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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/10 20060101AFI20221219BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20221219BHJP
   E05F 15/643 20150101ALI20221219BHJP
【FI】
E05D15/10
E06B7/22 Z
E05F15/643
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018163830
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020033853
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸嗣
(72)【発明者】
【氏名】安部 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】師岡 聖
(72)【発明者】
【氏名】有馬 裕樹
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-131596(JP,A)
【文献】特開2018-071315(JP,A)
【文献】特開2014-134069(JP,A)
【文献】特開平06-137033(JP,A)
【文献】特開2015-086525(JP,A)
【文献】特開2013-256812(JP,A)
【文献】特開2016-211332(JP,A)
【文献】特開2011-252356(JP,A)
【文献】登録実用新案第3153747(JP,U)
【文献】特開2012-193586(JP,A)
【文献】実開昭61-198476(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/10
E06B 7/22
E05F 15/643
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられる枠体と、前記枠体内に配置される第1障子及び第2障子と、を備える建具であって、
前記第1障子及び前記第2障子は、前記第1障子及び前記第2障子が見付方向に直線上に並んで配置される閉位置と、室内外方向に視た場合に前記第1障子及び前記第2障子が重なる開位置と、に前記枠体内を移動可能に構成され、
前記第1障子は、前記枠体内において室内外方向のみに移動可能に構成され、
前記第1障子及び前記第2障子は、いずれも、透明なパネルを有し、
前記第1障子及び前記第2障子が前記閉位置に位置する場合において、前記第1障子の見付方向における前記第2障子側の端部に形成される室内外方向に延びる面には、第1緩衝材が設けられ、前記第2障子の見付方向における前記第1障子側の端部に形成される室内外方向に延びる面には、第2緩衝材が設けられ
前記枠体は、前記第1障子の上端を収容する上枠と、前記第1障子の下端を収容する下枠と、を備え、
前記上枠及び下枠は、前記第1障子の上端及び下端をそれぞれ収容した際に開放される開放部をそれぞれ備えており、
前記第1障子は、該第1障子の室内外方向への移動に伴って回動自在に備えられた蓋部を、上端及び下端にそれぞれ備えており、
前記上枠及び下枠それぞれに設けられた開放部が、前記第1障子の上端及び下端それぞれに回動自在に備えられた前記蓋部により、前記第1障子が室外側に移動する際は開かれ、前記第1障子が室内側へ移動する際は閉じられる建具。
【請求項2】
前記第2障子は、前記枠体内において見付方向のみに移動可能に構成される請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記第1障子の外周側縁部には、前記第1障子を室内外方向のみに移動させる室内外方向移動機構が連結されている請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記第1障子及び前記第2障子を閉位置から開位置に移動させる場合に、前記第1障子を室内外方向に移動させた後に、前記第2障子を見付方向に移動させることで、前記第1障子及び前記第2障子を閉位置から開位置に移動可能に構成される請求項1~3のいずれかに記載の建具。
【請求項5】
前記第1障子及び前記第2障子の閉位置において、前記第1障子と前記枠体との間には第1気密材が配置され、前記第2障子と前記枠体との間には第2気密材が配置される請求項1~4のいずれかに記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障子を備える建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体内にガラスパネル(障子)が納められた連窓(建具)が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の複数のガラスパネル(障子)は、いずれも、FIXパネルで構成され、見付方向に直線上に並んで配置されている。FIXパネルが納められた連窓において、連窓を介して室内から室外を視る場合に、眺望性を向上させるために、方立の見付方向の幅を小さくすることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-105121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の連窓は、ガラスパネルが、FIXパネルで構成され、見付方向に直線上に並んで配置されているため、開閉できない構造である。しかし、ガラスパネルがFIXパネルであっても、ガラスパネルを開閉したい場合がある。そのため、複数のFIXパネルで構成された建具において、眺望性を確保しつつ、FIXパネルを開閉可能とすることが求められている。
【0005】
本発明は、眺望性を保ちつつ、開閉可能な障子を備える建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物の開口部に設けられる枠体(例えば、後述の枠体10)と、前記枠体内に配置される第1障子(例えば、後述の見込方向スライドパネル体20)及び第2障子(例えば、後述の見付方向スライドパネル体30)と、を備える建具(例えば、後述のスライディング窓1)であって、前記第1障子及び前記第2障子は、前記第1障子及び前記第2障子が見付方向に直線上に並んで配置される閉位置と、室内外方向に視た場合に前記第1障子及び前記第2障子が重なる開位置と、に前記枠体内を移動可能に構成され、前記第1障子は、前記枠体内において室内外方向のみに移動可能に構成される建具に関する。
【0007】
また、前記第2障子は、前記枠体内において見付方向のみに移動可能に構成されることが好ましい。
【0008】
また、前記第1障子の外周側縁部には、前記第1障子を室内外方向のみに移動させる室内外方向移動機構(例えば、後述の見込方向移動機構5)が連結されていることが好ましい。
【0009】
また、前記第1障子及び前記第2障子を閉位置から開位置に移動させる場合に、前記第1障子を室内外方向に移動させた後に、前記第2障子を見付方向に移動させることで、前記第1障子及び前記第2障子を閉位置から開位置に移動可能に構成されることが好ましい。
【0010】
また、前記第1障子及び前記第2障子の閉位置において、前記第1障子と前記枠体との間には第1気密材(例えば、後述の気密材116b,125b,133b)が配置され、前記第2障子と前記枠体との間には第2気密材(例えば、後述の気密材116b,125b,133b)が配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、眺望性を保ちつつ、開閉可能な障子を備える建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態のスライディング窓が閉位置に位置した状態を示す正面図である。
図2図1のA-A線断面図であって、第1実施形態のスライディング窓が閉位置に位置した状態を示す横断面図である。
図3図2に示す閉位置から見込方向スライドパネル体が室外側に移動してスライディング窓が途中位置に位置した状態を示す横断面図である。
図4図3に示す途中位置から見付方向スライドパネル体が左右方向の外側に移動してスライディング窓が閉位置に位置した状態を示す縦断面図である。
図5図1のB-B線断面図である。
図6図1のC-C線断面図である。
図7図1のD-D線断面図である。
図8図7に示す状態から、昇降蓋部材が上昇した状態を示す図である。
図9】見付方向移動戸車の配置を示す図であって、(a)は第1配置例を示す図であり、(b)は第2配置例を示す図である。
図10A】見込方向移動機構を示す斜視図であって、見込方向スライドパネル体が室内側位置に位置した状態を示す斜視図である。
図10B】見込方向移動機構を示す斜視図であって、見込方向スライドパネル体が室外側位置に位置した状態を示す斜視図である。
図11】上枠に配置される見込方向移動機構部及び見付方向移動機構を示す斜視図である。
図12】下枠室外側開閉蓋部の開閉動作を示す図である。
図13】上枠室外側開閉蓋部の開閉動作を示す図である。
図14A】中央部側蓋部昇降機構を示す斜視図であって、下降位置に位置した状態を示す図である。
図14B】中央部側蓋部昇降機構を示す斜視図であって、上昇位置に位置した状態を示す図である。
図15】下レールのつなぎ部分を示す図であって、(a)は第1例のつなぎ部分を示す図であり、(b)は第2例のつなぎ部分を示す図であり、(c)は第3例のつなぎ部分を示す図である。
図16】本発明の第2実施形態の下側蓋部開閉機構を示す図である。
図17】本発明の第2実施形態の下側蓋部開閉機構の開閉動作を示す図である。
図18】本発明の第3実施形態のスライディング窓の下方側の部分を室外側から視た図である。
図19図18の分解斜視図である。
図20】第3実施形態において、下枠に、端部側蓋部昇降機構及び見込方向移動機構を配置した状態を示す斜視図である。
図21A図18に示す状態から、昇降蓋部材が下降した状態を示す図である。
図21B図21Aに示す状態から、見込方向スライド部が室外側に移動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態の建具としてのスライディング窓1について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態のスライディング窓1が閉位置に位置した状態を示す正面図である。図2は、図1のA-A線断面図であって、第1実施形態のスライディング窓1が閉位置に位置した状態を示す横断面図である。図3は、図2に示す閉位置から見込方向スライドパネル体20が室外側に移動してスライディング窓1が途中位置に位置した状態を示す横断面図である。図4は、図3に示す途中位置から見付方向スライドパネル体30が左右方向Xの外側に移動してスライディング窓1が閉位置に位置した状態を示す縦断面図である。
【0014】
なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口部に納められた建具の枠体に収められる障子の面内方向を意味し、「見込方向」とは、室内外方向(即ち、奥行き方向)を意味する。また、見付方向において、図1における左右の方向を左右方向Xという。また、図2における見込方向を見込方向Yといい、見込方向Yにおける奥側を室外側といい、手前側を室内側という。
【0015】
第1実施形態のスライディング窓1は、図1及び図2に示すように、建物の開口部に設けられる枠体10と、一対の第1戸体200と、一対の第2戸体300と、見込方向移動機構5(室内外方向移動機構)と、見付方向移動機構6と、端部側蓋部開閉機構7と、中央部側蓋部昇降機構8(昇降装置)と、を備える。本実施形態では、スライディング窓1において、一対の見込方向スライドパネル体20及び一対の見付方向スライドパネル体30を含まずに、枠体10を含んだ構成を、サッシ枠という。
第1戸体200は、見込方向Yに移動可能であり、見込方向スライドパネル体20(第1障子)と、見込方向移動戸車203(後述)と、上枠室外側開閉蓋部118(カバー部材)(図5及び図6参照)と、下枠室外側開閉蓋部128(カバー部材)(図5及び図6参照)と、を備えて構成される。第2戸体300は、見付方向の左右方向Xに移動可能であり、見付方向スライドパネル体30(第2障子)と、見付方向移動戸車303(後述)と、を備えて構成される。見込方向スライドパネル体20及び見付方向スライドパネル体30は、開口部を塞ぐために配置される。
【0016】
まず、枠体10の構成について説明する。図1に示すように、枠体10は、上枠11、下枠12及び一対の縦枠13、13が、方形状に枠組みされている。上枠11、下枠12及び一対の縦枠13,13は、例えば、アルミニウムを押し出し成型することによって形成される。枠体10内には、一対の見込方向スライドパネル体20及び一対の見付方向スライドパネル体30が配置される。
【0017】
第1実施形態のスライディング窓1は、図1図4に示すように、枠体10内において、一対の見込方向スライドパネル体20及び一対の見付方向スライドパネル体30を移動可能であり、閉位置(図1及び図2)と、途中位置(図3)と、開位置(図4)と、に移動させることが可能である。
【0018】
一対の見込方向スライドパネル体20は、閉位置において、枠体10内の左右方向Xの両端部側に配置され、それぞれ、見込方向移動機構5(図1参照)により、見込方向Yに移動可能に構成される。一対の見付方向スライドパネル体30は、閉位置において、枠体10内の左右方向の中央側に配置され、それぞれ、見付方向移動機構6(図1参照)により、見付方向の左右方向Xに移動可能に構成される。
【0019】
本実施形態においては、見込方向スライドパネル体20は、枠体10内において見込方向Yのみに移動可能である。これにより、見込方向スライドパネル体20を枠体10内において見込方向Yのみに移動した後に、見付方向スライドパネル体30を開くことができる。これにより、眺望性を保ちつつ、開閉可能なスライディング窓1を実現できる。
また、見付方向スライドパネル体30は、枠体10内において、見付方向の左右方向Xのみに移動可能である。そのため、見込方向スライドパネル体20を枠体10内において見込方向Yのみに移動させた後に、見付方向スライドパネル体30を見付方向の左右方向Xのみに移動させることで、スライディング窓1を容易に開閉することができる。
【0020】
スライディング窓1が閉位置に位置した場合に、図2に示すように、一対の見込方向スライドパネル体20及び一対の見付方向スライドパネル体30は、枠体10内において、見付方向の左右方向Xに一直線上に並んで配置される。
また、枠体10内において、図2に示す閉位置から、一対の見込方向スライドパネル体20を見込方向Yの室外側に移動させることで、図3に示すように、枠体10内の左右方向Xの両端部側において、一対の見込方向スライドパネル体20が室外側に移動した途中位置に配置される。
また、枠体10内において、図3に示す途中位置から、一対の見付方向スライドパネル体30を左右方向Xの外側に移動させることで、図4に示すように、一対の見付方向スライドパネル体30が左右方向Xの外側に移動した開位置に配置される。スライディング窓1が開位置に位置した場合に、一対の見込方向スライドパネル体20及び一対の見付方向スライドパネル体30は、枠体10内において、見込方向Yに視た場合に、重なって配置される。
【0021】
枠体10の左右方向Xの長さは、枠体10内に、一対の見込方向スライドパネル体20及び一対の見付方向スライドパネル体30を左右方向Xに一直線上に並んで配置できる長さで形成される。また、枠体10の見込方向Yの長さは、枠体10内に、見込方向スライドパネル体20及び見付方向スライドパネル体30を見込方向Yに2列で並んで配置できる長さで形成される。
【0022】
図5は、図1のB-B線断面図である。図6は、図1のC-C線断面図である。図7は、図1のD-D線断面図である。図8は、図7に示す状態から、昇降蓋部材89が上昇した状態を示す図である。
【0023】
上枠11は、図5図7に示すように、断面が中空方形状の上枠本体111と、上枠本体111の室外側下部から下方に延びる上枠室外側延出部112と、上枠室外側延出部112の下端から上枠11の見込方向Yの内部側に突出する上枠室外側下部突出部113と、上枠本体111の室内側下部から下方に延びる上枠室内側延出部114と、上枠室外側下部突出部113の下端から上枠11の見込方向Yの内部側に突出する上枠室内側下部突出部115と、上枠室内側下部突出部115に着脱可能に係合され上枠室内側下部突出部115から上枠11の見込方向Yの内部側に延びて配置される上枠室内側カバー部116と、上枠室外側固定蓋部119(図7参照)と、を有する。上枠本体111は、見込方向Yに長く形成される。
【0024】
上枠11における下部には、図5図7に示すように、下方に向けて開放する上枠下方開口部117が形成される。上枠下方開口部117は、見込方向Yに幅を有して形成され、上枠11における左右方向Xの全域に亘って延びる。上枠下方開口部117は、上枠室外側下部突出部113の室内側の端部と、上枠室内側下部突出部115の室外側の端部との間の部分において、下方に向けて開放する。
【0025】
上枠11は、図6に示すように、見込方向スライドパネル体20の室外側面に対向する上枠室外側延出部112(室外側片)と、見込方向スライドパネル体20の室内側面に対向する上枠室内側延出部114(室内側片)と、上枠室外側延出部112の端部から上枠室内側延出部114の端部に連続する上枠本体111の下片111t(底片)と、を有している。
上枠下方開口部117の上方の室外側には、見込方向スライドパネル体20と上枠室外側延出部112との間にできる上枠隙間S1(隙間)が形成される。
【0026】
上枠下方開口部117には、閉位置に位置したスライディング窓1の左右方向Xの両端部側において、見込方向スライドパネル体20の上端部が配置され、スライディング窓1の左右方向Xの中央側において、見付方向スライドパネル体30の上端部が配置される。見込方向スライドパネル体20は、スライディング窓1の左右方向Xの両端部において、見込方向Yに移動可能に配置される。見付方向スライドパネル体30は、スライディング窓1の左右方向Xに移動可能に配置される。
【0027】
スライディング窓1の左右方向Xの両端部側において、図6に示すように、上枠下方開口部117の室外側の部分は、見込方向スライドパネル体20が室外側に移動することで、第1戸体200の上枠室外側開閉蓋部118により開閉可能である。上枠室外側開閉蓋部118は、上枠11内において見込方向スライドパネル体20が見込方向Yに移動した場合に、見込方向スライドパネル体20の見込方向Yへの移動を利用して、上枠11の上枠下方開口部117の溝部分の上枠隙間S1を閉じる閉止位置と、上枠11の上枠下方開口部117の溝部分の上枠隙間S1を開放する開放位置と、に移動可能である。
スライディング窓1の左右方向Xの中央側において、図7に示すように、上枠下方開口部117の室外側の部分は、上枠室外側固定蓋部119により閉じられている。上枠室外側固定蓋部119は、開閉しないように構成され、上枠11に固定されている。
【0028】
上枠下方開口部117の室内側の部分には、スライディング窓1の左右方向Xの全域に亘って、上枠室内側カバー部116が配置されている。上枠室内側カバー部116は、スライディング窓1の左右方向Xの全域に亘って延びて形成され、上枠室内側下部突出部115に着脱可能に係合されることで、上枠11における上枠下方開口部117の室内側の部分を下方から覆う。上枠室内側カバー部116は、見込方向スライドパネル体20又は見付方向スライドパネル体30を取り付ける際に、取り外されて、見込方向スライドパネル体20又は見付方向スライドパネル体30を取り付けた後に、取り付けられる。また、上枠室内側カバー部116は、着脱可能に構成されており、上枠11の内部を点検する際に着脱される点検口カバーとしても機能する。
【0029】
上枠室内側カバー部116の室外側の端部には、嵌合部116aが設けられる。嵌合部116aには、気密材116b(第1気密材、第2気密材)が取り付けられる。嵌合部116aに取り付けられた気密材116bは、上枠11と見込方向スライドパネル体20との間に及び上枠11と見付方向スライドパネル体30との間に配置され、一対の見込方向スライドパネル体20及び一対の見付方向スライドパネル体30の室内側上部側の見付面に押圧される。気密材116bは、中空部を有するホロー構造で構成され、上枠11とスライドパネル体20,30との気密性及び水密性を確保する部材である。気密材116bが中空部を有するホロー構造で構成されることで、見込方向スライドパネル体20又は見付方向スライドパネル体30が移動した場合においても、気密材116bの捲れ上がりを低減できる。
【0030】
下枠12は、図5図7に示すように、断面が中空方形状の下枠本体121と、下枠本体121の室外側上部から上方に延びる下枠室外側延出部122と、下枠室外側延出部122の上端から下枠12の見込方向Yの内部側に突出する下枠室外側上部突出部123と、下枠本体121の室内側上部から上方に延びる下枠室内側延出部124と、下枠室内側延出部124の上端から下枠12の見込方向Yの内部側に突出する下枠室外側上部突出部125と、下枠室外側固定蓋部129(図7参照)と、を有する。下枠本体121は、見込方向Yに長く形成される。
【0031】
下枠12における上部には、図5図7に示すように、上方に向けて開放する下枠上方開口部127が形成される。下枠上方開口部127は、見込方向Yに幅を有して形成され、下枠12における左右方向Xの全域に亘って延びる。下枠上方開口部127は、下枠室外側上部突出部123の室内側の端部と、下枠室外側上部突出部125の室外側の端部との間の部分において、上方に向けて開放する。
【0032】
下枠12は、図6に示すように、見込方向スライドパネル体20の室外側面に対向する下枠室外側延出部122(室外側片)と、見込方向スライドパネル体20の室内側面に対向する下枠室内側延出部124(室内側片)と、下枠室外側延出部122の端部から下枠室内側延出部124の端部に連続する下枠本体121の上片121t(底片)と、を有している。
下枠上方開口部127の下方の室外側には、見込方向スライドパネル体20と下枠室外側延出部122との間にできる下枠隙間S2(隙間)が形成される。
【0033】
下枠上方開口部127には、閉位置に位置したスライディング窓1の左右方向Xの両端部側において、見込方向スライドパネル体20の下端部が配置され、スライディング窓1の左右方向Xの中央側において、見付方向スライドパネル体30の下端部が配置される。見込方向スライドパネル体20は、スライディング窓1の左右方向Xの両端部において、見込方向Yに移動可能に配置される。見付方向スライドパネル体30は、スライディング窓1の左右方向Xに移動可能に配置される。
【0034】
スライディング窓1の左右方向Xの両端部においては、図6に示すように、下枠上方開口部127の室外側の部分は、見付方向スライドパネル体30が室外側に移動することで、第1戸体200の下枠室外側開閉蓋部128により開閉可能である。下枠室外側開閉蓋部128は、下枠12内において見込方向スライドパネル体20が見込方向Yに移動した場合に、見込方向スライドパネル体20の見込方向Yへの移動を利用して、下枠12の下枠上方開口部127の溝部分の下枠隙間S2を閉じる閉止位置と、下枠12の下枠上方開口部127の溝部分の下枠隙間S2を開放する開放位置と、に移動可能である。
【0035】
スライディング窓1の左右方向Xの両端部においては、下枠12の内部において、下枠本体121の上面には、戸車載置枠体120が配置される。戸車載置枠体120の上面である戸車移動上面120aには、図5に示すように、見込方向スライドパネル体21、22の下端部を支持する第1下部移動支持体201の見込方向移動戸車203(後述)が見込方向Yに移動可能に載置され、開位置に位置する場合に、一対の見付方向スライドパネル体31,32の下端部を支持する第2下部移動支持体301の見付方向移動戸車303(後述)が左右方向Xに移動可能に載置される。
【0036】
スライディング窓1の左右方向Xの中央側においては、図7に示すように、下枠上方開口部127の室外側の部分は、下枠室外側固定蓋部129により閉じられている。下枠室外側固定蓋部129は、開閉しないように構成され、下枠12に固定されている。
また、スライディング窓1の左右方向Xの中央側においては、見付方向スライドパネル体30が左右方向Xの外側に移動した場合に、図8に示すように、下枠上方開口部127の室内側の溝部Mは、中央部側蓋部昇降機構8(後述)が上昇位置に移動されることで、昇降蓋部材89により閉じられる。
【0037】
下枠室外側固定蓋部129は、図7及び図8に示すように、水平方向に延びる蓋部本体板129aと、蓋部本体板129aの室内側の端部から下方に突出する下方突出片129bと、下方突出片129bよりも室外側において下方突出片129bよりも下方に延びる下方延出板129cと、を有する。下方延出板129cの室内側の面には、位置規制ピース129d(後述)が取り付けられている。
【0038】
下枠室外側上部突出部125の室外側の端部には、嵌合部125aが設けられる。嵌合部125aには、気密材125b(第1気密材、第2気密材)が取り付けられる。嵌合部125aに取り付けられた気密材125bは、下枠12と見込方向スライドパネル体20との間及び下枠12と見付方向スライドパネル体30との間に配置され、一対の見込方向スライドパネル体20及び一対の見付方向スライドパネル体30の室内側上部の見付面に押圧される。気密材125bは、中空部を有するホロー構造で構成され、下枠12とスライドパネル体20,30との気密性及び水密性を確保する部材である。気密材125bを第1下部移動支持体201よりも上方に配置して、一対の見込方向スライドパネル体20及び一対の見付方向スライドパネル体30の室内側上部の見付面に押圧するように構成することで、気密性能及び水密性を確保するように構成される。気密材125bが中空部を有するホロー構造で構成されることで、中央部側蓋部昇降機構8が昇降した場合において、気密材125bの捲れ上がりを低減できる。
【0039】
一対の縦枠13,13は、図2に示すように、それぞれ、断面が中空方形状の縦枠本体131と、縦枠本体131の室内側端部から左右方向Xの内側に延びる縦枠室内側延出部132と、縦枠室内側延出部132の左右方向Xの内側の端部から見込方向Yの室外側に延びる縦枠見込方向延在部133と、を有する。縦枠本体131は、見込方向Yに長く形成される。
【0040】
縦枠見込方向延在部133の室外側の端部には、嵌合部133aが設けられる。嵌合部133aには、気密材133b(第1気密材、第2気密材)が取り付けられる。嵌合部133aに取り付けられた気密材132bは、縦枠13と見込方向スライドパネル体20との間に配置されると共に、縦枠13と見付方向スライドパネル体30との間に配置される。これにより、一対の見込方向スライドパネル体20及び一対の見付方向スライドパネル体30が枠体10内において左右方向Xの外側に位置した場合に、気密材132bは、一対の見込方向スライドパネル体20及び一対の見付方向スライドパネル体30の左右方向の外側の端部の見付面に押圧される。気密材133bは、中空部を有するホロー構造で構成され、縦枠13とスライドパネル体20,30との気密性及び水密性を確保する部材である。気密材133bが中空部を有するホロー構造で構成されることで、見込方向スライドパネル体20又は一対の見付方向スライドパネル体30が移動した場合においても、気密材133bの捲れ上がりを低減できる。
【0041】
一対の見込方向スライドパネル体20及び一対の見付方向スライドパネル体30は、枠体10内に配置され、閉位置に位置した場合に、図2に示すように、枠体10内における室内側において、左右方向Xに一直線上に並んで配置される。具体的には、閉位置に位置した場合には、一対の見込方向スライドパネル体20は、枠体10内の左右方向Xの両端部に配置され、一対の見付方向スライドパネル体30は、一対の見込方向スライドパネル体20の間に、左右方向Xに一直線上に並んで配置される。
【0042】
詳細には、左右方向Xの左側(一方側)から右側(他方側)に向けて、見込方向スライドパネル体21、見付方向スライドパネル体31、見付方向スライドパネル体32、見込方向スライドパネル体22の順に一直線上に並んで配置されている。閉位置に位置した場合に、見込方向スライドパネル体21と見付方向スライドパネル体31とは、突き当て部41において突き当てられる。見付方向スライドパネル体31と見付方向スライドパネル体32とは、突き当て部42において突き当てられる。見付方向スライドパネル体32と見込方向スライドパネル体22とは、突き当て部43において突き当てられる。
【0043】
一対の見込方向スライドパネル体20及び一対の見付方向スライドパネル体30は、閉位置に位置した場合において、隣接するスライドパネル体20,30において、室外側の室外側ガラスパネル211,221,311,321(後述)の室外側見付面同士が同一平面上に配置され、室内側の室内側ガラスパネル213,223,313,323(後述)の室内側見付面同士が同一平面上に配置される。
【0044】
スライディング窓1(見込方向スライドパネル体20及び見付方向スライドパネル体30)を閉位置(図1及び図2参照)から開位置(図4参照)に移動させる場合には、図2に示す閉位置から、一対の見込方向スライドパネル体20それぞれを見込方向移動機構5により見込方向Yの室外側に移動させることで図3に示す途中位置に移動させて、図3に示す途中位置から、一対の見付方向スライドパネル体30それぞれを見付方向移動機構16により見付方向の左右方向Xの外側に移動させることで、図4に示す開位置に移動させることができる。
また、スライディング窓1を開位置(図4参照)から閉位置(図1及び図2参照)に移動させる場合には、図4に示す開位置から、一対の見付方向スライドパネル体30それぞれを見付方向移動機構6により見付方向の左右方向Xの内側に移動させることで図3に示す途中位置に移動させて、図3に示す途中位置から、一対の見込方向スライドパネル体20それぞれを見込方向移動機構15により見込方向Yの室内側に移動させることで、図2に示す開位置に移動させることができる。
【0045】
次に、見込方向スライドパネル体21、22及び見付方向スライドパネル体31,32の構成の詳細について説明する。
【0046】
図2図4に示すように、一対の見込方向スライドパネル体21、22は、それぞれ、2枚のガラスパネル(室外側ガラスパネル211,221、室内側ガラスパネル213,223)を有する複層ガラス210,220により構成される。
また、一対の見付方向スライドパネル体31,32は、それぞれ、2枚のガラスパネル(室外側ガラスパネル311,321、室内側ガラスパネル313,323)を有する複層ガラス310,320により構成される。
【0047】
また、複層ガラス210,220,310,320は、図2図4に示すように、見付方向の左右方向Xの両側の外側において、それぞれ、一対のガラスパネル間スペーサ214,224,314,324を有する。また、一対の見込方向スライドパネル体21、22及び一対の見付方向スライドパネル体31,32は、補強材216,226,315,316,325,326と、緩衝材219,229,319a,319b,329a,329bと、を有する。
【0048】
ガラスパネル間スペーサ214,224,314,324は、それぞれ、一対の見込方向スライドパネル体21、22及び一対の見付方向スライドパネル体31,32の左右方向Xの端部側に配置される。ガラスパネル間スペーサ214,224,314,324は、それぞれ、見込方向Yにおいて、ガラスパネル(室外側ガラスパネル211,221,311,321、室内側ガラスパネル213,223,313,323)間に配置される。
【0049】
図2図4に示すように、補強材216,226,315,316,325,326は、突き当て部41,42,43に配置されるガラスパネル間スペーサ214,224,314,324の左右方向Xの外側に取り付けられ、補強材216,226,315,316,325,326は、直方体形状に形成される。
【0050】
補強材216,226,315,316,325,326は、それぞれ、室外側ガラスパネル211,221,311,321及び室内側ガラスパネル213,223,313,323の左右方向Xの突き当て部41,42,43側の端部において、突き当て部41,42,43において突き当てられた場合に見込方向Yに視た場合に重なるように、室内側又は室外側に配置されることで、それぞれが、段差状に形成される。
【0051】
補強材216,226,315,316,325,326は、突き当て部41,42,43において、見込方向スライドパネル体20が室外側から室内側に移動した場合に、突き当て部41において、見込方向スライドパネル体20の補強材216が見付方向スライドパネル体30の補強材315に押し当てられ、突き当て部43において、見込方向スライドパネル体20の補強材226が見付方向スライドパネル体30の補強材325に押し当てられる。
【0052】
本実施形態においては、図2に示すように、見込方向スライドパネル体21と見付方向スライドパネル体31とが突き当てられる突き当て部41においては、見込方向スライドパネル体21の端部に配置される補強材216が室外側に配置され、見付方向スライドパネル体31の端部に配置される補強材315が室内側に配置される。そのため、突き当て部41において、見込方向スライドパネル体21の補強材216が室外側に配置されると共に見付方向スライドパネル体31の補強材315が室内側に配置された状態で、補強材216及び補強材315は、見込方向Yに視た場合に重なるように配置される。これにより、見込方向スライドパネル体21が室外側から室内側に移動した場合に、見込方向スライドパネル体21の補強材216は、見付方向スライドパネル体31の補強材315に押し付けられる。
【0053】
また、見込方向スライドパネル体22と見付方向スライドパネル体32とが突き当てられる突き当て部43においては、見込方向スライドパネル体22の端部に配置される補強材226が室外側に配置され、見付方向スライドパネル体32の端部に配置される補強材325が室内側に配置される。そのため、突き当て部43において、見込方向スライドパネル体22の補強材226が室外側に配置されると共に見付方向スライドパネル体32の補強材325が室内側に配置された状態で、補強材226及び補強材325は、見込方向Yに視た場合に重なるように配置される。これにより、見込方向スライドパネル体22が室外側から室内側に移動した場合に、見込方向スライドパネル体22の補強材226は、見付方向スライドパネル体31の補強材325に押し付けられる。
【0054】
また、見付方向スライドパネル体31、32が突き当てられる突き当て部42においては、一方の見付方向スライドパネル体31の補強材316が室外側に配置され、他方の見付方向スライドパネル体32の補強材326が室内側に配置される。この状態で、突き当て部42においては、補強材316及び補強材326は、見込方向Yに視た場合に重なるように配置される。これにより、見付方向スライドパネル体31、32が見付方向の左右方向Xの内側に移動した場合に、見付方向スライドパネル体31の補強材316と見付方向スライドパネル体32の補強材326とが組み合わされる。
【0055】
ここで、見付方向スライドパネル体31,32が見付方向の左右方向Xの内側に移動する場合において、見付方向スライドパネル体31,32は、左右方向Xのみに移動可能であるため、見込方向Yに押し付けることができない。そこで、本実施形態においては、前述の通り、図1図7及び図8に示すように、下枠12の下方延出板129cの室内側の面には、位置規制ピース129dが取り付けられている。
【0056】
位置規制ピース129dは、図1に示すように、下枠12において、見付方向スライドパネル体31,32の突き当て部42側の端部側寄りに配置される。位置規制ピース129dは、図7に示すように、一対の見付方向スライドパネル体30を見付方向の左右方向Xの外側から内側に移動させる場合に、一対の見付方向スライドパネル体30の突き当て部42側において、見付方向移動戸車303(後述)の室外側の面に当接することで、見付方向移動戸車303(後述)の室外側の面の見込方向Yの移動を規制して、一対の見付方向スライドパネル体30を室内側に寄せることができる。
【0057】
また、一対の見込方向スライドパネル体21,22及び一対の見付方向スライドパネル体31,32は、図5図7に示すように、上端部及び下端部において、それぞれ、一対のガラスパネル間スペーサ231,331を有する。
【0058】
一対のガラスパネル間スペーサ231,331は、それぞれ、一対の見込方向スライドパネル体21、22及び一対の見付方向スライドパネル体31,32の上端側及び下端側において、ガラスパネル間に配置される。
【0059】
一対の見込方向スライドパネル体21,22は、図5に示すように、下端部において、第1下部移動支持体201に支持され、上端部において、第1上部支持部206に支持される。
一対の見付方向スライドパネル体31,32は、図7に示すように、下端部において、第2下部移動支持体301に支持され、上端部において、第2上部支持部306に支持される。
【0060】
見込方向スライドパネル体21、22の下端部及び上端部の支持構造について説明する。
第1下部移動支持体201は、図5に示すように、一対の見込方向スライドパネル体21、22それぞれの下部に配置され、一対の見込方向スライドパネル体21,22それぞれを見込方向Yに移動可能に支持する。第1下部移動支持体201は、気密材125bよりも下方に配置される。これにより、第1下部移動支持体201は、外部から視認されないため、意匠性を向上できる。第1下部移動支持体201の下部には、見込方向移動機構5が設けられている。一対の見込方向スライドパネル体21,22それぞれは、見込方向移動機構5(後述)により、見込方向Yに移動可能である。
【0061】
第1下部移動支持体201は、図5に示すように、第1支持平面板202と、見込方向移動戸車203と、を有する。第1支持平面板202は、見込方向Yに幅を有して左右方向Xに延びる板状に形成され、見込方向スライドパネル体21,22の下部に配置される。本実施形態においては、見込方向スライドパネル体21,22は、第1支持平面板202の上面に載置される。見込方向スライドパネル体21,22は、第1支持平面板202には固定されていないが、自重により、第1支持平面板202に対して移動しないように構成される。これにより、見込方向スライドパネル体21,22は、第1下部移動支持体201と一体で移動され、第1下部移動支持体201が移動することにより移動する。
【0062】
見込方向移動戸車203は、見込方向Yに移動可能に、第1支持平面板202の下面に取り付けられる。見込方向移動戸車203は、図5に示すように、スライディング窓1の左右方向Xの端部側において、見込方向Yに移動可能に、下枠12の内部において下枠本体121の上面に配置された戸車載置枠体120の戸車移動上面120aに載置される。見込方向移動戸車203は、取付枠体203aと、左右方向Xに延びる回転軸を中心に回転可能な円板状の一対の2つの車輪体203b(ローラ部材)と、を有する。
【0063】
本実施形態においては、例えば、見込方向移動戸車203は、スライディング窓1の左右方向Xに並べて複数配置される。具体的には、見込方向移動戸車203の一対の2つの車輪体203bを、径方向が見込方向Yに沿うように配置して、これを左右方向Xに平行に一対並べて1組の見込方向移動戸車203として構成し、複数組の見込方向移動戸車203が左右方向Xに並べられることで構成される。
【0064】
見込方向移動戸車203は、戸車載置枠体120の戸車移動上面120aに載置される範囲で、見込方向Yに移動可能である。具体的には、見込方向移動戸車203は、見込方向Yにおいて、室内側に移動する場合には、見込方向スライドパネル体20が気密材125bに当接する位置まで移動可能であり、室外側に移動する場合には、戸車載置枠体120の戸車移動上面120aにおける室外側の端部の手前の位置まで移動可能である。
【0065】
見込方向スライドパネル体21、22それぞれの下端部が配置される第1下部移動支持体201の第1支持平面板202は、図5に示すように、L字状金具204を介して、見込方向移動機構5に接続されている。第1下部移動支持体201の第1支持平面板202の上面には、見込方向スライドパネル体21,22が載置されている。
【0066】
第1上部支持部206は、図5に示すように、見込方向スライドパネル体21、22それぞれの上端部を支持する。第1上部支持部206は、コ字状金具207と、L字状支持金具208と、気密材209aと、押圧部材209bと、固定ネジ209cと、を有する。
【0067】
コ字状金具207は、図5に示すように、断面形状において下方が開放するコ字状に形成される。コ字状金具207の開放部分の見込方向Yの幅は、見込方向スライドパネル体21、22の見込方向Yの幅よりも大きく形成される。コ字状金具207は、見込方向スライドパネル体21、22の上端部を見込方向Yに挟むように配置される。コ字状金具207の上面には、L字状支持金具208の横板208aが溶接などにより接続される。
【0068】
L字状支持金具208の縦板208bは、下端部が横板208aの室外側の端部に接続され、上部が、見込方向移動機構5の見込方向移動部材58の立設板582(後述)に接続されている。L字状支持金具208の縦板208b又は見込方向移動機構5の立設板582は、いずれか一方が上下方向に延びるネジ固定用長孔(図示せず)を有し、L字状支持金具208の縦板208b側は、ネジ固定用長孔を介して、見込方向移動機構5の見込方向移動部材58の立設板582にネジ固定されている。L字状支持金具208の縦板208b又は見込方向移動機構5の立設板582のいずれか一方のネジ孔がネジ固定用長孔で構成されるため、L字状支持金具208の縦板208bと見込方向移動機構5の立設板582とのネジ固定について、ネジ固定用長孔の上下方向の位置を容易に調整できる。
【0069】
気密材209aは、コ字状金具207の室内側の縦片207bと見込方向スライドパネル体21、22の上端部の室内側の面との間に配置される。
押圧部材209bは、コ字状金具207よりも室外側において、見込方向スライドパネル体21、22の上端部の室外側の面に配置される。
【0070】
固定ネジ209cは、コ字状金具207の室外側の縦片207aのネジ孔に螺合した状態で貫通して配置され、見込方向Yのねじ込み位置を調整しながらネジ固定可能である。これにより、固定ネジ209cは、見付方向のねじ込み位置を調整しながら、押圧部材209dを見込方向スライドパネル体21、22の上端部の室外側の面に押圧した状態で、見込方向スライドパネル体21、22の上端部を固定できる。
【0071】
見付方向スライドパネル体31,32の下端部及び上端部の支持構造について説明する。
第2下部移動支持体301は、図7に示すように、一対の見付方向スライドパネル体31,32それぞれの下部に配置され、一対の見付方向スライドパネル体31,32それぞれを見付方向の左右方向Xに移動可能に支持する。第2下部移動支持体301は、気密材125bよりも下方に配置される。これにより、第2下部移動支持体301は、外部から視認されないため、意匠性を向上できる。第2下部移動支持体301の下部には、見付方向移動機構6が設けられている。一対の見付方向スライドパネル体31,32それぞれは、見付方向移動機構6(後述)により、左右方向Xに移動可能である。
【0072】
第2下部移動支持体301は、図7に示すように、第2支持平面板302と、見付方向移動戸車303と、を有する。第2支持平面板302は、見込方向Yに幅を有して左右方向Xに延びる板状に形成され、見付方向スライドパネル体31,32の下部に配置される。本実施形態においては、見付方向スライドパネル体31,32は、第2支持平面板302の上面に載置される。見付方向スライドパネル体31,32は、第2支持平面板302には固定されていないが、自重により第2支持平面板302に対して移動しないように構成される。これにより、見付方向スライドパネル体31,32は、第2下部移動支持体301と一体で移動され、第2下部移動支持体301が移動することにより移動する。
【0073】
見付方向移動戸車303は、見付方向の左右方向Xに移動可能に、第2支持平面板302の下面に取り付けられる。具体的には、見付方向移動戸車303は、見付方向の左右方向Xに移動可能に、スライディング窓1の中央側に位置する場合に、昇降蓋部材89の上面891aに載置され、スライディング窓1の端部側に位置する場合に、下枠12の内部において下枠本体121の上部に配置された戸車載置枠体120の戸車移動上面120a(図5及び図6参照)に載置される。見付方向移動戸車303は、取付枠体303aと、見込方向Yに延びる回転軸を中心に回転可能な円板状の一対の車輪体303b(ローラ部材)と、を有する。
【0074】
本実施形態においては、例えば、見付方向移動戸車303は、スライディング窓1の左右方向Xに並べて複数配置される。具体的には、見付方向移動戸車303の一対の車輪体303bを、径方向が左右方向Xに沿うように配置して、これを見込方向Yに平行に一対並べて1組の一対の見付方向移動戸車303として構成し、複数組の一対の見付方向移動戸車303が左右方向Xに並べられることで構成される。
【0075】
例えば、図9に示すように、見付方向移動戸車303の配置を適宜設定できる。図9は、見付方向移動戸車303の配置を示す図であって、(a)は第1配置例を示す図であり、(b)は第2配置例を示す図である。
例えば、3組の見付方向移動戸車303を配置する場合に、一対の見付方向スライドパネル体31,32の下部において、3組の見付方向移動戸車303を、図9(a)に示すように、第2支持平面板302の左右方向Xに一直線上に配置してもよいし、図9(b)に示すように、見込方向Yの一方側端部及び他方側端部に互い違いに、第2支持平面板302の左右方向Xに千鳥状に配置してもよい。なお、見付方向移動戸車303の組数は3組に限定されず、例えば、2組又は4組以上でもよい。
【0076】
第2上部支持部306は、図7に示すように、見付方向スライドパネル体31,32それぞれの上端部を支持する。第2上部支持部306は、クランク状接続金具307を有する。
【0077】
クランク状接続金具307は、下部上下延在片307aと、連結水平片307bと、上部上下延在片307cと、を有する。
下部上下延在片307aは、見付方向スライドパネル体31,32の上端部の室外側の面に沿って上下方向に延びて配置される。
連結水平片307bは、下部上下延在片307aの上端部に接続され、下部上下延在片307aの上端部から、見付方向スライドパネル体31,32の上面に沿って見込方向Yの室内側に延びて配置される。
上部上下延在片307cは、連結水平片307bの室内側の端部に接続され、連結水平片307bの室内側の端部から上方に延びる。
【0078】
以上のように構成されるクランク状接続金具307においては、下部上下延在片307a及び連結水平片307bが、見付方向スライドパネル体31,32の上端部に接続されている。クランク状接続金具307の上部上下延在片307cの上部が、見付方向移動機構6の連結部材64(後述)に接続されている。
【0079】
クランク状接続金具307の上部上下延在片307c又は見付方向移動機構6の連結部材64は、いずれか一方が上下方向に延びるネジ固定用長孔(図示せず)を有し、Lクランク状接続金具307の上部上下延在片307cは、ネジ固定用長孔を介して、見付方向移動機構6の連結部材64にネジ固定されている。クランク状接続金具307の上部上下延在片307c又は見付方向移動機構6の連結部材64のいずれか一方のネジ孔がネジ固定用長孔で構成されるため、クランク状接続金具307の上部上下延在片307cと見付方向移動機構6の連結部材64とのネジ固定について、ネジ固定用長孔において上下方向の位置を容易に調整できる。
【0080】
次に、見込方向移動機構5について説明する。図10Aは、見込方向移動機構5を示す斜視図であって、見込方向スライドパネル体21,22が室内側位置に位置した状態を示す斜視図である。図10Bは、見込方向移動機構5を示す斜視図であって、見込方向スライドパネル体21,22が室外側位置に位置した状態を示す斜視図である。
【0081】
見込方向移動機構5は、見込方向スライドパネル体21,22を、図5に示す室内側位置(図2図10A参照)又は図5に示す位置から室外側に移動させた室外側位置(図3図10B参照)に移動させることができる。見込方向移動機構5は、図1に示すように、見込方向スライドパネル体21,22の4つの外周側縁部に連結され、見込方向スライドパネル体21,22の4つの外周側縁部を、見付方向に移動させることが可能である。これにより、見込方向移動機構5は、見込方向スライドパネル体21,22の4つの外周側縁部それぞれを見込方向Yに移動させることで、見込方向スライドパネル体21,22を見込方向Yのみに移動させることができる。
【0082】
見込方向スライドパネル体21,22の4つの外周側縁部について説明する。
本実施形態においては、見込方向スライドパネル体21,22の外周側縁部とは、見込方向スライドパネル体21,22の面方向の外側の端部と、見込方向スライドパネル体21,22の面方向の端部における小口面と、を含んだ部分の周辺の部分を意味する。本実施形態においては、見込方向スライドパネル体21,22の面方向の外側の端部は、見込方向スライドパネル体21,22の上下方向の上端部又は下端部である。また、見込方向スライドパネル体21,22の面方向の端部における小口面は、見込方向スライドパネル体21,22の上下方向の端部における上方側を向く端面又は下方側を向く端面であって、上端部においては上面であり、下端部においては下面である。
【0083】
本実施形態においては、図5に示すように、見込方向スライドパネル体21,22の上方側の外周側縁部は、第1上部支持部206を介して、見込方向移動機構5に連結されている。詳細には、見込方向スライドパネル体21,22の上方側の外周側縁部は、見込方向スライドパネル体21,22の面方向(本実施形態においては上下方向)の外側の端部において、第1上部支持部206のコ字状金具207に見込方向Yに挟みこまれた状態で、固定ネジ209cにより、押圧部材209dを見込方向スライドパネル体21、22の上端部の室外側の面に押圧されることで固定されている。第1上部支持部206は、見込方向移動機構5に連結されている。
【0084】
また、図5に示すように、見込方向スライドパネル体21,22の下方側の外周側縁部は、第1下部移動支持体201を介して、見込方向移動機構5に連結されている。詳細には、見込方向スライドパネル体21,22の下方側の外周側縁部は、見込方向スライドパネル体21,22の下端部の下面において、第1下部移動支持体201の第1支持平面板202に固定されている。第1下部移動支持体201の第1支持平面板202は、L字状金具204を介して、見込方向移動機構5に連結されている。
【0085】
なお、見込方向移動機構5は、見込方向スライドパネル体21,22の4つの外周側縁部に連結されており、上方側及び下方側において、上下の向きが異なる以外は同様の構成を有する。そのため、下方側に配置される見込方向移動機構5について説明する。
【0086】
見込方向移動機構5は、図5及び図10Aに示すように、ベース板51と、モータ52(駆動部)と、取付部材53と、回動軸部54と、見付方向移動部材55と、見付方向ガイドレール56と、回動部材57と、見込方向移動部材58と、見込方向ガイドレール59と、を備える。
【0087】
ベース板51は、長方形の板状に形成される。
モータ52は、ベース板51におけるスライディング窓1の左右方向Xの一方側に配置される端部立設板511に取り付けられる。
回動軸部54は、モータ52の回転軸に接続され、左右方向Xに延びる。本実施形態においては、回動軸部54は、例えば、ボールねじ機構により構成される。
【0088】
見付方向移動部材55は、回動軸部54の途中に取り付けられ、回動軸部54の回動に伴って回動軸部54に沿ってベース板51の左右方向Xに移動する。見付方向移動部材55は、移動部材本体551と、移動部材本体の左右方向Xの一方側に接続されるガイド部材552と、を有する。移動部材本体551は、上面から上下方向に延びて形成され見込方向Yに延びる長穴状の見込方向長孔開口551aを有する。見込方向長孔開口551aには、回動部材57の下部突起573(後述)が挿入される。
【0089】
見付方向ガイドレール56は、回動軸部54に平行に配置され、見付方向の左右方向Xに延びる。見付方向ガイドレール56には、見付方向移動部材55のガイド部材552の下部が、左右方向Xに移動可能に連結される。見付方向ガイドレール56は、見付方向移動部材55の左右方向Xへの移動をガイドする。
【0090】
回動部材57は、回動部材本体571と、回動軸572と、下部突起573と、上部突起574と、を有する。回動部材本体571は、ベース板51に対して平行に配置され平面視で略三角形状の板材により形成される。回動部材本体571の上面は平面状に形成される。回動軸572、下部突起573及び上部突起574は、回動部材本体571の略三角形状の各頂点の内側付近に配置される。
【0091】
回動軸572は、回動部材本体571の略三角形状の頂点のうち、見付方向ガイドレール56よりも室内側に配置される頂点付近を支持して上下方向に延びる。回動軸572の下端部は、ベース板51の上面に接続される。回動軸572は、見付方向ガイドレール56よりも室内側に配置される。回動部材57は、回動軸572を中心に回動する。
【0092】
下部突起573は、回動部材本体571の略三角形状の頂点のうち、見付方向移動部材55側の頂点付近において、回動部材本体571の下面から下方に突出する。下部突起573は、見付方向移動部材55の移動部材本体551の見込方向に延びる見込方向長孔開口551aに挿入される。そのため、下部突起573は、移動部材本体551の見込方向長孔開口551aに沿って移動可能である。
【0093】
上部突起574は、回動部材本体571の略三角形状の頂点のうち、見込方向移動部材58側の頂点付近において、回動部材本体571の上面から上方に突出する。上部突起574は、見込方向移動部材58のスライド平面板581の見付方向の左右方向Xに延びる見付方向長孔開口581a(後述)に挿入される。そのため、上部突起574は、スライド平面板581の見付方向長孔開口581aに沿って移動可能である。
【0094】
見込方向移動部材58は、図10A及び図10Bに示すように、回動部材57の回動に伴って見込方向Yに移動する。見込方向移動部材58は、スライド平面板581が見込方向Yに移動した場合に、下面に固定されたガイド部材583が見込方向ガイドレール59に沿って移動することで、見込方向Yに移動可能に構成される。
【0095】
見込方向移動部材58は、断面形状がL字状に形成される。見込方向移動部材58は、長方形状の板材により形成されるスライド平面板581と、スライド平面板581の見込方向Yの室外側の端部から立設される立設板582と、を有する。
【0096】
スライド平面板581は、水平方向に延びる平板状に形成され、下面が平面状に形成される。スライド平面板581は、回動部材本体571の上面に載置され、回動部材57が回動軸572を中心に回動した場合に、面接触で接触した状態で見込方向Yに移動する。スライド平面板581は、回動部材57には鋭利な縁部も形成されておらず、回動部材57の上面を回動部材57の辺に引っ掛からずにスムーズに移動できる。
【0097】
スライド平面板581は、図10Aに示すように、上面から上下方向に延びて形成され見込方向Yに延びる見付方向長孔開口581aを有する。見付方向長孔開口581aには、回動部材57の上部突起574が挿入される。
【0098】
図5に示すように、上方側に配置される見込方向移動部材58において、立設板582は、見込方向スライドパネル体21,22の上端部を支持する第1上部支持部206のL字状支持金具208に接続されている。また、下方側に配置される見込方向移動部材58において、立設板582は、見込方向スライドパネル体21,22の下端部が配置される第1下部移動支持体201の第1支持平面板202に、L字状金具204を介して接続されている。
【0099】
また、上方側に配置される複数の見込方向移動機構5における見付方向移動機構6の回転ベルト63(後述)が配置される範囲において、図11に示すように、見込方向移動部材58のスライド平面板581の室内側の先端58aは、見付方向移動機構6の回転ベルト63の円環状の部分の内側に出入りするように、見込方向Yに移動される。そのため、見込方向移動部材58のスライド平面板581の室内側の先端58aは、回転ベルト63の移動を避けて移動できるように配置される。これにより、回転ベルト63の円環状の部分の内側のスペースを有効的に活用できるため、スライディング窓1の省スペース化に寄与する。
【0100】
以上のように構成される見込方向移動機構5は、見込方向スライドパネル体21,22を見込方向Yに移動させる場合に、図10A又は図10Bにおいて、モータ52を駆動することで、回動軸部54を回転させる。これにより、見付方向移動部材55は、見付方向ガイドレール56にガイドされながら左右方向Xに移動される。そして、見付方向移動部材55の移動に伴って、見付方向移動部材55の見込方向長孔開口551aに挿入された回動部材57の下部突起573が、見付方向移動部材55の見込方向長孔開口551aに沿って移動して、回動部材57を、回動軸部54を中心に回動させる。回動部材57が回動軸部54を中心に回動することで、回動部材57の上部突起574は、見付方向長孔開口581aに沿って移動して、見込方向移動部材58を、見込方向Yに移動させる。そして、見込方向移動部材58を見込方向Yに移動させることで、見込方向スライドパネル体21,22を見込方向Yに移動させることができる。
【0101】
従って、見込方向移動機構5は、見込方向移動機構5に接続された見込方向スライドパネル体21,22を、モータ52の駆動により、枠体10(上枠11、下枠12)内において、見込方向Yに移動させることができ、図5に示す室内側位置(図2参照)又は図5に示す位置から室外側に移動させた室外側位置(図3参照)に移動させることができる。
ここで、見込方向移動機構5は、見込方向スライドパネル体21,22の4つの外周側縁部に連結されているため、見込方向スライドパネル体21,22の4つの外周側縁部の4箇所で支持して、見込方向スライドパネル体21,22を安定して確実に見込方向Yに移動させることができる。
【0102】
次に、見付方向移動機構6について説明する。
見付方向移動機構6は、見付方向スライドパネル体31,32を見付方向に移動させることが可能である。見付方向移動機構6は、見付方向スライドパネル体31,32それぞれの上方側に配置され、図7及び図11に示すように、上枠11に配置される。
また、下枠12には、見付方向移動機構6により見付方向の左右方向Xに移動される見付方向スライドパネル体31,32の移動をガイドする見付方向ガイド機構66が設けられる。
【0103】
見付方向移動機構6は、図7及び図11に示すように、一対のモータ61と、一対のプーリ62と、一対のプーリ62に掛け渡される回転ベルト63と、連結部材64と、振れ止め機構部65(図7参照)と、を備える。
【0104】
モータ61は、プーリ62を回転駆動する。プーリ62は、図11に示すように、見付方向スライドパネル体31,32の上方側において、左右方向Xに離間して配置され、モータ61の駆動により、見込方向Yに延びる回転軸を中心に回転する。
回転ベルト63は、無端ベルトにより環状に形成され、左右方向Xに離間して配置される一対のプーリ62に掛け渡される。回転ベルト63は、プーリ62が回転することで回転する。
【0105】
連結部材64は、回転ベルト63の下方側の部分に連結され、図7に示すように、見付方向スライドパネル体31,32の上端部に接続されたクランク状接続金具307と回転ベルト63とを連結する。回転ベルト63を回転させて連結部材64を左右方向Xに移動させることで、見付方向スライドパネル体31,32は、左右方向Xに移動される。
【0106】
振れ止め機構部65は、見付方向スライドパネル体31,32の見込方向Yの振れを低減する。振れ止め機構部65は、図7に示すように、振れ止めレール枠651と、ローラ部材653と、ローラ支持部材652と、を有する。
【0107】
振れ止めレール枠651は、断面形状が上方に向けて開放したコ字状に形成され、回転ベルト63が配置される左右方向Xの範囲において、見付方向の左右方向Xに延びる。
【0108】
ローラ部材653は、径方向が略水平になるように配置された円板状のローラ部材により形成される。ローラ部材653は、振れ止めレール枠651の内部に配置され、ローラ部材653の径は、振れ止めレール枠651の幅と同程度の大きさに形成される。ローラ部材653は、上下方向に延びる回転軸を中心に回転可能に、ローラ支持部材652の下面に取り付けられる。
【0109】
ローラ支持部材652は、断面形状がL字状に形成され、ローラ部材653を支持すると共に、連結部材64に接続される。ローラ支持部材652は、見付方向スライドパネル体31,32及び連結部材64が見付方向の左右方向Xに移動された場合に、連結部材64が左右方向Xへ移動されるのと同時に、見付方向の左右方向Xに移動する。
【0110】
また、見付方向ガイド機構66は、図7に示すように、下枠12に設けられる。見付方向ガイド機構66は、見付方向スライドパネル体31,32が左右方向Xに移動される場合に、見込方向Yの室外側への移動が規制されるように、見付方向スライドパネル体31,32の左右方向Xの移動をガイドする。
【0111】
下枠12には、下枠12の内部の室内側の端部における下枠本体121の上部において、中空の内部枠体126aが形成される。内部枠体126aの上面126bの室外側の端部には、上方に突出する突出片126cが形成される。
見付方向ガイド機構66は、図7に示すように、下枠12の突出片126cにより構成されるガイド突出片661と、ガイドローラ部材662と、ガイドローラ支持部材663と、を有する。
【0112】
ガイド突出片661は、図6及び図7に示すように、下枠本体121の内部枠体126aから上方向に延びて形成される。ガイド突出片661は、見付方向スライドパネル体31,32が移動される下枠12の左右方向Xの全域に形成される。
【0113】
ガイドローラ部材662は、径方向が略水平になるように配置された円板状のローラ部材により形成される。ガイドローラ部材662は、ガイド突出片661の室内側の面に当接して配置される。ガイドローラ部材662は、上下方向に延びる回転軸662aを中心に回転可能に、ガイドローラ支持部材663の下面に取り付けられる。
【0114】
ガイドローラ支持部材663は、断面形状がL字状に形成され、一方側においてガイドローラ部材662を支持すると共に、他方側において第2下部移動支持体301の見付方向移動戸車303の室内側の側面に接続される。ガイドローラ支持部材663は、見付方向スライドパネル体31,32及び第2下部移動支持体301が見付方向の左右方向Xに移動された場合に、第2下部移動支持体301が左右方向Xへ移動されるのと同時に、見付方向の左右方向Xに移動する。
【0115】
以上のように構成される見付方向移動機構6は、モータ61によりプーリ62が回転されることで、回転ベルト63が回転される。これにより、見付方向移動機構6は、連結部材64を介して、見付方向スライドパネル体31,32を左右方向Xに移動させることができる。
また、振れ止め機構部65は、ローラ部材653が振れ止めレール枠651にガイドされて移動することで、見付方向スライドパネル体31,32を左右方向Xに移動させる際に、スライディング窓1の左右方向Xの中央側において、見込方向Yの振れを低減させることができる。
また、見付方向ガイド機構66は、図7に示すように、下枠12の左右方向Xの中央側において、見付方向スライドパネル体31,32を見込方向Yの室外側への移動を規制しながら左右方向Xへの移動をガイドさせることができ、図12(d)に示すように、下枠12の左右方向Xの端部側において、見付方向スライドパネル体31,32を見込方向Yの室外側への移動を規制しながら左右方向Xへの移動をガイドさせることができる。
【0116】
次に、端部側蓋部開閉機構7について説明する。図12は、下枠室外側開閉蓋部128の開閉動作を示す図である。図13は、上枠室外側開閉蓋部118の開閉動作を示す図である。
【0117】
端部側蓋部開閉機構7は、図6に示すように、下枠12に配置される下側蓋部開閉機構71と、上枠11に配置される上側蓋部開閉機構72と、を有する。下側蓋部開閉機構71は、見込方向移動機構5により見込方向スライドパネル体21,22が見込方向Yに移動された場合に、下枠隙間S2を覆うように、下枠室外側開閉蓋部128により下枠12の下枠上方開口部127の室外側の部分を開閉する。上側蓋部開閉機構72は、見込方向移動機構5により見込方向スライドパネル体21,22が見込方向Yに移動された場合に、上枠室外側開閉蓋部118により上枠11の上枠下方開口部117の室外側の部分を開閉する。
【0118】
本実施形態においては、端部側蓋部開閉機構7(下側蓋部開閉機構71、上側蓋部開閉機構72)は、見込方向移動機構5のモータ52の駆動により見込方向スライドパネル体21,22を見込方向Yに移動させた場合に、下枠室外側開閉蓋部128及び上枠室外側開閉蓋部118の開閉動作を行うように構成されている。しかし、これに限定されず、モータ等の駆動部を有さなくても、例えば、見込方向スライドパネル体21,22を手動で移動させることによって、下枠室外側開閉蓋部128及び上枠室外側開閉蓋部118を開閉させることが可能である。
【0119】
下側蓋部開閉機構71について説明する。下側蓋部開閉機構71は、図6に示すように下枠12に配置され、下枠室外側開閉蓋部128と、下側開閉回動部材711(回動部材)と、下側連結係止部材712と、下側回動規制部713と、を備える。下枠室外側開閉蓋部128は、第1戸体200に備えらえている。
【0120】
下側連結係止部材712は、第1下部移動支持体201(見込方向移動戸車203)に連結されると共に、下枠室外側開閉蓋部128の閉止位置において下側開閉回動部材711を係止する。下枠室外側開閉蓋部128は、第1戸体200の第1下部移動支持体201を介して、第1戸体200の見込方向移動戸車203に取り付けられている。下側連結係止部材712は、クランク状の下側連結部材712aと、L字状の下側係止部材712bと、下側連結部材712aに接続される突出片712cと、を有する。
【0121】
下側連結部材712aは、一端側が、第1下部移動支持体201(見込方向移動戸車203)に接続され、他端側が、下側係止部材712b及び突出片712cに接続される。下側係止部材712bは、L字状に形成され、下枠室外側開閉蓋部128の閉止位置において、下側開閉回動部材711の係止ローラ711z(後述)を係止する。
【0122】
下側開閉回動部材711は、下枠12の内部側において下枠室外側開閉蓋部128を回動可能に支持する。下側開閉回動部材711は、クランク状に形成され、下枠室外側開閉蓋部128の閉止位置において、枠体10の内部に配置される中間片711aと、中間片711aの室外側において下枠室外側開閉蓋部128側であって枠体10の下枠上方開口部127側に延出する第1延出片711bと、中間片711aの室内側において枠体10の下枠本体121側に延出する第2延出片711cと、を有する。
【0123】
下側開閉回動部材711は、上下方向において、第2延出片711cの中間片711aと反対側の端部側に設けられる回動軸711xを有する。回動軸711xは、下枠12に固定された固定部材121pに回動可能に接続される。第1延出片711bの下枠室外側開閉蓋部128側の端部には、支持ローラ711yが配置される。中間片711aの室内側には、係止ローラ711zが配置されている。
【0124】
支持ローラ711yは、下枠室外側開閉蓋部128における下枠12の内部側の裏面(下面)を支持しながら、回転する。
係止ローラ711zは、下枠室外側開閉蓋部128の閉止位置において、L字状の下側係止部材712bの室内側に配置され、L字状の下側係止部材712bに係止される。
【0125】
下側開閉回動部材711は、第2延出片711cの端部側の回動軸711xを中心に回動可能である。下側開閉回動部材711は、自重により、回動軸711xを中心に室外側に倒れる側に回動するような重量バランスにより構成される。
下側開閉回動部材711は、下側回動規制部713(後述)による規制が解除されると共に下側係止部材712bによる係止ローラ711zへの係止の力が作用しなくなることで、自重により、回動軸711xを中心に、室外側に倒れる側に回動する。
【0126】
下枠室外側開閉蓋部128は、下側連結係止部材712の突出片712cに回動可能に取り付けられる。下枠室外側開閉蓋部128の下枠12の内部側の裏面(下面)は、下側開閉回動部材711の支持ローラ711yに支持される。
【0127】
下側回動規制部713は、駆動部713aと、規制棒状部713b(ロック部)と、を有する。
規制棒状部713bは、例えば、駆動部733aに内蔵されるソレノイドの動作により進退可能に構成され、下側開閉回動部材711の下枠12の内部側への回動を規制して下枠室外側開閉蓋部128の移動を規制するロック状態(図12(a)参照)と、規制棒状部713bを退避させることで、下側開閉回動部材711の回転を規制しないで下枠室外側開閉蓋部128のロック状態を解除するロック解除状態と、に変更可能に移動される。
【0128】
以上のように構成される下側蓋部開閉機構71について、下枠室外側開閉蓋部128の開閉動作について説明する。
まず、図12(a)に示すように、下側開閉回動部材711は、閉止位置に位置する場合には、下側回動規制部713の規制棒状部713bに規制されたロック状態で維持されている。この状態から、規制棒状部713bによる規制を解除する。そして、規制棒状部713bによる規制を解除したロック解除状態で、見込方向スライドパネル体21,22を見込方向Yの室内側から室外側に移動させる。これにより、規制棒状部713bのロック状態が解除され且つ下側係止部材712bによる係止ローラ711zへの係止の力が作用しなくなるため、図12(b)に示すように、下側開閉回動部材711は、自重により、回動軸711xを中心に室外側に倒れる側に回動して、下枠室外側開閉蓋部128の室外側の部分が下になるように傾く。
【0129】
続けて、見込方向スライドパネル体21,22を見込方向Yの室内側から室外側に更に移動させることで、図12(c)に示すように、下側開閉回動部材711の回動が停止する。見込方向スライドパネル体21,22を更に見込方向Yの室内側から室外側に移動させると、図12(d)に示すように、下枠室外側開閉蓋部128が突出片712cに取り付けられた部分を中心に回動して、下枠12の内部における室外側の端部に、下枠室外側開閉蓋部128が収容される。このようにして、下枠室外側開閉蓋部128を閉止位置から開放位置に移動させることができる。その後、更に、図12(d)に示すように、見付方向スライドパネル体31,32を、見付方向の左右方向Xの端部側に移動させる。これにより、スライディング窓1を開位置(図4)に移動させることができる。
【0130】
また、下枠室外側開閉蓋部128を開放位置から閉止位置に移動する場合には、見込方向スライドパネル体21,22を見込方向Yの室外側から室内側に移動させることで、閉止位置から開放位置に移動する場合の逆の動作により、下枠室外側開閉蓋部128を開放位置から閉止位置に移動させることができる。
【0131】
上側蓋部開閉機構72について説明する。
上側蓋部開閉機構72の説明において、下側蓋部開閉機構71と異なる点について主に説明する。上側蓋部開閉機構72は、下側蓋部開閉機構71と比較して、上枠室外側開閉蓋部118を開閉する点と、バネ部材724が配置される点において、下側蓋部開閉機構71と主に異なる。また、下側蓋部開閉機構71が下枠12に配置されて固定部材121pに回動可能に接続されるのに対して、上側蓋部開閉機構72は、上枠11に配置されて固定部材111pに回動可能に接続される。
【0132】
上側蓋部開閉機構72は、図6に示すように、上枠11に配置され、上枠室外側開閉蓋部118と、上側開閉回動部材721(回動部材)と、上側連結係止部材722と、上側回動規制部723(規制部材)と、バネ部材724と、を備える。上枠室外側開閉蓋部118は、第1戸体200に備えらえている。
【0133】
ここで、上側蓋部開閉機構72の「上枠室外側開閉蓋部118」、「上側開閉回動部材721」、「中間片721a」、「第1延出片721b」、「第2延出片721c」、「回動軸721x」、「支持ローラ721y」、「係止ローラ721z」、「上側連結係止部材722」、「上側連結部材722a」、「上側係止部材722b」、「突出片722c」、「上側回動規制部723」、「駆動部723a」、「規制棒状部723b」は、前述した下側蓋部開閉機構71の「下枠室外側開閉蓋部128」、「下側開閉回動部材711」、「下側開閉回動部材711」、「中間片711a」、「第1延出片711b」、「第2延出片711c」、「回動軸711x」、「支持ローラ711y」、「係止ローラ711z」、「下側連結部材712a」、「下側係止部材712b」、「突出片712c」、「下側回動規制部713」、「駆動部713a」、「規制棒状部713b」に相当する。そのため、上側蓋部開閉機構72において説明しない点については、下側蓋部開閉機構71の説明を援用できる。
【0134】
図6に示すように、上側蓋部開閉機構72においては、下側蓋部開閉機構71と異なり、バネ部材724が、上側開閉回動部材721と上枠11に固定された固定部材111pとの間に配置されている。これにより、上側開閉回動部材721は、バネ部材724により、上枠室外側開閉蓋部118が開く側に付勢されている。
また、上枠室外側開閉蓋部118は、上側連結係止部材722を介して、見込方向スライドパネル体21,22の上端部に接続されている。
【0135】
以上のように構成される上側蓋部開閉機構72について、上枠室外側開閉蓋部118の開閉動作について説明する。
まず、図13(a)に示すように、上側開閉回動部材721は、閉止位置に位置する場合には、上側回動規制部723の規制棒状部723bに規制されたロック状態で維持されている。この状態から、規制棒状部723bによる規制を解除する。そして、規制棒状部723bによる規制を解除したロック解除状態で、見込方向スライドパネル体21,22を見込方向Yの室内側から室外側に移動させる。これにより、規制棒状部723bのロック状態が解除され且つ上側係止部材722bによる係止ローラ721zへの係止の力が作用しなくなるため、図13(b)に示すように、上側開閉回動部材721は、バネ部材724の付勢力により、回動軸721xを中心に室外側に倒れる側に回動して、上枠室外側開閉蓋部118の室外側の部分が上になるように傾く。
【0136】
続けて、見込方向スライドパネル体21,22を見込方向Yの室内側から室外側に更に移動させることで、図13(c)に示すように、上側開閉回動部材721の回動が停止する。見込方向スライドパネル体21,22を更に見込方向Yの室内側から室外側に移動させると、図13(d)に示すように、上枠室外側開閉蓋部118が突出片722cに取り付けられた部分を中心に回動して、上枠11の内部における室外側の端部に、上枠室外側開閉蓋部118が収容される。このようにして、上枠室外側開閉蓋部118を閉止位置から開放位置に移動させることができる。
【0137】
また、上枠室外側開閉蓋部118を開放位置から閉止位置に移動する場合には、見込方向スライドパネル体21,22を見込方向Yの室外側から室内側に移動させることで、閉止位置から開放位置に移動する場合の逆の動作により、上枠室外側開閉蓋部118を開放位置から閉止位置に移動させることができる。
【0138】
以上のように構成される端部側蓋部開閉機構7(下側蓋部開閉機構71、上側蓋部開閉機構72)は、見込方向スライドパネル体20を見込方向Yに移動させることで、上枠隙間S1又は下枠隙間S2を塞ぐように、上枠室外側開閉蓋部118又は下枠室外側開閉蓋部128を開閉して、見込方向スライドパネル体20が見込方向Yに移動した後の枠体10の溝部分の上枠隙間S1又は下枠隙間S2を、上枠室外側開閉蓋部118又は下枠室外側開閉蓋部128により容易に塞ぐことができる。また、下側開閉回動部材711又は上側開閉回動部材721を回動させるだけで、上枠室外側開閉蓋部118又は下枠室外側開閉蓋部128を容易に開閉できる。
また、モータ52の駆動により見込方向スライドパネル体20を見込方向Yに移動させることで、上枠室外側開閉蓋部118又は下枠室外側開閉蓋部128を容易に開閉できる。
【0139】
また、端部側蓋部開閉機構7(下側蓋部開閉機構71、上側蓋部開閉機構72)において、閉止位置に位置する場合には、見込方向スライドパネル体21,22を見込方向Yに移動できないため、防犯の機能を備えることができる。
【0140】
具体的には、下側回動規制部713や上側回動規制部723により、上枠室外側開閉蓋部118及び下枠室外側開閉蓋部128の開閉動作が、規制棒状部713b又は規制棒状部723bに規制されたロック状態においては、下枠室外側開閉蓋部128及び上枠室外側開閉蓋部118を閉止位置から開放位置に移動できないため、見込方向スライドパネル体21,22を見付方向に移動できず、スライディング窓1を閉位置から開位置に移動することができない。
【0141】
また、本実施形態においては、見込方向移動機構5のモータ52(ロック部)として、停電時に、ブレーキが掛かりロックされるものを使用している。モータ52は、下枠室外側開閉蓋部128又は上枠室外側開閉蓋部118の移動を規制するロック状態と、下枠室外側開閉蓋部128又は上枠室外側開閉蓋部118のロック状態を解除するロック解除状態と、に変更可能である。これにより、停電時には、モータ52のブレーキが作用してロック状態となり、見込方向スライドパネル体21,22は、見込方向Yへの移動ができないため、下枠室外側開閉蓋部128及び上枠室外側開閉蓋部118を開放位置に移動できず、スライディング窓1を閉位置から開位置に移動することができない。なお、コスト低減の観点から、モータとして、停電時にブレーキが掛からないものを使用してもよい。
【0142】
このように、本実施形態のスライディング窓1の閉位置においては、下側回動規制部713の規制棒状部713b又は上側回動規制部723の規制棒状部723bの規制や、モータ52のブレーキによる規制により、上枠室外側開閉蓋部118又は下枠室外側開閉蓋部128がロックされて閉位置から開位置に移動することが規制されるため、スライディング窓1を開けることができない。そのため、室外から室内への侵入を抑制できる。よって、本実施形態のスライディング窓1は、防犯の機能を備える。
【0143】
また、下側回動規制部713の規制棒状部713b又は上側回動規制部723の規制棒状部723bにより、上枠室外側開閉蓋部118及び下枠室外側開閉蓋部128の開閉がロックされているため、見込方向スライドパネル体21,22の耐風圧を向上させることができる。
【0144】
以上の見込方向移動機構5によれば、下側開閉回動部材711又は上側開閉回動部材721の回動をロック状態とすることで、上枠室外側開閉蓋部118又は下枠室外側開閉蓋部128の閉止位置を保持できる。これにより、防犯の機能を備える。また、耐風圧を向上できる。
【0145】
中央部側蓋部昇降機構8について説明する。図14Aは、中央部側蓋部昇降機構8を示す斜視図であって、下降位置に位置した状態を示す図である。図14Bは、中央部側蓋部昇降機構8を示す斜視図であって、上昇位置に位置した状態を示す図である。
中央部側蓋部昇降機構8は、図1に示すように、スライディング窓1の閉位置におけるスライディング窓1の左右方向Xの中央側において、見付方向スライドパネル体31,32の下部に配置される下枠12に設けられる。
【0146】
中央部側蓋部昇降機構8は、見付方向スライドパネル体31,32が端部に移動した後に、図7に示す下降位置(図14A参照)から、図8に示す上昇位置(図14B参照)に移動されることで、下枠12の左右方向Xの中央側の下枠上方開口部127の室内側の部分の溝部Mにおいて、昇降蓋部材89により塞ぐように昇降することが可能である。溝部Mは、見付方向スライドパネル体31,32の下端部を収容可能である。昇降蓋部材89は、溝部Mの上端部と同一面まで上昇して、溝部Mを覆うことが可能である。これにより、下枠12の下枠上方開口部127の溝部Mを、昇降蓋部材89の上面891aにより塞ぐことで、バリアフリーを実現する。
【0147】
中央部側蓋部昇降機構8は、図14A及び図14Bに示すように、モータ側ベース部材81と、回転軸83(駆動軸)を有するモータ82(昇降駆動部)と、左右方向Xに移動可能な移動部材84と、ガイドレール85と、クロスアーム86と、モータ側ベース部材81の室内側に接続されるクロスアーム収容ベース枠87と、クロスアーム移動枠88と、昇降蓋部材89(蓋部材)(図7及び図8参照)と、を備える。本実施形態の中央部側蓋部昇降機構8は、モータ82とクロスアーム86とが一直線上に配置されるモータストレート式で構成される。
【0148】
モータ側ベース部材81は、図7図8図14A及び図14Bに示すように、下枠12における内側を向く面に載置されるモータ側ベース板811と、モータ側屈曲片812と、を有する。
【0149】
モータ側ベース板811は、左右方向Xに延びる。
モータ82は、モータ側ベース部材81の他端部に接続される。
回転軸83は、モータ側ベース部材81の上部に配置され、下枠12の長手方向に沿って延びる。回転軸83は、モータ82の軸から、左右方向Xの一方側に延びて形成される。回転軸83の左右方向Xの途中には、移動部材84が取り付けられている。回転軸83は、モータ82の駆動により動作されて、移動部材84を左右方向Xに移動させる。回転軸83は、移動部材84(後述)を介して、クロスアーム86における下枠12に沿った長手方向の端部に接続され、昇降蓋部材89を昇降させるために回転駆動されるボールねじ機構(ねじ機構)により構成される。
【0150】
モータ側屈曲片812aは、モータ側ベース板811の左右方向Xの両端部において、断面L字状に形成され、見込方向Yの両端部から立ち上がって見込方向Yの外側に屈曲して見込方向Yに略水平に突出する。室内側に配置されるモータ側屈曲片812aの上面は、枠側立ち上がり屈曲片121a(リブ)の上面に重ねられた状態で、上方側から移動されるネジ812bによりネジ固定される。枠側立ち上がり屈曲片121aは、断面L字状に形成され、下枠12における枠体10の内側を向く面から下枠12の内側(本実施形態においては、上側)に突出すると共に、突出した部分の先端から見込方向Yの外側に突出して形成され、中央部側蓋部昇降機構8を下枠12に取り付けるためのリブである。
【0151】
これにより、モータ側屈曲片812aを下枠12の枠側立ち上がり屈曲片121aにネジ固定すればよく、作業性を向上できる。モータ側屈曲片812aの上面は、枠側立ち上がり屈曲片121aの上面(リブ)に重ねられた状態で、上方側から移動されるネジ812bによりネジ固定されるため、固定箇所へのアクセスが容易であり、施工性が良好である。また、下枠12に中央部側蓋部昇降機構8を取り付けるためのネジ孔を形成しなくてよいため、水密性能を向上できる。なお、枠側立ち上がり屈曲片121aに沿って水が流れる可能性があるため、下枠12の枠側立ち上がり屈曲片121aを形成した部分の下枠12の左右方向Xの端部には、水を外部に排出する排水孔(図示せず)を設けることが好ましい。
【0152】
クロスアーム収容ベース枠87は、左右方向Xに延びて形成され、モータ側ベース部材81に対して、見込方向Yの室内側にずれた位置に配置されると共に、左右方向Xの一方側にずれた位置に配置される。クロスアーム収容ベース枠87は、左右方向Xの一方側に配置されるアーム枠本体871と、左右方向Xの他方側に配置されるガイドレール配置板872と、アーム収容側屈曲片873と、を有する。アーム枠本体871及びガイドレール配置板872は、左右方向Xに直線上に並んで配置される。
【0153】
ガイドレール配置板872には、ガイドレール85が配置される。ガイドレール85は、左右方向Xに延びる。ガイドレール85には、左右方向Xに移動可能な移動部材84が連結される。
【0154】
移動部材84は、見込方向Yに延びて形成され、モータ側ベース板811に配置される回転軸83と、ガイドレール配置板872に配置されるガイドレール85と、に跨って連結される。移動部材84は、左右方向Xに移動可能に、ガイドレール85にガイドされる。移動部材84は、断面L字状に形成され見込方向Yに延びる移動部材本体841と、室内側の部分からクロスアーム86側に突出する突出板842と、を有する。突出板842の先端部には、クロスアーム86が接続される。移動部材84が左右方向Xに移動することで、移動部材84の突出板842の先端部に接続されたクロスアーム86が昇降する。
【0155】
クロスアーム86は、上下方向において、アーム枠本体871とクロスアーム移動枠88との間に配置される。
アーム枠本体871は、断面形状が上方側に向けて開放するコ字状に形成される。アーム枠本体871の上方の内部側には、クロスアーム86が配置される。
クロスアーム移動枠88は、断面形状が下方側に向けて開放するコ字状に形成される。クロスアーム移動枠88の下方の内部側には、クロスアーム86が配置される。
【0156】
クロスアーム86は、一対の2枚のアーム部861と、一対の2枚のアーム部861を交差した状態で回動可能に連結する連結回動軸862と、収容側支点側回動軸863と、移動側固定回動軸864と、収容側スライド回動軸865と、移動側スライド回動軸866と、を有する。クロスアーム86は、移動部材84の突出板842が左右方向Xに移動することで、昇降蓋部材89の昇降方向に伸縮可能である。
【0157】
2枚のアーム部861は、それぞれ、所定方向に延びる板状に形成され、互いが交差して構成される。一対の2枚のアーム部861は、互いが、長手方向の略中央に配置される連結回動軸862により回動可能に連結される。一対の2枚のアーム部861は、2枚のアーム部861が対向した状態で接続されることで1組のアーム部を構成する。
【0158】
一対の2枚のアーム部861は、アーム枠本体871の左右方向Xの一端側において、収容側支点側回動軸863により回動可能に接続され、アーム枠本体871の左右方向Xの他端側において、収容側スライド回動軸865によりアーム枠本体871の収容側スライド長穴871bに沿って移動可能に接続される。収容側スライド長穴871bは、アーム枠本体871の側面板871aにおける左右方向Xの他端側に形成され、見込方向Yに貫通すると共に左右方向Xに延びる。
【0159】
一対の2枚のアーム部861は、クロスアーム移動枠88の左右方向Xの一端側において、移動側固定回動軸864により回転可能に接続され、クロスアーム移動枠88(後述)の左右方向Xの他端側において、移動側スライド回動軸866によりクロスアーム移動枠88の移動側スライド長穴881aに沿って移動可能に接続される。移動側スライド長穴881aは、クロスアーム移動枠88の側壁881における左右方向Xの他端側に形成され、モータ側ベース板811の側壁を見込方向Yに貫通すると共に左右方向Xに延びる。
【0160】
アーム収容側屈曲片873は、クロスアーム収容ベース枠87の左右方向Xの両端部において、断面L字状に形成され、見込方向Yの両端部から立ち上がって見込方向Yの外側に屈曲して見込方向Yに略水平に突出する。室外側に配置されるアーム収容側屈曲片873aの上面は、枠側立ち上がり屈曲片121a(リブ)の上面に重ねられた状態で、上方側から移動されるネジ873bによりネジ固定される。
【0161】
これにより、アーム収容側屈曲片873aを下枠12の枠側立ち上がり屈曲片121aにネジ固定すればよく、作業性を向上できる。アーム収容側屈曲片873aの上面は、枠側立ち上がり屈曲片121a(リブ)の上面に重ねられた状態で、上方側から移動されるネジ873bによりネジ固定されるため、固定箇所へのアクセスが容易であり、施工性が良好である。また、下枠12に中央部側蓋部昇降機構8を取り付けるためのネジ孔を形成しなくてよいため、水密性能を向上できる。
【0162】
昇降蓋部材89は、図7及び図8に示すように、クロスアーム移動枠88の上部に接続される。昇降蓋部材89は、断面形状がコ字状の蓋本体891と、一対の昇降位置合わせリブ892と、を有する。昇降蓋部材89は、溝部Mの上端部と同一面まで上昇して、溝部Mを覆うことが可能である。蓋本体891の上面891aは、平面状に形成される。蓋本体891の上面891aは、閉止位置に配置された場合には、下枠12の上面125c(内側面)(図8参照)と同一平面上に配置される。
【0163】
昇降位置合わせリブ892は、蓋本体891の上方側寄りにおいて、蓋本体891の側壁から見込方向Yの外側に略水平に突出して形成される。昇降位置合わせリブ892は、中央部側蓋部昇降機構8における昇降蓋部材89の上昇時において、昇降蓋部材89の蓋本体891の上面891aが下枠12の戸車載置枠体120の戸車移動上面120aと同一平面上に位置する場合に、下枠室外側固定蓋部129の下方突出片129bの下端部に当接する。昇降蓋部材89は、上昇時において、昇降位置合わせリブ892が下枠室外側固定蓋部129の下方突出片129bの下端部に当接した位置で停止する。これにより、昇降位置合わせリブ892は、昇降蓋部材89の上方側への移動を規制して、上昇位置を規制できる。
【0164】
以上のように構成される中央部側蓋部昇降機構8においては、モータ82が駆動されることで、ボールねじ機構で構成される回転軸83の回転駆動力を介して、移動部材84が左右方向Xに移動されて、移動部材84の左右方向Xへの移動により、クロスアーム86を昇降させて、昇降蓋部材89を昇降させることが可能である。これにより、昇降蓋部材89の開放位置において、左右方向Xの中央側において、中央部側蓋部昇降機構8により、昇降蓋部材89が下枠上方開口部127の室内側の部分を閉じて、昇降蓋部材89の蓋本体891の上面891aと下枠12の戸車載置枠体120の戸車移動上面120aとが同一平面上に配置されるバリアフリーを実現することができる。
【0165】
また、回転軸83を枠体10の長手方向に沿って配置できるため、回転軸83を枠体10の幅方向や上下方向に沿って配置しなくてよく、回転軸83を配置するスペースを下枠12の長手方向に沿って確保することができる。そのため、下枠12の幅方向の大きさや上下方向の大きさを抑えることができるため、サッシ枠をコンパクトに形成できる。
【0166】
また、中央部側蓋部昇降機構8は、一対のアーム部861が交差して構成され昇降蓋部材89の昇降方向に伸縮可能なクロスアーム86を備える。そのため、クロスアーム86を下枠12の長手方向に沿って配置できるため、下枠12の幅方向の大きさや上下方向の大きさを抑えて、昇降動作を可能な構成とすることができる。これにより、中央部側蓋部昇降機構8をコンパクトに形成でき、サッシ枠をコンパクトに形成できる。
また、ボールねじ機構で構成される回転軸83を介してクロスアーム86を伸縮させることができる。よって、簡易な構成で、バリアフリーを実現できる。
【0167】
昇降蓋部材89の下降位置においては、昇降蓋部材89の上面891aと戸車載置枠体120の戸車移動上面120aとは、上下方向において、第2下部移動支持体301の見付方向移動戸車303が昇降蓋部材89の上面891aと戸車載置枠体120の戸車移動上面120aとの間を移動するため、昇降蓋部材89の上面891aと戸車載置枠体120の戸車移動上面120aとが面一になるように構成されている。また、昇降蓋部材89の上面891aと戸車移動上面120aとは、左右方向Xにおいて、第2下部移動支持体301の見付方向移動戸車303が昇降蓋部材89の上面891aと戸車載置枠体120の戸車移動上面120aとの間を移動されるため、隙間がないか又は極力小さいように配置される。
【0168】
本実施形態においては、昇降蓋部材89の上面891aと戸車載置枠体120の戸車移動上面120aとの左右方向Xのつなぎ部分80A,80B,80Cの形状を、図15に示すように、適宜設定してもよい。図15は、下レールのつなぎ部分80A,80B,80Cを示す図であって、(a)は第1例のつなぎ部分80Aを示す図であり、(b)は第2例のつなぎ部分80Bを示す図であり、(c)は第3例のつなぎ部分80Cを示す図である。
【0169】
例えば、図15(a)に示すように、昇降蓋部材89Aの上面891aと戸車載置枠体120Aの戸車移動上面120aとのつなぎ部分80Aを、見込方向Yに延びる直線状に形成することや、図15(b)に示すように、昇降蓋部材89Bの上面891aと戸車載置枠体120Bの戸車移動上面120aとのつなぎ部分80Bを、傾斜状に形成することや、図15(c)に示すように、昇降蓋部材89Cの上面891aと戸車載置枠体120Cの戸車移動上面120aとのつなぎ部分80Cを、階段状に形成することもできる。
【0170】
例えば、つなぎ部分80B,80Cの形状を、図15(b)に示す傾斜状に形成したり、図15(c)に示す階段状に形成することで、見付方向移動戸車303の2つの車輪体303bを見込方向Yに並列に並べて配置して左右方向Xに移動させるように構成した場合には、見付方向移動戸車303がつなぎ部分80B,80Cを通過する際に、2つの車輪体303bがつなぎ部分80B,80Cを通過するタイミングをずらすことができる。これにより、つなぎ部分80B,80Cを通過する際の2つの車輪体303bの通過音を分散させることができる。
【0171】
また、つなぎ部分80Aの形状を、図15(a)に示す見込方向Yに延びる直線状に形成した場合に、見付方向移動戸車303の2つの車輪体303bを見込方向Yに並列に並べ、且つ、2つの車輪体303bの取り付け位置を左右方向Xにずらすことで、2つの車輪体303bがつなぎ部分80Aを通過するタイミングをずらすことができる。これにより、つなぎ部分80Aを通過する際の2つの車輪体303bの通過音を分散させることができる。
【0172】
次に、見込方向スライドパネル体20を枠体10に取り付ける施工方法、及び見付方向スライドパネル体30を枠体10に取り付ける施工方法について説明する。
【0173】
まず、見込方向スライドパネル体20を枠体10に取り付ける場合について説明する。
図5に示すように、第1支持平面板202を上部に配置した第1下部移動支持体201を、下枠12の下枠上方開口部127から挿入して、下枠12の内部に配置された戸車載置枠体120の戸車移動上面120aに載置する。そして、第1下部移動支持体201を、L字状金具204を介して、見込方向移動機構5の見込方向移動部材58の立設板582に接続する。ここで、第1下部移動支持体201の第1支持平面板202には、複数の見込方向移動戸車203の複数の車輪体203bを同じ方向に向けた状態で固定している。そのため、第1下部移動支持体201において、複数の見込方向移動戸車203の複数の車輪体203bが同じ方向に並んだ状態で取り付けることができる。
【0174】
そして、見込方向スライドパネル体20の下端部を、第1支持平面板202の上面に載置する。見込方向スライドパネル体21,22は、自重により、第1支持平面板202に対して移動しないように構成され、第1支持平面板202の上面に載置された状態において、第1支持平面板202と一体で見込方向Yに移動する。
【0175】
続けて、見込方向スライドパネル体20の上端部を、第1上部支持部206に取り付ける。第1上部支持部206においては、見込方向スライドパネル体21、22の上端部を、見込方向Yに挟むようにコ字状金具207の開放部分に配置した状態で、固定ネジ209cにより、見込方向Yのねじ込み位置を調整しながら、押圧部材209dを見込方向スライドパネル体21、22の上端部の室外側の面に押圧する。これにより、見込方向スライドパネル体21,22の上端部を、見付方向のねじ込み位置を調整しながら、L字状支持金具208にネジ固定することができる。
【0176】
次に、第1上部支持部206のL字状支持金具208の縦板208b側を、見込方向移動機構5の見込方向移動部材58の立設板582に接続する。ここで、L字状支持金具208又は見込方向移動機構5の立設板582のいずれか一方のネジ孔がネジ固定用長孔で構成されるため、ネジ固定用長孔においてネジ固定の上下方向の位置を容易に調整しながら、L字状支持金具208の縦板208b側を、見込方向移動機構5の見込方向移動部材58の立設板582に接続できる。
続けて、上枠室内側カバー部116を、上枠11の上枠下方開口部117の室内側の部分に取り付ける。
このようにして、見込方向スライドパネル体20を枠体10に取り付けることができる。
【0177】
次に、見付方向スライドパネル体30を枠体10に取り付ける場合について説明する。
図7に示すように、枠体10の左右方向Xの中央側において、第2支持平面板302を上部に配置した第2下部移動支持体301を、下枠12の下枠上方開口部127から挿入して、下枠12の内部に配置された中央部側蓋部昇降機構8の昇降蓋部材89の上面891aに載置する。ここで、第2下部移動支持体301の第2支持平面板302には、複数の見付方向移動戸車303の複数の車輪体303bを同じ方向に向けた状態で固定している。そのため、第2下部移動支持体301において、複数の見付方向移動戸車303の複数の車輪体303bが同じ方向に並んだ状態で取り付けることができる。
【0178】
そして、見付方向スライドパネル体30の下端部を、第2支持平面板302の上面に載置する。見付方向スライドパネル体30は、自重により、第2支持平面板302に対して移動しないように構成され、第2支持平面板302の上面に載置された状態において、第2支持平面板302と一体で左右方向Xに移動する。
【0179】
次に、見付方向スライドパネル体30の上端部を、クランク状接続金具307の下部上下延在片307aに接続した状態で、クランク状接続金具307の上部上下延在片307cを、見付方向移動機構6の連結部材64に接続する。ここで、クランク状接続金具307の上部上下延在片307c又は見付方向移動機構6の連結部材64のいずれか一方のネジ孔がネジ固定用長孔で構成されるため、ネジ固定用長孔においてネジ固定の上下方向の位置を容易に調整しながら、クランク状接続金具307の上部上下延在片307cを、見付方向移動機構6の連結部材64に接続できる。
続けて、上枠室内側カバー部116を、上枠11の上枠下方開口部117の室内側の部分に取り付ける。
このようにして、見付方向スライドパネル体30を枠体10に取り付けることができる。
【0180】
以上説明した第1実施形態の構成によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態のスライディング窓1は、枠体10内に配置される見込方向スライドパネル体20及び見付方向スライドパネル体30を備え、見込方向スライドパネル体20及び見付方向スライドパネル体30は、見込方向スライドパネル体20及び見付方向スライドパネル体30が見込方向Yに直線上に並んで配置される閉位置と、見込方向スライドパネル体20及び見付方向スライドパネル体30が見込方向Yに視た場合に重なる開位置と、に枠体10内を移動可能に構成され、見込方向スライドパネル体20は、枠体10内において見込方向Yのみに移動可能に構成される。そのため、見込方向スライドパネル体20を枠体10内において見込方向Yのみに移動することで、見付方向スライドパネル体30を開閉することができる。これにより、眺望性を保ちつつ、開閉可能なスライディング窓1を実現できる。
【0181】
また、本実施形態においては、見付方向スライドパネル体30は、枠体10内において見付方向のみに移動可能に構成される。そのため、見込方向スライドパネル体20を枠体10内において見込方向Yのみに移動させた状態で、見付方向スライドパネル体30を見付方向の左右方向Xのみに移動させることができる。これにより、スライディング窓1を容易に開閉することができる。
【0182】
また、本実施形態においては、見込方向スライドパネル体20の外周側縁部には、見込方向スライドパネル体20を見込方向Yのみに移動させる見込方向移動機構5が連結されている。そのため、見込方向スライドパネル体21,22の外周側縁部で支持して、見込方向スライドパネル体21,22を安定して確実に見込方向Yに移動させることができる。
【0183】
また、本実施形態においては、見込方向スライドパネル体20及び見付方向スライドパネル体30を閉位置から開位置に移動させる場合に、見込方向スライドパネル体20を見込方向Yに移動させた後に、見付方向スライドパネル体30を見付方向の左右方向Xに移動させることで、見込方向スライドパネル体20及び見付方向スライドパネル体30を閉位置から開位置に移動可能に構成される。これにより、スライディング窓1の開閉操作を容易に行うことができる。
【0184】
また、本実施形態においては、見込方向スライドパネル体20及び見付方向スライドパネル体30の閉位置において、見込方向スライドパネル体20と枠体10との間には気密材116b,125b,133bが配置され、見付方向スライドパネル体30と枠体10との間には気密材116b,125b,133bが配置される。そのため、スライディング窓1を開閉しても、水密性及び気密性を確保することができる。
【0185】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態の端部側蓋部開閉機構7の下側蓋部開閉機構71に代えて、下側蓋部開閉機構73を用いた場合の実施形態である。図16は、本発明の第2実施形態の下側蓋部開閉機構73を示す図である。図17は、本発明の第2実施形態の下側蓋部開閉機構73の開閉動作を示す図である。なお、第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明し、重複する説明を適宜に省略する。
【0186】
下側蓋部開閉機構73について説明する。下側蓋部開閉機構73は、図16に示すように、下枠12において、下枠室外側開閉蓋部128と、下側開閉回動部材731(回動部材)と、下側連結部材732と、下側回動規制部733と、を備える。
【0187】
下側連結部材732は、第1下部移動支持体201(見込方向移動戸車203)に連結されると共に、下枠室外側開閉蓋部128に接続される。下枠室外側開閉蓋部128は、第1下部移動支持体201を介して、見込方向スライドパネル体20の下端部に取り付けられている。
【0188】
下側連結部材732は、下側連結板732aと、下側連結部材712aに接続される突出片732bと、を有する。下側連結板732aは、一端側が、第1下部移動支持体201(見込方向移動戸車203)に接続され、他端側が、突出片732bに接続される。
【0189】
下側開閉回動部材731は、下枠室外側開閉蓋部128を下枠12の内部側において回動可能に支持する。下側開閉回動部材731は、断面形状がコ字状に形成され、下枠室外側開閉蓋部128の閉止位置において、枠体10の内部においてコ字状の部分の閉鎖部分に形成される閉鎖片731aと、閉鎖片731aの室外側の端部から下枠上方開口部127側に延出する第1延出片731bと、閉鎖片731aの室内側の端部から下枠上方開口部127側に延出する第2延出片731cと、を有する。
【0190】
第2延出片731cの下端部側には、回動軸731xが設けられている。回動軸731xは、下枠12に固定された固定部材121qに回動可能に接続される。また、第2延出片731cの上端部側には、係止ローラ731zが設けられている。係止ローラ731zは、第1下部移動支持体201の側面に取り付けられたブロック係止部735を係止している。
第1延出片731bの下枠室外側開閉蓋部128側の端部には、支持ローラ731yが配置される。閉鎖片731aの室内側には、係止ローラ711zが配置されている。
【0191】
下側回動規制部733は、駆動部733aと、規制棒状部733b(ロック部)と、を有する。下側回動規制部733は、前述した下側回動規制部713と同様の構成である。そのため、下側回動規制部733の説明を省略する。
【0192】
以上のように構成される下側蓋部開閉機構73について、下枠室外側開閉蓋部128の開閉動作について説明する。
まず、図16に示すように、下側開閉回動部材731は、閉止位置に位置する場合には、下側回動規制部733の規制棒状部733bに規制されたロック状態で維持されている。この状態から、規制棒状部733bによる規制を解除する。そして、規制棒状部733bによる規制を解除したロック解除状態で、見込方向スライドパネル体21,22を見込方向Yの室内側から室外側に移動させる。これにより、規制棒状部733bのロック状態が解除され且つブロック係止部735による係止ローラ731zへの係止の力が作用しなくなるため、図17(a)に示すように、下側開閉回動部材731は、自重により、回動軸731xを中心に室外側に倒れる側に回動して、下枠室外側開閉蓋部128の室外側の部分が下になるように傾く。
【0193】
続けて、見込方向スライドパネル体21,22を見込方向Yの室内側から室外側に更に移動させることで、図17(b)に示すように、下側開閉回動部材731の回動が停止する。見込方向スライドパネル体21,22を更に見込方向Yの室内側から室外側に移動させると、図17(c)に示すように、下枠室外側開閉蓋部128が突出片732bに取り付けられた部分を中心に回動して、下枠12の内部における室外側の端部に、下枠室外側開閉蓋部128が収容される。このようにして、下枠室外側開閉蓋部128を閉止位置から開放位置に移動させることができる。
【0194】
また、下枠室外側開閉蓋部128を開放位置から閉止位置に移動する場合には、見込方向スライドパネル体21,22を見込方向Yの室外側から室内側に移動させることで、閉止位置から開放位置に移動する場合の逆の動作により、下枠室外側開閉蓋部128を開放位置から閉止位置に移動させることができる。
【0195】
以上のように構成される第2実施形態の下側蓋部開閉機構73は、第1実施形態の下側蓋部開閉機構71と同様の効果を奏することができる。なお、第2実施形態においては、下側蓋部開閉機構73を下枠12に配置した場合について説明したが、これに限定されず、下側蓋部開閉機構73を、上下の向きを反対にすることで、上枠11に配置することもできる。
【0196】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、下枠12Aの左右方向Xの端部側に、端部側蓋部昇降機構8A及び見込方向移動機構5Aを配置した場合の実施形態である。図18は、本発明の第3実施形態のスライディング窓1の下方側の部分を室外側から視た図である。図19は、図18の分解斜視図である。図20は、第3実施形態において、下枠12Aに、端部側蓋部昇降機構8A及び見込方向移動機構5Aを配置した状態を示す斜視図である。図21Aは、図18に示す状態から、昇降蓋部材90が下降した状態を示す図である。図21Bは、図21Aに示す状態から、見込方向スライドパネル体20が室外側に移動した状態を示す図である。なお、第3実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。第3実施形態では、第1実施形態と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明し、重複する説明を適宜に省略する。
【0197】
図18図20に示すように、第3実施形態においては、下枠12Aの左右方向Xの端部側には、端部側蓋部昇降機構8A及び見込方向移動機構5Aが配置される。
【0198】
端部側蓋部昇降機構8Aは、図18及び図19に示すように、下枠12Aの左右方向Xの端部側において、見込方向スライドパネル体20の下方に配置される。図20に示すように、端部側蓋部昇降機構8Aは、下枠12Aの下枠本体121の上面に取り付けられ、昇降蓋部材90(図18及び図19参照)を昇降させることで、見込方向スライドパネル体20が見込方向Yに移動した場合の下枠12Aの凹部K(溝部)を覆うことで、バリアフリーを実現する。昇降蓋部材90は、凹部Kの上端部と同一面まで上昇して、凹部Kを覆うことが可能である。凹部Kは、見込方向スライドパネル体20を収容可能であって、見付方向の左右方向Xの内側に配置される固定蓋部材91の上面91aに対して凹状に窪んで形成される。凹部Kは、溝部を構成する。
なお、前述の第1実施形態においては、枠体10の左右方向Xの端部側には、端部側蓋部開閉機構7(図6参照)を設けることで、見込方向スライドパネル体20が見込方向Yに移動した場合の下枠12の溝部Mを覆うことで、バリアフリーを実現している。
【0199】
第3実施形態において、端部側蓋部昇降機構8Aは、第1実施形態の枠体10の中央側に配置される中央部側蓋部昇降機構8の構成と一部異なる構成を採用している。
具体的には、第3実施形態の端部側蓋部昇降機構8Aは、第1実施形態の中央部側蓋部昇降機構8がモータ82とクロスアーム86とが見込方向Yにずれて配置されるモータオフセット式で構成されている(図14A参照)のに対して、モータ82とクロスアーム86とが一直線上に配置されるモータストレート式で構成される(図20参照)点において主に異なる。なお、第3実施形態の端部側蓋部昇降機構8Aは、モータ82とクロスアーム86とが一直線上に配置される構成以外は、第1実施形態の中央部側蓋部昇降機構8と同様の構成である。そのため、第3実施形態の端部側蓋部昇降機構8Aの説明は、第1実施形態の中央部側蓋部昇降機構8の説明を援用して、その説明を省略する。
【0200】
また、本実施形態においては、枠体10の左右方向Xの端部側に、端部側蓋部昇降機構8Aが配置されことにより、第3実施形態の見込方向移動機構5Aの構成は、第1実施形態の見込方向移動機構5の構成と異なる。具体的には、第3実施形態の見込方向移動機構5Aは、第1実施形態の見込方向移動機構5と比べて、見込方向移動機構5の見込方向移動部材58Aの立設板582aに切り欠き582b(図20参照)が設けられる点において、第1実施形態の見込方向移動機構5と主に異なる。第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、見込方向移動機構5Aは、前述の第1実施形態の見込方向移動機構5と同様に、見込方向スライドパネル体20の4つの外周側縁部それぞれを見込方向Yに移動させることで、見込方向スライドパネル体20を見込方向Yのみに移動させる。
【0201】
第3実施形態において、見込方向移動機構5の見込方向移動部材58Aの立設板582aに切り欠き582bを設けた理由について説明する。
端部側蓋部昇降機構8Aにより昇降蓋部材90を昇降させる場合に、第1実施形態の見込方向移動機構5と同様の構成であると、第1実施形態の見込方向移動機構5の見込方向移動部材58の立設板582が昇降蓋部材90に当たるため、見込方向移動部材58を避けるように、昇降蓋部材90の上面を切り欠くなどの加工をする必要がある。しかし、昇降蓋部材90の上面を加工することは、意匠上好ましくない。
【0202】
そこで、第3実施形態においては、図20に示すように、見込方向移動機構5の見込方向移動部材58Aの立設板582aに、切り欠き582bを形成した。本実施形態では、切り欠き582bは、立設板582aの左右方向Xの内側に形成され、見込方向移動機構5の見込方向移動部材58Aを見込方向Yに移動させる際に、昇降蓋部材90を避けて移動させることが可能となるように、長方形に切り欠かれている。
なお、第3実施形態の見込方向移動機構5Aのその他の点についての構成は、第1実施形態の見込方向移動機構5と同様であるため、その説明を省略する。
【0203】
第3実施形態の構成に関連する動作について説明する。
図18に示す状態から、端部側蓋部昇降機構8Aを駆動することで、昇降蓋部材90を、図18に示す上昇位置から、図21Aに示す下降位置に移動させる。
次に、図21Aに示す位置から、見込方向スライドパネル体20を見込方向Yの室内側から室外側に移動させる。ここでは、見込方向スライドパネル体20の4つの外周側縁部それぞれを見込方向Yに移動させる。
この場合、見込方向移動機構5の見込方向移動部材58Aの立設板582aに切り欠き582bを形成しているため、見込方向移動機構5の見込方向移動部材58Aを見込方向Yに移動させる際に、昇降蓋部材90を避けて移動させることが可能である。
よって、昇降蓋部材90の上面を切り欠くなどの加工をせずに、意匠性を保つことができる。
【0204】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態や変形例に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、見込方向移動機構5を、見込方向スライドパネル体20の4つの外周側縁部に連結したが、これに限定されない。例えば、見込方向移動機構5を、見込方向スライドパネル体20の上辺の左右方向Xの中央に1つ配置すると共に、下辺において2つの外周側縁部に連結して構成してもよいし、見込方向スライドパネル体20の上辺において2つの外周側縁部に連結すると共に、下辺の左右方向Xの中央に1つ配置して構成してもよい。
【0205】
また、前記実施形態では、中央部側蓋部昇降機構8をスライディング窓に使用する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、スライドパネル体が移動した場合の開放部分を塞ぐ機構であればよく、引き違い窓などに使用する場合にも適用できる。
【0206】
また、前記実施形態では、中央部側蓋部昇降機構8を下枠12に配置したが、これに限定されず、例えば、中央部側蓋部昇降機構8を上枠11に配置してもよい。
【0207】
また、前記実施形態では、中央部側蓋部昇降機構8において、枠側立ち上がり屈曲片121aを下枠12に配置したが、これに限定されず、例えば、上枠11に配置してもよい。また、枠側立ち上がり屈曲片121a、モータ側屈曲片812a又はアーム収容側屈曲片873aを断面L字状に形成したが、これに限定されず、例えば、断面T字状に形成してもよい。また、枠側立ち上がり屈曲片121a、モータ側屈曲片812a又はアーム収容側屈曲片873aの屈曲した先端側を水平面で形成したが、これに限定されず、垂直面で形成してもよいし、傾斜面で形成してもよい。
【0208】
また、第1実施形態のモータオフセット式の中央部側蓋部昇降機構8に代えて、第3実施形態のモータストレート式の端部側蓋部昇降機構8Aを使用してもよく、第3実施形態のモータストレート式の端部側蓋部昇降機構8Aに代えて、第1実施形態のモータオフセット式の中央部側蓋部昇降機構8を使用してもよい。
【0209】
また、前記第1実施形態では、回転軸83をボールねじ機構で構成した場合について説明したが、これに限定されず、例えば、回転軸83をすべりねじ機構などで構成してもよい。
【0210】
また、前記第1実施形態及び前記第2実施形態においては、上枠室外側開閉蓋部118(カバー部材)を、見込方向スライドパネル体20が見込方向Yへ移動した場合に、見込方向スライドパネル体20と上枠室外側延出部112(室外側片)との間の上枠隙間S1(隙間)を覆うように構成した。下枠室外側開閉蓋部128(カバー部材)を、見込方向スライドパネル体20が見込方向Yへ移動した場合に、見込方向スライドパネル体20と下枠室外側延出部122(室外側片)との間の下枠隙間S2(隙間)を覆うように構成した。しかし、これに限定されない。カバー部材を、見込方向スライドパネル体20と室内側片との間にできる隙間を覆うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0211】
1 スライディング窓(建具)
5 見込方向移動機構(室内外方向移動機構)
10 枠体
20 見込方向スライドパネル体(第1障子)
30 見付方向スライドパネル体(第2障子)
116b 気密材(第1気密材、第2気密材)
125b 気密材(第1気密材、第2気密材)
133b 気密材(第1気密材、第2気密材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
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図14B
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図21A
図21B