(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】ドアストッパー
(51)【国際特許分類】
E05C 17/56 20060101AFI20221219BHJP
E05C 17/46 20060101ALI20221219BHJP
E06B 3/72 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
E05C17/56
E05C17/46
E06B3/72
(21)【出願番号】P 2019014863
(22)【出願日】2019-01-30
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】592062725
【氏名又は名称】株式会社システックキョーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100081385
【氏名又は名称】塩川 修治
(72)【発明者】
【氏名】中津 陽介
【審査官】素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-332323(JP,A)
【文献】特開2013-130024(JP,A)
【文献】特開2013-159966(JP,A)
【文献】特開2008-308950(JP,A)
【文献】特開2006-104694(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1417441(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設けられ、上下方向に移動できる磁性体からなるストッパ部材と、
扉に設けられ、扉が開閉してストッパ部材の上方に定めた扉ストップ位置に位置付けられたときにストッパ部材を引き寄せる磁石を備えるとともに、磁石に引き寄せられたストッパ部材に係脱し得る係止部材を備え、係止部材がストッパ部材に係止した状態で扉を上記扉ストップ位置に停止可能にする扉停止装置とを有して
なり、
扉の底面に床面に向けて開口する格納部を設け、この格納部に
前記扉停止装置が内蔵
され、
前記扉停止装置が、前記係止部材をストッパ部材に係脱させる操作部材を更に備えるドアストッパーであって、
前記扉停止装置がケースの内部に装備され、
このケースが該扉の長手方向に沿う長手状をなして、該扉の底面に設けた格納部に配設され、扉停止装置を構成する磁石、係止部材及び操作部材が該ケースの長手方向に沿う各位置に並置され、該操作部材が該ケースの下面にスライド可能に添設されるドアストッパー。
【請求項2】
前記操作部材が前記ケースの長手方向に沿ってスライドする請求項
1に記載のドアストッパー。
【請求項3】
前記操作部材が前記ケースの短手方向に沿う外方に臨む操作部を備える請求項
2に記載のドアストッパー。
【請求項4】
前記操作部材の操作部が、前記ケースの短手方向に沿う一方向と他方向の双方に臨んで設けられる請求項
3に記載のドアストッパー。
【請求項5】
前記ケースがその長手方向の両端部のそれぞれに定めた取付部によって該扉の底面に取付けられるとき、前記係止部材における前記ストッパ部材との係止部が該ケースの長手方向の中央部に配置される請求項
1乃至
4のいずれかに記載のドアストッパー。
【請求項6】
前記扉がアルミ框ドアであり、アルミ框からなる扉の底面における該アルミ框の長手方向に直交する方向の両側縁部に、該アルミ框の長手方向に沿う両側リブを備えるとき、前記ケースが該扉の底面の両側リブに挟まれる空所に装填されたスペーサを介して該扉の底面に取付けられる請求項
1乃至
5のいずれかに記載のドアストッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドアストッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開閉する扉を一定の扉ストップ位置に停止するためのドアストッパーがある。
従来のドアストッパーは、特許文献1、2に記載の如く、ストッパ部材と扉停止装置とを有して構成されている。ストッパ部材は、床面に設けられ、上下方向に移動できる磁性体からなるものとされている。扉停止装置は、扉に設けられ、扉が開閉してストッパ部材の上方に定めた扉ストップ位置に位置付けられたときにストッパ部材を引き寄せる磁石を備えるとともに、磁石に引き寄せられたストッパ部材に係脱し得る係止部材を備え、係止部材がストッパ部材に係止した状態で扉を上記扉ストップ位置に停止可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-178522号公報
【文献】特開2013-130024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のドアストッパーは、扉の下隅部分の表面に扉停止装置を取付けるものであり、この扉停止装置が扉の表面から外方に膨出していて、居住者に目立つ存在になる。
【0005】
また、特許文献2に記載のドアストッパーは、扉の下隅部分の木口(戸先側の端面)から底面に渡って加工した格納部に扉停止装置を取付けるものであり、この扉停止装置が扉の木口から外方に露出していて、居住者に目立つ存在になる。
【0006】
本発明の課題は、扉停止装置を目立たないように扉に設けることができるドアストッパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、床面に設けられ、上下方向に移動できる磁性体からなるストッパ部材と、扉に設けられ、扉が開閉してストッパ部材の上方に定めた扉ストップ位置に位置付けられたときにストッパ部材を引き寄せる磁石を備えるとともに、磁石に引き寄せられたストッパ部材に係脱し得る係止部材を備え、係止部材がストッパ部材に係止した状態で扉を上記扉ストップ位置に停止可能にする扉停止装置とを有してなり、扉の底面に床面に向けて開口する格納部を設け、この格納部に前記扉停止装置が内蔵され、前記扉停止装置が、前記係止部材をストッパ部材に係脱させる操作部材を更に備えるドアストッパーであって、前記扉停止装置がケースの内部に装備され、このケースが該扉の長手方向に沿う長手状をなして、該扉の底面に設けた格納部に配設され、扉停止装置を構成する磁石、係止部材及び操作部材が該ケースの長手方向に沿う各位置に並置され、該操作部材が該ケースの下面にスライド可能に添設されるようにしたものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記操作部材が前記ケースの長手方向に沿ってスライドするようにしたものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において更に、前記操作部材が前記ケースの短手方向に沿う外方に臨む操作部を備えるようにしたものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において更に、前記操作部材の操作部が、前記ケースの短手方向に沿う一方向と他方向の双方に臨んで設けられるようにしたものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに係る発明において更に、前記ケースがその長手方向の両端部のそれぞれに定めた取付部によって該扉の底面に取付けられるとき、前記係止部材における前記ストッパ部材との係止部が該ケースの長手方向の中央部に配置されるようにしたものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに係る発明において更に、前記扉がアルミ框ドアであり、アルミ框からなる扉の底面における該アルミ框の長手方向に直交する方向の両側縁部に、該アルミ框の長手方向に沿う両側リブを備えるとき、前記ケースが該扉の底面の両側リブに挟まれる空所に装填されたスペーサを介して該扉の底面に取付けられるようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
(請求項1)
(a)扉停止装置が扉の底面(下框の下面)に設けられた格納部であって、床面に向けて開口する格納部に内蔵された。従って、扉停止装置は扉の底面に設けられて床面に臨むものになり、扉の表面(正背面)や木口に設けられて外方に臨むことがなく、居住者に目立つことがない。
【0016】
(b)扉停止装置は、係止部材をストッパ部材に係脱させる操作部材を備える。使用者は、操作部材を用いて係止部材をストッパ部材に随意に係脱させることができる。
【0017】
(c)扉停止装置は、磁石、係止部材及び操作部材をケースの内部に装備された状態で扉の底面にコンパクトに内蔵される。
【0018】
このとき、ケースが扉の長手方向に沿う長手状をなして、扉の底面に設けた格納部に配設され、扉停止装置を構成する磁石、係止部材及び操作部材がケースの長手方向に沿う各位置に並置され、操作部材がケースの下面にスライド可能に添設される。従って、このケースが扉の底面に取付けられたとき、磁石、係止部材及び操作部材が扉の長手方向に並置され、扉の厚み方向や高さ方向に並置されることがないから、該ケースの横断面サイズ(ケースの短手方向に沿う幅寸法、ケースの高さ方向に沿う高さ寸法)を小サイズにできる。これにより、ケースを配設するために扉の底面に設けられる格納部の横断面サイズを小型化でき、例えばアルミ框ドアからなる扉のアルミ框における下框の限られた筒内小断面の内部に必要サイズの格納部を容易に形成できる。また、木扉からなる扉においても、下框の限られた小断面内に必要サイズの格納部を容易に形成できる。
【0019】
また、操作部材が扉の底面の格納部に取付けられたケースの下面に添設されるから、操作部材の操作部等を居住者に目立たないように設けることができるし、この操作部等を扉の狭いアンダーカットG(
図4(B)に示した床面から扉の最下面までの距離であり、例えば10乃至15mm程度)の範囲内に納めることができる。
【0020】
(請求項2)
(d)操作部材がケースの下面に添設されて、該ケースの長手方向にスライドするものとされる。従って、操作部材の操作部等がケースの短手方向(扉の厚み方向)にスライドすることがなく、扉の厚み方向に沿う外方に飛び出る如くに備えられることがない。これにより、操作部材の操作部等を居住者に目立たないように設けることができるし、この操作部等が居住者の足元に干渉してその居住性を損なうこともない。
【0021】
(請求項3)
(e)操作部材がケースの短手方向に沿う外方に臨む操作部を備える。従って、使用者は扉の底面に設けた格納部に配設されたケースの短手方向に沿う外方に臨む操作部に手指の腹等を当てて、該操作部を該扉の外方から操作できる。従って、使用者は、前述した扉の狭いアンダーカット内に手指を差し入れる必要がなく、該扉の外側から上記の操作部に手指の腹を当てる等により該操作部を確実に操作でき、その操作性を向上できる。
【0022】
(請求項4)
(f)操作部材の操作部が、ケースの短手方向に沿う一方向と他方向の双方に臨んで設けられる。従って、使用者は、上述(e)において、その手指を操作部材における両操作部のうちで、手指を当て易い操作部を選んで用いることができ、使い勝手が良い。また、後述(g)で同一の扉停止装置が吊元の異なる各扉に適用されたり、同一の扉停止装置が吊元を同じにする扉の戸先に対する取付姿勢を180度反転させる等において、扉ストップ位置に位置付けられた扉が臨む広い側傍(扉が建物壁面等に突き当たることなく開閉動できるスペース)に必ず操作部材のいずれか一方の操作部を臨ませるものになり、使用者による操作部材の操作性を良好に確保できる。
【0023】
(請求項5)
(g)扉停止装置は、扉に内蔵された状態で、ケースが該扉の底面の長手方向に沿う長手状をなし、該ケースの取付面がその長手方向の両端部のそれぞれに定めた取付部によって該扉の底面に取付けられるとき、係止部材におけるストッパ部材との係止部が該ケースの長手方向の中央部に配置される。これにより、右吊元の扉の底面におけるケースの戸先からの取付位置(ケースの取付部が戸先に対してなす取付距離)と、左吊元の扉の底面におけるケースの戸先からの取付位置(ケースの取付部が戸先に対してなす取付距離)とを同一に設定し、かつそれらの右吊元と左吊元の各扉に対する各床面上に当該各扉に取付けたケースの長手方向の中央部のそれぞれに対応する位置に各ストッパ部材を配置するとき、それらの右吊元と左吊元の各扉の底面に同一の扉停止装置を適用できるものとなる。
【0024】
即ち、右吊元の扉の底面に適用される扉停止装置と、左吊元の扉の底面に適用される扉停止装置とは、それらの扉停止装置のケースを180度反転させて各扉の底面に取付けることで、同一の扉停止装置の係止部材を対応する各ストッパ部材に係止させることができる。
【0025】
(請求項6)
(h)扉がアルミ框ドアであり、アルミ框からなる扉の底面における該アルミ框の長手方向に直交する方向の両側縁部に、該アルミ框の長手方向に沿う両側リブを備えるとき、ケースの取付面が該扉の底面の両側リブに挟まれる空所に装填されたスペーサを介して該扉の底面に取付けられる。これにより、扉の底面に両側リブを備えるアルミ框ドアの底面に扉停止装置を取付けるとき、ケースの取付面がスペーサを介して該扉の底面に取付けられるものになり、アルミ框やケースを歪ませることなく、該ケースをアルミ框ドアの底面に安定的に取付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1はアルミ框ドアからなる扉に適用されたドアストッパーを示し、(A)は斜視図、(B)は透視図、(C)はX方向矢視図である。
【
図2】
図2はアルミ框ドアからなる扉に設けた扉停止装置を示し、(A)は扉停止装置の組込過程を示す斜視図、(B)は扉停止装置の組込状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は扉に設けた扉停止装置の非ロック状態を示し、(A)は断面図、(B)はX方向矢視図、(C)はストッパ板を断面にしたX方向矢視図である。
【
図5】
図5は扉に設けた扉停止装置のロック状態を示し、(A)は断面図、(B)はX方向矢視図、(C)はストッパ板を断面にしたX方向矢視図である。
【
図6】
図6は非ロック状態のドアストッパーを示し、(A)は斜視図、(B)はケースを破断した斜視図である。
【
図7】
図7はロック状態のドアストッパーを示し、(A)は斜視図、(B)はケースを破断した斜視図である。
【
図8】
図8は扉停止装置の構成部品を示す分解斜視図である。
【
図9】
図9はケースを示し、(A)は斜視図、(B)は下方から視た斜視図、(C)は平面図である。
【
図13】
図13はスライダーを示し、(A)は一方向から視た斜視図、(B)は他方向から視た斜視図である。
【
図16】
図16は右吊元と左吊元の各扉に同一ドアストッパーを適用した場合の各扉停止装置の取付姿勢を示す模式図である。
【
図17】
図17は右吊元の扉に適用したドアストッパーを示す模式図である。
【
図18】
図18は左吊元の扉に適用したドアストッパーを示す模式図である。
【
図19】
図19は第1の形態に係るロックレバーの非ロック状態を示し、(A)は底面図、(B)は斜視図である。
【
図20】
図20は第2の形態に係るロックレバーの非ロック状態を示し、(A)は底面図、(B)は斜視図である。
【
図21】
図21は第3の形態に係るロックレバーの非ロック状態を示し、(A)は底面図、(B)は斜視図である。
【
図22】
図22は第3の形態に係るロックレバーのロック状態を示し、(A)は底面図、(B)は斜視図である。
【
図23】
図23は木扉に適用されたドアストッパーを示し、(A)は斜視図、(B)は透視図、(C)は木扉を断面にしたX方向矢視図である。
【
図24】
図24は木扉に設けた扉停止装置を示し、(A)は扉停止装置の組込過程を示す斜視図、(B)は扉停止装置の組込状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1、
図2に示したドアストッパー100は、床面Fに設けられるストッパ部材10と、扉Dに設けられる扉停止装置20とを有して構成され、開閉される扉Dをその開閉範囲における最大開口位置等の一定の扉ストップ位置に停止可能にする。
【0028】
扉Dは戸尻に設けた蝶番を介して建物開口部に回動可能に取付けられて開閉される。本実施形態の扉Dはアルミ框ドアであり、アルミ框1により形成された枠内に鏡板2を設けて構成されている。
【0029】
扉Dはアルミ框1において概ね四角筒状をなす下框1Aの床面Fに臨む底面1Bに、床面Fに向けて開口する格納部3を備え、この格納部3に扉停止装置20を内蔵可能にしている。格納部3は、下框1Aの長手方向の中間部又は端部(本実施形態では戸先寄りの中間部に、下框1Aの筒下面に切欠いた開口部3Aと、この開口部3Aに連なる下框1Aの筒内空間にて形成される。格納部3は、開口部3Aの全周に渡る開口縁部を底面1Bの面内に設け、結果として、格納部3が実質的に床面Fに向けてだけ開口し、格納部3に内蔵された扉停止装置20を扉Dの正背面及び木口面が臨む外方には可及的に露出させず、該扉停止装置20を扉Dの外方から目立つことのないようにしている。
【0030】
(ストッパ部材10の構成)
ストッパ部材10は、床面Fの扉ストップ位置に対応する位置に設けられる。ストッパ部材10は、
図3に示す如く、床面Fに固定される基板11と、基板11に枢支されて上下方向に揺動できる磁性体からなる矩形状の金属製ストッパ板12と、基板11に枢支されたストッパ板12を外方に露出させる状態で該基板11に被着されるカバー13とを有して構成される。基板11は、該基板11を床面Fに固定する止ネジのためのネジ挿通孔11Aを備える。ストッパ板12は、長手方向の一端部の両側縁に設けた支軸を基板11に設けた軸受11Bに枢支され、上下方向に揺動可能にされ、長手方向の他端部の側に係止開口12Aを備える。カバー13は基板11に被着される状態で、基板11に枢支されたストッパ板12を外方に露出させるための窓開口13Aを備える。
【0031】
(扉停止装置20の構成)
扉停止装置20は、
図4乃至
図8に示す如く、ケース30、磁石40、係止部材50、操作部材60等の組立体からなる。
【0032】
ケース30は、
図4乃至
図10に示す如く、扉Dの下框1Aに切欠いた格納部3の開口部3Aを含む底面1Bに下方から添設される矩形板状の底板部31と、底板部31の輪郭内の上面から立上げられる概ね楕円筒状をなす壁部32とを有する。
【0033】
ケース30は、磁石40、係止部材50、操作部材60等をその内部に装備して扉停止装置20を構成するものであり、扉Dの格納部3に配設された状態で、扉Dの底面1Bの長手方向に沿う長手状をなすものとされる。ケース30は、底板部31における壁部32まわりの上面からなる取付面33が該ケース30の長手方向の両端部のそれぞれに定めた取付部(取付ネジ33Bのためのネジ挿通孔33A)によって扉Dの底面1Bに取付けられる。
【0034】
ケース30は、磁石40、係止部材50及び操作部材60をその長手方向に沿う各位置に並置され、磁石40、係止部材50、操作部材60のそれぞれに対応する磁石装填孔34、係止部材出入孔35、操作部材装填孔36を底板部31において壁部32に囲まれる領域内で該ケース30の長手方向に沿う3位置のそれぞれに開口して備える。
【0035】
ケース30は、底板部31の下面に、磁石装填孔34及び係止部材出入孔35を含む範囲に凹設されるストッパ板侵入用格納部10Kと、操作部材装填孔36を含む範囲に凹設されるレバーガイド用格納部80Kを有する。また、ケース30は、底板部31におけるレバーガイド用格納部80Kに連続する両側面にレバーガイド用格納部80Lを有する。ストッパ板侵入用格納部10Kには磁石40によってケース30側に引き寄せられたストッパ板12の後述する先端側外縁部12Cを含む先端部が侵入できる。レバーガイド用格納部80K、80Lは操作部材60のロックレバー80におけるレバー体81をスライドガイドする。
【0036】
ケース30は、底板部31及び壁部32が形成する内部空間に磁石40、係止部材50、操作部材60等を装備した状態で、壁部32の上面に蓋37を被着し、その内部空間を閉じる。蓋37は壁部32の長手方向に沿う両端部の上面のそれぞれに定めた取付部(取付ネジ37Bのためのネジ挿通孔37A)によって壁部32の上面に取付けられる。
【0037】
磁石40は、
図4乃至
図7に示す如く、ケース30内に装填されて扉Dの下框1Aにおける底面1Bに設けられ、扉Dが開閉して該扉Dが扉ストップ位置に対応する位置に設けられているストッパ部材10の上方に位置付けられたときに、その磁力の作用により、ストッパ部材10におけるストッパ板12の先端部を上方に引き上げて該ストッパ板12を揺動させ、該ストッパ板12を傾斜状に起き上がらせる。
【0038】
磁石40は、
図4乃至
図8、
図11に示す如く、磁石ホルダ41に挿入され、該磁石ホルダ41の両側上部に設けられている係止爪41Kにより上方から保持された状態で、ケース30内に装填される。磁石ホルダ41は、磁石40を保持した状態で、ケース30の長手方向における底板部31の一端側に開口された磁石装填孔34に下方から押し入れ可能にされる。
【0039】
磁石ホルダ41は、磁石装填孔35におけるケース30の長手方向で該磁石ホルダ41を挟む両側両面に相対するように設けた両側爪部34A、34Aを両側に弾発的に押し開く両側突部41A、41Aを該磁石ホルダ41の両側外面のそれぞれに突設して備える。磁石ホルダ41は、ケース30における磁石装填孔34の両側爪部34A、34Aが互いに下向きにハの字をなして相対向する下向き拡開下面34Bにその両側突部41A,41Aを圧接させつつ押し込まれ、それらの両側爪部34A、34Aを弾発的に押し開いて該両側爪部34A、34Aの間を通過させた後、弾発的に閉じ位置に復元して相対する両側爪部34A、34Aの上向き面34Cにそれらの両側突部41A、41Aを配置させる。
【0040】
このとき、磁石ホルダ41は、両側突部41A、41Aが丸棒状をなすものとされており、両側爪部34A、34Aの上向き面34C上にてそれらの突部41Aの中心軸回りで自在に傾動でき、後述するように磁石40に引き寄せられて傾斜状をなすストッパ部材10におけるストッパ板12の上面の傾斜に倣うように傾動できる。
【0041】
係止部材50は、
図4乃至
図7に示す如く、ケース30内に装填され、磁石40に引き寄せられたストッパ部材10のストッパ板12に係脱できる。扉停止装置20は、係止部材50がストッパ板12の係止開口12Aに係止した状態で、扉Dを扉ストップ位置に停止可能にするものになる。
【0042】
係止部材50は、
図4乃至
図8、
図12に示す如く、ロックピン51により構成される。ロックピン51は、棒状部51Aの下端部にU字状等の溝状係止部52を備えるともに、棒状部51Aの両側部に両側突条ガイド53を備える。
【0043】
ロックピン51は、ケース30内に装填されるときに、該ケース30において短手方向(ケース30の長手方向に直交する方向)で壁部32の両側内面に凹設されて上下方向に延在する両側ガイド溝32Aに両側突条ガイド53を嵌合し、両側突条ガイド53が両側ガイド溝32Aにガイドされてロックピン51を上下方向にスライド自在にされる。ロックピン51は、この上下のスライドにより、その下端部の係止部52をケース30の長手方向における底板31の中央部に開口させた係止部材出入孔35を介して、該ケース30の内外に出入可能にする。ロックピン51は、その他端部の係止部52がケース30内に引き込まれてストッパ部材10におけるストッパ板12の係止開口12Aから離隔する収納位置と、係止部52が係止部材出入孔35からケース30外に突出して上記ストッパ板12の係止開口12Aに係止可能に挿入し得る突出位置との間で上下動するものになる。突出位置に位置付けられたロックピン51は、扉Dが扉ストップ位置に対応する位置に設けられているストッパ部材10の上方にまで開いた後に、該扉Dが再び閉じ方向に移動しようとするとき、この扉Dとともに移動する該ロックピン51の係止部52が上記ストッパ板12における係止開口12Aの先端側開口縁部12B(ストッパ板12の長手方向で軸受11Bに枢支される一端部から遠い他端部の側の該係止開口12Aの縁部)に噛み合うように係合し、該係止開口12Aに安定確実に係止するものになる。
【0044】
尚、係止部材50は、ロックピン51における係止開口12Aとの係止部52を、上述の如くにケース30の長手方向における底板部31の中央部に対応させて配置するものとしてある。これにより、扉停止装置20において、係止部材50が装填されてなるケース30を後述する如くに180度反転させて扉Dの底面1Bに取付けるときにも、同一の扉停止装置20を適用できる。
【0045】
また、ロックピン51は突出位置において、ストッパ部材10におけるストッパ板12の係止開口12Aに係止可能に挿入されたとき、該ロックピン51が装填されたケース30の短手方向で、該ストッパ板12における係止開口12Aの先端側開口縁部12Bに相対する該ロックピン51のいずれか一方の側部に備えた係止部52が、該先端側開口縁部12Bと係合するものになる。但し、本実施形態の扉停止装置20にあっては、上記ケース30の短手方向におけるロックピン51の両側部の双方に係止部52を備えるものとしていて、該扉停止装置20がケース30を後述する如くに180度反転させて扉Dの底面1Bに取付けるときにも、同一の扉停止装置20を構成するロックピン51の両側係止部52のいずれか一方をして必ずストッパ板12における係止開口12Aの先端側開口縁部12Bに係合可能となるようにしてある。
【0046】
係止部材50は、ロックピン51をストッパ部材10に係脱させるための操作部材60を付帯的に有する。本実施形態では、操作部材60によってロックピン51を前述の如くに上下にスライドさせるための従動ピン54を該ロックピン51に一体化して備える。ロックピン51は、該ロックピン51が装填されたケース30の長手方向で、該ロックピン51の棒状部51Aにおける磁石40と反対側に臨む側面からその長手方向に張り出される直角三角形状の板状部51Bを有し、この板状部51Bの両側板面に該ケース30の短手方向に突設される両側従動ピン54を備える。
【0047】
ロックピン51が後述する如くに操作部材60によって上下にスライドされたとき、上方にスライドされて収納位置に設定されるロックピン51は、後述するスライダー70における両側ガイド壁71Aの前面71Fがケース30における壁部32の両側内面に設けた規制面32F(
図9、
図10)に当接することにて位置決めされる(
図8)。また、下方にスライドされて突出位置に設定されるロックピン51は、板状部51Bの下面51Fがケース30における底板部31に設けた規制面31F(
図9、
図10)に当接することにて位置決めされる(
図5(A))。
【0048】
操作部材60は、扉Dを扉ストップ位置に停止させ、又はその停止状態を解除させようとするとき、使用者に操作されて係止部材50のロックピン51を収納位置と突出位置との間で上下にスライドさせ、そのロックピン51を磁石40に引き寄せられたストッパ部材10におけるストッパ板12の係止開口12Aに係脱させる。
【0049】
操作部材60は、
図4乃至
図8に示す如く、スライダー70、ロックレバー80、スナップバネ90を有して構成される。
【0050】
スライダー70は、
図4乃至
図8、
図13に示す如く、ケース30内に装填され、該ケース30において短手方向で相対する壁部32の両側内面(スライドガイド32B)と、底板部31の上面と、蓋37の下面の相直交する4面に囲まれてそれらの4面に摺接するスライド体71を有し、このスライド体71がケース30の長手方向に沿ってスライド自在となるようにしている。
【0051】
スライダー70のスライド体71は、ロックピン51の板状部51Bをスライド可能に両側から挟む両側ガイド壁71Aと、両側ガイド壁71Aに挟まれて該板状部51Bを嵌合可能にする溝状ガイド部71Bとを備える。両側ガイド壁71Aはロックピン51の両側従動ピン54をスライド可能に嵌合させる長孔状の斜め駆動孔72を備える。スライド体71は、上記のスライドにより、ロックピン51に近接する待機位置からロックピン51から遠くなる作業位置に移動するとき、ロックピン51の両側従動ピン54を斜め駆動孔72に沿ってその上端部から下端部まで移動させ、結果として、ロックピン51を前述した上方の収納位置から下方の突出位置にまでスライドさせるように該ロックピン51と連係する。スライド体71が上記作業位置から待機位置に戻り移動すれば、ロックピン51は下方の突出位置から上方の収納位置に復帰するものになる。
【0052】
スライダー70のスライド体71は、スナップバネ90の後述する取付ピン92を係止可能にするピン孔92Aを備えるとともに、係止部材50のロックピン51に設けられている従動ピン54をスライド体71の斜め駆動孔72に導入するためのピン導入口71Cをその上端面に開放して備える。
【0053】
ロックレバー80は、
図4乃至
図8に示す如く、操作部材60のための操作部(レバー体81に形成される操作部83)を構成するものであり、本実施形態では、扉Dの底面1Bに沿って設けられ、該扉Dの厚み方向(底面1Bに取付けられたケース30の短手方向)に沿う外方に臨むものとされる。本実施形態のロックレバー80は、扉Dの厚み方向において、扉Dの外面(正背面)から外方に僅かに出ることが許されるものの、該扉Dの厚み内に納まって扉Dの外面から外方に出ないように設定されることが好ましい。
【0054】
ロックレバー80は、
図15に示す如く、ケース30の長手方向における底板部31の他端側に開口された操作部材装填孔36を含む該底板部31の下面に凹設してあるレバーガイド用格納部80Kに下方から添設されるレバー体81を有し、このレバー体81が操作部83を備えてケース30の下面にて長手方向に沿って後述する如くにスライド自在となるようにしている。
【0055】
ロックレバー80のレバー体81は矩形板状をなし、その矩形の中央部上面に相対向する2枚の両側取付片82を突設し、この取付片82が上記操作部材装填孔36からケース30内に装填される。ロックレバー80は、ケース30内に挿入された両側取付片82によってスライダー70におけるスライド体71の端部(ケース30内においてロックピン51から遠い側の端部)に形成されているくびれ状係合部73のくびれ部73Aを挟み込むように弾性変形して該くびれ部73Aを抱持し、その上端爪部82Aがくびれ部73Aの上面に係合して該スライド体71に連結される。
【0056】
ロックレバー80のレバー体81は、扉Dの厚み方向であるケース30の短手方向に沿う両端部の上面のそれぞれを該レバー体81の上記取付片82が設けられている上面よりも高位まで立上げた両側L字状断面部81Aとしている。そして、レバー体81は、ケース30における底板部31の下面に凹設したレバーガイド用格納部80Kに下方から添設されるとき、この両側L字状断面部81Aの立上り部がケース30の底板部31における両側面において上記レバーガイド用格納部80Kに連続して凹設されたレバーガイド用格納部80Lにも下方から添設される。また、レバー体81は、少なくとも一方のL字状断面部81Aと取付片82との間の上面に、ケース30の長手方向に沿う被ガイド溝81Bを刻設されており、この被ガイド溝81Bがケース30における底板部31の下面に凹設してあるレバーガイド用格納部80Kにおいて、該ケース30の長手方向に突設されて延在されている突条ガイド部80M(
図9)に係入される。
【0057】
ロックレバー80のレバー体81は、扉Dの厚み方向であるケース30の短手方向において、両側L字状断面部81Aの外方に臨む側面を凹状湾曲面とし、この凹状湾曲面が使用者の手指の腹を当てて操作し得る両側操作部83(一方側の操作部83Lと他方側の操作部83R)とされている。即ち、操作部材60は、ロックレバー80の操作部83をケース30の短手方向に沿う一方側(83L)と他方側(83R)の双方に臨んで設けるものとしている。これにより、使用者は、ロックレバー80のいずれか一方の操作部83(83L又は83R)に手指の腹を当てて、該ロックレバー80にケース30の長手方向に沿うスライド操作力を付与し、ケース30の長手方向でレバーガイド用格納部80K、80Lが設けられている範囲内において該ロックレバー80をそれらのレバーガイド用格納部80K、80L及び突条ガイド部80Mにガイドさせて該ケース30の長手方向にスライドさせる。即ち、ロックレバー80は、ケース30の長手方向において、ロックピン51に近い側の非ロック位置と、ロックピン51から遠い側のロック位置のいずれかに切換設定される。
【0058】
従って、操作部材60は、ロックレバー80が上述の如くにスライドされて非ロック位置とロック位置のいずれかに設定されるとき、このロックレバー80に連結されているスライダー70の前述したスライド操作を介して、このスライダー70に連係されている係止部材50のロックピン51を前述した如くにスライドさせ、結果として、ロックピン51の係止部52をストッパ部材10におけるストッパ板12の係止開口12Aから離隔する収納位置と、ロックピン51の係止部52をそのストッパ板12の係止開口12Aに係止させる突出位置とに切換設定できる。
【0059】
ここで、操作部材60は、ケース30における壁部32とスライダー70との間にU字状のスナップバネ90(
図14)を介装している。スナップバネ90は一端側取付ピン91を壁部32に設けたピン孔91Aに係止し、他端側取付ピン92をスライダー70におけるスライド体71のロックピン51から遠い側の側面に設けたピン孔92Aに係止し、更に、このスライド体71のピン孔92Aから突き出た取付ピン92を壁部32においてケース30の長手方向に沿って延在させた長孔状のガイド孔92Bにスライド可能に係入してある。スナップバネ90は、スライダー70がケース30に対して前述の如くにスライドするとき、ケース30に支持された状態でスライダー70に弾発力を及ぼし、スライダー70のスライド過程の中間位置を挟む一方側と他方側で該スライダー70に及ぼす弾発力の向きを反転可能にしている。これにより、ロックレバー80が非ロック位置に設定されたとき、スナップバネ90は、スライダー70を待機位置の側に付勢し、このスライダー70に連係する係止部材50のロックピン51を収納位置に停留させるように該ロックピン51を付勢する。他方、ロックレバー80がロック位置に設定されたとき、スナップバネ90は、スライダー70を作業位置の側に付勢し、このスライダー70に連係する係止部材50のロックピン51を突出位置に停留させるように該ロックピン51を付勢する。
【0060】
また、本実施形態の扉Dは前述した如くのアルミ框ドアであり、アルミ框1からなる下框1Aは
図1、
図2、
図4、
図5に示す如く、底面1Bにおける該アルミ框1の長手方向に直交する方向の両側縁部に、アルミ框1の長手方向に沿う両側リブ1Rを備えている。そこで、アルミ框1の底面1Bに取付けられるケース30は、その底板部31における壁部32まわりの取付面33が該底面1Bの両側リブ1Rに挟まれる空所に装填されたスペーサ38を介して該底面1Bに取付けられる。即ち、スペーサ38は、
図2、
図4乃至
図8に示す如く、ケース30における壁部32の外周に遊挿される長孔部38Aを備えるとともに、ケース30における底板部31の長手方向サイズと同一の板長、底面1Bの両側リブ1Rがなす間隔に嵌合し得る板幅、及び両側リブ1Rのリブ高さと同一の板厚を備える。これにより、ケース30の底板部31に設けたネジ挿通孔33A、スペーサ38に設けたネジ挿通孔38Bに挿通された取付ネジ33Bが、アルミ框1の底面1Bに設けたネジ孔3Bに螺着され、ケース30の取付面33がスペーサ38を介して、アルミ框1の底面1Bに取付けられる。
【0061】
(扉停止装置20の組立/取付手順)(
図4乃至
図7)
(1)ケース30の内部に磁石40を装填する。
磁石40は、磁石ホルダ41に挿入されて保持された状態とされる。磁石ホルダ41は、ケース30における底板部31の一端側に開口させた磁石装填孔34に設けてある両側爪部34A、34Aを、その両側突部41A、41Aによって下方から押し開き、ケース30の内部に装填される。ケース30の内部に装填された磁石ホルダ41の両側突部41A、41Aは両側爪部34A、34Aの上向き面34Cに載置され、その上向き面34Cの上で傾動可能とされる。
【0062】
(2)ケース30の内部に係止部材50、操作部材60のスライダー70及びスナップバネ90を装填する。
【0063】
スナップバネ90の一端側取付ピン91をケース30の壁部32に設けたピン孔91Aに係止させるとともに、このスナップバネ90の他端側取付ピン92をスライダー70のスライド体71に設けたピン孔92Aに係止させ、更にピン孔92Aから突き出たピン92をケース30の壁部32に設けたガイド孔92Bにスライド可能に係入させる。
【0064】
係止部材50及びスライダー70は、係止部材50のロックピン51に設けられている従動ピン54をスライダーの上端面に開放されているピン導入口71C経由でスライド体71の斜め駆動孔72に係入したサブ組立体とされ、このサブ組立体を構成するスライダー70をケース30の内部に取付ける。
【0065】
そして、係止部材50のロックピン51が備える両側突条ガイド53をケース30における壁部32の両側内面に凹設されている両側ガイド溝32Aに嵌合させ、ロックピン51を上下方向にスライド自在にする。そして、ロックピン51の下端部の係止部52がケース30における底板部31の中央部に開口させた係止部材出入孔35に出入できる位置に設定される。これにより、係止部材50は、ロックピン51の上述の上下のスライドにより、ロックピン51の下端部の係止部52がケース30内に引き込まれてストッパ部材10におけるストッパ板12の係止開口12Aから離隔する収納位置と、係止部52が係止部材出入孔35からケース30外に突出してストッパ部材10におけるストッパ板12の係止開口12Aに係止可能に挿入し得る突出位置との間で上下動可能にされる。
【0066】
ケース30の内部に係止部材50、操作部材60のスライダー70及びスナップバネ90が上述の如くにして装填された状態下で、ケース30における壁部32の上面に蓋37を被着する。
【0067】
即ち、操作部材60のスライダー70は、そのスライド体71がケース30において短手方向で相対する壁部32の両側内面(スライドガイド32B)と、底板部31の上面と、蓋37の下面の相直交する4面に囲まれ、ケース30の長手方向で待機位置と作業位置との間をスライド自在になり、該スライダー70に連係する係止部材50のロックピン51を上方の収納位置と下方の突出位置との間で移動可能にする。
【0068】
(3)操作部材60におけるロックレバー80をケース30における底板部31のレバーガイド用格納部80K、80Lに下方から添設する。
【0069】
ロックレバー80におけるレバー体81の上面に突設してある両側取付片82を、ケース30における底板部31の他端側に開口させた操作部材装填孔36からケース30内に挿入する。ケース30内に装填されているスライダー70のスライド体71に形成されているくびれ状係合部73のくびれ部73Aを上記取付片82により抱持し、その上端爪部82Aをくびれ部73Aの上面に係合し、ロックレバー80を該スライド体71に連結するものとする。
【0070】
ロックレバー80のレバー体81は、ケース30の長手方向でレバーガイド用格納部80K、80Lが形成されている範囲において、それらのレバーガイド用格納部80K、80L及び突条ガイド部80Mにガイドされてスライド可能にされ、非ロック位置とロック位置のいずれかに切換設定可能にされる。これにより、このロックレバー80に連結されているスライダー70のスライド体71を待機位置と作業位置のいずれかに移動し、このスライダー70に連係されてケース部材50のロックピン51を収納位置と突出位置のいずれかに移動可能にするものとなる。
【0071】
(4)上述(1)乃至(3)により組立てられた扉停止装置20は、扉Dを構成するアルミ框1における下框1Aの底面1Bに設けられ、床面Fに向けて開口する格納部3に内蔵される。このとき、ケース30の底板部31における壁部32まわりの取付面33が、上記底面1Bの両側リブ1Rに挟まれる空所に装填されたスペーサ38を介してアルミ框1の底面1Bに取付けられる。
【0072】
(ドアストッパー100の使用手順)(
図4乃至
図7)
ドアストッパー100を用いて扉Dを一定の扉ストップ位置に仮止めし、更には停止させる手順について説明する。ここで、扉Dを「仮止め」するとは、下記(2)、(3)において、扉ストップ位置に到達した扉Dを開き方向側に対して制止し、閉じ方向側には戻り移動可能にすることをいう。また、扉Dを「停止」するとは、仮止めされた扉Dの閉じ方向側への戻り移動を下記(4)において阻止し、該扉Dを閉じ方向側と開き方向側の双方に対して制止し、扉ストップ位置に停止させ続けることをいう。尚、
図4、
図5において、「開き方向」は扉Dが閉じ位置から開いてくる方向を示し、「閉じ方向」は扉Dが閉じ位置に向けて閉じていく方向を示す。
【0073】
(1)通常状態では、扉Dを構成するアルミ框1の底面1Bに取付けてある扉停止装置20に設けられているロックレバー80が非ロック位置に設定されている。これにより、ロックレバー80のレバー体81に連結されているスライダー70のスライド体71は待機位置に位置付けられ、このスライダー70のスライド体71に連係されている係止部材50におけるロックピン51の下端部の係止部52が収納位置に位置付けられる。
【0074】
(2)扉停止装置20を構成するロックレバー80が上述(1)の非ロック位置に設定されたまま、扉Dがその開閉範囲において開閉操作され、例えば最大開放位置に定めた扉ストップ位置に到達するに至ると、扉Dを構成するアルミ框1の底面1Bに取付けてある扉停止装置20に設けてある磁石40が、
図4、
図6に示す如く、床面Fの当該扉ストップ位置に対応する位置に設けられているストッパ部材10のストッパ板12を引き寄せる。これにより、ストッパ板12が基板11の軸受11Bまわりに揺動してカバー13の窓開口13Aから傾斜状に起き上がると、このストッパ板12の傾斜の上り勾配端となる先端側外縁部12C(ストッパ板12の長手方向で軸受11Bに枢支される一端部から遠い他端部の側の外縁部)は、
図4に示す如く、ケース30における底板部31の下面に設けてあるストッパ板侵入用格納部10Kの扉閉じ方向側の係止隅部10Lに当たって該扉Dを開き方向側に対して制止し、該扉Dを仮止めする。
【0075】
(3)扉Dの上述(2)の仮止め状態で、使用者が扉停止装置20を構成するロックレバー80をロック位置に切換えることなく、上述(1)の非ロック位置のままにしておく場合には、係止部材50のロックピン51が収納位置に維持され、該ロックピン51の下端部の係止部52がストッパ部材10のストッパ板12における係止開口12Aから離隔され続け、該ストッパ板12Aに挿入されることがない。
【0076】
従って、使用者が上記扉Dを上記扉ストップ位置から閉じ方向側に閉じ動作させようとして、扉Dに閉じ操作力を付与すると、これによって回動する扉Dとともに移動するケース31の底板部31の下面(ストッパ板侵入用凹部10K)が上述(2)で傾斜状の起き上がり状態にあるストッパ板12の上面を押し下げつつ閉じ方向に移動し、該扉Dを扉ストップ位置よりも閉じ方向側に戻り移動可能にする。扉Dが扉ストップ位置よりも閉じ方向側に移動すると、扉停止装置20の磁石40はもはやストッパ部材10のストッパ板12を引き寄せることがなく、ストッパ板12はカバー13の窓開口13A内に没入するものになる。
【0077】
(4)扉Dの上述(2)の仮止め状態で、使用者が扉Dを上述(2)の扉ストップ位置に停止し続けるべく、扉停止装置20を構成するロックレバー80をロック位置に切換えると、
図5、
図7に示す如く、係止部材50のロックピン51が収納位置から突出位置に移動され、該ロックピン51の下端部の係止部52がストッパ部材10におけるストッパ板12の係止開口12Aに挿入される。
【0078】
これにより、使用者が扉Dを上記扉ストップ位置から閉じ方向側に閉じ動作させようとして、扉Dに閉じ操作力を付与すると、これによって扉Dとともに移動しようとするロックピン51の下端部の係止部52が上述(2)で傾斜状の起き上がり状態にあるストッパ板12の先端側開口縁部12Bに係合する。従って、ロックピン51はストッパ板12の係止開口12Aに安定的に係止可能になり、扉Dの閉じ方向側への戻り移動を阻止し、該扉Dをこの扉ストップ位置に停止させ続ける。
【0079】
尚、扉Dの開き方向側への移動は、ケース30における底板部31の下面のストッパ板侵入用凹部10Kの係止隅部10Lが、上述(2)で傾斜状の起き上がり状態にあるストッパ板12の先端側外縁部12Cに当たることにて阻止される。従って、この(4)で、扉Dは扉ストップ位置に位置付けられて閉じ方向側と開き方向側の双方への移動を停止され続けるものになる。
【0080】
(5)使用者が扉停止装置20を構成するロックレバー80を非ロック位置に切換えれば、扉停止装置20は前述(1)の通常状態に復帰し、上述(4)の扉Dの停止維持状態を解除できる。
【0081】
ここで、ロックレバー80における操作部83の各種形態について説明する(
図19乃至
図22)。
【0082】
第1の形態に係るロックレバー80は、
図19に示す如く、操作部83を凹状湾曲面とし、この操作部83を扉Dの下框1Aの扉厚tに納めたものである。
図19は非ロック位置にあるロックレバー80を示す。
【0083】
第2の形態に係るロックレバー80は、
図20に示す如く、操作部83を凸状湾曲面とし、この操作部83を扉Dの下框1Aの扉厚tに納めたものである。
図20は非ロック位置にあるロックレバー80を示す。
【0084】
第3の形態に係るロックレバー80は、
図21、
図22に示す如く、操作部83を扉Dの下框1Aの扉厚tから外方に突出させた突起状にしたものである。
図21は非ロック位置にあるロックレバー80を示し、
図22はロック位置にあるロックレバー80を示しており、操作部83が扉面から出ているので、非ロック位置とロック位置を識別し易い。
【0085】
従って、ドアストッパー100によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)扉停止装置20が扉Dの底面1B(下框1Aの下面)に設けられた格納部3であって、床面Fに向けて開口する格納部3に内蔵された。従って、扉停止装置20は扉Dの底面1Bに設けられて床面Fに臨むものになり、扉Dの表面(正背面)や木口に設けられて外方に臨むことがなく、居住者に目立つことがない。
【0086】
(b)扉停止装置20は、係止部材50(ロックピン51)をストッパ部材10のストッパ板12に係脱させる操作部材60を備える。使用者は、操作部材60を用いて係止部材50(ロックピン51)をストッパ部材10のストッパ板12に随意に係脱させることができる。
【0087】
(c)扉停止装置20は、磁石40、係止部材50(ロックピン51)及び操作部材60をケース30の内部に装備された状態で扉Dの底面1Bにコンパクトに内蔵される。
【0088】
このとき、ケース30が扉Dの長手方向に沿う長手状をなして、扉Dの底面1Bに設けた格納部3に配設され、扉停止装置20を構成する磁石40、係止部材50(ロックピン51)及び操作部材60がケース30の長手方向に沿う各位置に並置され、操作部材60がケース30の下面にスライド可能に添設される。従って、このケース30が扉Dの底面1Bに取付けられたとき、磁石40、係止部材50(ロックピン51)及び操作部材60が扉Dの長手方向に並置され、扉Dの厚み方向や高さ方向に並置されることがないから、該ケース30の横断面サイズ(ケース30の短手方向に沿う幅寸法w、ケース30の高さ方向に沿う高さ寸法h)を小サイズにできる。これにより、ケース30を配設するために扉Dの底面1Bに設けられる格納部3の横断面サイズを小型化でき、例えばアルミ框ドアからなる扉Dのアルミ框1における下框1Aの限られた小断面の内部に必要サイズの格納部3を容易に形成できる。また、後述する木扉4からなる扉Dにおいても、下框1Aの限られた小断面内に必要サイズの格納部3を容易に形成できる。
【0089】
また、操作部材60が扉Dの底面1Bの格納部3に取付けられたケース30の下面に添設されるから、操作部材60のロックレバー80の操作部83を居住者に目立たないように設けることができるし、このロックレバー80の操作部83を扉Dの狭いアンダーカットG(
図4(B)に示した床面から扉Dの最下面までの距離であり、例えば10乃至15mm程度)の範囲内に納めることができる。
【0090】
(d)操作部材60のロックレバー80がケース30の下面に添設されて、該ケース30の長手方向にスライドするものとされる。従って、操作部材60におけるロックレバー80の操作部83等がケース30の短手方向(扉Dの厚み方向)にスライドすることがなく、扉Dの厚み方向に沿う外方に飛び出る如くがない。これにより、操作部材60のロックレバー80における操作部83等を居住者に目立たないように設けることができるし、このロックレバー80における操作部83等が居住者の足元に干渉してその居住性を損なうこともない。
【0091】
(e)操作部材60におけるロックレバー80の操作部83がケース30の短手方向に沿う外方に臨む操作部83を備える。従って、使用者は扉Dの底面1Bに設けた格納部3に配設されたケース30の短手方向に沿う外方に臨むロックレバー80の操作部83に手指の腹等を当てて、該ロックレバー80の操作部83を該扉Dの外方から操作できる。従って、使用者は、前述した扉Dの狭いアンダーカットG内に手指を差し入れる必要がなく、該扉Dの外側から上記のロックレバー80の操作部83に手指の腹を当てる等により該ロックレバー80の操作部83を確実に操作でき、その操作性を向上できる。
【0092】
(f)操作部材60のロックレバー80の操作部83(83L、83R)が、ケース30の短手方向に沿う一方向と他方向の双方に臨んで設けられる。従って、使用者は、上述(e)において、その手指を操作部材60における両操作部83(83L、83R)のうちで、手指を当て易いロックレバー80の操作部83(83L、83R)を選んで用いることができ、使い勝手が良い。また、後述(g)で同一の扉停止装置20が吊元の異なる各扉Dに適用されたり、同一の扉停止装置20が吊元を同じにする扉Dの戸先に対する取付姿勢を180度反転させる等において、扉ストップ位置に位置付けられた扉Dが臨む広い側傍(扉Dが建物壁面等に突き当たることなく開閉動できるスペース)に必ずロックレバー80のいずれか一方の操作部(83L又は83R)を臨ませるものになり、使用者による操作部材60の操作性を良好に確保できる。
【0093】
(g)扉停止装置20は、扉Dに内蔵された状態で、ケース30が該扉Dの底面1Bの長手方向に沿う長手状をなし、該ケース30の取付面33がその長手方向の両端部のそれぞれに定めた取付部(ネジ挿通孔33A)によって該扉Dの底面1Bに取付けられるとき、係止部材50(ロックピン51)におけるストッパ部材10のストッパ板12との係止部52が該ケース30の長手方向の中央部に配置される。これにより、
図16に示す如く、右吊元の扉Dの底面1Bにおけるケース30の戸先からの取付位置(ケース30の取付部(ネジ挿通孔33A)が戸先に対してなす取付距離)と、左吊元の扉Dの底面1Bにおけるケース30の戸先からの取付位置(ケース30の取付部(ネジ挿通孔33A)が戸先に対してなす取付距離)とを同一に設定し、かつそれらの右吊元と左吊元の各扉Dに対する各床面F上に当該各扉Dに取付けたケース30の長手方向の中央部のそれぞれに対応する位置に各ストッパ部材10のストッパ板12を配置するとき、それらの右吊元と左吊元の各扉Dの底面1Bに同一の扉停止装置20を適用できるものとなる。
【0094】
即ち、右吊元の扉Dの底面1Bに適用される扉停止装置20と、左吊元の扉Dの底面1Bに適用される扉停止装置20とは、それらの扉停止装置20のケース30を180度反転させて各扉Dの底面1Bに取付けることで、同一の扉停止装置20の係止部材50(ロックピン51)を対応する各ストッパ部材10のストッパ板12に係止させることができる。
【0095】
そして、このとき、右吊元と左吊元のいずれの扉Dであっても、ロックレバー80における操作部83(83L、83R)の位置は戸先側(
図16(A))に設けることもできるし、戸先側と逆側(
図16(B))に設けることもできる。即ち、同一の扉停止装置20が吊元を右側(又は左側)として同じにする扉Dに適用させるに際し、各扉停止装置20の取付姿勢を180度反転させることにより、各扉Dに対する操作部83(83L、83R)の位置を戸先側(
図16(A))と戸先側と逆側(
図16(B))のいずれかに設定替えできる。
【0096】
即ち、右吊元の扉Dを上から視た
図17の右吊元の扉Dの場合(
図17(A)、(B)は
図16の右吊元における(A)、(B)に対応する)も、左吊元の扉Dを上から視た
図18の左吊元の扉Dの場合(
図18(A)、(B)は
図16の左吊元における(A)、(B)に対応する)も、同一の扉停止装置20を180度反転して当該扉Dに取付けても、床面F上に配置したストッパ部材10との係止位置は変わらない。
【0097】
従って、本発明の扉停止装置20によれば、扉Dに対する取付方向(ロックレバー80における操作部83を戸先側とするか、戸先側と逆側にするか等)が特定されないので、ロックレバー80の側を戸先側と、その逆側のいずれの方向に取付けても機能する。施工者が扉停止装置20の取付方向を考えることなく取付けでき、施工性が良いものになる。
【0098】
(h)扉Dがアルミ框ドアであり、アルミ框1からなる扉Dの底面1Bにおける該アルミ框1の長手方向に直交する方向の両側縁部に、該アルミ框1の長手方向に沿う両側リブ1Rを備えるとき、ケース30の取付面33が該扉Dの底面1Bの両側リブ1Rに挟まれる空所に装填されたスペーサ38を介して該扉Dの底面1Bに取付けられる。これにより、扉Dの底面1Bに両側リブ1Rを備えるアルミ框ドアの底面1Bに扉停止装置20を取付けるとき、ケース30の取付面33がスペーサ38を介して該扉Dの底面1Bに取付けられるものになり、アルミ框1やケース30を歪ませることなく、該ケース30をアルミ框ドアの底面1Bに安定的に取付けできる。
【0099】
ドアストッパー100の扉停止装置20は、
図23、
図24に示す如く、木扉4からなる扉Dに適用することもできる。このとき、扉Dは、木扉4を構成する下框4Aの床面Fに臨む底面4Bに、床面Fに向けて開口する格納部5を備え、この格納部5に扉停止装置20を内蔵可能にする。木扉4に適用される扉停止装置20にあっては、前述したスペーサ38を用いることなく、ケース30の底板部31における壁部32まわりの取付面33を底面4Bに直接取付けできる。
【0100】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明に係るドアストッパーによれば、扉停止装置を目立たないように扉に設けることができる。
【符号の説明】
【0102】
100 ドアストッパー
F 床面
D 扉
1 アルミ框
1B 底面
3 格納部
4 木扉
4B 底面
5 格納部
10 ストッパ部材
12 ストッパ板
20 扉停止装置
30 ケース
33 取付面
40 磁石
41 磁石ホルダ
50 係止部材
51 ロックピン
52 係止部
60 操作部材
70 スライダー
80 ロックレバー
83、83L、83R 操作部