(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】移動可能な取付けユニットを含む秤量デバイス
(51)【国際特許分類】
G01G 21/30 20060101AFI20221219BHJP
G01G 21/28 20060101ALI20221219BHJP
G01G 23/00 20060101ALI20221219BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G01G21/30
G01G21/28
G01G23/00 F
G01N1/00 101K
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019105872
(22)【出願日】2019-06-06
【審査請求日】2022-03-22
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599082218
【氏名又は名称】メトラー-トレド ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ツェンダー
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・カリョーニ
(72)【発明者】
【氏名】リノ・ビルガー
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第5520127(JP,B2)
【文献】特許第5368364(JP,B2)
【文献】特許第4790404(JP,B2)
【文献】特許第4688852(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0107912(US,A1)
【文献】特許第4145035(JP,B2)
【文献】特許第5804767(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース体(11)と、秤量室床(15)と、秤量室後壁(25、125)と、上壁(23、123)、第1の側壁(22L)、第2の側壁(22R)、および前壁(24)を含む風防(20)とを備える秤量デバイス(10、100)であって、前記秤量室床(15)、前記秤量室後壁(25、125)、および前記風防(20)が、秤量室(W)を一緒に囲み、前記秤量室後壁(25、125)が、第1の側(35、135)と、第2の側(36、136)とを備え、前記第1の側(35、135)は前記風防(20)に面し、前記第2の側(36、136)は前記第1の側(35、135)の反対側に配置され、前記秤量デバイス(10、100)が、前記秤量室後壁(25)の前記第1の側(35、135)に移動可能に接続された取付けユニット(30、130)と、前記取付けユニット(30、130)に動作可能に接続されかつ前記第2の側(36、136)上に配置された位置制御ユニット(50、150)とをさらに備え、前記秤量室後壁(25、125)が、前記第1の側(35、135)の周辺で前記取付けユニット(30、130)を受け入れて前記取付けユニット(30、130)を前記ベース体(11)に対して垂直な方向に案内するための長尺スロット(40、140)を備えることを特徴とする、秤量デバイス(10、100)。
【請求項2】
前記取付けユニット(30、130)が、前記上壁、分注デバイス、投与デバイス、表示デバイス、照明デバイス、検知デバイス、および/またはイオン化デバイスを含む群から選択された1つまたは複数の交換可能付属品を受け入れるように適合されることを特徴とする、請求項1に記載の秤量デバイス(10、100)。
【請求項3】
前記上壁(23、123)が、定量試料を分注するために前記投与デバイスと協働するように構成された開口部(P)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の秤量デバイス(10、100)。
【請求項4】
前記長尺スロット(40、140)が、前記取付けユニット(30、130)が前記秤量室後壁(25)の長さの少なくとも3分の1を横断することを可能にするのに十分な長さであることを特徴とする、請求項1に記載の秤量デバイス(10、100)。
【請求項5】
前記長尺スロット(40、140)が、長手方向ストリップ(45、145)によって覆われることを特徴とする、請求項1または2に記載の秤量デバイス(10、100)。
【請求項6】
前記長手方向ストリップ(45、145)が、ぴんと張られて前記秤量室後壁(25)に固着され、前記取付けユニット(30、130)が、前記長手方向ストリップ(45、145)が前記取付けユニット(30、130)のあらゆる位置において前記長尺スロット(40、140)を完全に覆うように、前記長手方向ストリップ(45、145)に摺動可能に接続されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の秤量デバイス(10、100)。
【請求項7】
前記上壁(23、123)が、前記取付けユニット(30、130)に接続され、かつ、前記上壁(23、123)および前記取付けユニット(30、130)が前記秤量室後壁(25、125)の前記長尺スロット(40、140)に沿って前記ベース体(11)に対して垂直な方向に一緒に移動することができるように、前記取付けユニット(30、130)の下方に配置されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の秤量デバイス(10、100)。
【請求項8】
前記秤量室(W)が、試料容器を受け取るための秤量皿(16)を備え、位置検知デバイスが、前記上壁(23、123)または前記取付けユニット(30、130)に取り付けられ、前記位置制御ユニット(50、150)と通信する前記位置検知デバイスが、前記秤量皿(16)上に受け取られる前記試料容器の高さなどの少なくとも1つの寸法パラメータを検知するように構成されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の秤量デバイス(10、100)。
【請求項9】
前記位置制御ユニット(50、150)が、秤量室後壁(25)の前記第2の側(36、136)上の位置において前記取付けユニット(30、130)に摩擦力を印加するクラッチ要素(90)を備え、その結果、前記クラッチ要素(90)が、前記取付けユニット(30、130)が重力下で前記秤量室後壁(25、125)に沿って自由に摺動するのを防ぐことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の秤量デバイス(10、100)。
【請求項10】
前記位置制御ユニット(50、150)が、前記取付けユニット(30、130)を前記ベース体(11)に対して垂直な方向に移動させるのに必要な原動力を提供するためのモータユニット(M)を備えることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の秤量デバイス(10、100)。
【請求項11】
前記モータユニット(M)が、前記秤量室後壁(25、125)内に配置されることを特徴とする、請求項10に記載の秤量デバイス(10、100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、力測定デバイスに関し、より詳細には、複数の交換可能付属品を担持するように適合された移動可能な取付けユニットを備える秤量デバイスに関する。本発明の秤量デバイスは、典型的には、小さな物体を非常に高い精度で秤量するために使用される。秤量デバイスが非常に精密に重量を測定することを可能にする感度はまた、秤を秤量皿の領域における空気循環の影響を受けやすくもする。したがって、秤量皿およびその周辺の空間は、一般に風防と呼ばれる囲いにより、周囲環境から隔てられる。これらの秤量デバイスは、例えば、化学および製薬学の研究室、産業品質管理、宝石類の取引、貨幣学、大気汚染フィルタの秤量、ならびに他の多くの用途で用いられる。
【背景技術】
【0002】
[0002]秤量デバイス、より具体的には実験用秤量デバイスが、試料の重量を測定するために使用される。別の用途では、所定量の物質が、下流の化学分析を行うための標的容器内に投与される。いくつかの用途は、力測定の原理の周囲に存在し、したがって、秤量デバイスをより汎用的にすることが必要とされる。秤量デバイスは、様々な用途のためのプラットフォームとして機能する。これは、適用デバイスと秤量デバイスとを首尾よく統合するために過去のデバイスに必要な設計変更を始めることによって達成される。これまで論じられた用途は、2つのカテゴリに大まかに分類される。すなわち、力測定の原理を利用する用途と、力測定の原理を利用しない用途である。秤量を伴う最も顕著な用途は、液体投与、粉体投与、分析的秤量(analytical weighing)、差分秤量(differential weighing)、試料調製、製剤、密度測定、間隔秤量、ピペット較正、および処方秤量(formula weighing)である。第2のカテゴリに分類されるいくつかの例示的な用途は、照明、指示、表示、温度検知、pH測定、などである。
【0003】
[0003]米国特許第8,299,375号から知られている従来技術の構成では、用量分注デバイスが取り付けられた秤量用秤が開示されている。用量分注デバイスは、後壁上を垂直に摺動する。通風保護デバイスの上部カバーは、用量分注デバイスが移動するときに通風保護デバイスの一部分または通風保護デバイス全体が垂直に移動するように、用量分注デバイスに接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]本発明の主な目的のうちの1つは、周辺気流などの外的影響から十分に保護される秤量室を備えて安定した秤量結果を迅速にもたらす秤量デバイスを提供することである。さらに、秤量室は、単純な設計を有するべきである。本発明の別の目的は、様々な用途に使用され得る秤量デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]これらの目的は、独立請求項1による秤量デバイスによって達成される。本発明の有利な実施形態および細部特徴は、従属請求項において説明される。
[0006]本発明の秤量デバイスは、ベース体と、秤量室床と、秤量室後壁と、上壁、第1の側壁、第2の側壁、および前壁を含む風防とを備え、秤量室床、秤量室後壁、および風防は、秤量室(W)を一緒に囲む。秤量室後壁は、第1の側と、第2の側とを備え、第1の側は風防に面し、第2の側は第1の側の反対側に配置される。秤量デバイスは、秤量室後壁の第1の側に移動可能に接続された取付けユニットと、取付けユニットに動作可能に接続されかつ第2の側上に配置された位置制御ユニットとをさらに備え、秤量室後壁は、第1の側の周囲で取付けユニットを受け入れてベース体に対して垂直な方向に取付けユニットを案内するための長尺スロットを備える。
【0006】
[0007]本発明の秤量デバイスは、試料を受け取って秤量することができる。秤量デバイスは、その動作的配置では、作業台などの水平面の上に載る。秤量デバイスは、複数の接地部材が取り付けられるベース体を備える。接地部材は、秤量デバイスが載る水平面と物理的に接触する。秤量デバイスは、様々なサイズ、形状、および重量の試料容器を受け取って秤量するための秤量皿を備える。秤量皿は、試料の重量を受けて支持し、かつ、その受けた重量を知られた方法で変換器に伝達する。ベース体の上方かつ秤量皿の下方に配置された秤量室床も設けられている。秤量デバイスは、少なくとも1対の側壁、上壁、および前壁を有する風防をさらに備える。風防は、秤量皿を取り囲む4つの側面を覆う保護構造として作用する。
【0007】
[0008]秤量デバイスは、秤量室後壁をさらに備える。秤量室後壁は、ベース体に接続され、ベース体は、風防を支持する。秤量室後壁は、ベース体に対して垂直に配置される。風防は、秤量室床および秤量室後壁と一緒に秤量皿を取り囲み、それにより、秤量皿およびその上に配置された試料容器を、周囲気流の望ましくない影響から遮断する。本発明の1つの態様では、2つの側壁は、互いに向かい合って配置され、上壁は、ベース体から離れて上方に距離を置いて配置される。秤量室後壁は、第1の側および第2の側をさらに備える。風防および秤量室後壁は、互いに向かい合って配置され、より具体的には、秤量室後壁の第1の側は、風防に面して位置決めされる。2つの側壁、上壁、および前壁を備える風防は、秤量室後壁および秤量室床と一緒に秤量室を形成する。
【0008】
[0009]秤量デバイスは、秤量室後壁に移動可能に接続された取付けユニットをさらに備える。取付けユニットが秤量室後壁の第1の側に沿って摺動することを移動可能にすることが想定される。
【0009】
[0010]有利な設計では、取付けユニットは、例えば、風防の上壁、分注デバイス、投与デバイス、表示デバイス、照明デバイス、検知デバイス、および/またはイオナイザなどの様々なかつ/または複数の交換可能付属品を受け入れて担持するように構成および適合される。
【0010】
[0011]有利な設計では、上壁は、上壁を経て秤量室にアクセスするための開口部を備える。上壁にある開口部は、投与デバイスと協働するように構成される。この開口部は、有利には、投与デバイスから分注される定量試料を秤量室内に配置された試料容器内に導く。
【0011】
[0012]好ましい実施形態では、取付けユニットが秤量室後壁の長さの少なくとも3分の1を横断することを可能にするのに十分な長さの長尺スロットを設けることが想定される。
【0012】
[0013]有利には、長尺スロットは、長手方向ストリップによって覆われる。ストリップは、金属材料または高分子材料で作られ得る。理想的には、スロットは、長手方向ストリップによって完全に覆われる。長手方向ストリップの幅は、長尺スロットを実質的に覆うのに十分な幅である。理想的には、長手方向ストリップは、長尺スロットを完全に覆うのに十分な幅である。そのような構成は、位置制御ユニットを秤量皿からさらに隔てる働きをする。位置制御ユニットは、秤量室壁内に配置される。長手方向ストリップは、位置制御ユニットならびに秤量室後壁の背後かつハウジング内に配置された複数の他の高感度構成要素を汚染から効果的に保護する。長手方向ストリップはまた、カバーストラップ、カバーリボン、またはカバーベルトとして説明され得る。
【0013】
[0014]1つの発明の実施形態では、長手方向ストリップは、ぴんと張られて秤量室後壁に固着され、取付けユニットは、長手方向ストリップが取付けユニットのあらゆる位置において長尺スロットを完全に覆うように、長手方向ストリップに摺動可能に接続される。長尺スロットを覆う長手方向ストリップは、取付けユニットを通して取り回される。したがって、取付けユニットは、長手方向ストリップと摺動接触している。長手方向ストリップは、秤量室後壁の第2の側上に配置された1対の保持器を介して、ぴんと張られて秤量室後壁に固着される。
【0014】
[0015]別の発明の実施形態では、上壁は、取付けユニットに接続され、かつ、ベース体に対して垂直な方向において垂直方向に移動されるように適合される。
[0016]上壁は取付けユニットの下方に配置され、また、それらが秤量室後壁の長尺スロットに沿って一緒に移動されることが好ましい。上壁が可動の取付けユニットとともに移動するにつれて、秤量室の容積は、所与の実験室用途に適合するように変更され得る。これは、風防の容積が迅速かつ効率的な方法で秤量試料のサイズに適合可能であるという利点を有する。より少ない気流および安定した秤量結果をもたらすより小さい容積の風防が、迅速に得られ得る。
【0015】
[0017]風防の上壁を垂直方向に移動させることにより秤量室の容積を変更することに関連して、その位置検知デバイスが設けられる。位置検知デバイスは、位置制御ユニットと有線または無線で通信する。位置検知デバイスは、秤量皿上に受け取られた試料容器の高さなどの少なくとも1つの寸法パラメータを検知する。理想的には、位置検知デバイスは、秤量皿上に位置決めされた試料までの距離を測定する。上壁の位置は、測定された高さに従って適合され得る。他の用途では、付属品、例えば投与デバイスが、試料容器内へのこぼれのない投与を可能にするために、正しい高さに位置決めされ得る。位置検知デバイスは、秤量デバイス上の有利な箇所のうちの1つに配置される。いくつかのそのような有利な箇所は、上壁、取付けユニット、秤量室後壁、および秤量室床である。位置検知デバイスは、光学センサ、音響センサ、容量センサ、または誘導センサのうちの1つであってもよい。
【0016】
[0018]位置制御ユニットは、取付けユニットに動作可能に接続される。位置制御ユニットは、取付けユニットへの力の伝達を可能にし、かつ、秤量室後壁の第1の側に沿った取付けユニットの移動を支援する。1つの実施形態では、位置制御ユニットは、クラッチ要素を備え、このクラッチ要素は、取付けユニットに摩擦力を印加し、それにより取付けユニットを秤量室後壁上でその位置に保持し、かつ、外力が印加されていないときに取付けユニットが重力下で秤量室後壁に沿って摺動するのを防ぐ。
【0017】
[0019]代替実施形態では、位置制御ユニットは、モータユニットからの駆動力が取付けユニットに伝達されるように、モータユニットを備える。モータユニットは、ベース体に対して垂直な方向に取付けユニットを変位させるために必要な原動力を提供する。
【0018】
[0020]好ましい方法では、モータユニットは、秤量室後壁内に配置される。
[0021]本発明による秤量室後壁を含む実験用秤は、図面に概略的に示された実施形態を通じて以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】手動操作される取付けユニットを備える秤量デバイスの概略図である。
【
図2】秤量デバイスの秤量室後壁の垂直断面図である。
【
図3】取付けユニットおよび長手方向ストリップを伴う秤量室後壁の概略正面図である。
【
図4】秤量室後壁と比較して長尺スロットの構造およびサイズを特に強調している、長尺スロットを含む秤量室後壁の図である。
【
図5】取付けユニットの様々な構成要素を示す、取付けユニットの正面図である。
【
図6】秤量室後壁の一部分に移動可能に接続された取付けユニットの正面斜視図である。
【
図7】位置制御ユニットを収容する第2の側から見た秤量室後壁の斜視図である。
【
図8】秤量デバイス内の秤量室後壁の第2の側上に取り付けられた位置制御ユニットの断面図である。
【
図9】投与デバイスを担持する電動式の取付けユニットを備える秤量デバイスの概略図である。
【
図10】投与デバイスを含まない取付けユニットに接続された風防の上壁を伴う秤量室後壁の正面斜視図である。
【
図11】代替実施形態において想定されるような秤量室後壁および取付けユニットの正面図である。
【
図12】代替実施形態において想定されるような位置制御ユニットの構成を示す、秤量室後壁の垂直断面図である。
【
図13】代替実施形態において想定されるような位置制御ユニットを形成するいくつかの構成要素の配置図である。
【
図14】
図14Aは、可能な最小の秤量室容積をもたらす最低位置にその上壁がある秤量デバイスの図である。
図14Bは、可能な最大の秤量室容積をもたらす最上位置にその上壁がある秤量デバイスの図である。
図14Cは、上壁がその最上位置に到達した結果としてその上壁が取付けユニットから部分的に係脱している秤量デバイスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0022]以下、
図1から14Cに示された実施形態を特に参照しながら、本発明を詳細に説明する。
[0023]
図1を参照すると、ベース体11、複数の接地部材(図示せず)、ハウジング14、秤量室床15、秤量皿16、風防20、秤量室後壁25、および取付けユニット30を備える秤量デバイス10の概略図が示されている。ロードセル、および、例えば秤量信号を処理するのに必要とされる電子構成要素が、ハウジング14内に配置される。例えば秤量結果を表示する端末は、
図1には示されていない。風防20は、秤量室床15および秤量室後壁25と一緒に、秤量室Wを形成する。風防20は、側壁22Lおよび22Rの対、上壁23、および前壁24をさらに備える。取付けユニット30は、試料の取扱い中に特定の目的を果たすことをそれぞれ目的とした複数の交換可能付属品(指示せず)を担持するようにモジュール構成される。例示的な付属品は、試料受器内に定量試料を分注するために使用される投与デバイスである。
【0021】
[0024]本発明のさらなる詳細が、図面のうちの
図2を特に参照して描写される。
図2は、秤量デバイス10の秤量室後壁25の垂直断面図を示す。秤量室後壁25は、第1の側35および第2の側36を備える。第1の側35は、秤量室に面しており、第2の側は、ハウジング14の内側に面している。秤量室後壁25は、長尺スロット40、長手方向ストリップ45、保持器47の対、および位置制御ユニット50をさらに備える。
【0022】
[0025]次に
図3および
図4を参照すると、
図3は、第1の側35上に取付けユニット30および長手方向ストリップ45を備える秤量室後壁25の概略正面図を示す。
図4は、取付けユニット30を含まない秤量室後壁25を示し、第1の側35から第2の側36上まで長手方向に延在している長尺スロット40を示している。
【0023】
[0026]次に、取付けユニット30および秤量室後壁25をさらに詳細に示す
図5および
図6を参照する。取付けユニット30は、実質的に矩形の構造を取り、かつ、上部取回し窓31、下部取回し窓32、通路33、開口部Q、およびロック部分Lの対を備える。取付けユニット30はまた、互いに向かい合って配置されかつ取付けユニット30の最外端部に沿って長手方向に延在する、溝37の対を備える。通路33は、コネクタ34を受け入れて取り回す。
【0024】
[0027]
図7は、秤量室後壁25の第2の側36の斜視図を示す。第2の側36は、位置制御ユニット50を収容し、かつ、接触面Sを提供する。保持器47も設けられている。位置制御ユニット50は、キャリア52、およびガイドレール75を備える。位置制御ユニット50に関するさらなる構造の詳細は、
図8を特に参照して以下で説明される。キャリア52は、第1のアーム54、ベース55、および第2のアーム56を備える。ブリッジBも設けられている。ブリッジBは、締め具81および82を受け入れるように構成されたねじ付き貫通穴61および62の対を備える。第1のアーム54、第2のアーム56、およびブリッジBは、一体に形成される。位置制御ユニット50は、ガイド70をさらに備える。ガイド70は、締め具81および82を受け入れるようにそれぞれが構成されたねじ付き穴71および72の対を備える。互いに向かい合って内方に延在するスプライン74、74の対も設けられている。ガイドレール75は、長手方向に延在する溝76、76の対を備える。第1のアーム54は、締め具89を受け入れるように構成されたねじ付き貫通穴87を備える。キャリア52の第2のアーム56は、ねじ付き貫通穴84を備える。調節器95とともにクラッチ要素90も設けられ、これらはどちらも貫通穴84内に受け入れられる。クラッチ要素90は、接触面Sと相互作用するように適合される。
【0025】
[0028]以下、有利な本発明の便益を実践および実現化するためにこの実施形態において使用される様々な構成要素間の相互関係が、
図1から
図8を再度参照して説明される。ベース体11は、その上に秤量デバイス10の他の全ての構成要素が載る基礎を形成する。ベース体11によって支持されたハウジング14は、秤量デバイス10の後方部分を形成する。ハウジング14は、秤量すべき試料からの厳密な隔離を必要とする高感度電子装置を収容し、これなしでは、秤量デバイス10の機能および精度が損なわれるであろう。風防20は、秤量デバイス10の前方部分の一部を形成する。秤量デバイス10の前方部分および後方部分は、秤量デバイス10の操作を委ねられたオペレータの観点から指定される。秤量デバイス10を操作している間、オペレータは、風防20の方を向いて秤量デバイス10の前方部分の近くに立つ。秤量デバイス10の前方部分の一部を形成する秤量皿16は、秤量室床15の真上に配置される。秤量皿16は、試料容器(図示せず)を受けて支持するように構成される。秤量皿16は、受けた試料の重量を変換器(図示せず)に伝達し、この変換器は、試料の重量を示す信号を既知の方法で生成する。秤量皿16の構成および秤量皿16と秤量デバイス10の他の構成要素との相互関連性に関するさらなる詳細は、本発明の範囲を超える。その2つの側壁22Rおよび22L、上壁23、前壁24を含む風防20は、秤量室床15および秤量室後壁25とともに、秤量室Wを形成する箱様の構造を取る。
【0026】
[0029]風防20のさらなる構造上の詳細が、
図1を特に参照して説明される。風防20の側壁22Rおよび22Lは、ベース体11に固着され、また、壁22Rおよび22Lは、互いに向かい合って配置され、それにより、秤量皿16上に配置された試料容器(図示せず)を横からの通風から保護する。開口部Pを含む上壁23は、秤量皿16の上方に位置決めされて、秤量皿16を上向きの通風の影響から守る働きをする。開口部Pは、交換可能付属品(指示せず)によって送達された試料を秤量皿16上に配置された標的試料容器(図示せず)内へ導く働きをする。この実施形態では、上壁23は、取付けユニット30に固着される。より具体的には、上壁23は、取付けユニット30の下方に配置される。前壁24および秤量室後壁25は、ベース体11に垂直に固着され、かつ、互いに向かい合って配置される。秤量デバイス10のオペレータが秤量操作または分注操作を監視することができるように、透明な材料で作られた側壁22Rおよび22L、上壁23、ならびに前壁24を使用することが有利である。試料を取り扱うオペレータに対して秤量室Wを容易にアクセス可能にするように、可動の側壁22R、22L、上壁23、および前壁24を可能にすることが想定される。
【0027】
[0030]この実施形態のさらなる態様が、
図2~4を再度参照することによって詳細に説明される。秤量室後壁25は、ベース体11に固着され、かつ、ハウジング14に当接する。秤量デバイス10の前方部分および後方部分は、間に挟まれた秤量室後壁25によって分けられる。秤量室後壁25が相対運動および振動に起因して生じる応力に耐えることを可能にするために、秤量室後壁25の製造には高性能の耐荷重(load-enduring)材料を使用することが有利である。本実施形態では、秤量室後壁25は、長さl
1、幅w
1、および奥行d
1の寸法を有する矩形の構造のものである。秤量室後壁25の第1の側35は、風防20の前壁24に面して位置決めされるが、秤量室後壁25の第2の側36は、ハウジング14に面して位置決めされる。
【0028】
[0031]秤量室後壁25に設けられた長尺スロット40は、長さl2、幅w2、および奥行d2の寸法を有する矩形の構造のものである。その長さl2が秤量室後壁25の長さl1の少なくとも3分の1である長尺スロット40を設けることが想定される。長尺スロット40の寸法に関連する機能的態様は、本明細書の後の部分で独立して詳細に説明される。長尺スロット40の幅w2および奥行d2は実質的に秤量室後壁25の幅w1および奥行d1未満であることに留意することも、適切である。
【0029】
[0032]秤量デバイス10の取付けユニット30は、秤量室後壁25に移動可能に接続される。より具体的には、長尺スロット40は、取付けユニット30を受け入れるように、また、取付けユニット30を秤量室後壁25の第1の側35と摺動関係に配置するように、構成される。長手方向ストリップ45は、秤量室後壁25の長尺スロット40の寸法にぴったり一致するように構成される。長手方向ストリップ45の幅w0は、長尺スロット40の適切な封止を確実にするために、実質的に長尺スロット40の幅w2と同一である。長手方向ストリップ45は、基本的に長尺スロット40を完全に覆ってしっかりと張られ、かつ、第2の側36上で長尺スロットの最下端部および最上端部にそれぞれ配置された少なくとも1対の保持器47により秤量室後壁25に固着される。長手方向ストリップ45は、ハウジング14内に配置された高感度電子装置が秤量のために秤量室W内に受け入れられた試料に露出するのを効果的に最小限に抑える。安全な試料であれば、ハウジング14内に配置された高感度電子装置への損傷を直ちにもたらすことはないが、危険性、劣化性、有害性、および腐食性のある試料は、高感度電子装置への不可逆的な損傷を急速にもたらすことがあり、それにより秤量デバイス10が動作不能とされる。
【0030】
[0033]
図5~7を再度参照すると、秤量室後壁25の第1の側35上に配置された取付けユニット30は、位置制御ユニット50に接続される。開口部Qを貫通する締め具89により取付けユニット30が位置制御ユニット50に接続されることが想定される。上部取回し窓31および下部取回し窓32は、矩形の幾何形状の貫通開口部である。長尺スロット40を覆う長手方向ストリップ45は、取付けユニット30を通して取り回される。より具体的には、長手方向ストリップ45は、上部取回し窓31に通され、開口部Qを通り越えて締め具89を覆い、次いで下部取回し窓32を通して取り回される。これまで説明された取付けユニット30および長手方向ストリップ45の配置は、
図5および
図6と併せて読めばより明快になるであろう。
【0031】
[0034]取付けユニット30に関連するさらなる機能的態様が、
図6を参照することによって再度説明される。取付けユニット30は、上壁、分注デバイス、投与デバイス、表示デバイス、照明デバイス、検知デバイス、などのような多くの交換可能付属品(指示せず)を受け入れかつ担持するように構成および適合される。具体的には、互いに向かい合って配置されかつ取付けユニット30の最外端部に沿って長手方向に延在する溝37は、特定の機能を実行するようにそれぞれ特注された多数の交換可能付属品(指示せず)を取り付けるのに役立つ。溝37を割り込ませている取付けユニット30の最外端部には、ロック部分Lも設けられている。この実施形態におけるロック部分Lは、溝37を割り込ませている取付けユニット30の最外端部から材料を除去することによって形成されたU字状スロットである。交換可能付属品(指示せず)は、溝37と容易に係合する内向きのスプライン付き部分(図示せず)の対を含むことが想定される。交換可能付属品(指示せず)は、内向きに付勢されたロックタブの対(図示せず)を含むことも想定され、このロックタブの対は、交換可能付属品(指示せず)を取付けユニット30に対してしっかりと保持するために、スプライン付き部分(図示せず)が溝37に沿って徐々に前進するときに、ロック部分L内に容易に突入する。
【0032】
[0035]
図5および
図6に示された通路33は、卵形構造の貫通開口部であり、かつ、第2の側36から出ているコネクタ34を長尺スロット40を通して第1の側35へ取り回すために設けられている。コネクタ34は、交換可能付属品(指示せず)に電力を送るための電気ケーブルである。コネクタ34はまた、電子制御装置(図示せず)と交換可能付属品(指示せず)との間でデータパケットをやりとりするデータケーブルであってもよい。無線通信および電力貯蔵技術の進歩は、通路33およびコネクタ34を不要にし得る。例えば、電池式でWi-Fi使用可能な交換可能付属品(指示せず)は、外部電源もデータケーブルも必要としない。
【0033】
[0036]以下、
図7および
図8を再度参照することにより、位置制御ユニット50に関連するさらなる機能的態様および動作的態様が詳細に説明される。位置制御ユニット50は、異なる2つの箇所において、すなわち秤量室後壁25の第1の側35および第2の側36において、秤量室後壁25に適切に接続される。最初に、位置制御ユニット50は、締め具89により、取付けユニット30に固定される。締め具89は、取付けユニット30に設けられた開口部Qを貫通し、次いで長尺スロット40に入り、最終的には位置制御ユニット50の第1のアーム54に設けられたねじ付き穴87に受け入れられる。次に、位置制御ユニット50は、締め具81および82の対を使用することにより、秤量室後壁25の第2の側36に固定される。より具体的には、位置制御ユニット50のキャリア52は、ブリッジBにそれぞれ設けられた貫通穴61および62を締め具81および82が貫通することを可能にすることによりガイド70に固定され、そのため、締め具81および82は、ガイド70に設けられたねじ付き穴71および72内で終端するように構成される。ガイド70の内向きに延在するスプライン74、74は、ガイドレール75の溝76、76内に完全に受け入れられてロックされる。ガイドレール75は、締め具78を使用して秤量室後壁25の第2の側36に取り付けられる。ねじ付き穴84を備える第2のアーム56は、クラッチ要素90を受け入れるように構成される。クラッチ要素90は、半球形端部を有するねじ付きピンを含む。クラッチ要素90は、半球形端部に対向する他方の端部上に配置された調節器95をさらに含む。クラッチ要素90の半球形端部は、秤量室後壁25の第2の側36上に設けられた接触面Sと動作的に相互作用する。接触面S上のクラッチ要素90によって引き起こされる摩擦力の大きさは、調節器95を操作することによって変更され得る。本実施形態では、調節器95は、接触面Sに作用する摩擦力を増大および減少させるために、時計方向および反時計方向にそれぞれ回転するように構成される。本実施形態の位置制御ユニット50は手動で操作されるように設計されていることに留意することが適切である。
【0034】
[0037]当業者が過度の実験を必要とすることなく本発明を実践することができるように、上述の実施形態を実現するために採用される製造プロセスの概要が以下で説明される。秤量室後壁25は、鋳造またはダイカスト成形され得る。長尺スロット40は、秤量室後壁25を鋳造またはダイカスト成形しているときに形成される。あるいは、長尺スロット40は、切開された部分を持たない形成済みの秤量室後壁25から材料を除去することによって形成されてもよい。1つまたは複数の材料除去技法が、秤量室後壁25に長尺スロット40を形成するために採用され得る。例示的であるが限定的な技法の一覧は、旋削、穿孔、溶接、およびレーザ切断である。長尺スロット40の長さl2は、取付けユニット30の垂直変位に直接影響する。長尺スロット40の幅w2は、締め具89が貫通することを可能にするように設計される。あるいは、幅w2は、第1のアーム54のサイズに適合するように構成される。秤量デバイス10が液体投与または重量測定投与のために利用される場合、長尺スロット40の長さl2は、粉末の投与に必要とされる長さよりも比較的短い。ガイドレール75は、締付けにより、または溶接などの任意の他の適切な技法を採用することにより、第2の側36上で秤量室後壁25に取り付けられる。ガイド70は、ガイド70がガイドレール75に沿って一定方向に滑るようにスプライン74を溝76に挿入することにより、ガイドレール75に接続される。溝76とスプライン74とのかみ合いは、垂直方向のみにおけるガイド70の移動を確実にして、前後方向におけるガイド70の移動を制限する。キャリア52は、第1のアーム54に長尺スロット40を通過させることにより、スロット40に対して適切に位置合わせされる。そして、キャリア52は、ねじ付き穴61、62とねじ付き穴71、72とを位置合わせし、それに応じて締め具81、82を使用して連結することにより、ガイド70に接続され、したがって、位置制御ユニット50を形成する。取付けユニット30は、開口部Qを貫通してねじ付き穴87内で終端する締め具89により、位置制御ユニット50に連結される。クラッチ要素90は、クラッチ要素90の半球形端部がねじ付き穴84の反対側から出て接触面Sとの接触を確立するまで、ねじ付き穴84にねじ込まれる。接触面Sに作用する摩擦力は、調節器95を操作することによって設定および微調整される。長手方向ストリップ45の一方の端部は、第2の側36の上端部に設けられた保持器47により、秤量室後壁25に固定される。長手方向ストリップ45の自由端部は、上部取回し窓31の後面から挿入され前面を通して取り回されて、取付けユニット30と位置制御ユニット50とを連結する締め具89を十分に覆うように取付けユニット30の表面上へ案内される。次いで、長手方向ストリップ45の自由端部は、下部取回し窓32の前面から挿入されて後面を通して取り回される。下部取回し窓32の後面から出る長手方向ストリップ45の自由端部は、第2の側36の下端部に設けられた別の保持器47により、十分に張られて秤量室後壁25に固定される。そのようにして形成された取付けユニット30を担持する秤量室後壁25は、秤量デバイス10を機能させるのに必要な他の構成要素に適切に取り付けられ得る。
【0035】
[0038]以下、
図1から
図8を再度参照して、本発明を機能させる方法が詳細に説明される。分注デバイス、投与デバイス、表示デバイス、照明デバイス、検知デバイス、などのような交換可能付属品(指示せず)が、交換可能付属品(指示せず)の内向きのスプライン付き部分(図示せず)を溝37に挿入し、内向きに付勢されたロックタブ(図示せず)がロック部分Lに突入して交換可能付属品(指示せず)と取付けユニット30とを十分にロックするまでスプライン付き部分を溝37に沿って滑らせることにより、取付けユニット30に取り付けられる。進行中の説明をより具体的にするために、この実施形態における交換可能付属品は、投与デバイスである。投与デバイスによって分注される試料を受け入れるための標的試料容器(図示せず)が、秤量室W内に配置され、より具体的には、秤量室床15の上方に配置された秤量皿16上に配置される。標的試料容器(図示せず)が風防20によって取り囲まれると、取付けユニット30の位置は、標的容器(図示せず)の高さなどの寸法パラメータに応じて垂直方向に調整(上昇または下降)される。より具体的には、オペレータは、取付けユニット30が投与デバイスと一緒に秤量室後壁25の長尺スロット40に沿って移動可能であるように、取付けユニット30に所定の量の垂直力を印加して、接触面S上のクラッチ要素90によって引き起こされる摩擦力を克服または解放しなければならない。オペレータが垂直力の印加をやめると、クラッチ要素90は、取付けユニット30を秤量室後壁25上のその新たな位置に再度ロックする。次いで、取付けユニット30に取り付けられた投与デバイスは、投与動作を実行するために操作される。
【0036】
[0039]以下、これまで説明されたのと同じ本発明の原理を具現化する代替的構成が詳細に説明される。
図9は、電動式の取付けユニット130を有する秤量デバイス100を示す。
図10および
図11を参照すると、上壁123、秤量室後壁125、取付けユニット130、および長手方向ストリップ145が提供されている。風防20の上壁123は、少なくとも1つの開口部Pを含む。秤量室後壁125は、第1の側135および第2の側136を備える。秤量室後壁125は、第1の側135を通って第2の側136上まで長手方向に延在する長尺スロット140をさらに備える。
図10および
図11に示されるような代替実施形態の長尺スロット140は
図3および
図4に示されるような前述の実施形態の長尺スロット40よりも長いことに留意することが適切である。秤量室後壁125はまた、長尺スロット140の上方および下方にそれぞれ配置された上部通路191および下部通路192を備える。取付けユニット130は、上部取回し窓131、下部取回し窓132を備える。取付けユニット130は、締め具189を受け入れるための複数の貫通開口部Q’をさらに備える。締め具189は、取付けユニット130を位置制御ユニット150に連結する(
図12)。より具体的には、取付けユニット130は、位置制御ユニット150の第1のアーム154に接続される。取付けユニット130の下方に取り付けられて延在するブラケットTも設けられている。上壁123は、ブラケットTに取り付けられる。
【0037】
[0040]秤量デバイス100の取付けユニット130は、秤量室後壁125に移動可能に接続される。より具体的には、長尺スロット140は、取付けユニット130を秤量室後壁125の第1の側135と摺動関係に配置するために、取付けユニット130を受け入れるように構成される。長手方向ストリップ145は、秤量室後壁125の長尺スロット140の寸法にぴったり一致するように構成される。長手方向ストリップ145の幅は、長尺スロット140の適切な封止を確実にするために、実質的に長尺スロット140の幅と同一である。長手方向ストリップ145の一方の端部は、保持器(図示せず)を使用することにより秤量室後壁125の第2の側136上でしっかりと固定され、次いで、上部通路191、上部取回し窓131、下部取回し窓132を通して取り回されて開口部Q’および締め具189を覆い、最終的には下部通路192を通して取り回される。長手方向ストリップ145は、長尺スロット140を完全に覆いながらしっかりと張られ、かつ、長尺スロット140の下方に配置された別の保持器(図示せず)により第2の側136上で秤量室後壁125に固着される。
【0038】
[0041]取付けユニット130は、通信モジュールを含む電気接点134との電気的接触のための貫通穴133をさらに備える。
[0042]本実施形態のさらなる機能的態様、特に秤量室後壁125の長尺スロット140に沿った取付けユニット130の移動に関係するそれらの態様が、
図12および
図13を参照して詳細に説明される。位置制御ユニット150は、秤量室後壁125の第2の側136上に配置される。本実施形態の位置制御ユニット150は電動式であって手動操作を必要としないことに留意することが適切である。位置制御ユニット150は、
図13に示されるように、駆動スピンドル153を有する電気モータなどの動力ユニットとも呼ばれる駆動ユニットMを広範に備える。位置制御ユニット150は、中間プーリ173、従動プーリ193、螺旋ピン194、キャリア152、および取付けフレーム197をさらに備える。駆動スピンドル153と中間プーリ173とを接続する駆動ベルト163も設けられている。中間プーリ173および従動プーリ193は、従動ベルト183によって連結される。従動プーリ193および螺旋ピン194は、従動プーリ193および螺旋ピン194が調和して回転するように、一体に形成される。駆動ベルト163、中間プーリ173、従動ベルト183、従動プーリ193、および螺旋ピン194は、秤量室後壁125の第2の側136に取り付けられた取付けフレーム197によって支持される。
【0039】
[0043]駆動ユニットMは、駆動スピンドル153に回転駆動を提供し、次いでこの回転駆動は、駆動ベルト163を介して中間プーリに伝達される。中間プーリ173は、従動ベルト183を通じて従動プーリ193に回転運動を伝達する。従動プーリ193および螺旋ピン194は一体に形成されているので、従動プーリ193は、螺旋ピン194を直ちに回転させる。キャリア152は、螺旋ピン194の回転運動が螺旋ピン194の軸の方向に沿ったキャリア152の並進運動に変換されるように、螺旋ピン194に移動可能に接続される。より具体的には、キャリア152に一体に接続されたナット199が、螺旋ピン194と螺合関係にある。螺旋ピン194がその軸の周りで回転されるときに、ナット199、およびキャリア152は、垂直方向に移動する傾向がある。
【0040】
[0044]
図10を再度参照すると、取付けユニット130は、締め具189が長尺スロット140を貫通してねじ付き穴187内で終わることを可能にすることにより、キャリア152の第1のアーム154を介して位置制御ユニット150に接続され、それにより、取付けユニット130が秤量室後壁125に移動可能に接続されることが確実とされる。したがって、位置制御ユニット150の駆動ユニットMによって引き起こされる回転駆動は、一連のリンク機構にわたって伝達されて、結果的に秤量室後壁125上に設けられた長尺スロット140に沿った取付けユニット130の移動をもたらす。
【0041】
[0045]風防20の上壁123を垂直方向に移動させることにより秤量室の容積を変化させることに関連して、その位置検知デバイス(図示せず)が設けられる。位置検知デバイス(図示せず)は、位置制御ユニット150と有線または無線で通信する。理想的には、位置検知デバイス(図示せず)は、秤量皿上に位置決めされた試料までの距離を測定する。上壁の位置は、測定された高さに従って適合され得る。他の用途では、付属品、例えば投与デバイスが、試料容器内へのこぼれのない投与を可能にするために、正しい高さに位置決めされ得る。位置検知デバイス(図示せず)は、秤量皿16上に受け取られた試料容器(図示せず)の高さなどの、少なくとも1つの寸法パラメータを検知する。位置検知デバイス(図示せず)は、秤量デバイス10上の有利な箇所のうちの少なくとも1つに配置可能である。いくつかのそのような有利な箇所は、上壁123、取付けユニット130、秤量室後壁125、および秤量室床15である。位置検知デバイス(図示せず)は、光学センサ、音響センサ、容量センサ、または誘導センサのうちの1つであってもよい。
【0042】
[0046]次に
図14Aから14Cを参照すると、上壁123の異なる位置が、秤量室Wの異なる容積を生じさせている。
図14Aに示されるように、取付けユニット130が下方に移動されるように作動されると、秤量室Wの容積は、検知デバイス(図示せず)によって検知される試料容器(図示せず)の寸法パラメータによってまたは秤量室後壁125の長尺スロット140の長さによって画定された所定の停止位置に上壁123が到達するまで、徐々に減少し始める。
図14Bでは、取付けユニット130は、上方移動のために作動されており、それにより、上壁123を秤量室後壁125に沿って移動させている。上壁123は、秤量室Wがその最大可能容積を示すように、秤量室Wの容積を徐々に増大させながら最高点に到達する。上壁123は、その最高点に到達すると、取付けユニット130から部分的に係脱する。次いで、取付けユニット130は、投与デバイス(指示せず)を上壁123にある開口部Pから外に出すために、さらに上昇する。
【0043】
[0047]提案された発明におけるいくつかの修正および改善が、当業者には容易に明らかになるであろう。そのような変更は、本発明の要素の均等物として扱われなければならない。材料、方法、製造プロセス、構造、配置、複製、などに関する代用品および代替形態の使用による、特許請求する本発明における想定される変更、修正、および改善は、それらを特許請求する発明の範囲内に確実に含まれるものにする。
【符号の説明】
【0044】
10、100 秤量デバイス
11 ベース体
14 ハウジング
15 秤量室床
16 秤量皿
20 風防
22L 側壁左
22R 側壁右
23、123 上壁
24 前壁
25、125 秤量室後壁
30、130 取付けユニット
31、131 上部取回し窓
32、132 下部取回し窓
33 通路
34 コネクタ
35、135 秤量室後壁25、125の第1の側
36、136 秤量室後壁25、125の第2の側
37 溝
40、140 長尺スロット
45、145 長手方向ストリップ
47 保持器
50、150 位置制御ユニット
52、152 キャリア
54、154 第1のアーム
55 ベース
56 第2のアーム
61 ねじ付き貫通穴
62 ねじ付き貫通穴
70 ガイド
71 ねじ付き穴
72 ねじ付き穴
74 スプライン
75 ガイドレール
76 長手方向に延在する溝
78 締め具
81 締め具
82 締め具
84 ねじ付き貫通穴
87 ねじ付き貫通穴
89、189 締め具
90 クラッチ要素
95 調節器
133 電気的接触のための貫通穴
134 通信モジュールを含む電気接点
153 駆動スピンドル
163 駆動ベルト
173 中間プーリ
183 従動ベルト
191 上部通路
192 下部通路
193 従動プーリ
194 螺旋ピン
197 取付けフレーム
199 ナット
W 秤量室
P 上壁にある開口部
Q、Q’ 開口部
L ロック部分
S 接触面
B ブリッジ
l1 秤量室後壁25、125の長さ
w1 秤量室後壁25、125の幅
d1 秤量室後壁25、125の奥行
l2 長尺スロット40、140の長さ
w2 長尺スロット40、140の幅
d2 長尺スロット40、140の奥行
T、T’ ブラケット
M 駆動ユニット/動力ユニット