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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】スイッチング装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20221219BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019024803
(22)【出願日】2019-02-14
(65)【公開番号】P2020136354
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 寛
(72)【発明者】
【氏名】表 広布史
【審査官】平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-019454(JP,A)
【文献】特開2018-081980(JP,A)
【文献】実開昭57-119548(JP,U)
【文献】特開平05-037121(JP,A)
【文献】特開平08-148635(JP,A)
【文献】特開2016-197677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12-23/15
H01L 23/32
H01L 25/00-25/07
H01L 25/10-25/11
H01L 25/16-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子を有した第一スイッチング素子と、
複数の端子を有し前記第一スイッチング素子から当該第一スイッチング素子の厚さ方向に離れて設けられた第二スイッチング素子と、
前記第一スイッチング素子を収容するキャビティが設けられ前記第一スイッチング素子と前記第二スイッチング素子との間に前記キャビティの底部を有する保持部材と、前記キャビティに対向して前記保持部材上に設けられ前記第二スイッチング素子に電気的に接続された接続部と、前記接続部と前記第一スイッチング素子の前記端子とを接続する導体と、を有するホルダと、
を有し、
前記第一スイッチング素子および前記第二スイッチング素子が並列に接続され
前記導体は、前記保持部材を前記厚さ方向に貫通し前記厚さ方向の両端において露出し、
前記導体と、前記第一スイッチング素子の前記端子および前記第二スイッチング素子の前記端子と、が前記厚さ方向に重なるとともに電気的に接続されかつ接合され、
前記導体の下端に、前記保持部材の下端から凹む凹部、を有する、
スイッチング装置。
【請求項2】
前記ホルダは、前記厚さ方向に積層され同一構成を有した複数の前記保持部材を有した、請求項に記載のスイッチング装置。
【請求項3】
前記保持部材は、プリント配線板である、請求項1または2に記載のスイッチング装置。
【請求項4】
複数の端子を有した第一スイッチング素子と、
複数の端子を有し前記第一スイッチング素子から当該第一スイッチング素子の厚さ方向に離れて設けられた第二スイッチング素子と、
前記第一スイッチング素子を収容するキャビティが設けられ前記第一スイッチング素子と前記第二スイッチング素子との間に前記キャビティの底部を有する保持部材と、前記キャビティに対向して前記保持部材上に設けられ前記第二スイッチング素子に電気的に接続された接続部と、前記接続部と前記第一スイッチング素子の前記端子とを接続する導体と、を有するホルダと、
を有し、前記第一スイッチング素子および前記第二スイッチング素子が並列に接続された、スイッチング装置と、
前記スイッチング装置が実装された回路基板と、を備え
前記導体は、前記保持部材を前記厚さ方向に貫通し前記厚さ方向の両端において露出し、
前記導体と、前記第一スイッチング素子の前記端子および前記第二スイッチング素子の前記端子と、が前記厚さ方向に重なるとともに電気的に接続されかつ接合され、
前記導体の下端に、前記保持部材の下端から凹む凹部、を有する、
電子機器。
【請求項5】
前記回路基板には、前記スイッチング装置の少なくとも一部を収容した開口が設けられた、請求項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、スイッチング装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板と、当該回路基板に実装されたスイッチング素子と、を有した電子機器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-38925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の構成では、例えば、構成の簡素化や小型化が可能となるなど、より不都合の少ない新規な構成が得られれば、有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のスイッチング装置は、第一スイッチング素子と、第二スイッチング素子と、ホルダと、を有する。第一スイッチング素子および第二スイッチング素子は、並列に接続されている。第一スイッチング素子は、複数の端子を有する。第二スイッチング素子は、複数の端子を有し第一スイッチング素子から当該第一スイッチング素子の厚さ方向に離れて設けられる。ホルダは、第一スイッチング素子を収容するキャビティが設けられ第一スイッチング素子と第二スイッチング素子との間にキャビティの底部を有する保持部材と、キャビティに対向して保持部材上に設けられ第二スイッチング素子に電気的に接続された接続部と、接続部と第一スイッチング素子の端子とを接続する導体と、を有する。導体は、保持部材を厚さ方向に貫通し厚さ方向の両端において露出し、導体と、第一スイッチング素子の端子および第二スイッチング素子の端子と、が厚さ方向に重なるとともに電気的に接続されかつ接合され、導体の下端に、保持部材の下端から凹む凹部、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態の電子機器の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
図2図2は、実施形態のスイッチング装置に含まれるスイッチング素子の例示的かつ模式的な側面図である。
図3図3は、実施形態のスイッチング装置に含まれるスイッチング素子の例示的かつ模式的な平面図である。
図4図4は、実施形態のスイッチング装置のホルダに含まれる保持部材の図1と同等位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図5図5は、実施形態のスイッチング装置のホルダに含まれる保持部材の例示的かつ模式的な上面図である。
図6図6は、実施形態のスイッチング装置のホルダに含まれる保持部材の例示的かつ模式的な下面図である。
図7図7は、実施形態のスイッチング装置に含まれるスイッチング素子および保持部材のサブアセンブリの図1と同等位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図8図8は、実施形態のスイッチング装置に含まれるスイッチング素子および保持部材のサブアセンブリの一部の平面図である。
図9図9は、第2実施形態の電子機器の一部の例示的かつ模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、スイッチング装置および電子機器の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成(技術的特徴)は、一例である。
【0008】
また、以下に例示される複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。以下では、それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。また、本明細書において、序数は、構成要素等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0009】
なお、回路基板20,20A、保持部材110,110A、およびスイッチング素子200の厚さ方向は同じであり、各図中には矢印Zで示され、以下では方向Z、または単に厚さ方向と称される。また、方向Zは、複数の保持部材110,110Aの積層方向であり、かつ複数のスイッチング素子200の積層方向である。なお、矢印Zの指す方向は、保持部材110,110Aのキャビティ113の開口方向とは反対の方向である。また、各図には、説明の便宜上、回路基板20の面に沿い互いに直交する方向Xおよび方向Yが示される。方向X、方向Y、および方向Zは、互いに直交している。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、電子機器1の一部の断面図である。図1に示されるように、電子機器1は、スイッチング装置10と、回路基板20と、を備えている。電子機器1は、例えば、インバータ装置であるが、これには限定されない。
【0011】
回路基板20は、例えば、ガラスエポキシ基板のようなプリント配線板であり、かつリジッド基板である。回路基板20は、絶縁体21と、導体22と、を有している。回路基板20は、扁平な板状の形状を有しており、表面20aと、裏面20bと、を有している。表面20a上には、導体22の一部が露出している。回路基板20に設けられる複数の導体22は、絶縁体21によって互いに絶縁されている。導体22は、例えば銅系材料のような、導電性の金属材料によって作られている。なお、回路基板20は、フレキシブル基板であってもよい。
【0012】
スイッチング装置10は、例えばはんだ付け等により、回路基板20の表面20a上に実装されている。本実施形態では、スイッチング装置10は、表面実装部品とも称されうる。はんだ付けで用いられる不図示のはんだは、導電性を有した接合材の一例である。
【0013】
スイッチング装置10は、複数のスイッチング素子200と、当該複数のスイッチング素子200を保持するホルダ100と、を有している。スイッチング装置10内では、複数のスイッチング素子200が、並列に接続されている。スイッチング装置10内、すなわちホルダ100内には、複数のスイッチング素子200を並列に接続する導体112が設けられている。導体112は、例えば銅系材料のような、導電性の金属材料によって作られている。
【0014】
ホルダ100は、複数の保持部材110を有している。スイッチング装置10では、それぞれスイッチング素子200を保持した複数の保持部材110が、積層されている。なお、電子機器1にあっては、複数のホルダ100と複数のスイッチング素子200とがアセンブリされたスイッチング装置10が、回路基板20上に実装されることにより電子機器1が構成されてもよいし、回路基板20上に、複数のホルダ100と複数のスイッチング素子200とが順次実装されることにより、スイッチング装置10および電子機器1が構成されてもよい。
【0015】
図2は、スイッチング装置10に含まれるスイッチング素子200の側面図、図3は、スイッチング素子200の平面図である。
【0016】
スイッチング素子200は、例えば、MOS-FET(metal oxide semiconductor field effect transistor)である。スイッチング素子200は、ボディ201と、複数の端子202と、を有している。
【0017】
ボディ201は、扁平な四角錐台状の形状を有し、図2に示される側面視では例えば台形状のような四角形状の外観を呈し、図3に示される平面視では例えば正方形のような四角形状の外観を呈している。ボディ201は、頂面201aと、裏面201bと、側面201cと、を有している。頂面201aと裏面201bとは互いに平行である。裏面201bは頂面201aよりも広い。また、側面201cは、頂面201aと裏面201bとの間で当該頂面201aおよび裏面201bに対して傾斜して延びている。頂面201aおよび裏面201bと直交する方向が、スイッチング素子200の厚さ方向(方向Z)である。ボディ201は、絶縁層や、導体層、半導体層を有している。なお、ボディ201は、四角錐台状の形状を有するものには限定されず、例えば扁平な四角柱状や、扁平な直方体状、四角形の板状のような、他の形状を有してもよい。
【0018】
図3に示されるように、スイッチング素子200は、複数の端子202として、ゲート端子202G、ソース端子202S、およびドレイン端子202Dを有している。これら複数の端子202は、いずれも、ボディ201の側面201cに設けられている。本実施形態では、ボディ201の裏面201bの辺201dに沿って、四つのドレイン端子202Dが互いに間隔をあけて並ぶとともに、辺201dとは反対側の辺201eに沿って、三つのソース端子202Sと一つのゲート端子202Gとが互いに間隔をあけて並んでいる。複数の端子202は、側面201cから裏面201bに沿う方向であって辺201d,201eと交差しかつ直交する方向に突出するとともに、裏面201bと略平行な接触面を有している。また、裏面201bには、四角形状のパッド202aが設けられており、このパッド202aによって四つのドレイン端子202Dが電気的に接続されている。言い換えると、四つのドレイン端子202Dとパッド202aとは、一つの共通電極(共通端子)を構成している。スイッチング素子200にあっては、不図示のドライバの作動によりゲート端子202Gに所定の電圧が印加された場合に、ソース端子202Sとドレイン端子202Dとが電気的に接続される。端子202は、例えば銅系材料のような、導電性の金属材料によって作られている。パッド202aは、端子あるいは電極とも称されうる。
【0019】
図4は、ホルダ100に含まれる保持部材110の図1と同等位置での断面図、図5は、保持部材110の上面図、図6は、保持部材110の下面図である。
【0020】
図4~6に示されるように、保持部材110は、四角形の板状の形状を有している。保持部材110は、上面110aと、下面110bと、側面110cと、を有している。上面110aと下面110bとは、互いに平行である。また、側面110cは、上面110aと下面110bとの間で当該上面110aおよび下面110bに対して交差しかつ直交して延びている。上面110aおよび下面110bと直交する方向が、保持部材110の厚さ方向(方向Z)である。なお、保持部材110は、四角形の板状の形状を有するものには限定されない。
【0021】
図4,6に示されるように、保持部材110には、キャビティ113が設けられている。キャビティ113は、下面110bの中央から方向Zに凹む凹部、言い換えると方向Zの反対方向に開口した凹部である。キャビティ113には、底面113aと四つの側面113bとが臨んでいる。底面113aは、方向Zと交差しかつ直交している。四つの側面113bは、いずれも方向Zに延び、図6に示されるような平面視では四角形状に配置される。このようなキャビティ113が設けられた保持部材110は、底壁110dと周壁110eとを有するとともに、方向Zの反対方向に開放された扁平な箱形の形状を有している。底面113aは、底部の一例である。
【0022】
図4,6に示されるように、キャビティ113に臨み互いに向き合う一対の側面113b1のそれぞれに沿って、四つの導体112が互いに間隔をあけて並んでいる。図6に示される合計8箇所において、図4に示されるように、導体112の貫通部112aが、それぞれ、保持部材110を方向Zに貫通している。貫通部112aは、方向Zおよび方向Zの反対方向に露出している。また、貫通部112aは、側面113b1においてキャビティ113内に露出しているが、キャビティ113内への露出は必須ではない。
【0023】
図4に示されるように、各貫通部112aの下端112a2は、保持部材110の下面110bから方向Zに一段凹んだ凹部113cにおいて、方向Zの反対方向に露出しかつ方向Zの反対方向に面している。凹部113cは、保持部材110の下面110bとキャビティ113の側面113b1と境界となるエッジ113dに設けられた切欠であり、方向Zの反対方向に向けて開放されるとともに、側面113b1と交差しかつ直交する方向、すなわち方向Xまたは当該方向Xの反対方向に、開放されている。
【0024】
また、図5に示されるように、八つの貫通部112aの上端112a1は、いずれも保持部材110の上面110aにおいて方向Zに露出しかつ方向Zの反対方向に面している。上面110aには、図5の左側に位置される四つの上端112a1に接続された四角形状のパッド112bが設けられており、四つの上端112a1と一つのパッド112bとによって一つの端子が構成されている。パッド112bは、端子あるいは電極とも称されうる。
【0025】
保持部材110は、例えばガラスエポキシ基板のようなプリント配線板であり、かつリジッド基板である。保持部材110に設けられる複数の導体112は、絶縁体111によって互いに絶縁されている。貫通部112aおよびパッド112bを含む導体112は、公知のプリント配線板の製造方法によって構成されうる。
【0026】
図7は、スイッチング装置10のサブアセンブリ11の図1と同等位置での断面図であり、図8は、サブアセンブリ11の一部の平面図(下面図)である。図7に示されるサブアセンブリ11は、一つの保持部材110と一つのスイッチング素子200Aとを有している。スイッチング素子200Aは、スイッチング素子200Aのボディ201がキャビティ113内に収容された状態で、保持部材110に取り付けられ、サブアセンブリ11が構成される。キャビティ113内において、スイッチング素子200Aは、頂面201aが保持部材110の上面110aに近くかつ裏面201bが保持部材110の下面110bに近い姿勢で、収容される。当該姿勢は、言い換えると、頂面201aが方向Zを向きかつ裏面201bが方向Zの反対方向を向いた姿勢である。サブアセンブリ11において、頂面201aは、キャビティ113の底面113aに面し、側面201cは、それぞれ、キャビティ113の側面113bに面し、裏面201bは、保持部材110の下面110bとほぼ並び、キャビティ113から方向Zの反対方向に露出し、かつ方向Zの反対方向に面している。サブアセンブリ11に含まれるスイッチング素子200Aは、第一スイッチング素子の一例である。
【0027】
スイッチング素子200の端子202は、それぞれ、対応する凹部113cに収容される。言い換えると、凹部113cは、端子202に対応して設けられている。スイッチング素子200の実装前の仮置きの状態にあっては、端子202の下面110bに沿う方向の動きは、図8に示されるように、凹部113cの側面113c1によって制限され、端子202の方向Zへの動きは、図7に示されるように、貫通部112aの下端112a2によって制限される。すなわち、側面113c1および下端112a2は、仮置き時の位置決め機構として機能している。下端112a2は、凹部113cの底面とも称されうる。
【0028】
端子202は、それぞれ、凹部113cに収容された状態で、当該凹部113cの底部に露出した貫通部112a(導体112)の下端112a2に、例えばはんだ付けのような電気的かつ機械的な接合方法によって、接合される。
【0029】
図3に示されるように、スイッチング素子200の端子202は、三つのソース端子202S、一つのゲート端子202G、および四つのドレイン端子202Dを含んでいる。また、図5に示されるように、保持部材110の導体112は、三つのソース導体112S、一つのゲート導体112G、および四つのドレイン導体112Dを含んでいる。図7に示されるサブアセンブリ11においては、ソース端子202Sとソース導体112Sとが電気的に接続され、ドレイン端子202Dとドレイン導体112Dとが電気的に接続され、図7には示されないが、ゲート端子202Gとゲート導体112Gとが電気的に接続される。
【0030】
図1に示されるように、スイッチング装置10では、回路基板20上に二つのサブアセンブリ11が積層され、さらに、Z方向の端に位置される保持部材110(サブアセンブリ11)には、キャビティ113に収容されたスイッチング素子200とは別のスイッチング素子200Bが、実装される。スイッチング素子200Bのスペックは、スイッチング素子200Aのスペックと同一であるが、異なっていてもよい。なお、スイッチング装置10におけるスイッチング素子200や保持部材110の実装の順番や手順は、種々に設定されうる。スイッチング素子200Bは、第二スイッチング素子の一例である。
【0031】
各保持部材110において、保持部材110の上面110aに露出した上端112a1およびパッド112bと、当該上面110a上に位置するスイッチング素子200の端子202とは、互いに厚さ方向に面している。これら上端112a1およびパッド112bと、端子202とは、例えばはんだ付けのような電気的かつ機械的な接合方法によって、接合される。ここでは、図1に示されるように、ソース端子202Sとソース導体112Sとが電気的に接続され、ドレイン端子202Dとドレイン導体112Dとが電気的に接続され、図1には示されないが、ゲート端子202Gとゲート導体112Gとが電気的に接続される。また、スイッチング素子200の裏面201bに設けられたドレイン端子202Dのパッド202aと、保持部材110の上面110aに設けられたドレイン導体112Dのパッド112bとが、例えばはんだ付けのような電気的かつ機械的な接合方法によって、接合される。上面110aは、底壁110dのキャビティ113とは反対側の面の一例であり、パッド112bは、接続部の一例である。
【0032】
スイッチング装置10においては、複数のスイッチング素子200のソース端子202Sが、保持部材110(ホルダ100)のソース導体112S(貫通部112a)を介して互いに電気的に接続され、複数のスイッチング素子200のゲート端子202Gが、保持部材110のゲート導体112G(貫通部112a)を介して互いに電気的に接続され、複数のスイッチング素子200のドレイン端子202Dが、保持部材110のドレイン導体112D(貫通部112a)を介して互いに電気的に接続されている。このような構成により、スイッチング装置10においては、保持部材110の導体112を介して、複数のスイッチング素子200が、並列に接続されている。ソース導体112S、ゲート導体112G、およびドレイン導体112Dは、それぞれ、厚さ方向に並んだ複数の貫通部112aが、例えばはんだ付けのような電気的かつ機械的な接合方法によって接合されることによって、構成されている。
【0033】
また、回路基板20と当該回路基板20に面した保持部材110とにおいては、回路基板20の表面20aと、保持部材110の下面110bとが、厚さ方向に面するとともに、当該下面110bに露出した導体112と、当該表面20aの導体22とが、厚さ方向に面している。厚さ方向に互いに面した導体112と導体22とは、例えばはんだ付けのような電気的かつ機械的な接合方法によって、接合される。図1に示されるように、電子機器1では、回路基板20のソース導体22Sと保持部材110のソース導体112Sとが、例えばはんだのような導電性の接合材(不図示)およびスイッチング素子200のソース端子202Sを介して、電気的に接続されている。また、回路基板20のドレイン導体22Dと保持部材110のドレイン導体112Dとが、導電性の接合材(不図示)およびスイッチング素子200のドレイン端子202Dを介して電気的に接続されている。さらに、図1には示されないが、回路基板20のゲート導体(不図示)と保持部材110のゲート導体112G(図5,6参照)とが、導電性の接合材およびスイッチング素子200のゲート端子202G(図3参照)を介して電気的に接続されている。また、回路基板20の表面20aに設けられたドレイン導体22Dのパッド22aと、スイッチング素子200の裏面201bに設けられたドレイン端子202Dのパッド202aとが、導電性の接合材(不図示)を介して電気的かつ機械的に接続されている。さらに、図示されないが、三つのソース導体112Sは、導電性の接合材(不図示)を介して回路基板20の表面20aに設けられた一つのソース導体22Sと電気的かつ機械的に接続されている。保持部材110の下面110bは、ホルダ100の下面とも称されうる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態のスイッチング装置10では、スイッチング素子200A(第一スイッチング素子)およびスイッチング素子200B(第二スイッチング素子)が厚さ方向に積層され、複数のスイッチング素子200を保持するホルダ100の導体112が、複数のスイッチング素子200の端子202を電気的に接続している。このような構成によれば、厚さ方向に延びる導体112(貫通部112a)によって、複数のスイッチング素子200が並列に接続された回路を構成することができる。仮に、複数のスイッチング素子200が、回路基板20の表面20aに沿って配置されていた場合、複数のスイッチング素子200の端子202間を接続する導体が当該表面20aに沿って長くなりやすい上、複数の導体間の絶縁性を確保するため、複数の導体の立体交差が生じて配線がより一層長くなりやすく、さらには配線の構成がより複雑になりやすい。この点、本実施形態のスイッチング装置10では、複数のスイッチング素子200の端子202を接続する導体112(導電経路)は、厚さ方向に延びる分、より短くすることができる。また、複数の導体112は互いに略平行に配置されるため、複数の導体112の立体交差は不要である。よって、このような構成によれば、例えば、導体112の長さをより短くできるため、例えば、導体112の電気抵抗を減らすことができたり、表面20aに沿う方向(方向X,方向Y)におけるスイッチング素子200の実装面積をより小さくすることができたり、寄生インダクタをより小さくできたり、といった利点が得られる。また、スイッチング素子200および保持部材110の数、すなわちサブアセンブリ11の数の増減により、スイッチング素子200の並列数をより容易に変更できるという利点も得られる。
【0035】
また、本実施形態では、ホルダ100は、スイッチング素子200Aを収容するキャビティ113が設けられた保持部材110を有している。このような構成によれば、例えば、スイッチング素子200Aを保持しかつ導体112を有したホルダ100を、比較的簡素な構成として、実現することができる。
【0036】
さらに、本実施形態では、ホルダ100に含まれる少なくとも一つの保持部材110は、キャビティ113とは反対側において、スイッチング素子200Bと面した上面110a(面)を有し、当該上面110aに設けられたパッド112b(接続部)とスイッチング素子200Bのドレイン端子202D(端子)のパッド202aとが、互いに接合されるとともに電気的に接続されている。このような構成によれば、例えば、スイッチング素子200Bの裏面201bにパッド202aが設けられた構成においても、当該パッド202aと電気的に接続されるとともに接合される導体を、パッド112bによって、比較的簡素な構成として、実現することができる。
【0037】
また、本実施形態では、導体112は、保持部材110を厚さ方向に貫通し当該保持部材110の厚さ方向の両端に露出した貫通部112a(導体112)を有し、貫通部112aの厚さ方向の上端112a1および下端112a2とスイッチング素子200の端子202とが、厚さ方向に重なるとともに電気的に接続されかつ接合されている。このような構成によれば、例えば、導体112の厚さ方向と交差する方向に延びる区間を減らしたりあるいは短くしたりすることができ、例えば、導体112の長さをより短くすることができたり、スイッチング装置10の厚さ方向と交差する方向におけるサイズをより小さくすることができたり、といった利点が得られる。
【0038】
また、本実施形態では、同一構成の複数の保持部材110が厚さ方向に積層された場合に、厚さ方向に並んだ貫通部112aを電気的に接続することにより、複数のスイッチング素子200を並列に接続する導体112を、比較的簡素な構成として、実現することができる。また、このような構成によれば、平面方向の実装面積および配線面積を大きく増加させることなく、より大きな電流を流すことが可能となる。
【0039】
また、本実施形態では、表面実装タイプの複数のスイッチング素子200をその厚さ方向に積層するに際し、スイッチング素子200の形状を積層専用の形状にしたり、複数のスイッチング素子200で互いに異なる長さのリードを設けたりする必要がない。すなわち、本実施形態によれば、表面実装タイプのスイッチング素子200の形状を特に変更すること無く、比較的簡素な構成によって複数のスイッチング素子200が厚さ方向に積層された並列回路を実現することができる。
【0040】
また、本実施形態では、保持部材110は、プリント配線板である。このような構成によれば、例えば、保持部材110ひいてはホルダ100を、プリント配線板によって、比較的簡素な構成として、実現することができる。
【0041】
[第2実施形態]
図9は、本実施形態の電子機器1Aの断面図である。図9に示されるように、ホルダ100Aは、回路基板20Aと接する保持部材110Aと、回路基板20Aとは接しない保持部材110と、を有している。本実施形態では、保持部材110Aの構成と、保持部材110の構成とが、相違している。保持部材110Aは、回路基板20Aと接続される接続部110fを有している。保持部材110は、第1実施形態の保持部材110と同様の構成を有している。また、保持部材110Aは、接続部110fを除き、保持部材110と同様の構成を有している。
【0042】
接続部110fは、保持部材110の周壁110eから外側に張り出したフランジ状の形状を有している。接続部110fは、回路基板20の表面20aと接する面110gを有している。面110gは、接触面あるいは被支持面と称されうる。面110gには、厚さ方向に露出し、回路基板20の導体22と面した接続パッド112cが設けられている。接続パッド112cは、導体112の一部であり、接続部位とも称されうる。導体22と接続パッド112cとは、例えばはんだのような導電性の接合材(不図示)により、電気的かつ機械的に接続されている。
【0043】
また、回路基板20Aには、スイッチング装置10Aの少なくとも一部を収容した開口20cが設けられており、スイッチング装置10Aは、開口20cを厚さ方向に貫通した状態で回路基板20Aに実装されている。このように、スイッチング装置10Aの少なくとも一部が回路基板20Aに設けられた開口20cに収容されることにより、例えば、回路基板20Aとスイッチング装置10Aとを含む電子機器1Aの厚さ(高さ)を、より小さくすることができる。なお、開口20cは、貫通孔ではなく有底の凹部であってもよい。また、例えば、接続部110fの構成や、スイッチング装置10Aにおける接続部110fを有した保持部材110Aの位置のような電子機器1Aのスペックは、適宜に変更して実施することができる。
【0044】
また、本実施形態では、導体112の接続パッド112c(接続部位)は、ホルダ100Aの厚さ方向の中間位置に設けられている。そして、接続パッド112cの厚さ方向の両側に、導体112の貫通部112a、すなわち、回路基板20の導体22からスイッチング素子200の端子202への導電経路が、設けられている。このような構成によれば、例えば、導体112における回路基板20の導体22との接続部位がホルダの厚さ方向の端部に設けられた構成と比較して、当該導体22から各スイッチング素子200の端子202への導体112(導電経路)の長さを、より短くすることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、実施形態の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。また、各構成や形状等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、角度、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
1,1A…電子機器、10,10A…スイッチング装置、20…回路基板、20c…開口、100,100A…ホルダ、110,110A…保持部材、110a…上面(面)、112a…貫通部(導体)、112b…パッド(接続部)、113…キャビティ、113a…底面(底部)、200A…スイッチング素子(第一スイッチング素子)、200B…スイッチング素子(第二スイッチング素子)、202…端子、Z…方向(厚さ方向)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9