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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】パネル装置、および、電子装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20221219BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20221219BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20221219BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G02F1/1368
G02F1/1343
G09F9/30 338
H01L29/78 618B
H01L29/78 613Z
H01L29/78 617N
H01L29/78 623A
H01L29/78 617M
H01L29/78 617T
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018188039
(22)【出願日】2018-10-03
(65)【公開番号】P2019070796
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】201710935387.3
(32)【優先日】2017-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521197128
【氏名又は名称】睿生光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】InnoCare Optoelectronics Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】林 信宏
(72)【発明者】
【氏名】陳 進吉
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-142568(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0015608(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0001368(US,A1)
【文献】特開2005-136028(JP,A)
【文献】特開2005-142494(JP,A)
【文献】特開2009-283610(JP,A)
【文献】特開2012-256859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133
1/136-1/1368
G09F9/00-9/46
H01L21/336
27/32
29/786
51/50
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブ領域、および、周辺領域を有し、前記周辺領域が、前記アクティブ領域外側にある基板と、
前記基板上に設置される複数の信号線と、
前記基板上に設置され、少なくとも一部が前記周辺領域中に設置されるコモン電極と、
前記基板の前記周辺領域中に設置されるとともに、前記複数の信号線の一つ、および、前記コモン電極に電気的に接続される静電気保護素子と、を有し、
前記静電気保護素子は、第一ダブルゲートトランジスタを有し、前記第一ダブルゲートトランジスタが、第一ゲート、第二ゲート、第一電極、および、第二電極を有し、
前記第一ゲートは前記第一電極に電気的に接続され、前記第二ゲートが前記第二電極に電気的に接続され
さらに、第二ダブルゲートトランジスタを有し、
前記第二ダブルゲートトランジスタは、第三ゲート、第四ゲート、第三電極、および、第四電極を有し、
前記第二電極、前記第四電極、前記第三ゲート、および、前記第四ゲートは、前記コモン電極に電気的に接続され、
前記第四ゲートは、前記第四電極に電気的に接続され、
前記第三電極および前記第一ゲートは、前記複数の信号線の一つに電気的に接続されることを特徴とするパネル装置。
【請求項2】
前記複数の信号線のいくつかが、スキャニング信号を受信することを特徴とする請求項1に記載のパネル装置。
【請求項3】
前記複数の信号線のいくつかが、データ信号を受信することを特徴とする請求項1に記載のパネル装置。
【請求項4】
前記第二ゲート、および、前記第四ゲートは、金属層、あるいは、透明導電層であることを特徴とする請求項1に記載のパネル装置。
【請求項5】
前記第一ダブルゲートトランジスタは、さらに、第一絶縁層、第二絶縁層、および、アクティブ層を有し、
前記第一ゲートは、前記基板上に設置され、前記第一絶縁層は前記第一ゲート上に設置され、前記第一電極、および、前記第二電極は前記第一絶縁層上に設置されるとともに、前記アクティブ層に電気的に接続され、前記第二絶縁層は、前記第一電極と前記第二電極上に設置され、前記第二ゲートは、前記第二絶縁層上に設置されることを特徴とする請求項1に記載のパネル装置。
【請求項6】
前記第一ダブルゲートトランジスタは、さらに、第一絶縁層、第二絶縁層、第三絶縁層、および、アクティブ層を有し、
前記第一ゲートは前記基板上に設置され、前記第一絶縁層は前記第一ゲート上に設置され、前記アクティブ層は前記第一絶縁層上に設置され、前記第三絶縁層は前記アクティブ層上に設置され、前記第一電極、および、前記第二電極は、前記第一絶縁層と前記第三絶縁層上に設置されるとともに、前記アクティブ層に電気的に接続され、前記第二絶縁層は、前記第一電極と前記第二電極上に設置され、前記第二ゲートは前記第二絶縁層上に設置されることを特徴とする請求項1に記載のパネル装置。
【請求項7】
前記第一ダブルゲートトランジスタは、さらに、第一絶縁層、第二絶縁層、第三絶縁層、および、アクティブ層を有し、
前記第一ゲートは前記基板上に設置され、前記第一絶縁層は前記第一ゲート上に設置され、前記アクティブ層は前記第一絶縁層上に設置され、前記第三絶縁層は前記アクティブ層上に設置され、前記第一電極、および、前記第二電極は、前記第三絶縁層上に設置されるとともに、二個のスルーホールにより、前記アクティブ層に電気的に接続され、前記第二絶縁層は、前記第一電極と前記第二電極上に設置され、前記第二ゲートは前記第二絶縁層上に設置されることを特徴とする請求項1に記載のパネル装置。
【請求項8】
前記アクティブ層は、インジウムガリウム亜鉛酸化物を有することを特徴とする請求項に記載のパネル装置。
【請求項9】
前記第一絶縁層、前記第二絶縁層、および、前記第三絶縁層は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、または、酸窒化ケイ素を有することを特徴とする請求項に記載のパネル装置。
【請求項10】
前記パネル装置は、シンチレーター層を有するX線感知パネルであり、前記シンチレーター層は、前記X線感知パネル上に設置されることを特徴とする請求項1に記載のパネル装置。
【請求項11】
アクティブ領域、および、周辺領域を有し、前記周辺領域は、前記アクティブ領域外側にある基板と、
前記基板上に設置される複数の信号線と、
前記基板上に設置され、少なくとも一部が前記周辺領域中に設置されるコモン電極と、
前記基板の前記周辺領域中に設置され、前記複数の信号線の一つ、および、前記コモン電極に電気的に接続される静電気保護素子と、を有し、
前記静電気保護素子は、第一ダブルゲートトランジスタを有し、前記第一ダブルゲートトランジスタは、第一ゲート、第二ゲート、第一電極、および、第二電極を有し、
前記第一ゲートは、前記第一電極に電気的に接続され、前記第二ゲートは、前記第二電極に電気的に接続され
さらに、第二ダブルゲートトランジスタを有し、
前記第二ダブルゲートトランジスタは、第三ゲート、第四ゲート、第三電極、および、第四電極を有し、
前記第二電極、前記第四電極、前記第三ゲート、および、前記第四ゲートは、前記コモン電極に電気的に接続され、
前記第四ゲートは、前記第四電極に電気的に接続され、前記第三電極および前記第一ゲートは、前記複数の信号線の一つに電気的に接続されることを特徴とする電子装置。
【請求項12】
アクティブ領域、および、周辺領域を有し、前記周辺領域が、前記アクティブ領域外側にある基板と、
前記基板上に設置される複数の信号線と、
前記基板上に設置され、少なくとも一部が前記周辺領域中に設置されるコモン電極と、
前記基板の前記周辺領域中に設置されるとともに、前記複数の信号線の一つ、および、前記コモン電極に電気的に接続される静電気保護素子と、を有し、
前記静電気保護素子は、第一ダブルゲートトランジスタ、および、第二ダブルゲートトランジスタを有し、
前記第一ダブルゲートトランジスタは、第一ゲート、第二ゲート、第一電極、および、第二電極を有し、
前記第二ダブルゲートトランジスタは、第三ゲート、第四ゲート、第三電極、および、第四電極を有し、
前記第一ゲートは前記第一電極に電気的に接続され、
前記第一ゲート、前記第二ゲート、前記第一電極、および、前記第三電極は、前記複数の信号線の一つに電気的に接続され、
前記第二電極、前記第三ゲート、前記第四ゲート、および、前記第四電極は、前記コモン電極に電気的に接続されることを特徴とするパネル装置。
【請求項13】
アクティブ領域、および、周辺領域を有し、前記周辺領域は、前記アクティブ領域外側にある基板と、
前記基板上に設置される複数の信号線と、
前記基板上に設置され、少なくとも一部が前記周辺領域中に設置されるコモン電極と、
前記基板の前記周辺領域中に設置され、前記複数の信号線の一つ、および、前記コモン電極に電気的に接続される静電気保護素子と、を有し、
前記静電気保護素子は、第一ダブルゲートトランジスタ、および、第二ダブルゲートトランジスタを有し、
前記第一ダブルゲートトランジスタは、第一ゲート、第二ゲート、第一電極、および、第二電極を有し、
前記第二ダブルゲートトランジスタは、第三ゲート、第四ゲート、第三電極、および、第四電極を有し、
前記第一ゲートは、前記第一電極に電気的に接続され、
前記第一ゲート、前記第二ゲート、前記第一電極、および、前記第三電極は、前記複数の信号線の一つに電気的に接続され、
前記第二電極、前記第四ゲート、前記第三ゲート、および、前記第四電極は、前記コモン電極に電気的に接続されることを特徴とする電子装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年10月10日に出願された中国特許出願第201710935387.3号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明はパネル装置に関するものであって、特に、静電気保護素子を有するパネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
パネル装置は、電子信号を可視信号に変換することができる光電子装置であり、ビューアーは、電子信号中に含まれる情報を見ることができる。近年、パネル装置、たとえば、液晶ディスプレイ、および、有機エレクトロルミネセンスディスプレイは、非常にポピュラーになっている。このほか、X線システムの感知パネル装置も、同様に、徐々に発展している。
【0004】
ディスプレイパネル装置、および、感知パネル装置は、ともに、薄膜トランジスタ(TFT)と画素アレイを有する構造を有し、それらは、静電気の影響を受ける。よって、静電気放電(ESD)素子が、パネル装置上に設置される。しかし、静電気放電素子、および、画素素子が可視光、あるいは、不可視光に照射された結果として、リーク電流が生成され、このリーク電流が大きすぎると、薄膜トランジスタ、および、画素素子の特徴が影響を受け、素子が機能的に異常を生じる。
【0005】
よって、研究に値する重要な課題は、従来の技術と異なり、且つ、静電気損傷を減少させる、あるいは、画素素子の特徴上でのリーク電流の効果を減少させるパネル装置を発展させることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、パネル装置を提供して、上述の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態において、本発明は、基板、コモン電極、および、静電気保護素子を有するパネル装置を提供する。基板は、アクティブ領域、および、周辺領域を有し、周辺領域は、アクティブ領域外側にあり、複数の信号線が基板上に設置される。コモン電極は基板上に設置され、コモン電極の少なくとも一部は周辺領域中に設置される。静電気保護素子は、基板の周辺領域中に設置されるとともに、複数の信号線の一つとコモン電極に電気的に接続され、静電気保護素子は、第一ダブルゲートトランジスタを有する。第一ダブルゲートトランジスタは、第一ゲート、第二ゲート、第一電極、および、第二電極を有する。第一ゲートは第一電極に電気的に接続され、第二ゲートが前記第二電極に電気的に接続される。さらに、静電気保護素子は、第二ダブルゲートトランジスタを有する。第二ダブルゲートトランジスタは、第三ゲート、第四ゲート、第三電極、および、第四電極を有する。第二電極、第四電極、第三ゲート、および、第四ゲートは、コモン電極に電気的に接続され、第四ゲートは、第四電極に電気的に接続され、第三電極および第一ゲートは、複数の信号線の一つに電気的に接続される
【発明の効果】
【0008】
本発明は、静電気保護素子の静電気損傷、あるいは、リーク電流の問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態によるパネル装置を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による静電気保護素子の回路図である。
図3】本発明の一実施形態による静電気保護素子の回路図である。
図4】本発明の一実施形態による静電気保護素子の回路図である。
図5】本発明の一実施形態による静電気保護素子の回路図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による、画素素子がオンであり、且つ、静電気保護素子により、リーク電流が信号線からコモン電極に流れるときのリーク電流の比率を説明する折れ線グラフである。
図7】本発明のいくつかの実施形態による、画素素子がオフであり、且つ、静電気保護素子により、リーク電流がコモン電極から信号線に流れるときのリーク電流の比率を説明する折れ線グラフである。
図8】本発明のいくつかの実施形態による、画素素子がオンであるとき、X線による照射前後の静電気保護素子、および、従来の静電気保護素子のリーク電流を説明する折れ線グラフである。
図9】本発明のいくつかの実施形態による、画素素子がオフであるとき、X線による照射前後の静電気保護素子と従来の静電気保護素子のリーク電流を説明する折れ線グラフである。
図10】本発明のいくつかの実施形態による、パネル装置が可視光を受光後、従来の静電気保護素子に対する静電気保護素子のリーク電流の比率を説明する折れ線グラフである。
図11】本発明の異なる実施形態による第一ダブルゲートトランジスタの構造図である。
図12】本発明の異なる実施形態による第一ダブルゲートトランジスタの構造図である。
図13】本発明の異なる実施形態による第一ダブルゲートトランジスタの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な記述において、説明の目的のため、いくつかの特定の詳細、および、実施形態が説明されて、本発明の徹底的な理解を提供する。以下の詳細で記述される特定の素子と配置が説明されて、本発明を明確に説明する。しかし、ここで説明される例示的実施形態は、単に、説明のために用いられるとともに、本発明の概念は各種形式で具体化され、それらの例示的実施形態に限定されないことは明らかである。このほか、本発明の記述を明確にするため、異なる実施形態の図面は、類似の、および/または、対応する符号を用いて、類似の、および/または、対応する要素を示す。しかし、異なる実施形態の図面中の類似の、および/または、対応する符号は、異なる実施形態間の任意の相互関係を示すものではない。方向を示す用語、たとえば、“上”、“下”、“左”、”右”、“前”あるいは“後ろ”は、添付図面の基準方向である。よって、方向を示す用語の使用は説明のためだけであり、且つ、本発明を制限することを目的としていない。
【0011】
理解すべきことは、特定の記述の構成要素、あるいは、特定の図面の構成要素は、当業者によく知られた任意の形式中に含まれる。このほか、ある層が、その他の層、あるいは、基板“上”にあるとき、 “直接”、その層、あるいは、基板上にあるか、あるいは、その層と当該その他の層の間にその他のいくつかの層があってもよい。
【0012】
この明細書において、相対表現が用いられる。例えば、“下方”、“底部”、“上方”あるいは“頂部”が用いられて、要素同士の位置を記述する。理解されるべきことは、装置がさかさまにひっくり返される場合、“下方”の要素は“上方”の要素になることである。
【0013】
用語“約”および“ほぼ”は、通常、所定値の+/-20%を意味し、さらに通常、所定値の+/- 10%を意味し、さらにもっと通常、所定値の+/-5%を意味する。本発明の所定値は近似値である。特定の記述がないとき、所定値は“約”あるいは“ほぼ”の意味を含む。
【0014】
図1は、本発明の第一実施形態によるパネル装置100を示す図である。この実施形態において、パネル装置100は、フラットパネルディスプレイ(FPD)装置、フレキシブルパネルディスプレイ装置、あるいは、X線感知パネル装置である。パネル装置100は、液晶ディスプレイ(LCD)装置、有機発光ダイオード(OLED)パネル装置、無機LEDパネル装置(たとえば、ミニLEDパネル装置、マイクロLEDパネル装置、あるいは、量子ドットLEDパネル装置)であるが、この限りではない。
【0015】
図1に示されるように、パネル装置100は、基板102、複数の画素素子1041から構成されるアクティブ領域104、アクティブ領域104外側に設置される周辺領域、複数の信号線SL、および、コモン電極106を有する。静電気保護素子108は周辺領域中に設置される。一実施形態において、静電気保護素子108は、さらに、アクティブ領域104中に設置されるか、あるいは、アクティブ領域104および周辺領域中に設置され、複数の信号線SLは基板102上に設置され、コモン電極106は基板102上に設置され、コモン電極106の少なくとも一部は周辺領域中に設置される。ディスプレイパネル装置の実施形態において、アクティブ領域104中の画素素子1041は、スクリーンを表示するように構成される。X線感知パネル装置の実施形態において、アクティブ領域104中の画素素子1041は、X線情報を感知するように構成される。このほか、アクティブ領域104の形状は、長方形に限定されない。正方形、円形、楕円形、多角形、あるいは、自由な形状でもよい。いくつかの実施形態において、基板102は、硬質サブストレート、あるいは、フレキシブル基板であり、且つ、透明基板、あるいは、不透明基板である。硬質サブストレートは、例えば、ガラスを有し、フレキシブル基板は、例えば、ポリイミド(PI)、あるいは、ポリエチレンテレフタレート (PET)を有するが、この限りではない。硬質サブストレート、あるいは、フレキシブル基板に適切な任意の材料は、本発明の範囲内である。このほか、複数の信号線SLは、データラインDL、スキャンラインGL、あるいは、パネル中のその他の制御ラインである。静電気保護を必要とする任意の信号線は、本発明の静電気保護素子に適用可能である。複数の信号線SLの材料は、導電材料、たとえば、モリブデン金属、モリブデン合金、アルミニウム金属、アルミニウム合金、IZO、ITO、あるいは、その他の適当な導電材料、あるいは、それらの任意の組み合わせを有する。データラインDLが設置されて、データ信号を送信し、スキャンラインGLが設置されて、スキャニング信号を送信する。各画素素子1041は、対応するデータラインDL、および、対応するスキャンラインGLに電気的に接続されるとともに、スキャニング信号にしたがって、データ信号を受信し、あるいは、読み取る。
【0016】
ディスプレイパネル装置の実施形態において、データラインDLは、データ信号を画素素子1041中に送信して、スクリーンイメージを示す。X線感知パネル装置は、直接型のX線感知パネル装置、および、間接型のX線感知パネル装置を有する。直接型のX線感知パネル装置の実施形態において、X線が感光層を照射するとき、電子正孔対が、直接、感光層中に生成される。その後、電子正孔対が、外部バイアス電圧により分割されて、アクティブ領域104中の画素素子104のストレージキャパシタ中に保存され、最後に、データラインDLにより、データ信号が読み取られる。直接型のX線感知パネル装置の感光層は、非晶質セレン(a-Se)、多結晶ヨウ化水銀(poly-HgI)、多結晶テルル化カドミウム亜鉛(poly-CZT)、多結晶ヨウ化鉛(poly-PbI2)、あるいは、その他の適当な材料を有するが、この限りではない。間接型のX線感知パネル装置の実施形態において、X線がシンチレーター層を照射するとき、X線は、シンチレーター層により、可視光(可視スペクトル内)に変換されて、センシング素子により受信され、電子正孔対がセンシング素子中で生成される。その後、電子正孔対は、外部バイアス電圧により分割されて、センシング素子のキャパシタ中に保存され、最後に、データ信号が、データラインDLにより読み出される。シンチレーター層は、CsI:Tl、Gd2O2 S:Tb、CsI:Na、NaI:Tl、CaWO4、ZnWO4、CdWO4、Bi4Ge3O12、Lu1.8Yb0.2SiO5:Ce、Gd2SiO5:Ce、あるいは、その他の適当な材料を有するが、この限りではない。いくつかの実施形態において、シンチレーター層は、X線感知パネル上に設置される。
【0017】
別の実施形態において、コモン電極106は、選択的に延伸して、アクティブ領域104中に設置され、コモン電極106の少なくとも一部は周辺領域中に設置される。各静電気保護素子108は、複数の信号線SLの一つとコモン電極106に電気的に接続される。静電気保護素子108は、選択的に、複数の信号線SLの一側上に設置されるか、または、信号線SL両側上に設置される。コモン電極106は、コモン電極、接地電極、あるいは、浮遊電極を有するが、この限りではない。コモン電極として作用する任意の電極は、本発明の範囲内である。パネル装置100の製造プロセス期間中、あるいは、プロセス後、静電気保護素子が、X線照射により照射される、あるいは、可視光を受信するとき、コモン電極106と静電気保護素子108の変位に基づいて、本発明は、静電気保護素子の静電気損傷、あるいは、リーク電流の問題を解決することができる。
【0018】
図2は、本発明の第一実施形態による静電気保護素子108の回路図である。この実施形態において、静電気保護素子108は、互いに電気的に接続される第一ダブルゲートトランジスタ110、および、第二ダブルゲートトランジスタ112を有する。この実施形態において、第一ダブルゲートトランジスタ110は、第一ゲート1101、第二ゲート1102、第一電極1103、および、第二電極1104を有する。第二ダブルゲートトランジスタ112は、第三ゲート1121、第四ゲート1122、第三電極1123、および、第四電極1124を有する。この実施形態において、第二ゲート1102は、第一ゲート1101の反対側に設置され、第四ゲート1122は、第三ゲート1121の反対側に設置される。
【0019】
図2に示されるように、第一ゲート1101、および、第一電極1103が、信号線SL(たとえば、データラインDL、スキャンラインGL、あるいは、別の制御ライン)に電気的に接続される。さらに、第二ゲート1102、および、第二電極1104が、コモン電極106に電気的に接続される。このほか、第三ゲート1121、および、第四電極1124が、コモン電極106に電気的に接続される。第四ゲート1122が、第四電極1124に電気的に接続され、第三電極1123が、信号線SLに電気的に接続される。
【0020】
図3は、本発明の第二実施形態による静電気保護素子108Aの回路図である。第一実施形態と比較して、静電気保護素子108と静電気保護素子108A間の主な違いは、この実施形態における第二ダブルゲートトランジスタの電気的接続の構成である。この実施形態において、第三ゲート1121、および、第四電極1124は、コモン電極106に電気的に接続され、第四ゲート1122、および、第三電極1123は、信号線SLに電気的に接続される。
【0021】
図4は、本発明の第三実施形態による静電気保護素子108Bの回路図である。第一実施形態と比較して、静電気保護素子108と静電気保護素子108B間の主な違いは、この実施形態における第二ダブルゲートトランジスタの電気的接続の構成である。この実施形態において、第三ゲート1121、および、第四電極1124は、信号線SLに電気的に接続され、第四ゲート1122は、第四電極1124に電気的に接続される。このほか、第三電極1123は、コモン電極106に電気的に接続される。なお、この実施形態における第一ダブルゲートトランジスタの電気的接続の構成も静電気保護素子108の実施形態と違っており、第一ゲート1101、および、第一電極1103は、コモン電極106に電気的に接続され、第二電極1104は、信号線SLに電気的に接続される。このほか、第二ゲート1102は、第二電極1104に電気的に接続される。
【0022】
図5は、本発明の第四実施形態による静電気保護素子108Cの回路図である。第一実施形態と比較して、静電気保護素子108と静電気保護素子108C間の主な違いは、この実施形態における第一ダブルゲートトランジスタの電気的接続の構成である。この実施形態において、第一ゲート1101、および、第一電極1103は、信号線SLに電気的に接続され、第二ゲート1102は、第一電極1103に電気的に接続される。このほか、第二電極1104は、コモン電極106に電気的に接続される。
【0023】
図6、および、図7を参照する。図6は、本発明のいくつかの実施形態による画素素子1041がオンであり、且つ、静電気保護素子により、リーク電流が信号線からコモン電極106に流れるときのリーク電流の比率を説明する折れ線グラフである。図7は、本発明のいくつかの実施形態による画素素子1041がオフで、且つ、静電気保護素子により、リーク電流がコモン電極106から信号線に流れるときのリーク電流の比率を説明する折れ線グラフである。図6に示されるように、画素素子1041がオンであるとき、参照符号601は、従来の静電気保護素子に対する静電気保護素子108のリーク電流の比率を示し、参照符号602は、従来の静電気保護素子に対する静電気保護素子108Aのリーク電流の比率を示し、参照符号603は、従来の静電気保護素子に対する静電気保護素子108Bのリーク電流の比率を示し、参照符号604は、従来の静電気保護素子に対する静電気保護素子108Cのリーク電流の比率を示す。図7に示されるように、画素素子1041がオフであるとき、参照符号701は、従来の静電気保護素子に対する静電気保護素子108のリーク電流の比率を示し、参照符号702は、従来の静電気保護素子に対する静電気保護素子108Aのリーク電流の比率を示し、参照符号703は、従来の静電気保護素子に対する静電気保護素子108Bのリーク電流の比率を示し、参照符号704は、従来の静電気保護素子に対する静電気保護素子108Cのリーク電流の比率を示す。
【0024】
パネル装置100の製造プロセス中、および、プロセス後に、静電気が生じるとき、パネル装置100は、静電気保護素子108、あるいは、静電気保護素子108Bの構成を採用し、静電気保護素子により、大量の帯電を、コモン電極106、および、複数の信号線SLの一つ(たとえば、データラインDL、スキャンラインGL、あるいは、その他の制御ライン)に導く。コモン電極106、および、データラインDL(あるいは、スキャンラインGL)は大量の帯電を共有するので、パネル装置100への静電気損傷が防止される。このほか、図6図7からわかるように、静電気保護素子108Aの構成に基づき、パネル装置100が作動中であるとき、画素素子1041がオンであるかオフであるかにかかわらず、コモン電極106と複数の信号線SLの一つ間の静電気保護素子108Aのリーク電流は、従来の静電気保護素子より小さい。その結果、パネル装置100は、静電気保護素子に影響されず、正常に作動することができる。
【0025】
図8図9を参照する。図8は、本発明のいくつかの実施形態による画素素子1041がオンであるとき、X線による照射前後の静電気保護素子108A、および、従来の静電気保護素子のリーク電流を説明する折れ線グラフである。図9は、本発明のいくつかの実施形態による画素素子1041がオフであるとき、X線による照射前後の静電気保護素子108A、および、従来の静電気保護素子のリーク電流を説明する折れ線グラフである。図8に示されるように、値A1は、X線に照射される前の従来の静電気保護素子のリーク電流を示し、値A2は、X線に照射された後の従来の静電気保護素子のリーク電流を示し、値B1は、X線に照射される前の静電気保護素子108Aのリーク電流を示し、値B2は、X線に照射された後の静電気保護素子108Aのリーク電流を示す。図8に示されるように、値B1と値B2は、ともに、値A1より小さい。図9に示されるように、値A3は、X線に照射される前の従来の静電気保護素子のリーク電流を示し、値A4は、X線に照射された後の従来の静電気保護素子のリーク電流を示し、値B3は、X線に照射される前の静電気保護素子108Aのリーク電流を示し、値B4は、X線に照射された後の静電気保護素子108Aのリーク電流を示す。図9に示されるように、値B3と値B4は、ともに、値A3より小さい。
【0026】
図8、および、図9に示されるように、X線に照射された後の静電気保護素子108Aのリーク電流は、依然として、X線に照射される前の従来の静電気保護素子のリーク電流より小さい。その結果、本発明の静電気保護素子の設計に基づいて、X線が照射された後のリーク電流は、効果的に減少して、大きなリーク電流によって、画素素子1041が機能的に異常を生じるのを防止する。
【0027】
図10は、本発明のいくつかの実施形態によるパネル装置100が可視光を受光した後の従来の静電気保護素子に対する静電気保護素子108のリーク電流の比率を説明する折れ線グラフである。図10に示されるように、参照符号H1~H4は、それぞれ、画素素子1041がオンの時の従来の静電気保護素子に対する静電気保護素子108、静電気保護素子108A、静電気保護素子108B、および、静電気保護素子108Cのリーク電流の比率を示す。参照符号L1~L4は、それぞれ、画素素子1041がオフの時の従来の静電気保護素子に対する静電気保護素子108、静電気保護素子108A、静電気保護素子108B、および、静電気保護素子108Cのリーク電流の比率を示す。参照符号H1~H4、および、参照符号L1~L4の全比率は、図10に示されるように100%より小さいことが分かる。よって、理解できることは、本発明の静電気保護素子の設計に基づいて、可視光を受光後、本発明の静電気保護素子のリーク電流が、効果的に減少し、大きなリーク電流によって、画素素子1041が機能的に異常を生じるのを防止する。
【0028】
図11図13は、本発明の異なる実施形態による第一ダブルゲートトランジスタ110の構造図である。注意すべきことは、トランジスタの構造を分かりやすく説明するため、図11図13中でいくつかの層が省略されている。図11に示されるように、第一ダブルゲートトランジスタ110は、さらに、第一絶縁層1105、第二絶縁層1106、および、アクティブ層1107を有する。第一ゲート1101は基板102上に設置され、第一絶縁層1105は第一ゲート1101上に設置され、第一電極1103、および、第二電極1104は、第一絶縁層1105上に設置されるとともに、アクティブ層1107に電気的に接続され、第二絶縁層1106は第一電極1103、および、第二電極1104上に設置され、第二ゲート1102は第二絶縁層1106上に設置される。
【0029】
図12の実施形態に示されるように、第一ダブルゲートトランジスタ110は、さらに、第三絶縁層1108を有する。この実施形態において、第一ゲート1101は基板102上に設置され、第一絶縁層1105は第一ゲート1101上に設置され、アクティブ層1107は第一絶縁層1105上に設置され、第三絶縁層1108は、アクティブ層1107と第二絶縁層1106の間に設置され、第一電極1103と第二電極1104は、第一絶縁層1105と第三絶縁層1108上に設置されるとともに、アクティブ層1107と接触する。第二絶縁層1106は、第一電極1103と第二電極1104上に設置され、第二ゲート1102は第二絶縁層1106上に設置される。
【0030】
図13の実施形態に示されるように、第一ゲート1101は基板102上に設置され、第一絶縁層1105は第一ゲート1101上に設置され、アクティブ層1107は第一絶縁層1105上に設置され、第三絶縁層1108はアクティブ層1107上に設置される。第一電極1103、および、第二電極1104は第三絶縁層1108上に設置されるとともに、第一スルーホールTH1と第二スルーホールTH2により、アクティブ層1107と接触する。第二絶縁層1106は、第一電極1103と第二電極1104上に設置され、第二ゲート1102は、第二絶縁層1106上に設置される。
【0031】
注意すべきことは、第二ゲート1102、および、第四ゲート1122は、導電材料、たとえば、金属層、あるいは、透明導電層、あるいは、その他の適当な導電層を有することである。透明導電層は、例えば、Tin Oxide、Zinc Oxide、ITO、IZO、ATO、FTO、AZO、あるいは、それらの任意の組み合わせを有するが、この限りではない。このほか、アクティブ層1107は、インジウムガリウム亜鉛酸化物、アモルファスシリコン、低温ポリシリコン(Low Temperature Poly-silicon)、あるいは、その他の適当な材料を有し、第一絶縁層1105、第二絶縁層1106、および、第三絶縁層1108は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、あるいは、酸窒化ケイ素を有する。この実施形態において、アクティブ層1107、第一絶縁層1105、第二絶縁層1106、および、第三絶縁層1108の材料は限定されない。
【0032】
結論として、本発明は、静電気保護素子を有するパネル装置を提供し、静電気保護素子は、第一ダブルゲートトランジスタ110、および、第二ダブルゲートトランジスタ112を有する。第二ゲート1102は、第一電極1103、あるいは、第二電極1104に電気的に接続され、第四ゲート1122は、第三電極1123、あるいは、第四電極1124に電気的に接続される。本発明の静電気保護素子の設計に基づいて、作動中、且つ、X線により照射される、あるいは、可視光を受信するとき、静電気保護素子のリーク電流が効果的に減少して、大きなリーク電流によって、パネル装置100の画素素子1041が、機能的に異常を生じるのを防止し、パネル装置100が適切に機能するのを確保する。
【0033】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の思想を脱しない範囲内で各種の変形を加えることができる。
【符号の説明】
【0034】
100 パネル装置
102 基板
104 アクティブ領域
1041 画素素子
106 コモン電極
108、108A、108B、108C 静電気保護素子
110 第一ダブルゲートトランジスタ
112 第二ダブルゲートトランジスタ
1101 第一ゲート
1102 第二ゲート
1103 第一電極
1104 第二電極
1121 第三ゲート
1122 第四ゲート
1123 第三電極
1124 第四電極
SL 信号線
DL データライン
GL スキャンライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13