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特許7195816投影装置、投影装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】投影装置、投影装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0482 20130101AFI20221219BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20221219BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20221219BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20221219BHJP
   G09G 5/14 20060101ALI20221219BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20221219BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20221219BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20221219BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20221219BHJP
   G06F 3/04845 20220101ALI20221219BHJP
【FI】
G06F3/0482
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
G09G5/00 510B
G09G5/00 510H
G09G5/14 A
G09G5/36 520M
G09G5/00 550C
G09G5/00 530T
G09G5/00 530M
G09G5/36 520F
H04N5/74 Z
G06F3/0346 422
G06F3/04845
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018161165
(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2020035176
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】中沢 一彦
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-250046(JP,A)
【文献】特開2009-295031(JP,A)
【文献】特開2017-174177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/033 - 3/039
G06F 3/048 - 3/04895
G03B 21/00
G03B 21/14
G09G 5/00
G09G 5/14
G09G 5/377
G09G 5/36
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像に基づく画像を投影面に投影する投影装置であって、
前記入力画像に1以上の項目画像を含む操作画像を合成する合成手段と、
前記操作画像が重畳された前記入力画像に基づいて、前記投影面に画像を投影する投影手段と、
前記投影面に投影された前記操作画像に対するユーザの操作を検出する検出手段と、
前記ユーザと前記投影面との距離に関連するパラメータを取得する取得手段と、
前記操作画像を生成する生成手段と、
を備え、
前記ユーザと前記投影面との距離が第1閾値以上である場合に前記操作画像に含まれる前記項目画像の数が、前記ユーザと前記投影面との距離が前記第1閾値未満である場合に前記操作画像に含まれる前記項目画像の数よりも、少なく、
前記生成手段は、複数の項目画像から、1以上の第1階層に含まれる第1項目画像と、各第1項目画像に対応する1以上の第2項目画像をそれぞれ選択し、前記1以上の第1項目画像を含む第1操作画像を生成し、
前記第1操作画像を含む画像が前記投影面された場合に、前記合成手段は、前記投影面に投影された前記第1操作画像に対して前記ユーザが操作したことに応じて、前記ユーザが操作した前記第1項目画像に対応する前記1以上の第2項目画像を含む第2操作画像に変更し、
前記生成手段は、前記パラメータに基づいて、前記1以上の第1項目画像と、前記1以上の第2項目画像との選択方法を変更することを特徴とする投影装置。
【請求項2】
前記ユーザと前記投影面との距離が前記第1閾値以上である場合に前記操作画像に含まれる前記項目画像が、前記ユーザと前記投影面との距離が前記第1閾値未満である場合に前記操作画像に含まれる前記項目画像よりも、大きいことを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
入力画像に基づく画像を投影面に投影する投影装置であって、
前記入力画像に1以上の項目画像を含む操作画像を合成する合成手段と、
前記操作画像が重畳された前記入力画像に基づいて、前記投影面に画像を投影する投影手段と、
前記投影面に投影された前記操作画像に対するユーザの操作を検出する検出手段と、
前記ユーザと前記投影面との距離に関連するパラメータを取得する取得手段と、
前記操作画像を生成する生成手段と、
を備え、
前記ユーザと前記投影面との距離が第1閾値以上である場合に前記操作画像に含まれる前記項目画像が、前記ユーザと前記投影面との距離が前記第1閾値未満である場合に前記操作画像に含まれる前記項目画像よりも、大きく、
前記生成手段は、複数の項目画像から、1以上の第1階層に含まれる第1項目画像と、各第1項目画像に対応する1以上の第2項目画像をそれぞれ選択し、前記1以上の第1項目画像を含む第1操作画像を生成し、
前記第1操作画像を含む画像が前記投影面された場合に、前記合成手段は、前記投影面に投影された前記第1操作画像に対して前記ユーザが操作したことに応じて、前記ユーザが操作した前記第1項目画像に対応する前記1以上の第2項目画像を含む第2操作画像に変更し、
前記生成手段は、前記パラメータに基づいて、前記1以上の第1項目画像と、前記1以上の第2項目画像との選択方法を変更することを特徴とする投影装置。
【請求項4】
前記投影面に投影された前記画像の大きさが第2閾値以上である場合に、そうでない場合に比べて、前記投影面に投影された前記画像の大きさに対する前記操作画像の大きさの比を小さくすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の投影装置。
【請求項5】
前記検出手段が、前記投影面に投影された前記操作画像に対する前記ユーザの操作を検出している間は、前記操作画像に含まれる前記1以上の項目画像の変更を行わないことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の投影装置
【請求項6】
前記検出手段は、
前記投影された画像を含む前記投影面の領域を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した画像を解析して前記ユーザの操作を検出する解析手段と、を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の投影装置
【請求項7】
前記検出手段が検出した前記投影面に投影された前記操作画像に対する前記ユーザの操作に応じて、所定の処理を実行する処理手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の投影装置。
【請求項8】
前記所定の処理は、前記操作画像のうち前記ユーザが操作した前記項目画像に対応する指示を出力する処理であることを特徴とする請求項に記載の投影装置。
【請求項9】
入力画像に基づく画像を投影面に投影する投影装置の制御方法であって、
前記入力画像に1以上の項目画像を含む操作画像を合成する合成工程と、
前記操作画像が重畳された前記入力画像に基づいて、前記投影面に画像を投影する投影工程と、
前記投影面に投影された前記操作画像に対するユーザの操作を検出する検出工程と、
前記ユーザと前記投影面との距離に関連するパラメータを取得する取得工程と、
前記操作画像を生成する生成工程と、
を備え、
前記ユーザと前記投影面との距離が第1閾値以上である場合に前記操作画像に含まれる前記項目画像の数が、前記ユーザと前記投影面との距離が前記第1閾値未満である場合に前記操作画像に含まれる前記項目画像の数よりも、少なく、
前記生成工程では、複数の項目画像から、1以上の第1階層に含まれる第1項目画像と、各第1項目画像に対応する1以上の第2項目画像をそれぞれ選択し、前記1以上の第1項目画像を含む第1操作画像を生成し、
前記第1操作画像を含む画像が前記投影面された場合に、前記合成工程では、前記投影面に投影された前記第1操作画像に対して前記ユーザが操作したことに応じて、前記ユーザが操作した前記第1項目画像に対応する前記1以上の第2項目画像を含む第2操作画像に変更し、
前記生成工程では、前記パラメータに基づいて、前記1以上の第1項目画像と、前記1以上の第2項目画像との選択方法を変更することを特徴とする投影装置の制御方法。
【請求項10】
入力画像に基づく画像を投影面に投影する投影装置の制御方法であって、
前記入力画像に1以上の項目画像を含む操作画像を合成する合成工程と、
前記操作画像が重畳された前記入力画像に基づいて、前記投影面に画像を投影する投影工程と、
前記投影面に投影された前記操作画像に対するユーザの操作を検出する検出工程と、
前記ユーザと前記投影面との距離に関連するパラメータを取得する取得工程と、
前記操作画像を生成する生成工程と、
を備え、
前記ユーザと前記投影面との距離が第1閾値以上である場合に前記操作画像に含まれる前記項目画像が、前記ユーザと前記投影面との距離が前記第1閾値未満である場合に前記操作画像に含まれる前記項目画像よりも、大きく、
前記生成工程では、複数の項目画像から、1以上の第1階層に含まれる第1項目画像と、各第1項目画像に対応する1以上の第2項目画像をそれぞれ選択し、前記1以上の第1項目画像を含む第1操作画像を生成し、
前記第1操作画像を含む画像が前記投影面された場合に、前記合成工程では、前記投影面に投影された前記第1操作画像に対して前記ユーザが操作したことに応じて、前記ユーザが操作した前記第1項目画像に対応する前記1以上の第2項目画像を含む第2操作画像に変更し、
前記生成工程では、前記パラメータに基づいて、前記1以上の第1項目画像と、前記1以上の第2項目画像との選択方法を変更することを特徴とする投影装置の制御方法。
【請求項11】
請求項又は請求項10に記載の投影装置の制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メニュー画像を投影する投影装置、投影装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スクリーン上に表示されたメニューをユーザが指や電子ペンなどで指示することによって、投影装置を操作することが可能なプロジェクタ(投影装置)がある。このような投影装置は、画像に操作画像を重畳して投影し、ユーザが投影された操作画像に手(指示部材)をかざした場合にユーザの操作指示を検出し、当該メニュー画像に関連付けられた処理を実行する。
【0003】
メニュー画像の表示の方法として、特許文献1では投影画像の大きさ(投影サイズ)に応じて投影画像に重畳するメニューのサイズを変更する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-163930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、投影された操作画像に対して、ユーザが操作指示を与える場合、次のような課題がある。画像が投影される投影面(スクリーン)とユーザとの距離が遠い場合、ユーザの手のわずかな動きが、投影面上での大きな動きとして反映されてしまう。したがって、ユーザの手のブレ等により意図せずに、異なる操作画像に対する操作指示を入力してしまうことがある。
【0006】
ユーザと投影面との距離は、投影画像の大きさとは独立した事象であることから、特許文献1のように投影画像の大きさ(投影サイズ)に応じて投影画像に重畳する操作画像のサイズを変更したとしても、このような課題は解決しえない。
【0007】
そこで本発明は、ユーザと投影面の距離とが変化した場合においても、操作画像に対するユーザの操作性を低減させないことが可能な投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る投影装置の一の形態は、入力画像に基づく画像を投影面に投影する投影装置であって、前記入力画像に1以上の項目画像を含む操作画像を合成する合成手段と、前記操作画像が重畳された前記入力画像に基づいて、前記投影面に画像を投影する投影手段と、前記投影面に投影された前記操作画像に対するユーザの操作を検出する検出手段と、前記ユーザと前記投影面との距離に関連するパラメータを取得する取得手段と、前記操作画像を生成する生成手段と、を備え、前記ユーザと前記投影面との距離が第1閾値以上である場合に前記操作画像に含まれる前記項目画像の数が、前記ユーザと前記投影面との距離が前記第1閾値未満である場合に前記操作画像に含まれる前記項目画像の数よりも、少なく、前記生成手段は、複数の項目画像から、1以上の第1階層に含まれる第1項目画像と、各第1項目画像に対応する1以上の第2項目画像をそれぞれ選択し、前記1以上の第1項目画像を含む第1操作画像を生成し、前記第1操作画像を含む画像が前記投影面された場合に、前記合成手段は、前記投影面に投影された前記第1操作画像に対して前記ユーザが操作したことに応じて、前記ユーザが操作した前記第1項目画像に対応する前記1以上の第2項目画像を含む第2操作画像に変更し、前記生成手段は、前記パラメータに基づいて、前記1以上の第1項目画像と、前記1以上の第2項目画像との選択方法を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザと投影面との距離に応じて操作画像の大きさを制御することにより、ユーザと投影面の距離とが変化した場合においても、操作画像に対するユーザの操作性を低減させないことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】投影システムを示す模式図である。
図2】プロジェクタの構成を示す模式図である。
図3】OSD部の機能ブロックを説明するブロック図である。
図4】プロジェクタと、スクリーンと、ユーザとの位置関係を示す模式図である。
図5】OSD部が実行する操作画像生成処理を示す第1のフローチャートである。
図6】操作画像を含む投影画像を、プロジェクタから見た場合を示す模式図である。
図7】OSD部が操作画像生成処理を示す第2のフローチャートである。
図8】ユーザとスクリーンとの距離と項目画像の大きさとの関係を示す表である。
図9】プロジェクタとスクリーンとの距離と、割合Rの上限値との関係を示す表である。
図10】項目画像の大きさと、操作画像に含むことが可能な項目画像数との関係を示す表である。
図11】操作画像の階層を示す模式図である。
図12】操作画像が合成された入力画像の投影例を示す模式図である。
図13】階層移動の処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の各実施の形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は各実施の形態に記載されている構成によって限定されることはない。
【0012】
本実施形態において説明される各機能ブロックは個別のハードウェアにより実現されなくてもよく、例えばいくつかの機能ブロックの機能は、1つのハードウェアにより実行されてもよい。また、いくつかのハードウェアの連係動作により1つの機能ブロックの機能または、複数の機能ブロックの機能が実行されてもよい。また、各機能ブロックの機能は、CPUとして機能する制御部がメモリ上に展開したコンピュータプログラムを実行することにより実現されてもよい。また、本実施形態では、投影型表示装置(投影装置)の一例として、透過型液晶パネルを用いたプロジェクタを用いた例を説明する。しかし、投影装置としては、透過型液晶パネルを用いたプロジェクタに限らず、DMD(デジタルミラーデバイス)やLCOS(反射型液晶)パネル等の任意の投影装置が適用可能である。また、投影装置が液晶プロジェクタである場合、当該液晶プロジェクタには、単板式や3板式等の液晶プロジェクタが適用されてもよい。以下、投影装置として液晶プロジェクタを用いた画像表示システムについて説明する。
【0013】
<実施例1>
図1は、投影システム1を示す模式図である。投影システム1は、コンピュータ2、ケーブル3、ケーブル4、およびプロジェクタ100を有する。
【0014】
コンピュータ2は、例えば、ノート型のパーソナルコンピュータであり、表示装置(ディスプレイ)および入力装置(キーボードおよびポインティングデバイス)を一体的に備えて構成される画像供給装置である。コンピュータ2は、画像伝送用のケーブル3と制御信号伝送用のケーブル4とでプロジェクタ100と接続する。コンピュータ2は、画像(画像データ)を、ケーブル3を介して、プロジェクタ100に送信することが可能である。また、コンピュータ2は、ケーブル4を介して、プロジェクタ100を制御するための制御信号を送信することが可能である。さらに、コンピュータ2は、プロジェクタ100から、コンピュータ2を制御するための制御信号を受信することが可能である。
【0015】
ケーブル3は、Display Port(DP)規格に準拠した画像信号を伝送するためのケーブルである。なお、ケーブル3は、HDMI(登録商標)等の他の規格に準拠したケーブルであってもよい。ケーブル4は、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したケーブルである。コンピュータ2は、ケーブル4を介してプロジェクタ100からキー操作命令等の制御信号を受信することが可能である。
【0016】
プロジェクタ100は、スクリーン500に画像を表示する投影装置である。プロジェクタ100は、入力された画像をスクリーン500に投影するほか、入力された画像に操作用の画像を合成して投影することが可能である。また、プロジェクタ100は、合成された操作用の画像に対してユーザが手かざし等の操作を行ったことに応じて、当該操作に対応する制御信号を出力することが可能である。以下で、プロジェクタ100の構成、および動作について説明する。
【0017】
図2は、プロジェクタ100の構成を示す模式図である。プロジェクタ100は、制御部110、RAM111、ROM112、操作部113、通信部114、画像入力部115、光源制御部120、画像処理部130、およびOSD部140を有する。また、プロジェクタ100は、光変調素子駆動部150、光源160、色分離部161、光変調素子170R、170G、170B、色合成部180、投影光学系181および投影光学制御部182を有する。さらに、プロジェクタ100は、撮像部190、測距部191、及び操作検出部192を有する。
【0018】
制御部110は、制御部110が制御プログラムを実行することで、図2に示されるプロジェクタ100の各ブロックを制御する制御手段である。制御部110は、CPUである。ROM112は、制御部110の処理手順を記述した制御プログラムが記憶されるメモリである。RAM111は、ワークメモリとして一時的に制御プログラムやデータを格納するメモリである。制御部110は、通信部114より受信した静止画データや動画データを一時的にRAM111に記憶し、ROM112に記憶された制御プログラムを用いて、RAM111に記憶された画像や映像を再生することもできる。
【0019】
制御部110は、操作者による手かざしを認識する操作検出部192に対し、指示認識の条件変更や、指示認識の停止といった制御も行なう。制御部110は、操作検出部192の制御のための情報として、画像処理部130からの画像処理用パラメータ情報を受信する。
【0020】
操作部113は、操作者の指示を受け付け、制御部110に指示信号を送信するものであり、複数の操作キーを備えている。操作キーは、電源を投入または切断するための電源ボタン、入力映像信号の種類や入力端子を選択するための入力選択ボタン等である。また、操作キーは、各種の設定のためのメニュー画像を表示するためのメニューボタンやメニュー画像で設定項目を選択するための四つの方向ボタン、決定ボタン等である。操作部113は、例えば、リモコンからの信号を受信して、受信した信号に基づいて所定の指示信号を制御部110に送信するものであってもよい。また、制御部110は、操作部113や通信部114から入力された制御信号を受信して、プロジェクタ100の各動作ブロックを制御する。
【0021】
通信部114はプロジェクタ100にケーブル4を介して接続された外部装置(コンピュータ2)に対して、制御信号を送信する通信手段である。通信部114は、RS―232やUSB(Universal Serial Bus)(登録商標)などの通信規格の端子およびその処理回路などで構成される。通信部114は、外部機器からの制御信号や静止画データや動画データ等を受信するためのものであり、例えば、無線LAN、有線LAN、USB、Bluetooth(登録商標)等の任意の通信方式が適用される。
【0022】
画像入力部115は、外部装置から受信した画像(入力画像)を受信する通信手段である。外部装置は、例えば、コンピュータ2である。外部装置は、カメラ、携帯電話、スマートフォン、ハードディスクレコーダ、ゲーム機等の装置であってよい。また、外部装置は、USBフラッシュメモリやSDカードのようなメディアであり、画像入力部115は、当該メディアに記録された画像を読み込んでもよい。
【0023】
画像入力部115の端子には任意の端子が適用されてよい。例えば、画像入力部115の端子がHDMI(登録商標)端子である場合、HDMI(登録商標)端子を介して、Consumer Electronics Control(CEC)通信が行われてもよい。画像入力部115は画像プロジェクタ100の外部から入力画像を取り込む際に使用される。画像入力部115は、DisplayPort(登録商標)、USBやLAN(Local Area Network)や無線LANなどの通信規格の端子およびその処理回路などで構成されることが可能である。
【0024】
本実施形態では、通信部114は、USB端子を備えており、ケーブル4を介してコンピュータ2に接続され、制御部110により、コンピュータ2に対して制御信号を送信する。また、画像入力部115は、HDMI(登録商標)端子を備えており、ケーブル3を介してコンピュータ2に接続され、コンピュータ2から入力画像を受信する。
【0025】
なお、外部装置は、プロジェクタ100と通信を行うことができるものであれば、パーソナルコンピュータやカメラ、携帯電話、スマートフォン、ハードディスクレコーダ、ゲーム機、リモコン等、任意の機器であってよい。
【0026】
画像処理部130は、画像入力部115が受信した画像信号にフレーム数や画素数、画素値、画像形状等の変更処理を施して、光変調素子駆動部150に送信する画像処理手段である。画像処理部130の機能は、例えば、画像処理用のマイクロプロセッサにより実現されてもよいし、ROM112に記憶されたプログラムを、制御部110が画像処理部130と同様の処理を実行することにより実現されてもよい。画像処理部130は、フレーム間引き処理やフレーム補間処理、解像度変換(スケーリング)処理、歪み補正処理(台形歪補正処理)、輝度補正処理、色補正処理等の機能を実行することが可能である。また、画像処理部130は、所望のテストパターン画像を生成して光変調素子駆動部150に送信することもできる。
【0027】
また、画像処理部130は、OSD部140が生成したOSD画像(操作画像)を入力画像に合成する処理を実行することが可能である。画像処理部130は、入力画像にOSD画像を重畳して合成するとする。なお、画像処理部130は、入力画像を縮小し、縮小された入力画像の横にOSD画像を合成することも可能である。
【0028】
OSD部140は、入力画像に合成するためのOSD画像を生成する。OSD画像は、後述するように、スクリーン500に投影されたOSD画像に対してユーザが所定の動作を行うことにより、コンピュータ2またはプロジェクタ100に、制御信号を出力するための操作画像である。OSD画像は、プロジェクタ100の設定を操作するためのメニュー画像や、画像処理部130が実行する画像処理を指示する為のメニュー画像、または、コンピュータ2を操作するためのメニュー項目を含む。メニュー項目はそれぞれアイコン画像もしくはテキストであって、項目画像と呼ぶ。
【0029】
図3は、OSD部140の機能ブロックを説明するブロック図である。OSD部140は、項目数決定部141、項目サイズ決定部142、階層決定部143、および生成部144を備える。項目数決定部141は、後述する距離パラメータに基づいて、OSD画像に含まれる項目画像の数を決定する。項目サイズ決定部142は、後述する距離パラメータに基づいて、OSD画像に含まれる項目画像の大きさを決定する。
【0030】
階層決定部143は、メニューの表示階層構造を決定する。メニューは、OSD画像を操作してユーザが操作可能な機能群である。階層決定部143は、当該機能群のうち、上位の機能を第1階層に配置し、また、第1階層に配置された機能に関連する機能を第1階層よりも低い第2階層に配置する。また、階層決定部143は、第2階層に配置された機能に関連する機能を第2階層よりも低い第3階層に配置する。階層決定部143は、各階層に含まれるOSD画像に含まれるメニュー項目を選択するともいえる。また、階層決定部143は、設定した階層のうち、OSD画像として入力画像に合成する階層を表示階層として決定する。また、階層決定部143は、上位階層に対応するOSD画像を投影している場合に、対応する機能が下位階層に存在するメニュー項目に対して操作がされた場合に、対応する下位階層を表示階層として切り換える。
【0031】
項目数決定部141、項目サイズ決定部142、および階層決定部143は、投影される画像におけるOSD画像の面積の割合が所定の割合以下になるように、メニュー項目の数および大きさを決定する。もしくは、項目数決定部141、項目サイズ決定部142、および階層決定部143は、投影される画像におけるOSD画像の面積が所定の面積以下になるように、メニュー項目の数および大きさを決定する。項目数決定部141、項目サイズ決定部142、階層決定部143の動作の詳細については後述する。
【0032】
生成部144は決定されたメニューの階層と表示する階層、メニュー項目の数、および大きさに基づいて、OSD画像を生成する。OSD画像には各階層のメニュー画像が含まれている。生成部は、OSD画像と、OSD画像に含まれる各メニュー項目が示す機能もしくは指示を示す情報とを出力する。
【0033】
光変調素子駆動部150は、画像処理部130から出力される画像信号に基づいて、光変調素子170R、170G、170Bの画素の液晶に印可する電圧を制御して、光変調素子170R、170G、170Bの透過率を調整する。光変調素子170Rは、赤色に対応する液晶素子であって、光源160から出力された光について、色分離部161で赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に分離された光のうち、赤色の光の透過率を調整する。光変調素子170Gは、緑色に対応する液晶素子であって、光源160から出力された光について、色分離部161で赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に分離された光のうち、緑色の光の透過率を調整する。光変調素子170Bは、青色に対応する液晶素子であって、光源160から出力された光について、色分離部161で赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に分離された光のうち、青色の光の透過率を調整する。
【0034】
光源制御部120は、光源160のON/OFF制御や光量の制御をする。光源制御部120の機能は、制御用のマイクロプロセッサにより実現されてもよいし、例えば、ROM112に記憶されたプログラムを、制御部110が光源制御部120と同様の処理を実行することにより実現されてもよい。光源160は、スクリーン500に画像を投影するための光を出力するものであり、例えば、ハロゲンランプやキセノンランプ、高圧水銀ランプ等であってもよい。また、色分離部161は、光源160から出力された光を、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に分離するものであり、例えば、ダイクロイックミラーやプリズム等が適用される。光源160として、各色に対応するLED等が使用される場合には、色分離部161は不要である。
【0035】
色合成部180は、光変調素子170R、170G、170Bを透過した赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光を合成するものであり、例えば、ダイクロイックミラーやプリズム等が適用される。そして、色合成部180により赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の成分を合成した光は、投影光学系181に送られる。このとき、光変調素子170R、170G、170Bは、画像処理部130から入力された画像に対応する光の透過率となるように、光変調素子駆動部150により制御されている。色合成部180により合成された光は、投影光学系181によりスクリーン500に投影されると、画像処理部130により入力された画像に対応する画像がスクリーン500上に表示されることになる。光源160、色分離部161、光変調素子170、色合成部180、投影光学系181を総称して、投影部とする。
【0036】
投影光学制御部182は、投影光学系181を制御する光学系制御手段である。投影光学制御部182の機能は、制御用のマイクロプロセッサにより実現されてもよいし、ROM112に記憶されたプログラムを、制御部110が投影光学制御部182と同様の処理を実行することにより実現されてもよい。投影光学系181は、色合成部180から出力された合成光をスクリーン500に投影するための投影光学部であり、フォーカス光学系181aとズーム光学系181bとシフト光学系181cとを含む。そして、投影光学系181は、複数のレンズ、レンズ駆動用のアクチュエータおよびレンズ位置を検出するエンコーダを有する。レンズをアクチュエータにより駆動することで、投影画像の焦点調整や拡大・縮小、シフト等を行うことができる。また、複数のエンコーダは、各レンズの位置を判別することで、投影画像のフォーカス光学系における焦点位置、ズーム光学系におけるズーム率、シフト光学系におけるシフト方向およびシフト量を検出することができる。
【0037】
撮像部190は、カメラで構成される撮像手段である。撮像部190は、投影光学系181が画像を投影するスクリーン500を撮影するようにプロジェクタ100に内蔵されている。撮像部190は、制御部110の指示に基づいて投影光学系181からスクリーン500に投影された画像を含む範囲を撮像して撮像画像を取得する。撮像部190は、取得した撮像画像を、制御部110および操作検出部192に出力する。撮像部190は、所定の周期で撮像画像を取得して、出力するとする。
【0038】
測距部191は、ユーザとスクリーン500との距離Laを取得する。図4は、プロジェクタ100と、スクリーン500と、ユーザとの位置関係を示す模式図である。測距部191は、プロジェクタ100とユーザとの距離L1とプロジェクタ100とスクリーン500との距離L2とをそれぞれ測定することが可能なセンサを、距離L1と距離L2との差分に基づいて距離Laを取得する演算処理部を備える。例えば、センサは、赤外線測距センサであるとする。なお、測距部191は、ユーザとスクリーン500との距離Laを直接センシングするものであってもよい。測距部191は、距離Laを示す距離パラメータを出力する。
【0039】
操作検出部192は、撮像部190が取得した撮像画像を解析して、OSD画像に対してなされた操作を検出する。操作検出部192は、予め、撮像画像のうち投影された画像のOSD画像に対応する操作領域を特定する。また、操作検出部192は、予め画像処理部130が出力する画像において、OSD画像が重畳された位置およびOSD画像に含まれるメニュー項目を示す情報を取得する。操作検出部192は、連続する複数の撮像画像の差分を操作位置として抽出する。操作検出部192は、撮像画像の操作位置を示す座標を、投影された画像の座標に変換する。操作検出部192は、変換された座標に対応するメニュー項目に関連付けられた処理を実行する指示(制御信号)を出力する。なお、操作検出部192は、撮像画像から取得したユーザの動作に関する情報に基づいて動き情報を作成し、動き情報に基づいて、OSD画像のメニュー項目に対する操作を検出することも可能である。例えばユーザの手の部分の画像を抽出し、そこから動きの位置や動きの内容を判別する。
【0040】
操作検出部192が出力する制御信号は、画像プロジェクタ100の画質の調整などの、プロジェクタ100内部で行われる処理に関する制御信号を含む。この場合、制御信号は、制御部110に出力され、制御部110は、入力された制御信号に対応する処理を実行するように、プロジェクタ100を制御する。
【0041】
また、操作検出部192が出力する制御信号は、画像入力部115に入力される画像の変更などのプロジェクタ100の外部で行われる処理に関する制御信号を含む。この場合、制御信号は、通信部114からコンピュータ2に送信される。
【0042】
例えば、プロジェクタ100は、操作されたメニュー項目がコンピュータ2のキー操作命令に対応するとする。通信部114は、ケーブル4を介してコンピュータ2にキー操作命令を伝える。コンピュータ2がプレゼンテーションアプリケーションソフトウェア(以下、プレゼンテーションアプリ)を実行している際に、コンピュータ2がケーブル4を通じてキー操作命令を受け取ったとする。この場合、コンピュータ2は、受信したキー操作命令に基づいて、実行中のプレゼンテーションアプリの制御を行う。キー操作命令としては、例えば、ページ送りやページ戻し等がある。従って、コンピュータ2は、操作検出部192が検出した指示検出領域における操作者の手かざしによる指示をキー操作命令として受信し、キー操作命令に応じた制御(ページ送りやページ戻し等)を行う。なお、プロジェクタ100とコンピュータ2との間の通信方式はUSBを用いた通信方式には限定されない。
【0043】
上述のようにして、コンピュータ2に対して制御信号を送信することが可能となる。これにより、スクリーン500の近傍に位置するユーザは、コンピュータ2を手元に引き寄せて操作したり、専用のリモコンを用いたりすることなく、コンピュータ2を操作することが可能となる。
【0044】
次に、OSD部140が操作画像を生成する処理について、説明する。図5は、OSD部140が実行する操作画像生成処理を示すフローチャートである。操作画像生成処理は、操作部113や通信部114を介して、操作画像の表示指示が入力されたことに応じて、もしくは、プロジェクタ100の操作モードがジェスチャ操作モードに設定されたことに応じて開始されるとする。
【0045】
S501で、OSD部140は、ユーザと投影面との距離Laを示す情報を取得する。S502で、OSD部140は、距離Laが閾値Th1以上であるか否かを判定する。距離Laが閾値Th1以上である場合、処理はS503に進む。距離Laが閾値Th1未満である場合、処理はS505に進む。
【0046】
S503で、項目数決定部141は、操作画像に含める項目画像の数をN1と決定する。例えば、N1は、5個である。S504で、項目サイズ決定部142は、操作画像に含める項目画像の大きさをS1と決定する。S1は、項目画像のサイズを画素数で示すパラメータであってもよいし、RAM111に記憶された基準の項目画像を拡大処理するためのゲイン値であってもよい。
【0047】
S505で、項目数決定部141は、操作画像に含める項目画像の数をN2と決定する。ここで、N2は、N1よりも多い数である。例えば、N1は、10個である。S506で、項目サイズ決定部142は、操作画像に含める項目画像の大きさをS2と決定する。ここで、S2は、S1よりも小さい。
【0048】
S507で、生成部144は、決定された項目画像の数、項目画像の大きさに基づいて、RAM111から項目画像のデータを読み出し、大きさを調整して操作画像を生成する。S508で、OSD部140は、操作画像を画像処理部130に出力する。
【0049】
以上で、操作画像を生成する処理が終了する。
【0050】
上述した通り、OSD部140は、ユーザと投影面との距離Laが閾値Th1以上である場合に操作画像に含まれる項目画像の数N1が、そうでない場合に操作画像に含まれる項目画像の数N2よりも少なくなるように、項目画像数を決定する。また、OSD部140は、ユーザと投影面との距離Laが閾値Th1以上である場合に操作画像に含まれる項目画像の大きさS1が、そうでない場合に操作画像に含まれる項目画像の大きさS2よりも大きくなるように、項目画像数を決定する。
【0051】
図6は、上述のようにして生成した操作画像を含む投影画像を、プロジェクタ100から見た場合を示す模式図である。図6(a)は、ユーザと投影面との距離Laが閾値Th1以上である場合を示す。図6(b)は、ユーザと投影面との距離Laが閾値Th1未満である場合を示す。図6は、投影装置の撮像部190が撮像して得られる撮像画像を示すともいえる。
【0052】
距離Laが閾値Th1未満である場合には、ユーザはスクリーン500に近い位置で作業をしており、スクリーン500に投影された画像に対して細かい位置を指定した操作が可能である。一方で距離Laが閾値Th1以上である場合には、ユーザはスクリーン500から遠い位置で作業をしており、スクリーン500に投影された画像に対して細かい位置を指定した操作が困難である場合がある。具体的には、ユーザが手(支持部材)を所定距離だけ動かした場合、投影画像上における手に対応する位置の移動量は、ユーザと投影面との距離Laが大きいほど大きくなる。したがって、ユーザと投影面との距離Laが大きいほど、ユーザは投影面に表示された画像に対して、細かな位置指定がしづらい。したがって、項目サイズ決定部142は、距離Laが閾値Th1未満である場合に、そうでない場合よりも、メニュー項目の大きさが小さくなるように、メニュー項目の大きさを決定する。
【0053】
図6(a)は、距離Laが閾値Th1以上である場合の投影画像とユーザとを示す。この場合、ユーザがスクリーン500と離れた位置で操作する。図6(a)にあるように、大きい項目画像が操作画像に並べられる。図6(a)に示す項目画像は上から、「ページ戻り」「ページ送り」「描画開始(ペン)」「描画削除(消しゴム)」「ファイルを閉じる」の処理を指示する為の項目画像である。例えば、ユーザが「ページ送り」を示す項目画像に所定の期間以上、手をかざすことにより、操作検出部192がページ送り指示を検出し、通信部114を介してコンピュータ2に指示を送信する処理を実行する。コンピュータ2は、当該指示を受けて、プロジェクタ100に送信する画像を予め用意された次の画像に変更する。
【0054】
図6(b)は、距離Laが閾値Th1未満である場合の投影画像とユーザとを示す。この場合、ユーザがスクリーン500に近い位置で操作を行う。したがって、図6(a)に示した場合よりも、小さい項目画像が多く操作画像に含まれる。
【0055】
上述のようにして、ユーザと投影面との距離Laが所定の閾値以上である場合に項目画像を大きくすることによって、ユーザが投影面から離れた場合であっても、操作性が低下することを抑制することが可能となる。
【0056】
また、ユーザと投影面との距離Laが所定の閾値以上である場合に項目画像の数を少なくすることによって、項目画像の大きさが大きくなったとしても、操作画像が投影される他の画像を覆ってしまうことを抑制することが可能となる。
【0057】
なお、本実施例では、距離Laが閾値Th1以上であるか否かに応じて、項目画像の数とサイズとを変更したが、項目画像の数とサイズとを変更する閾値は2以上あってもよい。例えば、距離Laが閾値Th1よりもさらに大きい閾値Th2以上である場合には、項目画像の数をN1よりもさらに少ないN3とし、項目画像のサイズをS1よりもさらに大きいS3と決定して、操作画像を生成してもよい。
【0058】
また、投影面に投影された操作画像(項目画像)に対する操作指示が実行されている場合に、距離Laと閾値Th1との関係が変わった場合には、当該操作指示がなくなるまで、操作画像を更新しないように、OSD部140が動作してもよい。この場合、当該操作指示がなくなったことに応じて、OSD部140は操作画像を更新する。これにより、ユーザが操作画像に対して指示動作を行っているときに、不意に操作画像が変化して、ユーザの意図していない項目画像に対する指示が入力されることを抑制することが可能となる。
【0059】
また、決定される項目画像の数と、項目画像のサイズとの関係は、投影される操作画像の面積が投影される画像全体の面積に対して所定の比以下になるように予め設定されているとする。例えば、所定の比は、20%であるとする。これにより、投影される他の画像のうち一定以上の領域は操作画像が重ねて投影されないことから、他の画像の視認性の低下を抑制することが可能となる。
【0060】
<実施例2>
実施例2のプロジェクタ100は、ユーザと投影面との距離Laに応じて、操作画像の項目画像の数、およびサイズを制御するほか、さらに、操作画像の階層構造を制御する。これにより、操作画像の項目画像の数が減少しても、ユーザが操作可能な処理の数が減少することを抑制することが可能となる。
【0061】
図7は、OSD部140が操作画像を生成する処理を示すフローチャートである。操作画像の生成処理は、ユーザが操作画像を生成することを指示したことに応じて、実行されてもよいし、また、操作画像の投影の実行の有無にかかわらず、周期的に入力されるトリガに応じて、実行されていてもよい。本実施例では、操作画像を入力画像に合成した画像をスクリーン500に投影している状態で、生成処理の実行が開始されるとする。なお、生成処理の開始時点で、入力画像は、入力されているものとする。また、ユーザは、撮像部190で認識可能な範囲に存在するものとする。
【0062】
S701で、測距部191は、ユーザとスクリーン500との距離Laを取得する。距離Laは、ユーザとスクリーン500との最短距離である。測距部191は、距離Laを示すパラメータを出力する。また、測距部191は、プロジェクタ100とスクリーン500との距離L2を取得し、出力する。これらのパラメータは、OSD部140に入力される。
【0063】
S702で、項目サイズ決定部142は距離Laを示すパラメータに基づいて、操作画像に含まれる項目画像の大きさ(項目画像サイズ)を決定する。ここで、項目画像の大きさは、当該項目画像を含む操作画像が投影された場合の、スクリーン500における項目画像の大きさである。
【0064】
また、項目サイズ決定部142は、項目画像の大きさを変える閾値を2以上有していてもよい。本実施例では、項目サイズ決定部142は、閾値としてTh1、Th2(Th2>Th1)の2つを用いて、3段階の大きさで項目画像を決定するとする。
【0065】
図8は、距離Laと項目サイズ決定部142が決定する項目画像の大きさ(サイズ)との関係を示す表である。距離Laが閾値Th1未満である場合、項目画像をもっとも小さい大きさに決定する。また、距離Laが閾値Th1以上、かつ閾値Th2未満である場合、項目画像を中程度の大きさに決定する。さらに、距離Laが閾値Th2以上である場合、項目画像をもっとも大きい大きさに決定する。
【0066】
なお、項目画像は、その機能や表示する内容に応じてアスペクト比や基本となるサイズがそれぞれ異なる場合がある。したがって、項目サイズ決定部142は、決定した項目画像の大きさ(大、中、小)にそれぞれ対応する倍率mを、生成部144に出力する。生成部144は、操作画像の生成に当たっては、各項目画像の基本画像に対して、取得した倍率mを乗算して項目サイズの拡大(縮小)処理を実行する。例えば、項目画像の大きさ(大、中、小)にそれぞれ対応する倍率mは、3倍、2倍、1倍であるとする。例えば、ある項目画像Obj_aの基本サイズが、200×200画素であり、別の項目画像Obj_bの基本サイズが100×100画素であるとする。項目サイズ決定部142が項目サイズをもっとも大きいと決定し、倍率m(3倍)を出力すると、生成部144は、項目画像Obj_aを600×600画素に拡大する。また、生成部144は、項目画像Obj_bを300×300画素に拡大する。これによって項目画像間の相対的なサイズ比率が保たれたまま、所望の大きさに拡大処理がなされる。
【0067】
S703で、項目数決定部141は項目画像の大きさを元に、操作画像がスクリーン500の規定面積以内になるように、メニューの項目数を決定する。項目数決定部141は、距離Laが閾値Th1以上である場合に、そうでない場合よりも、操作画像に一度に含められる項目画像の数が少なくなるように、項目画像の数を決定する。
【0068】
項目数決定部141は、スクリーン500に投影される画像において、操作画像が占める割合Rの上限値を、プロジェクタ100とスクリーン500との距離L2に基づいて決定する。操作画像が投影される画像に対して大きすぎると、画像を視ているユーザは、入力画像の内容を確認しづらい。したがって、操作画像は、入力画像に対して小さいことが望ましい。しかし、操作画像に含まれる項目画像は、ユーザが項目画像を特定して操作するためには、所定以上の大きさを必要とする。したがって、操作画像の入力画像に対する割合Rは、投影される画像の面積が小さい場合に、より高い割合を許容することが望ましい。ここで、投影される画像の面積は、プロジェクタ100とスクリーン500との距離L2に比例する。
【0069】
項目数決定部141は、距離L2に基づいてスクリーン500に投影される画像(投影画像)のサイズを算出し、当該画像のサイズに応じて割合Rの上限値を決定する。図9は、距離L2と、投影画像の大きさと、割合Rの上限値との関係を示す表である。
【0070】
項目数決定部141は、決定された割合Rの上限値と、項目サイズ決定部142で決定された項目画像の大きさに基づいて、操作画像に含むことが可能な項目画像数を決定する。図10は、項目画像の大きさと、操作画像に含むことが可能な項目画像数との関係を示す模式図である。
【0071】
S704で、階層決定部143は、項目画像数に基づいて、メニューの表示階層構造を決める。階層構造の詳細については、後述する。階層決定部143は、決定した階層に基づいて、操作画像に含める項目画像を選択する。全ての項目画像が一度に表示できない場合にはメニューを階層的に表示して、ユーザは複数回メニューを操作して所望の項目画像を選択することが可能となる。
【0072】
S705で、生成部144は、決定された項目サイズ、項目数、階層構造(選択された項目画像)に基づいて、操作画像を生成して、出力する。以上で、操作画像の生成処理が完了する。
【0073】
図11は、本実施例に係る操作画像の表示例を示す模式図である。図11(a)、(b)、(c)はメニューの第一階層である。メニューの第一階層は初期状態で表示されているメニューである。図11(a)は表示可能なメニューの項目数が「小」の場合を示す。図11(b)は表示可能なメニューの項目数が「中」の場合を示す。図11(c)は表示可能なメニューの項目数が「大」の場合を示す。
【0074】
表示可能なメニューの項目数が「小」の場合、図11(a)に示すように、4個の項目画像を、項目サイズを大で並べた操作画像を生成する。表示可能なメニューの項目数が「中」の場合、図11(b)に示すように、6個の項目画像を、項目サイズを中で並べた操作画像を生成する。表示可能なメニューの項目数が「大」の場合、図11(c)に示すように、20個の項目画像を、項目サイズを小で並べた操作画像を生成する。
【0075】
図12は、操作画像が合成された入力画像の投影例を示す模式図である。投影画像サイズおよびユーザとスクリーン500との距離Laに応じて4通りの例を示している。図12(a)、(b)は、投影画像のサイズが小さい。図12(c)、(d)は、投影画像のサイズが大きい。図12(a)、(c)は、距離Laが小さい。図12(b)、(d)は、距離Laが大きい。
【0076】
図12(a)では、距離Laが小さいため、項目画像サイズは「小」になる。またスクリーン500サイズが小さいため、スクリーン500上のメニュー領域の割合の上限値が大きくなっている。このとき、メニューの表示項目数「中」がメニュー領域の割合の上限内に表示できる限界だとすると、図12(a)のようにメニューが表示される。
【0077】
図12(b)では、距離Laが大きいため、項目画像サイズは「大」になる。またスクリーン500サイズが小さいため、スクリーン500上のメニュー領域の割合の上限値が大きくなっている。このとき、メニューの表示項目数「小」がメニュー領域の割合の上限内に表示できる限界だとすると、図12(b)のようにメニューが表示される。
【0078】
図12(c)では、距離Laが小さいため、項目画像サイズは「小」になる。またスクリーン500サイズが大きいため、スクリーン500上のメニュー領域の割合の上限値が小さくなっている。このとき、メニューの表示項目数「大」が割合Rの上限内に表示できる限界だとすると、図12(c)のようにメニューが表示される。
【0079】
図12(d)では、距離Laが大きいため、項目画像サイズは大になる。またスクリーン500サイズが大きいため、スクリーン500上のメニュー領域の割合の上限値が小さくなっている。このとき、メニューの表示項目数「中」がメニュー領域の割合の上限内に表示できる限界だとすると、図12(d)のようにメニューが表示される。
【0080】
図13は、階層移動の処理方法を示すフローチャートである。ステップS1301において、ユーザの操作が検知される。ステップS1302において、図2で説明したメニュー構成決定の処理を行う。ステップS1303において、メニューの第一階層の表示が行われる。
【0081】
ステップS1304において、メニュー操作の検知が行われる。操作があった場合はステップS1305に移る。一定時間操作が無かった場合にはステップS1311に移る。
【0082】
ステップS1305において、ステップS1304で行われたメニュー操作が最終メニュー階層(もっとも深いメニュー階層)の処理であった場合はステップS1307へ、そうでなければステップS1306に移る。
【0083】
ステップS1306において、一つ下の階層のメニューに表示が更新される。ステップS1307において、ステップS1305で行われたメニュー操作が画像プロジェクタ100で行われるべき処理であった場合はステップS1308へ、そうでなければステップS1309に移る。
【0084】
ステップS1308において、ステップS1305で行われたメニュー操作がメニューを非表示にする処理であった場合はステップS1311へ、そうでなければステップS1310に移る。
【0085】
ステップS1309において、外部の装置に対して操作情報が出力される。ステップS1310において、ステップS1305で行われたメニュー操作に応じた画像処理が行われる。ステップS1311において、メニューを非表示にし、本フローは終了となる。
【0086】
図11を用いて、操作画像の階層の移動について説明する。図11(a)、(b)、(c)はメニューの第一階層である。メニューの第一階層は初期状態で表示されているメニューである。図11(d)、(e)はメニューの第二階層である。メニューの第二階層は、ユーザが第一階層のメニューを選択した後に表示されるメニューである。図11(f)はメニューの第三階層である。メニューの第三階層は、ユーザが第二階層のメニューを選択した後に表示されるメニューである。
【0087】
図11を用いて、ユーザがメニューを操作した時にどのような表示がされるのかを説明する。ユーザが「太い透明ペン」を選択する場合について説明する。ユーザが選択した項目画像は四角い点線で表している。
【0088】
メニューの項目数が「小」の場合、第一階層では図11(a)のように上から「ペン」、「消しゴム」、「ページ操作」、「メニュー非表示」のメニューの項目が表示されている。ユーザは「ペン」を選択する。第二階層では図11(d)のように上から「黒ペン」、「赤ペン」、「青ペン」、「透明ペン」のメニューの項目が表示されている。ユーザは「透明ペン」を選択する。第三階層では図11(f)のように上から「太」、「細」のメニューの項目が表示されている。ユーザは「太」を選択する。
【0089】
メニューの項目数が「中」の場合、第一階層では図11(b)のように上から「ペン」、「透明ペン」、「消しゴム」、「編集」、「ページ操作」、「メニュー非表示」のメニューの項目が表示されている。ユーザは「ペン」を選択する。第二階層では図11(e)のように上から「太」、「細」のメニューの項目が表示されている。ユーザは「太」を選択する。
【0090】
メニューの項目数が「大」の場合、第一階層で図11(c)のようにすべてのメニューの項目が表示されている。上から「黒ペン」、「赤ペン」、「青ペン」、「透明ペン」、「消しゴム」、「undo」、「redo」、「ページ戻す」、「ページ送る」、「メニュー非表示」である。ペンと消しゴムは太さを選択できる。上述のようにして、ユーザは「透明ペン・太」を選択する。
【0091】
なお、項目画像サイズ、スクリーン500上のメニュー領域の割合の上限値の種類、メニューの表示項目数、メニューの階層数をいずれも3個としたが、これらは一例であり数値は限定されるものではない。撮影した撮影画像を元にユーザの動きを判別している。電子ペンなどを用いて位置を入力するようにしてもよい。メニュー領域の割合の上限値を規定値としたが、ユーザがメニューなどから変更できるようにしてもよい。
【0092】
なお、複数階層あるメニューを選択するときに上位階層から下位階層にのみ遷移するようにした。「戻る」の項目画像をつけて上位階層に戻れるようにしてもよい。
【0093】
なお、ユーザとスクリーン500との最短距離をもとにメニュー構成を決定した。ユーザとスクリーン500の特定場所との距離に応じて決めるようにしてもよい。例えば、メニューはスクリーン500の右下に投影されるものとして、スクリーン500の右下の角とユーザと距離に応じて決定する。
【0094】
上述したように、本実施例による投影装置は、ユーザとスクリーン500との距離をもとに項目画像サイズを決定する。さらに、投影装置は、スクリーン500のサイズに応じてスクリーン500上のメニュー領域の割合の上限値を決め、メニューの表示項目数とメニュー階層を決定する。距離に応じて項目画像サイズが変わるため、ユーザがメニューを操作しやすくすることができる。
【0095】
また、メニューで覆われる投影画像の領域が限定されるため、投影画像の閲覧者に投影画像が見えにくくなることを防止することができる。
【0096】
<その他の実施例>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0097】
100 プロジェクタ
130 画像処理部
140 OSD部
190 撮像部
191 測距部
192 操作検出部
500 スクリーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13