(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】無線通信システム及び基地局
(51)【国際特許分類】
H04W 52/02 20090101AFI20221219BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20221219BHJP
H04W 60/04 20090101ALI20221219BHJP
H04W 74/06 20090101ALI20221219BHJP
【FI】
H04W52/02
H04W64/00 171
H04W60/04
H04W74/06
(21)【出願番号】P 2019034112
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 圭祐
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-513395(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0314278(US,A1)
【文献】特開平10-068628(JP,A)
【文献】特開2007-312165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と移動局とが無線通信する無線通信システムであって、
前記移動局は、移動停止中になると、GPS測位情報を受信する機能をオフにして前記基地局に前記機能オフの情報を送信し、
前記基地局は、前記移動局から前記機能オフの情報を受信すると、当該移動局へのポーリング応答要求の頻度を初期状態から減少させ
、前記移動局の移動停止が継続すると、当該移動局へのポーリング応答要求の頻度を更に減少させることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
移動局は、移動中になると、GPS測位情報を受信する機能をオンにして基地局に前記機能オンの情報を送信し、
前記基地局は、前記移動局から前記機能オンの情報を受信すると、当該移動局へのポーリング応答要求の頻度を初期状態に戻すことを特徴とする請求
項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
基地局に接続し、運用管理を行う運用管理装置を有し、
前記運用管理装置には、表示モニタを備え、前記基地局で受信した移動局の位置情報及び移動中又は停止中の情報を表示することを特徴とする請求項
1又は2記載の無線通信システム。
【請求項4】
移動局と無線通信を行う基地局であって、
前記移動局からGPS測位情報を受信する機能をオフにする情報を受信すると、当該移動局へのポーリング応答要求の頻度を初期状態から減少させ
、前記移動局の移動停止が継続すると、当該移動局へのポーリング応答要求の頻度を更に減少させることを特徴とする基地局。
【請求項5】
移動局からGPS測位情報を受信する機能をオンにする情報を受信すると、当該移動局へのポーリング応答要求の頻度を初期状態に戻すことを特徴とする請求
項4記載の基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局と複数の移動局を備えた無線通信システムに係り、特に、移動局での消費電流を低減し、無線資源を有効活用できる無線通信システム、基地局及び移動局に関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来、基地局と複数の移動局で構成される無線通信システムがあった。
[従来の無線通信システム:
図6]
従来の無線通信システムについて
図6を参照しながら説明する。
図6は、従来の無線通信システムにおけるポーリング応答を説明する図である。
従来の無線通信システムは、
図6に示すように、運用管理装置1と、基地局2と、複数の移動局3,4とを備えている。
【0003】
尚、
図6では、運用管理装置1には、1台の基地局2が接続しているが、通常は複数の基地局が接続している。また、移動局も2台が描かれているが、3台以上の移動局が基地局2に無線接続してもよい。
【0004】
また、移動局3,4は、GPS(Global Positioning System)モジュールの制御を行い、GPS衛星からGPS測位情報を受信して、位置情報と時刻情報を取得する。
更に、移動局3,4は、基地局2からポーリング応答要求を受けて位置情報を応答するポーリング返答を行う。
【0005】
[従来の移動局の処理:
図7]
次に、従来の移動局の処理について
図7を参照しながら説明する。
図7は、従来の移動局の処理を示す図である。
移動局3,4は、
図7に示すように、処理を開始すると(S31)、GPS測位データを受信し(S32)、そして、そのGPS測位データを内部に保存する(S33)。
【0006】
[従来の基地局の処理:
図8]
次に、従来の基地局の処理について
図8を参照しながら説明する。
図8は、従来の基地局の処理を示す図である。
基地局2は、
図8に示すように、処理を開始すると(S41)、移動局3へポーリング要求を行い(S42)、そして、移動局3からのGPS測位データ(位置情報)を受信する(S43)。
次は、基地局2は、移動局4へポーリング要求を行い(S44)、そして、移動局4からの位置情報を受信し(S45)、上記処理を繰り返す。
【0007】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2004-080584号公報「携帯情報端末」(特許文献1)がある。
特許文献1には、携帯情報端末において、移動中又は非移動中のいずれかを判断し、非移動中と判断すると、基地局との交信を停止又は交信間隔を延長することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の無線通信システムでは、移動局が基地局からのポーリング応答要求に対して位置情報を返答するようになっているので、GPSモジュールを常時動作させる必要があり、電池パックで動作する移動局の運用可能時間が短くなり、更に基地局はエリア内の移動局全てにポーリング応答要求を行うため、無線資源の占有時間が長くなるという問題点があった。
【0010】
尚、特許文献1には、携帯情報端末のバッテリー消耗を低減することは記載されているが、基地局における通信の占有時間を短縮して、無線資源を有効活用する構成についての記載がない。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、移動局での消費電流を低減し、無線資源を有効活用できる無線通信システム、基地局及び移動局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、基地局と移動局とが無線通信する無線通信システムであって、移動局が、移動停止中になると、GPS測位情報を受信する機能をオフにして基地局に機能オフの情報を送信し、基地局が、移動局から機能オフの情報を受信すると、当該移動局へのポーリング応答要求の頻度を初期状態から減少させ、移動局の移動停止が継続すると、当該移動局へのポーリング応答要求の頻度を更に減少させることを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記無線通信システムにおいて、移動局が、移動中になると、GPS測位情報を受信する機能をオンにして基地局に機能オンの情報を送信し、基地局が、移動局から機能オンの情報を受信すると、当該移動局へのポーリング応答要求の頻度を初期状態に戻すことを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記無線通信システムにおいて、基地局に接続し、運用管理を行う運用管理装置を有し、運用管理装置には、表示モニタを備え、基地局で受信した移動局の位置情報及び移動中又は停止中の情報を表示することを特徴とする。
【0016】
本発明は、移動局と無線通信を行う基地局であって、移動局からGPS測位情報を受信する機能をオフにする情報を受信すると、当該移動局へのポーリング応答要求の頻度を初期状態から減少させ、移動局の移動停止が継続すると、当該移動局へのポーリング応答要求の頻度を更に減少させることを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記基地局において、移動局からGPS測位情報を受信する機能をオンにする情報を受信すると、当該移動局へのポーリング応答要求の頻度を初期状態に戻すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、基地局と移動局とを無線通信する無線通信システムであって、移動局が、移動停止中になると、GPS測位情報を受信する機能をオフにして基地局に機能オフの情報を送信し、基地局が、移動局から機能オフの情報を受信すると、当該移動局へのポーリング応答要求の頻度を減少させ、移動局の移動停止が継続すると、当該移動局へのポーリング応答要求の頻度を更に減少させる無線通信システムとしているので、移動局での消費電流を低減でき、基地局における通信の占有時間を短縮して、無線資源を有効活用できる効果がある。
【0021】
本発明によれば、移動局が、移動中になると、GPS測位情報を受信する機能をオンにして基地局に機能オンの情報を送信し、基地局が、移動局から機能オンの情報を受信すると、当該移動局へのポーリング応答要求の頻度を元に戻す上記無線通信システムとしているので、移動局の移動の管理を適切に行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本システムの移動局の動作を説明する図である。
【
図2】本システムのポーリング応答を説明する図である。
【
図6】従来の無線通信システムにおけるポーリング応答を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る無線通信システム(本システム)は、移動局がGPS測位情報から速度情報を取得し、当該速度情報に基づいて移動停止と判定すると、GPSモジュールの受信機能をオフにし、そのオフ情報と位置情報、時刻情報を基地局に送信し、基地局がオフ情報により当該移動局に対するポーリング応答要求の頻度を低減するものであり、移動局での消費電流を低減でき、基地局における通信の占有時間を短縮して、無線資源を有効活用できるものである。
【0024】
また、本システムは、移動局が加速度センサで移動を判定すると、GPSモジュールの受信機能をオンにしてGSP測位情報の受信を再開し、基地局がポーリング応答要求に対する移動局の位置情報から移動局の移動を認識し、当該基地局に対するポーリング応答要求の頻度を通常の間隔に戻すようにしているので、移動局の移動の管理を適切に行うことができるものである。
【0025】
[本システムの移動局の動作:
図1]
本システムにおける移動局の動作について
図1を参照しながら説明する。
図1は、本システムの移動局の動作を説明する図である。
本システムの構成を説明する前に、移動局の動作を説明する。
移動局3,4は、
図1に示すように、GPS衛星5から1秒周期でGPS測位情報(GPS測位データ)をGPSモジュールで受信している。無論、移動局3,4は、基地局と無線通信する無線モジュールを備えている。
【0026】
また、移動局3,4は、受信したGPS測位データからGPSモジュールで位置情報、時刻情報を取得し、更に速度情報を算出するようになっている。
更に、移動局3,4は、加速度センサを備え、移動判定を行うことができるようになっている。
【0027】
ここで、移動局4は、GPS測位データから得られる速度情報に基づいて移動中と判定される場合には、GPSモジュールの受信機能をオンのままとする。
また、移動局3は、GPS測位データから得られる速度情報が、例えば、5回連続で時速1km以下であれば、停止中と判定して、GPSモジュールの受信機能をオフにし、基地局2に当該オフの情報、位置情報及び時刻情報を送信し、加速度センサの移動判定に移行する。
【0028】
移動局3は、加速度センサの判定で再び移動中と判定されれば、GPSモジュールの受信機能をオンにして、GPS衛星5からのGPS測位データを受信する。
このようにして、移動局は、電池パックの消費電流を低減している。
【0029】
[本システムのポーリング応答:
図2]
次に、本システムのポーリング応答について
図2を参照しながら説明する。
図2は、本システムのポーリング応答を説明する図である。
本システムは、
図2に示すように、運用管理装置1と、基地局2と、複数の移動局3,4とを備えている。
運用管理装置1に基地局2が有線で接続され、基地局2と移動局3,4との間で無線通信を行っている。移動局3,4は、GPS衛星5からGPS測位情報(GPS測位データ)を受信している。
【0030】
図2では、運用管理装置1に1台の基地局2が接続しているが、複数の基地局2が接続していてもよい。
また、基地局2には、2台の移動局3,4が無線接続しているが、それ以上の移動局が無線接続してもよい。
尚、運用管理装置1には、モニタ1aが接続され、地図上における移動局の位置情報を表示するようになっている。具体的な表示については後述する。
【0031】
本システムにおけるポーリング応答は、
図2に示すように、移動局3,4が共に移動中であれば、基地局2は、通常の間隔でポーリング応答要求を送信し、移動局3,4からポーリング応答として位置情報と時刻情報を受信し、運用管理装置1に移動局の位置情報と時刻情報を送信する。
尚、移動局3,4では、GPS測位データから算出される速度情報に基づいて特定の数値(例えば、時速1km)を超えた場合に移動中と判定し、特定の数値以下となった場合に停止中と判定する。
【0032】
そして、移動局3が、GPS測位データから算出された速度情報により停止中と判定されると、GPSモジュールの受信機能をオフにし、基地局2にGPSモジュールの受信機能オフの情報、位置情報と時刻情報を送信する。この基地局2への送信は、GPSモジュールの受信機能オフ後に直ちに送信してもよいし、ポーリング応答要求に対するポーリング応答で送信してもよい。
【0033】
基地局2は、移動局3からのGPSモジュールの受信機能オフの情報を受信すると、当該オフの情報、移動局の位置情報と時刻情報を運用管理装置1に送信する。
また、基地局2は、GPSモジュールの受信機能オフの情報を受信した移動局3に対してポーリング応答要求の頻度を、例えば1/5に減らす。つまり、移動中の移動局4には通常の頻度でポーリング応答要求を送信し、停止中の移動局3には、それより少ない1/5の頻度(間隔としては5倍の長い期間)でポーリング応答要求を送信する。
【0034】
移動局3が、内蔵する加速度センサで移動中と判定すると、GPSモジュールの受信機能をオンにし、GPS衛星5からのGPS測位データの受信を再開する。
そして、移動局3は、次のポーリング応答要求に対してGPSモジュールの受信機能オンの情報、位置情報と時刻情報を送信する。
つまり、移動局3は、GPSモジュールの受信機能がオンの場合に、GPS測位データに基づいて速度情報を演算して停止中を判定し、GPSモジュールの受信機能がオフの場合に加速度センサの数値により移動中を判定する。
【0035】
基地局2は、移動局3からGPSモジュールの受信機能オンの情報、位置情報と時刻情報を受信すると、それら情報を運用管理装置1に送信し、その後、移動局3には通常の頻度でポーリング応答要求を送信する。つまり、移動局の停止中にポーリング応答要求の頻度を低減したのを、移動中となったため元のポーリング応答要求の頻度に戻す(初期化する)。
【0036】
[移動局での処理:
図3]
次に、本システムにおける移動局でのGPSモジュール制御の処理について
図3を参照しながら説明する。
図3は、移動局での処理を示すフロー図である。
移動局は、
図3に示すように、処理が開始すると(S1)、GPS衛星5からのGPS測位データを受信し(S2)、その測位データを内部に記憶(保存)する(S3)。
【0037】
そして、移動局は、測位データから算出された速度情報が5回(測位データの受信が5回)連続して時速1km以下であるか否かを判定する(S4)。尚、この5回連続して時速1km以下か否かを判定する代わりに、特定の期間内で移動局が移動した距離が特定の距離以内か否かで判定してもよい。
【0038】
時速1km以下でない場合(Noの場合)は、移動局が移動中と判定され、処理S2に戻る。
時速1km以下である場合(Yesの場合)は、移動局が停止中と判定され、移動局は、GPSモジュールの受信機能をオフ(OFF)にし(S5)、基地局2にGPSモジュールの受信機能オフの情報、位置情報及び時刻情報を送信する。
【0039】
そして、移動局は、加速度センサによる移動判定を行う(S6)。
加速度センサによる移動判定は、一定期間に一定方向に加速度が加わった場合で、特定のしきい値を超えた場合に移動と判定する。
【0040】
判定処理S6で、移動ではなければ(Noの場合)、当該判定処理S6を繰り返す。
判定処理S6で、移動であれば(Yesの場合)、移動局は、GPSモジュールの受信機能をオン(ON)にして(S7)、基地局2にGPSモジュールの受信機能オンの情報、位置情報及び時刻情報を送信し、処理S2に戻る。基地局2への送信は、ポーリング応答で行うようにしている。
このようにして、移動局では、移動中又は停止中のGPS測位データの受信・休止を行うようになっている。
【0041】
[基地局での処理:
図4,5]
次に、基地局の処理について
図4,5を参照しながら説明する。
図4は、基地局の処理1を示すフロー図であり、
図5は、基地局の処理2を示すフロー図である。
図4と
図5とは、(A)と(B)で接続しており、一連の処理となっている。
基地局2は、
図4に示すように、処理を開始すると(S11)、第1の移動局3へポーリング応答要求を行い(S12)、そして、移動局3から位置情報と時刻情報を受信する(S13)。
尚、処理S12,S15、S23,S25において、移動局の位置情報と時刻情報を受信する際に、GPSモジュールの受信機能のオン/オフの制御が為されれば、そのオン/オフの情報も受信するものである。
【0042】
次に、基地局2は、第2の移動局4へポーリング応答要求を行い(S14)、そして、移動局4から位置情報と時刻情報を受信する(S15)。
そして、基地局2は、移動局3のGPSモジュールの受信機能がオフで位置情報に変化がないか否かを判定する(S16)。具体的には、基地局2は、移動局3からGPSモジュールの受信機能オフの情報を受信したかどうか、更に受信した位置情報が前回受信した位置情報と比較して変化があるかないかを判定する。
【0043】
基地局2が、移動局3からGPSモジュールの受信機能オフの情報を受信しておらず、若しくは位置情報の変化がある場合(Noの場合)は、処理S12に戻る。
また、基地局2が、移動局3からGPSモジュールの受信機能オフの情報を受信し、かつ位置情報の変化がない場合(Yesの場合)は、移動局3へのポーリング応答要求の頻度を、例えば、5回に1回にする(減少させる)設定を行う(S17)。そして、(A)に移行する。
【0044】
次に、基地局2は、
図5に示すように、移動局3についてポーリング応答要求の対象回(間隔)かどうか判定する(S21)。対象回かどうかは処理S17で設定した頻度(5回に1回)、つまり、通常の5倍の間隔(前回の移動局へのポーリング応答要求から4回休んで5回目になった)かどうかを判定するものである。
移動局3がポーリング応答要求の対象回であれば(Yesの場合)、移動局3へポーリング応答要求を行い(S22)、そして、移動局3から位置情報と時刻情報を受信する(S23)。
【0045】
ここで、移動局3は、ポーリング応答要求を受けても継続して移動していない場合、GPSモジュールの受信機能をオフにしたままで、GPS測位データを受信していないため、処理S23で基地局2に送信する位置情報及び時刻情報は、GPSモジュールの受信機能をオフにしたときの情報である。尚、移動局3は、内部に保有する自走の時計に基づいた時刻情報を基地局2に送信してもよい。
【0046】
次に、基地局2は、移動局4へポーリング応答要求を行い(S24)、そして、移動局4から位置情報と時刻情報を受信する(S25)。
また、処理S21で、移動局3がポーリング応答要求の対象回でなければ(Noの場合)、処理S24に移行する。
【0047】
次に、基地局2は、移動局3のGPSモジュールの受信機能オン又は位置情報に変化があるか否かを判定する(S26)。
つまり、基地局2が、移動局3からのポーリング応答で、GPSモジュールの受信機能オンの通知を受信したか、受信した位置情報が以前受信した位置情報と比較して変化していると認識した場合(Yesの場合)、つまり、移動中と判定した場合、移動局3へのポーリング応答要求の頻度を初期化(5回中1回の頻度を毎回の頻度に変更)する(S27)。
【0048】
また、判定処理S26で、基地局2が、移動局3からのポーリング応答で、GPSモジュールの受信機能オンの通知を受信しておらず、受信した位置情報が以前受信した位置情報と比較して変化していないと認識した場合(Noの場合)、つまり、停止中と認定した場合、判定処理S21に戻る。
図4,5では、移動局3が移動停止となり、移動局4が移動中の場合の処理について説明したものであり、移動局3が移動中で移動局4が移動停止であれば、
図4,5における移動局3と移動局4の記載が逆になり、移動局4について移動停止の同様の処理が行われる。
【0049】
[応用例]
図5の判定処理S26で、停止中の移動局3が5回に1回のポーリング応答要求を行っている状態で、停止中の状態が継続している場合、例えば、移動局3への5回に1回のポーリング応答要求が10回以上となった場合に、移動局3へのポーリング応答要求を20回に1回に変更する。
これにより、長期間停止中の移動局3へのポーリング応答要求の頻度を更に低下させ、基地局2の処理負荷を軽減し、無線資源の占用を低減して無線資源を有効に活用できるものである。
【0050】
[モニタの表示例]
次に、運用管理装置1に接続されるモニタ1aでの表示について説明する。
モニタ1aでは、基地局2が通信を行うエリアを含む地図が表示され、その地図上に、ポーリング応答要求対象の移動局を表示する。
【0051】
ここで、運用管理装置1は、基地局2を介して移動局の位置情報と移動中又は停止中の情報を取得しているので、表示モニタ1aに移動中又は停止中を区別可能に表示する。例えば、移動中の移動局は濃い色のアイコンで、停止中の移動局は薄い色のアイコンで地図上に表示する。
移動局のアイコンを開くと、当該移動局の履歴情報を表示するようにしてもよい。
【0052】
また、モニタ1aに、移動局の移動履歴の経路(軌跡)を表示してもよい。
具体的には、運用管理装置1に移動局の位置情報、時刻情報、それにGPSモジュールの受信機能のオフ/オンの情報を内部に記憶しているので、その位置情報及び時刻情報に基づいてプロットして軌跡を表示するものである。
【0053】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、移動局3,4がGPS測位データから速度情報を取得し、当該速度情報に基づいて停止中と判定すると、GPSモジュールの受信機能をオフにし、そのオフ情報と位置情報、時刻情報を基地局2に送信し、基地局2がオフ情報により当該移動局に対するポーリング応答要求の頻度を低減するものであり、移動局での消費電流を低減でき、基地局2における通信の占有時間を短縮して、無線資源を有効活用できる効果がある。
【0054】
また、本システムによれば、移動局3,4が加速度センサで移動を判定すると、GPSモジュールの受信機能をオンにしてGSP測位データの受信を再開し、基地局2がポーリング応答要求に対するオン情報又は移動局の位置情報から移動局の移動を認識し、当該基地局に対するポーリング応答要求の頻度を通常の間隔に戻す(初期化する)ようにしているので、移動局の移動の管理を有効に行うことができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、移動局での消費電流を低減し、無線資源を有効活用できる無線通信システム、基地局及び移動局に好適である。
【符号の説明】
【0056】
1…運用管理装置、 1a…モニタ、 2…基地局、 3,4…移動局、 5…GPS衛星