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特許7195961医用処理装置、X線CTシステム及び処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】医用処理装置、X線CTシステム及び処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A61B6/03 373
A61B6/03 360J
A61B6/03 320Q
A61B6/03 360T
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019021827
(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公開番号】P2020127635
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】養田 隆宏
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-226753(JP,A)
【文献】特開2016-002467(JP,A)
【文献】特表2018-535732(JP,A)
【文献】特開2012-235796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0089864(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
G06T 1/00-1/40, 3/00-5/50,7/00-7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー積分型のX線検出器を使用して得られた第1のデータセットを取得する取得部と、
前記第1のデータセットに基づいて、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られた第2のデータセットを擬似的に表す出力データセットを生成する学習済みモデルに対して、前記第1のデータセットを入力することで前記出力データセットを生成する処理部と、
を備えた医用処理装置。
【請求項2】
前記第1のデータセットは、2種類以上のX線をそれぞれ被検体に照射し、前記被検体を透過した各X線を前記エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出することで得られる、請求項1に記載の医用処理装置。
【請求項3】
前記第1のデータセットは、投影データセット、前記投影データセットに基づいて再構成された画像データセット、若しくは前記投影データセット又は前記画像データセットに対して分離処理を適用することで得られたデータセットを含む、請求項1又は2に記載の医用処理装置。
【請求項4】
前記学習済みモデルは、エネルギー積分型のX線検出器を使用して得られたデータセットと、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られたデータセットとを学習用データとした学習により作成される、請求項1乃至3のうちいずれか1つに記載の医用処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第1の投影データセットを取得し、
前記処理部は、エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第2の投影データセットと、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られた第3の投影データセットとを学習用データとした学習によって作成された学習済みモデルに対して、前記第1の投影データセットを入力することで、前記出力データセットを生成する、請求項1又は2に記載の医用処理装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第1の投影データセットから再構成された第1の画像データセットを取得し、
前記処理部は、エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第2の投影データセットから再構成された第2の画像データセットと、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られた第3の投影データセットから再構成された第3の画像データセットとを学習用データとした学習によって作成された学習済みモデルに対して、前記第1の画像データセットを入力することで、前記出力データセットを生成する、請求項1又は2に記載の医用処理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第1の投影データセットから分離された第1のエネルギーに相当する第1の分離投影データセットを取得し、
前記処理部は、エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第2の投影データセットから分離された前記第1のエネルギーに相当する第2の分離投影データセットと、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られた前記第1のエネルギーに相当する第3の投影データセットとを学習用データとした学習によって作成された学習済みモデルに対して、前記第1の分離投影データセットを入力することで、前記出力データセットを生成する、請求項1又は2に記載の医用処理装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第1の投影データセットから再構成された第1の画像データセットから分離された第1のエネルギーに相当する第1の分離画像データセットを取得し、
前記処理部は、エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第2の投影データセットから再構成された第2の画像データセットから分離された第1のエネルギーに相当する第2の分離画像データセットと、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られた前記第1のエネルギーに相当する第3の投影データセットから再構成された第3の画像データセットとを学習用データとした学習によって作成された学習済みモデルに対して、前記第1の分離画像データセットを入力することで、前記出力データセットを生成する、請求項1又は2に記載の医用処理装置。
【請求項9】
前記第1のデータセットは、第1のエネルギー分布を持つX線に対応し、
前記第2のデータセットは、前記第1のエネルギー分布よりも狭い第2のエネルギー分布を持つX線に対応する、請求項1に記載の医用処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちいずれか1つに記載の医用処理装置を含む、X線CTシステム。
【請求項11】
2種類のX線をそれぞれ被検体に照射し、前記被検体を透過した各X線をエネルギー積分型の検出器を使用して検出することで得られた第1のデータセットを取得する取得部と、
前記第1のデータセットに基づいて、3種類以上のX線をそれぞれ前記被検体に照射し、前記被検体を透過した各X線を前記エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出することで得られる第2のデータセットを擬似的に表す出力データセットを生成する学習済みモデルに対して、前記第1のデータセットを入力することで、前記出力データセットを生成する処理部と、
を備えた医用処理装置。
【請求項12】
エネルギー積分型のX線検出器を使用して得られた第1のデータセットを取得する取得機能と、
前記第1のデータセットに基づいて、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られた第2のデータセットを擬似的に表す出力データセットを生成する学習済みモデルに対して、前記第1のデータセットを入力することで前記出力データセットを生成する処理機能と、
をコンピュータに実現させるための処理プログラム。
【請求項13】
2種類のX線をそれぞれ被検体に照射し、前記被検体を透過した各X線をエネルギー積分型の検出器を使用して検出することで得られた第1のデータセットを取得する取得機能と、
前記第1のデータセットに基づいて、3種類以上のX線をそれぞれ前記被検体に照射し、前記被検体を透過した各X線を前記エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出することで得られる第2のデータセットを擬似的に表す出力データセットを生成する学習済みモデルに対して、前記第1のデータセットを入力することで、前記出力データセットを生成する処理機能と、
をコンピュータに実現させるための処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用処理装置、X線CTシステム及び処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置により、異なる複数種類の管電圧で撮影を行なって画像を取得する手法がある。例えば、2種類の異なる管電圧を用いるデュアルエナジー(Dual-Energy:DE)収集では、2種類の異なる管電圧から得られた2つの投影データセットを、予め設定した2つの基準物質それぞれの投影データ(線積分データ)に分離し、分離した2つのデータそれぞれから、基準物質の存在率に基づく画像(基準物質画像)を再構成する技術が知られている。かかる技術では、2つの基準物質画像を用いて重み付け計算処理を行うことにより、単色X線画像や密度画像、実効原子番号画像等、様々な画像を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9,808,216号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、単色X線画像の精度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の医用処理装置は、取得部と、処理部とを備える。取得部は、エネルギー積分型のX線検出器を使用して得られた第1のデータセットを取得する。処理部は、前記第1のデータセットに基づいて、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られた第2のデータセットを擬似的に表す出力データセットを生成する学習済みモデルに対して、前記第1のデータセットを入力することで前記出力データセットを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態に係るX線CTシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るメモリに記憶される学習済みモデルを説明するための図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る学習済みモデルを作成する医用処理装置の構成を示すブロック図である。
図4A図4Aは、第1の実施形態に係る学習機能によって構築される学習済みモデルの例を説明するための図である。
図4B図4Bは、第1の実施形態に係る学習機能によって構築される学習済みモデルの例を説明するための図である。
図4C図4Cは、第1の実施形態に係る学習機能によって構築される学習済みモデルの例を説明するための図である。
図4D図4Dは、第1の実施形態に係る学習機能によって構築される学習済みモデルの例を説明するための図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るデータ処理機能による処理を説明するための図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る医用処理装置の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図7図7は、第1の実施形態に係るX線CTシステムの処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、医用処理装置、X線CTシステム及び処理プログラムの実施形態について詳細に説明する。なお、本願に係る医用処理装置、X線CTシステム及び処理プログラムは、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、本願に係る医用処理装置を含むX線CTシステムについて説明する。図1は、第1の実施形態に係るX線CTシステム1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線CTシステム1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。なお、第1の実施形態に係るX線CTシステム1は、X線CT装置とも呼ばれる。また、コンソール装置40は、本願に係る医用処理装置の一例である。
【0009】
ここで、X線CTシステム1は、異なる複数種類の管電圧で撮影を行なって、複数種類の投影データセットを取得する。例えば、X線CTシステム1は、2種類の異なる管電圧を用いるデュアルエナジー(Dual-Energy:DE)収集により、1つの撮影対象部位に対して2つの投影データセットを収集する。そして、X線CTシステム1は、収集した投影データに基づいて、CT画像データを生成する。
【0010】
また、図1においては、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とする。なお、図1は、説明のために架台装置10を複数方向から描画したものであり、X線CTシステム1が架台装置10を1つ有する場合を示す。
【0011】
架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、コリメータ17と、DAS(Data Acquisition System)18とを有する。
【0012】
X線管11は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することで、被検体Pに対し照射するX線を発生する。例えば、X線管11には、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
【0013】
X線検出器12は、X線を検出する検出素子を複数有する。X線検出器12における各検出素子は、X線管11から照射されて被検体Pを通過したX線を検出し、検出したX線量に対応した信号をDAS18へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心とした1つの円弧に沿ってチャンネル方向(チャネル方向)に複数の検出素子が配列された複数の検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャンネル方向に複数の検出素子が配列された検出素子列が列方向(スライス方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
【0014】
例えば、X線検出器12は、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、フォトダイオード等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0015】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。例えば、回転フレーム13は、アルミニウムを材料とした鋳物である。なお、回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やウェッジ16、コリメータ17、DAS18等を更に支持することもできる。更に、回転フレーム13は、図1において図示しない種々の構成を更に支持することもできる。
【0016】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管11が発生するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、図示しない固定フレームに設けられても構わない。
【0017】
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、入力インターフェース43からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う。例えば、制御装置15は、回転フレーム13の回転や架台装置10のチルト、寝台装置30及び天板33の動作等について制御を行う。一例を挙げると、制御装置15は、架台装置10をチルトさせる制御として、入力された傾斜角度(チルト角度)情報により、X軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させる。なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられてもよい。
【0018】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16は、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウム等を加工したフィルタである。
【0019】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。また、図1においては、X線管11とコリメータ17との間にウェッジ16が配置される場合を示すが、X線管11とウェッジ16との間にコリメータ17が配置される場合であってもよい。この場合、ウェッジ16は、X線管11から照射され、コリメータ17により照射範囲が制限されたX線を透過して減衰させる。
【0020】
DAS18は、X線検出器12が有する各検出素子によって検出されるX線の信号を収集する。例えば、DAS18は、各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。ここで、DAS18は、所定の時間幅で検出素子から出力された信号を用いて、信号を所定の時間幅で積分した積分データを検出データとして生成する。すなわち、X線CTシステム1は、積分型のX線CTシステムである。DAS18は、例えば、プロセッサにより実現される。
【0021】
DAS18が生成したデータは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)を有する送信機から、光通信によって、架台装置10の非回転部分(例えば、固定フレーム等。図1での図示は省略している)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。ここで、非回転部分とは、例えば、回転フレーム13を回転可能に支持する固定フレーム等である。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分へのデータの送信方法は、光通信に限らず、非接触型の如何なるデータ伝送方式を採用してもよいし、接触型のデータ伝送方式を採用しても構わない。
【0022】
寝台装置30は、撮影対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを有する。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を、天板33の長軸方向に移動する駆動機構であり、モータ及びアクチュエータ等を含む。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0023】
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを有する。なお、コンソール装置40は架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。
【0024】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、投影データやCT画像データを記憶する。また、メモリ41は、学習済みモデルを記憶する。なお、学習済みモデルについては、後に詳述する。また、例えば、メモリ41は、X線CTシステム1に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。なお、メモリ41は、X線CTシステム1とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。なお、メモリ41は、記憶部の一例である。
【0025】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された各種の画像を表示したり、操作者から各種の操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0026】
入力インターフェース43は、操作者から各種の入力操作を受け付けて、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、ディスプレイ42によって表示された情報に対して指定操作を行うための入力操作を操作者から受け付ける。また、例えば、入力インターフェース43は、CT画像データを再構成する際の再構成条件や、CT画像データから後処理画像を生成する際の画像処理条件等の入力操作を操作者から受け付ける。
【0027】
例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース43は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、コンソール装置40とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。
【0028】
処理回路44は、X線CTシステム1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、スキャン制御機能441、前処理機能442、画像再構成機能443、データ処理機能444及び表示制御機能445を実行する。なお、前処理機能442は、取得部の一例である。また、データ処理機能444は、処理部の一例である。
【0029】
スキャン制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、スキャンを制御する。具体的には、スキャン制御機能441は、入力操作に基づいて、X線高電圧装置14に制御信号を送信することで、高電圧発生装置からの出力電圧を制御する。また、スキャン制御機能441は、DAS18に制御信号を送信することで、DAS18によるデータ収集を制御する。
【0030】
ここで、スキャン制御機能441は、複数種類の異なる管電圧で複数の投影データセットを収集する撮影を制御する。具体的には、スキャン制御機能441は、X線を利用したスキャンを実行することで、被検体の一部を含む領域について、第1のX線エネルギーに対応する第1データセット、及び第1のX線エネルギーと異なる第2のX線エネルギーに対応する第2データセットを収集する。例えば、スキャン制御機能441は、「Dual Energyによる撮影」を制御する。
【0031】
前処理機能442は、DAS18から送信されたX線検出データに対して、対数変換処理や、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の補正処理を行なうことで、投影データを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)および前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。例えば、前処理機能442は、第1の管電圧(例えば、高電圧)の検出データから投影データセット(以下、高エネルギー投影データセットと記載する)を生成する。また、前処理機能442は、第2の管電圧(例えば、低電圧)の検出データから投影データセット(以下、低エネルギー投影データセットと記載する)を生成する。
【0032】
また、前処理機能442は、2種類の投影データセットを用いて、撮影の対象部位に存在する、予め決定された2つ以上の基準物質(水、ヨード、カルシウム、ハイドロキシアパタイト、脂肪等)を分離する。そして、前処理機能442は、2つ以上の基準物質のそれぞれに対応する2種類以上の単色X線の投影データセットを生成する。例えば、前処理機能442は、高エネルギー投影データセット及び低エネルギー投影データセットから、水とヨードの単色X線の投影データセットをそれぞれ生成する。なお、前処理機能442によって生成された投影データセットは、メモリ41によって記憶される。
【0033】
画像再構成機能443は、メモリ41によって記憶された投影データセットから各種画像を生成し、生成した画像をメモリ41に格納する。例えば、画像再構成機能443は、投影データを種々の再構成法(例えば、FBP(Filtered Back Projection)などの逆投影法や、逐次近似法など)によって再構成することでCT画像データを再構成し、再構成したCT画像データをメモリ41に格納する。また、画像再構成機能443は、種々の画像処理を行うことにより、CT画像データからMPR画像などのCT画像を生成して、生成したCT画像をメモリ41に格納する。
【0034】
例えば、画像再構成機能443は、メモリ41によって記憶された基準物質の単色X線の投影データセットを読み出し、基準物質画像データ(基準物質強調画像データ)を再構成する。一例を挙げると、画像再構成機能443は、水成分が強調された投影データセットに基づいて水成分の基準物質画像データを再構成し、ヨード成分が強調された投影データセットに基づいてヨード成分の基準物質画像データを再構成する。また、画像再構成機能443は、水成分の基準物質画像データ及びヨード成分の基準物質画像データに対してそれぞれ画像処理を実行することで、水成分の基準物質画像とヨード成分の基準物質画像を生成する。また、画像再構成機能443は、2つの基準物質画像データを用いて重み付け計算処理を行うことにより、所定のエネルギーにおける単色X線画像や密度画像、実効原子番号画像等、様々な画像を生成することができる。
【0035】
また、例えば、画像再構成機能443は、メモリ41によって記憶された高エネルギー投影データセットと低エネルギー投影データセットとを読み出し、各投影データセットからCT画像データをそれぞれ再構成する。そして、画像再構成機能443は、CT画像データから高エネルギーに対応する多色X線画像と、低エネルギーに対応する多色X線画像とを生成することもできる。また、画像再構成機能443は、データ処理機能444の処理によって生成された出力データセットからCT画像データを再構成する。なお、出力データセットについては、後に詳述する。
【0036】
データ処理機能444は、メモリ41によって記憶された投影データセットや、CT画像データを、メモリ41によって記憶された学習済みアルゴリズムに対して入力することで、出力データセットを生成する。なお、データ処理機能444による処理については、後に詳述する。
【0037】
表示制御機能445は、画像再構成機能443によって生成されたCT画像などをディスプレイ42に表示させる。例えば、表示制御機能445は、データ処理機能444による処理によって得られた出力データセットに基づく単色X線画像をディスプレイ42に表示させる。
【0038】
図1に示すX線CTシステム1においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41へ記憶されている。処理回路44は、メモリ41からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路44は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0039】
なお、図1においては、スキャン制御機能441、前処理機能442、画像再構成機能443、データ処理機能444及び表示制御機能445の各処理機能が単一の処理回路44によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路44は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路44が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0040】
以上、本実施形態に係るX線CTシステム1の全体構成について説明した。かかる構成のもと、本実施形態に係るX線CTシステム1は、単色X線画像の精度を向上させる。具体的には、X線CTシステム1は、被検体に対して、複数種類の異なる管電圧で連続X線を照射して、エネルギー積分型の検出器によって検出された複数の投影データセットから生成された単色X線画像の精度を向上させる。
【0041】
上述したように、複数種類の異なる管電圧で複数の投影データセットを収集する撮影では、単色X線画像を生成することができる。しかしながら、X線CTシステムでは、連続X線(多色X線)が用いられているため、複数の投影データセットに基づいて生成される単色X線画像は、ノイズや散乱線などの影響を受けている場合がある。そこで、本実施形態に係るX線CTシステムでは、複数種類の異なる管電圧によって得られた収集データと、フォトンカウンティングCT(PCCT:Photon Counting Computed Tomography)によって得られた収集データとを学習用データに用いた学習済みモデルを用いて、PCCTにおいて弁別された単色X線画像に近似した収集データを生成することで、エネルギー積分型の検出器によって検出された複数の投影データセットから生成された単色X線画像の精度を向上させる。なお、以下では、PCCTにおいて弁別された単色X線画像に近似した収集データを、PCCT様収集データと記載する場合がある。
【0042】
なお、本実施形態では、「複数種類の異なる管電圧での撮影」は、2種類の異なる管電圧での「Dual Energyによる撮影」の他、3種類以上の異なる管電圧での「Multi Energyによる撮影」も含む。以下では、「Dual Energy」によって収集された収集データを例に挙げて説明する。ここで、「Dual Energyによる撮影」の場合、以下の4つの撮影方法のいずれが用いられる場合でもよい。
【0043】
例えば、第1の方法としては、1つのX線管を用いて第1の管電圧で撮影した後に、第1の管電圧と異なる第2の管電圧で撮影する「Slow-kV switching方式(2回転方式)」がある。また、例えば、第2の方法としては、回転中(スキャン中)のビュー毎に高速にX線管の管電圧を切り替えて撮影する「Fast-kV switching方式(高速スイッチング方式)」がある。この場合、管電圧の切り替えに同期してデータ収集装置がデータ収集を行ない、異なる管電圧のデータを1つのスキャン中に収集する。また、例えば、第3の方法としては、1つのX線管ではなく2のX線管を搭載した上でそれらを用いて異なる管電圧で撮影する「Dual Source方式(2管球方式)」がある。また、例えば、第4の方法としては、多層構造のX線検出器を用いる「積層型検出器方式」がある。例えば2層構造(浅い層の検出器、深い層の検出器)のX線検出器を用いる場合、浅い層の検出器で低エネルギーのX線が検出され、浅い層の検出器を通過した深い層の検出器で高エネルギーのX線が検出される。
【0044】
第1の実施形態に係るデータ処理機能444は、第1のデータセットに基づいて、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られた第2のデータセットを擬似的に表す出力データセットを生成する学習済みモデルに対して、第1のデータセットを入力することで出力データセットを生成する。具体的には、データ処理機能444は、スキャン制御機能441の制御による複数種類の異なる管電圧での撮影(Dual Energyによる撮影)によって収集された収集データを、メモリ41が記憶する学習済みモデルに入力させることで、PCCT様収集データを生成する。
【0045】
ここで、まず、メモリ41によって記憶される学習済みモデルについて説明する。第1の実施形態に係る学習済みモデルは、エネルギー積分型のX線検出器を使用して得られたデータセットと、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られたデータセットとを学習用データとした学習により作成される。そして、作成された学習済みモデルは、メモリ41に格納される。
【0046】
図2は、第1の実施形態に係るメモリ41に記憶される学習済みモデルを説明するための図である。図2に示すように、第1の実施形態に係る学習済みモデルは、Dual Energyによる撮影によって収集された収集データと、PCCTによる撮影によって収集された収集データとの関係を機械学習することによって作成される。
【0047】
このような学習済みモデルは、予め作成されてメモリ41に格納される。例えば、学習済みモデルを生成する医用処理装置が、デュアルエナジーのX線CT装置と、フォトンカウンティング型のX線CT装置とから収集データをそれぞれ取得し、取得した収集データを学習用データとした機械学習によって、学習済みモデルを作成する。そして、作成された学習済みモデルがメモリ41に格納される。
【0048】
以下、学習済みモデルの作成の一例について説明する。図3は、第1の実施形態に係る学習済みモデルを作成する医用処理装置2の構成を示すブロック図である。例えば、医用処理装置2は、図3に示すように、通信インターフェース210と、メモリ220と、処理回路230とを有する。そして、医用処理装置2は、デュアルエナジー(Dual Energy)のX線CT装置100a及びフォトンカウンティング型の(PCCT)X線CT装置100bからそれぞれ収集データを取得し、取得した収集データを用いて学習済みモデルを作成する。例えば、医用処理装置2は、サーバやワークステーション、パーソナルコンピュータ、タブレット端末等のコンピュータ機器によって実現される。
【0049】
通信インターフェース210は、処理回路230に接続されており、医用処理装置2とX線CT装置100a及びX線CT装置100bとの間で行われる通信を制御する。具体的には、通信インターフェース210は、X線CT装置100a及びX線CT装置100bから収集データを受信し、受信した収集を処理回路230に出力する。例えば、通信インターフェース210は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0050】
メモリ220は、処理回路230に接続されており、各種データを記憶する。例えば、メモリ220は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ220は、例えば、収集データや学習済みモデルを記憶する。また、例えば、メモリ220は、医用処理装置2に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。
【0051】
処理回路230は、医用処理装置2全体の動作を制御する。例えば、処理回路230は、制御機能231、学習機能232及びデータ処理機能233を実行する。制御機能231は、通信インターフェース210を介して、X線CT装置100a及びX線CT装置100bから収集データを取得する。具体的には、制御機能231は、収集データとして、投影データ及び投影データから再構成されたCT画像データを取得することができる。
【0052】
例えば、制御機能231は、異なるエネルギーのX線を被検体に照射することで収集された2つの投影データセット(例えば、高エネルギー投影データセット及び低エネルギー投影データセット)、及び、各エネルギーの投影データセットそれぞれから再構成された2つのCT画像データをX線CT装置100aから取得することができる。また、制御機能231は、異なるエネルギーの投影データを用いて生成された単色X線画像データをX線CT装置100aから取得することができる。ここで、制御機能231は、単色X線画像データとして、高エネルギー投影データセット及び低エネルギー投影データセットから生成された単色X線の投影データセットを取得することができる。また、制御機能231は、単色X線画像データとして、単色X線の投影データセットから再構成された基準物質画像データを用いた重み付け計算処理により生成された所定のエネルギーにおける単色X線CT画像データを取得することができる。
【0053】
そして、制御機能231は、複数の被検体について、上記した種々の収集データをX線CT装置100aから取得し、取得した収集データを、部位及び条件に対応付けてメモリ220に格納する。
【0054】
また、制御機能231は、フォトンカウンティング型の検出器によってエネルギーごとに弁別された投影データセット、又は、各エネルギーの投影データセットそれぞれから再構成された各エネルギーのCT画像データをX線CT装置100bから取得する。制御機能231は、複数の被検体における収集データをX線CT装置100bから取得し、取得した収集データを、部位及び条件に対応付けてメモリ220に格納する。
【0055】
学習機能232は、メモリ220を参照して、複数の被検体に関するデュアルエナジーにおける収集データ、及び、フォトンカウンティングにおける収集データを取得する。具体的には、学習機能232は、同一部位及び同一条件で収集されたデュアルエナジーにおける収集データとフォトンカウンティングにおける収集データとを取得する。そして、学習機能232は、取得したデュアルエナジーにおける収集データとフォトンカウンティングにおける収集データとを学習用データとして機械学習エンジンに入力することによって、機械学習を行う。
【0056】
ここで、機械学習エンジンは、例えば、入力されたデュアルエナジーにおける収集データ及びフォトンカウンティングにおける収集データに基づいて、メモリ220を参照し、デュアルエナジーにおける収集データとフォトンカウンティングにおける収集データとの比較を行うことで、デュアルエナジーにおける収集データからPCCT様収集データを生成するための最適なパラメータを決定する。例えば、機械学習エンジンは、ディープラーニング(Deep Learning)や、ニューラルネットワーク(Neural Network)、ロジスティック(Logistic)回帰分析、非線形判別分析、サポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)、ランダムフォレスト(Random Forest)、ナイーブベイズ(Naive Bayes)等の各種のアルゴリズムを用いて、最適なパラメータを決定する。
【0057】
このような機械学習の結果として、学習機能232は、デュアルエナジーにおける収集データに基づいてPCCT様収集データを出力する学習済みモデルを生成する。そして、学習機能232は、生成した学習済みモデルをメモリ220に記憶させる。なお、このとき、学習機能232は、以前に作成した学習済みモデルが既にメモリ220に記憶されていた場合には、新しく作成した学習済みモデルで、記憶されている学習済みモデルを置き換える。
【0058】
以下、学習機能232によって構築される学習済みモデルの例について、図4A図4Dを用いて説明する。図4A図4Dは、第1の実施形態に係る学習機能232によって構築される学習済みモデルの例を説明するための図である。
【0059】
例えば、学習機能232は、図4Aに示すように、X線CT装置100aから取得された各エネルギーの投影データセット(図中、Dual Energy投影データ)と、X線CT装置100bから取得されたエネルギー弁別後の投影データセット(図中、PCCTエネルギー弁別投影データ)との関係を機械学習することによって、各エネルギーの投影データセットに基づいて、PCCT様の投影データセットを出力する学習済みモデルを生成する。ここで、学習機能232は、機械学習に用いるエネルギー弁別投影データセット(教師データ)として、X線CT装置100aから取得された投影データセットに対応するエネルギーのエネルギー弁別投影データセットを用いる。
【0060】
例えば、X線CT装置100aから80kVpで撮影された投影データセットと135kVpで撮影された投影データセットとが取得された場合、学習機能232は、80keVのエネルギー弁別投影データセットと、135keVのエネルギー弁別投影データセットとを用いて学習済みモデルを生成する。すなわち、学習機能232は、80kVpで撮影された投影データセットと弁別後の80keVのエネルギー弁別投影データセットとを用いた80keVの学習済みモデルと、135kVpで撮影された投影データセットと弁別後の135keVのエネルギー弁別投影データセットとを用いた135keVの学習済みモデルをそれぞれ生成する。
【0061】
学習機能232は、エネルギーごとに上記した投影データの学習済みモデルをそれぞれ生成する。例えば、学習機能232は、35keV~135keVまで1keVごとの学習済みモデルを生成して、メモリ220に格納する。ここで、学習機能232は、上記したエネルギーごとの学習済みモデルを部位及び条件ごとにさらに生成することができる。例えば、学習機能232は、頭部、胸部、腹部などの撮影範囲ごと、さらに、肺、心臓、肝臓などの臓器ごとに、80keVの学習済みモデルをそれぞれ生成することができる。さらに、学習機能232は、同一部位において、ビュー数や、管電流、スライス厚などの撮影条件ごとに、学習済みモデルを生成することもできる。
【0062】
また、例えば、学習機能232は、図4Bに示すように、X線CT装置100aから取得された各エネルギーのCT画像データ(図中、Dual Energy投影データから再構成された再構成画像データ)と、X線CT装置100bから取得されたエネルギー弁別後のCT画像データ(図中、PCCTエネルギー弁別投影データから再構成された再構成画像データ)との関係を機械学習することによって、各エネルギーのCT画像データに基づいて、PCCT様のCT画像データを出力する学習済みモデルを生成する。ここで、学習機能232は、機械学習に用いるPCCTの再構成画像データ(教師データ)として、X線CT装置100aから取得された再構成画像データと同一のエネルギーの再構成画像データを用いる。
【0063】
例えば、X線CT装置100aから80kVpの再構成画像データと135kVpの再構成画像データとが取得された場合、学習機能232は、80keVのPCCTの再構成画像データと、135keVのPCCTの再構成画像データとを用いて学習済みモデルを生成する。すなわち、学習機能232は、80kVpの再構成画像データと80keVのPCCTの再構成画像データとを用いた80keVの学習済みモデルと、135kVpの再構成画像データと135keVのPCCTの再構成画像データとを用いた135keVの学習済みモデルをそれぞれ生成する。
【0064】
学習機能232は、上述した例と同様に、エネルギーごとに部位ごと及び条件ごとの学習済みモデルをそれぞれ生成することができる。
【0065】
また、例えば、学習機能232は、図4Cに示すように、X線CT装置100aから取得された単色X線の投影データセット(図中、Dual Energy投影データから生成された仮想単色投影データ)と、X線CT装置100bから取得されたPCCTエネルギー弁別投影データとの関係を機械学習することによって、各エネルギーの投影データセットに基づいて、PCCT様の単色X線の投影データセットを出力する学習済みモデルを生成する。ここで、学習機能232は、機械学習に用いるエネルギー弁別後の投影データセット(教師データ)として、X線CT装置100aから取得された投影データセットと同一のエネルギーのエネルギー弁別後の投影データセットを用いる。
【0066】
例えば、X線CT装置100aにおいて、80kVpで撮影された投影データセットと135kVpで撮影された投影データセットとから80keVの単色X線の投影データセットが取得された場合、学習機能232は、80keVのエネルギー弁別投影データセットを用いて学習済みモデルを生成する。すなわち、学習機能232は、80keVの単色X線の投影データセットと弁別後の80keVのエネルギー弁別投影データセットとを用いた80keVの学習済みモデルを生成する。学習機能232は、上述した例と同様に、エネルギーごとに部位ごと及び条件ごとの学習済みモデルをそれぞれ生成することができる。
【0067】
また、例えば、学習機能232は、図4Dに示すように、X線CT装置100aから取得された単色X線CT画像データ(図中、Dual Energy投影データから再構成された再構成画像データから生成された仮想単色画像データ)と、X線CT装置100bから取得されたエネルギー弁別後のCT画像データ(図中、PCCTエネルギー弁別投影データから再構成された再構成画像データ)との関係を機械学習することによって、各エネルギーのCT画像データに基づいて、PCCT様のCT画像データを出力する学習済みモデルを生成する。ここで、学習機能232は、機械学習に用いるPCCTの再構成画像データ(教師データ)として、X線CT装置100aから取得された単色X線CT画像データと同一のエネルギーの再構成画像データを用いる。
【0068】
例えば、X線CT装置100aにおいて、80kVpで撮影された投影データセットと135kVpで撮影された投影データセットとから80keVの単色X線CT画像データが取得された場合、学習機能232は、80keVのPCCTの再構成画像データを用いて学習済みモデルを生成する。すなわち、学習機能232は、80keVの単色X線CT画像データと80keVのPCCTの再構成画像データとを用いた80keVの学習済みモデルを生成する。学習機能232は、上述した例と同様に、エネルギーごとに部位ごと及び条件ごとの学習済みモデルをそれぞれ生成することができる。
【0069】
上述したように、学習機能232は、種々の収集データを用いて、エネルギーごとに部位ごと及び条件ごとの学習済みモデルをそれぞれ生成し、生成した学習済みモデルをメモリ220に格納する。このように生成された学習済みモデルは、X線CTシステム1のメモリ41に格納され、PCCT様の収集データの生成に用いられる。
【0070】
図3に戻って、データ処理機能233は、データ処理機能444と同様の処理を実行する。すなわち、医用処理装置2は、データ処理機能233の処理によって、メモリ220に格納された学習済みモデルを用いたPCCT様の収集データの生成を行うことができる。なお、PCCT様の収集データの生成については、後に詳述する。
【0071】
図3に示す医用処理装置2においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ220へ記憶されている。処理回路230は、メモリ220からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路230は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0072】
なお、図3においては、制御機能231、学習機能232及びデータ処理機能233の各処理機能が単一の処理回路230によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路230は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路230が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0073】
X線CTシステム1におけるデータ処理機能444は、メモリ41に記憶された学習済みモデルを用いて、出力データセットを生成する。図5は、第1の実施形態に係るデータ処理機能444による処理を説明するための図である。図5に示すように、データ処理機能444は、Dual Energyによる撮影によって収集された収集データを受け付けて、受け付けた収集データをメモリ41に格納された学習済みモデルに入力することで、PCCT様の収集データを出力させる。データ処理機能444は、学習済みモデルから出力された収集データを画像再構成機能443に送ることで、表示用の単色X線画像を生成させる。
【0074】
例えば、データ処理機能444は、前処理機能442から高エネルギー投影データセット及び低エネルギー投影データセットを受け付けて、受け付けた投影データセットをそれぞれ対応する学習済みモデルに入力させる。一例を挙げると、データ処理機能444は、80kVpで撮影された投影データセットを受け付け、受け付けた投影データセットを、同一部位及び同一条件の80keVの学習済みモデルに入力させることで、80keVのPCCT様の投影データセットを出力させる。すなわち、データ処理機能444は、連続X線の80kVpで撮影された投影データセットにおけるエネルギー「80keV」以外の成分を除去した80keVのPCCT様の投影データセットを出力させる。
【0075】
同様に、データ処理機能444は、135kVpで撮影された投影データセットを受け付け、受け付けた投影データセットを、同一部位及び同一条件の135keVの学習済みモデルに入力させることで、135keVのPCCT様の投影データセットを出力させる。すなわち、データ処理機能444は、連続X線の135kVpで撮影された投影データセットにおけるエネルギー「135keV」以外の部分を除去した135keVのPCCT様の投影データセットを出力させる。
【0076】
画像再構成機能443は、データ処理機能444によって生成された投影データセットを用いて、単色X線画像を生成する。例えば、画像再構成機能443は、80keVのPCCT様の投影データセットから80keVのCT画像データを再構成する。また、例えば、画像再構成機能443は、135keVのPCCT様の投影データセットから135keVのCT画像データを再構成する。さらに、画像再構成機能443は、再構成したCT画像データに対して種々の画像処理を行い、表示用のCT画像をそれぞれ生成する。
【0077】
また、例えば、データ処理機能444は、前処理機能442から各エネルギーのCT画像データを受け付けて、受け付けた各エネルギーのCT画像データをそれぞれ対応する学習済みモデルに入力させる。一例を挙げると、データ処理機能444は、80kVpのCT画像データを受け付け、受け付けたCT画像データを、同一部位及び同一条件の80keVの学習済みモデルに入力させることで、80keVのPCCT様のCT画像データを出力させる。すなわち、データ処理機能444は、CT画像データにおける80kVp以外の成分を除去した80keVのPCCT様のCT画像データを出力させる。
【0078】
同様に、データ処理機能444は、135kVpのCT画像データを受け付け、受け付けたCT画像データを、同一部位及び同一条件の135keVの学習済みモデルに入力させることで、135keVのPCCT様のCT画像データを出力させる。すなわち、データ処理機能444は、CT画像データにおける135keV以外の成分を除去した135keVのPCCT様のCT画像データを出力させる。
【0079】
画像再構成機能443は、データ処理機能444によって生成されたCT画像データに対して種々の画像処理を行い、表示用のCT画像を生成する。
【0080】
また、例えば、データ処理機能444は、前処理機能442から単色X線の投影データセットを受け付けて、受け付けた単色X線の投影データセットを対応する学習済みモデルに入力させる。一例を挙げると、データ処理機能444は、80kVpで撮影された投影データセットと135kVpで撮影された投影データセットとから取得された80keVの単色X線の投影データセットを受け付け、受け付けた単色X線の投影データセットを、同一部位及び同一条件の80keVの学習済みモデルに入力させることで、80keVのPCCT様の単色X線の投影データセットを出力させる。すなわち、データ処理機能444は、仮想的に生成された80keVの単色X線の投影データセットを、PCCTで収集された80keVの投影データセットに近似するように補正した80keVのPCCT様の投影データセットを出力させる。
【0081】
同様に、データ処理機能444は、仮想的に生成された単色X線の投影データセットを対応する学習済みモデルに入力させることで、任意のエネルギーにおけるPCCT様の投影データセットを出力させることができる。
【0082】
画像再構成機能443は、データ処理機能444によって生成された投影データセットを用いて、単色X線画像を生成する。例えば、画像再構成機能443は、任意のエネルギーにおけるPCCT様の投影データセットを出力からCT画像データを再構成して、表示用のCT画像を生成する。
【0083】
また、例えば、データ処理機能444は、前処理機能442から単色X線CT画像データを受け付けて、受け付けた単色X線CT画像データを対応する学習済みモデルに入力させる。一例を挙げると、データ処理機能444は、80kVpで撮影された投影データセットと135kVpで撮影された投影データセットとから取得された80keVの単色X線CT画像データを受け付け、受け付けた単色X線CT画像データを、同一部位及び同一条件の80keVの学習済みモデルに入力させることで、80keVのPCCT様の単色X線CT画像データを出力させる。すなわち、データ処理機能444は、仮想的に生成された80keVの単色X線CT画像データを、PCCTで収集された80keVの単色X線CT画像データに近似するように補正した80keVのPCCT様の単色X線CT画像データを出力させる。
【0084】
同様に、データ処理機能444は、仮想的に生成された単色X線CT画像データを対応する学習済みモデルに入力させることで、任意のエネルギーにおけるPCCT様の単色X線CT画像データを出力させることができる。
【0085】
画像再構成機能443は、データ処理機能444によって生成された単色X線CT画像データを用いて、単色X線画像を生成する。例えば、画像再構成機能443は、任意のエネルギーにおけるPCCT様の単色X線CT画像データから表示用のCT画像を生成する。
【0086】
次に、X線CTシステム1及び医用処理装置2による処理の手順の一例を、図6、7を用いて説明する。図6は、第1の実施形態に係る医用処理装置2の処理の流れを説明するための図である。また、図7は、第1の実施形態に係るX線CTシステム1の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【0087】
図6におけるステップS101及びステップS102は、処理回路230が制御機能231に対応するプログラムをメモリ220から読み出して実行することで実現されるステップである。また、ステップS103及びステップS104は、処理回路230が学習機能232に対応するプログラムをメモリ220から読み出して実行することで実現されるステップである。
【0088】
図6に示すように、まず、処理回路230は、学習を開始するか否かを判定する(ステップS101)。ここで、学習を開始しない場合(ステップS101否定)、処理回路230は待機状態である。一方、学習を開始する場合(ステップS101肯定)、処理回路230は、部位ごとに条件ごとのデュアルエナジー収集データ及びフォトンカウンティング収集データを取得する(ステップS102)。
【0089】
次に、処理回路230は、デュアルエナジー収集データ及びフォトンカウンティング収集データを学習用データとした機械学習によって、学習済みモデルを生成する(ステップS103)。そして、処理回路230は、生成した学習済みモデルをメモリ220に記憶させる。(ステップS104)。
【0090】
図7におけるステップS201及びステップS202は、処理回路44がスキャン制御機能441及び前処理機能442に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで実現されるステップである。また、ステップS203及びステップS204は、処理回路44がデータ処理機能444に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで実現されるステップである。また、ステップS205は、処理回路44が表示制御機能445に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで実現されるステップである。
【0091】
図7に示すように、まず、処理回路44は、デュアルエナジーによる撮影が開始されたか否かを判定する(ステップS201)。ここで、デュアルエナジーによる撮影を開始しない場合(ステップS201否定)、処理回路44は待機状態である。一方、デュアルエナジーによる撮影を開始する場合(ステップS201肯定)、処理回路44は、デュアルエナジー収集データを取得する(ステップS202)。
【0092】
次に、処理回路44は、部位及び条件に対応する学習済みモデルを選択して(ステップS203)、デュアルエナジー収集データを学習済みモデルに入力する(ステップS204)。そして、処理回路44は、出力されたPCCT様の収集データに基づく単色X線画像をディスプレイ42に表示させる(ステップS205)。
【0093】
上述したように、第1の実施形態によれば、前処理機能442は、エネルギー積分型のX線検出器を使用して得られた第1のデータセットを取得する。データ処理機能444は、第1のデータセットに基づいて、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られた第2のデータセットを擬似的に表す出力データセットを生成する学習済みモデルに対して、第1のデータセットを入力することで出力データセットを生成する。従って、第1の実施形態に係るX線CTシステム1は、連続X線で撮影されて収集された収集データをフォトンカウンティングで収集された収集データに近似させることができ、単色X線画像の精度を向上させることを可能にする。
【0094】
また、上述したように、第1の実施形態によれば、第1のデータセットは、投影データセット、投影データに基づいて再構成された画像データセット、若しくは投影データセット又は画像データセットに対して分離処理を適用することで得られたデータセットを含む。従って、第1の実施形態に係るX線CTシステム1は、種々のデータセットを対象に処理を行うことを可能にする。
【0095】
また、上述したように、第1の実施形態によれば、学習済みモデルは、エネルギー積分型のX線検出器を使用して得られたデータセットと、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られたデータセットとを学習用データとした学習により作成される。従って、第1の実施形態に係るX線CTシステム1は、連続X線で撮影されて収集された収集データをフォトンカウンティングで収集された収集データに近似させる学習済みモデルを容易に生成することを可能にする。
【0096】
また、上述したように、第1の実施形態によれば、前処理機能442は、エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第1の投影データセットを取得する。データ処理機能444は、エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第2の投影データセットと、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られた第3の投影データセットとを学習用データとした学習によって作成された学習済みモデルに対して、第1の投影データセットを入力することで、出力データセットを生成する。従って、第1の実施形態に係るX線CTシステム1は、目的とするエネルギー以外の成分を除去した投影データセットを生成することができ、単色X線画像の精度を向上させることを可能にする。
【0097】
また、上述したように、第1の実施形態によれば、前処理機能442は、エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第1の投影データセットから再構成された第1の画像データセットを取得する。データ処理機能444は、エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第2の投影データセットから再構成された第2の画像データセットと、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られた第3の投影データセットから再構成された第3の画像データセットとを学習用データとした学習によって作成された学習済みモデルに対して、第1の画像データセットを入力することで、出力データセットを生成する。従って、第1の実施形態に係るX線CTシステム1は、目的とするエネルギー以外の成分を除去したCT画像データを生成することができ、単色X線画像の精度を向上させることを可能にする。
【0098】
また、上述したように、第1の実施形態によれば、前処理機能442は、エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第1の投影データセットから分離された第1のエネルギーに相当する第1の分離投影データセット(単色X線の投影データセット)を取得する。データ処理機能444は、エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第2の投影データセットから分離された第1のエネルギーに相当する第2の分離投影データセットと、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られた第1のエネルギーに相当する第3の投影データセットとを学習用データとした学習によって作成された学習済みモデルに対して、第1の分離投影データセットを入力することで、出力データセットを生成する。従って、第1の実施形態に係るX線CTシステム1は、任意のエネルギーにおける単色X線画像の精度を向上させることを可能にする。
【0099】
また、上述したように、第1の実施形態によれば、前処理機能442は、エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第1の投影データセットから再構成された第1の画像データセットから分離された第1のエネルギーに相当する第1の分離画像データセット(単色X線のCT画像データ)を取得する。データ処理機能444は、エネルギー積分型のX線検出器を使用して検出された第2の投影データセットから再構成された第2の画像データセットから分離された第1のエネルギーに相当する第2の分離画像データセットと、フォトンカウンティング型のX線検出器を使用して得られた第1のエネルギーに相当する第3の投影データセットから再構成された第3の画像データセットとを学習用データとした学習によって作成された学習済みモデルに対して、第1の分離画像データセットを入力することで、前記出力データセットを生成する。従って、第1の実施形態に係るX線CTシステム1は、任意のエネルギーにおける単色X線画像の精度を向上させることを可能にする。
【0100】
(その他の実施形態)
これまで第1の実施形態について説明したが、上述した第1の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0101】
上述した実施形態では、「Dual-Energyによる撮影」によって収集した高エネルギー投影データセットと低エネルギー投影データセットとを用いる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、3種類以上の異なる管電圧での「Multi Energyによる撮影」によって収集した3種類以上の異なるエネルギーに対応する投影データセットが用いられる場合でもよい。
【0102】
かかる場合には、「Multi Energyによる撮影」によって収集された収集データと、フォトンカウンティングによって収集された収集データとを用いて学習済みモデルが生成される。そして、データ処理機能444は、「Multi Energyによる撮影」によって収集された収集データを、学習済みモデルに入力することで、PCCT様収集データを生成する。
【0103】
また、上述した実施形態では、PCCT様の単色X線画像を生成する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、PCCT様の基準物質画像を生成する場合であってもよい。かかる場合には、基準物質に関する収集データに基づいて学習済みモデルが生成される。すなわち、「Dual-Energyによる撮影」又は「Multi Energyによる撮影」によって収集された基準物質に関する収集データと、フォトンカウンティングによって収集された基準物質に関する収集データとを用いて学習済みモデルが生成される。そして、データ処理機能444は、「Dual-Energyによる撮影」又は「Multi Energyによる撮影」によって収集された収集データを、学習済みモデルに入力することで、PCCT様収集データを生成する。ここで、基準物質に関する画像データは、単色X線のデータから係数を用いて変換させることができる。
【0104】
また、上述した実施形態では、デュアルエナジーによる収集データとフォトンカウンティングによる収集データとを用いた学習済みモデルを生成する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、デュアルエナジーによる収集データとマルチエナジーによる収集データとを用いた学習済みモデルを生成する場合でもよい。
【0105】
例えば、前処理機能442は、2種類のX線をそれぞれ被検体に照射し、前記被検体を透過した各X線をエネルギー積分型の検出器を使用して検出することで得られた第1のデータセットを取得する。データ処理機能444は、第1のデータセットに基づいて、3種類以上のX線をそれぞれ被検体に照射し、被検体を透過した各X線をエネルギー積分型のX線検出器を使用して検出することで得られる第2のデータセットを擬似的に表す出力データセットを生成する学習済みモデルに対して、第1データセットを入力することで、出力データセットを生成する。
【0106】
仮想的に単色X線画像を生成する際に使用するエネルギーの数が多いほど、生成される単色X線画像の精度が高い。したがって、2種類のエネルギーを用いるデュアルエナジーによって生成する単色X線画像よりも、3種類以上のエネルギーを用いるマルチエナジーによって生成する単色X線画像の方が、精度が高い。
【0107】
そこで、2種類のエネルギーを用いるデュアルエナジーによって収集した収集データ(単色X線の投影データ及び単色X線のCT画像データ)と、3種類以上のエネルギーを用いるマルチエナジーによって収集した収集データ(単色X線の投影データ及び単色X線のCT画像データ)とを用いた学習済みモデルを生成して、メモリ41に格納させる。そして、データ処理機能444は、デュアルエナジーによって収集した収集データを対応する学習済みモデルに入力することで、マルチエナジー様の収集データを生成することができる。
【0108】
また、上述した実施形態では、X線CTシステム1が学習済みモデルを用いた処理を実行する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、医用処理装置2において学習済みモデルを用いた処理が実行される場合であってもよい。
【0109】
例えば、図3に示す医用処理装置2が、X線CT装置100aからデュアルエナジーによって収集された収集データを取得する。そして、データ処理機能233が、メモリ220に記憶された学習済みモデルに対して、取得された収集データを入力することで、PCCT様収集データや、マルチエナジー様の収集データを生成する場合でもよい。
【0110】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、メモリ41又はメモリ53に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0111】
なお、図1においては、単一のメモリ41が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。また、図3においては、単一のメモリ220が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数のメモリ41を分散して配置するとともに、処理回路44が個別のメモリ41から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、例えば、複数のメモリ220を分散して配置するとともに、処理回路230が個別のメモリ220から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、メモリ41又はメモリ220にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0112】
また、処理回路44及び処理回路230は、ネットワークを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路44は、メモリ41から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、X線CTシステム1とネットワークNWを介して接続された外部のワークステーションやクラウドを計算資源として利用することにより、図1に示す各機能を実現する。また、例えば、処理回路230は、メモリ220から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、医用処理装置2とネットワークNWを介して接続された外部のワークステーションやクラウドを計算資源として利用することにより、図3に示す各機能を実現する。
【0113】
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0114】
また、上述した実施形態で説明した制御方法は、予め用意された処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0115】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、単色X線画像の精度を向上させることができる。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0117】
1 X線CTシステム
2 医用処理装置
44、230 処理回路
232 学習機能
441 スキャン制御機能
442 前処理機能
233、444 データ処理機能
445 表示制御機能
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7