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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】ドレインホース接続具
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/00 20060101AFI20221219BHJP
   F16L 33/28 20060101ALI20221219BHJP
   E04D 13/04 20060101ALI20221219BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
F16L33/00 B
F16L33/28
E04D13/04 J
E03C1/12 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019085532
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020180675
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000222495
【氏名又は名称】東リ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】弁理士法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松川 尭彦
(72)【発明者】
【氏名】松元 陽子
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-042916(JP,A)
【文献】特開2009-264461(JP,A)
【文献】特開2013-204607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/00
F16L 33/28
E04D 13/04
E03C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に敷設される帯状の排水処理部材上に取り付けられるドレインホース接続具であって、
ドレインホースを挿入可能な筒部と、前記ドレインホースからの排水を排水処理部材側へと流す通水口と、を有するケース体を有し、
前記ケース体が、前記通水口が開口された前壁部と、前記前壁部の両側に連設された左右の側壁部と、を有し、前記ケース体の内部には、前記前壁部と前記両側壁部によって画成される空間であって前記通水口に臨む内部空間が形成されており、
前記筒部が、第1ドレインホースをその軸芯方向に沿って挿入可能な第1挿入筒部と、第2ドレインホースを挿入可能な第2挿入筒部と、を有し、前記第1挿入筒部が前記第2挿入筒部の前方に位置して前記第1挿入筒部と第2挿入筒部が前後方向に並んで配置されており、
前記第1挿入筒部の軸芯方向の前記ケース体の下面に対する角度が、前記第2挿入筒部の軸芯方向の前記ケース体の下面に対する角度よりも大きい、ドレインホース接続具。
【請求項2】
前記ケース体が、仕切り壁部を有し、
前記仕切り壁部が、前記第1挿入筒部と第2挿入筒部の間に設けられて前記第1挿入筒部と第2挿入筒部を仕切る、請求項1に記載のドレインホース接続具。
【請求項3】
前記第1挿入筒部の軸芯方向と第2挿入筒部の軸芯方向が前記内部空間において交差するように、前記第1挿入筒部及び第2挿入筒部が形成されている、請求項1または2に記載のドレインホース接続具。
【請求項4】
前記第1挿入筒部の軸芯方向の前記下面に対する傾斜角が60度~85度であり、前記第2挿入筒部の軸芯方向の前記下面に対する傾斜角が10度~30度である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のドレインホース接続具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレインホースから流れ出る排水を所定の箇所へ導く排水処理部材に、前記ドレインホースを接続するために用いられる、ドレインホース接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンなどの空調機や給湯器などのドレイン水がドレインホースから排水として排出されている。このような排水が、マンションやアパートなどの集合住宅、オフィスビル、商業施設ビルなどの集合建築物のベランダや共用廊下などの床面上を直接的に流れると、当該床面に汚れなどが生じる。これを防止するため、従来、ドレインホースから流れ出る排水を雨樋や側溝などの所定の箇所へ導く空調機ドレイン用の排水処理部材が床面に施工されている。また、この排水処理部材にドレインホースの端部を接続するために、ドレインホース接続具が前記排水処理部材に取り付けられる。
例えば、特許文献1には、鉛直上方に立ち上がる上端にホース差込口を備えたホース保持筒と、ホース保持筒の内面から突き出すホース抜止部と、ホース保持筒の下端両側に形成された支持脚と、からなるドレインホース接続具が開示されている。このホース保持筒は、排水処理部材の幅方向(排水処理部材の長手方向と直交する方向)に2本のドレインホースを横並びで保持する。しかしながら、このように幅方向に2本のドレインホースを保持する接続具を用いる場合には、それに応じて幅広の排水処理部材を床面に取り付けなければならず、排水処理部材の設置場所が大面積となる。
【0003】
特許文献2には、軸長方向にドレインホースをそれぞれ挿入脱可能な第1及び第2挿入空間を有する一方開口型の筒部と、前記ドレインホースからの排水を排水処理部材側へと導く本体部と、を有し、前記第1挿入空間及び第2挿入空間が、前後方向に並んで配置されているドレインホース接続具が開示されている。かかるドレインホース接続具は、ドレインホース接続具の前後方向を排水処理部材の長手方向に沿わせて排水処理部材に取り付けられる。特許文献2のドレインホース接続具によれば、特許文献1よりも幅狭な排水処理部材を用いることができ、排水処理部材の設置場所が比較的小さくて済む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-264461号公報
【文献】特開2013-204607号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、近年、空調機の高機能化により、空調機などから生じる結露水(通常のドレイン水)のみならず、空調機の自己清掃機能で一時的に多量の排水が生じることがあり、また、空調機のみならず給湯器からも多量の排水が生じる場合もある。
特許文献1及び2のドレインホース接続具にあっては、このような多量の排水が生じることを想定しておらず、多量の排水を円滑に排水処理部材に流すことができるドレインホース接続具が求められている。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前後方向に並んでドレインホースを挿入でき、ドレインホースからの多量の排水を溢れさせることなく通水口を通じて排水処理部材へ円滑に流すことができるドレインホース接続具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のドレインホース接続具は、床面に敷設される帯状の排水処理部材上に取り付けられるドレインホース接続具であって、ドレインホースを挿入可能な筒部と、前記ドレインホースからの排水を排水処理部材側へと流す通水口と、を有するケース体を有し、前記ケース体が、前記通水口が開口された前壁部と、前記前壁部の両側に連設された左右の側壁部と、を有し、前記ケース体の内部には、前記前壁部と前記両側壁部によって画成される空間であって前記通水口に臨む内部空間が形成されており、前記筒部が、第1ドレインホースをその軸芯方向に沿って挿入可能な第1挿入筒部と、第2ドレインホースを挿入可能な第2挿入筒部と、を有し、前記第1挿入筒部が前記第2挿入筒部の前方に位置して前記第1挿入筒部と第2挿入筒部が前後方向に並んで配置されており、前記第1挿入筒部の軸芯方向の前記ケース体の下面に対する角度が、前記第2挿入筒部の軸芯方向の前記ケース体の下面に対する角度よりも大きい。
【0008】
本発明の好ましいドレインホース接続具は、前記ケース体が、仕切り壁部を有し、前記仕切り壁部が、前記第1挿入筒部と第2挿入筒部の間に設けられて前記第1挿入筒部と第2挿入筒部を仕切る。
本発明の好ましいドレインホース接続具は、前記第1挿入筒部の軸芯方向と第2挿入筒部の軸芯方向が前記内部空間において交差するように、前記第1挿入筒部及び第2挿入筒部が形成されている。
本発明の好ましいドレインホース接続具は、前記第1挿入筒部の軸芯方向の前記下面に対する傾斜角が60度~85度であり、前記第2挿入筒部の軸芯方向の前記下面に対する傾斜角が10度~30度である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のドレインホース接続具は、ドレインホースから多量の排水が流れ出た場合でも、筒部から排水を溢れさせることなく排水処理部材へ円滑に導いて処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の排水処理構造の参考斜視図。
図2図1のII-II線で切断した断面を含む一部省略斜視図。
図3図1のIII-III線で切断した一部省略断面図。
図4図3のIV-IV線で切断した一部省略断面図。
図5図3のV-V線で切断した端面図。端面図は、切断面のみの形状を表し、切断面より奥側の形状を表していない図である。
図6】排水処理部材の正面図。
図7】同排水処理部材を表面側から見た中途部省略平面図。
図8】ドレインホース接続具を左後側且つ上側から見た斜視図。
図9】同ドレインホース接続具を右前側且つ下側から見た斜視図。
図10】同ドレインホース接続具の正面図。
図11】同ドレインホース接続具の背面図。
図12】同ドレインホース接続具の右側面図。
図13】同ドレインホース接続具の平面図。
図14】同ドレインホース接続具の底面図。
図15図13のXV-XV線で切断した断面図。
図16図15のXVI-XVI線で切断した断面図。
図17図15のXVII-XVII線で切断した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、適宜図面を参照しつつ説明する。
本明細書において、ドレインホース接続具の説明おいて、「前」は、ドレインホース接続具に挿入されたドレインホースからの排水が流れていく側を指し、「後」は、その反対側を指し「下」は、ドレインホース接続具を設置するときに排水処理部材に面する側を指し、「上」は、その反対側を指す。また、本明細書において、「略」は、本発明の属する技術分野において許容される範囲を意味する。
本明細書において、「下限値X~上限値Y」で表される数値範囲は、下限値X以上上限値Y以下を意味する。前記数値範囲が別個に複数記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「任意の下限値~任意の上限値」を設定できるものとする。
【0012】
[排水処理構造の概要]
図1は、本発明の排水処理構造Bの斜視図であり、図2は、図1の排水処理構造Bを幅方向で切断した断面を含む一部省略斜視図であり、図3は、排水処理構造Bのうちドレインホース接続具1を前後方向で切断した一部省略断面図であり、図4は、第1ドレインホースが取り付けられた第1挿入筒部3を幅方向で切断した一部省略断面図であり、図5は、前記第1挿入筒部3を水平方向で切断した端面図である。
排水処理構造Bは、床面Aに敷設された平面視帯状の部材であって排水路81を有する排水処理部材8と、排水処理部材8の排水路81上に設置されたドレインホース接続具1と、を有する。ドレインホース接続具1は、その下面を前記排水路81上に載せ且つ前後方向を排水処理部材8の長手方向に沿わせて(ドレインホース接続具1の前後方向を排水処理部材8の長手方向と略平行にして)、前記排水処理部材8に設置されている。
以下、排水処理部材8及びドレインホース接続具1のそれぞれについて説明した後、それらを施工して得られる排水処理構造Bについて詳述する。
【0013】
[排水処理部材]
図6は、排水処理部材8の正面図であり、図7は、その平面図である。
排水処理部材8は、ドレインホース接続具1に取り付けられた空調機のドレインホースから流れ出る排水を雨樋や側溝などの所定の箇所へ導くために、共用廊下などの床面上に設置される部材である。
図6及び図7を参照して、排水処理部材8の全体的な形状は、帯状である。なお、図7においては、同じ形状が連続した排水処理部材8の中途部を省略している。
前記帯状は、長手方向の長さが幅方向(幅方向は、長手方向と直交する方向)よりも十分に長い平面視略長方形状をいう。
通常、排水処理部材8は、長手方向長さが施工場所の実寸よりも大きく形成されており、施工時に、施工場所に応じて、適宜裁断して使用される。
【0014】
排水処理部材8の表面には、幅方向両側に配置された左右一対の溝縁凸条82,82が突設されている。溝縁凸条82は、長手方向に連続した凸部である(つまり、凸条である)。溝縁凸条82は、断面視で、略三角形状に形成されているが、前記溝縁凸条82の断面視形状は、略三角形状に限られず、例えば、断面視略半円状、略半楕円状、略四角形状などであってもよい(図示せず)。
排水路81は、前記一対の溝縁凸条82,82で挟まれた部分であって、幅方向略中央領域において凹状に凹んだ部分である。排水路81は、略水平な面とされており、長手方向に帯状に延びている。排水路81は、溝縁凸条82よりも十分に低くなるように形成されている。
排水路81には、必要に応じて、整流凸条83を設けてもよい。整流凸条83は、排水路81の幅方向の一部分に形成される。整流凸条83は、排水路81に沿って排水が長手方向に流れるように導くガイドとして機能する。整流凸条83は、1本でもよいが、図示例では、幅方向に所定間隔を開けて複数本(例えば3本)形成されている。整流凸条83の突出高さは、特に限定されないが、溝縁凸条82よりも十分に低いことが好ましい。整流凸条83は、断面視で、略三角形状(略二等辺三角形状など)に形成されているが、これに限られず、例えば、断面視略半円状、略半楕円状、略四角形状などであってもよい(図示せず)。
【0015】
排水処理部材8は、柔軟であり、容易に湾曲させることができる。
排水処理部材8の形成材料は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、一般的には、熱可塑性樹脂が用いられる。前記熱可塑性樹脂としては、塩化ビニルや塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体などの塩化ビニル系樹脂;ポリオレフィン系樹脂;ウレタン系樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル系樹脂;エチレン-メタクリレート樹脂などのアクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;エステル系樹脂;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどの各種エラストマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を併用できる。優れた柔軟性を有し、さらに、加工し易いことから、塩化ビニル系樹脂を主成分樹脂とすることが好ましい。前記形成材料は、発泡されていてもよいが、通常、非発泡体から構成される。
前記熱可塑性樹脂を押出し成形することにより、前記排水処理部材8が得られる。
【0016】
[ドレインホース接続具]
図8及び図9は、ドレインホース接続具1の斜視図、図10乃至図14は、ドレインホース接続具1の六面図(ただし、左側面図は、右側面図と対称に表れるので省略する)、図15乃至図17は、筒部を含むドレインホース接続具1の断面図である。
図8乃至図14において、本発明のドレインホース接続具1は、可撓性を有するドレインホースを軸芯方向にそれぞれ挿入脱可能な筒部3,4と、前記ドレインホースからの排水を排水処理部材8側へと流す通水口5と、を有するケース体2を有する。
【0017】
筒部3,4は、2つ形成されている。本明細書において、この筒部3,4は、ドレインホース接続具1(ケース体2)の内部に形成される筒状の空間をいう。
1つの筒部3(第1挿入筒部3)は、第1ドレインホースをその軸芯方向に沿って挿入可能であり、もう1つの筒部4(第2挿入筒部4)は、第1挿入筒部3の後方に配置され且つ第2ドレインホースを挿入可能である。従って、第1挿入筒部3と第2挿入筒部4は、ケース体2の前後方向に並んで配置されている。
前記ケース体2は、例えば、その下面2aを下にして水平面上に自立させることができる。
【0018】
第1挿入筒部3及び第2挿入筒部4は、それぞれの軸芯方向L3,L4がケース体2の下面2aに対して所望の角度を有するように(ケース体2の下面2aと非平行となって)、延在されている。
ここで、ケース体2の下面2aは、概念上、ケース体2を自立させたときに、水平面に接する部分を含む平面をいう。
前記第1挿入筒部3の軸芯方向L3のケース体2の下面2aに対する角度が、第2挿入筒部4の軸芯方向の前記ケース体の下面に対する角度よりも大きい。
好ましくは、第1挿入筒部3の軸芯方向L3と第2挿入筒部4の軸芯方向L4がケース体2の下面2aに対して鋭角を成して傾斜されていると共に、第1挿入筒部3の軸芯方向L3の前記下面2aに対する角度が前記第2挿入筒部4の角度よりも大きい。
また、第1挿入筒部3の軸芯方向L3と第2挿入筒部4の軸芯方向L4が内部空間29において交差するように、前記第1挿入筒部3及び第2挿入筒部4が形成されている。
なお、図15において、第1挿入筒部3の軸芯方向L3及び第2挿入筒部4の軸芯方向L4を、二点鎖線で表している。
【0019】
具体的には、ケース体2は、前壁部21と、左右の側壁部22,22と、左右の側壁部22,22の下側に連設された底壁部23と、左右の側壁部22,22と底壁部23に連設された後壁部24と、左右の側壁部22,22の上側に連設された天壁部25と、を有する中空状である。
【0020】
前壁部21は、ドレインホース接続具1を排水処理部材8に設置した際に、水が流れていく側に向けられる壁部であり、後壁部24は、水の流れと反対側に向けられる壁部である。
前壁部21の下方には、通水口5が形成されている。通水口5は、前壁部21の下方部の全体又は下方部の一部分を切り欠いた切欠き部51によって画成される。なお、前壁部21の下方部の一部分に切欠き部51が形成されている場合、切欠き部51が形成されていない部分の前壁部21の下端面は、ケース体2の下面2aを構成する。
左右一対の側壁部22,22は、前壁部21と協働して内部空間29を画成する。側壁部22,22の形状は、図12に示すように、側面視で略扇状に形成されている。もっとも、側壁部22,22の側面視形状は、略扇状に限られず、略長方形状四角形状、略正方形状、略平行四辺形状などの略四角形状などであってもよい。
【0021】
底壁部23は、ケース体2の底部を閉塞する壁部である。底壁部23の下面は、ケース体2の下面2aを構成する。底壁部23は、ケース体2の前後方向全体に亘って設けられていてもよく、或いは、ケース体2の前後方向の一部分において設けられていてもよい。図示例では、底壁部23は、前壁部21の近傍には設けられておらず、ケース体2の後方側に設けられている。従って、ケース体2の底部のうち前壁部21の近傍においては、底壁部23を有さずに開口部とされている。
前記開口部においては、一対の側壁部22,22の下端面がケース体2の下面2aを構成している。従って、図示例では、ケース体2の下面2aは、前壁部21の下端面と、側壁部22,22の前方側の下端面と、底壁部23の下面と、で構成されている。
本発明のドレインホース接続具1を、整流凸条83を有する排水路81に設置する場合には、底壁部23の下面に、前記整流凸条83が嵌まる凹条26が前後方向に延びて設けられる。前記凹条26は、整流凸条83に対応して設けられ、図示例では、幅方向に所定間隔を開けて3本形成されている。
なお、ドレインホース接続具1を排水処理部材8の排水路81上に載せて設置するので、底壁部を有さないケース体2であってもよい(図示せず)。底壁部を有さないケース体2にあっては、一対の側壁部22,22の下端面及び前壁部21の下端面がケース体2の下面2aを構成する。
【0022】
天壁部25の一部分には、第1挿入筒部3の挿入口31(以下、第1挿入口31という)が開口されている。
また、後壁部24の一部分には、第2挿入筒部4の挿入口41(以下、第2挿入口41という)が開口されている。
図示例では、第1挿入口31及び第2挿入口41は、略正方形状の開口からなるが、この形状に限定されず、略長方形状などの略四角形状、略三角形状や略六角形状などの略多角形状、略円形状、略楕円形状などであってもよい。
【0023】
第1挿入筒部3は、第1挿入口31からケース体2の内部に延びる略筒状である。
第1挿入筒部3は、前壁部21、両側壁部22,22及び天壁部25に続く仕切り壁部27によって囲われる長状の空間からなる。前記第1挿入筒部3(長状の空間)に、第1ドレインホースをその軸芯方向に沿って挿入脱することができる。第1挿入筒部3は、その筒部の軸芯方向L3に、第1ドレインホースの軸芯方向を略平行にして第1ドレインホースが挿入されることを許容し且つ第1ドレインホースの挿入を案内する機能を有する。また、第1挿入筒部3は、後述するリブ部と協働して、挿入された第1ドレインホースを保持する機能を有する。第1挿入筒部3に第1ドレインホースが挿入された状態において、第1ドレインホースの軸芯方向と第1挿入筒部3の軸芯方向L3は、略一致する。
第1挿入口31が前記略正方形状又は略長方形状などの略四角形状の場合、第1挿入筒部3は、第1挿入口31から延びる略四角筒状とされている。第1挿入筒部3が第1挿入口31を含んで略四角筒状とされていることにより、その略四角筒状の4つ角部と略円筒状の第1ドレインホースの外周面の間に比較的大きな間隙が生じ、第1ドレインホースを変形させながら第1挿入筒部3に容易に挿入できるようになる。また、第1挿入筒部3が、略円筒状の第1ドレインホースの外周面が第1挿入筒部3の内面に4点で接するような大きさの略四角筒状に形成されていることにより、第1ドレインホースが安定的に保持されるようになる。
【0024】
第1挿入筒部3は、その軸芯方向L3がケース体2の下面2aに対して所望の角度を成して形成されている。
ケース体2の下面2aに対する第1挿入筒部3の軸芯方向L3の角度は、鈍角でもよく、直角でもよく、或いは、鋭角でもよいが、好ましくは、直角又は鋭角とされ、より好ましくは、鋭角とされる。図15を参照して、第1挿入筒部3の軸芯方向L3の角度D3(第1挿入筒部3の軸芯方向L3の、ケース体2の下面2aに対する傾斜角)は、後述する第2挿入筒部4の軸芯方向L4の角度D4よりも大きれば特に限定されないが、第2挿入筒部4の軸芯方向L4と内部空間29において交差するような角度であることが好ましい。第1ドレインホースからの排水を内部空間29に導いて通水口5を通じて排出できることから、第1挿入筒部3の軸芯方向L3の角度D3は、例えば、60度~90度であり、好ましくは、60度以上90度未満であり、より好ましくは、60度~85度であり、さらに好ましくは、65度~85度であり、最も好ましくは、65度~80度である。
【0025】
第1挿入筒部3には、その筒部の軸芯方向L3に向かって突出したリブ部32(以下、第1リブ部32という)が形成されている。前記第1リブ部32は、筒部の軸芯方向L3に沿って長状に延設されている。換言すると、第1リブ部32は、軸芯方向L3に向かって突出した突部が軸芯方向L3に連続して延びる、細長い突部である。
好ましくは、第1リブ部32は、側壁部22の上端部から下方に延びる長状の突部である。
前記第1リブ部32は、第1挿入筒部3に挿入された第1ドレインホースに食い込み、第1ドレインホースが第1挿入筒部3から容易に抜け出ないように保持する機能を有する。また、第1挿入筒部3の内面に第1リブ部32が形成されていることにより、第1ドレインホースのうち第1リブ部32に接する箇所以外の箇所と第1挿入筒部3の内面との間の全部又は一部に隙間が生じる。第1ドレインホースからの排水が内部空間29に流れ込んだ際に、内部空間29に存する空気が前記隙間から第1挿入筒部3の外部に排気され、排水が内部空間29に支障なく流れるようになる。
【0026】
前記第1リブ部32は、第1挿入筒部3の内面に、少なくとも1つ設けられていればよい。例えば、第1リブ部32が1つだけ設けられている場合であっても、その第1リブ部32の存在によって、第1ドレインホースが挿入される第1挿入筒部3の有効空間が狭くなり、第1ドレインホースを第1挿入筒部3内に保持できるようになる。
好ましくは、第1リブ部32は、独立して複数(2以上)設けられる。例えば、第1挿入筒部3内には、左右一対の第1リブ部32,32が突設されている。図示例では、一方の第1リブ部32は、右側の側壁部22の内面から突設され、もう一方の第1リブ部32は、右側の側壁部22の内面から突設され、一対の第1リブ部32,32は、第1挿入筒部3の軸芯を挟んで向かい合って配置されている。
【0027】
また、第1リブ部32が複数の場合、全ての第1リブ部32の突出量は同じでもよいし、或いは、一部の第1リブ部32の突出量が異なっていてもよいし、或いは、全ての第1リブ部32の突出量が互いに異なっていてもよい。
さらに、第1リブ部32の突出量は、その上方から下方まで同じでもよいし(つまり、1つの第1リブ部32について、その突出量が一定であってもよい)、或いは、第1リブ部32の突出量が上方から下方までの間で異なっていてもよい。第1ドレインホースを挿入し易く且つそれを容易に固定できることから、第1リブ部32は、その上方から下方にいくにつれて突出量が大きくなるように形成されていることが好ましい。
図示例では、各第1リブ部32は、下方に向かうに従って、その突出量が極僅かに大きくなった領域を有する。かかる第1リブ部32によれば、向かい合う第1リブ部32の突出頂部の間隔が、下方に向かうに従って僅かに小さくなり、その一対の第1リブ部32の突出頂部を滑らせながら第1ドレインホースを食い込ませることができ、第1挿入筒部3内に第1ドレインホースを容易に挿入し且つ保持させることができる。
【0028】
第1挿入筒部3には、第1ドレインホースの進行を規制するストッパー部33(以下、第1ストッパー部33という)が設けられている。第1ストッパー部33は、その係止部33aにて第1ドレインホースの筒開口端の一部分を係止し、挿入される第1ドレインホースが第1ストッパー部33よりも先に進行しないように規制する機能を有する。
第1ストッパー部33は、第1挿入筒部3の下方に設けられ、例えば、各第1リブ部32の下端部に設けられている。図示例では、第1ストッパー部33として、第1リブ部32よりも大きく軸芯に向かって突出した突部が用いられており、第1リブ部32と第1ストッパー部33の突出差によって生じる段差が前記第1ストッパー部33の係止部33aとなる。
第1挿入口31から第1ストッパー部33の係止部33aまでの距離(軸芯方向L3と平行な方向における第1挿入口31から係止部33aまでの長さ)は、特に限定されないが、第1挿入筒部3に第1ドレインホースを安定的に保持させるために、15mm以上が好ましい。
【0029】
第2挿入筒部4は、第2挿入口41からケース体2の内部に延びる略筒状である。
第2挿入筒部4は、両側壁部22,22、天壁部25に続く仕切り壁部27及び後壁部24に続く仕切り壁部28によって囲われる長状の空間からなる。第2挿入筒部4(長状の空間)に、第2ドレインホースをその軸芯方向に沿って挿入脱することができる。第2挿入筒部4は、その筒部の軸芯方向L4に、第2ドレインホースの軸芯方向を略平行にして第2ドレインホースが挿入されることを許容し且つ第2ドレインホースの挿入を案内する機能を有する。また、第2挿入筒部4は、後述するリブ部と協働して、挿入された第2ドレインホースを保持する機能を有する。第2挿入筒部4に第2ドレインホースが挿入された状態において、第2ドレインホースの軸芯方向と第2挿入筒部4の軸芯方向L4は、略一致する。
第2挿入口41が前記略正方形状又は略長方形状などの略四角形状の場合、第2挿入筒部4は、第2挿入口41から延びる略四角筒状とされている。第2挿入筒部4が第2挿入口41を含んで略四角筒状とされていることにより、その略四角筒状の4つ角部と略円筒状の第2ドレインホースの外周面の間に比較的大きな間隙が生じ、第2ドレインホースを変形させながら第2挿入筒部4に容易に挿入できるようになる。また、第2挿入筒部4が、略円筒状の第2ドレインホースの外周面が第2挿入筒部4の内面に4点で接するような大きさの略四角筒状に形成されていることにより、第2ドレインホースが安定的に保持されるようになる。
【0030】
第2挿入筒部4は、その軸芯方向L4がケース体2の下面2aに対して所望の角度を成して形成されている。
ケース体2の下面2aに対する第2挿入筒部4の軸芯方向L4の角度は、鋭角であることが好ましい。図15を参照して、第2挿入筒部4の軸芯方向L4の角度D4(第2挿入筒部4の軸芯方向L4の、ケース体2の下面2aに対する傾斜角)は、上記第1挿入筒部3の軸芯方向L3の角度D3よりも小さければ特に限定されないが、第1挿入筒部3の軸芯方向L3と内部空間29において交差するような角度であることが好ましい。つまり、第1挿入筒部3及び第2挿入筒部4は、第1挿入筒部3の軸芯方向L3と第2挿入筒部4の軸芯方向L4が内部空間29において交差するように形成されていることが好ましい。
第2ドレインホースからの排水を内部空間29に導いて通水口5を通じて排出でき、また、第2ドレインホースからの多量の排水が出た場合であっても、内部空間29でその排水を一時的に滞留させた後、通水口5を通じて排出できることから、第2挿入筒部4の軸芯方向L4の角度D4は、10度~30度が好ましく、さらに、10度~25度がより好ましい。なお、図示のように、第2挿入筒部4の軸芯方向L4がケース体2の下面2aに交わらない場合には、前記角度D4は、第2挿入筒部4の軸芯方向L4の、ケース体2の下面2aの延長面に対する角度をいう。
【0031】
また、図15に示すように、第2挿入筒部4は、第2挿入口41の下端部がケース体2の下面2aから例えば7mm~20mmの高さ位置、好ましくは8mm~13mmの高さ位置となるように形成される。なお、図15の符号Hは、ケース体2の下面2aからの第2挿入口41の下端部の高さ位置を示す。前記下限値以上の高さ位置により、内部空間29に一時的に排水を滞留させるときに、排水が第2挿入筒部4を逆流又は第2挿入口41からの溢れ出しを防止できる。前記上限値以下の高さ位置により、第2挿入口41を比較的大きく開口でき、一般的な大きさの第2ドレインホースを容易に挿入できる。
【0032】
第2挿入筒部4には、その筒部の軸芯方向に向かって突出したリブ部42(以下、第2リブ部42という)が形成されている。前記第2リブ部42は、筒部の軸芯方向に沿って長状に延設されている。換言すると、第2リブ部42は、軸芯方向L4に向かって突出した突部が軸芯方向L4に連続して延びる、細長い突部である。
好ましくは、第2リブ部42は、側壁部22,22の上端部から下方に延びる長状の突部である。
前記第2リブ部42は、第2挿入筒部4に挿入された第2ドレインホースに食い込み、第2ドレインホースが第2挿入筒部4から容易に抜け出ないように保持する機能を有する。また、第2挿入筒部4の内面に第2リブ部42が形成されていることにより、第2ドレインホースのうち第2リブ部42に接する箇所以外の箇所と第2挿入筒部4の内面との間の全部又は一部に隙間が生じる。第2ドレインホースからの排水が内部空間29に流れ込んだ際に、内部空間29に存する空気が前記隙間から第2挿入筒部4の外部に排気され、排水が内部空間29に支障なく流れるようになる。
【0033】
前記第2リブ部42は、第2挿入筒部4の内面に、少なくとも1つ設けられていればよい。例えば、第2リブ部42が1つだけ設けられている場合であっても、その第2リブ部42の存在によって、第2ドレインホースが挿入される第2挿入筒部4の有効空間が狭くなり、第2ドレインホースを第2挿入筒部4内に保持できるようになる。
好ましくは、第2リブ部42は、独立して複数(2以上)設けられる。例えば、第2挿入筒部4内には、左右一対の第2リブ部42が突設されている。図示例では、一方の第2リブ部42は、右側の側壁部22,22の内面から突設され、もう一方の第2リブ部42は、右側の側壁部22,22の内面から突設され、一対の第2リブ部42は、第2挿入筒部4の軸芯を挟んで向かい合って配置されている。
【0034】
また、第2リブ部42が複数の場合、全ての第2リブ部42の突出量は同じでもよいし、或いは、一部の第2リブ部42の突出量が異なっていてもよいし、或いは、全ての第2リブ部42の突出量が互いに異なっていてもよい。
さらに、第2リブ部42の突出量は、その上方から下方まで同じでもよいし(つまり、1つの第2リブ部42について、その突出量が一定であってもよい)、或いは、第2リブ部42の突出量が上方から下方までの間で異なっていてもよい。第2ドレインホースを挿入し易く且つそれを容易に固定できることから、第2リブ部42は、その上方から下方にいくにつれて突出量が大きくなるように形成されていることが好ましい。
図示例では、各第2リブ部42は、下方に向かうに従って、その突出量が極僅かに大きくなった領域を有する。かかる第2リブ部42によれば、向かい合う第2リブ部42の突出頂部の間隔が、下方に向かうに従って僅かに小さくなり、その一対の第2リブ部42の突出頂部を滑らせながら第2ドレインホースを食い込ませることができ、第2挿入筒部4内に第2ドレインホースを容易に挿入し且つ保持させることができる。
【0035】
第2挿入筒部4には、第2ドレインホースの進行を規制するストッパー部43(以下、第2ストッパー部43という)が設けられている。第2ストッパー部43は、その係止部43aにて第2ドレインホースの筒開口端の一部分を係止し、挿入される第2ドレインホースが第2ストッパー部43よりも先に進行しないように規制する機能を有する。
第2ストッパー部43は、第1挿入筒部3の下方に設けられ、例えば、各第2リブ部42の下端部に設けられている。図示例では、第2ストッパー部43として、第2リブ部42よりも大きく軸芯に向かって突出した突部が用いられており、第2リブ部42と第2ストッパー部43の突出差によって生じる段差が第2ストッパー部43の係止部43aとなる。
第2挿入口41から第2ストッパー部43の係止部43aまでの距離(軸芯方向L4と平行な方向における第2挿入口41から係止部43aまでの長さ)は、特に限定されないが、第2挿入筒部4に第2ドレインホースを安定的に保持させるために、15mm以上が好ましい。
【0036】
上述のように、第1ストッパー部33及び第2ストッパー部43は、それぞれ第1挿入筒部3及び第2挿入筒部4に挿入される第1ドレインホース及び第2ドレインホースの進行規制部である。
ここで、図3を参照して、筒開口端71aが第1ストッパー部33に係止されるまで第1ドレインホース71を第1挿入筒部3に挿入したときが、第1ドレインホース71の最大挿入状態であり、筒開口端72aが第2ストッパー部43に係止されるまで第2ドレインホース72を第2挿入筒部43に挿入したときが、第2ドレインホース72の最大挿入状態である。
【0037】
第1ドレインホース71の最大挿入状態において、第1ドレインホース71の筒開口端71aが、第2挿入筒部4の軸芯方向L4に交差しないように、前記第1ストッパー部33が配置されていることが好ましい。なお、ドレインホースの筒開口端は、立体的には略円形状であり、断面視(側面視)では直線状である。図3において、第2挿入筒部4の軸芯方向L4を、二点鎖線で表している。
このように第1ストッパー部33が配置されていることにより、第2ドレインホース72から流れ出る排水が、第1ドレインホース71によって妨げられ難く、内部空間29から通水口5に至るようになる。詳しくは、鋭角状に傾斜した第2挿入筒部4に保持された第2ドレインホース72にあっては、その排水は、重力に従い、図3の太矢印で示すように、第2ドレインホース72内の下側に沿って流れ出てくる。多量の排水が生じた場合、第2ドレインホース72内の排水は、概ね第2ドレインホース72の軸芯方向(第2挿入筒部4の軸芯方向L4)と同レベル又はそれよりも下位レベルで、ホース72内に沿って流れ出てくる。上述のように、第1ドレインホース71の筒開口端71aが第2挿入筒部4の軸芯方向L4に交差しないように第2ストッパー部43が配置されていることにより、第2ドレインホース72の筒開口端72aから出る排水が、第1ドレインホース71の先端部に衝突し難くなり、ケース体2を比較的小さくしても、内部空間29から通水口5に円滑に流れやすくなる。
【0038】
他方、第2ドレインホース72の最大挿入状態において、第2ドレインホース72の筒開口端72aが、第1挿入筒部3に挿入される第1ドレインホース71と交差しないように、第2ストッパー部43が配置されていることが好ましい。例えば、第2ドレインホース72の最大挿入状態において、第2ドレインホース72の筒開口端72aが、第1挿入筒部3の筒内に臨出しないように、第2ストッパー部43が配置されていることが好ましい。
このように第2ストッパー部43が配置されていることにより、第1ドレインホース71及び第2ドレインホース72を第1挿入筒部3及び第2挿入筒部4に挿入する際に、一方のホースが他方のホースの挿入を妨げることがない。
【0039】
図15を参照して、第1挿入筒部3の軸芯方向L3と第2挿入筒部4の軸芯方向L4は、内部空間29において交差されている。
内部空間29は、前壁部21と両側壁部22,22によって画成される空間であって前壁部21の通水口5に臨むケース体2内の1つの空間である。図15の側面視では、内部空間29は、ケース体2の前壁部21、下面2a、第1挿入筒部3の下端部(第1ストッパー部33の係止部33a)及び第2挿入筒部4の下端部(第2ストッパー部43の係止部43a)によって概ね囲われた領域である。なお、第1挿入筒部3の下端部及び第2挿入筒部4の下端部が明確でない場合には、概念上、第1挿入筒部3の下端部は、第1ストッパー部33の係止部33aを通る仮想平面であって第1挿入筒部3の軸芯方向L3に対して直交する仮想平面と見做し、第2挿入筒部4の下端部は、第2ストッパー部43の係止部43aを通る仮想平面であって第2挿入筒部4の軸芯方向L4に対して直交する仮想平面と見做すものとする。図15において、係止部33aを通る仮想平面K3及び係止部43aを通る仮想平面K4を、細かい点線で表している。
本発明のドレインホース接続具1は、前記内部空間29が大容量であり、一時的に多量の排水が出た場合であっても、内部空間29で排水を滞留させつつ、通水口5を通じて一定量の排水を排出できるので、排水がドレインホース接続具1及び排水処理部材8から溢れることを防止できる。
内部空間29の大きさは、特に限定されないが、例えば、5cm~7cmである。かかる容積の内部空間29を有するドレインホース接続具1は、空調機からの結露水(通常のドレイン水)のみならず、空調機の自己掃除機能及び/又は給湯器の排水が加わることによって、一時的に多量の排水が流れてきても、内部空間29に一時的に排水を滞留させることができ、ドレインホース接続具1から水が溢れることを効果的に防止できる。
【0040】
上述のように、好ましい態様では、内部空間29において第1挿入筒部3の軸芯方向L3と第2挿入筒部4の軸芯方向L4が交差するように、第1挿入筒部3及び第2挿入筒部4の配置及び傾斜角が設定されている。以下、2つの筒部の軸芯方向が交差する点Oを交点という。
第1挿入筒部3の第1ストッパー部33の係止部33aと交点Oまでの直線長さの最小値は、特に限定されないが、余りに短いと内部空間29が相対的に小さくなり過ぎ、余りに大きいと、ケース体2が大型化し過ぎる。かかる観点から、第1ストッパー部33の係止部33aと交点Oまでの直線長さは、5mm以上が好ましく、さらに、8mm~13mmがより好ましい。
第2挿入筒部4の第2ストッパー部43の係止部43aと交点Oまでの直線長さの最小値は、特に限定されないが、余りに短いと内部空間29が相対的に小さくなり過ぎ、余りに大きいと、ケース体2が大型化し過ぎる。かかる観点から、第2ストッパー部43の係止部43aと交点Oまでの直線長さは、10mm以上が好ましく、さらに、15mm~20mmがより好ましい。
【0041】
ケース体2は、容易に変形しないような比較的硬質な材料から形成されている。
ケース体2の形成材料は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、一般的には、合成樹脂、金属などが用いられ、好ましくは、硬質樹脂が用いられる。硬質樹脂としては、例えば、ポリスチレン、AES樹脂(アクリロニトリル・エチレンプロピレンジエン・スチレン)、ASA樹脂(アクリロニトリル・スチレン・アクリルゴム)などが挙げられる。
硬質樹脂からなるケース体2は、射出成形などによって一体的に形成できる。また、ケース体2を2つ以上のパーツに分割してそれぞれを成形し、そのパーツを接着剤を用いた接着或いは樹脂溶着などして接合することによってケース体2を形成してもよい。
【0042】
[ドレインホース接続具の使用及び排水処理構造]
上記ドレインホース接続具1は、排水処理部材8と共に床面Aに設置される。
図1乃至図5を参照して、床面Aに排水処理部材8が敷設され、その排水処理部材8にドレインホース接続具1が取り付けられている。ドレインホース接続具1にドレインホースが取り付けられ、ドレインホースから流れ出る排水は、排水処理部材8の排水路81を通じて側溝91などの所定の箇所に導かれる。
【0043】
床面Aは、例えば、マンションやベランダなどの構造物の共同廊下などが例示できるが、これに限定されるわけではない。床面Aには、側溝91に水を導くため勾配が付けられている。つまり、床面Aは、側溝91に向かって徐々に低くなった傾斜平面とされている。かかる床面Aの傾斜は、水勾配とも呼ばれており、通常、1/50~1/100である。なお、1/50は、長さ50cmに対して1cm下がる勾配を意味する。従って、床面A上の水は、構造物の壁面92側から側溝91側へと水勾配に従い流れていくようになっている。
前記排水処理部材8は、例えば、その長手方向が側溝91に対して略直交するように床面A上に取り付けられている。
【0044】
排水処理部材8の裏面は、接着手段を介して床面Aに固定されている。接着手段93は、特に限定されず、例えば、接着剤、両面粘着テープなどを用いることが挙げられる。図示例では、接着手段93として接着剤を表している。
排水処理部材8の両側端面には、床シート材94の側端面が接合されている。床シート材94は、合成樹脂を主体とする樹脂製のシート材を用いることができ、特に、少なくとも表面部分が塩化ビニル系樹脂からなるシート材を用いることができる。
床シート材94は、接着剤や両面粘着テープなどの接着手段93を介して床面Aに固定されている。排水処理部材8の側端面と床シート材94の側端面との間に、隙間埋め材95を設けて水密性を高めてもよい。前記隙間埋め材95としては、樹脂製の溶接棒、シーリング材などを用いることができる。
【0045】
排水処理部材8の端部(壁面92側の端部)の排水路81上に、前記ドレインホース接続具1が取り付けられる。ドレインホース接続具1のケース体2の下面2aが、接着手段を介して排水処理部材8の排水路81上に固定されている。接着手段は、特に限定されず、例えば、接着剤、両面粘着テープなどを用いることが挙げられる。また、ケース体2の下面2aの全体が、排水路81上に固定されていることが好ましいが、これに限らず、少なくともケース体2の底壁部23の下面が、排水路81に固定されていればよい。
例えば、ケース体2の前壁部21を側溝91側に対向させ且つ後壁部24を壁面92側に対向させつつケース体2の下面2aを排水路81上に載せ、ケース体2の下面2aを、接着剤などの接着手段(図示せず)を介して排水路81に接着することにより、ドレインホース接続具1が排水処理部材8に取り付けられる。上述のようにケース体2が底壁部23を有し且つ排水路81に整流凸条83が形成されている場合には、底壁部23の凹条26を整流凸条83に対応させてケース体2の下面2aを排水路81上に載せることにより、ドレインホース接続具1を排水処理部材8に安定的に取り付けることができる。
【0046】
ケース体2の前壁部21には通水口5が形成されているので、ドレインホース接続具1を排水処理部材8に取り付けた状態において、排水処理部材8の排水路81と通水口5の間に隙間が生じる。ドレインホース接続具1内から前記隙間を通じて、ドレインホースからの排水が排水処理部材8の排水路81上を流れていく。
前記隙間の上下方向長さ(排水路81と通水口5を画成する切欠き部51の上端面との間の長さ)は、特に限定されないが、余りに小さいと排水が出にくくなり、余りに大きいとドレインホース接続具1の外観が悪くなる上、その隙間からケース体2内に異物が入り込むおそれがある。かかる観点から、前記隙間の上下方向長さは、例えば、1.5mm~10mmであり、好ましくは、2mm~8mmであり、より好ましくは、4mm~7mmである。記隙間の上下方向長さを前記範囲とすることにより、一時的に多量の排水が流れてきても、通水口5から排水路81へ排出する排水を一定量以下にすることができ、内部空間29に滞留した排水がドレインホース接続具1から溢れることを防止できる。
【0047】
排水処理部材8に取り付けられたドレインホース接続具1の第1挿入筒部3に第1ドレインホース71が挿入され、第2挿入筒部4に第2ドレインホース72が挿入される。
第1ドレインホース71は、その軸芯方向を第1挿入筒部3の軸芯方向に沿って挿入され、第1リブ部32に食い込んで第1挿入筒部3内に保持される。第1ストッパー部33が設けられているので、第1ドレインホース71が第1ストッパー部33を越えて挿入されることはなく、第1ドレインホース71の最大挿入長さは第1ストッパー部33までである。なお、第1ドレインホース71は、必ずしも第1ストッパー部33に係止されるまで挿入しなければならないわけではなく、第1リブ部32に食い込んで第1挿入筒部3から不用意に抜け出ない程度に挿入すればよい。
【0048】
第2ドレインホース72も、その軸芯方向を第2挿入筒部4の軸芯方向に沿って挿入され、第2リブ部42に食い込んで第2挿入筒部4内に保持される。第2ストッパー部43が設けられているので、第2ドレインホース72が第2ストッパー部43を越えて挿入されることはなく、第2ドレインホース72の最大挿入長さは第2ストッパー部43までである。なお、第2ドレインホース72は、必ずしも第2ストッパー部43に係止されるまで挿入しなければならないわけではなく、第2リブ部42に食い込んで第2挿入筒部4から不用意に抜け出ない程度に挿入すればよい。
なお、図示例では、第1及び第2ドレインホース71,72として、一般的にドレインホースとして使用されることが多い略円形状のコルゲート状のホース(以下、コルゲートホースという)を例示しているが、コルゲートホース以外のドレインホースをドレインホース接続具1に取り付けてもよい。もっとも、第1リブ部32及び第2リブ部42への食い込みを考慮すると、第1及び第2ドレインホース71,72は、コルゲートホースであることが好ましい。コルゲートホースは、図3に示すような、周方向に凹設された谷部が長手方向に所定間隔を開けて形成されている蛇腹の如き形状をしており、コルゲートチューブとも呼ばれる。コルゲートホースは、前記蛇腹の如き形状によって変形に対する復元力が強いので、その復元力によって本発明のドレインホース接続具1に設けられた第1及び第2ストッパー部33,43に対してより強固に係合するので、第1及び第2挿入筒部3,4筒部から不用意に抜け難くなる。
第1及び第2ドレインホース71,72の外周長は、特に限定されず、それぞれ独立して、直径8mm~25mmのホースが挙げられる。上記第1挿入筒部3及び第2挿入筒部4は、前記外周長の第1及び第2ドレインホース71,72を挿入脱できるような筒状に形成されていればよい。
【0049】
上記排水処理構造Bにおいて、第1及び第2第1ドレインホース71,72から出た排水は、ケース体2の内部空間29から通水口5(通水口5と排水路81の間の隙間)を通じてドレインホース接続具1の外側に出た後、排水路81に従い、側溝91などの所定の箇所に排出される。
本発明のドレインホース接続具1は、第1挿入筒部3と第2挿入筒部4がケース体2の前後方向に並んで配置されているので、排水処理部材8の幅が大型化せず、比較的狭い場所にも排水処理部材8及びドレインホース接続具1を設置することができる。
さらに、本発明のドレインホース接続具1は、第1挿入筒部3の軸芯方向L3の角度D3が第2挿入筒部4の角度D4よりも大きいため、ケース体2内の排水が内部空間29から通水口5を通じて円滑に流れていくようになる。特に、第1挿入筒部3の軸芯方向L3と第2挿入筒部4の軸芯方向L4が内部空間29において交差するように、第1挿入筒部3及び第2挿入筒部4が形成されているため、第1及び第2第1ドレインホース71,72から出た排水は、通水口5を通じて排水処理部材8の排水路81に円滑に流れいくようになる。
【0050】
従来のように、第1及び第2ドレインホースが前後方向に平行に並んで保持するドレインホース接続具にあっては、多量の排水が第1及び第2ドレインホースから出た場合(以下、第1ドレインホースから出る排水を第1水といい、第2ドレインホースから出る排水を第2水という)、第1水が接続具内で第2水を堰き止めてしまい、ドレインホース接続具の筒部の挿入口から排水が溢れることがあった。
この点、本発明のドレインホース接続具1によれば、第1水が、ケース体2の下面2aに対して比較的大きな鋭角を成して流れ出る一方で、第2水が、合流領域において前記第1水の流れに対して後方からぶつかるように流れ出る。このため、第1水と第2水が、合流領域で互いに勢いを打ち消し合い、両水の勢いが緩和され、第1水及び第2水が通水口5からドレインホース接続具1の外側へ円滑に排出されるようになる。
【符号の説明】
【0051】
1 ドレインホース接続具
2 ケース体
2a ケース体の下面
21 ケース体の前壁部
22 ケース体の側壁部
29 内部空間
3 第1挿入筒部
L3 第1挿入筒部の軸芯方向
4 第2挿入筒部
L4 第2挿入筒部の軸芯方向
71 第1ドレインホース
72 第2ドレインホース
8 排水処理部材
A 床面
B 排水処理構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17