(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】電池パック、充電装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20221219BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20221219BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221219BHJP
H01H 47/00 20060101ALN20221219BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H01M10/42 P
H02J7/00 S
H01H47/00 E
(21)【出願番号】P 2018216897
(22)【出願日】2018-11-19
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】永野 秀章
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-037858(JP,A)
【文献】特開2003-142162(JP,A)
【文献】特開2008-005593(JP,A)
【文献】特開平09-266640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42 - 10/48
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01H 47/00 - 47/36
H01H 37/00 - 37/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルと、
前記電池セルを保護するための保護回路と、
前記電池セルに直列に接続された温度保護素子と、
前記温度保護素子へ流れる電流値を検出する電流検出手段と、
通電されることで前記温度保護素子を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段への通電が開始されてから所定時間以内に前記電流検出手段へ流れる電流値が所定値以下となるか否かを判定し、前記所定時間以内に前記電流値が前記所定値以下とならない場合には、温度保護素子の故障を示す情報が記憶されるように記憶手段を制御すると共に、充電禁止となるように前記保護回路を制御する制御手段と
を有することを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記制御
手段は、前記所定時間以内に前記電流値が前記所定値以下とならない場合には、放電禁止となるように前記保護回路を制御することを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記温度保護素子は、ブレーカーであることを特徴とする請求項1または2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記電池パックが充電装置に装着されたことを検出した場合、前記制御手段は、前記加熱手段への通電を行うように制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記電池パックが充電装置に装着されたことを検出した場合であって前記電池パックの状態が所定条件を満たす場合、前記制御手段は、前記加熱手段への通電を行うように制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電池パックの充電が可能な充電装置であって、
前記電池パックの加熱手段への通電を行う通電手段と、
前記電池パックからの指示に基づき、前記通電手段を制御し、前記電池パックの加熱手段への通電を行う制御手段と
を有することを特徴とする充電装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電池パックが接続される電子機器であって、
表示手段と、
前記電池パックからの指示に基づき、温度保護素子の故障を示す情報を前記表示手段に表示するための制御を行う制御手段と
を有することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電可能な電池パックなどに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な電池パックは、電池セルを過充電や過放電から保護するための保護回路を有する。このような保護回路は、その構成要素の1つとして、所定温度以上で回路を遮断することが可能なブレーカーを有する。特許文献1には、固定接点を有する固定片と、可動接点を有する可動片と、温度変化に伴って変形することにより可動接点が固定接点から離れるように可動片を作動させる熱応動素子とを有するブレーカーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたブレーカーは、固定片、可動片、熱応動素子等が金属部品で構成され、例えば、高温・高湿度環境下で長時間にわたって使用される場合、金属部品に腐食が発生することが懸念される。例えば、熱応動素子に腐食が発生した場合、温度変化に伴って変形せず、所定温度で正常に作動しない可能性がある。
【0005】
さらに、固定片および可動片に腐食が発生せず、熱応動素子のみに腐食が発生した場合、固定片および可動片間の通電には問題がないため、ブレーカー内部の金属部品に腐食が発生し、正常に作動しない状態であることがわからない。
【0006】
そのため、ブレーカーが正常作動可能な状態にあるか否かを確認し、もし正常作動できない状態の場合には電池パックの使用を制限することが望ましい。
【0007】
そこで、本発明は、電池パックの温度保護素子の作動確認を行って、作動しない場合には電池パックの使用を制限できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電池パックは、電池セルと、前記電池セルを保護するための保護回路と、前記電池セルに直列に接続された温度保護素子と、前記温度保護素子へ流れる電流値を検出する電流検出手段と、通電されることで前記温度保護素子を加熱する加熱手段と、前記加熱手段への通電が開始されてから所定時間以内に前記電流検出手段へ流れる電流値が所定値以下となるか否かを判定し、前記所定時間以内に前記電流値が前記所定値以下とならない場合には、温度保護素子の故障を示す情報が記憶されるように記憶手段を制御すると共に、充電禁止となるように前記保護回路を制御する制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電池パックの温度保護素子の作動確認を行って、作動しない場合には電池パックの使用を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1における電池パック100が充電装置200に装着された状態を示すブロック図である。
【
図2】電池パック100がデジタルカメラ300に装着された状態を示すブロック図である。
【
図3】電池パック100で行われる温度保護素子作動確認処理を説明するためのフローチャートである。
【
図4】電池パック100で行われる温度保護素子故障通知処理を説明するためのフローチャートである。
【
図5】デジタルカメラ300が表示する温度保護素子故障情報の例を示す図である。
【
図6】実施形態2における電池パック1100が充電装置1200に装着された状態を示すブロック図である。
【
図7】電池パック1100で行われる温度保護素子作動確認処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
[実施形態1]
図1は、実施形態1における電池パック100が充電装置200に装着された状態を示すブロック図である。
【0013】
図1において、電池セル101は、充電可能な電池セル(例えば、リチウムイオン電池)である。110は+端子、111は-端子、112は通電端子、113は通信端子、114は温度端子である。124はサーミスタであり、-端子111および温度端子114の間に配置される。
【0014】
システム制御部150は、電池パック100全体を制御する。メモリ151は、例えばRAM(半導体素子を利用した揮発性のメモリ等)からなる。システム制御部150は、例えば不揮発性メモリ152に格納されるプログラムに従い、メモリ151をワークメモリとして用いて、電池パック100の構成要素を制御する。不揮発性メモリ152には、システム制御部150が動作するための各種プログラム等が格納される。不揮発性メモリ152は、例えばEEPROM等で構成される。
【0015】
また、システム制御部150は、通信端子113および213を介し後述する充電装置200のシステム制御部250と各種データ通信を行う。さらに、システム制御部150は、電池セル101の状態を監視し、過充電・過放電などに対する保護を行うよう保護回路130を制御する。保護回路130は、例えばFET等で構成され、システム制御部150の指示に基づき、電池セル101を充電回路から遮断したり、電池セル101を放電回路から遮断したりする。電流検出部140は、例えば抵抗体で構成され、電池セル101への充電電流を検出したり、電池セル101からの放電電流を検出したりする電流検出部である。
【0016】
温度保護素子160は、例えば上述したブレーカーであり、電池セル101に直列に接続され、所定温度以上に加熱されると内部の熱応動素子が変形することで可動接点が固定接点から離れるように可動片を作動させ回路が遮断される。
【0017】
加熱部170は、通電端子112および-端子111の間に配置される。加熱部170は、例えば抵抗体で構成され、通電端子112を介して所定の電流で通電されることにより発熱する。加熱部170は、温度保護素子160に熱結合され、発熱することで温度保護素子160を加熱する。
【0018】
次に、
図1を参照して、充電装置200の構成について説明する。
【0019】
図1に示すように、充電装置200の電源部201は、AC入力部、AC-DCコンバータ、充電回路等により構成される電源部である。210は+端子、211は-端子、212は通電端子、213は通信端子、214は温度端子である。
【0020】
システム制御部250は、充電装置200全体を制御する。メモリ251は、例えばRAM(半導体素子を利用した揮発性のメモリなど)からなる。システム制御部250は、例えば不揮発性メモリ252に格納されるプログラムに従い、メモリ251をワークメモリとして用いて、充電装置200の構成要素を制御する。不揮発性メモリ252には、システム制御部250が動作するための各種プログラム等が格納される。不揮発性メモリ252は、例えばEEPROMなどで構成される。
【0021】
また、システム制御部250は、通信端子213、113を介し電池パック100のシステム制御部150と各種データ通信を行う。さらに、システム制御部250は電源部201を制御し、電池パック100へ充電電力を供給すると共に、システム制御部150の指示に基づき通電端子212および112を介して電池パック100の加熱部170へ通電する。
【0022】
表示部205は、例えばLEDで構成され、システム制御部250の指示に基づいて点灯または点滅し、所定の充電状態(充電中、充電完了および充電エラーのいずれか)を表示する。
【0023】
次に、
図2を参照して、電子機器の一例であるデジタルカメラ300の構成について説明する。
図2は、実施形態1の電池パック100がデジタルカメラ300に装着された状態を示すブロック図である。
【0024】
図2において、350はシステム制御部であり、デジタルカメラ300全体を制御する。301は撮像部であり、例えば、撮像レンズを経て導入された光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等の撮像素子で構成される。310は+端子、311は-端子、313は通信端子、314は温度端子である。
【0025】
メモリ352は、例えばRAM(半導体素子を利用した揮発性のメモリなど)からなる。システム制御部350は、例えば不揮発性メモリ352に格納されるプログラムに従い、メモリ351をワークメモリとして用いて、デジタルカメラ300の構成要素を制御する。不揮発性メモリ352には、画像データや音声データ、その他のデータ、システム制御部350が動作するための各種プログラムなどが格納される。不揮発性メモリ352は、例えばEEPROMなどで構成される。
【0026】
表示部305は、システム制御部350の指示に基づいて、LCD等の表示器上に画像やGUI(Graphical User Interface)を構成するGUI画面などを表示する。
【0027】
電源制御部380は、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、システム制御部350の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、デジタルカメラ300の各構成要素へ供給する。
【0028】
次に、
図3のフローチャートを参照して、電池パック100で行われる温度保護素子作動確認処理を説明する。
【0029】
ステップS301において、電池パック100のシステム制御部150は、電池パック100が充電装置200に装着されたか否かを判定する。例えば、電池パック100が充電装置200に装着されると、充電装置200から電池パック100へ+端子210および110並びに-端子211および111を介して所定の初期充電電流が供給される。システム制御部150は、電流検出部140により電流を検出すると、電池パック100が充電装置200に装着されたと判定する。電池パック100が充電装置200に装着されたと判定した場合には、ステップS302に進む。
【0030】
ステップS302において、システム制御部150は、充電装置200へ温度保護素子作動確認処理の開始を通知する。例えば、システム制御部150は、通信端子113および213を介して充電装置200のシステム制御部250へ温度保護素子作動確認処理の開始指示を送信する。
【0031】
ここで、充電装置200の動作モードについて説明する。充電装置200は、通常充電モードと温度保護素子作動確認モードの2つの動作モードを有する。例えば、温度保護素子作動確認モードにおける充電電流の値は、通常充電モードにおける充電電流の値よりも小さな電流値である。
【0032】
充電装置200のシステム制御部250は、温度保護素子作動確認処理の開始指示を受信すると、充電装置200の動作モードを通常充電モードから温度保護素子作動確認モードに移行させ、加熱部170への通電開始指示の受信を待つ。充電装置200へ温度保護素子作動確認処理の開始を通知すると、ステップS303に進む。
【0033】
ステップS303において、システム制御部150は、充電装置200へ加熱部170への通電開始を通知する。例えば、システム制御部150は、通信端子113および213を介して充電装置200のシステム制御部250へ加熱部170への通電開始指示を送信する。システム制御部250は、加熱部170への通電開始指示を受信すると、通電端子212および112を介して加熱部170への通電を開始する。充電装置200へ加熱部170への通電開始を通知すると、ステップS304に進む。
【0034】
ステップS304において、システム制御部150は、温度保護素子160が正常作動したか否かを判定する。例えば、充電装置200から通電端子212および112を介して加熱部170へ通電されると(ステップS303)、加熱部170が発熱し、温度保護素子160が加熱される。このとき、温度保護素子160が正常に作動する状態であった場合には、所定温度以上に加熱されると内部の熱応動素子が変形することで可動接点が固定接点から離れるように可動片が作動するため、回路が遮断される。システム制御部150は、電流検出部140により充電電流を検出し、所定時間以内に充電電流が所定値以下となった場合には、温度保護素子160が正常作動したと判定する。所定時間以内に充電電流が所定値以下とならない場合には、温度保護素子160が正常作動しないと判定する。温度保護素子160が正常作動したと判定した場合にはステップS305に進み(ステップS304でYES)、温度保護素子が正常作動しないと判定した場合にはステップS307に進む(ステップS304でNO)。
【0035】
ステップS305において、システム制御部150は、充電装置200へ加熱部170への通電停止を通知する。例えば、システム制御部150は、通信端子113および213を介して充電装置200のシステム制御部250へ加熱部170への通電停止指示を送信する。システム制御部250は、加熱部170への通電停止指示を受信すると、加熱部170への通電を停止する。充電装置200へ加熱部170への通電停止を通知すると、ステップS306に進む。
【0036】
ステップS306において、システム制御部150は、充電装置200へ通常充電動作の開始を通知する。例えば、システム制御部150は、通信端子113および213を介して充電装置200のシステム制御部250へ通常充電動作の開始指示を送信する。システム制御部250は、通常充電動作の開始指示を受信すると、充電装置200の動作モードを温度保護素子作動確認モードから通常充電モードに移行させる。充電装置200へ通常充電動作の開始を通知すると、
図3のフローチャートは終了する。
【0037】
ステップS307において、システム制御部150は、充電装置200へ加熱部170への通電停止を通知する。例えば、システム制御部150は、通信端子113および213を介して充電装置200のシステム制御部250へ加熱部170への通電停止指示を送信する。システム制御部250は、加熱部170への通電停止指示を受信すると、加熱部170への通電を停止する。充電装置200へ加熱部への通電停止を通知すると、ステップS308に進む。
【0038】
ステップS308において、不揮発性メモリ152は、システム制御部150の指示に従い、温度保護素子160の故障を示す温度保護素子故障情報を温度保護素子情報記憶領域に記憶する。温度保護素子情報記憶領域に温度保護素子故障情報が記憶されると、ステップS309に進む。
【0039】
ステップS309において、システム制御部150は、充電装置200へ温度保護素子160の故障を通知する。例えば、システム制御部150は、通信端子113および213を介して充電装置200のシステム制御部250へ温度保護素子故障データを送信する。システム制御部250は、温度保護素子故障データを受信すると、充電エラーを示す情報が表示されるように表示部205を制御する。充電装置200へ温度保護素子160の故障を通知すると、ステップS310に進む。
【0040】
ステップS310において、システム制御部150は、電池パック100を充電禁止に設定する。例えば、システム制御部150は、充電回路が遮断されるように保護回路130を制御する。充電禁止に設定すると、
図3のフローチャートは終了する。
【0041】
次に、
図4のフローチャートを参照して、電池パック100をデジタルカメラ300に装着した際に電池パック100で行われる温度保護素子故障通知処理を説明する。
【0042】
ステップS401において、電池パック100のシステム制御部150は、電池パック100がデジタルカメラ300に装着されたか否かを判定する。例えば、電池パック100がデジタルカメラ300に装着されると、電池パック100からデジタルカメラ300へ+端子110および310並びに-端子111および311を介して放電電流(電力)が供給される。システム制御部150は、電流検出部140により放電電流を検出すると、電池パック100がデジタルカメラ300に装着されたと判定する。電池パック100がデジタルカメラ300に装着されたと判定した場合には、ステップS402に進む。
【0043】
ステップS402において、システム制御部150は、温度保護素子160が故障しているか否かを判定する。例えば、システム制御部150は、不揮発性メモリ152の温度保護素子情報記憶領域を参照し、温度保護素子故障情報が記憶されている場合には、温度保護素子が故障していると判定する。温度保護素子160が故障していると判定した場合にはステップS403に進み(ステップS402でYES)、温度保護素子160が故障していないと判定した場合には
図4のフローチャートは終了する(ステップS402でNO)。
【0044】
ステップS403において、システム制御部150は、デジタルカメラ300へ温度保護素子160の故障を通知する。例えば、システム制御部150は、通信端子113および313を介してデジタルカメラ300のシステム制御部350へ温度保護素子故障データを送信する。システム制御部350は、温度保護素子故障データを受信すると、表示部305を制御して
図5に示すような情報を表示部305に表示する。これにより、温度保護素子160の故障がユーザに通知される。デジタルカメラ300へ温度保護素子160の故障を通知すると、
図4のフローチャートは終了する。
【0045】
[実施形態2]
次に、実施形態2を説明する。実施形態2における電池パック1100と実施形態1における電池パック100との違いは、電池パック1100が通電端子112を有しない構成である点である。実施形態2における充電装置1200と実施形態1における充電装置200との違いは、充電装置1200が通電端子212を有しない構成である点である。なお、実施形態2では、実施形態1と同様の箇所についてはそれらの説明を省略または簡略化する。
【0046】
図6は、実施形態2における電池パック1100が充電装置1200に装着された状態を示すブロック図である。
【0047】
図6において、加熱部170は、+端子110および-端子111の間に配置される。加熱部170は、例えば抵抗体で構成され、所定の電流で通電されることにより発熱する。加熱部170は、温度保護素子160に熱結合され、発熱することで温度保護素子160を加熱する。
【0048】
スイッチ180は、加熱部170に直列に接続されるスイッチである。システム制御部150は、スイッチ180をONまたはOFFに切り替えることで加熱部170への通電を制御する。
【0049】
温度検出部190は、例えばPTCサーミスタで構成され、電池パック1100内部の温度を検出する。システム制御部150は、所定期間ごとに温度検出部190により電池パック1100内部の温度を検出し、使用温度情報として不揮発性メモリ152へ記憶する。
【0050】
また、実施形態2において、システム制御部150は、前回の温度保護素子作動確認処理が実行されてからの期間を計算する。そして、計算された期間が所定期間以上である場合、不揮発性メモリ152は、温度保護素子作動確認処理が必要であることを示す情報を所定の記憶領域に記憶する。
【0051】
次に、
図7のフローチャートを参照して、電池パック1100で行われる温度保護素子作動確認処理を説明する。
【0052】
ステップS701において、電池パック1100のシステム制御部150は、電池パック1100が充電装置1200に装着されたか否かを判定する。例えば、電池パック1100が充電装置1200に装着されると、充電装置1200から電池パック1100へ+端子210および110並びに-端子211および111を介して所定の充電電流が供給される。システム制御部150は、電流検出部140により充電電流を検出すると、電池パック1100が充電装置1200に装着されたと判定する。電池パック1100が充電装置1200に装着されたと判定した場合にはステップS702に進む。
【0053】
ステップS702において、システム制御部150は、温度保護素子作動確認処理を行うか否かを判定する。システム制御部150は、例えば、温度保護素子作動確認処理が必要であることを示す情報が不揮発性メモリ152の所定の記憶領域記憶されている場合に、所定条件を満たすと判定し、温度保護素子作動確認処理を行うと判定する。さらに、例えば、不揮発性メモリ152に記憶された使用温度情報を参照し、所定の温度以上で使用されたと判定した場合に、所定条件を満たすと判定し、温度保護素子作動確認処理を行うと判定するように構成してもよい。温度保護素子作動確認処理を行うと判定した場合にはステップS703に進み(ステップS702でYES)、温度保護素子作動確認処理を行わないと判定した場合には
図7のフローチャートは終了する(ステップS702でNO)。
【0054】
ステップS703において、システム制御部150は、電池パック1100を放電禁止に設定する。例えば、システム制御部150は、放電回路が遮断されるように保護回路130を制御する。ここで、放電回路が遮断される理由は、後述する加熱部170へ通電するためスイッチ190をONにした際に、電池セル101から加熱部170へ電流が流れることを防止するためである。放電禁止に設定すると、ステップS704に進む。
【0055】
ステップS704において、システム制御部150は、充電装置1200へ温度保護素子作動確認処理の開始を通知する。例えば、システム制御部150は、通信端子113および213を介して充電装置1200のシステム制御部250へ温度保護素子作動確認処理の開始指示を送信する。システム制御部250は、温度保護素子作動確認処理の開始指示を受信すると、充電電流の供給を継続しつつ、充電装置1200の動作モードを通常充電モードから温度保護素子作動確認モードに移行させる。そして、システム制御部250は、電池パック1100のシステム制御部150からの指示の受信を待つ。充電装置1200へ温度保護素子作動確認処理の開始を通知すると、ステップS705に進む。
【0056】
ステップS705において、システム制御部150は、加熱部170への通電スイッチ190をONにする。スイッチ190がONにされると、充電装置から供給される充電電流の一部が加熱部170への通電が開始される。スイッチ190をONにすると、ステップS706に進む。
【0057】
ステップS706において、システム制御部150は、温度保護素子160が正常作動したか否かを判定する。例えば、スイッチ190がONにされ、加熱部170へ通電されると(ステップS705)、加熱部170が発熱し、温度保護素子160が加熱される。このとき、温度保護素子160が正常に作動する状態であった場合には、所定温度以上に加熱されると内部の熱応動素子が変形することで可動接点が固定接点から離れるように可動片が作動するため、回路が遮断される。システム制御部150は、電流検出部140により充電電流を検出し、所定時間以内に充電電流が所定値以下となった場合には、温度保護素子160が正常作動したと判定する。所定時間以内に充電電流が所定値以下とならない場合には、温度保護素子160が正常作動しないと判定する。温度保護素子160が正常作動したと判定した場合にはステップS707に進み(ステップS706でYES)、温度保護素子が正常作動しないと判定した場合にはステップS710に進む(ステップS706でNO)。
【0058】
ステップS708において、システム制御部150は、加熱部170への通電スイッチ190をOFFにする。スイッチ190をOFFにすると、ステップS709に進む。
【0059】
ステップS709において、システム制御部150は、電池パック1100の放電禁止を解除する。例えば、システム制御部150は、放電回路の遮断が解除されるように保護回路130を制御する。放電禁止を解除すると、ステップS710に進む。
【0060】
ステップS710において、システム制御部150は、充電装置1200へ通常充電動作の開始を通知する。例えば、システム制御部150は、通信端子113および213を介して充電装置1200のシステム制御部250へ通常充電動作の開始指示を送信する。システム制御部250は、通常充電動作の開始指示を受信すると、充電装置1200の動作モードを温度保護素子作動確認モードから通常充電モードに移行させる。充電装置1200へ通常充電動作の開始を通知すると、
図7のフローチャートは終了する。
【0061】
ステップS710において、システム制御部150は、加熱部170への通電スイッチ190をOFFにする。スイッチ190をOFFにすると、ステップS711に進む。
【0062】
ステップS711において、不揮発性メモリ152は、システム制御部150の指示に従い、温度保護素子160の故障を示す情報を温度保護素子情報記憶領域に記憶する。温度保護素子情報記憶領域に温度保護素子故障情報が記憶されると、ステップS712に進む。
【0063】
ステップS712において、システム制御部150は、充電装置1200へ温度保護素子160の故障を通知する。例えば、システム制御部150は、通信端子113および213を介して充電装置1200のシステム制御部250へ温度保護素子故障データを送信する。システム制御部250は、温度保護素子故障データを受信すると、充電エラーを示す情報が表示されるように表示部205を制御する。充電装置1200へ温度保護素子160の故障を通知すると、ステップS713に進む。
【0064】
ステップS713において、システム制御部150は、電池パック1100を充電禁止および放電禁止に設定する。例えば、システム制御部150は、充電回路および放電回路が遮断されるように保護回路130を制御する。保護回路130を充電禁止および放電禁止に設定すると、
図7のフローチャートは終了する。
【0065】
なお、本発明の実施形態は上述の実施形態1または2に限定されるものではない。発明の要旨を逸脱しない範囲で変更または修正された実施形態1または2も本発明の実施形態に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
100、1100 電池パック
200、1200 充電装置
300 デジタルカメラ