前記位置特定用タグの発信信号から当該位置特定用タグを識別するタグ識別情報を取得し、当該タグ識別情報に予め関連付けられた前記位置特定用タグの座標情報を取得し、前記移動体位置特定部は、前記位置特定用タグから送信される発信信号の入射角度と当該位置特定用タグに関連付けられた座標情報とに基づいて前記移動体の位置を示す座標情報を特定前記対象物位置特定部は、前記移動体の位置を示す座標情報に基づいて前記対象物の位置を示す座標情報を特定し、前記高さ特定用タグから送信される発信信号の入射角度に基づいて前記タグ情報取得部と前記上下動部との間の距離との関係から得られる前記高さ特定用タグの高さ方向の位置に基づき、前記対象物の高さ方向の位置を示す座標情報を特定する
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、屋内の状況に関わらず移動体の位置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係る位置特定システムが用いられる倉庫の構成図である。
図2図2は、位置特定システムのブロック図である。
図3図3は、搬送対象物を置いた高さ方向の位置の特定について説明する側面図である。
図4図4は、位置特定システムにおける移動体の位置の特定のフローチャートである。
図5図5は、移動体が複数の対象物から搬送対象物を保持することを説明する側面図である。
図6図6は、移動体が複数の対象物から搬送対象物を保持することを説明する平面図である。
図7図7は、複数の対象物からの搬送対象物の特定のフローチャートである。
図8図8は、複数の対象物からの搬送対象物の特定について説明する平面図である。
図9図9は、搬送対象物を置いたことを判定するフローチャートである。
図10図10は、搬送対象物を置いたことの判定について説明する平面図である。
図11図11は、複数の対象物からの搬送対象物の特定の変形例のフローチャートである。
図12図12は、複数の対象物からの搬送対象物の特定の変形例について説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る位置特定システム100について説明する。
【0010】
位置特定システム100は、例えば屋内の倉庫1内にて、移動体としてのフォークリフト10の位置を特定すると共に、対象物としての荷物Lの位置を特定して管理するものである。
【0011】
まず、図1を参照して、位置特定システム100が適用される倉庫1について説明する。
【0012】
図1に示すように、倉庫1は、荷物Lが収納される複数の棚2と、棚2の間に設けられる通路3と、を有する。
【0013】
棚2は、長手方向が平行になるように倉庫1内に配置される。棚2は、通路3から荷物Lを出し入れ可能な複数の収納部5を有する。
【0014】
収納部5は、荷物Lが載せられたパレットPが収納される空間である。収納部5は、棚2の長手方向に複数並べて設けられると共に、棚2の高さ方向に複数並べて設けられる。
【0015】
通路3は、搬送対象物としての荷物Lを搬送するフォークリフト10が走行する。通路3は、フォークリフト10が走行可能であり、フォークリフト10が棚2の収納部5に荷物Lを出し入れするのに充分な幅を有する。
【0016】
フォークリフト10は、本体部11と、マスト12と、上下動部としてのフォーク13と、荷物保持状態検出器としての重量センサ15と、を有する。
【0017】
本体部11は、動力を有して走行する。本体部11には、フォーク13が上下動するように取り付けられるマスト12が一体に設けられる。
【0018】
フォーク13は、荷物Lを保持する一対のつめである。フォーク13は、荷物Lの下面を保持するか、若しくは上面に荷物Lが置かれたパレットPに挿入され、パレットPを介して荷物Lを保持する。フォーク13は、上下動することによって、荷物Lを上下に移動させる。
【0019】
重量センサ15は、荷物Lの重量に基づき、フォーク13が荷物Lを保持したことを検出する。重量センサ15は、荷物Lの重量に対応する電気信号を後述する車載機20に送信する。重量センサ15に代えて、例えば、赤外線センサを設けてフォーク13が荷物Lを保持したことを検出してもよい。
【0020】
次に、図1及び図2を参照して、位置特定システム100について説明する。
【0021】
位置特定システム100は、位置特定用タグとしての複数のBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)アクティブタグ4と、フォークリフト10に設けられる車載機20と、高さ特定用タグとしてのBLEアクティブタグ14と、読取装置としてのRFID(Radio Frequency Identifier)リーダ30と、各荷物Lに設けられる受動タグとしてのRFIDタグ35と、コンピュータ50と、無線ルータ60と、を備える。
【0022】
BLEアクティブタグ4は、例えば倉庫1内に設けられ、予め倉庫1内における位置情報と対応付けて管理される。BLEアクティブタグ4の位置情報は、例えば倉庫1内のある地点を原点とした場合におけるX軸方向(縦方向),Y軸方向(横方向),及びZ軸方向(高さ方向)の座標である。BLEアクティブタグ4は、例えば、倉庫1内に天井から吊り下げられて設置される照明器具に各々設けられる。BLEアクティブタグ4は、バッテリを有し、車載機20の後述するタグ情報取得部としてのBLE通信部24に信号を発信する。
【0023】
BLEアクティブタグ4は、倉庫1内の任意の位置に増設することができる。倉庫1内にてBLE通信部24がBLEアクティブタグ4と通信しにくい場合に、新たなBLEアクティブタグ4を、例えば棚2の通路3に面する側面の最上部に増設することができる。BLEアクティブタグ4を増設する場合、既設のBLEアクティブタグ4と同様に、予め倉庫1内における位置情報と対応付けて管理される。
【0024】
BLEアクティブタグ14は、フォークリフト10のフォーク13に設けられる。BLEアクティブタグ14は、フォーク13と共に上下動する。BLEアクティブタグ14は、バッテリを有し、車載機20の後述するBLE通信部24に信号を発信する。
【0025】
車載機20は、フォークリフト10における本体部11の上面に設けられる。車載機20は、コンピュータ50と通信を行うための無線通信部21と、各種演算処理を行うプロセッサ22と、各種プログラムを収納するデータベース23a、倉庫1内に設けられたBLEアクティブタグ4を識別するタグ識別情報、タグ識別情報に対応付けられた倉庫1内の位置情報、倉庫1内に保管されている荷物Lに関する情報、各荷物Lに付されたRFIDタグ35が有する情報、及び各荷物Lの保管場所の情報等を関連付けて格納するデータベース23b等を記憶する記憶媒体23と、BLE通信部24と、を有する。車載機20は、コンピュータとしての機能を有する。
【0026】
これに代えて、車載機20を、複数のマイクロコンピュータによって構成してもよい。例えば、無線通信部21を制御するマイクロコンピュータとRFIDリーダ30を制御するマイクロコンピュータとを、車載機20とは別に設けてもよい。また、車載機20のコンピュータとしての機能をコンピュータ50が実行するように構成してもよい。
【0027】
プロセッサ22は、例えば、搬送対象物特定部41と、移動体位置特定部42と、対象物位置特定部としての荷物位置特定部43と、を有する。搬送対象物特定部41,移動体位置特定部42,及び荷物位置特定部43は、記憶媒体23のデータベース23aに収納されたプログラムをプロセッサ22が実行することで機能する。
【0028】
搬送対象物特定部41は、例えば、フォークリフト10が移動したときにRFIDリーダ30が読み取るRFIDタグ35からの反射信号の状態の変化の違いに基づいて搬送対象物である荷物Lを特定する。
【0029】
また、搬送対象物特定部41は、例えば、荷物Lに設けられたRFIDタグ35からの反射信号の状態が変化した場合に、当該RFIDタグ35が設けられた荷物Lを収納部5に置いたと判定する。
【0030】
移動体位置特定部42は、少なくとも2つのBLEアクティブタグ4が発信し、車載機20が受信するそれぞれの信号の入射角度α[deg]及びβ[deg](図1参照)と、車載機20が信号を受信した2つのBLEアクティブタグ4の位置情報と、に基づいて、車載機20の位置情報、即ちフォークリフト10の位置情報を特定する。移動体位置特定部42によるフォークリフト10の位置の特定については、図4を参照しながら、後で詳細に説明する。
【0031】
本実施形態では、フォークリフト10が倉庫1内を移動しても車載機20のZ軸方向の位置は変化しない。そのため、移動体位置特定部42は、2つのBLEアクティブタグ4と通信することで、フォークリフト10のX軸方向及びY軸方向の位置を特定すればよい。
【0032】
フォークリフト10の本体部11ではなくフォーク13に車載機20を設ける場合や、フォークリフト10ではなく他の移動体や作業者に車載機20を設ける場合には、X軸方向及びY軸方向の位置だけでなく、Z軸方向の位置も特定することができる。
【0033】
荷物位置特定部43は、フォークリフト10の走行位置に基づいて、倉庫1内にて荷物Lを置いた位置を特定する。具体的には、移動体位置特定部42は、2つのBLEアクティブタグ4から発信されるそれぞれの信号の入射角度α,βと、そのBLEアクティブタグ4の位置情報と、に基づいてフォークリフト10の位置を特定する。したがって、荷物位置特定部43は、例えば荷物Lを置いたときに、移動体位置特定部42が特定したフォークリフト10の走行位置を、荷物Lを置いた位置であると特定することができる。
【0034】
また、このとき、図3に示すように、BLE通信部24は、BLEアクティブタグ14から発信される信号を読み取る。
【0035】
荷物位置特定部43は、BLEアクティブタグ14からの信号の入射角度γ[deg]に基づいて荷物Lを置いた高さ方向の位置を特定する。フォークリフト10において、車載機20とフォーク13との距離A[mm]は変化しない。そのため、BLEアクティブタグ14からの信号の入射角度γが分かれば、BLEアクティブタグ14の高さ方向の位置、つまり車載機20からBLEアクティブタグ14までの高さ方向の位置を特定できる。したがって、荷物位置特定部43は、予め設定された車載機20のZ軸方向の位置(高さ方向の位置)と、車載機20からBLEアクティブタグ14までの高さ方向の位置とに基づいて、フォーク13の高さ方向の位置を特定できる。これにより、フォークリフト10が棚2の高さ方向のどこの収納部5に荷物Lを置いたかを特定できる。
【0036】
BLE通信部24は、BLE方式の通信を行うことができるものであり、同じくBLE方式の通信を行うことができる各BLEアクティブタグ4及びBLEアクティブタグ14と常時通信を行っている。BLE通信部24は、BLEアクティブタグ4及びBLEアクティブタグ14が発信する信号を読み取る。
【0037】
RFIDリーダ30は、フォークリフト10のフォーク13に設けられる。RFIDリーダ30は、RFIDタグ35に電波を伝達しRFIDタグ35から返される反射信号を読み取る。RFIDリーダ30は、フォークリフト10が荷物Lを保持したことを重量センサ15が検出すると、RFIDタグ35に電波を伝達する。
【0038】
RFIDタグ35は、電源を有さずに、RFIDリーダ30から伝達される電波をエネルギー源として作動するパッシブタグである。RFIDタグ35は、RFIDリーダ30から伝達される電波を受けて反射信号を返す。荷物Lの保管場所の情報等をパレットP単位で管理する場合には、各荷物LにRFIDタグ35を設けるのに代えて、パレットPにRFIDタグ35を設けてもよい。
【0039】
コンピュータ50は、通信を行うための無線通信部51と、各種演算処理を行うプロセッサ52と、各種プログラムを収納するデータベース53a、倉庫1内に設けられたBLEアクティブタグ4を識別するタグ識別情報、タグ識別情報に対応付けられた倉庫1内の位置情報、倉庫1内に保管されている荷物Lに関する情報、各荷物Lに付されたRFIDタグ35が有する情報、及び各荷物Lの保管場所の情報等を関連付けて格納するデータベース53b等を記憶する記憶媒体53と、を有する。
【0040】
コンピュータ50は、無線ルータ60を介して車載機20の無線通信部21と接続される。無線ルータ60は、コンピュータ50に内蔵されていてもよい。
【0041】
次に、図4を参照して、位置特定システム100におけるフォークリフト10の位置の特定について説明する。コンピュータ50は、図4に示すルーチンを、例えば10ミリ秒ごとの一定時間隔で繰り返し実行する。
【0042】
ステップS1では、BLE通信部24は、BLEアクティブタグ4から発信される信号を検出する。このとき、BLE通信部24は、例えば、2つのBLEアクティブタグ4から発信された信号を読み取る。
【0043】
ステップS2では、車載機20は、BLE通信部24により読み取った2つのBLEアクティブタグ4の信号から、BLEアクティブタグ4をそれぞれ識別するタグ識別情報を取得する。また、車載機20は、2つのタグ識別情報から、予めタグ識別情報と関連付けられたBLEアクティブタグ4の2つの位置情報を取得する。なお、予めBLEアクティブタグ4にそれぞれ位置情報を設定しておくことで、車載機20は、2つのBLEアクティブタグ4からそれぞれ位置情報を取得することもできる。
【0044】
ステップS3では、移動体位置特定部42は、ステップS2で取得したBLEアクティブタグ4の2つの位置情報と、BLE通信部24が受信したBLEアクティブタグ4から得られるそれぞれの信号の入射角度α[deg],β[deg]とに基づいて、BLE通信部24の位置情報、即ちフォークリフト10の位置情報を取得する。
【0045】
以上のように、位置特定システム100は、2つのBLEアクティブタグ4が発信しBLE通信部24が受信する信号のそれぞれの入射角度α,βとその2つのBLEアクティブタグ4の位置情報とに基づいて、移動体位置特定部42がフォークリフト10の位置を特定する。BLEアクティブタグ4は、配線が不要であるため、倉庫1内のあらゆる位置に容易に設けることができる。そのため、倉庫1内に多くの荷物Lが置かれた場合にも、フォークリフト10の位置を特定できるようにBLEアクティブタグ4を設けることができる。したがって、倉庫1内の荷物Lの状況に関わらずフォークリフト10の位置を検出することができる。
【0046】
また、BLEアクティブタグ4は、配線が不要であるため、比較的安価である。そのため、倉庫1内にBLEアクティブタグ4を増設するためのコストを抑制できる。これにより、例えば、倉庫1内にてBLE通信部24がBLEアクティブタグ4と通信しにくい位置に、新たにBLEアクティブタグ4を増設することができる。
【0047】
次に、図5から図8を参照して、フォークリフト10が複数の荷物Lから搬送対象物である荷物Lを保持し、複数の荷物Lからの荷物Lを特定する処理について説明する。
【0048】
図5及び図6に示すように、荷物L1~L8のうち、パレットPに載せられた荷物L2,L3,L6,及びL7をフォークリフト10が搬送する場合について説明する。
【0049】
まず、フォークリフト10は、前進してパレットPに近付き、フォーク13をパレットPに挿入する。このとき、図6に示すように、RFIDリーダ30は、すべての荷物L1~L8のRFIDタグ35-1~35-8からの反射信号を読み取っている。この状態から、フォークリフト10が後退して荷物L2,L3,L6,及びL7を搬送する。このとき、車載機20は、図7に示すルーチンを、例えば10ミリ秒ごとの一定時間隔で繰り返し実行する。
【0050】
ステップS11では、車載機20は、重量センサ15から送信された電気信号に基づき、フォークリフト10が荷物Lを保持したか否かを判定する。ステップS11にて、フォークリフト10が荷物Lを保持したと判定された場合には、ステップS12に移行する。一方、ステップS11にて、フォークリフト10が荷物Lを保持していないと判定された場合には、そのままリターンして処理を繰り返す。
【0051】
ステップS12では、RFIDリーダ30をオンにする。即ち、RFIDリーダ30は、フォークリフト10が荷物Lを保持したことを重量センサ15が検出した場合にオンになる。
【0052】
ステップS13では、RFIDリーダ30が電波を発信する。
【0053】
ステップS14では、RFIDリーダ30は、荷物L1~L8のRFIDタグ35-1~35-8に伝達された電波に対して、各RFIDタグ35-1~35-8から返される反射信号を読み取る。
【0054】
このとき、搬送対象物特定部41は、反射信号を検出した各RFIDタグ35-1~35-8の情報を保持する。搬送対象物特定部41は、その後、RFIDリーダ30が他のRFIDタグ35からの反射信号を検出しても、情報を読み取らない。即ち、搬送対象物特定部41は、RFIDリーダ30がオンになったときに読み取ったRFIDタグ35-1~35-8の中から、搬送対象物である荷物LのRFIDタグ35を特定する。
【0055】
ステップS15では、搬送対象物特定部41は、前回検出した各RFIDタグ35-1~35-8からの反射信号と、ステップS14にて読み取った各RFIDタグ35-1~35-8からの反射信号とを比較する。
【0056】
ステップS16では、搬送対象物特定部41は、各RFIDタグ35-1~35-8からの反射信号の位相が変化したか否かを判定する。ステップS16にて、位相が変化していないと判定された場合には、ステップS17に移行し、位相が変化したと判定された場合には、ステップS18に移行する。
【0057】
ここで、図8を参照すると、フォークリフト10が搬送している荷物L2,L3,L6,及びL7は、RFIDリーダ30との位置関係が変化していないので、反射信号の位相は変化していない。これに対して、フォークリフト10が搬送していない荷物L1,L4,L5,及びL8は、RFIDリーダ30との位置関係が変化している。そのため、荷物L1,L4,L5,及びL8からの反射信号の位相は、RFIDリーダ30との相対距離の変化に対応して変化している。
【0058】
よって、ステップS16では、荷物L2,L3,L6,及びL7について位相が変化していないと判定してステップS17に移行し、荷物L1,L4,L5,及びL8について位相が変化したと判定してステップS18に移行する。
【0059】
ステップS17では、反射信号の位相が変化していない荷物L2,L3,L6,及びL7を、搬送対象物であると特定する。一方、ステップS18では、反射信号の位相が変化した荷物L1,L4,L5,及びL8を、搬送対象物でないと特定する。
【0060】
このように、搬送対象物特定部41は、フォークリフト10が移動している状態で、RFIDタグ35からの反射信号の位相が変化しない場合に、当該RFIDタグ35が設けられた荷物Lを搬送していることを判定する。同時に、搬送対象物特定部41は、RFIDタグ35からの反射信号の位相が変化した場合に、当該RFIDタグ35が設けられた荷物Lを搬送していないことを判定する。
【0061】
したがって、荷物Lに設けられたRFIDタグ35を作業者がスキャンすることなく、複数の荷物Lからフォークリフト10が搬送している搬送対象物である荷物Lを特定することができる。
【0062】
また、搬送対象物特定部41は、反射信号の位相の変化に基づいて搬送対象物か否かを判定するので、フォークリフト10が搬送していない他の荷物LのRFIDタグ35からの反射信号を受信したままの状態で荷物Lを特定する。
【0063】
したがって、フォークリフト10が移動を開始してすぐに複数の荷物Lから搬送対象物である荷物Lを特定することができる。
【0064】
これにより、例えば、荷物Lの移動距離が短く、搬送していない他の荷物LのRFIDタグ35からの反射信号を受信したまま荷物Lの搬送を完了する場合にも、複数の荷物Lの中から荷物Lを特定することができる。
【0065】
なお、図7に示すルーチンを、一定時間隔で繰り返し実行するのではなく、図7のステップS15及びステップS16の処理を、荷物L2,L3,L6,及びL7を搬送しはじめた時点と、搬送しはじめたときから所定距離移動又は所定時間経過した時点で実行してもよい。
【0066】
具体的には、RFIDリーダ30は、出庫する旨の作業指示命令の対象となる荷物L2,L3,L6,及びL7をフォークリフト10が取りに向かうと、RFIDタグ35-2,35-3,35-6,及び35-7から返される反射信号を他の反射信号と共に読み取る。
【0067】
そして、荷物L2,L3,L6,及びL7からの反射信号の位相が変化せず、荷物L1,L4,L5,及びL8からの反射信号の位相が変化した時点を荷物L2,L3,L6,及びL7を搬送しはじめた時点とし、その時点の位置からフォークリフト10が1[m]移動した後に図7のステップS15及びステップS16の処理を実行してもよい。この1[m]は、フォークリフト10のフォーク13の長さ分に相当する距離である。また、フォークリフト10の移動距離ではなく、移動距離に相当する時間(例えば3[sec])が経過した後に図7のステップS15及びステップS16の処理を実行してもよい。これらの場合、図7のルーチンを実行する頻度を少なくできる。
【0068】
なお、荷物L2,L3,L6,及びL7を搬送しはじめた時点を、荷物を取った(保持した)時点としてもよい。
【0069】
次に、図9及び図10を参照して、搬送対象物である荷物Lを棚2の収納部5に置いたことの判定について説明する。車載機20は、図9に示すルーチンを、例えば10ミリ秒ごとの一定時間隔で繰り返し実行する。
【0070】
図9に示すルーチンは、図5から図8を参照して説明したように、複数の荷物Lのうち、荷物L2,L3,L6,及びL7が搬送対象物であると特定した状態で実行される。即ち、フォークリフト10は、荷物L2,L3,L6,及びL7を搬送している状態である。
【0071】
ステップS21では、車載機20は、重量センサ15から送信された電気信号に基づき、フォークリフト10が荷物Lを置いたか否かを判定する。ステップS21にて、フォークリフト10が荷物Lを置いたと判定された場合には、ステップS22に移行する。一方、ステップS21にて、フォークリフト10が荷物Lを置いていない、即ち保持していると判定された場合には、そのままリターンして処理を繰り返す。
【0072】
ステップS22では、RFIDリーダ30をオンにする。即ち、RFIDリーダ30は、フォークリフト10が荷物Lを置いたことを重量センサ15が検出した場合にオンになる。
【0073】
ステップS23では、RFIDリーダ30が電波を発信する。
【0074】
ステップS24では、RFIDリーダ30は、フォークリフト10が搬送している荷物L2,L3,L6,及びL7のRFIDタグ35-2,35-3,35-6,及び35-7に伝達された電波に対して、各RFIDタグ35-2,35-3,35-6,及び35-7から返される反射信号を読み取る。
【0075】
このとき、搬送対象物特定部41は、フォークリフト10が搬送している荷物L2,L3,L6,及びL7のRFIDタグ35-2,35-3,35-6,及び35-7の情報を保持している。搬送対象物特定部41は、その後、RFIDリーダ30が他のRFIDタグ35からの反射信号を検出しても、情報を読み取らない。即ち、搬送対象物特定部41は、フォークリフト10が搬送している荷物L2,L3,L6,及びL7のRFIDタグ35-2,35-3,35-6,及び35-7の中から、置かれた荷物LのRFIDタグ35を特定する。
【0076】
ステップS25では、搬送対象物特定部41は、前回検出した各RFIDタグ35-2,35-3,35-6,及び35-7からの反射信号と、ステップS24にて読み取った各RFIDタグ35-2,35-3,35-6,及び35-7からの反射信号とを比較する。
【0077】
ステップS26では、搬送対象物特定部41は、各RFIDタグ35-2,35-3,35-6,及び35-7からの反射信号の位相が変化したか否かを判定する。ステップS26にて、位相が変化していないと判定された場合には、ステップS27に移行してフォークリフト10が引き続き搬送していることを特定し、リターンする。一方、ステップS26にて、位相が変化したと判定された場合には、ステップS28に移行する。
【0078】
ここで、図10を参照すると、フォークリフト10は、搬送していた荷物L2,L3,L6,及びL7を所定の場所に置いて、後退して離れようとしている。よって、フォークリフト10が搬送していた荷物L2,L3,L6,及びL7は、RFIDリーダ30との位置関係が変化している。そのため、荷物L2,L3,L6,及びL7からの反射信号の位相は、RFIDリーダ30との相対距離の変化に対応して変化している。
【0079】
よって、ステップS26では、荷物L2,L3,L6,及びL7について位相が変化したと判定してステップS28に移行する。
【0080】
ステップS28では、フォークリフト10が荷物L2,L3,L6,及びL7を棚2の収納部5に置いたことを特定する。
【0081】
ステップS29では、移動体位置特定部42が、フォークリフト10の位置情報(X軸方向及びY軸方向)を取得する。
【0082】
ステップS30では、BLE通信部24は、BLEアクティブタグ14から発信された信号を検出する。
【0083】
ステップS31では、BLEアクティブタグ4からの反射信号の入射角度γ[deg](図3参照)に基づいてフォーク13の高さ方向(Z軸方向)の位置情報、即ち荷物L2,L3,L6,及びL7の高さ方向の位置情報を取得する。
【0084】
ステップS32では、荷物位置特定部43が、搬送対象物を置いた収納部5を特定する。具体的には、ステップS29にて取得したフォークリフト10の位置情報(X軸方向及びY軸方向)と、ステップS31にて取得したフォーク13の高さ方向の位置情報(Z軸方向)とに基づいて、予め設定されている棚2の位置と、収納部5の高さ方向の位置とを照合して、荷物L2,L3,L6,及びL7を置いた位置(搬送物を置いた収納部5の位置)を、車載機20のデータベース23bに格納する。これに代えて、荷物L2,L3,L6,及びL7を置いた位置を、コンピュータ50のデータベース53bに格納してもよい。
【0085】
このように、搬送対象物特定部41は、フォークリフト10が移動している状態で、荷物Lに設けられたRFIDタグ35からの反射信号の位相が変化した場合に、当該RFIDタグ35が設けられた荷物Lを収納部5に置いたと判定する。また、荷物位置特定部43が、フォークリフト10の位置情報(X軸方向及びY軸方向)と、フォーク13の高さ方向の位置情報(Z軸方向)とを、荷物Lを置いた位置であるとして、車載機20のデータベース23bに格納する。
【0086】
したがって、荷物Lに設けられたRFIDタグ35を作業者がスキャンすることなく、フォークリフト10が搬送していた搬送対象物である荷物Lを棚2の収納部5に置いたことを判定できる。また、搬送対象物であった荷物Lが置かれた位置情報を関連付けて車載機20に格納することができる。
【0087】
なお、図7に示すルーチンと同様に、図9に示すルーチンを、一定時間隔で繰り返し実行するのではなく、フォークリフト10の移動距離、若しくは移動距離に相当する時間に基づいて実行してもよい。これらの場合、図9のルーチンを実行する頻度を少なくできる。
【0088】
また、倉庫1内の棚2が設置される位置に基づき、倉庫1内を予め複数のエリアに分けておき、フォークリフト10があるエリア内に位置している場合に、フォークリフト10が荷物Lを当該エリアの棚2に置いたと判定してもよい。
【0089】
このとき、通路3が狭く、フォークリフト10があるエリアの棚2に荷物Lを置いた場合に、フォークリフト10の車載機20が荷物Lを置いた棚2とは異なるエリア内に位置していると判定される場合がある。このような場合には、フォークリフト10の位置の履歴からフォークリフト10の進行方向を特定して、フォークリフト10が進行方向の先にある棚2のあるエリアに荷物Lを置いたと判定することもできる。
【0090】
次に、図11及び図12を参照して、フォークリフト10が複数の荷物Lから搬送対象物である荷物Lを保持し、複数の荷物Lからの荷物Lを特定する処理の変形例について説明する。車載機20は、図11に示すルーチンを、例えば10ミリ秒ごとの一定時間隔で繰り返し実行する。
【0091】
ステップS11からステップS15の処理は、図7と同様であるため、説明を省略する。
【0092】
ステップS36では、搬送対象物特定部41は、各RFIDタグ35-1~35-8からの反射信号が消えたか否かを判定する。ステップS36にて、反射信号が消えていないと判定された場合には、ステップS17に移行し、反射信号が消えたと判定された場合には、ステップS18に移行する。
【0093】
ここで、図12を参照すると、フォークリフト10が搬送している荷物L2,L3,L6,及びL7は、RFIDリーダ30との位置関係が変化していないので、反射信号の状態は変化していない。これに対して、フォークリフト10が搬送していない荷物L1,L4,L5,及びL8は、RFIDリーダ30の検出可能範囲外に位置している。そのため、RFIDリーダ30は、荷物L1,L4,L5,及びL8からの反射信号を読み取れなくなっている。
【0094】
よって、ステップS36では、荷物L2,L3,L6,及びL7について反射信号の状態が変化していないと判定してステップS17に移行し、荷物L1,L4,L5,及びL8について反射信号が消えたと判定してステップS18に移行する。
【0095】
ステップS17では、反射信号の状態が変化していない荷物L2,L3,L6,及びL7を、搬送対象物であると特定する。一方、ステップS18では、反射信号が消えた荷物L1,L4,L5,及びL8を、搬送対象物でないと特定する。
【0096】
このように、搬送対象物特定部41は、フォークリフト10が移動している状態で、荷物Lに設けられたRFIDタグ35からの反射信号を検出している場合に、当該RFIDタグ35が設けられた荷物Lを搬送していることを判定する。同時に、搬送対象物特定部41は、荷物Lに設けられたRFIDタグ35からの反射信号を検出しなくなった場合に、当該RFIDタグ35が設けられた荷物Lを搬送していないことを判定する。
【0097】
したがって、荷物Lに設けられたRFIDタグ35を作業者がスキャンすることなく、複数の荷物Lからフォークリフト10が搬送している搬送対象物である荷物Lを特定することができる。
【0098】
なお、図7及び図9に示すルーチンと同様に、図11に示すルーチンを、一定時間隔で繰り返し実行するのではなく、フォークリフト10の移動距離、若しくは移動距離に相当する時間に基づいて実行してもよい。これらの場合、図11のルーチンを実行する頻度を少なくできる。
【0099】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0100】
BLE通信部24がBLEアクティブタグ4から得られる信号の入射角度α,βと、その2つのBLEアクティブタグ4の位置情報とに基づいて、移動体位置特定部42がフォークリフト10の位置を特定する。BLEアクティブタグ4は、配線が不要であるため、倉庫1内のあらゆる位置に容易に設けることができる。そのため、倉庫1内に多くの荷物Lが置かれた場合にも、フォークリフト10の位置を特定できるようにBLEアクティブタグ4を設けることができる。したがって、倉庫1内の荷物Lの状況に関わらずフォークリフト10の位置を検出することができる。
【0101】
また、BLEアクティブタグ4は、配線が不要であるため、比較的安価である。そのため、倉庫1内にBLEアクティブタグ4を増設するためのコストを抑制できる。これにより、例えば、倉庫1内にてBLE通信部24がBLEアクティブタグ4と通信しにくい位置に、新たにBLEアクティブタグ4を増設することができる。
【0102】
また、搬送対象物特定部41は、フォークリフト10が移動している状態で、荷物Lに設けられたRFIDタグ35からの反射信号の位相が変化した場合に、当該RFIDタグ35が設けられた荷物Lを収納部5に置いたと判定する。
【0103】
よって、荷物Lに設けられたRFIDタグ35を作業者がスキャンすることなく、フォークリフト10が搬送していた搬送対象物である荷物Lを棚2の収納部5に置いたことを判定できる。また、搬送対象物であった荷物Lが置かれた位置情報を関連付けて車載機20に格納することができる。
【0104】
以上より、位置特定システム100では、BLE通信部とBLEアクティブタグ4との通信によってフォークリフト10の位置情報を取得でき、RFIDリーダ30がRFIDタグ35を読み取ることにより荷物Lを搬送していること及び置いたことを判定できる。したがって、作業者によるスキャン作業を必要とせずに、倉庫1における荷物Lの位置や入出庫を管理することができる。
【0105】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0106】
例えば、上記実施形態では、フォークリフト10が荷物Lを搬送するが、これに代えて、台車やハンドリフト等の他の移動体若しくは作業者が荷物Lを搬送してもよい。この場合、他の移動体若しくは作業者が、車載機20に相当する機器を保持する。
【0107】
また、上記実施形態では、倉庫1内にBLEアクティブタグ4を設け、車載機20にBLE通信部24を設けて、BLE方式の通信を行うことによってフォークリフト10の位置を特定している。これに代えて、例えば、UWB(Ultra Wide Band)方式の通信を行うことによってフォークリフト10の位置を特定するようにしてもよい。また、上記実施形態では、例えば屋内の倉庫1内にBLEアクティブタグ4を設けた例を説明したが、これには限定されず、屋外においてもBLEアクティブタグ4を所定の位置に設けることで、上述した車載機20を設けた移動体や作業者の位置を特定することができる。
【0108】
また、上記実施形態では、車載機20とコンピュータ50とが無線ルータ60を介して接続されているが、車載機20とコンピュータ50とがインターネットを介して接続されるようにしてもよい。
【0109】
また、コンピュータ50をインターネット上のクラウドサーバに接続し、車載機20及びコンピュータ50が実行主体である上記の各処理の実行主体をクラウドサーバとしてもよい。更に、上記の各処理の実行主体をクラウドサーバとする場合は、位置特定システム100がコンピュータ50を備えずに、車載機20等の各機器がインターネットを介してクラウドサーバに直接接続される構成としてもよい。
【0110】
また、車載機20及びコンピュータ50が実行する各種プログラムは、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体に記憶されたものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0111】
100 位置特定システム
1 倉庫
2 棚
3 通路
4 BLEアクティブタグ(位置特定用タグ)
5 収納部
10 フォークリフト(移動体)
11 本体部
12 マスト
13 フォーク(上下動部)
14 BLEアクティブタグ(高さ特定用タグ)
15 重量センサ(荷物保持状態検出器)
20 車載機
21 無線通信部
22 プロセッサ
23 記憶媒体
23a データベース
23b データベース
24 BLE通信部(タグ情報取得部)
30 RFIDリーダ(読取装置)
35 RFIDタグ(受動タグ)
41 搬送対象物特定部
42 移動体位置特定部
43 荷物位置特定部(対象物位置特定部)
50 コンピュータ
51 無線通信部
52 プロセッサ
53 記憶媒体
53a データベース
53b データベース
60 無線ルータ
L 荷物(対象物)
荷物(搬送対象物)
P パレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12