(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/01 20060101AFI20221219BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20221219BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G03G15/01 Y
G03G21/14
G03G15/00 303
(21)【出願番号】P 2018169153
(22)【出願日】2018-09-10
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】濱野 晃
(72)【発明者】
【氏名】石川 林
(72)【発明者】
【氏名】辻村 宗士
(72)【発明者】
【氏名】今井 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】後久 斉文
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-101721(JP,A)
【文献】特開2015-215512(JP,A)
【文献】特開2018-079666(JP,A)
【文献】特開2010-102122(JP,A)
【文献】特開2014-052492(JP,A)
【文献】特開2006-154555(JP,A)
【文献】特開2010-002744(JP,A)
【文献】特開2005-199708(JP,A)
【文献】特開2003-207976(JP,A)
【文献】特開2008-009107(JP,A)
【文献】特開2007-182018(JP,A)
【文献】特開2015-200798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/01
G03G 15/00
G03G 21/14
G03G 21/00
G03G 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に異なる色の画像を形成する複数の画像形成手段と、
前記画像を前記像担持体からシートへ転写する転写部と、
前記像担持体に形成された色ずれ検出用のカラーパターンを測定する測定手段と、
前記複数の画像形成手段に
複数の色
で構成される前記カラーパターンを形成させ、前記測定手段に前記カラーパターンを測定させ
、前記測定手段による前記カラーパターンの測定結果に基づいて
前記複数の画像形成手段により形成される各色の画像の位置のずれである色ずれを検出し
、前記検出された色ずれに基づいて
前記複数の画像形成手段により形成される画像の位置を制御する制御手段と、
前記制御手段により検出された前記色ずれに関するデータを記憶する記憶手段と、
温度を検出する温度検出手段と、を有し、
前記記憶手段は、過去に所定時間以上にわたって前記複数の画像形成手段が画像を形成する画像形成動作を実行することなく放置されたあとの前記画像形成動作の実行前に前記カラーパターンを前記測定手段により測定したときの前記温度検出手段の検出結果である第1温度及び該測定により検出された前記色ずれに関するデータである第1色ずれデータを記憶しており、
前記制御手段は、
新たに前記所定時間以上にわたって
前記複数の画像形成手段が前記画像形成動作を実行することなく放置された後に
前記画像形成動作が実行される場合、前記画像形成動作が実行される前に前記カラーパターンを形成するか否かを、前記温度検出手段による検出温度
と前記記憶手段に記憶されている前記第1温度とに基づいて
決定し、
前記カラーパターンを形成しないと決定すると、前記記憶手段に記憶されている
前記第1色ずれデータに基づいて
、前記画像形成手段により形成される画像の位置を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記温度検出手段と異なる位置に設けられた他の温度検出手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記画像形成位置を前記検出された色ずれと前記他の温度検出手段による検出温度に基づいて制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の画像形成手段は、複数の感光体と、前記複数の感光体に静電潜像を形成するために前記複数の感光体を露光する露光手段と、前記複数の感光体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、を含み、
前記他の温度検出手段は、前記露光手段の温度を検出することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記所定時間以上にわたって
前記複数の画像形成手段が前記画像形成動作を行うことなく放置された後に前記画像形成動作が実行される場合、前記温度検出手段による前記検出温度と
前記第1温度との差が所定温度未満
ならば前記カラーパターンを形成しないと決定し、前記差が前記所定温度以上ならば
、前記カラーパターンを形成
すると決定して放置後の前記色ずれを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記画像形成動作が実行されている状態で前記温度検出手段による前記検出温度と前記
第1温度との差が前記所定温度より小さい
第2所定温度以上であれば、前記画像形成動作を実行した後に前記カラーパターンを
形成し、形成したカラーパターンを測定して前記色ずれを検出することを特徴とする請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記第1色ずれデータを求める直前の前記所定時間以上にわたって放置された期間よりも更に前に前記所定時間以上にわたって放置された後に前記画像形成動作が実行される前に前記カラーパターンが形成され、形成されたカラーパターンが測定された結果により検出された色ずれに関するデータである第2色ずれデータを記憶しており、
前記制御手段は、
新たに前記所定時間以上にわたって
前記複数の画像形成手段が前記画像形成動作を行うことなく放置された後に前記カラーパターンを形成せずに前記画像形成動作が実行される場合、前記画像形成位置を、前記記憶手段に記憶されている
前記第1色ずれデータ及び前記第2色ずれデータに基づいて制御することを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光の走査により画像形成を行うレーザプリンタやデジタル複写機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式でカラー画像を形成する画像形成装置は、高速化のために複数の画像形成部を備える。各画像形成部は、例えば帯電、露光、現像の各工程により、対応する色の画像を感光体に形成する。各画像形成部の感光体に形成された画像は、順次、転写体やシートに重畳して転写されることで、フルカラーの画像となる。このような画像形成装置は、感光体の露光に、レーザスキャナを用いる。レーザスキャナは、レーザ光を偏光器により偏向して感光体を露光する。偏光器は発熱する。レーザスキャナは、偏光器の発熱によりレンズやミラー等の光学部品に、変形や位置、姿勢の変化が生じる。光学系のこのような変化は、レーザ光の照射位置のずれの原因となる。照射位置のずれは、各色の画像を重畳したときの画像間のずれとなる。画像間のずれによりカラー画像に色ずれが生じる。
【0003】
画像形成装置は、色ずれに対して色ずれ補正を行う。色ずれ補正は、感光体から画像が転写される転写体上に色ずれの検出用画像を形成し、センサにより検出用画像を読み取ることで色ずれ補正値を検出し、この色ずれ補正値に応じて画像の書き出しタイミング等を調整することで行われる。画像の書き出しタイミングは、レーザスキャナによる感光体の露光開始のタイミングである。このような色ずれ補正を、以下、「オートレジ」とよぶ。
【0004】
オートレジは、適当な時間間隔或いは画像形成を行った所定枚数毎に行われる。特に一日の最初の画像形成時は、前日の夜の画像形成時との間で昇降温のヒステリシスの影響が大きいために、オートレジを行う必要性が高くなる。頻繁なオートレジは、ダウンタイムの増加を招く。実際には、電源投入時の画像形成装置内の状態は、前回の電源投入時の状態と類似していることが多い。そのために特許文献1は、前回の電源投入時の画像形成装置の温度との差分が所定温度未満の場合に、前回の電源投入時の色ずれ補正値を用い、差分が所定温度以上の場合に新たな色ずれ補正値の検出を行う画像形成装置を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像形成装置の電源投入のタイミングは、日によってばらつきがある。そのために、画像形成装置の機外温度や機内温度もばらつきを有する。このような温度のばらつきは、直接色ずれ量に影響するために、色ずれ補正による補正残差が大きくなる。補正残差が許容できないほど大きい場合には、オートレジの実行頻度が増加する。従来の画像形成装置は、電源投入を契機にしてオートレジの実行判断を行っている。実運用上は、画像形成装置は、長時間放置後にもオートレジを行う。そのためにオートレジの頻度を減らしてダウンタイムを低減させた画像形成装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体に異なる色の画像を形成する複数の画像形成手段と、前記画像を前記像担持体からシートへ転写する転写部と、前記像担持体に形成された色ずれ検出用のカラーパターンを測定する測定手段と、前記複数の画像形成手段に複数の色で構成される前記カラーパターンを形成させ、前記測定手段に前記カラーパターンを測定させ、前記測定手段による前記カラーパターンの測定結果に基づいて前記複数の画像形成手段により形成される各色の画像の位置のずれである色ずれを検出し、前記検出された色ずれに基づいて前記複数の画像形成手段により形成される画像の位置を制御する制御手段と、前記制御手段により検出された前記色ずれに関するデータを記憶する記憶手段と、温度を検出する温度検出手段と、を有し、前記記憶手段は、過去に所定時間以上にわたって前記複数の画像形成手段が画像を形成する画像形成動作を実行することなく放置されたあとの前記画像形成動作の実行前に前記カラーパターンを前記測定手段により測定したときの前記温度検出手段の検出結果である第1温度及び該測定により検出された前記色ずれに関するデータである第1色ずれデータを記憶しており、前記制御手段は、新たに前記所定時間以上にわたって前記複数の画像形成手段が前記画像形成動作を実行することなく放置された後に前記画像形成動作が実行される場合、前記画像形成動作が実行される前に前記カラーパターンを形成するか否かを、前記温度検出手段による検出温度と前記記憶手段に記憶されている前記第1温度とに基づいて決定し、前記カラーパターンを形成しないと決定すると、前記記憶手段に記憶されている前記第1色ずれデータに基づいて、前記画像形成手段により形成される画像の位置を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、オートレジの頻度を減らしてダウンタイムを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図8】レーザスキャナ内温度及び機外温度の経時変化を表すグラフ。
【
図9】レーザスキャナ内温度と色ずれ量との関係を表すグラフ。
【
図10】ジョブ開始から補正値の算出までの処理を表すフローチャート。
【
図12】ジョブ開始から補正値の算出までの処理を表すフローチャート。
【
図13】ジョブ開始から補正値の算出までの処理を表すフローチャート。
【
図14】放置ジョブの色ずれ予測可否判断の説明図。
【
図15】放置ジョブの色ずれ予測可否判断の説明図。
【
図16】ジョブ開始から補正値の算出までの処理を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0011】
(画像形成装置の構成)
図1は、電子写真方式の画像形成装置の構成図である。画像形成装置100は、4基の画像形成部101Y、101M、101C、101K、レーザスキャナ200、中間転写ベルト106、定着器108、及びシートの給送機構を備える。画像形成部101Yは、イエロー(Y)のトナー像を形成するための作像部である。画像形成部101Mは、マゼンタ(M)のトナー像を形成するための作像部である。画像形成部101Cは、シアン(C)のトナー像を形成するための作像部である。画像形成部101Kは、ブラック(K)のトナー像を形成するための作像部である。シートの給送機構は、シートを収容する収容部109から排紙部110へシートを給送する。シートは、搬送中に画像が形成される。レーザスキャナ200は、鉛直方向において画像形成部101Y、101M、101C、101Kと収容部109との間に配置される。
【0012】
画像形成部101Y、101M、101C、101Kは、それぞれ感光体である感光ドラム102Y、102M、102C、102Kを備える。感光ドラム102Y、102M、102C、102Kは、中間転写ベルト106に沿って、水平方向に並んで配列される。感光ドラム102Y、102M、102C、102Kは、図中時計回り方向に回転する。感光ドラム102Y、102M、102C、102Kの中間転写ベルト106を挟んで対向する位置には、転写ローラ105Y、105M、105C、105Kが設けられる。感光ドラム102Y、102M、102C、102Kと転写ローラ105Y、105M、105C、105Kとの間には、転写部Ty、Tm、Tc、Tkが形成される。
【0013】
感光ドラム102Y、102M、102C、102Kの周囲には、回転方向に沿って、帯電器103Y、103M、103C、103K、現像器104Y、104M、104C、104K、ドラムクリーナ111Y、111M、111C、111Kが設けられる。帯電器103Y、103M、103C、103Kは、対応する感光ドラム102Y、102M、102C、102Kの表面を一様に帯電する。帯電された感光ドラム102Y、102M、102C、102Kは、レーザスキャナ200により露光されることで、表面に静電潜像が形成される。レーザスキャナ200は、光ビーム(レーザ光)LY、LM、LC、LKを出射する。レーザスキャナ200は、レーザ光LY、LM、LC、LKにより感光ドラム102Y、102M、102C、102Kを走査することで静電潜像を形成する。
【0014】
現像器104Y、104M、104C、104Kは、感光ドラム102Y、102M、102C、102Kに形成された静電潜像を、対応する色のトナー等の現像剤により現像する。これにより感光ドラム102Y、102M、102C、102Kには、対応する色のトナー像が形成される。各感光ドラム102Y、102M、102C、102Kに形成されたトナー像は、転写部Ty、Tm、Tc、Tkにおいて、転写ローラ105Y、105M、105C、105Kにより中間転写ベルト106に転写される。中間転写ベルト106は、図中反時計回りに回転する像担持体である。各色のトナー像は、回転方向の上流側から順に転写される。画像形成部101Y、101M、101C、101Kで形成された各色成分に対応するトナー像が中間転写ベルト106上に順次重ねて転写されることで、中間転写ベルト106上にはフルカラーのトナー像が形成される。このようにして中間転写ベルト106は、フルカラーのトナー像を担持する。ドラムクリーナ111Y、111M、111C、111Kは、転写後に感光ドラム102Y、102M、102C、102Kに残留するトナーを除去する。中間転写ベルト106は、回転することでトナー像を転写部T2へ搬送する。転写部T2は、トナー像が中間転写ベルト106からシートへ転写される位置に相当し、シートを搬送する搬送経路上に設けられる。
【0015】
シートは、収容部109から搬送経路に給紙される。搬送経路は、シートの搬送方向の上流側から順に、給紙ローラ120、レジストローラ121、転写部T2を構成する転写ローラ107、定着器108を備える。給紙ローラ120は、収容部109から搬送経路へ1枚ずつシートを給紙する。給紙ローラ120は、シートをレジストローラ121へ搬送する。レジストローラ121は、シートの斜行補正を行い、中間転写ベルト106がトナー像を転写部T2へ搬送するタイミングに合わせて、シートを転写部T2へ搬送する。
【0016】
中間転写ベルト106上のトナー像とシートとが転写部T2に進入すると、転写ローラ107に転写電圧が印加される。これにより、中間転写ベルト106上のトナー像がシートに転写される。トナー像が転写されたシートは、定着器108へ搬送される。定着器108は、シートを加熱しつつ搬送することで、シートにトナー像を定着させる。これによりシートへの画像形成が終了する。その後、シートは排紙部110に排出される。なお、中間転写ベルト106の近傍には、転写体クリーナ112が配置される。転写体クリーナ112は、中間転写ベルト106に当接するブレードを有する。転写体クリーナ112は、ブレードにより転写後に中間転写ベルト106に残留するトナーを掻き取ることで、中間転写ベルト106を清掃する。
以上のような画像形成部101Y、101M、101C、101K、中間転写ベルト106、及び転写ローラ107は、鉛直方向で収容部109と排紙部110との間に配置される象形成部として機能する。
【0017】
本実施形態の画像形成装置100は、異なる色の複数の画像間の色ずれ(画像形成位置のずれ)を補正するための色ずれ補正機能を有している。そのために画像形成装置100は、中間転写ベルト106上に形成される後述の色ずれ検出用の検出用画像(カラーパターン)を検出するための色ずれ検出センサ400を備える。検出用画像は、イエロー、マゼンタ、シャム、ブラックの全色のパターン(トナー像)を含んで形成される。色ずれ検出センサ400は、4色すべての検出用画像を検出可能で且つ転写部T2の転写ローラ107のローラ圧によって検出用画像の形状がくずされることのない位置で検出用画像を検出するように配置される。
【0018】
本実施形態の画像形成装置100は、温度変化量をトリガとして色ずれ補正を行う。そのために画像形成装置100は、本体が設置される環境温度(機外温度)を検出するための機外温度センサ601と、レーザスキャナ200の温度(レーザスキャナ内温度)を検出するレーザスキャナ内温度センサ602と、を備える。画像形成装置100は、機外温度及びレーザスキャナ内温度のそれぞれの温度変化量の大きさに応じて、色ずれ補正の実行の可否を判断する。なお、温度センサは、機外温度と機内温度とを検出できる位置に設けられればよい。例えば、機内温度を検出する温度センサは、レーザスキャナ200の基板、画像形成部101Y、101M、101C、101K、定着器108等に設けられてもよい。この場合、これらの温度センサにより検出される温度変化量に応じて、画像形成装置100が色ずれ補正の実行の可否を判断することになる。各温度センサは温度検出手段である。
【0019】
(レーザスキャナ)
図2、
図3は、レーザスキャナ200の説明図である。
図2は、レーザスキャナ200の断面図であり、
図3は、レーザスキャナ200の透過斜視図である。レーザスキャナ200の筐体85の側面には、感光ドラム102Y、102M、102C、102Kを露光するために、それぞれに対応して設けられる不図示の半導体レーザを含む光源ユニット93a、93bが配置される。光源ユニット93aは、感光ドラム102Y、102Mにレーザ光LY、LMを照射するための半導体レーザを含む。光源ユニット93bは、感光ドラム102C、102Kにレーザ光LC、LKを照射するための半導体レーザを含む。筐体85の側壁には開口が設けられる。光源ユニット93a、93bの半導体レーザは、出射するレーザ光が開口を介して筐体85内に入射する位置に配置される。
【0020】
筐体85は、回転多面鏡(ポリゴンミラー)42、ポリゴンミラー42を回転駆動する駆動モータ41、及び駆動モータ41を制御する不図示の回路基板を含む偏向ユニットを内部に備える。また、筐体85は、内部に光学レンズ60a~60d及び反射ミラー62a~62hを含む光学系を備える。このような筐体85を介して、半導体レーザから出射されたレーザ光は、感光ドラム102Y、102M、102C、102Kへ導かれる。
【0021】
感光ドラム102Kに照射されるレーザ光LKは、光源ユニット93b内の半導体レーザから筐体85に入射され、ポリゴンミラー42により偏向されて光学レンズ60a、60bを通過し、反射ミラー62aにより反射される。反射ミラー62aにより反射されたレーザ光LKは、筐体85に設けられる不図示の透明窓を通過して感光ドラム102Kを照射する。レーザ光LKは、ポリゴンミラー42の回転によって偏向角が変動することで、感光ドラム102Kを走査する。
【0022】
感光ドラム102Cに照射されるレーザ光LCは、光源ユニット93b内の半導体レーザから筐体85に入射され、ポリゴンミラー42により偏向されて光学レンズ60a、60bを通過し、反射ミラー62b、62c、62dにより反射される。反射ミラー62dにより反射されたレーザ光LCは、筐体85に設けられる不図示の透明窓を通過して感光ドラム102Cを照射する。レーザ光LCは、ポリゴンミラー42の回転によって偏向角が変動することで、感光ドラム102Cを走査する。
【0023】
感光ドラム102Mに照射されるレーザ光LMは、光源ユニット93a内の半導体レーザから筐体85に入射され、ポリゴンミラー42により偏向されて光学レンズ60c、60dを通過し、反射ミラー62e、62f、62gにより反射される。反射ミラー62gにより反射されたレーザ光LMは、筐体85に設けられる不図示の透明窓を通過して感光ドラム102Mを照射する。レーザ光LMは、ポリゴンミラー42の回転によって偏向角が変動することで、感光ドラム102Mを走査する。
【0024】
感光ドラム102Yに照射されるレーザ光LYは、光源ユニット93a内の半導体レーザから筐体85に入射され、ポリゴンミラー42により偏向されて光学レンズ60c、60dを通過し、反射ミラー62hにより反射される。反射ミラー62hにより反射されたレーザ光LYは、筐体85に設けられる不図示の透明窓を通過して感光ドラム102Yを照射する。レーザ光LYは、ポリゴンミラー42の回転によって偏向角が変動することで、感光ドラム102Yを走査する。
【0025】
このように光源ユニット93a、93bから出射されたレーザ光LY、LM、LC、LKは、筐体85内のポリゴンミラー42及び光学系により感光ドラム102Y、102M、102C、102Kへ案内されて結像する。ポリゴンミラー42の回転に応じて、レーザ光LY、LM、LC、LKが感光ドラム102Y、102M、102C、102K上で結像する露光位置は移動する。これにより感光ドラム102Y、102M、102C、102Kがレーザ光LY、LM、LC、LKにより走査される。
【0026】
(色ずれ補正の説明)
図4、
図5、
図6は、本実施形態の色ずれ補正の説明図である。なお、以下の説明において、レーザスキャナ200がレーザ光LY、LM、LC、LKで感光ドラム102Y、120M、120C、102Kを走査する方向が主走査方向であり、主走査方向に直交する方向が副走査方向である。主走査方向は、中間転写ベルト106が回転する方向(搬送方向)に直交する方向である。副走査方向は、中間転写ベルト106が回転する方向(搬送方向)である。
【0027】
図4は、副走査方向の色ずれ補正の説明図である。副走査方向の色ずれ検出用の検出用画像は、イエローの補正パターン501Y、マゼンタの補正パターン501M、シアンの補正パターン501C、及びブラックの補正パターン501Kを含む。各色の補正パターン501Y、501M、501C、501Kは、主走査方向に延びる線状の画像である。イエローの補正パターン501Y、マゼンタの補正パターン501M、シアンの補正パターン501C、及びブラックの補正パターン501Kは、主走査方向に平行で且つ副走査横行に所定の間隔で中間転写ベルト106上に形成される。色ずれ補正の基準色はイエローの補正パターン501Yである。4色の補正パターン501Y、501M、501C、501Kが、1セットの副走査方向の色ずれ検出用の検出用画像となる。
【0028】
副走査方向の色ずれ量は、以下のように測定される。ここでは、マゼンタの副走査方向の色ずれ量について説明する。各補正パターン501Y、501M、501C、501Kの重心位置が色ずれ検出センサ400の検出結果から検出される。色ずれが生じていない場合の各補正パターン501Y、501M、501C、501Kの重心位置をYR1、MR1、CR1、KR1とする。
【0029】
レーザスキャナ200の熱膨張等により副走査方向の露光位置が変化する場合、マゼンタの補正パターン501Mは、副走査方向にずれて、補正パターン501M’の位置に形成される。マゼンタの補正パターン501M’の重心位置は、位置MR1からずれた位置MR1’になる。イエローの補正パターン501Yに対するマゼンタの補正パターン501M’の副走査方向の色ずれ量は、以下の式で表される。
副走査色ずれ量=(MR1’-YR1)-(MR1-YR1)=MR1’-MR1
【0030】
算出された副走査方向の色ずれ量を補正値として、レーザスキャナ200による画像の書き出しタイミングを調整することで副走査方向の色ずれ補正が行われる。他の色のイエローを基準とした副走査方向の色ずれ補正も同様に行われる。なお、ここではイエローを基準色として説明したが、基準色は他の色であってもよい。
【0031】
図5は、主走査方向の色ずれ補正の説明図である。主走査方向の色ずれ検出用の検出用画像は、イエローの補正パターン521Y、522Y、マゼンタの補正パターン521M、522M、シアンの補正パターン521C、522C及びブラックの補正パターン521K、522Kを含む。各色の補正パターン521Y、521M、521C、521Kは、主走査方向に対して所定の角度θ傾いた線状の画像である。各色の補正パターン522Y、522M、522C、522Kは、主走査方向に対して所定の角度-θ傾いた線状の画像である。補正パターン521Y、521M、521C、521Kと補正パターン522Y、522M、522C、522Kとは、主走査方向に対して逆方向に同じ角度傾いて形成されることになる。イエローの補正パターン521Y、マゼンタの補正パターン521M、シアンの補正パターン521C、及びブラックの補正パターン521Kは、それぞれ平行に且つ副走査方向に所定の間隔で中間転写ベルト106上に形成される。イエローの補正パターン522Y、マゼンタの補正パターン522M、シアンの補正パターン522C、及びブラックの補正パターン522Kは、それぞれ平行に且つ副走査方向に所定の間隔で中間転写ベルト106上に形成される。色ずれ補正の基準色はイエローの補正パターン521Y、522Yである。4色の補正パターン521Y、522Y、521M、522M、521C、522C、521K、522Kが、1セットの主走査方向の色ずれ検出用の検出用画像となる。
【0032】
主走査方向の色ずれ量は、以下のように測定される。ここでは、マゼンタの主走査方向の色ずれ量について説明する。主走査方向の色ずれ量も副走査方向の重心位置に基づいて測定される。各補正パターン521Y、522Y、521M、522M、521C、522C、521K、522Kの重心位置が色ずれ検出センサ400の検出結果から検出される。色ずれが生じていない場合の各補正パターン521Y、522Y、521M、522M、521C、522C、521K、522Kの重心位置をYR3、YR4、MR3、MR4、CR3、CR4、KR3、KR4とする。
【0033】
レーザスキャナ200の熱膨張等により主走査方向の露光位置が変化する場合、マゼンタの補正パターン521M、522Mは、主走査方向にずれて、補正パターン521M’、522M’の位置に形成される。マゼンタの補正パターン521M’、522M’の重心位置は、位置MR3、MR4からずれた位置MR3’、MR4’になる。色ずれ検出センサ400の読取位置は図中点線で表される。イエローの補正パターン521Y、522Yに対するマゼンタの補正パターン521M’、522M’の副走査方向の色ずれ量は、幾何学的に両者が等しいことから、以下の式で表される。
副走査色ずれ量={(MR3’-YR3)-(MR4’-YR4)}/2
【0034】
算出された副走査方向の色ずれ量は、補正パターンが主走査方向に対して傾く角度θを用いて、以下の式により主走査方向の色ずれ量に変換される。
主走査色ずれ量={(MR3’-YR3)-(MR4’-YR4)}/2tanθ
【0035】
算出された主走査方向の色ずれ量を補正値として、レーザスキャナ200による画像の書き出しタイミングを調整することで主走査方向の色ずれ補正が行われる。他の色のイエローを基準とした主走査方向の色ずれ補正も同様に行われる。なお、ここではイエローを基準色として説明したが、基準色は他の色であってもよい。
【0036】
図6は、実際の色ずれ補正時に中間転写ベルト106上に形成される色ずれ検出用の検出用画像の例示図である。本実施形態では、
図4の検出用画像と
図5の検出用画像とが組み合わされる。
図6では、6セットの副走査方向の色ずれ検出用の検出用画像と、2セットの主走査方向の色ずれ検出用の検出用画像とが組み合わされ、それぞれ中間転写ベルト106の主走査方向の両端部に形成される。なお、各検出用画像のセット数や、形成される順序はこれに限らない。また、各補正パターンの形状も、
図4、
図5に例示したものに限らず、縦線、十字線、三角形等であってもよい。
【0037】
(コントローラ)
図7は、画像形成装置100の動作を制御するためのコントローラの説明図である。コントローラ700は、CPU(Central Processing Unit)703、RAM(Random Access Memory)704、メモリ705、入力IF701、及び出力IF702を備える。CPU703は、メモリ705に格納されるコンピュータプログラムを、RAM704を作業領域に用いて実行することで、画像形成装置100全体の動作を制御する。
【0038】
入力IF701は、入力インタフェースであり、色ずれ検出センサ400、機外温度センサ601、及びレーザスキャナ内温度センサ602が接続される。入力IF701は、色ずれ検出センサ400、機外温度センサ601、及びレーザスキャナ内温度センサ602による検出結果を取得してCPU703へ送信する。また、入力IF701は、不図示の入力装置が接続される。入力装置は、例えば画像形成装置100に設けられるタッチパネルや各種のキーボタンである。入力IF701は、入力装置からの指示等をCPU703へ送信する。
【0039】
出力IF702は、出力インタフェースであり、CPU703の指示に応じて各種の制御信号を画像形成部101Y、101M、101C、101K、レーザドライバ707、転写部T2、及び定着器108へ送信する。レーザドライバ707は、受信した制御信号に応じてレーザスキャナ200を駆動制御する。
【0040】
RAM704は、上記の通り作業領域に用いられる他に、記憶領域7041~7045が設けられる。記憶領域7041は、色ずれ補正の必要性を示す色ずれ補正フラグが記憶される。色ずれ補正の必要性は、例えば、機外温度センサ601及びレーザスキャナ内温度センサ602による検出結果(機外温度、レーザスキャナ内温度)に応じてCPU703により判断される。記憶領域7042は、中間転写ベルト106に形成された検出用画像の色ずれ検出センサ400による検出結果(パターン読取データ)が記憶される。記憶領域7043は、機外温度センサ601及びレーザスキャナ内温度センサ602の現在の検出結果である現在温度(機外温度Tout、レーザスキャナ内温度Tscn)が記憶される。記憶領域7044は、現在時刻tが記憶される。記憶領域7045は、パターン読取データから検出される色ずれ量に基づく色ずれ補正値Xが記憶される。色ずれ補正時には、色ずれ補正値Xに基づいてレーザスキャナ200による画像の書き出しタイミングが補正される。
【0041】
メモリ705は、不揮発性メモリやHDD(Hard Disk Drive)等で構成され、上記のコンピュータプログラムの他に、記憶領域7051~7060が形成される。記憶領域7051は、前回のオートレジ時に算出した補正値aregXが記憶される。記憶領域7053は、前回のオートレジ時の、機外温度センサ601の検出結果(機外温度aregTout)及びレーザスキャナ内温度センサ602の検出結果(レーザスキャナ内温度aregTscn)が記憶される。記憶領域7052は、前回の放置ジョブ時のオートレジの際に算出された補正値m1aregXが記憶される。記憶領域7054は、前回の放置ジョブに基づいて画像が形成される前にオートレジが実行された場合の、機外温度センサ601の検出結果(機外温度m1aregTout)が記憶される。また、記憶領域7054は、前回の放置ジョブに基づいて画像が形成される前にオートレジが実行された場合の、レーザスキャナ内温度センサ602の検出結果(レーザスキャナ内温度m1aregTscn)が記憶される。「放置ジョブ」については後述する。
【0042】
記憶領域7055は、前回のジョブが終了した時刻prevtが記憶される。記憶領域7056は、オートレジの際に中間転写ベルト106上に形成される検出用画像の画像データが記憶される。記憶領域7057、7058は、サーマルシフトの2つの予測式が記憶される。記憶領域7059は、時間閾値tthが記憶される。記憶領域7060は、温度閾値Tth1、Tth2が記憶される。
【0043】
CPU703は、オートレジ演算部7031、サーマルシフト予測演算部7032、及び放置ジョブ判別部7033を備える。CPU703は、画像形成部101Y~101Kにより中間転写ベルト106上に色ずれ検出用の検出用画像を形成する。CPU703は、中間転写ベルト106上の検出用画像の色ずれ検出センサ400による検出結果(パターン読取データ)を取得する。CPU703は、検出結果から算出される色ずれ量(色ずれ量データ)から色ずれ補正値Xを取得する。
【0044】
CPU703は、オートレジ演算部7031、サーマルシフト予測演算部7032、及び放置ジョブ判別部7033により色ずれ補正値Xを算出する。この際、CPU703は、機外温度センサ601の検出結果(機外温度)及びレーザスキャナ内温度センサ602の検出結果(レーザスキャナ内温度)に基づいて色ずれ量を予測する。CPU703は、以降の画像形成時において、レーザスキャナ200による画像の書き出しタイミングを補正値Xに応じて補正することで、色ずれを低減する。
オートレジ演算部7031は、中間転写ベルト106上の検出用画像の色ずれ検出センサ400による検出結果(パターン読取データ)に基づいて色ずれ量を算出する。サーマルシフト予測演算部7032及び放置ジョブ判別部7033の処理の詳細は後述する。
【0045】
図8は、レーザスキャナ内温度及び機外温度の経時変化を表すグラフである。このグラフは、画像形成装置100を前日に放置してから翌朝までの各温度の経時変化を表す。放置の開始から約6時間程度経過すると、レーザスキャナ内温度と機外温度とがほぼ同じ温度になる。画像形成装置100は、電源投入直後のジョブを温度が上昇し始める時点で行っている。画像形成装置100は、他のジョブを温度の上昇過渡期で行う。そのために、各ジョブの実行時点でのレーザスキャナ200の変形モデルの内部状態は異なる。
【0046】
内部状態の差異は、実際の温度と色ずれの関係にも表れる。
図9は、レーザスキャナ内温度と色ずれ量との関係を表すグラフである。このグラフは、画像形成装置100の使用終了後に定温で約15時間放置し、その後、画像形成装置100に電源投入してからの関係を表す。図中、四角は電源投入直後のレーザスキャナ内温度と色ずれ量との関係を表す。丸はジョブ実行時のレーザスキャナ内温度と色ずれ量との関係を表す。電源投入直後とジョブ実行時とでは、レーザスキャナ内温度と色ずれ量との関係式が異なる。
【0047】
例えばレーザスキャナ内温度が星印の時点でオートレジが実行された後に長時間放置されて電源投入時のレーザスキャナ内温度に移行する場合、色ずれ予測を破線の予測式により行うと、約30マイクロメートルの色ずれ予測残差が発生する。色ずれ予測残差は、温度差が大きくなるほど増大する。そのために、電源ON後の前回転でオートレジを行うことで色ずれを低減することが一般的である。なお、画像形成装置は前回転が完了した後に、シートへの画像形成を行う。
【0048】
このように長時間放置した直後のジョブでは、その他の時点のジョブと同様に色ずれの予測式を用いると、内部状態の相違に応じた予測誤差が発生する。これを回避するために、長時間放置した直後のジョブの前回転でオートレジを行う場合、ダウンタイムが増大する。本実施形態の画像形成装置100は、このようなダウンタイムの発生を抑制して色ずれ補正(オートレジ)を行う。以下にその実施例を説明する。
【0049】
(第1実施例)
図10は、ジョブ開始から補正値の算出までの処理を表すフローチャートである。以下の説明において、「放置ジョブ」とは、前回のジョブの終了からの経過時間Δtが一定の時間閾値tth以上経過した後に行われるジョブである。「通常ジョブ」とは、放置ジョブ以外のジョブである。「Tout」は現在の機外温度センサ601の検出結果(機外温度)を表す。「Tscn」は現在のレーザスキャナ内温度センサ602の検出結果(レーザスキャナ内温度)を表す。「X」は色ずれ補正値を表す。各記号の左側に添え字がついているものは、メモリ705に保存されている値を表しており、「areg」は前回のオートレジ時に保存した値、「m1areg」は前回の放置ジョブの際のオートレジ時に保存した値を表している。例えば、m1aregToutは前回の放置ジョブに基づいて画像が形成される前にオートレジが実行された場合の機外温度センサ601の検出結果(機外温度)を表している。メモリ705には、この機外温度m1aregToutが保存されている。
【0050】
CPU703は、プリントジョブを受信すると(S101)、現在時刻t、機外温度センサ601の検出結果である機外温度Tout、及びレーザスキャナ内温度センサ602の検出結果であるレーザスキャナ内温度Tscnを取得する(S102)。CPU703は、現在時刻tと前回のジョブが終了した時刻prevtとから、前回のジョブ終了からの経過時間Δtを取得する(S103)。CPU703は、経過時間Δtが時間閾値tth以上であるか否かを判断する(S104)。つまりCPU703は、前回の画像形成からの経過時間が所定時間以上であるか否かを判別する。
【0051】
経過時間Δtが時間閾値tth未満である場合(S104:N)、つまり前回の画像形成からの経過時間が所定時間未満の場合、CPU703は、受信したジョブを通常ジョブとして処理する。この場合、CPU703は、通常ジョブで補正値Xを算出する(S105)。通常ジョブでは、CPU703は、現在のレーザスキャナ内温度Tscn、前回のオートレジ時のレーザスキャナ内温度aregTscn、及び前回のオートレジ時の補正値aregXにより、以下の式(1)を用いて補正値Xを算出する。α2は所定の係数である。式(1)は、サーマルシフトの予測式である。ここで算出される補正値Xは、予測値である。
X = α2 × (Tscn - aregTscn) + aregX …式(1)
【0052】
経過時間Δtが時間閾値tth以上である場合(S104:Y)、CPU703は、つまり前回の画像形成からの経過時間が所定時間以上の場合、受信したジョブを放置ジョブとして処理する。この場合、CPU703は、メモリ705の補正値m1aregX、機外温度m1aregTout、及びレーザスキャナ内温度m1aregTscnがクリアされているか否かを判断する(S106)。ステップS106の処理において、CPU703は、補正値が初期値、且つ温度が初期温度であれば、クリアされていると判断する。クリアされていない場合(S106:N)、CPU703は、現在の機外温度Toutと、前回の放置ジョブでオートレジを実行したときの機外温度m1aregToutとの温度差の絶対値が温度閾値Tthより小さいか否かを判断する(S107)。CPU703は、今回所定時間以上にわたって放置された後の画像形成動作前に検出された機外温度Toutと、前回所定時間以上にわたって放置された後の画像形成動作前に検出された機外温度m1aregToutとの温度差が所定温度未満であるかを判断する。つまり、CPU703は、今回の前回転における検出温度が前回の前回転における検出温度から所定温度以上変化しているか否かを判定する。
【0053】
一方、補正値m1aregX、機外温度m1aregTout、及びレーザスキャナ内温度m1aregTscnがクリアされている場合(S106:Y)、CPU703は前回転でオートレジを行う(S108)。また、CPU703は、機外温度Toutと機外温度m1aregToutとの温度差の絶対値が温度閾値Tth以上の場合(S107:N)、前回転でオートレジを行う(S108)。つまりCPU703は、機外温度Toutと機外温度m1aregToutとの温度差が所定温度以上の場合にも前回転でオートレジを行う。これは、現在の色ずれが前回の前回転における色ずれと異なっている可能性が高いからである。なお、「前回転」は、画像形成を行うにあたり必要となる準備動作(初期動作とも呼ばれる。)である。CPU703は、オートレジの実行時にメモリ705に保存する値を以下の式(2)により算出した値に更新する。
aregX = X0
aregTout = Tout …式(2)
aregTscn = Tscn
X0は、補正値の初期値であり、予め決定された値である。
【0054】
CPU703は、放置ジョブの際にオートレジを実行してメモリ705に保存する値を以下の式(3)により算出した値に更新する(S109)。更新後にCPU703は、通常ジョブで補正値Xを算出する(S105)。
m1aregX = aregX
m1aregTout = aregTout …式(3)
m1aregTscn = aregTscn
【0055】
ここで、補正値m1aregX、機外温度m1aregTout、レーザスキャナ内温度m1aregTscnの各値をクリアするのは、新たな色ずれ補正値を取得する必要がある場合である。新たな色ずれ補正値を取得する必要がある場合は、レーザスキャナ200、感光ドラム102Y~102K、中間転写ベルト106等の作像に関わる部品を交換した場合、画像形成装置100の設置時、入力装置からの指示によりオートレジを実行した場合である。
【0056】
また、機外温度Toutと機外温度m1aregToutとの温度差の絶対値が温度閾値Tth未満の場合(S107:Y)、CPU703は、オートレジ実行時にメモリ705に保存する値を以下の式(4)により算出した値に更新する(S110)。
aregX = m1aregX
aregTout = m1aregTout …式(4)
aregTscn = m1aregTscn
【0057】
CPU703は、以下の式(5)を用いて補正値Xを算出する(S111)。放置ジョブでは、CPU703は、現在のレーザスキャナ内温度Tscn、前回の放置ジョブのオートレジ時のレーザスキャナ内温度m1aregTscn、及び前回の放置ジョブのオートレジ時の補正値m1aregXにより補正値Xを算出する。α1は所定の係数である。式(5)は、サーマルシフトの予測式である。ここで算出される補正値Xは、予測値である。
X = α1 ×(Tscn - m1aregTscn) + m1aregX …式(5)
【0058】
以上のように、通常ジョブ及び放置ジョブのいずれかにより、色ずれの補正値Xが算出される。CPU703は、算出した補正値Xを反映して各制御タイミングを補正して、プリントジョブに応じた画像形成処理を行う(S112、S113)。画像形成後にCPU703は、前回ジョブ時の時刻prevtを以下の式(6)を用いて算出し、メモリ705の値を更新する(S114)。
prevt = t …式(6)
【0059】
以上の処理では、式(1)で用いられる係数α2及び式(5)で用いられる係数α1は、サーマルシフトの予測式の係数であり、実験的に導出される。また、本実施形態の画像形成装置100は、機外温度センサ601が機外温度Toutを検出する構成としたが、例えば、レーザスキャナ200の外部の温度(レーザスキャナ外温度)を検出する構成でもよい。この場合、予測式に用いる機外温度の項をレーザスキャナ外温度と置き換えればよい。さらに、CPU703はオートレジを実行するか否かを、現在のレーザスキャナ外温度とメモリ705に記憶されたレーザスキャナ外温度の基準温度との比較結果に基づいて判定する構成としてもよい。また、予測やジョブの判断に用いる検出温度は、機外温度に限らず、レーザスキャナ200の基板の温度等と併用してもよい。例えば、S107の処理では、機外温度Tout及び機外温度m1aregToutに代えて、現在のレーザスキャナ内温度Tscn及び前回の放置ジョブのオートレジ時のレーザスキャナ内温度m1aregTscnを用いてもよい。また、メモリ705に前回のオートレジ時の機外温度aregTout、レーザスキャナ内温度aregTscn、及び補正値m1aregXが記憶されない状態で処理を開始した場合、CPU703は、該ジョブの前回転でオートレジを行う。
【0060】
以上のように色ずれの補正値Xは、長時間放置直後の放置ジョブのように、他のジョブの実行タイミングとは色ずれ量と温度との関係式(振る舞い)が異なるジョブに対して専用の色ずれ量の予測式を適用して算出される。このように補正値Xを算出することで、色ずれを悪化させること無く前回転におけるオートレジの実行頻度を低減することができる。
【0061】
図11は、オートレジを行ったときの補正残差と温度との関係を表す図である。ここでは、通常ジョブで補正、放置ジョブで式(1)の補正、及び放置ジョブで式(5)の補正の3種類の色ずれ補正を行った場合について説明する。
図11では、予測式の種類にかかわらず、通常ジョブで補正する場合に比べて、放置ジョブで補正を行う方が格段に補正精度が向上することがわかる。
【0062】
また、同じ放置ジョブであっても式(1)を用いた補正に対して式(5)を用いた補正の方が補正残差と温度との関係式の傾きが略半分になる。そのために、色ずれ許容誤差に対して前回転でオートレジを行わなくともよい温度範囲が倍になる。例えば、色ずれ許容範囲が20マイクロメートルの場合、式(1)による補正では温度閾値Tth≒3[℃]となるのに対し、式(5)による補正では温度閾値Tth≒6[℃]となる。
【0063】
以上のように本実施例の画像形成装置100は、放置ジョブと通常ジョブとの2パターンの補正を切り替えて行うことで、長時間放置後の色ずれ補正の性能を保持しつつ、前回転におけるオートレジによるダウンタイムを低減することが可能である。また、放置ジョブと通常ジョブとで色ずれ量の予測を行う予測式を分けて用いることで、色ずれ補正を正確に行うことができる。
【0064】
(第2実施例)
図12は、第2実施例のジョブ開始から補正値の算出までの処理を表すフローチャートである。S101~S113までの処理は、
図10に示す第1実施例と同じ処理である。第2実施例では、S113の画像形成処理後に、CPU703は、現在の機外温度Toutと機外温度m1aregToutとの温度差の絶対値が温度閾値Tth2より小さいか否かを判断する(S115)。温度閾値Tth2は、温度閾値Tthよりも小さい値に設定される。
【0065】
機外温度の温度差の絶対値が温度閾値Tth2より小さい場合(S115:Y)、CPU703は、S114の処理を行う。
機外温度の温度差の絶対値が温度閾値Tth2以上の場合(S115:N)、CPU703は、プリントジョブが実行された後の後回転でオートレジを実行する(S116)。「後回転」は、画像形成を終了するにあたり必要となる予備動作である。CPU703は、オートレジの実行時にメモリ705に保存する値を式(2)により算出した値に更新する。その後、CPU703は、メモリ705に保存する値を式(3)により算出した値に更新して(S117)、S114の処理を行う。
【0066】
後回転で行ったオートレジの結果を色ずれ補正値の算出に用いる場合、画像形成による昇温の影響が考えられる。しかし、一般的に一度に画象形成を行う枚数は少ないために、放置ジョブによる機内温度の上昇は無視できる程度のものであり、補正値の算出への影響は少ない。第1実施例と同様に、予測やジョブの判断に用いる検出温度は、機外温度に限らず、レーザスキャナ200の基板の温度等と併用してもよい。例えば、S115の処理では、機外温度Tout及び機外温度m1aregToutに代えて、現在のレーザスキャナ内温度Tscn及び前回の放置ジョブでオートレジを実行したときのレーザスキャナ内温度m1aregTscnを用いてもよい。
【0067】
以上のような第2実施例では、ダウンタイムの増加を抑制しつつ放置ジョブ時のメモリ705の値を更新できるために、S108の処理による前回転におけるオートレジの実行回数を削減することができる。そのためにダウンタイムのさらなる低減が実現される。
【0068】
(第3実施例)
放置ジョブであっても画像形成装置100の内部状態が前回の放置ジョブ時の内部状態に類似しないことがある。例えば、季節の変わり目等の機外温度が日によって大きく異なる環境や、空調制御等により機外温度が安定しない環境では、連日の放置ジョブ時の機外温度が安定しない。機外温度が安定しないことで、機内温度が安定せず、画像形成装置100の内部状態が前回の放置ジョブ時とは類似しなくなる。そのような連日の放置ジョブ時のメモリ705の値を基準に色ずれ補正を行った場合、誤補正が行われる可能性がある。したがって、連日の放置ジョブ時に機外温度が大きく変動するような環境下に設置される画像形成装置100は、放置ジョブ時のメモリ705の値を基準に色ずれ補正を行わないようにする。
【0069】
図13は、第3実施例のジョブ開始から補正値の算出までの処理を表すフローチャートである。S101~S104までの処理は、
図10に示す第1実施例と同じ処理である。以下の説明にいて、各記号の左側に添え字がついているものは、メモリ705に保存されている値を表しており、「m1areg」は前回の放置ジョブの際のオートレジ時に保存した値を表し、含まれる数字は、その回数分前のオートレジ時の値であることを表す。例えば、m1aregToutは1回前、つまり前回の放置ジョブの際のオートレジ時に保存した機外温度センサ601の検出結果(機外温度)を表している。「ave」は、過去数回分の放置ジョブの際のオートレジ時に保存した値の平均値を表す。なお、本実施例では過去3回分の平均値を例に説明するが、複数回であればこの限りではない。
【0070】
S104の処理で経過時間Δtが時間閾値tth未満である場合(S104:N)、CPU703は、通常ジョブとして処理を行い、S105の処理を実行する。S104の処理で経過時間Δtが時間閾値tth以上である場合(S104:Y)、CPU703は、放置ジョブの処理を行う。CPU703は、メモリ705に保存されている過去数回分(本実施例では3回分)の放置ジョブ時のオートレジの結果がクリアされているか否かを判断する(S201)。
【0071】
クリアされていない場合(S201:Y)、CPU703は、過去3回分の放置ジョブ時のオートレジ結果の値の平均値を算出する(S202)。CPU703は、機外温度m1aregTout、m2aregTout、m3aregToutの平均値aveToutを算出する。CPU703は、レーザスキャナ内温度m1aregTscn、m2aregTscn、m3aregTscnの平均値aveTscnを算出する。CPU703は、補正値m1aregX、m2aregX、m3aregXの平均値aveXを算出する。
CPU703は、過去3回分のレーザスキャナ内温度m1aregTscn、m2aregTscn、m3aregTscnのばらつきが所定の範囲内であるか否かを判断する(S203)。ここでCPU703は、過去3回分のレーザスキャナ内温度m1aregTscn、m2aregTscn、m3aregTscnのそれぞれと、平均値aveToutと、の温度差が温度閾値Tth1より小さいか否かを判断する。つまりCPU703は、複数のレーザスキャナ内温度とそれらの平均値との温度差が所定温度未満であるか否かを判断する。温度差が温度閾値Tth1より小さい場合、CPU703は、レーザスキャナ内温度m1aregTscn、m2aregTscn、m3aregTscnのばらつきが所定の範囲内(所定温度未満)であると判断する(S203:Y)。この場合、CPU703は、レーザスキャナ内温度の平均値aveToutと現在のレーザスキャナ内温度Tscnとの温度差の絶対値が温度閾値Tth2より小さいか否かを判断する(S204)。
【0072】
メモリ705のオートレジの結果がクリアされている場合(S201:Y)、CPU703は、S108の処理を行う。CPU703は、レーザスキャナ内温度のばらつきが所定の範囲内ではない場合(S203:N)、つまり温度差が所定温度以上である場合にもS108の処理を行う。また、CPU703は、平均値aveToutとレーザスキャナ内温度Tscnとの温度差の絶対値が温度閾値Tth2より大きい場合(S204:N)もS108の処理を行う。S108の処理後、CPU703は、放置ジョブでオートレジを実行した際に保存するメモリ705の値を以下の式(6)により算出される値に更新する(S207)。CPU703は、メモリ705の値の更新時に過去3回より以前のオートレジの結果を廃棄する。その後、CPU703は、S105の処理を実行する。
m1aregX = aregX
m1aregTout = aregTout
m1aregTscn = aregTscn
m2aregX = m1aregX
m2aregTout = m1aregTout …式(6)
m2aregTscn = m1aregTscn
m3aregX = m2aregX
m3aregTout = m2aregTout
m3aregTscn = m2aregTscn
【0073】
ここで、過去3回分の補正値、機外温度、レーザスキャナ内温度の各値をクリアするのは、新たな色ずれ補正値を取得する必要がある場合である。新たな色ずれ補正値を取得する必要がある場合は、レーザスキャナ200、感光ドラム102Y~102K、中間転写ベルト106等の作像に関わる部品を交換した場合、画像形成装置100の設置時、入力装置からの指示によりオートレジを実行した場合である。
【0074】
平均値aveToutとレーザスキャナ内温度Tscnとの温度差の絶対値が温度閾値Tth2未満の場合(S204:N)、CPU703は、オートレジ実行時にメモリ705に保存する値を以下の式(7)により算出した値に更新する(S205)。
aregX = aveX
aregTout = aveTout …式(7)
aregTscn = aveTscn
【0075】
CPU703は、現在のレーザスキャナ内温度Tscn、レーザスキャナ内温度の平均値aveTscn、及び補正値の平均値aveXにより、式(8)を用いて補正値Xを算出する(S206)。式(8)は、サーマルシフトの予測式である。ここで算出される補正値Xは、予測値である。以降、CPU703は、
図10に示す第1実施例のS112~S114と同じ処理を行い、この処理を終了する。
X =α1 (Tscn - aveTscn) + aveX …式(8)
【0076】
図14及び
図15は、放置ジョブの色ずれ予測可否判断の説明図である。放置ジョブの色ずれ予測可否の判断は、S203の処理のレーザスキャナ内温度m1aregTscn、m2aregTscn、m3aregTscnのばらつきが所定の範囲内であるか否かの判断により行われる。
【0077】
図14及び
図15は、放置ジョブ、或いは放置ジョブで実行したオートレジ結果における、レーザスキャナ内温度と色ずれ変化(予測)量の関係を表している。色ずれ補正の際には、色ずれ変化予測量に応じて レーザスキャナ200による画像の書き出しタイミングが調整される。図中、丸は過去3回分の放置ジョブで行ったオートレジ時のレーザスキャナ内温度m1aregTscn、m2aregTscn、m3aregTscnと色ずれ変化量との関係を表す。星印はそれらレーザスキャナ内温度及び色ずれ変化量のそれぞれの平均値aveTscn, aveXの関係を表す。実線の枠内が過去のスキャナ内温度とその平均値aveTscnとの差が温度閾値Tth1以内の領域を表す。黒菱形は今回の放置ジョブにおけるスキャナ内温度Tscnと実際の色ずれ変化量との関係を表す。白菱形はスキャナ内温度及び色ずれ変化量のそれぞれの平均値aveTscn, aveXに基づき、今回の放置ジョブにおけるスキャナ内温度Tscnと予測式を用いて予測した、今回のスキャナ内温度Tscnと色ずれ変化予測量Xとの関係を表す。
【0078】
図14では過去3回分の放置ジョブ時のオートレジ結果のレーザスキャナ内温度m1aregTscn,m2aregTscn,m3aregTscnが実線の枠内の領域に収まる。この場合、過去3回分の放置ジョブは安定して類似した内部状態であると考えられる。そのためにCPU703は、色ずれ量の予測が可能であると判断する。
図15では過去3回分の放置ジョブ時のオートレジ結果のレーザスキャナ内温度m1aregTscn,m2aregTscn,m3aregTscnが実線の枠内の領域に収まらない。この場合、過去3回分の放置ジョブは異なる内部状態であると考えられる。そのためにCPU703は、色ずれ量の予測誤差が大きくなる可能性があると判断し、前回転でオートレジを実行する。
【0079】
なお、予測やジョブの判断に用いる温度は、レーザスキャナ内温度に限らず、機外温度やレーザスキャナ200の基板の温度等と併用してもよい。例えば、S204の処理では、レーザスキャナ内温度Tscn及び平均値aveTscnに代えて、現在の機外温度Tout及び機外温度の平均値aveToutを用いてもよい。機外温度Toutや、レーザスキャナ200の基板上の温度等の機外に近い温度は、機外温度の変化に対する応答性が良いため、ジョブの判断に用いることで、精度よく内部状態が類似していないことを判断することができる。
【0080】
(第4実施例)
図16は、第4実施例のジョブ開始から補正値の算出までの処理を表すフローチャートである。S101~S105、S108、S201~S207の処理は、
図13に示す第3実施例と同じ処理である。第4実施例では、S113の画像形成処理後に、CPU703は、現在のレーザスキャナ内温度Tscnとレーザスキャナ内温度の平均値aveTscnとの温度差の絶対値が温度閾値Tth3より小さいか否かを判断する(S208)。温度閾値Tth3は、温度閾値Tth2よりも小さい値に設定され、メモリ705の記憶領域7060に記憶される。
【0081】
レーザスキャナ内温度の温度差の絶対値が温度閾値Tth3より小さい場合(S208:Y)、CPU703は、S114の処理を行う。レーザスキャナ内温度の温度差の絶対値が温度閾値Tth3以上の場合(S208:N)、CPU703は、第1実施例のS116の処理と同様の処理により、プリントジョブの後回転でオートレジを実行する(S209)。その後、CPU703は、メモリ705に保存する値を式(6)により算出した値に更新して(S210)、S114の処理を行う。
【0082】
後回転で行ったオートレジの結果を色ずれ補正値の算出に用いる場合、画像形成による昇温の影響が考えられる。しかし、一般的に一度に画象形成を行う枚数は少ないために、放置ジョブによる機内温度の上昇は無視できる程度のものであり、補正値の算出への影響は少ない。第3実施例と同様に、予測やジョブの判断に用いる検出温度は、レーザスキャナ内温度に限らず、機外温度やレーザスキャナ200の基板の温度等と併用してもよい。例えば、S115の処理では、レーザスキャナ内温度Tscn及び平均値aveTscnに代えて、現在の機外温度Tout及び機外温度の平均値aveToutを用いてもよい。
【0083】
以上のような第4実施例では、ダウンタイムの増加を抑制しつつ放置ジョブ時のメモリ705の値を更新できるために、S108の処理による前回転におけるオートレジの実行回数を削減することができる。そのためにダウンタイムのさらなる低減が実現される。