(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】折畳式シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/30 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
B60N2/30
(21)【出願番号】P 2018209178
(22)【出願日】2018-11-06
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】石原 慶隆
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 恭史
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 隆太
(72)【発明者】
【氏名】湊 裕貴
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-202941(JP,A)
【文献】特開2004-331006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/30
B60N 2/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立状態と折畳状態とに開閉可能な座面を有し、車両に積載される折畳式シートであって、
前記車両の移動を検出する移動検出手段と、
前記移動検出手段が前記車両の移動を検出した際、前記座面を固定する固定手段と、
前記座面の表面に対象物が存在するか否かを検出する対象物検出手段と、
を備え、
前記固定手段は、前記対象物検出手段が前記座面の表面の対象物を検出しない場合であって、かつ、前記移動検出手段が前記車両の移動を検出しない場合に電動モーターを駆動して前記座面を回動可能な状態となり、車両のスペースを有効に利用できるように座面を回動する処理ルーチンが、前記固定手段に電力が供給されている間に繰り返し実行されることを特徴とする、
折畳式シート。
【請求項2】
請求項1に記載の折畳式シートにおいて、
前記座面の位置を検出する座面位置検出手段と、
を備え、
前記固定手段は、前記対象物検出手段が前記座面の表面に対象物を検出した場合であって、かつ、前記座面位置検出手段が前記座面が前記起立状態であることを検出した場合に、前記座面を固定することを特徴とする、
折畳式シート。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1項に記載の折畳式シートにおいて、
前記座面に乗務員を支持するシートベルトと、
前記シートベルトの装着を検出するシートベルト検出手段と、
を備え、
前記固定手段は、前記シートベルト検出手段が前記シートベルトの装着を検出した場合に、前記座面を固定することを特徴とする、
折畳式シート。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の折畳式シートにおいて、
設置面と前記座面との間に存在する非生物を検出する非生物検出手段と、
を備え、
前記固定手段は、前記非生物検出手段が前記非生物を検出した際、前記座面を固定することを特徴とする、
折畳式シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳式シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員に負担をかけることなく、車両用シートを格納位置まで容易に移動すると共に、格納位置で確実に固定することを目的とする車両用シートが知られている。例えば、特許文献1では、シートスイッチによって格納指示することにより、シートバックアクチュエータを動作開始させて、シートバックとシートクッションのロックを解除してシートバックをシートクッションに重なる位置に回動させ、フロアロックアクチュエータを駆動してフロアパネルとフロアロックの係合を解除して、リフトアップモータを動作させて車両用シート装置を車体側方にリフトアップさせた後、ドラッガロックモータを動作させて、シートバック背面のストライカとドラッガユニットとをロックして格納動作を終了する車両用シートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用シートでは、車両用シートの移動に際して、乗員がシートスイッチを操作する必要があるため、乗員に負担がかかるという課題がある。また、乗員がスイッチの操作を失念した場合には、格納位置で確実に固定することができないという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、乗員に負担をかけることなく、折畳式シートの位置を固定又は解除することができる折畳式シートを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の折畳式シートは、
起立状態と折畳状態とに開閉可能な座面を有し、車両に積載される折畳式シートであって、
前記車両の移動を検出する移動検出手段と、
前記移動検出手段が前記車両の移動を検出した際、前記座面を固定する固定手段と、
を備えたことを特徴とする、
ものである。
【0008】
この折畳式シートは、車両の移動を検出する移動検出手段が車両の移動を検出すると、固定手段が座面を固定する。こうすることにより、車両の移動中に座面が移動することを未然に防止することができる。また、この固定手段は、移動検出手段が車両の移動を検出した際に座面を固定するため、車両が移動する際、何ら乗員が作業することなく、自動的に座面を固定することができる。
【0009】
本発明の折畳式シートは、前記座面の表面に対象物が存在するか否かを検出する対象物検出手段と、を備え、前記固定手段は、前記対象物検出手段が前記座面の表面の対象物を検出しない場合であって、かつ、前記移動検出手段が前記車両の移動を検出しない場合に、前記座面を回動可能な状態とすることを特徴としてもよい。こうすることにより、座面の表面に対象物が存在しない場合で、かつ、車両の移動が検出されない場合、すなわち、車両が停止しており、かつ、空席の場合に座面の固定を解除し、座面を移動可能な状態とすることができる。こうすることにより、走行中や使用中に座面の固定が解除される可能性を未然に防ぐことができる。
【0010】
本発明の折畳式シートは、前記座面の位置を検出する座面位置検出手段と、を備え、前記固定手段は、前記対象物検出手段が前記座面の表面に対象物を検出した場合であって、かつ、前記座面位置検出手段が前記座面が前記起立状態であることを検出した場合に、前記座面を固定することを特徴としてもよい。こうすることにより、座面が起立状態であって、座面の表面に対象物が存在する場合、すなわち、折畳式シートが使用される際に固定手段によって座面を固定することができる。付言すると、折畳式シートを使用する際、使用者が固定作業を行うことなく、座面を固定することができる。
【0011】
本発明の折畳式シートは、前記座面に乗務員を支持するシートベルトと、前記シートベルトの装着を検出するシートベルト検出手段と、を備え、前記固定手段は、前記シートベルト検出手段が前記シートベルトの装着を検出した場合に、前記座面を固定することを特徴としてもよい。こうすることにより、折畳式シートの使用者がシートベルトを着用した際に固定手段によって座面が固定されることになるため、使用者が固定作業を行うことなく、座面を固定することができる。
【0012】
本発明の折畳式シートは、設置面と前記座面との間に存在する非生物を検出する非生物検出手段と、を備え、前記固定手段は、前記非生物検出手段が前記非生物を検出した際、前記座面を固定することを特徴としてもよい。設置面と座面との間に非生物の存在が検出された場合、すなわち、設置面と座面の間に何らかの物が積載されていた場合に、座面を固定することにより、座面と積置物とが衝突する可能性を未然に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、折畳式シート20の電気的接続を説明するためのブロック図である。
【
図2】
図2は、折畳式シート20の座面24の状態を説明するための説明図である。
【
図3】
図3は、移動時固定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、対象物の有無による固定解除処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、座面位置による固定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、シートベルト状態による固定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、非生物存在時における固定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態の一例として、折畳式シート20について詳しく説明する。以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号を付す。
【0015】
本発明の実施の形態の一例である折畳式シート20は、
図1に示すように、車両の移動を検出する移動検出手段32と、座面の表面に対象物が存在するか否かを検出する対象物検出手段34と、座面24の位置を判定する座面位置検出手段36と、図示しないシートベルトの装着を検出するシートベルト検出手段38と、折畳式シート20が設置された設置面と座面24との間に存在する非生物を検出する非生物検出手段40と、座面24を固定する固定手段50と、が互いに電気的に接続されており、固定手段50は、移動検出手段32、対象物検出手段34、座面位置検出手段36、シートベルト検出手段38及び非生物検出手段40からの各種検出信号に基づいて、座面24を固定又は解放する。また、この折畳式シート20は、図示しないシートベルトと共に車両に積置される折畳式シート20であり、
図2に示すように、背もたれ部22に図示しない回転軸によって座面24が回動可能に取り付けられている。このとき、座面24と背もたれ部22との連結部に設けられた図示しない回転機構によって回動することで、折畳状態(
図2(A)参照)から起立状態(
図2(B)参照)に回動し、固定手段50によって固定される。
【0016】
移動検出手段32は、固定手段50と電気的に接続されており、図示しない車両の移動を検出すると、図示しない車両が移動していることを示す移動検出信号を固定手段50に発信する。この移動検出手段32としては、例えば、図示しない車軸や図示しないタイヤの回転数を検出することで図示しない車両の移動を検出するものであってもよいし、速度計等の図示しない車両に備えられた移動に関する情報を取得するものであってもよいし、位置情報の変化から車両の移動を検出するものであってもよい。いずれの方法であっても、図示しない車両の移動を検出した場合に固定手段50に移動検出信号を発信することで、固定手段50は、図示しない車両が移動しているか否かの情報を得ることができる。
【0017】
対象物検出手段34は、固定手段50と電気的に接続されており、座面24の表面に図示しない対象物が存在するか否かを検出し、図示しない対象物が存在する場合には、固定手段50に図示しない対象物が存在することを示す対象物検出信号を発信する。この対象物検出手段34としては、例えば、座面24の表面に設けられた公知の感圧センサであってもよいし、座面24の表面方向に向けられた公知のフォトセンサや赤外線センサ等であってもよいし、座面24の表面を撮影するデジタルビデオやデジタルカメラ等の撮影手段で撮影し、画像解析処理によって座面24の表面に図示しない対象物が存在するか否かを判定してもよい。いずれの方法であっても、座面24の表面に図示しない対象物が存在する場合に対象物検出信号を固定手段50に発信することで、固定手段50は、座面24の表面に図示しない対象物が存在するか否かの情報を得ることができる。
【0018】
座面位置検出手段36は、固定手段50と電気的に接続されており、座面24の位置を検出し、折畳状態である場合には折畳状態検出信号を、起立状態である場合には起立状態検出信号を、それぞれ固定手段50に発信する。この座面位置検出手段36としては、例えば、折畳状態及び起立状態のそれぞれの状態で通電する接触センサであってもよいし、座面24を撮影するデジタルビデオやデジタルカメラ等の撮影手段で撮影し、画像解析処理によって折畳状態及び起立状態のそれぞれの状態を検出するものであってもよい。いずれの方法であっても、座面24が折畳状態又は起立状態の際に折畳状態検出信号又は起立状態検出信号を発信することで、固定手段50は、座面24が折畳状態又は起立状態であるかの情報を得ることができる。
【0019】
シートベルト検出手段38は、固定手段50と電気的に接続されており、図示しないシートベルトが使用されているか否かを検出し、図示しないシートベルトが使用されている場合には、シートベルト着用信号を固定手段50に送信する。このシートベルト検出手段38としては、例えば、図示しないシートベルトが図示しないシートベルト装着口に装着された際に通電する接触センサであってもよいし、図示しないシートベルト装着位置を撮影するデジタルビデオやデジタルカメラ等の撮影手段で撮影し、画像処理によって図示しないシートベルトが装着されているか否かを判定してもよい。いずれの方法であっても、図示しないシートベルトが装着された際にシートベルト装着信号を固定手段50に発信することで、固定手段50は、図示しないシートベルトが装着されているか否かの情報を得ることができる。
【0020】
非生物検出手段40は、固定手段50と電気的に接続されており、折畳式シート20と座面24との間に非生物が存在するか否かを検出し、非生物が存在する場合には、非生物検出信号を固定手段50に送信する。この非生物検出手段40としては、例えば、起立状態における座面24の下部を撮影するデジタルビデオやデジタルカメラ等の撮影手段で撮影し、画像処理によって図示しない非生物が撮影されているか否かを判定することで実現できる。こうすることにより、座面24の下部に図示しない非生物が存在する場合には、非生物検出信号を固定手段50に発信することで、固定手段50は、図示しない非生物が存在するか否かの情報を得ることができる。
【0021】
固定手段50は、CPU51を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、移動検出手段32、対象物検出手段34、座面位置検出手段36、シートベルト検出手段38及び非生物検出手段40を制御する各種制御プログラム等が記憶されたROM52と、移動検出手段32、対象物検出手段34、座面位置検出手段36、シートベルト検出手段38及び非生物検出手段40から送信された各種検出信号等を一時的に記憶するRAM53と、移動検出手段32、対象物検出手段34、座面位置検出手段36、シートベルト検出手段38及び非生物検出手段40等との間の各種信号の送受信を行うインタフェース54(以下、「I/F54」と言う。)がそれぞれバス55を介して電気的に接続されている。また、固定手段50は、図示しない固定機構を有しており、CPU51からの制御信号に基づき、座面24を固定する。この図示しない固定機構としては、例えば、座面24の図示しない回転軸を固定することで座面24を固定するものであってもよいし、座面24を直接固定するものであってもよい。また、この図示しない固定機構は図示しない回転機構を兼ねるものであってもよい。すなわち、座面24を回転軸とこの回転軸と連接する電動モーターとからなる回転機構と固定機構を兼ねた機構としてもよい。この場合には、CPU51からの信号に応じて電動モーターを駆動又は停止することにより、座面24の回動又は固定を行うことができる。
【0022】
続いて、座面24の回動を制御する回動制御方法について、固定手段50によって実行されるそれぞれの制御処理ルーチンを一例に説明する。以下の制御処理ルーチンは、いずれも固定手段50に電力が供給されている間に繰り返し実行される。
【0023】
まず、図示しない車両が移動した際に座面24を固定する移動時固定処理について、固定手段50によって実行される移動時固定処理ルーチンを一例に説明する。なお、ここで、
図3は、移動時固定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。移動時固定処理ルーチンは、ROM52に予め記憶され、固定手段50に電力が供給されると、CPU51によって繰り返し実行される。この移動時固定処理ルーチンが実行されると、
図3に示すように、CPU51は、移動検出手段32から移動検出信号を受信したか否かを判定し(ステップS110)、移動検出信号を受信したと判定した場合には、図示しない固定機構で座面24を固定する(ステップS120)。こうすることにより、図示しない車両が移動している際には、座面24を固定することができ、移動の際の振動等により座面24が意図せず回動する可能性を未然に低減することができる。なお、図示しない車両が移動していない場合には、移動の際の振動等も生じないため、本ルーチンを実行する必要が無い。
【0024】
次に、座面24の表面の図示しない対象物の有無に応じて座面24を解放する対象物の有無による固定解除処理について、固定手段50によって実行される対象物の有無による固定解除処理ルーチンを一例に説明する。なお、ここで、
図4は、対象物の有無による固定解除処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。対象物の有無による固定解除処理ルーチンは、ROM52に予め記憶され、固定手段50に電力が供給されると、CPU51によって繰り返し実行される。この対象物の有無による固定解除処理ルーチンが実行されると、
図4に示すように、CPU51は、移動検出手段32から移動検出信号を受信したか否かを判定し(ステップS210)、移動検出信号を受信したと判定した場合には、本ルーチンを終了する。このような場合は、図示しない車両が移動しているため、座面24の固定を解除しない。こうすることにより、移動の際の振動等により座面24が意図せず回動する可能性を未然に低減することができる。
【0025】
一方、ステップS210において、CPU51が移動検出手段32から移動検出信号を受信していないと判定した場合には、CPU51は、対象物検出手段34から対象物検出信号を受信したか否かを判定し(ステップS220)、対象物検出信号を受信したと判定した場合には、本ルーチンを終了する。このような場合は、図示しない車両は停止中であり、かつ、座面24の表面に図示しない対象物が存在する状態、すなわち、座面24に人が座っているか、荷物等が積載されている状態であることが想定されるため、座面24の固定を解除しない。こうすることにより、座面24に人が座っている場合や荷物等が積載されている状態で回動可能な状態となる可能性を未然に防止することができる。
【0026】
一方、ステップS220において、CPU51が対象物検出手段34から対象物検出信号を受信していないと判定した場合には、CPU51は、図示しない固定機構の座面24の固定を解除する(ステップS230)。こうすることにより、図示しない車両が移動していない状態であって、座面24の表面に図示しない対象物が存在しない状態のときに、座面24が回動可能な状態となるため、座面24を回動することで、図示しない車両のスペースを有効に利用することができる。
【0027】
次に、座面24の位置に応じて座面24を固定する座面位置による固定処理について、固定手段50によって実行される座面位置による固定処理ルーチンを一例に説明する。なお、ここで、
図5は、座面位置による固定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。座面位置による固定処理ルーチンは、ROM52に予め記憶され、固定手段50に電力が供給されると、CPU51によって繰り返し実行される。この座面位置による固定処理ルーチンが実行されると、
図5に示すように、CPU51は、座面位置検出手段36から起立状態検出信号を受信したか否かを判定し(ステップS310)、起立状態検出信号を受信していないと判定した場合には、本ルーチンを終了する。このような場合には、座面24は起立状態ではないため、本ルーチンを実行する必要が無い。
【0028】
一方、ステップS310において、CPU51が座面位置検出手段36から起立状態検出信号を受信したと判定した場合には、CPU51は、対象物検出手段34からの対象物検出信号を受信したか否かを判定し(ステップS320)、対象物検出手段34からの対象物検出信号を受信していないと判定した場合には、本ルーチンを終了する。このような場合は、座面24が起立状態ではあるが、座面24の表面に図示しない対象物が存在しないため、本ルーチンを実行する必要が無い。
【0029】
一方、ステップS320において、CPU51が対象物検出手段34から対象物検出信号を受信したと判定した場合には、図示しない固定機構で座面24を固定する(ステップS330)。こうすることにより、座面24が起立状態であって、かつ、座面24の表面に図示しない対象物が存在する場合に、座面24を固定することができる。このような場合は、座面24の表面に人が座っていたり荷物等が積載されていたりする場合であるため、座面24が意図せず回動することを未然に防止することで、座っている人に座面24の移動による不安感や不快感を与えたり、荷物等が落下したりする可能性を未然に防止することができる。
【0030】
次に、図示しないシートベルトの状態に応じて座面24を固定するシートベルト状態による固定処理について、固定手段50によって実行されるシートベルト状態による固定処理ルーチンを一例に説明する。なお、ここで、
図6は、シートベルト状態による固定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。シートベルト状態による固定処理ルーチンは、ROM52に予め記憶され、固定手段50に電力が供給されると、CPU51によって繰り返し実行される。このシートベルト状態による固定処理ルーチンが実行されると、
図6に示すように、CPU51は、シートベルト検出手段38からシートベルト着用信号を受信したか否かを判定し(ステップS410)、シートベルト着用信号を受信していないと判定した場合には、本ルーチンを終了する。このような場合には、本ルーチンを実行する必要が無い。
【0031】
一方、ステップS410において、CPU51がシートベルト検出手段38からシートベルト着用信号を受信したと判定した場合には、図示しない固定機構で座面24を固定する(ステップS420)。シートベルト検出手段38がシートベルト着用信号を発信している場合とは、図示しないシートベルトが装着された状態、すなわち、図示しない車両が移動している状態、又は、移動する準備が整った状態が想定されるため、このような場合に座面24を固定することにより、安全性を向上することができる。
【0032】
次に、設置面と座面24との間に非生物が存在する場合に座面24を固定する非生物存在時における固定処理について、固定手段50によって実行される非生物存在時における固定処理ルーチンを一例に説明する。なお、ここで、
図7は、非生物存在時における固定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。非生物存在時における固定処理ルーチンは、ROM52に予め記憶され、固定手段50に電力が供給されると、CPU51によって繰り返し実行される。この非生物存在時における固定処理ルーチンが実行されると、
図7に示すように、CPU51は、非生物検出手段40から非生物検出信号を受信したか否かを判定し(ステップS510)、非生物検出信号を受信していないと判定した場合には、本ルーチンを終了する。このような場合には、本ルーチンを実行する必要が無い。
【0033】
一方、ステップS510において、CPU51が非生物検出手段40から非生物検出信号を受信したと判定した場合には、図示しない固定機構で座面24を固定する(ステップS520)。非生物検出手段40が非生物検出信号を発信している場合とは、折畳式シート20の設置面と座面24との間に非生物が存在する状態であるため、このような場合に座面24の回転を固定することで、座面24が意図せず回動し、非生物と座面24とが接触し、図示しない非生物または座面24が破損する可能性を未然に防ぐことができる。
【0034】
以上詳述した実施の形態によれば、ステップS120において、移動検出手段32が図示しない車両の移動を検出した場合に移動検出信号が発信され、固定手段50が座面24を固定するため、乗務員が何ら意識することなく、座面24を固定することができる。こうすることにより、移動の際の振動等により意図せず座面24が回動することを未然に防止することができる。
【0035】
また、ステップS230において移動検出手段32が図示しない車両の移動を検出しない場合であって、対象物検出手段34が座面24の表面に対象物を検出しない場合、すなわち、図示しない車両が移動しておらず、座面24の表面に何も存在しない場合には、座面24の固定が解除され回動可能な状態となる。このような場合には、座面24が意図せず回動する可能性が少ないため、座面24を固定する必要がない。
【0036】
更に、ステップS330において、座面位置検出手段36が座面24が起立状態と判定した場合であって、座面24の表面に何らかの対象物が存在する場合に座面24を固定するため、座面24の使用中に座面24が意図せず回動する可能性を未然に低減することができる。
【0037】
更にまた、ステップS420において、図示しないシートベルトの着用をシートベルト検出手段38が検出した場合に座面24を固定するため、乗務員が何ら意識することなく、移動時に座面24が固定され、安全性を高めることができる。
【0038】
そして更に、ステップS520において、非生物検出手段40が非生物を検出した際に座面24を固定するため、意図せず座面24が回動して座面24と非生物とが衝突する可能性を未然に低減することができる。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0040】
例えば、上述した実施の形態では、移動時固定処理ルーチン、対象物の有無による固定解除処理ルーチン、座面位置による固定処理ルーチン、シートベルト状態による固定処理ルーチン及び非生物存在時における固定処理ルーチンは、それぞれ独立して実行されるものとしたが、2以上の各ルーチンが連続又は組み合わされて実行されてもよい。この場合も、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0041】
上述した実施の形態では、移動検出手段32、対象物検出手段34、座面位置検出手段36、シートベルト検出手段38及び非生物検出手段40をそれぞれ設けるものとしたが、それぞれの検出手段の複数を兼ねる検出手段を備えていてもよいし、いずれかの検出手段が、複数を兼ねてもよい。例えば、いずれの検出手段の一部または全部を撮影可能な撮影手段とし、撮影手段で得られた画像情報を解析することにより、図示しない車両の移動や対象物の有無、座面の位置、シートベルトの着用の有無及び非生物の有無を判定してもよい。この場合も、上述した実施の形態と同様の効果がえられる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
上述した実施の形態で示すように、座面の回転制御分野、特に車両の座面の回転を制御する制御手段として利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
20…折畳式シート、22…背もたれ部、24…座面、32…移動検出手段、34…対象物検出手段、36…座面位置検出手段、38…シートベルト検出手段、40…非生物検出手段、50…固定手段、51…CPU、52…ROM、53…RAM、54…インタフェース、55…バス。