(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】配線経路検出システム、配線経路検出装置、配線経路探査装置、配線経路検出方法および配線経路探査方法
(51)【国際特許分類】
G01V 3/12 20060101AFI20221219BHJP
G01V 15/00 20060101ALI20221219BHJP
H02G 9/06 20060101ALI20221219BHJP
H02G 1/06 20060101ALN20221219BHJP
【FI】
G01V3/12 A
G01V15/00
H02G9/06
H02G1/06
(21)【出願番号】P 2018218889
(22)【出願日】2018-11-22
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2018109324
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】弁理士法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 穣
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 盛久
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 善美
(72)【発明者】
【氏名】川副 英次
(72)【発明者】
【氏名】西村 達仁
(72)【発明者】
【氏名】細矢 敏
(72)【発明者】
【氏名】安松 洋
(72)【発明者】
【氏名】田村 良太
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-268540(JP,A)
【文献】特開2005-208866(JP,A)
【文献】特開2008-209245(JP,A)
【文献】特開2008-058219(JP,A)
【文献】特表2008-547010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-99/00
H02G 1/00-1/10、9/00-9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部分を含む1つ以上の配線が敷設される配線設備における前記配線の経路を検出する配線経路検出システムであって、
前記配線設備に沿って設けられ、それぞれ無線の起動信号の受信に応じて前記配線設備において固有の識別子を無線で送信する1つ以上の無線識別装置と、
前記無線識別装置への前記起動信号を、前記配線の金属部分に供給して前記無線識別装置それぞれに無線で送信し、前記送信された起動信号の受信に応じて前記無線識別装置それぞれから無線で送信された前記固有の識別子を前記配線の金属部分を介して受信して収集する識別信号収集装置と、
前記無線識別装置の前記配線設備における位置を記憶する位置記憶装置と、
収集された前記無線識別装置の識別子と、記憶された前記無線識別装置それぞれの前記配線設備における位置とに基づいて、経路検出の対象の前記配線の前記配線設備における経路を検出する経路検出装置と、
を備える配線経路検出システム。
【請求項2】
金属部分を含む1つ以上の配線が敷設される配線設備における前記配線の経路を検出する配線経路検出装置であって、前記配線設備に沿って、それぞれ無線の起動信号の受信に応じて前記配線設備において固有の識別子を無線で送信する1つ以上の無線識別装置が設けられ、
前記無線識別装置への前記起動信号を、前記配線の金属部分に供給して前記無線識別装置それぞれに無線で送信し、前記送信された起動信号の受信に応じて前記無線識別装置それぞれから無線で送信された前記固有の識別子を前記配線の金属部分を介して受信して収集する識別信号収集装置と、
前記無線識別装置の前記配線設備における位置を記憶する位置記憶装置と、
収集された前記無線識別装置の識別子と、記憶された前記無線識別装置それぞれの前記配線設備における位置とに基づいて、経路検出の対象の前記配線の前記配線設備における経路を検出する経路検出装置と、
を備える配線経路検出装置。
【請求項3】
前記配線は複数であり、
複数の前記配線いずれかの金属部分と結合する結合装置
をさらに備え、
前記識別信号収集装置は、前記結合装置を介して、前記配線の金属部分に前記起動信号を供給し、前記配線の金属部分から前記無線識別装置の識別子を受信する
請求項2に記載の配線経路検出装置。
【請求項4】
前記配線は複数であり、
複数の前記配線いずれかの金属部分と結合する第1の結合装置と、
複数の前記配線の1つ以上の金属部分と結合する第2の結合装置と、
をさらに備え、
前記識別信号収集装置は、
前記第1の結合装置を介して、前記配線の金属部分に前記起動信号を送信する送信装置と、
前記第2の結合装置を介して、前記無線識別装置の識別子を受信する受信装置と、
を備える
請求項2に記載の配線経路検出装置。
【請求項5】
前記配線設備は、前記起動信号および前記固有の識別子を示す無線信号が外側へ漏洩することを防ぐ材料で形成される
請求項2~4のいずれか1項に記載の配線経路検出装置。
【請求項6】
複数の前記配線設備は収容容器であって、前記収容容器は、前記収容容器それぞれに収容された配線の延伸方向と垂直の方向に、必要とされる数、積み重ねられる
請求項5に記載の配線経路検出装置。
【請求項7】
前記配線の前記配線設備における経路の計画を記憶する配線計画記憶装置
をさらに備え、
前記経路検出装置は、前記記憶された前記配線の前記配線設備における経路の計画と、検出された前記配線の前記配線設備における経路との差違をさらに検出する
請求項2~6のいずれか1項に記載の配線経路検出装置。
【請求項8】
前記配線設備に設けられ前記無線識別装置に電源を供給する電源配線を
さらに備える請求項2~7のいずれか1項に記載の配線経路検出装置。
【請求項9】
前記配線の金属部分は、前記配線を構成する金属の線材である
請求項2~8のいずれか1項に記載の配線経路検出装置。
【請求項10】
前記配線の金属部分は、前記配線として用いられる同軸ケーブルの金属製の外皮である
請求項2~8のいずれか1項に記載の配線経路検出装置。
【請求項11】
前記配線の金属部分は、前記配線として用いられる光ケーブルの金属製のテンションケーブルである
請求項2~8のいずれか1項に記載の配線経路検出装置。
【請求項12】
金属部分を含む1つ以上の配線が敷設される配線設備における前記配線の経路を検出する配線経路検出方法であって、
前記配線設備に沿って、それぞれ固有の識別子を有し、無線の起動信号の送信に応じて無線で識別子を送信する無線識別装置を配置し、
前記起動信号を、前記配線の金属部分に供給して前記無線識別装置それぞれに無線で送信し、前記送信された起動信号の受信に応じて無線で送信された前記固有の識別子を前記配線の金属部分を介して受信して収集し、
前記無線識別装置の前記配線設備における位置を記憶し、
収集された識別子と、前記収集された識別子それぞれに対応する前記配線設備における前記無線識別装置の位置とに基づいて、経路検出の対象の前記配線の前記配線設備における経路を検出する
配線経路検出方法。
【請求項13】
経路が確認されていない既設の前記配線について、または、前記配線設備において追加された前記配線について行われる
請求項12に記載の配線経路検出方法。
【請求項14】
それぞれ金属部分を含む複数の配線が敷設される配線設備における複数の前記配線のいずれかの金属部分と結合する第1の結合装置と、
前記配線設備に互いに離間して設けられ、複数の前記配線の1つ以上の金属部分と結合する
複数の第2の結合装置と、
前記第1の結合装置に接続され、前記第1の結合装置を介して、前記第1の結合装置と結合された前記配線を探査する探査信号を供給し、前記第1の結合装置に結合された前記配線の経路に、供給された前記探査信号を送信する送信装置と、
予め前記第2の結合装置それぞれの前記配線設備における位置と前記探査信号の受信タイミングとを対応付けた情報を記憶しており、前記第2の結合装置
それぞれに接続され
、前記第2の結合装置を介して送信された前記探査信号を
受信し、受信したタイミングと前記第2の結合装置それぞれの前記配線設備における位置とを対応付ける受信装置と、
前記受信装置が対応付けた複数の前記第2の結合装置それぞれの位置を示す情報に基づいて前記第1の結合装置
と前記第2の結合装置とを結ぶ経路を探査する探査装置と、
を備える配線経路探査装置。
【請求項15】
それぞれ金属部分を含む複数の配線が敷設される配線設備における複数の前記配線のいずれかの金属部分と結合する第1の結合装置と、
前記配線設備に互いに離間して設けられ、複数の前記配線の1つ以上の金属部分と結合する
複数の第2の結合装置と、
前記第1の結合装置に接続され、前記第1の結合装置を介して、前記第1の結合装置と結合された前記配線の経路を探査する探査信号を供給し、前記第1の結合装置に結合された前記配線に、供給された前記探査信号を送信する送信装置と、
予め前記第2の結合装置それぞれの前記配線設備における位置と前記探査信号の受信タイミングとを対応付けた情報を記憶しており、前記第2の結合装置
それぞれに接続され
、前記第2の結合装置を介して送信された前記探査信号を
受信し、受信したタイミングと前記第2の結合装置それぞれの前記配線設備における位置とを対応付ける受信装置と、
前記受信装置が
対応付けた前記第2の結合装置それぞれの前記配線設備における位置を示す情報に基づいて前記配線の経路を表示する表示装置と、
を備える配線経路探査装置。
【請求項16】
それぞれ金属部分を含む複数の配線が敷設される配線設備における複数の前記配線のいずれかの金属部分に、
第1の結合装置を結合して前記配線の経路を探査する探査信号
を供給し、
前記探査信号が供給された前記配線の経路に、供給された前記探査信号を送信させ、
前記配線設備の一の箇所で複数の前記配線の1つ以上の金属部分と
第2の結合装置とを結合して、送信された前記探査信号を受信し、
前記第2の結合装置を前記一の箇所から前記配線設備の他の箇所に移動させ、移動した箇所で複数の前記配線の1つ以上の金属部分と結合して、送信された前記探査信号を受信し、
前記探査信号が受信されたときに、前記探査信号を受信したことを表示する、
配線経路探査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、配線経路検出システム、配線経路検出装置、配線経路探査装置、配線経路検出方法および配線経路探査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油化学プラント、発電プラントなどを建設したり、改修したりするときには、数十~数百mもの長さの配線用の線材を、多数、計画に従って正確に敷設する必要がある。この目的のために、複数の配線それぞれに識別情報を表示したカードを用いる方法が知られている。しかしながら、この方法によっても、配線用の線材の敷設後に、目視以外の手段によって配線が計画通りに敷設されているか否かを確認することはできない。
【0003】
また、引用文献1などには、配線内に電気信号を発信するとともに、配線の敷設経路に電気信号を検知して電気信号検知有無情報と識別データとを送信する受信器を複数個設け、これら受信器からの電気信号検知有無情報と識別データとを、通信回線を介してあるいは無線で送信して配線の経路を検出することが提案されている。しかしながら、この方法は、通信回線および無線通信設備の設置が必要であり、これらの設備の設置が困難な箇所には適用できない。
【0004】
また、プラントの改修のための作業現場などにおいて、既存の装置に敷設済みの多数の配線のいずれかを任意に選択し、選択した配線の途中から、この配線が計画通りに敷設されているか否かを、改めて確認する必要が生じることがある。しかしながら、引用文献1などに開示された方法は、このような用途に適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】2005-208866号公報
【文献】2010-268540号公報
【文献】2004-252851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施の形態は上述した背景からなされ、多くの配線を長い距離にわたって敷設するときに、実際に敷設された配線の経路を容易に知ること、または、これらの配線が計画通りの経路を通って敷設されていることを容易に確認することを課題とする。また、本発明の実施の形態は、配線を任意に選択し、選択した配線の途中から、この配線の経路を容易に探査することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、実施形態にかかる配線経路検出システムは、1つ以上の無線識別装置と、識別信号収集装置と、経路検出装置とを備える。無線識別装置は、配線設備に沿って設けられ、無線の起動信号の受信に応じて配線設備において固有の識別子を無線で送信する。識別信号収集装置は、無線識別装置への起動信号を、配線の金属部分に供給して無線識別装置に無線で送信し、送信された起動信号の受信に応じて無線識別装置から無線で送信された固有の識別子を配線の金属部分を介して受信して収集する。経路検出装置は、無線識別装置の配線設備における位置を記憶すると、収集された無線識別装置の識別子と、記憶された無線識別装置の配線設備における位置とに基づいて、経路検出の対象の配線の配線設備における経路を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態にかかる配線経路検出システムが適応されるプラントシステムを例示する図。
【
図2】配線設備が備えるトレイ群中におけるトレイの構成を例示する図。
【
図3】配線設備が備えるトレイ群の構成を例示する図。
【
図4】プラントシステムにおけるケーブルの経路を検出する第1の経路検出装置の構成を例示する図。
【
図5】経路検出装置の構成要素をソフトウェア的に実現するコンピュータの構成を例示する図。
【
図6】プラントシステムにおいて検出されたある1本のケーブルの配線経路を示す画像を例示する図
【
図7】RFIDがトレイに設けられた給電線から電力を受けて動作する構成を例示する図。
【
図8】RFIDがトレイに設けられた電源装置から給電線を介して電力を受けて動作する構成を示す図。
【
図10】第3の経路検出装置の第1の構成を示す図。
【
図11】第3の経路検出装置の第2の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。まず、第1の実施形態を説明する。なお、以下の記載および各図において、実質的に同じ構成要素には同じ符号が付される。また、以下の記載および各図において、複数あり得る構成要素の符号に付された添字は、適宜、省略される(例えば、「トレイ20-i-1~20-i―j~20-i-n(
図3参照)」のうちの1つ以上が、特定されずに示されるときには、適宜、「トレイ20」と記される)。
【0010】
図1に例示されるプラントシステム1は、実施例にかかる配線経路検出が適応される製造用のプラントである。プラントシステム1においては、データセンタ、制御棟、製造棟および発電棟の各階に配置されたコンピュータなどの装置(不図示)同士が、棟内の配線用ダクト、棟外の配線用トラフおよび配線用溝の中に設けられた配線設備2を介して配線用の線材により相互に接続される。なお、以下、「配線用の線材」は「ケーブル」と記される。
【0011】
配線設備2は、ケーブルトレイ(以下、単に「トレイ」と記す)、電線管、電線管分岐箱、ケーブル載置棚、電線吊り具など、ケーブルを収容する設備、載置する設備、吊下げる設備およびこれらの組み合わせなど、ケーブルを敷設するための設備全てを含む。
【0012】
以下、配線設備2を構成するトレイ群24-iを説明する。
図2,
図3に示されるように、配線設備2は、互いに接続されたm(m≧2)個のトレイ群24-i(m≧i≧1)を備える。トレイ群24それぞれは、配線設備2の経路の形状に適合するように適宜、直線、T字、L字または十字に形成される。
【0013】
トレイ群24-1,24-2,・・・,24-i,・・・24-nは相互に結合されて配線設備2を構成する。トレイ群24-iは、必要とされる段数(n;n≧1)のトレイ20-i-1~20-i-nを備える。トレイ群24-iにおいて、トレイ20-i-1~20-i-nは、ケーブル3の延伸方向と垂直に積み重ねられる。トレイ20-i-1~20-i-nそれぞれは、1本以上のケーブル3を保持する。
【0014】
なお、
図2,
図3に示されるように、トレイ20-i-jの形状は、このトレイ20-i-jを含むトレイ群24-iの形状と同じである。また、ケーブル3は、トレイ群24の両端または途中に適宜、設けられる開口部(不図示)から引き出され、プラントシステム1に含まれる各棟の各装置に接続される。
【0015】
トレイ20の材料は、金属、電波吸収塗料が塗布された合成樹脂などであり、トレイ20は電波信号を遮蔽する。つまり、トレイ群24が複数のトレイ20が積み重ねられた構成を採るときには、異なるトレイ20それぞれに保持されるケーブル3同士の間では、電波信号は遮蔽される。
【0016】
他の形態の配線設備の場合も、配線設備が重合または隣接する場合、後述するRFID22の配置位置との関係を考慮して、各配線設備間には必要に応じて電波遮蔽手段が設けられる。ケーブル3を保持するトレイ20の底面のケーブル3の延伸方向と直角な幅は例えば30~60cm程度であり、底面から垂直方向に設けられる側面の高さは例えば10cm程度である。
【0017】
トレイ20それぞれにおいて、配線経路検出のために有効な位置には、無線識別装置として、例えばRFID(Radio Frequency IDentifier)22-i-j-1~22-i-j-7(
図2を参照)が取り付けられる。RFID22それぞれには、
図1に示されたプラントシステム1において固有な識別子(IDentifier)が付される。RFID22それぞれは、外部からの起動信号の電力を受けて動作し、起動信号を受信すると、この識別子を含む応答信号を電波信号として送信する。
【0018】
この応答信号の到達距離は、トレイ20の幅長程度である。各RFID22からの応答信号の周波数および送信のタイミングは、予め決められた範囲内で、送信のたびにランダムに決められる。このように応答信号の周波数などが決められる理由は、起動信号の送信側において、1回以上の起動信号の送信により、全てのRFID22から返された応答信号に含まれる識別子を確実に識別可能とするためである。
【0019】
図4は、
図2,
図3に示されたプラントシステム1におけるケーブル3の経路を検出する第1の経路検出装置4の構成を示す図である。
図4に示されるように、経路検出装置4は、配線設備2を構成するトレイ群24-iに含まれるトレイ20-i-j(n≧j≧1)それぞれに取り付けられたRFID22を起動信号により付勢し、RFID22それぞれから返される応答信号を受信して識別するために必要な構成要素を含む。
【0020】
つまり、経路検出装置4は、検出制御装置400、RFID読取装置402、ID検出装置404、経路検出装置406、位置データベース(Data Base;DB)408、経路表示装置410および配線計画DB412を含む。なお、
図4においては、RFID22-i-j-1~22-i-j-7が取り付けられた直線型のトレイ20-i-jが例示される。
【0021】
図4に示された経路検出装置4の各構成要素は、RFID読取装置402の起動信号の送信のための増幅器(不図示)など、その性質上、ハードウェアによらなければ実現できない部分を除いて、適宜、ハードウェア的にもソフトウェア的にも実現され得る。
【0022】
図5は、
図4に示された経路検出装置4の構成要素をソフトウェア的に実現するコンピュータ14の構成を例示する図である。
図5に示されるように、コンピュータ14は、バス140を介して相互にデータを入出力可能に接続され、情報処理、情報入力、情報出力およびハードウェアとの間のデータの入出力を行うために必要とされる構成要素を備える。
【0023】
つまり、コンピュータ14は、演算処理回路142と、ROM144と、RAM146と、入力インターフェース(IF)148と、入力装置150と、出力IF152と、出力装置154と、入出力回路(I/O)156と、記録装置158とを備える。
【0024】
演算処理回路142は、CPUおよびその周辺回路を有する。ROM144およびRAM146は、プログラムの実行および演算処理に必要とされるデータを記憶する。入力装置150は、キーボード、マウスおよびタッチパネルなど(不図示)を有する。入力IF148は、入力装置150へのユーザの操作を受け入れる。
【0025】
出力装置154は、ディスプレイ装置、プリンタ装置およびUSB-IFなど(不図示)を有する。出力IF152は、出力装置154への情報の表示およびデータの出力を行う。I/O156は、経路検出装置4のハードウェア的な部分との間のデータの入出力を行う。
【0026】
記録装置158は、HD(Hard Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、フラッシュメモリなどの不揮発性の記録媒体160との間でデータの記録および再生を行う。
【0027】
図4に示された経路検出装置4の構成要素の内、検出制御装置400は、RFID読取装置402およびID検出装置404を制御して、プラントシステム1におけるケーブル3それぞれについて全てのRFID22の識別子を検出するために必要な処理を行わせる。なお、検出制御装置400は、このRFID読取装置402およびID検出装置404への制御を、
図5に示された入力装置150へのユーザの操作に応じて、例えば、1本のケーブル3ごとに、または複数本のケーブル3について同時に行う。
【0028】
このような制御は、配線設備2の中への新規または追加的な敷設のたびに行われる。また、この制御を、既設であって敷設経路が未確認のケーブル3についても行うことができる。RFID読取装置402は、ケーブル3からRFID22に起動信号を送信し、この起動信号の送信に応じてRFID22それぞれから返された応答信号を、ケーブル3を介して受信して、ID検出装置404に出力する。
【0029】
なお、ケーブル3が、シールドなしのメタリック(金属製)ケーブルであるときには、RFID読取装置402は、ケーブル3自体を介して起動信号を送信し、応答信号を受信する。ケーブル3が、外皮シールド付きメタリックケーブルまたは同軸ケーブルであるときには、RFID読取装置402は、ケーブル3に含まれるシールド部分を介して起動信号を送信し、応答信号を受信する。また、ケーブル3が、光ケーブルであるときには、RFID読取装置402は、敷設のために光ケーブルに付された金属製のテンションケーブルを介して起動信号を送信し、応答信号を受信する。
【0030】
ID検出装置404は、RFID読取装置402から入力された応答信号から、RFID22それぞれの識別子を検出し、検出制御装置400および経路検出装置406に出力する。なお、検出制御装置400は、1本のケーブル3について全てのRFID22からの識別子を検出するために、新たなRFID22の識別子が検出されなくなるまで、識別子の検出のための制御を、予め決められた時間間隔をおいて繰り返し行う。検出制御装置400は、1本のケーブル3について、新たなRFID22の識別子が検出されなくなったと判断すると、ID検出装置404を制御して、検出されたRFID22の識別子の全てを経路検出装置406に出力させる。
【0031】
位置DB408は、RFID22それぞれの識別子と、トレイ20-i-jの配線設備2における位置を示す位置情報と、
図2,
図3に示されたトレイ20-i-jのプラントシステム1および配線設備2における位置を示す位置情報とを対応づけて記憶する。これらの情報は、ケーブル3の経路検出に先立って、位置DB408に記憶される。位置DB408に記憶されたこれらの情報は、ケーブル3の配線経路検出が行われるたびに、経路検出装置406に出力される。
【0032】
経路検出装置406は、ID検出装置404から入力された1本のケーブル3についての全てのRFID22の識別子に対応する位置情報に基づいて、このケーブル3のプラントシステム1および配線設備2における経路を検出し、経路表示装置410に出力する。つまり、経路検出装置406は、ID検出装置404から入力された1本のケーブル3についての全ての識別子に対応するトレイ20-i-jの位置情報を、その添字iが連続するようにソートする。経路検出装置406は、このソートの結果として得られ、連続した位置を示す位置情報の集合を、このケーブル3のプラントシステム1および配線設備2における配線経路情報として検出する。
【0033】
配線計画DB412は、経路検出装置4によるケーブル3の経路検出処理が行われる以前にプラントシステム1の施工者により決められたケーブル3のプラントシステム1および配線設備2における配線経路を示す計画配線経路情報を記憶する。この計画配線経路情報には、ケーブル3それぞれを示す識別子と、このケーブル3が配置されるトレイ20-i-jの全ておよびそのプラントシステム1および配線設備2における位置情報とが対応づけられて含まれる。配線計画DB412は、記憶された計画配線経路情報を、経路表示装置410に出力する。
【0034】
図6は、
図1に示されたプラントシステム1において検出されたある1本のケーブル3の配線経路を示す画像を例示する図である。なお、
図6には、ケーブル3がデータセンタの3階から制御棟の4階まで敷設される場合が示される。経路表示装置410は、経路検出装置406から入力されたケーブル3の配線経路情報を、
図6において太い線で示されるように、経路検出装置4のユーザにとって把握しやすい画像にして出力装置154に表示する。
【0035】
また、経路表示装置410は、経路検出装置406から入力されたケーブル3の配線経路情報と、配線計画DB412から入力された計画配線経路情報とを比較し、これらの配線経路情報に不一致が生じている位置を、
図6に示されるようにX印を付して出力装置154に重ねて表示する。なお、
図6において、不一致が生じている位置Xには、「不一致」という用語が付されている。
【0036】
さらに、経路表示装置410は、経路検出装置4のユーザによる入力装置150への不一致の位置を指定する操作に応じて、指定された不一致の位置を示す不一致情報(不図示)を出力装置154に表示する。この不一致情報には、不一致が生じているトレイ20-i-jの識別情報およびそのプラントシステム1および配線設備2における位置を示す情報が含まれる。
【0037】
以下、
図1に示されたプラントシステム1における
図2,
図3に示されたRFID22が取り付けられたトレイ20と、
図4,
図5に示された経路検出装置4とを用いた配線経路検出の全体的な処理を説明する。まず、プラントシステム1の施工者は、配線設備2に含まれる複数のトレイ20の底面を用いて1本または複数本のケーブル3を新規または追加で敷設する。さらに、経路検出装置4のユーザは、新規または追加のケーブル3が敷設されるたびに、ケーブル3またはその金属部分に経路検出装置4のRFID読取装置402を接続し、コンピュータ14の入力装置150に配線経路の検出のための操作を行う。また、必要に応じて、敷設済で経路未確認のケーブル3についても配線経路の検出のための操作を行う。
【0038】
ユーザがこの操作を行うと、検出制御装置400は、RFID読取装置402を制御し、トレイ20に設けられたRFID22への起動信号を送信させる。RFID22は、RFID読取装置402からケーブル3を介して起動信号を受信すると、応答信号を送信する。つまり、実際にケーブル3が敷設された経路に取り付けられたRFID22のみが起動し、応答信号を送信する。
【0039】
RFID読取装置402は、ケーブル3を介してRFID22からの応答信号を受信し、ID検出装置404に出力する。ID検出装置404は、RFID読取装置402から入力された受信信号からRFID22それぞれの識別子を検出し、コンピュータ14のRAM146に記憶し、さらに、検出制御装置400に出力する。
【0040】
検出制御装置400は、ID検出装置404により新たなRFID22の識別子が検出されなくなるまで、RFID読取装置402およびID検出装置404を制御してRFID22の識別子を検出させる。検出制御装置400は、ID検出装置404により新たなRFID22の識別子が検出されなくなると、ID検出装置404を制御して、検出された全てのRFID22の識別子を経路検出装置406に出力させる。
【0041】
経路検出装置406は、位置DB408から入力された識別子の全てに対応するトレイ20の配線設備2における位置を示す位置情報を処理して、ケーブル3のプラントシステム1および配線設備2における配線経路情報を生成し、経路表示装置410に出力する。
【0042】
経路表示装置410は、位置DB408から入力された位置情報と経路検出装置406から入力された配線経路情報とを処理し、
図6に示されたように、敷設されたケーブル3の配線経路を示す画像を出力装置154に表示してユーザに示す。また、経路表示装置410は、配線計画DB412から入力されたケーブル3の計画配線経路情報と、経路検出装置406から入力された配線経路情報とを比較し、配線設備2において、これらの配線経路情報に不一致が生じる位置を検出する。さらに、経路表示装置410は、配線経路情報に不一致が生じる位置を、配線経路を示す画像に重ねて示す。
【0043】
ユーザが出力装置154に表示された不一致の位置を指定する操作を、入力装置150に行うと、経路表示装置410は、指定された不一致の位置に対応するケーブル3の識別子と、ケーブル3がいずれのトレイ20に設置されたかとを示す不一致情報を生成する。さらに、経路表示装置410は、生成された不一致情報を、配線経路を示す画像において、指定された不一致の位置に対応づけて表示する。
【0044】
ここで説明された配線経路検出方法が、ケーブル3が1本ずつ新規または追加で配線設備2の中に加えられるたびに実施されると、プラントシステム1における全てのケーブル3それぞれの配線経路およびその敷設前の計画との不一致の位置とその不一致情報とが得られる。ケーブル3の配線経路の検出が終了するたびに、あるいは、全てのケーブル3の配線経路の検出が終了した後で、配線経路およびその敷設前の計画に不一致が生じたケーブル3は、施工者により計画通りの配線経路をたどるように改修される。
【0045】
以上説明した配線経路検出方法によれば、ケーブル3の実際の敷設経路を、また、ケーブル3が敷設前の計画通りの正しい配線経路を通って敷設されたか否かを、施工者の目視によらず、正確に、しかも信頼性高く確認できる。従って、ケーブル3の計画に従わない誤った経路を通った敷設の放置が防止される。同様に、ケーブル3が計画通りに敷設されていないときには、施工者は、ケーブル3を、計画に従った正しい経路を通るように、確実に敷設しなおせる。
【0046】
[第2の実施形態]
以下、第2の実施形態を説明する。
図7は、RFID22(
図2など)が、トレイ28-i-jに設けられた給電線26から電力を受けて動作する構成を示す図である。配線設備2を構成するトレイ群24-i(
図3)において、トレイ28-i-jは、トレイ20-i-jと置換され得る。
【0047】
図7に示されるように、トレイ28-i-jは、トレイ20-i-jに、RFID22-i-j-1~22-i-j-7と電源装置(不図示)とを接続する給電線26を加えた構成をとる。トレイ28-i-jにおいて、RFID22-i-j-1~22-i-j-7は、ケーブル3を介してRFID読取装置402から受信された起動信号自体の電力の代わりに、トレイ20に設けられた給電線26を介して電源装置から供給された電力により動作する。
【0048】
従って、トレイ28-i-jによれば、経路検出装置4がケーブル3に出力する起動信号の電力は、トレイ20-i-jが配線設備2において用いられるときに比べて大幅に少なくされ得る。
【0049】
[第3の実施形態]
以下、第3の実施形態を説明する。
図8は、RFID22(
図2など)が、トレイ30-i-jに設けられた電源装置32から給電線26を介して電力を受けて動作する構成を示す図である。配線設備2を構成するトレイ群24-i(
図3)において、トレイ30-i-jは、トレイ20-i-jと置換され得る。
【0050】
図8に示されるように、トレイ30-i-jは、トレイ20-i-jに、RFID22-i-j-1~22-i-j-7それぞれに対応付けて電源装置32を追加し、RFID22-i-j-1~22-i-j-7それぞれと電源装置32それぞれとが、給電線26を介して接続された構成をとる。
【0051】
電源装置32は、一次電池、二次電池、および、光、放射線、化学物質または空気流など、トレイ30-i-jの周囲の環境から得られるエネルギーから発電する発電装置のいずれかである。トレイ30-i-jにおいて、RFID22-i-j-1~22-i-j-7の動作のために必要とされる電力は、電源装置32から給電線26を介して供給される。
【0052】
従って、トレイ30-i-jによれば、トレイ28-i-j(
図7)によってと同様に、経路検出装置4がケーブル3に出力する起動信号の電力は、トレイ20-i-jが配線設備2において用いられるときに比べて大幅に少なくされ得る。
【0053】
また、配線設備2のトレイ群24-iがトレイ28-i-jにより構成されるときには、複数のトレイ28-i-j,28-i’-j’(例えば、i≠i’,j≠j’)の間で給電線26を引き回す必要がない。従って、トレイ30-i-jを含むトレイ群24-iの配線設備2への設置は、トレイ28-i-jを含むトレイ群24-iの配線設備2への設置よりも容易である。
【0054】
なお、トレイ30-i-jにおいて、電源装置32は、RFID22-i-j-1~22-i-j-7それぞれに対応付けられて設けられる必要はなく、例えば、RFID22-i-j-1~22-i-j-7が、1つの電源装置32を共有してもよい。
【0055】
[第4の実施形態]
以下、第4の実施形態を説明する。
図9は、第2の経路検出装置5の構成を示す図である。経路検出装置5は、
図4に示された経路検出装置4のRFID読取装置402に、クランプインターフェース(クランプIF)500、クランプ502および結合ケーブル504が接続された構成をとる。経路検出装置5は、例えば、トレイ30-i-jを含むトレイ群24-iから構成される配線設備2においてケーブル3の経路を検出するために用いられる。
【0056】
クランプIF500は、結合ケーブル504を介してクランプ502に、RFID読取装置402からの起動信号を出力する。また、クランプIF500は、結合ケーブル504を介してクランプ502から応答信号を受信する。クランプ502は、例えば、クランプメータのセンサとして用いられるクランプと同様な構成をとり、多数のケーブル3の任意のいずれかと起動信号および応答信号を伝送可能に結合される。結合ケーブル504は、クランプIF500とクランプ502との間で、起動信号および応答信号を伝送可能に接続する。
【0057】
クランプ502は、プラントシステム1(
図1)の改修のための作業現場などにおいて、既存の配線設備2を構成するトレイ30-i-jに敷設済みの多数のケーブル3のうち、経路検出装置5のユーザにより任意に選択されるいずれかと、起動信号の送信および応答信号の受信が可能なように、任意のタイミングで結合される。
【0058】
経路検出装置5のRFID読取装置402(
図4)は、クランプIF500、クランプ502および結合ケーブル504を介してケーブル3に起動信号を送信する。また、RFID読取装置402は、この起動信号の送信に応じてRFID22それぞれから返された応答信号を、ケーブル3からクランプIF500、クランプ502および結合ケーブル504を介して受信して、ID検出装置404に出力する。
【0059】
以上説明した経路検出装置5におけるように、RFID読取装置402が、クランプIF500、クランプ502および結合ケーブル504を介して任意のケーブル3に結合されると、このケーブル3のプラントシステム1および配線設備2における経路が検出され得る。
【0060】
なお、経路検出装置5は、トレイ20-i-j,28-i-j(
図2,
図7)から構成される配線設備2におけるケーブル3の経路を検出することもできる。クランプ502および結合ケーブル504を介してクランプIF500からの起動信号がケーブル3に送信されるときには、起動信号の電力の全てがケーブル3に伝送されるとは限らない。
【0061】
従って、経路検出装置5がトレイ20-i-jから構成される配線設備2に対して用いられるときには、トレイ28-i-j,30-i-jから構成される配線設備2に対して用いられるときよりも、クランプIF500から送信される起動信号の電力は大きくされる必要がある。
【0062】
[第5の実施形態]
以下、第5の実施形態を説明する。
図10は、第3の経路検出装置6の第1の構成を示す図である。
図10に示された経路検出装置6は、
図4に示された経路検出装置4のRFID読取装置402に、クランプ502、結合ケーブル504,604、起動信号送信装置600、結合部材602-i-jおよび応答信号受信装置606が接続された構成をとる。経路検出装置6は、例えば、トレイ30-i-jを含むトレイ群24-iから構成される配線設備2におけるケーブル3の経路の検出のために用いられる。
【0063】
起動信号送信装置600は、経路検出装置5(
図9)のクランプIF500の機能のうち、起動信号の送信を、クランプ502および結合ケーブル504を介してケーブル3に送信する機能を実現する。応答信号受信装置606は、経路検出装置5のクランプIF500の機能のうち、ケーブル3から応答信号を結合部材602-i-jおよび結合ケーブル604を介して受信する機能を実現する。
【0064】
経路検出装置6のクランプ502および結合ケーブル504は、起動信号のケーブル3への送信のみに用いられ、起動信号送信装置600からの起動信号をケーブル3に送信する。結合部材602-i-jは、例えば、クランプ502と同様なクランプ、応答信号を受信するためのアンテナまたはコイルである。
【0065】
結合部材602-i-jがアンテナまたはコイルのときには、結合部材602-i-jは、トレイ30-i-jにおいて、ケーブル3からの応答信号が届く位置に取り付けられ、応答信号を受信可能なようにケーブル3に結合される。結合部材602-i-jは、ケーブル3から受信した応答信号を、結合ケーブル604を介して応答信号受信装置606に出力する。
【0066】
経路検出装置6のRFID読取装置402(
図4)は、起動信号送信装置600、クランプ502および結合ケーブル504を介してケーブル3に起動信号を送信する。また、RFID読取装置402は、この起動信号の送信に応じてRFID22それぞれから返された応答信号を、ケーブル3から結合部材602、結合ケーブル604および応答信号受信装置606を介して受信して、ID検出装置404に出力する。
【0067】
以上説明した経路検出装置6におけるように、経路検出装置4を、クランプ502、結合ケーブル504,604、起動信号送信装置600、結合部材602および応答信号受信装置606を介して任意のケーブル3に結合しても、このケーブル3のプラントシステム1および配線設備2における経路が検出され得る。
【0068】
なお、経路検出装置6も、経路検出装置5と同様に、トレイ20-i-j,28-i-j(
図2,
図7)から構成される配線設備2におけるケーブル3の経路を検出できる。このように、クランプ502および結合ケーブル504を介してケーブル3に起動信号を送信し、結合部材602および結合ケーブル504を介してケーブル3から応答信号を受信するようにすると、経路検出装置6は、様々な作業現場におけるケーブル3の経路の検出に、柔軟に対応できる。
【0069】
[第6の実施形態]
以下、第6の実施形態を説明する。
図11は、第3の経路検出装置6の第2の構成を示す図である。
図11に示された経路検出装置6は、応答信号受信装置606に、複数の結合部材602-i-j,602-i’-j’(例えば、i≠i,j≠j’)それぞれが、結合ケーブル604それぞれを介して接続された構成をとる。
【0070】
経路検出装置6のRFID読取装置402は、例えば、一定の周期で繰り返し、起動信号を起動信号送信装置600に出力する。起動信号送信装置600は、RFID読取装置402からの起動信号を、クランプ502および結合ケーブル504を介してケーブル3に送信する。
【0071】
応答信号受信装置606は、RFID読取装置402が、起動信号を起動信号送信装置600に出力するたびに、結合部材602-i-j,602-i’-j’および結合ケーブル604を介して交互に受信し、RFID読取装置402に出力する。
【0072】
なお、応答信号受信装置606の動作を適切に変更することにより、3組以上の結合部材602および結合ケーブル604が応答信号受信装置606に接続され得る。これにより、経路検出装置6は、様々な作業現場におけるケーブル3の経路の検出に、さらに柔軟に対応できる。
【0073】
[第7の実施形態]
以下、第7の実施形態を説明する。
図12は、経路探査装置7の構成を示す図である。経路探査装置7は、例えば、トレイ30-i-jを含むトレイ群24-iから構成される配線設備2におけるケーブル3の経路の探査のために用いられる。
【0074】
図12に示されるように、経路探査装置7は、クランプ502、結合ケーブル504、複数の結合部材602、複数の結合ケーブル604(
図9~
図11)、探査信号送信装置70、探査信号受信装置72および表示装置74から構成される。
【0075】
クランプ502は結合ケーブル504を介して探査信号送信装置70に接続され、複数の結合部材602それぞれは、複数の結合ケーブル604それぞれを介して探査信号受信装置72に接続される。表示装置74は探査信号受信装置72に接続される。なお、
図12において、多数のケーブル3を示す点線に重ねられた実線の部分は、クランプ502と結合されたケーブル3の経路を示す。
【0076】
探査信号送信装置70は、探査が始められると、予め決められた周波数の探査信号を、クランプ502および結合ケーブル504を介してケーブル3に、連続して送信する。
【0077】
探査信号受信装置72には、複数の結合部材602それぞれの配線設備2における位置と、複数の結合部材602それぞれを介したケーブル3からの探査信号の受信のタイミングとを対応付ける情報が、探査が始められる前に記憶される。探査が始められると、探査信号受信装置72は、予め決められた時間間隔ごとに複数の結合部材602について予め決められた順番で、ケーブル3から結合部材602および結合ケーブル604を介して、探査信号を繰り返し受信する。
【0078】
探査信号受信装置72は、探査信号を受信した結合部材602が取り付けられたトレイ30に敷設された多数のケーブル3のいずれかが、クランプ502と結合されていると判断する。探査信号受信装置72は、探査が始められる前に記憶された情報に基づいて、探査信号を受信した結合部材602が取り付けられたトレイ30の配線設備2における位置を連結する。これにより、探査信号受信装置72は、
図6に例示されたように、クランプ502と結合されたケーブル3の配線経路を得る。
【0079】
探査信号受信装置72は、このように得られたケーブル3の配線経路を示す情報を、表示装置74に出力する。表示装置74は、探査信号受信装置72から入力された情報を表示し、ケーブル3の配線経路を、経路探査装置7のユーザに示す。
【0080】
経路探査装置7により、ユーザは、経路検出装置4,5,6(
図4,
図9,
図10,
図11)によってと同様に、ケーブル3の配線経路
を知ることができる。経路検出装置4,5,6のいずれかと経路探査装置7とを併用することにより、ユーザは、経路検出装置4,5,6のいずれかのみを用いてケーブル3の配線経路を検出する場合と比べて、より信頼性高くケーブル3の配線経路を把握できる。
【0081】
なお、経路探査装置7は、トレイ20,28(
図2,
図7)から構成される配線設備2におけるケーブル3の経路も探査できる。また、経路探査装置7は、RFID22が取り付けられていないトレイから構成される配線設備におけるケーブルの探査にも用いられ得る。
【0082】
[第8の実施形態]
以下、第8の実施形態を説明する。
図13は、経路探査装置7の最も簡単な構成を示す図である。経路探査装置7は、1つの
クランプ502、1つの結合部材602および1つの結合ケーブル604のみを備える。
図13に示された構成において、探査信号受信装置72は、表示装置74に、ケーブル3から結合部材602および結合ケーブル604を介して探査信号が受信されたか否かのみを表示させる。
【0083】
図13に示された構成の経路探査装置7のユーザは、改修作業などの作業現場において、経路探査の対象としたいケーブル3に、クランプ502を結合させ、このクランプ502を、結合ケーブル504を介して探査信号送信装置70に接続する。さらに、ユーザは、クランプ502に結合されたケーブル3が敷設されたトレイ30以外のトレイ30に、結合部材602を取り付け、結合ケーブル604を介して探査信号受信装置72に接続する。
【0084】
以上の作業を行うと、クランプ502と結合されたケーブル3が、結合部材602が取り付けられたトレイ30を通っているときには、表示装置74に探査信号が受信されたことが表示される。一方、クランプ502と結合されたケーブル3が、結合部材602が取り付けられたトレイ30を通っていないときには、表示装置74に探査信号が受信されたことは表示さない。
【0085】
図13に示された構成の経路探査装置7は、改修作業などの作業現場における簡易なケーブル3の経路探査に適している。つまり、
図13に示された構成の経路探査装置7は、例えば、ケーブル3と結合されたクランプ502が存在するトレイ30の近傍のトレイ30に、クランプ502と結合されたケーブル3が通っているか否かを判断する作業に適している。このような作業において、結合部材602を所望のトレイ30の間で移動させて取り付け、結合ケーブル604を介して探査信号受信装置72に接続することにより、ユーザは、クランプ502と結合されたケーブル3が、いずれのトレイ30を通っているか否かを追うことができる。
【0086】
以下、以上説明した実施形態の具体例および変形例を説明する。プラントシステム1は、複数の配線設備2を含み得る。また、トレイ20,28,30の底面に配置されるケーブル3の数は、例えば、10程度から200~300程度である。
図2においてはトレイ20がそれぞれ7個のRFID22を有し、
図4などにおいてはトレイ20,28,30それぞれが6個のRFID22を有する場合が例示されているが、1個のトレイ20,28,30におけるRFID22の数は任意である。
【0087】
さらに、トレイ20,28,30それぞれに、起動信号および応答信号、または、探査信号の他のトレイ20,28,30への漏洩を防止可能な蓋がかぶせられてもよい。実施形態に示された応答信号の到達距離、周波数および送信のタイミングなどの具体的な数値は例示であって、プラントシステム1および経路検出装置4の構成に応じて適宜、変更され得る。
【0088】
また、無線識別装置としてRFID22が用いられる実施形態が説明されたが、実施形態において用いられる無線識別装置はRFID22に限定されない。例えば、無線識別装置が送信および受信する信号、および、探査信号として、RFID22に関して規格化された周波数帯以外の周波数(例えば20kHz以下の可聴周波数帯域)の信号を送信および受信する装置を用いることも可能である。
【0089】
また、RFID22は、配線(ケーブル)との間で信号の送信および受信に好適な場所に取付けられればよく、配線設備2自体に取付けられても、配線設備2以外に取付けられてもよい。
【0090】
さらにまた、本発明において、金属部分を含む配線とは、ケーブルが芯線として金属部分を有するケーブル、外皮シールド付きメタリックケーブル、同軸ケーブルおよび金属製のテンションケーブル付光ケーブルの他、配線の長さ方向に連続的に金属部分を有するケーブルの全てを含む。
【0091】
以上、本発明の実施の形態が説明されたが、この実施の形態は、例として提示され、発明の範囲の限定を意図していない。実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が行われ得る。実施の形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
1 プラントシステム、2 配線設備、3 ケーブル、14 コンピュータ、150 入力装置、154 出力装置、20,28,30 トレイ、22 RFID、24 トレイ群、26 給電線、32 電源装置、4,5,6 経路検出装置、7 経路探査装置、400 検出制御装置、400 検出制御装置、402 RFID読取装置、404 ID検出装置、406 経路検出装置、408 位置DB、410 経路表示装置、412 配線計画DB、500 クランプIF、502 クランプ、504,604 結合ケーブル、600 起動信号送信装置、602 結合部材、606 応答信号受信装置、70 探査信号送信装置、72 探査信号受信装置、74 表示装置