(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】タッチセンサ、制御装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20221219BHJP
G01R 27/26 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/041 522
G01R27/26 C
(21)【出願番号】P 2019121771
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】後呂 洋平
(72)【発明者】
【氏名】清水 紀博
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 羊平
(72)【発明者】
【氏名】福原 慎吾
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0043976(US,A1)
【文献】特開2015-179393(JP,A)
【文献】特開2014-056512(JP,A)
【文献】特開2017-033844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G01R 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極と、
前記電極と対象物の間の静電容量を、所定の周期で検出静電容量として検出する静電容量検出部と、
前記検出静電容量と基準静電容量の差分に基づいて、前記対象物に対する操作の有無の判断を行なう制御部と、
を備えており、
前記制御部は、
前記検出静電容量で前記基準静電容量を更新し、
前記検出静電容量が前記基準静電容量よりも大きくかつ前記差分が所定値よりも大きい場合、第一期間だけ前記基準静電容量の更新を停止し、
前記検出静電容量が前記基準静電容量よりも小さくかつ前記差分が所定値よりも大きい場合、前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされたかを判断し、
前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされていないと判断された場合、第二期間だけ前記基準静電容量の更新を停止し、
前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされたと判断された場合、前記第二期間よりも短い第三期間だけ前記基準静電容量の更新を停止する、
タッチセンサ。
【請求項2】
前記第三期間の長さは、前記操作が繰り返される場合に想定される複数の操作間の時間間隔よりも短くなるように定められている、
請求項
1に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
前記対象物は、車両の一部である、
請求項1
または2に記載のタッチセンサ。
【請求項4】
電極と対象物の間の静電容量を、所定の周期で検出静電容量として検出する静電容量検出部の動作を制御する制御装置であって、
前記検出静電容量と基準静電容量の差分に基づいて、前記対象物に対する操作の有無の判断を行ない、
前記検出静電容量で前記基準静電容量を更新し、
前記検出静電容量が前記基準静電容量よりも大きくかつ前記差分が所定値よりも大きい場合、第一期間だけ前記基準静電容量の更新を停止し、
前記検出静電容量が前記基準静電容量よりも小さくかつ前記差分が所定値よりも大きい場合、前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされたかを判断し、
前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされていないと判断された場合、第二期間だけ前記基準静電容量の更新を停止し、
前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされたと判断された場合、前記第二期間よりも短い第三期間だけ前記基準静電容量の更新を停止する、
制御装置。
【請求項5】
電極と対象物の間の静電容量を、所定の周期で検出静電容量として検出する静電容量検出部の動作を制御装置に制御させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムが実行されることにより、前記制御装置に、
前記検出静電容量と基準静電容量の差分に基づいて、前記対象物に対する操作の有無の判断を行なわせ、
前記検出静電容量で前記基準静電容量を更新させ、
前記検出静電容量が前記基準静電容量よりも大きくかつ前記差分が所定値よりも大きい場合、第一期間だけ前記基準静電容量の更新を停止させ、
前記検出静電容量が前記基準静電容量よりも小さくかつ前記差分が所定値よりも大きい場合、前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされたかを判断させ、
前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされていないと判断された場合、第二期間だけ前記基準静電容量の更新を停止させ、
前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされたと判断された場合、前記第二期間よりも短い第三期間だけ前記基準静電容量の更新を停止させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサに関連する。本発明は、当該タッチセンサに搭載されうる制御装置、および当該制御装置に所定の動作を実行させるコンピュータプログラムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、静電容量方式のタッチセンサを開示している。当該タッチセンサにおいては、電極により生成される電界内に位置する対象物にユーザの指などが近づくことによって疑似的なコンデンサが形成され、当該電極自体の容量が増加する。この容量の増加が検知されることにより、ユーザによる対象物への操作がなされたかが判別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ノイズ環境下においても正確に対象物への操作を判別可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための第一態様は、タッチセンサであって、
電極と、
前記電極と対象物の間の静電容量を、所定の周期で検出静電容量として検出する静電容量検出部と、
前記検出静電容量と基準静電容量の差分に基づいて、前記対象物に対する操作の有無の判断を行なう制御部と、
を備えており、
前記制御部は、
前記検出静電容量で前記基準静電容量を更新し、
前記検出静電容量が前記基準静電容量よりも大きくかつ前記差分が所定値よりも大きい場合、第一期間だけ前記基準静電容量の更新を停止し、
前記検出静電容量が前記基準静電容量よりも小さくかつ前記差分が所定値よりも大きい場合、前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされたかを判断し、
前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされていないと判断された場合、第二期間だけ前記基準静電容量の更新を停止し、
前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされたと判断された場合、前記第二期間よりも短い第三期間だけ前記基準静電容量の更新を停止する。
【0006】
上記の目的を達成するための第二態様は、電極と対象物の間の静電容量を、所定の周期で検出静電容量として検出する静電容量検出部の動作を制御する制御装置であって、
前記検出静電容量と基準静電容量の差分に基づいて、前記対象物に対する操作の有無の判断を行ない、
前記検出静電容量で前記基準静電容量を更新し、
前記検出静電容量が前記基準静電容量よりも大きくかつ前記差分が所定値よりも大きい場合、第一期間だけ前記基準静電容量の更新を停止し、
前記検出静電容量が前記基準静電容量よりも小さくかつ前記差分が所定値よりも大きい場合、前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされたかを判断し、
前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされていないと判断された場合、第二期間だけ前記基準静電容量の更新を停止し、
前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされたと判断された場合、前記第二期間よりも短い第三期間だけ前記基準静電容量の更新を停止する。
【0007】
上記の目的を達成するための第三態様は、電極と対象物の間の静電容量を、所定の周期で検出静電容量として検出する静電容量検出部の動作を制御装置に制御させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムが実行されることにより、前記制御装置に、
前記検出静電容量と基準静電容量の差分に基づいて、前記対象物に対する操作の有無の判断を行なわせ、
前記検出静電容量で前記基準静電容量を更新させ、
前記検出静電容量が前記基準静電容量よりも大きくかつ前記差分が所定値よりも大きい場合、第一期間だけ前記基準静電容量の更新を停止させ、
前記検出静電容量が前記基準静電容量よりも小さくかつ前記差分が所定値よりも大きい場合、前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされたかを判断させ、
前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされていないと判断された場合、第二期間だけ前記基準静電容量の更新を停止させ、
前記第一期間の前記基準静電容量の更新停止がなされたと判断された場合、前記第二期間よりも短い第三期間だけ前記基準静電容量の更新を停止させる、
コンピュータプログラム。
【0008】
対象物への操作によって増加した検出静電容量が基準静電容量とされてしまうと、後続する操作によって大きい検出静電容量が取得されても基準静電容量との差分が小さくなり、対象物への操作がなされた事実が然るべく判断されない虞がある。上記のような構成によれば、このような事態の発生を抑制できる。
【0009】
検出静電容量が基準静電容量を下回る現象は、環境ノイズの影響であることが一般的である。したがって、検出静電容量が基準静電容量よりも小さくかつ両者の差分が所定値よりも大きい場合、タッチセンサに環境ノイズが作用している事態が予想される。この場合、制御部は、対象物に操作が行なわれたとは判断せず、環境ノイズ対策処理として基準静電容量の更新を停止する。環境ノイズによって減少した検出静電容量が基準静電容量とされてしまうと、操作が行なわれた場合よりも小さい検出静電容量が取得されても、基準静電容量との差分が大きければ操作がなされたと誤認識される虞がある。上記のような構成によれば、このような事態の発生を抑制できる。
【0010】
他方、検出静電容量の減少量が所定値よりも大きくなる現象が生じる原因としては、上記の環境ノイズの影響に加え、ユーザの指などが対象物に触れたままの状態で第一期間が満了し、基準静電容量の更新が再開される事態が考えられる。この場合、更新再開後に取得される検出静電容量は、操作がなされた状態の値をとり、当該値が基準静電容量とされる。したがって、ユーザの指などが対象物から離れることにより急速に減少する検出静電容量に基づいて、環境ノイズ対策処理が起動されてしまう。
【0011】
制御部は、第一期間の基準静電容量の更新停止がなされたかを判断することにより、検出静電容量の減少量が所定値よりも大きくなる現象が生じる原因が環境ノイズによるものなのか、操作状態の維持によるものなのかを識別している。第一期間の基準静電容量の更新停止は、対象物への操作がなされたと判断された場合になされるので、当該更新停止がなされた直後に検出静電容量の減少量が所定値よりも大きくなる現象が生じた場合、当該現象が操作状態の維持に起因している可能性が高い。
【0012】
したがって、第一期間の基準静電容量の更新停止がなされていないと判断された場合、制御部は、環境ノイズ対策として第二期間だけ基準静電容量の更新を停止する。他方、第一期間の基準静電容量の更新停止がなされたと判断された場合、制御部は、第二期間よりも短い第三期間だけ基準静電容量の更新を停止する。第三期間が第二期間よりも短い理由は、環境ノイズ起因でない状況下において環境ノイズ対策処理が継続されることを回避し、対象物への操作を検出可能な通常状態へより早く復帰するためである。
【0013】
上記の目的を達成するための第四態様は、タッチセンサであって、
電極と、
前記電極と対象物の間の静電容量を、所定の周期で検出静電容量として検出する静電容量検出部と、
前記検出静電容量と基準静電容量の差分に基づいて、前記対象物に対する操作の有無の判断を行なう制御部と、
を備えており、
前記制御部は、
前記検出静電容量で前記基準静電容量を更新し、
前記操作が第一期間ないと判断された場合、前記検出静電容量の取得を停止して較正処理を行ない、
前記検出静電容量が前記基準静電容量よりも小さくかつ前記差分が第一所定値よりも大きい場合、前記較正処理の間に生じた前記静電容量の増加が第二所定値を上回っているかを判断し、
前記静電容量の増加が前記第二所定値を上回っていないと判断された場合、第二期間だけ前記基準静電容量の更新を停止し、
前記静電容量の増加が前記第二所定値を上回っていると判断された場合、前記第二期間よりも短い第三期間だけ前記基準静電容量の更新を停止する。
【0014】
上記の目的を達成するための第五態様は、電極と対象物の間の静電容量を、所定の周期で検出静電容量として検出する静電容量検出部の動作を制御する制御装置であって、
前記検出静電容量と基準静電容量の差分に基づいて、前記対象物に対する操作の有無の判断を行ない、
前記検出静電容量で前記基準静電容量を更新し、
前記操作が第一期間ないと判断された場合、前記検出静電容量の取得を停止して較正処理を行ない、
前記検出静電容量が前記基準静電容量よりも小さくかつ前記差分が第一所定値よりも大きい場合、前記較正処理の間に生じた前記静電容量の増加が第二所定値を上回っているかを判断し、
前記静電容量の増加が前記第二所定値を上回っていないと判断された場合、第二期間だけ前記基準静電容量の更新を停止し、
前記静電容量の増加が前記第二所定値を上回っていると判断された場合、前記第二期間よりも短い第三期間だけ前記基準静電容量の更新を停止する。
【0015】
上記の目的を達成するための第六態様は、電極と対象物の間の静電容量を、所定の周期で検出静電容量として検出する静電容量検出部の動作を制御装置に制御させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムが実行されることにより、前記制御装置に、
前記検出静電容量と基準静電容量の差分に基づいて、前記対象物に対する操作の有無の判断を行なわせ、
前記検出静電容量で前記基準静電容量を更新させ、
前記操作が第一期間ないと判断された場合、前記検出静電容量の取得を停止して較正処理を行なわせ、
前記検出静電容量が前記基準静電容量よりも小さくかつ前記差分が第一所定値よりも大きい場合、前記較正処理の間に生じた前記静電容量の増加が第二所定値を上回っているかを判断させ、
前記静電容量の増加が前記第二所定値を上回っていないと判断された場合、第二期間だけ前記基準静電容量の更新を停止させ、
前記静電容量の増加が前記第二所定値を上回っていると判断された場合、前記第二期間よりも短い第三期間だけ前記基準静電容量の更新を停止させる。
【0016】
対象物への操作によって増加した検出静電容量が基準静電容量とされてしまうと、後続する操作によって大きい検出静電容量が取得されても、基準静電容量との差分が小さくなり、対象物への操作がなされた事実が然るべく判断されない虞がある。上記のような構成によれば、このような事態の発生を抑制できる。
【0017】
検出静電容量が基準静電容量を下回る現象は、環境ノイズの影響であることが一般的である。したがって、検出静電容量が基準静電容量よりも小さくかつ両者の差分が所定値よりも大きい場合、タッチセンサに環境ノイズが作用している事態が予想される。この場合、制御部は、対象物に操作が行なわれたとは判断せず、環境ノイズ対策処理として基準静電容量の更新を停止する。環境ノイズによって減少した検出静電容量が基準静電容量とされてしまうと、操作が行なわれた場合よりも小さい検出静電容量が取得されても基準静電容量との差分が大きければ、操作がなされたと誤認識される虞がある。上記のような構成によれば、このような事態の発生を抑制できる。
【0018】
他方、検出静電容量減少量が所定値よりも大きくなる現象が生じる原因としては、上記の環境ノイズの影響に加え、ユーザの指などが対象物に触れたままの状態で較正処理が終了し、基準静電容量の更新が再開される事態が考えられる。この場合、更新再開後に取得される検出静電容量は、操作がなされた状態の値をとり、当該値が基準静電容量とされる。したがって、ユーザの指などが対象物から離れることにより急速に減少する検出静電容量に基づいて、環境ノイズ対策処理が起動されてしまう。
【0019】
制御部は、更新処理中に検出静電容量が急増したかを判断することにより、検出静電容量の減少量が所定値よりも大きくなる現象が生じる原因が環境ノイズによるものなのか、較正処理中の操作によるものなのかを識別している。更新処理は、所定の期間操作が行なわれていないと判断された場合に実行されるので、更新処理中に検出静電容量の増加量が第一所定値を上回る状況下で検出静電容量の減少量が第二所定値を上回る現象が生じた場合、当該現象が較正処理中の操作に起因している可能性が高い。
【0020】
したがって、較正処理中に生じた静電容量の増加量が第二所定値以下であると判断された場合、制御部は、環境ノイズ対策として第二期間だけ基準静電容量の更新を停止する。他方、較正処理中に生じた静電容量の増加量が第二所定値より大きいと判断された場合、制御部は、第二期間よりも短い第三期間だけ基準静電容量の更新を停止する。第三期間が第二期間よりも短い理由は、環境ノイズ起因でない状況下において環境ノイズ対策処理が継続されることを回避し、対象物への操作を検出可能な通常状態へより早く復帰するためである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ノイズ環境下においても正確に対象物への操作を判別可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態に係るタッチセンサの機能構成を例示している。
【
図2】上記のタッチセンサの動作原理を示している。
【
図3】上記のタッチセンサの動作の流れの一例を示している。
【
図4】
図3の流れに基づくタッチセンサの動作を例示している。
【
図5】上記のタッチセンサの動作の流れの別例を示している。
【
図6】上記のタッチセンサの動作の流れの別例を示している。
【
図7】
図5と
図6の流れに基づくタッチセンサの動作を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。
図1は、一実施形態に係るタッチセンサ1の機能構成を例示している。
【0024】
タッチセンサ1は、電極11を備えている。電極11は、ユーザの身体の一部(指Fなど)がタッチ操作を行ないうる対象物2と対向するように配置されている。対象物2は、誘電体である。本明細書で用いられる「タッチ操作」という語は、対象物2に対するユーザの身体の一部の接近または接触を伴う操作を意味する。
【0025】
タッチセンサ1は、静電容量検出部12を備えている。静電容量検出部12は、電極11と対象物2の間の静電容量を検出するための充放電回路121を備えている。
【0026】
充放電回路121は、電極11と電気的に接続されている。充放電回路121は、充電動作と放電動作を行ないうる。充電動作時の充放電回路121は、不図示の電源から供給される電流を電極11へ供給する。放電動作時の充放電回路121は、電極11から電流を放出させる。
【0027】
電極11に供給された電流により、対象物2の周囲に電界が発生する。ユーザの指Fなどがこの電界に近づくと、電極11との間に疑似的なコンデンサが形成される。これにより、電極11と対象物2の間の静電容量が増加する。静電容量が増加すると、放電動作時における電極11から放出される電流が増加する。
【0028】
タッチセンサ1は、制御装置13を備えている。制御装置13は、制御部131を備えている。制御部131は、充放電回路121の動作を制御する機能を有している。制御部131は、所定の周波数で充放電回路121を動作させる。本明細書で用いられる「所定の周波数で充放電回路を動作させる」という表現は、所定の周波数で充放電回路に充電動作と放電動作を繰り返させることを意味する。
【0029】
静電容量検出部12は、変換回路122を備えている。電極11から放出された電流は、変換回路122に入力される。変換回路122は、入力された電流量に応じて発信周波数が変化する回路、および当該回路から出力されるパルスを計数するカウンタを含んでいる。すなわち、変換回路122は、検出された静電容量に対応する電流量に応じた数値を有するデータを出力する。
【0030】
当該データは、制御部131に入力される。制御部131は、当該データが示す数値に基づいて、電極11と対象物2の間の静電容量を取得できる。このようにして、制御部131は、電極11と対象物2の間の静電容量を、静電容量検出部12に検出させる。
【0031】
図2に例示されるように、制御部131は、静電容量検出部12に検出させた静電容量に基づいて、対象物2にタッチ操作が行なわれたかを判断する機能も有している。具体的には、制御部131は、電極11と対象物2の間の静電容量を、所定の周期Tで静電容量検出部12に繰り返し検出させる。周期Tは、例えば20ミリ秒である。以降の説明においては、静電容量検出部12によって検出された電極11と対象物2の間の静電容量を、「検出静電容量C」と称する。
【0032】
ユーザの指Fなどが対象物2に接近すると、前述の通り、電極11と対象物2の間の静電容量が増加する。制御部131は、基準静電容量Crからの増加量が所定の閾値Cthを超えると、対象物2にタッチ操作が行なわれたと判断する。すなわち、基準静電容量Crは、検出された静電容量に基づいて対象物2にタッチ操作が行なわれたかを判断するための基準となる静電容量の値である。図示の例においては、時点t1から時点t2までの間、タッチ操作が行なわれたと判断される。
【0033】
図1に示されるように、制御装置13は、記憶部132を備えている。記憶部132は、基準静電容量Crに対応するデータが格納されている。制御部131は、検出された静電容量に対応する変換回路122から入力されたデータと記憶部132に格納されているデータとを比較することにより、上記のタッチ操作が行なわれたかの判断を行なう。
【0034】
図2には基準静電容量Crが一定値をとるかのように記載されている。しかしながら、基準静電容量Crは、取得された検出静電容量Cの値で更新される。
図3を参照しつつ、制御部131による処理の流れの一例を説明する。
【0035】
制御部131は、検出静電容量Cを取得する(STEP1)。具体的には、制御部131は、検出静電容量Cに対応する数値データを、変換回路122から受け付ける。
【0036】
続いて、対象物2に対してタッチ操作が行なわれたかが判断される。まず、制御部131は、検出静電容量Cが基準静電容量Crを上回っているかを判断する(STEP2)。具体的には、変換回路122から入力されたデータと記憶部132に格納されているデータとを比較することによって、当該判断がなされる。
【0037】
検出静電容量Cが基準静電容量Crを上回っていると判断されると(STEP2においてYES)、制御部131は、検出静電容量Cの基準静電容量Crからの増加量が所定の閾値Cthを上回っているかを判断する(STEP3)。具体的には、変換回路122から入力されたデータと記憶部132に格納されているデータとを比較することにより、当該判断がなされる。
【0038】
検出静電容量Cの基準静電容量Crからの増加量が所定の閾値Cth以下であると判断されると(STEP3においてNO)、制御部131は、対象物2に対してタッチ操作が行なわれていないと判断する。この場合、制御部131は、検出静電容量Cに対応する数値データで記憶部132に格納されている基準静電容量Crに対応する数値データを更新する(STEP4)。すなわち、検出静電容量Cが、新たな基準静電容量Crになる。処理は、STEP1へ戻り、所定の周期Tに対応する時間の経過後に、次の検出静電容量Cが取得される。
【0039】
検出静電容量Cの基準静電容量Crからの増加量が所定の閾値Cthを上回っていると判断されると(STEP3においてYES)、制御部131は、対象物2に対してタッチ操作が行なわれたと判断する(STEP5)。この場合、
図1に例示されるように、制御部131は、タッチ操作が行なわれたことを示す検出信号Sを出力する。
【0040】
さらに制御部131は、基準静電容量Crの更新を停止し、所定の周期Tごとの検出静電容量Cの取得を継続する(STEP6)。
【0041】
続いて制御部131は、更新が停止されてから第一期間T1が経過したかを判断する(STEP7)。制御部131は、第一期間T1が経過したと判断されるまで、基準静電容量Crを更新することなく所定の周期Tごとの検出静電容量Cの取得を繰り返す(STEP7においてNO)。
【0042】
基準静電容量Crの更新停止から第一期間T1が経過したと判断されると(STEP7においてYES)、制御部131は、識別フラグの値をON状態にする(STEP8)。識別フラグの役割については後述する。識別フラグは、制御部131によって参照される少なくとも1ビットの情報を格納可能な記憶領域である。当該記憶領域は、メモリやレジスタによって提供されうる。
【0043】
続いて制御部131は、最新の検出静電容量Cに対応する数値データで記憶部132に格納されている基準静電容量Crに対応する数値データを更新する(STEP4)。すなわち、最新の検出静電容量Cが、新たな基準静電容量Crになる。処理は、STEP1へ戻り、所定の周期Tに対応する時間の経過後に、次の検出静電容量Cが取得される。
【0044】
すなわち、制御部131は、検出静電容量Cが基準静電容量Crよりも大きくかつ両者の差分が所定の閾値Cthよりも大きい場合、第一期間T1だけ基準静電容量Crの更新を停止する。換言すると、対象物2に対してタッチ操作がなされたと判断された場合に、第一期間T1だけ基準静電容量Crの更新が停止される。
【0045】
タッチ操作によって増加した検出静電容量Cが基準静電容量Crとされてしまうと、後続するタッチ操作によって大きい検出静電容量Cが取得されても基準静電容量Crとの差分が小さくなり、タッチ操作がなされた事実が然るべく判断されない虞がある。上記のような構成によれば、このような事態の発生を抑制できる。したがって、第一期間T1の長さは、想定されるタッチ操作の継続時間に基づいて定められうる。
【0046】
検出静電容量Cが基準静電容量Crを上回っていないと判断されると(STEP2においてNO)、制御部131は、検出静電容量Cの基準静電容量Crからの減少量が所定の閾値Cthを上回っているかを判断する(STEP9)。具体的には、変換回路122から入力されたデータと記憶部132に格納されているデータとを比較することにより、当該判断がなされる。なお、STEP3において使用される閾値CthとSTEP9において使用される閾値Cthは、必ずしも同一であることを要しない。
【0047】
検出静電容量Cの基準静電容量Crからの減少量が所定の閾値Cth以下であると判断されると(STEP9においてNO)、制御部131は、検出静電容量Cに対応する数値データで記憶部132に格納されている基準静電容量Crに対応する数値データを更新する(STEP4)。すなわち、検出静電容量Cが、新たな基準静電容量Crになる。処理は、STEP1へ戻り、所定の周期Tに対応する時間の経過後に、次の検出静電容量Cが取得される。
【0048】
検出静電容量Cの基準静電容量Crからの減少量が所定の閾値Cthを上回っていると判断されると(STEP9においてYES)、制御部131は、識別フラグの値がON状態であるかを判断する(STEP10)。
【0049】
識別フラグの値がON状態でないと判断されると(STEP10においてNO)、制御部131は、基準静電容量Crの更新を停止し、所定の周期Tごとの検出静電容量Cの取得を継続する(STEP11)。
【0050】
続いて制御部131は、更新が停止されてから第二期間T2が経過したかを判断する(STEP12)。制御部131は、第二期間T2が経過したと判断されるまで、基準静電容量Crを更新することなく所定の周期Tごとの検出静電容量の取得を繰り返す(STEP12においてNO)。
【0051】
基準静電容量Crの更新停止から第二期間T2が経過したと判断されると(STEP12においてYES)、制御部131は、最新の検出静電容量Cに対応する数値データで記憶部132に格納されている基準静電容量Crに対応する数値データを更新する(STEP4)。すなわち、最新の検出静電容量Cが、新たな基準静電容量Crになる。処理は、STEP1へ戻り、所定の周期Tに対応する時間の経過後に、次の検出静電容量Cが取得される。
【0052】
他方、識別フラグの値がON状態であると判断されると(STEP10においてYES)、制御部131は、基準静電容量Crの更新を停止し、所定の周期Tごとの検出静電容量Cの取得を継続する(STEP13)。
【0053】
続いて制御部131は、更新が停止されてから第三期間T3が経過したかを判断する(STEP14)。第三期間T3は、第二期間T2よりも短い。制御部131は、第三期間T3が経過したと判断されるまで、基準静電容量Crを更新することなく所定の周期Tごとの検出静電容量の取得を繰り返す(STEP14においてNO)。
【0054】
基準静電容量Crの更新停止から第三期間T3が経過したと判断されると(STEP14においてYES)、制御部131は、最新の検出静電容量Cに対応する数値データで記憶部132に格納されている基準静電容量Crに対応する数値データを更新する(STEP4)。すなわち、最新の検出静電容量Cが、新たな基準静電容量Crになる。処理は、STEP1へ戻り、所定の周期Tに対応する時間の経過後に、次の検出静電容量Cが取得される。その際、識別フラグの値は、OFF状態にリセットされる。
【0055】
検出静電容量Cが基準静電容量Crを下回る現象は、環境ノイズの影響であることが一般的である。したがって、検出静電容量Cが基準静電容量Crよりも小さくかつ両者の差分が所定の閾値Cthよりも大きい場合、タッチセンサ1に環境ノイズが作用している事態が予想される。この場合、制御部131は、対象物2にタッチ操作が行なわれたとは判断せず、環境ノイズ対策処理として基準静電容量Crの更新を停止する。
【0056】
環境ノイズによって減少した検出静電容量Cが基準静電容量Crとされてしまうと、タッチ操作が行なわれた場合よりも小さい検出静電容量Cが取得されても、基準静電容量Crとの差分が大きければ、タッチ操作がなされたと誤認識される虞がある。上記のような構成によれば、このような事態の発生を抑制できる。
【0057】
他方、検出静電容量Cの減少量が所定の閾値Cthよりも大きくなる現象が生じる原因としては、上記の環境ノイズの影響に加え、ユーザの指Fなどが対象物2に触れたままの状態で第一期間T1が満了し、基準静電容量Crの更新が再開される事態が考えられる。この場合、更新再開後に取得される検出静電容量Cは、タッチ操作がなされた状態の値をとり、当該値が基準静電容量Crとされる。したがって、ユーザの指Fなどが対象物2から離れることにより急速に減少する検出静電容量Cに基づいて、環境ノイズ対策処理が起動されてしまう。
【0058】
制御部131は、第一期間T1の更新停止がなされた場合にON状態とされる識別フラグを参照することにより、検出静電容量Cの減少量が所定の閾値Cthよりも大きくなる現象が生じる原因が環境ノイズによるものなのか、タッチ状態の維持によるものなのかを識別している。すなわち、制御部131は、検出静電容量Cが基準静電容量Crよりも小さくかつ両者の差分が所定の閾値Cthよりも大きい場合、第一期間T1の基準静電容量Crの更新停止がなされたかを判断する。識別フラグは、タッチ操作がなされたと判断された場合にON状態とされる。したがって、識別フラグがON状態のまま検出静電容量Cの減少量が所定の閾値Cthよりも大きくなる現象が生じた場合、当該現象がタッチ状態の維持に起因している可能性が高い。
【0059】
したがって、第一期間T1の基準静電容量Crの更新停止がなされていないと判断された場合、制御部131は、環境ノイズ対策として第二期間T2だけ基準静電容量Crの更新を停止する。第二期間T2の長さは、想定される環境ノイズの継続時間に基づいて定めされうる。
【0060】
他方、第一期間T1の基準静電容量Crの更新停止がなされたと判断された場合、制御部131は、第二期間T2よりも短い第三期間T3だけ基準静電容量Crの更新を停止する。第三期間T3が第二期間T2よりも短い理由は、環境ノイズ起因でない状況下において環境ノイズ対策処理が継続されることを回避し、タッチ操作を検出可能な通常状態へより早く復帰するためである。
【0061】
上記のような構成によれば、ノイズ環境下においても正確にタッチ操作を判別可能にできる。
【0062】
図4を参照しつつ、
図3に示されるように構成されたタッチセンサ1の動作例を説明する。
図4において、黒丸は、所定の周期Tごとに取得される検出静電容量Cを表している。白丸は、検出静電容量Cが取得された時点において参照される基準静電容量Crを表している。
【0063】
時点t1において取得された検出静電容量Cは、当該時点における基準静電容量Crよりも大きい(
図3のSTEP2におけるYESに対応)。したがって、検出静電容量Cの基準静電容量Crからの増加量が閾値Cthを上回っているかが判断される(
図3のSTEP3に対応)。
【0064】
本例においては、時点t1における検出静電容量Cと基準静電容量Crとの差分は、閾値Cthを上回っていない(
図3のSTEP2におけるNOに対応)。したがって、時点t1において取得された検出静電容量Cによって基準静電容量Crが更新される(
図3のSTEP4に対応)。すなわち、時点t1において取得された検出静電容量Cは、所定の周期Tに対応する時間が経過した後の時点t2において取得される検出静電容量Cに対する基準静電容量Crとなる。
【0065】
時点t2において取得された検出静電容量Cは、当該時点における基準静電容量Crよりも大きい(
図3のSTEP2におけるYESに対応)。したがって、検出静電容量Cの基準静電容量Crからの増加量が閾値Cthを上回っているかが判断される(
図3のSTEP6に対応)。
【0066】
本例においては、時点t2において取得された検出静電容量Cと基準静電容量Crとの差分は、閾値Cthを上回っている(
図3のSTEP3におけるYESに対応)。したがって、対象物2に対してタッチ操作が行なわれたと判断される(
図3のSTEP5に対応)。
【0067】
この場合、基準静電容量Crの更新が停止され、所定の周期Tに対応する時間が経過する度に、検出静電容量Cの取得が繰り返される(
図3のSTEP6に対応)。検出静電容量Cが取得される度に、基準静電容量Crの更新停止から第一期間T1が経過したかが判断される(
図3のSTEP7に対応)。
【0068】
本例においては、時点t6において第一期間T1が満了している(
図3のSTEP7におけるYESに対応)。したがって、識別フラグがON状態にされ(
図3のSTEP8に対応)、時点t6において取得された検出静電容量Cによって基準静電容量Crが更新される(
図3のSTEP4に対応)。すなわち、時点t6において取得された検出静電容量Cは、所定の周期Tに対応する時間が経過した後の時点t7において取得される検出静電容量Cに対する基準静電容量Crとなる。
【0069】
時点t7において取得された検出静電容量Cは、当該時点における基準静電容量Crよりも小さい(
図3のSTEP2におけるNOに対応)。したがって、検出静電容量Cの基準静電容量Crからの減少量が閾値Cthを上回っているかが判断される(
図3のSTEP9に対応)。
【0070】
本例においては、時点t7において取得された検出静電容量Cと基準静電容量Crとの差分は、閾値Cthを上回っていない(
図3のSTEP9におけるNOに対応)。したがって、時点t7において取得された検出静電容量Cによって基準静電容量Crが更新される(
図3のSTEP4に対応)。すなわち、時点t7において取得された検出静電容量Cは、所定の周期Tに対応する時間が経過した後の時点t8において取得される検出静電容量Cに対する基準静電容量Crとなる。また、識別フラグはリセットされ、OFF状態となる。
【0071】
時点t8において取得された検出静電容量Cは、当該時点における基準静電容量Crよりも小さい(
図3のSTEP2におけるNOに対応)。したがって、検出静電容量Cの基準静電容量Crからの減少量が閾値Cthを上回っているかが判断される(
図3のSTEP9に対応)。
【0072】
本例においては、時点t8において取得された検出静電容量Cと基準静電容量Crとの差分は、閾値Cthを上回っている(
図3のSTEP9におけるYESに対応)。したがって、識別フラグがON状態であるかが判断される(
図3のSTEP10に対応)。
【0073】
本例においては、時点t7において識別フラグがリセットされているので、ON状態ではない(
図3のSTEP10におけるNOに対応)。したがって、検出静電容量Cの急速な低下は、環境ノイズの影響であると判断される。この場合、基準静電容量Crの更新が停止され、所定の周期Tに対応する時間が経過する度に、検出静電容量Cの取得が繰り返される(
図3のSTEP11に対応)。検出静電容量Cが取得される度に、基準静電容量Crの更新停止から第二期間T2が経過したかが判断される(
図3のSTEP12に対応)。
【0074】
本例においては、時点t14において第二期間T2が満了している(
図3のSTEP12におけるYESに対応)。したがって、時点t14において取得された検出静電容量Cによって基準静電容量Crが更新される(
図3のSTEP4に対応)。すなわち、時点t14において取得された検出静電容量Cは、所定の周期Tに対応する時間が経過した後の時点t15において取得される検出静電容量Cに対する基準静電容量Crとなる。
【0075】
図4に例示される黒三角は、時点t4以降も対象物2に対するタッチ状態が維持された場合において所定の周期Tごとに取得される検出静電容量Cを表している。白三角は、同場合に検出静電容量Cが取得された時点において参照される基準静電容量Crを表している。
【0076】
前述の通り、時点t6において第一期間T1が満了している(
図3のSTEP7におけるYESに対応)。したがって、識別フラグがON状態にされ(
図3のSTEP8に対応)、時点t6において取得された検出静電容量Cによって基準静電容量Crが更新される(
図3のSTEP4に対応)。時点t6においては対象物2に対するタッチ状態が維持されているので、時点t6において取得された検出静電容量Cは、大きい値を有している。時点t6において取得された検出静電容量Cは、所定の周期Tに対応する時間が経過した後の時点t7において取得される検出静電容量Cに対する基準静電容量Crとなる。時点t7における基準静電容量Crもまた、大きい値を有している。
【0077】
ユーザの指Fなどが対象物2から離れると、検出静電容量Cは急速に低下する。本例においては、時点t8においてこの現象が生じている。したがって、時点t8において取得された検出静電容量Cと基準静電容量Crとの差分は、閾値Cthを上回っている(
図3のSTEP9におけるYESに対応)。したがって、識別フラグがON状態であるかが判断される(
図3のSTEP10に対応)。
【0078】
本例においては、時点t6においてON状態とされた識別フラグの値が維持されている(
図3のSTEP10におけるYESに対応)。したがって、検出静電容量Cの急速な低下は、タッチ状態の維持が解消されたためと判断される。この場合、基準静電容量Crの更新が停止され、所定の周期Tに対応する時間が経過する度に、検出静電容量Cの取得が繰り返される(
図3のSTEP13に対応)。検出静電容量Cが取得される度に、基準静電容量Crの更新停止から第三期間T3が経過したかが判断される(
図3のSTEP14に対応)。
【0079】
本例においては、時点t10において第三期間T3が満了している(
図3のSTEP14におけるYESに対応)。したがって、時点t10において取得された検出静電容量Cによって基準静電容量Crが更新される(
図3のSTEP4に対応)。すなわち、時点t10において取得された検出静電容量Cは、所定の周期Tに対応する時間が経過した後の時点t11において取得される検出静電容量Cに対する基準静電容量Crとなる。また、識別フラグはリセットされ、OFF状態となる。
【0080】
これにより、タッチセンサ1は、再びタッチ操作の検出が可能な状態とされる。本例においては、時点t12においてタッチ操作が行なわれたとの判断がなされ、基準静電容量Crの更新が第一期間T1だけ停止されている。
【0081】
第三期間T3の長さは、このように後続するタッチ操作がなされる前に基準静電容量Crの更新停止が終了しているように定められることが好ましい。例えば、第三期間T3の長さは、ダブルタッピングのようにタッチ操作が繰り返される場合において想定される複数のタッチ操作間の時間間隔よりも短くなるように定められうる。
【0082】
このような構成によれば、検出静電容量Cの急速な低下が環境ノイズの影響によるものと誤認され、後続するタッチ操作を然るべく認識できない事態の発生を抑制できる。
【0083】
次に、
図5を参照しつつ、制御部131により行われる処理の別例について説明する。
図3に例示したステップと実質的に同一のステップには同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0084】
本例においては、所定の期間タッチ操作が行なわれていないと判断された場合、制御部131は、較正処理を実行する。較正処理は、検出静電容量Cの取得を停止して行なわれる。較正処理が行なわれている間は、基準静電容量Crの更新も停止される。所定の期間タッチ操作が行なわれていないことの判断は、
図6に例示される処理によって行なわれうる。
【0085】
図6に例示される処理は、検出静電容量Cと基準静電容量Crの差分が所定の閾値Cth以下である場合になされる基準静電容量Crの更新後に開始される(
図5のSTEP3におけるNO、またはSTEP9におけるNOに続くSTEP4)。
【0086】
制御部131は、内部カウンタの値nを一つ増加する(STEP31)。続いて、制御部131は、内部カウンタの値nが所定の値Nに達しているかを判断する(STEP32)。Nの値は、「所定の期間」を周期Tで除算した数に対応する。内部カウンタの値nが所定の値Nに達していなければ(STEP32においてYES)、処理はSTEP1に戻り、所定の周期Tに対応する時間の経過後に、次の検出静電容量Cが取得される。タッチ操作が行なわれたとの判断がなされなければ、上記の処理が繰り返されて内部カウンタの値nは増加していく。
【0087】
内部カウンタの値nが所定の値Nに達すると(STEP32においてNO)、制御部131は、その時点における基準静電容量Crを記憶部132に保存し(STEP33)、較正処理を開始する(STEP34)。
【0088】
較正処理が終了すると、制御部131は、検出静電容量Cを取得する。さらに制御部131は、検出静電容量Cが基準静電容量Crよりも大きくかつ両者の差分が所定の閾値Cthを上回っているかを判断する(STEP35)。具体的には、変換回路122から入力されたデータとSTEP23において記憶部132に格納されている基準静電容量Crに対応するデータとが比較に供される。
【0089】
この処理は、較正処理中に対象物2へのタッチ操作が行なわれたかを判断するために行なわれる。較正処理は所定の期間タッチ操作がなされていないことを前提に実行されるので、較正処理開始時における検出静電容量Cは、比較的小さい値をとる。較正処理中にユーザの指Fなどが対象物2に触れると、検出静電容量Cは増大する。このような状況下で較正処理終了直後に取得される検出静電容量Cは、較正処理開始前の基準静電容量Crよりも大きく、かつ両者の差分は、所定の閾値Cthを上回るはずである。
【0090】
検出静電容量Cが基準静電容量Crよりも大きくかつ両者の差分が所定の閾値Cthを上回っていると判断されると(STEP35においてYES)、制御部131は、識別フラグをON状態にする(STEP36)。識別フラグの役割については後述する。識別フラグは、制御部131によって参照される少なくとも1ビットの情報を格納可能な記憶領域である。当該記憶領域は、メモリやレジスタによって提供されうる。
【0091】
制御部131は、較正処理の終了時に取得された検出静電容量Cで基準静電容量Crを更新する(STEP37)。その後、処理はSTEP1に戻り、所定の周期Tに対応する時間の経過後に、次の検出静電容量Cが取得される。較正処理の終了時に取得された検出静電容量Cが基準静電容量Crよりも大きく、かつ両者の差分が所定の閾値Cthを上回っていないと判断されると(STEP35においてNO)、制御部131は、識別フラグの値を変更することなく、較正処理の終了時に取得された検出静電容量Cで基準静電容量Crを更新する(STEP37)。その後、処理はSTEP1に戻る。
【0092】
続いて取得された検出静電容量Cが基準静電容量Cr以下であり、かつ両者の差分が所定の閾値Cthを上回っている場合(STEP2においてNO;STEP9においてYES)、制御部131は、識別フラグの値がON状態であるかを判断する(STEP20)。
【0093】
識別フラグの値がON状態でないと判断されると(STEP20においてNO)、制御部131は、基準静電容量Crの更新を停止し、所定の周期Tごとの検出静電容量Cの取得を継続する(STEP21)。
【0094】
続いて制御部131は、更新が停止されてから第二期間T2が経過したかを判断する(STEP22)。制御部131は、第二期間T2が経過したと判断されるまで、基準静電容量Crを更新することなく所定の周期Tごとの検出静電容量の取得を繰り返す(STEP22においてNO)。
【0095】
基準静電容量Crの更新停止から第二期間T2が経過したと判断されると(STEP22においてYES)、制御部131は、最新の検出静電容量Cに対応する数値データで記憶部132に格納されている基準静電容量Crに対応する数値データを更新する(STEP4)。すなわち、最新の検出静電容量Cが、新たな基準静電容量Crになる。処理は、STEP1へ戻り、所定の周期Tに対応する時間の経過後に、次の検出静電容量Cが取得される。その際、識別フラグの値は、OFF状態にリセットされる。
【0096】
他方、識別フラグの値がON状態であると判断されると(STEP20においてYES)、制御部131は、基準静電容量Crの更新を停止し、所定の周期Tごとの検出静電容量Cの取得を継続する(STEP23)。
【0097】
続いて制御部131は、更新が停止されてから第三期間T3が経過したかを判断する(STEP24)。第三期間T3は、第二期間T2よりも短い。制御部131は、第三期間T3が経過したと判断されるまで、基準静電容量Crを更新することなく所定の周期Tごとの検出静電容量の取得を繰り返す(STEP24においてNO)。
【0098】
基準静電容量Crの更新停止から第三期間T3が経過したと判断されると(STEP24においてYES)、制御部131は、最新の検出静電容量Cに対応する数値データで記憶部132に格納されている基準静電容量Crに対応する数値データを更新する(STEP4)。すなわち、最新の検出静電容量Cが、新たな基準静電容量Crになる。処理は、STEP1へ戻り、所定の周期Tに対応する時間の経過後に、次の検出静電容量Cが取得される。その際、識別フラグの値は、OFF状態にリセットされる。
【0099】
検出静電容量が基準静電容量を下回る現象は、環境ノイズの影響であることが一般的である。したがって、検出静電容量Cが基準静電容量Crよりも小さくかつ両者の差分が所定の閾値Cthよりも大きい場合、タッチセンサ1に環境ノイズが作用している事態が予想される。この場合、制御部131は、対象物2にタッチ操作が行なわれたとは判断せず、環境ノイズ対策処理として基準静電容量Crの更新を停止する。
【0100】
環境ノイズによって減少した検出静電容量Cが基準静電容量Crとされてしまうと、タッチ操作が行なわれた場合よりも小さい検出静電容量Cが取得されても基準静電容量Crとの差分が大きければ、タッチ操作がなされたと誤認識される虞がある。上記のような構成によれば、このような事態の発生を抑制できる。
【0101】
他方、検出静電容量Cの減少量が所定の閾値Cthよりも大きくなる現象が生じる原因としては、上記の環境ノイズの影響に加え、ユーザの指Fなどが対象物2に触れたままの状態で較正処理が終了し、基準静電容量Crの更新が再開される事態が考えられる。この場合、更新再開後に取得される検出静電容量Cは、タッチ操作がなされた状態の値をとり、当該値が基準静電容量Crとされる。したがって、ユーザの指Fなどが対象物2から離れることにより急速に減少する検出静電容量Cに基づいて、環境ノイズ対策処理が起動されてしまう。
【0102】
制御部131は、更新処理中に検出静電容量Cが急増した場合にON状態とされる識別フラグを参照することにより、検出静電容量Cの減少量が所定の閾値Cthよりも大きくなる現象が生じる原因が環境ノイズによるものなのか、較正処理中のタッチ操作によるものなのかを識別している。すなわち、制御部131は、検出静電容量Cが基準静電容量Crよりも小さくかつ両者の差分が所定の閾値Cth(第一所定値)よりも大きい場合、較正処理中に生じた静電容量の増加が所定の閾値Cth(第二所定値)よりも大きいかを判断する。識別フラグは、較正処理中に生じた静電容量の増加量が大きい場合にON状態とされる。したがって、識別フラグがON状態のまま検出静電容量Cの減少量が所定の閾値Cthよりも大きくなる現象が生じた場合、当該現象が較正処理中のタッチ操作に起因している可能性が高い。
【0103】
したがって、較正処理中に生じた静電容量の増加量が第二所定値以下であると判断された場合、制御部131は、環境ノイズ対策として第二期間T2だけ基準静電容量Crの更新を停止する。第二期間T2の長さは、想定される環境ノイズの継続時間に基づいて定めされうる。
【0104】
他方、較正処理中に生じた静電容量の増加量が第二所定値より大きいと判断された場合、制御部131は、第二期間T2よりも短い第三期間T3だけ基準静電容量Crの更新を停止する。第三期間T3が第二期間T2よりも短い理由は、環境ノイズ起因でない状況下において環境ノイズ対策処理が継続されることを回避し、タッチ操作を検出可能な通常状態へより早く復帰するためである。
【0105】
上記のような構成によれば、ノイズ環境下においても正確にタッチ操作を判別可能にできる。
【0106】
図7を参照しつつ、
図5と
図6に示されるように構成されたタッチセンサ1の動作例を説明する。
図7において、黒丸は、所定の周期Tごとに取得される検出静電容量Cを表している。白丸は、検出静電容量Cが取得された時点において参照される基準静電容量Crを表している。
【0107】
本例においては、時点t1において、所定の期間タッチ操作が行なわれていないと判断されている。したがって、時点t1において参照された基準静電容量Crが記憶部132に保存される(
図6のSTEP33に対応)。
【0108】
その後、期間T0にわたって較正処理が実行される(
図6のSTEP34に対応)。この間、検出静電容量Cの取得も基準静電容量Crの更新も停止される。
【0109】
時点t2において較正処理が終了すると、当該時点における検出静電容量Cが取得され、較正処理開始前の時点t1において保存された基準静電容量Crと比較される(
図6のSTEP35に対応)。
【0110】
本例においては、時点t2において取得された検出静電容量Cは、時点t1において保存された基準静電容量Crよりも小さい(
図6のSTEP35におけるNOに対応)。したがって、識別フラグがON状態にされることなく、時点t2において取得された検出静電容量Cによって基準静電容量Crが更新される(
図6のSTEP37に対応)。すなわち、時点t2において取得された検出静電容量Cは、所定の周期Tに対応する時間が経過した後の時点t3において取得される検出静電容量Cに対する基準静電容量Crとなる。
【0111】
時点t3において取得された検出静電容量Cは、当該時点における基準静電容量Crよりも小さい(
図5のSTEP2におけるNOに対応)。したがって、検出静電容量Cの基準静電容量Crからの減少量が閾値Cthを上回っているかが判断される(
図5のSTEP9に対応)。
【0112】
本例においては、時点t3において取得された検出静電容量Cと基準静電容量Crとの差分は、閾値Cthを上回っている(
図5のSTEP9におけるYESに対応)。したがって、識別フラグがON状態であるかが判断される(
図5のSTEP20に対応)。
【0113】
本例においては、時点t2において識別フラグがON状態にされていない(
図5のSTEP20におけるNOに対応)。したがって、検出静電容量Cの急速な低下は、環境ノイズの影響であると判断される。この場合、基準静電容量Crの更新が停止され、所定の周期Tに対応する時間が経過する度に、検出静電容量Cの取得が繰り返される(
図5のSTEP21に対応)。検出静電容量Cが取得される度に、基準静電容量Crの更新停止から第二期間T2が経過したかが判断される(
図5のSTEP22に対応)。
【0114】
本例においては、時点t9において第二期間T2が満了している(
図5のSTEP22におけるYESに対応)。したがって、時点t9において取得された検出静電容量Cによって基準静電容量Crが更新される(
図5のSTEP4に対応)。すなわち、時点t9において取得された検出静電容量Cは、所定の周期Tに対応する時間が経過した後の時点t10において取得される検出静電容量Cに対する基準静電容量Crとなる。
【0115】
図7に例示される黒三角は、較正処理中にタッチ操作がなされた場合において所定の周期Tごとに取得される検出静電容量Cを表している。白三角は、同場合に検出静電容量Cが取得された時点において参照される基準静電容量Crを表している。
【0116】
前述の通り、時点t2において較正処理が終了している。したがって、当該時点における検出静電容量Cが取得され、較正処理開始前の時点t1において保存された基準静電容量Crと比較される(
図6のSTEP35に対応)。
【0117】
本例においては、時点t2において取得された検出静電容量Cは、時点t1において保存された基準静電容量Crよりも大きく、かつ両者の差分は所定の閾値Cthを上回っている(
図6のSTEP35におけるYESに対応)。したがって、識別フラグがON状態にされ(
図6のSTEP36に対応)、時点t2において取得された検出静電容量Cによって基準静電容量Crが更新される(
図6のSTEP37に対応)。較正処理中にタッチ操作がなされているので、時点t2において取得された検出静電容量Cは、大きい値を有している。時点t2において取得された検出静電容量Cは、所定の周期Tに対応する時間が経過した後の時点t3において取得される検出静電容量Cに対する基準静電容量Crとなる。時点t3における基準静電容量Crもまた、大きい値を有している。
【0118】
ユーザの指Fなどが対象物2から離れると、検出静電容量Cは急速に低下する。本例においては、時点t3においてこの現象が生じている。したがって、時点t3において取得された検出静電容量Cと基準静電容量Crとの差分は、閾値Cthを上回っている(
図5のSTEP9におけるYESに対応)。したがって、識別フラグがON状態であるかが判断される(
図5のSTEP20に対応)。
【0119】
本例においては、時点t2においてON状態とされた識別フラグの値が維持されている(
図5のSTEP20におけるYESに対応)。したがって、検出静電容量Cの急速な低下は、タッチ状態の維持が解消されたためと判断される。この場合、基準静電容量Crの更新が停止され、所定の周期Tに対応する時間が経過する度に、検出静電容量Cの取得が繰り返される(
図5のSTEP23に対応)。検出静電容量Cが取得される度に、基準静電容量Crの更新停止から第三期間T3が経過したかが判断される(
図5のSTEP24に対応)。
【0120】
本例においては、時点t5において第三期間T3が満了している(
図5のSTEP24におけるYESに対応)。したがって、時点t5において取得された検出静電容量Cによって基準静電容量Crが更新される(
図5のSTEP4に対応)。すなわち、時点t5において取得された検出静電容量Cは、所定の周期Tに対応する時間が経過した後の時点t6において取得される検出静電容量Cに対する基準静電容量Crとなる。また、識別フラグはリセットされ、OFF状態となる。
【0121】
これにより、タッチセンサ1は、再びタッチ操作の検出が可能な状態とされる。本例においては、時点t7においてタッチ操作が行なわれたとの判断がなされ、基準静電容量Crの更新が停止されている。
【0122】
第三期間T3の長さは、このように後続するタッチ操作がなされる前に基準静電容量Crの更新停止が終了しているように定められることが好ましい。例えば、第三期間T3の長さは、ダブルタッピングのようにタッチ操作が繰り返される場合において想定される複数のタッチ操作間の時間間隔よりも短くなるように定められうる。
【0123】
このような構成によれば、検出静電容量Cの急速な低下が環境ノイズの影響によるものと誤認され、後続するタッチ操作を然るべく認識できない事態の発生を抑制できる。
【0124】
上記のような構成を有するタッチセンサ1は、例えば車両の一部であるドアハンドルに内蔵されうる。ドアハンドルは、対象物の一例である。この場合、ユーザの指Fなどがドアハンドルに触れる操作が行なわれたと判断されると、制御装置13から検出信号Sが出力される。検出信号Sは、例えば車両のドアの施錠装置に送信されうる。施錠装置は、検出信号Sに応じてドアの施錠動作や解錠動作を遂行しうる。
【0125】
上述した制御部131の機能は、上述した処理を実現するコンピュータプログラムを実行可能なマイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの専用集積回路によって実現されうる。制御部131は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されてもよい。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。制御部131は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによって実現されてもよい。
【0126】
上述した記憶部132の機能は、半導体メモリやハードディスク装置などの記憶装置により実現されうる。上述した汎用メモリの少なくとも一部が、記憶部132として使用されてもよい。制御部131と記憶部132は、互いに独立した複数の素子として提供されてもよいし、単一の素子にパッケージされていてもよい。
【0127】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0128】
タッチセンサ1は、車両におけるドアハンドル以外の箇所にも配置されうる。タッチセンサ1により検出されるタッチ操作は、必ずしもユーザの指Fにより行なわれることを要しない。掌、肘、膝、足先などの身体部位によるタッチ操作も検出されうる。
【0129】
タッチセンサ1は、ユーザによるタッチ操作の検出が必要とされる適宜のユーザインターフェースに使用されうる。そのようなユーザインターフェースを備えた装置の例としては、建物の空調設備、建物の調光設備、室内あるいは室外で使用される音響映像機器、調理機器、空調機器、玩具などが挙げられる。
【符号の説明】
【0130】
1:タッチセンサ、2:対象物、11:電極、12:静電容量検出部、13:制御装置、131:制御部、C:検出静電容量、Cr:基準静電容量、Cth:閾値、T1:第一期間、T2:第二期間、T3:第三期間