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7195879表示装置、3次元表示装置、ヘッドアップディスプレイおよび車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】表示装置、3次元表示装置、ヘッドアップディスプレイおよび車両
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/346 20180101AFI20221219BHJP
   H04N 13/363 20180101ALI20221219BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20221219BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
H04N13/346
H04N13/363
B60K35/00 A
G02B27/01
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018208228
(22)【出願日】2018-11-05
(65)【公開番号】P2020077907
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139491
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 隆慶
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】草深 薫
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-264210(JP,A)
【文献】特開2012-086691(JP,A)
【文献】国際公開第2014/129197(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/00
B60K 35/00
G02B 27/01
G02B 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される表示装置であって、
表示パネルと、
エンジン回転速度を取得する第1入力部と、
車速を取得する第2入力部と、
前記車両のトランスミッションのシフト位置を取得する第3入力部と、
エンジン回転速度指示要素の指すエンジン回転速度目盛の位置によって前記エンジン回転速度を示す第1画像、および、車速指示要素の指す車速目盛の位置によって前記車速を示す第2画像を、前記エンジン回転速度目盛と前記車速目盛とを対応付けて合成し、前記表示パネルに表示させるコントローラであって、前記エンジン回転速度目盛のスケールと前記車速目盛のスケールとが対応するよう、前記シフト位置に基づいて前記車速目盛のスケールを切り替え、前記シフト位置の切り替えを行っていない定常状態において、前記エンジン回転速度指示要素と前記車速指示要素とを1つの指示要素として表示させるコントローラと
を備える、表示装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記シフト位置の切り替え時において、前記エンジン回転速度指示要素と前記車速指示要素とを異なる指示要素として表示し、前記エンジン回転速度指示要素と前記車速指示要素との間を強調表示する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記シフト位置の切り替え時において、それぞれ異なるシフト位置に対応する複数の前記第2画像を並べて表示し、前記複数の前記第2画像の中の一つの前記第2画像を前記第1画像の近傍に移動させる請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1画像は円形であり、前記第2画像は前記第1画像と同じ大きさの中空部分を有する円環形である、請求項1から3の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルは、車速を数字により表示する第3画像をさらに含む請求項1から4の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
車両に搭載される3次元表示装置であって、
第1方向および前記第1方向に直交する第2方向に沿って格子状に配列された複数のサブピクセルを含むアクティブエリアを備える表示パネルと、
前記サブピクセルから射出される画像光の光線方向を規定する光学素子であって、一部の領域のサブピクセルを出射した光を、利用者の右眼の位置に伝搬させ、他の一部の領域のサブピクセルを出射した光を、利用者の左眼の位置に伝搬させる光学素子と、
エンジン回転速度を取得する第1入力部と、
車速を取得する第2入力部と、
前記車両のトランスミッションのシフト位置を取得する第3入力部と、
エンジン回転速度指示要素の指すエンジン回転速度目盛の位置によって前記エンジン回転速度を示す第1画像、および、車速指示要素の指す車速目盛の位置によって前記車速を示す第2画像を、利用者の右眼および左眼に対して視差を有する画像として、前記エンジン回転速度目盛と前記車速目盛とを対応付けて合成し、前記表示パネルに表示させるコントローラであって、前記エンジン回転速度目盛のスケールと前記車速目盛のスケールとが対応するよう、前記シフト位置に基づいて前記車速目盛のスケールを切り替え、前記シフト位置の切り替えを行っていない定常状態において、前記エンジン回転速度指示要素と前記車速指示要素とを1つの指示要素として表示させるコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記シフト位置に基づいて前記第2画像を切り替え、前記コントローラは、前記第2画像を切り替えるとき、該第2画像を、前記第1画像に対し前記利用者から異なる距離に移動するように認識されるように視差を与えて表示する、3次元表示装置。
【請求項7】
車両に搭載されるヘッドアップディスプレイであって、
第1方向および前記第1方向に直交する第2方向に沿って格子状に配列された複数のサブピクセルを含むアクティブエリアを備える表示パネルと、
前記サブピクセルから射出される画像光の光線方向を規定する光学素子であって、一部の領域のサブピクセルを出射した光を、利用者の右眼の位置に伝搬させ、他の一部の領域のサブピクセルを出射した光を、利用者の左眼の位置に伝搬させる光学素子と、
前記アクティブエリアから射出され、前記光学素子により光線方向を規定された前記画像光を、利用者の視野に虚像を結像するように投影する光学系と、
エンジン回転速度を取得する第1入力部と、
車速を取得する第2入力部と、
前記車両のトランスミッションのシフト位置を取得する第3入力部と、
エンジン回転速度指示要素の指すエンジン回転速度目盛の位置によって前記エンジン回転速度を示す第1画像、および、車速指示要素の指す車速目盛の位置によって前記車速を示す第2画像を、利用者の右眼および左眼に対して視差を有する画像として、前記エンジン回転速度目盛と前記車速目盛とを対応付けて合成し、前記表示パネルに表示させるコントローラであって、前記エンジン回転速度目盛のスケールと前記車速目盛のスケールとが対応するよう、前記シフト位置に基づいて前記車速目盛のスケールを切り替え、前記シフト位置の切り替えを行っていない定常状態において、前記エンジン回転速度指示要素と前記車速指示要素とを1つの指示要素として表示させるコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記シフト位置に基づいて前記第2画像を切り替え、前記コントローラは、前記第2画像を切り替えるとき、該第2画像を、前記第1画像に対し前記利用者から異なる距離に移動するように認識されるように視差を与えて表示する、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項8】
第1方向および前記第1方向に直交する第2方向に沿って格子状に配列された複数のサブピクセルを含むアクティブエリアを備える表示パネル、前記サブピクセルから射出される画像光の光線方向を規定する光学素子であって、一部の領域のサブピクセルを出射した光を、利用者の右眼の位置に伝搬させ、他の一部の領域のサブピクセルを出射した光を、利用者の左眼の位置に伝搬させる光学素子、前記アクティブエリアから射出され、前記光学素子により光線方向を規定された前記画像光を、利用者の視野に虚像を結像するように投影する光学系、エンジン回転速度を取得する第1入力部、車速を取得する第2入力部、トランスミッションのシフト位置を取得する第3入力部、ならびに、エンジン回転速度指示要素の指すエンジン回転速度目盛の位置によって前記エンジン回転速度を示す第1画像、および、車速指示要素の指す車速目盛の位置によって前記車速を示す第2画像を、利用者の右眼および左眼に対して視差を有する画像として、前記エンジン回転速度目盛と前記車速目盛とを対応付けて合成し、前記表示パネルに表示させるコントローラであって、前記エンジン回転速度目盛のスケールと前記車速目盛のスケールとが対応するよう、前記シフト位置に基づいて前記車速目盛のスケールを切り替え、前記シフト位置の切り替えを行っていない定常状態において、前記エンジン回転速度指示要素と前記車速指示要素とを1つの指示要素として表示させるコントローラを含み、前記コントローラは、前記シフト位置に基づいて前記第2画像を切り替え、前記コントローラは、前記第2画像を切り替えるとき、該第2画像を、前記第1画像に対し前記利用者から異なる距離に移動するように認識されるように視差を与えて表示する、3次元表示装置を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置、3次元表示装置、ヘッドアップディスプレイおよび車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両において、運転者から見て前方の景色上にスピードメータ等を重畳して表示するヘッドアップディスプレイが知られている。例えば、特許文献1には、自車が先頭車両として走行している場合、被投影部材であるウインドシールドに走行速度または制限速度を投影する表示システムが開示されている。この表示システムは、自車が先行車両に追従して走行している場合、ウインドシールドに走行速度および制限速度を投影しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-202721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の表示システムは、計測機器を単に画像化したものであり、画像のデザイン性を十分に考慮したものではなかった。
【0005】
本開示は、車速及びエンジン回転速度のデザイン性を高めた表示をすることができる表示装置、3次元表示装置、ヘッドアップディスプレイおよび車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の表示装置は、車両に搭載される表示装置であって、表示パネルと、第1入力部と第2入力部と、第3入力部と、コントローラとを備える。前記第1入力部は、エンジン回転速度を取得する。前記第2入力部は、車速を取得する。前記第3入力部は、前記車両のトランスミッションのシフト位置を取得する。前記コントローラは、エンジン回転速度指示要素の指すエンジン回転速度目盛の位置によって前記エンジン回転速度を示す第1画像、および、車速指示要素の指す車速目盛の位置によって前記車速を示す第2画像を、前記エンジン回転速度目盛と前記車速目盛とを対応付けて合成し、前記表示パネルに表示させる。前記コントローラは、前記エンジン回転速度目盛のスケールと前記車速目盛のスケールとが対応するよう、前記シフト位置に基づいて前記車速目盛のスケールを切り替え、前記シフト位置の切り替えを行っていない定常状態において、前記エンジン回転速度指示要素と前記車速指示要素とを1つの指示要素として表示させる。
【0007】
本開示の3次元表示装置は、車両に搭載される3次元表示装置であって、表示パネルと、光学素子と、第1入力部と第2入力部と、第3入力部と、コントローラとを備える。前記表示パネルは、第1方向および前記第1方向に直交する第2方向に沿って格子状に配列された複数のサブピクセルを含むアクティブエリアを備える。前記光学素子は、前記サブピクセルから射出される画像光の光線方向を規定する光学素子であって、一部の領域のサブピクセルを出射した光を、利用者の右眼の位置に伝搬させ、他の一部の領域のサブピクセルを出射した光を、利用者の左眼の位置に伝搬させる。前記第1入力部は、エンジン回転速度を取得する。前記第2入力部は、車速を取得する。前記第3入力部は、前記車両のトランスミッションのシフト位置を取得する。前記コントローラは、エンジン回転速度指示要素の指すエンジン回転速度目盛の位置によって前記エンジン回転速度を示す第1画像、および、車速指示要素の指す車速目盛の位置によって前記車速を示す第2画像を、利用者の右眼および左眼に対して視差を有する画像として、前記エンジン回転速度目盛と前記車速目盛とを対応付けて合成し、前記表示パネルに表示させる。前記コントローラは、前記エンジン回転速度目盛のスケールと前記車速目盛のスケールとが対応するよう、前記シフト位置に基づいて前記車速目盛のスケールを切り替え、前記シフト位置の切り替えを行っていない定常状態において、前記エンジン回転速度指示要素と前記車速指示要素とを1つの指示要素として表示させる。前記コントローラは、前記シフト位置に基づいて前記第2画像を切り替える。前記コントローラは、前記第2画像を切り替えるとき、該第2画像を、前記第1画像に対し前記利用者から異なる距離に移動するように認識されるように視差を与えて表示する。
【0008】
本開示のヘッドアップディスプレイは、車両に搭載されるヘッドアップディスプレイであって、表示パネルと、光学素子と、光学系と、第1入力部と、第2入力部と、第3入力部と、コントローラとを備える。前記表示パネルは、第1方向および前記第1方向に直交する第2方向に沿って格子状に配列された複数のサブピクセルを含むアクティブエリアを備える。前記光学素子は、前記サブピクセルから射出される画像光の光線方向を規定する光学素子であって、一部の領域のサブピクセルを出射した光を、利用者の右眼の位置に伝搬させ、他の一部の領域のサブピクセルを出射した光を、利用者の左眼の位置に伝搬させる。前記光学系は、前記アクティブエリアから射出され、前記光学素子により光線方向を規定された前記画像光を、利用者の視野に虚像を結像するように投影する。前記第1入力部は、エンジン回転速度を取得する。前記第2入力部は、車速を取得する。前記第3入力部は、前記車両のトランスミッションのシフト位置を取得する。前記コントローラは、エンジン回転速度指示要素の指すエンジン回転速度目盛の位置によって前記エンジン回転速度を示す第1画像、および、車速指示要素の指す車速目盛の位置によって前記車速を示す第2画像を、利用者の右眼および左眼に対して視差を有する画像として、前記エンジン回転速度目盛と前記車速目盛とを対応付けて合成し、前記表示パネルに表示させる。前記コントローラは、前記エンジン回転速度目盛のスケールと前記車速目盛のスケールとが対応するよう、前記シフト位置に基づいて前記車速目盛のスケールを切り替え、前記シフト位置の切り替えを行っていない定常状態において、前記エンジン回転速度指示要素と前記車速指示要素とを1つの指示要素として表示させる。前記コントローラは、前記シフト位置に基づいて前記第2画像を切り替える。前記コントローラは、前記第2画像を切り替えるとき、該第2画像を、前記第1画像に対し前記利用者から異なる距離に移動するように認識されるように視差を与えて表示する。
【0009】
本開示の車両は、ヘッドアップディスプレイを備える。前記ヘッドアップディスプレイは、表示パネル、光学素子、光学系、第1入力部、第2入力、第3入力部、および、コントローラを含む。前記表示パネルは、第1方向および前記第1方向に直交する第2方向に沿って格子状に配列された複数のサブピクセルを含むアクティブエリアを備える。前記光学素子は、前記サブピクセルから射出される画像光の光線方向を規定する光学素子であって、一部の領域のサブピクセルを出射した光を、利用者の右眼の位置に伝搬させ、他の一部の領域のサブピクセルを出射した光を、利用者の左眼の位置に伝搬させる。前記光学系は、前記アクティブエリアから射出され、前記光学素子により光線方向を規定された前記画像光を、利用者の視野に虚像を結像するように投影する。前記第1入力部は、エンジン回転速度を取得する。前記第2入力部は、車速を取得する。前記第3入力部は、前記車両のトランスミッションのシフト位置を取得する。前記コントローラは、エンジン回転速度指示要素の指すエンジン回転速度目盛の位置によって前記エンジン回転速度を示す第1画像、および、車速指示要素の指す車速目盛の位置によって前記車速を示す第2画像を、利用者の右眼および左眼に対して視差を有する画像として、前記エンジン回転速度目盛と前記車速目盛とを対応付けて合成し、前記表示パネルに表示させる。前記コントローラは、前記エンジン回転速度目盛のスケールと前記車速目盛のスケールとが対応するよう、前記シフト位置に基づいて前記車速目盛のスケールを切り替え、前記シフト位置の切り替えを行っていない定常状態において、前記エンジン回転速度指示要素と前記車速指示要素とを1つの指示要素として表示させる。前記コントローラは、前記シフト位置に基づいて前記第2画像を切り替える。前記コントローラは、前記第2画像を切り替えるとき、該第2画像を、前記第1画像に対し前記利用者から異なる距離に移動するように認識されるように視差を与えて表示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、車速及びエンジン回転速度を、デザイン性を高めた表示をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図1の表示装置の変速比が高いときの表示例を示す図である。
図3図1の表示装置のシフト位置切り替え前の表示例を示す図である。
図4図1の表示装置のシフト位置切り替え時の表示例を示す図である。
図5図1の表示装置のシフト位置切り替え後表示例を示す図である。
図6図1の表示装置の変速比が低いときの表示例を示す図である。
図7】第2実施形態に係る3次元表示装置の概略構成を示す図である。
図8図7の表示パネルのアクティブエリアの拡大図である。
図9図7の視差バリアの構成例を示す図である。
図10図7の表示パネルのサブピクセルの表示例を説明する図である。
図11】第3実施形態に係るヘッドアップディスプレイ(HUD)の概略構成図である。
図12図11のヘッドアップディスプレイが搭載された車両の一例を示す図である。
図13図11のヘッドアップディスプレイの表示例を示す図である。
図14】表示装置、3次元表示装置およびヘッドアップディスプレイの他の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。また、以下の説明で用いる、シフト位置、エンジン回転速度および車速の数値は例示であって、現実の車両のシフト位置、エンジン回転速度および車速の関係とは必ずしも一致しない。
【0013】
(第1実施の形態)
第1実施形態に係る表示装置10は、車両に搭載され、インスツルメントパネル内またはダッシュボード上等の利用者の見易い位置に、エンジンの回転速度計と車両の車速計とを表示するものである。図1に示すように、表示装置10は、表示パネル11と、コントローラ12と、第1入力部13と、第2入力部14と、第3入力部15とを備える。なお、本開示において、利用者は、運転者および同乗者を含む概念である。
【0014】
本開示における「車両」には、自動車および産業車両を含む。自動車は、乗用車、トラック、バス、二輪車、およびトロリーバス等を含むがこれに限られず、道路上を走行する他の車両を含んでよい。産業車両は、農業および建設向けの産業車両を含む。産業車両には、フォークリフト、およびゴルフカートを含むがこれに限られない。農業向けの産業車両には、トラクター、耕耘機、移植機、バインダー、コンバイン、および芝刈り機を含むが、これに限られない。建設向けの産業車両には、ブルドーザー、スクレーバー、ショベルカー、クレーン車、ダンプカー、およびロードローラを含むが、これに限られない。車両は、人力で走行するものを含む。車両の分類は、上述に限られない。例えば、自動車には、道路を走行可能な産業車両を含んでよく、複数の分類に同じ車両が含まれてよい。
【0015】
本開示における車両は、マニュアルトランスミッションの車両(MT車)およびオートマチックトランスミッションの車両(AT車)を含む。
【0016】
表示パネル11は、コントローラ12からの信号に従って画像を表示する表示素子である。表示パネル11としては、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、等の種々の表示素子を採用しうる。本願において、表示パネル11の実際の画像が表示される領域をアクティブエリアとよぶ。表示パネル11は、種々の画像をアクティブエリアに表示する。
【0017】
コントローラ12は、表示装置10の各構成要素に接続され、各構成要素を制御する。コントローラ12は、例えばプロセッサとして構成される。コントローラ12は、1以上のプロセッサを含んでよい。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。コントローラ12は、1つまたは複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、およびSiP(System In a Package)のいずれかであってよい。コントローラ12は、記憶部を備え、記憶部に各種情報、または表示装置10の各構成部を動作させるためのプログラム等を格納してよい。記憶部は、例えば半導体メモリ等で構成されてよい。記憶部は、コントローラ12のワークメモリとして機能してよい。コントローラ12の実行する処理については、後述する。
【0018】
第1入力部13は、エンジン回転速度を取得する。第1入力部13は、エンジンの回転速度を表す信号の入力を受ける入力端子を含む。第1入力部13は、車載ネットワーク16に接続されてよい。車載ネットワーク16は、例えば、CAN(Control Area Network)を含む。第1入力部13は、車載ネットワーク16を介して、車両内のエンジンを制御する第1ECU(Electronic Control Unit)17(エンジン制御ECU)から、エンジン回転速度を取得することができる。
【0019】
第2入力部14は、車両の車速を取得する。第2入力部14は、車速を表す信号の入力を受ける入力端子を含む。第2入力部14は、車載ネットワーク16を介して、第1ECU(Electronic Control Unit)17または他のECUから車速信号を取得しうる。あるいは、第2入力部14は、車載ネットワーク16を介して、タイヤの車軸に取り付けられてタイヤの回転数を測定する車載センサ19から、車速パルス信号を受信することができる。
【0020】
第3入力部15は、車両のトランスミッション(変速機)のシフト位置を取得する。第3入力部15は、エンジンとトランスミッションとの間の動力伝達装置(クラッチ)の接続が遮断されたとき、その状態変化の通知を受ける。第3入力部15は、シフト位置が変更されたとき、新たなシフト位置を取得することができる。第3入力部15は、車載ネットワーク16を介してこれらの情報を、トランスミッションを制御する第2ECU18(トランスミッションECU)から取得することができる。
【0021】
コントローラ12は、第1入力部13により取得したエンジン回転速度を示す第1画像、および、第2入力部14により取得した車速を示す第2画像を合成し、表示パネル11に表示させる。コントローラ12は、第3入力部15により取得したシフト位置に基づいて第2画像を切り替えることができる。以下に、コントローラ12による第2画像の切り替えについて、図2図6を用いて詳細に説明する。
【0022】
図2に示すように、表示装置10の表示画像20は、エンジンの回転速度を示す回転速度計画像21(第1画像)および車両の車速を示す車速計画像22(第2画像)を合成したものとなっている。一例として、回転速度計画像21は円形である。車速計画像22は、回転速度計画像21と同じ大きさの中空部分を有する円環形である。言い換えれば、車速計画像22は、輪状またはドーナツ形である。しかし、回転速度計画像21および車速計画像22の形状はこれに限られず、半円形および半円環状とすることもできる。
【0023】
回転速度計画像21は、回転速度目盛23および回転速度指示針24(第1指示要素)を含む。回転速度目盛23には、単位時間(例えば、1分間)当たりの回転数を表す数値が表示される。図2の例では、1~8の数字により1000rpm~8000rpmの回転速度を表している。回転速度指示針24の指す回転速度目盛23の位置によって、エンジンの回転速度が示される。車速計画像22は、車速目盛25および車速指示針26(第2指示要素)を含む。車速目盛25には、時速などによる車両の速度を表す数値が表示されている。図2の例では、0~80の数字により0km~80kmの車速を表している。車速指示針26の指す車速目盛25の位置によって、車両の車速が示される。回転速度計画像21および車速計画像22の各部の色は、コントローラ12によって任意に設定されうる。コントローラ12は、回転速度計画像21および車速計画像22の各部の色として、明るい色を採用することができる。
【0024】
コントローラ12は、トランスミッションのシフト位置の切り替えを行っていない定常状態において、回転速度指示針24と車速指示針26を1つの指示要素として表示する。トランスミッションのシフト位置は、トランスミッションのギヤの切換え位置、または、変速比に対応する。一般的に、トランスミッションのシフト位置は、変速比が高い方から低い方へ向けて、1速、2速、3速、4速、5速等と呼ばれる。1速はローギアと呼ばれることがある。5速は、トップギアと呼ばれることがある。しかし、シフト位置の変速の段数および呼称はこれに限られない。トランスミッションの動力伝達装置が接続された状態のとき、エンジン回転速度と車速との比は固定される。このため、回転速度目盛23と車速目盛25との表示される数値のスケールを調整することによって、回転速度指示針24と車速指示針26とを1つの指示針(指示要素)として表示することが可能になる。
【0025】
図2の例では、例えば、トランスミッションのシフト位置は2速である。この例では、エンジン回転速度が1500rpmのとき車速は15km/hである。このため、回転速度指示針24と車速指示針26は、1つの指示要素として表示されている。シフト位置が変わらない限り、エンジン回転速度が、変化すると車速もエンジン回転速度の変化と同じ比率で変化するので、回転速度指示針24と車速指示針26は、1つの指示要素として表示することができる。例えば、車両の加速時において、図3に示すように、エンジン回転速度が、3000rpmに変化すると、車速もエンジン回転速度の変化と同じ比率で2倍の30km/hに変化する。
【0026】
MT車の場合、運転者がクラッチを踏む操作することによってシフト位置の操作を行う。AT車の場合、車速およびアクセルペダルの状態等の情報に基づいて、車両のコンピュータがシフト位置の操作を自動で行う。MT車において、運転者がクラッチを操作して、動力伝達が遮断されたとき、または、AT車においてコンピュータが同様のクラッチ操作を行ったとき、第3入力部35は、クラッチ操作の情報を取得する。コントローラ12は、クラッチ操作の情報を受けて、表示画像20において、車速計画像22の表示を薄い色またはモノクロ表示等に変化させる。このとき、車速指示針26の表示が消えてもよい。それと同時に、図4に示すように、複数の車速計画像22、22a、22bが並べて表示される。
【0027】
図4に図示の例において、車速計画像22aは、シフト位置が3速の場合に対応する。車速計画像22bは、シフト位置が1速の場合に対応する。複数の車速計画像22、22a、22bは、車速目盛25に表示される数字のスケールが異なっている。コントローラ12は、シフト位置(例えば、2速)が変更されたとき、車速計画像22を変更後のシフト位置(例えば、3速)に対応する車速計画像22aに変更させる。シフト位置の変更の情報は、第3入力部15を介して取得される。シフト位置の変更は、車速計画像22aを回転速度計画像21の近傍に移動させることにより実行される。例えば、シフト位置の変更は、車速計画像22aの中空部分に回転速度計画像21が当てはまるまで、表示画像20上で車速計画像22、22a、22bが、揃って左方向(矢印方向)へ移動することによって、利用者にグラフィカルに提示される。すなわち、車速計画像22、22a、22bの移動により、シフト位置の変更が画像により示される。なお、車速計画像22、22a、22bの切り替えの表示態様は、上述のものに限られない。例えば、複数の車速計画像22、22a、22bが、直線的ではなく、弧を描くように移動してもよい。
【0028】
図5は、シフト位置が2速から3速に切り替わった直後の状態を示す。この状態において、エンジンとトランスミッションとの間のクラッチは完全に接続されていない。そのため、回転速度指示針24と車速指示針26の指す方向は一致しない。したがって、回転速度指示針24と車速指示針26とは、1つの指示要素として表示されない。図5の例では、回転速度計画像21の回転速度指示針24は、回転速度目盛23の3000rpmを指している。一方、車速計画像22aの車速指示針26は、車速目盛25の30km/hを指している。エンジン回転速度と車速との間に乖離があることを示すため、回転速度指示針24と車速指示針26との間は、強調表示されてよい。強調表示は、回転速度計画像21および車速計画像22aの他の部分と輝度または色を変えることによって表示しうる。図5においては、説明のため強調表示は網掛けによって示している。
【0029】
半クラッチ状態を経て、エンジンとトランスミッションとの間のクラッチが完全に接続されると、図6に示すように、回転速度指示針24と車速指示針26の指す方向が一致する。このとき、回転速度指示針24と車速指示針26とは、1つの指示要素として表示される。図6の例では、回転速度計画像21の回転速度指示針24および車速計画像22aの車速指示針26が1つとなった指示要素は、回転速度目盛23の約4000rpm、かつ、車速目盛25の約40km/hを指している。
【0030】
上記は、車両の加速時における2速から3速へのシフト位置の切り替えを例にとって説明したが、他のシフト位置の変更においても同様に当てはまる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によれば、回転速度計画像21と車速計画像22、22a、22bの表示において、定常状態においては、1つの指示要素を用いてエンジン回転速度および車両の車速を表示することができる。さらに、シフト位置の切換え時には、複数の車速計画像22、22a、22bを画像上で動かして切り替えを表示することにより、トランスミッションのシフト位置の変化を表現することができる。さらに、回転速度指示針24と車速指示針26とのずれによって、クラッチの接続/遮断の状態を表現することができる。
【0032】
したがって、従来の車速およびエンジン回転速度の表示方法とは異なり、本実施形態の表示装置10は、回転速度計画像21および車速計画像22を1つにまとめたデザイン性を高めた表示をすることが可能である。また、回転速度計と車速計とが一つに合成されるので、従来の回転速度計および車速計と比較して、必要な情報を瞬時に視認することができるため、運転の安全性が向上する。さらに、トランスミッションおよびクラッチの状態に応じた画像表現が可能なので、車両の機械的機構に対する興味および関心の高い利用者に対して、面白みおよび楽しさを提供することができる。また、MT車の場合、運転者は、クラッチを踏む操作および戻す操作と対応させて、表示される画像を見ることで、リアルな運転感覚を得ることができる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本開示を3次元の立体表示に適用した第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る3次元表示装置30は、照射器31、表示パネル32、光学素子としての視差バリア33、コントローラ34、第1入力部35a、第2入力部35b、および、第3入力部35cを含んで構成される。
【0034】
照射器31は、表示パネル32の一方の面側に配置され、表示パネル32を面的に照射する。照射器31は、表示パネル32から見て利用者と反対側に配置される。照射器31は、光源、導光板、拡散板、拡散シート等を含んで構成されてよい。照射器31は、光源により照射光を射出し、導光板、拡散板、拡散シート等により照射光を表示パネル32の面方向に均一化する。照射器31は均一化された光を表示パネル32の方に出射する。
【0035】
表示パネル32は、第1実施形態の表示パネル11と同様に、コントローラ34からの信号に従って画像を表示する表示素子である。表示パネル32としては、種々の表示素子を採用しうる。表示パネル32としては、例えば、透過型の液晶表示パネルなどの表示パネルを採用しうる。また、表示パネル32としては、自発光型の表示素子、または、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッター式の表示パネルを採用してよい。表示パネル32として自発光型の表示素子、例えば、有機ELディスプレイ、または、無機ELディスプレイを採用する場合、照射器31は不要となる。表示パネル32は、種々な画像を表示パネル32のアクティブエリア36に表示する。
【0036】
表示パネル32のアクティブエリア36は、図8に示されるように、第1方向(x方向)および第1方向に交わる第2方向(y方向)に沿って格子配列される複数のサブピクセルSpを含む。第2方向は第1方向に略直交する方向としうる。第1方向は、利用者の両眼に視差を与える視差方向に対応する。利用者が通常の着席または直立した姿勢で表示パネル32を直接見るタイプの3次元表示装置30において、第1方向は利用者から観た横方向または左右方向とすることができる。第2方向は利用者から観た縦方向または上下方向とすることができる。以下では、第1方向をx方向、第2方向をy方向として説明する。表示パネル32のアクティブエリア36を示す各図において、x方向は右から左へ向かう方向として示す。y方向は、上から下へ向かう方向として示す。また、x方向およびy方向に直交し、利用者の眼の側に向く方向をz方向とする。
【0037】
複数のサブピクセルSpは、x方向およびy方向に格子状に配列されている。一実施形態において、サブピクセルSpは、x方向よりもy方向に長い。各サブピクセルSpはR(Red),G(Green),B(Blue)のいずれかの色に対応する。R,G,Bの3つのサブピクセルSpは、一組として1つのピクセルPを構成することができる。図8において、ピクセルPの一つを、説明のため外周を強調して示す。1つのピクセルPは、1画素と呼びうる。1ピクセルのx方向の長さとy方向の長さとは、1:1に設定することができるが、これに限定されない。x方向は、例えば、1つのピクセルPを構成する複数のサブピクセルSpが並ぶ方向である。
【0038】
視差バリア33は、サブピクセルSpから射出される画像光の光線方向を規定する。視差バリア33は、図7に示されるように、減光領域37および透光領域38によって、サブピクセルSpから射出される画像光の伝播方向である光線方向を規定する。サブピクセルSpから射出される画像光は、視差バリア33によって、視認可能な範囲が定まる。視差バリア33は、図7に示されるように、表示パネル32に対して照射器31の反対側に位置する。視差バリア33は、表示パネル32の照射器31側に位置することも可能である。
【0039】
具体的には、視差バリア33は、図9に示されるように、xy平面内の所定方向に伸びる複数の減光領域37および透光領域38を有する。減光領域37および透光領域38は、所定のピッチで交互に配列される。減光領域37および透光領域38は、樹脂またはガラス等の透明な板状部材状に形成されてよい。複数の減光領域37は、互いに隣接する該減光領域37の間の透光領域38を画定する。透光領域38は、減光領域37に比べて光透過率が高い。透光領域38は、減光領域37に対して、光透過率が100倍以上としうる。減光領域37および透光領域38が伸びる所定方向は、y方向またはy方向に対して傾きを有する方向とすることができる。y方向に対する傾きを有することにより、3次元表示装置30により表示される画像において、モアレが認識され難くなる。
【0040】
視差バリア33は、液晶シャッターで構成されてよい。液晶シャッターは、印加する電圧に応じて光の透過率を制御しうる。液晶シャッターは、複数の画素で構成され、各画素における光の透過率を制御してよい。液晶シャッターは、光の透過率が高い領域又は光の透過率が低い領域を任意の形状に形成してうる。
【0041】
コントローラ34は、第1実施形態のコントローラ12と類似して、3次元表示装置30の各構成要素に接続され、各構成要素を制御する。コントローラ34は、例えば1つ以上のプロセッサを含んで構成される。
【0042】
第1入力部35a、第2入力部35bおよび第3入力部35cは、それぞれ、第1実施形態の第1入力部13、第2入力部14および第3入力部15に相当するので、説明を省略する。
【0043】
図10は、利用者が適視距離にいるときの利用者の左眼から見たアクティブエリア36を示す。適視距離は、3次元表示装置30により視差画像を観察するとき、最もクロストークが少ない距離である。この場合、クロストークとは、右眼Er用に表示される画像が左眼Elに入射し、および、左眼El用に表示される画像が右眼Erに入射することを意味する。
【0044】
利用者の左眼から見たとき、二点鎖線により区分される第1領域36aは、視差バリア33の透光領域38を介して、利用者の左眼が視認可能な領域である。第2領域36bは、視差バリア33の減光領域37により遮られて、利用者の左眼が視認できない領域である。図10の二点鎖線により示される第1領域36aと第2領域36bとの境界は、視差バリア33の減光領域37と透光領域38との間の境界を、利用者の左眼が配置される適視距離の点から射影したものである。
【0045】
視差バリア33の減光領域37と透光領域38とのx方向の幅が等しいとき、利用者の右眼Erは、視差バリア33の減光領域37により遮られて、第1領域36aを視認することができない。また、利用者の右眼Erは、視差バリア33の透光領域38を介して、第2領域36bを視認することができる。
【0046】
左眼Elから視認可能な第1領域36aおよび右眼Erから視認可能な第2領域36bのそれぞれに、互いに視差を有する左眼El用の画像および右眼Er用の画像を表示することによって、利用者の視界に対して3次元と認識される画像を表示することができる。以下に、左眼Elに投影するための画像を左眼画像、右眼Erに投影するための画像を右眼画像と呼ぶ。
【0047】
図10の例において、第1領域36aおよび第2領域36bは、それぞれ、3サブピクセル分のx方向の幅を有する。図10では、説明のためサブピクセルSpに1~6の番号を付している。番号1~3のサブピクセルSpは、1/2以上の領域が第1領域36aに含まれる。このため番号1~3のサブピクセルSpから射出した光は、視差バリア33により大部分が利用者の左眼Elの位置に伝搬される。このため、番号1~3のサブピクセルSpは、左眼画像を表示する。番号4~6のサブピクセルSpは、1/2以上の領域が第2領域36bに含まれる。このため、番号4~6のサブピクセルSpから射出した光は、視差バリア33により大部分が利用者の右眼Erの位置に伝搬される。このため、番号4~6サブピクセルSpは、右眼画像を表示する。画像の表示は、コントローラ34よって制御される。
【0048】
なお、図7に示すように、3次元表示装置30のコントローラ34は、利用者の左眼Elおよび右眼Erの位置を検出する検出装置39に接続されていてよい。この場合、コントローラ34は、検出装置39から取得した左眼Elおよび右眼Erの位置に応じて、表示パネル32の表示を調整することができる。このようにすることによって、基準となる位置から利用者の眼の位置が動いた場合でも、3次元表示装置30は、3次元表示を維持することができる。
【0049】
本実施形態において、コントローラ34は、第1実施形態と同様に、図2図6に示したような回転速度計画像21および車速計画像22を合成した画像を表示することができる。さらに、本実施形態においては、表示される画像に視差を与えることにより立体表示が可能である。3次元表示装置30により表示される3次元画像において、左眼画像と右眼画像との間の視差が大きい画像要素は、利用者により近くにあるものと認識される。また、左眼画像と右眼画像との間の視差が小さい画像要素は遠くにあるものと認識される。したがって、回転速度計画像21および車速計画像22を合成した画像は、利用者に対して所定距離離れて位置すると認識される画像として表示することができる。所定距離は、例えば、利用者の5mまたは10m前方に位置するものとすることができる。利用者から見て前方を、「奥行き方向」と呼ぶことがある。
【0050】
さらに、本実施形態の3次元表示装置30では、図3図5に示されるシフト位置の切換え操作において、第1実施形態の表示装置10とは異なる態様の表示をすることができる。図3図5を参照して、第2実施形態におけるシフト位置の切り替えの表示態様について説明する。
【0051】
まず、図3の状態から、運転者またはコンピュータがクラッチを遮断する。クラッチ操作がなされると、コントローラ34は、第3入力部35を介してその情報を取得する。コントローラ34は、3次元表示装置30に表示される3次元画像上で、シフト位置の2速に対応する車速計画像22を利用者から見た見かけ上、奥行き方向に移動させる。この表示方法は、利用者から見たとき、クラッチの操作に合わせて、車速計画像22が、回転速度計画像21の周りから外れて、遠方へ移動したように認識される。このとき、第1実施形態とは異なり、車速計画像22の表示を薄い色またはモノクロ表示等に変化させなくてよい。
【0052】
さらに、図4において、シフト位置の異なる車速計画像22、22a、22bが、利用者から見て遠方にあると視認されるように表示される。車速計画像22、22a、22bは、遠方にあると認識される状態で左方向(矢印方向)に移動し、シフト位置の3速に対応する車速計画像22aが回転速度計画像21の背後に位置すると認識される位置に移動する。さらに、コントローラ34は、車速計画像22aの見かけ上視認される距離を、回転速度計画像21と等距離に認識されるまで利用者側に近づける。これによって、図5に示すような合成画像とする。この表示方法は、利用者から見たとき、車速計画像22aが回転速度計画像21の背後から近付き、車速計画像22a円環状の中空部分に、回転速度計画像21が嵌って結合したように認識される。
【0053】
本実施形態によれば、第1実施形態に係る表示装置10による作用、効果に加え、表示される車速計画像22、22a、22bの利用者の視覚に認識される奥行き方向の距離を変化させることができる。これにより、トランスミッションのシフト位置の切り替えをよりリアルに視覚的に表現することが可能になる。これにより、利用者に対し、より現実感と面白みのあるエンジン回転速度および車速の表示が可能になる。
【0054】
(第3実施形態)
本開示の3次元表示装置をヘッドアップディスプレイ(HUD)に適用した第3実施形態に係るヘッドアップディスプレイ50について説明する。第3実施形態に係るヘッドアップディスプレイ50は、図11に示されるように、3次元表示装置51、光学部材52a、52b、被投影部材53を含む。光学部材52a、52b、および、被投影部材53は、利用者の視野に虚像を結像するように投影する光学系の少なくとも一部を構成する。光学部材52a、52bは凹面鏡を含んで構成されうる。
【0055】
3次元表示装置51は、照射器61、表示パネル62、視差バリア63、コントローラ64、第1入力部65a、第2入力部65b、および、第3入力部65cを含む。照射器61、表示パネル62、視差バリア63、コントローラ64、第1入力部65a、第2入力部65b、および、第3入力部65cは、それぞれ、第2実施形態の照射器31、表示パネル32、視差バリア33、コントローラ34、第1入力部35a、第2入力部35bおよび第3入力部35cと同様の構成要素なので、説明を省略する。
【0056】
ヘッドアップディスプレイ50は、3次元表示装置51から射出される画像光を、光学部材52a、52bを介して被投影部材53に到達させる。ヘッドアップディスプレイ50は、被投影部材53で反射させた画像光を、利用者の左眼Elおよび右眼Erに到達させる。つまり、ヘッドアップディスプレイ50は、破線で示される光路Xに沿って、3次元表示装置51のアクティブエリアに表示される左眼画像および右眼画像の画像光を、それぞれ、利用者の左眼Elおよび右眼Erの視野内に虚像を結像するように投影する。利用者は、光路Xに沿って到達した画像光を、虚像Iとして視認しうる。
【0057】
図12に示されるように、ヘッドアップディスプレイ50は、車両100に搭載されてよい。ヘッドアップディスプレイ50は、構成の一部を、当該車両100が備える他の装置、部品と兼用してよい。例えば、車両100は、ウインドシールドをヘッドアップディスプレイ50の被投影部材53として兼用してよい。
【0058】
図13は、利用者側からみたヘッドアップディスプレイ50の表示画像を示す。被投影部材53は、運転者Dである利用者が着座する運転席の前方に配置される。ヘッドアップディスプレイ50は、回転速度計および車速計を合成した画像を、運転者Dの前方の例えば10m~20mの位置に、背景の景色と重ねて表示することができる。ヘッドアップディスプレイ50は、エンジン回転速度および車速の他に、車両100に関連する各種の情報を表示してよい。車両100に関する各種の情報は、ガソリン等の燃料残量、車両100の総走行距離、車両100の区間総走行距離およびエンジン冷却水系の水温等の情報を含む。
【0059】
第3実施形態に係るヘッドアップディスプレイ50は、第2実施形態にかかる3次元表示装置30の効果に加え、利用者が視線および眼の焦点を大きく変化させることなく、回転速度計画像21および車速計画像22を見ることができるという効果を有する。これによって、利用者の眼が疲れにくくなるとともに、且つ、安全性をさらに向上させることができる。
【0060】
(第4実施形態)
上記第1~第3実施形態では、エンジンの回転速度計画像21および車両の車速計画像22は、円形の外形と指示針とを有する画像として表示された。しかし、エンジンの回転速度計および車両の車速計の画像による表示態様は、これに限られない。図14は、第4実施形態に係る表示画像70を示す。表示画像70は、2次元の表示装置、3次元表示装置およびヘッドアップディスプレイの何れで表示されてもよい。
【0061】
表示画像70は、回転速度計画像71および車速計画像72を含む。回転速度計画像71は、回転速度目盛73および回転速度指示要素75を含む。車速計画像72は、車速目盛74と車速指示要素76とを含む。回転速度目盛73および車速目盛74は、それぞれ、回転速度および車速を表す目盛の数字が直線的に並んでいる。回転速度目盛73および車速目盛74のスケールは、シフト位置に応じて、互いに対応する数値となっている。クラッチが接続されているとき、回転速度目盛73と車速目盛74との向かい合う数値は、1:1で対応している。図14に図示の例は、3000rpmが30km/hに対応し、4000rpmが40km/hに対応している。
【0062】
回転速度指示要素75および車速指示要素76は、回転速度目盛73および車速目盛74の間に挟まれた複数の矩形の発光部により構成される。発光部は、色により回転速度および車速の何れを表示するかを示すことができる。発光部が白色の場合、クラッチが接続されており、回転速度および車速の双方が同じ発光部で表示することができる。また、クラッチが遮断または半クラッチ状態の場合、回転速度を表す発光部の位置と車速を表す発光部の位置との間に乖離が生じる。そこで、例えば、回転速度が4000rpm、速度が30km/hの場合、0~30km/h部分の発光部を第1色(例えば、赤色)で発行させ、3000rpm~4000rpmの部分の発光部を第2色(例えば、青色)で発光させることができる。
【0063】
シフト位置の変更に応じて、車速計画像72は表示が切り替わる。車速計画像72は、シフト位置の変速比に応じて、対向する回転速度目盛73の数値に対応する車速目盛74の数値が表示される。車速計画像72の表示の切り替えは、種々の方法を採用しうる。例えば、車速計画像72は、表示画像70上で左右に移動して別の車速計画像72に切り替わることができる。また、車速計画像72は、平板状であり縦方向に回転して裏返しになる度に表示内容が切り替わってもよい。
【0064】
また、表示画像70は、車速デジタル表示部77を備えてよい。車速デジタル表示部77(第3画像)は、デジタルイメージの数字により車速を表示する。車速デジタル表示部77を設けることにより、車速計画像72が切り替わるときも、利用者は車速を確認することができる。なお、表示画像70は、シフト位置を示す文字情報(例えば、「L」、「S」、「3」、「D」等)を表示する表示領域をさらに含んでよい。
【0065】
本開示に係る構成は、以上説明してきた実施形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、各構成部要素に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成要素等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態について装置を中心に説明してきたが、本開示に係る実施形態は装置の各構成部が実行するステップを含む方法としても実現し得るものである。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0066】
例えば、第4実施形態において、表示画像70が車速およびシフト位置を表す数字情報または文字情報を含ものとした。しかし、図2図6の円形の外形を基調とする回転速度計画像21および車速計画像22の合成画像においても、車速の数値およびシフト位置を表す文字を画像内に表示することができる。
【0067】
本開示において「第1」および「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子
である。本開示における「第1」および「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成
における番号を交換することができる。例えば、第1方向は、第2方向と識別子である「
第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の
交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号
で区別される。本開示における「第1」および「第2」等の識別子の記載のみに基づいて
、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠、大きい番号の識別
子が存在することの根拠に利用してはならない。
【符号の説明】
【0068】
10 表示装置
11 表示パネル
12 コントローラ
13 第1入力部
14 第2入力部
15 第3入力部
16 車載ネットワーク
17 第1ECU
18 第2ECU
19 車載センサ
20 表示画像
21 回転速度計画像(第1画像)
22、22a、22b 車速計画像(第2画像)
23 回転速度目盛
24 回転速度指示針(第1指示要素)
25 車速目盛
26 車速指示針(第2指示要素)
30 3次元表示装置
31 照射器
32 表示パネル
33 視差バリア(光学素子)
34 コントローラ
35a 第1入力部
35b 第2入力部
35c 第3入力部
36 アクティブエリア
36a 第1領域
36b 第2領域
37 減光領域
38 透光領域
39 検出装置
50 ヘッドアップディスプレイ
51 3次元表示装置
52a、52b 光学部材
53 被投影部材
53a 被投影面
61 照射器
62 表示パネル
63 視差バリア(光学素子)
64 コントローラ
65a 第1入力部
65b 第2入力部
65c 第3入力部
70 表示画像
71 回転速度計画像(第1画像)
72 車速計画像(第2画像)
73 回転速度目盛
74 車速目盛
75 回転速度指示要素(第1指示要素)
76 車速指示要素(第2指示要素)
77 車速デジタル表示部(第3画像)
100 車両
El 右眼
Er 左眼
P ピクセル
Sp サブピクセル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14