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特許7195922射出成形機、および射出成形機用の接触防止カバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】射出成形機、および射出成形機用の接触防止カバー
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/84 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
B29C45/84
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018248401
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020104500
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山下 幸貴
(72)【発明者】
【氏名】平野 秀臣
(72)【発明者】
【氏名】柴田 達也
(72)【発明者】
【氏名】森谷 知寛
(72)【発明者】
【氏名】北村 貴祐
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-205489(JP,A)
【文献】特開平05-269797(JP,A)
【文献】特開2009-056645(JP,A)
【文献】特開平01-249421(JP,A)
【文献】特開2017-071115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型が取付けられるプラテンと、
成形材料を溶融するシリンダと、
前記シリンダの先端に配置され、溶融された成形材料を前記金型に充填するノズルと、
前記ノズルおよび前記シリンダを加熱する加熱器と、
前後方向に直交する水平方向両側および鉛直方向上側から前記加熱器へのアクセスを制限する接触防止カバーとを備え、
前記ノズルは、前記プラテンのノズル穴において前記金型にタッチするタッチ位置と、前記プラテンの前記ノズル穴から退出する退出位置との間で進退し、
前記接触防止カバーは、所定の部材に対して変位可能に取付けられる可動部を有し、
前記可動部は、前記ノズルが前記退出位置から前記タッチ位置まで前進する間に、前記所定の部材に対して変位し、
前記可動部は、前記シリンダに対して変位可能に取付けられるシリンダ側可動部を有し、
前記シリンダ側可動部は、前記ノズルの位置が前記退出位置である時には、前記ノズルの位置が前記タッチ位置である時に比べて、前記シリンダに対して前記シリンダ側可動部の前端部が前方に配される、射出成形機。
【請求項2】
前記シリンダ側可動部は、前記ノズルが前記退出位置から前記タッチ位置まで前進する間に、前記シリンダに対して後方に変位する、請求項に記載の射出成形機。
【請求項3】
金型が取付けられるプラテンと、
成形材料を溶融するシリンダと、
前記シリンダの先端に配置され、溶融された成形材料を前記金型に充填するノズルと、
前記ノズルおよび前記シリンダを加熱する加熱器と、
前後方向に直交する水平方向両側および鉛直方向上側から前記加熱器へのアクセスを制限する接触防止カバーとを備え、
前記ノズルは、前記プラテンのノズル穴において前記金型にタッチするタッチ位置と、前記プラテンの前記ノズル穴から退出する退出位置との間で進退し、
前記接触防止カバーは、所定の部材に対して変位可能に取付けられる可動部を有し、
前記可動部は、前記ノズルが前記退出位置から前記タッチ位置まで前進する間に、前記所定の部材に対して変位し、
前記可動部は、前記シリンダに対して変位可能に取付けられるシリンダ側可動部を有し、
前記シリンダ側可動部は、前記ノズルが前記退出位置から前記タッチ位置まで前進する間に、前記シリンダに対して後方に変位する、射出成形機。
【請求項4】
前記シリンダ側可動部は、前記ノズルの位置が前記退出位置である時には前記アクセスを制限する位置に配され、前記ノズルが前記退出位置から前記タッチ位置まで前進する間に、前記アクセスを解除する位置に変位する、請求項のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項5】
金型が取付けられるプラテンと、
成形材料を溶融するシリンダと、
前記シリンダの先端に配置され、溶融された成形材料を前記金型に充填するノズルと、
前記ノズルおよび前記シリンダを加熱する加熱器と、
前後方向に直交する水平方向両側および鉛直方向上側から前記加熱器へのアクセスを制限する接触防止カバーとを備え、
前記ノズルは、前記プラテンのノズル穴において前記金型にタッチするタッチ位置と、前記プラテンの前記ノズル穴から退出する退出位置との間で進退し、
前記接触防止カバーは、所定の部材に対して変位可能に取付けられる可動部を有し、
前記可動部は、前記ノズルが前記退出位置から前記タッチ位置まで前進する間に、前記所定の部材に対して変位し、
前記可動部は、前記シリンダに対して変位可能に取付けられるシリンダ側可動部を有し、
前記シリンダ側可動部は、前記ノズルの位置が前記退出位置である時には前記アクセスを制限する位置に配され、前記ノズルが前記退出位置から前記タッチ位置まで前進する間に、前記アクセスを解除する位置に変位する、射出成形機。
【請求項6】
前後方向に直交する水平方向両側および鉛直方向上側から射出装置の加熱器へのアクセスを制限する接触防止カバーであって、
所定の部材に対して変位可能に取付けられる可動部を有し、
射出装置のシリンダの先端に配置されるノズルが、プラテンのノズル穴から退出する退出位置から、前記プラテンの前記ノズル穴において金型にタッチするタッチ位置に前進する間に、前記所定の部材に対して前記可動部が変位し、
前記可動部は、前記シリンダに対して変位可能に取付けられるシリンダ側可動部を有し、
前記シリンダ側可動部は、前記ノズルの位置が前記退出位置である時には、前記ノズルの位置が前記タッチ位置である時に比べて、前記シリンダに対して前記シリンダ側可動部の前端部が前方に配される、射出成形機用の接触防止カバー。
【請求項7】
前記シリンダ側可動部は、前記ノズルが前記退出位置から前記タッチ位置まで前進する間に、前記シリンダに対して後方に変位する、請求項に記載の射出成形機用の接触防止カバー
【請求項8】
前後方向に直交する水平方向両側および鉛直方向上側から射出装置の加熱器へのアクセスを制限する接触防止カバーであって、
所定の部材に対して変位可能に取付けられる可動部を有し、
射出装置のシリンダの先端に配置されるノズルが、プラテンのノズル穴から退出する退出位置から、前記プラテンの前記ノズル穴において金型にタッチするタッチ位置に前進する間に、前記所定の部材に対して前記可動部が変位し、
前記可動部は、前記シリンダに対して変位可能に取付けられるシリンダ側可動部を有し、
前記シリンダ側可動部は、前記ノズルが前記退出位置から前記タッチ位置まで前進する間に、前記シリンダに対して後方に変位する、射出成形機用の接触防止カバー。
【請求項9】
前記シリンダ側可動部は、前記ノズルの位置が前記退出位置である時には前記アクセスを制限する位置に配され、前記ノズルが前記退出位置から前記タッチ位置まで前進する間に、前記アクセスを解除する位置に変位する、請求項のいずれか1項に記載の射出成形機用の接触防止カバー
【請求項10】
前後方向に直交する水平方向両側および鉛直方向上側から射出装置の加熱器へのアクセスを制限する接触防止カバーであって、
所定の部材に対して変位可能に取付けられる可動部を有し、
射出装置のシリンダの先端に配置されるノズルが、プラテンのノズル穴から退出する退出位置から、前記プラテンの前記ノズル穴において金型にタッチするタッチ位置に前進する間に、前記所定の部材に対して前記可動部が変位し、
前記可動部は、前記シリンダに対して変位可能に取付けられるシリンダ側可動部を有し、
前記シリンダ側可動部は、前記ノズルの位置が前記退出位置である時には前記アクセスを制限する位置に配され、前記ノズルが前記退出位置から前記タッチ位置まで前進する間に、前記アクセスを解除する位置に変位する、射出成形機用の接触防止カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機、および射出成形機用の接触防止カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の射出成形機は、パージカバーと、ヒートカバーとを有する。パージカバーは、ノズルから射出される溶融樹脂の飛散を防ぐ。ノズルは、シリンダの先端部に設けられる。シリンダの周囲には、ヒータが設けられる。ヒートカバーは、ヒータへの接触を防止する。尚、ヒートカバーのみならず、パージカバーも、ヒータへの接触を防止する。ヒートカバーとパージカバーとで接触防止カバーが構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-13372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、従来例に係る接触防止カバーを示す図である。図1(a)は、ノズルの位置が退出位置である時の、ノズルと接触防止カバーとの位置関係の従来例を示す図である。図1(b)は、ノズルの位置がタッチ位置である時の、ノズルと接触防止カバーとの位置関係の従来例を示す図である。接触防止カバーの説明では、X軸方向正側を後側とも呼び、X軸方向負側を前側とも呼ぶ。X軸方向は、ノズル320の移動方向である。X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は、互いに直交する方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向であり、Z軸方向は鉛直方向である。
【0005】
射出装置300は、成形材料を溶融するシリンダ310と、シリンダ310の先端に配置され、溶融された成形材料を固定金型810に充填するノズル320と、ノズル320およびシリンダ310を加熱する加熱器313とを有する。また、射出装置300は、シリンダ310の内部に回転自在に且つ進退自在に配置されるスクリュ330を有する。さらに、射出装置300は、シリンダ310の内部に成形材料を供給するホッパ370とを有する。ホッパ370は、ペレット状の成形材料を内部に貯留し、貯留する成形材料をシリンダ310の供給口311に投下する。
【0006】
射出装置300は、固定プラテン110Aに対し進退する。固定プラテン110Aは、固定金型810が取付けられるものである。固定プラテン110Aは、ノズル穴111Aを有する。ノズル穴111Aには、ノズル320が挿抜される。ノズル320は、退出位置(図1(a)参照)と、タッチ位置(図1(b)参照)との間を進退する。ノズル320の位置がタッチ位置と退出位置との間の任意の位置で、接触防止カバー500Aが加熱器313へのアクセスを制限する。
【0007】
接触防止カバー500Aは、水平方向両側(Y軸方向両側)および鉛直方向上側(Z軸方向正側)から加熱器313へのアクセスを制限する。Y軸方向およびZ軸方向はX軸方向に直交する方向であり、X軸方向はノズル320の進退方向である。作業者が高温の加熱器313に誤って接触することを防止できる。接触防止カバー500Aは、例えば、プラテン固定カバー510Aと、シリンダ固定カバー520Aとを有する。
【0008】
ノズル320の前端部は、固定金型810にタッチする。ノズル320の前端部にもシリンダ固定カバー520Aを設けると、シリンダ固定カバー520Aと固定金型810とが干渉するので、ノズル320の前端部にはシリンダ固定カバー520Aを設けない。シリンダ固定カバー520Aは、ノズル320の前端部よりも後方に配置される。ノズル320の前端部は、ノズル穴111Aから退出した時に、シリンダ固定カバー520Aで覆われないので、プラテン固定カバー510Aで覆う。プラテン固定カバー510Aは、退出位置まで後退したノズル320の前端部を囲む。
【0009】
プラテン固定カバー510Aは、固定プラテン110Aに対して固定される。プラテン固定カバー510Aは、固定プラテン110Aの後方(X軸方向正側)に配置される。プラテン固定カバー510Aは、水平方向両側(Y軸方向両側)および鉛直方向上側(Z軸方向正側)から加熱器313へのアクセスを制限する。
【0010】
シリンダ固定カバー520Aは、シリンダ310に対して固定され、シリンダ310およびノズル320と共に進退する。ノズル320が退出位置まで後退した時に、シリンダ固定カバー520Aの前端部522Aがプラテン固定カバー510Aの後端部511Aよりも前方に配置される。ノズル320の位置がタッチ位置と退出位置との間の任意の位置で、加熱器313へのアクセスを制限できる。
【0011】
図1(b)に示すように、ノズル320の位置がタッチ位置である時に、シリンダ固定カバー520Aが固定プラテン110Aのノズル穴111Aに配置される。ノズル穴111Aは、固定プラテン110Aとシリンダ固定カバー520Aとが干渉しないように、形成される。
【0012】
ノズル穴111Aは、シリンダ固定カバー520Aの外形に合わせて形成される。ノズル穴111Aの体積が大きくなると、固定プラテン110Aの剛性が低くなる。固定プラテン110Aの剛性を高くするには、シリンダ固定カバー520Aのノズル穴111Aに挿入される部分を短くすればよい。シリンダ固定カバー520Aを短くすると、その分、プラテン固定カバー510Aを長くすることになる。図2に示すプラテン固定カバー510Bは、図1に示すプラテン固定カバー510Aよりも長い。この場合、図2(b)に示すように、射出装置300を前進する際にノズル320が固定金型810にタッチする前に、射出装置300とプラテン固定カバー510Bとが衝突してしまう。一方、図1に示すシリンダ固定カバー520Aは、図2に示すシリンダ固定カバー520Bよりも長い。この場合、プラテン固定カバー510Aを短くできるが、シリンダ固定カバー520Aを長くした分、固定プラテン110Aの剛性が低下する。
【0013】
ノズル穴111Aは、大径穴部112Aと、大径穴部112Aよりも小さい穴径の小径穴部113Aとを有する。小径穴部113Aにはノズル320が挿入されるので、小径穴部113Aの穴径はノズル320の直径よりも大きい。小径穴部113Aにはシリンダ310が挿入されないので、小径穴部113Aの穴径はシリンダ310の外径よりも小さくてよい。一方、大径穴部112Aにはシリンダ310が挿入されるので、大径穴部112Aの穴径はシリンダ310の外径よりも大きい。大径穴部112Aには、シリンダ310の他にシリンダ固定カバー520Aも挿入される。シリンダ固定カバー520Aは、大径穴部112Aに挿入され、小径穴部113Aには挿入されない。
【0014】
シリンダ固定カバー520Aがノズル穴111Aに深く挿入される位置まで設けられると、大径穴部112AのX軸方向寸法が大きくなり、小径穴部113AのX軸方向寸法が小さくなる。従って、シリンダ固定カバー520Aがノズル穴111Aに深く挿入される位置まで設けられると、ノズル穴111Aの体積が大きくなる。
【0015】
尚、ノズル穴111AのX軸方向に垂直な断面は、後側(X軸方向正側)から前側(X軸方向負側)に向うほど、連続的に小さくなってもよい。この場合も、シリンダ固定カバー520Aがノズル穴111Aに深く挿入される位置まで設けられると、ノズル穴111Aの体積が大きくなる。ノズル穴111Aは、固定プラテン110Aとシリンダ固定カバー520Aとが干渉しないように、形成されるからである。
【0016】
ノズル穴111Aの体積が大きくなるほど、固定プラテン110Aの剛性が低くなる。固定プラテン110Aの剛性が低いほど、型締工程および射出工程において固定プラテン110Aが変形しやすい。型締工程では、型締力が固定プラテン110Aに作用する。射出工程では、固定金型810の内部に充填された成形材料の圧力が固定プラテン110Aに作用する。固定プラテン110Aの変形は、成形品の品質低下につながる。
【0017】
図2は、参考例に係る接触防止カバーを示す図である。図2(a)は、ノズルの位置が退出位置である時の、ノズルと接触防止カバーとの位置関係の参考例を示す図である。図2(b)は、ノズルが退出位置からタッチ位置に前進する途中の、ノズルと接触防止カバーとの位置関係の参考例を示す図である。以下、本参考例と、従来例との相違点について主に説明する。
【0018】
本参考例のノズル穴111Bは、従来例のノズル穴111Aよりも小さな体積を有する。具体的には、本参考例の大径穴部112BのX軸方向寸法は、従来例の大径穴部112AのX軸方向寸法よりも小さい。また、本参考例の小径穴部113BのX軸方向寸法は、従来例の小径穴部113AのX軸方向寸法よりも大きい。
【0019】
本参考例のノズル穴111Bは、上述の如く、従来例のノズル穴111Aよりも小さな体積を有する。それゆえ、本参考例の固定プラテン110Bは、従来例の固定プラテン110Aよりも高い剛性を有する。
【0020】
本参考例の接触防止カバー500Bは、水平方向両側(Y軸方向両側)および鉛直方向上側(Z軸方向正側)から加熱器313へのアクセスを制限する。Y軸方向およびZ軸方向はX軸方向に直交する方向であり、X軸方向はノズル320の進退方向である。接触防止カバー500Bは、プラテン固定カバー510Bと、シリンダ固定カバー520Bとを有する。
【0021】
本参考例のシリンダ固定カバー520Bは、ノズル穴111Bに浅く挿入できるように、短く形成される。ノズル穴111Bの体積が小さいからである。より詳細には、大径穴部112BのX軸方向寸法が短いからである。本参考例のシリンダ固定カバー520Bの前端部522Bは、ノズル穴111Bに浅く挿入できるように、従来例のシリンダ固定カバー520Aの前端部522Aよりも後方に配置される。
【0022】
本参考例のプラテン固定カバー510Bは、シリンダ固定カバー520Bの短縮分、長く形成される。本参考例のプラテン固定カバー510Bの後端部511Bは、従来例のプラテン固定カバー510Aの後端部511Aよりも後方に配置される。
【0023】
プラテン固定カバー510Bが後方に延長されるので、図2(b)に示すように、ノズル320が退出位置からタッチ位置に前進する途中で、ホッパ370がプラテン固定カバー510Bに衝突する。従って、ノズル320がタッチ位置まで前進できない。ノズル320を固定金型810にタッチできないので、固定金型810の内部に成形材料を充填できず、成形品を製造できない。
【0024】
本発明の一態様は、プラテンの剛性を向上でき、且つ接触防止カバーと他の部材との干渉を回避できる、技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の一態様に係る射出成形機は、
金型が取付けられるプラテンと、
成形材料を溶融するシリンダと、
前記シリンダの先端に配置され、溶融された成形材料を前記金型に充填するノズルと、
前記ノズルおよび前記シリンダを加熱する加熱器と、
前後方向に直交する水平方向両側および鉛直方向上側から前記加熱器へのアクセスを制限する接触防止カバーとを備え、
前記ノズルは、前記プラテンのノズル穴において前記金型にタッチするタッチ位置と、前記プラテンの前記ノズル穴から退出する退出位置との間で進退し、
前記接触防止カバーは、所定の部材に対して変位可能に取付けられる可動部を有し、
前記可動部は、前記ノズルが前記退出位置から前記タッチ位置まで前進する間に、前記所定の部材に対して変位し、
前記可動部は、前記シリンダに対して変位可能に取付けられるシリンダ側可動部を有し、
前記シリンダ側可動部は、前記ノズルの位置が前記退出位置である時には、前記ノズルの位置が前記タッチ位置である時に比べて、前記シリンダに対して前記シリンダ側可動部の前端部が前方に配される。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様によれば、プラテンの剛性を向上でき、且つ接触防止カバーと他の部材との干渉を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、従来例に係る接触防止カバーを示す図である。
図2図2は、参考例に係る接触防止カバーを示す図である。
図3図3は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。
図4図4は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。
図5図5は、第1実施例に係る接触防止カバーを示す図である。
図6図6は、図5(b)のVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7は、第2実施例に係る接触防止カバーを示す図である。
図8図8は、第3実施例に係る接触防止カバーを示す図である。
図9図9は、第4実施例に係る接触防止カバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。尚、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
【0029】
(射出成形機)
図3は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。図4は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。本明細書において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X軸方向は型開閉方向であり、Y軸方向は射出成形機10の幅方向である。Y軸方向負側を操作側と呼び、Y軸方向正側を反操作側と呼ぶ。
【0030】
図3図4に示すように、射出成形機10は、型締装置100と、エジェクタ装置200と、射出装置300と、移動装置400と、制御装置700と、フレーム900とを有する。フレーム900は、型締装置フレーム910と、射出装置フレーム920とを含む。型締装置フレーム910および射出装置フレーム920は、それぞれ、レベリングアジャスタ930を介して床2に設置される。射出装置フレーム920の内部空間に、制御装置700が配置される。以下、射出成形機10の各構成要素について説明する。
【0031】
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
【0032】
型締装置100は、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。金型装置800は、固定金型810と可動金型820とを含む。
【0033】
型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構170、および型厚調整機構180を有する。
【0034】
固定プラテン110は、型締装置フレーム910に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。
【0035】
可動プラテン120は、型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置される。型締装置フレーム910上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型820が取付けられる。固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧、および型開が行われる。
【0036】
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて配設され、型締装置フレーム910上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、型締装置フレーム910上に敷設されるガイドに沿って移動自在に配置されてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
【0037】
尚、本実施形態では、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し固定され、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されるが、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し固定され、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されてもよい。
【0038】
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。複数本のタイバー140は、型開閉方向に平行に配置され、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
【0039】
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
【0040】
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群などで構成される。一対のリンク群は、それぞれ、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152と第2リンク153とを有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152と第2リンク153とが屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
【0041】
尚、トグル機構150の構成は、図3および図4に示す構成に限定されない。例えば図3および図4では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
【0042】
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152と第2リンク153とを屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
【0043】
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0044】
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、および型開工程などを行う。
【0045】
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や移動速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
【0046】
尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の移動速度を検出するクロスヘッド移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の移動速度を検出する可動プラテン移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0047】
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。
【0048】
型締工程では、型締モータ160を駆動して、クロスヘッド151の位置を型締位置に維持する。型締工程では、昇圧工程で発生させた型締力が維持される。型締工程では、可動金型820と固定金型810との間にキャビティ空間801(図4参照)が形成され、射出装置300がキャビティ空間801に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。
【0049】
キャビティ空間801の数は、1つでもよいし、複数でもよい。後者の場合、複数の成形品が同時に得られる。キャビティ空間801の一部にインサート材が配置され、キャビティ空間801の他の一部に成形材料が充填されてもよい。インサート材と成形材料とが一体化した成形品が得られる。
【0050】
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させる。型開開始位置と、型閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
【0051】
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型820から成形品を突き出す。
【0052】
型閉工程、昇圧工程および型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および昇圧工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
【0053】
脱圧工程および型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、脱圧工程および型開工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型閉完了位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
【0054】
尚、クロスヘッド151の移動速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の移動速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
【0055】
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
【0056】
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0057】
型締装置100は、型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う。なお、型厚調整のタイミングは、例えば成形サイクル終了から次の成形サイクル開始までの間に行われる。型厚調整機構180は、例えば、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に且つ進退不能に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
【0058】
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転駆動力は、回転駆動力伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。尚、回転駆動力伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
【0059】
回転駆動力伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。尚、回転駆動力伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
【0060】
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させる。その結果、トグルサポート130のタイバー140に対する位置が調整され、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lが調整される。尚、複数の型厚調整機構が組合わせて用いられてもよい。
【0061】
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0062】
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
【0063】
尚、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
【0064】
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
【0065】
エジェクタ装置200は、可動プラテン120に取付けられ、可動プラテン120と共に進退する。エジェクタ装置200は、金型装置800から成形品を突き出すエジェクタロッド210と、エジェクタロッド210をX軸方向に移動させる駆動機構220とを有する。
【0066】
エジェクタロッド210は、可動プラテン120の貫通穴に進退自在に配置される。エジェクタロッド210の前端部は、可動金型820の内部に進退自在に配置される可動部材830と接触する。エジェクタロッド210の前端部は、可動部材830と連結されていても、連結されていなくてもよい。
【0067】
駆動機構220は、例えば、エジェクタモータと、エジェクタモータの回転運動をエジェクタロッド210の直線運動に変換する運動変換機構とを有する。運動変換機構は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0068】
エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。突き出し工程では、エジェクタロッド210を設定移動速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動部材830を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータを駆動してエジェクタロッド210を設定移動速度で後退させ、可動部材830を元の待機位置まで後退させる。
【0069】
エジェクタロッド210の位置や移動速度は、例えばエジェクタモータエンコーダを用いて検出する。エジェクタモータエンコーダは、エジェクタモータの回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、エジェクタロッド210の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、およびエジェクタロッド210の移動速度を検出するエジェクタロッド移動速度検出器は、エジェクタモータエンコーダに限定されず、一般的なものを使用できる。
【0070】
(射出装置)
射出装置300の説明では、型締装置100の説明やエジェクタ装置200の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
【0071】
射出装置300はスライドベース301に設置され、スライドベース301は射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800にタッチし、金型装置800内のキャビティ空間801に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、シリンダ310、ノズル320、スクリュ330、計量モータ340、射出モータ350、圧力検出器360などを有する。
【0072】
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
【0073】
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(例えばX軸方向)に複数のゾーンに区分される。複数のゾーンのそれぞれに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。複数のゾーンのそれぞれに設定温度が設定され、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0074】
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。ノズル320とシリンダ310とで、ノズル付きシリンダ321が構成される。
【0075】
スクリュ330は、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800内に充填される。
【0076】
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
【0077】
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図4参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
【0078】
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図3参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
【0079】
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
【0080】
尚、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
【0081】
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
【0082】
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
【0083】
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される力を検出する。検出した力は、制御装置700で圧力に換算される。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する力を検出する。
【0084】
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
【0085】
射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程および保圧工程などを行う。充填工程と保圧工程とをまとめて射出工程とも呼ぶ。
【0086】
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転速度で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転速度は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、スクリュ330の回転速度を検出するスクリュ回転速度検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0087】
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
【0088】
計量工程におけるスクリュ330の位置および回転速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、計量開始位置、回転速度切換位置および計量完了位置が設定される。これらの位置は、前側から後方に向けてこの順で並び、回転速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、回転速度が設定される。回転速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。回転速度切換位置は、設定されなくてもよい。また、区間毎に背圧が設定される。
【0089】
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定移動速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800内のキャビティ空間801に充填させる。スクリュ330の位置や移動速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切換(所謂、V/P切換)が行われる。V/P切換が行われる位置をV/P切換位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定移動速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
【0090】
充填工程におけるスクリュ330の位置および移動速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)、移動速度切換位置およびV/P切換位置が設定される。これらの位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。
【0091】
スクリュ330の移動速度が設定される区間毎に、スクリュ330の圧力の上限値が設定される。スクリュ330の圧力は、圧力検出器360によって検出される。圧力検出器360の検出値が設定圧力以下である場合、スクリュ330は設定移動速度で前進される。一方、圧力検出器360の検出値が設定圧力を超える場合、金型保護を目的として、圧力検出器360の検出値が設定圧力以下となるように、スクリュ330は設定移動速度よりも遅い移動速度で前進される。
【0092】
尚、充填工程においてスクリュ330の位置がV/P切換位置に達した後、V/P切換位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切換が行われてもよい。V/P切換の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の移動速度を検出するスクリュ移動速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0093】
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800に向けて押す。金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。保圧工程における保持圧力および保持圧力を保持する保持時間は、それぞれ複数設定されてよく、一連の設定条件として、まとめて設定されてよい。
【0094】
保圧工程では金型装置800内のキャビティ空間801の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間801の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間801からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間801内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮を目的として、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
【0095】
尚、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内には、スクリュが回転自在に且つ進退不能に配置され、またはスクリュが回転自在に且つ進退自在に配置される。一方、射出シリンダ内には、プランジャが進退自在に配置される。
【0096】
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
【0097】
(移動装置)
移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
【0098】
移動装置400は、金型装置800に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置800に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。
【0099】
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切換えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
【0100】
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
【0101】
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
【0102】
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型810に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
【0103】
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型810から離間される。
【0104】
尚、本実施形態では移動装置400は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
【0105】
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、図3図4に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
【0106】
制御装置700は、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」または「サイクル時間」とも呼ぶ。
【0107】
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の間に行われる。型締工程の開始は充填工程の開始と一致してもよい。脱圧工程の終了は型開工程の開始と一致する。
【0108】
尚、成形サイクル時間の短縮を目的として、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、型締工程の間に行われてよい。この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないからである。
【0109】
尚、一回の成形サイクルは、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、および突き出し工程以外の工程を有してもよい。
【0110】
例えば、保圧工程の完了後、計量工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された計量開始位置まで後退させる計量前サックバック工程が行われてもよい。計量工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、計量工程の開始時のスクリュ330の急激な後退を防止できる。
【0111】
また、計量工程の完了後、充填工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)まで後退させる計量後サックバック工程が行われてもよい。充填工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、充填工程の開始前のノズル320からの成形材料の漏出を防止できる。
【0112】
制御装置700は、操作装置750や表示装置760と接続されている。操作装置750は、ユーザによる入力操作を受け付け、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。表示装置760は、制御装置700による制御下で、操作装置750における入力操作に応じた表示画面を表示する。
【0113】
表示画面は、射出成形機10の設定などに用いられる。表示画面は、複数用意され、切換えて表示されたり、重ねて表示されたりする。ユーザは、表示装置760で表示される表示画面を見ながら、操作装置750を操作することにより射出成形機10の設定(設定値の入力を含む)などを行う。
【0114】
操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネルで構成され、一体化されてよい。尚、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、一体化されているが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。操作装置750および表示装置760は、型締装置100(より詳細には固定プラテン110)のY軸方向負側に配置される。Y軸方向負側を操作側と呼び、Y軸方向正側を反操作側と呼ぶ。
【0115】
(第1実施例の接触防止カバー)
図5は、第1実施例に係る接触防止カバーを示す図である。図5(a)は、ノズルの位置が退出位置である時の、ノズルと接触防止カバーとの位置関係の第1実施例を示す図である。図5(b)は、ノズルの位置がタッチ位置である時の、ノズルと接触防止カバーとの位置関係の第1実施例を示す図である。図6は、図5(b)のVI-VI線に沿った断面図である。以下、本実施例と、参考例および従来例との相違点について主に説明する。
【0116】
射出装置300は、固定プラテン110Cに対し進退する。固定プラテン110Cは、固定金型810が取付けられるものである。固定プラテン110Cは、ノズル穴111Cを有する。ノズル穴111Cは、型開閉方向視で固定プラテン110Cの中央部に形成され、固定プラテン110Cを型開閉方向に貫通する。ノズル穴111Cは、上下対称に形成される。固定プラテン110Cの剛性を上下対称にすることができる。ノズル穴111Cには、ノズル320が挿抜される。ノズル320は、退出位置(図5(a)参照)と、タッチ位置(図5(b)参照)との間を進退する。
【0117】
タッチ位置は、ノズル320がノズル穴111Cに進入して固定金型810にタッチする位置である。ノズル320は、タッチ位置で、シリンダ310の内部に溜まった成形材料を、固定金型810の内部に射出する。この動作を、成形動作とも呼ぶ。
【0118】
成形動作は、例えば、スクリュ330の回転とスクリュ330の進退とを含む。先ず、射出装置300は、スクリュ330を回転させることにより、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。シリンダ310の前部に成形材料が蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、射出装置300は、スクリュ330を前進させることにより、スクリュ330の前方に蓄積された成形材料をノズル320から固定金型810の内部に射出する。
【0119】
一方、退出位置は、ノズル320がノズル穴111Cから退出する位置である。ノズル320は、退出位置で、シリンダ310の内部に溜まった成形材料を、固定金型810の外部に射出する。この動作を、パージ動作とも呼ぶ。パージ動作は、例えば、成形動作が一時停止された時に行われる。シリンダ310の内部で熱劣化した成形材料を排出できる。排出された成形材料は、ノズル320の真下に配置される回収皿に回収される。尚、パージ動作は、シリンダ310の内部の成形材料の種類を替える時にも行われる。ここで、成形材料の種類とは、樹脂の組成、および樹脂の色などを含む。
【0120】
パージ動作は、例えば、成形動作と同様に、スクリュ330の回転とスクリュ330の進退とを含む。先ず、射出装置300は、スクリュ330を回転させることにより、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。シリンダ310の前部に成形材料が蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、射出装置300は、スクリュ330を前進させることにより、スクリュ330の前方に蓄積された成形材料をノズル320から固定金型810の外部に射出する。パージ動作は、間欠的または連続的に、繰り返し行われる。
【0121】
尚、パージ動作は、スクリュ330の回転のみを含んでもよい。射出装置300は、スクリュ330を進退停止させると共に、スクリュ330を回転させる。スクリュ330の回転によって、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。その結果、シリンダ310内の成形材料が、ノズル320から固定金型810の外部に射出される。
【0122】
ノズル320とシリンダ310とで、ノズル付きシリンダ321が構成される。ノズル付きシリンダ321は、ノズル穴111Cに挿入される挿入部X1と、ノズル穴111Cに挿入されない非挿入部X2とを有する。非挿入部X2は、ノズル320の位置がタッチ位置である時に、ノズル穴111Cよりも後方に配される部分である。
【0123】
本実施例のノズル穴111Cは、参考例のノズル穴111Bと同様に、従来例のノズル穴111Aよりも小さな体積を有する。具体的には、本実施例の大径穴部112CのX軸方向寸法は、従来例の大径穴部112AのX軸方向寸法よりも小さい。また、本実施例の小径穴部113CのX軸方向寸法は、従来例の小径穴部113AのX軸方向寸法よりも大きい。
【0124】
本実施例のノズル穴111Cは、上述の如く、参考例のノズル穴111Bと同様に、従来例のノズル穴111Aよりも小さな体積を有する。それゆえ、本実施例の固定プラテン110Cは、参考例の固定プラテン110Bと同様に、従来例の固定プラテン110Aよりも高い剛性を有する。
【0125】
本実施例の接触防止カバー500Cは、水平方向両側(Y軸方向両側)および鉛直方向上側(Z軸方向正側)から加熱器313へのアクセスを制限する。Y軸方向およびZ軸方向はX軸方向に直交する方向であり、X軸方向はノズル320の進退方向である。接触防止カバー500Cは、鉛直方向下側から加熱器313へのアクセスを、制限してもよいし、制限しなくてもよい。加熱器313の下側にはフレーム900が配置されるので、鉛直方向下側からの加熱器313へのアクセスは困難なためである。接触防止カバー500Cは、プラテン固定カバー510Cと、シリンダ固定カバー520Cとを有する。
【0126】
プラテン固定カバー510Cは、固定プラテン110Cに対して固定される。プラテン固定カバー510Cは、固定プラテン110Cの後方(X軸方向正側)に配置される。プラテン固定カバー510Cは、水平方向両側(Y軸方向両側)および鉛直方向上側(Z軸方向正側)から加熱器313へのアクセスを制限する。プラテン固定カバー510Cは、例えば、Y軸方向に垂直な2枚の側面パネル515C、516Cと、Z軸方向に垂直な上面パネル517Cとを有する。上面パネル517Cは、2枚の側面パネル515C、516Cの上端部同士をつなぐ。
【0127】
シリンダ固定カバー520Cは、シリンダ310に対して固定され、シリンダ310およびノズル320と共に進退する。シリンダ固定カバー520Cは、例えば、シリンダ固定カバー本体530Cと、下カバー540Cとを有する。
【0128】
シリンダ固定カバー本体530Cは、水平方向両側(Y軸方向両側)および鉛直方向上側(Z軸方向正側)から加熱器313へのアクセスを制限する。シリンダ固定カバー本体530Cは、例えば、X軸方向視で、二重構造を有する。シリンダ固定カバー本体530Cは、内カバー531Cと、内カバー531Cの外側に配置される外カバー535Cとを有する。
【0129】
内カバー531Cは、例えば、Y軸方向に垂直な2枚の側面パネル532C、533Cと、X軸方向視で上に凸の上面パネル534Cとを有する。上面パネル534Cは、2枚の側面パネル532C、533Cの上端部同士をつなぐ。同様に、外カバー535Cは、Y軸方向に垂直な2枚の側面パネル536C、537Cと、X軸方向視で上に凸の上面パネル538Cとを有する。上面パネル538Cは、2枚の側面パネル536C、537Cの上端部同士をつなぐ。
【0130】
加熱器313と内カバー531Cとの間には、空気層が形成される。空気層は、断熱層として機能し、加熱器313から内カバー531Cへの熱の移動を制限する。内カバー531Cの温度上昇を抑制できる。尚、加熱器313と内カバー531Cとの間には、セラミックス繊維などで構成される断熱材が配置されてもよい。
【0131】
内カバー531Cと外カバー535Cとの間には、空気層が形成される。空気層は、断熱層として機能し、内カバー531Cから外カバー535Cへの熱の移動を制限する。外カバー535Cの温度上昇を抑制できる。尚、内カバー531Cと外カバー535Cとの間には、セラミックス繊維などで構成される断熱材が配置されてもよい。
【0132】
下カバー540Cは、例えば、水平な板状に形成される。下カバー540Cは、シリンダ固定カバー本体530Cの内部に配置される。加熱器313と下カバー540Cとの間には、空気層が形成される。空気層は、断熱層として機能し、加熱器313から下カバー540Cへの熱の移動を制限する。下カバー540Cの温度上昇を抑制できる。尚、加熱器313と下カバー540Cとの間には、セラミックス繊維などで構成される断熱材が配置されてもよい。
【0133】
本実施例のシリンダ固定カバー520Cは、ノズル穴111Cに浅く挿入できるように、短く形成される。尚、シリンダ固定カバー520Cは、本実施例ではノズル穴111Cに浅く挿入されるが、全く挿入されてなくてもよい。シリンダ固定カバー520Cを短く形成するのは、ノズル穴111Cの体積が小さいからである。より詳細には、大径穴部112CのX軸方向寸法が短いからである。本実施例のシリンダ固定カバー520Cの前端部522Cは、ノズル穴111Cに浅く挿入できるように、従来例のシリンダ固定カバー520Aの前端部522Aよりも後方に配置される。
【0134】
本実施例のプラテン固定カバー510Cは、参考例のプラテン固定カバー510Bとは異なり、ホッパ370と干渉しないように形成される。例えば、本実施例のプラテン固定カバー510Cは、従来例のプラテン固定カバー510Aと同程度のX軸方向寸法を有する。
【0135】
本実施例の接触防止カバー500Cは、プラテン可動カバー550Cをさらに有する。プラテン可動カバー550Cは、例えばプラテン固定カバー510Cを介して固定プラテン110Cに対して変位可能に取付けられる。
【0136】
プラテン可動カバー550Cは、例えばプラテン固定カバー510Cに対して進退可能に取付けられる。プラテン可動カバー550Cとプラテン固定カバー510Cとで、プラテンカバー560Cが構成される。プラテンカバー560Cは、固定プラテン110Cに取付けられ、固定プラテン110Cの後方に配置される。プラテンカバー560Cは、X軸方向に伸縮する伸縮カバーである。
【0137】
プラテン可動カバー550Cは、プラテン固定カバー510Cと同様に、水平方向両側(Y軸方向両側)および鉛直方向上側(Z軸方向正側)から加熱器313へのアクセスを制限する。プラテン可動カバー550Cは、例えば、Y軸方向に垂直な2枚の側面パネル555C、556Cと、Z軸方向に垂直な上面パネル557Cとを有する。上面パネル557Cは、2枚の側面パネル555C、556Cの上端部同士をつなぐ。
【0138】
プラテン可動カバー550Cは、プラテン固定カバー510Cから後方に突出する。プラテン可動カバー550Cが後退することにより、プラテンカバー560CのX軸方向寸法が長くなる。一方、プラテン可動カバー550Cが前進することにより、プラテンカバー560CのX軸方向寸法が短くなる。
【0139】
本実施例の接触防止カバー500Cは、押し部570Cをさらに有する。押し部570Cは、シリンダ310およびノズル320と共に進退し、プラテン可動カバー550Cの後方からプラテン可動カバー550Cを前方に押す。プラテン可動カバー550Cを前進させるのに、移動装置400のノズル320を前進させる駆動力を利用できる。
【0140】
押し部570Cは、X軸方向に垂直な面571Cで、プラテン可動カバー550Cを前方に押す。ホッパ370の傾斜面でプラテン可動カバー550Cを前方に押す場合に比べて、プラテン可動カバー550Cを真っ直ぐ前に押すことができる。
【0141】
押し部570Cは、例えば、シリンダ固定カバー520Cに取付けられる。尚、押し部570Cの取付位置は、特に限定されない。例えば、押し部570Cは、ホッパ370に取付けられてもよく、接触防止カバー500Cの一部ではなくてもよい。
【0142】
本実施例の接触防止カバー500Cは、弾性変形部580Cをさらに有する。弾性変形部580Cは、例えばバネである。弾性変形部580Cは、X軸方向に弾性変形し、その弾性復元力でプラテン可動カバー550Cを後方に押す。プラテン可動カバー550Cを後退させるのに、弾性変形部580Cの弾性復元力を利用できる。
【0143】
弾性変形部580Cは、例えば、後端部がプラテン可動カバー550Cに取付けられ、前端部がプラテン固定カバー510Cに取付けられる。尚、弾性変形部580Cの取付位置は特に限定されない。例えば、弾性変形部580Cの前端部は、固定プラテン110Cに取付けられてもよい。
【0144】
移動装置400がノズル320を退出位置からタッチ位置に向けて前進させると、押し部570Cが前進してプラテン可動カバー550Cに当接しプラテン可動カバー550Cを前方に押す。続いて、移動装置400がノズル320をタッチ位置まで前進させる間、プラテン可動カバー550Cは、弾性変形部580Cの弾性復元力に抗して前進する。
【0145】
一方、移動装置400がノズル320をタッチ位置から退出位置に向けて後退させると、押し部570Cが後退する。それゆえ、プラテン可動カバー550Cは、弾性変形部580Cの弾性復元力によって後退する。弾性変形部580CのX軸方向寸法が自然長に戻り、弾性変形部580Cの弾性復元力がゼロに戻ると、プラテン可動カバー550Cが停止する。続いて、移動装置400がノズル320を退出位置まで後退させる間、押し部570Cは後退するのでプラテン可動カバー550Cから離れる。
【0146】
本実施例のプラテン可動カバー550Cは、特許請求の範囲に記載のプラテン側可動部の一例である。本実施例によれば、ノズル320の位置がタッチ位置である時には、ノズル320の位置が退出位置である時に比べて、プラテン可動カバー550Cの後端部551Cが前方に配される。プラテン可動カバー550Cの変位によって、ホッパ370によるノズル320の前進中断を回避でき、ノズル320をタッチ位置まで前進できる。
【0147】
また、本実施例によれば、ノズル320の位置が退出位置である時には、ノズル320の位置がタッチ位置である時に比べて、プラテン可動カバー550Cの後端部551Cが後方に配される。後端部551Cの変位分、シリンダ固定カバー520Cを短く形成できる。従って、シリンダ固定カバー520Cをノズル穴111Cに浅く挿入でき、ノズル穴111Cの体積を小さくでき、固定プラテン110Cの剛性を高くできる。
【0148】
尚、プラテン可動カバー550Cの後端部551Cの変位の大きさを大きくすれば、シリンダ固定カバー520Cをノズル穴111Cに全く挿入しないことも可能である。シリンダ固定カバー520Cは、本実施例では、ノズル付きシリンダ321の挿入部X1と非挿入部X2との両方をカバーするが、非挿入部X2のみをカバーしてもよい。後者の場合、シリンダ固定カバー520Cがノズル穴111Cに挿入されないので、ノズル穴111Cの体積をより小さくでき、固定プラテン110Cの剛性をより高くできる。
【0149】
また、本実施例によれば、ノズル320が退出位置からタッチ位置まで前進する間に、固定プラテン110Cに対してプラテン可動カバー550Cが前方に変位する。プラテン可動カバー550Cの変位によって、ホッパ370によるノズル320の前進中断を回避でき、ノズル320をタッチ位置まで前進できる。
【0150】
また、本実施例によれば、ノズル320がタッチ位置から退出位置まで後退する間に、固定プラテン110Cに対してプラテン可動カバー550Cが後方に変位する。後方への変位分、シリンダ固定カバー520Cを短く形成できる。従って、シリンダ固定カバー520Cをノズル穴111Cに浅く挿入でき、ノズル穴111Cの体積を小さくでき、固定プラテン110Eの剛性を高くできる。
【0151】
本実施例のプラテン可動カバー550Cは、シリンダ固定カバー520Cと連結されておらず、シリンダ310と連結されていない。それゆえ、接触防止カバー500Cを分解することなくノズル320を退出位置よりもさらに後退できるので、容易に射出装置300のメンテナンスを実施できる。
【0152】
本実施例によれば、ノズル320の前進に伴って、プラテン可動カバー550Cが前進する。移動装置400のノズル320を前進させる駆動力を利用して、プラテン可動カバー550Cを前進できる。また、本変形例によれば、ノズル320の後退に伴って、プラテン可動カバー550Cが後退する。弾性変形部580Cの弾性復元力を利用して、プラテン可動カバー550Cを後退できる。弾性変形部580Cの弾性復元力は、ノズル320の前進に伴って生じたものである。
【0153】
尚、本実施例ではプラテン可動カバー550Cを進退させるのに、移動装置400のノズル320を進退させる駆動力と、弾性変形部580Cの弾性復元力との両方を利用するが、プラテン可動カバー550Cを進退させる方法は特に限定されない。例えば、下記第2実施例のように、弾性変形部580Cの弾性復元力を利用することなく、移動装置400のノズル320を進退させる駆動力を利用してもよい。
【0154】
(第2実施例の接触防止カバー)
図7は、第2実施例に係る接触防止カバーを示す図である。図7(a)は、ノズルの位置が退出位置である時の、ノズルと接触防止カバーとの位置関係の第2実施例を示す図である。図7(b)は、ノズルの位置がタッチ位置である時の、ノズルと接触防止カバーとの位置関係の第2実施例を示す図である。以下、本実施例と、第1実施例との相違点について主に説明する。
【0155】
本実施例のノズル穴111Dは、上記第1実施例のノズル穴111Cと同様に、従来例のノズル穴111Aよりも小さな体積を有する。それゆえ、本実施例の固定プラテン110Dは、上記第1実施例の固定プラテン110Cと同様に、従来例の固定プラテン110Aよりも高い剛性を有する。
【0156】
本実施例のノズル穴111Dは、上記第1実施例のノズル穴111Cよりも小さな体積を有する。ノズル穴111Dは、大径穴部112Dおよび小径穴部113Dの他に、中径穴部114Dを有するからである。
【0157】
中径穴部114Dは、大径穴部112Dと小径穴部113Dとの間に形成される。中径穴部114Dの穴径は、大径穴部112Dの穴径よりも小さく、小径穴部113Dの穴径よりも大きい。
【0158】
中径穴部114Dにはシリンダ310が挿入されるので、中径穴部114Dの穴径はシリンダ310の外径よりも大きい。シリンダ固定カバー520Dは、大径穴部112Dにのみ挿入され、中径穴部114Dには挿入されない。
【0159】
本実施例のノズル穴111Dは、上述の如く、上記第1実施例のノズル穴111Cよりも小さな体積を有する。それゆえ、本実施例の固定プラテン110Dは、上記第1実施例の固定プラテン110Cよりも高い剛性を有する。
【0160】
本実施例の接触防止カバー500Dは、水平方向両側(Y軸方向両側)および鉛直方向上側(Z軸方向正側)から加熱器313へのアクセスを制限する。Y軸方向およびZ軸方向はX軸方向に直交する方向であり、X軸方向はノズル320の進退方向である。接触防止カバー500Dは、プラテン固定カバー510Dと、シリンダ固定カバー520Dとを有する。
【0161】
本実施例のシリンダ固定カバー520Dは、上記第1実施例のシリンダ固定カバー520Cと同様に、ノズル穴111Dに浅く挿入できるように、短く形成される。尚、シリンダ固定カバー520Dは、本実施例ではノズル穴111Dに浅く挿入されるが、全く挿入されてなくてもよい。シリンダ固定カバー520Dを短く形成するのは、ノズル穴111Cの体積が小さいからである。本実施例のシリンダ固定カバー520Dの前端部522Dは、ノズル穴111Dに浅く挿入できるように、従来例のシリンダ固定カバー520Aの前端部522Aよりも後方に配置される。
【0162】
本実施例の接触防止カバー500Dは、上記第1実施例の接触防止カバー500Cと同様に、プラテン可動カバー550Dとを有する。プラテン可動カバー550Dは、例えばプラテン固定カバー510Dを介して固定プラテン110Dに対して変位可能に取付けられる。
【0163】
プラテン可動カバー550Dは、例えばプラテン固定カバー510Dに対して進退可能に取付けられる。プラテン可動カバー550Dとプラテン固定カバー510Dとで、プラテンカバー560Dが構成される。プラテンカバー560Dは、固定プラテン110Dに取付けられ、固定プラテン110Dの後方に配置される。プラテンカバー560Dは、X軸方向に伸縮する伸縮カバーである。
【0164】
プラテン可動カバー550Dは、プラテン固定カバー510Dから後方に突出する。プラテン可動カバー550Dが後退することにより、プラテンカバー560DのX軸方向寸法が長くなる。一方、プラテン可動カバー550Dが前進することにより、プラテンカバー560DのX軸方向寸法が短くなる。
【0165】
本実施例の接触防止カバー500Dは、押し部570Dをさらに有する。押し部570Dは、上記第1実施例の押し部570Cと同様に、シリンダ310およびノズル320と共に進退する。押し部570Dは、上記第1実施例の押し部570Cとは異なり、プラテン可動カバー550Dを前後両方向に押す。
【0166】
押し部570Dは、例えば、シリンダ固定カバー520Dに取付けられる。押し部570Dは、例えば棒状に形成され、鉛直に配置される。押し部570Dは、プラテン可動カバー550Dの穴553Dに挿入され、プラテン可動カバー550Dを前後両方向に押す。プラテン可動カバー550Dを進退させるのに、移動装置400のノズル320を進退させる駆動力を利用できる。
【0167】
穴553DのX軸方向寸法は、押し部570DのX軸方向寸法よりも長い。穴553Dの内部で、押し部570DがX軸方向に相対的に移動できる。ノズル320の移動距離よりもプラテン可動カバー550Dの移動距離を短くでき、プラテン可動カバー550Dと固定プラテン110Dとの干渉を防止できる。
【0168】
尚、押し部570Dと穴553Dとの配置は逆でもよい。例えば押し部570Dはプラテン可動カバー550Dに取付けられ、穴553Dはシリンダ固定カバー520Dに形成されてもよい。
【0169】
また、押し部570Dの取付位置は、特に限定されない。例えば、押し部570Dは、プラテン可動カバー550Dを前後両方向に押すことができる限り、ホッパ370に取付けられてもよく、接触防止カバー500Dの一部ではなくてもよい。
【0170】
移動装置400がノズル320を退出位置からタッチ位置に向けて前進させると、押し部570Dがプラテン可動カバー550Dの穴553Dの内部を前進する。押し部570Dは、穴553Dの前端部に達すると、プラテン可動カバー550Dを前方に押す。続いて、移動装置400がノズル320をタッチ位置まで前進させる間、プラテン可動カバー550Dが押し部570Dに押されて前進する。
【0171】
一方、移動装置400がノズル320をタッチ位置から退出位置に向けて後退させると、押し部570Dがプラテン可動カバー550Dの穴553Dの内部を後退する。押し部570Dは、穴553Dの後端部に達すると、プラテン可動カバー550Dを後方に押す。続いて、移動装置400がノズル320を退出位置まで後退させる間、プラテン可動カバー550Dが押し部570Dに押されて後退する。
【0172】
本実施例のプラテン可動カバー550Dは、特許請求の範囲に記載のプラテン側可動部の一例である。本実施例によれば、ノズル320の位置がタッチ位置である時には、ノズル320の位置が退出位置である時に比べて、プラテン可動カバー550Dの後端部551Dが前方に配される。プラテン可動カバー550Dの変位によって、ホッパ370によるノズル320の前進中断を回避でき、ノズル320をタッチ位置まで前進できる。
【0173】
また、本実施例によれば、ノズル320の位置が退出位置である時には、ノズル320の位置がタッチ位置である時に比べて、プラテン可動カバー550Dの後端部551Dが後方に配される。後端部551Dの変位分、シリンダ固定カバー520Dを短く形成できる。従って、シリンダ固定カバー520Dをノズル穴111Dに浅く挿入でき、ノズル穴111Dの体積を小さくでき、固定プラテン110Dの剛性を高くできる。
【0174】
尚、プラテン可動カバー550Dの後端部551Dの変位の大きさを大きくすれば、シリンダ固定カバー520Dをノズル穴111Dに全く挿入しないことも可能である。シリンダ固定カバー520Dは、本実施例では、ノズル付きシリンダ321の挿入部X1と非挿入部X2との両方をカバーするが、非挿入部X2のみをカバーしてもよい。後者の場合、シリンダ固定カバー520Dがノズル穴111Dに挿入されないので、ノズル穴111Dの体積をより小さくでき、固定プラテン110Dの剛性をより高くできる。
【0175】
また、本実施例によれば、ノズル320が退出位置からタッチ位置まで前進する間に、固定プラテン110Dに対してプラテン可動カバー550Dが前方に変位する。プラテン可動カバー550Dの変位によって、ホッパ370によるノズル320の前進中断を回避でき、ノズル320をタッチ位置まで前進できる。
【0176】
また、本実施例によれば、ノズル320がタッチ位置から退出位置まで後退する間に、固定プラテン110Dに対してプラテン可動カバー550Dが後方に変位する。後方への変位分、シリンダ固定カバー520Dを短く形成できる。従って、シリンダ固定カバー520Dをノズル穴111Dに浅く挿入でき、ノズル穴111Dの体積を小さくでき、固定プラテン110Dの剛性を高くできる。
【0177】
尚、本実施例ではプラテン可動カバー550Dとプラテン固定カバー510Dとでプラテンカバー560Dが構成されるが、プラテンカバー560Dの構成は特に限定されない。上記第1実施例において同様である。例えば、プラテンカバー560Dは、プラテン可動カバー550Dとプラテン固定カバー510Dとの間に蛇腹式のフレキシブルカバーを有する伸縮カバーでもよい。また、プラテンカバー560Dは、蛇腹式ではなく、テレスコピック式の伸縮カバーでもよく、プラテン可動カバー550Dを複数有してもよい。上記第1実施例において同様である。
【0178】
本実施例によれば、ノズル320の前進に伴って、プラテン可動カバー550Dが前進する。移動装置400のノズル320を前進させる駆動力を利用して、プラテン可動カバー550Dを前進できる。また、本変形例によれば、ノズル320の後退に伴って、プラテン可動カバー550Dが後退する。移動装置400のノズル320を後退させる駆動力を利用して、プラテン可動カバー550Dを後退できる。
【0179】
尚、本実施例ではプラテン可動カバー550Dを進退させるのに、移動装置400のノズル320を進退させる駆動力を利用するが、本発明はこれには限定されない。移動装置400とは別に、プラテン可動カバー550Dを進退させる専用の駆動装置が設けられてもよい。この駆動装置としては、例えば油圧シリンダまたは空気圧シリンダが用いられる。上記第1実施例において同様である。
【0180】
(第3実施例の接触防止カバー)
図8は、第3実施例に係る接触防止カバーを示す図である。図8(a)は、ノズルの位置が退出位置である時の、ノズルと接触防止カバーとの位置関係の第3実施例を示す図である。図8(b)は、ノズルの位置がタッチ位置である時の、ノズルと接触防止カバーとの位置関係の第3実施例を示す図である。以下、本実施例と、第1実施例および第2実施例との相違点について主に説明する。
【0181】
本実施例のノズル穴111Eは、上記第1実施例のノズル穴111Cと同様に、従来例のノズル穴111Aよりも小さな体積を有する。それゆえ、本実施例の固定プラテン110Eは、上記第1実施例の固定プラテン110Cと同様に、従来例の固定プラテン110Aよりも高い剛性を有する。
【0182】
本実施例の接触防止カバー500Eは、水平方向両側(Y軸方向両側)および鉛直方向上側(Z軸方向正側)から加熱器313へのアクセスを制限する。Y軸方向およびZ軸方向はX軸方向に直交する方向であり、X軸方向はノズル320の進退方向である。接触防止カバー500Eは、プラテン固定カバー510Eと、シリンダ固定カバー520Eとを有する。
【0183】
本実施例の接触防止カバー500Eは、上記第1実施例の接触防止カバー500Cとは異なり、シリンダ可動カバー550Eをさらに有する。シリンダ可動カバー550Eは、例えばシリンダ固定カバー520Eを介してシリンダ310に対して変位可能に取付けられる。
【0184】
シリンダ可動カバー550Eは、例えばシリンダ固定カバー520Eに対して進退可能に取付けられる。シリンダ可動カバー550Eとシリンダ固定カバー520Eとで、シリンダカバー560Eが構成される。シリンダカバー560Eは、シリンダ310に取付けられ、シリンダ310を囲むように配置される。シリンダカバー560Eは、X軸方向に伸縮する伸縮カバーである。
【0185】
シリンダ可動カバー550Eは、シリンダ固定カバー520Eと同様に、水平方向両側(Y軸方向両側)および鉛直方向上側(Z軸方向正側)から加熱器313へのアクセスを制限する。シリンダ可動カバー550Eは、例えば、X軸方向視で、逆U字状に形成される。
【0186】
シリンダ可動カバー550Eは、図8(a)に示すように、シリンダ固定カバー520Eから前方に突出する。シリンダ可動カバー550Eの前端部552Eは、プラテン固定カバー510Eの後端部511Eよりも前方に配置される。
【0187】
シリンダ可動カバー550Eがシリンダ固定カバー520Eに対して相対的に後退することにより、シリンダカバー560EのX軸方向寸法が短くなる。一方、シリンダ可動カバー550Eがシリンダ固定カバー520Eに対して相対的に前進することにより、シリンダカバー560EのX軸方向寸法が長くなる。
【0188】
本実施例の接触防止カバー500Eは、押し部570Eをさらに有する。押し部570Eは、シリンダ310およびノズル320と共に進退する。押し部570Eは、例えばシリンダ固定カバー520Eに取付けられ、シリンダ可動カバー550Eを前後両方向に押す。
【0189】
押し部570Eは、弾性変形部580Eを介して、シリンダ可動カバー550Eを前後方向に押す。弾性変形部580Eは、例えばバネである。弾性変形部580Eは、X軸方向に弾性変形する。
【0190】
弾性変形部580Eは、例えば、後端部が押し部570Eに取付けられ、前端部がシリンダ可動カバー550Eに取付けられる。尚、弾性変形部580Eの後端部は、ホッパ370に取付けられてもよい。
【0191】
弾性変形部580Eが弾性変形することにより、シリンダ可動カバー550Eをシリンダ固定カバー520Eに対して相対的に進退できる。この進退に、移動装置400のノズル320を進退させる駆動力を利用できる。
【0192】
移動装置400がノズル320を退出位置からタッチ位置に向けて前進させると、シリンダ固定カバー520Eと共にシリンダ可動カバー550Eが前進する。シリンダ可動カバー550Eは、プラテン固定カバー510Eに当接すると、前進停止する。続いて、移動装置400がノズル320をタッチ位置まで前進させる間、弾性変形部580Eが縮む。その結果、シリンダ固定カバー520Eに対してシリンダ可動カバー550Eが相対的に後退する。
【0193】
一方、移動装置400がノズル320をタッチ位置から退出位置に向けて後退させると、ノズル320と共にシリンダ固定カバー520Eが後退する。シリンダ可動カバー550Eは、弾性変形部580Eの弾性復元力によって、プラテン固定カバー510Eに押し付けられ、後退しない。弾性変形部580EのX軸方向寸法が自然長に戻り、弾性変形部580Eの弾性復元力がゼロに戻ると、シリンダ固定カバー520Eと共にシリンダ可動カバー550Eが後退する。ノズル320の位置が退出位置に戻ると、シリンダ可動カバー550Eがシリンダ固定カバー520Eよりも前方に突出する。
【0194】
本実施例のシリンダ可動カバー550Eは、特許請求の範囲に記載のシリンダ側可動部の一例である。本実施例によれば、ノズル320の位置がタッチ位置である時には、ノズル320の位置が退出位置である時に比べて、シリンダ310に対してシリンダ可動カバー550Eの前端部552Eが後方に配される。シリンダ可動カバー550Eの変位によってホッパ370によるノズル320の前進中断を回避でき、ノズル320をタッチ位置まで前進できる。
【0195】
また、本実施例によれば、ノズル320の位置が退出位置である時には、ノズル320の位置がタッチ位置である時に比べて、シリンダ310に対してシリンダ可動カバー550Eの前端部552Eが前方に配される。シリンダ可動カバー550Eをシリンダ固定カバー520Eの前方に突出でき、シリンダ固定カバー520Eを短く形成できる。従って、シリンダ固定カバー520Eをノズル穴111Eに浅く挿入でき、ノズル穴111Eの体積を小さくでき、固定プラテン110Eの剛性を高くできる。
【0196】
また、本実施例によれば、ノズル320が退出位置からタッチ位置まで前進する間に、シリンダ310に対してシリンダ可動カバー550Eが後方に変位する。シリンダ可動カバー550Eの変位によってホッパ370によるノズル320の前進中断を回避でき、ノズル320をタッチ位置まで前進できる。
【0197】
また、本実施例によれば、ノズル320がタッチ位置から退出位置まで後退する間に、シリンダ310に対してシリンダ可動カバー550Eが前方に変位する。シリンダ可動カバー550Eをシリンダ固定カバー520Eの前方に突出でき、シリンダ固定カバー520Eを短く形成できる。従って、シリンダ固定カバー520Eをノズル穴111Eに浅く挿入でき、ノズル穴111Eの体積を小さくでき、固定プラテン110Eの剛性を高くできる。
【0198】
尚、シリンダ固定カバー520Eは、本実施例では、ノズル付きシリンダ321の挿入部X1と非挿入部X2との両方をカバーするが、非挿入部X2のみをカバーしてもよい。後者の場合、シリンダ固定カバー520Eがノズル穴111Eに挿入されないので、ノズル穴111Eの体積をより小さくでき、固定プラテン110Eの剛性をより高くできる。
【0199】
同様に、シリンダ可動カバー550Eは、ノズル320の位置がタッチ位置である時に、ノズル付きシリンダ321の挿入部X1と非挿入部X2との両方をカバーするが、非挿入部X2のみをカバーしてもよい。後者の場合、シリンダ可動カバー550Eがノズル穴111Eに挿入されないので、ノズル穴111Eの体積をより小さくでき、固定プラテン110Eの剛性をより高くできる。
【0200】
本実施例のシリンダ可動カバー550Eは、プラテン固定カバー510Eと連結されておらず、固定プラテン110Eと連結されていない。それゆえ、接触防止カバー500Eを分解することなくノズル320を退出位置よりもさらに後退できるので、容易に射出装置300のメンテナンスを実施できる。また、シリンダ可動カバー550Eは、ノズル320と共に進退するので、ノズル320を退出位置よりもさらに後退させる間も、加熱器313へのアクセスを制限できる。
【0201】
尚、本実施例ではシリンダ可動カバー550Eとシリンダ固定カバー520Eとでシリンダカバー560Eが構成されるが、シリンダカバー560Eの構成は特に限定されない。例えば、シリンダカバー560Eは、シリンダ可動カバー550Eとシリンダ固定カバー520Eとの間に蛇腹式のフレキシブルカバーを有する伸縮カバーでもよい。また、シリンダカバー560Eは、蛇腹式ではなく、テレスコピック式の伸縮カバーでもよく、シリンダ可動カバー550Eを複数有してもよい。シリンダカバー560Eは、上記第1実施例のプラテンカバー560Cまたは上記第2実施例のプラテンカバー560Dと組合わせてもよい。
【0202】
本実施例によれば、ノズル320の前進に伴って、シリンダ可動カバー550Eがシリンダ固定カバー520Eに対し相対的に後退する。移動装置400のノズル320を進退させる駆動力を利用して、シリンダ可動カバー550Eをシリンダ固定カバー520Eに対し相対的に後退できる。また、本実施例によれば、ノズル320の後退に伴って、シリンダ可動カバー550Eがシリンダ固定カバー520Eに対し相対的に前進する。弾性変形部580Eの弾性復元力を利用して、シリンダ可動カバー550Eをシリンダ固定カバー520Eに対し相対的に前進できる。弾性変形部580Eの弾性復元力は、ノズル320の前進に伴って生じたものである。
【0203】
尚、本実施例ではシリンダ可動カバー550Eをシリンダ固定カバー520Eに対して相対的に進退させるのに、移動装置400のノズル320を進退させる駆動力を利用するが、本発明はこれには限定されない。移動装置400とは別に、シリンダ可動カバー550Eをシリンダ固定カバー520Eに対して相対的に進退させる専用の駆動装置が設けられてもよい。この駆動装置としては、例えば油圧シリンダまたは空気圧シリンダが用いられる。
【0204】
(第4実施例の接触防止カバー)
図9は、第4実施例に係る接触防止カバーを示す図である。図9(a)は、ノズルの位置が退出位置である時の、ノズルと接触防止カバーとの位置関係の第4実施例を示す図である。図9(b)は、ノズルの位置がタッチ位置である時の、ノズルと接触防止カバーとの位置関係の第4実施例を示す図である。以下、本実施例と、第1実施例、第2実施例および第3実施例との相違点について主に説明する。
【0205】
本実施例のノズル穴111Fは、上記第1実施例のノズル穴111Cと同様に、従来例のノズル穴111Aよりも小さな体積を有する。それゆえ、本実施例の固定プラテン110Fは、上記第1実施例の固定プラテン110Cと同様に、従来例の固定プラテン110Aよりも高い剛性を有する。
【0206】
本実施例のノズル穴111Fは、上記第1実施例のノズル穴111Cよりも小さな体積を有する。本実施例の大径穴部112Fの穴径は、上記第1実施例の大径穴部112Cの穴径よりも小さいからである。
【0207】
本実施例では、上記第1実施例とは異なり、大径穴部112Fには、シリンダ固定カバー520Fが挿入されない。それゆえ、大径穴部112Fの穴径を小さくすることができる。尚、本実施例の小径穴部113Fの穴径は、上記第1実施例の小径穴部113Cの穴径と同じである。
【0208】
本実施例のノズル穴111Fは、上述の如く、上記第1実施例のノズル穴111Cよりも小さな体積を有する。それゆえ、本実施例の固定プラテン110Fは、上記第1実施例の固定プラテン110Cよりも高い剛性を有する。
【0209】
本実施例の接触防止カバー500Fは、水平方向両側(Y軸方向両側)および鉛直方向上側(Z軸方向正側)から加熱器313へのアクセスを制限する。Y軸方向およびZ軸方向はX軸方向に直交する方向であり、X軸方向はノズル320の進退方向である。接触防止カバー500Fは、シリンダ固定カバー520Fを有する。
【0210】
本実施例のシリンダ固定カバー520Fは、上記第1実施例のシリンダ固定カバー520Cとは異なり、ノズル穴111Fに全く挿入されないように、短く形成される。尚、シリンダ固定カバー520Fは、ノズル穴111Fに全く挿入されないが、浅く挿入されてもよい。シリンダ固定カバー520Fを短く形成するのは、ノズル穴111Fの体積が小さいからである。本実施例のシリンダ固定カバー520Fの前端部522Fは、ノズル穴111Fに全く挿入されないように、従来例のシリンダ固定カバー520Aの前端部522Aよりも後方に配置される。
【0211】
尚、シリンダ固定カバー520Fは、本実施例ではノズル穴111Fに全く挿入されないが、浅く挿入されてもよい。シリンダ固定カバー520Fは、本実施例ではノズル付きシリンダ321の挿入部X1と非挿入部X2とのうち、非挿入部X2のみをカバーするが、挿入部X1と非挿入部X2との両方をカバーしてもよい。
【0212】
本実施例の接触防止カバー500Fは、上記第1実施例の接触防止カバー500Cとは異なり、シリンダ可動カバー550Fをさらに有する。シリンダ可動カバー550Fは、例えばシリンダ固定カバー520Fを介してシリンダ310に対して変位可能に取付けられる。
【0213】
シリンダ可動カバー550Fは、例えばシリンダ固定カバー520Fに対して旋回可能に取付けられる。シリンダ可動カバー550Fの旋回軸555Fの軸方向は、水平方向(例えばY軸方向)である。Y軸方向はX軸方向に直交する方向であり、X軸方向はノズル320の進退方向である。
【0214】
シリンダ可動カバー550Fは、回転モータなどの旋回装置によって、旋回軸555Fを中心に旋回する。尚、シリンダ可動カバー550Fの旋回には、専用の旋回装置ではなく、移動装置400を利用してもよい。後者の場合、移動装置400の直線運動をシリンダ可動カバー550Fの旋回運動に変換するリンク機構が設けられる。
【0215】
シリンダ可動カバー550Fは、シリンダ固定カバー520Fと同様に、水平方向両側(Y軸方向両側)および鉛直方向上側(Z軸方向正側)から加熱器313へのアクセスを制限する。この制限は、図9(a)に実線で示すようにノズル320の位置が退出位置である時に実施されればよい。この制限は、図9(b)に示すようにノズル320の位置がタッチ位置である時には、解除される。シリンダ可動カバー550Fは、加熱器313へのアクセスを制限する時、例えば、X軸方向視で逆U字状に形成される。
【0216】
シリンダ可動カバー550Fは、加熱器313へのアクセスを制限する時に、ノズル320の前方を塞ぐ前面部を有してもよい。前側(X軸方向負側)からの加熱器313へのアクセスを制限できる。固定プラテン110Fに、プラテン固定カバー等が設けられない場合に有効である。尚、プラテン固定カバー等は、前側からの加熱器313へのアクセスを制限する役割も有する。
【0217】
移動装置400がノズル320を退出位置からタッチ位置に向けて前進させる前に、旋回装置がシリンダ可動カバー550Fを図9(a)に二点鎖線で示す位置から図9(a)に実線で示す位置に旋回させる。尚、この旋回の開始は、ノズル320の前進の開始後でもよい。この旋回の完了が、ノズル320の前進の完了前であればよい。
【0218】
一方、移動装置400がノズル320をタッチ位置から退出位置まで後退させた後、旋回装置がシリンダ可動カバー550Fを図9(a)に実線で示す位置から図9(b)に二点鎖線で示す位置に旋回させる。尚、この旋回の開始は、ノズル320の後退の完了前でもよい。この旋回の完了は、ノズル320の後退の途中でもよい。
【0219】
本実施例のシリンダ可動カバー550Fは、特許請求の範囲に記載のシリンダ側可動部の一例である。本実施例によれば、ノズル320の位置がタッチ位置である時には、ノズル320の位置が退出位置である時に比べて、シリンダ310に対してシリンダ可動カバー550Fの前端部552Fが後方に配される。シリンダ可動カバー550Fの変位によってホッパ370によるノズル320の前進中断を回避でき、ノズル320をタッチ位置まで前進できる。
【0220】
また、本実施例によれば、ノズル320の位置が退出位置である時には、ノズル320の位置がタッチ位置である時に比べて、シリンダ310に対してシリンダ可動カバー550Fの前端部552Fが前方に配される。シリンダ可動カバー550Fをシリンダ固定カバー520Fの前方に突出でき、シリンダ固定カバー520Fを短く形成できる。よって、シリンダ固定カバー520Fをノズル穴111Fに全く挿入せずに済み、ノズル穴111Fの体積を小さくでき、固定プラテン110Fの剛性を高くできる。
【0221】
また、本実施例によれば、シリンダ可動カバー550Fは、ノズル320の位置が退出位置である時にはアクセスを制限する位置(例えば図9(a)に実線で示す位置)に配される。シリンダ可動カバー550Fは、ノズル320が退出位置からタッチ位置まで前進する間に、アクセスを解除する位置(例えば図9(b)に示す位置)に変位する。シリンダ可動カバー550Fの変位によってホッパ370によるノズル320の前進中断を回避でき、ノズル320をタッチ位置まで前進できる。
【0222】
また、本実施例によれば、シリンダ可動カバー550Fは、ノズル320の位置がタッチ位置である時にはアクセスを解除する位置(例えば図9(b)に示す位置)に配される。シリンダ可動カバー550Fは、ノズル320がタッチ位置から退出位置まで後退する間に、アクセスを制限する位置(例えば図9(a)に実線で示す位置)に変位する。シリンダ可動カバー550Fをシリンダ固定カバー520Fの前方に突出でき、シリンダ固定カバー520Fを短く形成できる。よって、シリンダ固定カバー520Fをノズル穴111Fに全く挿入せずに済み、ノズル穴111Fの体積を小さくでき、固定プラテン110Fの剛性を高くできる。
【0223】
尚、シリンダ固定カバー520Fは、本実施例では、ノズル付きシリンダ321の挿入部X1と非挿入部X2とのうち、非挿入部X2のみをカバーするので、ノズル穴111Fに全く挿入されないが、本発明はこれに限定されない。シリンダ固定カバー520Fは、ノズル付きシリンダ321の非挿入部X2と挿入部X1との両方をカバーしてもよい。
【0224】
本実施例のシリンダ可動カバー550Fは、固定プラテン110Fと連結されていない。それゆえ、接触防止カバー500Fを分解することなくノズル320を退出位置よりもさらに後退できるので、容易に射出装置300のメンテナンスを実施できる。また、シリンダ可動カバー550Fは、ノズル320と共に進退するので、ノズル320を退出位置よりもさらに後退させる間も、加熱器313へのアクセスを制限できる。
【0225】
尚、本実施例のシリンダ可動カバー550Fと、上記第1実施例のプラテンカバー560Cまたは上記第2実施例のプラテンカバー560Dとを組合わせてもよい。本実施例のシリンダ可動カバー550Fと、上記第3実施例のシリンダ可動カバー550Eと、上記第3実施例のシリンダ固定カバー520Eとで、シリンダカバーが構成されてもよい。
【0226】
尚、上記第1実施例および上記第2実施例のプラテン可動カバー550C、550Dは、固定プラテン110C、110Dに対して進退可能に取付けられるが、旋回可能に取付けられてもよい。
【0227】
(変形例等)
以上、射出成形機の実施形態などについて説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、および組合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0228】
10 射出成形機
100 型締装置
110C 固定プラテン(プラテン)
111C ノズル穴
300 射出装置
310 シリンダ
313 加熱器
320 ノズル
500C 接触防止カバー
510C プラテン固定カバー
520C シリンダ固定カバー
550C プラテン可動カバー(プラテン側可動部)
500F 接触防止カバー
520F シリンダ固定カバー
550F シリンダ可動カバー(シリンダ側可動部)
800 金型装置
810 固定金型(金型)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9