(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】プリンタ、プリンタの制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20221219BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B41J29/38 204
B41J29/38 401
B41J29/46 Z
(21)【出願番号】P 2019000553
(22)【出願日】2019-01-07
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 秀和
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-303320(JP,A)
【文献】特開2018-153992(JP,A)
【文献】特開2007-021902(JP,A)
【文献】特開2005-262640(JP,A)
【文献】特開2013-000953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体として、ICチップ及びアンテナを有するRFID媒体と、前記ICチップ及び前記アンテナを有さない印字媒体と、を選択でき
、前記RFID媒体の前記ICチップと通信する通信部を備えるプリンタであって、
動作モードとして、印字指示データにRFIDに関する情報が含まれるか否かの判定を行い前記ICチップとの通信が成功したか否かの判定を行わない第1モードと、前記印字指示データに前記RFIDに関する情報が含まれるか否かの判定及び前記ICチップとの通信が成功したか否かの判定を行う第2モードと、を有し、
前記第1モードと前記第2モードを切り替えて設定可能であり、
前記第1モードでは、前記印字指示データに
前記RFIDに関する情報が含まれない場合は、前記媒体に印字を行う印字処理を禁止す
る、
プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって
、
前記
第2モードでは、前記印字指示データに前記RFIDに関する情報が含まれない場合
に、前記通信部による前記ICチップとの通信が成功したか判定する、
プリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタであって、
前記第2モードでは、前記通信部による前記ICチップとの通信が成功したと判定した場合は、前記印字処理を禁止し、前記通信部による前記ICチップとの通信が失敗したと判定した場合は
、前記印字処理を禁止しない、
プリンタ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記印字処理を禁止した場合は、エラーを報知するエラー処理を実行する、
プリンタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記印字指示データに前記RFIDに関する情報が含まれるか否かの判定を、前記プリンタの起動後又は前記媒体の交換後における最初の前記媒体に対してのみ行う、
プリンタ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記RFIDに関する情報は、前記RFID媒体の前記ICチップに情報を書き込むための書き込みコマンドである、
プリンタ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記動作モードとして、前記第1モードの処理と前記第2モードの処理とのいずれも行わない第3モードをさらに有する、
プリンタ。
【請求項8】
媒体として、ICチップ及びアンテナを有するRFID媒体と、前記ICチップ及び前記アンテナを有さない印字媒体と、を選択でき
、前記RFID媒体の前記ICチップと通信する通信部を備え、動作モードとして、印字指示データにRFIDに関する情報が含まれるか否かの判定を行い前記ICチップとの通信が成功したか否かの判定を行わない第1モードと、前記印字指示データに前記RFIDに関する情報が含まれるか否かの判定及び前記ICチップとの通信が成功したか否かの判定を行う第2モードと、を有し、前記第1モードと前記第2モードを切り替えて設定可能なプリンタの制御方法であって、
前記第1モードでは、前記印字指示データに
前記RFIDに関する情報が含まれない場合は、前記媒体に印字を行う印字処理を禁止する、
プリンタの制御方法。
【請求項9】
媒体として、ICチップ及びアンテナを有するRFID媒体と、前記ICチップ及び前記アンテナを有さない印字媒体と、を選択でき
、前記RFID媒体の前記ICチップと通信する通信部を備え、動作モードとして、印字指示データに前記RFIDに関する情報が含まれるか否かの判定を行い前記ICチップとの通信が成功したか否かの判定を行わない第1モードと、前記印字指示データに前記RFIDに関する情報が含まれるか否かの判定及び前記ICチップとの通信が成功したか否かの判定を行う第2モードと、を有し、前記第1モードと前記第2モードを切り替えて設定可能なプリンタのコンピュータが実行可能なプログラムであって、
前記第1モードでは、前記印字指示データに
前記RFIDに関する情報が含まれない場合は、前記媒体に印字を行う印字処理を禁止する手順を前記コンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、識別情報が書き込まれたICチップから非接触通信によって情報を送受するRFID(Radio Frequency Identification)技術が種々の分野に適用されるようになっている。
【0003】
特許文献1には、このようなRFID仕様のICチップ及びアンテナが組み込まれたタグ、ラベル等のRFID媒体に印字を行うプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
RFID媒体は、ICチップ及びアンテナを有さないタグ、ラベル等の印字媒体と見分けが付き難い場合がある。
【0006】
よって、媒体として、RFID媒体と、ICチップ及びアンテナを有さない印字媒体と、を選択できるプリンタにおいては、ICチップ及びアンテナを有さない印字媒体と間違えて、RFID媒体を使用してしまうことが考えられる。
【0007】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、媒体として、ICチップ及びアンテナを有するRFID媒体と、ICチップ及びアンテナを有さない印字媒体と、を選択できるプリンタにおいて、ICチップ及びアンテナを有さない印字媒体と間違えて、RFID媒体を使用してしまうことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、媒体として、ICチップ及びアンテナを有するRFID媒体と、前記ICチップ及び前記アンテナを有さない印字媒体と、を選択でき、前記RFID媒体の前記ICチップと通信する通信部を備えるプリンタであって、動作モードとして、印字指示データにRFIDに関する情報が含まれるか否かの判定を行い前記ICチップとの通信が成功したか否かの判定を行わない第1モードと、前記印字指示データに前記RFIDに関する情報が含まれるか否かの判定及び前記ICチップとの通信が成功したか否かの判定を行う第2モードと、を有し、前記第1モードと前記第2モードを切り替えて設定可能であり、前記第1モードでは、前記印字指示データに前記RFIDに関する情報が含まれない場合は、前記媒体に印字を行う印字処理を禁止する、プリンタが提供される。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、ICチップ及びアンテナを有さない印字媒体と間違えてRFID媒体をプリンタにセットしても、ICチップ及びアンテナを有さない印字媒体に印字する場合の印字指示データにはRFIDに関する情報が含まれないので、印字処理が禁止される。よって、ICチップ及びアンテナを有さない印字媒体と間違えて、RFID媒体を使用してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
【
図2】RFIDコマンド検出モードにおいてコントローラが実行する処理を示すフローチャートである。
【
図3】RFID媒体検出モードにおいてコントローラが実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ100の概略構成図である。
【0013】
プリンタ100では、RFID仕様のICチップC及びアンテナAを有するRFID媒体M1と、ICチップC及びアンテナAを有さない印字媒体(以下、単に「印字媒体」という。)M2と、のいずれかを選択して使用することができる。
図1は、プリンタ100にRFID媒体M1がセットされた状態を示している。なお、以下の説明において、媒体Mと記した場合には、RFID媒体M1と印字媒体M2との両者を含む。
【0014】
プリンタ100は、RFID媒体M1を使用する場合は、印字指示データに基づいて、価格、バーコード、その他の商品情報、物品あるいはサービスに関する管理情報等の可変情報を必要に応じてRFID媒体M1に印字するとともに、ICチップCに書き込まれた情報の読み取り及びICチップCへの情報の書き込みを行う。また、プリンタ100は、印字媒体M2を使用する場合は、印字指示データに基づいて、可変情報を印字媒体M2に印字する。
【0015】
媒体Mとしては、例えば、タグ、ラベル、リストバンド等がある。
【0016】
上述したように、
図1では、プリンタ100にRFID媒体M1がセットされている。より詳しくは、
図1では、RFID媒体M1は長尺台紙に連なって仮着されたラベルであって、RFID媒体M1の連続体MLとしてプリンタ100にセットされている。印字媒体M2を使用する場合も同様に、連続体MLとしてプリンタ100にセットされる。
【0017】
プリンタ100は、
図1に示すように、印字機構10と、リボン供給軸20と、リボン巻取軸30と、媒体供給軸40と、通信部50と、位置検出センサ60と、制御部としてのコントローラ(コンピュータ)70と、を備える。
【0018】
印字機構10は、ヘッドユニット11と、プラテンローラ12と、を備え、媒体Mへの印字と連続体ML及びインクリボンRの搬送を行う機構である。
【0019】
ヘッドユニット11は、サーマルヘッド13の発熱素子を下面から露出させた状態でサーマルヘッド13を保持する。プラテンローラ12は、サーマルヘッド13の直下に配置され、媒体Mに印字を行う印字部15をサーマルヘッド13とともに構成する。
【0020】
ヘッドユニット11は、支持軸14により
図1の矢印の方向に揺動可能に支持される。ヘッドユニット11は、サーマルヘッド13がプラテンローラ12から離間するヘッドオープン位置と、サーマルヘッド13がプラテンローラ12に当接するヘッドクローズ位置と、に移動させることができる。
図1では、サーマルヘッド13はヘッドクローズ位置である。
【0021】
リボン供給軸20は、印字部15に供給されるインクリボンRをロール状に保持する。リボン供給軸20から印字部15に供給されたインクリボンRは、サーマルヘッド13とプラテンローラ12との間に挟持される。
【0022】
媒体供給軸40は、印字部15に供給される連続体MLをロール状に保持する。媒体供給軸40から印字部15に供給された連続体MLは、サーマルヘッド13とプラテンローラ12との間にインクリボンRとともに挟持される。
【0023】
媒体M及びインクリボンRがサーマルヘッド13とプラテンローラ12との間に挟持された状態でサーマルヘッド13の発熱素子への通電が行われると、発熱素子の熱によってインクリボンRのインクが媒体Mに転写され、媒体Mへの印字が行われる。また、プラテン駆動モータ(図示せず)によってプラテンローラ12が正回転すると、連続体ML及びインクリボンRが下流側へと搬送される。
【0024】
使用済のインクリボンRは、プラテン駆動モータとのギアの連結によってリボン巻取軸30が回転すると、その外周に巻き取られる。なお、ヘッドユニット11がヘッドオープン位置になっている場合は、リボン巻取軸30を回転させることで、インクリボンRのみをフィードすることができる。
【0025】
位置検出センサ60は、反射型光電センサであって、連続体MLに所定ピッチで予め印刷されている位置検出用のアイマーク(図示せず)を検出することで、連続して印字発行するときに、印字部15に対する媒体Mの相対的位置を検出する。
【0026】
コントローラ70は、マイクロプロセッサ、ROMやRAM等の記憶装置、入出力インターフェース、これらを接続するバス等で構成される。コントローラ70は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。コントローラ70には、入出力インターフェースを介して、外部コンピュータからの印字指示データ、位置検出センサ60の検出信号等が入力される。
【0027】
コントローラ70は、記憶装置に格納されている各種制御プログラムをマイクロプロセッサによって実行し、サーマルヘッド13の発熱素子への通電、プラテン駆動モータへの通電、通信部50のアンテナ(図示せず)への通電及びRFID媒体M1のICチップCとの通信(読み取り、書き込み)等を制御する。
【0028】
コントローラ70は、印字を行う際は、
図1に示すように、これから印字する媒体Mの位置を印字開始位置に位置合わせした状態で、印字処理を実行する。印字開始位置は、連続体MLのアイマークの位置を基準にして設定される。
【0029】
RFID媒体M1を使用する場合は、コントローラ70は、印字処理を実行することで、必要に応じてRFID媒体M1に印字するとともに、通信部50によりICチップCに書き込まれた情報の読み取り及びICチップCへの情報の書き込みを行う。
【0030】
また、印字媒体M2を使用する場合は、コントローラ70は、印字処理を実行することで、可変情報を印字媒体M2に印字する。
【0031】
ところで、ICチップ及びアンテナを有するRFID媒体は、ICチップ及びアンテナを有さない印字媒体と見分けが付き難い場合がある。よって、RFID媒体と、ICチップ及びアンテナを有さない印字媒体と、を選択できるプリンタにおいては、ICチップ及びアンテナを有さない印字媒体と間違えて、RFID媒体を使用してしまうことが考えられる。
【0032】
これに対して、本実施形態のプリンタ100は、印字媒体M2と間違えてRFID媒体M1を使用してしまうことを防止できるように、動作モードとして、RFIDコマンド検出モードと、RFID媒体検出モードと、を有する。
【0033】
まず、プリンタ100がRFIDコマンド検出モードに設定されている場合について、
図2を参照しながら説明する。
【0034】
図2は、RFIDコマンド検出モードにおいてコントローラ70が実行する処理を示すフローチャートである。
【0035】
RFIDコマンド検出モードでは、コントローラ70は、プリンタ100が起動した場合、又はプリンタ100の媒体Mが交換されたと判定した場合に、
図2のフローチャートの処理を実行する。なお、プリンタ100が起動した場合、及びプリンタ100の媒体Mが交換されたと判定した場合に、
図2のフローチャートの処理を実行するように設定することもできる。
【0036】
プリンタ100の媒体Mが交換されたか否かの判定は、例えば、ヘッドユニット11がヘッドオープン位置からヘッドクローズ位置に移動したことを検出した場合に、媒体Mが交換されたと判定される。
【0037】
ステップS11では、コントローラ70は、外部のコンピュータから印字指示データを受信する。なお、印字指示データの受信は、外部コンピュータから受信することに限られない。例えば、コントローラ70が、記憶装置に予め記憶されていた印字指示データを読み出した場合も、印字指示データを受信したことに含まれる。
【0038】
ステップS12では、コントローラ70は、印字指示データにRFIDコマンドが含まれるか判定する。
【0039】
RFIDコマンドとは、例えば、RFID媒体M1のICチップCに情報を書き込むための書き込みコマンド、ICチップCから読み取った情報をRFID媒体M1への印字に利用するための印字コマンド、等である。すなわち、RFIDコマンドとは、RFIDに関する情報である。
【0040】
コントローラ70は、印字指示データにRFIDコマンドが含まれると判定すると、媒体Mに印字を行う印字処理を実行する(ステップS13)。なお、この場合は、プリンタ100に印字媒体M2がセットされていると通信部50により通信を行うことができないので、印字処理を中止してエラーを報知するエラー処理を実行するようにしてもよい。
【0041】
また、コントローラ70は、印字指示データにRFIDコマンドが含まれないと判定すると、エラーを報知するエラー処理を実行する(ステップS14)。つまり、印字処理を禁止して、印字が行われないようにする。なお、エラー状態は、ユーザがエラー解除操作をすることで解除される。
【0042】
例えば、印字媒体M2を使用して印字を行う予定で、ユーザが印字媒体M2と間違えてRFID媒体M1をプリンタ100にセットした場合について検討する。この場合は、ユーザは、印字媒体M2を使用する予定であるから、印字媒体M2に印字するための印字指示データを、外部のコンピュータからプリンタ100に送信する。つまり、コントローラ70は、印字媒体M2に印字するための印字指示データを受信することになる。
【0043】
ここで、印字媒体M2に印字するための印字指示データにはRFIDコマンドが含まれないので、ステップS12からステップS14に処理が進み、印字処理が禁止されるとともにエラーが報知される。よって、印字媒体M2と間違えて、RFID媒体M1を使用してしまうことを防止できる。また、エラーを報知するので、印字媒体M2と間違えてRFID媒体M1をプリンタ100にセットしたことにユーザが気付きやすい。
【0044】
なお、本実施形態では、コントローラ70は、
図2のフローチャートの処理を、プリンタ100の起動後又は媒体Mの交換後における最初の媒体Mに対してのみ行い、2枚目以降の媒体Mに対しては行わない。
【0045】
これは、プリンタ100では、媒体Mが連続体MLとしてセットされており、最初の媒体Mについて印字媒体M2と間違えてRFID媒体M1を使用してしまうことを防止できれば、2枚目以降についても必然的に間違いを防止できるからである。
【0046】
これによれば、コントローラ70が実行する処理を低減でき、印字速度や媒体搬送速度を上げることができる。
【0047】
次に、プリンタ100がRFID媒体検出モードに設定されている場合について、
図3を参照しながら説明する。
【0048】
図3は、RFID媒体検出モードにおいてコントローラ70が実行する処理を示すフローチャートである。
【0049】
RFID媒体検出モードでは、コントローラ70は、RFIDコマンド検出モードと同様に、プリンタ100が起動した場合、又はプリンタ100の媒体Mが交換されたと判定した場合に、
図3のフローチャートの処理を実行する。なお、プリンタ100が起動した場合、及びプリンタ100の媒体Mが交換されたと判定した場合に、
図3のフローチャートの処理を実行するように設定することもできる。
【0050】
ステップS21からステップS23の処理については、RFIDコマンド検出モードのステップS11からステップS13と同様であるので、説明を省略する。
【0051】
ステップS24では、コントローラ70は、通信部50によりICチップCと通信を行う通信処理を実行する。
【0052】
ステップS25では、コントローラ70は、ICチップCとの通信が成功したか判定する。例えば、ICチップCから情報を読み取ることができた場合は、コントローラ70は、通信が成功したと判定する。
【0053】
コントローラ70は、ICチップCとの通信が失敗したと判定すると、媒体Mに印字を行う印字処理を実行する(ステップS23)。
【0054】
ステップS22で印字指示データにRFIDコマンドが含まれないと判定されたということは、コントローラ70が印字媒体M2に印字するための印字指示データを受信したということである。また、ステップS24でICチップCとの通信が失敗したと判定されたということは、プリンタ100に印字媒体M2がセットされているということである。
【0055】
この場合は、ユーザが印字媒体M2を使用する予定であると考えられ、且つ、プリンタ100には実際に印字媒体M2がセットされているので、印字処理が実行される。
【0056】
このように、コントローラ70は、通信部50によりICチップCと通信を行うことができない場合は、印字指示データにRFIDコマンドが含まれない場合であっても、印字処理を禁止しない。
【0057】
コントローラ70は、ICチップCとの通信が成功したと判定すると、エラーを報知するエラー処理を実行する(ステップS14)。つまり、印字処理を禁止して、印字が行われないようにする。なお、エラー状態は、ユーザがエラー解除操作をすることで解除される。
【0058】
上述したように、ステップS22で印字指示データにRFIDコマンドが含まれないと判定されたということは、コントローラ70が印字媒体M2に印字するための印字指示データを受信したということである。また、ステップS24でICチップCとの通信が成功したと判定されたということは、プリンタ100にRFID媒体M1がセットされているということである。
【0059】
この場合は、ユーザが印字媒体M2を使用する予定であると考えられるところ、プリンタ100には、間違ってRFID媒体M1がセットされていることになる。よって、コントローラ70は、処印字処理を禁止するとともにエラーを報知する。これにより、印字媒体M2と間違えて、RFID媒体M1を使用してしまうことを防止できる。
【0060】
なお、RFIDコマンド検出モードの場合と同様に、コントローラ70は、
図3のフローチャートの処理を、プリンタ100の起動後又は媒体Mの交換後における最初の媒体Mに対してのみ行い、2枚目以降の媒体Mに対しては行わない。
【0061】
これによれば、コントローラ70が実行する処理を低減でき、印字速度や搬送速度を上げることができる。
【0062】
なお、プリンタ100は、RFIDコマンド検出モードとRFID媒体検出モードとを有する他に、
図2のフローチャートの処理と
図3のフローチャートの処理とのいずれも行わない通常モードを有する。
【0063】
以上述べたように、本実施形態のプリンタ100は、媒体Mとして、ICチップC及びアンテナAを有するRFID媒体M1と、ICチップC及びアンテナAを有さない印字媒体M2と、を選択できる。プリンタ100は、印字指示データにRFIDに関する情報(RFIDコマンド)が含まれない場合は、媒体Mに印字を行う印字処理を禁止するコントローラ70を備える。
【0064】
これによれば、ICチップC及びアンテナAを有さない印字媒体M2と間違えてRFID媒体M1をプリンタ100にセットしても、ICチップC及びアンテナAを有さない印字媒体M2に印字する場合の印字指示データにはRFIDに関する情報が含まれないので、印字処理が禁止される。よって、ICチップC及びアンテナAを有さない印字媒体M2と間違えて、RFID媒体M1を使用してしまうことを防止できる。
【0065】
また、プリンタ100は、RFID媒体M1のICチップCと通信する通信部50を備え、コントローラ70は、印字指示データにRFIDに関する情報が含まれない場合は、通信部50によるICチップCとの通信が成功したか判定する。
【0066】
これによれば、通信部50によるICチップCとの通信が成功したかを判定する処理を、印字指示データにRFIDに関する情報が含まれない場合にのみ行うので、印字指示データにRFIDに関する情報が含まるか否かに関係なく当該処理を行う場合と比べて、コントローラ70が実行する処理を低減できる。
【0067】
また、コントローラ70は、通信部50によるICチップCとの通信が失敗したと判定した場合は、印字指示データにRFIDに関する情報が含まれない場合であっても、印字処理を禁止しない。
【0068】
これによれば、ユーザが印字媒体M2を使用する予定であると考えられ、且つ、プリンタ100に実際に印字媒体M2がセットされている場合に、印字処理が禁止されることを防止できる。
【0069】
また、コントローラ70は、印字処理を禁止した場合は、エラーを報知するエラー処理を実行する。
【0070】
これによれば、印字媒体M2と間違えてRFID媒体M1をプリンタ100にセットしたことにユーザが気付きやすい。
【0071】
また、コントローラ70は、印字指示データにRFIDに関する情報が含まれるか否かの判定を、プリンタ100の起動後又は媒体Mの交換後における最初の媒体Mに対してのみ行う。或いは、コントローラ70は、印字指示データにRFIDに関する情報が含まれるか否かの判定を、プリンタ100の起動後及び媒体Mの交換後における最初の媒体Mに対してのみ行う。
【0072】
これによれば、コントローラ70が実行する処理を低減でき、印字速度や媒体搬送速度を上げることができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0074】
例えば、上記実施形態では、プリンタ100を、インクリボンRを熱してインクリボンR上のインクを媒体Mに転写して印字する熱転写方式の装置として説明している。しかしながら、プリンタ100は、感熱媒体を熱して印字する感熱発色方式の装置であってもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、コントローラ70は、
図2のフローチャートの処理を、プリンタ100の起動後又は媒体Mの交換後における最初の媒体Mに対してのみ行い、2枚目以降の媒体Mに対しては行わないようになっている。しかしながら、全ての媒体Mに対して
図2のフローチャートの処理を実行してもよい。
図3のフローチャートの処理についても同様である。
【0076】
また、
図3のフローチャートでは、通信処理(ステップS24)が、ステップS22の判定の後に実行される。しかしながら、通信処理は、ステップS22の前に実行してもよいし、ステップS21の前に実行してもよい。
【0077】
また、コントローラ70が実行する各種プログラムは、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体に記憶されたものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0078】
100 プリンタ
10 印字機構
11 ヘッドユニット
12 プラテンローラ
13 サーマルヘッド
14 支持軸
15 印字部
20 リボン供給軸
30 リボン巻取軸
40 媒体供給軸
50 通信部
60 位置検出センサ
70 コントローラ(制御部、コンピュータ)
A アンテナ
C ICチップ
M 媒体(RFID媒体、印字媒体)
M1 RFID媒体
M2 印字媒体
ML 連続体
R インクリボン