IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

特許7195770冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器
<>
  • 特許-冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器 図1
  • 特許-冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器 図2
  • 特許-冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器 図3
  • 特許-冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器 図4
  • 特許-冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器 図5
  • 特許-冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器 図6
  • 特許-冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器 図7
  • 特許-冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器 図8
  • 特許-冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器 図9
  • 特許-冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器 図10
  • 特許-冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器 図11
  • 特許-冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20221219BHJP
   G03B 17/00 20210101ALI20221219BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20221219BHJP
【FI】
H05K7/20 H
G03B17/00 Q
G03B17/55
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018103583
(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2019207974
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】内藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】木村 正史
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-181400(JP,A)
【文献】特開2009-129378(JP,A)
【文献】国際公開第2014/155685(WO,A1)
【文献】特開2009-266123(JP,A)
【文献】特開2001-142574(JP,A)
【文献】特開2006-215218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
G03B 17/00
G03B 17/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系を介して光学像を受ける撮像素子と、
前記撮影光学系の光軸と平行に延びる回転軸の周りに回転し、一の方向に延びる吸気開口と前記一の方向とは異なる他の方向に延びる排気開口とを備える冷却ファンと、
前記吸気開口に対向して設けられ、空気の吸気を行う吸気口と、
前記排気開口に対向して設けられ、前記空気の排気を行う排気口と、 熱交換を行う板状部材により成形された熱輸送部であって、その厚み方向に空気を流す熱輸送部であって、一端側が前記撮像素子に対向し、且つ、他端側に、前記吸気口から吸気された空気が通過する少なくとも1つの吸気貫通孔と前記排気口から排気される空気が通過する少なくとも1つの排気貫通孔とを有する第1領域を有する熱輸送部と、を備え、
前記少なくとも1つの吸気貫通孔は前記吸気開口に対向して設けられ、前記少なくとも1つの排気貫通孔は前記排気開口に対向して設けられ、前記冷却ファンは、前記吸気口、前記少なくとも1つの吸気貫通孔、前記吸気開口、前記排気開口、前記少なくとも1つの排気貫通孔、前記排気口、の順に空気を通過させ、
前記熱輸送部の単位面積当たりにおける前記少なくとも1つの吸気貫通孔および前記少なくとも1つの排気貫通孔の側壁の面積の割合を示す面積率は、前記少なくとも1つの吸気貫通孔および前記少なくとも1つの排気貫通孔を流れる空気の流速が速くなる程、大きくなるように設定されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1領域においては、前記少なくとも1つの吸気貫通孔の開口率は、前記撮像素子の近くに配置されているもの程小さいことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像素子の位置と前記冷却ファンの位置とに応じて前記冷却ファンの回転方向を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1領域の周囲には、吸気貫通孔も排気貫通孔も形成されていない第2領域が規定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの吸気貫通孔の開口端部は前記空気の流れる方向に曲げられた曲面を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの排気貫通孔の開口端部は前記空気の流れる方向に曲げられた曲げ部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記熱輸送部の前記他端側において、前記第1領域が複数備えられ、該複数の第1領域のそれぞれに対応して複数の前記冷却ファンが備えられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記複数の冷却ファンのうち第1の冷却ファンは、前記複数の第1領域のうち一の第1領域に対応する第1の所定の回転数で駆動され、
前記複数の冷却ファンのうち第2の冷却ファンは、前記複数の第1領域のうち他の第1領域に対応する、前記第1の所定の回転数よりも小さい第2の所定の回転数で駆動され、 前記第1の冷却ファンに対応する前記一の第1領域における前記少なくとも1つの吸気貫通孔の第1の開口率は、前記第2の冷却ファンに対応する前記他の第1領域における前記少なくとも1つの吸気貫通孔の第2の開口率よりも小さいことを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1の冷却ファンに対応する前記一の第1領域は、前記第2の冷却ファンに対応する前記他の第1領域よりも前記撮像素子に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
撮影光学系と、
前記撮影光学系を介して光学像を受ける撮像素子と、
前記撮影光学系の光軸と平行に延びる回転軸の周りに回転し、一の方向に延びる吸気開口と前記一の方向とは異なる他の方向に延びる排気開口とを備える第1の冷却ファンと、 前記吸気開口に対向して設けられ、空気の吸気を行う吸気口と、
前記排気開口に対向して設けられ、前記空気の排気を行う排気口と、 熱交換を行う板状部材により成形された熱輸送部であって、その厚み方向に空気を流す熱輸送部であって、一端側が前記撮像素子に対向し、且つ、他端側に、前記吸気口から吸気された空気が通過する少なくとも1つの吸気貫通孔と前記排気口から排気される空気が通過する少なくとも1つの排気貫通孔とを有する前記第1の冷却ファンに対応した第1領域を有する熱輸送部と、を備え、
前記少なくとも1つの吸気貫通孔は前記吸気開口に対向して設けられ、前記少なくとも1つの排気貫通孔は前記排気開口に対向して設けられ、前記第1の冷却ファンは、前記吸気口、前記少なくとも1つの吸気貫通孔、前記吸気開口、前記排気開口、前記少なくとも1つの排気貫通孔、前記排気口、の順に空気を通過させ、
前記熱輸送部の単位面積当たりにおける前記少なくとも1つの吸気貫通孔および前記少なくとも1つの排気貫通孔の側壁の面積の割合を示す面積率は、前記少なくとも1つの吸気貫通孔および前記少なくとも1つの排気貫通孔を流れる空気の流速が速くなる程、大きくなるように設定されていることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
前記第1の冷却ファンの前記吸気開口に相当する吸気開口と、前記第1の冷却ファンの前記排気開口に相当する排気開口とを有する第2の冷却ファンと、
前記電子機器の動作状態に応じて前記第1の冷却ファンおよび前記第2の冷却ファンを選択的に駆動制御する制御手段と、をさらに備え、
前記一端側と前記他端側を含む前記熱輸送部の前記他端側において、前記第1の冷却ファンに対応した第1領域に相当する前記第2の冷却ファンに対応した第1領域をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記制御手段は、所定の回転数で前記第1の冷却ファンを駆動させ、前記所定の回転数よりも小さい回転数で前記第2の冷却ファンを駆動させ、
前記第1の冷却ファンに対応した第1領域における前記少なくとも1つの吸気貫通孔の開口率は、前記第2の冷却ファンに対応した前記第1領域における前記少なくとも1つの吸気貫通孔の開口率よりも小さいことを特徴とする請求項11に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却ユニット、特に、冷却ファンを備える冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレット、およびゲーム機などの電子機器においては高機能化などによって消費電力が増加する傾向にある。一方、この種の電子機器においては、携行性を向上させるため小型化の要望が強い。
【0003】
消費電力の増加および小型化などによって電子機器で生じる熱が増加するので、その排熱を効率的に行う必要がある。そして、排熱を効率的に行うため、例えば、冷却ファンを備える冷却ユニットが用いられている。
【0004】
例えば、冷却ファンを備える冷却ユニットを薄型とし冷却効率を向上させるため、ファンケースの一部を銅板とし、放熱主要部である放熱フィンまでヒートパイプおよびファンケーシングによって熱輸送を行うようにしたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-22786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の冷却ユニットを用いた場合においても、熱交換を行うための放熱フィンをファンケースとは別に設ける必要があり、冷却ユニットがその分大型化し、結果的に電子機器を小型化することが困難となる。
【0007】
従って、本発明の目的は、小型化可能な冷却ユニットを用いた撮像装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明による撮像装置は、撮影光学系を介して光学像を受ける撮像素子と、前記撮影光学系の光軸と平行に延びる回転軸の周りに回転し、一の方向に延びる吸気開口と前記一の方向とは異なる他の方向に延びる排気開口とを備える冷却ファンと、前記吸気開口に対向して設けられ、空気の吸気を行う吸気口と、前記排気開口に対向して設けられ、前記空気の排気を行う排気口と、熱交換を行う板状部材により成形された熱輸送部であって、その厚み方向に空気を流す熱輸送部であって、一端側が前記撮像素子に対向し、且つ、他端側に前記吸気口から吸気された空気が通過する少なくとも1つの吸気貫通孔と前記排気口から排気される空気が通過する少なくとも1つの排気貫通孔とを有する第1領域を有する熱輸送部と、を備え、前記少なくとも1つの吸気貫通孔は前記吸気開口に対向して設けられ、前記少なくとも1つの排気貫通孔は前記排気開口に対向して設けられ、前記冷却ファンは、前記吸気口、前記少なくとも1つの吸気貫通孔、前記吸気開口、前記排気開口、前記少なくとも1つの排気貫通孔、前記排気口、の順に空気を通過させ、前記熱輸送部の単位面積当たりにおける前記少なくとも1つの吸気貫通孔および前記少なくとも1つの排気貫通孔の側壁の面積の割合を示す面積率は、前記少なくとも1つの吸気貫通孔および前記少なくとも1つの排気貫通孔を流れる空気の流速が速くなる程、大きくなるように設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱輸送部に規定された貫通孔領域において熱交換を行うようにしたので、冷却ユニットおよび電子機器を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態による冷却ユニットが用いられる電子機器の一例を示す図である。
図2図1に示すカメラの構成を説明するための図である。
図3図1に示すカメラに備えられた冷却ユニットの一例を説明するための図である。
図4】従来の冷却構造を備えるカメラの一例を説明するための図である。
図5図1に示すカメラに備えられた冷却ユニットの構成を説明するための図である。
図6図5に示す熱輸送部を説明するための図である。
図7図5に示すカメラシステム制御部の位置と熱輸送部に設けられる貫通孔との関係についてその一例を説明するための図である。
図8図5に示す冷却ファンの回転方向と熱輸送部に形成された貫通孔との関係を説明するための図である。
図9図5に示す冷却ファンの回転方向と熱源の位置との関係を説明するための図である。
図10図7に示す吸気貫通孔および排気貫通孔の周辺の構造を説明するための図である。
図11図7に示す吸気貫通孔および排気貫通孔の構造についてその一例を説明するための図である。
図12】本発明の第2の実施形態による冷却ユニットで用いられる熱輸送部の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態による冷却ユニットの一例について図面を参照して説明する。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態による冷却ユニットが用いられる電子機器の一例を示す図である。そして、図1(a)は正面図であり、図1(b)は背面側から見た斜視図である。また、図1(c)は下面図である。なお、ここでは、電子機器の一例として撮像装置を例に挙げて説明する。
【0013】
図示の撮像装置は、例えば、デジタルカメラ(以下単にカメラと呼ぶ)1であり、その正面にはレンズ鏡筒2が備えられている。レンズ鏡筒2には、複数の光学レンズを有する撮影光学系3が配置され、撮影光学系3は光軸4を有している。
【0014】
カメラ筐体(撮像装置筐体)の上面にはレリーズボタン10aが配置されており、またカメラ筐体内には後述する冷却ファン12が配置されている。また、撮影光学系3に対応してカメラ筐体内には撮像素子が配置されており、カメラ筐体の背面には各種の操作部10およびLCDなどの表示部9が配置されている。
【0015】
図示のように、カメラ筐体の背面には吸気口14が形成され、カメラ筐体の下面には排気口15が形成されている。そして、冷却ファン12の駆動によって、吸気口14から実線矢印16で示すように吸気が行われ、熱輸送部13を介して熱が排気口15から実線矢印17で示すように排気される。なお、参照番号18は冷却ファン12の回転軸を示す。
【0016】
図2は、図1に示すカメラの構成を説明するための図である。そして、図2(a)はレンズ鏡筒を繰り出した状態でカメラを正面側から示す斜視図であり、図2(b)はカメラを沈胴状態において破断して側面側から示す図である。また、図2(c)はカメラの構成を示すブロック図である。
【0017】
図示のカメラ1は、カメラシステム制御部5を備えており、カメラシステム制御部5はカメラ1全体の制御を司る。撮影光学系3を介して光学像が撮像素子6に結像し、撮像素子6は光学像に応じた画像信号を出力する。画像処理部7は、カメラシステム制御部5の制御下で、画像信号に所定の画像処理を施して画像データを生成し、当該画像データをメモリ部8に記録する。
【0018】
カメラシステム制御部5は、撮像素子6で得られた画像信号に応じて、レンズ駆動部11によって、撮影光学系3に備えられた焦点レンズ、ブレ補正レンズ、および絞りなどを駆動してピント調整などを行うとともに、露光制御を行う。つまり、カメラシステム制御部5はAF制御およびAE制御を行う。なお、露光制御には、露光時間、絞り値、および増幅率の制御が含まれる。
【0019】
画像処理部7は、A/D変換器、ホワイトバランス回路、ガンマ補正回路、および補間演算回路などを備えており、前述のように、撮像素子6の出力である画像信号に応じた画像データを生成する。
【0020】
メモリ部8は画像データなどを記録する記憶部と記録に必要な処理回路とを備えている。ここでは、メモリ部8は、記録部に画像データを記録するともに、表示部9に出力する表示用画像を生成して保存する。
【0021】
なお、メモリ部8は、予め定められた手法によって画像データを圧縮する圧縮処理を行う。また、メモリ部8には、カメラシステム制御部5で実行されるプログラムが記録された不揮発性メモリおよび当該プログラムが展開される揮発性メモリを備えている。そして、揮発性メモリはカメラシステム制御部5のワークエリアとして用いられる。
【0022】
カメラシステム制御部5は、操作部10の操作に応じてカメラ1を制御する。例えば、シャッタレリーズボタン10aの押下を検出すると、カメラシステム制御部5は撮像素子6を駆動し、画像処理部7を制御するとともにメモリ部8における圧縮処理などを制御する。さらに、カメラシステム制御部5は、表示部9に各種情報を表示する。
【0023】
カメラシステム制御部5は、撮像素子6で得られた画像信号に基づいて適切な焦点位置および絞り位置を求める。そして、カメラシステム制御部5は、焦点位置に基づいてレンズ駆動部11によって撮影光学系3を制御するとともに、絞り位置に基づいて絞りの開口を調整する。
【0024】
なお、カメラ1のエイミング動作においては、カメラシステム制御部5は撮像素子6で得られた画像を逐次表示部9に表示するライブビュー表示を行う。
【0025】
前述のように、カメラ1には、冷却ファン12が備えられており、カメラシステム制御部8はカメラ1の状態に応じて冷却ファン12を動作させる。これによって、所謂強制空冷による排熱が行われる。
【0026】
また、熱輸送部13(図1)は、発熱源である撮像素子6およびカメラシステム制御部5と冷却ファン12の吸気部又は排気部と対向するように配置されている。これによって、撮像素子6およびカメラシステム制御部5、そして、その近傍で発生した熱を効率よく輸送して排熱することができる。
【0027】
図3は、図1に示すカメラに備えられた冷却ユニットの一例を説明するための図である。そして、図3(a)は図1に一点鎖線で示す部分における断面を示す図であり、図3(b)はカメラの背面に備えられた吸気口を拡大して示す図である。また、図3(c)はカメラの底面に備えられた排気口を拡大して示す図である。
【0028】
熱輸送部13には吸気貫通孔31が形成されるとともに、排気貫通孔32が形成されている。さらに、冷却ファン12には吸気開口12aが形成されるとともに、排気開口12bが形成されている。なお、ファン12には回転翼12cが備えられている。を表している。
【0029】
冷却ファン12によってカメラ1を冷却する際には、冷却ファン12の駆動によって熱源であるカメラシステム制御部5および撮像素子6で発生した熱が熱輸送部13によって冷却ファン12に輸送される。図示の例では、熱輸送部13にカメラシステム制御部5が熱的に接続された状態が示されているが、熱輸送部13に撮像素子6を熱的に接続するようにしてもよい。
【0030】
図3(a)に示すように、熱輸送部13の一端側はカメラシステム制御部5(および撮像素子6)などの熱源に対向して熱的に接続されている。そして、熱輸送部13の他端側は吸気開口12aおよび排気開口12bに対向している。
【0031】
冷却ファン12によって空気が吸気口14から吸気され、熱輸送部13に形成された吸気貫通孔31を通過する際に熱交換が行われる。その後、吸気開口12aから冷却ファン12に流入して排気開口12bから排出される。この際、空気が熱輸送部13に設けられた排気貫通孔32を通過する際に再び熱交換が行われて、空気は排気口15を介してカメラ1の外に排出される。
【0032】
図3(b)に示すように、熱輸送部13には、吸気貫通孔31が複数設けられており、同様に、図3(c)に示すように、熱輸送部13には排気貫通孔32が複数設けられている。このように、吸気貫通孔31および排気貫通孔32の各々を複数設けることによって、後述するように、貫通孔自体の側面積を増やすことができ、熱交換を効率よく行うことが可能となる。
【0033】
ところで、従来、冷却ファンを備えたカメラなどの電子機器においては、制御部などの熱源から、冷却ファンの排気又は吸気開口の周辺に設けられた熱交換部まで熱を輸送している。そして、当該熱交換部において冷却ファンによって吸入された空気との熱交換を行っている。
【0034】
ここで、上述の冷却構造(冷却ユニット)をカメラに用いた例について説明する。
【0035】
図4は、従来の冷却構造を備えるカメラの一例を説明するための図である。そして、図4(a)は従来のカメラを正面から見た図であり、図4(b)は図4(a)に示す一点鎖線110における断面を示す図である。また、図4(c)はカメラの背面に形成された吸気口を拡大して示す図であり、図4(d)はカメラ1の底面に形成された排気口を拡大して示す図である。さらに、図4(e)は冷却ファン12および熱交換部を示す斜視図である。なお、図4において、図1および図3に示すカメラと同一の構成要素については同一の参照番号を付す。
【0036】
熱交換部111は、冷却ファン12の排気開口12bに対向して配置されている。そして、熱交換部111は放熱フィンおよびヒートシンクと呼ばれる熱交換を行うため部分の表面積が大きくなるように成形されている。
【0037】
図示の例では、冷却ファン12の排気開口12bの前に熱交換部111が配されており、冷却ファン12によって排出された空気は熱交換部111によって熱交換される。カメラシステム制御部5(および撮像素子6)で発生した熱は熱輸送部13によって熱交換部111に輸送される。そして、熱交換部111において当該熱は冷却ファン12によって吸入された空気と熱交換される。つまり、図4に示す例では、熱輸送部13とは別に、熱交換のための熱交換部111が必要となる。
【0038】
一方、図3に示す冷却ユニットにおいては、熱輸送部13に熱交換のための貫通孔を設けることによって、熱輸送部13が熱交換部を兼ねて熱交換部111を不要する。
【0039】
続いて、本発明の第1の実施形態による冷却ユニットについてさらに説明する。
【0040】
図5は、図1に示すカメラに備えられた冷却ユニットの構成を説明するための図である。そして、図5(a)は冷却ユニットを示す斜視図であり。図5(b)は冷却ユニットに備えられた冷却ファンを斜視図である。
【0041】
図示の冷却ユニットは熱輸送部13および冷却ファン12を有しており、熱輸送部13は、その一端側が、例えば、熱源であるカメラシステム制御部5に対向し、他端側がファン12と対向するようにして配置されている。そして、前述したように、熱輸送部13には、冷却ファン12と対応する面に吸気貫通孔31および排気貫通孔32が形成されている(図5(a)参照)。また、図5(b)に示すように、冷却ファン12として、例えば、遠心ファンが用いられ、回転翼12cの回転に応じて実線矢印16で示すように回転軸の方向から吸気を行って、実線矢印17示すように回転翼12の半径方向に排気が行われる。
【0042】
図6は、図5に示す熱輸送部を説明するための図である。そして、図6(a)は熱輸送部をその正面から示す図であり、図6(b)は熱輸送部をその底面から示す図である。また、図6(c)は図6(a)に示す一点鎖線50に沿った断面を示す図であり、図6(d)は、図5(b)に示す円57で示す部分を拡大して示す図である。さらに、図6(e)は図6(c)に示す円58で示す部分を拡大して示す図である。なお、図6(a)における正面とはカメラ1の背面から見た場合をいう。
【0043】
図3に関連して説明したように、カメラシステム制御部5(および撮像素子6)で発生した熱は熱輸送部13によって輸送される。そして、熱輸送部13に形成された吸気貫通孔31および排気貫通孔32において、それぞれ冷却ファン12によって吸入又は排出された空気と熱交換が行われる。
【0044】
吸気貫通孔31は、冷却ファン12に形成された吸気開口12aに対向するようにして複数設けられており、同様に、排気貫通孔32は、冷却ファン12に形成された排気開口12bに対向するようにして複数設けられている。
【0045】
図6(e)において、斜線部51は吸気貫通孔31において、冷却ファン12によって吸入された空気と熱交換が行われる吸気貫通孔側面を示す。同様に、斜線部52は排気貫通孔32において空気と熱交換が行われる排気貫通孔側面を示す。
【0046】
ここで、図6(d)を参照して、吸気貫通孔および排気貫通孔の開孔率と熱交換効率との関係、そして、吸気貫通孔および排気貫通孔の側面積と熱交換効率との関係についてについて説明する。
【0047】
開口率とは、貫通孔が母材の単位面積当たりの割合を示す指標である。例えば、図6(d)に示すように、吸気貫通孔31および排気貫通孔32がともに六角形60°の千鳥型(所謂ハニカム形状)に形成されている場合には、開孔率Arは次の式(1)で表される。
【0048】
【数1】
【0049】
式(1)において、Pは、図6(d)に参照番号53で示す六角形状の貫通孔の中心間距離(ピッチ)を示す。また、dは、図6(d)に参照番号矢印55で示す幅(厚み)を示す。さらに、Wは、図6(d)に参照番号54で示す貫通孔の幅(開口幅)を示す。なお、P>dである。
【0050】
前述のように、熱交換は吸気貫通孔31および排気貫通孔32において行われる。そして、吸気貫通孔31および排気貫通孔32の各々が大きい程、空気が通過しやすく、空気が通過する際の抵抗(以下、通風抵抗と呼ぶ)が小さくなる。よって、吸気貫通孔31および排気貫通孔32を通過する間に熱交換を行う際には、開口率が大きい程、熱交換効率は良くなる。つまり、式(1)において、WがPに近い程、言い換えると、P>>dの関係にある程、熱交換効率は良くなる。
【0051】
熱交換効率を考慮すると、熱交換を行う貫通孔の側面は、その面積が大きい程、熱交換効率が高くなる。熱輸送部13においては、冷却ファン12によって吸入された空気と吸気貫通孔側面51および排気貫通孔側面52とにおいて熱交換が行われる。つまり、吸気貫通孔側面51および排気貫通孔側面52の側面積(側壁の面積)が大きい程、熱交換を行う面積が大きくなるので、貫通孔を通過する空気の流速が変わらないとすると、側面積が大きい程、熱交換効率は高くなる。
【0052】
ここで、熱輸送部13の母材の単位面積当たりにおける貫通孔の側面積の割合を側面積率と呼ぶ。例えば、吸気貫通孔31および排気貫通孔32がともに六角形60°千鳥型形状である場合には、側面積率Srは次の式(2)で表される。
【0053】
【数2】
【0054】
式(2)において、P、d、およびWは上記の式(1)と同様である。tは、図6(c)に参照番号56で示す熱輸送部13の厚さを示す。
【0055】
側面積率Srを大きくするためには、厚さtを大きくする他、ピッチPおよび幅dを小さくすればよい。なお、Pおよびdは、加工条件によって決定される最小値とすることが望ましい。また、Pおよびdについては、理想的にはSrが最大となるP=2dに近づけることが望ましい。
【0056】
以上、熱交換効率を高くするための開口率および側面積率に係る条件に付いて説明したが、両者は相反する関係にある。つまり、開口率を大きくするためには、ピッチPを大きくし、かつ幅dを小さくすることが望ましい。一方、側面積率を大きくするためには、ピッチPを小さくし、かつ幅dをP/2に近づけることが望ましい。
【0057】
どのように条件が最適であるかについては、冷却ファン12の性能にもよるが、熱輸送部13を板状部材で成形する際には、貫通孔の側面積が非常に小さくなるので、通風抵抗が高くなりすぎない程度にピッチPを小さくすることが望ましい。
【0058】
続いて、熱源と吸気貫通孔31および排気貫通孔32の幅との関係についてその一例を説明する。
【0059】
図7は、図5に示すカメラシステム制御部の位置と熱輸送部13に設けられる貫通孔との関係についてその一例を説明するための図である。そして、図7(a)は熱輸送部を正面側から見た図であり、図7(b)は熱輸送部を底面側から見た図である。
【0060】
前述のように、熱輸送部13は熱輸送の役割と熱交換の役割の2つを兼ねている。熱輸送の面からみると、吸気貫通孔31および排気貫通孔32の部分には熱伝導率が非常に低い空気が存在するので、熱輸送の阻害要因となる。
【0061】
熱交換効率を考慮すると、熱源からの距離が遠い貫通孔まで熱を十分に輸送し、多数の貫通孔側面において熱交換を行えば熱交換効率は高くなる。よって、熱輸送部13においては熱源に近い箇所程、熱輸送を優先させることが望ましい。
【0062】
例えば、図7(a)に示すように、熱源であるカメラシステム制御部5に近い程、吸気貫通孔31の幅54(図中紙面上側の吸気貫通孔31の幅54)を小さくする。吸気貫通孔31の幅54を小さくすることによって、熱輸送部13の母材の幅55が大きくなって、熱輸送能力を高めることができる。
【0063】
上述のように、熱源であるカメラシステム制御部5に近い程、吸気貫通孔31の幅54を小さくする。これによって、熱源から遠い貫通孔まで、つまり、排気貫通孔32までより多くの熱を輸送することが可能となって、熱交換効率を高くすることができる。
【0064】
上述の例では、式(1)におけるW(図6(d)に示す幅54)を小さくすることによって、開口率を小さくして熱輸送能力を高めている。一方、式(1)におけるP(図6(d)に示すピッチ53)を大きくすることによっても熱輸送能力を高めることが可能である。Wを変更することなく、Pを大きくした場合、d(図6(d)に示す幅55)が大きくなって、同様にして熱輸送能力を高めることが可能となる。つまり、熱輸送部13において、熱源に近い程、式(1)に示す開口率を小さくすることによって、熱交換効率を高くすることができる。
【0065】
次に、冷却ファンと貫通孔の幅との関係について説明する。
【0066】
図8は、図5に示す冷却ファンの回転方向と熱輸送部に形成された貫通孔との関係を説明するための図である。そして、図8(a)は熱輸送部を正面側から示す図であり、図8(b)熱輸送部を底面側から示す図である。
【0067】
一般に、冷却ファン12では、その回転方向によって吸気開口12aおよび排気開口12bにおいて流入する空気の速度(流速)の分布が変化する。参照番号71は冷却ファン12の回転方向を示す。いま、回転方向71に冷却ファン12が回転しているとする。この場合、図8(a)において紙面の下方向に排気を行うとすると、吸気開口12aの周辺における流速分布においては一般には吸気開口12aの紙面左側で冷却ファン12に流入する空気の流速が速い。一方、紙面右側においては冷却ファン12に流入する空気の流速が遅い。
【0068】
図8(b)において、排気開口12bの周辺における流速分布においては、紙面右側で冷却ファン12から流出する空気の流速が速く、紙面左側で冷却ファン12から流出する空気の流速が遅い。
【0069】
よって、流速が遅い箇所に位置する貫通孔についてはその幅を小さくすることによって熱輸送能力を向上させて、流速が速い箇所に位置する貫通校孔に熱を輸送する。これによって、熱交換効率を上げることができる。
【0070】
例えば、図8(a)に示すように、流速が速い箇所に位置する程、吸気貫通孔31および排気貫通孔32の幅を大きくし、流速が遅い箇所に位置する程、吸気貫通孔31および排気貫通孔32の幅を小さくする。これによって、側面積率が大きく熱交換効率が高い貫通孔に熱を輸送して効率良く熱交換を行うことができる。
【0071】
なお、冷却ファン12の回転方向が回転方向71と逆の場合には、貫通孔の幅の大小関係も上述の場合と逆にする。つまり、紙面右側程、貫通孔の幅を大きくし、紙面左側程、貫通孔の幅を小さくする。
【0072】
このように、流速が速い箇所に位置する貫通孔程、式(2)におけるW(図6(d)に示す幅54)を大きくすることによって、側面積率を大きくして熱交換効率を高くすることができる。
【0073】
一方、式(2)におけるP(図6(d)に示すピッチ53)を小さくして熱交換効率を高くするようにしてもよい。流速が速い箇所に位置する貫通孔程、Wを変更することなくPを小さくした場合には、d(図6(d)に示す幅55)が小さくなって側面積率が大きくなり、熱交換効率を高めることができる。つまり、熱輸送部13において、流速が速い箇所に位置する貫通孔程、式(2)に示す側面積率を大きくすることによって、熱交換効率を高くすることができる。
【0074】
続いて、冷却ファンの回転方向と熱源の配置との関係について説明する。
【0075】
図9は、図5に示す冷却ファンの回転方向と熱源の位置との関係を説明するための図である。そして、図9(a)は冷却ファンの回転方向と熱源であるカメラシステム制御部の位置との関係について一例を示す図であり、図9(b)は冷却ファンの回転方向と熱源であるカメラシステム制御部の位置との関係について他の例を示す図である。
【0076】
図9(a)においては、冷却ファン12の回転方向71に対して流速の遅い箇所(紙面右側)に熱源であるカメラシステム制御部5が配置されている。そして、熱輸送部13において、カメラシステム制御部5と対向する部分が冷却ファン12から見て流速の遅い側に延在している。
【0077】
一方、図9(b)においては、流速の速い箇所(紙面左側)に熱源であるカメラシステム制御部5が配置されている。そして、熱輸送部13において、カメラシステム制御部5と対向する部分が冷却ファン12から見て流速の速い側に延在している。
【0078】
図7に関連して説明したように、熱輸送部13においては、熱源に近い程、貫通孔の幅を小さくする方が熱源から遠くまで熱を輸送することができ、熱交換効率が高くなる。一方、図8に関連して説明したように、冷却ファン12の回転方向によって流速の速い側程、貫通孔の幅を大きくする方が熱交換効率は良い。
【0079】
従って、熱源と冷却ファン12の位置とによって決定される熱輸送部13のレイアウトに応じて、冷却ファン12の回転方向を決定する。例えば、図9(a)に示すように、熱源と対向する部分が冷却ファン12から見て紙面右側に延在する場合には、冷却ファン12の回転方向を右回りとする。一方、図9(b)に示すように、熱源と対向する部分が冷却ファン12から見て紙面左側に延在する場合には。冷却ファン12の回転方向を左回りとする。
【0080】
なお、図9(b)に示す配置の場合には、吸気貫通孔31の幅も左右反転させて紙面左側ほど貫通孔の幅を小さくする方が熱輸送能力の観点から望ましい。
【0081】
図10は、図7に示す吸気貫通孔および排気貫通孔の周辺の構造を説明するための図である。そして、図10(a)は熱輸送部を正面側から見た図であり、図10(b)は熱輸送部を底面側から見た図である。
【0082】
図9において、斜線部91は熱輸送部13において吸気貫通孔31および排気貫通孔32が形成されていない領域(非貫通孔領域)を示す。前述のように、吸気貫通孔31又は排気貫通孔32が形成された領域(貫通孔領域)においては、熱輸送部の能力(つまり、熱輸送能力)が下がってしまう。このため、貫通孔領域の周囲又は周辺に非貫通孔領域を規定して、熱輸送能力を補う。
【0083】
図示のように、斜線部91で示す非貫通孔領域を規定することによって破線矢印92で示す熱伝達経路が形成される。この結果、熱源であるカメラシステム制御部5から熱輸送部13によって排気貫通孔32まで効率的に熱を輸送することができる。これによって、熱交換効率を上げることが可能となる。
【0084】
図11は、図7に示す吸気貫通孔および排気貫通孔の構造についてその一例を説明するための図である。そして、図11(a)は熱輸送部を正面側から示す図であり、図11(b)は熱輸送部を底面側から示す図である。また、図11(c)は図11(a)に示す一点鎖線50に沿った断面を示す図であり、図11(d)は図11(c)に示す円103で示す部分を拡大して示す図である。
【0085】
図示の熱輸送部13はプレス加工によって成形されており、吸気貫通孔31および排気貫通孔32において一方の開口端部にはそれぞれ曲げ部101が形成されている。さらには、吸気貫通孔31および排気貫通孔32の各々において他方の開口端部にはR部(曲面部)102が形成されている。例えば、曲げ部101は、プレス加工によって生じるバリであり、R部102はプレス加工によって生じるダレである。
【0086】
図6に関連して説明したように、熱輸送部13に形成された吸気貫通孔31および排気貫通孔32を空気が通過する際に熱交換が行われる。このため、吸気貫通孔31および排気貫通孔32の側面積が大きい方が熱交換効率は高くなる。よって、吸気貫通孔31および排気貫通孔32の端部に曲げ部101を形成すれば、貫通孔の高さが高くなって側面積を増加させることができる。
【0087】
同様に、吸気貫通孔31および排気貫通孔32の側面積を増加させる手法として、図6(c)に示す厚み56(厚みt)を増加させることが考えられるが、この場合には、熱輸送部13の厚さが大きくなってしまう。このため、カメラ1が厚み方向(光軸方向)に大型化してしまう。
【0088】
一方、図11に示す例では、熱輸送部13の厚みを変化させることなく、プレス加工によって貫通孔を作成する際にバリを残すように加工手法を工夫すれば貫通孔の側面積を増加させることができる。特に、吸気貫通孔31および排気貫通孔32は吸気口14、排気口15、吸気開口12a、および排気開口12bと対向しているので、これら開口などに入り込むように曲げ部101を配置することが可能である。よって、熱輸送部13の厚みを増やすことなく、吸気貫通孔31および排気貫通孔32の側面積を増加させることができる。
【0089】
さらに、熱交換を行う際には、吸気貫通孔31および排気貫通孔32における通風抵抗が小さい方が、空気が流れやすくなって熱交換効率は高くなる。そこで、吸気貫通孔31および排気貫通孔32の端部にその径が広がるようにR部102を形成する。これによって、冷却ファン12によって空気を吸入する際の通風抵抗を小さくすることができる。
【0090】
なお、曲げ部101およびR部102の曲げ方向については、図11(d)に示すに、冷却ファン12による空気の流れ方向に向かって曲げた方が通風抵抗が小さくなるとので望ましい。
【0091】
このように、本発明の第1の実施形態では、熱輸送部13に空気が流れる貫通孔を形成して、当該貫通孔の側面において熱交換を行う。これによって、熱交換を行うための熱交換部を設ける必要がなくなって、冷却ユニットを小型化することができる。
【0092】
なお、上述の例では、熱輸送部13が吸気開口12aおよび排気開口12bの双方に対向し、吸気貫通孔31および排気貫通孔32の双方で熱交換を行うようにしたが、いずれか一方と対向して熱交換を行うようにしてもよい。
【0093】
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態による冷却ユニットが用いられるカメラの一例を示す図である。
【0094】
上述の第1の実施形態においては、冷却ユニットが1つの冷却ファンを備える場合について説明したが、冷却ユニットは複数の冷却ファンを備えるようにしてもよい。ここでは、冷却ユニットが2つの冷却ファンを備える場合について説明する。
【0095】
なお、第2の実施形形態による冷却ユニットについては、第1の実施形態による冷却ユニットと異なる構成についてのみ説明し、同様の構成について説明を省略する。
【0096】
図12は、本発明の第2の実施形態による冷却ユニットで用いられる熱輸送部の一例を説明するための図である。そして、図12(a)は熱輸送部を正面側から見た図であり、図12(b)は熱輸送部を底面側から見た図である。
【0097】
図示のように、冷却ユニットは2つの冷却ファン1212aおよび1212bを有しており、これら冷却ファン1212aおよび1212bに対向して熱輸送部1213が配置されており、さらに、熱輸送部1213は、熱源であるカメラシステム制御部5に対向している。
【0098】
熱輸送部1213には、第1の冷却ファン1212aおよび第2の冷却ファン1212bに対向してそれぞれ第1の貫通孔領域および第2の貫通孔領域が規定されている。第1の貫通孔領域には第1の吸気貫通孔1231aおよび第1の排気貫通孔1232aが形成され、第2の貫通孔領域には第2の吸気貫通孔1231bおよび第2の排気貫通孔1232bが形成されている。
【0099】
なお、ここでは、熱源であるカメラシステム制御部5に対して近い側に位置する冷却ファンを第1の冷却ファン1212aとし、遠い側に位置する冷却ファンを第2のファン1212bとする。
【0100】
図示の例では、第1の冷却ファン1212aおよび第2の冷却ファン1212bの各々はそれぞれ所定の回転数で回転制御される。そして、第1の冷却ファン1212aの回転数は第2の冷却ファン1212bの回転数よりも大きい。さらに、第1の吸気貫通孔1231aおよび第1の排気貫通孔1232aはその大きさが第2の吸気貫通孔1231bおよび第2の排気貫通孔1232bよりも小さい。
【0101】
相対的に回転数が大きい第1の冷却ファン1212aにおいては、通風抵抗が大きいとしも風を流すことができる(つまり、流量が多い)。一方、相対的に回転数が小さい第2の冷却ファン1212bでは、通風抵抗が大きいと、通風抵抗によって風を流すことが困難となる(つまり、流量が少ない)。
【0102】
よって、図示の例では、第1の冷却ファン1212aに対向して配置された第1の吸気貫通孔1231aおよび第1の排気貫通孔1232aについては通風抵抗が大きくなるようにその径を小さくする。一方、第2のファン1212bに対向して配置された第2吸気貫通孔1231bおよび第2の排気貫通孔1232bは通風抵抗が小さくなるようにその径を大きくする。
【0103】
上述のように、熱輸送部1213において、カメラシステム制御部5に近い側に位置する貫通孔の径を小さくし、遠い側に位置する貫通孔の径を大きくする。これによって、遠い側に位置する貫通孔まで熱を効率的に輸送することができ、熱輸送部1213における熱輸送能力の低下を防止することができる。言い替えると、カメラシステム制御部5に近い側に位置する貫通孔の径を大きし、遠い側に位置する貫通孔の径を小さくすると、熱の輸送に寄与しない欠損部が熱源に近い側に位置することになって、熱輸送能力が低下する。
【0104】
上述のように、第1の冷却ファン1212aおよび第2の冷却ファン1212bの回転数と熱輸送部1213に形成された貫通孔の径とを設定する。これによって、カメラを動作した際に冷却ファンの騒音を小さくすることを優先するモードと冷却を優先するモードとを選択することができる。
【0105】
例えば、動画撮影(録画および録音)などのように冷却ファンの回転による騒音を低減したい場合には、第2の冷却ファン1212bを駆動するモードを用いる。一方、スタンバイ中などのように冷却ファンの回転による騒音が気になることがなく冷却を優先したい場合には、第1の冷却ファン1212aを駆動するモードを用いる。さらには、動画撮影などを行った後、急速な冷却を必要とする場合には、第1の冷却ファン1212aおよび第2の冷却ファン1212bを駆動するモードを用いる。
【0106】
このように、回転数の異なる第1の冷却ファン1212aおよび第2の冷却ファン1212bを選択的に駆動制御することによって、つまり、冷却ファンの回転数制御を行うことなくカメラの動作状態に合わせて冷却を行うことができる。
【0107】
以上のように、本発明の第2の実施形態では、冷却ファンを複数備え、これら冷却ファンに対向して、熱輸送部に吸気貫通孔および排気貫通孔を形成する。そして、複数の冷却ファンの回転数を異ならせるとともに、吸気貫通孔および排気貫通孔の径を冷却ファンの位置に応じて異ならせる。これによって、冷却ユニットを小型化するとともに、冷却ファンの回転数制御を行う必要がなくなる。
【0108】
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。つまり、材質、形状、寸法、形態、数、および配置箇所などについては、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 カメラ(撮像装置)
2 レンズ鏡筒
12 冷却ファン
12a 吸気開口
12b 排気開口
13 熱輸送部
14 吸気口
15 排気口
31 吸気貫通孔
32 排気貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12