(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】付替用注出栓および注出栓付きパウチ容器包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 47/40 20060101AFI20221219BHJP
B65D 33/38 20060101ALI20221219BHJP
B65D 75/58 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B65D47/40 200
B65D33/38
B65D75/58
(21)【出願番号】P 2018184952
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】田窪 陽子
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-082756(JP,U)
【文献】特開2010-023846(JP,A)
【文献】特開2012-056591(JP,A)
【文献】特開2018-087022(JP,A)
【文献】実開平02-102374(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0048113(US,A1)
【文献】特開2016-3055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/40
B65D 33/38
B65D 75/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパウトを有するパウチ容器と、
前記パウチ容器の前記スパウトに取り付けられた付替用注出栓と、を備える注出栓付きパウチ容器包装体であって、
前記スパウトは、前記パウチ容器の天面シートに設けられており、
前記付替用注出栓は、
注出孔を有する受液部と、
当該受液部から軸方向一方側に延び且つ軸方向視において前記注出孔を内包する注出ノズルと、
前記受液部に軸方向他方側に繋がり且つ
前記パウチ容器の
前記スパウトに着脱可能に取り付けられる固定部と、を備
え、
前記固定部は、取付部および軸方向視において当該取付部の内側に位置する挿入部を有し、
前記受液部は、前記注出孔が形成された底部および当該底部の外周端から軸方向一方側に延びる壁部を有し、
前記底部は、軸方向視において前記固定部を超えて外側方向に延びており、
前記底部の表面は、前記壁部から前記注出ノズルに向けて軸方向他方側に傾斜した傾斜面を含み、
前記注出ノズルは、軸方向一端部から前記表面の最も軸方向他方側部まで至るスリットを有
し、
前記取付部には、前記スパウトと螺合するねじ部が形成されている、
注出栓
付きパウチ容器包装体。
【請求項2】
前記注出ノズルは、軸方向視において前記挿入部と重なる、請求項1に記載の
注出栓
付きパウチ容器包装体。
【請求項3】
前記付替用注出栓に取り付けられ、且つ前記パウチ容器の少なくとも一部を覆うケースを備える、請求項
1または2に記載の注出栓付きパウチ容器包装体。
【請求項4】
注出孔を有する受液部と、
当該受液部から軸方向一方側に延び且つ軸方向視において前記注出孔を内包する注出ノズルと、
前記受液部に軸方向他方側に繋がり且つパウチ容器のスパウトに着脱可能に取り付けられる固定部と、を備える付替用注出栓であって、
前記固定部は、取付部および軸方向視において当該取付部の内側に位置する挿入部を有し、
前記受液部は、前記注出孔が形成された底部および当該底部の外周端から軸方向一方側に延びる壁部を有し、
前記底部は、軸方向視において前記固定部を超えて外側方向に延びており、
前記底部の表面は、前記壁部から前記注出ノズルに向けて軸方向他方側に傾斜した傾斜面を含み、
前記注出ノズルは、軸方向一端部から前記表面の最も軸方向他方側部まで至るスリットを有し、
前記注出ノズルは、軸方向視において前記スパウトよりも外側に位置する
、付替用注出栓。
【請求項5】
注出孔を有する受液部と、
当該受液部から軸方向一方側に延び且つ軸方向視において前記注出孔を内包する注出ノズルと、
前記受液部に軸方向他方側に繋がり且つパウチ容器のスパウトに着脱可能に取り付けられる固定部と、を備える付替用注出栓であって、
前記固定部は、取付部および軸方向視において当該取付部の内側に位置する挿入部を有し、
前記受液部は、前記注出孔が形成された底部および当該底部の外周端から軸方向一方側に延びる壁部を有し、
前記底部は、軸方向視において前記固定部を超えて外側方向に延びており、
前記底部の表面は、前記壁部から前記注出ノズルに向けて軸方向他方側に傾斜した傾斜面を含み、
前記注出ノズルは、軸方向一端部から前記表面の最も軸方向他方側部まで至るスリットを有し、
前記表面は、前記注出ノズルに接する溝を含む
、付替用注出栓。
【請求項6】
注出孔を有する受液部と、
当該受液部から軸方向一方側に延び且つ軸方向視において前記注出孔を内包する注出ノズルと、
前記受液部に軸方向他方側に繋がり且つパウチ容器のスパウトに着脱可能に取り付けられる固定部と、を備える付替用注出栓であって、
前記固定部は、取付部および軸方向視において当該取付部の内側に位置する挿入部を有し、
前記受液部は、前記注出孔が形成された底部および当該底部の外周端から軸方向一方側に延びる壁部を有し、
前記底部は、軸方向視において前記固定部を超えて外側方向に延びており、
前記底部の表面は、前記壁部から前記注出ノズルに向けて軸方向他方側に傾斜した傾斜面を含み、
前記注出ノズルは、軸方向一端部から前記表面の最も軸方向他方側部まで至るスリットを有し、
前記底部は、前記表面とは反対側を向く裏面を有し、
前記裏面は、軸方向視において前記挿入部と前記取付部との間に位置し、且つ前記スパウトの先端面に対して平行である
、付替用注出栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ容器のスパウトに着脱可能に取り付けられる付替用注出栓、およびこれを有する注出栓付きパウチ容器包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
スパウトが設けられたパウチ容器は、洗剤等の日用品をはじめとする液状の内容物の容器として広く用いられている。特許文献1には、パウチ容器を用いた従来の容器包装体の一例が開示されている。同文献に開示された容器包装体は、包材およびスパウトを備えるパウチ容器と、スパウトに取り付けられた注出栓と、を備える。注出栓は、スパウトに螺合等によって取り付けられる本体部と、本体部を塞ぐキャップと、を有する。本体部は、内容物を注出するためのノズルを有する。キャップは、たとえばノズルから注出された内容物の計量等に用いられる。本体部には、計量をした後のキャップが嵌められた際に、キャップに残存した内容物を受液し、これをスパウトを通じて包材に戻す構造が採用される。
【0003】
特許文献2には、従来の液体製品の注出および計量パッケージの一例が開示されている。同文献に開示された構成は、計量した後のキャップが注出栓の本体部に嵌められた際に、キャップに残存した内容物を本体部が受液する。この本体部は、ノズルのうち容器側に位置する部分が、本体部の外壁の内側に配置されており、さらに容器の口部上端を超えて容器内に位置するという構造が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-23846号公報
【文献】特開昭59-152160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示されているような、液体製品の注出および計量パッケージの構造を、特許文献1の注出部とスパウトの取付構造として採用すると、ノズルの一部がスパウト内に位置する構造となる。このため、特許文献1に図示されたように、スパウトの口径が、通常用いられるスパウトの口径よりも大きくなってしまう。このようなスパウトは、樹脂の使用量が増大するため、汎用のパウチ容器に用いることが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、スパウトの大型化を回避しつつ、内容物を適切に受液することが可能な付替用注出栓および注出栓付きパウチ容器包装体を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面によって提供される付替用注出栓は、注出孔を有する受液部と、当該受液部から軸方向一方側に延び且つ軸方向視において前記注出孔を内包する注出ノズルと、前記受液部に軸方向他方側に繋がり且つパウチ容器のスパウトに着脱可能に取り付けられる固定部と、を備える付替用注出栓であって、前記固定部は、取付部および軸方向視において当該取付部の内側に位置する挿入部を有し、前記受液部は、前記注出孔が形成された底部および当該底部の外周端から軸方向一方側に延びる壁部を有し、前記底部は、軸方向視において前記固定部を超えて外側方向に延びており、前記底部の表面は、前記壁部から前記注出ノズルに向けて軸方向他方側に傾斜した傾斜面を含み、前記注出ノズルは、軸方向一端部から前記表面の最も軸方向他方側部まで至るスリットを有する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記注出ノズルは、軸方向視において前記挿入部と重なる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記注出ノズルは、軸方向視において前記スパウトよりも外側に位置する。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記表面は、前記注出ノズルに接する溝を含む。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記底部は、前記表面とは反対側を向く裏面を有し、前記裏面は、軸方向視において前記挿入部と前記取付部との間に位置し、且つ前記スパウトの先端面に対して平行である。
【0012】
本発明の第2の側面によって提供される注出栓付きパウチ容器包装体は、前記パウチ容器と、前記パウチ容器の前記スパウトに取り付けられた本発明の第1の側面によって提供される付替用注出栓と、を備える。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記付替用注出栓に取り付けられ、且つ前記パウチ容器の少なくとも一部を覆うケースを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前記受液部の前記壁部は、前記取付部よりも大径である。このため、前記受液部の容量を拡大しつつ、前記スパウトが大径となることを回避することが可能である。また、前記底面は、前記傾斜面を有しており、前記底面の下端は、前記スリットが位置する箇所が最も軸方向他方側に位置する。このため、前記受液部に受液された前記内容物を前記スリットへとより確実に導くことが可能であり、前記内容物が前記受液部内に不当に残存してしまうことを防止することができる。したがって、前記付替用注出栓および前記注出栓付きパウチ容器包装体によれば、前記スパウトの大型化を回避しつつ、前記キャップに残存した前記内容物を適切に受液することができる。
【0015】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る注出栓付きパウチ容器包装体を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る注出栓付きパウチ容器包装体を示す断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る注出栓付きパウチ容器包装体を示す要部断面斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る注出栓付きパウチ容器包装体を示す要部平面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る注出栓付きパウチ容器包装体を示す要部平面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る注出栓付きパウチ容器包装体を示す要部平面図である。
【
図13】本発明の第4実施形態に係る注出栓付きパウチ容器包装体を示す要部平面図である。
【
図16】本発明の第5実施形態に係る注出栓付きパウチ容器包装体を示す分解斜視図である。
【
図17】本発明の第5実施形態に係る注出栓付きパウチ容器包装体を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0018】
本開示における「第1」、「第2」等の用語は、単にラベルとして用いたものであり、必ずしもそれらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0019】
<第1実施形態>
図1~
図6は、本発明の第1実施形態に係る付替用注出栓および注出栓付きパウチ容器包装体を示している。本実施形態の注出栓付きパウチ容器包装体C1は、パウチ容器Bおよび付替用注出栓A1を備えている。注出栓付きパウチ容器包装体C1は、たとえば付替用注出栓A1とは別の図示しないキャップによって封止された状態で内容物Sが充填されたパウチ容器Bが流通し、使用時にこのパウチ容器Bに付替用注出栓A1が取り付けられて構成されていてもよい。
【0020】
図1は、注出栓付きパウチ容器包装体C1を示す分解斜視図である。
図2は、注出栓付きパウチ容器包装体C1を示す断面図である。
図3は、注出栓付きパウチ容器包装体C1を示す要部断面斜視図である。
図4は、注出栓付きパウチ容器包装体C1を示す要部平面図である。
図5は、
図4のV-V線に沿う断面図である。
図6は、
図4のVI-VI線に沿う断面図である。
図3および
図4においては、理解の便宜上、後述の包材9を省略している。
図4~
図6においては、理解の便宜上、キャップ7を省略している。なお、図中のz方向は、本発明の軸方向に相当する。また、z方向における一方側を上側、他方側を下側と称する場合がある。
【0021】
図1および
図2に示すように、パウチ容器Bは、スパウト8および包材9を有する。
【0022】
包材9は、一対の外装シート91、天面シート92および底ガゼットシート93を有しており、一対のサイドシール部94、天シール部95および底シール部96が形成されており、内容物Sが充填された状態で自立可能な構成とされている。なお、包材9の形状やフィルム構成は特に限定されず、以下に述べる構成は、包材9の一例である。
【0023】
一対の外装シート91は、y方向に重なり合っている。一対の外装シート91の形状や大きさは特に限定されず、本実施形態においては、全体として略矩形状である。底ガゼットシート93は、一対の外装シート91のz方向下端寄りに位置しており、包材9の底部を構成するためのものである。天面シート92は、一対の外装シート91のz方向上端寄りに位置しており、一対の外装シート91に挟まれている。天面シート92には、スパウト8を挿通するための孔が形成されている。
【0024】
一対の外装シート91、天面シート92及び底ガゼットシート93は、通常、樹脂フィルムから構成される。該樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、及び耐熱性等、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。また、一対のサイドシール部94、天シール部95および底シール部96は、通常、ヒートシールにより形成されるので、シートにはヒートシール性も要求される。シートとしては、ベースフィルム層と、ヒートシール性を付与するシーラント層とを有する複層シートが好適であり、高いガスバリア性や遮光性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にバリア層を設けることが好適である。なお、ベースフィルム層そのものにバリア性を付与してもよい。この場合は、バリア層をベースフィルム層として用い、バリア層とシーラント層とを有する複層シートとなる。
【0025】
ここで、ベースフィルム層、シーラント層、及びガスバリア層の構成材料を例示する。なお、これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば、共押出しラミネーション、接着剤によるドライラミネーション、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーション等により行うことができる。
【0026】
ベースフィルム層を構成するフィルムとしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ-ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)等)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、ポリアミド(ナイロン-6、ナイロン-66等)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルスルフォン(PES)等から構成される一層または二層以上の延伸または未延伸フィルムが例示できる。
【0027】
シーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)及びエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層または二層以上の延伸または未延伸フィルムが例示できる。
【0028】
ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の樹脂フィルム、或いは任意の合成樹脂フィルム(例えば、ベースフィルム層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物等を蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。
【0029】
一対のサイドシール部94は、一対の外装シート91のx方向両端同士が接合された部分である。天シール部95は、一対の外装シート91のz方向上端と天面シート92のy方向両端とが接合された部分である。底シール部96は、一対の外装シート91のz方向下端付近の部分と底ガゼットシート93とが接合された部分である。
【0030】
スパウト8は、パウチ容器Bに内容物Sを充填したりパウチ容器Bから内容物Sを注出したりするためのものである。図示された例においては、スパウト8は、一対の外装シート91の間に配置されている。スパウト8の構成は特に限定されず、本実施形態においては、筒部81および鍔部82を有する。
【0031】
筒部81は、充填および抽出される内容物Sが通過する部位である。図示された例においては、筒部81にねじ部811が形成されている。ねじ部811は、付替用注出栓A1をスパウト8に着脱可能に取り付けるために用いられ、たとえば雌ねじの構造とされている。また、図示された例においては、筒部81には、第1フランジ部812が形成されている。第1フランジ部812は、ねじ部811に対してz方向下方に離間して設けられており、z方向視において円環形状の部位である。なお、図示された例においては、筒部81の先端面81aは、z方向に対して直角であり、各部のz方向位置が同一であるが、これに限定されない。
【0032】
鍔部82は、筒部81のz方向下端からxy平面に沿って延出する部分であり、図示された例においては、z方向視において円環形状である。スパウト8の材質は特に限定されないが、後述のスパウトシール部97を形成する場合、ヒートシール性を有する樹脂からなる。
【0033】
スパウト8の筒部81は、たとえば天面シート92に設けられた孔にz方向下方から上方に挿通されている。また、
図1、
図5および
図6に示すように、鍔部82と天面シート92とがヒートシールされることにより、スパウトシール部97が形成されている。これにより、スパウト8は、包材9に気密状態で取り付けられている。
【0034】
内容物Sは、パウチ容器Bに収容されている。内容物Sは、液体やジェル状物体等の流動性を有する液状の物体である。内容物Sの種類は特に限定されず、たとえば洗剤等の日用品や医薬品、あるいは飲食料品が挙げられる。
【0035】
付替用注出栓A1は、パウチ容器Bのスパウト8に着脱可能に取り付けられる。本実施形態の付替用注出栓A1は、本体部1を有する。また、付替用注出栓A1は、キャップ7をさらに有する。なお、本発明の付替用注出栓は、必ずしもキャップ7を有する構成に限定されず、以降の説明においては、たとえば計量を行う観点から好ましい形態としてキャップ7を有する場合を例に説明する。
【0036】
本体部1は、パウチ容器Bのスパウト8の筒部81に着脱可能に取り付けられる部位である。本体部1の材質は特に限定されず、たとえばポリプロピレン(PP)系樹脂等からなる。また、本体部1に残存する内容物Sを減らすために、撥水性を有する材料を用いて本体部1を形成したり、金型側に微細な凹凸をつけ、本体部1に撥水効果を付与したり、本体部1に撥水効果のある塗膜を施したりすることにより、本体部1に撥水性を付与してもよい。本体部1は、注出ノズル2、受液部3、固定部4およびカバー部6を有する。
【0037】
受液部3は、たとえばキャップ7に残存した内容物Sを受液し、この内容物Sをパウチ容器B内に戻す機能を果たす部位である。受液部3は、壁部31および底部32を有する。
【0038】
壁部31は、z方向を軸方向とする円筒形状である。壁部31は、z方向視においてスパウト8の筒部81よりも外側に位置する大きさであり、筒部81よりも大径である。図示された例においては、壁部31には、ねじ部311が形成されている。ねじ部311は、螺合によってキャップ7を着脱可能に取り付けるものであり、たとえば雄ねじの構造とされている。
【0039】
底部32は、壁部31のz方向下端に繋がっており、壁部31のz方向下端から内側に延びている。図示された例においては、底部32は、中央付近に注出孔326が形成された円環形状である。注出孔326は、内容物Sを注出する際に、内容物Sを通過させるための孔である。底部32は、表面321を有する。表面321は、底部32のうちz方向上側を向いており、z方向視において注出ノズル2よりも外側に位置する面である。表面321の詳細については、後述する。
【0040】
注出ノズル2は、底部32の表面321からz方向上方に延びており、内容物Sを注出する通路を構成する部位である。注出ノズル2は、軸方向z視において注出孔326を内包している。注出ノズル2の形状は特に限定されず、図示された例においては、z方向視において一部が切り欠かれた円環形状である。注出ノズル2は、先端部21およびスリット22を有する。先端部21は、注出ノズル2のz方向上側の端部である。図示された例においては、先端部21は、z方向に対して傾いている。また、先端部21は、壁部31のz方向上端よりもz方向上方に位置する。スリット22は、先端部21から注出ノズル2のz方向下端にわたって、注出ノズル2の周方向における一部が切り欠かれた部分である。図示された例においては、スリット22は、z方向に沿った形状である。
【0041】
固定部4は、受液部3にz方向下側(他方側)に繋がっており、パウチ容器Bのスパウト8に着脱可能に取り付けられる。固定部4は、取付部41および挿入部42を有する。
【0042】
挿入部42は、受液部3の底部32の注出孔326からz方向下側に延びており、スパウト8の筒部81の内側に挿入される円筒状の部位である。挿入部42の形状は特に限定されず、図示された例においては、z方向を軸方向とする円筒形状である。また、本実施形態においては、挿入部42は、z方向視において注出ノズル2と重なる大きさである。また、本例においては、挿入部42の内径と、注出ノズル2の内径とが、略同じである。また、本例においては、挿入部42は、直径よりもz方向長さが短い。なお、挿入部42の他の形状としては、周方向の一部のみに設けられた単数の部位や周方向に分割された複数の部位からなる形状等が挙げられる。このように挿入部42が周方向の一部に設けられる場合、挿入部42は、スリット22が位置する方位に設けられることが好ましい。このような構成によれば、スリット22を通過してきた内容物Sをより確実にスパウト8に流し込むことができるという利点がある。
【0043】
取付部41は、受液部3の底部32からz方向下側に延びており、スパウト8の筒部81に外側から着脱可能に取り付けられる円筒状の部位である。取付部41は、z方向視において筒部81および挿入部42を内包している。言い換えると、挿入部42は、軸方向z視において取付部41の内側に位置する。すなわち、取付部41は、挿入部42および筒部81よりも大径である。図示された例においては、取付部41は、挿入部42よりもz方向寸法が長い。すなわち、取付部41のz方向下端は、挿入部42のz方向下端よりもz方向下方に位置している。図示された例においては、取付部41のz方向下端は、スパウト8の筒部81の第1フランジ部812に近接している。取付部41には、ねじ部411が形成されている。ねじ部411は、取付部41の内周面に形成されており、スパウト8の筒部81のねじ部811と螺合する。
【0044】
ここで、底部32は、裏面325を有する。裏面325は、底部32のうち挿入部42と取付部41との間に位置する部位の一面であり、表面321とは反対側のz方向下側を向いている。裏面325は、z方向視において円環形状である。裏面325は、筒部81の先端面81aに対して平行であり、図示された例においては、裏面325は、z方向に対して直角である。すなわち、裏面325の各部のz方向における位置は、同一である。図示された例においては、裏面325は、スパウト8の筒部81の先端面81aの全周に接している。
【0045】
カバー部6は、スパウト8の筒部81と取付部41との取付箇所を覆う部位である。図示された例においては、カバー部6は、外筒部61および連結部62を有する。外筒部61は、z方向視において取付部41に対して外側に位置する円筒形状の部位である。本例の連結部62は、z方向下側ほど直径が大となる形状である。外筒部61のz方向下端は、取付部41のz方向下端よりもz方向下方に位置している。連結部62は、外筒部61のz方向上端と受液部3とを連結する部位である。
【0046】
図3~
図6に示すように、本実施形態の表面321は、傾斜面322および溝323を含む。傾斜面322は、受液部3の壁部31から注出ノズル2に向けてz方向下側に傾斜している。本実施形態においては、傾斜面322は、表面321の略全方位に形成されてり、いわゆるすり鉢形状を呈している。溝323は、z方向視において傾斜面322の内側に形成されており、傾斜面322と注出ノズル2との間に位置する。
図5に示すように、溝323は、少なくとも注出ノズル2のスリット22と表面321とが向かい合う部位において、傾斜面322からz方向下方に凹む形状とされている。
【0047】
円環形状である表面321が、傾斜面322を有することにより、表面321のz方向における下側端(他方側端)である下端3210は、注出ノズル2に沿った円形状である。また、
図5に示すように、下端3210は、周方向においてスリット22が位置する方位がz方向において最も下方に位置するように傾いている。すなわち、下端3210のうち周方向においてスリット22の方位に位置する第1部321aは、周方向においてスリット22とは反対側に位置する第2部321bよりも
図5に示す寸法z1だけz方向下方に位置する。また、
図6に示すように、周方向において第1部321aと第2部321bとの間に位置する第3部321cは、z方向において第1部321aと第2部321bとの間に位置している。第1部321aは、第3部321cよりも
図6に示す寸法z2だけz方向下方に位置している。すなわち、スリット22は、注出ノズル2のz方向上端部(一端部)から表面321の最もz方向他方側部(下方側部)である第1部321aにまで至る構成である。なお、本実施形態においては、第1部321aは、溝323の底部に位置する。また、以降の実施形態における寸法z1,z2の、互いの相対関係が、本実施形態の寸法z1,z2と同様であるが、絶対値は、それぞれの実施形態ごとに異なってもよい。
【0048】
キャップ7は、本体部1に取り付けられることにより、本体部1を封止し、内容物Sの漏出を阻止するためのものである。
図1~
図3に示すように、本実施形態においては、キャップ7は、筒部71、天板部72およびカバー部73を有する。筒部71は、z方向を軸方向とする筒状部位である。筒部71は、キャップ7が本体部1に取り付けられた状態で、注出ノズル2と受液部3の壁部31との間に位置し、筒部71の下端は表面321に接近している。また、筒部71の上端は、注出ノズル2の先端部21よりもz方向上方に位置している。天板部72は、筒部71のz方向上端に繋がっており、筒部71をz方向上側から塞いでいる。筒部71および天板部72によって構成された部位は、たとえば所定量の内容物Sを計量するための部位として用いられる。この場合、キャップ7は、透明な樹脂等からなることが好ましい。また、筒部71に計量に用いられる目盛り(図示略)が設けられていてもよい。
【0049】
カバー部73は、受液部3の壁部31に着脱可能に取り付けられる部位である。カバー部73は、取付部731および連結部732を有する。取付部731は、z方向を軸方向とする筒状部位であり、壁部31の外側に取り付けられる。取付部731のz方向下端は、カバー部6の連結部62に近接している。また、取付部731のz方向下端は、筒部71のz方向下端よりもz方向上方に位置している。図示された例においては、取付部731には、ねじ部733が形成されている。ねじ部733は、壁部31のねじ部311と螺合するものであり、たとえば雌ねじの構成とされている。連結部732は、取付部731のz方向上端と筒部71とを連結する円環状の部位である。また、図示された例においては、連結部732には、リブ734が形成されている。リブ734は、連結部732からz方向下方に延出しており、z方向視において円形状である。リブ734は、壁部31の内側に沿う位置に設けられている。
【0050】
付替用注出栓A1の使用形態の一例としては、注出栓付きパウチ容器包装体C1が使用されて内容物Sが使い切られた後に、空となったパウチ容器Bから付替用注出栓A1が取り外される。次いで、所定量の内容物Sが充填された別のパウチ容器Bが用意され、このパウチ容器Bに付替用注出栓A1が取り付けられる。すなわち、付替用注出栓A1は、複数の異なるパウチ容器Bに取り付けられることにより、繰り返し使用されることが意図されている。
【0051】
次に、付替用注出栓A1および注出栓付きパウチ容器包装体C1の作用について説明する。
【0052】
本実施形態によれば、
図3、
図5および
図6に示すように、受液部3の壁部31は、スパウト8の筒部81に取り付けられる取付部41よりも大径である。このため、受液部3の容量を拡大しつつ、スパウト8の筒部81が大径となることを回避することが可能である。また、表面321は、傾斜面322を有しており、表面321の下端3210は、スリット22が位置する箇所(第1部321a)が最もz方向下方側に位置する。このため、受液部3に受液された内容物Sをスリット22へとより確実に導くことが可能であり、内容物Sが受液部3内に不当に残存してしまうことを防止することができる。したがって、付替用注出栓A1および注出栓付きパウチ容器包装体C1によれば、スパウト8の大型化を回避しつつ、キャップ7に残存した内容物Sを適切に受液することができる。
【0053】
本実施形態においては、表面321が溝323を含むことにより、第1部321aがz方向において最も下方に位置する構成とされている。言い換えると、
図5において、底部32のうち図中右方に位置する部分と図中左方に位置する部分とは、互いのz方向における位置が略同じであり、それぞれの厚さが略同じである。このような構成の本体部1は、たとえば金型成形によって形成するのに適している。
【0054】
注出ノズル2は、z方向視において挿入部42と重なる大きさである。このため、注出ノズル2と壁部31との間により大きな空間を確保することが可能である。これは、受液部3の容量を拡大するのに有利である。
【0055】
受液部3の裏面325は、筒部81の先端面81aに対して平行であり、図示された例においては、z方向に対して直角である。これにより、スパウト8の筒部81の先端面81aを裏面325に全周にわたって接触させることが可能である。これは、パウチ容器Bのスパウト8と付替用注出栓A1の本体部1との間から内容物Sが漏出することを防止するのに好ましい。また、挿入部42が、スパウト8の筒部81の内側に挿入されていることにより、内容物Sの漏出をより確実に防止することができる。
【0056】
図7~
図17は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0057】
<第2実施形態>
図7~
図9は、本発明の第2実施形態に係る注出栓付きパウチ容器包装体を示している。本実施形態の注出栓付きパウチ容器包装体C2は、上述した付替用注出栓A1とは異なる構成の付替用注出栓A2を備えている。
【0058】
付替用注出栓A2の表面321は、傾斜面322を含んでいる一方、上述した実施形態における溝323は、含んでいない。表面321は、
図8の図中右方に断面図の一部として表れる部分のみ、x方向に対して平行であり、傾斜面322とはなっていない。これ以外の表面321の部分には、傾斜面322が形成されている。
【0059】
本実施形態の傾斜面322は、
図8の図中右方から図中左方に向かうほど傾斜角が大となるように形成されている。このような構成により、本実施形態においても、下端3210は、周方向においてスリット22が位置する方位がz方向において最も下方に位置するように傾いている。
【0060】
本実施形態によっても、スパウト8の大型化を回避しつつ、キャップ7に残存した内容物Sを適切に受液することができる。また、本実施形態においては、下端3210のx方向に対する傾斜角度をより大きくすることが可能である。これは、受液部3に内容物Sが不当に残存してしまうことを防止するのに好ましい。
【0061】
<第3実施形態>
図10~
図12は、本発明の第3実施形態に係る注出栓付きパウチ容器包装体を示している。本実施形態の注出栓付きパウチ容器包装体C3は、上述した付替用注出栓A1,A2とは異なる構成の付替用注出栓A3を備えている。
【0062】
付替用注出栓A3の注出ノズル2は、z方向視において挿入部42よりも大きく、スパウト8の筒部81よりも外側に位置する大きさである。図示された例においては、注出ノズル2は、z方向視において取付部41と重なる大きさである。
【0063】
受液部3の底部32は、表面321に加えて内周面324を有する。表面321は、z方向視において注出ノズル2の外側に位置する面であり、内周面324は、z方向視において注出ノズル2の内側に位置する面である。内周面324は、z方向視において円環形状である。内周面324の内周端は、注出孔326を構成しており、挿入部42が繋がっている。内周面324は、注出ノズル2から挿入部42に向かうほど、z方向において下方に位置するように傾斜している。内周面324は、いわゆるすり鉢形状を呈している。
【0064】
表面321は、傾斜面322を有している。表面321が注出ノズル2に繋がる部分は、
図11および
図12において円弧形状に表れる曲面とされている。
図11および
図12に示す想像線の円は、それぞれの部分の曲面の半径R1,R2,R3で形成される円を理解の便宜上記載したものである。これらの図から理解されるように、第1部321aの半径R1は、第2部321bの半径R2および第3部321cの半径R3よりも小さい。また、第3部321cの半径R3は、第2部321bの半径R2よりも小さい。第1部321a、第2部321bおよび第3部321cの間においては、曲面の半径がたとえば連続的に変化している。このような曲面を形成することにより、第1部321aは、下端3210の中でz方向において最も下方に位置している。
【0065】
また、本実施形態のパウチ容器Bは、スパウト8の筒部81に第2フランジ部813が形成されている。第2フランジ部813は、第1フランジ部812に対してz方向下方に離間して設けられている。
【0066】
本実施形態によっても、スパウト8の大型化を回避しつつ、キャップ7に残存した内容物Sを適切に受液することができる。また、本実施形態においては、スパウト8の筒部81が接触する裏面325は、内周面324の反対側に位置しており、z方向視において傾斜面322とは重なっていない。底部32のうち傾斜面322を構成する部分は、内容物Sをスリット22に確実に流すために、相対的に傾いた形状となりやすい。このような形状の底部32の部分に、z方向に対して直角である(z方向およびy方向に対して傾いていない)裏面325を形成しようとすると、肉厚である部位が生じやすい。このような肉厚である部位は、たとえば本体部1を金型成形する際に、歪やひけが起こることが懸念される。本実施形態によれば、底部32のうち裏面325を構成する部分を大きく傾けることを回避することが可能であり、肉厚となることを抑制することができる。
【0067】
<第4実施形態>
図13~
図15は、本発明の第4実施形態に係る注出栓付きパウチ容器包装体を示している。本実施形態の注出栓付きパウチ容器包装体C4は、上述した付替用注出栓A1~A3とは異なる構成の付替用注出栓A4を備えている。
【0068】
付替用注出栓A4においては、受液部3の表面321の全体に傾斜面322が設けられている。また、傾斜面322の下端3210と上端3211は、
図14におけるx方向図中左方に向かうほどz方向下方に位置するように傾いており、図示された例においては、互いに略平行である。すなわち、すり鉢形状を呈する傾斜面322の全体が、x方向に対して傾いた構成とされている。
【0069】
本実施形態によっても、スパウト8の大型化を回避しつつ、キャップ7に残存した内容物Sを適切に受液することができる。また、傾斜面322の全体をx方向に対して傾けることにより、受液部3内の内容物Sをより確実にスリット22へと導くことができる。
図14に示すように、傾斜面322の全体がx方向に対して傾いていても、底部32のうち裏面325を構成する部分は、x方向に対しては傾いていない。これは、x方向およびy方向に対して平行である裏面325を形成するのに適しており、顕著に肉厚である部分が生じることを回避することができる。
【0070】
<第5実施形態>
図16および
図17は、本発明の第5実施形態に係る注出栓付きパウチ容器包装体を示している。本実施形態の注出栓付きパウチ容器包装体C5は、ケースDを備える点が、上述した実施形態と異なっている。
【0071】
ケースDは、パウチ容器Bの包材9を保護するものであり、本実施形態においては、スパウト8に取り付けられる。ケースDの材質は特に限定されず、たとえばポリプロピレン系樹脂等からなる。
【0072】
ケースDの形状は特に限定されず、図示された例においては、天板部d1、側板部d2および底板部d3を有する。天板部d1は、z方向上方に位置しており、z方向に対して概ね直角な平板状である。天板部d1の形状は特に限定されず、本例においては、略半楕円形状である。また、天板部d1には、スリットd11が形成されている。スリットd11は、y方向に切れ込んだ形状であり、
図17に示すように、筒部81をx方向両側から挟むように保持する部位である。図示された例においては、スリットd11は、z方向において第1フランジ部812と第2フランジ部813との間に挿入される。
【0073】
側板部d2は、天板部d1の外縁に繋がっており、z方向に延びている。本例の側板部d2は、z方向視において天板部d1の円弧状の外縁と重なる曲面形状である。底板部d3は、側板部d2のz方向下端に繋がっており、z方向に対して概ね直角な平板状である。底板部d3の形状は特に限定されず、本例においては、天板部d1からスリットd11を除いた形状と略同じである。
【0074】
図16に示すように、ケースDは、y方向一方側が大きく開口している。この開口からパウチ容器Bの包材9を挿入するようにして、ケースDをパウチ容器Bに被せる。この際、上述したように、スリット22に筒部81を進入させ、第1フランジ部812と第2フランジ部813との間にスリット22を挿入する。これにより、ケースDが装着される。なお、図示された例においては、パウチ容器Bに付替用注出栓A3を取り付ける場合を例に示しているが、これに限定されず、付替用注出栓A1,A2,A4をはじめ、様々な付替用注出栓を用いることができる。
【0075】
本実施形態によっても、スパウト8の大型化を回避しつつ、キャップ7に残存した内容物Sを適切に受液することができる。また、ケースDによって包材9を保護することにより、包材9が破れること等を抑制することができる。ケースDは、底板部d3を下方にした状態で安定して自立可能である。このため、パウチ容器Bの底ガゼットシート93を接触させて自立させる場合と比べて、より安定して付替用注出栓A5を自立させることができる。たとえば、使用に伴って内容物Sが減少し、パウチ容器B単体での自立が不安定となる場合であっても、ケースDを装着することにより、付替用注出栓A5を確実に自立させることができる。
【0076】
本発明に係る付替用注出栓および注出栓付きパウチ容器包装体は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る付替用注出栓および注出栓付きパウチ容器包装体の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0077】
A1,A2,A3,A4,A5:付替用注出栓
B :パウチ容器
C1,C2,C3,C4,C5:注出栓付きパウチ容器包装体
1 :本体部
2 :注出ノズル
3 :受液部
4 :固定部
41 :取付部
42 :挿入部
6 :カバー部
7 :キャップ
8 :スパウト
9 :包材
21 :先端部
22 :スリット
31 :壁部
32 :底部
411 :ねじ部
61 :外筒部
62 :連結部
71 :筒部
72 :天板部
73 :カバー部
81 :筒部
81a :先端面
82 :鍔部
91 :外装シート
92 :天面シート
93 :底ガゼットシート
94 :サイドシール部
95 :天シール部
96 :底シール部
97 :スパウトシール部
311 :ねじ部
321 :表面
321a :第1部
321b :第2部
321c :第3部
322 :傾斜面
323 :溝
324 :内周面
325 :裏面
326 :注出孔
731 :取付部
732 :連結部
733 :ねじ部
734 :リブ
811 :ねじ部
812 :第1フランジ部
813 :第2フランジ部
3210 :下端
3211 :上端
D :ケース
R1,R2,R3:半径
S :内容物
d1 :天板部
d11 :スリット
d2 :側板部
d3 :底板部