(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20221219BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20221219BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20221219BHJP
B23Q 11/12 20060101ALI20221219BHJP
B24B 55/10 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B25F5/00 G
B25F5/02
B23Q11/00 M
B23Q11/12 A
B24B55/10
(21)【出願番号】P 2019028694
(22)【出願日】2019-02-20
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】杉田 文秀
(72)【発明者】
【氏名】千種 法人
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-226948(JP,A)
【文献】特開2013-099819(JP,A)
【文献】特開2018-202511(JP,A)
【文献】実開昭59-017144(JP,U)
【文献】特開2017-024101(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0281627(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102016106559(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F1/00-5/02
B23Q11/00-13/00
B24B3/00-3/60
B24B21/00-39/06
B24B53/00-57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉塵を集塵可能な集塵機が接続可能である集塵機接続部と、
前記集塵機接続部から延びており通路通気口を有している集塵通路と、
部品が内部に配置されており通気口を有しているハウジングと、
電動モータと、
を備えており、
前記集塵機接続部に接続された集塵機の駆動により形成される前記集塵通路内の第1の風により、前記通気口から前記通路通気口への第2の風が形成され、
前記第2の風に当たるように、前記部品が配置されて
おり、
前記部品は、前記電動モータのコントローラであり、
前記ハウジングは、前記電動モータが内部に配置される第1ハウジングと、前記コントローラが内部に配置されており前記第1ハウジングとは離れた状態で設けられる第2ハウジングと、を有する
ことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記通気口は、前記通路通気口よりも前記第1の風における上流側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記部品は、前記第2の風の方向に沿うような姿勢とされている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記通気口は、複数設けられており、離隔した複数の位置の何れかに配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の電動工具。
【請求項5】
前記通気口に、塵衝突部が設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし
請求項4の何れかに記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライウォールサンダ、長竿型ポリッシャ、長竿型グラインダ、長竿型コンクリートカンナ等の長竿型研磨機を始めとする電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102013202673号明細書(特許文献1)に示されるようなサンダが知られている。
このサンダでは、電気部品12の所定の面(接触範囲50)が、冷却ダクト46の内面に連続するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102013202673号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなサンダでは、電気部品12の所定の面しか冷却されないため、冷却効率に向上の余地がある。
仮に、冷却効率を向上するため、電気部品12を冷却ダクト46内に突出させると、冷却ダクト46内における空気の流れが、突出した電気部品12から抵抗を受けて阻害される。空気の流れが集塵に用いられる場合、集塵性能が低下する。
そこで、本発明の主な目的は、部品をより効率的に冷却可能であり、集塵性能が維持される電動工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、粉塵を集塵可能な集塵機が接続可能である集塵機接続部と、前記集塵機接続部から延びており通路通気口を有している集塵通路と、部品が内部に配置されており通気口を有しているハウジングと、電動モータと、を備えており、前記集塵機接続部に接続された集塵機の駆動により形成される前記集塵通路内の第1の風により、前記通気口から前記通路通気口への第2の風が形成され、前記第2の風に当たるように、前記部品が配置されており、前記部品は、前記電動モータのコントローラであり、前記ハウジングは、前記電動モータが内部に配置される第1ハウジングと、前記コントローラが内部に配置されており前記第1ハウジングとは離れた状態で設けられる第2ハウジングと、を有することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記通気口は、前記通路通気口よりも前記第1の風における上流側に配置されていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記部品は、前記第2の風の方向に沿うような姿勢とされていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記通気口は、複数設けられており、離隔した複数の位置の何れかに配置されていることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明において、前記通気口に、塵衝突部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の主な効果は、部品をより効率的に冷却可能であり、集塵性能が維持される電動工具が提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係るドライウォールサンダの斜視図である。
【
図2】(A)は
図1のドライウォールサンダの後部後の中央縦断面図であり、(B)は
図1のドライウォールサンダのバッテリ装着部の後面図である。
【
図3】
図1のドライウォールサンダの後部前の中央縦断面図である。
【
図7】
図1のドライウォールサンダの前部の中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態及びその変更例が、適宜図面に基づいて説明される。
当該形態は、電動工具に属する長竿型研磨機の一例としてのドライウォールサンダに係るものである。
当該形態及び変更例における前後上下左右は、説明の便宜上定めたものであり、作業の状況及び移動する部材の状態の少なくとも一方等により変化することがある。
尚、本発明は、当該形態及び変更例に限定されない。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係るドライウォールサンダ1の斜視図である。
図2(A)は、ドライウォールサンダ1の後部後の中央縦断面図である。
図2(B)は、ドライウォールサンダ1のバッテリ装着部36の後面図である。
図3は、ドライウォールサンダ1の後部前の中央縦断面図である。
図4は、
図3のC-C線断面図である。
図5は、
図2のA-A線断面図である。
図6は、
図2のB-B線断面図である。
図7は、ドライウォールサンダ1の前部の中央縦断面図である。
図8は、
図7のD-D線断面図である。
図9は、
図7のE-E線断面図である。
図10は、
図7のF-F線断面図である。
ドライウォールサンダ1は、竿部2と、竿部2の後部(第2端部)に設けられるハンドル部4と、竿部2の前端部(第1端部)において吊枠部6を介して連結されたヘッド部8と、を備えている。
【0010】
竿部2は、前後に延びており、第1竿体としての大径パイプ10と、その内側にスライド可能に入る第2竿体としての小径パイプ12と、を有している。大径パイプ10と小径パイプ12との一方が他方に対してスライドすることにより、竿部2がテレスコピック機構を有して伸縮自在となる。
小径パイプ12は、円筒状であり、ハンドル部4の外郭である前ハンドルハウジング14及び後ハンドルハウジング15に取り付けられている。小径パイプ12の前端部には、フランジ筒16が固定されている。フランジ筒16における前部のフランジ部は、小径パイプ12の前端から飛び出して大径パイプ10の内面に接触している。他方、フランジ筒16におけるフランジ部以外の部分の外面は、小径パイプ12の内面と接触している。フランジ筒16におけるフランジ部の径方向内方における孔は、前広がりとなっている。尚、前ハンドルハウジング14及び後ハンドルハウジング15により、ハンドルハウジング18(第2ハウジング)が構成される。
大径パイプ10は、小径パイプ12が通る円筒状の第1中空部20及びその下部に添うような断面“U”字状の第2中空部22を有する二穴管であり、アルミニウム材の押し出しにより形成されている。大径パイプ10の外面(第1中空部20と第2中空部22とを仕切る仕切り壁の隣接部)には、大径パイプ10の前後方向のスライドの案内を行い、又大径パイプ10の上下左右方向の位置決めを行うための大径パイプガイド溝23が形成されている。
大径パイプ10の第1中空部20の後端部には、小径パイプ12の外面に接触し又は近接する円筒状のストップリング24が固定されている。又、大径パイプ10の第2中空部22の後端は、第1中空部20の後端より前方に配置されている。第1中空部20の後端部の下方であって、第2中空部22の後端の後側には、断面“U”字状のリード線ガイド26が取り付けられている。
【0011】
後ハンドルハウジング15は、左右半割であり、左部と右部とが互いに組み合わせられた状態で左右方向のネジ28によって止められることで形成されている。
前ハンドルハウジング14は、左右半割であり、左部と右部とが互いに組み合わせられた状態で左右方向のネジ29によって止められることで形成されている。前ハンドルハウジング14の後端部は、その筒状の前部に対して碗状に拡大しており、後ハンドルハウジング15の前端部を挟んでいて、前ハンドルハウジング14は後ハンドルハウジング15に取り付けられる。
前ハンドルハウジング14は、前後に延びており竿部2を収める前竿収納部30を有している。
後ハンドルハウジング15は、前後に延びており竿部2を収める後竿収納部31と、その後部の上方に配置された丘状のグリップ基部32と、その後上部から後方に突出した上方視“T”字状のグリップ部34と、後竿収納部31の後方に配置されたバッテリ装着部36と、その下前方に配置された、後方に広がるジョイント保持部38と、を有している。
グリップ部34は、前後方向に延びるグリップ部本体部34aと、その後端部において左右両側に延びる補助グリップ部34bと、を有している。
ジョイント保持部38には、後竿収納部31及びバッテリ装着部36の間からバッテリ装着部36の下側までにわたる側面視“S”字状の空間を含む筒状のジョイント40(集塵機接続部)が保持される。ジョイント40の前方に開放された上端部には、小径パイプ12の後端部が接続され、ジョイント40の後方に開放された下端部には、
図2に先端部のみ図示された集塵機の集塵ホース42が接続される(集塵ホース接続部,集塵機接続部)。
【0012】
後ハンドルハウジング15内における後竿収納部31の上とグリップ基部32の下との境界には、左右両側から内方へ突出し前後方向に延びる上竿収納部リブ44が立てられている。双方の上竿収納部リブ44は、竿部2の上方に位置しており、それらの先端は、互いに接触している。
上竿収納部リブ44の後部は、断面逆“U”字状に形成されたバンド取付部44aを有しており、その内方には、小径パイプ12の後端部を保持するバンド45が、左右方向のネジ46により取り付けられている。バンド45の径方向内方には、ジョイント40の前上部が配置されている。
更に、上竿収納部リブ44の後端部であって、バンド取付部44aの後方には、内部通気スリット47が設けられている。又更に、ジョイント40の上面部であって、内部通気スリット47の下側に位置する部分には、内部通気スリット47より小さい内部通気孔48(通路通気口)が開けられている。内部通気スリット47及び内部通気孔48の断面積は、ジョイント40の断面積に比べて十分に小さい。
又、後竿収納部31の下部であって、下のネジ28,29の上側には、竿収納部底部49が配置されている。
【0013】
前竿収納部30は、円筒状に形成されて外部に露出している。
前竿収納部30の前端部には、外面に形成された第1ネジ溝50を有するネジ溝部52が配置されている。ネジ溝部52の内側には、固定筒54が配置されている。固定筒54の後部の外面は、ネジ溝部52の内面と接触しており、固定筒54の内面は、大径パイプ10の外面に接触している。固定筒54の前部には、他の部分に対して径方向外方に突出するリング状の固定筒突出部56が形成されている。固定筒突出部56は、前部において、後方へと広がる第1テーパ面58を有している。又、ネジ溝部52の外側には、外筒60が配置されている。外筒60の内面には、ネジ溝部52の第1ネジ溝50に入る第2ネジ溝62と、その前方においてリング状に配置された前すぼまりの第2テーパ面64とが形成されている。
使用者により外筒60が前進する方向に回転されると、第2テーパ面64が固定筒54の第1テーパ面58から離れて、固定筒54の大径パイプ10に対する圧接が解除される。この状態では、大径パイプ10が小径パイプ12に対して相対的に前後移動可能であり、竿部2の長さが変更可能である。使用者は、竿部2において所望の長さが得られた状態で、外筒60を後退する方向に回していく。すると、第2テーパ面64が固定筒54の第1テーパ面58に接触して固定筒54を径方向内方に押すようになり、固定筒54はその内方の大径パイプ10に圧接して、大径パイプ10を固定する。このように、外筒60と固定筒54と(ネジ溝部52と)により、竿部2が任意の伸縮位置で固定可能とされている。
竿部2が短くなる場合、大径パイプ10は前ハンドルハウジング14及び後ハンドルハウジング15(前竿収納部30及び後竿収納部31)と小径パイプ12との間を通過する。
竿部2が最も長い状態である場合、大径パイプ10のストップリング24が小径パイプ12のフランジ筒16のフランジ部に当たる。このとき、大径パイプ10の後端部は、外筒60の内方に位置する。
他方、竿部2が最も短い状態である場合、大径パイプ10の後端が上竿収納部リブ44のバンド取付部44aに当たる。このとき、吊枠部6が、外筒60の前側に位置する。
【0014】
ハンドル部4は、上述の前ハンドルハウジング14及び後ハンドルハウジング15並びにジョイント40と、後ハンドルハウジング15のバッテリ装着部36に保持されたターミナル基板70と、グリップ部34の前端部内に保持されたスイッチ72と、その下方において後部が露出するように配置された前後に延びるトリガ74と、その上側に配置されたロックオン部材76と、トリガ74の前側に配置されたトリガロック部材78と、グリップ基部32の上部に保持された速度調節ダイヤル80と、グリップ基部32の前部に保持されたコントローラ82と、無線通信アダプタ83を挿入するためにグリップ基部32内に形成された無線通信アダプタ挿入部84と、を備えている。
【0015】
ターミナル基板70には、充電器(図示略)により充電可能である、電力供給源としての直方体(四角柱)状のバッテリ86を装着可能である。
ターミナル基板70は、それぞれ後方へ突出し左右方向に延びる、一対の電源端子88と、通信端子90と、を有している。
他方、バッテリ86は、これらに対応するように配置されたバッテリ電源端子及びバッテリ通信端子が設けられている(図示略)。バッテリ電源端子及びバッテリ通信端子は、バッテリ86の最長辺と同様な方向に形成された端子溝内に配置されている。
又、バッテリ86は、取り外しの際に使用するバッテリボタン92を有している。バッテリボタン92は、バッテリ装着部36に係止可能な図示されないバッテリ爪と一体であり、当該バッテリ爪が外方に突出している状態から内部へ退く状態となるまでスライド可能であり、当該バッテリ爪が突出している状態となるよう図示されない弾性体により付勢されている。
バッテリ86は、その最長辺が左右方向を向き、バッテリボタン92が左側となる状態で、バッテリ装着部36の左側から右方へスライドされることにより、バッテリ装着部36に装着される。このとき、突出したバッテリ爪がバッテリ装着部36に形成された前方へ凹む凹部94に係止する。又、電源端子88は、バッテリ電源端子に接続される。更に、通信端子90は、バッテリ通信端子に接続される。
又、装着されたバッテリ86は、バッテリボタン92が後方にスライド操作されてバッテリ装着部36に対する係止が解かれた状態で左方へスライドされることにより、取り外される。
バッテリ86は、18V出力のリチウムイオンバッテリであり、他の電動工具等においても用いることができる汎用的なものである。
【0016】
スイッチ72は、スイッチ本体部96にプランジャ97が弾性力により復帰可能に入ることで切替状態が変化するものであり、プランジャ97が下側となるように設置されている。プランジャ97が(遊びを超えて)スイッチ本体部96に入ると、スイッチ72の切替状態がオフからオンになる。
トリガ74は、中央のトリガ軸部98に設けられた左右方向の軸(図示略)が後ハンドルハウジング15に支えられることで、揺動可能とされている。トリガ74の上面と後ハンドルハウジング15との間には、スプリング(図示略)が渡されている。トリガ74の上面後部は、スプリングが自然長あるいはこれに近い伸長状態である場合、スイッチ72のプランジャ97に隣接しており、トリガ74が上方に引かれると、スプリングが圧縮状態となり、トリガ74の上面後部がプランジャ97に接触してプランジャ97を押す。
ロックオン部材76は、左右方向に延び、左右各端部がロックオンボタン100として露出する状態で設けられている。使用者がトリガ74を引いた状態で左右何れかのロックオンボタン100を押す(オンにする)と、移動したロックオン部材76がトリガ74の中央部に掛かり、引きを止めた場合に下方に戻ろうとするトリガ74を食い止めて引き状態に維持する。よって、ロックオンボタン100のオン操作時、スイッチ72はオンに維持される。使用者がトリガ74を更に上方に引くと、ロックオン部材76は元の位置に戻り、トリガ74の引き状態の維持が解除されるので、スイッチ72のオン状態の維持が解かれる。
トリガロック部材78は、左右方向に延び、左右両端部がトリガロックボタン101として露出する状態で設けられている。使用者がトリガ74を引かない状態で左のトリガロックボタン101を押す(オンにする)と、トリガ74の前端部にトリガロック部材78が掛かり、引かれることで後部が上昇(前部が下降)しようとするトリガ74を食い止めて、トリガ74の引き操作が規制される。他方、使用者が右のトリガロックボタン101を押す(オフにする)と、左方に復帰したトリガロックボタン101はトリガ74の引き操作の規制を解除する。
速度調節ダイヤル80は、円盤状のダイヤル部102における曲面の上部が露出するように設けられている。使用者は、ダイヤル部102の操作により、速度調節ダイヤル80の切替状態を変更可能である。速度調節ダイヤル80の切替状態は、速度設定に対応する。
【0017】
コントローラ82は、上方に開いた開蓋箱状のコントローラケース104と、その上部において保持された制御回路基板106と、を備えている。
コントローラ82は、上竿収納部リブ44と一体に形成された、断面“J”字状の前方の第1リブ108と断面逆“J”字状の後方の第2リブ110とにより保持される。上竿収納部リブ44における第2リブ110の後方の部分には、配線用スリット112が設けられている。
第1リブ108は、後ハンドルハウジング15の上内面とつながっており、グリップ基部32内を区画する。グリップ基部32内において、後ハンドルハウジング15の上内面、第1リブ108、及び上竿収納部リブ44に囲まれる内部空間Rが形成される。
更に、後ハンドルハウジング15の左右であって、コントローラ82が配置される内部空間R前部の両側方の部分には、グリップ基部32の上面に沿った後上がりの方向に延びるスリット状の複数の通気孔116(通気口)が形成されている。各通気孔116は、対向し離隔した後ハンドルハウジング15の左部及び右部の位置において、それぞれ上下前後に並んでいる。各通気孔116の隣接部(下側)には、内方及び上方に突出する塵衝突リブ117(塵衝突部)が設けられている。各塵衝突リブ117の上下に延びる部分の長さは、対応する通気孔116における上下方向の幅と同様である。
内部空間Rは、通気孔116において、外部に対し通気可能に開いている。又、内部空間Rは、内部通気スリット47及び内部通気孔48において、ジョイント40(通気路,集塵路)に対し通気可能に通じている。
【0018】
制御回路基板106は、バッテリ装着部36のターミナル基板70(通信端子90)と、スイッチ72と、速度調節ダイヤル80とに対して、図示されないリード線により電気的に接続されている。
又、制御回路基板106は、表示部118を搭載しており、表示部118の上部(4個のLEDを含む)は、後ハンドルハウジング15上面から露出している。制御回路基板106は、表示部118において、モータ負荷の大小を表示する。
更に、制御回路基板106には、ヘッド部8へ延びる竿部リード線(図示略)が接続されている。竿部リード線は、複数の単リード線の束であり、その単リード線の一部(制御リード線)が制御回路基板106に接続されている。単リード線の別の一部(電源リード線)は、ターミナル基板70(電源端子88)に接続されている。即ち、竿部リード線は、ハンドル部4に連結されている。竿部リード線は、配線用スリット112の手前で一本化し、配線用スリット112及び小径パイプ12の左方を通過して、小径パイプ12の下部と竿収納部底部49との間の空間であるリード線収納部Pに入り、一旦後方に向かった後でUターンして(たわんで)前方に向かい、リード線ガイド26を介して大径パイプ10の第2中空部22(リード線収容スペース)に入る。
リード線収納部Pには、竿部リード線の後部が収納される。リード線収納部Pは、竿収納部30及び竿部2(小径パイプ12)の径方向外方(下方)に配置されている。リード線収納部Pは、後端部において、ジョイント40の前壁の一部である壁部Qを有している。壁部Qは、竿部2が最も短い収縮状態となって大径パイプ10が竿収納部30に完全に収納された場合の、大径パイプ10の後端より後方に離れて配置されている。又、リード線収納部Pの幅(左右方向の大きさ)は、竿部2(大径パイプ10)の幅(太さ,直径)より大きくなっている。
【0019】
無線通信アダプタ挿入部84は、後ハンドルハウジング15右部の外面から内方へ箱状に凹むように形成されており、無線通信アダプタ83を差し込み可能である。差し込んだ場合、無線通信アダプタ83は、コントローラ82の制御回路基板106に搭載された無線通信用コントローラ(図示略)と電気的に接続される。
無線通信アダプタ83は、他の付帯設備としての上述の集塵機との間で無線通信を行う。無線通信によって、集塵機の起動動作,停止動作が、ドライウォールサンダ1の起動動作,停止動作と連動する。
予め、無線通信アダプタ83と、集塵機に取り付けられた集塵機側無線通信アダプタとの間において、無線通信可能とするための関連付け(ペアリング)が行われる。ペアリングは、使用者が、集塵機側無線通信アダプタのボタンを押し、所定時間内に無線通信アダプタ83のボタン(図示略)を操作することでなされる。
ペアリングが完了した状態でスイッチ72がオンとなりドライウォールサンダ1が起動すると、その起動を示す起動情報が無線通信アダプタ83から集塵機に送信され、集塵機側無線通信アダプタによる当該起動情報の受信に基づいて集塵機が自動的に起動する。無線通信状態は、無線通信アダプタ83に設けられたランプの点灯状態によって、使用者に知らされる。
【0020】
吊枠部6は、大径パイプ10の先端部に取り付けられた左右二股の外枠124と、その先端部内においてネジ125を介して左右方向の軸周りに回転可能に接続された上面視矩形状の内枠126と、を備えている。
内枠126は、前面視及び後面視で共に“V”字状であり、それらの各最下部に挟まれるようにヘッド部8が配置される。ヘッド部8は、内枠126に、前後方向の軸の周りで回転可能に接続されている。
ヘッド部8は、吊枠部6によって、左右方向及び前後方向の合計2軸の周りで姿勢の変化が可能となっている。ヘッド部8は、比較的に大きな外枠124によって、主に左右方向の軸の周りで姿勢変化し、比較的に小さな内枠126によって、補助的に前後方向の軸の周りで姿勢変化する。
【0021】
ヘッド部8は、釣鐘状のヘッド部外側ハウジング130(第1ハウジング)と、その内方に配置されたモータハウジング132と、その下方に取り付けられた、上部が筒状で下部が円盤状であるギヤハウジング134と、その下端部の外側に装着されたリング状のバンパー136と、モータハウジング132に保持された駆動源としての電動モータ138と、ギヤハウジング134の上部に保持された遊星歯車機構140と、ギヤハウジング134の下部に配置されたスピンドル142と、スピンドル142に対し上下方向のネジ144により取り付けられており、上部がバンパー136内に配置されている円盤状のパッド146と、を備えている。
ヘッド部外側ハウジング130と、モータハウジング132と、ギヤハウジング134とにより、ヘッド部ハウジング147が構成される。
【0022】
ヘッド部外側ハウジング130の前後には、ボス部148が形成されている。各ボス部148には、吊枠部6(内枠126)が、前後方向のボルト150を介して相対的に回転可能に接続されている。
ヘッド部外側ハウジング130の前上部には、他の部分より上方に円筒状に突出した第1ホース接続部152が形成されている。第1ホース接続部152には、大径パイプ10の第1中空部20と連通する状態で吊枠部6の後上部に接続された第1ホース154の前端部が接続される。第1ホース154は、側面視で逆“U”字状の形状を維持するように取り回されている。
ヘッド部外側ハウジング130の前のボス部148の下方には、開口部が開けられている。
【0023】
モータハウジング132は、左右半割であり、複数(6個)の左右方向のネジ156によって組み合わせられている。
モータハウジング132は、円筒状のモータハウジング本体部158と、その後部から後方及び下方へ側面視“J”字状に突出した筒状部160と、を有する。
筒状部160は、ヘッド部外側ハウジング130の後の開口部から外に出ている。
筒状部160の後上端部には、大径パイプ10の第2中空部22と連通する状態で吊枠部6の後下部に接続された第2ホース162の前端部が接続される。第2ホース162は、側面視で逆“J”字状の形状を維持するように取り回されている。大径パイプ10の第2中空部22、第2ホース162及び筒状部160の内部において、ハンドル部4のコントローラ82から出て竿部2を通過する竿部リード線の前部が配置されている。竿部リード線における筒状部160に配置された部分には、着脱によって接続及び切り離しが自在である一対(雄雌)のコネクタ164が介装されている。
【0024】
ギヤハウジング134上端部の開口部には、モータハウジング本体部158の下端部が嵌まっている。ギヤハウジング134は、その下部の上面辺縁がヘッド部外側ハウジング130下端部の開口部に入り込むことで、モータハウジング132と共にヘッド部外側ハウジング130に取り付けられている。
【0025】
電動モータ138は、DC駆動のブラシレスモータであり、モータハウジング本体部158の上部内に保持されている。
電動モータ138は、ステータ166及びロータ168を備えている。電動モータ138は、コントローラ82により制御される。
【0026】
ステータ166は、固定子鉄心170と、固定子鉄心170の上下に設けられる上絶縁部材172及び下絶縁部材174と、上絶縁部材172及び下絶縁部材174を介して固定子鉄心170にそれぞれ巻かれる複数(ここでは6個)の駆動コイル176と、駆動コイル176同士を所定の接続態様で短絡すると共に竿部リード線(電源リード線)と電気的に接続されるリング状の短絡部材177と、を有する。上絶縁部材172には、センサ回路基板178が固定されている。
【0027】
ステータ166の内部には、ロータ168が配置されている(インナーロータ型)。ロータ168は、回転駆動軸としてのモータ軸180と、モータ軸180の周囲に配置された筒状の回転子鉄心182と、回転子鉄心182の内部に配置されており、複数(4個)の上下に延びる板状で周方向に極性を交互に変えて並べた永久磁石184と、これらの上側(センサ回路基板178側)において放射状に配置された複数のセンサ用永久磁石(図示略)を有する。モータ軸180の下端部には、ピニオン185が装着されている。回転子鉄心182と、永久磁石184と、センサ用永久磁石は、ロータアッセンブリを構成する。
センサ回路基板178には、センサ用永久磁石によってロータ168(モータ軸180)の回転角(回転位置)を検出する図示されない磁気センサ(回転検出素子)が複数(3個)搭載されている。センサ回路基板178は、筒状部160からモータハウジング本体部158内に入った竿部リード線(信号リード線)によって、コントローラ82と電気的に接続されている。コントローラ82(制御回路基板106)は、6個のスイッチング素子(図示略)を有している。各スイッチング素子は、何れかの駆動コイル176と対応して設けられ、対応する駆動コイル176のスイッチングを行う。尚、コントローラ82(制御回路基板106)は、図示されないマイコンを有しており、当該マイコンは、上記スイッチング素子のスイッチングを制御する。制御回路基板106は、電動モータ138を制御する各種の素子を搭載している。
【0028】
センサ回路基板178の上側には、モータ軸180を回転可能に支持する上軸受192が設けられている。上軸受192は、モータハウジング132に保持されている。
ピニオン185の上側には、モータ軸180を回転可能に支持する下軸受194が設けられている。下軸受194は、モータハウジング132の下中央部において固定されている。
モータ軸180の下軸受194と回転子鉄心182の間には、冷却用のファン196が配置されている。ファン196は、モータ軸180に対して固定されており、回転により、遠心方向に風を送り出す(遠心ファン)。ファン196は、モータハウジング132の中央部内に配置されており、モータハウジング132の左右の中央部には、内排気口197が形成され、ヘッド部外側ハウジング130の左右の中央部であって各内排気口197の外側には、外排気口198が形成されている。内排気口197及び外排気口198は、ファン196の放射方向外方に位置しており、ファン196の風は、効率的に排出される。
他方、ヘッド部外側ハウジング130の上部及びモータハウジング132の上部には、外部とモータハウジング132内とを通気可能につなぐ複数の吸気口199が形成されている。
【0029】
遊星歯車機構140は、ギヤハウジング134を外郭とし、上下方向の機軸(モータ軸180の中心軸及びスピンドル142の中心軸が含まれる)を中心にそれぞれ配置された2段の遊星歯車列を有していて、モータ軸180の回転を減速してスピンドル142に伝える。即ち、遊星歯車機構140は、上遊星歯車列200(1段目の減速機構)と、下遊星歯車列210(2段目の減速機構)と、を有する。
上遊星歯車列200は、インターナルギヤ201と、ピニオン185及びインターナルギヤ201にそれぞれ噛み合う複数(3個)の遊星ギヤ202と、全遊星ギヤ202についてそれぞれピン203を介して回転可能に支持する1個のキャリア204と、を有する。
下遊星歯車列210は、インターナルギヤ211と、1段目のキャリア204の縮径した下部(サンギヤ部)及びインターナルギヤ211にそれぞれ噛み合う複数(5個)の遊星ギヤ212と、それらのピン213及びキャリア214と、を有する。
【0030】
キャリア214の中央部には、スピンドル142の後端部が取り付けられている。
スピンドル142は、スピンドル上軸受222及びスピンドル下軸受224により、回転可能に支持されている。スピンドル上軸受222及びスピンドル下軸受224は、ギヤハウジング134に保持されている。
【0031】
パッド146は、モータハウジング132の下方に配置されている。
パッド146の下面には、サンドペーパーを始めとする先端工具(図示略)が装着される。パッド146の下面は、先端工具を介した接触により被加工材に研磨を施す研磨面となっている。
パッド146は、中心を同じくする仮想的な円に沿って並ぶように、上下方向のパッド孔230を複数有している。これらのパッド孔230は、周方向で等間隔に並んでいる。先端工具は、パッド孔230と同様の先端工具孔を有している。
又、ギヤハウジング134の前下部には、上下方向のギヤハウジング孔232が形成されている。ギヤハウジング孔232の上方には、ヘッド部外側ハウジング130前部とモータハウジング132前部との間の空間Sが位置しており、更に上方には、第1ホース接続部152が位置している。特に
図8に示されるように、ヘッド部外側ハウジング130前部は筒状(半円筒状)に膨出しており、空間Sは上下方向に延びる筒状となっている。
【0032】
このようなドライウォールサンダ1は、例えば次のように動作する。
即ち、使用者は、充電されたバッテリ86を、最長辺が左右方向を向いた状態で、バッテリ装着部36の左側から右方へスライドすることにより、バッテリ装着部36に装着する。
又、使用者は、外筒60を緩めて竿部2の伸縮状態を変更し、竿部2を所望の長さにした状態で外筒60を締めることで、竿部2の長さを調節する。
【0033】
そして、トリガロック部材78がオフである状態で使用者がトリガ74を引くと、スイッチ72がオンとなり、コントローラ82の制御回路基板106により、バッテリ86の電力が、バッテリ電源端子及び電源端子88並びに竿部リード線(電源リード線)を介して電動モータ138に供給され、モータ軸180が回転駆動される。よって、トリガ74は、スイッチ72を介して電動モータ138のオンオフを切替えるものであり、電動モータ138のオンオフを操作するスイッチ操作部であって、トリガ74及びスイッチ72は電動モータ138のメインスイッチを構成する。
センサ回路基板178の磁気センサにより把握されたロータ168の回転位置に応じ、コントローラ82(制御回路基板106)のスイッチング素子が各駆動コイル176のスイッチングを行って、ロータ168(モータ軸180)が回転する。
【0034】
モータ軸180の回転力は、遊星歯車機構140により減速されてスピンドル142に伝わり、スピンドル142先端のパッド146が運動(回転)する。
かように運動するパッド146が、グリップ部34及び竿部2の把持により、被加工材に対し押し付けられるようにし又移動されるようにすることで、被加工材の表面に研磨等の加工が施される。
被加工材は、例えば建築物の壁あるいは天井に張られるドライウォール(石膏ボード)であり、より詳しくはドライウォールの施工時においてネジ孔及び継ぎ目を埋めるために用いられるパテである。ドライウォールにおける他の部分から出たパテが、研磨により平坦にされる。
壁の低い位置を研磨する場合、使用者は、竿部2を使用者の左右方向に向け、パッド146を使用者から離れた側で壁に向けた状態で、使用者からみて上下方向となった補助グリップ部34bと、大径パイプ10又は竿収納部30前部とを持つ。
壁の高い位置あるいは天井を研磨する場合、使用者は、竿部2を使用者の上下方向に向け、パッド146を使用者から離れた側で壁又は天井に向けた状態で、グリップ部34(使用者の上下方向となったグリップ部本体部34a又は使用者の左右方向となった補助グリップ部34b)と、大径パイプ10又は竿収納部30前部とを持つ。
いずれの場合においても、吊枠部6により、竿部2に対するヘッド部8の向き即ちパッド146の向きが所定の範囲内において調整される。
【0035】
又、モータ軸180の回転により、ファン196が回転して内排気口及び外排気口198から空気が排気され、吸気口199から外排気口198への空気の流れ(風)が形成される。この風は、モータハウジング本体部158内を下降し、中央部内のファン196に至る。
この風によって、電動モータ138を始めとするヘッド部8の内部機構が冷却される。
特に、モータハウジング本体部158の上部内から下降する風は、電動モータ138のセンサ回路基板178の下側、及びステータ166とロータ168との間を通り、電動モータ138が効率的に冷却される。
【0036】
更に、スイッチ72がオンとなると、コントローラ82の制御回路基板106に搭載された無線通信用コントローラにより無線通信アダプタ83が制御され、集塵機側無線通信アダプタとの無線通信により集塵機の起動がなされる。
集塵機の空気の吸込による集塵は、次のようになされる。即ち、加工により適宜回転するパッド146及び先端工具の周囲に生じた粉塵は、先端工具孔及びパッド孔230から、ギヤハウジング孔232、ヘッド部外側ハウジング130とギヤハウジング134との間、及びヘッド部外側ハウジング130とモータハウジング132との間の空間Sを経て、第1ホース154に導かれる(
図7の矢印G1参照)。第1ホース154に導かれた粉塵は、大径パイプ10の第1中空部20から小径パイプ12に達する(
図3の矢印G2参照)。小径パイプ12に達した粉塵は、ジョイント40を介して集塵ホース42に吸引される(
図2の矢印G3参照)。かように、先端工具孔及びパッド孔230(集塵箇所)から集塵ホース42までにわたり、集塵通路が形成される。尚、ギヤハウジング孔232が集塵通路の始端(集塵箇所)とみられても良い。
【0037】
又、かような集塵における空気の流れ(集塵風,第1の風G1,G2,G3)が形成されると、次のようにしてコントローラ82が属する後ハンドルハウジング15の内部空間Rに風(冷却風,第2の風)が形成される。
即ち、まず、第1の風G1~G3の形成により、内部空間R内の空気が、内部通気スリット47及び内部通気孔48を通じて、第1の風G1~G3に引き込まれる。すると、引き込まれた空気を補うように各通気孔116から外部の空気が取り込まれ(吸気、
図2,
図5,
図6の矢印H1参照)、各通気孔116から内部通気孔48にかけて第2の風が発生する(
図2の矢印H2参照)。各通気孔116は、内部通気孔48より前方に配置されており、即ち内部通気孔48より第1の風G1~G3における上流側に配置されている。
各通気孔116から取り込まれる空気に混じった塵埃は、塵衝突リブ117に衝突し、後ハンドルハウジング15内への進入が抑制される。尚、当該空気は、塵衝突リブ117により、緩やかに上方に曲げられる。
制御回路基板106は、電動モータ138の制御により熱を発する場合があり、その熱は、コントローラケース104に伝わって放散され、又第2の風H2によって冷却される。制御回路基板106は、前後方向に延びており、第2の風H2の方向に沿った姿勢となっている。
内部通気スリット47及び内部通気孔48の断面積は、集塵通路(ジョイント40)内を流れる第2の風H2が分岐しない程度に小さく、かような断面積の大きさであっても十分に第2の風H2は起きる。
尚、ドライウォールサンダ1が集塵機を接続せずに使用される場合、コントローラ82は、コントローラケース104による放散、及び通気孔116から自然対流により導入された空気によって冷却される。
【0038】
以上のドライウォールサンダ1は、粉塵を集塵可能な集塵機が接続可能であるジョイント40と、ジョイント40から延びており内部通気孔48を有している集塵通路(ジョイント40)と、コントローラ82が内部に配置されており通気孔116を有している後ハンドルハウジング15(ハンドルハウジング18)と、を備えており、ジョイント40に接続された集塵機の駆動により形成される集塵通路内の第1の風G1~G3により、通気孔116から内部通気孔48への第2の風H2が形成され、その第2の風H2に当たるように、コントローラ82が配置されている。よって、コントローラ82が第1の風G1~G3に伴って生起する第2の風H2により十分に冷却され、又第1の風G1~G3は、第2の風H2が内部通気孔48において合流する程度の軽微な影響を受けるのみであって、内部通気孔48がない場合と同程度に維持され、集塵性能が維持される。
又、通気孔116は、内部通気孔48よりも第1の風G1~G3における上流側に配置されている。よって、第2の風H2は、内部通気孔48において第1の風G1~G3の方向と同様な方向で滑らかに合流し、第1の風G1~G3及び第2の風H2が円滑に流れて、冷却及び集塵が良好に行われる。
更に、コントローラ82は、第2の風H2の方向に沿うような姿勢とされている。よって、第2の風H2がコントローラ82により妨げられ難く、コントローラ82の冷却が円滑に行われる。
又、通気孔116は、複数設けられており、離隔した左右の位置の何れかに配置されている。よって、第2の風H2が広範囲にわたることとなり、板状で比較的大きな制御回路基板106を含むコントローラ82の冷却が、より効率的に行われる。
更に、電動モータ138を備えており、冷却される部品は電動モータ138のコントローラ82であり、ドライウォールサンダ1のハウジングは、電動モータ138が内部に配置されるヘッド部外側ハウジング130と、コントローラ82が内部に配置されておりヘッド部外側ハウジング130とは離れた状態で設けられるハンドルハウジング18と、を有している。よって、コントローラ82は、電動モータ138が発する熱に妨げられず十分に冷却される。
加えて、通気孔116には、塵衝突リブ117が設けられている。よって、通気孔116からの塵埃の進入が抑制され、コントローラ82等の内部部材が保護される。
【0039】
尚、本発明の形態は上記形態に限定されず、例えば次のような変更例を適宜有する。
冷却対象である部品は、コントローラ82に限られない。例えば、バッテリ装着部36の外郭に通気孔が設けられて当該通気孔から内部通気孔48への第2の風H2が発生するようにすれば、バッテリ装着部36(ターミナル基板70等)が積極的に冷却される。コントローラ82とバッテリ装着部36とが各第2の風H2により冷却される場合、各第2の風H2は内部通気孔48の手前で合流する。
内部通気孔48は、複数設けられても良く、離隔した複数箇所に設けられても良い。
通気口は、複数の通気孔116に代えて、あるいは複数の通気孔116と共に、1以上のメッシュ状開口部等とされても良い。通路通気口についても、内部通気孔48に代えて、あるいは内部通気孔48と共に、1以上のメッシュ状開口部等とされても良い。
通気孔116は、後ハンドルハウジング15の左右ではなく、上及び左といったように離れた状態で設けられても良い。
塵衝突部は、塵衝突リブ117に代えて、あるいは塵衝突リブ117と共に設けられるフィルタ等であっても良い。
【0040】
遊星歯車機構140の段数は、1であっても良いし、3以上であっても良い。又、他の形式の減速機構が用いられても良い。
通気孔116、内排気口197、外排気口198及び吸気口199の少なくとも何れかの設置数、配置、大きさ等は、様々に変更可能である。
ファン196につき、遠心ファン以外の形式のファンが用いられても良い。
電動モータ138は、アウターロータ型であっても良いし、ブラシ付きのモータであっても良い。
電動モータ138は、電源コードを介して商用電源に接続されるものであっても良く、ACにより駆動されるものであっても良い。
パッド146は、偏心スピンドルを介して偏心運動しても良い。又、パッド146の形状は、三角形であっても良い。
【0041】
バッテリ爪及び集塵ノズルの少なくとも何れかが省略されたり、各種軸受、ネジ、及びボタンのうちの少なくとも何れかの数が増減されたり、ボタンに替えてレバースイッチが用いられたり、ピニオン185がベルトとプーリに代えられたり、ネジがリベットとされたり、モータハウジング132とギヤハウジング134とが一体とされたり、前ハンドルハウジング14と後ハンドルハウジング15とが一体とされたり、バッテリ装着部36においてバッテリ86が充電可能とされたり、使い切りのバッテリが用いられたりする等、各種部材又は部分の機能、配置、種類、形式、数の少なくとも何れかが適宜変更されても良い。
又、本発明は、長竿型ポリッシャあるいは長竿型グラインダ、長竿型コンクリートカンナ等の他の長竿型研磨機、あるいはマルノコ、レシプロソー、グラインダ等の集塵機が接続可能である他の電動工具に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1・・ドライウォールサンダ(電動工具,長竿型研磨機)、18・・ハンドルハウジング(第2ハウジング)、40・・ジョイント(集塵通路,集塵機接続部)、48・・内部通気孔(通路通気口)、82・・コントローラ(部品)、116・・通気孔(通気口)、117・・塵衝突リブ(塵衝突部)、130・・ヘッド部外側ハウジング(第1ハウジング)、138・・電動モータ、G1,G2,G3・・(第1の)風、H2・・(第2の)風。