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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】撮影装置及びその作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018099493
(22)【出願日】2018-05-24
(65)【公開番号】P2019201952
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】竹野 耕平
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-042197(JP,A)
【文献】特表2013-512441(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0028997(US,A1)
【文献】国際公開第2008/151155(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の波長区間を切り替えて階段状に掃引した光を出力する光源と、
前記光源からの光を測定光と参照光とに分岐する光分岐手段と、
前記測定光を測定対象の2次元領域に照射する照射手段と、
2次元状に配置された受光素子を含み構成され、前記測定対象からの前記測定光の戻り光と前記参照光とを干渉させることにより得られる干渉光を所定の露光タイミングで検出する検出手段と、
前記所定の露光タイミングが前記単一の波長区間内になるように、前記光源の動作と前記検出手段の動作とを連動させる制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
記制御手段は、前記光源から出力する前記光の波長を変更する動作と、前記検出手段の露光動作と、を連動させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、発生させたトリガー信号を用いて、前記光源の動作と前記検出手段の動作とを連動させる制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記トリガー信号を用いた前記制御により、現在の動作を中断し、改めて当該動作を開始することを特徴とする請求項に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記検出手段の動作に基づき前記トリガー信号を発生させることを特徴とする請求項に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記検出手段が前記干渉光を検出することにより得た干渉信号に基づく干渉画像の輝度情報をリファレンス画像の輝度情報と比較した結果に基づいて、前記光源から出力する前記光の波長を変更する動作の前記制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記制御手段によって動作が前記制御された前記検出手段において前記干渉光を検出することにより得た干渉信号を用いて、前記測定対象の断層画像を生成する生成手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項8】
単一の波長区間を切り替えて階段状に掃引した光を出力する光源と、前記光源からの光を測定光と参照光とに分岐する光分岐手段と、前記測定光を測定対象の2次元領域に照射する照射手段と、2次元状に配置された受光素子を含み構成され、前記測定対象からの前記測定光の戻り光と前記参照光とを干渉させることにより得られる干渉光を所定の露光タイミングで検出する検出手段と、を備える撮影装置の作動方法であって、
前記撮影装置が、前記所定の露光タイミングが前記単一の波長区間内になるように、前記光源の動作と前記検出手段の動作とを連動させる制御を行うことを特徴とする撮影装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を用いて測定対象の撮影を行う撮影装置及びその作動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生体等の測定対象における断層画像を非破壊、非侵襲で取得する方法として、光干渉断層撮影法(Optical Coherence Tomography,以下、「OCT」と呼ぶ)が実用化されている。このOCTの主要な応用先の1つである眼科の分野においては、眼底の断層画像が、緑内障や網膜疾患といった疾病の診断を的確に行うのに有用であり、診断には欠かせないものとなっている。
【0003】
OCTは、光源からの光を測定光と参照光とに分岐させた後、測定対象からの測定光の戻り光と参照鏡から反射した参照光とを干渉させ、その干渉光の強度を解析することによって測定対象の断層画像を得るものである。このOCTを用いた光干渉断層撮影装置としては、参照鏡の位置を変えることで測定対象の深さ情報を得るタイムドメインOCT(Time Domain OCT:TD-OCT)装置、干渉光を分光し、深さ情報を周波数情報に置き換えて取得するスペクトラルドメインOCT(Spectral Domain OCT:SD-OCT)装置、先に波長を分光して出力する波長掃引型(波長走査型(波長スキャン型))OCT(Swept Source OCT:SS-OCT)装置等が知られている。なお、SD-OCTとSS-OCTは、総称してFD-OCT(Fourier Domain OCT)とも呼ばれる。
【0004】
近年では、例えば眼科用のOCT装置において撮影の高速化が望まれており、例えばSS-OCTでは、高速化の実現のために波長掃引(波長スキャン)が可能な光源を搭載することで、撮影時間を短縮する開発が行われている。
【0005】
また、OCT装置の撮影の高速化を実現する他の方法として、測定対象に対して測定光を点ではなく2次元領域で照射し、測定対象からの測定光の戻り光を2次元センサーで受光する全視野型OCT(Full Field OCT:FF-OCT)がある。このFF-OCTでは、信号を並行して同時に取得するため、さらなる高速化が期待される。特に、高速な撮影が可能な2次元センサーと上述した波長掃引(波長スキャン)方式を併用した、SS-FF-OCTは、高速化における好適な選択肢の1つである。
【0006】
このように、測定光を測定対象の2次元領域に照射し、測定対象からの測定光の戻り光を2次元センサーで受光する従来の技術として、例えば、特許文献1や非特許文献1に記載の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4597744号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】"Common approach for compensation of axial motion artifacts in swept-source OCT and dispersion in Fourier-domain OCT", Dierck Hillmann et.al,Optics Express,Vol.20,Issue 6(2012)pp.6761―6776
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
具体的に、特許文献1には、偏光を分割して受光するように構成され、干渉光のビート信号に基づき画像化を行う技術が記載されているが、この特許文献1の技術は、本質的にはタイムドメイン方式であるため、断層画像の撮影の高速化が難しい。
【0010】
また、非特許文献1には、波長掃引型(波長スキャン型)の光源と2次元センサーで構成される波長掃引(波長スキャン)方式のFF-OCT(SS-FF-OCT)の技術が記載されている。しかしながら、非特許文献1の技術では、例えば光源の波長掃引開始のタイミングと2次元センサーの露光開始のタイミングがずれる等することによって、画像信号の取得効率が損なわれ、その結果、良好な画質の断層画像を取得することができない場合があった。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、高速な撮影で良好な画質の断層画像を取得できる仕組みを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の撮影装置は、単一の波長区間を切り替えて階段状に掃引した光を出力する光源と、前記光源からの光を測定光と参照光とに分岐する光分岐手段と、前記測定光を測定対象の2次元領域に照射する照射手段と、2次元状に配置された受光素子を含み構成され、前記測定対象からの前記測定光の戻り光と前記参照光とを干渉させることにより得られる干渉光を所定の露光タイミングで検出する検出手段と、前記所定の露光タイミングが前記単一の波長区間内になるように、前記光源の動作と前記検出手段の動作とを連動させる制御を行う制御手段と、を有する。
また、本発明は、上述した撮影装置の作動方法を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高速な撮影で良好な画質の断層画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る撮影装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る撮影装置の外観構成の一例を示す図である。
図3図1に示す光学系の内部構成の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態を示し、干渉画像、干渉信号及び断層信号の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態を示し、図1に示す表示部に表示される表示画面の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る撮影装置の撮影方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態を示し、ボリュームデータの取得方法を説明するための図である。
図8】本発明の実施形態に係る撮影装置の単一3次元断層画像の生成方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態に係る撮影装置の3次元断層画像の生成方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態を示し、図3に示す光源と2次元センサーの動作方法の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。なお、以下に記載する本発明の実施形態の説明は、本質的に、説明的及び例示的なものに過ぎず、いかなる形態でも、本開示及びその用途又は使用を限定することを意図していない。また、以下に記載する本発明の実施形態において示されるコンポーネントの相対的構成、並びに、ステップ、数値表現及び数値は、別段の具体的な記載がない限り、本開示の範囲を限定するものではない。また、当業者によってよく知られている技法、方法及びデバイスは、当業者がこれらの詳細を知る必要がないため、以下に記載する本発明の実施形態においては、これらの詳細な記載を省略している場合がある。
【0016】
[撮影装置10の全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係る撮影装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。撮影装置10は、図1に示すように、光学系100、入力部200、全体制御部300、画像生成部400、表示制御部500、記憶部600、及び、表示部700の各機能構成部を有して構成されている。
【0017】
光学系100は、全体制御部300の制御に基づいて、測定対象Tに対して測定光を照射し、測定対象Tからの測定光の戻り光を検出等する構成部である。入力部200は、全体制御部300等に対して、各種の情報等を入力する構成部である。この入力部200は、例えば、ユーザーが操作入力を行えるキーボードやマウス等から構成されている。全体制御部300は、例えば入力部200から入力された情報等に基づいて、撮影装置10の動作を統括的に制御等する構成部である。画像生成部400は、全体制御部300の制御に基づいて、光学系100の出力である信号Sを処理して画像IMを生成する構成部である。表示制御部500は、例えば画像生成部400で生成された画像IMや入力部200から入力された情報等を表示部700に表示する制御を行う構成部である。なお、図1に示す例では、全体制御部300とは別構成で表示制御部500を設ける例について示しているが、例えば、表示制御部500の機能を全体制御部300の中に組み入れて全体制御部300が表示部700に対する表示制御を行う形態であってもよい。記憶部600は、全体制御部300、画像生成部400及び表示制御部500が各種の処理を行う際に必要なプログラムや各種の情報等を記憶している構成部である。また、記憶部600は、全体制御部300、画像生成部400及び表示制御部500が各種の処理を行うことによって取得した各種の情報等を記憶する構成部である。例えば、記憶部600は、画像生成部400で生成された画像IMとともに測定対象Tを特定する情報を記憶する。表示部700は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示デバイスを含み構成されている構成部である。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係る撮影装置10の外観構成の一例を示す図である。この図2において、図1に示す構成と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。撮影装置10は、図2に示すように、光学ヘッド11、ステージ部12、ベース部13、PC(パーソナルコンピュータ)14、顔受け15、入力部200、及び、表示部700の各外観構成部を有して構成されている。また、図2には、3次元空間における位置を定めるためのXYZ座標系を示している。なお、図2に示す例は、図1に示す測定対象Tとして、被検者の眼(被検眼)Eを適用した例を示し、この場合、撮影装置10として眼科撮影装置を適用した例となる。
【0019】
光学ヘッド11は、図1に示す光学系100を含む筐体である。ステージ部12は、例えば図1に示す全体制御部300の制御に基づいて、光学ヘッド11を、ベース部13に対してXYZ方向にモータ等により移動する構成部である。ベース部13は、ステージ部12を介して、光学ヘッド11を支持する構成部である。また、このベース部13は、顔受け15も支持する構成部となっている。顔受け15は、被検者の顔Fを固定するための構成部である。
【0020】
PC14は、図1に示す全体制御部300、画像生成部400、表示制御部500及び記憶部600を含み構成されたコンピュータである。PC14は、例えば、図1に示す全体制御部300、画像生成部400及び表示制御部500を、CPU等のハードウェアで実現可能なソフトウェアモジュールとして実現することができる。なお、以下に記載する本発明の実施形態では、PC14のCPU(不図示)が記憶部600に記憶されているプログラムを実行することによって当該ソフトウェアモジュールを実現する例について説明を行うが、本発明はこの形態に限定されるものではない。例えば、画像生成部400をASIC等の専用のハードウェアで実現してもよいし、表示制御部を当該CPUとは異なるGPU等の専用プロセッサーによって実現してもよい。また、光学ヘッド11内に設けられている光学系100とPC14との接続は、例えばネットワークを介した構成によって実現する形態も、本発明に適用可能である。
【0021】
次に、図1に示す各構成部の詳細について説明を行う。
【0022】
<光学系100>
まず、図1に示す光学系100について説明する。
図3は、図1に示す光学系100の内部構成の一例を示す図である。なお、図3に示す例も、図2と同様に、図1に示す測定対象Tとして被検眼Eを適用した例を示す。
【0023】
光学系100は、光源101、光ファイバー102-1~102-3、カプラー103、コリメートレンズ104、ビームスプリッター105、アパーチャ107、接眼光学系140、参照光学系150、及び、受光光学系160を有して構成されている。なお、図3には、図示していないが、光学系100は、被検眼Eの眼底Erの撮影位置を確認するための広画角眼底撮影部、アライメントを容易にするための前眼部観察部、被検眼Eに固視位置を提示する固視灯光学系も更に有して構成されている。そして、これらの広画角眼底撮影部、前眼部観察部及び固視灯光学系は、本実施形態においては公知の構成を用いることができ、また、本発明の中心的な構成ではないため、その説明は省略する。
【0024】
光源101は、出力する光の波長を変更可能に構成された波長掃引光源(波長スキャン光源)である。この光源101は、全体制御部300の制御に基づき、例えば、1回のスキャンにおけるスキャンを開始する波長及び波長幅、さらに1秒当たりのスキャン回数であるスキャン速度等のパラメータを変更することが可能である。本実施形態では、毎秒25スキャンを標準スキャン速度としている。また、本実施形態では、予め、光源101の波長ごとの光強度データ(以下、「スペクトルデータ」と呼ぶ)が測定され、記憶部600に記憶されている。
【0025】
光源101から射出された光は、シングルモードの光ファイバー102-1を介して、カプラー103に入射する。カプラー103は、光源からの光を測定光121と参照光123とに分岐する光分岐手段である。そして、カプラー103で分岐された測定光121は、シングルモードの光ファイバー102-2を介して、コリメートレンズ104に導かれ、その後、アパーチャ107を介してビームスプリッター105に導かれる。また、カプラー103で分岐された参照光123は、シングルモードの光ファイバー102-3を介して、参照光学系150に導かれる。
【0026】
アパーチャ107は、測定光121の強度分布が概略均一な領域を切り出すために設けられている。本実施形態においては、測定光121がガウシアン分布をしているため、ピーク強度の半分程度以上となる測定光121の領域がアパーチャ107を通過するように構成されている。さらに、本実施形態においては、アパーチャ107は、アパーチャ径が可変に構成されており、眼底Erを照射する領域を変更することが可能となっている。この構成により、被検眼Eが近視や遠視などの場合においても、被検眼Eが正視の場合と同様の照射領域となるように、全体制御部300が制御を行い得る。なお、アパーチャ107の制御は、フォーカス調整機構141と連動して行い得る。
【0027】
また、本実施形態においては、コリメートレンズ104の焦点距離は、アパーチャ107のアパーチャ径が最も大きくなる条件において測定光121の強度分布が概略均一となるように選択されている。なお、より高出力の光源101を使用することで、ピーク強度に対する強度の低下許容量を厳しくし、より均一な領域を選択して使用してもよい。
【0028】
測定光121は、ビームスプリッター105を透過した後、接眼光学系140に導かれる。具体的に、接眼光学系140に導かれた測定光121は、フォーカス調整機構141、スキャナ142、リレー光学系143、スキャナ144、接眼レンズ145及びアパーチャ146を介して、被検眼Eに導光され、眼底Erの2次元領域を照射する。ここで、本実施形態においては、接眼光学系140は、測定光121を測定対象Tである被検眼E(より詳細には、被検眼Eの眼底Er)の2次元領域に照射する照射手段である。
【0029】
被検眼Eの眼底Erで反射した測定光121は、測定光の戻り光122として、測定光121が辿った光路を逆順に辿る。具体的に、測定光の戻り光122は、接眼光学系140に入射して、アパーチャ146、接眼レンズ145、スキャナ144、リレー光学系143、スキャナ142及びフォーカス調整機構141を介して、ビームスプリッター105に導かれる。そして、ビームスプリッター105に導かれた戻り光122は、ビームスプリッター105を介して、受光光学系160に入射する。なお、図3では、戻り光122として、測定光121で照射した眼底Erの2次元領域のうちの一部で反射した光が2次元センサー162に結像されることを模式的に示しているが、実際には、本実施形態では、測定光121で照射した眼底Erの2次元領域で反射した戻り光122は全て2次元センサー162に結像するように構成されている。
【0030】
フォーカス調整機構141は、ミラー141-1及び141-2、ステージ141-3、並びに、プリズム141-4を含み構成されており、眼底Erと2次元センサー162との結像関係を調整する機構である。光源101の側からフォーカス調整機構141に入射した測定光121は、プリズム141-4の一方の面で反射された後、ミラー141-1及びミラー141-2で順次反射され、プリズム141-4の他方の面で反射される。このミラー141-1及びミラー141-2は、図3に示すように、ステージ141-3に配置されている。例えば、全体制御部300が、入力部200からの入力等に基づき、ステージ141-3を図2の矢印に示す方向に動かすことで、測定光121の光路長を変更することができるようになっている。
【0031】
スキャナ142及びスキャナ144は、例えば、光を反射する反射面の角度が可変なガルバノスキャナである。このスキャナ142及びスキャナ144は、全体制御部300の制御によって、それぞれ、測定光121による眼底Erの照射位置を相互に直交するX方向(水平方向)及びY方向(垂直方向)の2方向に移動(ステアリング)することができる。また、このスキャナ142及びスキャナ144は、リレー光学系143及び接眼レンズ145により、被検眼Eの瞳Pと共役関係となるように配置されている。この構成により、全体制御部300は、スキャナ142及びスキャナ144によるステアリングに関わらず、被検眼Eに入射する測定光121が瞳Pの概略同じ領域を通過するように制御することができる。また、この制御により、測定光121が被検眼Eにおいて部分的に遮られることがなくなり、効率良くステアリングを行うことができる。
【0032】
アパーチャ146は、測定光121の被検眼Eに近接した集光点の略近傍に配置されており、眼底Erを好適に照射できるように構成されている。
【0033】
一方、シングルモードの光ファイバー102-3から射出された参照光123は、上述したように、参照光学系150に導かれる。具体的に、参照光学系150に入射した参照光123は、コリメートレンズ151、アパーチャ153、分散補償ガラス154及び転送光学素子155に導かれる。その後、参照光123は、転送光学素子155を介して、ビームスプリッター105に導かれる。
【0034】
分散補償ガラス154は、被検眼Eや光学系100を構成する光学素子による分散を補償するために用いられる。また、図3に示すように、光ファイバー102-3の射出端及びコリメートレンズ151は、ステージ152に配置されている。例えば、全体制御部300が、入力部200からの入力等に基づき、被検者の被検眼Eにおける眼軸長の相違等に対応してステージ152を光軸方向に駆動することで、コヒーレンスゲート位置を調整することができるようになっている。ここで、コヒーレンスゲート位置とは、測定光121と戻り光122の光路長に対する参照光123の光路長の差が無くなる位置を表す。なお、本実施形態では、参照光123の光路長を変更しているが、本発明においてはこの形態に限定されるものではなく、測定光121と戻り光122の光路長と参照光123の光路長との光路長差を変更できればよい。
【0035】
また、本実施形態では、ステージ152を動かすことによって光ファイバー102-3の射出端及びコリメートレンズ151を動かす構成としたが、本発明においてはこの形態に限定されるものではない。例えば、アパーチャ153の直前にオプトメータを配置する構成であってもよく、後述する縦トラッキングの動作速度を上げるため、重量の少ない素子をステージ152に搭載する構成を採用することが望ましい。
【0036】
ビームスプリッター105は、接眼光学系140から入射した戻り光122と参照光学系150から入射した参照光123とを合波して、干渉光124を生成する合波手段である。そして、ビームスプリッター105で生成された干渉光124は、受光光学系160に導かれる。
【0037】
受光光学系160に導かれた干渉光124は、結像光学系161を介して2次元センサー162で受光される。2次元センサー162は、入射した干渉光124を干渉信号として検出する検出手段である。そして、2次元センサー162は、検出した干渉信号のデータを内部メモリ163に蓄積する。ここで、2次元センサー162は、2次元状に配置された複数の受光素子(以下、この受光素子を「画素」と呼ぶ)を含み構成されており、各画素は、露光タイミングに従って入射した干渉光124を干渉信号に変換する。
【0038】
図4は、本発明の実施形態を示し、干渉画像、干渉信号及び断層信号の一例を示す図である。具体的に、図4(a)に干渉画像810の一例を示し、図4(b)に干渉信号820の一例を示し、図4(c)に断層信号830の一例を示している。
【0039】
図4(a)に示すように、2次元センサー162の1回の露光により生成される信号は、眼底Erの正面図に干渉縞が重畳した干渉画像810となる。また、図4(a)に示す干渉画像810の座標812は、2次元センサー162の各画素に対応しており、インデックスi=1,2,・・・,Nを用いて、(Xi,Yi)と表される。ここで、Nは、干渉画像810の総座標数であり、干渉画像810の左上が基準座標811(X1,Y1)となっている。
【0040】
また、図4(a)に示す眼底画像である干渉画像810の座標812(Xi,Yi)における1回の波長スキャンの信号は、図4(b)に示す干渉信号820となる。また、この図4(b)に示す干渉信号820を演算処理することにより、図4(c)に示す断層信号830が得られ、複数の断層信号830から断層画像が生成される。ここで、図4(c)の横軸に示す断層方向は、被検眼E(より具体的に本実施形態では、被検眼Eの眼底Er)の深さ方向(Z方向)に相当する方向である。
【0041】
人眼は、固視微動等による揺れが存在するため、被検眼Eを完全に静止した状態で撮影を行うことは難しい。良好な画質の画像を得るためには、固視微動等の人眼の動きの影響を受けない撮影速度にすることが望ましく、例えば、2次元センサー162によって毎秒4000フレーム以上の撮影速度で撮影を行うことが好ましい。
【0042】
なお、図5を用いて後述するプレビュー領域922におけるユーザーの指定等に基づき、図4(a)に示す干渉画像810の部分領域813のデータが画像生成部400にリアルタイムに送られ画像化される。この画像は、さらに、表示部700にリアルタイムに表示される。この構成により膨大なデータ転送が不要となり、ユーザーにリアルタイムにプレビュー画像を提示することができる。また、ユーザーは、このプレビュー画像に基づき、フォーカスや、コヒーレンスゲート位置あるいは上述したステアリングにおいて、コヒーレンスゲート位置等が適切か否かを判断することが可能である。
【0043】
なお、本実施形態においては、コリメートレンズ151とアパーチャ153を適切に選択することにより、参照光123は、2次元センサー162上で、測定光121よりも広い領域に結像される構成となっている。この構成により、光学系の調整に求められる精度が緩和され、より安定して撮影を行うことが可能である。
【0044】
<全体制御部300>
次に、図1に示す全体制御部300について説明する。
本実施形態においては、全体制御部300は、上述したように、PC14のCPUによって実現されるソフトウェアモジュールとして構成されており、図3に示す光学系100の各構成部を制御する。さらに、本実施形態においては、全体制御部300は、撮影装置10の全体の動作を制御するとともに、各種の選択処理や各種の計測処理、各種の演算処理を行う手段としても機能する。また、全体制御部300は、撮影装置10を操作するユーザーの入力を入力部200を介して受け付けるものとする。具体的に、例えば、全体制御部300には、入力部200を介して、被検眼Eを特定する患者ID等の情報、撮影に必要なパラメータ、眼底Erをスキャンするパターンの選択等が入力される。そして、全体制御部300は、この入力部200を介して入力された各種の情報に基づいて、撮影装置10の各構成部を制御するとともに、得られた信号、画像等のデータを記憶部600に保存する機能を有する。
【0045】
<画像生成部400>
次に、図1に示す画像生成部400について説明する。
画像生成部400は、光学系100から出力された信号Sに対して様々な処理を行うことによって、被検眼Eに関する画像を生成し出力する。
【0046】
<表示制御部500>
次に、図1に示す表示制御部500について説明する。
表示制御部500は、上述したように、全体制御部300の制御に基づいて、画像生成部400から取得した画像を表示部700に表示する制御を行う。
【0047】
図5は、本発明の実施形態を示し、図1に示す表示部700に表示される表示画面900の一例を示す図である。なお、この図5に示す表示画面900とは別に、全体制御部300によって入力される患者ID等の被検眼Eの特定情報の入力画面も表示部700に表示されうるが、この入力画面は、公知の構成を用いることができ、また、本発明の中心的な構成ではないため、その説明は省略する。
【0048】
図5に示す表示画面900には、画像の表示領域910,920,930,940及び950、並びに、ユーザーが操作可能なユーザーインタフェース901~908が設けられている。具体的に、ユーザーが操作可能なユーザーインタフェースとして、左右眼の切り替えボタン901、アライメント調整部902、フォーカス調整スライダーバー903、コヒーレンスゲート調整スライダーバー904、コヒーレンスゲート自動調整ボタン905、表示モードプルダウンメニュー906、スキャンモードプルダウンメニュー907、及び、撮影ボタン908が設けられている。また、表示領域910,920,930,940及び950に表示される各画像は、画像生成部400で生成される。
【0049】
表示領域910には、被検眼Eの前眼部画像が表示され、光学ヘッド11と被検眼Eとのアライメントを確認することができるようになっている。また、全体制御部300が測定光121の角膜での散乱光を自動で検出し、これを表示領域910の前眼部画像上に輝点911として強調表示させることで、測定光121が被検眼Eに入射する瞳孔における位置をユーザーが容易に視認できるようになっている。また、表示領域910には、被検眼Eの瞳孔の目標位置を提示する目標円912が前眼部画像上に重畳表示されており、アライメントが適切かどうかをユーザーが容易に判断できるようになっている。さらに、表示領域910には、マーク913が前眼部画像上に重畳表示されており、輝点911がマーク913と重なるようにアライメントすることで、角膜反射の写り込みの少ない眼底画像を取得することができるようになっている。また、被検眼Eの瞳孔中心からの距離を表示領域910の前眼部画像上に重畳表示し、測定光121の入射位置をユーザーが容易に把握できるようにしてもよい。なお、本実施形態の光学系100は、前眼部観察部と測定光121とを分離するダイクロイックミラー(不図示)の反射率を適切に選択し、表示領域910に表示される角膜の反射光の輝度値が飽和しないように構成されている。
【0050】
表示領域920には、被検眼Eの眼底Erにおける広域の眼底平面画像がリアルタイムに表示され、また、この眼底平面画像上には断層画像の撮影領域921及びプレビュー領域922が重畳表示されている。
【0051】
撮影領域921は、ユーザーが入力部200を用いて指定する、断層画像を撮影する対象となる領域である。また、プレビュー領域922は、表示領域930及び940に、対応するそれぞれの矢印に示す方向の断層画像をプレビュー表示する位置を指定するものであり、ユーザーが入力部200を用いて指定する。
【0052】
以下、撮影領域921で指定される領域に基づき取得される一連の干渉画像をボリュームデータと呼ぶ。また、1回の波長スキャンで取得される一連の干渉画像を単一ボリュームデータと呼ぶ。この際、ボリュームデータは、複数の単一ボリュームから生成される。なお、以下では、ボリュームデータを取得することを撮影と呼び、単一ボリュームデータを取得することを単一撮影と呼ぶ。
【0053】
撮影領域921とプレビュー領域922は、連動して動かすことも独立に動かすこともでき、また、不図示のスイッチにより連動と独立の動作を切り替えることが可能である。また、プレビュー領域922は、測定光121が眼底Erを照射する領域(2次元領域)に連動して自動で大きさが変わり、ステアリングを行わない単一撮影でデータが取得できる範囲をユーザーが容易に判別できるようになっている。
【0054】
表示モードプルダウンメニュー906は、表示領域950に表示する断層画像の種類を選択することができるものである。例えば、表示モードプルダウンメニュー906によって、撮影領域921で指定した領域の水平方向や鉛直方向の断層画像の他、3次元断層画像を選択することができる。
【0055】
表示領域950に断層画像が表示された場合には、表示領域920の眼底平面画像上に重畳して表示されている十字線を動かすことにより、表示する断層画像の位置を変更することが可能である。本実施形態では、単一ボリュームデータから計算される水平方向(Horizontal)の断層画像が表示領域930に表示され、垂直方向(Vertical)の断層画像が表示領域940に表示される。さらに、プレビュー領域922には、矢印が重畳表示されており、断層画像の取得データの方向が容易に判別できるようになっている。さらに、本実施形態では、断層画像の移動や、拡大/縮小、コントラストの調整等を行うことが可能である。
【0056】
また、表示領域950に3次元断層画像が表示された場合には、入力部200を操作することにより、表示領域950上で3次元断層画像の移動や、回転、拡大/縮小、コントラストの調整が行える他、被検眼Eの眼底Erにおける特定の網膜層のみを表示することも可能である。
【0057】
なお、ここでは、ユーザーからの指示によって表示する画像を変更する場合について説明を行ったが、例えば、診断したい疾病を不図示のメニューから選択(疾病名を選択)することにより、疾病に対して予め優先順位付けられた画像を表示するようにしてもよい。
【0058】
この図5に示す表示画面900を用いることによって、画像生成部400で生成される各画像をユーザーに効率よく提示することができる。また、ユーザーが必要とする画像を簡単な操作で選択することができる。さらに、例えば予め疾病名と表示する画像を対応付けておくことで更に操作が簡単となる。
【0059】
[撮影装置10の制御方法(撮影方法)]
図6は、本発明の実施形態に係る撮影装置10の撮影方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図6には記載していないが、広画角眼底撮影部による眼底Erの広画角眼底画像の取得が図6に示すフローチャートの処理に先立ち開始され、所定のフレームレートで取得された広画角眼底画像がリアルタイムに表示領域920に表示される。
【0060】
<ステップS101(左右眼の選択)>
顔受け15に被検者の顔Fが固定された状態で、ユーザーが左右眼の切り替えボタン901を押下すると、全体制御部300は、左右眼の切り替えボタン901に操作に基づき、撮影対象の被検眼Eとして右眼(R)または左眼(L)の選択を行う。その後、全体制御部300は、この左右眼の選択に基づき、予め記憶部600に記憶されていたデータを用いて光学ヘッド11を移動させる。なお、この際、全体制御部300は、前眼部観察部の取得データ等を用いて移動量を算出し、より精度良く光学ヘッド11を移動させてもよい。
【0061】
<ステップS102(撮影モードの選択)>
続いて、ユーザーがスキャンモードプルダウンメニュー907から撮影モードを指定すると、全体制御部300は、当該指定に基づき撮影モードを選択する。ここで、撮影モードとしては、例えば、標準スキャン速度で撮影を行う標準撮影モード(Standard Mode)や、網膜Erの断層方向の分解能を向上させた高分解能モード(High Resolution Mode)、標準スキャン速度よりも速く撮影を行う高速撮影モード(High Speed Mode)等を選択することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、ユーザーが撮影モードを指定するものとしたが、診断したい疾病を不図示のメニューから選択(疾病名を選択)することにより、疾病に対して予め優先順位付けられたパラメータで撮影するようにしてもよい。
【0063】
<ステップS103(光源の波長掃引開始)>
続いて、全体制御部300は、光源101を点灯し、光源101から出力する光の波長掃引(波長スキャン)を開始する。具体的に、全体制御部300は、ステップS102で選択した撮影モードに基づき、予め記憶部600に記憶されている光源101のスキャン速度や、2次元センサー162の撮影領域(ROI)等のパラメータを用いて、光源101から出力する光の波長スキャンを開始する。
【0064】
また、全体制御部300は、プレビュー領域922に基づいて部分領域813のデータを取得し、画像生成部400が画像化した画像を表示領域930及び940に表示させる。
【0065】
<ステップS104(アライメント調整)>
続いて、ユーザーが入力部200を介して表示領域910に表示された前眼部画像の瞳孔中心をクリックすると、全体制御部300は、当該クリックの位置に基づき、瞳孔中心が適切にアライメントされるように光学ヘッド11を移動させる。このとき、全体制御部300は、測定光121の入射位置が角膜頂点からずれるように制御を行い、被検眼Eの角膜による測定光121の反射光が2次元センサー162に到達しないように自動で調整する。
【0066】
また、ユーザーは、入力部200を介してアライメント調整部902のボタンをクリックすることで、アライメントの微調整を行うことができる。また、表示領域910には、上述したように、瞳孔の目標位置を提示する目標円912が前眼部画像上に重畳表示されており、アライメントが適切かどうかをユーザーが容易に判断できるようになっている。さらに、表示領域910には、上述したように、マーク913が前眼部画像上に重畳表示されており、輝点911がマーク913と重なるようにアライメントすることで、角膜反射の写り込みの少ない眼底画像を取得することができるようになっている。このマーク913は、記憶部600に記憶されたパラメータに基づく位置に表示されており、不図示のスイッチで表示と非表示を切り替えることが可能となっている。
【0067】
<ステップS105(フォーカス調整)>
続いて、ユーザーが表示領域920に表示される広画角眼底画像を参照しながらフォーカス調整スライダーバー903を操作すると、全体制御部300は、ユーザーの操作入力値に基づき、広画角眼底撮影部のフォーカスを調整する。さらに、全体制御部300は、広画角眼底撮影部のフォーカス調整に連動して、フォーカス調整機構141を駆動する。
【0068】
さらに、全体制御部300は、フォーカス調整機構141の動きに連動して、アパーチャ107のアパーチャ径の調整を行う。例えば、被検眼Eが近視眼の場合、眼底Erの照射領域が狭まるため、この場合、アパーチャ107のアパーチャ径が大きくなるように調整を行う。また、全体制御部300は、このアパーチャ107のアパーチャ径に連動して、被検眼Eへの入射光量が概略一定となるように光源101を制御する。本実施形態においては、フォーカス調整機構141とアパーチャ107との連動は、予め記憶部600に記憶されたパラメータに基づき行われる。
【0069】
なお、本実施形態においては、アパーチャ107のアパーチャ径は、手動で調整することも可能な構成となっており、被検眼Eの縮瞳等の条件によって眼底Erの照射領域を変更し、より効率的に撮影を行うことが可能となっている。
【0070】
アパーチャ107のアパーチャ径の調整が自動/手動のいずれの場合においても、プレビュー領域922の大きさは測定光121が眼底Erを照射する領域に連動して表示されるため、ユーザーは単一撮影での撮影範囲を容易に視認することが可能である。
【0071】
なお、フォーカス調整機構141は、光路長を変化させるため、後述するステップS107で実施されるコヒーレンスゲート調整よりも先にフォーカスを調整することで調整が容易となる。また、本ステップとは異なるタイミングでフォーカスが調整された場合、コヒーレンスゲートを連動して調整することが望ましい。
【0072】
<ステップS106(撮影位置選択)>
続いて、ユーザーが入力部200を介して所望のプレビュー位置となるよう指定を行うと、全体制御部300は、当該指定に基づきプレビュー領域922の位置の調整を行う。
【0073】
<ステップS107(コヒーレンスゲート調整)>
続いて、ユーザーがコヒーレンスゲート自動調整ボタン905を押下すると、全体制御部300は、画像の輝度値に基づいてコヒーレンスゲート位置を判断し、ステージ152を駆動する。
【0074】
さらに、ユーザーは、入力部200を用いてコヒーレンスゲート調整スライダーバー904をスライドさせることで、コヒーレンスゲートの微調整を行うことができる。
【0075】
<ステップS108(撮影領域調整)>
続いて、ユーザーが、表示領域930及び940に表示の画像を確認しながら、入力部200から所望の撮影範囲となるように撮影領域921の位置と大きさ及びプレビュー領域922の位置の指定を行うと、全体制御部300は、当該指定に基づく調整を行う。
【0076】
<ステップS109(撮影開始)>
続いて、ユーザーが撮影ボタン908を押下すると、全体制御部300は、撮影領域921に基づき、被検眼Eの断層画像の撮影等を開始する。撮影領域921がプレビュー領域922よりも狭く指定されている場合、全体制御部300は、撮影領域921とプレビュー領域922の中心が一致するようにステアリングし、単一撮影を行って単一ボリュームデータを取得する。また、撮影領域921がプレビュー領域922よりも広く指定されている場合、全体制御部300は、撮影領域921におけるボリュームデータが取得できるように、撮影順序を自動で判断する。
【0077】
図7は、本発明の実施形態を示し、ボリュームデータの取得方法を説明するための図である。この図7において、図5に示す構成と同様の構成については同じ符号を付している。
【0078】
全体制御部300は、ステップS109の撮影開始後、例えば図7(a)に示すように、プレビュー領域922を非表示とし、撮影領域921におけるボリュームデータが取得されるように自動でステアリングと単一撮影を交互に繰り返す。ここで、ステアリングは、上述したように、全体制御部300の制御によって、スキャナ142及びスキャナ144が、それぞれ、測定光121による眼底Erの照射位置をX方向(水平方向)及びY方向(垂直方向)の2方向に移動することである。この際、全体制御部300は、記憶部600に予め記憶されているパラメータに基づき、ステアリングの移動量や単一ボリュームデータ間の重なり合いの量を設定し、撮影領域921を包含するように制御する。ここで、包含するとは、得られるボリュームデータが撮影領域921で指定される領域よりも広いことを意味する。このため、ユーザーが意図した領域を確実に撮影することが可能である。本実施形態においては、単一撮影を行う際のステアリング量等のパラメータは、単一ボリュームデータと関連付けられて記憶部600に記憶されている。
【0079】
さらに、全体制御部300は、撮影ボタン908が押下された直後、撮影領域921の概略中央の単一撮影を行い、部分領域813における断層画像をリファレンス断層画像として記憶部600に記憶する。以降の単一撮影では、全体制御部300は、既に撮影した単一ボリュームデータに隣接するように順次単一撮影を行う。また、全体制御部300は、部分領域813の断層画像をリファレンス断層画像と比較した結果に基づいて、次の隣接する撮影位置へステアリングする前に自動で、フォーカスとコヒーレンスゲート位置を調整する。また、全体制御部300は、フォーカスまたはコヒーレンスゲート位置が大幅にずれていると判断した場合、フォーカスまたはコヒーレンスゲート位置を調整して再撮影を行うように構成してもよい。この構成により、常に最適なフォーカス及びコヒーレンスゲート位置での単一撮影を行うことが可能となる。
【0080】
なお、図7(a)では、アパーチャ107のアパーチャ形状が矩形である場合を示したが、例えば、図7(b)に示すように、アパーチャ107のアパーチャ形状が円形である場合にも、同様の撮影手順が適用可能である。即ち、全体制御部300は、記憶部600に予め記憶されたパラメータに基づいて、ステアリングの移動量や単一ボリュームデータ間の重なり合いの量を設定し、撮影領域921を包含するように制御する。
【0081】
なお、図7(a)に示すアパーチャ形状が矩形の場合、撮影時のステアリングの移動量や単一ボリューム間の重なり合いの量が容易に設定できる。一方、図7(b)に示すアパーチャ形状が円形の場合、シングルモードの光ファイバー102-2から射出するガウシアンビームを有効に利用することが可能である。
【0082】
また、図7(a)及び図7(b)では、単一撮影が終了した領域を撮影済み領域923として示している。この撮影済み領域923は、例えば、表示領域920において半透明のカラーで表示され、ユーザーが単一撮影済みの領域かどうかを容易に判断することができるようになっている。
【0083】
また、図7(a)及び図7(b)では、単一撮影を行っている領域を撮影中領域924として示している。この撮影中領域924は、例えば、撮影済み領域923とは異なるカラーで区別し得る態様で表示される。
【0084】
さらに、図7(a)及び図7(b)では、まだ単一撮影が行われていない領域を未撮影領域925として示している。この未撮影領域925は、例えば、撮影済み領域923及び撮影中領域924とは異なるカラーで区別し得る態様で表示される。
【0085】
さらに、図7(a)及び図7(b)の表示領域920において、単一撮影に失敗した領域や、再撮影を行った領域について、撮影済み領域923、撮影中領域924及び未撮影領域925とは異なるカラー等で区別し得る態様で表示するようにしてもよい。
【0086】
以上説明した図7(a)及び図7(b)の表示領域920における表示により、ユーザーは、撮影の進行状況を容易に把握することが可能である。なお、本実施形態では、カラー表示により各領域を区別する例について説明を行ったが、異なる表示方法、例えばテキストの重畳表示等により各領域を区別する方法を用いてもよい。
【0087】
また、全体制御部300は、ステップS109の撮影開始後、記憶部600に記憶されたリファレンス広画角眼底画像とリアルタイムに取得される広画角眼底画像とに基づいて、被検眼Eの動きを検出し、その動きを補正するトラッキングを行う。例えば、全体制御部300は、広画角眼底画像の一部が取得される度に、位相限定相関法を用いて被検眼Eの移動量を算出し、眼底Erの概略同じ位置を撮影するように、スキャナ142及び144を駆動制御するトラッキングを行う。このトラッキングは、X方向及びY方向におけるトラッキングに相当し、ここでは、横トラッキングと呼ぶ。この構成により、広画角眼底画像のフレームレートよりも高速な横トラッキングを実現することが可能である。
【0088】
さらに、全体制御部300は、断層画像の輝度値に基づいて、コヒーレンスゲート位置を自動で検出し、ステージ152を駆動制御するトラッキングを行うようにしてもよい。このトラッキングは、Z方向におけるトラッキングに相当し、ここでは、縦トラッキングと呼ぶ。
【0089】
<ステップS110(撮影終了判断)>
続いて、全体制御部300は、ユーザーから入力部200を介して撮影終了の指示があったか否かに応じて、撮影を終了するか否かを判断する。この判断の結果、撮影を終了しない場合には(S110/NO)、ステップS101に戻り、ステップS101以降の処理を再度行う。なお、この際、例えば、左右眼の選択(S101)や撮影モードの選択(S102)を省略する設定等がされている場合には、ステップS103に戻り、ステップS103以降の処理を再度行うようにしてもよい。
【0090】
ステップS110の判断の結果、撮影を終了する場合には(S110/YES)、撮影を終了する処理を行った後、図6のフローチャートの処理を終了する。
【0091】
[撮影装置10の制御方法(3次元断層画像の生成方法)]
図6のステップS110における撮影終了の後、全体制御部300は、2次元センサー162の内部メモリ163に格納されたボリュームデータを画像生成部400に転送する。そして、画像生成部400は、単一ボリュームデータから単一3次元断層画像を生成し、次に、複数の単一3次元断層画像の位置合わせ及び貼り合わせ等を行って、3次元断層画像を生成する。
【0092】
まず、図8を用いて単一3次元断層画像の生成方法について説明する。
図8は、本発明の実施形態に係る撮影装置10の単一3次元断層画像の生成方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0093】
<ステップS201(位置合わせ)>
まず、画像生成部400は、単一ボリュームデータにおける一連の干渉画像の位置合わせを行う。この際、画像生成部400は、光源101のスペクトルデータにおいて最も強度が高い波長で取得された干渉画像をリファレンス画像とし、干渉画像の相関計算を行って干渉画像間の位置合わせを行う。
【0094】
<ステップS202(座標(Xi,Yi)における干渉信号の取得)>
続いて、画像生成部400は、図4(a)に示す座標812(Xi,Yi)における干渉信号を取得する。
【0095】
<ステップS203(スペクトル処理)>
続いて、画像生成部400は、ステップS202で取得した干渉信号のスペクトル処理を行う。具体的に、画像生成部400は、まず、スペクトルデータに適切な倍率をかけ、干渉信号から引き算する。また、本実施形態では、等波長間隔で干渉信号が取得されるため、画像生成部400は、等波数間隔の干渉信号となるようにリスケーリングを行う。さらに、画像生成部400は、予め測定し記憶部600に記憶されているパラメータに基づいて、干渉信号の分散補正を行う。
【0096】
<ステップS204(窓関数処理)>
続いて、画像生成部400は、ステップS203でスペクトル処理を行った干渉信号に、窓関数としてハニング関数を掛け算する。なお、ステップS204の処理に用いる窓関数としては、ここで例示したハニング関数に限らず、例えば、矩形関数やテューキー関数等を用いることも可能である。
【0097】
<ステップS205(FFT演算)>
続いて、画像生成部400は、ステップS204で窓関数処理を行った干渉信号をFFT演算し、断層信号を取得する。このステップS205で取得される断層信号の一例としては、図4(c)に示す断層信号830が挙げられる。
【0098】
<ステップS206(記憶)>
続いて、画像生成部400は、ステップS205で取得した断層信号のデータを記憶部600に記憶する。
【0099】
<ステップS207(次の座標の計算の必要可否判断)>
続いて、例えば画像生成部400(或いは全体制御部300)は、インデックスiが座標の総数Nよりも小さいか否かを判断する。
【0100】
<ステップS208(次の座標の設定)>
ステップS207の判断の結果、インデックスiが座標の総数Nよりも小さい場合には(S207/YES)、未だ計算処理を行っていない座標が存在すると判断し、ステップS208に進む。ステップS208に進むと、例えば画像生成部400(或いは全体制御部300)は、次のインデックスを設定する(i++)。その後、ステップS202に戻り、ステップS202以降の処理を再度行う。
【0101】
一方、ステップS207の判断の結果、インデックスiが座標の総数Nよりも小さくない場合には(S207/NO)、全ての座標について計算処理を行ったと判断し、図8のフローチャートの処理を終了する。
【0102】
この図8のフローチャートの処理を行うことにより、単一3次元断層画像を生成することができる。
【0103】
次に、図9を用いて3次元断層画像の生成方法について説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る撮影装置10の3次元断層画像の生成方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0104】
<ステップS301(位置合わせ)>
まず、画像生成部400は、記憶部600に記憶されたステアリング量や、重なり合いの量等のパラメータに基づいて、複数の単一3次元断層画像の位置合わせを行う。具体的に、画像生成部400は、ステアリング量から隣り合う単一3次元断層画像を特定し、重なり合うと見込まれる領域に基づいて相関計算を行い、単一3次元断層画像の位置を決定する。
【0105】
<ステップS302(貼り合わせ)>
続いて、画像生成部400は、ステップS301で決定した位置に基づいて、重なり合う領域については平均化処理を行い、単一3次元断層画像の貼り合わせを行う。その後、図9のフローチャートの処理を終了する。
【0106】
この図9のフローチャートの処理を行うことにより、3次元断層画像を生成することができる。そして、生成された3次元断層画像は、表示制御部500の制御によって、撮影領域921で指定される大きさに基づいてトリミングされ、表示部700に表示される。
【0107】
[光源101と2次元センサー162の動作]
次に、図10に示すタイミングチャートを用いて、図3に示す光源101と2次元センサー162の動作方法について説明する。
図10は、本発明の実施形態を示し、図3に示す光源101と2次元センサー162の動作方法の一例を示すタイミングチャートである。
【0108】
本実施形態では、ステアリングによる複数の単一撮影や、重ねあわせ処理による信号対雑音比の向上のため、被検眼Eの眼底Erの同一カ所について複数回の単一撮影を行う。また、コヒーレンスゲート位置の調整を行った場合の再撮影の場合等も含まれる。
【0109】
<第1実施例>
まず、図3に示す光源101と2次元センサー162の動作方法における第1実施例について説明する。
【0110】
図10(1a)~(1c)は、本実施形態の第1実施例における光源101と2次元センサー162の動作方法の時系列動作を示すタイミングチャートである。具体的に、図10(1a)は、全体制御部300が発生させるトリガー信号のタイミングを示し、図10(1b)は、光源101の波長スキャン動作のタイミングを示し、図10(1c)は、2次元センサー162の露光動作のタイミングを示している。
【0111】
第1実施例では、全体制御部300は、図10(a)に示すトリガー信号1001を基準として用いて、光源101の動作と2次元センサー162の動作とを連動(同期)させる制御を行う。具体的に、全体制御部300は、図10(1b)に示す光源101から出力する光の波長を変更する動作と、図10(1c)に示す2次元センサー162の露光動作と、を連動させる制御を行う。この際、全体制御部300は、光源101から出力する光の波長を変更する動作として、図10(1c)に示すように、光の波長を階段状に変更する動作の制御を行う。
【0112】
第1実施例の処理について、以下に詳しく説明する。
全体制御部300は、図10(1a)に示すトリガー信号1001の立ち上がりを検出する。そして、全体制御部300は、当該検出及び予め設定されたパラメータに基づき、図10(1b)に示すように、光源101のスキャン開始波長1010から単一波長区間1011を切り替えて階段状に光源101の波長スキャンを行う。この図10(1b)に示すように波長スキャンを階段状にすることで、2次元センサー162の露光動作のタイミングの間は単一波長での信号とすることができるため、分解能を向上させることが可能である。
【0113】
2次元センサー162は、グローバルシャッターで動作し、図10(1c)に示す露光区間1081の間隔で動作する。全体制御部300は、トリガー信号1001に基づき、2次元センサー162に対して、露光区間1080に示す現在の露光動作を中断し、露光区間1081で改めて露光動作を開始させる。この制御によれば、露光が不十分なデータが、画像生成部400で生成する画像(断層画像等)から取り除かれ、良好な画質の断層画像等を取得することが可能である。
【0114】
全体制御部300は、光源101に対して、所定の波長ステップ数で波長スキャンを行った後、スキャン開始波長1010に戻す制御を行う。図10(1a)~図10(1c)において、区間1030が1回の波長スキャンに該当する。また、フライバック区間1020は、波長スキャンを行うために光源101の内部で使用されているスキャナ(不図示)が初期位置に戻るための動作区間である。このフライバック区間1020においては、全体制御部300は、光源101を消灯するように制御する。そして、この場合、光源101が消灯しているため、フライバック区間1020では、2次元センサー162において眼底Erが写らない露光区間1083となる。この制御によれば、無効なデータが、画像生成部400で生成する画像(断層画像等)から取り除かれ、良好な画質の断層画像等を取得することが可能である。
【0115】
さらに、全体制御部300は、フライバック区間1020で、上述したステアリングが行われるように制御を行う。この制御によれば、効率の良い高速の撮影を行うことが可能である。また、全体制御部300は、フライバック区間1020で、部分領域813の断層画像に基づきコヒーレンスゲート位置の調整等を行ってもよく、この場合、さらに効率の良い高速の撮影を行うことが可能である。
【0116】
<第2実施例>
次に、図3に示す光源101と2次元センサー162の動作方法における第2実施例について説明する。なお、以下に記載する第2実施例の説明において、上述した第1実施例と共通する事項については説明を省略し、上述した第1実施例と異なる事項について説明を行う。
【0117】
図10(2a)~(2c)は、本実施形態の第2実施例における光源101と2次元センサー162の動作方法の時系列動作を示すタイミングチャートである。具体的に、図10(2a)は、2次元センサー162の露光動作のタイミングを示し、図10(2b)は、2次元センサー162が発生する露光タイミング信号を示し、図10(2c)は、光源101の波長スキャン動作のタイミングを示している。
【0118】
上述した第1実施例では、全体制御部300は、自らの処理で発生させたトリガー信号1001を基準として、光源101の動作と2次元センサー162の動作とを連動させる制御を行うものであった。これに対して、第2実施例は、図10(2b)に示す2次元センサー162の露光タイミング信号を基準として、光源101の動作と2次元センサー162の動作とを連動させる制御を行うものである。この第2実施例では、全体制御部300は、2次元センサー162が発生する露光タイミング信号を基準として(即ち、2次元センサー162の露光動作に基づいて)、トリガー信号1001を発生させる態様を採りうる。
【0119】
第2実施例の処理について、以下に詳しく説明する。
2次元センサー162は、光を信号に変換する1回の露光ごとに、露光タイミング信号1005を発生する。全体制御部300は、光源101に対して、所定の回数の露光タイミング信号1005ごとに、波長スキャンを開始させる。また、第2実施例の場合、全体制御部300は、光源101の動作と2次元センサー162の動作とを連動させるため、光源101に対して、フライバック区間1020とは別に待機区間1021の間も消灯の状態を維持するように駆動させる。この制御により、光源101は、待機区間1021が経過した後の単一波長区間1012(単一波長区間1011と同一の波長)から階段状に光源101の波長スキャンを行う。そして、この制御により、光源101の単一波長区間1012の動作は、2次元センサー162の露光区間1081の動作と連動したものとなる。この制御によれば、2次元センサー162の露光動作を中断することなく、光源101の動作と連動させることができるため、効率の良い高速の撮影を行うことが可能である。
【0120】
<第3実施例>
次に、図3に示す光源101と2次元センサー162の動作方法における第3実施例について説明する。なお、以下に記載する第3実施例の説明において、上述した第1実施例及び第2実施例と共通する事項については説明を省略し、上述した第1実施例及び第2実施例と異なる事項について説明を行う。
【0121】
図10(3a)~(3b)は、本実施形態の第3実施例における光源101と2次元センサー162の動作方法の時系列動作を示すタイミングチャートである。具体的に、図10(3a)は、2次元センサー162の露光動作のタイミングを示し、図10(3b)は、光源101の波長スキャン動作のタイミングを示している。
【0122】
上述した第1実施例及び第2実施例では、それぞれトリガー信号1001及び露光タイミング信号1005を用いて、光源101の動作と2次元センサー162の動作とを連動させる制御を行うものであった。これに対して、第3実施例は、トリガー信号1001や露光タイミング信号1005を用いずに、光源101の動作と2次元センサー162の動作とを連動させる制御を行うものである。この第3実施例では、全体制御部300は、2次元センサー162が干渉光124を検出して得た干渉信号に基づく干渉画像の輝度情報をリファレンス画像の輝度情報と比較した結果に基づいて、光源101から出力する光の波長を変更する動作の制御を行う。
【0123】
第3実施例の処理について、以下に詳しく説明する。
本実施形態では、撮影において、部分領域813の干渉画像が、リアルタイムに画像生成部400から全体制御部300に送られる。この際、全体制御部300は、受信した部分領域813の干渉画像から、部分領域813の干渉画像の輝度情報(以下、「部分輝度情報」と呼ぶ)を取得する。ここで、本実施形態では、部分輝度情報として、部分領域813の干渉画像の平均輝度を用いる。
【0124】
そして、全体制御部300は、取得した部分輝度情報をリファレンス部分輝度情報と比較して、図10(3a)に示す、部分輝度情報が低い露光区間1085を検出する。ここで、リファレンス部分輝度情報とは、予め取得され記憶部600に記憶された波長ごとの干渉画像(リファレンス画像)の平均輝度である。
【0125】
露光タイミングが不適切な場合、図10(3a)に示す露光区間1086は、異なる複数の波長の干渉信号となるため、分解能が低下する。そのため、全体制御部300は、1回の波長スキャン終了時の露光区間1087、及び、露光区間1085に基づき、調整区間1022を設定する。第3実施例の場合、全体制御部300は、光源101の動作と2次元センサー162の動作とを連動させるため、光源101に対して、フライバック区間1020とは別に調整区間1022の間も消灯の状態を維持するように駆動させる。この制御により、光源101は、調整区間1022が経過した後の単一波長区間1013(単一波長区間1011と同一の波長)から階段状に光源101の波長スキャンを行う。そして、この制御により、光源101の単一波長区間1013の動作は、2次元センサー162の露光区間1088の動作と連動したものとなる。この制御によれば、2次元センサー162の露光動作を中断することなく、光源101の動作と連動させることができるため、効率の良い高速の撮影を行うことが可能である。
【0126】
上述したように、本発明の実施形態に係る撮影装置10は、光源101からの光を測定光121と参照光123とに分岐するカプラー103(光分岐手段)と、測定光121を測定対象Tである被検眼E(より詳細には、被検眼Eの眼底Er)の2次元領域に照射する接眼光学系140(照射手段)と、2次元状に配置された受光素子を含み構成され、被検眼Eからの戻り光122と参照光123とを干渉させることにより得られる干渉光124を検出する2次元センサー162(検出手段)と、光源101の動作と2次元センサー162の動作とを連動させる制御を行う全体制御部300(制御手段)とを有して構成されている。
かかる構成よれば、高速な撮影で良好な画質の断層画像を取得することができる。
【0127】
(その他の実施形態)
上述した本発明の実施形態では、測定対象Tとして被検眼Eを適用した例について説明を行ったが、本発明においては、この被検眼Eに限定されるものではない。本発明においては、光源101を用いて断層画像を撮影できる対象であれば、被検眼E以外の他の対象も、測定対象Tとして適用可能である。即ち、本発明においては、撮影装置10は、眼科撮影装置に限定されるものではない。
【0128】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0129】
10:撮影装置、100:光学系、101:光源101、102-1~102-3:光ファイバー、103:カプラー、104:コリメートレンズ、105:ビームスプリッター、107:アパーチャ、140:接眼光学系、150:参照光学系、160:受光光学系、200:入力部、300:全体制御部、400:画像生成部、500:表示制御部、600:記憶部、700:表示部、T:測定対象、E:被検眼、Er:眼底
図1
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