(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】単心双方向コントローラエリアネットワークバス
(51)【国際特許分類】
H04B 10/27 20130101AFI20221219BHJP
G02B 6/28 20060101ALI20221219BHJP
G02B 6/26 20060101ALI20221219BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
H04B10/27
G02B6/28 T
G02B6/26
G02B6/42
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018078802
(22)【出願日】2018-04-17
【審査請求日】2021-04-15
(32)【優先日】2017-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トルオン, テュオン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】コーシンツ, デニス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】チャン, エリック ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】グエン, キム クアン アン
(72)【発明者】
【氏名】レイミー, ショーン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン, ティモシー イー.
(72)【発明者】
【氏名】パン, バークハング ヘンリー
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-214887(JP,A)
【文献】特開2001-021751(JP,A)
【文献】特開2008-116962(JP,A)
【文献】特開2005-215678(JP,A)
【文献】特開2009-258679(JP,A)
【文献】特開2016-136382(JP,A)
【文献】特開2011-071638(JP,A)
【文献】特開平11-038260(JP,A)
【文献】W. Heinze et al.,Using a Fiber Optic CAN Bus for the Proton Source Control of the CERN PS-Linac,International Conference on Accelerator and Large Experimental Physics Control Systems,1997年11月17日,CERN-PS-97-066-CO-HP,pages 1-4,[検索日2022.04.06],インターネット<URL:https://www3.aps.anl.gov/News/Conferences/1997/icalepcs/paper97/p089.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/27
G02B 6/28
G02B 6/26
G02B 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ通信システムであって、
電気的に動作する複数のコントローラエリアネットワークノード、
前記複数のコントローラエリアネットワークノードのそれぞれのコントローラエリアネットワークノードに電気的に接続された複数の信号変換器であって、各信号変換器が、差動信号をデジタル信号に変換しデジタル信号を差動信号に変換する電気回路を備える、複数の信号変換器、
前記複数の信号変換器のそれぞれの信号変換器に電気的に接続された複数の送信光サブアセンブリであって、各送信光サブアセンブリが、それぞれの信号変換器からのデジタル信号を光パルスへ変換するそれぞれの送信器を備える、複数の送信光サブアセンブリ、
前記複数の信号変換器のそれぞれの信号変換器に電気的に接続された複数の受信光サブアセンブリであって、各受信光サブアセンブリが、光パルスをそれぞれの信号変換器に送られるデジタル信号へ変換するそれぞれの受信器を備える、複数の受信光サブアセンブリ、及び
前記複数のコントローラエリアネットワークノードが互いに通信することを可能にするための前記送信器と前記受信器に光学的に接続された光ファイバーネットワークであって、反射型光スターを備える、光ファイバーネットワークを備
え、
前記光ファイバーネットワークが、前記反射型光スターに光学的に接続された複数の光Yカプラを更に備え、各光Yカプラが、それぞれの信号変換器に関連付けられた前記送信器と前記受信器にそれぞれ光学的に接続された送信ブランチと受信ブランチを備え、更に、各光Yカプラの前記送信ブランチが、第1の側面を有する第1の光ファイバーを備え、各光Yカプラの前記受信ブランチが、前記第1の側面と接触するように対向する第2の側面を有する第2の光ファイバーを備え、各光Yカプラが、前記送信ブランチと前記受信ブランチの前記第1の側面と前記第2の側面との間に配置された反射材料の層を更に備え、
前記第1の光ファイバーが、第1の端面を有し、前記第2の光ファイバーが、第2の端面を有し、各光Yカプラが、前記第1及び第2の端面に光学的に接続された第3の端面を有する第3の光ファイバーを更に備え、
各光Yカプラは、前記第1の端面と前記第3の端面との間、及び、前記第2の端面と前記第3の端面との間に配置され、前記第1及び第2の端面において後方反射を消去するように構成された屈折率整合エポキシの層を更に備える、
システム。
【請求項2】
前記反射型光スタ
ーが、光混合ロッド、及び前記光混合ロッドの一端に配置された鏡を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
データ通信システムであって、
電気的に動作する複数のコントローラエリアネットワークノード、
前記複数のコントローラエリアネットワークノードのそれぞれのコントローラエリアネットワークノードに電気的に接続された複数の信号変換器であって、各信号変換器が、差動信号をデジタル信号に変換しデジタル信号を差動信号に変換する電気回路を備える、複数の信号変換器、
前記複数の信号変換器のそれぞれの信号変換器に電気的に接続された複数の送信光サブアセンブリであって、各送信光サブアセンブリが、それぞれの信号変換器からのデジタル信号を光パルスへ変換するそれぞれの送信器を備える、複数の送信光サブアセンブリ、
前記複数の信号変換器のそれぞれの信号変換器に電気的に接続された複数の受信光サブアセンブリであって、各受信光サブアセンブリが、光パルスをそれぞれの信号変換器に送られるデジタル信号へ変換するそれぞれの受信器を備える、複数の受信光サブアセンブリ、及び
前記複数のコントローラエリアネットワークノードが互いに通信することを可能にするための前記送信器と前記受信器に光学的に接続された光ファイバーネットワークであって、反射型光スターを備える、光ファイバーネットワークを備え、
前記複数のコントローラエリアネットワークノードの各々が、それぞれのコントローラエリアネットワークコントローラ、及び前記それぞれのコントローラエリアネットワークコントローラに電気的に接続されたそれぞれのコントローラエリアネットワークトランシーバを備え、前記コントローラエリアネットワークコントローラが、ビット単位の裁定を使用して通信するように構成されており、更に、各信号変換器が、
それぞれのコントローラエリアネットワークトランシーバのCANH端子及びCANL端子にそれぞれ接続された差動入力端子と、出力端子とを有する、第1の増幅器、
第1及び第2の入力端子と、出力端子とを有する、ORゲート、
前記第1の増幅器の前記出力端子に接続された第1の入力端子、前記ORゲートの前記出力端子から反転ビットを受信するように構成され接続された第2の入力端子、及びそれぞれの送信光サブアセンブリに接続された出力端子を有する、第1のANDゲート、
前記第1のANDゲートの前記出力端子から反転ビットを受信するように接続された第1の入力端子、それぞれの受信光サブアセンブリに接続された第2の入力端子、及び前記ORゲートの前記第1の入力端子に接続された出力端子を有する、第2のANDゲート、並びに
前記第2のANDゲートの前記出力端子に接続された入力端子、前記それぞれのコントローラエリアネットワークトランシーバの前記CANH端子に接続された第1の出力端子、及び前記それぞれのコントローラエリアネットワークトランシーバの前記CANL端子に反転電圧信号を出力するように構成され接続された第2の出力端子を有する、第2の増幅器を備える
、システム。
【請求項4】
前記第2のANDゲートの前記出力端子に接続された入力端子、及び前記ORゲートの前記第2の入力端子に接続された出力端子を有する、シフトレジスタを更に備える、請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
データ通信システムであって、
データを表す電気信号を送信及び受信するように構成された複数の電気デバイスであって、前記電気デバイスの各々が、メッセージの優先度を決定するためにビット単位の裁定を使用してメッセージをブロードキャストするように構成されたそれぞれのコントローラエリアネットワークコントローラ、及び前記それぞれのコントローラエリアネットワークコントローラに電気的に接続されたそれぞれのコントローラエリアネットワークトランシーバを備える、複数の電気デバイス、
複数の前記コントローラエリアネットワークトランシーバのそれぞれのコントローラエリアネットワークトランシーバに電気的に接続された複数の信号変換器であって、各信号変換器が、差動信号をデジタル信号に変換しデジタル信号を差動信号に変換する電気回路を備える、複数の信号変換器、
前記複数の信号変換器のそれぞれの信号変換器に電気的に接続された複数の送信光サブアセンブリであって、各送信光サブアセンブリが、それぞれの信号変換器からのデジタル信号を光パルスへ変換するそれぞれの送信器を備える、複数の送信光サブアセンブリ、
前記複数の信号変換器のそれぞれの信号変換器に電気的に接続された複数の受信光サブアセンブリであって、各受信光サブアセンブリが、光パルスをそれぞれの信号変換器に送られるデジタル信号へ変換するそれぞれの受信器を備える、複数の受信光サブアセンブリ、及び
複数のコントローラエリアネットワークノードが互いに通信することを可能にするための前記送信器と前記受信器に光学的に接続された光ファイバーネットワークであって、反射型光スターを備える、光ファイバーネットワークを備
え、
前記光ファイバーネットワークが、前記反射型光スターに光学的に接続された複数の光Yカプラを更に備え、各光Yカプラが、それぞれの信号変換器に関連付けられた前記送信器と前記受信器にそれぞれ光学的に接続された送信ブランチと受信ブランチを備え、更に、各光Yカプラの前記送信ブランチが、第1の側面を有する第1の光ファイバーを備え、各光Yカプラの前記受信ブランチが、前記第1の側面と接触するように対向する第2の側面を有する第2の光ファイバーを備え、各光Yカプラが、前記送信ブランチと前記受信ブランチの前記第1の側面と前記第2の側面との間に配置された反射材料の層を更に備え、
前記第1の光ファイバーが、第1の端面を有し、前記第2の光ファイバーが、第2の端面を有し、各光Yカプラが、前記第1及び第2の端面に光学的に接続された第3の端面を有する第3の光ファイバーを更に備え、
各光Yカプラは、前記第1の端面と前記第3の端面との間、及び、前記第2の端面と前記第3の端面との間に配置され、前記第1及び第2の端面において後方反射を消去するように構成された、屈折率整合エポキシの層を更に備える、
システム。
【請求項6】
前記反射型光スタ
ーが、光混合ロッド、及び前記光混合ロッドの一端に配置された鏡を備え、更に、前記複数の電気デバイスの各々が、それぞれのライン交換可能ユニットである、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
データ通信システムであって、
データを表す電気信号を送信及び受信するように構成された複数の電気デバイスであって、前記電気デバイスの各々が、メッセージの優先度を決定するためにビット単位の裁定を使用してメッセージをブロードキャストするように構成されたそれぞれのコントローラエリアネットワークコントローラ、及び前記それぞれのコントローラエリアネットワークコントローラに電気的に接続されたそれぞれのコントローラエリアネットワークトランシーバを備える、複数の電気デバイス、
差動電気信号を光パルスに変換するための手段、
光パルスを差動電気信号に変換するための手段、並びに
反射型光スター、及び差動電気信号を光パルスに変換するための前記手段と光パルスを差動電気信号に変換するための前記手段に前記反射型光スターを光学的に接続する複数の光導波路を備える、光ファイバーネットワークを備
え、
前記複数の光導波路が、前記反射型光スターに光学的に接続された複数の光Yカプラを更に備え、各光Yカプラが、差動電気信号を光パルスに変換するためのそれぞれの手段に関連付けられた送信器、及び、光パルスを差動電気信号に変換するためのそれぞれの手段に関連付けられた受信器、にそれぞれ光学的に接続されている送信ブランチと受信ブランチを備え、更に、各光Yカプラの前記送信ブランチが、第1の側面を有する第1の光ファイバーを備え、各光Yカプラの前記受信ブランチが、前記第1の側面と接触するように対向する第2の側面を有する第2の光ファイバーを備え、各光Yカプラが、前記送信ブランチと前記受信ブランチの前記第1の側面と前記第2の側面との間に配置された反射材料の層を更に備え、
前記第1の光ファイバーが、第1の端面を有し、前記第2の光ファイバーが、第2の端面を有し、各光Yカプラが、前記第1及び第2の端面に光学的に接続された第3の端面を有する第3の光ファイバーを更に備え、
各光Yカプラは、前記第1の端面と前記第3の端面との間、及び、前記第2の端面と前記第3の端面との間に配置され、前記第1及び第2の端面において後方反射を消去するように構成された、屈折率整合エポキシの層を備える、
システム。
【請求項8】
前記反射型光スターが、光混合ロッド、及び前記光混合ロッドの一端に配置された鏡を備える、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の電気デバイスの各々が、それぞれのライン交換可能ユニットである、請求項
7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、広くは、電気部品の間の通信を可能にする光ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
電気部品の間のデータ送信は、通常、電気ケーブルを備えたネットワークを介して実現される。アナログアビオニクスシステムでは、様々なシステムの構成要素の間で情報を伝達するために使用されるケーブルの数が、かなり多くなり得る。デジタルシステムでは、データバスを作り上げているワイヤーの単一の組に沿って、信号が送信される。バスは、ネットワークの一部分から別の一部分へデータがそこを通って送信されるところのワイヤーの集合である。バスシステムは、航空機に搭載された多様なアビオニクスシステムの間でデータを交換する効率的な手段を提供する。全てのバスは、アドレスバスとデータバスから成る。通常、航空機のバスシステムは、シリアルデータ転送を使用する。何故ならば、それが、航空機のケーブル敷設のサイズと重量を最小化するからである。
【0003】
あるシナリオでは、幾つかのライン交換可能ユニット(LRU)を互いに接続することが望ましい。例えば、輸送体(例えば、航空機)の前方セクション内の幾つかのLRUは、輸送体の後方セクション内の幾つかのLRUと接続され得る。各LRUを他の全てのLRUに接続することは、LRU間の不適切に多数の接続をもたらし得る。これらの接続の全てが、銅線の形態にあるならば、それらの接続の結果としての空間及び重量は、輸送体の重荷になり得る。電気データバスが、LRUを接続するために使用されてきた。
【0004】
より具体的には、電気コントローラエリアネットワーク(CAN)を使用して、(「CANバス」としても知られる)マルチマスターシリアルバスによって、(「CANノード」としても知られる)電気デバイスを互いに接続することが知られている。CANバスによって接続されるデバイスは、通常、センサ、アクチュエータ、及び他の制御デバイスである。例えば、電気コントローラエリアネットワークを使用して、多数のLRU間の通信を容易にすることが知られている。
【0005】
現在の航空機上の電気CANバスアセンブリは、少なくとも以下のものを含む、多くの望ましくない特性を有している。すなわち、(1)ケーブル上の二重シールドの持ち上げと再接続を含むTカプラの時間がかかる組み立て。(2)TカプラからLRUへの臨界スタブ長が、同じノード量を持つ別のCANバス用のバスアセンブリの再使用を妨げる。(3)CANの単純な電気信号は、Arinc 629ダブレットと比較して電磁効果(EME)から十分に保護されない。(4)インピーダンスの不一致を避けるために、ターミネータ/TカプラとTカプラ/ノードのインターフェースを注意深く取り扱う必要がある。並びに(5)不経済な修理、インピーダンスの不一致、及びバス反射などの、CANの操作上の問題は、より長い飛行に対してより悪化する。
【0006】
単一の光データバスは、LRU間の電気接続の重量とサイズの一部を低減させることができる。概して、ガラス光ファイバーとプラスチック光ファイバーなどの、光通信ファイバーは、電気配線よりも軽く、より小さい空間内に包含することができる。特に、プラスチック光ファイバーを使用する光ネットワーキングは、銅又は他の金属配線を使用するネットワークよりも優れた利点を提供し得る。プラスチック光ファイバーのカテゴリーは、プラスチッククラッドシリコン光ファイバー、シングルコアプラスチック光ファイバー、又はマルチコアプラスチック光ファイバーを含む。プラスチック光ファイバーネットワーキングは、より少ない設置及び保守費用を有し得る。更に、プラスチック光ファイバーは、同等量のデータを運ぶために必要であり得る金属配線よりも軽いので、プラスチック光ファイバーを使用することは、かなりの重量節約をもたらすことができる。その重量節約は、航空機などの輸送体に搭載されるネットワークにとって重要であり得る。その重量節約は、低減された燃料消費及びより低いエミッションをもたらし得る。
【0007】
現在、CAN信号の光ファイバー送信に対して、何らの業界標準も規定されていない。光CANバスに対して、業界の出版物、特許、及び製品が存在するが、それらは、以下のもののうちの1以上を使用する。すなわち、支配的なビット(dominant bit)と劣性ビット(recessive bit)の分離を維持するための送信と受信に対する個別のファイバー、ハブの単一点障害を伴うアクティブ光スター、及びダイクロイックミラーと2つの波長を用いた長さ延長用のポイントトゥポイント(2ノードバス)のデータの単心(single-fiber)双方向フローのリピーターである。
【0008】
光ファイバーネットワークを備えたCANバスの性能を高めるための改良を提供することが望ましいだろう。
【発明の概要】
【0009】
バスの製造及び設置に関する重量及び労力を低減させるために、且つ、種々のデータ速度とバス/スタブ長に関する多くのバス構成を最小化するために、CANバス性能を高めるための本開示の上位概念が、電気CANバス(例えば、ARINC 825)をパッシブ光CANバスへ変換する。本明細書で開示される光CANバスは、送信と受信の両方のための単心、送信と受信の両方のための単一の波長、パッシブ反射型光スター、及び高分離光Yカプラ(本明細書で以降「光Yカプラ」)を利用する。
【0010】
より具体的には、以下で詳細に開示される主題は、光ファイバーネットワークを備えたCANバスを介して通信する複数のCANノードを備えたコントローラエリアネットワーク(CAN)を対象とする。光ファイバーネットワークは、送信と受信に対して単心及び単一の波長を使用し、パッシブ反射型光スターを備える。パッシブ反射型光スターは、ブロードキャスト光パルスを受信し、それらを反射して全てのCANノードに向けて戻す。反射型光スターは、反射型光スターの一端に、一端に鏡を有する光混合ロッドを備える。反射型光スターの他端は、それぞれの高分離光Yカプラによって、(複数の送信光サブアセンブリと複数の受信光サブアセンブリを含む)複数の光電気メディア変換器の送信器と受信器に光学的に接続されている。各CANノードは、CANメッセージベースプロトコルに従って電気信号を生成する。その電気信号は、光ファイバーネットワークにブロードキャストされる光パルスへ変換される。その後、それらの光パルスは、反射型光スターによって全てのCANノードへ反射して戻される。
【0011】
反射型光スターは、それぞれの複数の光Yカプラによって複数の光電気メディア変換器の送信器と受信器にそれぞれ接続された光混合器を備える。各光電気メディア変換器は、それぞれの出力プラスチック光ファイバーによってそれぞれの光Yカプラの1つのブランチに光学的に接続されたそれぞれの受信器、及びそれぞれの入力プラスチック光ファイバーによってそれぞれの光Yカプラの他のブランチに光学的に接続されたそれぞれの送信器を備える。任意選択的に、ガラス光ファイバーが、プラスチック光ファイバーの代わりに使用され得る。
【0012】
一実施形態によれば、コントローラエリアネットワークは、それぞれのCANノードをそれぞれの送信光サブアセンブリ及びそれぞれの受信光サブアセンブリに接続するそれぞれの信号変換器を備え、それらのサブアセンブリは、今度は、光ファイバーと光Yカプラによって反射型スターカプラと光学的に接続される。以下で詳細に開示される例示的な実施形態によれば、CANノードは、航空機に搭載されたそれぞれのライン交換可能ユニット(LRU)内に組み込まれる。
【0013】
以下で詳細に開示される主題の一態様は、データ通信システムである。該データ通信システムは、電気的に動作する複数のコントローラエリアネットワークノード、複数のコントローラエリアネットワークノードのそれぞれのコントローラエリアネットワークノードに電気的に接続された複数の信号変換器であって、各信号変換器が、差動信号をデジタル信号に変換する(その逆もある)電気回路を備える、複数の信号変換器、複数の信号変換器のそれぞれの信号変換器に電気的に接続された複数の送信光サブアセンブリであって、各送信光サブアセンブリが、それぞれの信号変換器からのデジタル信号を光パルスへ変換するそれぞれの送信器を備える、複数の送信光サブアセンブリ、複数の信号変換器のそれぞれの信号変換器に電気的に接続された複数の受信光サブアセンブリであって、各受信光サブアセンブリが、光パルスをそれぞれの信号変換器に送られるデジタル信号へ変換するそれぞれの受信器を備える、複数の受信光サブアセンブリ、及び複数のコントローラエリアネットワークノードが互いに通信することを可能にするための送信器と受信器に光学的に接続された光ファイバーネットワークであって、反射型光スターを備える、光ファイバーネットワークを備える。ある実施形態によれば、光ファイバーネットワークは、反射型光スターに光学的に接続された複数の光Yカプラであって、各光Yカプラが、それぞれの信号変換器に関連付けられた送信器と受信器に、それぞれ、光学的に接続された送信ブランチと受信ブランチを備える、複数の光Yカプラを更に備える。提示される一実施態様では、各光Yカプラの送信ブランチは、第1の側面を有する第1の光ファイバーを備え、各光Yカプラの受信ブランチは、第2の側面を有する第2の光ファイバーを備える。第2の側面は第1の側面と接触するように対向し、各光Yカプラは、送信ブランチと受信ブランチの第1側面と第2の側面との間に配置された反射材料の層を更に備える。第1の光ファイバーは、第1の端面を有し、第2の光ファイバーは、第2の端面を有し、各光Yカプラは、第1及び第2の端面に光学的に接続された第3の端面を有する第3の光ファイバーを更に備える。反射型スターカプラは、光混合ロッド、及び光混合ロッドの一端に配置された鏡を備える。
【0014】
以下で詳細に開示される主題の別の一態様は、データ通信システムである。該データ通信システムは、データを表す電気信号を送信及び受信するように構成された複数の電気デバイスであって、電気デバイスの各々が、メッセージの優先度を決定するためにビット単位の裁定(bitwise arbitration)を使用してメッセージをブロードキャストするように構成されたそれぞれのコントローラエリアネットワークコントローラ、及びそれぞれのコントローラエリアネットワークコントローラに電気的に接続されたそれぞれのコントローラエリアネットワークトランシーバを備える、複数の電気デバイス、複数のコントローラエリアネットワークトランシーバのそれぞれのコントローラエリアネットワークトランシーバに電気的に接続された複数の信号変換器であって、各信号変換器が、差動信号をデジタル信号に変換する(その逆もある)電気回路を備える、複数の信号変換器、複数の信号変換器のそれぞれの信号変換器に電気的に接続された複数の送信光サブアセンブリであって、各送信光サブアセンブリが、それぞれの信号変換器からのデジタル信号を光パルスへ変換するそれぞれの送信器を備える、複数の送信光サブアセンブリ、複数の信号変換器のそれぞれの信号変換器に電気的に接続された複数の受信光サブアセンブリであって、各受信光サブアセンブリが、光パルスをそれぞれの信号変換器に送られるデジタル信号へ変換するそれぞれの受信器を備える、複数の受信光サブアセンブリ、及び複数のコントローラエリアネットワークノードが互いに通信することを可能にするための送信器と受信器に光学的に接続された光ファイバーネットワークであって、反射型光スターを備える、光ファイバーネットワークを備える。一実施形態によれば、複数の電気デバイスの各々は、それぞれのライン交換可能ユニットである。
【0015】
以下で詳細に開示される主題の更なる一態様は、データ通信システムである。該データ通信システムは、データを表す電気信号を送信及び受信するように構成された複数の電気デバイスであって、電気デバイスの各々が、メッセージの優先度を決定するためにビット単位の裁定を使用してメッセージをブロードキャストするように構成されたそれぞれのコントローラエリアネットワークコントローラ、及びそれぞれのコントローラエリアネットワークコントローラに電気的に接続されたそれぞれのコントローラエリアネットワークトランシーバを備える、複数の電気デバイス、差動電気信号を光パルスに変換するための手段、光パルスを差動電気信号に変換するための手段、並びに、反射型光スター、及び差動電気信号を光パルスに変換するための手段と光パルスを差動電気信号に変換するための手段に反射型光スターを光学的に接続する複数の光導波路を備える、光ファイバーネットワークを備える。ある実施形態によれば、複数の光導波路は、反射型光スターに光学的に接続された複数の光Yカプラであって、各光Yカプラが、差動電気信号を光パルスに変換するためのそれぞれの手段に関連付けられた送信器と光パルスを差動電気信号に変換するためのそれぞれの手段に関連付けられた受信器に、それぞれ、光学的に接続された送信ブランチと受信ブランチを備える、複数の光Yカプラを更に備える。
【0016】
更に別の一態様は、複数のノード間のコントローラエリアネットワーク通信のための方法である。該方法は、複数のノードのうちの1つからメッセージをブロードキャストすることであって、そのメッセージが、衝突検出に応じたビット単位の裁定を採用する通信プロトコルに従ってビットのシーケンスを表す送信差動電気信号を含む、ブロードキャストすること、その送信差動電気信号を光パルスに変換すること、その光パルスを反射型光スターに向けて反射型光スターの中へ誘導すること、その反射型光スターの内側で光パルスを反射すること、反射した光パルスを複数のノードに向けて誘導すること、反射した光パルスを受信差動電気信号に変換すること、及び各ノードで受信差動電気信号を受信することを含む。
【0017】
光ファイバーネットワークを備えたCANバスの他の態様が、以下で開示される。
【0018】
前述の特徴、機能、及び利点は、様々な実施形態において個別に実施することが可能であるか、又は更に別の実施形態において組み合わせることが可能である。先述の態様及び他の態様を示すために、図面を参照して、様々な実施形態が以下で説明される。このセクションで短く説明される図面の何れも、縮尺通りに描かれていない。
【0019】
図面では、(論理ゲート又は増幅器などの)電気デバイスを表すシンボル上の円は、バブルと呼ばれ、論理図において使用されて、外部論理状態と内部論理状態の間(1から0又はその逆)の論理否定を示す。正論理の慣習(すなわち、高電圧レベル=1)が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】基本的電気コントローラエリアネットワークの(高レベルでの)1つの構成を表す図である。
【
図2】多数のLRUが互いに通信することを可能にする電気CANバスの典型的なトポロジーを表す図である。
【
図3A】電気CANバスの2つのCANノード間のビット単位の裁定を示す図である。
【
図3B】CANバスの2つの反転論理状態(すなわち、支配的と劣性)に対応する差動電圧レベル(CANH及びCANL)の物理的なビット表現である。
【
図4A】一実施形態による、送信モードにおける光コントローラエリアネットワークの一部の構成要素を表す(ブロック図の要素と論理回路図の要素を組み合わせた)ハイブリッド図である。
【
図4B】一実施形態による、受信モードにおける光コントローラエリアネットワークの一部の構成要素を表す(ブロック図の要素と論理回路図の要素を組み合わせた)ハイブリッド図である。
【
図5】一実施形態による、反射型光スターを備えた光コントローラエリアネットワークを表すハイブリッド図である。
【
図6】内側反射によって入射光の伝播を促進する光Yカプラを表す図である。右を指している矢印は、送信光サブアセンブリから反射型光カプラに向けて伝播する光パルスを表し、左を指している矢印は、反射型光カプラから受信光サブアセンブリに向けて伝播する光パルスを表す。
【
図7A】提示される例示的な一実施態様による、ファイバー束及び反射型光スターアセンブリの一部の構成要素の分解組立図である。
【
図7B】
図7Aで部分的に描かれた、提示される例示的な一実施態様による、部分的に組み立てられたファイバー束及び反射型光スターアセンブリの構成要素の等角図である。
【
図7C】
図7A及び
図7Bで部分的に描かれた、提示される例示的な一実施態様による、完全に組み立てられたファイバー束及び反射型光スターアセンブリの構成要素の等角図である。
【
図8】
図7Cで描かれた、完全に組み立てられたファイバー束及び反射型光スターアセンブリの様々な構成要素の形状を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下で図面を参照する。異なる図中の類似の要素に同一の参照番号が付されている。
【0022】
光ファイバーネットワークを備えたCANバスの例示的な実施形態が、以下でやや詳細に説明される。しかし、実際の実施態様の全ての特徴が本明細書に記載されているわけではない。当業者であれば、そのような実際の実施形態の開発においては、それぞれの実施態様によって異なるシステム関連の制約の遵守、ビジネスに関連した制約の遵守などの、開発者のそれぞれの目的を達成するためには、多数の実施態様に特化した判断を行う必要があることを理解するだろう。更に、このような開発のための労力は複雑であり、時間がかかるものであるが、本開示の利点を有する当業者にとっては、取り組むべき所定の事柄であることを理解されたい。
【0023】
本明細書で提示される技術は、コントローラエリアネットワークにおいて電気データバスの代わりに反射型光スターを有する光ファイバーネットワークで代替することを含む。航空機のLRU(各LRUはCANノードを組み込んでいる)間の光通信を可能にするための光ファイバーネットワークの様々な実施形態が、例示目的で以下で詳細に説明されることとなる。しかし、光ファイバーネットワークを備えたコントローラエリアネットワークの実施態様は、航空機の環境だけに限定されるのではなく、むしろ他の種類の輸送体に搭載されたコントローラエリアネットワークにおいて利用され得る。以下で詳細に開示される光CANバスの実施形態も、電気デバイスがそれぞれのCANノードを組み込むように構成されるとすれば、LRU以外の電気デバイスのネットワークにおける用途を有する。
【0024】
コントローラエリアネットワークの基本及び動作原理に関する技術的な詳細が、出版されてきた。しかし、参照により組み込むことなしに適切な開示を行うために、基本的なCANバスの一実施態様の短い説明が、
図1を参照しながら本明細書で以降、説明されることとなる。
【0025】
図1は、CANバス2のバスライン2a及び2bに接続された複数のN CANノードを備えた、コントローラエリアネットワークを表している図である。CANバスは、信号反射を妨げるためにそれぞれの抵抗器4a及び4bによって各端で終端する。N CANノードの各々は、それぞれのプロセッサ8、それぞれのCANコントローラ10、及びそれぞれのCANトランシーバ12を備える。代替的な実施態様では、CANコントローラが、プロセッサ内に埋め込まれているか又はトランシーバ内に埋め込まれていてもよい。後者の事例では、結果としての構成要素が、本明細書で「CANコントローラ/トランシーバ」と称されることとなる。
図1で描かれている実施態様によれば、プロセッサ8とCANトランシーバ12は、CANコントローラ10によって互いに(電気的に)通信する。各CANトランシーバ12は、一組のスタブ6a及び6bによって、CANバス2のバスライン2a及び2bと電気的に接続されている。バスライン2a及び2bとスタブ6aと6bは、導電性ワイヤーを備える。
【0026】
CAN通信プロトコルによれば、各CANノードは、メッセージを送受信することができるが、同時にはできない。メッセージ又はフレームは、主として、メッセージの優先度を表す識別子と多数のデータバイトから成る。メッセージは、CANトランシーバ12によってCANバス2へ連続的に送信され、全てのCANノードによって受信され得る。CANバス2に接続された各CANノードは、メッセージを送る試みの前に、規定された非活動期間だけ待つ。衝突があるならば(すなわち、2つのノードが、同時にメッセージを送ろうとしたら)、その衝突は、メッセージの識別子フィールド内の各メッセージの予めプログラムされた優先度に基づいて、ビット単位の裁定を通じて解決される。最も高い優先度の識別子を含むメッセージが、常に、バスのアクセスを勝ち取る。
【0027】
未だ
図1を参照すると、CAN通信は双方向である。プロセッサ8は、受信したメッセージが何を意味するか、及び、それが如何なるメッセージを伝えたいかを決定する。(
図1では示されていない)センサ、アクチュエータ、及び制御デバイスが、プロセッサ8に接続され得る。送信中、CANコントローラ10は、(1以上の)送信メッセージをCANトランシーバ12に送る。CANトランシーバ12は、バスが自由に使えるときにCANバス2へ連続的にビットを送信する。受信中、CANトランシーバ12は、CANバスレベルからCANコントローラ10が使用するレベルへ、データストリームを変換する。送信中、CANトランシーバ12は、CANコントローラ10からのデータストリームをCANバスレベルへ変換する。より具体的には、CANトランシーバ12の内側の(
図1で示されていない)ドライバーが、TXD端子へのデジタル入力をCANH及びCANL端子への差動出力に変換する。CANトランシーバ12の内側の(
図1で示されていない)受信器は、CANH及びCANLからの差動信号をRXD端子へのデジタル出力に変換する。CANトランシーバ12の内側では、ドライバーのCANH及びCANL端子が、受信器の入力に内部で結合されている。それは、各送信ノードがそれ自身の送信の各ビットを常にモニタすることを可能にする。
【0028】
上述のCANノードは、ライン交換可能ユニット(LRU)などの、様々な種類の電気デバイスに組み込まれ得る。
図2は、(それぞれ、LRU
1、LRU
2、…、LRU
n-1、LRU
nと指定されている)多数のn LRU)が互いに通信することを可能にする電気CANバスの典型的なトポロジーを表す図である。各LRUは、以前に説明された種類のCANノードを組み込む。更に、各LRUは、それぞれのLRU-スタブコネクタ14、それぞれのスタブケーブル6、及びそれぞれのスタブ‐バスコネクタ16によって、CANバス2に接続されている。CANバス2の左部分のワイヤーは、プロダクションブレークコネクタ18によって、CANバス2の右部分のワイヤーと電気的に接続され得る。一実施態様によれば、各スタブ‐バスコネクタ16は、CANバス2をスタブケーブル6に接続するガルバニックスプライスであり、バスの各ノードに対して1つのスプライスである。スプライシングの手順は、貴重な製造時間を占める。何故ならば、シールドを分離する必要があるからである。信号ワイヤーは、スプライスされ、その後に、シールドはヒートシンク及び保護スリーブを用いて接続されて元に戻される。
【0029】
図3A及び
図3Bは、非破壊ビット単位裁定を実現するために支配的なビットが劣性ビットをオーバードライブする、電気バスのためのCANバスプロトコルを示している。
図3Aは、電気CANバスの2つのCANノード間のビット単位の裁定を示す図である。
図3Bは、CANバスの2つの反転論理状態(すなわち、支配的及び劣性)に対応する差動電圧レベル(CANH及びCANL)の物理的なビット表現である。
【0030】
図3Bで見られるように、CANバス2は、デバイスの電力供給された動作中に2つの状態を有する。すなわち、支配的(論理的0)と劣性(論理的1)である。支配的なバス状態は、各CANノード内に組み込まれたCANコントローラ10の(
図1で示された)TXD及びRXD端子の論理的ロー(logic low)に対応して、バスが差動的に駆動される(すなわち、CANHとCANLラインの電圧における差がV
diff(D)である)ときである。劣性のバス状態は、TXD及びRAD端子の論理的ハイ(logic high)に対応して、CANバス2が、CANトランシーバ12の内側の(図示せぬ)受信器の高抵抗内部入力抵抗器を介してバイアスされる(すなわち、CANHとCANLラインの電圧における差がV
diff(R)である)ときである。
【0031】
1つのCANノードだけが、任意の所与の時間にデータメッセージを送信することができる。2つのCANノードが、CANバス2に同時にアクセスしようとするならば、その争いは、無損失ビット単位裁定を使用して解決される。無損失とは、裁定で勝ったCANノードが、別の1つのCANノードによってメッセージが破壊され又は悪化されることなく、そのメッセージを送信し続けることを意味する。CAN裁定プロセスは、CANコントローラ10によって自動的に取り扱われる。優先度は、各CANフレームの開始において全てのCANノードによって送信された11ビットの識別子に基づいて、それぞれのCANノードに割り当てられる。最も低い識別子を有するCANノードは、フレームの開始においてより多くのゼロを送信し、そのノードは、裁定に勝ち又は最も高い優先度が与えられる。支配的なビットは、常に、CANバスの劣性ビットを上書きする。
【0032】
CANビット単位裁定の一実施例が、
図3Aに示されている。上側の部分は、時間間隔の間にノードAによって生成されているビットのシーケンスを表し、中間の部分は、同じ時間間隔の間にノードBによって生成されているビットのシーケンスを表し、下側の部分は、ビット単位裁定プロセスの結果として、CANバス2に送信されたビットのシーケンスを表している。各ノードは、それ自身の送信を連続的にモニタするので、ノードBの劣性ビットは、ノードAのより高い優先度の支配的なビットによって上書きされ、ノードBは、バスの状態がノードBが送信したビットに合致しないことを検出する。したがって、ノードBは、ノードAがそのメッセージを継続している間に送信を停止する。メッセージを送信する別の1つの試みは、一旦、バスがノードAによって解放されたならば、ノードBによって行われる。
図3Aで見られるように、この試みは成功する。
【0033】
バスの製造及び設置に関する重量及び労力を低減させるために、且つ、種々のデータ速度とバス/スタブ長に関する多くのバス構成を最小化するために、
図2で示されている電気CANバス2は、パッシブ光CANバスによって置き換えられる。
図4A及び
図4Bは、一実施形態による、送信モード(
図4A)と受信モード(
図4B)にある光コントローラエリアネットワークの一部の構成要素を特定している。光コントローラエリアネットワークは、(
図4A及び
図4Bでは示されていない)パッシブ反射型光カプラに動作可能に接続された複数の電気CANノードを備える。各電気CANノードは、それぞれの信号変換器24によってそれぞれの送信光サブアセンブリ26(TOSA)及びそれぞれの受信光サブアセンブリ28(ROSA)に動作可能に接続されたそれぞれのCANコントローラ/トランシーバ22を備える。より具体的には、信号変換器24が、CANコントローラ/トランシーバ22から受信したCANH及びCANL電圧信号を、送信光サブアセンブリ26に送られる電気論理ビットへ変換し、受信光サブアセンブリ28から受信した電気論理ビットを、CANコントローラ/トランシーバ22に送られるCANH及びCANL電圧信号へ変換する。
【0034】
図4A及び
図4Bで描かれている信号変換器24は、以下の電気部品を備える。すなわち、(a)CANコントローラ/トランシーバ22のCANH端子及びCANL端子にそれぞれ接続された差動入力端子と、出力端子とを有する、第1の増幅器40、(b)第1及び第2の入力端子と出力端子を有するORゲート48、(c)第1の増幅器40の出力端子に接続された第1の入力端子、ORゲート48の出力端子から反転ビットを受信するように構成され接続された第2の入力端子、及び送信光サブアセンブリ26に接続された出力端子を有する、第1のANDゲート42、(d)第1のANDゲート42の出力端子から反転ビットを受信するように接続された第1の入力端子、受信光サブアセンブリ28に接続された第2の入力端子、及びORゲート48の第1の入力端子に接続された出力端子を有する、第2のANDゲート44、(e)第2のANDゲート44の出力端子に接続された入力端子、CANコントローラ/トランシーバ22のCANH端子に接続された第1の出力端子、及びCANコントローラ/トランシーバ22のCANL端子に反転電圧信号を出力するように構成され接続された第2の出力端子を有する、第2の増幅器46、並びに(f)ANDゲート44の出力端子接続された入力端子、及びORゲート48の第2の入力端子に接続された出力端子を有する、シフトレジスタ50である。シフトレジスタ50は、第2のANDゲート44の出力端子から第1のANDゲート42の第2の入力端子への内部ループ内の信号に対して伝播時間遅延を提供する。
【0035】
一実施形態によれば、
図4A及び
図4Bは、電気CANバス内の支配的/劣性ビット挙動が、光ドメイン内で如何にして実現されるかを示している。ノードからの劣性状態出力は、光パルスが全く送信されていないことを意味する。ノードからの支配的状態出力は、光パルスが送信されていることを意味する。ANDゲート42によって出力されたビットは、反転されて、ANDゲート44へフィードバックされる。その後、ANDゲート44によって出力されたビットは、ORゲート48を介して、ANDゲート42へループバックされて、送信及び受信光サブアセンブリ26、28を介してCANコントローラ/トランシーバ22と通信するように接続され構成された、他のCANコントローラ/トランシーバ(
図5参照)を見つけ出す。異なる幾つかの支配的状態ビット(すなわち、光パルス)を有する光送信器からの衝突は、支配的なCAN信号が如何に挙動することになっているかに類似する。すなわち、CANフレームの開始においてより多くの連続的な光パルスを送信する送信器が、裁定に勝ちそのメッセージの送信を継続する。
【0036】
図4Aで描かれている構成要素の構成は、多数のCANコントローラ/トランシーバを単一の反射型光スターに接続するために使用され得る。
図5は、反射型光スター32に動作可能に接続された多数のCANコントローラ/トランシーバ22aから22n(nは、3以上の整数である)を描いている。CANコントローラ/トランシーバ22aは、信号変換器24a、送信光サブアセンブリ26a、受信光サブアセンブリ28a、並びに送信及び受信光サブアセンブリ26a、28aにそれぞれ光学的に接続された2つのブランチを有する光Yカプラ30aによって、反射型光スター32と動作可能に接続されている。CANコントローラ/トランシーバ22bは、信号変換器24b、送信光サブアセンブリ26b、受信光サブアセンブリ28b、並びに送信及び受信光サブアセンブリ26b、28bにそれぞれ光学的に接続された2つのブランチを有する光Yカプラ30bによって、反射型光スター32と動作可能に接続されている。CANコントローラ/トランシーバ22nは、信号変換器24n、送信光サブアセンブリ26n、受信光サブアセンブリ28n、並びに送信及び受信光サブアセンブリ26n、28nにそれぞれ光学的に接続された2つのブランチを有する光Yカプラ30nによって、反射型光スター32と動作可能に接続されている。
図5で描かれている実施形態によれば、信号変換器24aから24nの各々は、
図4において破線の矩形の内側で描かれている構成要素を備える。更に、光Yカプラは、プラスチック光ファイバー(
図5のPOF)によって、送信及び受信光サブアセンブリ、並びに反射型光スターと動作可能に接続されている。
【0037】
光ファイバーは、その軸に沿って光を送信する円筒状導波管である。ファイバーは、透明なクラッディング層(本明細書で以降、「クラッディング」)によって囲まれた透明なコアから成る。それらの両方は、誘電体から作られている。光は、内部全反射の現象によってコアの中に保たれる。光信号をコア内に閉じ込めるために、コアの屈折率は、クラッディングのものよりも大きい。コアとクラッディングの間の境界は、ステップ型ファイバーのように急なものであるか、グレーデッドインデックスファイバーのように漸進的であるかの何れかである。本明細書で開示される実施形態は、プラスチック光ファイバーを採用する。プラスチック光ファイバーは、高い送信能力、電磁干渉により引き起こされるノイズに対する耐性、軽量さ、高い機械的強度、及び優れた柔軟性を有する。更に、プラスチック光ファイバーは、ガラス光ファイバーと比較して直径が大きい。それらのより大きな直径のために、プラスチック光ファイバーは、ガラス光ファイバーが有するよりもファーバーの位置ずれに対するより高い許容誤差を有する。この大きい位置ずれ許容誤差のために、プラスチック光ファイバーベースのネットワークは、より低い保守及び設置費用を有する。航空宇宙プラットフォームでは、更に、プラスチック光ファイバーが、アビオニクスネットワークで使用されるコネクタ及びトランシーバ部品の費用を大幅に低減させる。代替的な実施形態では、ガラス光ファイバーが、プラスチック光ファイバーの代わりに使用され得る。
【0038】
本明細書で開示される実施形態によれば、反射型光スター32は、光Yカプラ30aから30nを使用して、CANコントローラ/トランシーバ毎に1つのプラスチック光ファイバー(POF)だけを用いて、CANコントローラ/トランシーバ22aから22nと動作可能に接続されている。したがって、反射型光スター32を使用することによって、CANバスの任意の支配的な信号(光パルス)が、送り手自身の受信器によって、更に、CANバスの全ての他の受信器によっても見られ、それらは、全ての劣性信号の送り手に優先度で勝る。
【0039】
図6は、一実施形態による、光Yカプラ30を表す図である。光Yカプラ30は、3つのプラスチック光ファイバー52、54、及び56を備える。
図6では描かれていないが、プラスチック光ファイバー52及び54の端面52a及び54aは、プラスチック光ファイバー56の端面56aに結合され光学的に接続されることとなる。光Yカプラ30は、内部反射によって入射光の伝播を促進するように設計されている。
図6において右を指している矢印Tは、光Yカプラ30を通って左から右へ(例えば、送信光サブアセンブリ26から反射型光スター32へ)伝播する光を表し、一方、左を指している矢印Rは、右から左へ(例えば、反射型光スター32から送信光サブアセンブリ26に関連付けられた受信光サブアセンブリ28へ)伝播する光を表している。光Yカプラ30は、CANノードの反射型光スター32への単心接続を可能にする。提示された一実施態様の一実施例によれば、
図5で見られるように、(
図6では示されていない)単一の1mm直径のプラスチック光ファイバーが、各光Yカプラ30のプラスチック光ファイバー56から反射型光スター32への双方向データ送信のために使用される。同様に、
図5で示されているように、プラスチック光ファイバー52及び54によって形成される送信ブランチと受信ブランチは、それぞれ、送信及び受信光サブアセンブリ26及び28に接続するそれぞれの1mm直径のプラスチック光ファイバースタブと光学的に接続される。
【0040】
上述の提示された一実施態様によれば、プラスチック光ファイバー52、54、及び56は、各々が、プラスチック光ファイバー52、54のそれぞれの端セクションに沿った部分を除いて、1mmの直径を有する。プラスチック光ファイバー52及び54の各々は、それぞれの端セクションを備え、それらの端セクションでは、それぞれの平坦面とそれぞれの半円形端面52a及び54aを形成するために、ファイバー材料が除去されている。端セクションは、プラスチック光ファイバー52及び54の円形断面が非円形に遷移するところで開始し、それぞれ、半円形端面52a及び54aにおいて終端する。より具体的には、プラスチック光ファイバー52の端セクションは、端面52aに交差し端面52aに垂直な第1の側面を形成するように形作られ、一方、プラスチック光ファイバー54の端セクションは、端面54aに交差し端面54aに垂直な第2の側面を形成するように形作られる。これらの側面は、銀などの反射材料58の薄い層の両側の表面に結合されている。反射材料58の薄い層は、プラスチック光ファイバー52と54のそれぞれの端セクションの間のクロストークを妨げる。プラスチック光ファイバー52と54の半円形端面52aと54aは、組み合わされて、(
図6では示されていない)屈折率整合エポキシによってプラスチック光ファイバー56の円形端面56aに結合され光学的に接続される、円形端面を形成する。この屈折率整合エポキシは、送信光サブアセンブリ26から同じCANノードの関連付けられた受信光サブアセンブリ28へのクロストークをもたらし得る、半円形端面54aにおいて後方反射を消去する。
【0041】
提示された例示的な一実施態様によるPOF束及び反射型光スターアセンブリの構造は、今や、
図7Aから
図7Cを参照しながら説明されることとなる。
【0042】
図7Aは、以下の構成要素を示している分解組立図である。すなわち、(
図7Aで視認できる未加工の端を除いて)保護ジャケット64によって囲まれた多数の(この実施例では7つの)プラスチック光ファイバー62を備えたファイバー束60、ファイバー束60の端部分が組み立ての間に内部に挿入されることとなるファイバー束スリーブ66、六角形状の断面プロファイルを有する光混合ロッド68、及び光混合ロッド68が組み立ての間に内部に挿入されることとなる混合ロッドスリーブ70である。光混合ロッド68の第1の端面65は、磨かれ、7つのプラスチック光ファイバー64の端面と光学的に接続されることとなる。光混合ロッド68の第2の端面は、鏡67を形成する反射材料の薄いフィルムで被覆されている。
【0043】
図7Bは、
図7Aで描かれた構成要素を有する、部分的に組み立てられたファイバー束及び反射型光スターアセンブリの構成要素の等角図である。ファイバー束60の端部分(その端部分は、プラスチック光ファイバー64の未加工の端を含む)は、ファイバー束スリーブ66によって囲まれている。プラスチック光ファイバー64の未加工の端を受容するファイバー束スリーブ66の軸方向部分は、プラスチック光ファイバー64の未加工の端を拘束するファイバー束スリーブ66の軸方向部分内でテーパが付けられた内面を有する。光混合ロッド68は、混合ロッドスリーブ70によって囲まれている。
図7Bは、ファイバー束スリーブ66と混合ロッドスリーブ70が間隙によって分離されていることを示している。最終的な組み立てでは、ファイバー束スリーブ66と混合ロッドスリーブ70の端面が、互いに当接し、プラスチック光ファイバー64の端面は、光混合ロッド68の端面65と結合され光学的に接続されることとなる。
【0044】
図7Cは、
図7A及び
図7Bで部分的に描かれた、提示される例示的な一実施態様による、完全に組み立てられたファイバー束及び反射型光スターアセンブリの構成要素の等角図を示している。最終的な組み立てでは、ファイバー束スリーブ66と混合ロッドスリーブ70の端面が、互いに当接する。更に、プラスチック光ファイバー64の端面は、(
図7Cでは視認できない)屈折率整合エポキシによって、光混合ロッド68の端面65と結合され光学的に接続されている。光混合ロッド68の機能は、7つのプラスチック繊維64のうちの何れか1つから伝播する全ての電磁気モードを混合する。それによって、鏡67による反射の後で、反射した電磁気放射が、全ての7つのプラスチック光ファイバー64に均一に分配されることとなる。ファイバー束スリーブ66と混合ロッドスリーブ70は、今度は、スター外側ハウジング72によって囲まれる。
【0045】
図8は、
図7Cで描かれた、完全に組み立てられたファイバー束及び反射型光スターアセンブリの様々な構成要素の形状を表している図である。ファイバー束スリーブ66と混合ロッドスリーブ70の外径は等しい。スター外側ハウジング72は、スリーブの外径よりも大きい内径を有する円筒である。スター外側ハウジング72には、スター外側ハウジング72とスリーブとの間への接着剤の注入のために、アクセス孔74が設けられている。ファイバー束スリーブ66は、それぞれ、比較的小さい及び比較的大きい内径を有する2つの円筒セクションを備える。比較的大きい内径を有する円筒セクションは、ファイバー束60のジャケット部分を囲み、一方、比較的小さい内径を有する円筒セクションは、プラスチック光ファイバー64の未加工の端を囲む。提示される一実施態様では、プラスチック光ファイバー64が、1mmの外径を有する。混合ロッドスリーブ70の内径は、
図8において破線の円によって示されている。光混合ロッド68の断面プロファイルは、
図8において破線の円の内側の破線の六角形によって示されている。破線の六角形の内側の7つのプラスチック光ファイバー64の端面の位置は、ファイバーの全てが光混合ロッド68の第1の端面65と光学的に接続されているという事実を表している。
【0046】
提示される例示的な一実施態様によれば、各信号変換器24(
図4A参照)は、それぞれの光電気メディア変換器と電気的に接続されている。各光電気メディア変換器は、それぞれの信号変換器24から受信した電気信号を反射型光スター32の光混合ロッド68に送られる光信号へ変換するためのレーザーを有するそれぞれの送信器、及び光混合ロッド68から受信した光信号をそれぞれの信号変換器24に送られる電気信号へ変換する光検出器を有するそれぞれの受信器を備える。
【0047】
上述された用途で使用されるために適切なCANノードの構成要素(SN65HVD26x CAN トランシーバなど)は、Texas Instruments Inc. から購入することができる。
【0048】
本明細書で開示される光CANバスは、送信と受信のための単心、送信と受信のための単一の波長、及びアクティブスターにおけるように単一点電子故障を避けるためのパッシブ反射型光スターを使用する。提示される一実施態様によれば、単一の1mm直径のPOFが、送信ブランチと受信ブランチの間の高度の隔離を有する光Yカプラによって、1つのLRUから反射型光スターへの双方向のデータ送信のために使用される。それらのブランチは、一組の1mm直径POFスタブにも光学的に接続されている。アセンブリは、スプライスもターミネータもなく、パッシブ反射型光スターとPOFスタブとの間のコネクタもない、単一の光ファイバーバスを提供する。結果としての光CANバスは、選択されたバス速度とは無関係に、且つ、反射型光スターからLRUの内側のCANノードへの距離とは無関係に機能する。
【0049】
本明細書で開示される光CANバスは、任意の可動プラットフォーム(自動車、戦車、飛行機、ヘリコプター、宇宙船など)で採用されることができ、EMEを除去し、電気CANバスの制限に関連付けられた、重量、サイズ、及び製造時間を低減する。
【0050】
様々な実施形態を参照して光ネットワーキングシステムを説明してきたが、当業者であれば、本明細書の教示から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、その要素を均等物と置換することができることを理解されよう。加えて、それぞれの状況に対しては、本明細書で開示される実践に概念及び簡素化を適合させるために、多数の修正例が可能となり得る。そのため、特許請求の範囲の対象である主題が開示されている実施形態に限定されないことが意図されている。
【0051】
特許請求の範囲で使用される際に、「光導波路」という用語は、導波管を通って伝播する電磁放射を誘導するように構成された以下の種類の要素のうちの少なくとも1つを含む。すなわち、光ファイバー、光コネクタ、光Yカプラ、及び光混合ロッドである。
【0052】
更に、(特許請求の範囲で挙げられる)「差動電気信号を光パルスに変換する」機能を実行する(本明細書で上述された)対応する構造体は、信号変換器24、送信光サブアセンブリ26、及びそれらの等価物を備え、(特許請求の範囲で挙げられる)「光パルスを差動電気信号に変換する」機能を実行する(本明細書で上述された)対応する構造体は、信号変換器24、受信光サブアセンブリ28、及びそれらの等価物を備える。