(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 17/08 20060101AFI20221219BHJP
F25D 17/06 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
F25D17/08 307
F25D17/06 304
(21)【出願番号】P 2018204376
(22)【出願日】2018-10-30
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100129115
【氏名又は名称】三木 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(72)【発明者】
【氏名】元井 啓順
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-023035(JP,A)
【文献】特開2013-072577(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0284724(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/04 ~ 17/08
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫であって、
貯蔵室を有した筐体と、
前記筐体内に設けられた冷却器と、
前記筐体内に設けられ、前記貯蔵室から空気を吸い込み、吸い込んだ空気を遠心方向に吐き出す遠心ファンと、
前記筐体内に設けられ、前記冷却器を覆うとともに、前記遠心ファンから前記遠心方向に吐き出された空気を前記冷却器に向けて案内するカバー部材と、
前記冷却器の下方に配置された液体受け部と、
を備え、
前記遠心ファンは、前記冷却器とは鉛直方向で重ならない領域であって前記冷却器に対して前記冷蔵庫の横幅方向にずれた第1領域に配置され、
前記カバー部材は、前記遠心ファンから前記第1領域に吐き出された空気を、前記冷却器の上方または下方に位置した第2領域に案内する第1部分と、前記第2領域に案内された前記空気を、前記第2領域から前記冷却器に向けて案内する第2部分とを有し、
前記第2領域は、前記冷却器と前記液体受け部との間に位置する領域を含む、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記遠心ファンの少なくとも一部は、前記横幅方向で、前記冷却器と並ぶ、
請求項
1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記第1部分は、前記遠心ファンから前記遠心ファンの周囲に吐き出された旋回流を、前記旋回流の旋回方向に沿って前記第1部分から前記第2部分に案内する、
請求項
1または請求項
2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記第2部分は、前記第1領域から前記第2領域に案内された前記空気の少なくとも一部の向きを前記冷却器に向けて変化させる傾斜部または曲面部を含む、
請求項
1から請求項
3のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記遠心ファンの羽根車の回転方向は、前記遠心ファンの上部と下部とのうち前記第2領域に近い方の部分において、前記第1領域から前記第2領域に向かう方向である、
請求項
1から請求項
4のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記冷却器の中心は、前記横幅方向において、前記貯蔵室の中心に対して第1側にずれて配置され、
前記遠心ファンの中心は、前記横幅方向において、前記貯蔵室の中心に対して前記第1側とは反対の第2側にずれて配置されている、
請求項
1から請求項
5のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
冷蔵庫であって、
貯蔵室を有した筐体と、
前記筐体内に設けられた冷却器と、
前記筐体内に設けられ、前記貯蔵室から空気を吸い込み、吸い込んだ空気を遠心方向に吐き出す遠心ファンと、
前記筐体内に設けられ、前記冷却器を覆うとともに、前記遠心ファンから前記遠心方向に吐き出された空気を前記冷却器に向けて案内するカバー部材と、
別の遠心ファンと、
を備え、
前記遠心ファンは、前記冷却器とは鉛直方向で重ならない領域であって前記冷却器に対して前記冷蔵庫の横幅方向にずれた第1領域に配置され、
前記別の遠心ファンは、前記冷却器とは鉛直方向で重ならない領域であって前記横幅方向において前記冷却器に対して前記第1領域とは反対側にずれた第3領域に配置され、
前記カバー部材は、前記遠心ファンから前記第1領域に吐き出された空気を前記冷却器に向けて案内し、前記別の遠心ファンから前記第3領域に吐き出された空気を前記冷却器に向けて案内する、
冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体内に設けられた冷却器と、前記筐体内で空気を循環させるファンとを備えた冷蔵庫が知られている。このような冷蔵庫は、熱交換効率の向上が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、熱交換効率の向上を図ることができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、筐体と、冷却器と、遠心ファンと、カバー部材と、液体受け部とを持つ。前記筐体は、貯蔵室を有する。前記冷却器は、前記筐体内に設けられている。前記遠心ファンは、前記筐体内に設けられ、前記貯蔵室から空気を吸い込み、吸い込んだ空気を遠心方向に吐き出す。前記カバー部材は、前記筐体内に設けられ、前記冷却器を覆うとともに、前記遠心ファンから前記遠心方向に吐き出された空気を前記冷却器に向けて案内する。前記液体受け部は、前記冷却器の下方に配置されている。前記遠心ファンは、前記冷却器とは鉛直方向で重ならない領域であって前記冷却器に対して前記冷蔵庫の横幅方向にずれた第1領域に配置されている。前記カバー部材は、前記遠心ファンから前記第1領域に吐き出された空気を、前記冷却器の上方または下方に位置した第2領域に案内する第1部分と、前記第2領域に案内された前記空気を、前記第2領域から前記冷却器に向けて案内する第2部分とを有する。前記第2領域は、前記冷却器と前記液体受け部との間に位置する領域を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】
図1中に示された冷蔵庫のF2線で囲まれた領域を拡大して示す断面図。
【
図3】第1の実施形態の冷蔵庫の内部を正面側から見た場合を示す断面図。
【
図4】第1の実施形態の変形例の冷蔵庫の内部を正面側から見た場合を示す断面図。
【
図5】第2の実施形態の冷蔵庫の内部を正面側から見た場合を示す断面図。
【
図6】第3の実施形態の冷蔵庫の内部を正面側から見た場合を示す断面図。
【
図7】第4の実施形態の冷蔵庫の内部を正面側から見た場合を示す断面図。
【
図8】第5の実施形態の冷蔵庫の内部を正面側から見た場合を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「横幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1から
図3を参照して、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態の冷蔵庫1を示す断面図である。冷蔵庫1は、例えば、筐体10、複数の扉20、複数の棚30、複数の容器40、圧縮器50、第1冷却機構60、および第2冷却機構70を有する。
【0009】
筐体10は、例えば、外箱と、内箱と、外箱と内箱との間に充填された断熱材とを有し、断熱性を持つ。筐体10は、天井壁11、底壁12、後壁13、左側壁14(
図3参照)、および右側壁15(
図3参照)を有する。後壁13、左側壁14、および右側壁15は、鉛直方向に延びている。後壁13は、天井壁11の後端部と底壁12の後端部との間を繋いでいる。左側壁14および右側壁15は、天井壁11の左端部または右端部と、底壁12の左端部または右端部との間をそれぞれ繋いでいる。
【0010】
筐体10の内部には、複数の貯蔵室80が設けられている。複数の貯蔵室80は、例えば、冷蔵室81、野菜室82、製氷室(不図示)、小冷凍室83、主冷凍室84を含む。本実施形態では、最上部に冷蔵室81が配置され、冷蔵室81の下方に野菜室82が配置され、野菜室82の下方に製氷室および小冷凍室83が配置され、製氷室および小冷凍室83の下方に主冷凍室84が配置されている。ただし、貯蔵室80の配置は、上記例に限定されず、例えば野菜室82と主冷凍室84の配置が逆でもよい。筐体10は、各貯蔵室80の前面側に、各貯蔵室80に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。貯蔵室80の開口は、扉20によって開閉可能に閉じられる。
【0011】
筐体10は、第1および第2の仕切壁91,92を有する。第1および第2の仕切壁91,92は、それぞれ略水平方向に沿って設けられた断熱仕切壁である。第1仕切壁91は、冷蔵室81と野菜室82との間に設けられ、冷蔵室81と野菜室82との間を仕切っている。第2仕切壁92は、野菜室82と、製氷室および小冷凍室83との間に設けられ、野菜室82と、製氷室および小冷凍室83との間を仕切っている。
【0012】
複数の棚30は、冷蔵室81に設けられている。
複数の容器40は、冷蔵室81に設けられた冷蔵室容器41、野菜室82に設けられた第1および第2の野菜室容器42,43、製氷室に設けられた製氷室容器(不図示)、小冷凍室83に設けられた小冷凍室容器44、主冷凍室84に設けられた第1および第2の主冷凍室容器45,46を有する。
【0013】
ここで、第1および第2の野菜室容器42,43について詳しく説明する。
第1野菜室容器42は、比較的大型の容器であり、野菜室82の下部に位置する底壁42aと、底壁42aの後端部から起立した後壁(起立壁)42bとを含む。後壁42bは、冷蔵庫1の横幅方向において野菜室82の両端部に亘る大きさを有する。後壁42bは、後述する遠心ファン63の吸込口112に向かい合う。
【0014】
第2野菜室容器43は、第1野菜室容器42と比べて小型の容器であり、第1野菜室容器42の上部に配置されている。第2野菜室容器43は、第1野菜室容器42の左右側壁の上端部に支持されるか、筐体10の左右側壁14,15の内面に設けられた支持部に支持され、第1野菜室容器42とは独立して移動可能である。第2野菜室容器43は、底壁43aと、底壁43aの後端部から起立した後壁(起立壁)43bとを有する。第2野菜室容器43の後壁43bは、第1野菜室容器42の後壁42bに対して僅かに前方に位置するとともに、第1野菜室容器42の後壁42bよりも上方まで延びている。後壁43bは、冷蔵庫1の横幅方向において野菜室82の両端部に亘る大きさを有する。本実施形態では、第1野菜室容器42の後壁42bと、第2野菜室容器43の後壁43bとにより、遠心ファン63に向かう空気の流れを規定する壁部Wが形成されている。
【0015】
圧縮器50は、例えば、冷蔵庫1の底部の機械室に設けられている。圧縮器50は、冷蔵庫1の冷凍サイクルの一部を構成し、貯蔵室80の冷却に用いられる冷媒ガスを圧縮する。圧縮器50により圧縮された冷媒ガスは、不図示の凝縮器を経由して、後述する第1および第2の冷却機構60,70の冷却器61,71に供給される。
【0016】
第1冷却機構60は、冷蔵室81および野菜室82を冷却する冷却機構である。第1冷却機構60は、例えば、冷却器(冷蔵用冷却器)61、液体受け部62、遠心ファン63、およびカバー部材64を有する。なお、冷却器61、液体受け部62、遠心ファン63、およびカバー部材64の詳細については、後述する。
【0017】
第2冷却機構70は、製氷室、小冷凍室83、および主冷凍室84を冷却する冷却機構である。第2冷却機構70は、例えば、冷却器(冷凍用冷却器)71、液体受け部72、遠心ファン73、およびカバー部材74を含む。なお、第2冷却機構70の冷却器71、液体受け部72、遠心ファン73、およびカバー部材74の構成は、第1冷却機構60の冷却器61、液体受け部62、遠心ファン63、およびカバー部材64の構成と同様である。このため以下では、これらの代表として第1冷却機構60の構成について詳しく説明する。また以下では、「冷蔵室81」、「野菜室82」、「第1野菜室容器42」、および「第2野菜室容器43」を、それぞれ「第1貯蔵室81」、「第2貯蔵室82」、「第1貯蔵容器42」、および「第2貯蔵容器43」と称する。
【0018】
図2は、
図1中に示された冷蔵庫1のF2線で囲まれた領域を拡大して示す断面図である。冷却器61は、筐体10内に設けられている。冷却器61は、例えば、筐体10の後壁13の内面13aに沿って配置されている。後壁13の内面13aは、略鉛直方向および冷蔵庫1の横幅方向に広がる面である。冷却器61は、例えば、フィン付きのチューブタイプの冷却器であるが、これに限定されない。冷却器61は、冷却器61の周囲を通過する空気を冷却する。
【0019】
液体受け部62は、冷却器61の下方に配置されている。液体受け部62は、例えば冷蔵庫1の除霜運転が行われる場合に、冷却器61から滴下する除霜水を受け止める。液体受け部62は、受け止めた液体を貯留する貯留容器でもよく、受け止めた液体を除霜水蒸発皿など別の場所に向けて排水する排水樋などでもよい。
【0020】
液体受け部62は、例えば、水平板部62aと、傾斜板部62bとを有する。本実施形態では、水平板部62aは、筐体10の後壁13に固定され、筐体10の後壁13から前方に略水平に張り出している。傾斜板部62bは、水平板部62aの前端部から斜め上方に延びている。すなわち、傾斜板部62bは、冷蔵庫1の奥行方向に対して傾斜しており、前方に進むに従い高さが徐々に高くなる。
【0021】
遠心ファン63は、筐体10内に設けられている。遠心ファン63は、冷却器61および液体受け部62の下方に配置され、例えば第2貯蔵室82の後方に位置する。遠心ファン63は、第2貯蔵室82から空気を吸い込み、吸い込んだ空気を遠心ファン63の遠心方向に吐き出す。本実施形態では、遠心ファン63の遠心方向は、筐体10の後壁13の内面13aと略平行な方向である。遠心ファン63は、例えば遠心ターボファンであるが、シロッコファンなどでもよい。
【0022】
一例について詳しく述べると、遠心ファン63は、例えば、ベース110、モータ120、および羽根車130を有する。ベース110は、円環状の枠部111と、枠部111の内周側に開口した吸込口112とを有する。本実施形態では、吸込口112は、第2貯蔵室82に向けて配置され、第2貯蔵室82に露出している。これにより、遠心ファン63は、第2貯蔵室82から直接空気を吸い込む。例えば、吸込口112は、第1貯蔵容器42の後壁42bの上端よりも低い位置に配置されている。このため、遠心ファン63は、第1貯蔵容器42の後壁42bと後述するカバー部材64との間の空間から空気を吸い込む。なお、遠心ファン63には、吸込口112を覆う安全カバー113が取り付けられてもよい。安全カバー113は、例えば、ユーザの指先が入らない穴を有したメッシュ状のカバーである。
【0023】
モータ120は、不図示の支持構造によりベース110に支持されている。羽根車130は、複数の羽131を有し、モータ120によって回転駆動される。本実施形態では、羽根車130の遠心方向の全周囲(全方位)は、遠心ファン63の外部に開放されている。これにより、羽根車130は、遠心ファン63の全周囲(全方位)に空気を旋回流として吐き出す。言い換えると、遠心ファン63は、遠心ファン63から冷却器61に向かう方向(上方向)だけでなく、遠心ファン63の下方向や左方向、右方向にも空気を吐き出す。
【0024】
本実施形態では、冷蔵庫1の奥行方向における遠心ファン63の中心は、冷蔵庫1の奥行方向における冷却器61の中心よりも前側に位置する。遠心ファン63の少なくとも一部は、液体受け部62の傾斜板部62bの直下に位置する。遠心ファン63は、吸い込んだ空気の少なくとも一部を、液体受け部62の傾斜板部62bに向けて吐き出す。これにより、遠心ファン63から吐き出された空気の少なくとも一部は、液体受け部62にぶつかるが、液体受け部62の傾斜板部62bが傾いていることでスムーズに流れることができる。
【0025】
遠心ファン63と筐体10の後壁13との間には、隙間Sが設けられている。本実施形態では、羽根車130は、複数の羽131と一体に回転する板部132を含む。板部132は、複数の羽131に対してベース110とは反対側に位置し、筐体10の後壁13の内面13aに面する。隙間Sは、遠心ファン63の板部132と、筐体10の後壁13の内面13aとの間に設けられている。
【0026】
次に、カバー部材64について説明する。カバー部材64は、筐体10内に設けられ、例えば筐体10の後壁13に取り付けられている。例えば、カバー部材64は、第1および第2の貯蔵室81,82に露出している。カバー部材64は、このカバー部材64と筐体10の後壁13の内面13aとの間に、遠心ファン63から吐き出された空気を案内する冷風ダクトを形成している。
【0027】
本実施形態では、カバー部材64は、遠心ファン63よりも下方の領域から筐体10内の最上部近傍まで延びている。カバー部材64は、平壁部(前壁部)210と、側壁部220とを含む(
図3参照)。平壁部210は、筐体10の後壁13の内面13aと略平行に配置され、筐体10の後壁13の内面13aとの間に空間を空けている。平壁部210は、遠心ファン63の周囲領域および冷却器61を筐体10の後壁13とは反対側から覆う。側壁部220は、筐体10の後壁13の内面13aに対して交差する方向に沿って設けられ、平壁部210の左右の端部と筐体10の後壁13との間を繋いでいる。これにより、カバー部材64は、遠心ファン63から吐き出された空気を冷却器61に向けて案内する。
【0028】
本実施形態では、カバー部材64には、遠心ファン63のベース110が不図示の固定具により固定されている。これにより、遠心ファン63は、カバー部材64によって支持されている。例えば、カバー部材64の平壁部210は、遠心ファン63が嵌め込まれる開口210aを有する。カバー部材64の開口210aに遠心ファン63が嵌め込まれることで、遠心ファン63の前面とカバー部材64の前面とは略同一平面上に位置する。
【0029】
カバー部材64の側壁部220は、遠心ファン63の下方、左方、および右方を取り囲む壁部221を含む(
図3参照)。カバー部材64は、遠心ファン63から冷却器61に向けて吐き出された空気(すなわち上方に向けて吐き出された空気)だけでなく、遠心ファン63の下方向や左方向、右方向に吐き出された空気も冷却器61に向けて案内する。例えば、壁部221は、遠心ファン63の外周に沿う円弧状に形成された曲面部である。壁部221は、遠心ファン63から吐き出された空気の少なくとも一部の向きを冷却器61に向けて変化させる。なお、壁部221は、曲面部に代えて、遠心ファン63の下方向や左方向、右方向に吐き出された空気の向きを冷却器61に向かうように変化させる1つ以上の傾斜部を有してもよい。本明細書で「傾斜部」とは、水平方向に対して傾斜した部分を意味する。
【0030】
カバー部材64は、冷却器61と遠心ファン63との間の高さ位置に、膨出部230を有する。膨出部230は、液体受け部62と並ぶ高さに設けられ、液体受け部62から離れる方向に膨出している。これにより、カバー部材64の平壁部210と液体受け部62との間に一定以上の距離が確保されている。
【0031】
本実施形態では、カバー部材64は、冷却器61よりもさらに上方に延びている。カバー部材64は、冷却器61よりも上方の位置に、複数の冷気吹出口240を有する(
図1参照)。複数の冷気吹出口240は、例えば第1貯蔵室81において、複数の高さに分かれて配置されている。冷却器61を通過することで冷却された空気は、冷気として複数の冷気吹出口240から第1貯蔵室81内に供給される。
【0032】
図3は、本実施形態の冷蔵庫1を正面側から見た場合を示す断面図である。本実施形態では、第1仕切壁91は、1つ以上の第1通気口301と、1つ以上の第2通気口302とを有する。第1通気口301は、冷蔵庫1の横幅方向において、第1仕切壁91の中央よりも左側に配置されている。第2通気口302は、冷蔵庫1の横幅方向において、第1仕切壁91の中央よりも右側に配置されている。第1通気口301および第2通気口302は、第1貯蔵室81と第2貯蔵室82とを連通させる。
【0033】
次に、本実施形態の冷蔵庫1内の空気の流れについて説明する。
遠心ファン63が駆動されると、遠心ファン63は、第2貯蔵室82に露出した吸込口112から空気を吸い込む。すなわち、遠心ファン63は、第2貯蔵室82から空気を吸い込む。遠心ファン63により吸い込まれた空気は、遠心ファン63の上方、下方、左方、右方を含む遠心ファン63の全周囲に吐き出される(複数の方向に吐き出される)。このとき、カバー部材64が曲面状の壁部221を有することで、空気の向きがスムーズに変化する。これにより、遠心ファン63の下方、左方、右方向に吐き出された空気は、カバー部材64により案内されて向きを変え、遠心ファン63とカバー部材64の側壁部220との間の隙間や、遠心ファン63と筐体10の後壁13との間の隙間Sを通じて上方に向かう。
【0034】
カバー部材64により案内されて遠心ファン63の上方に向けて進む空気の少なくとも一部は、液体受け部62にぶつかるが、液体受け部62に傾斜板部62bが設けられていることで傾斜板部62bに沿ってスムーズに流れを変え、カバー部材64の膨出部230を通って冷却器61に向けて進む。
【0035】
また別の観点で見ると、カバー部材64により案内される空気の少なくとも一部は、液体受け部62に対して衝突し、流れが乱れる。これにより、カバー部材64により案内される空気は、液体受け部62が存在しない場合と比べて、冷却器61の横幅方向に分散しやすくなる。これにより、冷却器61の横幅方向の多くの部分に空気が均一に供給されやすくなる。
【0036】
冷却器61に到達した空気は、冷却器61を通過することで冷却される。冷却器61により冷却された空気は、カバー部材64の複数の冷気吹出口240から第1貯蔵室81に供給される。冷気吹出口240から第1貯蔵室81に供給された空気の少なくとも一部は、第1仕切壁91の第1および第2の通気口301,302を通過することで第1貯蔵室81から第2貯蔵室82に流入する。第2貯蔵室82に流入した空気は、第1および第2の貯蔵容器42,43の上方や、第1貯蔵容器42の左右の側方を通り、第1貯蔵容器42とカバー部材64との間の空間に入る。第1貯蔵容器42とカバー部材64との間の空間に入った空気は、第1貯蔵容器42の後方に配置された遠心ファン63によって再び吸い込まれる。
【0037】
このような構成によれば、冷蔵庫1の熱交換効率の向上を図ることができる。ここで比較例として、冷蔵庫内の空気循環用のファンとして、プロペラファンが設けられた場合について考える。プロペラファンは、風路抵抗が高い場合に十分な空気を送風することが難しい。このため、貯蔵室の内容積拡大のためダクトが小型化された場合、熱交換効率が低下する場合がある。そこで、プロペラファンに代えて、遠心ファンを設けることが考えられる。遠心ファンを設けることで、ダクトが小型化されて風路抵抗が高い場合でも十分な空気を送風することができる。ただし、単純に遠心ファンを設けただけでは、遠心ファンから吐出された空気が冷却器61に向けて案内されにくい場合もあり得る。
【0038】
そこで本実施形態では、冷蔵庫1は、冷却器61を覆うとともに、遠心ファン63から遠心ファン63の遠心方向の複数の方向(例えば、上方向に加えて、下方向や左右方向)に吐き出された空気を冷却ファン63に向けて案内するカバー部材64を有する。このような構成によれば、遠心ファン63から吐き出されたより多くの空気を冷却器61に向けてスムーズに案内することができ、冷蔵庫1の熱交換効率の向上を図ることができる。
【0039】
本実施形態では、液体受け部62は、冷蔵庫1の奥行方向に対して傾斜した傾斜板部62bを有する。遠心ファン63は、傾斜板部62bの下方に配置され、吸い込んだ空気の少なくとも一部を傾斜板部62bに向けて吐き出す。このような構成によれば、冷却器61の下方に液体受け部62が設けられた場合であっても、遠心ファン63から吐き出された空気はスムーズに流れやすくなる。これにより、冷蔵庫1の熱交換効率のさらなる向上を図ることができる。
【0040】
本実施形態では、遠心ファン63の吸込口112の前方には、1つ以上の貯蔵容器42,43によって形成された壁部Wが存在する。壁部Wは、遠心ファン63の吸込口112が第2貯蔵室82の一部領域(例えば、吸込口112の正面)のみから集中的に空気を取り込むことを抑制し、第2貯蔵室82の多くの部分(例えば、第1貯蔵容器42の左右の空間)からも空気を取り込むことを助ける。例えば、遠心ファン63は、壁Wが存在することで、第2貯蔵室82の左右の端部などからも効率的に空気を取り込むことができる。このような構成によれば、第2貯蔵室82の多くの部分から空気を取り込むことができ、冷蔵庫1内の空気の循環性を高めることができる。
【0041】
(変形例)
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0042】
図4は、第1の実施形態の変形例の冷蔵庫1の内部を正面側から見た場合を示す断面図である。本変形例では、第1の実施形態と比べて、冷却器61が遠心ファン63の近くに配置されている。例えば、冷却器61の下端と遠心ファン63の中心との間の距離Bは、冷却器61の横幅Aよりも小さい。
【0043】
このような構成によれば、遠心ファン63から吐き出された空気をより効率的に冷却器61に導くことができる。これにより、冷蔵庫1の熱交換効率のさらなる向上を図ることができる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、冷気吹出口240および通気口301,302が左右非対称に設けられた点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0045】
図5は、第2の実施形態の冷蔵庫1の内部を正面側から見た場合を示す断面図である。本実施形態では、遠心ファン63は、冷蔵庫1の正面側から見て、時計回りに回転する。この場合、遠心ファン63の左半部の上方に位置する領域には、遠心ファン63の右半分の上方に位置する領域に比べて、多くの空気が遠心ファン63から送り出される。
【0046】
本実施形態では、各冷気吹出口240は、1つ以上の第1吹出口241と、1つ以上の第2吹出口242とを含む。第1吹出口241と第2吹出口242は、略同じ高さに位置する。第1吹出口241は、冷蔵庫1の横幅方向において、カバー部材64の中央(貯蔵室81,82の中央)よりも左側に配置されている。第2吹出口242は、冷蔵庫1の横幅方向において、カバー部材64の中央(貯蔵室81,82の中央)よりも右側に配置されている。そして、第1吹出口241の開口面積は、第2吹出口242の開口面積よりも小さい。なお、本明細書において「第1吹出口241の開口面積」とは、第1吹出口241が複数設けられる場合は、複数の第1吹出口241の開口面積の合計を意味する。この定義は、第2吹出口242についても同様である。
【0047】
第1仕切壁91は、第1の実施形態と同様に、1つ以上の第1通気口301と、1つ以上の第2通気口302とを有する。本実施形態では、第1通気口301の開口面積は、第2通気口302の開口面積よりも小さい。なお、本明細書において「第1通気口301の開口面積」とは、第1通気口301が複数設けられる場合は、複数の第1通気口301の開口面積の合計を意味する。この定義は、第2通気口302についても同様である。
【0048】
このような構成によれば、熱交換効率のさらなる向上を図ることができる。すなわち、遠心ファン63の左半部の上方に位置する領域には、遠心ファン63の右半分の上方に位置する領域に比べて、多くの空気が遠心ファン63から送り出される場合がある。このような場合、貯蔵室81,82において、左半分の領域と右半分の領域とで空気の流れが異なり、貯蔵室81,82内の温度分布にむらが生じる可能性がある。
【0049】
そこで本実施形態では、第1吹出口241の開口面積は、第2吹出口242の開口面積よりも小さく設定されている。このような構成によれば、第1吹出口241から第1貯蔵室81に供給される空気の量と、第2吹出口242から第1貯蔵室81に供給される空気の量との差を低減することができる。これにより、貯蔵室81,82の左半分の領域と右半分の領域における空気の流れの違いを低減することができ、貯蔵室81,82内の温度分布にむらが生じることを抑制することができる。
【0050】
また本実施形態では、第1通気口301の開口面積は、第2通気口302の開口面積よりも小さく設定されている。このような構成によれば、第1通気口301を通る空気の量と、第2通気口302を通る空気の量との差を低減することができる。これにより、貯蔵室81,82の左半分の領域と右半分の領域とにおける空気の流れの違いをさらに低減することができる。その結果、貯蔵室81,82内の温度分布にむらが生じることをさらに抑制することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、第1吹出口241と第2吹出口242とで開口面積が異なるとともに、第1通気口301と第2通気口302とで開口面積が異なる例について説明した。ただし、第1吹出口241と第2吹出口242とで開口面積が異なるとともに、第1通気口301と第2通気口302とで開口面積が略同じであってもよい。また逆に、第1吹出口241と第2吹出口242とで開口面積が略同じであるとともに、第1通気口301と第2通気口302とで開口面積が異なってもよい。
【0052】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、遠心ファン63が冷却器61の側方に配置された点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0053】
図6は、第3の実施形態の冷蔵庫1の内部を正面側から見た場合を示す断面図である。筐体10内の空間は、例えば、第1領域R1と、第2領域R2とを含む。第1領域R1は、冷却器61とは鉛直方向で重ならない領域であって、冷却器61に対して冷蔵庫1の横幅方向にずれた領域である。第2領域R2は、冷却器61と鉛直方向で重なる領域である。本実施形態では、第2領域R2は、冷却器61の下方に位置する領域である。
【0054】
遠心ファン63は、第1領域R1に配置されている。例えば、遠心ファン63の少なくとも一部は、冷蔵庫1の横幅方向で、冷却器61と並ぶ。本実施形態では、遠心ファン63は、冷却器61の右隣りに配置されるとともに、冷蔵庫1の正面側から見て時計回りに回転する。
【0055】
カバー部材64は、遠心ファン63から第1領域R1に吐き出された空気を、空気の流れ方向を変えながら冷却器61に向けて案内する。詳しく述べると、カバー部材64は、例えば、本体部400、第1案内部410、および第2案内部420を含む。
【0056】
本体部400は、冷却器61を覆う部分を含む。本体部400は、例えば、略鉛直方向に直線状に延びている。
【0057】
第1案内部410は、第1領域R1に配置され、遠心ファン63の周囲を覆う。第1案内部410は、遠心ファン63から第1領域R1に吐き出された空気を、冷却器61の下方に位置する第2領域R2に案内する。第1案内部410は、「第1部分」の一例である。
【0058】
第1案内部410は、遠心ファン63から吐き出された空気の少なくとも一部の向きを第2領域R2に向けて変える第1曲面部(または第1傾斜部)411を含む。例えば、第1案内部410は、遠心ファン63から吐き出された旋回流の流れ方向に沿う曲面状に形成されている。第1案内部410は、遠心ファン63から遠心ファン63の周囲に吐き出された旋回流を、この旋回流の旋回方向に沿って第1案内部410から第2案内部420に案内する。例えば、第1案内部410は、遠心ファン63を中心とする渦巻き状に形成されている。第1案内部410は、遠心ファン63の回転方向の下流側に進むに従い、流路断面積が大きくなる。「流路断面積」とは、空気の主流れ方向に直交する断面における断面積を意味する。
【0059】
第2案内部420は、第2領域R2に配置されている。本実施形態では、第2案内部420は、第1案内部410の左方に位置するとともに、本体部400の下方に位置する。第2案内部420は、第1案内部410と本体部400とを接続している。第2案内部420は、第1案内部410により第1領域R1から第2領域R2に案内された空気を、第2領域R2から冷却器61に向けて案内する。第2案内部420は、「第2部分」の一例である。
【0060】
例えば、冷蔵庫1の横幅方向における第2案内部420の幅は、同方向における冷却器61の幅よりも大きい。第2案内部420の最大流路断面積(または平均流断面積)は、第1案内部410の最大流路断面積(または平均流路断面積)よりも大きい。第1案内部410から第2案内部420に流入した空気は、流速が落ち、緩やかに流れ方向を変えることができる。
【0061】
本実施形態では、第2案内部420は、第1領域R1から第2領域R2に案内された空気の少なくとも一部の向きを冷却器61に向けて変える第2曲面部(または第2傾斜部)421を含む。例えば、第2曲面部421の少なくとも一部は、冷却器61と鉛直方向で重なる。また、第2曲面部421は、第2案内部420の内部空間に対して、第1案内部410とは反対側に位置する。第2曲面部421は、略水平方向に沿って流れる空気の少なくとも一部の向きを、上向きに変化させる。
【0062】
本実施形態では、第2案内部420の内部には、液体受け部62が設けられている。液体受け部62は、冷却器61の下方に配置されている。例えば、液体受け部62は、第2案内部420の下端部に配置されている。本実施形態では、第2領域R2は、冷却器61と液体受け部62との間に位置した領域R2aを含む。第1案内部410の第1曲面部411の少なくとも一部は、この領域R2aの側方に位置する。第1案内部410は、遠心ファン63から吐き出された空気の少なくとも一部を、領域R2aに向けて案内する。これにより、第2案内部420を流れる空気の少なくとも一部は、スムーズに冷却器61の下方に案内される。
【0063】
また別の観点で見ると、第1案内部410から第2案内部420に案内される空気の一部は、液体受け部62に対して衝突し、流れが乱れる。これにより、第1案内部410から第2案内部420に案内される空気は、液体受け部62が存在しない場合と比べて、冷却器61の横幅方向に分散しやすくなる。これにより、冷却器61の横幅方向の多くの部分に空気が均一に供給されやすくなる。
【0064】
本実施形態では、液体受け部62の左端部(第1端部)62cは、液体受け部62の右端部(第2端部)62dと比べて浅い。例えば、液体受け部62の底部は、右端部62dから左端部62cに向けて進むに従い深さが徐々に浅くなる傾斜形状を有する。このような構成によれば、第2案内部420に第2曲面部421が設けられた場合であっても、液体受け部62が第2曲面部421に干渉しにくい。これにより、液体受け部62を第2案内部420の下端部に寄せて配置しやすく、冷却器61と液体受け部62との間の領域R2aを大きく確保しやすくなる。
【0065】
本実施形態では、冷却器61は、冷媒ガスが流れるパイプ(チューブ)を有する。このパイプは、第1パイプ部61aと、第2パイプ部61bとを含む。第2パイプ部61bは、第1パイプ部61aよりも上方に配置されている。第1パイプ部61aと第2パイプ部61bとは、別の曲状のパイプ部などを介して互いに連通している。第1パイプ部61aには、複数のフィン61cが第1間隔g1で取り付けられている。第2パイプ部61bには、複数のフィン61cが第2間隔g2で取り付けられている。フィン61cは、鉛直方向に沿う板材である。ここで、第1間隔g1は、第2間隔g2よりも大きい。これにより、例えば空気が斜め上方に向けて進みながら冷却器61に達した場合でも、第1間隔g1が第2間隔g2と同じ程度に小さい場合と比べて、その空気が複数のフィン61cの間に入りやすくなる。言い換えると、第1間隔g1が第2間隔g2よりも大きく設定されることで、斜め上方に向けて進む空気に対する風路抵抗を小さくすることができる。
【0066】
本実施形態では、遠心ファン63の横幅方向の中心は、貯蔵室81,82の横幅方向の中心に対して、右側に偏心している。言い換えると、遠心ファン63は、第1通気口301よりも、第2通気口302の近くに配置されている。本実施形態では、第1通気口301の開口面積は、第2通気口302の開口面積よりも大きい。
【0067】
次に、本実施形態のカバー部材64内の空気の流れについて説明する。
本実施形態では、第1案内部410から第2案内部420に、略水平方向に沿って空気が導かれる。そして、第2案内部420に案内された空気の多くは、冷却器61と液体受け部62との間の空間で徐々に上向きに流れを変え、冷却器61に向けて移動する。このとき、第2案内部420内の空気は、冷却器61の横幅方向の全幅の下方に亘る比較的広い空間で向きを変えることができるために、局所的な流れを生じにくい。その結果、第1の実施形態に比べて、冷却器61の横幅方向の多くの部分に空気がより均一に供給されやすくなる。
【0068】
以上説明した構成によれば、第1の実施形態と比べて、冷蔵庫1の熱交換効率をさらに向上させることができる。すなわち、本実施形態では、遠心ファン63は、冷却器61とは鉛直方向で重ならない第1領域R1に配置されている。カバー部材64は、遠心ファン63から第1領域R1に吐き出された空気を冷却器61に向けて案内する。このような構成によれば、遠心ファン63の回転に伴い遠心ファン63の中心に対して特定方向に偏った領域に多くの空気が流れる場合でも、その空気は第1領域R1から冷却器61に向けて案内される過程で局所的な流れを解消しやすくなる。これにより、冷却器61の横幅方向の多くの部分に空気が供給されやすくなり、冷蔵庫1の熱交換効率をさらに向上させることができる。
【0069】
本実施形態では、遠心ファン63の少なくとも一部は、冷蔵庫1の横幅方向で、冷却器61と並ぶ。このような構成によれば、遠心ファン63から吐き出された空気が比較的大回りした後に冷却器61に供給される。このような構成によれば、空気は第1領域R1から冷却器61に向けて案内される過程で局所的な流れをさらに解消しやすくなる。
【0070】
本実施形態では、第1案内部410は、遠心ファン63から遠心ファン63の周囲に吐き出された旋回流を、旋回流の旋回方向に沿って第1案内部410から第2案内部に案内する。このような構成によれば、遠心ファン63から吐き出された空気の流れを利用して、冷却器61の下方に多くの空気をスムーズに導くことができる。
【0071】
本実施形態では、第2領域R2は、冷却器61と液体受け部62との間に位置する領域R2aを含む。このような構成によれば、冷却器61の下方に液体受け部62が設けられた場合であっても、遠心ファン63から吐き出された空気の少なくとも一部を、領域R2aを介して冷却器61の下方にスムーズに導くことができる。
【0072】
遠心ファン63の羽根車130の回転方向は、遠心ファン63の上部と下部のうち第2領域R2に近い方(本実施形態では下部)において、第1領域R1から第2領域R2に向かう方向である。このような構成によれば、遠心ファン63から吐き出された空気の流れを利用して、冷却器61の下方に多くの空気をスムーズに導くことができる。
【0073】
本実施形態では、遠心ファン63は、第1通気口301よりも第2通気口302の近くに配置されている。このため、第1通気口301を通る空気よりも、第2通気口302を通る空気が多くなりやすい。そこで本実施形態では、第1通気口301の開口面積は、第2通気口302の開口面積よりも大きく設定されている。このような構成によれば、第1通気口301を通る空気の量と、第2通気口302を通る空気の量との差を解消しやすい。その結果、第2貯蔵室82内の温度分布にむらが生じることを抑制することができる。
【0074】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、冷却器61および遠心ファン63の横幅方向のそれぞれ中心が、冷蔵庫1の横幅方向の中心に対して偏心して配置された点で、第3の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第3の実施形態と同様である。
【0075】
図7は、第4の実施形態の冷蔵庫1の内部を正面側から見た場合を示す断面図である。本実施形態では、冷却器61の横幅方向の中心は、貯蔵室81,82の中心に対して第1側(例えば左側)にずれて配置されている。一方で、遠心ファン63の横幅方向の中心は、貯蔵室81,82の横幅方向の中心に対して第1側とは反対の第2側(例えば右側)にずれて配置されている。
【0076】
本実施形態では、カバー部材64の本体部400は、第1本体部分401と、第2本体部分402と、接続部403とを有する。
【0077】
第1本体部分401は、冷却器61を覆うとともに、第2案内部420に接続されている。第1本体部分401の横幅方向の中心は、冷却器61と同様に、貯蔵室81,82の横幅方向の中心に対して第1側(例えば左側)にずれて配置されている。第1本体部分401には、冷気吹出口240は設けられていない。
【0078】
第2本体部分402は、空気の流れ方向で第1本体部分401よりも下流側(本実施形態では第1本体部分401よりも上方)に配置されている。第2本体部分402の横幅方向の中心は、貯蔵室81,82の横幅方向の中心と略同じ位置に配置されている。第2本体部分402には、複数の冷気吹出口240が設けられている。各冷気吹出口240の横幅方向の中心は、貯蔵室81,82の横幅方向の中心と略同じ位置に配置されている。
【0079】
接続部403は、第1本体部分401と第2本体部分402との間に設けられている。接続部403は、鉛直方向に対して斜めに延びた部分を含み、第1本体部分401と第2本体部分402とを接続している。
【0080】
このような構成によれば、第3の実施形態と比べて、遠心ファン63の横幅方向の中心を、貯蔵室81,82の横幅方向の中心に対して近付けることができる。これにより、第1通気口301を通る空気の量と、第2通気口302を通る空気の量との差をさらに解消しやすくなる。これにより、貯蔵室81,82内の温度分布にむらが生じることをさらに抑制することができる。
【0081】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態は、複数の遠心ファン63,65が設けられた点で、第3の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第3の実施形態と同様である。
【0082】
図8は、第5の実施形態の冷蔵庫1の内部を正面側から見た場合を示す断面図である。本実施形態では、冷蔵庫1の筐体10内の空間は、第3領域R3を含む。第3領域R3は、冷却器61とは鉛直方向で重ならない領域であって、冷却器61に対して冷蔵庫1の横幅方向にずれた領域である。第3領域R3は、冷蔵庫1の横幅方向において、冷却器61に対して第1領域R1(第1遠心ファン63)とは反対側に位置する。
【0083】
本実施形態では、冷蔵庫1は、第1および第2の遠心ファン63,65を有する。第1遠心ファン63は、第3の実施形態の遠心ファン63と同様に、第1領域R1に配置されている。一方で、第2遠心ファン65は、第3領域R3に配置されている。例えば、第2遠心ファン65の少なくとも一部は、冷蔵庫1の横幅方向で、冷却器61および第1遠心ファン63と並ぶ。第2遠心ファン65の羽根車130の回転方向は、例えば第1遠心ファン63の羽根車130の回転方向と同方向であるが、逆方向でもよい。
【0084】
カバー部材64は、第2遠心ファン65から第3領域R3に吐き出された空気を、空気の流れ方向を変えながら冷却器61に向けて案内する。詳しく述べると、カバー部材64は、第3案内部430を有する。第3案内部430は、第2領域R2に配置され、第2遠心ファン65の周囲を覆う。第3案内部430は、第2遠心ファン65から第3領域R3に吐き出された空気を、冷却器61の下方に位置する第2領域R2に案内する。第3案内部430は、「第3部分」の一例である。
【0085】
第3案内部430は、第2遠心ファン65から吐き出された空気の少なくとも一部の向きを第2領域R2に向けて変える曲面部(または傾斜部)431を含む。曲面部431の少なくとも一部は、第2領域R2のなかで冷却器61と液体受け部62との間に位置した領域R2aの側方に位置する。第3案内部430は、第2遠心ファン65から吐き出された空気の少なくとも一部を、この領域R2aに向けて案内する。これにより、第2案内部420を流れる空気の少なくとも一部は、スムーズに冷却器61の下方に案内される。
【0086】
本実施形態では、カバー部材64の第2案内部420は、第1案内部410と第3案内部430との間に位置する。第2案内部420には、第1案内部410と第3案内部430とから互いに反対方向に向いた空気が流入する。第2案内部420は、第1領域R1および第3領域R3から第2領域R2に案内された空気を冷却器61に向けて案内する。本実施形態では、第1通気口301の開口面積は、第2通気口302の開口面積と略同じである。
【0087】
このような構成によれば、貯蔵室81,82の横幅方向の中心に対して左右の両方にそれぞれ遠心ファン63,65が配置されるため、貯蔵室81,82内の温度分布にむらが生じることをさらに抑制することができる。
【0088】
以上、いくつかの実施形態および変形例について説明したが、実施形態は、上記例に限定されない。例えば、第1から第5の実施形態および変形例は、互いに組み合わせて実現可能である。第1および第2の実施形態において、冷却器61および遠心ファン63の配置は、上下逆でもよい。この場合、遠心ファン63は、下方に位置する冷却器61に向けて空気を吐き出してもよい。また、第3から第5の実施形態において、空気の流れ方向は上下逆でもよい。この場合、遠心ファン63から吐き出された空気は、冷却器61の上方に位置した第2領域R2を経由して冷却器61に向けて案内されてもよい。
【0089】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、冷蔵庫は、冷却器を覆うとともに、遠心ファンから遠心方向の複数の方向に吐き出された空気を冷却器に向けて案内するカバー部材を有する。このような構成によれば、冷蔵庫の熱交換効率の向上を図ることができる。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0091】
1…冷蔵庫、10…筐体、80,81,82,83,84…貯蔵室、61,71…冷却器、62,72…液体受け部、62b…傾斜板部、63,73…遠心ファン(第1遠心ファン)、64,74…カバー部、410…第1案内部(第1部分)、420…第2案内部(第2部分)、430…第3案内部(第3部分)、R1…第1領域、R2…第2領域、R3…第3領域。