(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】車両監視装置、車両監視方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/015 20060101AFI20221219BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20221219BHJP
G08G 1/02 20060101ALI20221219BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20221219BHJP
G01G 19/03 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G08G1/015 A
G08G1/04 A
G08G1/02 A
G07B15/00 510
G01G19/03
(21)【出願番号】P 2019098207
(22)【出願日】2019-05-27
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】飯田 敦志
(72)【発明者】
【氏名】尾張 伸行
(72)【発明者】
【氏名】中井 誠
(72)【発明者】
【氏名】山口 泰弘
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-183882(JP,A)
【文献】特開平10-272907(JP,A)
【文献】特開昭58-129700(JP,A)
【文献】特開2007-101375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/03
G07B 15/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線に設けられて、車両の荷重を計測する軸重計と、
前記車線の車線方向と交差する面にレーザを投光するレーザ式車両検知器と、
前記軸重計による動荷重の測定結果が所定のしきい値を超えた場合に、前記レーザの投光結果より形成された前記車両のシルエット情報に基づいて、過積載の可能性のある前記車両を特定する特定部と、
を備える車両監視装置。
【請求項2】
前記車線の幅方向に延びて設置され、押圧された範囲を特定可能な踏板、
をさらに備え、
前記特定部は、
前記押圧された範囲が所定値以上であった場合に、過積載の可能性のある前記車両を特定する、
請求項1に記載の車両監視装置。
【請求項3】
前記特定部は、
過積載の可能性のある前記車両を特定可能な情報と、過積載の可能性があることを示す情報とを関連付けて記憶部に書き込む、
請求項1または請求項2に記載の車両監視装置。
【請求項4】
車線に設けられて、車両の荷重を計測することと、
前記車線の車線方向と交差する面にレーザを投光することと、
前記荷重の測定結果が所定のしきい値を超えた場合に、前記レーザの投光結果より形成された前記車両のシルエット情報に基づいて、過積載の可能性のある前記車両を特定することと、
を含む車両監視方法。
【請求項5】
車線に設けられて、車両の荷重を計測する軸重計と、前記車線の車線方向と交差する面にレーザを投光するレーザ式車両検知器と、を備える車両監視装置のコンピュータに、
前記軸重計による動荷重の測定結果が所定のしきい値を超えた場合に、前記レーザの投光結果より形成された前記車両のシルエット情報に基づいて、過積載の可能性のある前記車両を特定することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両監視装置、車両監視方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路では、車両が安全に運転できるように、車両の積み荷の過積載の取り締まりが行われることがある。
特許文献1には、関連する技術として、画像に基づいて車種を判別し、積載量が判別した車種に定められた基準値を超えるか否かを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高速道路では、現状、車両の積み荷の過積載は、車線に設けられた軸重測定器による動荷重の測定結果によって判定されている。しかしながら、動荷重は、車両が走行中の荷重であり、静荷重よりも重く検出される場合がある。過積載ではない車両を誤って過積載であると判定しないために、過積載であると判定するためのしきい値に大きなマージンを設けて、動荷重の測定結果がそのしきい値を超えた場合に過積載の可能性があると判定している。つまり、従来の過積載の判定は、大きなマージンを設けている分、判定精度が不十分だった。
また、特許文献1に記載のように、画像により車種を判別し、判別した車種に定められた基準値を超える積載量であるか否かを判定する技術もあるが、高速道路には予め備えられていない画像処理装置を新たに備える必要があり、コストが増加してしまう。
そこで、高速道路において、過積載であるか否かを精度よく簡易的に特定することのできる技術が求められている。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決することのできる車両監視装置、車両監視方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、車両監視装置(1)は、車線に設けられて、車両(40)の荷重を計測する軸重計(10)と、前記車線の車線方向と交差する面にレーザを投光するレーザ式車両検知器(20)と、前記軸重計による動荷重の測定結果が所定のしきい値を超えた場合に、前記レーザの投光結果により形成された前記車両のシルエット情報に基づいて、過積載の可能性のある前記車両を特定する特定部(304)と、を備える。
このようにすれば、車両監視装置は、新たな装置を増設することなく高速道路に予め備えられている車両検知器の検知情報を利用するため、過積載であるか否かを簡易な構成によって精度よく特定することができる。つまり、車両監視装置は、高速道路において、過積載であるか否かを精度よく簡易的に特定することができる。
また、レーザ式車両検知器を用いて寸法(距離、大きさなどを含む)を推定する場合、カメラ画像を用いて寸法を推定する場合に比べて、その推定した寸法の絶対値の精度が向上する。その結果、レーザ式車両検知器を用いる場合、カメラ画像を用いる場合に比べて、寸法を根拠にした車種の判別の精度や車両のシルエットを特定する精度を向上させることができる。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様における車両監視装置は、前記車線の幅方向に延びて設置され、押圧された範囲を特定可能な踏板、をさらに備え、前記特定部は、前記押圧された範囲が所定値以上であった場合に、過積載の可能性のある前記車両を特定するものであってもよい。
このようにすれば、車両監視装置1は、タイヤ幅に基づいて、さらに精度よく過積載であるか否かを特定することができる。つまり、車両監視装置1は、高速道路において、過積載であるか否かをより精度よく簡易的に特定することができる。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様または第2の態様における車両監視装置において、前記特定部は、過積載の可能性のある前記車両を特定可能な情報と、過積載の可能性があることを示す情報とを関連付けて記憶部に書き込むものであってもよい。
このようにすれば、車両監視装置1は、車両の重さを測るだけではなく、過積載の可能性のある車両を、料金収受の特徴のひとつである車両を特定可能な情報(例えば、車両のナンバープレートの情報)と関連付けて管理することができる。
【0009】
本発明の第4の態様によれば、車両監視方法は、車線に設けられて、車両の荷重を計測することと、前記車線の車線方向と交差する面にレーザを投光することと、前記荷重の測定結果が所定のしきい値を超えた場合に、前記レーザの投光結果より形成された前記車両のシルエット情報に基づいて、過積載の可能性のある前記車両を特定することと、を含む。
このようにすれば、車両監視方法は、新たな装置を増設することなく高速道路に予め備えられている装置によって、過積載であるか否かを精度よく特定することができる。つまり、車両監視方法は、高速道路において、過積載であるか否かを精度よく簡易的に特定することができる。
【0010】
本発明の第5の態様によれば、プログラムは、車線に設けられて、車両の荷重を計測する軸重計と、前記車線の車線方向と交差する面にレーザを投光するレーザ式車両検知器と、を備える車両監視装置のコンピュータに、前記軸重計による動荷重の測定結果が所定のしきい値を超えた場合に、前記レーザの投光結果より形成された前記車両のシルエット情報に基づいて、過積載の可能性のある前記車両を特定することと、を実行させる。
このようにすれば、プログラムは、新たな装置を増設することなく高速道路に予め備えられている装置によって、過積載であるか否かを精度よく特定することができる。つまり、プログラムは、高速道路において、過積載であるか否かを精度よく簡易的に特定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態による車両監視装置、車両監視方法及びプログラムによれば、高速道路において、過積載であるか否かを精度よく簡易的に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態による車両監視装置の構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態による料金自動収受機の構成を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による車両監視装置の処理フローを示す図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態による車両監視装置の構成を示す図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態による車両監視装置の処理フローを示す図である。
【
図6】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態による車両監視装置1について説明する。
【0014】
(車両監視装置の構成)
本発明の第1の実施形態による車両監視装置1は、現状行っている車両の動荷重の測定結果に基づく過積載の判定に加えて、さらに、車両のシルエットに基づく過積載の判定を行い、過積載の可能性のある車両を特定する装置である。車両監視装置1は、
図1に示すように、軸重計10、レーザ式車両検知器20、料金自動収受機30を備える。なお、
図1には車両40が示されている。
【0015】
軸重計10は、車線に設けられる装置である。軸重計10は、走行する車両40のタイヤが軸重計10上を通過したときの動荷重を計測する。すなわち、軸重計10は、走行する車両40の車軸ごとに、軸重計10自身に掛かる車両40の動荷重を計測する。
【0016】
レーザ式車両検知器20は、車両40に複数のレーザを投光することで車両40のシルエットを表す情報を取得する装置であり、車種を判別する車種判別装置の一部として、高速道路において、従来より備えられている装置である。レーザ式車両検知器20は、車線方向に走行する車両40に対して、車線方向と交差する面に沿って複数方向のレーザを投光し反射光を受ける。このように、レーザ式車両検知器20は、車両40にレーザを投光し、反射光を受けることによって、各レーサについての車両40までの距離の情報、すなわち車両40のシルエットを表す情報を取得する。このシルエットを表す情報には、車両40に搭載された積み荷全体のシルエットを表す情報が含まれている。
【0017】
料金自動収受機30は、車両40が料金自動収受機30を通過するときに車両40の車種に応じた料金を徴収する装置である。また、料金自動収受機30は、レーザの投光結果より形成された車両40のシルエット情報に基づいて、過積載の可能性のある車両40を特定する。
料金自動収受機30は、
図2に示すように、料金処理部301、通信部302、記憶部303、特定部304を備える。
【0018】
料金処理部301は、車両40の車種、車両40の高速道路の出入りした場所などに応じた料金を徴収する処理を行う。なお、料金処理部301が行う料金を徴収する処理は、既知の技術を利用する処理である。
通信部302は、料金自動収受機30とは別の装置と通信を行う。
記憶部303は、料金自動収受機30が行う処理に必要な種々の情報を記憶する。
【0019】
特定部304は、軸重計10による動荷重の測定結果が所定のしきい値を超えた場合に、レーザ式車両検知器20によるレーザの投光結果より形成された車両40のシルエット情報に基づいて、対象とする車両40が過積載の可能性のある車両であるか否かを特定する。
例えば、軸重計10による動荷重の測定結果が所定のしきい値(例えば、5トン)を超えた場合に、レーザ式車両検知器20が取得した車両40のシルエットを表す情報に含まれる車両40に搭載された積み荷全体のシルエットを表す情報から積み荷全体のシルエットをタッチパネルに表示して、料金自動収受機30の管理者がそのタッチパネルに表示された積み荷全体のシルエットを見る。そして、管理者は、積み荷全体のシルエットから過積載の可能性が高いか低いかを判定し、タッチパネルを操作してその判定結果に応じた情報を特定部304に送信する。特定部304は、タッチパネルからの判定結果が過積載の可能性が高いことを示す情報である場合、その車両40を、過積載の可能性がある車両と特定する。また、特定部304は、タッチパネルからの判定結果が過積載の可能性が低いことを示す情報である場合、その車両40を、過積載の可能性のない車両と特定する。
また、例えば、記憶部303は、過積載であると特定部304が判定するための基準となるシルエットの情報を予め記憶する。そして、特定部304は、軸重計10による動荷重の測定結果が所定のしきい値を超えた場合に、その基準となるシルエットの情報とレーザ式車両検知器20が取得した車両40のシルエットの情報とを比較し、比較結果に基づいて車両40が過積載の可能性があるか否かを特定する。具体的には、例えば、特定部304は、比較結果が、基準となるシルエットの面積よりもレーザ式車両検知器20が取得した車両40のシルエットの面積の方が広いことを示す場合、その車両40を、過積載の可能性がある車両と特定する。また、具体的には、例えば、特定部304は、比較結果が、基準となるシルエットの面積よりもレーザ式車両検知器20が取得した車両40のシルエットの面積の方が狭いことを示す場合、その車両40を、過積載の可能性がない車両と特定する。
【0020】
そして、特定部304は、過積載の可能性があると特定した車両40を、その車両40を特定可能な情報(例えば、車両40のナンバープレートの情報)と、過積載の可能性があることを示す情報とを関連付けて記憶部303に書き込む。
【0021】
(車両監視装置の処理)
次に、本発明の第1の実施形態による車両監視装置1の処理について説明する。
ここでは、各車両40について車両監視装置1が行う処理について
図3に示す処理フローを用いて説明する。
なお、車両40は、車線方向に走行する。そして、軸重計10は、走行する車両40の車軸ごとに、軸重計10自身に掛かる車両40の動荷重を計測するものとする。また、レーザ式車両検知器20は、車両40に複数のレーザを投光することで車両40のシルエットを表す情報を取得するものとする。
【0022】
軸重計10は、走行する車両40のタイヤが軸重計10上を通過したときの動荷重を計測する(ステップS1)。すなわち、軸重計10は、走行する車両40の車軸ごとに、軸重計10自身に掛かる車両40の動荷重を計測する。
【0023】
特定部304は、軸重計10による動荷重の測定結果を軸重計10から取得する。特定部304は、軸重計10による動荷重の測定結果と所定のしきい値とを比較する(ステップS2)。
特定部304は、軸重計10による動荷重の測定結果が所定のしきい値を超えたか否かを特定する(ステップS3)。
【0024】
特定部304は、軸重計10による動荷重の測定結果が所定のしきい値を超えないと特定した場合(ステップS3においてNO)、処理を終了する。
また、特定部304は、軸重計10による動荷重の測定結果が所定のしきい値を超えたと判定した場合(ステップS3においてYES)、レーザ式車両検知器20が取得した、各レーサについての車両40までの距離の情報、すなわち車両40のシルエットを表す情報を、レーザ式車両検知器20から取得する(ステップS4)。
【0025】
特定部304は、車両40のシルエット情報に基づいて、対象とする車両40が過積載の可能性のある車両であるか否かを特定する(ステップS5)。
特定部304は、車両40のシルエット情報に基づいて、対象とする車両40が過積載の可能性のある車両でないと特定した場合(ステップS5においてNO)、処理を終了する。
また、特定部304は、車両40のシルエット情報に基づいて、対象とする車両40が過積載の可能性のある車両であると特定した場合(ステップS5においてYES)、特定した車両40を、その車両40を特定可能な情報(例えば、車両40のナンバープレートの情報)と、過積載の可能性があることを示す情報とを関連付けて記憶部303に書き込む(ステップS6)。そして、特定部304は、処理を終了する。
そして、特定部304が特定した車両40について従来と同様に静荷重を計測すればよい。
【0026】
以上、本発明の第1の実施形態による車両監視装置1について説明した。車両監視装置1において、軸重計10は、車線に設けられて、走行する車両40の動荷重を計測する。レーザ式車両検知器20は、車線の車線方向と交差する面に沿って複数方向のレーザを投光する。特定部304は、軸重計10による動荷重の測定結果が所定のしきい値を超えた場合に、レーザの投光結果より形成された車両40のシルエット情報に基づいて、過積載の可能性のある車両を特定する。
このようにすれば、車両監視装置1は、新たな装置を増設することなく高速道路に予め備えられている装置によって、過積載であるか否かを精度よく特定することができる。つまり、車両監視装置1は、高速道路において、過積載であるか否かを精度よく簡易的に特定することができる。
【0027】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態による車両監視装置1について説明する。なお、本発明の第2の実施形態では、主に、本発明の第1の実施形態による車両監視装置1と異なる点について説明する。
(車両監視装置の構成)
本発明の第2の実施形態による車両監視装置1は、本発明の第1の実施形態による車両監視装置1と同様の過積載の判定を行う。そして、本発明の第2の実施形態による車両監視装置1は、さらに、踏板の押圧された範囲に基づく積載の判定を行い、過積載の可能性のある車両を特定する装置である。本発明の第2の実施形態による車両監視装置1は、
図4に示すように、軸重計10、レーザ式車両検知器20、料金自動収受機30、踏板50を備える。料金自動収受機30は、本発明の第1の実施形態による料金自動収受機30と同様に、料金処理部301、通信部302、記憶部303、特定部304を備える。なお、
図4には車両40が示されている。
【0028】
踏板50は、車線の幅方向に延びて設置される、内部に電気的な接点を利用した踏圧センサを有する装置である。踏板50では、電流が流されて抵抗値が測定されている。車両40が踏板50の上を走行するときに、車両40のタイヤにより押圧された範囲が平接点に電気的に短絡される。この短絡回数が、車両40の車軸の数として特定される。また、このとき、その短絡によって抵抗値が変化する。車両40のタイヤにより押圧された範囲と、その範囲が平接点に電気的に短絡され変化する抵抗値とには相関関係がある。
記憶部303は、その相関関係を予め記憶する。
特定部304は、記憶部303が記憶する相関関係を用いることで、車両40が踏板50の上を走行したときの抵抗値の変化からタイヤ幅を特定する。
【0029】
(車両監視装置の処理)
次に、本発明の第2の実施形態による車両監視装置1の処理について説明する。
ここでは、各車両40について車両監視装置1が行う処理について
図5に示す処理フローを用いて説明する。
なお、車両40は、車線方向に走行する。そして、軸重計10は、走行する車両40の車軸ごとに、軸重計10自身に掛かる車両40の動荷重を計測するものとする。また、レーザ式車両検知器20は、車両40に複数のレーザを投光することで車両40のシルエットを表す情報を取得するものとする。また、踏板50では、車両40が踏板50の上を走行するときに、車両40のタイヤにより押圧された範囲と平接点が電気的に短絡されるものとする。
【0030】
車両監視装置1は、ステップS1~ステップS5の処理を行う。
車両監視装置1の特定部304は、車両40のシルエット情報に基づいて、対象とする車両40が過積載の可能性のある車両でないと特定した場合(ステップS5においてNO)、処理を終了する。
また、車両監視装置1の特定部304は、車両40のシルエット情報に基づいて、対象とする車両40が過積載の可能性のある車両であると特定した場合(ステップS5においてYES)、車両40が踏板50の上を走行するときの踏板50の抵抗値の変化の情報を、踏板50から取得する(ステップS7)。
【0031】
特定部304は、踏板50の抵抗値の変化と、記憶部303が記憶する相関関係とに基づいて、車両40のタイヤ幅を特定する(ステップS8)。
そして、特定部304は、特定した車両40のタイヤ幅がダブルタイヤ以上の幅であるか否かを特定する(ステップS9)。
【0032】
特定部304は、特定した車両40のタイヤ幅がダブルタイヤ以上の幅でないと特定した場合(ステップS9においてNO)、すなわち、車両40のタイヤによって押圧された範囲がダブルタイヤの幅に相当する値(所定値の一例)以上ではないと特定した場合、処理を終了する。
また、特定部304は、特定した車両40のタイヤ幅がダブルタイヤ以上の幅であると特定した場合(ステップS9においてYES)、すなわち、車両40のタイヤによって押圧された範囲がダブルタイヤの幅に相当する値(所定値の一例)以上であると特定した場合、その車両40が過積載の可能性のある車両であると特定する(ステップS10)。
車両監視装置1は、ステップS6の処理を行い、処理を終了する。
そして、特定部304が特定した車両40について従来と同様に静荷重を計測すればよい。
【0033】
以上、本発明の第2の実施形態による車両監視装置1について説明した。車両監視装置1において、軸重計10は、車線に設けられて、走行する車両40の動荷重を計測する。レーザ式車両検知器20は、車線の車線方向と交差する面に沿って複数方向のレーザを投光する。特定部304は、軸重計10による動荷重の測定結果が所定のしきい値を超えた場合に、レーザの投光結果より形成された車両40のシルエット情報に基づいて、過積載の可能性のある車両を特定する。そして、さらに、特定部304は、記憶部303が記憶する相関関係を用いることで、車両40が踏板50の上を走行したときの抵抗値の変化からタイヤ幅を特定し、特定した車両40のタイヤ幅がダブルタイヤ以上の幅であると特定した場合に、その車両40が過積載の可能性のある車両であると特定する。
このようにすれば、車両監視装置1は、タイヤ幅に基づいて、本発明の第1の実施形態による車両監視装置1よりもさらに精度よく過積載であるか否かを特定することができる。つまり、車両監視装置1は、高速道路において、過積載であるか否かをより精度よく簡易的に特定することができる。
【0034】
なお、本発明の各実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0035】
なお、上述の本発明の実施形態では、レーザ式車両検知器20は、車線の車線方向と交差する面に沿って複数方向に1本のレーザを投光する。そして、特定部304は、軸重計10による動荷重の測定結果が所定のしきい値を超えた場合に、レーザの投光結果より形成された車両40のシルエット情報に基づいて、過積載の可能性のある車両を特定する場合を一例として説明した。しかしながら、本発明の別の実施形態では、レーザ式車両検知器20は、車線の車線方向と交差する面に複数本のレーザを同じ方向に投光する。そして、特定部304は、軸重計10による動荷重の測定結果が所定のしきい値を超えた場合に、レーザの投光結果より形成された車両40のシルエット情報に基づいて、過積載の可能性のある車両を特定するものであってもよい。
【0036】
本発明の実施形態における記憶部303、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部303、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。例えば、記憶部303は、第1記憶部と第2記憶部から構成されるものであってもよい。
【0037】
本発明の実施形態について説明したが、上述の車両監視装置1、料金自動収受機30、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図6は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、
図6に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述の車両監視装置1、料金自動収受機30、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0038】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0039】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。
【符号の説明】
【0041】
1・・・車両監視装置
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10・・・軸重計
20・・・レーザ式車両検知器
30・・・料金自動収受機
40・・・車両
50・・・踏板
301・・・料金処理部
302・・・通信部
303・・・記憶部
304・・・特定部