(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】データ処理装置および測定システム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/30 20060101AFI20221219BHJP
G06F 11/34 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G06F11/30 172
G06F11/30 158
G06F11/30 140A
G06F11/34 176
(21)【出願番号】P 2019031118
(22)【出願日】2019-02-25
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 地球
【審査官】坂庭 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-233417(JP,A)
【文献】特開2013-221626(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0179730(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/30-11/34
G06F 11/07
G05B 23/00-23/02
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、
測定対象についての予め規定された被測定量を測定して測定値データを生成する測定処理を実行可能な測定器から予め規定された保存条件を満たす測定値の当該測定値データを取得して前記記憶部に記憶させる処理部とを備え、
前記処理部は、
前記測定処理を実行している前記測定器と当該測定器によって前記被測定量を測定されている前記測定対象との少なくとも一方の状態を特定可能な状態特定データを生成するデータ生成処理を実行可能なデータ生成装置から予め規定された第1の周期で当該状態特定データを取得すると共に、取得した当該状態特定データが生成された第1の時刻に関連付けて当該状態特定データを前記記憶部に記憶させる第1の処理と、
前記保存条件を満たす前記測定値が測定されたか否かの前記測定器における判別結果を予め規定された第2の周期で特定し、当該保存条件を満たす測定値が測定されたと特定したときに当該保存条件を満たす測定値が測定された第2の時刻を特定すると共に、当該第2の時刻に測定された前記測定値を含む前記測定値データ、および関連付けられた前記第1の時刻が当該第2の時刻を含む予め規定された時間範囲内に含まれる前記状態特定データを相互に関連付ける第2の処理とを実行可能に構成されているデータ処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、予め規定された送信条件が満たされたときに、相互に関連付けられている前記測定値データおよび前記状態特定データをデータ記録装置に送信して記録させる第3の処理を実行可能に構成されている請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記第1の処理において予め規定されたデータ量の前記状態特定データを先入れ先出し法で前記記憶部の一次記憶領域に記憶させると共に、前記第2の処理において前記第1の時刻が前記予め規定された時間範囲内に含まれると特定した前記状態特定データを前記測定値データと関連付ける当該状態特定データとして当該記憶部の保存領域に記憶させる請求項1または2記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記第1の処理において、前記データ生成装置としての撮像装置が前記少なくとも一方を撮像した撮像データと、前記データ生成装置としての録音装置が前記測定器の設置場所の音を録音した録音データとの少なくとも一方を前記状態特定データとして取得する請求項1から3のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のデータ処理装置および前記測定器を備えて構成された測定システム。
【請求項6】
前記測定器は、前記保存条件を満たす測定値が測定されたときに当該保存条件を満たす測定値の測定時刻を特定可能に記録した条件達成時刻データを生成すると共に、外部装置からの要求に応じて当該条件達成時刻データを送信可能に構成され、
前記データ処理装置の前記処理部は、前記第2の処理において、前記測定器から前記条件達成時刻データを前記第2の周期で取得して当該測定器において前記保存条件を満たす測定値が測定されたか否かを特定し、かつ当該条件達成時刻データに記録されている前記測定時刻に基づいて前記第2の時刻を特定する請求項5記載の測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定器から取得した測定値データと測定器および測定対象の少なくとも一方の状態を特定可能な状態特定データとを相互に関連付ける処理を実行可能なデータ処理装置、並びにそのようなデータ処理装置を備えて構成された測定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献には、温度センサ(温度測定器)によって生成されてネットワーク通信路(以下、単に「ネットワーク」ともいう)を介して送信される測定データ、およびデジタル通信出力カメラ(以下、単に「カメラ」ともいう)によって生成されてネットワークを介して送信される画像データをそれぞれ受信して記録可能に構成されたペーパレスレコーダ(以下、単に「レコーダ」ともいう)が開示されている。
【0003】
このレコーダによる測定データおよび画像データの記録(監視対象の監視)に際しては、監視対象の温度を測定可能に温度センサを設置してネットワークに接続し、かつ監視対象を撮像可能にカメラを設置してネットワークに接続すると共に、レコーダをネットワークに接続して動作条件を設定する。次いで、温度センサによる監視対象の温度測定、カメラによる監視対象の撮像、およびレコーダによる各データの記録を開始させる。この際には、温度センサが監視対象の温度を周期的に測定して測定データを逐次送信すると共に、カメラが監視対象を周期的に撮像して画像データを逐次送信する。
【0004】
一方、レコーダでは、画像処理部が、カメラから送信された画像データを保存用バッファ領域に格納し、かつ測定値入力処理部が、温度センサから送信された測定データを保存用バッファ領域に格納すると共に、アラーム処理部が、格納された測定データがアラーム条件を満たすか否かを判別する。また、アラーム処理部は、アラーム条件を満たすと判別したときにアラームを発生させる。これに応じて、ファイル保存処理部がトリガ処理部の制御に従い、アラーム条件を満たすと判別された測定データを含む予め規定された数の測定データと、アラームの発生前後に受信された予め規定された数の画像データとをそれぞれ特定して保存する保存処理を実行する。
【0005】
具体的には、ファイル保存処理部は、特定した各測定データおよび各画像データの関連付けを行なってデータ保存用の記録領域に記録する。これにより、アラーム条件を満たす温度の測定データを含む規定数の測定データと、アラーム条件を満たす温度が測定された時点の監視対象が撮像された画像データを含む規定数の画像データとが相互に関連付けられて記録された状態となる。したがって、相互に関連付けられて記録されたこれらの測定データの値(温度)および画像データの画像(監視対象の像)に基づき、アラーム条件を満たす温度が測定された時点の監視対象の状態を把握することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-202526号公報(第6-12頁、第1-18図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記の特許文献に開示のレコーダには、以下のような解決すべき問題点が存在する。
【0008】
具体的には、上記の特許文献に開示のレコーダでは、ファイル保存処理部が、温度センサから送信された測定データ、およびカメラから送信された画像データを相互に関連付けて保存する保存処理を実行する構成が採用されている。この場合、このレコーダでは、温度センサから送信された測定データがデジタル通信部によって受信されたときに、その測定データがアラーム条件を満たしているか否かをアラーム処理部が判別すると共に、アラーム条件を満たすと判別してアラーム処理部がアラームを発生させたときに、トリガ処理部がファイル保存処理部を制御して上記の保存処理を実行させる構成が採用されている。
【0009】
このため、このレコーダを使用して測定データおよび画像データを記録する際には、アラーム処理部による上記の判別処理を実行するために、温度センサによって生成された測定データのすべてを温度センサからレコーダに漏れなく、かつ遅延なく送信する必要がある。この結果、このレコーダの使用時には、利用者(監視者)が認識すべき変化が監視対象に生じていないとき、すなわち、レコーダにおいて記録する必要がない測定データや画像データが生成されているときを含めて、温度センサからレコーダにネットワークを介して測定データが繰り返し送信されることとなる。
【0010】
したがって、上記特許文献に開示のレコーダでは、保存されることのない測定データを含む多量の測定データがネットワークを介して絶え間なく送受信されることに起因して、ネットワーク全体としての通信能力が低下する結果、このネットワークを利用した他のデータ通信の速度が低下しているという現状がある。この場合、利用者(監視者)が監視対象において生じた変化を迅速に把握するには、その変化の内容を把握可能な測定データや画像データを充分に短い周期で迅速に取得する必要がある。このため、通信速度の低下を回避するために単位時間当りにネットワークを介して送信される測定データの数を低減したときには、利用者(監視者)が監視対象において生じた変化を迅速に把握するのが困難となる。
【0011】
また、この種のレコーダは、複数の温度センサ(温度測定器)をネットワークに接続し、各温度センサからの測定データを、1台または複数台のレコーダによって記録する形態で使用されることがある。このような使用形態での使用時には、各温度センサからネットワークを介して送受される測定データの数が温度センサの数に応じて増加するため、設定する測定周期の長さによっては、ネットワークが輻輳状態に陥って測定データや画像データを正常に送受信するのが困難となるおそれがある。
【0012】
本発明は、かかる解決すべき問題点に鑑みてなされたものであり、他のデータの通信を妨げることなく、測定値データや撮像データを確実に取得し得るデータ処理装置および測定システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成すべく、請求項1記載のデータ処理装置は、記憶部と、測定対象についての予め規定された被測定量を測定して測定値データを生成する測定処理を実行可能な測定器から予め規定された保存条件を満たす測定値の当該測定値データを取得して前記記憶部に記憶させる処理部とを備え、前記処理部は、前記測定処理を実行している前記測定器と当該測定器によって前記被測定量を測定されている前記測定対象との少なくとも一方の状態を特定可能な状態特定データを生成するデータ生成処理を実行可能なデータ生成装置から予め規定された第1の周期で当該状態特定データを取得すると共に、取得した当該状態特定データが生成された第1の時刻に関連付けて当該状態特定データを前記記憶部に記憶させる第1の処理と、前記保存条件を満たす前記測定値が測定されたか否かの前記測定器における判別結果を予め規定された第2の周期で特定し、当該保存条件を満たす測定値が測定されたと特定したときに当該保存条件を満たす測定値が測定された第2の時刻を特定すると共に、当該第2の時刻に測定された前記測定値を含む前記測定値データ、および関連付けられた前記第1の時刻が当該第2の時刻を含む予め規定された時間範囲内に含まれる前記状態特定データを相互に関連付ける第2の処理とを実行可能に構成されている。
【0014】
請求項2記載のデータ処理装置は、請求項1記載のデータ処理装置において、前記処理部は、予め規定された送信条件が満たされたときに、相互に関連付けられている前記測定値データおよび前記状態特定データをデータ記録装置に送信して記録させる第3の処理を実行可能に構成されている。
【0015】
請求項3記載のデータ処理装置は、請求項1または2記載のデータ処理装置において、前記処理部は、前記第1の処理において予め規定されたデータ量の前記状態特定データを先入れ先出し法で前記記憶部の一次記憶領域に記憶させると共に、前記第2の処理において前記第1の時刻が前記予め規定された時間範囲内に含まれると特定した前記状態特定データを前記測定値データと関連付ける当該状態特定データとして当該記憶部の保存領域に記憶させる。
【0016】
請求項4記載のデータ処理装置は、請求項1から3のいずれかに記載のデータ処理装置において、前記処理部は、前記第1の処理において、前記データ生成装置としての撮像装置が前記少なくとも一方を撮像した撮像データと、前記データ生成装置としての録音装置が前記測定器の設置場所の音を録音した録音データとの少なくとも一方を前記状態特定データとして取得する。
【0017】
請求項5記載の測定システムは、請求項1から4のいずれかに記載のデータ処理装置および前記測定器を備えて構成されている。
【0018】
請求項6記載の測定システムは、請求項5記載の測定システムにおいて、前記測定器は、前記保存条件を満たす測定値が測定されたときに当該保存条件を満たす測定値の測定時刻を特定可能に記録した条件達成時刻データを生成すると共に、外部装置からの要求に応じて当該条件達成時刻データを送信可能に構成され、前記データ処理装置の前記処理部は、前記第2の処理において、前記測定器から前記条件達成時刻データを前記第2の周期で取得して当該測定器において前記保存条件を満たす測定値が測定されたか否かを特定し、かつ当該条件達成時刻データに記録されている前記測定時刻に基づいて前記第2の時刻を特定する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載のデータ処理装置では、処理部が、測定器および測定対象の少なくとも一方の状態を特定可能な状態特定データを予め規定された第1の周期でデータ生成装置から取得すると共に、取得した状態特定データが生成された第1の時刻に関連付けて状態特定データを記憶部に記憶させる第1の処理と、保存条件を満たす測定値が測定されたか否かの測定器における判別結果を予め規定された第2の周期で特定して保存条件を満たす測定値が測定されたと特定したときに保存条件を満たす測定値が測定された第2の時刻を特定すると共に、第2の時刻に測定された測定値を含む測定値データ、および関連付けられた第1の時刻が第2の時刻を含む予め規定された時間範囲内に含まれる状態特定データを相互に関連付ける第2の処理とを実行可能に構成されている。また、請求項5記載の測定システムでは、上記のデータ処理装置および測定器を備えて構成されている。
【0020】
したがって、請求項1記載のデータ処理装置、および請求項5記載の測定システムによれば、保存条件を満たす測定値が測定されたか否かに関する測定器における判別結果を充分に長い第2の周期で特定するだけで、測定値データと状態特定データとの関連付けを行って保存すべきか否かを確実に特定することができるため、保存条件を満たす測定値が測定されたか否かの判別のために測定器からデータ処理装置に短い周期で大量の測定値データを送信させる必要がなくなる結果、測定器が接続されているネットワークにおける他のデータの通信を妨げることなく、保存すべき測定値データや状態特定データを確実に測定器から取得して保存することができる。これにより、複数台の測定器に測定処理をそれぞれ実行させた場合においても、保存すべき測定値データを状態特定データと共に各測定器から確実に取得することができる。
【0021】
請求項2記載のデータ処理装置では、処理部が、予め規定された送信条件が満たされたときに、相互に関連付けられている測定値データおよび状態特定データをデータ記録装置に送信して記録させる第3の処理を実行する。したがって、請求項2記載のデータ処理装置、およびそのようなデータ処理装置を備えた測定システムによれば、測定値データおよび状態特定データを関連付けてデータ記録装置に送信して記録させることで、データ記録装置に送信した測定値データおよび状態特定データを記憶部から消去可能となるため、データ処理装置に大容量の記憶部を搭載していなくても、充分なデータ量の測定値データおよび状態特定データを使用者に提供することができる。これにより、データ処理装置の製造コストを充分に低減することができる。
【0022】
請求項3記載のデータ処理装置では、処理部が、第1の処理において予め規定されたデータ量の最新の状態特定データを先入れ先出し法で記憶部の一次記憶領域に記憶させると共に、第2の処理において第1の時刻が予め規定された時間範囲内に含まれると特定した状態特定データを測定値データと関連付ける状態特定データとして記憶部の保存領域に記憶させる。したがって、請求項3記載のデータ処理装置、およびそのようなデータ処理装置を備えた測定システムによれば、充分に短い周期で測定対象および/または測定器を撮像させて状態特定データを取得しても、規定数を超える状態特定データの保存が不要であるため、大容量の記憶部が不要となる結果、データ処理装置の製造コストを充分に低減することができる。
【0023】
請求項4記載のデータ処理装置では、処理部が、第1の処理において、データ生成装置としての撮像装置が少なくとも一方を撮像した撮像データと、データ生成装置としての録音装置が測定器の設置場所の音を録音した録音データとの少なくとも一方を状態特定データとして取得する。したがって、請求項4記載のデータ処理装置、およびそのようなデータ処理装置を備えた測定システムによれば、撮像データの像、および/または録音データの音に基づき、測定対象や測定器の状態を直感的に特定することができるため、関連付けられている測定値データが、正常に実行された測定処理の結果であるか否か(誤測定に起因して保存条件が満たされたか否か)などを確実かつ容易に特定することができる。
【0024】
請求項6記載の測定システムでは、測定器が、保存条件が満たす測定値が測定されたときに保存条件を満たす測定値の測定時刻を特定可能に記録した条件達成時刻データを生成すると共に、外部装置からの要求に応じて条件達成時刻データを送信可能に構成され、データ処理装置の処理部が、第2の処理において、測定器から条件達成時刻データを第2の周期で取得して測定器において保存条件を満たす測定値が測定されたか否かを特定し、かつ条件達成時刻データに記録されている測定時刻に基づいて第2の時刻を特定する。
【0025】
したがって、請求項6記載の測定システムによれば、データ処理装置において測定器から取得した条件達成時刻データに記録されている測定時刻を特定するだけで第2の時刻を確実かつ容易に特定することができるため、保存条件を満たす測定値が測定されたか否かの測定器における判別結果の特定に要する処理部の負担を充分に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】測定システム100の構成を示す構成図である。
【
図5】撮像データ蓄積処理50のフローチャートである。
【
図6】測定結果データ記録処理60のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、データ処理装置および測定システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0028】
図1に示す測定システム100は、「測定システム」の一例であって、複数の測定器1a,1b・・1n(以下、区別しないときには「測定器1」ともいう)、ゲートウェイ2、カメラ3およびデータサーバ4を備えて構成されている。なお、本例の測定システム100では、複数台の測定器1を備えて構成されているが、「測定システム」を構成する「測定器」の台数は1台でもよい。また、本例の測定システム100では、1台のカメラ3を備えて構成されているが、「測定システム」を構成する「データ生成装置(撮像装置や録音装置など)」の台数は複数台でもよい。
【0029】
測定器1は、「測定器」の一例であって、測定対象Xについての「予め規定された被測定量(電流値、電圧値、抵抗値、電力値、位相、温度、湿度、歪み、輝度(光度)、照度、雨量および流量等の各種のパラメータ)」を測定して「測定値データ」の一例である測定値データDmを生成する「測定処理」や、「予め規定された保存条件(後述の「イベントが発生した」と特定する条件:イベント発生条件:トリガ条件)」を満たす測定値の測定値データDmを外部装置に送信する処理などを実行可能に構成されている。具体的には、
図2に示すように、測定器1は、測定部11、通信部12、操作部13、表示部14、処理部15および記憶部16を備えている。
【0030】
測定部11は、処理部15の制御に従って測定対象Xについての「被測定量」を測定する。通信部12は、LAN5に接続可能なネットワークアダプタで構成され、処理部15の制御に従ってLAN5等を介してゲートウェイ2等のネットワーク機器に接続して各種のデータを送受信する。操作部13は、測定器1の動作条件の設定操作や、上記の「測定処理」の開始/停止を指示する操作が可能な操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部15に出力する。表示部14は、処理部15の制御に従って動作条件の設定画面や測定結果の表示画面など(いずれも図示せず)を表示する。
【0031】
処理部15は、測定器1を総括的に制御する。具体的には、処理部15は、測定部11を制御して測定対象Xについての「被測定量」を測定させると共に、その測定値に基づいて測定値データDmを生成して記憶部16に記憶させる。この場合、本例の測定システム100における測定器1では、処理部15が、「イベント発生条件」を満たす測定値が測定されないときに、予め設定された比較的長い時間(例えば、数秒から数分)の周期で最新の測定値を記録した測定値データDm(測定対象Xの状態をモニタリングするための測定値データDm)を生成し、「イベント発生条件」を満たす測定値が測定されたときに、その測定値以前に測定された測定値を含む予め設定された時間分の複数の測定値を記録した測定値データDm(測定対象Xの状態を分析するための詳細な測定値データDm)を生成する構成が採用されている。
【0032】
また、処理部15は、上記のように測定部11による測定結果(測定値)が「イベント発生条件」を満たす値であるか否かを判別すると共に、「イベント発生条件」を満たすと判別したとき(「保存条件が満たす測定値が測定されたとき」の一例)に、そのような判別をした測定値の測定時刻を「イベント発生時刻」として記録してイベント発生時刻データDt(「条件達成時刻データ」の一例)を生成し、生成したイベント発生時刻データDtを記憶部16に記憶させる。また、処理部15は、一例として、後述するようにゲートウェイ2からの送信要求に応じて通信部21からLAN5を介して測定値データDmやイベント発生時刻データDtをゲートウェイ2に送信する(「外部装置からの要求に応じて当該条件達成時刻データを送信する」との処理の一例)。
【0033】
記憶部16は、処理部15の動作プログラム、測定部11による「測定処理」の測定結果(測定値)、処理部15による各種演算処理の演算結果、および処理部15によって生成される測定値データDmやイベント発生時刻データDtなどを記憶する。
【0034】
ゲートウェイ2は、「データ処理装置」の一例であって、各測定器1と共に測定現場に設置されると共に、移動体通信網6を介してインターネット7に接続し、インターネット7に接続されているデータサーバ4などのネットワーク機器に接続可能に構成されている。このゲートウェイ2は、
図3に示すように、通信部21,22、操作部23、表示部24、処理部25および記憶部26を備えると共に、カメラ3が接続されている。
【0035】
通信部21は、測定器1の測定部11と同様にしてLAN5に接続可能なネットワークアダプタで構成され、処理部25の制御に従って測定器1などのネットワーク機器に接続して各種のデータを送受信する。通信部22は、一例として、移動体通信網6に接続可能な移動体通信モジュールで構成され、処理部25の制御下で、移動体通信網6を介してゲートウェイ2をインターネット7(インターネット7に接続されている各種ネットワーク機器)に接続させる。操作部23は、ゲートウェイ2の動作条件の設定操作や、カメラ3の動作条件の設定操作などを実行可能な複数の操作スイッチ(図示せず)を備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部25に出力する。表示部24は、処理部25の制御下でゲートウェイ2の動作状態を示す各種の情報を表示する。
【0036】
処理部25は、ゲートウェイ2を総括的に制御する。この処理部25は、「処理部」の一例であって、
図5に示す撮像データ蓄積処理50を実行し、予め規定された「第1の周期」でカメラ3から撮像データDp(「状態特定データ」の一例)を取得すると共に、取得した撮像データDpが生成された「第1の時刻(撮像データDpの撮像時刻)」に関連付けて撮像データDpを記憶部26に記憶させる(「第1の処理」の一例)。この場合、本例のゲートウェイ2では、処理部25が、上記の「第1の処理」において予め規定されたデータ量の撮像データDpを先入れ先出し法で記憶部26に記憶させると共に、後述の「第2の処理」において「第1の時刻」が予め規定された時間範囲内に含まれると特定した撮像データDpを「第1の処理」における最先の撮像データDpとしての消去対象から除外する構成が採用されている。
【0037】
また、処理部25は、測定器1からLAN5を介して送信された測定値データDmが通信部21によって受信されたときに、その測定値データDmを記憶部26に記憶させる(「測定器からの測定値データを取得する」との処理の一例)。さらに、処理部25は、
図6に示す測定結果データ記録処理60を実行して、予め規定された「第2の周期」で各測定器1からイベント発生時刻データDtを取得して各測定器1において「イベント発生条件」を満たす測定値が測定されたか否かを周期的に特定する。
【0038】
また、処理部25は、「イベント発生条件」を満たす測定値が測定されたときに、「イベント発生条件」を満たす測定値が測定された「第2の時刻(測定時刻)」を特定すると共に、「第2の時刻」に測定された測定値を含む測定値データDm、および関連付けられた「第1の時刻(撮像時刻)」が「第2の時刻」を含む予め規定された時間範囲内に含まれる撮像データDpを相互に関連付けて測定結果データDrを生成する(「第2の処理」の一例)。この場合、本例では、一例として、相互に関連付けるべき測定値データDmと撮像データDpとを書庫化しつつ圧縮する処理によって測定結果データDrを生成する処理が「第2の処理」として実行される。
【0039】
さらに、処理部25は、新たな測定結果データDrを生成したとき(「予め規定された送信条件が満たされたとき」の一例)に、その測定結果データDr(「相互に関連付けられている測定値データおよび状態特定データ」の一例)をデータサーバ4に送信して記録させる(「第3の処理」の一例)。なお、上記の撮像データ蓄積処理50(「第1の処理」)や測定結果データ記録処理60(「第2の処理」および「第3の処理」)の具体的な内容については、後に詳細に説明する。記憶部26は、「記憶部」の一例であって、処理部25の動作プログラム、通信部21によって受信された測定値データDm、カメラ3から出力された撮像データDp、および処理部25によって生成される測定結果データDrなどを記憶する。
【0040】
カメラ3は、「データ生成装置」としての「撮像装置」の一例であって、
図1,3に示すように、一例として、信号ケーブルを介してゲートウェイ2に接続されている。このカメラ3は、一例として、ゲートウェイ2による制御に従って(ゲートウェイ2による遠隔操作に従って)「データ生成処理」としての「撮像処理」を実行して測定対象Xおよび/または測定器1を撮像して撮像データDp(測定処理を実行している測定器と測定器によって被測定量を測定されている測定対象との少なくとも一方の状態を特定可能な「状態特定データ」:一例として、静止画の画像データ)を生成し、生成した撮像データDpをゲートウェイ2に出力する。
【0041】
データサーバ4は、「データ記録装置」の一例であって、ゲートウェイ2から送信された測定結果データDrを記録すると共に、任意の情報処理端末(例えば、後述のデータ処理端末T)からの要求に応じてインターネット7を介して測定結果データDrを送信することができるように構成されている。このデータサーバ4は、
図4に示すように、記録部31、通信部32、操作部33、表示部34、処理部35および記憶部36を備えている。
【0042】
記録部31は、ゲートウェイ2から送信される測定結果データDrなどを記録可能な大容量記録媒体(ハードディスクドライブ等)を備えて構成されている。通信部32は、インターネット7に接続可能な通信ユニットで構成され、処理部35の制御下で、測定結果データDrの受信処理や、後述の報知メールの送信処理などを実行する。操作部33は、データサーバ4の動作条件の設定操作を実行可能なキーボードやポインティングデバイス(図示せず)を備えて構成されている。表示部34は、データサーバ4の動作状態を示す各種の情報を表示する。
【0043】
処理部35は、データサーバ4を総括的に制御する。具体的には、処理部35は、ゲートウェイ2から送信された測定結果データDrが通信部32によって受信されたときに、その測定結果データDrを記憶部36に記憶させる。また、処理部35は、データ処理端末Tなどの外部装置からの要求に応じて記憶部36から測定結果データDrを読み出して、通信部32からインターネット7を介して外部装置に送信する。さらに、処理部35は、測定対象Xについての測定現場において予め指定されたイベントが発生したことを報知する「イベント発生報知メール」の送信をゲートウェイ2から指示されたときに、「予め指定された報知対象(予め設定されたメールアドレス)」に対して報知メールを送信する処理を実行する。記憶部36は、処理部35の演算結果や、上記の測定結果データDrなどの各種データを一時的に記憶する。
【0044】
次に、測定システム100の使用形態の一例について説明する。
【0045】
この測定システム100の使用に際しては、各測定器1、ゲートウェイ2およびカメラ3を測定対象Xが存在する測定現場に設置する。なお、実際には、設置作業の開始に先立ち、データサーバ4を使用する権限を有する者のユーザ登録(認証用のIDおよびパスワードの発行)や、移動体通信網6への接続を許容するゲートウェイ2(ゲートウェイ2に装着される図示しないsimカード等)の登録を行うが、「データ処理装置」および「測定システム」の構成に関する理解を容易とするために、これらの登録作業や、登録結果に基づく認証処理に関する説明を省略する。
【0046】
まず、各測定器1の測定用センサを測定対象Xに装着すると共に、LAN5を構成するネットワークケーブルを介して(必要に応じてスイッチングハブを介して)各測定器1の通信部12をゲートウェイ2の通信部21に接続する。なお、各測定器1の動作条件やゲートウェイ2の動作条件については、測定現場に設置する以前に実施したり、設置作業のうちの1つの作業として測定現場において実施したりする。また、ゲートウェイ2の操作部23を操作することにより、移動体通信網6およびインターネット7を介してデータサーバ4に接続可能な状態とする。
【0047】
また、測定対象Xおよび測定器1の少なくとも一方(異常な測定値が測定されたときに、その原因の特定に有用な撮像データDpを生成し得る撮像対象)を撮像可能な位置にカメラ3をセットしてゲートウェイ2に接続する。なお、カメラ3の動作条件(生成する撮像データDpの解像度やデータ圧縮率などの各種撮像条件)についても、測定現場に設置する以前に実施したり、設置作業のうちの1つの作業として測定現場において実施したりする。以上により、測定システム100を使用する一連の準備作業が完了する。
【0048】
次いで、各測定器およびゲートウェイ2による処理を開始させる。この際に、各測定器1では、「測定処理」が実行されて測定対象Xについての予め規定された被測定量が予め設定された測定周期で測定される。この場合、本例の測定器1では、前述したように、処理部15が、測定部11によって「イベント発生条件」を満たす測定値が測定されたか否かを判別する。また、処理部15は、「イベント発生条件」を満たす測定値が測定されないときには、予め設定された時間(例えば、数秒から数分:一例として、10秒)の周期で最新の測定値(瞬時値)を記録した測定値データDmを生成して記憶部16に記憶させる。
【0049】
なお、この測定システム100では、「イベント発生条件」を満たす測定値が測定されないときに生成される測定値データDmが、LAN5、ゲートウェイ2、移動体通信網6およびインターネット7を介してデータサーバ4に逐次送信される構成が採用されている。これにより、データサーバ4、または、データサーバ4にアクセス可能な情報処理端末(データ処理端末Tなど)によってこの測定値データDmの内容を参照することで、測定対象Xの状態の概要を把握する(測定対象Xをモニタリングする)ことが可能となっているが、「データ処理装置」および「測定システム」の構成についての理解を容易とするために、「イベント発生条件」を満たす測定値が測定されないときに生成される測定値データDmに関する説明を省略する。
【0050】
また、「イベント発生条件」を満たす測定値が測定されたときに、処理部15は、その測定値以前に測定された測定値を含む予め設定された時間(数秒から数十秒:一例として、イベント発生条件を満たした時点以前の5秒前から、イベント発生条件を満たした時点から15秒が経過するまでの20秒間)内の測定値を記録した測定値データDmを生成して記憶部16に記憶させる。さらに、「イベント発生条件」を満たす測定値が測定されたときには、そのような測定値の測定時刻を「イベント発生時刻」としてイベント発生時刻データDt(「条件達成時刻データ」)を生成して記憶部16に記憶させる。
【0051】
この後、測定器1では、予め設定された測定処理の終了条件が満たされたとき、操作部13の操作によって測定処理の終了を指示されたとき、または、測定器1の電源が遮断されたときまで、上記の一連の処理が繰り返し実行される。
【0052】
一方、ゲートウェイ2では、処理部25が、処理開始の指示に応じて、
図5に示す撮像データ蓄積処理50を開始する。この撮像データ蓄積処理50では、処理部25は、まず、カメラ3を制御して撮像対象を撮像させて撮像データDpを取得(受信)する(ステップ51)。次いで、処理部25は、予め規定された数の撮像データDpが記憶部26の一次保管領域(先入れ先出し法に従って撮像データDpを記憶させるよう規定した記憶領域)に記憶されているか否かを判別する(ステップ52)。
【0053】
この際に、本例では、一例として、最新の数十から数百個(一例として、120個)の撮像データDpを一次保管領域に記憶させるようにゲートウェイ2の「動作条件」が設定されている。したがって、処理開始直後であることで、記憶されている撮像データDpの数が規定数に満たないときに、処理部25は、カメラ3から取得した撮像データDpを、その撮像データDpが生成された時刻(撮像時刻:「第1の時刻」の一例)に関連付けて記憶部26の一次記憶領域に記憶させる(ステップ53)。また、処理部25は、予め設定された待機時間(数百ミリ秒から数十秒:一例として、1秒)が経過するまで待機すると共に(ステップ54)、待機時間が経過したときには、カメラ3を制御して撮像対象を撮像させて撮像データDpを取得する(ステップ51)。
【0054】
この際に、規定数の撮像データDpが記憶部26の一次保管領域に記憶されていないと判別したときには(ステップ52)、取得した撮像データDpを一次保管領域に記憶させる。また、ステップ51~54の各処理を繰り返すことにより、規定数の撮像データDpが記憶部26の一次保管領域に記憶されていると判別したときには(ステップ52)、記憶されている撮像データDpのうちの最先の撮像データDpを一次保管領域から消去し(ステップ55)、直前のステップ51で取得した最新の撮像データDpを一次保管領域に記憶させる(ステップ53)。なお、最新の撮像データDpを消去して最新の撮像データDpを記憶させるとの処理については、最新の撮像データDpの記憶領域に最新の撮像データDpを上書きする処理を意味する。
【0055】
このように、予め規定された数(本例では、120個)の最新の撮像データDpを記憶部26の一次保管領域に記憶させるように設定されている状態において、予め設定された待機時間(本例では、1秒)が経過する都度(「第1の周期」が1秒周期の例)、カメラ3を制御して撮像対象を撮像させて新たな撮像データDpを取得して蓄積する本例では、撮像対象についての最新の2分以内の状態を特定し得る撮像データDpが記憶部26の一次記憶領域に記憶された状態となる。この後、処理部25は、処理終了を指示する操作が行われるか、ゲートウェイ2の電源が遮断されるまで、この撮像データ蓄積処理50を継続的に実行する。
【0056】
また、ゲートウェイ2では、処理部25が、上記の撮像データ蓄積処理50と並行して、
図6に示す測定結果データ記録処理60を実行する。この測定結果データ記録処理60では、処理部25は、まず、LAN5を介して各測定器1に対して最新のイベント発生時刻データDtの送信を要求する(ステップ61)。
【0057】
この際に、いずれの測定器1においても「イベント発生条件」を満たす測定値が測定されていないときには、各測定器1においてイベント発生時刻データDtが生成されていないため、イベント発生時刻データDtが送信されない。したがって、いずれの測定器1からもイベント発生時刻データDtが送信されないと判別し(ステップ62)、予め設定された待機時間(数秒から数分:一例として、1分)が経過するまで待機すると共に(ステップ63)、待機時間が経過したときには、各測定器1に対して再び最新のイベント発生時刻データDtの送信を要求する(「第2の周期」が1分周期の例:ステップ61)。
【0058】
一方、いずれかの測定器1において「イベント発生条件」を満たす測定値が測定されたときには、その測定器1において「イベント発生条件」が満たされた時刻(「第2の時刻」の一例)が記録されたイベント発生時刻データDtが生成されて記憶部16に記憶されるため、このイベント発生時刻データDtが最新のイベント発生時刻データDtとしてゲートウェイ2に送信される。したがって、処理部25は、イベント発生時刻データDtが送信されたと判別し(ステップ62)、そのイベント発生時刻データDtが、そのイベント発生時刻データDtを送信した測定器1から前回取得したイベント発生時刻データDtに記録されている時刻(前回のイベント発生時刻)よりも後の時刻であるか否かを判別する(ステップ64)。
【0059】
この場合、いずれかの測定器1において「イベント発生条件」を満たす測定値が測定されてイベント発生時刻データDtが生成されたときには、その測定器1において「イベント発生条件」を満たす測定値が再び測定されなくても、最後に「イベント発生条件」を満たす測定値が測定された際に生成されたイベント発生時刻データDtが記憶部16に記憶された状態となる。したがって、ゲートウェイ2による処理部25によって上記のステップ61の処理(最新のイベント発生時刻データDtの送信要求)が実行される都度、同じイベント発生時刻データDtがゲートウェイ2に送信されるため、このような状況下では、処理部25は、ステップ61の送信要求によって新たに取得したイベント発生時刻データDtの時刻(イベント発生時刻)が、前回取得したイベント発生時刻データDtの時刻(イベント発生時刻)と同時刻であると判別し、予め設定された待機時間が経過するまで待機する(ステップ63)。
【0060】
これに対して、いずれかの測定器1において「イベント発生条件」を満たす測定値が初めて測定されてイベント発生時刻データDtが生成されたときには、「前回取得したイベント発生時刻データDt」に相当するイベント発生時刻データDtが存在しないため、ステップ61の送信要求によって取得したイベント発生時刻データDtの時刻(イベント発生時刻)が、「前回取得したイベント発生時刻データDtの時刻」とは相違する時刻であると判別する(ステップ64)。また、いずれかの測定器1において「イベント発生条件」を満たす測定値が再び測定されて新たなイベント発生時刻データDtが生成されたときには、ステップ61の送信要求によって取得したイベント発生時刻データDtの時刻(イベント発生時刻)が、前回取得したイベント発生時刻データDtの時刻(前回のイベント発生時刻)とは相違する時刻であると判別する(ステップ64)。
【0061】
このように、ステップ64において、取得したイベント発生時刻データDtに基づいて特定される「イベント発生時刻」が、前回の「イベント発生時刻」とは相違するとき(または、「イベント発生条件」を満たす測定値が初めて測定されたとき)に、処理部25は、記憶部26の一次記憶領域に記憶されている撮像データDpのなかから、ステップ61で取得したイベント発生時刻データDtに記録されている「イベント発生時刻」に対応する撮像時刻の撮像データDpを特定して、一次記憶領域から通常記憶領域(「保存領域」の一例)にコピーする(「測定値データと関連付ける状態特定データとして記憶部の保存領域に記憶させる」との処理の一例:ステップ65)。この際には、一例として、特定した「イベント発生時刻」の5秒前から、「イベント発生時刻」から15秒が経過するまでの20秒間に撮像された撮像データDpを特定して消去対象から除外する。
【0062】
次いで、処理部25は、新たな「イベント発生時刻」のイベント発生時刻データDtを取得した測定器1に対して最新の測定値データDmの送信を要求すると共に、送信された測定値データDmを記憶部26に記憶させる(ステップ66)。この場合、新たなイベント発生時刻データDtを送信した測定器1においては、前述したように、そのイベント発生時刻データDtの生成処理と並行して、イベント発生時刻の5秒前から、イベント発生時刻から15秒が経過するまでの20秒間に測定された各測定値を記録した測定値データDmが生成されて記憶部16に記憶される。したがって、ゲートウェイ2(処理部25)からの送信要求に応じてこの測定値データDmが測定器1から送信される。
【0063】
続いて、処理部25は、削除対象から除外した撮像データDp、および取得した測定値データDmを相互に関連付けて測定結果データDrを生成し、生成した測定結果データDrを記憶部26に記憶させる(ステップ67)。この場合、測定結果データDrの生成時点においては、「イベント発生条件」を満たす測定値が測定されないときに生成されて測定器1からゲートウェイ2に送信される測定値データDmや、他の測定器1から送信された測定値データDmなどが記憶部26に記憶された状態となっている。したがって、処理部25は、複数の測定値データDmのなかから、ステップ61の送信要求によって取得したイベント発生時刻データDtを送信した測定器1において、そのイベント発生時刻データDtに記録された「イベント発生時刻」に測定された測定値を含んで生成された測定値データDmを特定して、撮像データDpと関連付けて測定結果データDrを生成する。
【0064】
次いで、処理部25は、通信部22からデータサーバ4に移動体通信網6およびインターネット7を介して測定結果データDr(「相互に関連付けられている測定値データおよび状態特定データ」の一例)を送信して記録させる(ステップ68)。この際に、データサーバ4では、ゲートウェイ2から送信された測定結果データDrが通信部32によって受信されたときに、処理部35が、その測定結果データDrを送信したゲートウェイ2に関連付けて記録部31に記録させる。なお、上記の例では、「測定値データDmおよび撮像データDpを関連付けた測定結果データDrを生成したとき」が「予め規定された送信条件が満たされたとき」に相当する。
【0065】
続いて、処理部25は、通信部22からデータサーバ4に移動体通信網6およびインターネット7を介して所定の制御コマンドを送信することにより、測定対象Xが「イベント発生条件」を満たす測定値が測定される状態となったことを報知する「イベント発生報知メール」の発信を要求する(ステップ69)。また、処理部25は、予め設定された待機時間(本例では、1分)が経過するまで待機すると共に(ステップ63)、待機時間が経過したときには、各測定器1に対して再び最新のイベント発生時刻データDtの送信を要求する。この後、ゲートウェイ2では、操作部23の操作によって処理停止を指示されるか、データサーバ4からの制御コマンドで処理停止を指示されるまで、ステップ61以降の各処理が繰り返し実行される。
【0066】
一方、データサーバ4では、処理部35が、予め設定されている報知対象(予め設定されたメールアドレス)宛の「イベント発生報知メール」を生成し、生成した「イベント発生報知メール」を発信する。これにより、データサーバ4から送信された「イベント発生報知メール」を受信した者は、メールの内容に基づき、測定対象Xが「イベント発生条件を満たす測定値が測定された状態」になったことを認識する。この際に、使用者は、必要に応じてデータ処理端末T等を操作してデータサーバ4にアクセスし、記録部31に記録されている測定結果データDr(測定値データDmおよび撮像データDp)をダウンロードして測定対象Xについての測定値を詳細に分析したり、測定対象Xおよび/または測定器1を撮像した画像に基づいてこれらの状態を確認したりする。
【0067】
このため、本例の測定システム100では、使用者がデータサーバ4から測定結果データDr(測定値データDmおよび撮像データDp)をダウンロードして内容を確認する作業を定期的に行わなくても、「イベント発生条件」を満たす測定値が測定されたときに、データサーバ4から「イベント発生報知メール」が発信されるため、「イベント発生報知メール」を受信したときにデータサーバ4から測定結果データDrをダウンロードするだけで測定対象Xの状態を把握できる結果、使用者の負担が充分に軽減される。
【0068】
このように、このゲートウェイ2では、処理部25が、測定器1および測定対象Xの少なくとも一方の状態を特定可能な撮像データDpを予め規定された「第1の周期」でカメラ3から取得すると共に、取得した撮像データDpが生成された「第1の時刻」に関連付けて撮像データDpを記憶部26に記憶させる「第1の処理」と、「保存条件」を満たす測定値が測定されたか否かの測定器1における判別結果を予め規定された「第2の周期」で特定して「保存条件」を満たす測定値が測定されたと特定したときに「保存条件」を満たす測定値が測定された「第2の時刻」を特定すると共に、「第2の時刻」に測定された測定値を含む測定値データDm、および関連付けられた「第1の時刻」が「第2の時刻」を含む予め規定された時間範囲内に含まれる撮像データDpを相互に関連付ける(本例では、測定値データDmおよび撮像データDpに基づいて測定結果データDrを生成する)「第2の処理」とを実行可能に構成されている。また、この測定システム100では、上記のゲートウェイ2および測定器1を備えて構成されている。
【0069】
したがって、このゲートウェイ2および測定システム100によれば、「保存条件(イベント発生条件)を満たす測定値が測定されたか否か」に関する測定器1における判別結果を充分に長い「第2の周期」で特定する(本例では、測定器1からイベント発生時刻データDtを取得する)だけで、測定値データDmと撮像データDpとの関連付けを行って保存すべきか否かを確実に特定することができるため、「保存条件(イベント発生条件)を満たす測定値が測定されたか否か」の判別のために「測定器」から「データ処理装置」に短い周期で大量の測定値データDmを送信させる必要がなくなる結果、LAN5における他のデータの通信を妨げることなく、保存すべき測定値データDmや撮像データDpを確実に測定器1から取得して保存することができる。これにより、複数台の測定器1に「測定処理」をそれぞれ実行させた場合においても、保存すべき測定値データDmを撮像データDpと共に各測定器1から確実に取得することができる。
【0070】
また、このゲートウェイ2では、処理部25が、予め規定された「送信条件」が満たされたときに、測定結果データDr(相互に関連付けられている測定値データDmおよび撮像データDp)をデータサーバ4に送信して記録させる「第3の処理」を実行する。したがって、このゲートウェイ2および測定システム100によれば、測定値データDmおよび撮像データDpを関連付けた測定結果データDrをデータサーバ4に送信して記録させることで、データサーバ4に送信した測定結果データDrの測定値データDmおよび撮像データDpを記憶部26から消去可能となるため、ゲートウェイ2に大容量の記憶部を搭載していなくても、充分なデータ量の測定結果データDr(測定値データDmおよび撮像データDp)を使用者に提供することができる。これにより、ゲートウェイ2の製造コストを充分に低減することができる。
【0071】
さらに、このゲートウェイ2では、処理部25が、「第1の処理」において予め規定されたデータ量の最新の撮像データDpを先入れ先出し法で記憶部26の一次記憶領域に記憶させると共に、「第2の処理」において「第1の時刻」が予め規定された時間範囲内に含まれると特定した撮像データDpを測定値データDmと関連付ける撮像データDpとして記憶部26の保存領域に記憶させる。したがって、このゲートウェイ2および測定システム100によれば、充分に短い周期で測定対象Xおよび/または測定器1を撮像させて撮像データDpを取得しても、規定数を超える撮像データDpの保存が不要であるため、大容量の記憶部が不要となる結果、ゲートウェイ2の製造コストを充分に低減することができる。
【0072】
また、このゲートウェイ2では、処理部25が、「第1の処理」において、「データ生成装置」としての「撮像装置」であるカメラ3が測定器1および測定対象Xの少なくとも一方を撮像した撮像データDpを「状態特定データ」として取得する。したがって、このゲートウェイ2および測定システム100によれば、撮像データDpの像に基づき、測定対象Xや測定器1の状態を直感的に特定することができるため、関連付けられている測定値データDmが、正常に実行された「測定処理」の結果であるか否か(誤測定に起因してイベント発生条件が満たされたか否か)などを確実かつ容易に特定することができる。
【0073】
さらに、この測定システム100では、測定器1が、「保存条件」が満たす測定値が測定されたときに「保存条件」を満たす測定値の測定時刻を特定可能に記録したイベント発生時刻データDtを生成すると共に、外部装置からの要求に応じてイベント発生時刻データDtを送信可能に構成され、ゲートウェイ2の処理部25が、「第2の処理」において、測定器1からイベント発生時刻データDtを「第2の周期」で取得して測定器1において「保存条件」を満たす測定値が測定されたか否かを特定し、かつイベント発生時刻データDtに記録されている「測定時刻」に基づいて「第2の時刻」を特定する。
【0074】
したがって、この測定システム100によれば、ゲートウェイ2において測定器1から取得したイベント発生時刻データDtに記録されている「測定時刻」を特定するだけで「第2の時刻(イベント発生時刻)」を確実かつ容易に特定することができるため、「保存条件を満たす測定値が測定されたか否かの測定器における判別結果」の特定に要する処理部25の負担を充分に軽減することができる。
【0075】
なお、「データ処理装置」および「測定システム」の構成は、上記のゲートウェイ2および測定システム100の構成の例に限定されない。例えば、「データ生成装置」としての「撮像装置」の一例であるカメラ3によって「状態特定データ」としての「撮像データ」の一例である静止画の撮像データDpを生成して測定値データDmと関連付ける構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて(または、このような構成に加えて)、動画撮影が可能なカメラを「データ生成装置」としての「撮像装置」として使用して「状態特定データ」としての動画の「撮像データ」を生成して測定値データDmと共に送信する構成を採用することができる。
【0076】
また、上記のような構成に代えて(または、そのような構成に加えて)、測定器1の設置場所の音を録音可能な「データ生成装置」としての「録音装置」を使用して「状態特定データ」としての「録音データ(音声データ)」を生成して測定値データDmと共に送信する構成を採用することができる。このように、「処理部」が、「第1の処理」において、「データ生成装置」としての「録音装置」が「測定器」の設置場所の音を録音した「録音データ」を「状態特定データ」として取得することにより、「録音データ」の音に基づき、測定対象Xや測定器1の状態を直感的に特定することができるため、関連付けられている測定値データDmが、正常に実行された「測定処理」の結果であるか否か(誤測定に起因してイベント発生条件が満たされたか否か)などを確実かつ容易に特定することができる。
【0077】
また、移動体通信網6およびインターネット7を介してゲートウェイ2をデータサーバ4に接続させる構成を例に挙げて説明したが、例えば、「データ処理装置」にブロードバンドルータ機能を搭載することで「データ処理装置」をインターネット7に対して直接接続させたり、「データ処理装置」に外部機器としてのブロードバンドルータを接続してブロードバンドルータを介して「データ処理装置」をインターネット7に対して接続させたりして「データ記録装置」に接続させる構成を採用することもできる。
【0078】
さらに、移動体通信網6およびインターネット7を介して接続可能なデータサーバ4を「データ記録装置」としてゲートウェイ2から測定結果データDr(測定値データDmおよび撮像データDp)を送信して記録させる構成を例に挙げて説明したが、「データ記録装置」はこれに限定されず、例えば、各測定器1と共にLAN5に接続した「ネットワークハードディスクドライブ」などの記録装置(図示せず)を「データ記録装置」としてゲートウェイ2から測定結果データDrを送信して記録させる構成や、ゲートウェイ2に対して信号ケーブルを介して直接接続された記録装置(図示せず)を「データ記録装置」としてゲートウェイ2から測定結果データDrを送信して記録させる構成を採用することができる。
【0079】
また、信号ケーブルを介してカメラ3をゲートウェイ2に接続した構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、例えば、ネットワーク対応機器で構成した「データ生成装置」を測定器1と共にLAN5に接続して、LAN5を介して「データ生成装置」をゲートウェイ2に接続して使用する構成や、「データ生成装置」を「測定器」に接続すると共に、「測定器」を介して「データ生成装置」をゲートウェイ2に接続して使用する構成(いずれも図示せず)などを採用することもできる。さらに、LAN5を介して測定器1とゲートウェイ2とを接続する構成に代えて、ブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信規格に準じた通信路を介して「測定器」と「データ処理装置」とを接続したり、信号ケーブルを介して「測定器」と「データ処理装置」とを直接接続したりすることもできる(図示せず)。
【符号の説明】
【0080】
100 測定システム
1a~1n 測定器
2 ゲートウェイ
3 カメラ
4 データサーバ
5 LAN
6 移動体通信網
7 インターネット
11 測定部
12,21,22,32 通信部
13,23,33 操作部
14,24,34 表示部
15,25,35 処理部
16,26,36 記憶部
31 記録部
50 撮像データ蓄積処理
60 測定結果データ記録処理
Dt イベント発生時刻データ
Dm 測定値データ
Dp 撮像データ
Dr 測定結果データ
T データ処理端末
X 測定対象