IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-紙葉類処理装置及び紙葉類処理システム 図1
  • 特許-紙葉類処理装置及び紙葉類処理システム 図2
  • 特許-紙葉類処理装置及び紙葉類処理システム 図3
  • 特許-紙葉類処理装置及び紙葉類処理システム 図4
  • 特許-紙葉類処理装置及び紙葉類処理システム 図5
  • 特許-紙葉類処理装置及び紙葉類処理システム 図6
  • 特許-紙葉類処理装置及び紙葉類処理システム 図7
  • 特許-紙葉類処理装置及び紙葉類処理システム 図8
  • 特許-紙葉類処理装置及び紙葉類処理システム 図9
  • 特許-紙葉類処理装置及び紙葉類処理システム 図10
  • 特許-紙葉類処理装置及び紙葉類処理システム 図11
  • 特許-紙葉類処理装置及び紙葉類処理システム 図12
  • 特許-紙葉類処理装置及び紙葉類処理システム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】紙葉類処理装置及び紙葉類処理システム
(51)【国際特許分類】
   G07D 7/187 20160101AFI20221219BHJP
   G07D 11/22 20190101ALI20221219BHJP
【FI】
G07D7/187
G07D11/22
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018173582
(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公開番号】P2020046818
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 淳
(72)【発明者】
【氏名】福田 浩
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-054345(JP,A)
【文献】特開平08-273024(JP,A)
【文献】特開2015-105134(JP,A)
【文献】特開2005-088978(JP,A)
【文献】特開2017-068366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 7/00 - 13/00
G07D 1/00 - 3/16
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類が積層された紙葉類積層面を検査する紙葉類処理装置であって、
前記紙葉類積層面に光を照射する照射装置と、
前記照射装置により光が照射された前記紙葉類積層面を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置により撮影した撮影画像を処理する画像処理装置と、
前記画像処理装置により処理された画像から得られる異常状態に応じた値と、閾値とを比較することにより前記紙葉類積層面に異常があるか否かを判断する制御装置と、
前記積層された紙葉類を載置する載置台と、
前記載置台上に設けられ、前記照射装置及び前記撮影装置に対して前記紙葉類積層面をそれぞれ所定角度に位置させる位置決め部材と、
を備え
前記照射装置の向きおよび前記撮影装置の向きが可動であり、
前記照射装置から照射される照明光の正反射(正反射角度が20度から70度)を前記撮影装置で撮影する、
紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記撮影した撮影画像、及び前記処理された撮影画像を含むと共に、前記判断の結果を表示する表示装置を備える、
請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
紙葉類を鑑査する鑑査装置と、
前記鑑査装置による鑑査後の紙葉類を積層した積層紙葉類を施封する施封装置と、
前記積層紙葉類の紙葉類積層面を検査する紙葉類処理装置と、
前記鑑査装置、及び前記施封装置内で前記紙葉類を搬送し、前記紙葉類処理装置へ前記積層紙葉類を搬送する搬送装置と、
を備える紙葉類処理システムであって、
前記紙葉類処理装置は、
前記紙葉類積層面に光を照射する照射装置と、
前記照射装置により光が照射された前記紙葉類積層面を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置により撮影した撮影画像を処理する画像処理装置と、
前記画像処理装置により処理された撮影画像から得られる異常状態に応じた値と、閾値とを比較することにより前記紙葉類積層面に異常があるか否かを判断する制御装置と、
前記撮影した撮影画像、及び前記処理された撮影画像を含むと共に、前記判断の結果を表示する表示装置と、
前記異常状態が生じている前記紙葉類積層面の異常発生位置と、当該異常発生位置に前記異常状態が生じる原因となる位置が前記鑑査装置、前記施封装置、前記紙葉類処理装置、及び前記搬送装置を含む前記紙葉類処理システム内のいずれの位置であるかを示す原因位置とを関連づけて管理する管理部と、
を備え
前記表示装置は、前記検査により異常がある場合、さらに、前記管理部を参照し、前記異常発生位置に対応する前記原因位置を表示する、
紙葉類処理システム。
【請求項4】
前記管理部は、さらに、前記異常状態を解消する対処策を前記異常発生位置又は前記原因位置に関連付けて管理し、
前記表示装置は、前記異常発生位置に対応する前記原因位置を表示すると共に、前記異常発生位置に対応する前記対処策を表示する、
請求項に記載の紙葉類処理システム。
【請求項5】
前記閾値を調整する調整装置を備える、
請求項3または請求項4に記載の紙葉類処理システム。
【請求項6】
異なる前記紙葉類積層面を撮影する複数の前記照射装置、及び前記撮影装置の組を設けている、
請求項から請求項のいずれか一項に記載の紙葉類処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、紙葉類処理装置及び紙葉類処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
積層された複数の紙葉類を束ねるための帯を検出する技術が知られている。また、紙葉類束の粗密状態、及び傾き状態を正確に判定できる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-54345号公報
【文献】特開2009-204079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紙葉類束の積層面に対する品質を保持するためにキズや汚れ等の異常状態が発生していないか否かの検査を行う必要がある。しかしながら、一般に、この検査はオペレータの目視により行われている。このように目視により検査が行われているため、キズや汚れの基準がオペレータにより異なり、定量的な検査を行うことができていない。
また、このようにキズや汚れの基準があいまいであるため、紙葉類処理装置を提供する製造元においても、キズや汚れの状態の適正又は不適正を判断することができず、キズや汚れを定量的に検査するための要求に答えることができなかった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、紙葉類積層面の状態を定量的に検査することができる紙葉類処理装置及び紙葉類処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る紙葉類が積層された紙葉類積層面を検査する紙葉類処理装置は、照射装置と、撮影装置と、画像処理装置と、制御装置と、載置台と、位置決め部材とを備える。照射装置は、前記紙葉類積層面に光を照射する。撮影装置は、照射装置により光が照射された前記紙葉類積層面を撮影する。画像処理装置は、前記撮影装置により撮影した撮影画像を処理する。制御装置は、前記画像処理装置により処理された撮影画像から得られる異常状態に応じた値と、閾値とを比較することにより前記紙葉類積層面に異常があるか否かを判断する。載置台は、前記積層された紙葉類を載置する。位置決め部材は、前記載置台上に設けられ、前記照明装置及び前記撮影装置に対して前記紙葉類積層面をそれぞれ所定角度に位置させる。前記照射装置の向きおよび前記撮影装置の向きが可動であり、前記照射装置から照射される照明光の正反射(正反射角度が20度から70度)を前記撮影装置で撮影する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る紙幣処理装置の構成の一例を概略的に示す図。
図2】同実施形態に係るPCの制御構成の一例を示すブロック図。
図3】同実施形態に係る紙幣束の積層面の検査処理の一例を示すフローチャート。
図4】同実施形態に係る撮影画像の表示例を示す図。
図5】同実施形態に係る撮影画像を画像処理した場合の処理画像の表示例を示す図。
図6】同実施形態に係る検査結果の表示例を示す図。
図7】同実施形態に係る照明装置、及び撮影装置の組を複数設けた紙幣処理装置の概略的な構成の一例を示す図。
図8】第2の実施形態に係る紙幣処理システムの構成の一例を概略的に示す図。
図9】同実施形態に係るPCの制御構成の一例を示すブロック図。
図10】同実施形態に係る管理部で管理する情報の一例を示す図。
図11】同実施形態に係る紙幣束の積層面の検査処理の一例を示すフローチャート。
図12】同実施形態に係る検査結果の表示例を示す図。
図13】同実施形態に係る原因位置、及び対処策の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、紙葉類処理装置である紙幣処理装置1の構成の一例を概略的に示す図である。 図1に示すように、紙幣処理装置1は、載置台である可動ステージ2、位置決め部材3、照明装置4、撮影装置5、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する。)10を含む。また、X方向、Y方向、Z方向はそれぞれ上左右の3方向を示している。紙幣束Pは、紙葉類である紙幣を積層させて束としたものである。より具体的には、紙幣束Pは、100枚の紙幣を横方向に帯S1で施封した束をさらに10個まとめて縦方向に帯S2で施封したものである。つまり、紙幣束Pは100枚の束が10個まとめられたものであり、1,000枚の紙幣が積層されたものである。
【0010】
可動ステージ2の上面に位置決め部材3が設けられている。位置決め部材3は、紙幣束Pの位置決めを行うための部材である。位置決め部材3は断面がL字形状をしており、そのL字部分に紙幣束Pの角部分を当接させることにより紙幣束Pの位置決めが行われる。この位置決めは、オペレータの作業により行われる。このとき、必要がある場合、オペレータは、可動ステージ2をXYZ方向に適切に傾けることにより、照射装置4の照射方向に対して所定角度変更させて紙幣束Pの積層面を位置させることができる。照射装置の光源としては、白色光、赤外光、紫外光等の光を発する光源が1又は複数設けられる。また、位置決め部材3に位置決めされた紙幣束Pの積層面を撮影可能に撮影装置5が配置されている。撮影装置5は、例えば、エリアカメラであり、紙幣束Pの積層面が撮影エリア内に入るようになっている。撮影装置5には、撮影に適したフィルタ(可視カットフィルタ、赤外光カットフィルタ、紫外光カットフィルタ、偏光フィルタ等)を用いており、撮影装置5は外光や照明光に左右されない適切な画像を取得する。
【0011】
このように紙幣処理装置1が構成されているため、オペレータが可動ステージ2の位置決め部材3に紙幣束Pを当接した後、照明装置4により照明された紙幣束Pの積層面を撮影装置5が撮影し、その撮影された撮影画像がPC10に送信される。PC10は、撮影装置5から送信される撮影画像に対して処理を行う。
【0012】
図2は、PC10の制御構成の一例を示すブロック図である。
PC10は、画像読取部20、制御装置である制御部31、画像メモリ32、閾値メモリ33、表示部34、入力部35、及び画像処理装置である画像処理部40を含む。画像読取部20は、アンプ21、A/D変換回路22、及び補正回路23を含む。画像処理部40は、フィルタ処理部41、エッジ処理部42、及び二値化処理部43を含む。
【0013】
アンプ21は撮影装置5から入力される入力信号(撮影画像)を増幅して出力信号として、A/D変換回路22へ出力する。A/D変換回路22は、アンプ21から入力される入力信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、デジタル信号を出力信号として補正回路23へ出力する。補正回路23は、予め記憶されている撮影装置5の撮影素子の特性に基づいて入力信号のムラを補正し、補正後の信号を画像メモリ32に出力する。このようにして、画像メモリ32に紙幣束Pの積層面の撮影画像が記憶される。
【0014】
制御部31は、画像メモリ32が記憶する紙幣束Pの積層面の撮影画像に対して予め設定された処理を行う。本実施形態では、画像メモリ32に記憶されている紙幣束Pの積層面の撮影画像が画像処理部40に入力され、予め設定されている所定の画像処理が行われ、画像処理後の画像が再び画像メモリ32に記憶される場合で説明する。画像処理部40では、画像処理を行う処理部として、フィルタ処理部41、エッジ処理部42、及び二値化処理部43が設けられている。フィルタ処理部41、エッジ処理部42、及び二値化処理部43はそれぞれ、フィルタ処理、エッジ処理、及び二値化処理を実行する。なお、本実施形態では、画像処理部40に、フィルタ処理部41、エッジ処理部42、及び二値化処理部43が設けられている場合で説明するが、紙幣束Pの積層面の撮影画像に対する画像処理はこれらに限るものではなく、他の画像処理も含み、これらの画像処理を任意に組み合わせて画像処理を行うように設定することができる。
【0015】
ここで、紙幣束Pの積層面に発生する異常状態、本実施形態では、積層面のキズや汚れを検出する仕組みについて説明する。まず、積層面のキズを判定する仕組みを説明した後、積層面の汚れを検出する仕組みについて説明する。
【0016】
紙幣束Pの積層面のキズは、紙幣を鑑査する鑑査部、紙幣を積層する紙幣積層装置、搬送機構等を備える紙幣処理システム内の種々の搬送路を通過するときにいずれかの部材に接触することにより作成される。例えば、搬送路を搬送される場合、紙幣がローラや羽根車等に接触し、紙幣の一部が微小に折れる場合が生じ得る。紙幣は順次処理されて積層されるため、順次処理される紙幣に対しても同様な微小の折れが生じる。当該微小な折れが生じた紙幣が積層されると、1枚の紙幣では視認不可能なキズであっても、紙幣束Pの積層面にはキズ(当たり痕)として視認可能になる。このようなキズが紙幣束Pの積層面に生じている場合、照明装置4から照射される照明光の正反射(好ましくは、正反射角度:20度から70度)を撮影装置5で撮影し、既述の画像処理(フィルタ処理、エッジ処理、二値化処理)等を行うことにより、キズ(当たり痕)の部分と、正常な部分とに分離することができる。そして、キズの部分の数値(異常状態に応じた値)と、閾値とを比較する。例えば、輝度をヒストグラムで算出し、キズ部分の数値が閾値メモリ33に記憶される閾値以下である場合に正常(OK)と判定し、キズ部分の数値が閾値メモリに記憶される閾値を超えた場合に、NG(不良)と判定する。このようにして、紙幣束Pの積層面のキズを検出するように構成されている。
【0017】
紙幣束Pの積層面の汚れは、既述の紙幣処理システム内の種々の搬送路を通過するときに作成される。例えば、搬送路に設けられる搬送ローラに汚れが付着された場合、紙幣が搬送ローラに当接されて搬送されるため、その際に搬送ローラと紙幣が接触し、紙幣の一部に微小な汚れが付着する場合が生じ得る。順次処理される紙幣に対しても同様な微小の汚れが生じる。当該微小な汚れが生じた紙幣が積層されると、1枚の紙幣では視認不可能な汚れであっても、紙幣束Pの積層面には汚れとして視認可能になる。このような汚れが紙幣束Pの積層面に生じている場合、撮影装置5が得る画像(カラー画像、赤外光画像、又は紫外光画像)を、既述の二値化処理等を行うことにより、汚れの部分と、正常な部分とに分離することができる。そして、汚れ部分の数値(異常状態に応じた値)と、閾値とを比較する。例えば、輝度をヒストグラムで算出し、キズ部分の数値が閾値メモリ33に記憶される閾値以下である場合に正常(OK)と判定し、キズ部分の数値が閾値メモリ33に記憶される閾値を超えた場合に、NG(不良)と判定する。このようにして、紙幣束Pの積層面の汚れを検出するように構成されている。
【0018】
また、制御部31は、オペレータの入力部35の操作に基づいて、画像処理部40内のフィルタ処理部41、エッジ処理部42、及び二値化処理部43が画像処理を行うときのパラメータを設定できるようになっている。
【0019】
閾値メモリ33は、紙幣束Pの積層面の撮影画像に対する画像処理結果(既述のキズ部分、汚れ部分の数値)と比較するための閾値を記憶する。また、制御部31は、オペレータの入力部35の操作に基づいて、閾値メモリ33内の閾値を設定できるようになっている。
【0020】
表示部34は、液晶ディスプレイ等であり、制御部31の指示に基づいて、オペレータに対して所定の表示を行う。本実施形態では、紙幣束Pの積層面の検査結果、つまり、撮影画像に対する処理結果を所定のフォーマットで表示する。入力部35は、キーボードやマウス等であり、オペレータによる制御部31に対する指示の入力や、既述の設定値、閾値の設定を行う。
【0021】
次に、紙幣束Pの積層面を検査する処理について説明する。図3は、紙幣束Pの積層面の検査処理の一例を示すフローチャートである。
検査開始の前に、オペレータは検査対象となる紙幣束Pを可動ステージ2の位置決め部材3に当接させるように載置する。そして、オペレータは、必要がある場合、可動ステージ2を可動させ、紙幣束Pの積層面が良好に撮影可能な位置となるように可動ステージ2の向きを調整する。オペレータは、さらに必要がある場合、照射装置4の向きや光源、撮影装置5の向きやフィルタも合わせて調整する。このように、紙幣束Pの積層面を撮影するための調整が終わった後、オペレータは、入力部35を操作して、紙幣束Pの4つの積層面のうちの1つの積層面を撮影する。
【0022】
これにより、制御部31は、紙幣束Pの積層面の撮影画像を取得する(ST101)。より詳細には、制御部31は、画像読取部20から撮影装置5が撮影した撮影画像を取得し、その撮影画像を画像メモリ32に記憶する。
【0023】
次に、制御部31は、画像メモリ32に記憶した撮影画像に対して、画像処理を実行する(ST102)。つまり、画像メモリ32から撮影画像が読み出され、画像処理部40に出力される。画像処理部40において、キズの検査に対する処理としてフィルタ処理、エッジ処理、二値化処理等が実行され、汚れの検査に対する処理として二値化処理等が実施され、画像処理後の画像が画像メモリ32にそれぞれ記憶される。このとき、撮影画像と、画像処理後の画像(キズ、汚れ)は、画像メモリの中の別の領域にそれぞれ記憶されることとする。なお、本実施形態では、キズ、汚れに対する処理は同時に実施される場合で説明するが、オペレータの指示に基づいて、キズ、汚れに対する処理を別個に行うようにしてもよい。
【0024】
次に、制御部31は、閾値メモリ33から閾値を読み出す(ST103)。そして、制御部31は、画像処理後の撮影画像と、閾値とを比較する(ST104)。具体的には、キズの検査に関しては、キズの部分と、正常な部分とに分離し、キズ部分の数値と閾値とを比較する。また、汚れの検査に関しては、汚れの部分と、正常な部分とに分離し、汚れ部分の数値と閾値とを比較する。キズの部分の数値と比較する閾値と、汚れの部分の数値と比較する閾値とは、同じ値でもよいし異なる値としてもよい。
【0025】
次に、制御部31は、検査結果を表示部34に表示する(ST105)。より具体的には、制御部31は、検査結果として、撮影画像、画像処理後の撮影画像、及び比較結果を表示部34に表示する。表示部34の表示例については、図4から図6を用いて以下に説明する。
【0026】
図4は、撮影画像V1の表示例を示す図であり、図5は、撮影画像をキズ(当たり痕)に関して画像処理した場合の画像処理後の撮影画像V2の表示例を示す図である。
図4に示す撮影画像V1では、キズV11,V12の2つのキズを視認できるが、図5に示す画像処理後の撮影画像V2では、キズV12が視認できるが、キズV1は視認することができない。つまり、キズV12の部分の数値は閾値を超えているためキズとして検出されているが、キズV11の数値は閾値以下であるためキズとして検出されていない状態を示している。このように閾値を超えているキズを可視化することが可能になっている。
【0027】
図6は、表示部34に表示される検査結果の表示例を示す図である。図6に示すように、表示部34において、図示の左上側に撮影画像V1が表示され、図示の右上側に画像処理後の撮影画像V2が表示されている。このように、撮影画像V1、及び画像処理後の撮影画像V2が比較可能となるように並べて表示される。また、図示の下側には検査結果が表示される。検査結果は、キズ・汚れがNGとなり、紙幣束Pの積層面にキズが生じていることを報知している。なお、表示部34には、キズに関する表示例が表示されている場合を示しており、汚れに関する表示例が表示されていない。汚れに関する表示例はオペレータの入力部35の操作により、画像処理後の撮影画像V2にかえて表示されるようにしてもよい。また、表示部34の画像表示の構成を変えて、撮影画像V1に加えて、キズ・汚れに関する画像を共に表示するようにしてもよい。これら3つの画像の表示形式は任意に設定することが可能である。
【0028】
このようにして、紙幣束Pの1つの積層面に対する検査を行うことができる。他の紙幣束Pの積層面を検査する場合、オペレータは、紙幣束Pが位置決め部材3で位置決めされる向きを変えて、当該変更された積層面に対して既述の検査を行うようにすればよい。
【0029】
以上のように構成された紙幣処理装置1によると、画像処理部40により撮影装置5により撮影した撮影画像が処理され、その処理された処理後の撮影画像から得られるキズ部分の数値と、閾値と比較することにより紙幣束Pの積層面にキズがあるか否かを検査することができる。また、その処理された処理後の撮影画像から得られる汚れ部分の数値と、閾値と比較することにより紙幣束Pの積層面に汚れがあるか否かを検査することができる。このため、オペレータの目視によらず、紙幣束Pの積層面の状態を定量的に検査することができる。
【0030】
また、閾値により、紙幣束Pの積層面の状態を定量的に検査することができるため、紙葉類処理装置1の納品先に対して適切な閾値を設定することができる、よって、紙葉類処理装置1を提供する製造元においても、製品出荷時に適正な閾値を設定することができ、装置の品質を向上させることが可能になる。
【0031】
なお、上記実施形態では、紙幣束Pの積層面を撮影するために照明装置4、及び撮影装置5を用いる場合で説明したが、これに限るものではない。例えば、照明装置、及び撮影装置の組を2つ設け、各組により異なる紙幣束Pの積層面を検査するようにしてもよい。図7は、照明装置及び撮影装置の組を2つ設けた紙幣処理装置1Aの概略的な構成の一例を示す図である。図7に示すように、照明装置4、及び撮影装置5の組と、照明装置6、及び撮影装置7の組との2つの組が設けられている。このように構成すると、オペレータは位置決め部材3により位置決めされる紙幣束Pの向きを変えることなく、紙幣束Pの2つの積層面に対して検査を行うことが可能になる。したがって、オペレータは効率的に紙幣束Pの積層面の検査を行うことが可能になる。なお、照明装置及び撮影装置の組は2つでなくても、3つ以上設けるようにすることができる。
【0032】
また、上記実施形態では、可動ステージ2はXYZ方向に可動可能な構成で説明したが、可動ステージ2にかえて固定ステージを用いるようにしてもよい。この場合、位置決め部材3に紙幣束Pを位置決めさせると、紙幣束Pの積層面が照射装置4の照射方向に位置されると共に、撮影装置5で紙幣束Pの積層面を撮影するのに好ましくなるように予め固定ステージ及び位置決め部材3の配置を調整しておけばよい。可動ステージを用いる場合と比較して、紙幣束Pの積層面に対する照射角度、及び撮影角度を調整できなくなるが、紙幣束Pの積層面を撮影するオペレータの作業速度を向上させることができる。
【0033】
(第2実施形態)
第2実施形態は、紙葉類処理装置が紙葉類処理システムに組み込まれている。なお、本実施形態では、紙葉類処理装置が紙葉類処理システムに組み込まれている場合で説明するが、紙葉類処理装置が紙葉類処理システムに含まれ、他の装置と一体的に形成されていてもよい。また、第1実施形態と同一構成には同一の符号を付し、これらについては詳細な説明は省略する。
【0034】
図8は、紙葉類処理システムである紙幣処理システム100の内部の概略的な構成の一例を示す図である。
図8に示すように、紙幣処理システム100は、第1ユニット110と、第2ユニット120と、施封装置である第3ユニット130と、紙幣類処理装置である第4ユニット140とを備える。第1ユニット110と、第2ユニット120と、第3ユニット130と、第4ユニット140とは、互いに機械的、かつ、電気的に接続されている。
【0035】
紙幣処理システム100は、第1ユニット110および第2ユニット120内を通って延在する複数の搬送路111を有している。紙幣処理システム100は、搬送路111に沿って設けられた鑑査部(鑑査装置)112と、券種ごとに紙幣を集積および施封する複数の施封部(施封装置)113A、113B、113C、113Dと、施封部113A~113Dの下方に設けられ、これらの施封部で施封された紙幣束を第3ユニット130へ搬送する搬送装置である搬送ベルト(搬送機構)114と、を備えている。
【0036】
複数枚の紙幣束が投入口101に装填されると、紙幣処理システム100は、投入された紙幣を一枚ずつ取込み、搬送路111を通して搬送し、更に、搬送しながら鑑査部112により紙幣を鑑査する。鑑査部112は、紙幣の券種を判定するとともに、紙幣の正損検出および真偽検出を行う。鑑査部112による真偽検出の結果が偽券である紙幣や、搬送状態が基準姿勢からずれている紙幣等は、リジェクト券として回収され、リジェクト券排出口(図示省略)に排出される。
【0037】
鑑査部112により正券であると判定された紙幣は、券種ごとに、対応する施封部115A~115Dに送られ、施封部により所定枚数(例えば、100枚)ごとに施封される。施封された紙幣の束は、搬送ベルト114により搬送され、第3ユニット130に送られる。また、鑑査部112による正損検出における検出結果により損券であると判定された紙幣は、裁断部(図示省略)に送られ、裁断部により裁断された後、紙幣処理システム100外部に排出される。鑑査部112は、券種、正損を判定する光学センサおよび磁気センサの他、カメラ、物理的特性を検出する物理的特性検出手段や磁気検出手段を含んでもよい。
【0038】
第3ユニット130は、紙幣の束を施封する。第3ユニット130は、第2ユニットから搬送装置である搬送ベルト(搬送機構)131を介して送られる紙幣の束(例えば、100枚)を10個集積して、さらに施封する施封機構132を含む。このように集積された紙幣束Pは、更に第4ユニット140に送られる。
【0039】
第4ユニット140は、第3ユニット130から搬送装置である搬送ベルト(搬送機構)141を介して送られる紙幣束Pに対して、紙幣束Pの積層面を検査する紙幣処理装置である。以下では、第4ユニット140を紙幣処理装置140と称する。
【0040】
紙幣処理装置140は、搬送ベルト141上に載置された紙幣束Pが所定位置に位置したときに、当該紙幣束Pの積層面に対して光を照射する照射装置4と、紙幣束Pの積層面を撮影する撮影装置5と、撮影装置に接続されたPC10を含んで構成される。なお、PC10は、第1ユニット110及び第2ユニット120を管理する管理PC(図示省略)と共通にすることも可能である。なお、第1実施形態の撮影装置と異なり、第2実施形態の撮影装置5は、ラインカメラで構成される。なお、既述の所定位置に紙幣束Pが位置したときに搬送ベルト141を停止させ、エリアカメラを用いて紙幣束Pの積層面を撮影するようにしてもよい。
【0041】
図9は、PC10の制御構成の一例を示すブロック図である。
照射装置4から照射される光が搬送ベルト141上で紙幣束Pの積層面に照射され、その積層面が撮影された撮影画像が撮影装置5からPC10に入力され、PC10で処理されるように構成されているのは、第1実施形態と同様である。
【0042】
また、本実施形態のPC10の制御構成は、既述の図2を参照して説明したPC10の制御構成と管理部36が設けられている点を除いて同一である。管理部36は、異常状態が生じている紙幣束Pの積層面の異常発生位置と、当該異常発生位置に異常状態が生じる原因となる位置が紙幣処理システム100内(鑑査部112、施封装置113A~113D、搬送ベルト111、及び搬送ベルト114を含む)のいずれの位置であるかを示す原因位置とを関連づけて管理する。
【0043】
図10は、管理部36で管理する情報の一例を示す図である。
図10に示すように、管理部36は、異常状態の発生状況、異常発生位置、原因位置、対処策を関連づけて管理する。異常状態は、紙幣束Pの積層面に異常が生じている場合であり、第1実施形態と同様に、キズ・汚れである。異常発生位置は、異常状態が発生した位置を示している。原因位置は、異常状態が発生した原因と考えられる位置である。対処策として、異常状態を解消するのに有効な対処策を管理する。
【0044】
本実施形態においては、NO.1には、発生状況「側面の当たり痕」に対応して、異常発生位置として、側面の当たり痕を示した画像が関連付けられ、原因位置として「施封部113Bへの搬送路」、対処策として、手順1「○○部の手前と億が一様に当たるように調整する」、手順2「手順1で解決しない場合、○○部のフィルム貼付け箇所のエッジ部を面取加工する」、手順3「手順2で解決しない場合、△△部の××手前と奥が一様に当たるように調整する」が関連づけられている。
また、NO.2には、発生状況「側面のベルト汚れ」に対応して、異常発生位置として、ベルト汚れを示す画像が関連付けられ、原因位置として「搬送ベルト111」、対処策として、「ベルトを交換する」が関連付けられている。
【0045】
次に、紙幣束Pの積層面を検査する処理について説明する。図11は、紙幣束Pの積層面の検査処理の一例を示すフローチャートである。なお、ステップST201からST205の処理は、既述のステップST101からST105の処理と同一の処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0046】
ここで、本実施形態で表示部34に表示される検査結果の表示例について説明する。図12は、表示部34の検査結果の表示例を示す図である。
図12に示すように、表示部34の上側には、撮影画像V1と、処理結果後の撮影画像V2が並んで表示されているのは、既述の図6の場合と同様である。このため、以下では、異なる点について説明する。
【0047】
表示部34には、撮影画像V1の下側に処理開始ボタン51が表示されている。当該表示例は、処理開始ボタン51が入力された処理結果を表示している。また、画像処理項目53には、フィルタ処理、エッジ処理、二値化処理が表示されている。撮影画像V2は、キズに関する処理を行うので、フィルタ処理、エッジ処理、二値化処理が表示されている。したがって、オペレータの操作により、汚れに関する画像処理後の撮影画像を表示するように表示を切り替えれば、画像処理項目53は、画像処理項目として、二値化処理が表示されるようになる。
【0048】
閾値ボタン52は、閾値メモリ33に記憶される閾値を変更するためのボタンである。閾値は、既述のように、画像処理後の撮影画像から得られるキズ部分や汚れ部分を数値化したときに、比較する基準となる値である。この閾値の設定もオペレータの入力部35の操作により設定変更をすることができる。このように、入力部35を用いて、閾値を調整できるようにした場合、入力部35が調整装置として構成される。そして、一般に紙幣等の材質や紙幣への印刷状態等の紙幣処理システム100が設定される場所、運用の状況に起因して、異常状態(キズ・汚れ)の部分を判定するための閾値が異なることが考えられる。このような場合に、オペレータが入力部35を用いて閾値を変更することにより、紙幣等の材質や紙幣への印刷状態等の紙幣処理システム100が導入される現場の状況に応じて適切な閾値を設定することが可能になる。これにより、現場の状況に応じて適切な紙幣束Pの積層面の検査を行うことが可能になる。
【0049】
また、画像保存ボタン54は、画像処理後の撮影画像V2の画像データを保存するためのボタンである。オペレータが画像保存ボタン54を入力することにより、撮影画像V2の画像データが保存される。
【0050】
判定結果55は、キズ・汚れの数値が表示されると共に、閾値との比較結果がOKであるか、NGであるかが表示される。本実施形態では、NGが囲まれており、判定結果がNGであることが表示されている。このように判定結果がNGを示す場合、データベース照会ボタン56が入力可能となるように構成される。データベース照会ボタン56は、管理部36を参照して、NGと判定され状態を解消するための対処策等を表示するためのボタンである。
【0051】
図11に戻り説明を続ける。制御部11は、検査結果を表示部34に表示した後(ST205)、制御部11は、データベース照会ボタン56が入力されたか否かを判定する(ST206)。データベース照会ボタン56が入力されたと判定されない場合(ST206:NO)、例えば、オペレータにより他の入力がされた場合、制御部11は、この処理を終了する。
【0052】
一方、データベース照会ボタン56が入力されたと判定した場合(ST206:YES)、制御部11は、管理部36にアクセスする(ST207)。そして、制御部11は、異常状態の発生状況に基づいて、当該発生状況に対応する原因位置を特定する(ST208)。次に、制御部11は、原因位置に発生した異常を解消する対処策を管理部36の管理内容に基づいて取得する(ST209)。制御部11は、このように取得した原因位置、及び対処策を表示部34に表示する(ST210)。
【0053】
図13は、制御部11が取得した原因位置、及び対処策を表示部34に表示する表示例を示す図である。
表示部34の上側には、原因位置を示す表示部34Bが設けられており、表示部34の下側には、整理番号と共に、発生状況、異常発生位置、及び対処策を表示する表示部34Cが設けられている。オペレータは、当該表示を視認することにより、紙幣束Pの積層面のキズ(当たり痕)の原因位置を特定することが可能になる。また、原因位置と共に、対処策が表示されているため、オペレータは原因位置を特定するだけでなく、直ぐにキズに対処することが可能になる。なお、原因位置を示す表示部34Bは、キズの原因位置を拡大して表示する場合を示しているが、オペレータが入力部35を操作することにより、紙幣処理システム100全体の中での位置を表示することも可能である。
【0054】
以上のように構成された紙幣処理システム100においても、第1実施形態と同様に、紙幣束Pの積層面にキズ・汚れがあるか否かを検査することができる。このため、オペレータの目視によらず、紙幣束Pの積層面の状態を定量的に検査することができる。
【0055】
さらに、上記第2実施形態は、第1の実施形態と同様に、照明装置、及び撮影装置の組を複数設けることが可能であり、このように構成した場合、紙幣束Pの積層面を検査する処理を迅速に行うことが可能になる。照明装置、及び撮影装置の組を2つ設ける場合、紙幣束Pの積層面の4つの積層面の隣り合う2面、又は、対向する2面を撮影するように構成することが望ましい。また、この場合、紙幣束Pの積層面が撮影される位置にあるときに、紙幣束Pの向きを回転させる回転機構を設けることにより、紙幣束Pの4つの積層面全てを検査することが可能になる。さらに、紙幣処理装置140内に、照明装置、及び撮影装置を4つ設けることが可能であれば、紙幣束Pの積層面の4つの積層面に対して効率的に処理することが可能になる。
【0056】
また、上記実施形態では、閾値ボタン52を用いて、オペレータが閾値を変更する場合で説明したが、閾値の設定変更はこの方法に限るものではない。例えば、オペレータによりキズが検出された撮影画像、キズが検出されなかった撮影画像等を複数選択し、または、任意にそれぞれの撮影画像が複数枚自動的に選択されるように構成し、これらの撮影画像から自動的に閾値を調整する自動調整モードを制御部11が設定できるようにしてもよい。このように構成すると、制御部11が自動で閾値を調整することができ、キズ、汚れの検出精度を向上させることが可能になる。
【0057】
なお、上記各実施形態では、紙葉類積層面の異常状態は、キズ及び汚れの場合で説明したが、異常状態はこれらに限るものではない。例えば、100枚が施封された束が10個積層されている場合に、各束の取り揃えが不十分な場合も異常状態に含めることができる。このように取り揃えに異常がある場合、フィルタ処理等の所定の画像処理を行うと、取り揃えが不十分な場合、束と束との間に線が浮かび上がる画像処理結果を得ることができる。このように画像処理した後の撮影画像から得られる線の状態の部分の数値と、所定の閾値とを比較することにより、キズや汚れの場合と同様に、取り揃えの異常状態の検出を行うことが可能になる。
【0058】
また、上記第2実施形態の管理部36により管理される異常状態の発生状況及び異常発生位置に対応する原因位置、及び対処策は、紙幣処理システム100外の装置に対するものでもよい。当該装置としては、例えば、既述の紙幣処理システム100により紙幣を検査する前に、複数の紙幣の印刷画像が含まれている状態から各紙幣に断裁する処理を実行する断裁装置が考えられる。異常状態の発生状況及び異常発生位置が断裁装置の処理が原因であると考えられる場合、当該異常発生位置に対応付けて、原因位置として断裁装置が関連付けられると共に、所定の対処策が関連付けられ、管理部36に記憶される。このように構成すると、原因位置が断裁装置である場合、紙幣束Pの積層面に発生した異常状態部分の値に基づいて、オペレータは対処策を用いて断裁装置にフィードバックすることが可能になる。例えば、断裁装置の切れ味が悪くなると、断裁面の反射率やキズの発生率に影響が生じる。このため、このような要因を原因として紙幣束Pの積層面の異常状態が検出された場合、制御部31は管理部36を参照し、当該異常状態部分の値に基づいて、断裁装置の断裁部材の交換等を対処策としてオペレータに促すことが可能になる。そして、オペレータが断裁部材を交換することにより、断裁装置の切れ味が良くなり、断裁面の反射率やキズの発生率が正常値に改善される。
【0059】
また、上記各実施形態では、可動ステージ2の紙幣束Pの載置面、及び搬送ベルト141の紙幣束Pの載置面に対して、鉛直方向に紙幣の積層が形成される状態で、紙幣束Pの積層面を撮影装置5により撮影する場合を説明しているが、これに限るものではない。例えば、可動ステージ2の紙幣束Pの載置面、及び搬送ベルト141の紙幣束Pの載置面に対して、水平方向に紙幣の積層が形成される状態で、紙幣束Pの積層面を撮影装置5により撮影を行うようにしてもよい。
【0060】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1,1A,140…紙幣処理装置、2…可動ステージ、3…位置決め部材、4,6…照明装置、5,7…撮影装置、10…パーソナルコンピュータ、20…画像読取部、31…制御部、32…画像メモリ、33…閾値メモリ、34…表示部、35…入力部、36…管理部、P…紙幣束、S1,S2…帯、V1…撮影画像の表示、V2…処理結果画像の表示、100…紙幣処理システム、111、114、131、141…搬送ベルト、113A~113D…施封部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13