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  • -法枠の鉄筋接続構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】法枠の鉄筋接続構造
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
E02D17/20 104C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018132175
(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2020007863
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000115463
【氏名又は名称】ライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷川 顕二郎
(72)【発明者】
【氏名】上野山 武信
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-128442(JP,A)
【文献】特開2006-322273(JP,A)
【文献】実開平07-043182(JP,U)
【文献】実開平03-012935(JP,U)
【文献】特開平01-158151(JP,A)
【文献】特開2006-104712(JP,A)
【文献】特開平04-247122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
法面上の型枠内に平行に配された第1鉄筋及び第2鉄筋と、平行に配された第3鉄筋及び第4鉄筋との接続構造であり、これらの鉄筋を前記法面側に位置する下側鉄筋として上方に当該鉄筋と平行に上側鉄筋が配される構造であり、
前記第1鉄筋と前記第3鉄筋とが同軸的に配され、前記第2鉄筋及び前記第4鉄筋とが同軸的に配され、
一端部が前記第1鉄筋と重なり他端部が前記第3鉄筋と重なる第1添筋と、
一端部が前記第2鉄筋と重なり他端部が前記第4鉄筋と重なる第2添筋と、
一端部が前記第1鉄筋と第1添筋とが重なるラップ部に掛かり、他端部が前記第2鉄筋と前記第2添筋とが重なるラップ部に掛かる第1補助筋と、
一端部が前記第3鉄筋と第1添筋とが重なるラップ部に掛かり、他端部が前記第4鉄筋と前記第2添筋とが重なるラップ部に掛かる第2補助筋と、
を有し、
記第1補助筋及び前記第2補助筋は、下側鉄筋と添筋とが重なる前記ラップ部に掛かる部分がL字状であり、かつ、端縁が前記法面側を向くように配されている、
ことを特徴とする法枠の鉄筋接続構造。
【請求項2】
前記第1補助筋及び前記第2補助筋の少なくともいずれか一方は、前記添筋側の一部位のみに配されている、
請求項1に記載の法枠の鉄筋接続構造。
【請求項3】
前記第1添筋及び前記第2添筋の少なくともいずれか一方は、前記鉄筋の設置面とは反対側において前記鉄筋に重なっている、
請求項1又は請求項2に記載の法枠の鉄筋接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法枠における鉄筋の接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
法面を補強する工法としては、例えば、法面上で型枠を組み立て、当該型枠内にコンクリートやモルタル等の硬化材を吹付け又は打設し、もって法枠を形成するフリーフレーム工法が存在する(例えば、特許文献1等参照。)。この工法においては、硬化材の吹付け又は打設に先立って、型枠内に鉄筋を配筋する。この鉄筋は、取り回しの都合等から、2本の鉄筋の端部同士を重ね合わせ、重なり部分をスパイラル筋で螺旋状に巻き回す等して(重ね継手)長尺な1本の鉄筋としている。
【0003】
この重ね継手は、数々の試験、施工で実績が得られており、強度等の点では何ら問題がないとされている。しかしながら、現在では、より簡易な接続方法が存在しないか、あるいは鉄筋を接続する他の方法が存在しないか等が模索されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-11655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする主たる課題は、法枠の鉄筋接続の新たな構造、好ましくは簡易な接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段は、次のとおりである。
(請求項1に記載の手段)
法面上の型枠内に平行に配された第1鉄筋及び第2鉄筋と、平行に配された第3鉄筋及び第4鉄筋との接続構造であり、これらの鉄筋を前記法面側に位置する下側鉄筋として上方に当該鉄筋と平行に上側鉄筋が配される構造であり、
前記第1鉄筋と前記第3鉄筋とが同軸的に配され、前記第2鉄筋及び前記第4鉄筋とが同軸的に配され、
一端部が前記第1鉄筋と重なり他端部が前記第3鉄筋と重なる第1添筋と、
一端部が前記第2鉄筋と重なり他端部が前記第4鉄筋と重なる第2添筋と、
一端部が前記第1鉄筋と第1添筋とが重なるラップ部に掛かり、他端部が前記第2鉄筋と前記第2添筋とが重なるラップ部に掛かる第1補助筋と、
一端部が前記第3鉄筋と第1添筋とが重なるラップ部に掛かり、他端部が前記第4鉄筋と前記第2添筋とが重なるラップ部に掛かる第2補助筋と、
を有し、
記第1補助筋及び前記第2補助筋は、下側鉄筋と添筋とが重なる前記ラップ部に掛かる部分がL字状であり、かつ、端縁が前記法面側を向くように配されている、
ことを特徴とする法枠の鉄筋接続構造。
【0007】
【0008】
(請求項2に記載の手段)
前記第1補助筋及び前記第2補助筋の少なくともいずれか一方は、前記添筋側の一部位のみに配されている、
請求項1に記載の法枠の鉄筋接続構造。
【0009】
【0010】
(請求項3に記載の手段)
前記第1添筋及び前記第2添筋の少なくともいずれか一方は、前記鉄筋の設置面とは反対側において前記鉄筋に重なっている、
請求項1又は請求項2に記載の法枠の鉄筋接続構造。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、法枠の鉄筋接続の新たな構造になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の形態の鉄筋接続構造である。(1)は当該構造の正面図、(2)は(1)のII-II線矢視図、(3)は(1)のIII-III線断面図、(4)は(1)のIV-IV線断面図である。
図2】第2の形態の鉄筋接続構造である。(1)は当該構造の正面図、(2)は(1)のII-II線断面図、(3)は(1)のIII-III線断面図である。
図3】第3の形態の鉄筋接続構造である。(1)は当該構造の正面図、(2)は(1)のII-II線断面図、(3)は(1)のIII-III線断面図である。
図4】第4の形態の鉄筋接続構造である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。また、以下では、第1~第4の形態の鉄筋接続構造を単に「本形態の鉄筋接続構造」ともいい、共通する部分については単に本形態として説明し、異なる部分についてはその都度どの形態であるかを明らかにしつつ説明する。
【0014】
図1図4に示すように、本形態(第1~第4の形態)の鉄筋接続構造Xは、第1鉄筋1a及び第2鉄筋1bと、第3鉄筋1c及び第4鉄筋1dとの接続構造である。第1鉄筋1a及び第2鉄筋1bは、平行に配(配筋)されている。同様に、第3鉄筋1c及び第4鉄筋1dも、平行に配(配筋)されている。なお、各鉄筋1a~1dは、同じ長さであっても、異なる長さであってもよい。ただし、通常は、同じ長さである。
【0015】
本形態において、第1鉄筋1a及び第3鉄筋1cは、同軸的に配されている。同様に、第2鉄筋1b及び第4鉄筋1dも、同軸的に配されている。したがって、第1鉄筋1a及び第3鉄筋1c、並びに第2鉄筋1b及び第4鉄筋1dは、それぞれ1本の長尺な鉄筋がカットオフされて2本の鉄筋が直列的に並んでいるのと同様の状態になっている。ただし、同軸的とは、厳密に軸が完全一致することのみを意味するものではなく、構造上問題のない範囲での軸ずれは許容される。
【0016】
本形態の鉄筋接続構造Xは、例えば、法面補強工法の法枠等に適用される。法枠に適用される場合は、鉄筋1a~1dが法面(設置面G)側に位置する下側主筋となり、この下側主筋1a~1dの上方に当該下側主筋1a~1dと平行に上側主筋(鉄筋)1eが配される。そして、これらの鉄筋1a~1e等と共に型枠が組み上げられ、この型枠内にモルタルやコンクリート等の硬化材が充填されることで法枠が形成される。
【0017】
本形態の鉄筋接続構造Xには、第1添筋2a及び第2添筋2bが備わる。第1添筋2aは、一端部が第1鉄筋1aと重なり、他端部が第3鉄筋1cと重なる。したがって、第1添筋2aは、第1鉄筋1a及び第3鉄筋1cに架け渡された状態になっている。同様に、第2添筋2bは、一端部が第2鉄筋1bと重なり、他端部が第4鉄筋1dと重なる。したがって、第2添筋2bは、第2鉄筋1b及び第4鉄筋1dに架け渡された状態になっている。
【0018】
なお、以下では、第1添筋2aと第1鉄筋1aとが重なる部分を第1ラップ部3aという。また、第1添筋2aと第3鉄筋1cとが重なる部分を第2ラップ部3bという。さらに、第2添筋2bと第2鉄筋1bとが重なる部分を第3ラップ部3cという。そして、第2添筋2bと第4鉄筋1dとが重なる部分を第4ラップ部3dという。
【0019】
本形態においては、以上の鉄筋1a~1d及び添筋2a及び2bに加えて、第1補助筋4a及び第2補助筋4bが備わる。第1補助筋4aは、一端部が第1ラップ部3aに掛かり、他端部が第3ラップ部3cに掛かる。また、第2補助筋4bは、一端部が第2ラップ部3bに掛かり、他端部が第4ラップ部3dに掛かる。この補助筋4a,4bの存在によって、鉄筋1a~1dにかかる力が分散され、本形態の鉄筋接続構造Xが極めて強固なものとなる。
【0020】
補助筋4a,4bをどのよう形状とすることでラップ部3a~3dに掛かるものとするかは、特に限定されない。ただし、図1の(3)中に拡大して示すように、補助筋4a,4bの先端部4xが直角に折れ曲がることでL字状になった形態を推奨する。この形態によると、補助筋4a,4bの設置(配筋)が極めて簡易なものになる。しかも、補助筋4a,4bが鉄筋1a~1dに確実に引っ掛かり、鉄筋1a~1dと補助筋4a、4bとの間での力の伝達、鉄筋1a~1dと添筋2a,2bとの間での力の伝達が確実に行われるようになる。結果、補助筋4a、4bの補強効果が、確実に発揮される。
【0021】
補助筋4a,4bを配する部位は、図1及び図3に示すように、それぞれ一部位(一箇所)のみであっても、図2及び図4に示すように、それぞれ二部位又は三部位以上の複数部位(複数箇所)であってもよい(図示例は、二部位の場合を示す。)。ただし、補助筋4a,4bは、図1及び図3に示すように、それぞれ一部位のみに配筋されているのが好ましい。また、この場合、その配筋部位は、鉄筋1a~1d側ではなく添筋2a, 2b側であるのが好ましい。
【0022】
以上に関して、本発明者等は、当初、補助筋4a,4bを配する部位は多い方が鉄筋接続構造の補強効果に優れるものと想定していた。しかしながら、後述する実施例からも明らかなように、補助筋4a,4bを配する部位は一部位のみとする方が好ましいことが知見された。これは、補助筋4a,4bを配する部位をそれぞれ一部位のみにすると、鉄筋1a~1dと添筋2a,2bとの間での力の伝達に緩衝効果が生まれ、一箇所にのみ大きな力が加わるといったことがなくなるためであると考えられる。つまり、補助筋4a,4bの主たる機能は、鉄筋1a~1dと添筋2a,2bとを付着(一体化)ことにあるのではないと考えられる。
【0023】
以上の説明から理解することができるように、問題となるのは補助筋の数ではなく、補助筋を配する部位の数である。したがって、1つの部位に2以上の複数の補助筋を配した場合は、補強効果が弱まるのではなく、逆に強くなる。複数の補助筋を配した場合は、径の太い補助筋を配したのと同様である。
【0024】
添筋2a, 2b側(水平方向中央側)に配する補助筋4a,4bの鉄筋1a~1dの端縁(添筋2a,2b側の端縁)からの距離L1(図1参照)は、例えば、0~100mm、好ましくは0~50mmである。施工の効率性という点で問題が無いようであれば、距離L1を0mmとすることもできる。他方、距離L1が長すぎると、鉄筋1a~1dと添筋2a,2bとの間での力の伝達に緩衝効果が生まれにくくなる可能性がある。
【0025】
なお、図2及び図4に示すように、補助筋4a、4bを二部位に配する場合、添筋2a,2b側(水平方向中央側)の補助筋4a,4bから他の補助筋4a、4bまでの離間距離は、例えば、200mm以下とすることができる。
【0026】
鉄筋1a~1dと添筋2a,2bとの重なり長さ(ラップ部3a~3dの長さ)L2はそれぞれ、例えば、300~700mm、好ましくは350~670mmである。重なり長さL2が短すぎると、鉄筋接続構造Xの強度が不足する可能性がある。他方、重なり長さL2が長すぎても、鉄筋接続構造Xの強度が頭打ちになり、材料コストの浪費になる可能性がある。
【0027】
補助筋4a,4bは、図1及び図2に示すように、端縁が(先端部4xが)鉄筋1a~1dの設置面Gと反対側を向くように、つまり上方を向くように配されるよりも、図3及び図4に示すように、端縁が鉄筋1a~1dの設置面G側を向くように、つまり下方を向くように配されるのが好ましい。補助筋4a,4bが設置面G側を向くように配されると、後述する実施例からも明らかなように、鉄筋1a~1dの接続強度が向上する。また、設置面G側を向くように配する方が、施工も容易である。
【0028】
本形態において、鉄筋1a~1dと添筋2a,2bとの断面方向(軸方向に直交する方向)に関する位置関係は、特に限定されない。例えば、図1の(3)中に例示するように、鉄筋1a~1dの一方側方又は他方側方に添筋2a,2bを配することもできる。ただし、図1図4に示すように、添筋2a,2bは、鉄筋1a~1dの設置面Gとは反対側において、つまり鉄筋1a~1dの上方において当該鉄筋1a~1dと重なるように配するのが好ましい。鉄筋1a~1dに対して補助筋4a、4bを上方又は下方から掛ける本形態においては、上記後者の方法によると、鉄筋1a~1dの接続補強効果がより大きなものとなる。
【0029】
本形態においては、必要により、下側鉄筋1a~1d及び上側鉄筋1eをラップ筋5によって拘束することができる(スターラップ)。このラップ筋5は、図1の(4)等に示すように、断面方向に関して4本で一組である主筋1a~1eの周りに巻き付けられている。この巻き付けは、例えば、螺旋状に行っても、図示例のように適宜の間隔をおいて複数のラップ筋5を巻き付けるという形態で行ってもよい。
【0030】
鉄筋1a~1d、添筋2a,2b、補助筋4a、4b、及びラップ筋5の材質や径(太さ)等は、特に限定されない。従来公知のJIS規格の鋼材等を使用することができる。
【実施例
【0031】
次に、補助筋の作用効果を明らかにする実施例を説明する。
本発明者等は、補助筋の配筋形態と鉄筋の接続強度との関係を明らかにするために、梁曲げ試験を行った。
【0032】
(試験概要)
表1に示す5種類の試験体(供試体1~5)を使用して試験を行った。供試体2は図1に示す形態例(カットオフ有)に、供試体3は図2に示す形態例(カットオフ有)に、供試体4は図3に示す形態例(カットオフ有)に、供試体5は図4に示す形態例(カットオフ有)に、それぞれ対応する。他方、供試体1は長尺の鉄筋を使用した例であり、鉄筋の接続を行っていない(カットオフ無)。
【0033】
【表1】
【0034】
主筋(下側鉄筋及び上側鉄筋)の長さは、2300mm未満とした。また、下側鉄筋と上側鉄筋との断面方向の間隔は、198mmとした。接続する下側鉄筋同士の離間距離は、90mmとした。添筋の長さは、1010mmとした。添筋側に配した補助筋の鉄筋の端縁からの距離(L1)は、50mmとした。鉄筋と添筋との重なり長さ(L2)はそれぞれ、455mmとした。
【0035】
以上のような構造の鉄筋を使用して、鉄筋で補強されたモルタルからなる供試体を作成した。供試体の大きさは、幅2300mm、縦235mm、横(奥行)300mmとした。モルタルの水セメント比は、55.0%とした。配合比は、水400kg/m:セメント220kg/m、細骨材1594kg/mとした。モルタルのセメントとしては、普通ポルトランドセメント(JIS R 5210)を使用した。設計基準強度は、18N/mm以上とした。モルタルの荷重及び圧縮強度は、それぞれ234.2kN、29.7kN/mmであった。この値は、3日間にわたり、それぞれ(各日)3回試験を行った結果の平均値である。なお、変動係数は、3.37%であった。
【0036】
主筋(下側鉄筋及び上側鉄筋)としては、鉄筋コンクリート用棒鋼(JIS G 3112)、材質:SD345、サイズ:D13を使用した。添筋及び補助筋としても、同材質のものを使用した。主筋の引張試験結果(3回試験)を表2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】
試験の加力装置としては、長柱試験機(1000kN)を使用した。この長柱試験機に2点曲げ冶具を取り付けた。荷重及び変位は、静歪み測定器(TDS-520:東京測器製)を介して記録した。加力位置(支点)は、供試体の下側2点(離間距離2000mm)、及び上側2点(離間距離1000mm)とした。載荷は、初期荷重10kNとし、以後10kN刻みで載荷し、終局破壊に至るまで荷重測定した。載荷は、単サイクルとした。
【0039】
供試体の長手方向中央部と各支点(加力位置)付近にアングルフレームを取り付け、また、変位計(CDP-50:東京測器製)を取り付けた。この取付け位置は、供試体の片側側面5箇所の合計10箇所とした。
【0040】
(試験結果)
試験は、供試体1については1回、供試体2~5については各3回行った。結果を表3に示した。なお、変動係数は、5.22%であった。
【0041】
【表3】
【0042】
(考察)
まず、モルタル強度の影響についてであるが、モルタル圧縮強度の変動係数が3.75%であり、バラツキが小さかったことからすると、試験日による強度の影響はほとんど無いと考えられる。
【0043】
供試体2~5については、供試体1とほとんど差がなく、同程度であると考えられる。また、供試体2及び供試体3よりも供試体4及び供試体5の方が卓越しており、補助筋は下向き配置が好ましいと考えられる。当初は、補助筋に主筋(鉄筋)と添筋との付着強度向上を期待しており、前述したように補助筋を各2箇所(合計4箇所)配筋する方が、各1箇所(合計2箇所)配筋するよりも卓越するものと考えていた。しかしながら、結果は逆となった。これは、付着強度より鉄筋の降伏が卓越したため,圧縮部の圧壊が先行して発生したためと推測される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、法枠における鉄筋の接続構造として利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1a 第1鉄筋
1b 第2鉄筋
1c 第3鉄筋
1d 第4鉄筋
1e 上側鉄筋
2a 第1添筋
2b 第2添筋
3a 第1ラップ部
3b 第2ラップ部
3c 第3ラップ部
3d 第4ラップ部
4a 第1補助筋
4b 第2補助筋
4x (補助筋)先端部
5 ラップ筋
X 鉄筋補強構造
G 設置面(法面)
図1
図2
図3
図4