(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】洗浄組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 1/12 20060101AFI20221219BHJP
C08L 79/02 20060101ALI20221219BHJP
C11D 1/68 20060101ALI20221219BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20221219BHJP
C11D 3/26 20060101ALI20221219BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
C11D1/12
C08L79/02
C11D1/68
C11D1/75
C11D3/26
C11D3/37
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018165143
(22)【出願日】2018-09-04
【審査請求日】2018-09-05
【審判番号】
【審判請求日】2020-08-28
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】カルル・ギスラン・ブレクマン
(72)【発明者】
【氏名】ヌレイ・ヤルディスカヤ
【合議体】
【審判長】蔵野 雅昭
【審判官】木村 敏康
【審判官】瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-16131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器手洗い用洗浄組成物であって、前記組成物全体の
15重量%~
40重量%の界面活性剤系と、前記組成物の0.1重量%~
2重量%の環状ポリアミンとを含み、
A)前記界面活性剤系が、
i)前記界面活性剤系の60重量%~90重量%のアニオン性界面活性剤であって、41%~50%の重量平均アルキル分岐度を有する分岐状アルキルエトキシサルフェートアニオン性界面活性剤から選択されるアニオン性界面活性剤と、
ii)前記
組成物の
2重量%~
10重量%の第一の補助界面活性剤であって、アミンオキシド界面活性剤を含む両性界面活性剤である第一の補助界面活性剤と、を含み、
B)前記環状ポリアミンが、2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
前記アニオン性界面活性剤と前記第一の補助界面活性剤との重量比が、
2:1~
5:1である、食器手洗い用洗浄組成物。
【請求項2】
前記アニオン性界面活性剤が、5未満の平均エトキシル化度を有する、アルキルアルコキシサルフェートを含み、前記アニオン性界面活性剤の平均アルキル鎖長が、8~18個の炭素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第一の補助界面活性剤が、直鎖又は分岐鎖アルキルアミンオキシド界面活性剤、直鎖又は分岐鎖アルキルアミドプロピルアミンオキシド界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤系が、前記界面活性剤系の1重量%~25重量%の、非イオン性界面活性剤を含む第二の補助界面活性剤を更に含み、前記非イオン性界面活性剤は、9~15個の炭素原子をそのアルキル鎖中に含みかつアルコール1モル当たり5~12単位のエチレンオキシドを含むアルキルエトキシル化非イオン性界面活性剤である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記界面活性剤系の0.5重量%~20重量%のアルキルポリグリコシド界面活性剤を更に含み、前記アルキルポリグリコシド界面活性剤が、C8~C16アルキルポリグリコシド界面活性剤である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物全体の0.05重量%~2重量%の両親媒性ポリマーを更に含み、前記両親媒性ポリマーが、両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミンからなる群から選択され、前記両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミンが、100~5,000ダルトンの範囲の平均分子量を有するポリエチレンイミン主鎖を含むアルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーであり、前記アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーが、
i)修飾1個当たり平均1~50個のアルコキシ部分を有するポリアルコキシレン鎖による、窒素原子1個当たり1若しくは2個のアルコキシル化修飾であって、前記アルコキシル化修飾の末端アルコキシ部分が、水素、C1~C4アルキル、若しくはこれらの混合物でキャップされている、アルコキシル化修飾、
ii)修飾1個当たり平均1~50個のアルコキシ部分を有するポリアルコキシレン鎖による、窒素原子1個当たり1つのC1~C4アルキル部分の添加及び1若しくは2個のアルコキシル化修飾であって、前記末端アルコキシ部分が水素、C1~C4アルキル、若しくはこれらの混合物でキャップされている、添加及びアルコキシル化修飾、又は
iii)これらの組み合わせを更に含み、
前記アルコキシ部分が、エトキシ(EO)及び/又はプロポキシ(PO)及び/又はブトキシ(BO)を含み、前記アルコキシル化修飾がEOを含む場合、それはPO又はBOも含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、20℃の蒸留水中10%希釈で測定したとき、6~14のpH範囲を有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、25℃で20RPMにて、スピンドル21を用いてBrookfield RVT粘度計で測定したとき、10mPa・s~10,000mPa・sの初期粘度を有する、請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記アニオン性界面活性剤と前記第一の補助界面活性剤との重量比が、2.5:1~4:1である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
食器手洗い用洗浄組成物であって、
A)前記組成物の15重量%~40重量%の、分岐状アルキルエトキシサルフェートアニオン性界面活性剤及びアルキルジメチルアミンオキシド補助界面活性剤を含む界面活性剤系であって、
i)前記界面活性剤系が、前記界面活性剤系の60重量%~90重量%の前記分岐状アルキルエトキシサルフェートアニオン性界面活性剤及び前記
組成物の
2重量%~
10重量%の前記アルキルジメチルアミンオキシド補助界面活性剤を含み、
ii)前記分岐状アルキルエトキシサルフェートアニオン性界面活性剤が、41%~50%の重量平均分岐度及び0.5~0.9の平均エトキシル化度及びC12~C14の平均アルキル鎖長を有し、
iii)前記分岐状アルキルエトキシサルフェートアニオン性界面活性剤及び前記アルキルジメチルアミンオキシド補助界面活性剤が、2.5:1~4:1の重量比で存在する、界面活性剤系と、
B)前記組成物の0.1重量%~2重量%の、2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される環状ジアミンと、を含む、食器手洗い用洗浄組成物。
【請求項11】
食器類を手洗いする方法であって、
a)請求項1~
10のいずれか一項に記載の組成物を、汚れた食器類又は洗浄用具上に供給する工程と、
b)水の存在下で、前記食器類を前記組成物で洗浄する工程と、
c)任意選択で、前記食器類をすすぐ工程と、を含む、方法。
【請求項12】
食器類を手洗いする方法であって、請求項1~
10のいずれか一項に記載の組成物を所定体積の水に供給して洗浄溶液を形成する工程と、前記溶液中に前記食器類を浸漬する工程と、を含む、方法。
【請求項13】
請求項1~
10のいずれか一項に記載の組成物の、洗浄プロセス全体を通じて前記組成物の泡の安定化を向上させること、前記組成物の泡の一貫性の保持を向上させること、及び前記組成物の泡の白色度の保持を向上させることのうちの少なくとも1つのための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄組成物に関する。特に、本発明は、高度に分岐したアニオン性界面活性剤と特定の環状ポリアミンとを含む界面活性剤系を含む食器手洗い用洗浄組成物に関する。この組成物は、向上された泡安定化、向上された泡一貫性、及び向上された泡白色度のうちの少なくとも1つを有する。本組成物はまた、広範囲の希釈下で、良好なグリース洗浄性及びグリース乳化も提供する。
【背景技術】
【0002】
消費者は常に、改善されかつ長く持続する洗浄性能、特にグリース洗浄を供給することができる食器洗浄製品を探し求めている。製品が、更に機能しているかどうかを評価するために、消費者は、洗浄性能のサインとして泡立ち特性を見ている。より詳細には、消費者は、以下の泡立ちパラメータのうちの少なくとも1つを評価するであろう:残りの泡の量(すなわち、多ければ多いほど良い)、残りの泡の一貫性(すなわち、大気泡サイズ/水様泡と対比して緻密な泡を好む)、及び残りの泡の白色度(すなわち、白けれ白いほど良い)。
【0003】
したがって、洗剤配合者は、洗浄プロセス中に可能な限り持続することができる、高体積、緻密かつ白色の泡の性質のうちの、全てではないが、少なくとも1つを有する製品を配合することに狙いを定めている。配合者が直面する課題は、汚れが洗浄プロセス中に除去されると、泡体積は、低下する傾向にあり、泡は一貫性を失って、より大きな気泡サイズの水様泡に代わる傾向にあり、また泡は着色する傾向にあることである。泡立ち特性におけるこれらの顕著な変化によって、消費者は洗剤製品をより頻繁に再投入する衝動に駆られる。泡立ち特性におけるこれらの望ましくない変化を防止することができるか、又は遅らせることができるならば、消費者はより少ない頻度で再投入することになり、その結果、消費者に支払われた金額に見合う高い価値及び/又はより高い製品品質を知覚させる。再投入が少なくなること(すなわち、より少ない消費量)の付加的な利益は、環境への影響が低減されることである。環状ポリアミンは、グリース洗浄のために良好であることが知られている。しかしながら、以前の泡立ち特性を改善するための試みは、洗浄全体を通じての泡体積の保持、泡密度及び/又は泡白色度を向上させるために、高度に分岐したアニオン性界面活性剤と組み合わされた環状ポリアミンの使用に焦点を当てていない。
【0004】
この課題は、消費者が異なる洗浄習慣を有することによって更に複雑になる。ある消費者は、食器洗浄洗剤を含有する水で満たされた流し台の中で洗浄することを好む一方で、他の消費者は、洗浄用具に食器洗浄洗剤を適用し、水を流しながら洗浄することを好む。そのため、洗剤配合者は、食器手洗い用洗剤が、広範囲の希釈下で良好に機能するように設計される必要があることを確実にする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これにより、異なる種類の食器手洗い用習慣及び洗浄条件で使用するための良好な泡立ち特性を有する洗浄組成物に対する必要性が依然として残っている。良好な洗浄性、特に汚れ及び/又はグリースを落とす良好な洗浄性をもたらす洗浄組成物が引き続き求められている。強力なグリース洗浄性を超える洗浄組成物がまた、油汚れが食器類又はシンク上に再付着することを実質的に低減又は防止するような良好なグリース乳化も提供する要求も存在する。本出願人は、以下に説明する洗浄組成物を通して、上述の必要性のいくつか又は全てが少なくとも部分的に満たされ得ることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本発明は、食器手洗い用洗浄組成物を提供することによって、これらの要求に対処し、本組成物は、全組成物の1重量%~60重量%、好ましくは、5重量%~50重量%、より好ましくは8重量%~45重量%、最も好ましくは15重量%~40重量%の界面活性剤系と、組成物の0.1重量%~5重量%、好ましくは0.1重量%~2重量%の環状ポリアミンとを含む。界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤と第一の補助界面活性剤とを含む。アニオン性界面活性剤は、好ましくは、アルキルサルフェート、アルキルアルコキシサルフェート、好ましくはアルキルエトキシサルフェート、又はこれらの混合物から選択され、このアニオン性界面活性剤は、41%~50%の重量平均アルキル分岐度を有する。第一の補助界面活性剤は、両性界面活性剤、双性イオン界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、両性界面活性剤から選択され、好ましくは、アミンオキシド界面活性剤から選択される。環状ポリアミンは、式(I)の環状ポリアミンであり、
【0007】
【化1】
式中、ラジカルR
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は独立して、NH2、-H、1~10個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル又はアルケニルから選択され、nは、1~3であり、好ましくは1であり、ラジカルのうちの少なくとも1つは、NH2である。
【0008】
別の態様において、本発明の食器手洗い用洗浄組成物は、組成物の15重量%~40重量%の界面活性剤系と、組成物の0.1重量%~2重量%の特定の環状ジアミンとを含む。界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、及びアミンオキシド補助界面活性剤、好ましくはアルキルジメチルアミンオキシド補助界面活性剤を含む。アニオン性界面活性剤は、41%~50%の重量平均分岐度並びに0.5~0.9の平均エトキシル化度及びC12~C14の平均アルキル鎖長を有する。アニオン性界面活性剤とアミンオキシド補助界面活性剤との重量比は、2.5:1~4:1である。環状ジアミンは、2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0009】
本発明の別の態様によると、本発明の組成物を使用する食器類を手洗いする方法が提供される。本方法は、a)本発明の組成物を汚れた食器類又は洗浄用具に供給する工程と、b)水の存在下で、食器類を組成物で洗浄する工程と、c)任意選択で、食器類をすすぐ工程と、を含む。
【0010】
本発明の更に別の態様によれば、本発明の組成物を所定体積の水に供給する工程と、溶液中に食器類を浸漬する工程とを含む、食器類を手洗いする方法が提供される。
【0011】
本発明の組成物の、洗浄プロセス全体を通じて組成物の泡の安定化を向上させること、組成物の泡の一貫性の保持を向上させること、及び組成物の泡の白色度の保持を向上させることのうちの少なくとも1つを提供するための使用も提供される。本発明の組成物の、グリース再付着が実質的に低減されるか、又は防止されるように、グリース洗浄性及びグリース乳化を提供するための使用も提供される。
【0012】
本発明の1つの目的は、洗浄プロセス中に可能な限り持続することができる、高体積、緻密かつ白色の泡の性質のうちの、全てではないが、少なくとも1つを呈することができる食器手洗い用洗浄組成物を提供することである。特に、この良好な泡立ち特性は、水で満たされた流し台での洗浄条件及び/又は製品を洗浄用具に直接適用して、水道水で流す条件下の異なる消費者の洗浄習慣の下で呈される。
【0013】
本発明の別の目的は、広い範囲の希釈条件下において良好な泡立ち特性、特に長時間持続する泡、特により長く持続する泡体積、泡一貫性、及び/又は泡白色度を有する食器手洗い用洗浄組成物を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、良好な洗浄性、特に、軽い汚れ及び/若しくは落としにくい汚れの良好な洗浄性、並びに/又はグリース除去性を有する、本発明のかかる食器手洗い用洗浄組成物を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、洗浄性を超えるグリース再付着が実質的に低減されるか、又は防止されるように、良好なグリース乳化性を有する、本発明のかかる食器手洗い用洗浄組成物を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、保存及び出荷時に、ストレス条件の下であっても安定である、本発明のかかる食器手洗い用洗浄組成物を提供することである。
【0017】
本発明のこれらの特徴、態様、及び利点、並びに他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明から当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書は、本発明を特定して指摘し明確に請求する請求項をもって結論とするが、本発明は、添付図面の以下の説明からより良く理解されると考えられる。
【
図1】本明細書に記載されるグリース乳化性試験に従って、高度に分岐したアニオン性界面活性剤と本発明による環状ポリアミンとを含む本発明の組成物(発明組成物1)の洗浄溶液に対比して、高度に分岐したアニオン性界面活性剤と本発明による環状ポリアミンとを含まない比較組成物(比較組成物5)の洗浄溶液に曝すことによって得られた槽カバーの写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
用語の定義
本明細書で使用するとき、請求項において使用される「a」及び「an」等の冠詞は、特許請求される又は記載される1つ又は複数のものを意味すると理解される。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprising)」とは、特に言及したもの以外の工程、及び成分を付加できることを意味する。この用語には、「~からなる(consisting of)」及び「~から本質的になる(consisting essentially of)」という用語が含まれる。本発明の組成物は、本明細書に記載される本発明の必須要素及び制限事項、並びに本明細書に記載されるあらゆる追加若しくは任意の成分、構成要素、工程、又は制限事項を含み、これらからなり、あるいは、これらから本質的になることができる。
【0021】
本明細書で使用するところの「食器類」なる用語には、非限定的な例として、セラミック、陶磁器、金属、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)及び木材から製造された調理器具及び食卓用食器類が含まれる。
【0022】
本明細書で使用するところの「油汚れ」なる用語は、少なくとも一部(すなわち、油汚れの少なくとも0.5重量%)が、飽和及び不飽和の油脂、好ましくは牛肉、豚肉、及び/又は鶏肉のような動物性原料に由来する油脂で構成された物質を意味する。
【0023】
「含む(include)」、「含む(includes)」及び「含む(including)」なる用語は、非限定的なものであることを意味する。
【0024】
本明細書で使用するところの「泡立ち特性」なる用語は、食器洗いプロセスの間の泡の性質に関する洗浄組成物の特性のことを指す。例えば、洗浄組成物の泡立ち特性には、水性洗浄溶液中の洗浄組成物の溶解及び攪拌、通常、手動攪拌の際に発生する泡の体積、及び食器洗いプロセスの間の泡の保持率が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の食器手洗い用洗浄組成物は、高泡体積、緻密な泡一貫性、及び白色の泡外観のうちの、全てではないが、少なくとも1つを保有する「良好な泡立ち特性」を有することを特徴とする。これは、消費者が泡立ち特性を洗浄組成物の性能の指標として使用するために重要である。更に、消費者はまた、泡立ち特性を、食器洗浄プロセスの終盤に向かっていても、洗浄溶液がなお活性洗浄成分を含有していることの指標としても使用する。
【0025】
本明細書に述べられ、かつ特許請求される、出願人らによる発明のパラメータのそれぞれの値を決定するには、本出願の試験方法の項に開示される試験方法が使用されなければならない点は理解されよう。
【0026】
本発明の全ての実施形態では、特に具体的に記述しない限り、文脈から明らかであるように、全ての百分率は、全組成物の重量によるものである。特にそうでない旨が具体的に述べられない限り、全ての比は重量比であり、全ての測定は特に指定しない限りは25℃で行なわれる。
【0027】
洗浄組成物
本発明は、良好な泡立ち特性を有する洗浄組成物に関する。特に、本洗浄組成物は、高泡体積、緻密な泡一貫性、及び白色の泡外観のうちの、全てではないが、少なくとも1つを有する。高度に分岐したアニオン性界面活性剤系を配合することにより、食器洗浄プロセス中の泡体積の保持を高め、すなわち、良好な泡効果を提供することが見出された。しかし、このような系は、食器洗浄プロセス中の持続的な泡一貫性及び白色の泡外観を維持するのにあまり良好ではない。本出願人は、驚くべきことに、本発明による高度に分岐したアニオン界面活性剤系と特定の環状ポリアミンを組み合わせることにより、より一貫した緻密な泡、より持続的な泡白色度、及びより持続的に高い泡体積を、洗浄プロセス全体を通じて達成することができることを発見した。これらの結果は、選択された環状ポリアミンをより低い分岐のアニオン性界面活性剤系に加えて添加することが、洗浄利益を標的とするときに先行技術において記載されているように、本明細書に記載される実施例セクション内に示されるように、泡一貫性の急速な低下をもたらすことが示されているため、予期せぬものである。
【0028】
更に、本発明の組成物は、界面活性剤系と組成物の残りの成分との相溶性のために良好な安定性を示す。本組成物は、界面活性剤系及び特定の環状ポリアミンの存在が、組成物の外観を変更しないため、すなわち、透明、半透明等であるために、審美的に好ましくもあり得る。本発明の組成物はまた、良好なグリース除去性、特に良好な未加熱のグリース除去性、グリース乳化性、及びこのようなグリース再付着の低減又は防止を提供することができる。
【0029】
洗浄組成物は、好ましくは、食器手洗い用洗浄組成物であり、好ましくは液体形態である。好ましくは、本組成物は、全組成物の50重量%~85重量%、好ましくは50重量%~75重量%の液体担体を含有し、この担体には他の必須成分及び任意成分が溶解、分散、又は懸濁している。液体担体の好ましい1つの成分は、水である。
【0030】
好ましくは、本組成物のpHは、20℃の蒸留水中10%希釈で測定されるとき、約6~約14、好ましくは約7~約12、又はより好ましくは約7.5~約10である。組成物のpHは、当該技術分野において既知のpH調整成分を使用して調整することができる。
【0031】
本発明の組成物は、ニュートン流体又は非ニュートン流体、好ましくはニュートン流体であってよい。好ましくは、本組成物は、10mPa・s~10,000mPa・s、好ましくは100mPa・s~5,000mPa・s、より好ましくは300mPa・s~2,000mPa・s、最も好ましくは500mPa・s~1,500mPa・s、あるいはこれらの組み合わせの初期粘度を有する。スピンドル21を用いたBrookfield RT粘度計により、25℃にて20RPMで粘度を測定する。
【0032】
本発明の洗浄組成物は、特に食器手洗い用洗浄剤としての使用に適している。その好ましい泡立ち特性により、洗浄用具に直接適用されるその未希釈形態における使用、又は食器類を洗浄するために流し台に水を満たす希釈形態における使用に非常に好適である。
【0033】
界面活性剤系
洗浄組成物は、全組成物の約1重量%~約60重量%、好ましくは約5重量%~約50重量%、より好ましくは約8重量%~約45重量%、最も好ましくは約15重量%~約40重量%の界面活性剤系を含む。
【0034】
アニオン性界面活性剤
好ましくは、本発明の洗浄組成物用の界面活性剤系は、界面活性剤系の約60重量%~約90重量%、好ましくは約65重量%~85重量%、より好ましくは約70重量%~約80重量%のアニオン性界面活性剤又はその混合物を含む。界面活性剤系は、単一の界面活性剤であることができるが、通常はアニオン性界面活性剤の混合物である。本発明の組成物の界面活性剤系は、サルフェートアニオン性界面活性剤、好ましくは、アルキルサルフェート、アルキルアルコキシサルフェート、好ましくはアルキルエトキシサルフェート、又はこれらの混合物から選択されるアニオン性界面活性剤を含み、アニオン性界面活性剤は、41%~50%の重量平均アルキル分岐度を有する。この分岐のレベルは、組成物の向上した泡寿命に寄与する。これはまた、洗剤の安定性にも寄与する。好ましくは、アニオン性界面活性剤の平均アルキル鎖は、8~18個、好ましくは10~14個、より好ましくは12~14個、最も好ましくは12~13個の炭素である。好ましくは、本明細書に用いるためのアルキルアルコキシサルフェートは、5未満、好ましくは3未満、より好ましくは2未満かつ0.5超、最も好ましくは0.5~0.9の平均エトキシル化度を有するアルキルエトキシサルフェートである。最も好ましくは、アニオン性界面活性剤は、12~13のモル平均アルキル炭素鎖長、0.5~0.9のモル平均エトキシル化度、及び41%~50%の重量平均アルキル分岐度を有するアルキルエトキシサルフェートアニオン性界面活性剤である。この比を有する洗剤は、良好な泡体積構築性能を提示する。
【0035】
アルキルエトキシル化サルフェートアニオン性界面活性剤が混合物である場合、平均アルコキシル化度は、混合物の全成分のモル平均アルコキシル化度(すなわち、モル平均アルコキシル化度)である。モル平均アルコキシル化度の計算には、アルコキシレート基を有さないサルフェートアニオン性界面活性剤成分の重量も含めなければならない。
モル平均アルコキシル化度=(x1*界面活性剤1のアルコキシル化度+x2*界面活性剤2のアルコキシル化度+...)/(x1+x2+...)
式中、x1、x2、...は、混合物の各サルフェートアニオン性界面活性剤のモル数であり、アルコキシル化度は、各サルフェートアニオン性界面活性剤中のアルコキシ基の数である。
【0036】
界面活性剤が分岐状である場合、好ましい分岐基は、アルキルである。典型的には、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、環状アルキル基、及びこれらの混合物から選択される。単一又は複数のアルキル分岐が、本発明の組成物で使用されるサルフェートアニオン性界面活性剤を作製するために使用される出発アルコールのヒドロカルビル主鎖に存在し得る。
【0037】
分岐状サルフェートアニオン性界面活性剤は、単一のアニオン性界面活性剤、又はアニオン性界面活性剤の混合物であり得る。単一の界面活性剤の場合、分岐の割合は、界面活性剤が誘導される元のアルコールにおいて分岐しているヒドロカルビル鎖の重量%を指す。
【0038】
界面活性剤混合物の場合、分岐の割合は重量平均であり、以下の式に従って定義され、
分岐の重量平均(%)=[(x1*アルコール1中の分岐アルコール1の重量%+x2*アルコール2中の分岐アルコール2の重量%+...)/(x1+x2+...)]*100
式中、x1、x2は、本発明の洗剤のアニオン性界面活性剤の出発原料として使用されたアルコールの全アルコール混合物中の各アルコールのグラム単位の重量である。重量平均分岐度の計算には、分岐基を有さないアニオン性界面活性剤成分の重量も含めなければならない。
【0039】
好適な対イオンとしては、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アルカノールアンモニウム、又はアンモニウム若しくは置換アンモニウムが挙げられるが、好ましくはナトリウムである。
【0040】
市販されているサルフェートの好適な例としては、Shell社製のNeodolアルコール、Sasol社製のLial-Isalchem及びSafol(登録商標)、Procter & Gamble Chemicals社製の天然アルコールをベースにしたものが挙げられる。
【0041】
アニオン性界面活性剤系は、スルホネート又はスルホスクシネートアニオン性界面活性剤を更に含んでもよい。本明細書における使用に適したスルホネート界面活性剤としては、C8~C18アルキル又はヒドロキシアルキルスルホネートの水溶性塩;C11~C18アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、修飾されたアルキルベンゼンスルホネート(MLAS);メチルエステルスルホネート(MES);及びα-オレフィンスルホネート(AOS)が挙げられる。これらはまた、10~20炭素原子のパラフィンをスルホン化することによって得られる、モノスルホネート及び/又はジスルホネートであり得るパラフィンスルホネートを含む。スルホネート界面活性剤としてはまた、アルキルグリセリルスルホネート界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤系はまた、石鹸、すなわち、脂肪カルボキシレートアニオン性界面活性剤を更に含んでもよい。好ましくは、アニオン性界面活性剤は、更に、非サルフェートアニオン性界面活性剤は含まない。
【0042】
第一の補助界面活性剤
本発明の組成物の界面活性剤系は、第一の補助界面活性剤を更に含む。本組成物は、好ましくは、組成物の0.1重量%~20重量%、より好ましくは0.5重量%~15重量%、特に好ましくは2重量%~10重量%の第一の補助界面活性剤を含む。第一の補助界面活性剤は、両性界面活性剤、双性イオン界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本発明の組成物は、好ましくは、両性界面活性剤としてのアミンオキシド、又は双性イオン界面活性剤としてのベタイン、又は当該アミンオキシド及びベタイン界面活性剤の混合物を含む。好ましくは、両性界面活性剤及び双性イオン界面活性剤は、約2:1~約1:2の重量比である。最も好ましくは、第一の補助界面活性剤は、直鎖又は分岐鎖アルキルアミンオキシド界面活性剤、直鎖又は分岐鎖アルキルアミドプロピルアミンオキシド界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、直鎖アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤から選択され、より好ましくは直鎖C10アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、直鎖C12~C14アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、又はこれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは直鎖C12~C14アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤から選択されるアミンオキシド界面活性剤である。
【0043】
好ましくは、アミンオキシドは、アルキルジメチルアミンオキシド又はアルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、より好ましくはアルキルジメチルアミンオキシド、特にココジメチルアミノオキシド、最も好ましくは、C12~C14アルキルジメチルアミンオキシドである。典型的な直鎖アミンオキシドとしては、1つのR1 C8~18アルキル部分と、C1~3アルキル基及びC1~3ヒドロキシアルキル基からなる群から選択される2つのR2及びR3部分とを含有する水溶性アミンオキシドが挙げられる。好ましくは、アミンオキシドは、式R1-N(R2)(R3)O(式中、R1はC8~18アルキルであり、R2及びR3は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、及び3-ヒドロキシプロピルからなる群から選択される)により特徴付けられる。直鎖アミンオキシド系界面活性剤としては、特に、直鎖C10~C18アルキルジメチルアミンオキシド及び直鎖C8~C12アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドを挙げることができる。好ましいアミンオキシドとしては、直鎖C10、直鎖C10~C12、及び直鎖C12~C14アルキルジメチルアミンオキシドが挙げられる。本明細書で使用するとき、「中鎖分岐状(mid-branched)」とは、アミンオキシドが、n1個の炭素原子を有する1つのアルキル部分を有し、このアルキル部分における1つのアルキル分岐がn2個の炭素原子を有することを意味する。アルキル分岐は、アルキル部分上で、窒素に結合したα炭素上に位置する。アミンオキシドにおけるこの種の分岐は、当該技術分野において、内部アミンオキシドとしても知られている。n1とn2との合計は、10~24個の炭素原子、好ましくは12~20個、より好ましくは10~16個である。1つのアルキル部分と1つのアルキル分岐とが対称となるように、1つのアルキル部分の炭素原子数(n1)は、1つのアルキル分岐の炭素原子数(n2)とおよそ同じでなければならない。本明細書で使用するとき、「対称」とは、本明細書で使用される中鎖分岐状アミンオキシドの少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%~100重量%において、|n1-n2|が5以下、好ましくは4、最も好ましくは0~4の炭素原子であることを意味する。アミンオキシドは、C1~3アルキル、C1~3ヒドロキシアルキル基、又は平均して約1~約3個のエチレンオキシド基を含有するポリエチレンオキシド基から独立して選択される2つの部分を更に含む。好ましくは、2つの部分は、C1~3アルキルから選択され、より好ましくはいずれもC1アルキルとして選択される。
【0044】
あるいは、アミンオキシド界面活性剤は、ローカットアミンオキシド及びミッドカットアミンオキシドを含む、アミンオキシドの混合物である。本発明の組成物のアミンオキシドは、更にまた、
a)アミンオキシドの約10重量%~約45重量%の式R1R2R3AO(式中、R1及びR2は、独立して、水素、C1~C4のアルキル及びこれらの混合物から選択され、R3はC10のアルキル又はこれらの混合物から選択される)のローカットアミンオキシドと、
b)アミンオキシドの55重量%~90重量%の式R4R5R6AO(式中、R4及びR5は、独立して、水素、C1~C4のアルキル、又はこれらの混合物から選択され、R6は、C12~C16のアルキル又はこれらの混合物から選択される)のミッドカットアミンオキシドとを含む。
【0045】
本明細書で使用される好ましいローカットアミンオキシドにおいて、R3はn-デシルである。本明細書で使用される別の好ましいローカットアミンオキシドにおいて、R1及びR2は両方ともメチルである。本明細書で使用される特に好ましいローカットアミンオキシドにおいて、R1及びR2は両方ともメチルであり、R3はn-デシルである。
【0046】
好ましくはアミノオキシドは、式R7R8R9AO(式中、R7及びR8は水素、C1~C4のアルキル及びこれらの混合物から選択され、R9はC8のアルキル及びこれらの混合物から選択される)のアミンオキシドを、アミンオキシドの約5重量%未満、より好ましくは3重量%未満含む。R7R8R9AOを含む組成物は、不安定な傾向があり、強力な泡効果を提供しない。
【0047】
好適なベタイン界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミドアゾリニウムベタイン、スルホベタイン(INCIスルタイン)並びにホスホベタインなどのベタインが挙げられ、好ましくは次の式(I)に合致する。
【0048】
【化2】
式中、
R1は飽和又は不飽和C6~22アルキル残基であり、好ましくはC8~18アルキル残基、特に飽和C10~16アルキル残基、例えば、飽和C12~14アルキル残基であり、
Xは、NH、NR4(C1~4アルキル残基R4を有する)、O、又はSであり、
nは、1~10の数、好ましくは2~5、特に3であり、
xは、0又は1、好ましくは1であり、
R2、及びR3は独立して、ヒドロキシエチル、好ましくはメチルなどの、ヒドロキシ置換される可能性のあるC1~4アルキル残基であり、
mは1~4の数、特に1、2又は3であり、
yは、0又は1であり、
Yは、COO、SO3、OPO(OR5)O又はP(O)(OR5)Oであり、R5は水素原子H又はC1~4アルキル残基である)。
【0049】
好ましいベタインは、式(Ia)のアルキルベタイン、式(Ib)のアルキルアミドプロピルベタイン、式(Ic)のスルホベタイン、及び式(Id)のアミドスルホベタインであり;
【0050】
【化3】
式中、R1は式(I)の場合と同じものを意味する。特に好ましいベタインは、カルボベタイン[式中、Y-=COO-]であり、特に式(Ia)及び式(Ib)のカルボベタイン、より好ましくは、式(Ib)のアルキルアミドベタインである。
【0051】
好適なベタイン及びスルホベタインの例は、アーモンドアミドプロピルベタイン、アプリコットアミドプロピルベタイン、アボカドアミドプロピルベタイン、ババスアミドプロピルベタイン、ベヘナミドプロピルベタイン、ベヘニルベタイン、ベタイン、キャノーラミドプロピルベタイン、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、カルニチン、セチルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココベタイン、ココヒドロキシスルタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココスルタイン、デシルベタイン、ジヒドロキシエチルオレイルグリシネート、ジヒドロキシエチル大豆グリシネート、ジヒドロキシエチルステアリルグリシネート、ジヒドロキシエチルタローグリシネート、PG-ベタインのプロピルジメチコーン、エルカミドプロピルヒドロキシスルタイン、水素添加タローベタイン、イソステアラミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルスルタイン、ミルクアミドプロピルベタイン、ミンクアミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレイルベタイン、オリーブアミドプロピルベタイン、ヤシアミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、パルミトイルカルニチン、ヤシ仁アミドプロピルベタイン、ポリテトラフルオロエチレンアセトキシプロピルベタイン、リシノール酸アミドプロピルベタイン、セサミドプロピルベタイン、ソイアミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、タローアミドプロピルベタイン、タローアミドプロピルヒドロキシスルタイン、タローベタイン、タロージヒドロキシエチルベタイン、ウンデシレンアミドプロピルベタイン、及び小麦胚芽アミドプロピルベタインである[INCIに従って表記]。
【0052】
好ましいベタインは例えば、ココアミドプロピルベタインである。
【0053】
本発明の組成物の界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤と第一の補助界面活性剤とを含み、アニオン性界面活性剤の第一の補助界面活性剤に対する重量比は、約1:1~約8:1、好ましくは約2:1~約5:1、より好ましくは2.5:1~4:1である。この比を有する洗剤は、水を満たした流し台下で並びに洗浄用具への直接適用の消費者の洗浄習慣の下で使用される場合の両方で、良好な泡性能、特に、泡体積の構築及び泡体積保持性能を呈する。
【0054】
第二の補助界面活性剤
本発明の組成物は、第二の補助界面活性剤を含み得る。好ましくは、第二の補助界面活性剤は、非イオン性界面活性剤を含む。好ましくは、非イオン性界面活性剤としては、直鎖又は分岐鎖の一級若しくは二級アルキルアルコキシル化非イオン性界面活性剤、好ましくはアルキルエトキシル化非イオン性界面活性剤、好ましくは、そのアルキル鎖中に平均で9~15個、好ましくは10~14個の炭素原子と、アルコール1モル当たり平均で5~12、好ましくは6~10、最も好ましくは7~8単位のエチレンオキシドとを有するものである。本組成物は、界面活性剤系の1重量%~25重量%、より好ましくは1.25重量%~20重量%、より好ましくは1.5重量%~15重量%、最も好ましくは1.5重量%~5重量%のこのアルコキシル化、好ましくはエトキシル化非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0055】
あるいは、第二の補助界面活性剤は、アルキルポリグリコシド非イオン性界面活性剤を含む。好ましくは、本発明の組成物は、界面活性剤系の0.5重量%~20重量%、より好ましくは0.75重量%~15重量%、より好ましくは1重量%~10重量%、最も好ましくは1重量%~5重量%のアルキルポリグリコシド(「APG」)界面活性剤を更に含む。好ましくは、アルキルポリグリコシド界面活性剤は、C8~C16アルキルポリグリコシド界面活性剤、好ましくはC8~C14アルキルポリグリコシド界面活性剤であり、好ましくは0.1~3、より好ましくは0.5~2.5、更により好ましくは1~2の平均重合度を有するものである。最も好ましくは、アルキルポリグリコシド界面活性剤は、0.5~2.5、好ましくは1~2、最も好ましくは1.2~1.6の平均重合度で、10~16、好ましくは10~14、最も好ましくは12~14の平均アルキル炭素鎖長を有する。C8~C16アルキルポリグリコシドは、いくつかの供給者から市販されている(例えば、Seppic CorporationからのSimusol(登録商標)界面活性剤;及びBASF CorporationからのGlucopon(登録商標)600 CSUP、Glucopon(登録商標)650 EC、Glucopon(登録商標)600 CSUP/MB、並びにGlucopon(登録商標)650 EC/MB)。
【0056】
第二の補助界面活性剤はまた、アルコールアルコキシレート、好ましくはエトキシレートとAPG非イオン性界面活性剤との混合物を含むことができる。
【0057】
好ましくは、本発明の組成物は、カチオン性界面活性剤を含まないか又は実質的に含まない。
【0058】
好ましくは、本発明の組成物の界面活性剤系は、(i)界面活性剤系の70重量%~80重量%のアルキルエトキシサルフェートと、(ii)界面活性剤系の20重量%~30重量%のアミンオキシド界面活性剤とを含む。
【0059】
環状ポリアミン
本発明の環状ポリアミンは、洗浄用ポリアミンとして既知である。「洗浄用ポリアミン」とは、本明細書において、洗浄組成物の一部として洗浄に役立つアミン官能基を含む、本明細書の以下に描写される式を有する分子を意味する。
【0060】
本出願人は、驚くべきことに、これらの環状ポリアミンがまた、本発明による高度に分岐したアニオン性界面活性剤と一緒に配合されると、食器洗浄プロセスの全体を通じて泡立ち特性を改善するようにも働くことを発見した。これは、洗浄改善を目的とした場合に、これらが以前に記載されたように、泡の効果、特に洗浄プロセス全体を通じての泡一貫性の保持が、特定の環状ポリアミンと低分岐アニオン界面活性剤系とを組み合わせた配合物内では観察されていないために(実施例セクションを参照)、特に驚くべきことである。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の約0.1重量%~約5重量%、好ましくは約0.1重量%~2重量%の環状ポリアミンを含む。本明細書における用語「環状ポリアミン」は、単一のポリアミン及びその混合物を包含する。本ポリアミンは、それが使用される洗浄媒体のpHに依存してプロトン化に供され得る。
【0061】
本環状ポリアミンは、式(I)に一致し、
【0062】
【化4】
式中、ラジカルR
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5が独立して、NH2、-H、1~10個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル又はアルケニルから選択され、nは、1~3であり、ラジカルのうちの少なくとも1つは、NH2である。
【0063】
好ましくは、環状ポリアミンはジアミンであり、nは1であり、R2はNH2であり、R1、R3、R4、及びR5のうちの少なくとも1つはCH3であり、好ましくは残りのラジカルはHである。
【0064】
好ましくは、環状ポリアミンは、少なくとも2つの一級アミン官能基を有する環状ポリアミンである。一級アミンは、環内の任意の位置に存在してもよいが、油脂洗浄の観点から、一級アミンが1位、3位に存在する場合、良好な性能が得られることが見出されている。また、置換基のうちの1つが-CH3であり、残りがHであるアミンが油脂洗浄の観点で有利であることも判明している。
【0065】
2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される洗浄用アミンが、本明細書に用いるのに特に好ましい。
【0066】
我々は、驚くべきことに、洗剤配合物中にグリース洗浄効果を提供することが知られている特定の環状ポリアミンがまた、本発明による高度に分岐したアニオン性界面活性剤系と一緒に配合されると、食器洗浄プロセス中のより良好な泡効果、より持続した泡一貫性、及びより持続した泡白色度も可能にすることを見出した。このことは、低度に分岐したアニオン性界面活性剤系は、これらが先行技術の範囲内で、また本発明の範囲外で記載されているように、持続性の低い泡一貫性が得られることも判明したので、特に驚くべきことである。
【0067】
両親媒性ポリマー
本発明の組成物は、全組成物の約0.01重量%~約5重量%、好ましくは約0.05重量%~約2重量%、より好ましくは約0.07重量%~約1重量%の、両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン、両親媒性グラフトポリマー及びそれらの混合物、好ましくは両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミンからなる群から選択される両親媒性ポリマーを更に含み得る。
【0068】
好ましくは、両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミンは、100~5,000、好ましくは400~2,000、より好ましくは400~1,000ダルトンの平均分子量範囲を有するポリエチレンイミン主鎖を含むアルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーであり、アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、
i)修飾1個当たり平均約1~約50個のアルコキシ部分を有するポリアルコキシレン鎖による窒素原子1個当たり1個又は2個のアルコキシル化修飾であって、アルコキシル化修飾の末端アルコキシ部分が、水素、C1~C4アルキル、又はこれらの混合物でキャップされている、アルコキシル化修飾、
ii)修飾1個当たり平均約1~約50個のアルコキシ部分を有するポリアルコキシレン鎖による窒素原子1個当たり1つのC1~C4アルキル部分の添加及び1又は2個のアルコキシル化修飾であって、末端アルコキシ部分が水素、C1~C4アルキル、又はこれらの混合物でキャップされている、添加及びアルコキシル化修飾、又は
iii)これらの組み合わせを更に含み、
アルコキシ部分が、エトキシ(EO)及び/又はプロポキシ(PO)及び/又はブトキシ(BO)を含み、アルコキシル化修飾がEOを含む場合、それはPO又はBOも含む。
【0069】
好ましい両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、アルコキシル化鎖中にEO及びPO基を含み、PO基は好ましくはアルコキシ鎖の末端位置にあり、アルコキシル化鎖は好ましくは水素でキャップされている。アルコキシル化鎖内にエトキシ(EO)単位のみを含む親水性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーもまた、任意に、本発明の範囲内で配合することができる。
【0070】
例えばこれらに限定されるものではないが、ポリエチレンイミン主鎖の末端窒素原子に対する可能な修飾を以下に示す(ただし、Rはエチレンスペーサーを表し、EはC1~C4アルキル部分を表し、X-は適切な水溶性対イオンを表す)。
【0071】
【0072】
更に、例えば、これらに限定されるものではないが、ポリエチレンイミン主鎖の内部窒素原子に対する可能な修飾を以下に示す(ただし、Rはエチレンスペーサーを表し、EはC1~C4アルキル部分を表し、X-は適切な水溶性対イオンを表す)。
【0073】
【0074】
ポリエチレンイミン主鎖のアルコキシル化修飾は、平均約1~約50のアルコキシ部分、好ましくは約20~約45のアルコキシ部分、より好ましくは約30~約45のアルコキシ部分を有するポリアルコキシレン鎖による水素原子の置換からなる。アルコキシ部分は、エトキシ(EO)、プロポキシ(PO)、ブトキシ(BO)、及びこれらの混合物から選択される。しかし、エトキシ単位のみを含むアルコキシ部分は、本発明の範囲外である。好ましくは、ポリアルコキシレン鎖は、エトキシ/プロポキシブロック部分から選択される。より好ましくは、ポリアルコキシレン鎖は、約3~約30の平均エトキシル化度及び約1~約20の平均プロポキシル化度を有するエトキシ/プロポキシブロック部分、より好ましくは約20~約30の平均エトキシル化度及び約10~約20の平均プロポキシル化度を有するエトキシ/プロポキシブロック部分である。
【0075】
より好ましくは、エトキシ/プロポキシブロック部分は、3:1~1:1、好ましくは2:1~1:1のエトキシ単位とプロポキシ単位との相対比率を有する。最も好ましくは、ポリアルコキシレン鎖は、プロポキシ部分ブロックが末端アルコキシ部分ブロックである、エトキシ/プロポキシブロック部分である。
【0076】
この修飾により、ポリエチレンイミン主鎖の窒素原子は永久的に四級化され得る。永久的な四級化の程度は、ポリエチレンイミン主鎖の窒素原子の0%~約30%であり得る。永久的に四級化されるポリエチレンイミン主鎖の窒素原子は、30%未満であることが好ましい。最も好ましくは、四級化度は約0%である。
【0077】
好ましいポリエチレンイミンは、式(II)の一般構造を有し、
【0078】
【化7】
式中、ポリエチレンイミン主鎖の重量平均分子量は約600であり、式(II)のnの平均は約10であり、式(II)のmの平均は約7であり、式(II)のRは、水素、C
1~C
4アルキル、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは水素である。式(II)の永久的な四級化の度合は、ポリエチレンイミン主鎖窒素原子の0%~約22%であり得る。このポリエチレンイミンの分子量は、好ましくは10,000~15,000である。
【0079】
代替として、ポリエチレンイミンは式(II)の一般構造を有するが、ポリエチレンイミン主鎖の重量平均分子量は約600であり、式(II)のnの平均は約24であり、式(I)のmの平均は約16であり、式(I)のRは、水素、C1~C4アルキル、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは水素である。式(II)の永久的な四級化の度合は、ポリエチレンイミン主鎖窒素原子の0%~約22%であり得る。このポリエチレンイミンの分子量は、好ましくは25,000~30,000である。
【0080】
最も好ましいポリエチレンイミンは式(II)の一般構造を有し、ポリエチレンイミン主鎖の重量平均分子量は約600であり、式(II)のnの平均は約24であり、式(II)のmの平均は約16であり、式(II)のRは水素である。式(II)の永久的な四級化の程度は、ポリエチレンイミン主鎖の窒素原子の0%である。このポリエチレンイミンの分子量は、好ましくは大体約25,000~30,000、最も好ましくは約28,000である。
【0081】
これらのポリエチレンイミンは、PCT国際公開第2007/135645号により詳細に記載のとおり、例えば、二酸化炭素、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸、過酸化水素、塩酸、酢酸等の触媒の存在下でエチレンイミンを重合させることによって調製することができる。
【0082】
本発明の組成物は、i)塩、ii)ヒドロトロープ、iii)有機溶媒、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの活性物質を更に含み得る。
【0083】
塩
本発明の組成物は、全組成物の約0.05重量%~約2重量%、好ましくは約0.2重量%~約1.5重量%、又はより好ましくは約0.5重量%~約1重量%の塩、好ましくは一価の、二価の無機塩若しくはこれらの混合物、より好ましくは塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム若しくはこれらの混合物、最も好ましくは塩化ナトリウムを更に含み得る。
【0084】
ヒドロトロープ
好ましくは、本発明の組成物は、全組成物の約0.1重量%~約10重量%、又は好ましくは約0.5重量%~約10重量%、又はより好ましくは約1重量%~約6重量%のヒドロトープ若しくはその混合物、好ましくはクメンスルホン酸ナトリウムを更に含み得る。
【0085】
有機溶媒
本発明の組成物は、有機溶媒を更に含み得る。好適な有機溶媒としては、C4~14エーテル及びジエーテル、ポリオール、グリコール、アルコキシル化グリコール、C6~C16グリコールエーテル、アルコキシル化芳香族アルコール、芳香族アルコール、脂肪族直鎖又は分岐鎖アルコール、アルコキシル化脂肪族直鎖又は分岐鎖アルコール、アルコキシル化C1~C5アルコール、C8~C14アルキル及びシクロアルキル炭化水素及びハロ炭化水素、並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、有機溶媒としては、アルコール、グリコール、及びグリコールエーテル、あるいはアルコール及びグリコールが挙げられる。本組成物は、全組成物の0重量%~約50重量%未満、好ましくは約0.01重量%~約25重量%、より好ましくは約0.1重量%~約10重量%、又は最も好ましくは約0.5重量%~約5重量%の有機溶媒、好ましくはアルコール、より好ましくはエタノール、ポリアルキレングリコール、より好ましくはポリプロピレングリコール、及びこれらの混合物を含む。
【0086】
補助成分
本明細書の洗浄組成物は、ビルダー(例えば、好ましくはシトレート)、キレート剤、コンディショニングポリマー、洗浄ポリマー、表面改質ポリマー、汚れ凝集ポリマー、構造化剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、皮膚若返り有効成分、酵素、カルボン酸、スクラブ粒子、漂白剤及び漂白活性剤、香料、悪臭抑制剤、顔料、染料、乳白剤、ビーズ、真珠光沢粒子、マイクロカプセル、Ca/Mgイオンなどのアルカリ土類金属などの無機カチオン、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤(例えば、NaCl、並びに他の一価、二価、及び三価の塩)、並びにpH調整剤及び緩衝手段(例えば、クエン酸などのカルボン酸、HCl、NaOH、KOH、アルカノールアミン、リン酸及びスルホン酸、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、イミダゾールなど)などの多くの他の補助成分を任意選択的に含むことができる。
【0087】
本発明の第1の態様に関連して説明される本発明の組成物の各要素は、変更すべきところは変更して、発明の他の態様にも適用される。
【0088】
洗浄方法
別の態様では、本発明は、本発明の組成物により食器類を手洗いする方法を目的とする。この方法は、本発明の組成物を汚れた食器類又は洗浄用具に供給することと、水の存在下において本組成物で食器類を洗浄することと、任意選択で食器類をすすぐこととを含む。「すすぐ」とは、本発明によるプロセスによって洗浄された食器類を、実質的な量の適切な溶媒、典型的には水と接触させることを意味する。「実質的な量」とは、通常、約1L~約20Lを意味する。本組成物は、流し台の水に前溶解し、水性洗浄溶液を作成することができ、汚れた食器類が水性洗浄溶液中に浸漬される。続いて、食器類をすすいでもよい。
【0089】
本明細書の組成物は、希釈形態にて適用できる。汚れた食器類を、有効量、典型的には(処理される食器約25個当たり)約0.5mL~約20mL、好ましくは約3mL~約10mLの、水で希釈した本発明の洗剤組成物と、好ましくは液体形態で接触させる。使用される洗浄組成物の実際の量は使用者の判断に基づき、典型的には、洗浄組成物中の有効成分の濃度などを含む洗浄組成物の特定の製品配合、洗浄される汚れた食器の数、食器の汚れの度合などの要因に依存する。一般に、約0.01mL~約150mL、好ましくは約3mL~約40mLの本発明の洗浄組成物が、約1,000mL~約20,000mL、より典型的には約5,000mL~約15,000mLの範囲の容積容量を有する流しの中の、約2,000mL~約20,000mL、より典型的には約5,000mL~約15,000mLの水と組み合わされる。汚れた食器類をこのように得られた希釈した洗浄組成物を入れた流し台内に浸漬して、食器類の汚れた表面を布、スポンジ、又は類似の洗浄用具と接触させて洗浄する。布、スポンジ、又は類似の洗浄用具は、食器類と接触させる前に、洗浄組成物と水との混合物に浸漬させてもよく、通常は、約1~約10秒の範囲の時間にわたって食器類と接触させるが、実際の時間は各適用及び使用者によって異なる。布、スポンジ、又は類似の洗浄用具を食器類に接触させることは、好ましくは同時に食器類をこすることにより達成される。
【0090】
あるいは、未希釈の食器洗浄洗剤製品がまた、食器類に直接適用され得るか、又はより好ましくは、任意選択であるが好ましくは予め湿らせた洗浄用具、好ましくは予め湿らせたスポンジに直接適用され得る。典型的には、0.1mL~25mL、むしろ1mL~10mLの食器洗浄洗剤製品が、消費者によってスポンジ上に投入される。これにより、予め湿らせた洗剤を運ぶスポンジが、その結果、任意選択で予め湿らせた洗浄される食器類と接触する。洗浄作用は、適用された洗剤及び除去された汚れが食器類からすすぎ落とされ得るように、流れる水道水の下で実行され得る。あるいは、洗浄作用を、水を流さずに行わせ、続いて結果として生じるすすぎ工程を経て、適用された洗剤及び汚れを食器から除去することができる。本発明のこの方法では、この洗浄用具、好ましくはスポンジにおける水による組成物の溶解は、組成物が、20℃での脱塩水中の60%の製品濃度における組成物の初期粘度に基づいて、85%未満、好ましくは80%未満、より好ましくは75%未満、最も好ましくは65%~75%の粘度の減少を有することによって特徴付けられる、洗浄製品がもっぱら徐々に放出されるように遅延されるであろう。
【0091】
本発明の別の態様は、本発明の食器手洗い用洗浄組成物の、良好な泡立ち特性、より詳細には、洗浄プロセス全体を通じての持続した泡体積、持続した泡一貫性、及び持続した泡白色度のうちの少なくとも1つを提供するための使用を目的とする。好ましくは、この使用は、流し台を水で満たした洗浄条件及び洗浄用具上への製品の直接適用並びに水道水下での洗浄で適用可能である。
【0092】
試験方法
本明細書に記載され、特許請求される本発明をより完全に理解するためには、以下に記載するアッセイを用いなければならない。
【0093】
試験方法1:泡レオロジー試験
泡レオロジー試験は、スポンジに適用され、手動の絞り作用を通して攪拌されたときに、洗剤組成物から生じた泡の泡一貫性及び全体的な消費者受容性に代表される泡の物理的特性を測定することを目的とする。
【0094】
異なる製品濃度についての泡レオロジーを測定する場合に、洗浄工程全体を通じて洗浄水での希釈時の製品に対する泡の審美性の持続性も判定される。以下の工程により試験を行う。
1.試験製品毎に、目標とする製品濃度(例えば、10%、1%)の30gの水性洗浄溶液(例えば、15dHの水硬度、20℃)を調製する。
2.合成食器洗い用スポンジ(銘柄:Delhaize Belgiumグリップ付き磨き用スポンジ-寸法:長さ9.5cm、幅6.5cm、及び高さ4.5cm、品番17152/0000)を、洗濯機(銘柄:Miele Softronic W3205-Express cycle)内で、洗剤なしで40℃で32分間の3サイクル中及び15dHの水硬度で、それらを洗浄することによって事前調整する。
3.洗浄したスポンジを、標準的な実験室条件(例えば、20~22℃、40~60%のrH)下で、0.64m/秒の空気を流して、ドラフトチャンバ(銘柄:Kotermann2-453-GAHB型)下に2日間放置して乾燥させる。
4.各30gの洗浄液を、乾燥スポンジの磨き側とは反対側の軟質側に均一に分布させて、20秒間、洗浄液をスポンジ内に完全に浸漬させた。
5.ラテックスゴム手袋を装着しながら、かつ磨き側を下にした状態を保持しながら、スポンジを最大の力で5回手動で圧搾し(すなわち、1秒毎に1回の圧搾の頻度)、その後、スポンジ上に生成された泡をカップに回収し、スパチュラでレオメーター(TAレオメーターDHR1)の鋸歯状ペルチェプレート上に、鋸歯状のペルチェプレート表面全体が泡で覆われるように、移す。
6.泡レオロジーを、600のデータ点を測定する300秒の持続時間を有するせん断速度1/sで、1000μmのギャップにおいて、かつ20℃でのピーク保持手順に従って、鋸歯状平行プレート(上部及び底部の両方に鋸歯状形状を有する)を用いて測定する(応力定数=79577.5Pa/N.m、歪み定数=20 1/rad)。1秒後に測定した値を静的降伏応力として報告する。
7.各製品濃度における各試験製品について、3回の繰り返しを行い、測定した静的降伏応力値を、製品毎及び製品濃度毎に平均化する。製品の濃度及び繰り返しのそれぞれについて、新しい乾燥したスポンジを使用し、全ての試験は同じ熟練操作者によって実行する。
【0095】
2つの異なる濃度間のΔ降伏応力を、以下に記載した式に従って、より低い製品濃度の静的降伏応力値からより高い製品濃度の静的降伏応力値を減算することによって算出する。
Δ降伏応力(X%-Y%)=X%の製品濃度における静的降伏応力-Y%の製品濃度における静的降伏応力
【0096】
試験方法2:泡効果試験
食器洗浄液の特定の溶液によって生成される泡の体積の変化は、汚れの周期的注入の影響下で、特定の水硬度、溶液温度及び洗剤濃度に従う。データは、泡効果指標として参照生成物に対して比較されて表される(参照生成物は泡効果指標100を有する)。
【0097】
標的洗剤濃度(典型的には、特に言及しない限り、0.12%)に応じた規定量の食器洗浄生成物は、0.4MPa(4バール)の一定圧力で4Lまで流し台(寸法:円筒形-直径300mm及び高さ288mm)を満たし始める水流内へ、流し台の底面上37cmの高さで、0.67mL/秒の流量でピペットにより分注される。この圧力で、最初の泡体積はシンク内で発生する。
【0098】
最初の泡体積(平均泡高さ*流し台表面積)を記録した後、一定量の汚れ(6mL-組成については以下の表1を参照)を流し台の中央にほぼ即座に注入する一方、パドル(金属ブレード10×5cm、45度の角度で気相液相界面でシンクの中央に位置する)を85RPMで溶液内で20回回転させる。この工程後、すぐに泡体積の総量の別の測定が続く。測定した泡体積が400cm3に設定した最小レベルになるまで、汚れの注入工程、攪拌工程及び測定工程が繰り返される。最少レベルに達するのに必要な汚れの追加量が、その特定の試料の泡効果とみなされる。
【0099】
全プロセスが、試料当たり及び試験条件(温度-水硬度の組み合わせ)当たり、4回繰り返される。最終結果として、4回の繰り返しの平均泡効果が各試料毎に計算される。試験試料の平均泡効果と参照試料の平均泡効果を比較することにより、試験試料の性能と参照試料の性能の比較を示し、(試験試料の汚れ追加の平均数/参照試料の汚れ追加の平均数)*100として計算される泡効果指標として表される(すなわち、高ければ高いほど、より良好な泡効果)。
【0100】
【0101】
試験方法3:グリース乳化性試験
試験配合物を、水中(35℃の温度-2dH水硬度)に0.3%の生成物濃度で溶解することによって、洗浄液中の油性汚れの乳化及び再付着を防止する試験組成物の能力を評価する。300mLの水性洗浄溶液を、30mLの油性べたつき汚れ(消費者平均牛脂「CABF」調理用ショートニング-J&R Coordinating Services,Inc.-組成は表2を参照)/オリーブ油(「Extra Olijfolie van de eerste persing uit Spanje」-Carrefour Belgium)-30/70比の混合物及び0.1重量%の可視化赤色色素顔料(AveciaからのWaxoline Red YP FW)を更に含むものと共に、白色プラスチック容器(寸法:14cm*14cm*6cm-Fresh&Go 0.51/Curver)に添加し、1分当たり100回の振盪の頻度(1回の振盪=10cm上昇運動を1回及び10cmの下降運動を1回)で8分間手動で振盪させる。プラスチック容器の内側カバーの相対的な白色度を、同じ攪拌が加えられることを確実にするように一緒に振盪された比較組成物と試験組成物との間で、振盪後に直接視覚的に比較する。
【0102】
【実施例】
【0103】
以下の実施例は、本発明を更に例証するために与えられるものであり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の多くの変更が可能であることから、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。
【0104】
実施例1:環状ポリアミン組成物が泡一貫性に影響を及ぼす
本発明の組成物1は、特定の環状ポリアミン(BASFからBaxxodur(商標)ECX210として入手可能)と、高度に分岐したアニオン性界面活性剤とから作製された本発明による洗浄組成物の一例である。比較組成物1、2A、2B、及び3~5は、本発明の範囲外の様々な平均アルキル分岐度を有するアルキルエトキシサルフェート界面活性剤を含有し、及び/又は特定の環状ポリアミンが不在である参照組成物である。これらの組成物は、以下の表3にまとめており、全ての配合物が同様な粘度を有し、単一の変数の比較を可能にすることを確実にするためにエタノール及びPPGレベルが調整された状態で、それに開示された成分の混合の標準的な混合によって製造される。
【0105】
【表3】
*Baxxodur(商標)ECX210:4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン及び2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミンの混合物、BASFから入手可能。
【0106】
結果:本発明によるBaxxodur(商標)ECX210環状ポリアミン添加の、本発明の範囲外の平均AES分岐度を含む配合物(55%-比較組成物2A及び21%-比較組成物2B)及び本発明の範囲内の平均AES分岐度を含む配合物(42%-発明組成物1)に及ぼす影響を、本明細書に記載されるプロトコルに従って、泡一貫性について評価した。試験された組成物についてのΔ降伏応力を以下の表4に示す。
【0107】
このデータから、本発明による環状ポリアミンを、本発明の範囲内(42%)の分岐したAESに加えて添加することが、希釈時に泡一貫性を改善し(下限デルタ10-1値)、対照的に、本発明の範囲外(21%;55%)に添加されたとき、泡一貫性特性が悪化した(より高いデルタ10-1値)ことが明確に分かる。
【0108】
【0109】
実施例2:環状ポリアミン組成物が泡効果に影響を及ぼす
結果:本発明によるBaxxodur(商標)ECX210環状ポリアミン添加の、本発明の範囲外の重量平均AES分岐度を含む配合物(55%-比較組成物2A及び21%-比較組成物2B)及び本発明の範囲内の平均AES分岐度を含む配合物(42%-発明組成物1)に及ぼす影響を、本明細書に記載されるプロトコルに従って、泡効果について評価した。試験された組成物についての泡効果データを以下の表5に示す。
【0110】
このデータから、本発明による環状ジアミンを食器洗浄組成物に加えて添加することが、泡効果を増加させること、及びこの増加が、本発明の範囲外のAES分岐に加えて添加されたときと比べて、本発明の範囲内のAES分岐に加えて添加されたときにより顕著であることが明確に分かる。
【0111】
【0112】
実施例3:環状ポリアミン組成物がグリース再付着に影響を及ぼす
Baxxodur(商標)ECX210環状ポリアミンを含み、かつ本発明による平均AES分岐度(42%-発明組成物1)を含む試験組成物を、本発明による環状ポリアミンを含まず、本発明の範囲外の重量平均AES分岐度(33.44%-比較組成物5)を含む比較組成物と、洗浄プロセス全体を通じてのグリース再付着を防止するそれらの能力について、本明細書に記載されるグリース乳化試験プロトコルに従って比較した。
【0113】
結果:得られた槽カバーを
図1に示す。本発明の範囲外の比較組成物(比較組成物5)と比べて、本発明による試験組成物(発明組成物1)で、非常に白い槽カバーによって証明されるように、かなり少ないグリースが再付着したことが明確に分かる。
【0114】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に指示がない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。