(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20221219BHJP
B62D 49/00 20060101ALI20221219BHJP
B60R 1/06 20060101ALI20221219BHJP
B62D 21/18 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B60R11/02 W
B62D49/00 D
B60R1/06 Z
B62D21/18 B
(21)【出願番号】P 2019040825
(22)【出願日】2019-03-06
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】西久保 拓也
(72)【発明者】
【氏名】蓬莱 覚
【審査官】草野 顕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-070544(JP,A)
【文献】特開2018-127208(JP,A)
【文献】特開2018-114925(JP,A)
【文献】特開2020-070616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02、11/04
B62D 49/00
B60R 1/06
B62D 21/18
E02F 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に搭載され且つ前部にフロントピラーを有するキャビンと、
前記キャビンの前部の側方に配置されるサイドミラーと、
前記サイドミラーが取り付けられるミラーブラケットであって、前記フロントピラーの上部に固定されたミラーブラケットと、
前記車体の位置を検出する位置検出装置と、
前記位置検出装置を支持する支持フレームと、
前記支持フレームが取り付けられるフレームブラケットであって、前記ミラーブラケットの上方に配置され且つ前記フロントピラーの上部に
前記ミラーブラケットとは独立して固定されたフレームブラケットと、
を備えている作業車両。
【請求項2】
車体と、
前記車体に搭載され且つ前部にフロントピラーを有するキャビンと、
前記キャビンの前部の側方に配置されるサイドミラーと、
前記サイドミラーが取り付けられるミラーブラケットであって、前記フロントピラーの上部に固定されたミラーブラケットと、
前記車体の位置を検出する位置検出装置と、
前記位置検出装置を支持する支持フレームと、
前記支持フレームが取り付けられるフレームブラケットであって、前記ミラーブラケットの上方に配置され且つ前記フロントピラーの上部に固定されたフレームブラケットと、
前記フレームブラケットに重ね合わされて取り付けられる縦壁と、
前記縦壁の上部から水平方向に延設された横壁とを備え、
前記支持フレームは、前記キャビンの上部の前方側に車幅方向に延伸して設けられた横杆部であって前記位置検出装置が取り付けられる横杆部と、前記横杆部の端部から下方に延設された縦杆部と、前記縦杆部の下端に固定されていて前記横壁に取り付けられる取付プレートとを有す
る作業車両。
【請求項3】
前記フレームブラケットは、前記フロントピラーから車幅方向外方に突出しており、前記縦壁が取り付けられる取付部と、前記取付部の車幅方向外方側に設けられていて前記キャビンを吊り上げるための吊り部とを有する請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
車体と、
前記車体に搭載され且つ前部にフロントピラーを有するキャビンと、
前記キャビンの前部の側方に配置されるサイドミラーと、
前記サイドミラーが取り付けられるミラーブラケットであって、前記フロントピラーの上部に固定されたミラーブラケットと、
前記車体の位置を検出する位置検出装置と、
前記位置検出装置を支持する支持フレームと、
前記支持フレームが取り付けられるフレームブラケットであって、前記ミラーブラケットの上方に配置され且つ前記フロントピラーの上部に固定されたフレームブラケットと、
前記ミラーブラケットに取り付けられるミラー取付ステー
と、
を備え、
前記サイドミラーは、ミラー本体と、前記ミラー本体を支持するブラケットアームとを有し、
前記ミラー取付ステーは、前記ブラケットアームが取り付けられる支持筒であって前記フレームブラケットの突出方向前方に配置された支持筒と、一端側が前記ミラーブラケットに取り付けられ且つ他端側が前記支持筒に固定されたステー本体とを有し、
前記ステー本体は、前記ミラーブラケットから前記支持筒に向けて機体幅方向外方に向かうにつれて上方に移行する傾斜方向に突出してい
る作業車両。
【請求項5】
前記ステー本体及び前記支持筒に固定された補強プレートを備えている請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
前記縦壁と前記横壁とを有するフレーム取付ステーを備え、
前記フロントピラーは、車幅方向一側に設けられた第1フロントピラーと、車幅方向他側に設けられた第2フロントピラーとを含み、
前記キャビンは、前記第1フロントピラーと前記第2フロントピラーの上部同士を連結するフロントアッパフレームを有し、
前記フレームブラケットは、前記第1フロントピラーから車幅方向外方に向かうにつれて前方に移行する傾斜方向に突出する第1フレームブラケットと、前記第2フロントピラーから車幅方向外方に向かうにつれて前方に移行する傾斜方向に突出する第2フレームブラケットとを含み、
前記フレーム取付ステーは、前記第1フレームブラケットに取り付けられる第1フレームステーと、前記第2フレームブラケットに取り付けられる第2フレームステーとを含み、
前記横杆部は、前記フロントアッパフレームの前方且つ上方に、前記第1フレームステーの上方から前記第2フレームステーの上方にわたって配置され、
前記縦杆部は、前記横杆部の前記第1フレームステーの端部から下方に延設された第1縦杆部と、前記横杆部の前記第2フレームステー側の端部から下方に延設された第2縦杆部とを含み、
前記取付プレートは、前記第1縦杆部に固定された第1プレートであって前記第1フレームステーに取り付けられる第1プレートと、前記第2縦杆部に固定された第2プレートであって前記第2フレームステーに取り付けられる第2プレートとを含む請求項2又は3に記載の作業車両。
【請求項7】
前記横杆部は、前記フロントアッパフレームの一端側から他端側にわたるように車幅方向に直線状に延伸して配置された直杆部と、前記直杆部の第1フロントピラー側の端部から車幅方向外方に向かうにつれて後方に移行する傾斜方向に延びる第1傾斜杆部と、前記直杆部の第2フロントピラー側の端部から車幅方向外方に向かうにつれて後方に移行する傾斜方向に延びる第2傾斜杆部とを有する請求項
6に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された作業車両が知られている。
特許文献1に開示された作業車両は、車体に搭載されたキャビンを有する。キャビンのルーフには、車体の位置を検出する位置検出装置が設けられている。キャビンの前部側方には、サイドミラーが配置されている。このサイドミラーは、フロントピラーに固定されたミラーブラケットに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、位置検出装置を支持する支持フレームを設け、この支持フレームをフロントピラーに取り付ける場合、支持フレームをミラーブラケットに取り付けると、取り付け箇所が重なり、組立工数が多くなる。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑み、支持フレームの取り付けと、サイドミラーの取り付けの組立工数の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る作業車両は、車体と、前記車体に搭載され且つ前部にフロントピラーを有するキャビンと、前記キャビンの前部の側方に配置されるサイドミラーと、前記サイドミラーが取り付けられるミラーブラケットであって、前記フロントピラーの上部に固定されたミラーブラケットと、前記車体の位置を検出する位置検出装置と、前記位置検出装置を支持する支持フレームと、前記支持フレームが取り付けられるフレームブラケットであって、前記ミラーブラケットの上方に配置され且つ前記フロントピラーの上部に前記ミラーブラケットとは独立して固定されたフレームブラケットと、を備えている。
【0006】
また、作業車両は、車体と、前記車体に搭載され且つ前部にフロントピラーを有するキャビンと、前記キャビンの前部の側方に配置されるサイドミラーと、前記サイドミラーが取り付けられるミラーブラケットであって、前記フロントピラーの上部に固定されたミラーブラケットと、前記車体の位置を検出する位置検出装置と、前記位置検出装置を支持する支持フレームと、前記支持フレームが取り付けられるフレームブラケットであって、前記ミラーブラケットの上方に配置され且つ前記フロントピラーの上部に固定されたフレームブラケットと、前記フレームブラケットに重ね合わされて取り付けられる縦壁と、前記縦壁の上部から水平方向に延設された横壁とを備え、前記支持フレームは、前記キャビンの上部の前方側に車幅方向に延伸して設けられた横杆部であって前記位置検出装置が取り付けられる横杆部と、前記横杆部の端部から下方に延設された縦杆部と、前記縦杆部の下端に固定されていて前記横壁に取り付けられる取付プレートとを有する。
【0007】
また、前記フレームブラケットは、前記フロントピラーから車幅方向外方に突出しており、前記縦壁が取り付けられる取付部と、前記取付部の車幅方向外方側に設けられていて前記キャビンを吊り上げるための吊り部とを有する。
また、作業車両は、車体と、前記車体に搭載され且つ前部にフロントピラーを有するキャビンと、前記キャビンの前部の側方に配置されるサイドミラーと、前記サイドミラーが取り付けられるミラーブラケットであって、前記フロントピラーの上部に固定されたミラーブラケットと、前記車体の位置を検出する位置検出装置と、前記位置検出装置を支持する支持フレームと、前記支持フレームが取り付けられるフレームブラケットであって、前記ミラーブラケットの上方に配置され且つ前記フロントピラーの上部に固定されたフレームブラケットと、前記ミラーブラケットに取り付けられるミラー取付ステーと、を備え、前記サイドミラーは、ミラー本体と、前記ミラー本体を支持するブラケットアームとを有し、前記ミラー取付ステーは、前記ブラケットアームが取り付けられる支持筒であって前記フレームブラケットの突出方向前方に配置された支持筒と、一端側が前記ミラーブラケットに取り付けられ且つ他端側が前記支持筒に固定されたステー本体とを有し、前記ステー本体は、前記ミラーブラケットから前記支持筒に向けて機体幅方向外方に向かうにつれて上方に移行する傾斜方向に突出している。
【0008】
また、前記ステー本体及び前記支持筒に固定された補強プレートを備えている。
また、作業車両は、前記縦壁と前記横壁とを有するフレーム取付ステーを備え、前記フロントピラーは、車幅方向一側に設けられた第1フロントピラーと、車幅方向他側に設けられた第2フロントピラーとを含み、前記キャビンは、前記第1フロントピラーと前記第2フロントピラーの上部同士を連結するフロントアッパフレームを有し、前記フレームブラケットは、前記第1フロントピラーから車幅方向外方に向かうにつれて前方に移行する傾斜方向に突出する第1フレームブラケットと、前記第2フロントピラーから車幅方向外方に向かうにつれて前方に移行する傾斜方向に突出する第2フレームブラケットとを含み、前記フレーム取付ステーは、前記第1フレームブラケットに取り付けられる第1フレームステーと、前記第2フレームブラケットに取り付けられる第2フレームステーとを含み、前記横杆部は、前記フロントアッパフレームの前方且つ上方に、前記第1フレームステーの上方から前記第2フレームステーの上方にわたって配置され、前記縦杆部は、前記横杆部の前記第1フレームステーの端部から下方に延設された第1縦杆部と、前記横杆部の前記第2フレームステー側の端部から下方に延設された第2縦杆部とを含み、前記取付プレートは、前記第1縦杆部に固定された第1プレートであって前記第1フレームステーに取り付けられる第1プレートと、前記第2縦杆部に固定された第2プレートであって前記第2フレームステーに取り付けられる第2プレートとを含む。
【0009】
また、前記横杆部は、前記フロントアッパフレームの一端側から他端側にわたるように車幅方向に直線状に延伸して配置された直杆部と、前記直杆部の第1フロントピラー側の端部から車幅方向外方に向かうにつれて後方に移行する傾斜方向に延びる第1傾斜杆部と、前記直杆部の第2フロントピラー側の端部から車幅方向外方に向かうにつれて後方に移行する傾斜方向に延びる第2傾斜杆部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成によれば、フロントピラーに支持フレームとサイドミラーとを別々に組み付けることができる。これにより、組み付けラインでの支持フレームの取り付けと、サイドミラーの取り付けの組み付け工数の振り分けを自由にでき、組立工数の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】作業車両の一部構成及び制御系ブロック図を示す構成図である。
【
図4】キャビンフレームを正面側からみた斜視図である。
【
図5】キャビンフレームを背面側からみた斜視図である。
【
図8】支持フレーム及びサイドミラーの取付部の斜視図である。
【
図9】支持フレーム及びサイドミラーの取付部の平面図である。
【
図10】支持フレーム及びサイドミラーの取付部を
図9のE1方向から見た背面図である。
【
図11】支持フレーム及びサイドミラーの取付部の分解斜視図である。
【
図12】位置検出装置の位置変更状態を示す側面図である。
【
図13】位置検出装置の取付状態を示す斜視図である。
【
図14】位置検出装置及び取付機構の分解斜視図である。
【
図15】位置検出装置及び取付機構の背面断面図である。
【
図16】第1位置における位置検出装置及び取付機構の側面図である。
【
図17】第2位置における位置検出装置及び取付機構の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る作業車両1の全体構成を示す概略側面図である。
図2は、作業車両1の概略平面図である。本実施形態では、作業車両1としてトラクタが例示されている。
本実施形態においては、
図1、
図2の矢印A1方向(トラクタ1の前進方向)を前方、
図1、
図2の矢印A2方向(トラクタ1の後進方向)を後方、
図1、
図2の矢印A3方向を前後方向として説明する。したがって、
図1の手前側が左方(
図2の矢印B1方向)であり、
図1の奥側が右方(
図2の矢印B2方向)である。また、前後方向A3に直交する水平方向をトラクタ1(作業車両)の幅方向である車幅方向(
図2の矢印B3方向)として説明する。トラクタ1における車幅方向B3の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を車幅方向外方として説明する。言い換えれば、車幅方向外方とは、車幅方向B3であってトラクタ1の幅方向の中心から離れる方向のことである。車幅方向外方とは反対の方向を車幅方向内方として説明する。言い換えれば、車幅方向内方とは、車幅方向B3であってトラクタ1の幅方向の中心に近づく方向である。
【0013】
図1、
図2に示すように、トラクタ1は、車体5を有し、車体5は、原動機6と、伝動ケース7とを有する。原動機6は、ディーゼルエンジンである。原動機6は、ガソリンエンジンや電動モータであってもよいし、エンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。原動機6は、トラクタ1の前部に位置し、ボンネット8によって覆われている。
【0014】
伝動ケース7は、例えば、フライホイールを収容するフライホイールハウジングと、フライホイールを介して伝達される原動機6の動力を断続可能に伝達するクラッチを収容するクラッチハウジングと、クラッチを介して伝達される動力を変速する変速装置を収容するミッションケース等とを直結して構成される。
図1、
図2に示すように、車体5は、例えば、複数の車輪2,3を含む車輪型の走行装置4によって走行可能に支持されている。複数の車輪2,3は、車体5の前部の左側及び右側に設けた前輪2(2L,2R)と、車体5の後部の左側及び右側に設けた後輪3(3L,3R)とを含む。
【0015】
図1に示すように、トラクタ1は、車体5の後部に搭載されたキャビン9を有する。キャビン9の室内の後部には、オペレータが着座する運転席10が設けられている。運転席10の前方には、前輪2(2L,2R)を操向操作するハンドル(ステアリングホイール)11が設けられている。キャビン9の前面には、フロントガラス12が設けられている。キャビン9の後部には、リヤガラスが設けられている。キャビン9の側面(左側面及び右側面)には、オペレータが乗り降りする乗降口13及び該乗降口13を開閉する乗降ドア14が設けられている。乗降ドア14の後方には、リヤサイドガラス15が設けられている。また、キャビン9は、上部に、天井部を形成するルーフ16を有する。左及び右の各乗降ドア14の下方には、オペレータがキャビン9に乗り降りする際に足をかける乗降ステップ17が設けられている。
【0016】
ここで、
図3を参照して、トラクタ1の走行系の概略構成及び制御系の概略構成を説明する。
図3に示すように、トラクタ1は、操舵装置18を備えている。操舵装置18は、オペレータの操作によって車体5の操舵を行う手動操舵と、オペレータの操作によらずに自動的に車体5の操舵を行う自動操舵とを行うことが可能な装置である。操舵装置18は、ハンドル11と、ハンドル11の回転に伴って回転する回転軸(操舵軸)19とを有している。また、操舵装置18は、ハンドル11の操舵を補助する補助機構(パワーステアリング機構)20を有する。詳しくは、補助機構20は、油圧ポンプ21と、油圧ポンプ21から吐出した作動油が供給される制御弁22と、制御弁22により作動するステアリングシリンダ23とを含む。制御弁22は、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁であり、回転軸19の操舵方向(回転方向)に対応して切り換わる。また、制御弁22は、制御信号に基づいて作動する電磁弁でもある。ステアリングシリンダ23は、前輪2の向きを変えるアーム(ナックルアーム)24に接続されている。
【0017】
オペレータがハンドル11を把持して一方向又は他方向に操作すると、当該ハンドル11の回転方向に対応して制御弁22の切換位置及び開度が切り換わると共に、当該制御弁22の切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ23のピストンロッドが左又は右に移動する。これによって、前輪2の操向方向(操舵方向)を変更することができる。つまり、車体5は、ハンドル11の手動操舵によって、進行方向を左又は右に変更することができる。なお、上述した操舵装置18は一例であり、上述した構成に限定されない。
【0018】
図3に示すように、トラクタ1は、制御装置26を備えている。制御装置26は、CPU(中央演算装置: Central Processing Unit)及びEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などを有するマイクロプロセッサを備えている。
制御装置26は、トラクタ1の様々な制御を行う。制御装置26には、トラクタ1の駆動状態等を検出する状態検出装置27が接続されている。状態検出装置27は、例えば、走行系の状態を検出する装置等であって、例えば、クランクセンサ、カムセンサ、エンジン回転センサ、アクセルセンサ、車速センサ、操舵角センサ、後述する位置検出装置等の状態を検出する。なお、状態検出装置27は、走行系の状態以外に、昇降レバー検出センサ、PTO回転検出センサ等であってもよい。制御装置26は、トラクタ1における走行系の制御、作業系の制御を行う。制御装置26は、例えば、状態検出装置27が検出した検出状態に基づいて原動機6(エンジン)の回転数、車速、操舵装置18の操舵角等を制御する。また、状態検出装置27は、該状態検出装置27が検出した検出状態に基づいて、トラクタ1に装着される作業機を昇降する昇降装置の昇降、PTO回転数等の制御を行う。
【0019】
制御装置26には、車体5(トラクタ1)の位置を検出する位置検出装置30が接続されている。制御装置26は、位置検出装置30で検出された位置を取得可能である。位置検出装置30は、衛星測位システム(測位衛星)によって、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出する装置である。即ち、位置検出装置30は、測位衛星から送信された受信信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、受信信号に基づいて位置(例えば、緯度、経度)を検出する。
【0020】
また、位置検出装置30は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一例である周知のGPS(Global Positioning System)を利用して車体5の位置及び方位を求める。本実施形態においては、移動体の測位に適したRTK-GPSが採用されている。
図3に示すように、位置検出装置30は、受信機31と、無線機32と、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)33とを有している。
【0021】
受信機31は、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された受信信号を受信する。
無線機32は、アンテナ32Aを有していて既知位置に設置された基地局(基準局)と通信する。基地局は、測位衛星からの電波を受信して得た測位データ(補正情報)を位置検出装置30に送信する。位置検出装置30は、測位衛星から送信された電波と、基地局から送信された測位データとを受信し、測位衛星からの電波を受信して得た測位データと、基地局からの測位データとに基づいて、自己の位置(緯度、経度)を検出する。
【0022】
慣性計測装置33は、加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ等を有している。この慣性計測装置33によって、車体5のロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出することができる。
制御装置26は、トラクタ1(車体5)の自動走行の制御(自動走行制御)が可能である。制御装置26は、自動走行モードと、手動走行モードとに切り換え可能である。
【0023】
自動走行モードである場合、制御装置26は、少なくとも車体5の走行位置(位置検出装置30で検出された位置)と、予め設定された走行ルート(走行経路)が一致するように、制御弁22の切換位置及び開度を設定する。詳しくは、自動走行モードである場合、制御装置26は、車体5の走行位置と、走行ルートで示された位置(走行予定位置)とを比較し、走行位置と走行予定位置とが一致している場合は、操舵装置18におけるハンドル11の操舵角及び操舵方向(前輪2の操舵角及び操舵方向)を変更せずに保持する(制御弁22の開度及び切換位置を変更せずに維持する)。また、制御装置26は、走行位置と走行予定位置とが一致していない場合は、当該走行位置と走行予定位置との偏差(ズレ量)が零となるように、操舵装置18におけるハンドル11の操舵角及び/又は操舵方向を変更する(制御弁22の開度及び/又は切換位置を変更する)。
【0024】
なお、上述した実施形態では、制御装置26は、自動走行制御において、走行位置と走行予定位置との偏差に基づいて操舵装置18の操舵角を変更しているが、これに限定されることはない。例えば、走行ルートの方位とトラクタ1(車体5)の進行方向(走行方向)の方位(車体5方位)とが異なる場合、制御装置26は、車体5方位が走行ルートの方位に一致するように操舵角を設定してもよい。また、制御装置26は、自動走行制御において、偏差(位置偏差)に基づいて求めた操舵角と、方位偏差に基づいて求めた操舵角とに基づいて、自動走行制御における最終の操舵角を設定してもよい。上述した実施形態における自動走行制御における操舵角の設定は一例であり、限定されない。
【0025】
制御装置26には、通信アンテナ34と、送信機35とが接続されている。通信アンテナ34は、トラクタ1を離れた位置から遠隔操作する遠隔操作具との間で、自動走行の開始指令及び停止指令(一旦停止を含む)などの各種の情報を無線通信する。送信機35は、例えば、モバイルやパソコンなどの無線通信端末等との間で構築される無線通信ネットワークを介して各種の信号を送信する無線通信装置である。
【0026】
図3に示すように、トラクタ1は、走行の障害となる障害物を検出する障害物検出ユニット36を備えている。障害物検出ユニット36は、音波(超音波)によって車体5の周辺の障害物を検出する1つ以上のソナー(障害物検出器)を含むソナーユニット37と、光波によって車体5の周辺の障害物を検出する1つ以上のレーザスキャナ(障害物検出器)を含むレーザユニット38と、車体5の周辺を撮影する1つ以上のカメラ(撮影機)を含むカメラユニット39とを有する。
【0027】
ソナーは、例えば、トラクタ1の前部、後部、左側部及び右側部に2つずつ設けられており、車体5付近のほぼ全周領域にわたって近距離に存在する障害物を検出する。レーザスキャナは、例えば、トラクタ1の前部に2つ、後部に1つ設けられており、車体5の前方及び後方において近距離から遠距離にわたって存在する障害物を検出する。カメラは、キャビン9の上部の前部、後部、左側部及び右側部に1つずつ設けられており、車体5の全周辺領域を撮影する。
【0028】
なお、障害物検出器は、ソナー、レーザスキャナ以外のセンサ(測距センサ)であってもよい。
また、制御装置26には、複数台の検出情報処理装置40と、画像処理装置41と、監視制御装置(監視ECUという)42とが接続されている。
複数台の検出情報処理装置40は、本実施形態では、3台(第1処理装置40A,第2処理装置40B,第3処理装置40C)設けられている。検出情報処理装置40には、ソナーユニット37が接続されており、各ソナーは、障害物を検出した情報を検出情報処理装置40に送信する。検出情報処理装置40は、ソナーが検出した情報を取得し、各ソナーからの検出情報に基づいて車体5に対する至近距離内に障害物が接近したか否かの判別処理を行う。また、各検出情報処理装置40は、各ソナーにおける超音波の発信から受信までの時間に基づいて、車体5に対する至近距離内に障害物が接近したか否かの判別処理を行い、この判別結果を制御装置26に出力する。
【0029】
レーザユニット38は、制御装置26に接続されている。レーザスキャナは、レーザの照射から受光までの時間に基づいて車体5に対する近距離において障害物が接近しているか否かなどを判別し、判別結果を制御装置26に出力する。
画像処理装置41には、カメラユニット39が接続されており、カメラが撮影した画像を処理し、その結果を制御装置26に出力する。
【0030】
監視ECU42は、CPU、電気回路、電子回路等で構成されていて、制御装置26から障害物の検出結果を取得し、その障害物の検出結果に基づいて自動走行を制御する。例えば、障害物検出ユニット36が障害物を検出していない場合は自動走行を継続して行い、障害物検出ユニット36が障害物を検出した場合に自動走行を停止する。より具体的には、障害物検出ユニット36が障害物を検出した場合に、監視ECU42は、障害物とトラクタ1との距離が予め定められた距離以下である場合に、トラクタ1を停止することで自動走行を停止する。
【0031】
図4、
図5に示すように、キャビン9は、該キャビン9の骨組みを構成するキャビンフレーム45を有する。キャビンフレーム45は、フロントピラー46と、センタピラー(クォータピラー)47と、リヤピラー48と、アッパフレーム49とを有する。
フロントピラー46は、キャビンフレーム45(キャビン9)の前部の車幅方向B3の一側(左側)に位置する第1フロントピラー46L及びキャビンフレーム45(キャビン9)の前部の車幅方向B3の他側(右側)に位置する第2フロントピラー46Rを含む。即ち、キャビン9は、前部にフロントピラー46を有する。第1フロントピラー46Lと第2フロントピラー46Rとの間にフロントガラス12が設けられる。センタピラー47は、キャビンフレーム45の一側面(左側面)の前後方向中途部に位置する第1センタピラー47L及びキャビンフレーム45の他側面(右側面)の前後方向中途部に位置する第2センタピラー47Rを含む。第1フロントピラー46Lと第1センタピラー47Lとの間、第2フロントピラー46Rと第2センタピラー47Rとの間にぞれぞれ乗降ドア14が設けられる。リヤピラー48は、キャビンフレーム45の背面の一側に位置する第1リヤピラー48L及びキャビンフレーム45の背面の他側に位置する第2リヤピラー48Rを含む。第1リヤピラー48Lと第2リヤピラー48Rとの間にリヤガラスが設けられる。第1センタピラー47Lと第1リヤピラー48Lとの間及び第2センタピラー47Rと第2リヤピラー48Rとの間にリヤサイドガラス15が設けられる。
【0032】
アッパフレーム49には、ルーフ16が取り付けられる。アッパフレーム49は、第1フロントピラー46Lと第2フロントピラー46Rの上部同士を連結するフロントアッパフレーム49Aと、第1フロントピラー46Lと第1センタピラー47Lの上部同士を連結する第1サイドアッパフレーム49Lと、第2フロントピラー46Rと第2センタピラー47Rの上部同士を連結する第2サイドアッパフレーム49Rと、第1センタピラー47Lと第2センタピラー47Rの上部同士及び第1リヤピラー48Lと第2リヤピラー48Rの上部同士を連結するリヤアッパフレーム49Bとを有する。
【0033】
図4に示すように、アッパフレーム49は、前部に、第1サイドアッパフレーム49Lと第2サイドアッパフレーム49Rとにわたって設けられた連結フレーム50を有する。連結フレーム50は、一側が第1補強フレーム51Lによってフロントアッパフレーム49Aに連結され、他側が第2補強フレーム51Rによってフロントアッパフレーム49Aに連結されている。アッパフレーム49は、後部に、リヤアッパフレーム49Bの左と右の前端部間に架設された架設フレーム52を有する。
【0034】
第1フロントピラー46Lと第2フロントピラー46Rの下部同士は、フレーム部材54によって連結され、第1フロントピラー46Lと第1センタピラー47Lの下部同士は、フレーム部材55L及びフレーム部材56Lによって連結され、第2フロントピラー46Rと第2センタピラー47Rの下部同士は、フレーム部材55R及びフレーム部材56Rによって連結され、第1センタピラー47Lと第2センタピラー47Rの下部同士は、フレーム部材57によって連結されている。
【0035】
図5、
図6に示すように、第1補強フレーム51Lと第2補強フレーム51Rとにわたって取付フレーム53が設けられている。この取付フレーム53に、横並びで集中配置された検出情報処理装置40(第1処理装置40A,第2処理装置40B,第3処理装置40C)、画像処理装置41及び監視ECU42が取り付けられている。
フロントアッパフレーム49Aの車幅方向B3の中央部の前方には、位置検出装置30が配置され、位置検出装置30の一側方には、送信機35が配置され、送信機35の一側方には、通信アンテナ34が配置されている。位置検出装置30、送信機35及び通信アンテナ34は、第1フロントピラー46Lの上部から第2フロントピラー46Rの上部にわたって設けられた支持フレーム58に取り付けられている。支持フレーム58の一端側は、第1フロントピラー46Lに取り付けられ、他端側は、第2フロントピラー46Rに取り付けられている。
【0036】
図2、
図7に示すように、キャビンフレーム45(キャビン9)の前部の側方には、サイドミラー121が配置されている。サイドミラー121は、車体5の後方及び後側方を視認するミラーである。サイドミラー121は、キャビンフレーム45の一側方(左側方)に配置された第1サイドミラー121Lと、キャビンフレーム45の他側方(右側方)に配置された第2サイドミラー121Rとを含む。サイドミラー121は、車体5の後方及び後側方を確認するための鏡を有するミラー本体122と、ミラー本体122を支持するブラケットアーム123とを有する。ブラケットアーム123は、ミラー本体122の上部に取り付けられた取付部123aと、取付部123aの上端からキャビン9(フロントピラー46)側に向けて延伸するアーム本体123bと、アーム本体123bのキャビン9側の端部から下方に延出された取付軸123c(
図10参照)とを有する。
【0037】
図7に示すように、フロントピラー46の上部には、サイドミラー121が取り付けられるミラーブラケット124が固定されている。詳しくは、サイドミラー121は、ミラーブラケット124に取り付けられたミラー取付ステー125に取り付けられる。ミラーブラケット124は、フロントピラー46の上部に溶接等によって固定されている。詳しくは、ミラーブラケット124は、第1フロントピラー46Lに固定された第1ミラーブラケット124Lと、第2フロントピラー46Rに固定された第2ミラーブラケット124Rとを含む。
【0038】
図9に示すように、ミラーブラケット124は、フロントピラー46から車幅方向外方に突出している。詳しくは、ミラーブラケット124は、フロントピラー46から車幅方向外方に向かうにつれて前方に移行する傾斜方向(突出方向X1)に向けて突出している。
図7に示すように、ミラー取付ステー125は、第1ミラーブラケット124Lに取り付けられる第1ミラーステー125Lと、第2ミラーブラケット124Rに取り付けられる第2ミラーステー125Rとを含む。
【0039】
図8~
図10に示すように、ミラー取付ステー125は、ブラケットアーム123が取り付けられる支持筒126と、支持筒126に一端側が溶接等によって固定されたステー本体127とを有する。支持筒126は、上下方向の軸心を有し、ミラーブラケット124の突出方向X1の前方側に位置している(
図9参照)。支持筒126に、ブラケットアーム123の取付軸123cが取り付けられている(
図10参照)。サイドミラー121は、キャビン9から側方に突出する通常使用位置から、取付軸123cの軸心回りに車幅方向内方に回動させることで折畳むことができる。
【0040】
図8、
図11に示すように、ステー本体127は、他端側に、取付部127aを有する。取付部127aは、ミラーブラケット124に背面側から重ね合わされて、ボルト128A及びナット128Bによって取り付けられている。支持筒126は、ミラーブラケット124よりも高い位置に位置しており、ステー本体127は、ミラーブラケット124(取付部127a)から支持筒126に向けて車幅方向外方に向かうにつれて上方に移行する傾斜方向に突出している。詳しくは、ステー本体127は、ミラーブラケット124から突出方向X1に向かうにつれて上方に移行する傾斜方向に突出している。
【0041】
図9、
図10に示すように、ミラー取付ステー125は、ステー本体127の背面に固定された補強プレート129を有する。補強プレート129は、支持筒126にも固定されている。
図6、
図7に示すように、ミラーブラケット124の上方にフレームブラケット130が配置されている。このフレームブラケット130は、フロントピラー46の上部に溶接等によって固定されている。このフレームブラケット130に支持フレーム58が取り付けられる。詳しくは、支持フレーム58は、フレームブラケット130に取り付けられたフレーム取付ステー131に取り付けられる。即ち、支持フレーム58は、サイドミラー121が取り付けられるミラーブラケット124とは異なるフレームブラケット130に取り付けられる。これにより、支持フレーム58とサイドミラー121とが別々に組み立てることができ、組立ライン内でのサイドミラー取付と支持フレーム取付の組付け工数の振り分けを自由にできる。
【0042】
フレームブラケット130は、第1フロントピラー46Lに固定される第1フレームブラケット130Lと、第2フロントピラー46Rに固定される第2フレームブラケット130Rとを含む。
図9に示すように、フレームブラケット130は、フロントピラー46から車幅方向外方に突出している。詳しくは、フレームブラケット130は、フロントピラー46から車幅方向外方に向かうにつれて前方に移行する傾斜方向に突出している。フレームブラケット130は、ミラーブラケット124の後方側に位置しており、ミラーブラケット124の突出方向X1と平行な方向に突出している。フレームブラケット130の突出方向X1の前方に支持筒126が配置されている。
【0043】
図11に示すように、フレームブラケット130は、突出方向X1の基部側(フロントピラー46に近い側)に、フレーム取付ステー131が取り付けられるフレーム取付部130aを有する。フレームブラケット130は、突出方向X1の先端側(フロントピラー46から遠い側)に下向きフック状の吊り部130bを有する。
図8に示すように、吊り部130bは、キャビン9(キャビンフレーム45)をクレーン等によって吊り上げる際に、吊り部材132(例えば、ワイヤーロープ等の索体の端部に取り付けられるロッキングフック等の吊り金具など)を引っ掛ける部位である。なお、キャビンフレーム45の後部側にも、適宜、吊り部が設けられる。
【0044】
図7に示すように、フレーム取付ステー131は、第1フレームブラケット130Lに取り付けられる第1フレームステー131Lと、第2フレームブラケット130Rに取り付けられる第2フレームステー131Rとを含む。
図8、
図10、
図11に示すように、フレーム取付ステー131は、板材によって形成され、板面が上下方向に沿う縦向きの縦壁131aと、縦壁131aの上部から水平方向に延出した横壁131bとを有する。縦壁131aは、フレームブラケット130に重ね合わされて取り付けられる。詳しくは、縦壁131aは、下部が取付部130aの前面に重ね合わされ、ボルト133A及びナット133Bによって取付部130aに取り付けられる。縦壁131aの上部は、フレームブラケット130(取付部130a)から上方に突出している。横壁131bは、縦壁131aの上端から後方に延出している。詳しくは、横壁131bは、後方に向かうにつれて車幅方向外方に移行する傾斜方向に延出している(
図9参照)。
【0045】
図8に示すように、第1フレームステー131Lの前方側には、アンテナ134が配置されている。このアンテナ134は、例えば、ラジオ用のアンテナである。アンテナ134は、基部134aが第1フレームステー131L及び第1フレームブラケット130Lに取り付けられている。具体的には、アンテナ134は、基部134aに第1フレームステー131L及び第1フレームブラケット130Lを貫通するボルトを有し、該ボルトに第1フレームブラケット130Lの背面からナットを締め込むことにより、第1フレームステー131L及び第1フレームブラケット130Lに取り付けられている。
【0046】
図6、
図7に示すように、支持フレーム58は、位置検出装置30を支持する部材であり、ルーフ16の前方側に車幅方向B3に延びるように配置されてキャビン9に固定されている。支持フレーム58は、横杆部136と、縦杆部137と、取付プレート138とを有する。
図6、
図7に示すように、横杆部136は、キャビン9の上部の前方側に車幅方向B3に延伸して配置されている。詳しくは、横杆部136は、フロントアッパフレーム49Aの前方且つ上方に配置されていると共に、第1フロントピラー46Lの上方(第1フレームステー131Lの上方)から第2フロントピラー46Rの上方(第2フレームステー131Rの上方)にわたって設けられている。
【0047】
図6、
図7に示すように、横杆部136は、直杆部136Aと、第1傾斜杆部136Lと、第2傾斜杆部136Rとを有する。直杆部136Aは、フロントアッパフレーム49Aの一端側から他端側にわたるように車幅方向B3に直線状に延伸して配置されている。
第1傾斜杆部136Lは、直杆部136Aの第1フロントピラー46L側の端部から車幅方向外方(左方)に向かうにつれて後方に移行する傾斜方向に延びている。また、第1傾斜杆部136Lは、直杆部136Aの端部から第1フレームステー131Lの横壁131bの上方にまで延びている。第2傾斜杆部136Rは、直杆部136Aの第2フロントピラー46R側の端部から車幅方向外方(右方)に向かうにつれて後方に移行する傾斜方向に延びている。また、第2傾斜杆部136Rは、直杆部136Aの端部から第2フレームステー131Rの横壁131bの上方にまで延びている。
【0048】
横杆部136に位置検出装置30が取り付けられている。詳しくは、直杆部136Aの長手方向(車幅方向B3)の略中央部に位置検出装置30が取り付けられている。
縦杆部137は、横杆部136の端部から下方に延出している。詳しくは、縦杆部137は、第1傾斜杆部136Lの端部(横杆部136の第1フレームステー131L側の端部)から下方に延出する第1縦杆部137Lと、第2傾斜杆部136Rの端部(横杆部136の第2フレームステー131R側の端部)から下方に延出された第2縦杆部137Rとを含む。
【0049】
図8、
図11に示すように、取付プレート138は、縦杆部137の下端に固定されている。詳しくは、取付プレート138は、第1縦杆部137Lの下端に固定された第1プレート138Lと、第2縦杆部137Rの下端に固定された第2プレート138Rとを含む。取付プレート138は、横壁131bに上方から重ね合わされてボルト139A及びナット139Bによって取り付けられる。詳しくは、第1フレームステー131Lの横壁131bに、第1プレート138Lが取り付けられ、第2フレームステー131Rの横壁131bに、第2プレート138Rが取り付けられる。
【0050】
図12に示すように、位置検出装置30は、本体部151を有する。本体部151は、ケース152内に受信機31、無線機32の本体及び慣性計測装置33を収容して構成され、測位衛星から送信された信号を受信すると共に該受信した信号に基づいて位置を検出する。本体部151の後部右側にアンテナ32Aが取り付けられている。アンテナ32Aは、本体部151よりも上方に突出している。本体部151の背面側には、ハーネスの接続端子を接続する接続部153が設けられていると共に、接続部153の左側方及び右側方に位置するガード部154が設けられている。本体部151の底部には、取付部155が設けられている。
【0051】
図12、
図13に示すように、位置検出装置30は、支持フレーム58(横杆部136)に取付機構156によって取り付けられている。
図12に示すように、取付機構156は、位置検出装置30を使用する位置である第1位置P1と、第1位置P1より低い位置である第2位置P2とに位置変更可能に支持する。位置検出装置30は、第1位置P1では、ルーフ16の前方側且つ上方側に位置すると共にアンテナ32Aが本体部151から上方に突出した状態である。また、位置検出装置30は、第2位置P2では、本体部151がルーフ16の上面よりも下方に位置すると共に本体部151の前部が下方を向き且つアンテナ32Aが前方に突出した状態である下向き状態となる。したがって、不使用時に位置検出装置30を第1位置P1から第2位置P2に変位させることにより、位置検出装置30を障害物に当てるのを防止することができる。
【0052】
図12に示すように、位置検出装置30は、第2位置P2では、フロントガラス12の上部の前方に位置している。これにより、位置検出装置30が第2位置P2に在ることを、オペレータがキャビン9の室内から確認することができる。また、位置検出装置30は、第1位置P1ではルーフ16よりも上方に位置しているので、測位衛星から送信された信号を良好に受信することができる。
【0053】
図13、
図14に示すように、取付機構156は、位置検出装置30を支持する支持ブラケット157を有する。
支持ブラケット157は、板材によって形成され、車幅方向B3で間隔をあけて対向配置された第1支持ブラケット157L及び第2支持ブラケット157Rを含む。第1支持ブラケット157Lは、第2支持ブラケット157Rの左方に位置する。支持ブラケット157は、支持フレーム58に固定されている。詳しくは、
図16に示すように、支持ブラケット157の上下方向中途部に後端から前方に向けて延びる挿入溝159を形成し、この挿入溝159に支持フレーム58を挿入し、支持フレーム58の挿入溝159に挿入された部位と支持ブラケット157とを溶接等によって固定している。
【0054】
図14、
図16に示すように、支持ブラケット157は、支持フレーム58より上方側の部位である第1部位157aと、支持フレーム58より前方側の部位である第2部位157bと、支持フレーム58より下方且つ第2部位157bより後方側の部位である第3部位157cとを有する。第1部位157aは、前部が支持フレーム58よりも前方に突出し、後部が支持フレーム58よりも後方に突出している。なお、支持フレーム58から第1部位157aの後端までの寸法は、支持フレーム58から第1部位157aの前端までの寸法よりも大である。第2部位157bは、第1部位157aの前部から下方に延出している。第3部位157cは、第2部位157bの後部から後方に延出している。
【0055】
図14、
図16、
図17に示すように、支持ブラケット157には、後述するスライダ160を案内するスライド溝161が形成されている。スライド溝161は、上下方向に延びる縦溝部161aと、縦溝部161aの上部から後方に延出する横溝部161bとを有する。縦溝部161aは、第1部位157aの前部から第2部位157bにわたって形成されている。つまり、縦溝部161aは、支持フレーム58の前方に形成されている。縦溝部161aの下端は、第2部位157bの中途部に位置している。横溝部161bは、第1部位157aに前後方向に延伸して形成されていると共に、後端部は第1部位157aの後部(第1部位157aの後端近傍)に位置している。つまり、横溝部161bは、支持フレーム58の上方に形成され、後部が支持フレーム58よりも後方に位置している。
【0056】
図14、
図16に示すように、支持ブラケット157には、挿通穴162(第1挿通穴という)と、挿通穴163(第2挿通穴という)とが形成されている。第1挿通穴162は、第1部位157aの前部に形成されている。詳しくは、第1挿通穴162は、横溝部161bの前方に形成され且つ横溝部161bに連続して形成されている。第2挿通穴163は、縦溝部161aの下方に間隔をあけて形成されている。また、第2挿通穴163は、第2部位157bの下端近傍に形成されている。
【0057】
図14、
図16に示すように、支持ブラケット157には、規制部材164が設けられている。規制部材164は、上下方向に長い矩形状の板材によって形成され、第2部位157bに固定されている。詳しくは、規制部材164は、支持ブラケット157の車幅方向内方側の面(第1支持ブラケット157L及び第2支持ブラケット157Rの対向面)の下部に固定されている。また、規制部材164は、縦溝部161a及び第2挿通穴163の後方に配置され、縦溝部161aの下端部から第2挿通穴163にわたって設けられている。
【0058】
図13、
図14に示すように、取付機構156は、位置検出装置30が取り付けられる取付台158を有する。取付台158は、支持ブラケット157に取り付けられて支持されている。
図13に示すように、取付台158は、位置検出装置30が第1位置P1に在る状態で位置検出装置30の下方に位置し、位置検出装置30の取付部155に取り付けられている。この取付台158の構成を位置検出装置30が第1位置P1に在る状態で説明する。
【0059】
図14、
図15に示すように、取付台158は、板材によって形成され、板面が上下方向を向く取付壁165と、取付壁165の車幅方向B3の端部から下方に延出する側壁166とを有する。
図15に示すように、取付壁165に位置検出装置30の取付部155がボルト167によって取り付けられている。側壁166は、取付壁165の一側端(左端)から下方に延びる第1側壁166Lと、取付壁165の他側端(右端)から下方に延びる第2側壁166Rとを含む。取付台158は、第1支持ブラケット157Lと第2支持ブラケット157Rの間に位置し、第1側壁166Lは、第1支持ブラケット157Lの第1部位157aの車幅方向内方側に位置し、第2側壁166Rは、第2支持ブラケット157Rの第1部位157aの車幅方向内方側に位置する。つまり、側壁166は、位置検出装置30が第1位置P1に在る状態で横溝部161bに対向している。
【0060】
図14、
図16に示すように、側壁166の横溝部161bに対向する面とは反対側の面に、第1ナット部材168、第2ナット部材169及び第3ナット部材170が固定されている。第1ナット部材168は、横溝部161bの後端部に対応する位置に設けられている。第2ナット部材169は、第1挿通穴162に対応する位置に設けられている。第3ナット部材170は、横溝部161bの中途部に対応する位置であって第1ナット部材168と第2ナット部材169との間に設けられている。詳しくは、第3ナット部材170は、第1ナット部材168と第2ナット部材169との間の中央部よりも第1ナット部材168寄りに設けられている。
【0061】
図13、
図15に示すように、取付機構156は、スライド溝161内を移動可能なスライダ160を有する。スライダ160は、本実施形態では、横溝部161b及び側壁166を貫通して第1ナット部材168にねじ込まれるボルト部材によって構成されている。スライダ160は、スライド溝161内を移動することで位置検出装置30及び取付台158を第1位置P1と第2位置P2とに変位させる案内部材であり、且つ位置検出装置30及び取付台158を第1位置P1と第2位置P2とに固定する固定部材でもある。即ち、スライダ160は、位置検出装置30等を案内する案内部材と位置検出装置30等を固定する固定部材とを兼用している。これにより、構造の簡素化、コスト低減を図ることができる。また、スライダ160は、第1ナット部材168に対する締め込みを緩めた状態で位置検出装置30及び取付台158と一体移動可能である。また、位置検出装置30及び取付台158は、スライダ160回りに回動可能である。なお、スライダ160は、ボルト部材で構成されていなくてもよい。
【0062】
図13に示すように、取付機構156は、側壁166を支持ブラケット157に固定する固定ボルト171を有する。固定ボルト171は、第1側壁166Lに固定された第2ナット部材169にねじ込まれる第1固定ボルト171Lと、第2側壁166Rに固定された第2ナット部材169にねじ込まれる第2固定ボルト171Rとを含む。
上記構成の取付機構156にあっては、
図13、
図16に示すように、位置検出装置30が第1位置P1に在る状態では、スライダ160は、横溝部161bの後端部(第1部位157aの後端近傍)に位置すると共に位置検出装置30の後部に位置し、固定ボルト171は、第1部位157aの前端近傍に位置する第2ナット部材169にねじ込まれている。スライダ160及び固定ボルト171によって、取付台158(側壁166)が支持ブラケット157に固定される。第1部位157aの前端近傍と後端近傍とで取付台158を固定することで、第1位置P1において位置検出装置30を十分な支持強度で支持することができる。
【0063】
位置検出装置30が第1位置P1に在る状態で、スライダ160の第1ナット部材168に対する締め込みを緩めると共に固定ボルト171を第2ナット部材169から抜脱することにより、スライダ160がスライド溝161内を移動可能になると共に位置検出装置30及び取付台158がスライダ160回りに(車幅方向B3に延伸する軸心回りに)回動可能になる。
【0064】
この状態からスライダ160を横溝部161b内を縦溝部161aの上部まで前方移動させると共に縦溝部161a内を下方に移動させ、且つ位置検出装置30及び取付台158をスライダ160回りに下方に回動させることにより、位置検出装置30を、
図12に示す下向き姿勢(位置検出装置30の前部が下を向く姿勢)で第2位置P2に変位させることができる。
【0065】
図17に示すように、位置検出装置30を第2位置P2にする際に、位置検出装置30を下向き姿勢にすると、取付台158の側壁166が規制部材164と対向する。そして、側壁166が規制部材164に係合すると、位置検出装置30が、下向き姿勢の状態より後方に回動するのが規制されると共に、規制部材164によって位置検出装置30を下向き姿勢の状態で下方向に案内可能になる。これにより、位置検出装置30を第2位置に移動させる際に、該位置検出装置30の姿勢を安定させることができると共に位置検出装置30の位置変更操作の容易化を図ることができる。
【0066】
また、位置検出装置30が第2位置P2に在る状態では、スライダ160が縦溝部161aの下端に位置すると共に第3ナット部材170が第2挿通穴163に一致する。したがって、位置検出装置30が第2位置P2に在る状態で、第1ナット部材168に対してスライダ160を締め込むと共に第3ナット部材170に固定ボルト171をねじ込むことにより、位置検出装置30を第2位置P2に固定することができる。
【0067】
例えば、位置検出装置30が第2位置P2に在る状態で、固定ボルト171を第2ナット部材169にねじ込んで固定するように構成すると、支持ブラケット157の上下方向の寸法を長くしなければならない。これに対し、本実施形態では、位置検出装置30が第2位置P2に在る状態で、第2ナット部材169よりも上方に位置する第3ナット部材170に固定ボルト171をねじ込んで位置検出装置30を第2位置P2に固定するので、支持ブラケット157の上下方向の寸法を短くすることができる。即ち、支持ブラケット157をコンパクトに形成することができる。
【0068】
また、本体部151は、第2位置P2で支持フレーム58の上端よりも下方の低い位置に位置している。
図12、
図15に示すように、支持ブラケット157には、カメラ176を支持するカメラブラケット177が固定されている。カメラブラケット177は、第1支持ブラケット157Lの第3部位157cと第2支持ブラケット157Rの第3部位157cの後部同士を連結する第1ステー177Aと、第1ステー177Aの中途部から下方に延びる第2ステー177Bと、第2ステー177Bの下部に固定されていてカメラ176を支持するブラケット本体177Cとを有する。第1ステー177Aで第1支持ブラケット157Lと第2支持ブラケット157Rの第3部位157c同士を連結することにより、支持ブラケット157の強度を向上させることができる。
【0069】
図18に示すように、ルーフ16は、アウタルーフ25を有する。アウタルーフ25は、キャビン9の室内の天井部を構成するインナールーフの上方を覆う部材である。アウタルーフ25は、アッパフレーム49に取り付けられ、外周側は、アッパフレーム49より張り出している。
図19に示すように、アウタルーフ25は、該アウタルーフ25の上部を構成する上アウタルーフ25Aと、アウタルーフ25の下部を構成する下アウタルーフ25Bとを有する。
【0070】
図18に示すように、アウタルーフ25の前部の車幅方向B3の端部は、取付片141及びルーフ取付ステー142を介して支持フレーム58に支持されている。取付片141は、縦杆部137に固定されている。詳しくは、取付片141は、第1縦杆部137Lに固定された第1取付片141Lと、第2縦杆部137Rに固定された第2取付片141Rとを含む。ルーフ取付ステー142は、取付片141に取り付けられている。詳しくは、ルーフ取付ステー142は、第1取付片141Lに取り付けられた第1ルーフ取付ステー142Lと、第2取付片141Rに取り付けられた第2ルーフ取付ステー142Rとを含む。第1取付片141L及び第1ルーフ取付ステー142Lを介してアウタルーフ25の前部左端側が支持フレーム58に取り付けられ、第2取付片141R及び第2ルーフ取付ステー142Rを介してアウタルーフ25の前部右端側が支持フレーム58に取り付けられている。
【0071】
図20、
図21に示すように、取付片141は、縦杆部137の下部に溶接等によって固定されている。また、取付片141は、縦杆部137から後方に突出している。また、取付片141の板面は、車幅方向B3を向いている。
図20、
図21に示すように、ルーフ取付ステー142は、縦板部143と、縦板部143から延出する横板部144とを有する。縦板部143は、取付片141の車幅方向外方側の面に重ね合わされてボルト145A及びナット145B(
図18参照)によって取付片141取り付けられる。横板部144は、縦板部143の下端から車幅方向内方に延出する前部位144aと、前部位144aから後方に延出する後部位144bとを有する。
【0072】
上アウタルーフ25A(アウタルーフ25)の前部左側には、上方及び車幅方向外方に開口する凹所146が形成されている。アウタルーフ25の前部右側にも、同様の凹所146が形成されている(
図18参照)。横板部144は、凹所146の底部146aの下方に対応する位置まで延びている。横板部144の後部に、ボルト147A及びナット147Bによってアウタルーフ25が取り付けられている。詳しくは、ボルト147Aは、横板部144、下アウタルーフ25B及び上アウタルーフ25A(凹所146の底部146a)を下方から貫通しており、このボルト147Aに先端側(上端側)からナット147Bをねじ込むことにより、横板部144にアウタルーフ25が取り付けられる。
【0073】
上記構成によれば、支持フレーム58の縦杆部137に取付片141を固定し、この取付片141にルーフ取付ステー142を取り付け、このルーフ取付ステー142にアウタルーフ25の前部の車幅方向B3の端部を取り付けている。これにより、アウタルーフ25の外周端において上アウタルーフ25Aが下アウタルーフ25Bから離反するのを防止(アウタルーフ25のめくれを防止)することができる。また、支持フレーム58に、ルーフ16の前部の車幅方向B3の端部を取り付けることができる。
【0074】
本実施形態にあっては、以下の構成による効果を奏する。
作業車両1は、車体5と、車体5に搭載され且つ前部にフロントピラー46を有するキャビン9と、キャビン9の前部の側方に配置されるサイドミラー121と、サイドミラー121が取り付けられるミラーブラケット124であって、フロントピラー46の上部に固定されたミラーブラケット124と、車体5の位置を検出する位置検出装置30と、位置検出装置30を支持する支持フレーム58と、支持フレーム58が取り付けられるフレームブラケット130であって、ミラーブラケット124の上方に配置され且つフロントピラー46の上部に固定されたフレームブラケット130と、を備えている。
【0075】
この構成によれば、フロントピラー46に支持フレーム58とサイドミラー121とを別々に組み付けることができる。これにより、組み付けラインでの支持フレーム58の取り付けと、サイドミラー121の取り付けの組み付け工数の振り分けが自由にでき、組立工数の低減を図ることができる。
また、フレームブラケット130に重ね合わされて取り付けられる縦壁131aと、縦壁131aの上部から水平方向に延設された横壁131bとを備え、支持フレーム58は、キャビン9の上部の前方側に車幅方向B3に延伸して設けられた横杆部136であって位置検出装置30が取り付けられる横杆部136と、横杆部136の端部から下方に延設された縦杆部137と、縦杆部137の下端に固定されていて横壁131bに取り付けられる取付プレート138とを有する。
【0076】
この構成によれば、支持フレーム58を横壁131bに載せて取り付けることができ、支持フレーム58の取り付けを容易に行うことができる。
また、フレームブラケット130は、フロントピラー46から車幅方向外方に突出しており、縦壁131aが取り付けられる取付部130aと、取付部130aの車幅方向外方側に設けられていてキャビン9を吊り上げるための吊り部130bとを有する。
【0077】
この構成によれば、フレームブラケット130に吊り部130bを設けることにより、部材の兼用化を図れ、構造の簡素化を図ることができる。
また、ミラーブラケット124に取り付けられるミラー取付ステー125を備え、サイドミラー121は、ミラー本体122と、ミラー本体122を支持するブラケットアーム123とを有し、ミラー取付ステー125は、ブラケットアーム123が取り付けられる支持筒126であってフレームブラケット130の突出方向X1前方に配置された支持筒126と、一端側がミラーブラケット124に取り付けられ且つ他端側が支持筒126に固定されたステー本体127とを有し、ステー本体127は、ミラーブラケット124から支持筒126に向けて機体幅方向外方に向かうにつれて上方に移行する傾斜方向に突出している。
【0078】
この構成によれば、ミラーブラケット124の上方にフレームブラケット130が配置されたものであっても、サイドミラー121を支持する支持筒126を高い位置に配置することができ、サイドミラー121を適正位置に取り付けることができる。
また、ステー本体127及び支持筒126に固定された補強プレート129を備えている。
【0079】
この構成によれば、サイドミラー121の支持強度を向上させることができる。
また、フロントピラー46は、車幅方向B3一側に設けられた第1フロントピラー46Lと、車幅方向B3他側に設けられた第2フロントピラー46Rとを含み、キャビン9は、第1フロントピラー46Lと第2フロントピラー46Rの上部同士を連結するフロントアッパフレーム49Aを有し、フレームブラケット130は、第1フロントピラー46Lから車幅方向外方に向かうにつれて前方に移行する傾斜方向に突出する第1フレームブラケット130Lと、第2フロントピラー46Rから車幅方向外方に向かうにつれて前方に移行する傾斜方向に突出する第2フレームブラケット130Rとを含み、フレーム取付ステー131は、第1フレームブラケット130Lに取り付けられる第1フレームステー131Lと、第2フレームブラケット130Rに取り付けられる第2フレームステー131Rとを含み、横杆部136は、フロントアッパフレーム49Aの前方且つ上方に、第1フレームステー131Lの上方から第2フレームステー131Rの上方にわたって配置され、縦杆部137は、横杆部136の第1フレームステー131Lの端部から下方に延設された第1縦杆部137Lと、横杆部136の第2フレームステー131R側の端部から下方に延設された第2縦杆部137Rとを含み、取付プレート138は、第1縦杆部137Lに固定された第1プレート138Lであって第1フレームステー131Lに取り付けられる第1プレート138Lと、第2縦杆部137Rに固定された第2プレート138Rであって第2フレームステー131Rに取り付けられる第2プレート138Rとを含む。
【0080】
この構成によれば、支持フレーム58を支持するフレームブラケット130をフロントピラー46から車幅方向外方に向かうにつれて前方に移行する傾斜方向に突出させることにより、フレームブラケット130がオペレータの視界を妨げるのを抑制することができる。また、車幅方向B3に延伸して配置される支持フレーム58の長さを短くすることができ、支持フレーム58の支持強度を向上させることができる。
【0081】
また、横杆部136は、フロントアッパフレーム49Aの一端側から他端側にわたるように車幅方向B3に直線状に延伸して配置された直杆部136Aと、直杆部136Aの第1フロントピラー46L側の端部から車幅方向外方に向かうにつれて後方に移行する傾斜方向に延びる第1傾斜杆部136Lと、直杆部136Aの第2フロントピラー46R側の端部から車幅方向外方に向かうにつれて後方に移行する傾斜方向に延びる第2傾斜杆部136Rとを有する。
【0082】
この構成によれば、横杆部136の側部を車幅方向外方に向かうにつれて後方に移行する傾斜状に形成することにより、フレーム取付ステー131の位置をフロントピラー46側に寄せることができ、フレームブラケット130がフロントピラー46から大きく突出するのを防止することができる。
また、作業車両1は、車体5と、車体5の位置を検出する位置検出装置30と、位置検出装置30を支持する支持ブラケット157と、位置検出装置30と一体移動可能なスライダ160と、を備え、位置検出装置30は、該位置検出装置30を使用する位置である第1位置P1と該第1位置P1より低い位置である第2位置P2とに移動可能であり、支持ブラケット157は、スライダ160を案内するスライド溝161であって、該スライド溝161内をスライダ160が移動することで位置検出装置30を第1位置P1と第2位置P2とに移動させるスライド溝161を有する。
【0083】
この構成によれば、位置検出装置30を、不使用時に、使用位置である第1位置P1より低い第2位置P2に移動させることにより、位置検出装置30を障害物に当てるのを防止することができる。また、スライダ160がスライド溝161内を移動することで位置検出装置30を第1位置P1と第2位置P2とに移動させる構造であるので、第2位置P2を第1位置P1よりも十分に低い位置に設定することができる。
【0084】
また、スライド溝161は、上下方向に延伸する縦溝部161aであって、位置検出装置30を第1位置P1から第2位置P2に移動させる際にスライダ160を下方に移動させる縦溝部161aを有している。
この構成によれば、位置検出装置30を第1位置P1から第2位置P2に変位させる際において、スライダ160が縦溝部161a内を下方に移動するので、位置検出装置30を十分に低い位置に移動させることができる。
【0085】
また、スライド溝161は、縦溝部161aの上部から後方に延出された横溝部161bを有し、スライダ160は、位置検出装置30が第1位置P1に在る状態で横溝部161bの後部に位置すると共に位置検出装置30の後部に位置している。
この構成によれば、位置検出装置30を第1位置P1から第2位置P2に移動させる際には、スライダ160を横溝部161bの後部から縦溝部161aの上部に移動させる。つまり、第1位置P1では、位置検出装置30は、第2位置より後方に位置する。これにより、第1位置P1において、位置検出装置30が前方に突出するのを抑制できる。
【0086】
また、位置検出装置30は、第2位置P2に移動させる際に、スライダ160回りに下方に回動され、支持ブラケット157は、位置検出装置30が第2位置P2に在る状態で位置検出装置30がスライダ160回りに後方に回動するのを規制する規制部材164を有する。
この構成によれば、位置検出装置30を第2位置に移動させる際にスライダ160回りに下方に回動させることで、位置検出装置30を折り畳むことができる。これにより、第2位置P2において、位置検出装置30が前方に突出するのを抑制できる。また、位置検出装置30を第1位置P1から第2位置P2にする際に、規制部材164によって位置検出装置30の姿勢を安定させることができ、位置検出装置30の位置変更操作を容易に行える。
【0087】
また、位置検出装置30が取り付けられる取付台158を備え、取付台158は、位置検出装置30が第1位置P1に在る状態で横溝部161bに対向する側壁166と、側壁166の横溝部161bに対向する面とは反対側の面に固定された第1ナット部材168とを有し、スライダ160は、横溝部161b及び側壁166を貫通して第1ナット部材168にねじ込まれるボルト部材によって構成されている。
【0088】
この構成によれば、スライダ160を、位置検出装置30を固定する部材に兼用することができる。また、第1ナット部材168に対してスライダ160を緩めることにより、位置検出装置30が移動可能となるので、位置検出装置30を位置変更する際の操作性を良好にすることができる。
また、側壁166を支持ブラケット157に固定する固定ボルト171を備え、取付台158は、位置検出装置30が第1位置P1に在る状態で固定ボルト171がねじ込まれる第2ナット部材169と、位置検出装置30が第2位置P2に在る状態で固定ボルト171がねじ込まれる第3ナット部材170とを有し、第2ナット部材169及び第3ナット部材170は、側壁166の第1ナット部材168が固定された面と同じ側の面に固定され、第3ナット部材170は、第1ナット部材168と第2ナット部材169の間に設けられている。
【0089】
この構成によれば、側壁166を支持フレーム58に固定するスライダ160と固定ボルト171との間隔を、第1位置P1に比べて第2位置P2において短くすることができる。これにより、支持フレーム58の上下方向の寸法を短くすることができ、支持ブラケット157をコンパクトに形成することができる。
また、上部にルーフ16を有するキャビン9と、ルーフ16の前方側に車幅方向B3に延びるように配置されてキャビン9に固定された支持フレーム58とを備え、支持ブラケット157は、支持フレーム58に固定され、縦溝部161aは、支持フレーム58の前方に形成され、横溝部161bは、支持フレーム58の上方に形成されると共に後部が支持フレーム58よりも後方に位置している。
【0090】
この構成によれば、第1位置P1において位置検出装置30をルーフ16側に寄せることができ、位置検出装置30が障害物と接触するのを抑えることができる。
また、位置検出装置30は、測位衛星から送信された信号を受信すると共に該受信した信号に基づいて位置を検出する本体部151を有し、本体部151は、第2位置P2の状態で支持フレーム58の上端よりも下方に位置する。
【0091】
この構成によれば、位置検出装置30を十分に低い位置に位置させることができる。
また、上部にルーフ16を有するキャビン9を備え、位置検出装置30は、測位衛星から送信された信号を受信すると共に該受信した信号に基づいて位置を検出する本体部151を有し、本体部151は、第1位置P1の状態でルーフ16の前方且つ上方に配置されており、第2位置P2の状態でルーフ16の上面よりも下方に位置する。
【0092】
この構成によれば、位置検出装置30の本体部151は、第1位置P1ではルーフ16よりも上方に位置しているので、測位衛星から送信された信号を良好に受信することができ、第2位置P2ではルーフ16の上面よりも下方に位置するので、位置検出装置30を十分に低い位置に位置させることができる。
また、キャビン9は、前部に車幅方向B3に間隔をあけて設けられた第1フロントピラー46L及び第2フロントピラー46Rと、第1フロントピラー46Lと第2フロントピラー46Rとの間に設けられたフロントガラス12とを有し、位置検出装置30は、第1位置P1の状態でルーフ16の前方且つ上方に配置されており、第2位置P2の状態でフロントガラス12の上部の前方に位置する。
【0093】
この構成によれば、第2位置P2ではフロントガラス12の上部の前方に位置するので、位置検出装置30が第2位置P2に在ることをオペレータがキャビン9の室内から容易に確認することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0094】
5 車体
9 キャビン
30 位置検出装置
46 フロントピラー
46L 第1フロントピラー
46R 第2フロントピラー
49A フロントアッパフレーム
58 支持フレーム
121 サイドミラー
122 ミラー本体
123 ブラケットアーム
124 ミラーブラケット
125 ミラー取付ステー
126 支持筒
127 ステー本体
129 補強プレート
130 フレームブラケット
130L 第1フレームブラケット
130R 第2フレームブラケット
130a 取付部
130b 吊り部
131L 第1フレームステー
131R 第2フレームステー
131a 縦壁
131b 横壁
136 横杆部
136A 直杆部
136L 第1傾斜杆部
136R 第2傾斜杆部
137 縦杆部
137L 第1縦杆部
137R 第2縦杆部
138 取付プレート
138L 第1プレート
138R 第2プレート
B3 車幅方向
X1 突出方向