(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】貯留槽の設置方法
(51)【国際特許分類】
E03C 1/122 20060101AFI20221219BHJP
E03F 5/20 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
E03C1/122 Z
E03F5/20
E03C1/122 A
(21)【出願番号】P 2019090820
(22)【出願日】2019-05-13
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】前川 健人
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-019642(JP,A)
【文献】特開2002-275976(JP,A)
【文献】特開2002-088842(JP,A)
【文献】特開2017-190626(JP,A)
【文献】特開2003-027549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/122
E03F 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口と流出口とを結ぶ液体流路を挟んだ左右両側に液体滞留空間が設けられた貯留槽を、基盤上に設置するための、貯留槽の設置方法であって、
前記貯留槽の流入側および流出側の少なくとも一方側に高さ調整可能な第1固定具を取り付けて、当該貯留槽の前記基盤に対する第1の固定を行う、第1固定工程と、
前記第1固定具の高さ調整によって前記液体流路の延在方向高さを調整する、第1高さ調整工程と、
前記貯留槽の前記左右両側の少なくとも一方側に高さ調整可能な第2固定具を取り付けて、当該貯留槽の前記基盤に対する第2の固定を行う、第2固定工程と、
前記第2固定具の高さ調整によって前記貯留槽の左右方向高さを調整する、第2高さ調整工程と、
を含む、貯留槽の設置方法。
【請求項2】
前記高さ調整を行う際に、前記貯留槽の天板の上面を、前記液体流路の底面に対する指標面として用いる、請求項1に記載の貯留槽の設置方法。
【請求項3】
前記流入口または前記流出口の一方に配管を接続する配管接続工程をさらに含み、
前記配管接続工程の後に、前記第1固定工程において、前記流入口または前記流出口の他方に前記第1固定具を取り付ける、請求項1または2に記載の貯留槽の設置方法。
【請求項4】
前記配管接続工程において、前記配管を前記流出口に接続し、
前記第1固定工程において、前記第1固定具を前記流入口に取り付ける、請求項3に記載の貯留槽の設置方法。
【請求項5】
前記貯留槽の前記流入口は、流入側に突出しており、前記第1固定工程において、前記第1固定具を、前記流入口を挟み込むように取り付ける、請求項4に記載の貯留槽の設置方法。
【請求項6】
前記配管接続工程において、可撓性を有するフレキシブル管を前記配管に用い、
前記フレキシブル管は、前記流入口または前記流出口の一方から一定の距離を置いて当該フレキシブル管の延在方向で曲げられた状態で、前記基盤に固定される、請求項3に記載の貯留槽の設置方法。
【請求項7】
前記第2固定具は、基盤に接地可能な接地板と、前記接地板を覆うカバーとを有しており、
前記第2固定具は、前記カバーによって前記基盤に取り付けられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の貯留槽の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯留槽の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅等の排水システムとしては、サイホンの原理を利用したサイホン排水システムと呼ばれるものがある。サイホン排水システムによれば、水廻り機器からの排水を行う際、サイホン排水管に生じたサイホン力により、当該排水を促進させることができる。その一方、サイホン排水システムでは、多量の液体の排水を一度に行うことを想定し、サイホン排水管よりも上流に、排水の促進(サイホン力の発生)が開始されるまでの間、一時的に液体を蓄えることができる貯留槽を設ける必要がある。こうした貯留槽としては、当該貯留槽の流入口と流出口との間に貯留部を設けたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した貯留槽によれば、液体の流れが流出口付近で阻害されることなく、多くの液体を迅速かつスムーズに流出させることができる。
【0005】
一方で、貯留槽の流入口と流出口との液体流路の左右両側に液体滞留空間を設けることが考えられる。こうした貯留槽によれば、貯留槽内の液体流路の長さを抑制しつつ、多くの液体を迅速かつスムーズに流出させることができる。
【0006】
一方、こうした貯留槽は、流入口が流出口よりも下側に、かつ、左右両側の液体滞留空間が全体としてほぼ水平となるように、液体流路に沿って一定の角度で傾斜させた状態で基盤に対して設置すれば、液体を効率的に排出することができる。
【0007】
しかしながら、貯留槽の液体流路の左右両側に液体滞留空間を設けた場合、貯留槽を設置する際のレベル出しが容易ではない。特に、基盤が水平ではない場合、貯留槽を設置する際のレベル出しが困難なことがある。
【0008】
本発明の目的は、貯留槽を設置する際のレベル出しが容易な、貯留槽の設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る、貯留槽の設置方法は、流入口と流出口とを結ぶ液体流路を挟んだ左右両側に液体滞留空間が設けられた貯留槽を、基盤上に設置するための、貯留槽の設置方法であって、前記貯留槽の流入側および流出側の少なくとも一方側に高さ調整可能な第1固定具を取り付けて、当該貯留槽の前記基盤に対する第1の固定を行う、第1固定工程と、前記第1固定具の高さ調整によって前記液体流路の延在方向高さを調整する、第1高さ調整工程と、前記貯留槽の前記左右両側の少なくとも一方側に高さ調整可能な第2固定具を取り付けて、当該貯留槽の前記基盤に対する第2の固定を行う、第2固定工程と、前記第2固定具の高さ調整によって前記貯留槽の左右方向高さを調整する、第2高さ調整工程と、を含む。本発明に係る、貯留槽の設置方法によれば、貯留槽を設置する際のレベル出しが容易になる。
【0010】
本発明に係る、貯留槽の設置方法は、前記高さ調整を行う際に、前記貯留槽の天板の上面を、前記液体流路の底面に対する指標面として用いることが好ましい。この場合、貯留槽を設置する際のレベル出しをより容易に行うことができる。
【0011】
本発明に係る、貯留槽の設置方法は、前記流入口または前記流出口の一方に配管を接続する配管接続工程をさらに含み、前記配管接続工程の後に、前記第1固定工程において、前記流入口または前記流出口の他方に前記第1固定具を取り付けることが好ましい。この場合、貯留槽を設置する際のレベル出しをより容易に行うことができる。
【0012】
本発明に係る、貯留槽の設置方法は、前記配管接続工程において、前記配管を前記流出口に接続し、前記第1固定工程において、前記第1固定具を前記流入口に取り付けることが好ましい。この場合、貯留槽を設置する際のレベル出しをより容易に行うことができる。
【0013】
本発明に係る、貯留槽の設置方法は、前記貯留槽の前記流入口は、流入側に突出しており、前記第1固定工程において、前記第1固定具を、前記流入口を挟み込むように取り付けることが好ましい。この場合、貯留槽を設置する際のレベル出しをより容易に行うことができる。
【0014】
本発明に係る、貯留槽の設置方法は、前記配管接続工程において、可撓性を有するフレキシブル管を前記配管に用い、前記フレキシブル管は、前記流入口または前記流出口の一方から一定の距離を置いて当該フレキシブル管の延在方向で曲げられた状態で、前記基盤に固定されることが好ましい。この場合、前記貯留槽が前記配管を曲げることによって反発を受けるような接続であっても、当該配管を前記流入口または前記流出口の一方より近い位置において基盤に対して曲げた状態で固定することができる。
【0015】
本発明に係る、貯留槽の設置方法において、前記第2固定具は、基盤に接地可能な接地板と、前記接地板を覆うカバーとを有しており、前記第2固定具は、前記カバーによって前記基盤に取り付けられることが好ましい。この場合、第2固定具の接地板を基盤に取り付けることなく、当該第2固定具の浮き上がりを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、貯留槽を設置する際のレベル出しが容易な、貯留槽の設置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る、貯留槽の設置方法を用いて施工可能な排水システムの一例を一部断面で示す、模式的なシステム図である。
【
図2】本発明に係る、貯留槽の設置方法において採用可能な貯留槽の一例であって、当該貯留槽の流入側を、上方から示す斜視図である。
【
図3】
図2の貯留槽の流出側を、上方から示す斜視図である。
【
図11】
図2の貯留槽を右側面から示す右側面図である。
【
図12】
図2の貯留槽を左側面から示す左側面図である。
【
図15】
図6のF-F断面を流入側から示す斜視図である。
【
図16】
図6のG-G断面を流入側から示す斜視図である。
【
図19】本発明に係る、貯留槽の設置方法において採用可能な貯留槽の他の例であって、当該貯留槽の流入側を、上方から示す斜視図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係る、貯留槽の設置方法を説明するためのフローチャートである。
【
図21】
図20のフローに従って設置された、
図2の貯留槽の流出側を、上方から示す斜視図である。
【
図22】
図20のフローに従って設置された、
図2の貯留槽の流入側を、上方から示す斜視図である。
【
図23】
図22の第1固定具を含む領域を拡大して示す斜視図である。
【
図24】
図22の第2固定具を含む領域を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、貯留槽の設置方法について詳細に説明をする。
【0019】
[本発明に係る、貯留槽の設置方法を用いて施工可能な排水システム]
図1は、本発明に係る、貯留槽の設置方法を用いて施工可能な排水システムの一例を一部断面で示す模式的なシステム図である。
図1中、符号100は、本発明に係る、貯留槽の設置方法を用いて施工可能な、排水システムの一例である。本例では、排水システム100は、サイホン排水システムである。サイホン排水システムは、サイホンの原理を利用した排水システムである。サイホン排水システムによれば、水廻り機器からの排水を行う際、サイホン排水管に生じたサイホン力により、当該排水を促進させることができる。サイホン排水システムは、例えば、1棟の建物が複数階に区画された集合住宅の排水システムとして採用される。
【0020】
本例では、排水システム100は、水廻り器具110と、器具排水管120と、本発明の一実施形態に係る貯留槽1と、サイホン排水管130と、を備えている。
【0021】
水廻り器具110は、建物の各階に配置されている。水廻り器具110としては、例えば、浴槽(例えば、ユニットバス)、洗面台、流し台が挙げられる。本例では、水廻り器具110は、浴槽である。
【0022】
器具排水管120は、水廻り器具110と貯留槽1とを接続している。本例では、器具排水管120は、床下空間S内に配置されている。本例では、床下空間Sは、建築物の床部材101と床スラブ102との間に形成された空間である。また本例では、器具排水管120は、縦方向に延びている上流側部分120aと、横方向に延びている下流側部分120bとで構成されている。上流側部分120aは、水廻り器具110に接続されている。下流側部分120bは、上流側部分120aに繋がっている。本例では、下流側部分120bは、上流側部分120aから下流に向かうに従って下方に傾斜している。下流側部分120bは、貯留槽1に接続されている。なお、本例では、下流側部分120bの途中に排水トラップ121を介在させている。
【0023】
サイホン排水管130は、貯留槽1と立て管150とを接続している。立て管150は、建物の各階を上下方向に貫く排水管である。本例では、サイホン排水管130は、床下空間S内に配置された横引き管130aと、床スラブ102を貫通して下方に垂下している竪管130bとで構成されている。横引き管130aは、貯留槽1に接続されている。本例では、横引き管130aは、ほぼ水平の無勾配となるように横方向に延びている。詳細には、水廻り器具110が設置されている階の床スラブ102に沿って、略水平の無勾配で配管されている。竪管130bは、横引き管130aに繋がっている。竪管130bは、管継手140を介して立て管150に接続されている。詳細には、竪管130bは、横引き管130aの略垂直下方に延在して、垂下部を形成しサイホン力(例えば、負圧力)を発生させる。
【0024】
本例の排水システム100では、まず水廻り器具110の流出口とサイホン排水管130の横引き管130aとの高低差H1から、水廻り器具110から液体を流出させる。水廻り器具110から流出した液体(例えば、水)は、当該液体の自重(落下押し込み圧力)によって、器具排水管120から貯留槽1に流入する。貯留槽1は、液体の一部を内部に蓄えながら、残りの液体をサイホン排水管130に流出させる。
【0025】
本例において、サイホン排水管130は、サイホン力による吸引力を発生させるサイホン排水路を形成する。サイホン排水路では、サイホン排水管130内に発生したサイホン力によって、サイホン排水管130からの液体の排水を促進させることができる。
【0026】
本例のサイホン排水路においては、水廻り器具110の流出口とサイホン排水管130の横引き管130aの高低差H1による、水廻り器具110からの排水の落下押し込み圧力で、器具排水管120及びサイホン排水管130の横引き管130aを充水させ、サイホン排水管130の横引き管130aの充水により、当該サイホン排水管130の竪管130b(垂下長H2)に達した排水が当該竪管130bを落下し始め、サイホン排水管130の横引き管130aが満水状態になることで、サイホン作用が発生する。このサイホン作用を排水動力として、サイホン排水路内に発生する高速の流れにより、水廻り器具110からの排水が行われ、排水は、管継手140の内部へとスムーズかつ速やかに放出される。
【0027】
本例では、排水システム100として、サイホン排水システムを採用したことから、排水管内部が満水状態に充填される満流排水となる。このように排水システム100として、サイホン排水システムを採用すれば、液体の排水が満流排水となるため、管内に固形物が付着するのを防止できると共に、小口径管を使用することができる。また、本例では、排水システム100として、サイホン排水システムを採用したことから、排水管を無勾配で配置することができる。このように排水システム100として、サイホン排水システムを採用すれば、排水管を無勾配で配置することができることにより、排水管を配置する床下の空間高さを低くすることが可能になる。また本例では、排水システム100として、サイホン排水システムを採用したことから、排水元(例えば、各種水廻り器具110)から立て管150までの延長距離(例えば、水廻り器具110の流出口からサイホン排水管130の竪管130bまでの水平長L)を長くすることができ(
図1参照)、ひいては、居室レイアウトの自由度を上げることが可能となる。
【0028】
ところで、サイホン排水システムを採用した排水システム100では、水廻り器具110から一度に多量の液体の排水が行われることを想定し、器具排水管120とサイホン排水管130との間に、本発明の一実施形態に係る貯留槽1が設けられている。貯留槽1は、排水の促進(サイホン力の発生)が開始されるまでの間、水廻り器具110から一度に排水された多量の水を一時的に蓄えることができる。
【0029】
[本発明に係る、貯留槽の設置方法において採用可能な貯留槽の一例]
図2は、本発明に係る、貯留槽の設置方法において採用可能な貯留槽の一例としての、貯留槽1Aであって、当該貯留槽1Aの流入側を、上方から示す斜視図である。
図3は、
図2の貯留槽1Aの流出側を、上方から示す斜視図である。貯留槽1Aは、液体が流入する流入口A1と、前記液体が流出する流出口A2と、を有し、流入口A1から流入した前記液体を内部に貯留可能である。
【0030】
図4は、貯留槽1Aを流入側から示す正面図である。また
図5は、貯留槽1Aを流出側から示す背面図である。
図5に示すように、貯留槽1Aは、底壁11と、底面に対して起立する周壁12と、底面に対して起立する2つの仕切壁13と、を備えている。本例では、貯留槽1Aは、天壁14を備えている。天壁14は、周壁12の上端と繋がっている。これにより、本例では、貯留槽1Aの内部には、底壁11と、周壁12と、天壁14と、で区画された空間が形成されている。なお、本例では、周壁12には、通気口H12が形成されている。通気口H12は、貯留槽1Aの内部空間を外界に通じさせる。これにより、貯留槽1Aの内部が負圧になることを防止する。
【0031】
図6は、貯留槽1Aを上方から示す平面図である。
図7は、貯留槽1Aを下方から示す底面図である。
図7に示すように、貯留槽1Aにおいて、周壁12は、流入口A1が形成されている流入口部分12aと、流入口部分12aと対向していると共に流出口A2が形成されている流出口部分12bと、を備えている。本例では、周壁12は、流入口部分12aと、流出口部分12bと、流入口部分12aと隣接する流入側隣接部分12cと、流出口部分12bと隣接する流出側隣接部分12dと、側面部分12eと、を備えている。更に本例では、周壁12は、流入側隣接部分12cと側面部分12eとを繋ぐ流入側隅部分12fと、側面部分12eと流出側隣接部分12dとを繋ぐ流出側隅部分12gと、を備えている。
【0032】
図7に示すように、貯留槽1Aでは、底壁11は、周壁12によって区画されている。
図6に示すように、天壁14も、底壁11と同様に、周壁12によって区画されている。なお、本例では、天壁14は、2つの開口部A3を有している。開口部A3は、貯留槽1Aの内部空間を外界に通じさせる。また本例では、周壁12は、天壁14の側において、流入側隅部分12f及び流出側隅部分12gのそれぞれの位置において、窪み部12hを有している。
【0033】
図8は、
図4のA-A断面図である。
図8は、貯留槽1Aの最大断面である。
図9は、
図4のB-B断面図である。
図9は、流入口A1の中心Oaを通る断面である。
図10は、
図5のC-C断面図である。
図10は、流出口A2の中心Obを通る断面である。
図8等に示すように、貯留槽1Aは、流入口A1と流出口A2との間を延在している液体流路R1と、液体流路R1を挟んだ左右両側のそれぞれの位置に配置されている液体滞留空間R2と、を備える。貯留槽1Aでは、液体流路R1は、流入口A1と流出口A2とを結び、流入口A1から流入した液体を流出口A2に案内する。液体流路R1は、平面視で曲線状にしたり、ジグザグ状に延在することも可能である。本実施形態では、液体流路R1は、
図8~
図10に示すように、直線状に延在している。これにより、液体流路R1は、流入口A1と流出口A2とを結ぶ液体流路として最短の経路となる。
【0034】
一方、
図8等に示すように、2つの液体滞留空間R2は、液体流路R1を挟んだ左右両側のそれぞれの位置にあって、液体流路R1と隣接する位置に配置されている。2つの液体滞留空間R2は、それぞれ、流入口A1から流入した液体を滞留させることができる。
【0035】
また、
図8等に示すように、貯留槽1Aでは、周壁12の流入口部分12aは、流入口部分12aと隣接する流入側隣接部分12cよりも流出側に窪んでいる。本例では、
図8等に示すように、周壁12の流入側隣接部分12cは、2つの流入側隅部分12j及び12iを介して流入口部分12aに繋がっている。
【0036】
また、貯留槽1Aでは、周壁12の流出口部分12bは、流出側隣接部分12dよりも流出側に突出している。本例では、
図7等に示すように、周壁12の流出側隣接部分12dは、流出口部分12bに繋がっている。
【0037】
図11は、貯留槽1Aの右側面を示す右側面図である。
図12は、貯留槽1Aの左側面を示す左側面図である。
図11等に示すように、貯留槽1Aでは、流入口A1は、周壁12の流入口部分12a及び流出口部分12bを除く周壁12よりも下側に位置されている。流出口A2も、流入口A1と同様、周壁12の流入口部分12a及び流出口部分12bを除く周壁12よりも下側に位置されている。
【0038】
図13は、
図6のD-D断面図である。
図13は、貯留槽1Aを二分する断面である。
図13は、貯留槽1Aの内部における、液体流路R1と液体滞留空間R2との内部構造を示す。
図14は、
図6のE-E断面図である。
図14は、貯留槽1Aの内部における、液体滞留空間R2の内部構造を示す。
図13に示すように、貯留槽1Aでは、流入口A1は、周壁12の流入口部分12aに形成された流入路P1で構成されている。また流出口A2は、周壁12の流出口部分12bに形成された流出路P2で構成されている。貯留槽1Aでは、液体流路R1は、周壁12の流入口部分12aの内面12faと、底壁11のうち、当該底壁11の下側部分11aの内面(底面)11faと、周壁12の流出口部分12bの内面12fbと、流入路P1と、流出口A2とで構成されている。貯留槽1Aでは、
図13に示すように、液体流路R1の底面F1は、平坦な面で構成されている。本例では、液体流路R1の底面F1は、周壁12の流入口部分12aの内面12faのうち、当該内面12faの最下端(流入口部分12aの液体流通方向に延在する最も下側の延在端)12fa1と、底壁11の下側部分11aの内面11faのうち、当該内面11faの最下端(下側部分11aの液体流通方向に延在する最も下側の延在端)12fa1と、周壁12の流出口部分12bの内面12fbのうち、当該内面12fbの最下端(流出口部分12bの液体流通方向に延在する最も下側の延在端)最下端12fb1と、で構成されている。
【0039】
なお、
図13において、符号12fp1は、流入路P1の最下端(流入路P1の液体流通方向に延在する最も下側の延在端)である。また符号12fp2は、流出口部分12bに形成された流出路P2の最下端(流出路P2の液体流通方向に延在する最も下側の延在端)である。
図13等に示すように、貯留槽1Aでは、底壁11の下側部分11aの最下端(底面)11fa1は、下流に向かって下方に傾斜しており、流出口A2は、流入口A1よりも低い位置に設けられている。本例実施形態では、液体流路R1の底面F1のうち、底面11fa1は、水平軸(
図13では、水平面を、液体流路R1を左右方向視したときに現れる直線Oxで示す。)に対して角度θ11aで傾斜している。角度θ11aは、貯留槽1の内容量、大きさ等に応じて、適宜設定することができる。角度θ11aとしては、例えば、0.5°~5°の角度とすることができる。角度θ11aが0.5°以上の場合、流入口A1から流入した液体を、液体流路R1を通して効果的に流入口A1に流すことができる。また角度θ11aが5°以下の場合、傾斜がきつくなりすぎないことから、液体流路R1を通って流出口A2に流れる液体を、当該流出口A2から効率的に流出させることができる。
【0040】
一方、
図8等に示すように、2つの液体滞留空間R2は、それぞれ、平面視において、周壁12のうち、流入口部分12a及び流出口部分12bを除いた周壁12と、液体流路R1と、で区画されている。詳細には、2つの液体滞留空間R2は、それぞれ、平面視において、流入側隅部分12iの内面12fiと、流入側隅部12jの内面12fjと、流入側隣接部分12cの内面12fcと、流入側隅部分12fの内面12ffと、側面部分12eの内面12feと、流出側隅部分12gの内面12fgと、流出側隣接部分12dの内面12fdと、液体流路R1と、で区画されている。更に、2つの液体滞留空間R2は、それぞれ、
図14等に示すように、底壁11のうち、当該底壁11の上側部分11bの内面(底面)11fbと、天壁14の下面(内面)14f1と、で構成されている。なお、貯留槽1Aでは、
図14に示すように、液体滞留空間R2の底面F2は、平坦な面で構成されている。本例では、液体滞留空間R2の底面F2は、底壁11の上側部分11bの内面11fbで構成されている。
【0041】
図15は、
図6のF-F断面を流入側から示す斜視図である。F-F断面は、天壁14の2つの開口部A3の中心軸を含む平面の断面である。
図15に示すように、液体流路R1には、溝部Gが配置されている。溝部Gは、流入口A1と流出口A2との間に配置されている。
図15等に示すように、貯留槽1Aでは、溝部Gの一部は、底壁11の下側部分11aの内面11faで形作られている。貯留槽1Aでは、底壁11の下側部分11aは、底壁11の上側部分11bに対して窪んでいる。本例では、底壁11の下側部分11aの内面11faは、最深面11fa1と2つの側面11fa2とで構成されている。最深面11fa1は、底壁11のうちの、最も深い面(最下端)である。最深面11fa1は、側面11fa2を介して、底壁11の上側部分11bの内面11fbに繋がっている。最深面11fa1は、側面11fa2に対して液体流路R1の延在方向視で曲線からなる曲面で繋がっている。側面11fa2は、上側部分11bの内面11fbに対して液体流路R1の延在方向視で曲線からなる曲面で繋がっている。
【0042】
また貯留槽1Aでは、溝部Gの一部は、周壁12の流出口部分12bの内面12fbで形作られている。
図11等に示すように、貯留槽1Aでは、周壁12の流出口部分12bは、流出口A2が流出側隣接部分12dよりも下側の位置になるように、下側に延在している。
図15に示すように、本実施形態では、周壁12の流出口部分12bの内面12fbは、最深面12fb1と2つの側面11fb2とを含んでいる。最深面12fb1は、側面12fb2に対して液体流路R1の延在方向視で曲線からなる曲面で繋がっている。側面12fb2は、底壁11の下側部分11aの側面11fa2と同一平面を構成している。最深面12fb1は、周壁12の流出口部分12bの内面12fbのうちの、最も深い面(最下端)である。最深面12fb1は、底壁11の下側部分11aの最深面11fa1と同一平面を構成している。また最深面12fb1は、側面12fb2を介して、仕切壁13の内面13f1に繋がっている。側面12fb2は、仕切壁13の内面13f1と同一平面を構成している。
【0043】
更に
図9等に示すように、貯留槽1Aでは、溝部Gの一部は、周壁12の流入口部分12aの内面11faで形作られている。
図11等に示すように、貯留槽1Aでは、周壁12の流入口部分12aは、流入口A1が流入側隣接部分12cよりも下側の位置になるように、下側に延在している。
図9に示すように、本例では、周壁12の流入口部分12aの内面12faは、最深面12fa1と2つの側面11fa2とで構成されている。最深面12fa1は、側面12fa2に対して液体流路R1の延在方向視で曲線からなる曲面で繋がっている。側面12fa2は、底壁11の下側部分11aの側面11fa2と同一平面を構成している。
図13等に示すように、最深面12fa1は、周壁12の流入口部分12aの内面12faのうちの、最も深い面(最下端)である。最深面12fa1は、底壁11の下側部分11aの最深面11fa1と同一平面を構成している。また
図9等に示すように、最深面12fa1は、側面12fa2を介して、流入側隅部分12iの内面12fiに繋がっている。
【0044】
図10等に示すように、2つの仕切壁13は、流出口A2に向かって延在している。貯留槽1Aでは、流出口A2を確保するように流出口A2に向かって延在している。ここで、「流出口A2を確保する」とは、「流出口A2の開口を閉じない」ことをいう。
【0045】
また
図13に示すように、貯留槽1Aでは、仕切壁13は、当該仕切壁13から前記液体が越流可能な高さH13を有している。本例では、仕切壁13の高さH13は、液体流路R1の底面F1からの高さである。これにより、液体流路R1を通る液体は、当該液体の水頭が一定以上となると、液体滞留空間R2に流すことができる。
【0046】
また
図13等に示すように、貯留槽1Aでは、仕切壁13の高さH13は、流出口A2に向かうに従って高くなる。
図13等に示すように、本例では、仕切壁13の頂面13f2は、側面視の断面形状が流出側に向かって凸の曲線からなる曲面である。
図13に示すように、本例では、仕切壁13の頂面13f2の曲線は、曲率半径R13で構成されている。
【0047】
貯留槽1Aでは、仕切壁13は、周壁12の流出口部分12bの一部として構成されている。仕切壁13は、溝部Gと隣接している位置から起立している。
図16は、
図6のG-G断面を流入側から示す斜視図である。G-G断面は、周壁12と底壁11との境界を含む平面の断面である。
図16等に示すように、貯留槽1Aでは、仕切壁13の内面13f1は、周壁12の流出口部分12bの内面12fbのうち、当該内面12fbの側面12fb2に繋がっていると共に、当該側面12fb2と同一平面を構成している。また貯留槽1Aでは、周壁12の流出口部分12bと隣接する当該周壁12の流出側隣接部分12dの内面12fdは、仕切壁13の頂面13f2に繋がっていると共に、当該仕切壁13の頂面13f2と同一面を形作っている。ここで、「同一面」とは、「滑らかに繋がる連続的な面」をいい、「平面」及び「曲面」のいずれの面も含まれる。
【0048】
図17は、
図6のG-G断面図である。
図17に示すように、貯留槽1Aでは、仕切壁13の頂面13f2の端縁部13eは、貯留槽1Aの内部に向かって凸の曲面である。
【0049】
また
図14に示すように、貯留槽1Aでは、周壁12の流出側隣接部分12dの内面12fdは、側面視の断面形状が流出側に向かって凸の曲線からなる曲面である。
図14に示すように、本例では、流出側隣接部分13dの内面13fdは、底壁11側の曲線は大きな曲率半径Rd11で構成されている。本例では、曲率半径Rd11は、仕切壁13の頂面13f2の曲線を形作る曲率半径R13と同一である。一方、天壁14側の曲線は、底壁11側の曲線よりも小さな曲率半径Rd14で構成されている。
【0050】
本願発明者は、鋭意、試験・研究の結果、サイホン排水システムに用いられる貯留槽において、当該貯留槽の流出口付近の液体の水頭を迅速に高めた場合、多くの液体を迅速かつスムーズに流出させることができ、ひいては、サイホン力が発生するまでの時間を短縮できることを見出した。本例に係る貯留槽1Aは、流出口A2付近の液体の水頭を迅速に高めた場合、多くの液体を迅速かつスムーズに流出させることができることに着目してなされたものである。
【0051】
図13等に示すように、本例に係る貯留槽1Aは、液体が流入する流入口A1と、前記液体が流出する流出口A2と、を有し、流入口A1から流入した前記液体を内部に貯留可能な貯留槽である。貯留槽1Aは、底面に対して起立する周壁12と、底面に対して起立する2つの仕切壁13と、を備えており、周壁12は、流入口A1が形成されている流入口部分12aと、流入口部分12aと対向していると共に流出口A2が形成されている流出口部分12bと、を備えている。2つの仕切壁13は、流出口A2に向かって延在している。
【0052】
本例に係る貯留槽1Aによれば、仕切壁13を設けたことにより、矢印D1に示すように、流出口A2への液体の流れを確保しつつ、流出口A2付近の液体の水頭を迅速に高めることができる。流入口A1から流入した前記液体(排水)が少量の場合であっても、本例によれば、貯留槽1A内に仕切壁13を設けたことにより、流出口A2付近の液体の水頭を迅速に高めることができ、結果的に、サイホン起動を発生させ易くなる。例えば、液体が流入口A1から大量に流入する場合であっても、最初の段階において、流出口A2付近に到達する液体は少量である。このように、流出口A2付近の液体が少量であっても、本例によれば、貯留槽1A内に仕切壁13を設けたことにより、流出口A2付近の液体の水頭を迅速に高めることができ、結果的に、サイホン起動を発生させ易くなる。このため、本例に係る貯留槽1Aによれば、多くの液体を迅速かつスムーズに流出させることができる。特に本例のように、サイホン排水システムに対して貯留槽1Aを用いれば、多くの液体を排水する場合であっても、サイホン力が発生するまでの時間を短縮することができる。
【0053】
また
図13に示すように、本例において、仕切壁13は、当該仕切壁13から前記液体が越流可能な高さH13を有している。この場合、流出口A2付近の液体の水頭が一定以上となると、
図16等の矢印D2に示すように、当該流出口A2付近の液体を仕切壁13から逃がすことができる。このため、本例によれば、液体の流れが流出口A2付近で阻害され難く、より迅速かつスムーズな排水が可能になる。
【0054】
また
図13に示すように、本例において、仕切壁13の高さH13は、流出口A2に向かうに従って高くなっている。この場合、流出口A2付近の液体の水頭を高めつつ、当該流出口A2から離れるに従って、仕切壁13から逃がす液体の量を増加させることができる。このため、本例によれば、サイホン力が発生するまでの時間の短縮と、スムーズな排水とのバランス(両立)を図ることができる。
【0055】
また
図13に示すように、本例において、流出口A2は、流入口A1よりも低い位置に設けられている。この場合、より迅速かつスムーズな排水が可能になる。このため、本例によれば、サイホン力が発生するまでの時間をより短縮することができる。
【0056】
また
図16等に示すように、本例において、仕切壁13は、周壁12の流出口部分12bの一部として構成されており、周壁12の流出口部分12bと隣接する当該周壁12の流出側隣接部分12dの内面12fdは、仕切壁13の頂面13f2に繋がっていると共に、当該仕切壁13の頂面13f2と同一面を形作っている。この場合、矢印D2に示すように、仕切壁13から逃がした液体を、周壁12の流出側隣接部分12dの内面12fdに沿って更に逃がすことができる。このため、本実施形態によれば、液体の流れが流出口A2付近でより阻害され難く、より迅速かつスムーズな排水が可能となる。
【0057】
また
図17に示すように、本例において、仕切壁13の頂面13f2の端縁部13eは、貯留槽1Aの内部に向かって凸の曲面である。この場合、矢印D2に示すように、流出口A2付近の液体を、仕切壁13から周壁12の流出側隣接部分12dの内面12fdに沿って効率的かつスムーズに逃がすことができる。このため、本例によれば、迅速かつスムーズな排水を効率的に行うことが可能となる。
【0058】
また
図14等に示すように、本例において、周壁12の流出側隣接部分12dの内面12fdは、側面視の断面形状が流出側に向かって凸の曲線からなる曲面である。この場合、矢印D3に示すように、仕切壁13から逃がした液体を、上下方向(縦方向)の対流(循環)を生じさせながら、周壁12の流出側隣接部分12dの内面12fdに沿って更に逃がすことができる。このため、本例によれば、更に迅速かつスムーズな排水が可能となる。
【0059】
特に
図8等に示すように、本例に係る貯留槽1Aは、流入口A1と流出口A2との間を延在している液体流路R1と、液体流路R1を挟んだ両側のそれぞれの位置に配置されている液体滞留空間R2と、を備えている。この場合、矢印D1及びD2に示すように、液体流路R1に液体を流しつつ、当該液体の残りを液体滞留空間R2内に滞留させることができる。このため、本例によれば、液体流路R1の延在方向長さの長大化を抑制しつつ、より多くの液体を液体滞留空間R2に貯留することができる。従って、貯留槽1Aによれば、液体の流れが流出口A2付近で阻害され難く、より多くの液体を迅速かつスムーズな排水を一定量だけ連続して行うことが可能になる。加えて、この場合、液体流路R1から流れた液体は、矢印D4に示すように、液体流路R1と液体滞留空間R2との間で対流(循環)させることができる。このため、本例によれば、液体流路R1の延在方向長さの長大化を抑制しつつ、更に多くの液体を迅速かつスムーズに排水することができる。更にこの場合、液体流路R1から流れた液体が、液体流路R1と液体滞留空間R2との間で対流することから、貯留槽1Aの内部に汚れが付着し難くなる。これにより、貯留槽1Aの洗浄に必要な作業の回数を削減することができる。
【0060】
さらに、本例によれば、液体滞留空間R2は、液体流路R1を挟んだ両側のそれぞれの位置に配置されているので、液体滞留空間R2の容積を確保するためには、例えば、当該液体滞留空間R2が延在する方向の寸法(面積)を大きくするだけで済み、液体滞留空間R2の高さ、ひいては貯留槽1Aの高さを高くしないようにすることができる。従って、本例のように、例えば、貯留槽1Aを、液体流路R1を挟んだ両側で液体滞留空間R2が延在する方向を水平方向とし、周壁12の立設方向が鉛直方向となるように、床スラブ102等に設置すれば、床下空間Sの高さを大きく確保することなく、多くの液体を迅速かつスムーズに排水することもできる。ここで、「貯留槽1Aの高さ」とは、貯留槽1Aの鉛直方向の高さ(寸法)である。言い換えれば、貯留槽1Aの周壁12の立設方向の高さ(寸法)である。
【0061】
上記の観点から、より具体的に例えば、本例では、貯留槽1Aの高さは、貯留槽1Aの幅より低くすることができ、好ましくは、貯留槽1Aの高さは、貯留槽1Aの幅の1/2以下であり、より好ましくは、貯留槽1Aの高さは、貯留槽1Aの幅の1/3以下である。ここで、「貯留槽1の幅」とは、互いに対向する貯留槽1Aの周壁12のうち、貯留槽1Aの高さ方向及び液体流路R1の延在方向に対して直交する方向の、2つの周壁12の間の最大幅である。即ち、
図8を参照すれば、図面上下方向に配置された貯留槽1Aにおける2つの周壁(側壁)12eの外面の間の幅(寸法)である。
【0062】
また
図8等に示すように、貯留槽1Aでは、周壁12の流入口部分12aは、当該流入口部分12aと隣接する当該周壁12の流入側隣接部分12cよりも流出側に窪んでいる。この場合、貯留槽1A内を流れる液体は、液体の流出方向に戻り易くなる。このため、より迅速かつスムーズに排水することができる。特に、本例では、液体滞留空間R2が液体流路R1と隣接する位置に配置されているので、液体流路R1から流れた液体は、当該液体流路R1に戻り易くなる。即ち、本例では、液体流路R1と液体滞留空間R2との間で効率的に対流させることができる。このため、本例によれば、液体流路R1を通して多くの液体を、より迅速かつスムーズに排水することができる。また本例では、貯留槽1Aの内部に汚れが更に付着し難くなる。これにより、貯留槽1Aの洗浄に必要な作業の回数を更に削減することができる。
【0063】
また
図16等に示すように、仕切壁13は、溝部Gと隣接している位置から起立している。本例では、溝部Gは、液体流路R1に配置されている。この場合、少量の液体であっても当該液体を溝部Gにより迅速に集めることができる。このため、更に迅速かつスムーズな排水が可能になる。本例では、仕切壁13は、液体流路R1に配置された溝部Gと隣接している位置から起立している。この場合、少量の液体であっても当該液体を液体流路R1に迅速に集めることができる。このため、本例によれば、液体流路R1通して多くの液体を、更に迅速かつスムーズに排水することができる。特に、この場合、仕切壁13は、液体流路R1に配置された溝部Gと隣接している位置から起立しているため、流出口A2付近の液体の水頭をより迅速に高めることができる。このため、本例によれば、液体流路R1を通して多くの液体を、更に一層迅速かつスムーズに排水することができる。
【0064】
また
図8等に示すように、貯留槽1Aでは、周壁12の内面12fのうち、平面視で貯留槽1Aの内部に隅部を形作る当該周壁12の内面12fは、平面視の輪郭形状が曲線からなる曲面である。本例では、例えば、流入側隅部分12iの内面12fi、流入側隅部分12jの内面12fj及び流入側隅部分12fの内面12ff、流出側隅部分12gの内面12fgは、それぞれ、平面視の輪郭形状が曲線からなる曲面である。この場合、液体流路R1から流れた液体を、液体流路R1と液体滞留空間R2との間でより効率的に対流させることができる。従って、本例によれば、多くの液体をより一層スムーズに排水することができると共に、貯留槽1Aの洗浄に必要な作業の回数を更に一層削減することができる。
【0065】
ところで、本願発明者は、鋭意、試験・研究の結果、サイホン排水システムに用いられる貯留槽において、当該貯留槽の流出口付近に液体を集めた場合も、多くの液体を迅速かつスムーズに流出させることができ、ひいては、サイホン力が発生するまでの時間を短縮できることを見出した。本例に係る貯留槽1Aは、流出口A2付近に液体を集めた場合、多くの液体を迅速かつスムーズに流出させることができることに着目してなされたものである。
【0066】
貯留槽1Aでは、周壁12の流出口部分12bは、周壁12の前記流出口部分12bと隣接する当該周壁12の流出側隣接部分12dよりも流出側に突出している。この場合、流出口A2付近に液体を集め易い構造となる。このため、本例によれば、多くの液体を迅速かつスムーズに流出させることができる。特に本例のように、サイホン排水システムに対して貯留槽1Aを用いれば、多くの液体を排水する場合であっても、サイホン力が発生するまでの時間を短縮することができる。
【0067】
図18は、
図6のH-H断面図である。H-H断面は、周壁12の流出側隣接部分12dの上端を含む平面の断面である。
図18に示すように、貯留槽1Aでは、周壁12の流出口部分12bの内面12fbは、液体流通方向視の断面形状がレーストラック形状である。この場合、流出口A2付近に液体をより集め易い構造となる。本例では、レーストラック形状は、横方向(水平方向)に延びる偏平な形状である。例示的なレーストラック形状としては、片側に1つの中心O1が配置された片側単心円のレーストラック形状、片側に2つの中心O1及び中心O2が配置された片側二心円のレーストラック形状、片側に3つの中心O1、中心O2及び中心O3が配置された片側三心円のレーストラック形状が挙げられる。更に片側三心円のレーストラック形状としては、3つの中心O1~O3が整列した片側正三心円のレーストラック形状、2つの中心O1及び中心O3との間の1つの中心O2が外側に配置された片側鋭三心円のレーストラック形状、2つの中心O1及び中心O3との間の1つの中心O2が内側に配置された鈍三心円のレーストラック形状が挙げられる。本例では、流出口A2の断面形状は、片側鋭三心円のレーストラック形状に類似する形状である。なお、本例では、1つの中心O2を挟んだ、2つの中心O1及び中心O2が非整列であって、A-B間は直線である。またそれ以外の間は曲線である。
【0068】
特に、貯留槽1Aでは、
図8等に示すように、周壁12の流出口部分12bの内面12fbは、流出口A2に向かうに従って先細りする曲面を含んでいる。この場合、流出口A2付近に液体をより集め易い構造となる。
【0069】
ところで、
図17に示すように、貯留槽1Aでは、液体滞留空間R2の底面F2は、液体流路R1の延在方向視で、液体流路R1に向かうに従って下方に傾斜し、当該液体流路R1の底面F1に繋がる平面である。この場合、液体滞留空間R2の液体は、当該液体滞留空間R2の底面F2を伝って、液体流路R1に流れ込み易くなる。このため、本例によれば、液体通過領域R1を通して多くの液体を、よりスムーズに排水することができる。本例では、液体滞留空間R2の底面F2は、水平軸(
図17では、水平面を液体流路R1の延在方向視したときに現れる直線Oyで示す。)に対して角度θ11bで傾斜している。角度θ11bは、貯留槽1の内容量、大きさ等に応じて、適宜設定することができる。角度θ11bとしては、例えば、0.5°~5°の角度とすることができる。角度θ11bが0.5°以上の場合、より効果的に排水の対流を形成することができる。また角度θ11bが5°以下の場合、傾斜がきつくなりすぎないことから、液体が流出口A2に入りきらずに水が溢れた場合も、当該溢れた液体をより効果的に液体滞留空間R2に流すことができる。
【0070】
ところで、貯留槽1Aでは、
図17に示すとおり、2つの液体滞留空間R2の底面F2は、互いに接近するに従って下方に傾斜している。この場合、2つの液体滞留空間R2の底面F2の下端を直結すれば、液体流路R1は、2つの底面F2の直結部分を溝底とするV溝とすることができる。或いは、2つの液体滞留空間R2の底面F2の下端を、平面を介して連結すれば、液体流路R1は、前記平面を溝底とする台形V溝とすることもできる。これらの液体流路R1の底面F1はいずれも2つの液体滞留空間R2の底面F2と同一の高さ位置にある。
【0071】
これに対し、
図13等に示すように、貯留槽1Aでは、液体流路R1の底面F1は、液体滞留空間R2の底面F2よりも低い位置に配置されている。この場合、多くの液体を液体流路R1に集めることができる。このため、本例によれば、液体流路R1を通して多くの液体を、よりスムーズに排水することができる。本例では、液体流路R1に溝部Gを配置している。流出口A2の最下端12fP2が液体滞留空間R2の底面F2よりも低い位置に配置されている。
【0072】
また
図13~
図17等に示すように、本例では、少なくとも液体滞留空間R2における周壁12の内面12fは、周壁12の延在方向視の断面形状が貯留槽1Aの内部から外向きに凸の曲線からなる曲面である。この場合、液体流路R1から流れた液体は、上下方向(縦方向)の対流(循環)が生じながら、周壁12の流出側隣接部分12dの内面12fdに沿って更に逃げる。このため、本例によれば、液体流路R1と液体滞留空間R2との間の対流をより効率的に行うことができる。従って、本例によれば、多くの液体をより一層スムーズに排水することができると共に、貯留槽1Aの洗浄に必要な作業の回数を更に一層削減することができる。
【0073】
また本例では、液体流路R1は、
図4及び
図5に示すように、流出口A2が、液体の流通方向視(液体流路R1の延在方向視)で、流入口A1の少なくとも一部と一直線上に重なるように整列されている。
【0074】
図4を参照すると、流入口A1及び流出口A2の整列に関する具体例としては、例えば、以下の、(1)~(3)のいずれかを組み合わせる方法が挙げられる。
(1)流入口A1の中心Oaと、流出口1bの中心Obと、を、液体通過領域R1の延在方向視で、同一の鉛直線Oz上に整列させる。
(2)流入口A1の内径の大きさ(流入口A1の半径raの大きさ)と、流出口A2の内径の大きさ(流出口A2の半径rbの大きさ)と、を調整する。
(3)流入口A1の中心Oaと、流出口A2の中心Obとの、鉛直方向(鉛直線Ozの方向)の間隔ΔZを調整する。
【0075】
本例では、(1)~(3)の全ての方法を使用して、流出口A2が、液体流路R1の延在方向視)で、流入口A1の少なくとも一部と一直線上に重なるように整列させている。特に、
図4に示すように、本実施形態では、(2)において、流出口A2の内径の大きさが流入口A1の内径の大きさよりも小さくなるように設定している。これにより、流出口A2から流出される液体の量は、流入口A1から流入する液体の量に比べて小さくなる。また本例では、
図4に示すように、(3)において、流入口A1の中心Oaと、流出口A2の中心Obとは、流入口A1の開口内下端部に、流出口A2の開口内上端が重なるように、鉛直方向の間隔ΔZを調整している。
【0076】
[本発明に係る、貯留槽の設置方法において採用可能な貯留槽の他の例]
図19は、本発明に係る、貯留槽の設置方法において採用可能な貯留槽の他の例としての、貯留層1Bであって、当該貯留槽1Bの流入側を、上方から示す斜視図である。本例では、周壁12は、液体流路R1と、液体流路R1の左右両側に配置された2つの液体滞留空間R2とを取り囲んで、貯留槽1Bの外形形状をバタフライ形(H形)に形作っている。本例では、仕切壁13は、周壁12と異なる壁である。
【0077】
[本発明の一実施形態に係る、貯留槽の設置方法]
図20は、本発明の一実施形態に係る、貯留槽の設置方法を説明するためのフローチャートである。以下、
図20のフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係る、貯留槽の設置方法を説明する。
【0078】
本実施形態に係る、貯留槽の設置方法ではまず、貯留槽準備工程を行う(S1)。貯留槽準備工程では、流入口と流出口とを結ぶ液体流路を挟んだ左右両側に液体滞留空間が設けられた貯留槽を準備する。前記貯留槽としては、例えば、
図2の貯留槽1A、
図19の貯留槽1Bを用いることができる。本実施形態では、
図2の貯留槽1Aを準備する。
【0079】
次いで、本実施形態に係る、貯留槽の設置方法では、配管接続工程を行う(S2)。配管接続工程では、前記貯留槽の前記流入口または前記流出口の一方に配管を接続する。本実施形態では、前記配管接続工程において、前記配管を前記貯留槽の前記流出口に接続する。
図21には、貯留槽1Aの流出口A2に、配管としてサイホン排水管130を接続した状態を示す。本実施形態では、サイホン排水管130は、スリーブジョイント(接続用スリーブ部材)30を介して貯留槽1Aの流出口A2に接続されている。
【0080】
さらに、本実施形態では、前記配管接続工程において、可撓性を有するフレキシブル管を前記配管に用い、前記フレキシブル管は、前記貯留槽の前記流入口または前記流出口の一方から一定の距離L30を置いて当該フレキシブル管の延在方向で曲げられた状態で、基盤に固定される。本実施形態では、
図21に示すように、サイホン排水管130としてフレキシブル管を用いている。また、
図21に示すように、本実施形態では、サイホン排水管130は、基盤に対して固定されたサドルバンド31に取り付けられている。これにより、サイホン排水管130は、基盤に対して固定することができる。ここで、「基盤」とは、排水システム100を支える対象物の表面を意味し、土地の表面(地表)はもちろん、スラブ(例えば、コンクリートスラブ)等の基礎の表面を含む。貯留槽1Aの流出口A2と、当該流出口A2に最も隣接するサドルバンド31とは、一定の距離L30を置いて、サイホン排水管130が直線的に延在するように配置されている。本実施形態では、前記一定の距離L30は、サイホン排水管130が、当該サイホン排水管130の延在方向で直線的に延在する長さである。
図22に示すように、本実施形態では、サイホン排水管130は、貯留槽1Aの流出口A2に隣接する数個(この例では2個)のサドルバンド31によって、サイホン排水管130を一定の距離を置いて曲げられている。
【0081】
なお、本実施形態では、サドルバンド31は、クランプ式のサドルバンドである。サドルバンド31は、切り欠き31aを有している。これにより、サイホン排水管130は、切り欠き31aを通してサドルバンド31に対して着脱させることができる。ただし、本発明によれば、サドルバンド31の切り欠き31aは、省略することができる。また、サドルバンド31は、例えば、ねじ、ボルト等の締結要素、接着剤等によって、基盤に対して固定することができる。
【0082】
図20を参照すれば、次いで、本実施形態に係る、貯留槽の設置方法では、第1固定工程を行う(S3)。第1固定工程では、前記貯留槽の流入側および流出側の少なくとも一方側に高さ調整可能な第1固定具を取り付けて、当該貯留槽の前記基盤に対する第1の固定を行う。本実施形態では、前記配管接続工程の後に、前記第1固定工程において、前記第1固定具を取り付ける。本実施形態では、前記第1固定工程において、前記第1固定具を前記流入口に取り付ける。
図22には、第1固定具10を貯留槽1Aの流入口1Aに取り付けて、前記基盤に対する第1の固定が行われた状態を示す。ここで、「前記貯留槽の流入側」とは、当該貯留槽の流入口を含む部位は勿論、当該貯留槽の流入口に接続される配管を含む。また、「前記貯留槽の流出側」とは、当該貯留槽の流出口を含む部位は勿論、当該貯留槽の流出口に接続される配管を含む。
【0083】
本実施形態では、上述のとおり、貯留槽1Aの流入口1Aは、流入側に突出しており、前記第1固定工程において、第1固定具10を、貯留槽1Aの流入口A1を挟み込むように取り付ける。
図6等に示すように、本実施形態では、貯留槽1Aの流入口部分12aは、流入側に突出して、流入口A1を形成している。
図23は、
図22の第1固定具10を含む領域を拡大して示している。本実施形態では、第1固定具10は、基盤に対して取り付けられるベース10aと、ベース10aから起立する2つのシャフト部材10bと、貯留槽1Aの流入口部分12aに取り付けられる取付バンド10cと、を有している。本実施形態では、取付バンド10cは、クランプ式のバンドである。本実施形態では、取付バンド10cは、下側バンド部10c1と、上側バンド部10c2とを有している。第1固定具10は、貯留槽1Aの流入口部分12aを下側バンド部10c1と、上側バンド部10c2とで挟み込むことによって、貯留槽1Aの流入口部分12aに取り付けられる。これにより、第1固定具10は、貯留槽1Aに対して固定することができる。また、本実施形態では、ベース10aは、例えば、ねじ、ボルト等の締結要素、接着剤等によって、基盤に対して固定することができる。これにより、第1固定具10は、基盤に対して固定することができる。
【0084】
図20を参照すれば、次いで、本実施形態に係る、貯留槽の設置方法では、第1高さ調整工程を行う(S4)。第1高さ調整工程では、前記第1固定具の高さ調整によって前記液体流路の延在方向高さを調整する。
【0085】
本実施形態では、第1固定具10は、高さ調整が可能な固定具である。本実施形態では、第1固定具10は、ねじ式の高さ調整部を有している。本実施形態では、前記高さ調整部は、ナット部材と、ボルト部材と、からなる。高さ調整は、ナット部材によって行う。具体的には、ボルト部材に対してナット部材を時計回りまたは反時計回りに回転させることによって、ボルト部材に対するナット部材の高さを調整する。
【0086】
本実施形態では、シャフト部材10bは、ボルト部材で構成されている。シャフト部材10bは、取付バンド10cの下側バンド部10c1および上側バンド部10c2がシャフト部材10bに沿って上下移動できるように、下側バンド部10c1および上側バンド部10c2を貫通している。また、シャフト部材10bには、ナット部材10dが取り付けられている。本実施形態では、ナット部材10dは、第1ナット部材10d1、第2ナット部材10d2および第3ナット部材10d3の3つのナット部材を含む。第1ナット部材10d1は、高さ調整用部材として機能する。第1ナット部材10d1は、下側バンド部10c1の下部と接触することによって、下側バンド部10c1を介して貯留槽1Aの流入口部分12a、ひいては流入口1Aを下側から支持する。これにより、第1ナット部材10d1を時計回りにまたは反時計回りに回転させれば、液体流路R1の延在方向高さのうち、流路上流側の高さを調整することができる。第2ナット部材10d2は、押さえ用部材として機能する。第2ナット部材10d2は、上側バンド部10c2の上部に接触させることができる。これにより、第2ナット部材10d2を第1ナット部材10d1に接近するように回転させれば、上側バンド部10c2を介して、貯留槽1Aの流入口部分12a、ひいては流入口1Aを下向きに押さえることができる。また、第2ナット部材10d2を第1ナット部材10d1から離れるように回転させれば、上側バンド部10c2を貯留槽1Aの流入口部分12aから上向きに離すことができる。加えて、第3ナット部材10d3は、位置決め用部材として機能する。第3ナット部材10d3は、第1ナット部材10d1の下部に接触させることができる。これにより、第3ナット部材10d3を第1ナット部材10d1に接近するように回転させれば、第1ナット部材10d1の下向きの移動を抑えることができる。
【0087】
第1固定具10によれば、第1ナット部材10d1をシャフト部材10bに沿って上下移動させることにより、液体流路R1の延在方向高さのうち、流路上流側の高さを調整することができる。この結果、第1固定具10によれば、第1ナット部材10d1をシャフト部材10bに沿って上下移動させることにより、液体流路R1の延在方向高さを調整することができる。これにより、本実施形態によれば、貯留槽1Aを液体流路R1の延在方向に沿って流路上流側または流路下流側のいずれか一方に向かって下向きに傾斜するように(好適には、貯留槽1Aの液体流路R1が当該液体流路R1の延在方向に沿って流路下流側に向かって下向きに傾斜するように)レベル出しし、あるいは、貯留槽1Aを液体流路R1の延在方向に沿って水平にレベル出しすることができる。ここで、「レベル出し」とは、前記貯留槽の液体流路の延在方向の流路上流側および流路下流側の高さ、ならびに、前記液体流路を挟んだ左右両側の高さを、所望の高さに調整することをいう。特に、本実施形態では、第3ナット部材10d3を第1ナット部材10d1に接触させることにより、第1ナット部材10d1を高さ方向に強固に位置決めすることができる。また、第1固定具10によれば、第2ナット部材10d2を第1ナット部材10d1に対して接近させることにより、貯留槽1Aの流入口1Aを挟み込むように、貯留槽1Aの流入口A1に第1固定具10を取り付けることができる。さらに、本実施形態において、第1固定具10によれば、第1ナット部材10d1および第2ナット部材10d2を互いに離間させることにより、貯留槽1Aの流入口A1から第1固定具10を取り外すことができる。
【0088】
図20を参照すれば、次いで、本実施形態に係る、貯留槽の設置方法では、第2固定工程を行う(S5)。第2固定工程では、前記貯留槽の前記左右両側の少なくとも一方側に高さ調整可能な第2固定具を取り付けて、当該貯留槽の前記基盤に対する第2の固定を行う。
図22には、第2固定具20を貯留槽1Aの左右両側のうちの一方側に取り付けて、前記基盤に対する第2の固定が行われた状態を示す。
【0089】
本実施形態では、前記第2固定工程において、第2固定具20を、貯留槽1Aの側面部分12eに取り付ける。
図6等に示すように、本実施形態では、貯留槽1Aの側面部分12eには、4つの張出部15が設けられている。各張出部15には、貫通穴15aが形成されている。
図24は、
図22の第2固定具20を含む領域を拡大して示している。本実施形態では、第2固定具20は、4つの張出部15のうちの、1つの張出部15に取り付けられている。本実施形態では、第2固定具20は、基盤に接地可能な接地板(フランジ)20aと、接地板20aから起立するシャフト部材20bと、貯留槽1Aの張出部15に取り付けられる取付プレート20cと、を有している。本実施形態では、取付プレート20cは、コの字形のプレートである。本実施形態では、取付プレート20cは、下側プレート部20c1と、上側プレート部20c2と、下側プレート部20c1と上側プレート部20c2と連結する連結プレート部20c3と、を有している。第2固定具20は、貯留槽1Aの張出部15を下側プレート部20c1と、上側プレート部20c2とで挟み込むことによって、貯留槽1Aの張出部15に取り付けられる。これにより、第2固定具20は、貯留槽1Aに対して固定することができる。なお、本実施形態では、第2固定具20は、4つの張出部15のうちの、1つの張出部15にのみ、取り付けられているが、液体流路R1の延在方向において同位置の張出部15、液体流路R1の延在方向において異なる位置の張出部15、液体流路R1を挟んだ左右両側のいずれか一方側の2つの張出部15、或いは、4つの張出部15の全てに取り付けられることができる。
【0090】
さらに、本実施形態では、前記第2固定具は、基盤に接地可能な接地板と、前記接地板を覆うカバーとを有しており、前記第2固定具は、前記カバーによって前記基盤に取り付けられる。
図24には、接地板20aがカバー20eによって前記基盤に対して取り付けられた状態を示す。本実施形態では、カバー20eは、ほぼZ型のアングルプレートである。本実施形態では、カバー20eは、前記基盤に対して取り付けられるベース部20e1と、接地板20aの上方に配置されるカバー本体部20e2と、ベース部20e1とカバー本体部20e2と連結する連結部20e3と、を有している。本実施形態では、カバー本体部20e2は、連結部20e3を介してベース部20e1と反対方向に突出している。接地板20aは、カバー本体部20e2と基盤とで挟み込むことによって、カバー本体部20e2と基盤との間に取り付けられる。ベース20e1は、例えば、ねじ、ボルト等の締結要素、接着剤等によって、基盤に対して固定することができる。これにより、第2固定具20は、基盤に対して固定することができる。特に、本実施形態では、カバー20eのカバー本体部20e2には、切り欠き部20e4が形成されている。
図24に示すように、切り欠き部20e4は、シャフト部材20bを横から通すことができる。これにより、カバー20eを基盤に対して固定した後も、接地板20aとともにシャフト部材20bをカバー20eから取り外すことができる。
【0091】
図20を参照すれば、次いで、本実施形態に係る、貯留槽の設置方法では、第2高さ調整工程を行う(S6)。第2高さ調整工程では、前記第2固定具の高さ調整によって前記貯留槽の左右方向高さを調整する。
【0092】
本実施形態では、第2固定具20は、高さ調整が可能な固定具である。本実施形態では、第2固定具20は、ねじ式の高さ調整部を有している。本実施形態では、前記高さ調整部は、ナット部材と、ボルト部材と、からなる。高さ調整は、ナット部材によって行う。具体的には、ボルト部材に対してナット部材を時計回りまたは反時計回りに回転させることによって、ボルト部材に対するナット部材の高さを調整する。
【0093】
本実施形態では、シャフト部材20bは、ボルト部材で構成されている。シャフト部材20bは、取付プレート20cの下側プレート部20c1および上側プレート部20c2をシャフト部材20bに沿って上下移動させることができるように、張出部15の貫通穴15aとともに下側プレート部20c1および上側プレート部20c2を貫通している。また、シャフト部材20bには、ナット部材20dが取り付けられている。本実施形態では、ナット部材20dは、第1ナット部材20d1および第2ナット部材20d2の2つのナット部材を含む。第1ナット部材20d1は、高さ調整用部材として機能する。第1ナット部材20d1は、取付プレート20cの下側プレート部20c1の下部と接触することによって、下側プレート部20c1を介して貯留槽1Aの張出部15を下側から支持する。これにより、第1ナット部材20d1を時計回りにまたは反時計回りに回転させれば、貯留槽1Aの左右方向高さのうち、当該左右方向高さの一方(本例では、流入口側から見て左側)の高さを調整することができる。第2ナット部材20d2は、押さえ用部材として機能する。第2ナット部材20d2は、取付プレート20cの上側プレート部20c2の上部に接触させることができる。これにより、第2ナット部材20d2を第1ナット部材20d1に接近するように回転させれば、取付プレート20cの上側プレート部20c2を介して、貯留槽1Aの張出部15を下向きに押さえることができる。また、第2ナット部材20d2を第1ナット部材20d1から離れるように回転させれば、取付プレート20cの上側プレート部20c2を貯留槽1Aの張出部15から上向きに離すことができる。
【0094】
第2固定具20によれば、第1ナット部材20d1をシャフト部材20bに沿って上下移動させることにより、貯留槽1Aの左右方向高さのうち、当該左右方向高さの一方の高さを調整することができる。この結果、第2固定具20によれば、第1ナット部材20d1をシャフト部材20bに沿って上下移動させることにより、液体流路R1を挟んだ左右両側の高さを調整することができる。これにより、本実施形態によれば、貯留槽1Aを左右方向に沿って水平にレベル出しし、あるいは、貯留槽1Aを液体流路R1を挟んだ左右方向に沿って当該左右方向のいずれか一方に向かって下向きに傾斜するようにレベル出しすることができる。また、第2固定具20によれば、第2ナット部材20d2を第1ナット部材20d1に対して接近させることにより、貯留槽1Aの張出部15を挟み込むように、貯留槽1Aの張出部15に対して第2固定具20を取り付けることができる。さらに、本実施形態において、第2固定具20によれば、第1ナット部材20d1および第2ナット部材20d2を互いに離間させることにより、貯留槽1Aの張出部15から第2固定具20を取り外すことができる。
【0095】
なお、本実施形態において、ナット部材20dには、第1固定具10の第3ナット部材10d3と同様の、第3ナット部材20d3(図示省略)を含めることができる。第3ナット部材20d3は、第1固定具10の第3ナット部材10d3と同様、位置決め用部材として機能する。第3ナット部材20d3は、第1ナット部材20d1の下部に接触させることができる。この場合、第1固定具10の第3ナット部材10d3と同様、第3ナット部材20d3を第1ナット部材20d1に接近するように回転させれば、第1ナット部材20d1の下向きの移動を抑えることができる。これにより、第3ナット部材20d3を第1ナット部材20d1に接触させることにより、第1固定具10の第3ナット部材10d3と同様、第1ナット部材20d1を高さ方向に強固に位置決めすることができる。
【0096】
貯留槽1Aのように、液体流路R1を挟んだ左右両側に液体滞留空間R2が設けられた貯留槽の場合、貯留槽の四隅を固定したのち、当該四隅のそれぞれで高さ調整を行うことが考えられる。しかしながら、貯留槽の四隅を固定したのち、当該四隅のそれぞれで高さ調整を行うことは、煩雑な作業となる。また、液体流路R1を挟んだ左右両側に液体滞留空間R2が設けられた貯留槽の場合、液体流路R1の周りに回転しやすいことから、作業の手順を誤ると、貯留槽の設置にバランスが悪く、結果的に、煩雑な作業となる。
【0097】
これに対し、本実施形態に係る、貯留槽の設置方法によれば、上述のとおり流入口A1と流出口A2とを結ぶ液体流路R1を挟んだ左右両側に液体滞留空間R2が設けられた貯留槽1Aを用い、貯留槽1Aの流入口A1側および流出口A2側の少なくともいずれか一方側を基盤に対して固定したのち、当該固定部分の高さを調整し、その後、貯留槽1Aの左右両側の少なくともいずれか一方側を基盤に対して固定したのち、当該固定部分の高さを調整することによって、貯留槽1Aのレベル出しを行う。これにより、貯留槽1Aの四隅を固定したのち、当該四隅のそれぞれで高さ調整を行う必要がない。また、本実施形態によれば、液体流路R1の延在方向を最初に固定したのち、液体流路R1の上流側および下流側の少なくとも一方側の高さ調整を行うため、貯留槽が比較的バランスの取れた状態で、当該貯留槽の固定および高さ調整を行うことができる。このため、本実施形態に係る、貯留槽の設置方法によれば、貯留槽を設置する際のレベル出しが容易になる。
【0098】
また、本発明に係る、貯留槽の設置方法によれば、前記高さ調整を行う際に、前記貯留槽の天板の上面を、前記液体流路の底面に対する指標面として用いることが好ましい。
【0099】
前記貯留槽の天板の上面を、前記液体流路の底面に対する指標面として用いれば、前記貯留槽の天板を取り除くことなく、液体流路R1の底面F1および液体滞留空間R2の底面F2のレイアウトを考慮しながら、高さ調整を行うことができる。したがってこの場合、貯留槽1Aを設置する際のレベル出しをより容易に行うことができる。特に、
図13を参照すれば、本実施形態では、貯留槽1Aの天壁14の上面14f2を水平に配置したとき、液体流路R1の底面F1の、底面11fa1は、角度θ11aで傾斜している。このため、貯留槽1Aの天壁14の上面14f2を指標面として用いれば、液体流路R1を直接確認することなく、液体流路R1の延在方向における高さ調整を容易に行うことができる。したがってこの場合、貯留槽1Aを設置する際の、液体流路R1の延在方向におけるレベル出しをより容易に行うことができる。具体的には、
図21等に示すように、貯留槽1Aの天壁14の上面14f2に水準器SLを置いて高さ調整を行うだけで、液体流路R1を直接確認することなく、液体流路R1の傾きを決めることができる。
【0100】
また、本発明に係る、貯留槽の設置方法は、前記流入口または前記流出口の一方に配管を接続する配管接続工程を含み、前記配管接続工程の後に、前記第1固定工程において、前記流入口または前記流出口の他方に前記第1固定具を取り付けることが好ましい。貯留槽を固定する前に予め、貯留槽の流入口または流出口の一方に配管を接続しておけば、貯留槽の位置決めを容易に行うことができる。本実施形態では、
図21等に示すように、貯留槽1Aを固定する前に予め、貯留槽1Aの流出口A2にサイホン排水管130を接続しておく。この場合、貯留槽を設置する際のレベル出しをより容易に行うことができる。なお、本発明によれば、貯留槽1Aを固定する前に予め、貯留槽1Aの流入口A1に器具排水管120を接続しておくことも可能である。
【0101】
特に、本実施形態に係る、貯留槽の設置方法では、前記配管接続工程において、配管(サイホン排水管130)を流出口A2に接続し、前記第1固定工程において、第1固定具10を流入口A1に取り付ける。貯留槽1Aの流出口A2は、上述のとおり一般的には、流入口A1よりも低い位置にある。このため、貯留槽1Aを固定する前に予め、貯留槽1Aの流出口A2に配管を接続すれば、貯留槽1Aは基盤に対して比較的安定した状態で前記配管を容易に接続することができる。したがって、本実施形態のように、貯留槽1Aを固定する前に予め、貯留槽1Aの流出口A2にサイホン排水管130を接続すれば、貯留槽1Aを設置する際のレベル出しをより容易に行うことができる。
【0102】
また、本実施形態に係る、貯留槽の設置方法では、貯留槽1Aの流入口A1が流入側に突出しており、前記第1固定工程において、第1固定具10を、貯留槽1Aの流入口A1を挟み込むように取り付ける。貯留槽1Aの流入口A1を流入側に突出させて当該流入口1Aを挟み込むように第1固定具10を取り付ければ、当該第1固定具10を貯留槽1Aに対して容易に取り付けることができる。したがって、この場合、貯留槽1Aを設置する際のレベル出しをより容易に行うことができる。
【0103】
また、本発明に係る、貯留槽の設置方法では、可撓性を有するフレキシブル管を前記配管に用い、前記フレキシブル管は、前記流入口または前記流出口の一方から一定の距離を置いて当該フレキシブル管の延在方向で曲げられた状態で、前記基盤に固定されることが好ましい。この場合、前記貯留槽が前記配管を曲げることによって反発を受けるような接続であっても、当該配管を前記流入口または前記流出口の一方より近い位置において基盤に対して曲げた状態で固定することができる。本実施形態に係る、貯留槽の設置方法では、前記配管接続工程において、可撓性を有するフレキシブル管をサイホン排水管130に用い、サイホン排水管130は、流出口A2から一定の距離L30を置いて当該サイホン排水管130の延在方向で曲げられた状態で、前記基盤に固定される。この場合、貯留槽1Aがサイホン排水管130を曲げることによって反発を受けるような接続であっても、当該サイホン排水管130を流出口A2より近い位置において基盤に対して曲げた状態で固定することができる。なお、上記一定の距離は、例えば、貯留槽、当該貯留槽に接続される配管(フレキシブル管)等に応じて、適宜設定することができる。具体例としては、配管の反力を軽減するため、流出口A2の延長線上300mmの位置をサドルバンドで固定することができる。
【0104】
また、本実施形態に係る、貯留槽の設置方法において、第2固定具20は、基盤に接地可能な接地板20aと、接地板20aを覆うカバー20eとを有しており、第2固定具20は、カバー20eによって基盤に取り付けられる。第2固定具20の接地板20aを基盤に取り付けることなく、当該接地板20aを基盤に対して接地させた場合、当該第2固定具20が基盤に対して浮き上がることが想定される。この浮き上がりは、例えば、液体流路R1からの液体が液体滞留空間R2に流れ込む場合に生じ得る。これに対し、本実施形態のように、第2固定具20の接地板20aをカバー20eで覆い、当該カバー20eを基盤に取り付ければ、第2固定具20の接地板20aを基盤に取り付けることなく、当該接地板20aを基盤に接地させただけの場合でも、当該第2固定具20が基盤に対して浮き上がることがない。したがって、この場合、第2固定具20の接地板20aを基盤に取り付けることなく、当該第2固定具20の浮き上がりを防止することができる。なお、本実施形態では、第2固定具20は、ナット部材20dによって高さ調整を行っているが、当該高さ調整は、シャフト部材20bをボルト部材として、張出部15に対してねじ付ける構成と採用することによって実現することも可能である。この場合、本実施形態のように、接地板20aをカバー20eで覆えば、カバー20eを貫通するシャフト部材20bを回転させることにより、高さ調整を行うことができる。
【0105】
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。例えば、第1固定具10は、貯留槽1Aの流入口A1または流出口A2に取り付ける他、当該流入口A1または流出口A2に接続される配管に取り付けることができる。また、第1固定具10は、挟み込みによって取り付けられるものに限定されない。この場合、例えば、第1固定具10は、貯留槽1Aの液体流路R1に沿った任意の部位に取り付けることができる。また、第2固定具20も、張出部15に取り付ける他、貯留槽1Aのうちの、液体流路R1を挟んだ左右両側のいずれか一方の部位に取り付けることができる。この場合、例えば、貯留槽1Aの四隅のうち、少なくともいずれか1箇所に取り付けることができる。また排水システム100の構成は、本実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、器具排水管120及びサイホン排水管130は、それぞれの上流側部分(横引き管)と下流側部分(竪管)とが一体の排水管で説明したが、上流側部分(横引き管)と下流側部分(竪管)とを別体の排水管とし、これらの排水管を互いに接続させることにより、器具排水管120又はサイホン排水管130とすることができる。
【符号の説明】
【0106】
1A:貯留槽, 1B:貯留槽, A1:流入口, P1:流入路, A2:流出口, P2:流出路, 1c:通気口, 11:底壁, 11a:底壁の下側部分, 11fa:底壁の下側部分の内面, 11fa1:底壁の下側部分の最深面, 11fa2:底壁の下側部分の側面, 11b:底壁の上側部分, 11fb:底壁の上側部分の内面, 12:周壁, 12a:周壁の流入口部分, 12fa:周壁の流入口部分の内面, 12fa1:周壁の流入口部分の内面の最深面, 12fa2:周壁の流入口部分の内面の側面, 12b:周壁の流出口部分, 12fb:周壁の流出口部分の内面, 12fb1:周壁の流出口部分の内面の最深面, 12fb2:周壁の流出口部分の内面の側面, 12c:周壁の流入口隣接部分, 12fc:周壁の流入口隣接部分の内面, 12d:周壁の流出口隣接部分, 12fd:周壁の流出口隣接部分の内面, 12e:周壁の側面部分, 12fe:周壁の側面部分の内面, 12f:周壁の流入側隅部分, 12ff:周壁の流入側隅部分の内面, 12i:周壁の流入側隅部分, 12fi:周壁の流入側隅部分の内面, 12j:周壁の流入側隅部分, 12fj:周壁の流入側隅部分の内面, 12g:周壁の流出側隅部分, 12fg:周壁の流出側隅部分の内面, 13:仕切壁, 13f1:仕切壁の側面, 13f2:仕切壁の頂面, 13e:仕切壁の頂面の端縁部, 10:第1固定具, 10a:ベース, 10b:シャフト部材, 10c:取付バンド, 10c1:下側バンド部, 10c2:上側バンド部, 10d:ナット部材, 10d1:第1ナット部材, 10d2:第2ナット部材, 10d3:第3ナット部材, 20:第2固定具, 20a:接地板, 20b:シャフト部材, 20c:取付プレート, 20c1:下側プレート部, 20c2:上側プレート部,, 20c3:連結プレート部, 20d:ナット部材, 20d1:第1ナット部材, 20d2:第2ナット部材, 20d3:第3ナット部材, 20e:カバー, 20e1:ベース部, 20e2:カバー本体部, 20e3:連結部, 20e4:切り欠き部, 31:サドルバンド, 31a:サドルバンドの切り欠き, R1:液体流路, G:溝部, F1:液体流路の底面, R2:液体滞留空間, F2:液体滞留空間の底面, SL:水準器, 100:排水システム, 101:床部材, 102:床スラブ, 110:水廻り器具, 120:器具排水管, 120a:器具排水管の上流側部分, 120b:器具排水管の下流側部分, 121:排水トラップ, 130:サイホン排水管, 130a:サイホン排水管の横引き管, 130b:サイホン排水管の竪管, 140:管継手, 150:立て管, S:床下空間