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特許7195885排ガス処理システム及びボイラシステム並びに排ガス処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】排ガス処理システム及びボイラシステム並びに排ガス処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/50 20060101AFI20221219BHJP
   B03C 3/02 20060101ALI20221219BHJP
   B01D 53/76 20060101ALI20221219BHJP
   C01C 1/02 20060101ALI20221219BHJP
   C01C 1/12 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B01D53/50 ZAB
B03C3/02 B
B01D53/76
C01C1/02 E
C01C1/12 B
C01C1/12 A
C01C1/02 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018214889
(22)【出願日】2018-11-15
(65)【公開番号】P2020081908
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】溝江 正志
(72)【発明者】
【氏名】下田 翔
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-223388(JP,A)
【文献】特開2012-35153(JP,A)
【文献】特開2003-126648(JP,A)
【文献】特開平7-308540(JP,A)
【文献】特開2007-260619(JP,A)
【文献】国際公開第01/12299(WO,A1)
【文献】特開昭58-202019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34-53/85
B03C 3/02
C01C 1/02,1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラから排出される排ガス中の煤塵を捕集する電気集塵器と、
アンモニア成分を含有した排水からアンモニアガスを分離するアンモニアガス分離部と、
前記アンモニアガス分離部で分離されたアンモニアガスを、前記電気集塵器の入口側配管へ導く第1アンモニアガス配管と、
アンモニアガスを生成するアンモニアガス生成部と、
前記アンモニアガス生成部で生成されたアンモニアガスを前記電気集塵器の入口側配管へ導く第2アンモニアガス配管と、
前記アンモニアガス生成部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量を調整する調整手段と、
前記アンモニアガス分離部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量を検出する流量検出部と、
前記電気集塵器の出口側配管のアンモニア濃度を検出する濃度検出部と、
前記濃度検出部が検出したアンモニアガス濃度に基づいて、前記アンモニアガス生成部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量と前記アンモニアガス分離部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量との合計流量が所定の流量となるように、前記調整手段を制御する制御部と、を備えた排ガス処理システム。
【請求項2】
希釈用空気を導く希釈用空気配管と、
前記第1アンモニアガス配管の下流端を接続した前記希釈用空気配管及び前記第2アンモニアガス配管の下流端が接続され、前記アンモニアガス分離部で分離されて希釈用空気と混合したアンモニアガスと、前記アンモニアガス生成部で生成されたアンモニアガスとを混合し、混合アンモニアガスを生成する混合部と、
前記混合部で生成された混合アンモニアガスを前記電気集塵器の入口側配管へ導く混合アンモニアガス配管と、を備え、
前記希釈用空気配管の下流端は、前記第2アンモニアガス配管の下流端よりも、前記混合部内におけるガス流れの上流側に配置されている請求項1に記載の排ガス処理システム。
【請求項3】
前記希釈用空気配管には、内部を流通する希釈用空気を加熱する加熱部が設けられている請求項2に記載の排ガス処理システム。
【請求項4】
前記第1アンモニアガス配管には、内部を流通するアンモニアガスを加熱する加熱部が設けられている請求項1から請求項3のいずれかに記載の排ガス処理システム。
【請求項5】
前記電気集塵器で捕集された硫安の溶解液からアンモニアガスを回収するアンモニアガス回収部と、
前記アンモニアガス回収部で回収されたアンモニアガスを、前記電気集塵器の入口側配管へ導く第3アンモニアガス配管と、を備えた請求項2または請求項3に記載の排ガス処理システム。
【請求項6】
前記アンモニアガス回収部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量を検出する流量検出部を備え、
前記混合部には、前記第1アンモニアガス配管の下流端を接続した前記希釈用空気配管の下流端と、前記第2アンモニアガス配管の下流端と、前記第3アンモニアガス配管の下流端と、が接続され、
前記第3アンモニアガス配管の下流端は、前記混合部内のガス流れにおける前記希釈用空気配管の下流端と、前記第2アンモニアガス配管の下流端との間に配置され、
前記アンモニアガス生成部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量と、前記アンモニアガス分離部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量と、前記アンモニアガス回収部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量と、の合計流量が前記所定の流量となるように、前記調整手段を制御する制御部と、を備える請求項5に記載の排ガス処理システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の排ガス処理システムと、
燃料を燃焼させることで排ガスを排出する前記ボイラと、を備え、
前記ボイラから排出された排ガスを前記排ガス処理システムで処理するボイラシステム。
【請求項8】
電気集塵器でボイラから排出される排ガス中の煤塵を捕集する捕集工程と、
アンモニアガス分離部でアンモニア成分を含有した排水からアンモニアガスを分離する分離工程と、
前記分離工程で分離されたアンモニアガスを、前記電気集塵器の入口側配管へ導く分離アンモニアガス導入工程と、
アンモニアガス生成部でアンモニアガスを生成するアンモニアガス生成工程と、
前記アンモニアガス生成部で生成されたアンモニアガスを前記電気集塵器の入口側配管へ導く生成アンモニアガス導入工程と、
前記アンモニアガス生成部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量を調整手段で調整する調整工程と、
前記アンモニアガス分離部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量を検出する流量検出工程と、
濃度検出部で前記電気集塵器の出口側配管のアンモニア濃度を検出する濃度検出工程と、
前記濃度検出部が検出したアンモニアガス濃度に基づいて、前記アンモニアガス生成部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量と前記アンモニアガス分離部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量との合計流量が所定の流量となるように、前記調整手段を制御する制御工程と、を備えた排ガス処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス処理システム及びボイラシステム並びに排ガス処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
重油焚きボイラなど硫黄含有分が多い燃料を燃焼させるボイラから排出される排ガス中の煤塵等を捕集、除去する装置として電気集塵器が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の装置では、電気集塵器の入口側煙道においては、脱硫装置と下流側装置、煙道や配管の腐食防止のために処理前の排ガスにアンモニアガス(NH)を注入し、ボイラ排ガス中の硫酸ガス(SOガスなど)と反応させて硫安(硫酸アンモニウム)として除去することが行なわれている。また、電気集塵器においては、ボイラからの煤塵と前記反応で生成した硫安とが集され、清浄となった処理ガスが電気集塵器の出口側煙道から煙突を通って大気に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公平1-14816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気集塵器及び/又は電気集塵器の下流側に設けられる装置を洗浄した際には、アンモニア成分を含有した排水が発生する。発生したアンモニア含有排水を海洋や河川などへ排出する場合、環境への影響を考慮して、排水として排出できるアンモニア濃度の上限値(規制値)がある。そのため、アンモニア含有排水中のアンモニア濃度が上限値を超えないよう、アンモニアストリッピング装置でアンモニア含有排水からガス化させたアンモニア(以下、「排水アンモニアガス」という。)を分離させる必要がある。
【0005】
アンモニアストリッピング装置で排水アンモニアガスを分離した場合、分離した排水アンモニアガスを処理する必要がある。分離したガスを大気中へ排出する場合にも、排水と同様に、排出できるアンモニア濃度の上限値(規制値)がある。このため、排水アンモニアガスを触媒分解装置で酸化分解し、窒素ガスとして大気に排出する必要がある。
【0006】
しかしながら、排水アンモニアガスを処理する専用の装置である触媒分離装置を設けた場合には、配管系統を含めた配置場所を考慮する必要があり、アンモニア含有排水の処理設備全体の構成が煩雑となるとともに、触媒分離装置は高価であるため、アンモニア含有排水処理システムの導入コストが高価になるという課題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、システム全体の構成を簡素化することができる排ガス処理システム及びボイラシステム並びに排ガス処理方法を提供することを目的とする。
また、アンモニア含有排水処理システムの導入コストを低減することができる排ガス処理システム及びボイラシステム並びに排ガス処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の排ガス処理システム及びボイラシステム並びに排ガス処理方法は以下の手段を採用する。
本発明の一態様に係る排ガス処理システムは、ボイラから排出される排ガス中の煤塵を捕集する電気集塵器と、アンモニア成分を含有した排水からアンモニアガスを分離するアンモニアガス分離部と、前記アンモニアガス分離部で分離されたアンモニアガスを、前記電気集塵器の入口側配管へ導く第1アンモニアガス配管と、を備える。
【0009】
上記構成では、アンモニアガス分離部で分離されたアンモニアガスを、電気集塵器の入口側配管へ導いている。このように、電気集塵器の入口側配管にアンモニアガスを供給することで、ボイラ排ガス中の二酸化硫黄や三酸化硫黄が、アンモニアと反応し、硫安(硫酸アンモニウム)となり、電気集塵器により捕集される。このため、ボイラ排ガス中から二酸化硫黄や三酸化硫黄を除去することができる。したがって、電気集塵器より下流側に配置される脱硫装置や下流側装置、煙道や配管において硫酸による腐食を防止することができる。
また、アンモニアガス分離部で分離されたアンモニアガスを電気集塵器の入口側配管へ導いている。これにより、アンモニアガス分離部で分離されたアンモニアガスを処理する専用の装置を設ける必要がない。したがって、アンモニアガス分離部で分離されたアンモニアガスを処理する専用の装置(例えば、触媒分解装置等)を設けるアンモニア含有排水処理設備の構成と比較して、システム全体の構成を簡素化することができる。よって、アンモニア含有排水処理システムの導入コストを低減することができる。
なお、アンモニア成分を含有した排水とは、例えば、電気集塵器及び/又は電気集塵器の排ガス流れにおける下流側に設けられる装置から排出される排水が挙げられる。
【0010】
また、本発明の一態様に係る排ガス処理システムは、アンモニアガスを生成するアンモニアガス生成部と、前記アンモニアガス生成部で生成されたアンモニアガスを前記電気集塵器の入口側配管へ導く第2アンモニアガス配管と、前記アンモニアガス生成部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量を調整する調整手段と、前記アンモニアガス分離部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量を検出する流量検出部と、電気集塵器の出口側配管のアンモニア濃度を検出する濃度検出部と、前記濃度検出部が検出したアンモニア濃度に基づいて、前記アンモニアガス生成部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量と前記アンモニアガス分離部とから前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量との合計流量が所定の流量となるように、前記調整手段を制御する制御部と、を備えてもよい。
【0011】
上記構成では、濃度検出部が検出した電気集塵器の出口側配管の排ガス中のアンモニア濃度に基づいて電気集塵器の入口側配管への適切なアンモニアガスの所定の流量を設定し、アンモニアガス生成部から電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量とアンモニアガス分離部とから電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量との合計流量が所定の流量となるように、アンモニアガス生成部から電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量が調整されている。これにより、アンモニアガス分離部から電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量が変動した場合であっても、所定の流量のアンモニアガスを電気集塵器の入口側配管へ供給することができる。すなわち、電気集塵器の入口側配管へ適切な流量のアンモニアガスを供給することができる。したがって、電気集塵器から排出される排ガス中のアンモニア濃度を適切な濃度とすることができる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る排ガス処理システムは、アンモニアガスを生成するアンモニアガス生成部と、前記アンモニアガス生成部で生成されたアンモニアガスを前記電気集塵器の入口側配管へ導く第2アンモニアガス配管と、釈用空気を導く釈用空気配管と、前記第1アンモニアガス配管の下流端を接続した前記希釈用空気配管及び前記第2アンモニアガス配管の下流端が接続され、前記アンモニアガス分離部で分離されて釈用空気と混合したアンモニアガスと、前記アンモニアガス生成部で生成されたアンモニアガスとを混合し、混合アンモニアガスを生成する混合部と、前記混合部で生成された混合アンモニアガスを前記電気集塵器の入口側配管へ導く混合アンモニアガス配管と、を備え、前記希釈用空気配管の下流端は、前記第2アンモニアガス配管の下流端よりも、前記混合部内におけるガス流れの上流側に配置されていてもよい。
【0013】
アンモニアガス分離部から電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量は、電気集塵器などを洗浄した際に排出されるアンモニア含有排水のアンモニア濃度及びアンモニアガス分離部の起動・停止により変動しやすい。上記構成では、混合部で、第1アンモニアガス配管の下流端を接続した希釈用空気配管の下流端が、第2アンモニアガス配管の下流端よりも上流側に配置されている。すなわち、混合部では、アンモニアガス分離部からのアンモニアガスよりも後流側に、アンモニアガス生成部からのアンモニアガスが混合される。このように、アンモニア濃度が変動し易いアンモニアガス分離部からアンモニアガスよりも後流側に、アンモニアガス生成部からのアンモニアガスを混合することで、各アンモニアガスと希釈用空気が均一に混合される。したがって、電気集塵器の入口側配管へ供給する混合アンモニアガスの濃度分布を均一化することができる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る排ガス処理システムは、前記希釈用空気配管には、内部を流通する希釈用空気を加熱する加熱部が設けられていてもよい。
【0015】
電気集塵器の入口側配管へ供給されるアンモニア混合ガスが低温である場合には、電気集塵器の入口側配管との温度差により酸性硫安が発生して、硫酸腐食が発生する場合がある。上記構成では、希釈用空気配管に加熱部を設け、電気集塵器の入口側配管へ導く混合アンモニアガスを昇温できるようにしている。したがって、電気集塵器の入口側配管へ供給される混合アンモニアガスの温度を酸性硫安が発生しないよう高くすることができるので、電気集塵器の入口側配管及び下流側機器における硫酸腐食の発生を好適に抑制することができる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る排ガス処理システムは、前記第1アンモニアガス配管及び前記希釈用空気配管には、内部を流通するガスを加熱する加熱部が設けられていてもよい。
【0017】
電気集塵器の入口側配管へ供給されるアンモニア混合ガスが低温である場合には、電気集塵器の入口側配管との温度差により酸性硫安が発生して、硫酸腐食が発生する場合がある。上記構成では、第1アンモニアガス配管に加熱部を設け、電気集塵器の入口側配管へ導く混合アンモニアガスを昇温できるようにしている。したがって、電気集塵器の入口側配管へ供給される混合アンモニアガスの温度を酸性硫安が発生しないよう高くすることができるので、電気集塵器の入口側配管及び下流側機器における硫酸腐食の発生を好適に抑制することができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係る排ガス処理システムは、前記電気集塵器で捕集された硫安の溶解液からアンモニアガスを回収するアンモニアガス回収部と、前記アンモニアガス回収部で回収されたアンモニアガスを、前記電気集塵器の入口側配管へ導く第3アンモニアガス配管と、を備えてもよい。
【0019】
上記構成では、電気集塵器で捕集された硫安の溶解液から、アンモニアガスを回収している。したがって、電気集塵器で捕集された硫安からアンモニアガスを生成することができる。
また、アンモニアガス回収部で回収されたアンモニアガスを電気集塵器の入口側配管へ導いている。これにより、アンモニアガス回収部で分離されたアンモニアガスを処理する専用の装置を設ける必要がない。したがって、アンモニアガス回収部で分離されたアンモニアガスを処理する専用の装置(例えば、触媒分解装置等)を設ける構成と比較して、アンモニア含有排水処理設備の構成を簡素化することができる。よって、排ガス処理システムの導入コストを低減することができる。
【0020】
また、本発明の一態様に係る排ガス処理システムは、前記混合部で、前記第1アンモニアガス配管の下流端を接続した前記希釈用空気配管と、前記第2アンモニアガス配管の下流端と、前記第3アンモニアガス配管の下流端と、が接続され、前記第3アンモニアガス配管の下流端は、前記混合部内におけるガス流れに対して、前記希釈用空気配管の下流端と、前記第2アンモニアガス配管の下流端との間に配置され、前記アンモニアガス回収部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量を検出する流量検出部を備え、前記アンモニアガス生成部から前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量と、前記アンモニアガス分離部とから前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量と、さらに前記アンモニアガス回収部とから前記電気集塵器の入口側配管へ導かれるアンモニアガスの流量との合計流量が前記所定の流量となるように、前記調整手段を制御する制御部と、を備えてもよい。
【0021】
アンモニアガス回収部で回収されたアンモニアガスを電気集塵器の入口側配管へ導いて、アンモニアガス回収部で分離されたアンモニアガスを処理する専用の装置を設ける必要がなく、アンモニアガスを有効に利用することができる。
この際に、流量が変動しやすいアンモニアガス分離部から導かれるアンモニアガスの後流側に、アンモニアガス回収部で回収されたアンモニアガスを混合し、さらにこの下流側でアンモニアガス生成部から導かれるアンモニアガスを混合する。
このため、各アンモニアガスと希釈用空気が均一に混合され、電気集塵器の入口側配管へ供給する混合アンモニアガスの濃度分布を均一化して、所定の流量のアンモニアガスを電気集塵器の入口側配管へ供給することができる。
すなわち、電気集塵器の入口側配管へ適切な流量のアンモニアガスを供給し、電気集塵器から排出される排ガス中のアンモニア濃度を適切な濃度とすることができる。
【0022】
本発明の一態様に係るボイラシステムは、上記いずれかに記載の排ガス処理システムと、燃料を燃焼させることで排ガスを排出する前記ボイラと、を備え、前記ボイラから排出された排ガスを前記排ガス処理システムで処理する。
【0023】
本発明の一態様に係る排ガス処理方法は、電気集塵器でボイラから排出される排ガス中の煤塵を捕集する捕集工程と、アンモニア成分を含有した排水からアンモニアガスを分離する分離工程と、前記分離工程で分離されたアンモニアガスを、前記電気集塵器の入口側配管へ導く導入工程と、を備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、システム全体の構成を簡素化することができる。また、設備の導入及び運転コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係るボイラシステムの概略構成図である。
図2図1の混合器を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る制御装置が行う処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る排ガス処理システム及びボイラシステム並びに排ガス処理方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
ボイラシステム1は、図1に示すように、蒸気を生成するボイラ2と、排ガス処理システム3を備えている。排ガス処理システム3は、ボイラ2から排出された排ガスで燃焼用空気を加熱する空気予熱器4と、空気予熱器4から排出された排ガス中の灰等の煤塵及び排ガスにアンモニアガス(NH)を注入し、排ガス中の硫酸ガス(SOガスなど)と脱硫反応させた硫安(硫酸アンモニウム)を捕集する電気集塵器5と、電気集塵器5から排出された排ガスを脱硫する脱硫装置6と、脱硫装置6から排出された排ガスを大気に放出する煙突7とを備えている。
【0027】
ボイラ2は、硫黄含有量が多い高S分(例えば、硫黄の含有率が3重量パーセント以上)の燃料(例えば、重油等)を燃焼させるボイラ2である。ボイラ2内に供給された燃焼用空気を用いて、火炉(図示省略)内で燃料を燃焼する。また、ボイラ2は、燃料を燃焼した際に生じる燃焼ガスの熱を利用して、給水設備(図示省略)からの給水を加熱することで蒸気を生成する。生成された蒸気は、所定の搬送先(図示省略)へ搬送される。搬送先とは、例えば、蒸気タービン(図示せず)が挙げられる。ボイラ2で生成した蒸気を供給することで蒸気タービンを回転駆動し、蒸気タービンに連結した発電機(図示せず)を回転駆動して発電を行うことができる。また、蒸気の生成に供した燃焼ガスは温度が低下して排ガスとなり、ボイラ2から排出される。ボイラ2から排出された排ガスは、第1排ガス配管21を介して空気予熱器4へ供給される。
【0028】
空気予熱器4は、供給された排ガスとボイラ2に供給される燃焼用空気とを熱交換させる。熱交換により、排ガスは冷却され、燃焼用空気は加熱される。熱交換を終えた排ガスは、空気予熱器4から排出される。空気予熱器4から排出された排ガスは、第2排ガス配管(電気集塵器5の入口側配管)22を介して電気集塵器5へ導入される。第2排ガス配管22の途中位置には、後述する混合器11から導かれた混合アンモニアガス配管46が接続されている。また、第2排ガス配管22には、配管温度を計測する温度計25が設けられている。温度計25は、第2排ガス配管22と混合アンモニアガス配管46との接続部分よりも下流側に設けられている。温度計25は計測した温度を、後述する制御装置12へ送信する。
【0029】
電気集塵器5は、導入された排ガス中の灰等の煤塵や硫安を電気的な機構を利用して捕集する(捕集工程)。煤塵や硫安を捕集された排ガスは、電気集塵器5から排出される。電気集塵器5から排出された排ガスは、第3排ガス配管(電気集塵器5の出口側配管)23を介して脱硫装置6へ導入される。第3排ガス配管23の途中位置には、第3排ガス配管23の内部を流通する排ガスのアンモニア濃度を計測するアンモニア濃度計(濃度検出部)26が設けられている。アンモニア濃度計26は計測したアンモニアガス濃度の計測結果を、制御装置12へ送信する。
【0030】
脱硫装置6は、排ガスから硫黄酸化物を除去することで排ガスを脱硫している。脱硫を終えた排ガスは、脱硫装置6から排出される。脱硫装置6から排出された排ガスは、第4排ガス配管24を介して煙突7へ導入される。煙突7に導入された排ガスは、大気へ放出される。
【0031】
また、排ガス処理システム3は、電気集塵器5及び/又は電気集塵器5の排ガス流れにおける下流側に設けられる装置を洗浄した際に発生する排水を貯留する排水槽8と、排水槽8に貯留する排水からアンモニアガスを分離するアンモニアストリッピング装置(アンモニアガス分離部)9と、電気集塵器5で捕集された硫安の溶解液からアンモニアガスを回収するAWMT(Ash and Water Mixture Treatment)装置(アンモニアガス回収部)10と、アンモニアガスを発生させる図示しないアンモニアガス発生設備50(アンモニアガス生成部)と、各種装置及び設備からのアンモニアガスを混合する混合器(混合部)11と、を備えている。
【0032】
排水槽8は、電気集塵器5と第1排水配管27を介して接続されている。第1排水配管27には、開閉弁29が設けられている。開閉弁29は、ボイラシステム1の通常運転(ボイラシステム1が蒸気を生成する運転)を停止させ、電気集塵器5の洗浄する際もしくは電気集塵器5の洗浄後に電気集塵器5に貯留している洗浄水を排出する際に開状態とされる。ボイラシステム1の通常運転時には、閉状態とされている。電気集塵器5から排出される排水には、アンモニアが含まれている。なお、排水槽8には、電気集塵器5以外の装置からのアンモニア含有排水も導入されてもよい。例えば、脱硫装置6からの排水が導入されてもよい。排水槽8に貯留された排水は、所定のタイミングで排水槽8から排出される。
【0033】
アンモニアストリッピング装置9は、排水槽8と第2排水配管28を介して接続されている。排水槽8から排出された排水が、第2排水配管28を介して導入される。アンモニアストリッピング装置9は、アンモニアを含む排水中に蒸気や空気を吹き込んで排水中のアンモニアイオン(NH )と水酸化物イオン(OH)を反応させて、以下の式(1)の反応によって、排水をアンモニアガスと水とに分離する(分離工程)。
NH +OH→NHOH→NH+HO・・・(1)
【0034】
なお、電気集塵器5の洗浄は、ボイラシステム1の通常運転を停止させている際に行われるが、ボイラシステム1のアンモニアストリッピング装置9での排水の処理は、ボイラシステム1の通常運転時に行われる。アンモニアストリッピング装置9によって分離されたアンモニアガスは、第1アンモニアガス配管31及び希釈用空気配管35を介して混合器11へ導入される。第1アンモニアガス配管31には、内部を流れるアンモニアガス(以下、第1アンモニアガス配管31を流通するアンモニアガスを「第1アンモニアガス」ともいう。)の流量を計測する第1流量計(流量検出部)32が設けられている。第1流量計32は、計測した流量を制御装置12へ送信する。また、第1アンモニアガス配管31には、内部を流れるアンモニアガスを加熱する第1加熱器(加熱部)33が設けられている。また、希釈用空気配管35には、内部を流れるガスを加熱する第2加熱器34が設けられている。第1加熱器33及び第2加熱器34は、例えば、ヒータでもよく、また、他の媒体と熱交換する熱交換器であってもよい。第1加熱器33及び第2加熱器34は、制御装置12によって内部を流れるガス温度の昇温量を調整可能とされている。
【0035】
第1アンモニアガス配管31の下流端は、第1アンモニアガスを希釈する希釈用空気が流通する希釈用空気配管35と接続している。希釈用空気配管35は、例えば、ボイラ2から排出される蒸気によって燃焼用空気を加熱する蒸気予熱器(図示省略)から排出された空気配管(図示省略)から抽気した空気が流通している。第1加熱器33は、第1アンモニアガス配管31と希釈用空気配管35との接続部分よりもアンモニアガス流れの上流側に設けられている。また、第2加熱器34は、第1アンモニアガス配管31と希釈用空気配管35との接続部分よりもアンモニアガス流れの下流側に設けられている。すなわち、第2加熱器34は、希釈用空気によって希釈されたアンモニアガスを加熱する。
【0036】
アンモニアガス発生設備50は、アンモニアガスを生成する。アンモニアガス発生設備50で生成されたアンモニアガスは、第2アンモニアガス配管37を介して混合器11へ導入される。第2アンモニアガス配管37には、内部を流れるアンモニアガス(以下、第2アンモニアガス配管37を流通するアンモニアガスを「第2アンモニアガス」ともいう。)の流量を計測する第2流量計(流量検出部)38が設けられている。第2流量計38は、計測した流量を制御装置12へ送信する。また、第2アンモニアガス配管37には、流量調整弁(調整手段)39が設けられている。流量調整弁39は、開度を調整することで、内部を流通するアンモニアガスの流量を調整する。流量調整弁39の開度は、制御装置12によって制御されている。
【0037】
AWMT装置10は、電気集塵器5と灰配管41を介して接続されている。AWMT装置10には、所定のタイミングで電気集塵器5から排出された灰が導入される。AWMT装置10は、電気集塵器5で捕集された灰の多くを占める硫安(硫酸アンモニウム)を溶解させて硫安の溶解液とし、溶解させた液からアンモニアガスを回収する。AWMT装置10によって回収されたアンモニアガスは、第3アンモニアガス配管42を介して混合器11へ導入される。第3アンモニアガス配管42には、内部を流れるアンモニアガスの流量(以下、第3アンモニアガス配管42を流通するアンモニアガスを「第3アンモニアガス」ともいう。)を計測する第3流量計(流量検出部)43が設けられている。第3流量計43は、計測した流量を制御装置12へ送信する。また、第3アンモニアガス配管42には、内部を流れるアンモニアガスを加熱する第3加熱器44が設けられている。第3加熱器44は、例えば、ヒータでもよく、また、他の媒体と熱交換する熱交換器であってもよい。第3加熱器44は、制御装置12によって内部を流れるガス温度の昇温量を調整可能とされている。
【0038】
混合器11は、第1アンモニアガス配管31の下流端が接続する希釈用空気配管35、第2アンモニアガス配管37及び第3アンモニアガス配管42から導入されたアンモニアガスを混合する。混合したアンモニアガスは、混合アンモニアガス配管46を介して、電気集塵器5の上流側の配管である第2排ガス配管22の途中位置に供給する。すなわち、混合アンモニアガスを、混合アンモニアガス配管46を介して、第2排ガス配管22へ導く(導入工程)。
【0039】
混合器11は、図2に示すように、外殻を為すハウジング11aを有している。また、混合器11は、所定方向に延びる第1部分11bと、第1部分11bの上流端から曲折して延びる第2部分11cとを一体的に有している。混合器11のハウジング11aの上流端(図2の左端)には、第1アンモニアガス配管31の下流端が接続した希釈用空気配管35の下流端35aが接続している。また、混合器11の第1部分11bの内部には、ハウジング11aを貫通した第3アンモニアガス配管42の下流端42aが配置されている。また、混合器11の第2部分11cの内部には、ハウジング11aを貫通した第2アンモニアガス配管37の下流端37aが配置されている。すなわち、第1アンモニアガス配管31の下流端が接続した希釈用空気配管35の下流端35aは、第2アンモニアガス配管37の下流端37a及び第3アンモニアガス配管42の下流端42aよりも、混合器11の内部のアンモニアガス流れにおける上流側に配置されている。また、第3アンモニアガス配管42の下流端42aは、第2アンモニアガス配管37の下流端37aよりも上流側に配置され、第1アンモニアガス配管31の下流端が接続した希釈用空気配管35の下流端35aの下流側に配置されている。混合器11のハウジング11aの下流端には、混合アンモニアガス配管46の上流端が接続されている。
【0040】
排ガス処理システム3には、制御装置(制御部)12が備えられている。
制御装置12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0041】
制御装置12は、流量調整弁39の開度を調整し、電気集塵器5へ混合アンモニアガスを供給する処理を行う。制御装置12が行う処理について、図3のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0042】
制御装置12は、処理を開始すると、まず、ボイラ2の負荷に基づいて、混合器11から電気集塵器5へと供給するアンモニアガス量の所定の流量を設定する(S1)。ボイラ2の負荷は、例えば、ボイラ2に供給される燃料の供給流量によって判断してもよい。例えば、ボイラ2の負荷に基づいた所定量の燃料の燃焼により生じる排ガス流量と排ガス中に含まれ硫酸ガス(SOガスなど)との反応に注入が必要なアンモニアガス流量を算定して所定の流量とすることができる。次に、S2に進み、第3排ガス配管23に設けられたアンモニア濃度計26が計測したアンモニア濃度を取得する。アンモニア濃度を取得すると、制御装置12は、取得したアンモニア濃度に応じて設定した供給アンモニア量を補正する(S3)。具体的には、アンモニア濃度計26が計測するアンモニア濃度が高い場合には、設定したアンモニア流量からアンモニア濃度に応じて供給アンモニア量へ補正の値を減算する。また、アンモニア濃度が低い場合には、設定したアンモニア流量からアンモニア濃度に応じて供給アンモニア量へ補正の値を加算する。
【0043】
供給アンモニア量を補正すると、制御装置12はS4に進み、第1アンモニアガス配管31に設けられた第1流量計32が計測した第1アンモニアガスの流量を取得するとともに、第3アンモニアガス配管42に設けられた第3流量計43が計測した第3アンモニアガスの流量を取得する。次に、制御装置12は、第2アンモニアガス流量を決定する(S5)。具体的には、S3で補正した供給アンモニア量からS4で取得した第1アンモニアガスの流量及び第3アンモニアガスの流量を減算することで、決定する。次に、制御装置12は、S5で決定した第2アンモニアガス流量に応じた開度となるように、流量調整弁39の開度を調整する(S6)。
【0044】
次に、制御装置12は、混合器11から混合アンモニアガス配管46へ混合アンモニアガスの供給を行う(S7)。混合アンモニアガスの供給を行うと、制御装置12は、第2排ガス配管22に設けられた温度計25が計測する第2ガス配管の温度を取得する(S8)。次に、制御装置12は、第2排ガス配管22の温度が所定の温度(本実施形態では、例えば、酸性硫安を生じないとする一例として、150から165℃)以上となるように、第1加熱器33、第2加熱器34及び第3加熱器44の内部を流れるガス温度の昇温量を調整する(S9)。本実施形態では、一例として、第1アシストガスの温度が170℃となるように第1加熱器33及び第2加熱器34を調整し、第3アシストガスの温度が140℃となるように第3加熱器44を調整している。第2ガス配管の温度が所定の温度以上となると、制御装置12はS10に進み、混合アンモニアガスを電気集塵器5入口(第2排ガス配管22)へ導入する。混合アンモニアガスを電気集塵器5入口へ導入すると、制御装置12は、処理を終了する。
【0045】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0046】
本実施形態では、アンモニアストリッピング装置9で分離された第1アンモニアガス、アンモニアガス発生設備50で生成した第2アンモニアガス及びAWMT装置10で回収された第3アンモニアガスを電気集塵器5の入口側配管(第2排ガス配管22)へ導いている。このように、電気集塵器5の入口側配管(第2排ガス配管22)にアンモニアガスを供給することで、排ガス中の硫酸ガス(二酸化硫黄や三酸化硫黄)が、アンモニアと反応し、硫安(硫酸アンモニウム)となる。このため、排ガス中から硫黄含有成分(二酸化硫黄や三酸化硫黄)を除去することができる。したがって、電気集塵器5及び/又は電気集塵器5の排ガス流れにおける下流側に設けられる脱硫装置6などの機器、煙道や配管などにおいて硫酸腐食を抑制することができる。
【0047】
また、アンモニアストリッピング装置9で分離されたアンモニアガスを電気集塵器5の入口側配管(第2排ガス配管22)へ導いている。これにより、アンモニアストリッピング装置9で分離されたアンモニアガスを処理する専用の装置を設ける必要がない。また、AWMT装置10で回収されたアンモニアガスも電気集塵器5の入口側配管(第2排ガス配管22)へ導いている。これにより、アンモニアストリッピング装置9で分離されたアンモニアガスを処理する専用の装置や、AWMT装置10で回収されたアンモニアガスを処理する専用の装置を設ける必要がない。したがって、アンモニアストリッピング装置9で分離されたアンモニアガスを処理する専用の装置やAWMT装置10で回収されたアンモニアガスを処理する専用の装置を設ける構成と比較して、排ガス処理システム3全体の構成を簡素化することができる。よって、排ガス処理システム3の導入コストを低減することができる。アンモニアガスを処理する専用の装置としては、例えば、触媒分離装置が挙げられる。触媒分離装置は高価であるので、触媒分離装置を設ける構成と比較した場合、大幅に導入コストを低減することができる。
【0048】
また、本実施形態では、アンモニアストリッピング装置9で分離されたアンモニアガス及びAWMT装置10で回収されたアンモニアガスを電気集塵器5の入口側配管(第2排ガス配管22)へ導入している。これにより、アンモニアガス発生設備50で生成したアンモニアガスのみで電気集塵器5及び/又は電気集塵器5の排ガス流れにおける下流側に設けられる脱硫装置6などの機器、煙道や配管などにおける硫酸腐食を抑制する構成と比較して、アンモニアガス発生設備50で生成するアンモニアガス量を低減することができる。したがって、排ガス処理システム3全体の構造を簡素化することができる。
【0049】
また、本実施形態では、AWMT装置10を設け、電気集塵器5で捕集された灰に含まれる硫安(硫酸アンモニウム)からアンモニアガスを回収している。したがって、電気集塵器5で捕集された灰から硫安とアンモニア成分を低減させることができる。
【0050】
アンモニアストリッピング装置9から分離されるアンモニアガスの流量(第1アンモニアガスの流量)や濃度は、電気集塵器5などを洗浄した際に排出されるアンモニア含有排水の濃度及びアンモニアストリッピング装置9の起動・停止により、変動し易い。本実施形態では、第1流量計32及び第3流量計43が計測した第1アンモニアガス及び第3アンモニアガスの流量に基づいて、電気集塵器5の入口側配管(第2排ガス配管22)への適切なアンモニアガス流量の所定の流量を設定し、混合器11から電気集塵器5の入口側配管(第2排ガス配管22)へ導かれる混合アンモニアガスの流量が所定の流量となるように、第2アンモニアガスの流量を調整している。これにより、第1アンモニアガスの流量が変動した場合であっても、所定の流量の混合アンモニアガスを電気集塵器5の入口側配管(第2排ガス配管22)へ導入することができる。すなわち、電気集塵器5の入口側配管(第2排ガス配管22)へ適切な流量のアンモニアガスを供給することができる。したがって、電気集塵器5から排出される排ガス中のアンモニア濃度を適切な濃度とすることができる。
【0051】
また、本実施形態では、第1アンモニアガス配管31の下流端が接続した希釈用空気配管35の下流端35aは、第2アンモニアガス配管37の下流端37a及び第3アンモニアガス配管42の下流端42aよりも、混合器11の内部のアンモニアガス流れにおける上流側に配置されている。また、第3アンモニアガス配管42の下流端42aは、第2アンモニアガス配管37の下流端37aよりも上流側に配置されている。すなわち、混合器11では、釈用空気に混合された第1アンモニアガスに対して、第3アンモニアガス、第2アンモニアガスの順番で混合されていく。このように、アンモニアの流量や濃度が変動し易い第1アンモニアガスに対して、まず流量や濃度の変動量が少ない第3アンモニアガスを混合し、最後に濃度が管理されて流量の調整が可能な第2アンモニアガス生成部からのアンモニアガスを混合することで、混合器11において各アンモニアガスが均一に混合される。したがって、電気集塵器5の入口側配管(第2排ガス配管22)へ供給する混合アンモニアガスの濃度分布を均一化することができる。
【0052】
電気集塵器5の入口側配管(第2排ガス配管22)へ供給されるアンモニアガスが所定の値(例えば、酸性硫安を生じないとするガス温度)よりも低温である場合には、電気集塵器5の入口側配管(第2排ガス配管22)との温度差により酸性硫安が発生して、硫酸腐食が発生する場合がある。本実施形態では、第1アンモニアガス配管31に第1加熱部及び第2加熱部を設けるとともに、第3アンモニアガス配管42に第3加熱部を設け、第2排ガス配管22の温度が所定の温度以上となるように、第1アンモニアガス及び第3アンモニアガスを加熱して混合アンモニアガス温度の昇温量を調整している。したがって、電気集塵器5の入口側配管(第2排ガス配管22)へ供給される混合アンモニアガスの温度を確実に所定の温度以上とすることができるので、電気集塵器5の入口側配管(第2排ガス配管22)における硫酸腐食の発生を好適に抑制することができる。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、AWMT装置10を設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。AWMT装置10を設けない排ガス処理システム3に適用してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 :ボイラシステム
2 :ボイラ
3 :排ガス処理システム
4 :空気予熱器
5 :電気集塵器
6 :脱硫装置
7 :煙突
8 :排水槽
9 :アンモニアストリッピング装置(アンモニアガス分離部)
10 :AWMT装置(アンモニアガス回収部)
11 :混合器(混合部)
11a :ハウジング
11b :第1部分
11c :第2部分
12 :制御装置
21 :第1排ガス配管
22 :第2排ガス配管(電気集塵器の入口側配管)
23 :第3排ガス配管(電気集塵器の出口側配管)
24 :第4排ガス配管
25 :温度計
26 :アンモニア濃度計(濃度検出部)
27 :第1排水配管
28 :第2排水配管
29 :開閉弁
31 :第1アンモニアガス配管
32 :第1流量計(流量検出部)
33 :第1加熱器
34 :第2加熱器
35 :希釈用空気配管
37 :第2アンモニアガス配管
37a :下流端
38 :第2流量計(流量検出部)
39 :流量調整弁(調整手段)
41 :灰配管
42 :第3アンモニアガス配管
42a :下流端
43 :第3流量計(流量検出部)
44 :第3加熱器
46 :混合アンモニアガス配管
図1
図2
図3