(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】電気炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A47J27/00 103E
A47J27/00 103N
A47J27/00 103P
(21)【出願番号】P 2018120519
(22)【出願日】2018-06-26
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】10-2017-0087323
(32)【優先日】2017-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518096010
【氏名又は名称】クク エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウォン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ユン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ス ホ
(72)【発明者】
【氏名】パン、ホ サン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ヨン ベ
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0450045(KR,Y1)
【文献】韓国公開実用新案第1998-035053(KR,U)
【文献】登録実用新案第3148043(JP,U)
【文献】特表2009-533116(JP,A)
【文献】特開2005-349188(JP,A)
【文献】実開昭57-038611(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0345766(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内釜が収容される本体と、
前記本体の上部に結合されて開閉し、上面の一側に前記内釜のロックのための内釜ロック手段に連動するハンドルが備えられた蓋部と、
前記蓋部を貫通するように配置され、前記ハンドルの回転に連動して前記内釜内の蒸気排出のための開閉状態が転換及び維持される圧力転換手段と、
前記圧力転換手段が閉鎖された圧力調理モードにおいて前記内釜内の圧力によって選択的に開閉される圧力対応作動手段と、を含
み、
さらに前記ハンドルの下端に連結されて回動し、一端にロッキングリング連動部が設けられ、他端にピストン連動部が設けられたハンドルベースを含み、
前記ピストン連動部は、前記ハンドルの回転時に前記圧力転換手段の外周に接して回転するように延長し、
前記ピストン連動部の上面には、回転時に前記圧力転換手段の外周に接する部分に沿って、前記ハンドルのロック回転方向に行くほど上方に傾斜したリフト突起が突出される
ことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
内釜が収容される本体と、
前記本体の上部に結合されて開閉し、上面の一側に前記内釜のロックのための内釜ロック手段に連動するハンドルが備えられた蓋部と、
前記蓋部を貫通するように配置され、前記ハンドルの回転に連動して前記内釜内の蒸気排出のための開閉状態が転換及び維持される圧力転換手段と、
前記圧力転換手段が閉鎖された圧力調理モードにおいて前記内釜内の圧力によって選択的に開閉される圧力対応作動手段と、を含
み、
前記圧力転換手段は、
前記蓋部の下面を貫通するように設けられ、内部に前記内釜の内部に連通する圧力転換流路が形成された下部シリンダーと、
前記圧力転換流路の開閉状態が転換されるように、前記ハンドルの回転に連動して移動する手段に上方に傾斜して突設されたリフト突起の傾斜面に沿って乗降する乗降翼部が外周に突設された乗降ピストンと、
前記圧力転換流路の開閉状態が維持されるように、前記下部シリンダーの上部に結合されて前記乗降翼部を押圧する加圧手段と、を含み、
前記乗降翼部の縁部は前記リフト突起がスライドするようにラウンドして形成される
ことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項3】
内釜が収容される本体と、
前記本体の上部に結合されて開閉し、上面の一側に前記内釜のロックのための内釜ロック手段に連動するハンドルが備えられた蓋部と、
前記蓋部を貫通するように配置され、前記ハンドルの回転に連動して前記内釜内の蒸気排出のための開閉状態が転換及び維持される圧力転換手段と、
前記圧力転換手段が閉鎖された圧力調理モードにおいて前記内釜内の圧力によって選択的に開閉される圧力対応作動手段と、を含
み、
前記圧力転換手段は、
前記蓋部の下面を貫通するように設けられ、内部に前記内釜の内部に連通する圧力転換流路が形成された下部シリンダーと、
前記圧力転換流路の開閉状態が転換されるように、前記ハンドルの回転に連動して移動する手段に上方に傾斜して突設されたリフト突起の傾斜面に沿って乗降する乗降翼部が外周に突設された乗降ピストンと、
前記圧力転換流路の開閉状態が維持されるように、前記下部シリンダーの上部に結合されて前記乗降翼部を押圧する加圧手段と、を含み、
さらに前記蓋部の下面に設けられ、前記圧力転換手段及び前記圧力対応作動手段を纏めて固定及び支持する複数の装着孔が形成された制御板を含み、
前記下部シリンダーの下端には前記装着孔の内周にネジ締結される固定締結部が設けられる
ことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項4】
内釜が収容される本体と、
前記本体の上部に結合されて開閉し、上面の一側に前記内釜のロックのための内釜ロック手段に連動するハンドルが備えられた蓋部と、
前記蓋部を貫通するように配置され、前記ハンドルの回転に連動して前記内釜内の蒸気排出のための開閉状態が転換及び維持される圧力転換手段と、
前記圧力転換手段が閉鎖された圧力調理モードにおいて前記内釜内の圧力によって選択的に開閉される圧力対応作動手段と、を含み、
前記圧力転換手段は、
前記蓋部の下面を貫通するように設けられ、内部に前記内釜の内部に連通する圧力転換流路が形成された下部シリンダーと、
前記圧力転換流路の開閉状態が転換されるように、前記ハンドルの回転に連動して移動する手段に上方に傾斜して突設されたリフト突起の傾斜面に沿って乗降する乗降翼部が外周に突設された乗降ピストンと、
前記圧力転換流路の開閉状態が維持されるように、前記下部シリンダーの上部に結合されて前記乗降翼部を押圧する加圧手段と、を含み、
さらに前記蓋部の下面に設けられ、前記圧力転換手段及び前記圧力対応作動手段を纏めて固定及び支持する複数の装着孔が形成された制御板を含み、
前記
乗降ピストンは、
下面に前記圧力転換流路を遮蔽する遮蔽突起が突設され、前記遮蔽突起の外郭に沿って 転換排出孔が形成されて前記下部シリンダーの上端に安着する安着板と、
前記下部シリンダーの外周を囲むように前記安着板の外側端から下側に延長形成された下部スライド管と、を含む
ことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項5】
内釜が収容される本体と、
前記本体の上部に結合されて開閉し、上面の一側に前記内釜のロックのための内釜ロック手段に連動するハンドルが備えられた蓋部と、
前記蓋部を貫通するように配置され、前記ハンドルの回転に連動して前記内釜内の蒸気排出のための開閉状態が転換及び維持される圧力転換手段と、
前記圧力転換手段が閉鎖された圧力調理モードにおいて前記内釜内の圧力によって選択的に開閉される圧力対応作動手段と、を含
み、
前記蓋部の上面には、前記圧力対応作動手段及び前記圧力転換手段の蒸気排出を案内するスチームキャップが着脱自在に設けられ、
前記圧力対応作動手段は、電気信号によって開閉されるソレノイドバルブと、前記内釜内の蒸気圧力によって乗降する重量錘を備える圧力錘バルブとからなり、
前記本体には前記内釜ロック手段のロック解除時に前記蓋部が選択的に開閉されるようにロックする補助ロック手段を備える
ことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項6】
前記加圧手段は、前記圧力転換流路が所定の理想圧力以上で強制に開放されるように、前記乗降ピストンの外周に取り付けられ、前記理想圧力に対応する弾性係数を有する弾性部材からなる
請求項2に記載の電気炊飯器。
【請求項7】
前記加圧手段は、前記圧力転換流路が所定の理想圧力以上では強制に開放されるように、前記理想圧力に対応する重量で前記乗降ピストンの外周に備えられた圧力荷重錘からなる
請求項2に記載の電気炊飯器。
【請求項8】
前記下部シリンダーの下端には、前記蓋部の下面をカバーするリードプレートに形成されたDカット孔に嵌合挿入されるDカット結合部が形成される
請求項2に記載の電気炊飯器。
【請求項9】
前記遮蔽突起は下方に行くほど半径方向の内側に狭くなり、
前記圧力転換流路の上端には前記遮蔽突起が接するように上方に行くほど半径方向の外側に広くなる密閉接触部が設けられる
請求項4に記載の電気炊飯器。
【請求項10】
前記下部シリンダーの外周には前記下部スライド管の内周を密閉する密閉部材が設けられる
請求項4に記載の電気炊飯器。
【請求項11】
前記下部スライド管の内周にはタブ組立突起が突設され、
前記下部シリンダーの外周には前記タブ組立突起が回転締結されるタブ結合突起と、前記タブ結合突起を通過した前記タブ組立突起が挿入され、前記乗降ピストンの乗降間隔に対応する上下幅で形成された突起収容溝とが形成される
請求項4に記載の電気炊飯器。
【請求項12】
さらに前記乗降ピストンは前記安着板の外側端から上方に延びて前記蓋部の上面を貫通するように配置される上部スライド管を含み、
前記上部スライド管の内周には、前記転換排出孔の上部をカバーする飛散防止段差部が形成される
請求項4に記載の電気炊飯器。
【請求項13】
さらに前記圧力転換手段は前記蓋部の上面を貫通するように配置される上部シリンダーを含み、
前記上部シリンダーの下端には、前記転換排出孔を貫通して前記下部シリンダーに締結されるように円弧形に分割されて下方に延びたコラム締結部が形成される
請求項4に記載の電気炊飯器。
【請求項14】
さらに前記乗降ピストンは前記上部シリンダーの外周を囲むように前記安着板の外側端から上側に延長形成された上部スライド管を含み、
前記上部シリンダーの外周には前記上部スライド管の内周を密閉する密閉部材が設けられ、
前記上部シリンダーの内周には前記転換排出孔に対向配置されるように半径方向の内側に突設された飛散防止板が設けられる
請求項13に記載の電気炊飯器。
【請求項15】
さらに前記ハンドルの下端に連結されて回動し、一端にロッキングリング連動部が設けられ、他端にレバー連動部が設けられたハンドルベースと、
前記レバー連動部の回転に対応して一側及び他側に直線移動するリフトレバーと、を含む
請求項1ないし14のいずれかに記載の電気炊飯器。
【請求項16】
前記リフトレバーの一側には、前記レバー連動部に突設された連動突起が挿入されるように貫通し、前記連動突起の回転軌跡の一端から接線方向に拡張形成されたクランク孔が形成される
請求項15に記載の電気炊飯器。
【請求項17】
前記リフトレバーは前記圧力転換手段の外周に接して直線移動するように配置され、
前記リフトレバーの上面には、直線移動時に前記圧力転換手段の外周に接する部分に沿って、前記ハンドルのロック回転時に直線移動方向に行くほど上方に傾斜したリフト突起が突出される
請求項15に記載の電気炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気炊飯器に関し、より詳しくは、内釜内の圧力状態及び非圧力状態において各々調理可能であり、調理の品質及び使用便宜性が向上した電気炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電気炊飯器とは、営業所及び家庭で炊事時に使用する電気釜、電気圧力炊飯器などを意味し、発熱部が備えられた本体と、該本体の上部を覆う蓋部とからなる。
【0003】
本体には調理材料をいれる内釜が収容され、蓋部は本体の一側にヒンジ結合されて開閉し、下部には内釜の上部開口を密閉するための内釜カバーが備えられる。内釜カバーの一側には内釜に連通する流動孔が形成され、内釜内の蒸気が流動孔を介して蓋部に設けられた圧力調節手段に流動する。
【0004】
詳しくは、圧力調節手段は、内釜の内部と炊飯器の外部を連結する蒸気排出流路が開閉するように電気的に駆動するソレノイドバルブ、内釜内の圧力を一定に維持するための圧力錘バルブなどを備える。即ち、調理が始まると、ソレノイドバルブにより蒸気排出流路が閉鎖されて内釜内の圧力が上昇し、圧力錘バルブにより内釜内の圧力が一定に維持される。
【0005】
しかし、従来の電気炊飯器では、圧力錘の重量圧と蒸気圧の相互作用により内釜内の圧力が所定値に維持されるので、ユーザの好みや料理の種類に合わせた調理方法を適用/選択できず、調理の品質が低下する問題があった。
【0006】
即ち、圧力が不要な調理材料の場合、高圧により食感が脆くなる。またもちもちしっとりとした食感の圧力釜のご飯より柔らかい食感の非圧力釜のご飯の方が好きな人には、非圧力電気釜を別途に購入したり鍋炊きをしたりする必要がある。
【0007】
よって、炊事中にソレノイドバルブを一定時間・周期でさらに開いて火力を下げるか、或いは水に浸しておく時間を長くすることにより柔らかい食感を提供するが、非圧力電気釜の食感には及ばない。
【0008】
一方、調理中に内釜内に圧力が存在する場合、内釜の高圧状態では蓋部の開放を遮断する圧力安全装置があるため、調理状態の確認や材料の追加投入のための蓋部の開閉が不可能であり不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記問題を解決するために、本発明は内釜内の圧力状態及び非圧力状態において各々調理可能であり、調理の品質及び使用便宜性が向上した電気炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題を解決するために、本発明は、内釜が収容される本体と、本体の上部に結合されて開閉し、上面の一側に内釜のロックのための内釜ロック手段に連動するハンドルが備えられた蓋部と、該蓋部を貫通するように配置され、ハンドルの回転に連動して内釜内の蒸気排出のための開閉状態が転換及び維持される圧力転換手段と、圧力転換手段が閉鎖された圧力調理モードにおいて内釜内の圧力によって選択的に開閉される圧力対応作動手段とを含む電気炊飯器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態による電気炊飯器の蓋部を示す分解斜視図
【
図2A】本発明の第1実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す斜視図
【
図2B】本発明の第1実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す斜視図
【
図3A】本発明の第1実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す断面図
【
図3B】本発明の第1実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す断面図
【
図4】本発明の第1実施形態による電気炊飯器において加圧手段の変形例を示す例示図
【
図5】本発明の第1実施形態による電気炊飯器において下部シリンダーの結合構造に関する変形例を示す例示図
【
図6】本発明の第1実施形態による電気炊飯器を示すブロック図
【
図7】本発明の第2実施形態による電気炊飯器の蓋部を示す断面図
【
図8A】本発明の第3実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す斜視図
【
図8B】本発明の第3実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す斜視図
【
図9A】本発明の第3実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す断面図
【
図9B】本発明の第3実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態による電気炊飯器について詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の第1実施形態による電気炊飯器の蓋部を示す分解斜視図であり、
図2A及び
図2Bは本発明の第1実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す斜視図であり、
図3A及び
図3Bは本発明の第1実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放及び閉鎖状態を示す断面図である。
図4は本発明の第1実施形態による電気炊飯器において加圧手段の変形例を示す例示図であり、
図5は本発明の第1実施形態による電気炊飯器において下部シリンダーの結合構造に関する変形例を示す例示図であり、
図6は本発明の第1実施形態による電気炊飯器を示すブロック図である。
【0014】
図1ないし
図6に示すように、本発明による電気炊飯器100は、本体(図示せず)、蓋部10、圧力対応作動手段90及び圧力転換手段50からなる。
【0015】
ここで、本体(図示せず)内には、熱板ヒータ或いは誘導加熱装置などの加熱手段19cを備える装着空間が形成され、装着空間内には調理材料をいれる内釜(図示せず)が収容される。この時、内釜の上部には半径方向の外側に複数のフランジ部が突出して形成される。
【0016】
図1及び
図2Aに示すように、蓋部10は、本体(図示せず)の上部に結合されて開閉し、各種電子部品及び配線が設けられる内部蓋部10bと、該内部蓋部10bをカバーし、上面の一側にハンドル11が備えられた外部蓋部10aとからなる。ここで、ハンドル11は開閉手段の一例である。即ち、ハンドルはユーザの操作により内釜のロックのための内釜ロック手段に連動する電気式電動モーターなどで代替でき、それを含む概念である。
【0017】
以下、一側は蓋部10の開放端部17を向く方向を、他側は蓋部10のヒンジ連結部16を向く方向を意味する。
【0018】
ハンドル11は内釜のロックのための内釜ロック手段に連動する。ここで、内釜ロック手段は、内部蓋部10bの下面に回転自在に結合されて回転角度によってフランジ部に選択的にロックされるロッキングリング20などで形成されるが、これに限定されない。
【0019】
例えば、ロッキングリング20の内周には各々のフランジ部に対応して半径方向の内側に複数のロック突起21が突設される。この時、ロッキングリング20がロック解除角度に回転すると、各々のロック突起21がフタンジ部の間の空間に配置され、蓋部10と内釜(図示せず)が分離されて開閉が可能になる。また蓋部10が閉じられた状態でロッキングリング20がロック角度に回転すると、各々のロック突起21がフランジ部の下端に拘束されて蓋部10と内釜(図示せず)がロックされる。
【0020】
図1ないし
図3Aに示すように、ハンドル11の下端にはハンドルベース30が連結される。詳しくは、ハンドルベース30は、支持部30c、該支持部30cの一端及び他端に突設されたロッキングリング連動部30a及びレバー連動部30bからなる。支持部30cは上面にハンドル11の下端がキー結合され、下面に形成された回転支持溝部34に内部蓋部10bの支持突起14が挿入されて回転支持される。これにより、ハンドルベース30が捩れなくハンドル11と一体に回転できる。
【0021】
ロッキングリング連動部30aは、ロッキングリング20の回転軌跡と重畳するように延び、ロッキングリング20と重畳配置された一側に連結孔31が形成される。この時、連結孔31にはロッキングリング20の上面に突設された連結突起23が内部蓋部10bの円弧形長孔15を貫通して嵌合され、これによりロッキングリング20がハンドル11と連動して回転できる。
【0022】
なお、内部蓋部10bの下面にはリードプレート80が結合され、さらにリードプレート80の下面には内釜カバー(図示せず)が設けられる。
【0023】
この実施形態においては、内釜(図示せず)の上端開口を密閉する密閉パッキング82がリードプレート80の下面に設けられたことを例示しているが、密閉パッキング82は内釜カバー(図示せず)の縁部に設けられることもできる。
【0024】
この時、内釜カバー(図示せず)の他側には内釜内の蒸気を排出するための複数の蒸気流動孔が形成され、リードプレート80には蒸気流動孔に対面する部分に複数の連通孔81a,81b,81cが形成される。
【0025】
リードプレート80及び内部蓋部10bの間には、各々の連通孔81a,81b,81cを一体にカバーし、各々の連通孔81a,81b,81cに対応する装着孔71a,71b,71cが形成された制御板70が設けられる。勿論、制御板70及びリードプレート80が一体に形成されることもできる。
【0026】
外部蓋部10aの他側には、各々の装着孔71a,71b,71cに対応するように複数の上部貫通部13a,13b,13cが形成され、内部蓋部10bには、各々の上部貫通部13a,13b,13cの形成領域を包括するサイズの下部貫通部13dが形成される。
【0027】
圧力転換手段50は、上部貫通部13a,13b,13cのうちのいずれか一方13a及び下部貫通部13dを介して蓋部10を貫通するように配置され、内釜内の蒸気を排出するための選択的な開閉状態を維持するために備えられる。即ち、圧力転換手段50は、開放及び閉鎖のうちいずれか一方を調理過程中に持続的に維持する。
【0028】
圧力対応作動手段90は、圧力転換手段50が配置されていない上部貫通部13b,13c及び下部貫通部13dを介して蓋部10を貫通するように配置される。ここで、圧力対応作動手段90は、電気信号によって開閉されるソレノイドバルブ90bと、内釜内の蒸気圧力によって乗降する重量錘を備える圧力錘バルブ90aとからなる。
【0029】
詳しくは、圧力対応作動手段90は、圧力転換手段30が閉鎖された圧力調理モードにおいて、内釜内の圧力の高低によって選択的に開閉される。
【0030】
即ち、圧力転換手段50が開放されると、調理中に内釜内の蒸気が持続的に排出される非圧力調理モードで調理が行われる。反面、圧力転換手段50が閉鎖されると、圧力対応作動手段90により内釜内の圧力が一定に維持される圧力調理モードで調理が行われる。
【0031】
このために圧力転換手段50の内部流路は、調理中に発生した蒸気が全部排出されて内釜内に圧力を発生させないサイズの断面積を有することが好ましい。
【0032】
外部蓋部10aの上面には、上部貫通部13a,13b,13cの縁部に沿って装着溝12が陥没形成され、圧力対応作動手段90及び圧力転換手段50の蒸気排出を案内するスチームキャップ60が着脱される。
【0033】
ここで、スチームキャップ60の他側には圧力錘貫通孔63が形成されて圧力錘バルブ90aの外周を囲み、内部に形成された案内空間61には圧力転換手段50及びソレノイドバルブ90bの上端が配置される。
【0034】
この時、圧力錘バルブ90aの蒸気は、圧力錘貫通孔63の内側面に衝突して減速された後に外部に排出される。圧力転換手段50及びソレノイドバルブ90bの蒸気は、案内空間61に突設された流速制御リブ(図示せず)に衝突して減速された後に案内空間61の他端の蒸気案内孔62を介して外部に排出される。これにより、高温・高圧蒸気の急速排出による火傷などの安全事故や蒸気排出騒音を最小化することができる。
【0035】
また本体(図示せず)には、蓋部10の開放端部17に突設された係止突起17aをロックする補助ロック手段が備えられる。これにより、ロッキングリング20がロック解除され圧力転換手段50が開放された非圧力調理モードにおいても、蓋部20の閉じ状態を安定的に維持することができる。よって、調理時に蒸気圧力による蓋部10の開放或いは揺れ動きなどを防止して内釜(図示せず)と内釜カバーの密着状態を維持でき、内釜の蒸気が漏れることなく圧力転換手段50及びスチームキャップ60を介して安全に排出される。
【0036】
なお、圧力転換手段50は、下部シリンダー53、昇降ピストン52、上部シリンダー51及び加圧手段からなる。
【0037】
ここで、下部シリンダー53は中空円筒型に形成されて内部に圧力転換流路53aを有し、下部貫通部13dを貫通するように配置される。この時、下部シリンダー53の下端が連通孔81aに密着するように結合されることにより圧力転換流路53aと内釜の内部が互いに連通する。
【0038】
詳しくは、下部シリンダー53の下端にDカット結合部53cが形成され、下部シリンダー53と対向する連通孔81aは、Dカット結合部53cに対応するようにDカット断面に加工されたDカット孔で形成されることが好ましい。これにより、Dカット結合部53cの外周がDカット孔の内周に嵌合支持されて蒸気の圧力による下部シリンダー53の回転を防止できる。
【0039】
この時、Dカット結合部53cは外周に密閉Oリング59が取り付けられた状態でDカット孔に挿入され、Dカット孔に挿入されたDカット結合部53cの内周にはネジ山が形成されてシリンダーキャップ58の外周側のネジ山が締結される。
【0040】
シリンダーキャップ58には内釜内の蒸気が流動するように複数の蒸気排出孔58bが形成され、外周に沿ってDカット孔の下縁端に係止する締結段差部58aが形成される。ここで、各々の蒸気排出孔58bは、スナップリングプライヤーなどを用いてシリンダーキャップ58が容易に回転締結されるように、シリンダーキャップ58の面積中心点を基準として回転対称されて配列されることが好ましい。
【0041】
この時、シリンダーキャップ58がDカット結合部53cに結合されると、締結段差部58a及び下部シリンダー53の下端の間にDカット孔の縁部が係止して下部シリンダー53が固定される。また密閉Oリング59により下部シリンダー53の下端及びDカット孔の縁部の間が密閉される。これにより内釜内の蒸気が漏れることなく圧力転換流路53a内に安定的に流入できる。ここで、シリンダーキャップ58はリードプレート80の連通孔81aに一体に形成されることもできる。
【0042】
勿論、
図5に示したように、下部シリンダー153は制御板170の装着孔に固定されることもできる。即ち、下部シリンダー153の下端に設けられた固定締結部153cの外周にネジ山が形成され、装着孔171aの内周にネジ山が形成されることにより、固定締結部153cが装着孔171aに締結されることができる。この時、固定締結部153cの上端の外周には装着孔171aの縁部に支持されるOリング固定段部153eが備えられることが好ましい。またOリング固定段部153eの下部に密閉Oリング159aが取り付けられた状態で固定締結部153cが装着孔171aの内周に結合されると、下部シリンダー153及び装着孔171aの間が密閉される。
【0043】
固定締結部153cの下端にシーリング部材159bが配置されて固定締結部153c及び連通孔181aの縁部の間が密閉され、下部シリンダー153が固定される。これにより、内釜内の蒸気が漏れることなく圧力転換流路に向かって安定的に流入され、下部シリンダー153及び圧力対応作動手段90が一つの部品に纏めて固定されることができる。
【0044】
下部シリンダーは装着孔171aに嵌合などにより固定することができ、圧力転換流路及び連通孔の連通時に蒸気の漏れ防止のために密閉Oリング及びシーリング部材の装着位置を変更できる。
【0045】
乗降ピストン52は下部シリンダー53上に乗降可能に結合され、昇降ピストン52の昇降によって圧力転換流路53aが開閉される。
【0046】
ここで、昇降ピストン52は圧力転換流路53aより大きく形成され、下部シリンダー53の上端に安着する安着板52a、安着板52aの外側から上下方向に延長する上部スライド管52c及び下部スライド管52bからなる。
【0047】
この時、安着板52aの下面には圧力転換流路53aを遮蔽する遮蔽突起52fが突設され、遮蔽突起52fの外郭に沿って複数に分割された円弧形の転換排出孔52eが形成される。
【0048】
即ち、昇降ピストン52の下降時に遮蔽突起52fにより圧力転換流路53aの上端が密閉され、昇降ピストン52の上昇時に遮蔽突起52fが圧力転換流路53aの上端から離隔して内釜内の蒸気が転換排出孔52eを通して上昇する。
【0049】
上部シリンダー51は中空円筒形に形成され、上部貫通部13aを貫通するように配置される。この時、上部シリンダー51及び上部貫通部13aの間は管型密閉部材57によって密閉され、上部シリンダー51の上端の外周にはリング型密閉溝部51cが陥没形成されて管型密閉部材57の内周側シーリング突起57aが係止されて支持される。
【0050】
上部シリンダー51の下端には複数に分割された円弧形のコラム締結部51bが形成され、コラム締結部51bの内周にはネジ山が形成される。この時、コラム締結部51bが転換排出孔52eを貫通して下部シリンダー53の上端外周53d側のネジ山に締結されることにより、上部シリンダー51が下部シリンダー53に固定される。ここで、コラム締結部51bは昇降ピストン52の上昇時に蒸気流動面積を確保するために転換排出孔52eの断面積より小さく形成されることが好ましい。
【0051】
上部シリンダー51の内周には半径方向の内側に飛散防止板51fが突出形成されることが好ましい。ここで、飛散防止板51fは昇降ピストン52の上昇時に転換排出孔52eの上面から離隔する位置に形成され、転換排出孔52eをカバーするサイズで形成されることが好ましい。
【0052】
これにより、圧力転換手段50の開放時に蒸気の円滑な排出が可能であり、かつ圧力転換流路53aの内面に凝縮した水分が蒸気と共に飛散排出されることを防止できる。よって飛散した水分による火傷などの安全事故を予防でき、飯炊時の粘性の水による蓋部10の表面或いはスチームキャップ60内の汚染が最小になって、より安全かつ清潔な使用が可能である。
【0053】
なお、下部スライド管52bは下部シリンダー53の上側の外径より大きい内径を有し、上部スライド管52cは上部シリンダー51の下側の外径より大きい内径を有する。従って、昇降ピストン52が下部シリンダー53の外周及び上部シリンダー51の外周を囲むように取り付けられることができる。これにより、各々のスライド管52b,52cが各々のシリンダー51,53の外周に沿って案内されて、昇降ピストン52が正確な方向に乗降でき、圧力転換流路53aの開閉を安定的に転換できる。
【0054】
上部シリンダー51の下部外周及び下部シリンダー53の上部外周にはリング型密閉溝部51d,53bが陥没形成されて密閉部材55,56が取り付けられる。この時、密閉部材55,56の外周には複数の密閉リブ55a,56aが突設される。これにより、昇降ピストン52の乗降時にも各々のスライド管52b,52c及びシリンダー51,53の間の空間が正確に密閉される。
【0055】
乗降ピストン52の上端及び下端の内周が密閉リブ55a,56aの端部に支持されるので、半径方向の流動が最小化されて昇降ピストン52がより正確な方向に乗降できる。これにより遮蔽突起52f及び圧力転換流路53aが同心整列状態を維持できるので、圧力転換流路53aの正確な開閉が可能である。
【0056】
なお、下部スライド管52bの外周には半径方向の外側に乗降翼部52dが突設される。この時、乗降翼部52dが加圧手段により下方に押圧されて圧力転換流路53aの閉鎖状態が維持される。加圧手段は圧力転換流路53aが所定の理想圧力以上では強制に開放されるように、理想圧力に対応する弾性係数を有するバネなどの弾性部材54からなる。
【0057】
詳しくは、上部シリンダー51の外周にはバネ支持突起51aが突設され、バネ支持突起51aの下端には弾性部材54の直径より大きいワッシャー部材51eが取り付けられる。勿論、ワッシャー部材51eはバネ支持突起51aに一体に備えられることもでき、バネ支持突起51aが弾性部材54の直径に対応する面積で形成されることもできる。
【0058】
乗降翼部52d及びワッシャー部材51eの間に弾性部材54が介在されることにより、遮蔽突起52f及び圧力転換流路53aの密着状態を維持できる。
【0059】
勿論、
図4に示したように、加圧手段は、理想圧力に対応する重量で備えられて乗降ピストン152の外周に結合される圧力荷重錘154からなることもできる。この時、圧力荷重錘154はリング状に形成され、乗降翼部152dの上面に安着されるか或いは乗降翼部152dに一体に形成される。ここで、理想圧力は圧力調理モードで圧力対応作動手段90により制御される内釜内の圧力より大きい圧力に設定されることが好ましい。
【0060】
即ち、圧力転換流路53aが閉鎖された状態で圧力対応作動手段90により内釜内の圧力が制御されると、加圧手段54,154による下方の押圧力により昇降ピストン52の下降状態が維持され、圧力転換流路53aが閉鎖される。
【0061】
この時、圧力対応作動手段90の制御ミスや故障などにより内釜内の圧力が増加し過ぎると、遮蔽突起52fが増加した蒸気圧力により上昇して圧力転換流路53aが強制開放される。これにより内釜内の過渡な圧力上昇による安全事故を予防できる。
【0062】
ここで、圧力転換流路53aは上方に行くほど半径方向の内側に狭くなることが好ましい。これにより遮蔽突起52fに対する蒸気の圧力面積が減少し、昇降ピストン52の下降状態の維持のための加圧手段54の圧力要求量が低減する。
【0063】
遮蔽突起52fは下方に行くほど半径方向の内側に狭くなり、圧力転換流路53aの上端には上方に行くほど半径方向の外側に広くなる密閉接触部53fが備えられることが好ましい。これにより昇降ピストン52の下降時に遮蔽突起52fの傾いた下面及び密閉接触部53fの傾いた内面が互いに面接触してより正確な密着が可能である。
【0064】
圧力転換手段50及びハンドルベース30の間にはレバー連動部30bの回転に対応して一側及び他側に直線移動するリフトレバー40が設けられる。この時、リフトレバー40は圧力転換手段50の外周に接して直線移動するように配置されることが好ましい。
【0065】
詳しくは、
図1ないし
図2Aに示したように、リフトレバー40は、レバー連動部30bの回転軌跡をカバーする面積の板型で設けられた連結胴部40c、連結胴部40cの他端から圧力転換手段50の外周の両側に接するように延長した第1レバー胴部40a及び第2レバー胴部40bからなる。
【0066】
この時、第1レバー胴部40a及び第2レバー胴部40bは圧力転換手段50の外周に沿って配置され、直線移動時に乗降翼部52dとの下面重畳状態を維持するようにリフトレバー40の直線移動間隔以上に延びて形成されることが好ましい。
【0067】
第1レバー胴部40aには連結胴部40cに隣接する一端にガイド長孔44aが形成される。ここで、ガイド長孔44aは蓋部10の一側及び他側方向に拡張して形成されることが好ましい。
【0068】
ネジ部材18cがガイド長孔44aを通して内部蓋部10bに締結されると、ネジ部材18cのヘッド部に備えられたワッシャー部材がガイド長孔44aの上縁端を支持する。これにより、ガイド長孔44aの内面がネジ部材18cの外周に沿って案内されてリフトレバー40が一側及び他側に直線移動することができる。
【0069】
連結胴部40cには、レバー連動部30bの下端に突設された連動突起32が挿入されるように貫通し、連動突起32の回転軌跡の一端から接線方向に拡張形成されたクランク孔41が形成される。この時、連動突起32の回転軌跡は、ロッキングリング20のロック回転時の連動突起32の位置からロック解除回転時の連動突起32の位置を連結した曲線を意味し、回転軌跡の一端は、ロッキングリング20のロック回転時の連動突起32の位置を意味する。即ち、クランク孔41はロッキングリング20のロック回転時の連動突起32の位置からガイド長孔44aとは垂直方向に形成される。
【0070】
これにより、ハンドルベース30が回転すると、連動突起32が円弧を書きながらクランク孔41の内部に沿って横方向に移動し、クランク孔41の一側の縁部を引いてリフトレバー40が一側に直線移動する。またハンドルベース30が逆回転すると、連動突起32が反対方向に円弧移動し、クランク孔41の他側の縁部を押してリフトレバー40が他側に直線移動できる。この時、第1レバー胴部40aの下部に対応する下部貫通部13dにはピン安全装置90cが備えられることが好ましく、第1レバー胴部40aにはピン拘束孔42が形成される。
【0071】
詳しくは、ピン拘束孔42は、ロッキングリング20のロックのためにハンドルベース30が回転して第1レバー胴部40aが他側に移動した状態でピン安全装置90cの安全ピンに対向する部分に形成されることが好ましい。
【0072】
この時、安全ピンは内釜内の圧力が所定の安全圧力より高い状態で上昇し、上昇した安全ピンがピン拘束孔42に挿入されることにより第1レバー胴部40aの直線移動が拘束されるとともに、連動突起32の移動が制限される。
【0073】
これにより、内釜内の圧力が安全圧力より高い状態では、ハンドルベース30の回転が制限され、ロッキングリング20のロック解除が防止されるので、ハンドル11の誤操作による高圧蒸気の漏れ及びそれによる火傷などの安全事故を予防できる。
【0074】
第1レバー胴部40a及び第2レバー胴部40bの上面には、リフトレバー40の直線移動時に圧力転換手段50の外周に接する縁部に沿ってリフト突起43が突設される。
【0075】
この時、リフト突起43はリフトレバー40の直線移動時に乗降翼部52dに対面する部分に沿って形成され、ハンドル11のロック回転時に直線移動方向に行くほど上方に傾斜して突出されることが好ましい。
【0076】
即ち、リフト突起43は、ハンドル11のロック回転状態では乗降翼部52dの下面に対面する部分の突出高さが低く、ハンドル11のロック解除回転状態では乗降翼部52dの下面に対面する部分の突出高さが高く形成される。
【0077】
詳しくは、ハンドル11のロック回転時に乗降翼部52dに対向するリフト突起43の一側の最低端43cの高さは、遮蔽突起52fが下降して圧力転換流路53aが閉鎖されるように設定される。
【0078】
ハンドル11のロック解除回転時に乗降翼部52dに対向するリフト突起43の他側の最高端43bの高さは、遮蔽突起52f及び圧力転換流路53aの間に十分な蒸気流動面積が形成されるように設定される。
【0079】
これにより、ハンドル11の回転に連動して圧力転換手段50の開放および閉鎖状態が転換される。
【0080】
即ち、
図2A及び
図3Aに示したように、リフトレバー40が他側に移動した状態でハンドル11がロック解除回転されると、リフトレバー40が一側に引かれつつ乗降翼部52dがリフト突起43の傾斜面に沿ってスライドして上昇する。
【0081】
この時、乗降翼部52dの下縁端52gはリフトレバー40の移動時に接触したリフト突起43が柔らかくスライドするようにラウンドして形成されることが好ましい。
【0082】
上昇した乗降翼部52dがリフト突起43の最高端43bにより支持されると、圧力転換流路53aが完全に開放され、開放された状態が維持される。
【0083】
この時、内釜内の蒸気は、蒸気流動孔、蒸気排出孔58b、連通孔81a、圧力転換流路53a、転換排出孔52e、上部シリンダー51の中空及びスチームキャップ60を経て外部に排出される。これにより、内釜内の蒸気が持続的に排出され、内釜内の圧力が増加しない非圧力調理モードで調理が行われる。
【0084】
また
図2B及び
図3Bに示すように、リフトレバー40が一側に移動した状態で、ハンドル11がロック回転すると、リフトレバー40が他側に押し出され、乗降翼部52dがリフト突起43の傾斜面に沿ってスライドして下降する。乗降翼部52dとリフト突起43の最低端43aが対向配置されると、乗降翼部52dに対する上方の加圧が解除されて昇降ピストン52が下降し、圧力転換流路53aが完全に閉鎖される。
【0085】
この時、加圧手段54により昇降ピストン52の下降状態が維持されるので、内釜内の蒸気は蒸気流動孔を通して圧力対応作動手段90に流動して内釜内の圧力の高低によって選択的に排出され、内釜内の圧力が一定に維持される。
【0086】
即ち、圧力転換手段50が閉鎖された状態で内釜内の圧力が増加して圧力調理モードで調理が行われ、内釜内の圧力が一定水準以上に高くなると、圧力対応作動手段90が開放されて内釜内の蒸気が蒸気流動孔、圧力対応作動手段90及びスチームキャップ60を経て外部に排出される。
【0087】
このように圧力転換手段50の開放及び閉鎖により、圧力が要らない料理のための非圧力調理モードと、圧力炊事などの高圧が必要な料理のための圧力調理モードを容易に転換できるので、一つの装置で多様な調理方法を自由に使用でき、圧力釜のご飯のもちもちしっとりとした食感、非圧力釜のご飯の柔らかい食感など、ユーザの好みによる炊事が可能であり、製品の互換性及び炊事品質が改善される。
【0088】
さらに、非圧力調理モードではピン安全装置90cなどの圧力安全装置が駆動されないので、蓋部10の自由開閉が可能であり、調理中に追加材料の投入や調理状態の点検が容易になって製品の使用便宜性が改善される。
【0089】
ハンドル11を回転させるだけで圧力転換手段50の開放および閉鎖状態を転換できるので、非圧力調理モード及び圧力調理モードを容易に選択でき、製品の使用便宜性が顕著に改善される。またハンドル11及び圧力転換手段50の連動のためのリフトレバー40が内釜の高圧状態での開放を防止する役割も行うので、部品数が減少して製品の組立性が改善される。
【0090】
ハンドル11をロック解除方向に回転させるだけで圧力転換手段50内の広い流路を通して内釜内の蒸気が迅速に非出されるので、従来内釜の残留圧の除去のために圧力錘バルブ90aを強制開放するタンブラーピンなどの構造を省略でき、非圧力調理モードの調理中に圧力錘バルブ90aの特有の蒸気排出騒音が除去されるので、製品の静かさが向上する。
【0091】
このように乗降翼部は、圧力転換流路の開放および閉鎖状態が転換されるようにハンドルの回転に連動する手段に備えられたリフト突起の傾斜面に沿って乗降する。
【0092】
図1ないし
図6に示すように、ロッキングリング20には、ロック回転方向及びロック解除回転方向に互いに離隔配置されて回転方向を表示する一対の標識者22a,22bが設けられる。
【0093】
標識者22a,22bは永久磁石などからなり、内部蓋部10bには各々の標識者22a,22bの磁力を感知する一対のセンサー18a,18bが備えられる。
【0094】
詳しくは、内部蓋部10bの上面には各々の標識者22a,22bの回転軌跡上に第1センサー18a及び第2センサー18bが設けられ、第1センサー18aはロッキングリング20のロック時のロック回転方向側の第1標識者22aの位置に対応して配置され、第2センサー18bはロッキングリング20のロック解除時のロック解除回転方向側の第2標識者22bの位置に対応して配置される。
【0095】
この時、ロッキングリング20がロックされると、第1センサー18aが第1標識者22aの磁力を感知して感知信号を送出し、ロッキングリング20がロック解除されると、第2センサー18bが第2標識者22bの磁力を感知して感知信号を送出する。
【0096】
ロッキングリング20がロックされるようにハンドル11が回転操作されると、ハンドル11の回転に連動して圧力転換手段50が閉鎖され、ロッキングリング20がロック解除されるようにハンドル11が回転操作されると、圧力転換手段50が開放される。
【0097】
この時、各々のセンサー18a,18bによる感知信号は制御部19aに伝達され、制御部19aはセンサー18a,18bのうちのいずれか一方から感知信号が受信されると、本体(図示せず)に対する電源供給が活性化されるように制御する。
【0098】
即ち、本体(図示せず)の電源供給が活性化されると、本体に備えられた操作パネル19bから入力された調理命令により内釜の加熱のための加熱手段19cが駆動される。これにより、圧力転換手段50が閉鎖された圧力調理モードだけではなく圧力転換手段50が開放された非圧力調理モードでも内釜内の調理が行われる。
【0099】
制御部19aは感知信号の未受信時には本体(図示せず)に対する電源供給が非活性化されるように制御する。これにより、ロッキングリング20がロックされて圧力転換手段50が完全に閉鎖されたか或いはロッキングリング20がロック解除されて圧力転換手段50が完全に開放された状態でのみ本体(図示せず)に対する電源供給が活性化される。
【0100】
即ち、圧力転換手段50が部分的に開放又は閉鎖された状態で調理が行われることを防止できるので、調理品質の低下、安全事故の発生などを予防できる。
【0101】
制御部19aは、ロッキングリング20のロックに対応する感知信号が受信された状態で調理命令が入力されると、所定の圧力調理モードの制御アルゴリズムに基づいて内釜の調理温度を制御する。この時、制御部19aは圧力釜のご飯などの圧力調理に適合した調理温度が維持されるように加熱手段19cの加熱量を制御する。
【0102】
制御部19aは、ロッキングリング20のロック解除に対応する感知信号が受信された状態で調理命令が入力されると、所定の非圧力調理モードの制御アルゴリズムに基づいて加熱手段の加熱量を制御する。この時、制御部19aは非圧力釜のご飯などの非圧力調理に適合した調理温度が維持されるように加熱手段19cの加熱量を制御する。
【0103】
これにより、ハンドル11を回転させるだけでロッキングリング20のロック及びロック解除が転換されるとともに、圧力転換手段50の開閉状態が転換され、この転換された圧力/非圧力調理モードに適合した調理温度の制御アルゴリズムが自動に選択されるので、製品の使用便宜性及び調理品質が顕著に改善される。
【0104】
一方、
図7は本発明の第2実施形態による電気炊飯器の蓋部を示す断面図である。この実施形態においては、乗降ピストン252の形状を除いた基本構成が上述した第1実施形態と同様であるので、同じ構成については同じ符号を使用し、具体的な説明は省略する。
【0105】
図7に示したように、圧力転換手段250は、下部シリンダー253、昇降ピストン252及び加圧手段からなる。この時、乗降ピストン252は上部貫通部13aを貫通して形成され、下部シリンダー253の上部に乗降可能に結合される。
【0106】
詳しくは、下部スライド管252bの下部の内周にはタブ組立突起252mが突設され、下部シリンダー253の上端の外周にはタブ結合突起253k及び突起収容溝253mが形成される。
【0107】
ここで、タブ組立突起252mの内周及びタブ結合突起253kの外周にはネジ山が形成されて互いに締結でき、突起収容溝253mはタブ結合突起253kの下部に沿って乗降ピストン252の乗降間隔に対応する上下幅で形成される。
【0108】
即ち、タブ組立突起252mはタブ結合突起253kに回転締結されて下降し、タブ結合突起253kのネジ山を介して突起収容溝253mに挿入される。この時、タブ組立突起252mはタブ結合突起253kの下端から突起収容溝253mの内部に対応する範囲で上下流動できる。
【0109】
これにより、乗降ピストン252が下部シリンダー253の上部に結合されて上下方向に乗降できながらも、圧力転換手段250の開放時に蒸気排出の流れによる乗降ピストン252及び下部シリンダー253の分離が防止される。
【0110】
上部スライド管252cは上部貫通部13aを貫通して配置される長さに延長する。即ち、上部スライド管252cは遮蔽突起252fが圧力転換流路253aの上端に密着された状態で上部貫通部13aの上側に露出される長さであることが好ましい。
【0111】
この時、加圧手段は、第1実施形態と同様に、弾性部材254或いは圧力荷重錘からなり、加圧手段が弾性部材254で形成された場合、弾性部材254の上端は上部貫通部13aの下縁部に支持される。
【0112】
上部スライド管252c及び上部貫通部13aの間は管型密閉部材57により密閉され、上部スライド管252cの上端の外周にはリング型密閉溝部252kが形成されて管型密閉部材57の内周側のシーリング突起57aが係止して支持される。
【0113】
ここで、密閉溝部252kは乗降ピストン252の乗降間隔に対応するように上下方向に拡張形成されることが好ましい。これにより乗降ピストン252の乗降時にもシーリング突起及び密閉溝部252kの密着状態が安定的に維持できる。
【0114】
乗降ピストン252が上昇すると、内釜内の蒸気は蒸気流動孔、蒸気排出孔58b、連通孔81a、圧力転換流路253a、転換排出孔252e、上部スライド管252c及びスチームキャップ60を経て蓋部10の外部に排出され、上部スライド管252cの内周には転換排出溝252eの上部をカバーする飛散防止段差部252hが形成される。
【0115】
このように、別途の上部シリンダー(
図1の51参照)がなくても内釜の内部が蓋部10の外部に連通可能であり、乗降ピストン252の乗降時に上部シリンダー及び上部スライド管252cの間の密閉状態を維持するための密閉部材(
図1の55参照)を省略できるので、部品数が減少して製品の生産性及び組立性が改善される。
【0116】
一方、
図8A及び
図8Bは、本発明の第3実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放および閉鎖状態を示す斜視図であり、
図9A及び
図9Bは、本発明の第3実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開放および閉鎖状態を示す斜視図である。
【0117】
この実施形態においては、リフトレバーを代替するようにハンドルベース330が圧力転換手段50側に延長し、延長部分の上面にリフト突起333が一体に設けられることを除いた基本構成が上述した第1、第2実施形態と同様であるので、同じ構成については同じ符号を使用し、具体的な説明は省略する。
【0118】
図8Aないし
図9Bに示したように、ハンドルベース330は、支持部330c、支持部330cの一端及び他端に突設されたロッキングリング連動部330a及びピストン連動部330bからなる。
【0119】
ピストン連動部330bは、ハンドルベース330の回転時に圧力転換手段50の外周に接して回転するように延長される。即ち、ピストン連動部330bは扇形に延長形成されて圧力転換手段50の外周に接する円弧形の縁部を有する。
【0120】
図示していないが、ピストン連動部330bの下部にはリフト突起が除去されたリフトレバーと類似する形状のピン拘束レバーが設けられることができ、ハンドルベース330の回転時にピン拘束レバーが一側及び他側に直線移動するようにピストン連動部330bの下面には連動突起が形成される。
【0121】
リフト突起333は、ピストン連動部330bの円弧形の縁部の上部にハンドルベース330の回転時に乗降翼部52dと重畳する回転軌跡に沿って形成され、ロック回転方向に行くほど上方に傾斜するように突出形成されることが好ましい。
【0122】
即ち、リフト突起333は、ハンドルのロック解除状態で乗降翼部52dの下面に対面する部分の突出高さが高く、ハンドルのロック状態で乗降翼部52dの下面に対面する部分の突出高さが低く形成される。
【0123】
この時、ハンドルのロック回転時に乗降翼部52dに対向するリフト突起333の最低端333aの高さは遮蔽突起52fが下降して圧力転換流路53aが閉鎖されるように設定される。
【0124】
またハンドルのロック解除回転時に乗降翼部52dに対向するリフト突起333の最高端333bの高さは遮蔽突起52f及び圧力転換流路53aの間に十分な蒸気流動面積が形成されるように設定される。
【0125】
詳しくは、
図8A及び
図9Aに示したように、リフト突起333の最高端333bが乗降翼部52dの下面に配置されると、乗降翼部52dが上方に押圧されて圧力転換手段50が開放されることにより、内釜内の蒸気が圧力転換手段50の内部流路に持続的に排出され、非圧力状態で調理が行われる。
【0126】
また
図8B及び
図9Bに示したように、リフト突起333の最低端333aが乗降翼部52dの下面に配置されると、乗降翼部52dが加圧手段により下方に押圧されて圧力転換手段50が閉鎖される。
【0127】
この時、加圧手段により上昇ピストン52の下降状態が維持されるので、内釜の加熱時に圧力対応作動手段90により内釜内の蒸気が選択的に排出されて圧力状態で調理が行われる。
【0128】
これにより、ハンドルの回転操作のみで非圧力調理モード及び圧力調理モードを容易に選択でき、製品の使用便宜性が顕著に改善される。またハンドル及び圧力転換手段50の連動のためのリフト突起333がハンドルベース330に一体に設けられるので、部品数及び部品間の連結構造を簡素化でき、製品の生産性及び組立性が改善される。
【0129】
本発明によれば、以下の効果を提供する。
【0130】
第1に、圧力転換手段の開放及び閉鎖により、圧力が要らない料理のための非圧力調理モードと、高圧が必要な料理のための圧力調理モードを容易に転換できる。よって、一つの装置で多様な調理方法を自由に使用でき、圧力釜のご飯のもちもちしっとりとした食感、非圧力釜のご飯の柔らかい食感など、ユーザの好みによる炊事が可能であり、製品の互換性及び炊事品質が改善される。
【0131】
さらに、非圧力調理モードにおいては、圧力安全装置による制限なく、蓋部の自由開閉が可能であり、調理中に追加材料の投入や調理状態の点検が容易になるので、製品の使用便宜性が改善される。
【0132】
第2に、ハンドルの回転に連動して圧力転換手段の開放および閉鎖状態が転換されるので、ハンドルを回転するだけで、非圧力調理モード及び圧力調理モードを容易に選択でき、製品の使用便宜性が改善される。
【0133】
第3に、乗降ピストンの下降状態を維持するための加圧手段が所定の理想圧力に対応する弾性力或いは荷重を有する。従って、圧力調理時に圧力転換流路を安定的に閉鎖でき、圧力対応作動手段のエラーなどにより内釜内の圧力が上昇し過ぎた場合にも、圧力転換流路が強制開放されて製品の安全性が改善される。
【0134】
第4に、昇降ピストンの転換排出孔が飛散防止板又は飛散防止段差部によりカバーされて圧力転換流路の内面に凝縮された水分が蒸気と同時に飛散排出されることを防止できるので、飛散された水分による安全事故を予防できるとともに、飯炊時の粘性の水による蓋部及びスチームキャップの汚染が最小になってより清潔な使用が可能である。
【0135】
第5に、制御部がロッキングリングのロック及びロック解除時に標識者の位置によるセンサーの感知信号に基づいて圧力転換手段の開閉を判別する。即ち、ハンドルの回転により転換された非圧力調理モード及び圧力調理モードに適合した調理温度制御アルゴリズムが自動に選択されるので、製品の使用便宜性及び調理品質が顕著に改善される。
【0136】
以上、本発明は、限定された実施形態と図面により説明されたが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する分野における通常の知識を有した者であればこのような記載から多様な修正及び変形が可能である。従って、本発明の範囲は、説明された実施形態に限定されてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められる。