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特許7195933磁気領域を含む侵襲性の医用デバイスならびにシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】磁気領域を含む侵襲性の医用デバイスならびにシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20221219BHJP
   A61M 5/158 20060101ALI20221219BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20221219BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
A61M25/00 530
A61M5/158 500Z
A61M25/06 500
A61M25/09
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018563448
(86)(22)【出願日】2017-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 US2017033985
(87)【国際公開番号】W WO2017210018
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-03-11
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-02
(31)【優先権主張番号】15/170,531
(32)【優先日】2016-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エス.レイ アイザックソン
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ジー.ヘンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】シッダールタ シェヴゴーア
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-505744(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0253270(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0257080(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0075649(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0016131(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第3742298(DE,A1)
【文献】特開平3-277745(JP,A)
【文献】特表2005-529717(JP,A)
【文献】特開2016-59549(JP,A)
【文献】特表2015-518752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 25/06
A61M 25/09
A61M 5/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に挿入するための侵襲性の医用デバイスであって、
直径、外面、遠位先端、および近位端、を有する細長いシャフトを含む皮下注射針であって、前記細長いシャフトの前記直径は、静脈内カテーテル内に挿入されるような寸法であり、前記細長いシャフトの少なくとも一部は、第1の磁気領域と、前記第1の磁気領域において直径遷移を提供する不連続部とを有し、その結果、前記シャフトが、前記不連続部において、増加した直径領域を含み、前記増加した直径領域は、針の直径より大きい、皮下注射針を備え、
前記不連続部は、強磁性金属の無電解メッキ層、強磁性金属の電気メッキ層、常磁性金属の層、磁性金属のスポット溶接、及び、磁性接着剤からなる群から選択され、
前記第1の磁気領域は、前記遠位先端から固定距離にある知られた位置に配置され、前記第1の磁気領域の第1の磁場強度及びベクトルが磁力計により検出され、その結果、前記第1の磁気領域の位置、及び、前記固定距離に基づき、前記遠位先端の位置を提供する、侵襲性の医用デバイス。
【請求項2】
前記医用デバイスは、静脈内カテーテル管を備え、前記シャフトは、前記静脈内カテーテル管内に配置される請求項1に記載の侵襲性の医用デバイス。
【請求項3】
前記針は、マルテンサイト系ステンレス鋼を含む請求項1に記載の侵襲性の医用デバイス。
【請求項4】
前記医用デバイスは、
針ハブをさらに含む針部分組立体と、
カテーテルアダプタ部分組立体とを備え、
前記針は、前記針の前記近位端に取り付けられた前記針ハブをさらに含む前記針部分組立体の一部であり、また前記静脈内カテーテル管は、前記カテーテルアダプタ部分組立体の一部である請求項に記載の侵襲性の医用デバイス。
【請求項5】
前記カテーテルアダプタ部分組立体は、カテーテル管およびカテーテルアダプタ本体を含み、前記シャフトは、前記静脈内カテーテル管と摺動可能に係合する請求項4に記載の侵襲性の医用デバイス。
【請求項6】
前記カテーテルアダプタ部分組立体は、磁気機構をさらに備える請求項5に記載の侵襲性の医用デバイス。
【請求項7】
針の相対的な位置を決定するためのシステムであって、請求項6に記載の前記侵襲性の医用デバイスと、前記第1の磁気領域および前記磁気機構に対して配置される磁力計とを備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の原理および実施形態は、一般に、磁気領域を含むデバイス、ならびにこのようなデバイスを利用するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、臨床医は、カテーテル挿入中に、針およびカテーテル管などの侵襲性の医用デバイスが皮膚組織を貫通して静脈に達するのを見ることができない。このため、臨床医は、静脈の位置の特定に成功するために、触覚と併せて、針挿入と共に直接得られる経験に頼る必要がある。これは、皮膚下の深い場所にある小さな静脈にアクセスしようとするとき、困難な作業になる可能性があり、患者に過度の痛みおよび/または傷害を与える危険を高める。侵襲性の医用デバイスの位置を正確に視覚化できないことに関して、ガイドワイヤ、カテーテルイントロデューサ、およびスタイレットなどの他の侵襲性の医用デバイスを挿入する場合に同様の問題が存在する。
【0003】
出現しつつある手技ガイドシステム(procedural guidance systems)は、超音波技術と磁気技術の組合せを利用して、長軸(in-plane)および短軸(out-of-plane)方向における皮下の解剖学的構造、およびデバイス位置の視覚化を提供する。超音波法と磁気的方法のこの組合せはまた、患者の解剖学的構造に対する挿入デバイス位置の予測または見込みを行うことを可能にし、それにより、血管へのアクセスに成功し、かつ侵襲性の手技を完了させる可能性が向上する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの先進的な技術は、磁化させるための侵襲性デバイスの一部として、例えば、針カニューレなど、患者の中に挿入されるデバイスの一部を目標とするが、別の先進的な技術は、デバイスのハブ(例えば、針ハブ)上に位置する永久磁石を使用する。永久磁石は、臨床医が使用時点に針を磁化する変動を受けないので、より信頼性のある磁場を提供するが、針先端の位置の計算された予測に多く依存している。挿入前にカニューレを磁化することを利用するシステムは、実際の針先端位置をより高い信頼性で測定することができるが、この方法は、臨床医が、針を磁気デバイスの中に入れて針を磁化することを利用しているので、カニューレを一貫して磁化することに関して変動を受ける。さらに現在の針ガイドシステムは、通常、針の先がゴム停止面に当たるまで、磁化器の中に針を埋め込むことによって針を磁化することにより生成される磁場を利用する。挿入プロセスに悪影響を与えるおそれのある、ユーザには明らかではない損傷が生ずる可能性がある。
【0005】
さらにこれらのシステムは共に、カニューレ部分組立体の一部によって生成される磁場を利用し、したがって、システムは、針ハブと、カテーテルアダプタ部分組立体の間の相対運動を測定する、または予測することができない。これらの2つの部分組立体の相対位置、および相対運動を理解することは、針先端が静脈に達したとき、カテーテル先端が静脈に達したとき、カテーテルが針先端を覆うように前進して(「カテーテルを覆う」)それによりさらなる前進が安全になったときなど、挿入プロセスの手技上の重要な状態を臨床医に知らせるために使用することができる。
【0006】
デバイス、システム、および方法と共に使用して、患者の皮膚組織を通る針の貫通中に、向上させた視覚化を提供することのできる医用デバイス、システム、および方法を提供することが望ましいはずである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
様々な実施形態が以下で列挙される。以下で列挙される実施形態は、以下で列挙されるだけではなく、本開示の範囲に従って、他の適切な組合せで組み合わせられることが理解されよう。
【0008】
本開示の第1の態様は、患者に挿入するための侵襲性の医用デバイスに関し、デバイスは、直径、外面、遠位先端、および近位端、を有する細長いシャフトを備え、細長いシャフトの直径は、静脈内カテーテル内に挿入されるような寸法であり、細長いシャフトの少なくとも一部は、第1の磁気領域と、シャフトが増加した直径領域を含むような直径遷移を提供する第1の磁場領域における不連続部とを有する。
【0009】
第2の態様は、患者に挿入するための侵襲性の医用デバイスに関し、デバイスは、直径、外面、遠位先端、および近位端、を有する細長いシャフトを備え、細長いシャフトの直径は、静脈内カテーテル内に挿入されるような寸法であり、細長いシャフトの少なくとも一部は、第1の磁場B1および長さL1を有し、かつ第2の磁場B2および第2の長さL2を有する第2の磁気領域から距離dだけ間隔を空けた第1の磁気領域を有し、ここで、L1およびL2は等しくない。
【0010】
第3の態様は、患者に挿入するための侵襲性の医用デバイスに関し、デバイスは、直径、外面、遠位先端、および近位端、を有する細長いシャフトを備え、細長いシャフトの直径は、静脈内カテーテル内に挿入されるような寸法であり、細長いシャフトの一部は、第1の磁場B1および第1の長さL1を有し、かつ第2の磁場B2および第2の長さL2を有する第2の磁気領域から距離dだけ間隔が空けられた第1の磁気領域を有し、ここで、第1の磁気領域は遠位先端に隣接する。第3の態様の一実施形態では、デバイスは、第2の磁気領域から近位方向に間隔が空けられた少なくとも第3の磁気領域を有し、第3の磁気領域は、第3の磁場B3および長さL3を有する。第3の態様の実施形態では、第1の磁気領域および第2の磁気領域は、データで符号化される。第3の態様の実施形態では、データは、侵襲性の医用デバイスに関する情報を含み、情報は、デバイスの直径、長さ、およびタイプのうちの1つまたは複数を含む。
【0011】
第4の態様は、針の相対位置を決定するためのシステムに関し、本明細書で述べられる侵襲性の医用デバイスと、第1の磁気領域および第2の磁気領域に対して配置された磁力計とを備える。第5の態様は、遠位先端を有する侵襲性の医用デバイスに関する情報を取得する方法に関し、方法は、複数の磁場を備える侵襲性の医用デバイスに関する磁気データを符号化することであって、医用デバイスは、ガイドワイヤ、カテーテルイントロデューサ、スタイレット、および皮下注射針から選択されることと、侵襲性の医用デバイスに関する符号化されたデータを読み取ることとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態により使用され得るカテーテル組立体の斜視図である。
図2図1で示されたカテーテル組立体の分解斜視図である。
図3図1で示されたカテーテル組立体の上面図である。
図4】静脈内カテーテルおよび侵襲性の医用デバイスの上面図である。
図5】針部分組立体と、カテーテルアダプタ部分組立体が分離されたカテーテル組立体を示す図である。
図6】実施形態による刻み目を含む針の側面図である。
図7】実施形態による磁気領域を含む針の側面図である。
図8】実施形態による2つの磁気領域を含む針の側面図である。
図9】実施形態による磁性接着剤を含む針の側面図である。
図10】実施形態によるスポット溶接を有する針の側面図である。
図11】実施形態による2つの磁気領域を含む針の側面図である。
図12】実施形態による4つの磁気領域を含む針の側面図である。
図13】複数の針領域を有する針を含むシステムの実施形態を示す図である。
図14】実施形態によるカテーテル組立体および針を含むシステムの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの例示的な実施形態を述べる前に、本開示は、以下の記述に記載される構成、またはプロセスのステップの細部に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態も可能であり、かつ様々な方法で実施もしくは実行することができる。
【0014】
本明細書の全体を通して、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「様々な実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」、または「実施形態」への参照は、その実施形態に関して述べられた特定の特徴、構造、材料、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通して様々な場所における「1つまたは複数の実施形態で」、「いくつかの実施形態で」、「様々な実施形態で」、「一実施形態で」、または「実施形態で」などのフレーズの出現は、必ずしも同じ実施形態を指していない。さらに特定の特徴、構造、材料、または特性を、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせることもできる。
【0015】
次に諸図に対して参照を行うが、図中、同様の構造は同様の参照指定を有する。図面は、例示的な実施形態の図式的かつ概略的な表現であり、限定するものではなく、必ずしも縮尺を合わせて描かれていないことを理解されたい。本開示は、侵襲性の挿入手技中に、血管アクセスデバイスの向上させた視覚化を提供するなど、手技ガイドを必要とする侵襲性の手技の視覚化を向上させるための医用デバイス、システム、および方法に関する。一実施形態では、磁気機構が、例えば、針の上など、侵襲性の医用デバイス上に配置され、それにより、磁気機構を先端部のより近くに配置できるようになり、したがって、配置ガイドの正確さを高める。本開示の実施形態は、シャフトを備える侵襲性の医用デバイスに関し、少なくともその一部は磁気領域を有する。磁気領域は、強磁性金属の層、常磁性金属の層、磁性金属のスポット溶接、フェルール、およびそれらの組合せを含む様々な方法で提供することができる。他の実施形態では、磁気領域は、領域の組成を変化させて、領域の磁化率を高めることにより提供され得るが、または磁気領域は、侵襲性の医用デバイスを冷間加工することにより提供することもできる。特定の実施形態では、磁気領域に不連続部が存在する。他の実施形態では、シャフトは、少なくとも2つの磁気領域を有する。1つまたは複数の実施形態では、磁気領域はデータで符号化される。本明細書で述べられる医用デバイスは、さらに以下で述べる様々なシステムおよび方法で使用することができる。
【0016】
1つまたは複数の実施形態では、侵襲性の医用デバイスは、使用され得る針部分組立体、およびカテーテルアダプタ部分組立体を含むカテーテルアダプタの一部である。実施形態では、カテーテルアダプタ部分組立体は、永久磁石要素、または磁化可能な機構を含む。
【0017】
「近位の」という用語は、本明細書で述べられるようにデバイスを使用する臨床医に比較的近い方向を指すが、「遠位の」という用語は、臨床医から比較的遠くの方向を指すことを理解されたい。例えば、患者の体内に配置された針の端部は、針の遠位端と考えられるが、体外に残っている針の端部は、針の近位端である。「磁気機構」は、永久磁石、および/または磁気機構が超音波システムによって検出され得るように、外部から加えられた磁場により磁化される磁化可能な材料を含む機構を指す。「磁化可能な機構」は、磁化状態になることができ、かつ本明細書でさらに述べるように、超音波システムによって検出可能な要素を指す。「侵襲性の医用デバイス」は、針、ガイドワイヤ、カテーテルイントロデューサ、およびスタイレットなど、患者の血管系の中に挿入されるデバイスを指す。特定の実施形態では、「侵襲性の医用デバイス」は、静脈内カテーテルの中に挿入されるような寸法および形状をした医用デバイスを指す。
【0018】
図1図3を次に参照すると、カテーテルアダプタ部分組立体12、および針部分組立体14を含むカテーテル組立体10の例示的な実施形態が示されている。カテーテルアダプタ部分組立体12は、カテーテルアダプタ16、カテーテル管18、および固定要素22を備え、針部分組立体14は、針ハブ24に、ハブ遠位端23で、および通気プラグ26に接続された針20をさらに含む。図示されていない他の実施形態では、針20は、使用された後、針ハブ24の中に後退させて、患者または臨床医を偶発的に針で刺さないようにすることができる。本開示で述べられる侵襲性の医用デバイスの実施形態は、主として針を対象とするが、侵襲性の医用デバイスはまた、ガイドワイヤ、カテーテルイントロデューサ、またはスタイレットの形態とすることのできるワイヤの形態のものであり得ることが理解されよう。本明細書で使用される場合、「スタイレット」は、剛性をもたせるようにする、またはその管腔から破片を除くために、カテーテルまたはカニューレを通って延びるワイヤを指す。「カテーテルイントロデューサ」は、静脈内カテーテルの挿入を容易にするために使用されるワイヤを指す。「ガイドワイヤ」は、静脈カテーテルおよび他の体内へのカテーテル挿入中に、カテーテルを定位置へとガイドするために使用できるワイヤである。静脈挿入においては、ガイドワイヤの目的は、最小の侵襲性技法を用いて血管にアクセスできるようにすることである。図4は、ワイヤ50を示しており、それは、カテーテルイントロデューサ、スタイレットまたはガイドワイヤの形態とすることができ、静脈内カテーテル68の中に挿入されるような寸法、および形状をしている。ガイドワイヤ、スタイレット、またはカテーテルイントロデューサは、静脈内カテーテル68の中に挿入できる細長いシャフト52および遠位先端54を有する
【0019】
図5を次に参照すると、近位端120および遠位端123を有する細長いシャフト126を画定するカニューレ122を有する針120を含む針部分組立体121の実施形態が示されている。近位端120は、ハブ遠位端125で針ハブ124に接続される。
【0020】
図6は、近位端221および遠位先端223を有する細長いシャフト226を画定するカニューレ222を有する針220の拡大図である。針220は、患者の血管系の中に挿入されるような寸法および形状をしており、それは静脈内カテーテルを通ることができる。針220のシャフト226は、外面228、および外径「D」を画定する。示された実施形態では、細長いシャフト226の少なくとも一部は、少なくとも第1の磁気領域230、第2の磁気領域232、および第3の磁気領域233を含み、それらは、針220のシャフト226に沿って横方向に間隔が空けられている。図6で示すように、第2の磁気領域232は、第1の磁気領域230からシャフト226に沿って近位方向に離間され、第3の磁気領域233は、第2の磁気領域232からシャフト226に沿って近位方向に離間されている。示された実施形態では、第2の磁気領域232のエリアにおいて、不連続部235が存在する。図6で示されるように、不連続部235における針220の外径は、針220の残りの部分における外径「D」に満たない。不連続部235は、針220の残りの部分における外径「D」を超える外径を有することができることも理解されよう。いずれの場合であっても、シャフト226は、不連続部235の結果として、増加した、または減少した直径領域を含む。図6で示された実施形態では、不連続部235は、刻み目237の形態をしている。刻み目237は、概して長方形の形状で示されているが、刻み目237は、刻み目237において直径を低減させるために、クリンプ加工または他の技法により、三角形、楕円形、丸い、放物線状、または不規則な形状を含む様々な形状であり得ることが理解されよう。磁石または磁気的要素は、刻み目237に配置することができる。第1の磁気領域230は、第1の磁場強度B1を有し、第2の磁気領域232は、第2の磁場強度B2を有し、また第3の磁気領域233は、第3の磁場強度B3を有する。一実施形態では、磁場強度B1、B2、およびB3は等しい。別の実施形態では、磁場強度B1、B2、およびB3のそれぞれは、等しくない。磁場強度は、ガウスメータおよび磁力計を含む様々な異なる技法を用いて測定することができる。
【0021】
1つまたは複数の代替の実施形態によれば、針のシャフトに沿った不連続部は、例えば、強磁性金属の層、常磁性金属の層、磁性金属のスポット溶接、フェルール、およびそれらの組合せなど、様々な形態とすることができる。1つまたは複数の実施形態によれば、針シャフトは、例えば、図3で示すようにカテーテル管の内部で摺動可能に配置することができ、針20は、カテーテルアダプタ部分組立体12および針部分組立体14を含むカテーテル組立体10として、カテーテル管18内に挿入される。
【0022】
図7は、近位端321および遠位端323を有する細長いシャフト326を画定するカニューレ322を有する針320の拡大図である。針320は、患者の血管系の中に挿入するような寸法、かつ形状をしており、静脈内カテーテルを通ることができる。針320のシャフト326は、外面328および外径「D」を画定する。第1の磁気領域330は、磁気的なフェルール337により提供される不連続部335を含む。不連続部335における針320の外径は、針320の残りの部分における外径「D」よりも大きい。磁気領域330は、フェルールによって提供される不連続部335の増加した外径を有する。
【0023】
図8は、図7と同様の実施形態を示しており、シャフト326の直径Dを超える外径を有する第2の不連続部336をさらに含む。第2の不連続部は、第2のフェルール339によって提供される。
【0024】
図9は、不連続部335が、シャフト326の外面328上の磁性接着剤341により提供される実施形態を示しており、それは、不連続部335における外径が、シャフト326の外径Dよりも大きくなるように不連続部335を提供する。1つまたは複数の実施形態によれば、磁性接着剤は、常磁性添加物、強磁性添加物、およびそれらの組合せから選択された添加物を含む。1つまたは複数の実施形態による接着剤添加物は、粉末化された鉄、磁気的な酸化鉄、磁気的な酸化チタン、磁気的な粉末化された鋼、および磁気的な鉄合金、ならびにそれらの混合物からなる群から選択された成分を含む。1つまたは複数の実施形態では、磁気的な鉄合金は、ニッケル、亜鉛、および銅のうちの1つまたは複数を含む。1つまたは複数の実施形態では、接着剤添加物は、クロム、マグネシウム、モリブデン、およびそれらの組合せから選択された成分をさらに含む。接着剤は、磁化可能な金属ナノ粒子、または磁化可能な酸化金属ナノ粒子などの磁化可能なナノ粒子を含む硬化性のグルーなど、任意の適切な接着剤とすることができる。磁化可能な金属は、鉄、コバルト、ニッケル、ならびに鉄、コバルト、およびニッケルの合金を含むことができる。1つまたは複数の実施形態によれば、磁気的なナノ粒子の寸法は、約1ナノメートル(nm)から約100nmの範囲にある。一実施形態では、接着剤は光硬化性のグルーであり、別の実施形態では、接着剤は熱硬化性のグルーである。
【0025】
図10は、不連続部335が、シャフト326の外面328上のスポット溶接343により提供される実施形態を示しており、それは、不連続部335における外径が、シャフト326の外径Dよりも大きくなるように、不連続部335を提供する。1つまたは複数の実施形態によれば、スポット溶接は、常磁性添加物、強磁性添加物、およびそれらの組合せから選択される添加物を含む。1つまたは複数の実施形態によるスポット溶接は、粉末化された鉄、磁気的な酸化鉄、磁気的な酸化チタン、磁気的な粉末化された鋼、および磁気的な鉄合金、ならびにそれらの混合物からなる群から選択された成分を含む。1つまたは複数の実施形態では、磁気的な鉄合金は、ニッケル、亜鉛、および銅のうちの1つまたは複数を含む。1つまたは複数の実施形態では、スポット溶接添加物は、クロム、マグネシウム、モリブデン、およびそれらの組合せから選択された成分をさらに含む。
【0026】
1つまたは複数の実施形態によれば、シャフトは、第1の磁場B1を有する第1の磁気領域と、第2の磁場B2を有する第2の磁気領域とを有し、B1およびB2は等しくない。あるいは、第1の磁気領域は長さL1を有し、また長さL2を有する第2の磁気領域から、シャフト上で距離d1だけ間隔が空けられており、L1およびL2は異なっている。他の実施形態では、シャフトは、第3の磁場B3および長さL3を有する第1の領域から距離d2だけ間隔を空けた第3の磁気領域を有し、ここで、B2およびB3は等しくなく、またL2およびL3も等しくない。1つまたは複数の実施形態によれば、上記で述べた実施形態のいずれかに従って述べられた針を含む針と、第1の磁気領域、第2の磁気領域、および第3の磁気領域に対して配置される磁力計との相対的な位置を決定するためのシステムが提供される。
【0027】
図11は、本開示の別の実施形態を示しており、侵襲性の医用デバイスが、近位端421および遠位先端423を有する細長いシャフト426を画定するカニューレ422を有する針420の形態で示されている。針420は、患者の血管系の中に挿入するような寸法かつ形状をしており、それは、静脈カテーテルを通ることができる。針420のシャフト426は、外面428および外径「D」を画定する。第1の磁気領域430は、第1の磁場強度B1を、第2の磁気領域431は第2の磁場強度B2を有する。磁気領域430および431は、図4図10に関して上記で述べられたように提供することができるが、あるいは磁気領域は、針420のシャフト426を冷間加工することにより、または針420の組成を変更して、磁場B1およびB2の強度を高めることにより提供することができる。図11で示された実施形態では、シャフト426の外径「D」は、針の長さに沿って一定とすることができる。あるいは、第1の磁気領域430および/または第2の磁気領域431における外径が、シャフト426の外径よりも大きくなるように、第1の磁気領域430および/または第2の磁気領域431において直径遷移が存在することができる。他の実施形態では、第1の磁気領域430および/または第2の磁気領域431における外径が、シャフト426の外径よりも小さくなるように、第1の磁気領域430および/または第2の磁気領域431において直径遷移が存在することができる。磁気領域430および431は、互いに隣接して示されている。代替的実施形態では、磁気領域430および431は間隔を空けることができる。示された実施形態では、磁気領域430、431の少なくとも一方は、遠位先端423に隣接している。
【0028】
図12は別の実施形態を示しており、図中、侵襲性の医用デバイスが、近位端521および遠位先端523を有する細長いシャフト526を画定するカニューレ522を有する針520の形態で示されている。針520は、患者の血管系の中に挿入されるような寸法および形状をしており、静脈内カテーテルを通ることができる。針520のシャフト526は、外面528および外径「D」を画定する。第1の磁気領域530は、第1の磁場強度B1を有し、第2の磁気領域531は第2の磁場強度B2を有し、第3の磁気領域532は第3の磁場強度B3を有し、かつ第4の磁気領域533は第4の磁場強度B4を有する。磁気領域530、531、532、および533は、図4図10に関して上記で述べたように提供することができるが、あるいは、磁気領域は、針520のシャフト526を冷間加工することにより、または針520の組成を変更して、磁場の強度B1、B2、B3、およびB4を高めることにより、提供することができる。図12で示す実施形態では、シャフト526の外径「D」は、針の長さに沿って一定にすることができる。あるいは、第1の磁気領域530および/または第2の磁気領域531、および/または第3の磁気領域532、および/または第4の磁気領域533の外径が、シャフト526の外径よりも大きくなるように、第1の磁気領域530および/または第2の磁気領域531、第3の磁気領域532および第4の磁気領域533において直径遷移が存在することができる。他の実施形態では、第1の磁気領域530および/または第2の磁気領域531、第3の磁気領域532および/または第4の磁気領域533の外径が、シャフト526の外径よりも小さくなるように、第1の磁気領域530および/または第2の磁気領域531、および/または第3の磁気領域532、および/または第4の磁気領域533において直径遷移が存在することができる。
【0029】
図12は、4つの磁気領域531、532、533、および533を示しているが、本開示および特許請求の範囲は、特定の数の磁気領域に限定されないことが理解されよう。例えば、侵襲性の医用デバイスは、細長いシャフトに沿って、互いに隣接して間隔を空けて、または間隔を空けて配置された1,2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超える磁気領域を有する細長いシャフトを有することができる。図11で示すように、第2の磁気領域531は、第1の磁気領域530の近位方向に位置し、また第3の磁気領域532は、第2の磁気領域531の近位方向に位置し、また第4の磁気領域533は、第3の磁気領域532の近位方向に位置する。他の実施形態では、これらの領域は、近位方向に間隔を空けることができる。
【0030】
遠位先端に対して近位に配置できる複数の磁気領域を侵襲性の医用デバイスシャフト上に設けることによって、精度の高いデバイス配置ガイドを達成することができる。さらに、複数の磁気領域を有する医用デバイスは、広範囲の様々な、かつ大量のデータを、複数の磁気領域により提供される針上の磁気的シグネチャとの間で符号化できるようにする。さらに針の先端部付近にある1つの磁気マーカまたは領域だけを使用する侵襲性の医用デバイスは、侵襲性のデバイスが、手技中に体の中へとさらに前進したとき、単一領域がセンサから遠くの距離へと移動するので、それは様々な問題を有する可能性がある。1つまたは複数の実施形態によれば、複数の磁気領域またはマーカを有する図12で示されたタイプのデバイスは、より深い静脈内への深い挿入における手技ガイドを向上させることができる。近位方向に隣接した、または侵襲性の医用デバイスのシャフトに軸に沿って離間された複数の磁気領域は、深く挿入されたデバイス、およびカテーテル先端に対するセンサの限界を広げる。こうすることは、センサ(例えば、超音波システムの磁力計)が、医用デバイスの遠位端から近位方向に離れて位置する磁気領域を継続して追跡し、かつ非常に深い挿入/配置に対する遠位先端位置の正確な追跡を可能にする。
【0031】
複数の磁気領域は、複数の磁気的シグネチャを用いて、侵襲性の医用デバイスを符号化できるようにし、それにより、針位置の場所の特定において、手技ガイドシステムに高い解像度および精度が提供されるようになる。1つまたは複数の実施形態によれば、システムは、センサヘッドが、侵襲性の医用デバイスシャフト上に書き込まれた、かつ/または記録された磁気的シグネチャのパターンを読み取ることができるように提供され得る。この技法は、コンピュータメモリに使用される回転ディスクドライブに類似したものであり、この場合、磁気的シグネチャのパターンが、読取り/書込みヘッドからの電流を用いて磁気基板上に記録され、次いで、必要な場合、データは読み取られる。したがって、1つまたは複数の実施形態によれば、侵襲性の医用デバイスが提供され、例えば、針、カテーテルイントロデューサ、またはスタイレットは、侵襲性の医用デバイスのシャフト上に複数の磁気領域を含み、また電流を使用する読取り/書込みヘッドが、磁気的シグネチャのパターンを記録して、情報を侵襲性の医用デバイスへと符号化する。デバイス上に符号化されたこのような磁気的シグネチャを含む侵襲性の医用デバイスは、医用デバイス(例えば、針)の位置を感知したとき高レベルの正確さを提供し、かつ例えば、ゲージ、外径、寸法、長さ、ブランド、タイプなど、デバイスに関する情報を、センサヘッドに提供することができる。
【0032】
針などの侵襲性の医用デバイスのシャフト上の情報を符号化することは、いくつかの方法で達成することができる。図13は、侵襲性の医用デバイスが、近位端621および遠位先端623を有する細長いシャフト626を画定するカニューレ622を有する針620の形態で示された別の実施形態を示す。針620のシャフト626は、外面628、および外径「D」を画定する。第1の磁気領域630は第1の磁場強度B1を有し、第2の磁気領域631は第2の磁場強度B2を有し、また第3の磁気領域632は第3の磁場強度B3を有する。磁気領域630、631、および632は、図4図12に関して上記で述べられたように提供することができるが、あるいは、磁気領域は、磁場B1、B2、およびB3の強度を高めるように、針620のシャフト626を冷間加工することにより、または針620の組成を変更することにより提供することもできる。図13で示す実施形態では、シャフト626の外径「D」は、針の長さに沿って一定にすることができる。あるいは、第1の磁気領域630および/または第2の磁気領域631、および/または第3の磁気領域532における外径が、シャフト626の外径よりも大きくなるように、第1の磁気領域630および/または第2の磁気領域631、および第3の軸領域632において、直径遷移が存在し得る。1つまたは複数の実施形態によれば、図13で示される磁気領域は、磁気層を用いて、シャフトを隔離し、かつ被覆することにより前処理される。そのとき、デバイスのシャフトには、磁気領域630、631、632の長さおよび/または磁場強度を変化させることにより、デバイスのタイプ、ゲージ、遠位先端の幾何形状、および長さを示すシグネチャを用いて「書き込む」ことができる。あるいは、磁気領域630、631、および631の間の距離d1およびd2、および磁気領域が極性を切り換える場所は、大量の情報の記憶を可能にする符号化を提供することができる。さらに磁気領域630に対する各磁気領域の長さL1、磁気領域631に対するL2、および磁気領域633に対するL3を変化させて、情報を符号化する方法を提供することができる。したがって、磁気領域630、631、および632の1つまたは複数の機構を用いて針620に関する情報を符号化するための符号化方式を開発することができる。例えば、間隔d1およびd2と共に長さL1、L2、およびL3を組み合わせたものを使用して、針長さ、針ゲージ、針のタイプ、または針620に関する他の情報など、針620に関する情報を提供するコードまたはシグネチャを考案することができる。さらに各磁気領域630、631、および632は、遠位から近位端の方向に+/-の極方向を有するものとして示されている。1つまたは複数の実施形態では、極方向を変化させて、針情報を符号化させるためのさらなる方法を提供することができる。したがって、磁気領域630、631、および632は、+/-、+/-、および+/-の極方向を有するものとして示されているが、これらの極方向は、+/-、-/+、および+/-、あるいは-/+、+/-、および-/+などの任意の数の方法で変化させることができる。したがって、磁気領域の極方向を変化させることにより、磁気領域の別の変数を利用して、針情報を符号化するための別の方法を提供することができる。複数の間隔を空けたセンサ672、673、および674(例えば、磁力計)を含む検出器ヘッド670を使用して、磁気領域の磁場強度、長さ、および間隔を検出することができる。検出器ヘッド670は、医用デバイスのシャフト上に符号化された情報からのデータ、および/または検出された場に関するデータを処理することによって、検出器ヘッド670に対する磁気領域の位置および方向を決定するように適合されたプロセッサ675と有線または無線で通信することができる。この磁気的に検出された位置は、次いで、超音波画像と共に、ディスプレイ678上に表示することができる。プロセッサ675は、針620に関する符号化情報を記憶するメモリ677と通信することができる。プロセッサは、メモリに記憶された符号化情報にアクセスし、または参照して、針に関する情報を取得することができる。
【0033】
検出器ヘッド670は、プロセッサ675およびディスプレイ678と無線または有線(例えば、USB)通信するベースユニット680に無線接続することにより接続され得る。ベースユニット680は、プロセッサ675または検出器ヘッド670と一体化する、またはそれらにより実施される機能のいくつかを統合することができる。ベースユニット680は、検出器ヘッド670からの測定値を受信し、磁気領域の位置を、または任意選択で、その位置および方向を計算する。ベースユニット680はまた、磁気測定検出器の電池の充電状態などのさらなる情報を受信することもでき、構成情報などの情報は、ベースユニット680から検出器ヘッド670に送ることができる。ベースユニット680は、例えば、針620など侵襲性デバイスの画像の表示される超音波画像に含めるために、その計算の結果を、すなわち、位置、および任意選択で方向をプロセッサ675に転送する。
【0034】
図13は、縮尺を合わせて、または符号化の密度に合わせて描かれていないが、検出器ヘッドおよび符号化を、搬送するのに望ましい適切な量の信号解像度および情報に対して最適化できることを表しているものを理解されたい。
【0035】
したがって、図13は、磁力計が、医用デバイスのシャフト上の1つまたは複数の磁気領域に対して位置決めされるとき、針などの侵襲性の医用デバイスの相対位置を決定するためのシステムを示している。1つまたは複数の実施形態では、図13で示される針は、針の近位端に取り付けられた針ハブをさらに含む針部分組立体の一部とすることができ、また針部分組立体は、図1図3で示されたカテーテル組立体の一部とすることができ、かつカテーテルアダプタ部分組立体の一部として静脈内カテーテル管を含むことができる。カテーテルアダプタ部分組立体は、印加された磁場により磁化できる磁化可能な機構、または永久磁石などの磁気機構を含むことができる。カテーテルアダプタ上の磁化可能な機構は、カテーテル管をハブカテーテルに接続するための円錐形金属マンドレル、または磁化可能な金属ナノ粒子、もしくは磁化可能な酸化金属ナノ粒子などの磁化可能なナノ粒子を含む硬化可能なグルーなど、任意の適切な接着剤であり得る管接着剤とすることができる。磁化可能な金属は、鉄、コバルト、ニッケル、ならびに鉄、コバルト、およびニッケルの合金を含むことができる。1つまたは複数の実施形態によれば、磁気的ナノ粒子の寸法は、約1ナノメートル(nm)から約100nmの範囲にある。一実施形態では、接着剤は、光硬化性のグルーであり、別の実施形態では接着剤は熱硬化性のグルーである。他の実施形態では、カテーテルアダプタ部分組立体の血液制御構成要素は、磁化可能な機構を提供する。1つまたは複数の実施形態によれば、血液制御構成要素は、例えば、タイプ420またはタイプ430ステンレス鋼などのマルテンサイト系またはフェライト系ステンレス鋼から作られる。血液制御構成要素(例えば、金属ばね)、または針先端安全クリップ、もしくはvクリップは、完全に前進するまで、カテーテルアダプタと共に移動する。1つまたは複数の実施形態では、カテーテルアダプタ部分組立体上の磁気機構は、カテーテルアダプタ本体上に磁性くさび(magnetic wedge)を含む。
【0036】
1つまたは複数の実施形態では、カテーテルアダプタ部分組立体は、磁化可能な機構を含み、磁化可能な機構は、磁化可能なカテーテル管を含む。1つまたは複数の実施形態では、ポリウレタン管の少なくとも一部は、外部から印加された磁場により磁化できる磁化可能な組成を備え、磁化可能な組成は、ポリウレタン中に分散された磁気材料を含む。いくつかの実施形態では、磁気的な組成は、管を形成する、例えば、ポリウレタンなど、ポリマー材料中に分散される。特定の実施形態では、磁化可能な組成は、例えば、ポリウレタンなどの磁化できないポリマー材料の外側層を用いてカテーテルの管腔を囲む内側層を備える。代替の特定の実施形態では、磁化可能な組成の層は、磁化できないポリウレタンの内側層を囲む外側層である。1つまたは複数の実施形態では、磁化可能な組成は、例えば、ポリウレタンなど、磁化できないポリマー材料の長手方向セグメントにより分離されたカテーテルの長手方向セグメントを形成する。
【0037】
カテーテルの前述の実施形態のいずれかにおいて、磁化可能な組成は、放射線不透過性の成分をさらに含むことができる。あるいは、前述の実施形態のいずれかにおいて、カテーテルの磁化できない部分は、放射線不透過性の成分を備えることができる。
【0038】
システムの磁力計は、超音波システムの一部として3次元格子配列に配置された3つの異なる磁力計を含むことができ、それは、3次元的な相関を導出して、格子配列から、第1の磁場、第2の磁場、および第3の磁場のうちの少なくとも1つへの距離を取得することができる。1つまたは複数の実施形態では、3次元相関は、関数I=f(Bi μr)により求められ、式中、i=3軸に沿ったxまたはyまたはzであり、x、yおよびzは、3つの平面内の距離であり、Bは、第1の磁場、第2の磁場、および第3の磁場により生成される知られた磁場である。カテーテルアダプタ部分組立体および針部分組立体上に磁気機構を含むシステムは、針が静脈内カテーテル管内に配置され、かつそれらが摺動可能に互いに対して移動したとき、針およびカテーテルアダプタ部分組立体の相対運動を求めるために使用することができる。
【0039】
本開示の別の態様は、侵襲性の医用デバイスに関する情報を取得する方法に関し、それは、複数の磁場を用いて、侵襲性の医用デバイスに関する磁気データを符号化することであって、医用デバイスは、ガイドワイヤ、カテーテルイントロデューサ、スタイレット、および皮下注射針から選択されることと、侵襲性の医用デバイスに関する符号化されたデータを読み取ることとを含む。読取りは、複数の磁力計を有する超音波ヘッドを用いて、上記で述べたように達成することができる。データは、医用デバイスの直径、医用デバイスの長さ、および医用デバイスのタイプの少なくとも1つを含むことができる。1つまたは複数の実施形態では、方法は、ガイドワイヤ、カテーテルイントロデューサ、スタイレット、および針などの侵襲性の医用デバイスのシャフトを符号化することを含むことができ、符号化は、情報を、医用デバイスのシャフト上で互いに隣接する、または間隔を空けた複数の磁場の長さ、および/または間隔に対して関連付けることにより達成される。1つまたは複数の実施形態では、医用デバイスからのデータの読取りは、針の遠位先端に対する磁場の位置を読み取ることを含む。1つまたは複数の実施形態において、データの読取りは、超音波システムの一部として、磁力計の3次元配列を利用し、また超音波システムは、磁力計の配列から、磁場の少なくとも1つへの距離を取得するために3次元相関を導出する。方法の1つまたは複数の実施形態では、3次元相関は、関数I=f(Bi μr)により求められ、式中、i=3軸に沿ったxまたはyまたはzであり、x、yおよびzは、3平面内の距離であり、Bは、磁場の少なくとも1つによって生成された知られた磁場である。
【0040】
侵襲性の医用デバイスのシャフトを符号化する第2の方法は、シャフトに沿った間隔で、磁気機構(フェルール、磁性接着剤の滴下、スポット溶接などを複製することである。磁気領域間の距離は、使用される製品の所与のタイプ、ゲージ、および長さへと符号化することもできる。さらに、複数の磁気領域は、挿入手技中に、デバイスの視覚化を行うために使用することができる。
【0041】
上記で述べた実施形態のいずれかによる磁気領域は、特に論じたものに加えて、様々な方法で提供することができる。針、スタイレット、およびイントロデューサなど、侵襲性の医用デバイスを製作するために使用される一般的な材料は、ステンレス鋼、すなわち、タイプ304、またはタイプ316ステンレス鋼を含む。ステンレス鋼には5クラスある、すなわち、フェライト系(例えば、タイプ405、430、442)、オーステナイト系(例えば、タイプ201、301、302、303、304、316)、マルテンサイト系(例えば、タイプ403、410、416)、二相系(例えば、タイプ2205、合金255)、および析出硬化系(例えば、タイプ17-4PH、PH17-7)であり、概して、オーステナイト系ステンレス鋼だけが非磁性体である。最初の4つのクラスは、金属の微細構造に基づいて定義され、最後のクラスである析出硬化系は、その熱処理に基づく。微細構造は、ステンレス鋼にその磁気特性を提供する。
【0042】
しかし、オーステナイト系ステンレス鋼は非磁性であるが、それは、いくつかの方法で、材料を変更することによって磁気を帯びることができる。例えば、微細構造の一部は、上記で列挙された他の4つのクラスのいずれか1つに変えることができ、したがって、材料は、何らかの透磁性、すなわち、磁性を材料に組み込むようになる。オーステナイト系ステンレス鋼の微細構造は、マルテンサイト応力誘起変態と呼ばれるプロセスにより、変化させることができる。これは、オーステナイトからマルテンサイトへの微細構造変化であり、その変態は、冷間加工、ならびにオーステナイト化温度からの徐冷により行うことができる。冷間加工または徐冷の後、オーステナイト系ステンレス鋼は、かなりのレベルのマルテンサイト系微細構造を有することになる。マルテンサイトは磁性があるため、非磁性であったオーステナイト系ステンレス鋼は、次には、ある程度の磁性を有することになる。
【0043】
低い合金含有量ステンレス鋼(特に、低ニッケル、カーボン、および/または窒素のもの)は、より高い合金元素を有するステンレス鋼よりも、マルテンサイト応力誘起変態を受けやすい。タイプ304は、冷間加工の後、マルテンサイトの形成を非常に受けやすいステンレス鋼の例である。
【0044】
合金におけるオーステナイトは、焼き戻された状態に対して高い冷間加工度で、マルテンサイトへと変態する。アニールされたステンレス鋼が完全な硬度へと冷間加工されたとき、通常、磁化率は、約100ppmから10,000ppmへと増加することができる。磁化率を増加させ、針シャフトのさらなる冷間加工を行って合金中に高い量のマルテンサイトを誘起させるように、針をスプリングテンパーして、冷間加工後の機械的特性を最大化することができる。さらに、針は熱処理され、余分のマルテンサイトを除去し、望ましい磁化率の正確な量を制御することができる。
【0045】
1つまたは複数の実施形態によれば、侵襲性の医用デバイスを製作するために使用される材料の磁化を増加するために、合金に強磁性金属を加えることにより、針の合金組成を向上させることもできる。例えば、タイプ304ステンレス鋼は、通常、重量で18%のCrと、重量で8%のNiを、重量で最大2%のMnと共に含む。実施形態では、ステンレス鋼に、より高い磁化率を提供するために、コバルトを、重量で0.01%から5%の範囲の量でこの合金に加えることができ、かつ/またはマンガン含有量を、重量で最大に許容可能な2%から、3%、4%、または5%に増加させることができる。さらに、合金の磁化率をさらに高めるために、ガドリニウムまたはネオジウムなどの希土類金属を、重量で5%未満のわずかな量だけ加えることもできる。これらの材料のいずれも、材料の層、フェルール、クリンプ、またはスポット溶接を追加するかどうかにかかわらず、上記で述べた不連続部の領域において使用することができる。
【0046】
1つまたは複数の実施形態では、磁化率はまた、侵襲性の医用デバイスのシャフトに、強磁性金属の層を加えることによって高めることもできる。例示的な実施形態では、約0.5~1.5mmの外径を有する針はまた、磁気領域の磁化率を高めるために、0.1ミクロンから100ミクロンの範囲の厚さで、電気メッキまたは無電解メッキ法により付着されたニッケルメッキを有することもできる。代替的実施形態において、腐食を防ぐために、外側にCrもしくはCrO2の層、または磁化率を高めるために、Coもしくはネオジウムの中間層など、特定の特性を向上させるために、他の金属の層を適用することもできる。
【0047】
他の例は、針を製作するために使用される管の内部に、鉄などの強磁性材料の同軸の層を加えることを含む。CoまたはFeなどの毒性がある可能性のある金属が、普通であれば露出されることになる機械加工された、または研磨された面に対して、電気メッキまたは他の適切な技法により、さらなる表面障壁層を加えることができる。
【0048】
1つまたは複数の実施形態によれば、針の一端の近くに、好ましくは、針の鋭利な遠位先端の近くに磁気領域を配置することにより、磁気先端位置の感知がまた改善され得る。磁気領域が、針の先端部からの固定距離にある知られた位置に配置された場合、磁力計の配列を使用して、磁気領域からの磁場強度変動を測定し、かつ針の遠位先端の位置を特定することができる。フェルールを含む1つまたは複数の実施形態によれば、フェルールはまた、針刺し傷害阻止などの他の機能を実施することができる。フェルールは、針の残部よりも高い、または低い磁化率の材料から製作することができ、また針にスポット溶接することにより取り付けることができる。あるいは、材料のスポット溶接は、針表面上に、それを溶接することにより付着させることができ、このようなスポットはまた、針刺し傷害防止機構における別の機能で働くことができる。
【0049】
1つまたは複数の実施形態による磁性接着剤を含む実施形態では、接着剤は、針シャフトに適用され、かつ針がカテーテル管の中に挿入されたとき、カテーテルの下に位置し、したがって、患者は、接着剤の存在を知覚または感知することはない。1つまたは複数の実施形態によれば、磁性接着剤は、デバイス上に磁気領域を提供して、針の検出、およびシステムが必要とする視覚化のガイドを提供することができ、また接着剤を使用して、安全ワッシャを含むシステムで、針が安全ワッシャを通過しないようにすることもできる。
【0050】
本開示の別の態様は、カテーテル管が患者に挿入されたとき、カテーテル先端位置を決定するためのシステムに関する。1つまたは複数の実施形態によれば、システムは、永久磁石の位置およびベクトルを測定することによって、カニューレ管先端位置を独立して測定して、超音波プローブ上の磁気センサの位置に対するカテーテル先端位置を計算し、かつ予測する方法を提供し、さらに超音波プローブ上のセンサから送信される超音波情報を提供する。カテーテルおよび針の軸上でN極およびS極を備えるデバイスの永久磁石、およびカテーテル組立体上に固定された1つまたは複数の機構に対する知られた幾何学的関係は、超音波プローブ磁気センサにより測定可能な測定データを提供する。カテーテル組立体上の1つまたは複数の機構に基づく測定データから、カテーテル先端または他の機構の方向ベクトルおよび位置を計算することができる。針上の磁化された磁化可能な針もしくは機構は、次いで、針先端の位置を独立して測定するために使用することができる。針先端または針上の機構の測定された位置は、次いで、カテーテル先端の計算された位置に対して比較されて、患者の解剖学的構造に対する針およびカテーテル先端位置など、カテーテル配置プロセスに関連するより具体的な情報を提供することができる。この情報は、(a)カテーテルが適正に置かれ、挿入の用意ができている(すなわち、ベベル部を越えない状態)かどうか、(b)針先端が、「覆われた」位置にあるとき(針先端がカテーテル先端のすぐ内側にある)、ならびに(c)および(d)カテーテルが特定の距離および角度へと前進して、静脈内における配置の成功を示唆するときを決定するために使用することができる。
【0051】
図14は、本明細書で述べるように磁化され、患者の体800の内側に示された磁化可能な機構732を備えるカテーテルアダプタ部分組立体712を含む超音波システム700を示す。3D配列で配置された磁力計720(図示されていない超音波システムのプローブ内に収容され得る)の配列を備える磁気測定検出器711は、地球の磁場および任意の他の背景磁場と共に、磁場714を感知するために使用することができる。磁気測定検出器711は、磁気測定検出器711に対する磁化可能な機構732の位置および方向を、検出された場から決定するように適合された超音波プロセッサ730と通信する。この磁気的に検出された位置は、次いで、超音波画像と共に、ディスプレイ750上に表示される。
【0052】
超音波システム700は、超音波プローブが磁気測定検出器711を設けることによって変更された2次元のBモード超音波システムとすることができる。ケーブル735を介して超音波プローブに接続され得る超音波プロセッサ730は、磁気測定検出器711に電気信号を送って、超音波パルスを生成させ、患者の体からのエコーを表す、磁気測定検出器711を収容する変換器プローブから受信された生データを解釈し、それを患者の組織の画像へと組み立てる。
【0053】
磁気測定検出器711は、超音波プローブに取り付けることができ、また電池で駆動される、または超音波システムから電力が供給され得る。特定の実施形態では、位置決め要素が、常に同じ明確に規定された位置および方向で確実に取り付けられるように、磁気測定検出器711上に設けられる。磁気測定検出器711は、超音波プロセッサ730およびディスプレイ750と無線または有線(例えば、USB)通信するベースユニット740に、無線接続により接続され得る。ベースユニット740は、超音波プロセッサ730または磁気測定検出器711により実施されるその機能を統合する、またはその機能のいくつかを統合することができる。
【0054】
ベースユニット740は、磁気測定検出器711から正規化された測定値を受け取り、磁化可能な機構732の位置を、または任意選択で位置および方向を計算する。ベースユニット740はまた、磁気測定検出器の電池の充電状態などのさらなる情報を受け取ることができ、また構成情報などの情報を、ベースユニット740から磁気測定検出器711に送ることができる。ベースユニット740は、その計算結果を、すなわち、位置、および任意選択で方向を、カテーテルの画像の表示される超音波画像に含めるために超音波プロセッサ730に転送する。
【0055】
1つまたは複数の実施形態では、ベースユニット740は、超音波システム700の中に一体化することができ、超音波プロセッサ730および磁気測定検出器711は、無線リンクを介して、または同じ物理ケーブル735を用いて、超音波システム700と直接通信する。
【0056】
したがって、1つまたは複数の実施形態では、磁化可能な機構は、磁場を生成して、針または医用デバイスを磁化し、透磁率μrの組織を通して距離xにおいて磁場Bを生成することのできる任意の適切なデバイスを用いて磁化され、また相関は、x=f(B、μr)として計算される。1つまたは複数の実施形態では、3つの磁力計720は、互いに対して直交するように配置され、3次元相関I=f(Bi、μr)を導出するように使用され、式中、i=3軸に沿ったxまたはyまたはzである。特定の実施形態では、磁化可能な機構から、磁力計の3次元配列までの距離が計算される。さらなる特定の実施形態では、超音波撮像システムの超音波センサに関する磁力計の配列の位置が使用されて、超音波センサに対する磁化可能な機構の位置が計算される。別の特定の実施形態では、方法は、磁化可能な機構の画像を表示するステップを含む。
【0057】
本明細書の開示は、特定の実施形態を参照する記述が提供されるが、これらの実施形態は、本開示の原理およびその適用を単に例示するものに過ぎないことを理解されたい。当業者であれば、本開示で述べられたデバイス、方法、およびシステムに対して、その趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることを理解されよう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲、およびその均等な形態に含まれる修正形態および変形形態を含むように意図されている。
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