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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】データ処理装置およびデータ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20221219BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20221219BHJP
   F03D 17/00 20160101ALN20221219BHJP
【FI】
H02J13/00 301D
H02J3/38 120
F03D17/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019124904
(22)【出願日】2019-07-04
(65)【公開番号】P2021013210
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 政紀
(72)【発明者】
【氏名】友部 修
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 正俊
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-095163(JP,A)
【文献】特開2018-091738(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0145277(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 17/00
G01R 31/34
H02J 3/38
H02J 7/35
H02J 13/00
H02S 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散電源の発電量の特徴量を算出する特徴量算出部と、
所定範囲内に存在するN(Nは2以上の整数)個の分散電源のそれぞれの位置および発電量の計測時刻に基づいて、前記N個の分散電源の同時間帯に計測された発電量の特徴量を比較し、前記比較結果に基づいて前記分散電源の発電量の異常を診断する診断部とを備え
前記分散電源の発電量の特徴量は、前記所定範囲内に存在する分散電源の同時間帯における前記発電量の時間経過に伴う変化の傾向であるデータ処理装置。
【請求項2】
前記分散電源の位置および前記発電量の計測時刻を示す情報を前記発電量の発電量データに付加したパケットデータを生成する生成部と、
前記分散電源の発電量の異常の診断結果を出力する出力部とをさらに備える請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記診断部は、所定の基準に基づいて、前記N個の分散電源の発電量の特徴量の類似性を判定し、前記類似性に基づいて前記分散電源の発電量の異常を診断する請求項に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記診断部は、前記N個の分散電源のうち一の分散電源の発電量の特徴量と他の分散電源の発電量の特徴量との差分を取得し、取得した前記差分の絶対値が閾値以上の前記分散電源の発電量を異常と判定する請求項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
プロセッサにて実行されるデータ処理方法であって、
前記プロセッサは、
所定範囲内に存在するN(Nは2以上の整数)個の分散電源のそれぞれの位置および発電量の計測時刻に基づいて、前記N個の分散電源の同時間帯に計測された発電量の特徴量を比較し、
前記比較結果に基づいて前記分散電源の発電量の異常を診断し、
前記分散電源の発電量の特徴量は、前記所定範囲内に存在する分散電源の同時間帯における前記発電量の時間経過に伴う変化の傾向であるデータ処理方法。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記分散電源の位置および前記発電量の計測時刻を示す情報を前記発電量の発電量データに付加したパケットデータを生成し、
前記分散電源の発電量の異常の診断結果を出力する請求項に記載のデータ処理方法。
【請求項7】
前記プロセッサは、
所定の基準に基づいて、前記N個の分散電源の発電量の特徴量の類似性を判定し、
前記類似性に基づいて前記分散電源の発電量の異常を診断する請求項に記載のデータ処理方法。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記N個の分散電源のうち一の分散電源の発電量の特徴量と他の分散電源の発電量の特徴量との差分を取得し、取得した前記差分の絶対値が閾値以上の前記分散電源の発電量を異常と判定する請求項に記載のデータ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置およびデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SDGs(Sustainable Development Goals)に代表されるような持続可能なエネルギーの調達および利用の達成のため、エネルギー消費の再生可能エネルギー化が進んでいる。それに伴い、家庭等の分散電源で発電した際に、CO削減価値および地域貢献価値等の再生可能エネルギーの非kWh価値を電力の価値とは別に数値化して、企業および自治体の活動におけるエネルギー消費の再生可能エネルギー化の達成度を向上させるための取引商品とすることが行われるようになっている。こうした再生可能エネルギーの非kWh価値を他者間で取引するシステムを構築する場合、計測した分散電源の発電量データの信頼性の保証が重要となる。
【0003】
計測したデータの信頼性の保証方法には、特許文献1に開示された方法が知られている。特許文献1は、計測したデータの信頼性の保証方法として、「少なくとも3つ以上の慣性センサを対象とした状態判定方法であって、前記慣性センサの出力値を用いて少なくとも2つ以上の他の慣性センサの前記出力値と相互比較処理を行う第1の相互比較処理、及び、前記出力値に基づく演算値を用いて少なくとも2つ以上の他の慣性センサの前記演算値と相互比較処理を行う第2の相互比較処理、の少なくとも一方の前記相互比較処理に基づいて、状態判定を行うことを特徴とする状態判定方法」を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-91738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたデータの信頼性の保証方法は、複数センサを備えて相互判定する必要があり、センサ数が冗長になることから、分散電源の設備費用の上昇を招いていた。
【0006】
また、非kWh価値取引市場では、スマートメータデータを収集して発電量を検証することはデータ量および所有権の問題等から困難であり、従来の電力系統監視システムでは、電力ネットワーク網の潮流情報に基づいた推定によって値の正誤を検証する手段を持たないため、異常データを検知できなかった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、センサ数の増大を抑制しつつ、分散電源の発電量の異常を診断可能なデータ処理装置およびデータ処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、第1の観点に係るデータ処理装置は、分散電源の発電量の特徴量を算出する特徴量算出部と、N(Nは2以上の整数)個の分散電源のそれぞれの位置および発電量の計測時刻に基づいて、前記N個の分散電源の発電量の特徴量を比較し、前記比較結果に基づいて前記分散電源の発電量の異常を診断する診断部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、センサ数の増大を抑制しつつ、分散電源の発電量の異常を診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るデータ処理装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1の発電量パケットデータのデータ構造の一例を示す図である。
図3図3は、図1の発電量パケットデータの内容の数値例を示す図である。
図4図4は、図1のデータ処理装置のハードウェア構成例および分散電源との接続例を示すブロック図である。
図5図5は、図1のデータ処理装置における処理全体の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、図5のパケット生成処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、図5の特徴量算出処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、特徴量算出時の数値例を示す図である。
図9図9は、図5の異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、図1の表示部にて表示される判定結果の通知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、第1実施形態に係るデータ処理装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図1において、データ処理装置100は、N(Nは2以上の整数)個の分散電源のそれぞれの位置および発電量の計測時刻に基づいて、N個の分散電源の発電量の特徴量を比較し、その比較結果に基づいて分散電源の発電量の異常を診断する。分散電源は、例えば、太陽光発電、太陽熱発電または風力発電に用いられる再生可能エネルギー電源である。
【0013】
分散電源の発電量の特徴量は、例えば、所定範囲内に存在する分散電源の同時間帯における発電量の変化の傾向である。分散電源が存在する所定範囲は、例えば、分散電源間の距離、分散電源が存在する標高および分散電源が存在する地形等に基づいて設定することができる。
【0014】
このとき、例えば、風力発電装置が海上に互いに近接して配置されている場合、それらの風力発電装置に対する風速および風向はほぼ等しい。このため、これらの風力発電装置が正常に動作している場合、これらの風力発電装置の同時間帯における発電量の変化の傾向は、ほぼ等しくなる。
【0015】
このため、データ処理装置100は、所定範囲内に存在する分散電源の同時間帯における発電量の変化の傾向を監視し、その所定範囲内に存在する分散電源のうち、同時間帯における発電量の変化の傾向が異なる分散電源がある場合、その分散電源の発電量は異常であると判断することができる。
【0016】
以下、データ処理装置100の構成例について具体的に説明する。
データ処理装置100は、パケット生成部200と、発電特徴量算出部201と、異常診断部202と、結果出力部203と、記憶部204と、通信部205と、表示部206を備える。データ処理装置100は、通信部205を介してセンサ22aおよび通信ネットワーク2に接続されている。
【0017】
センサ22aは、分散電源の発電量を計測し、データ処理装置100に入力する。通信ネットワーク2は、インターネット等のWAN(Wide Area Network)であってもよいし、WiFi(登録商標)またはイーサネット(登録商標)等のLAN(Local Area Network)であってもよいし、WANとLANが混在していてもよい。
【0018】
パケット生成部200は、発電量データD1と識別データD6から発電量パケットデータD2aを生成する。発電量データD1は、分散電源の発電量に関するデータである。識別データD6は、分散電源の位置および発電量の計測時刻を含むデータである。発電量パケットデータD2aは、分散電源の位置および発電量の計測時刻が発電量データD1に付加され、通信ネットワーク2を介して通信可能な情報に加工されたデータである。
【0019】
発電特徴量算出部201は、パケット生成部200にて生成された発電量パケットデータD2aを取得する。さらに、通信ネットワーク2を介して送信された発電量パケットデータD2bを通信部205を介して取得する。このとき、各発電量パケットデータD2a、D2bは、所定範囲に存在する異なる分散電源の同時間帯に計測された発電量を示すことができる。そして、発電特徴量算出部201は、各発電量パケットデータD2a、D2bから、各分散電源の発電量の特徴量を示す発電特徴量データD3a、D3bを算出する。
【0020】
発電特徴量データD3a、D3bは、例えば、ある時間帯における発電量の時系列変化速度等の発電の特性を示すデータである。このとき、発電特徴量データD3a、D3bは、所定範囲内に存在する分散電源の同時間帯における発電量の変化の傾向を示すことができる。発電特徴量データD3a、D3bは、例えば、各分散電源の発電量が太陽光の日射量または風量のように地域の自然現象によって決まる場合に、それらの分散電源の発電量の時間特性の類似度を地域で比較するための情報として用いることができる。
【0021】
異常診断部202は、異常基準データD4に基づいて、発電特徴量データD3a、D3bから判定結果データD5を算出する。例えば、異常診断部202は、発電特徴量データD3a、D3bを分散電源間で比較し、その比較によって算出した類似判定の指標値が、異常基準データD4を超えるか否かで分散電源の発電量の異常を判定し、その異常の判定結果を判定結果データD5として出力する。
【0022】
異常基準データD4は、特徴量の比較によって算出した値について、異常と判定するか、正常と判定するかの基準となる閾値である。例えば、発電量の変化速度を特徴量として用いる場合には、2つの分散電源の発電量の変化速度について差分を取った時に、差分の絶対値が、閾値以上であれば異常、閾値より小さければ正常と判定することで、分散電源の発電量の異常を検出することができる。
【0023】
閾値は、シミュレーションに基づいて、距離または緯度経度等のパラメータに対して、差分の統計分布を算出し、その統計分布における分散または標準偏差の数倍(例えば、1.1倍)に設定することができる。あるいは、山影等の特性値と差分値の関係性について、統計分析または機械学習等の手法を適用して推定し、データ処理装置100がインターネットを介してオープンデータの地図から地形を読み取り、閾値を算出するようにしてもよい。特徴量は、他にも、例えば、定格発電量と、ある時刻の発電量の比であってもよい。
【0024】
判定結果データD5は、分散電源の発電量に関する計測データが実際の値と異なる値を有している異常という状態にあるか否かを示すデータである。
【0025】
結果出力部203は、判定結果データD5が示す分散電源の発電量の異常を異常診断結果データD7として集約し、表示部206に出力する。表示部206は、結果出力部203から出力された異常診断結果データD7を表示する。
【0026】
記憶部204は、入力データを含む各種データおよびプログラムを格納する。このとき、記憶部204は、発電量データD1、発電量パケットデータD2a、発電特徴量データD3a、異常基準データD4、判定結果データD5および識別データD6を記憶することができる。
【0027】
通信部205は、センサ22aが設置された分散電源の発電量データD1および他の分散電源の発電量パケットデータD2bを受信したり、パケット生成部200で生成された発電量パケットデータD2aを通信ネットワーク2に送信したりする。
【0028】
そして、データ処理装置100は、分散電源の発電量に関する発電量データD1に分散電源の位置および発電量の計測時刻等の識別データD6を付した発電量パケットデータD2aを生成する。また、データ処理装置100は、その近隣の他の分散電源の発電量パケットデータD2bを、通信ネットワーク2を介して取得する。そして、データ処理装置100は、センサ22aが設置された分散電源と、その近隣の他の分散電源のそれぞれに関する発電量パケットデータD2a、D2bについて発電特徴量データD3a、D3bを算出する。そして、データ処理装置100は、発電特徴量データD3a、D3bから複数の分散電源の発電量の類似性を異常基準データD4に基づいて比較することで、分散電源の発電量に異常があるか否かの判定結果データD5を算出し、判定結果データD5が示す発電量の異常診断結果データD7を表示する。
【0029】
これにより、複数の分散電源のセンサデータ間の類似性に基づいて、発電量の異常傾向を検出することができ、冗長なセンサによる取引データの比較検証が困難な場合においても、非kWh価値取引データの信頼性を向上させることができる。
【0030】
例えば、データ処理装置100は、、非kWh価値の電子取引システムと連携する分散電源に適用することができる。これにより、再生可能エネルギーの非kWh価値を他者間で取引するシステムを構築する場合において、計測した分散電源の発電量データの信頼性を保証することができる。
【0031】
図2は、図1の発電量パケットデータのデータ構造の一例を示す図である。
図2において、発電量パケットデータD2aは、ヘッダ301と、発電量302と、諸元303と、電源座標304、計測時間帯305のデータを含む。なお、図1の発電量パケットデータD2bについても、発電量パケットデータD2aと同様のデータ構造を持つことができる。
【0032】
ヘッダ301は、通信先およびプロトコル等の情報を含む。発電量302は、発電量データD1に基づく発電量および計測の単位(例えば、WhやkWh等)等の情報を含む。発電量302は、分散電源に設置されたセンサ22aにて計測され、発電量データD1としてセンサ22aから出力される。
【0033】
諸元303は、分散電源の定格容量および分散電源に用いられる電力変換器(PCS:Power Conditioning System)の型番等の分散電源の設備としての特性を含む。電源座標304は、分散電源の設置位置の情報を含む。計測時間帯305は、発電量を計測した年月日および時刻の情報を含む。なお、分散電源の設置位置は、データ処理装置100に予め登録してもよいし、GPS(Global Positioning System)から取得するようにしてもよい。
【0034】
図3は、図2の発電量パケットデータの内容の数値例を示す図である。
図3において、発電量パケットデータD2a-0、D2a-1は、同一位置の分散電源について、同一年月日の計測時刻が16:00と16:01の場合を示す。このとき、発電量パケットデータD2a-0、D2a-1は、この分散電源の発電量が0.45kWhから0.6kWhに変化したことを示す。
【0035】
なお、図1のデータ処理装置100は、1つ以上の計算機で構成されてもよい。例えば、計算機が表示デバイスを有し、計算機が表示デバイスに情報を表示する場合、当該計算機がデータ処理装置100であってもよい。
【0036】
データ処理装置100における計算機が「表示用情報を表示する」ことは、計算機が有する表示デバイスに表示用情報を表示することであってもよいし、計算機が表示用計算機に表示用情報を送信することであってもよい(後者の場合は、表示用計算機によって表示用情報が表示される)。
【0037】
データ処理装置100は、インターフェースデバイス部、記憶部およびそれらに接続されたプロセッサ部を有してよい。また、データ処理装置100は、クラウド基盤のような計算機リソースプール(例えば、インターフェースデバイス部、記憶部およびプロセッサ部)に基づき提供される仮想的な装置またはソフトウェアディファインドの装置でもよい。
【0038】
「インターフェースデバイス部」は、1つ以上のインターフェースデバイスであってもよい。1つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちのいずれでもよい。
・I/O(Input/Output)デバイスと遠隔の端末計算機とのうちの少なくとも1つに対するI/Oインターフェースデバイス。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスであってもよい。少なくとも1つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボードおよびポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれであってもよい。
・1つ以上の通信インターフェースデバイス。1つ以上の通信インターフェースデバイスは、1つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば、1つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし、2つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えば、NICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0039】
「記憶部」は、メモリ部とストレージ部の少なくともメモリ部であってもよい。「メモリ部」は、1つ以上のメモリであり、典型的には主記憶デバイスであってもよい。メモリ部における少なくとも1つのメモリは、揮発性メモリであってもよいし、不揮発性メモリであってもよい。
【0040】
「ストレージ部」は、1つ以上のストレージであり、典型的には補助記憶デバイスであってもよい。「ストレージ」は、物理的な記憶デバイス(Physical storage DEVice)を意味し、典型的には、不揮発性記憶デバイス、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)である。
【0041】
「プロセッサ部」は、1つ以上のプロセッサである。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、シングルコアでもよいし、マルチコアでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、処理の一部または全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサであってもよい。
【0042】
また、図1では、「kkk部」(インターフェースデバイス部、記憶部およびプロセッサ部を除く)の表現にて機能を説明したが、機能は、1つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサ部によって実行されることで実現されてもよいし、1つ以上のハードウェア回路(例えば、FPGAまたはASIC)によって実現されてもよい。プログラムがプロセッサ部によって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶部および/またはインターフェースデバイス部等を用いながら行われるため、機能はプロセッサ部の少なくとも一部とされてもよい。機能を主体として説明された処理は、プロセッサ部あるいはそのプロセッサ部を有する装置が行う処理としてもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が1つの機能にまとめられたり、1つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0043】
また、「データセット」は、アプリケーションプログラム等のプログラムから見た1つの論理的な電子データの塊であり、例えば、レコード、ファイル、キーバリューペアおよびタプルのうちのいずれでもよい。データ形式としては、例えば、JSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)等の人間にとって読み書きが容易で、マシンにとっても簡単にパースや生成を行える形式のデータ交換フォーマットであってもよい。
【0044】
図4は、図1のデータ処理装置のハードウェア構成例および分散電源との接続例を示すブロック図である。
図4において、データ処理装置100は、例えば、汎用コンピュータまたはサーバ等の計算機(およびその周辺機器)によって実現される。データ処理装置100は、CPU11、メモリ12、ストレージ13、入力装置14、通信インターフェースデバイス15および表示装置16を備える。CPU11、メモリ12、ストレージ13、入力装置14、通信インターフェースデバイス15および表示装置16は、バス17を介して接続される。通信インターフェースデバイス15は、センサ22aに接続されるとともに、通信ネットワーク2を介してパケット通信端末23b、23cに接続されている。
【0045】
センサ22aは、分散電源21aの発電量を計測し、発電量データD1としてデータ処理装置100に出力する。分散電源21aは、電力ネットワークに接続されている。センサ22bは、分散電源21bの発電量を計測し、パケット通信端末23bに出力する。センサ22cは、分散電源21cの発電量を計測し、パケット通信端末23cに出力する。
【0046】
パケット通信端末23bは、分散電源21bの位置および発電量の計測時刻を分散電源21bの発電量データに付加し、通信ネットワーク2を介してデータ処理装置100に送信する。パケット通信端末23cは、分散電源21cの位置および発電量の計測時刻を分散電源21cの発電量データに付加し、通信ネットワーク2を介してデータ処理装置100に送信する。
【0047】
CPU11は、ストレージ13に記憶された1つ以上のプログラムを読み込んで実行することにより、図1のパケット生成部200、発電特徴量算出部201、異常診断部202および結果出力部203の処理を実現する。
【0048】
なお、CPU11の代わりに、1つまたは複数の半導体チップで構成される演算処理装置が採用されてもよい。CPU11で実行されるプログラムは、プログラムソースからインストールされてもよいし、ファームウェアとしてデータ処理装置100に組み込まれていてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機または計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば、非一時的な記録媒体)であってもよい。
【0049】
メモリ12は、例えば、RAM(Random Access Memory)であって、ストレージ13から読み出されたプログラムおよびCPU11による演算過程のデータセット等を一時的に記憶する。
【0050】
ストレージ13は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)であって、CPU11が実行するプログラムおよびデータ処理装置100における各種データセット等を記憶する。
【0051】
入力装置14は、例えば、キーボードスイッチ、マウス等のポインティングデバイス、タッチパネル、音声指示デバイス、または視線移動と瞬きの検知による非接触型入力装置等の少なくとも何れかであって、ユーザによる操作に応じて、データセットをデータ処理装置100に入力する。ここで、異常基準データD4は、入力装置14を介してデータ処理装置100に入力され、ストレージ13に格納される。
【0052】
通信インターフェースデバイス15は、外部との通信を制御する機能を備えるハードウェアである。通信インターフェースデバイス15は、センサ22aから送られてきた分散電源21aの発電量データD1を受信したり、他の分散電源21b、21cの発電量パケットデータD2b、D2cを受信したり、データ処理装置100が生成した発電量パケットデータD2aを他の分散電源に一斉送信したりする。
【0053】
表示装置16は、例えば、ディスプレイまたはプリンタであって、データ処理装置100におけるユーザ操作のための画面等を表示したり、異常診断結果データD7を表示したりする。
【0054】
なお、CPU11は、プロセッサ部の一例である。メモリ12およびストレージ13は、記憶部の一例である。通信インターフェースデバイス15は、インターフェースデバイス部の一例である。
【0055】
そして、CPU11は、分散電源21aの発電量に関する発電量データD1に時刻や位置等の情報を含む識別データD6を付した発電量パケットデータD2aを生成する。また、CPU11は、通信インターフェースデバイス15を介し、分散電源21aと近隣の他の分散電源23b、23cの発電量に関する発電量パケットデータD2b、D2cを取得する。そして、CPU11は、分散電源21aの発電量に関する発電量パケットデータD2aと、分散電源23b、23cの発電量に関する発電量パケットデータD2b、D2cについて、発電特徴量データD3a~D3cをそれぞれ算出する。そして、CPU11は、発電特徴量データD3a~D3cから複数の分散電源21a~21cの発電量の類似性を異常基準データD4に基づいて比較することで分散電源21a~21cの発電量に異常があるか否かを示す判定結果データD5を算出し、判定結果データD5が示す発電量の異常診断結果データD7を表示装置16に表示させる。
【0056】
例えば、分散電源21a~21cは、発電環境が類似する所定範囲内に設置されているものとする。この場合、これらの分散電源21a~21cが正常に動作している場合、これらの分散電源21a~21cの同時間帯における発電量Gの時間tの経過に伴う変化の傾向Ga~Gcは、ほぼ等しくなる。
【0057】
このため、CPU11は、これらの分散電源21a~21cの同時間帯における発電量Gの時間tの経過に伴う変化の傾向Ga~Gcを発電特徴量データD3a~D3cとして発電量パケットデータD2a~D2cから抽出し、これらの傾向Ga~Gcを比較することで分散電源21a~21cが正常に動作していることを確認することができる。
【0058】
一方、例えば、分散電源21cの発電量Gに異常があるものとする。このとき、分散電源21cの同時間帯における発電量Gの時間tの経過に伴う変化の傾向Gc´は、分散電源21cの発電量Gに異常がないときの変化の傾向Gcと異なる。
【0059】
このため、CPU11は、これらの分散電源21a~21cの同時間帯における発電量Gの時間tの経過に伴う変化の傾向Ga、Gb、Gc´を発電特徴量データD3a~D3cとして発電量パケットデータD2a~D2cから抽出し、これらの傾向Ga、Gb、Gc´を比較する。このとき、CPU11は、例えば、異常基準データD4に基づいて変化の傾向Ga、Gb、Gc´の類似性を判定する。そして、分散電源21a、21bの発電量の変化の傾向Ga、Gbは、互いに類似しているが、分散電源21cの発電量の変化の傾向Gc´は、分散電源21a、21bの発電量の変化の傾向Ga、Gbと類似していないと判定すると、分散電源21cの発電量に異常があると診断することができる。
【0060】
このとき、例えば、複数の分散電源の発電量の特徴量に基づいて、どの分散電源の発電量に異常があるかを特定する場合、3以上の分散電源の発電量の特徴量を比較し、多数決方式に基づいて、発電量に異常がある分散電源を特定するようにしてもよい。
【0061】
図5は、図1のデータ処理装置における処理全体の一例を示すフローチャートである。
図5のS1において、図1のパケット生成部200は、発電量データD1と識別データD6を用いて、パケット生成処理を行う。これにより、発電量パケットデータD2aが生成される。
【0062】
次に、S2において、発電特徴量算出部201は、パケット生成部200で生成された発電量パケットデータD2aおよび通信ネットワーク2を介して送信された発電量パケットデータD2bについて発電特徴量算出処理を行う。これにより、発電特徴量データD3a、D3bが生成される。
【0063】
次に、S3において、異常診断部202は、発電特徴量データD3a、D3bと異常基準データD4に基づき異常判定処理を行う。これにより、判定結果データD5が生成される。
【0064】
次に、S4において、結果出力部203は、判定結果データD5が示す異常判定結果データD7を出力し、表示部205に表示させる。
【0065】
図6は、図5のパケット生成処理の一例を示すフローチャートである。
図6のS11において、図1のパケット生成部200は、発電量データD1が既に得られているか否かを判断する。そして、パケット生成部200は、発電量データD1が得られている場合(S12:YES)、S12に進み、発電量データD1が得られていない場合(S12:NO)、S11に戻る。
【0066】
次に、S12において、パケット生成部200は、例えば、図3のストレージ13からメモリ12に識別データD6を読み出す。
【0067】
次に、S13において、パケット生成部200は、すべての発電量データD1について発電量パケットデータD2aを作成したか否かを判断する。パケット生成部200は、すべての発電量データD1について発電量パケットデータD2aを作成した場合(S13:YES)、S16に進む。パケット生成部200は、すべての発電量データD1について発電量パケットデータD2aを作成していない場合(S13:NO)、S14に進む。
【0068】
次に、S14において、パケット生成部200は、発電量パケットデータD2aを作成していないいずれかの計測データを発電量データD1として選択する。
【0069】
次に、S15において、パケット生成部200は、S14で選択した発電量データD1に識別データD6を付与し、発電量パケットデータD2aを作成し、S13に戻る。
【0070】
次に、S16において、パケット生成部200は、複数の計測データについての発電量パケットデータD2aをセット化した発電量パケットデータセットを出力し、発電特徴量算出部201に入力する。この発電量パケットデータセットは、例えば、図4の分散電源21aの複数の計測時刻の発電量を示すパケットデータD2aをセット化したデータである。
【0071】
図7は、図5の特徴量算出処理の一例を示すフローチャートである。
図7のS21において、図1の発電特徴量算出部201は、複数の分散電源の発電量パケットデータセットが既に得られているか否かを判断する。複数の分散電源の発電量パケットデータセットは、例えば、図4の分散電源21aの複数の計測時刻の発電量を示す発電量パケットデータD2aと、分散電源21bの複数の計測時刻の発電量を示す発電量パケットデータD2bと、分散電源21cの複数の計測時刻の発電量を示す発電量パケットデータD2cである。発電特徴量算出部201は、発電量パケットデータセットが既に得られていない場合(S21:NO)、S21に戻り、発電量パケットデータセットが既に得られている場合(S21:YES)、S22に進む。
【0072】
次に、S22において、発電特徴量算出部201は、例えば、図4のストレージ13からメモリ12に発電量パケットデータセットを読み出す。
【0073】
次に、S23において、発電特徴量算出部201は、すべての判定対象時間について特徴量を算出したか否かを判断する。発電特徴量算出部201は、すべての判定対象時間について発電特徴量を算出した場合(S23:YES)、S27に進む。なお、発電特徴量は、分散電源の発電量の特徴量である。発電特徴量算出部201は、すべての判定対象時間について発電特徴量を算出していない場合(S23:NO)、S24に進む。
【0074】
次に、S24において、発電特徴量算出部201は、発電特徴量を算出していないいずれかの判定対象時間を選択する。
【0075】
次に、S25において、発電特徴量算出部201は、S24において選択した判定対象時間に関して同時間帯・近距離の他の分散電源のデータを選択する。
【0076】
次に、S26において、S25で選択した分散電源の発電特徴量として、対象とした時間帯・電源の発電量の変化速度を算出する。
【0077】
発電特徴量として発電量の変化速度を用いる場合、発電特徴量αは、以下の式(1)を用いて算出できる。
【0078】
α=ΔP/ΔT=(Pt2-Pt1)/(t-t) ・・・(1)
【0079】
式(1)において、Pt1、Pt2は、ある時刻t、tにおける規格化発電量で、計測時間間隔における定格発電量に対する発電量の比である。ただし、定格発電量とは、計測時間間隔の間に定格出力Pr(単位:kW)で一定で発電したと仮定したときの発電量(単位:kWh)である。ΔTは、発電量の変化速度を比較する2つの時間断面の差分値である。規格化発電量を用いることによって、近距離に存在する分散電源として設備容量が異なる複数の分散電源を選択した場合にも、変化速度を比較することができる。
【0080】
次に、S27において、発電特徴量算出部201は、複数の分散電源の各判定対象時間の発電特徴量を示す発電特徴量データセットを作成し、その発電特徴量データセットを異常診断部202に出力する。
【0081】
図8は、特徴量算出時の数値例を示す図である。
図8では、図4のデータ処理装置100と連携する分散電源21aと、外部の別の分散電源21bに関して、西暦2019年2月6日の16:00と西暦2019年2月6日の16:01について、発電量パケットデータD2a、D2bから算出した規格化発電量P、Pを示した。
【0082】
各分散電源21a、21bの発電特徴量として発電量の変化速度を用いるものとする。このとき、式(1)から、分散原電21aの発電特徴量αは、α=ΔP/ΔT=0.15、分散原電21bの発電特徴量αは、α=ΔP/ΔT=0.30と算出される。
【0083】
このとき、例えば、分散電源21aの西暦2019年2月6日の16:00と西暦2019年2月6日の16:01の発電量パケットデータD2aが、それぞれ図3の発電量パケットデータD2a-0、D2a-1で与えられるものとする。このとき、図1の発電特徴量算出部201は、発電量パケットデータD2a-0、D2a-1を発電量パケットデータセットとして用いることで、分散電源21aの特徴量D3aを算出することができる。
【0084】
図9は、図5の異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
図9のS31において、異常診断部202は、発電特徴量データセットが既に得られているか否かを判断する。発電特徴量データセットは、複数の分散電源の発電特徴量をセット化したデータである。発電特徴量データセットは、例えば、図4の分散電源21aの発電量の特徴量D3aと、分散電源21bの発電量の特徴量D3bと、分散電源21cの発電量の特徴量D3cの組み合わせである。異常診断部202は、発電特徴量データセットが既に得られていない場合(S31:NO)、S31に戻り、発電量パケットデータセットが既に得られている場合(S31:YES)、S32に進む。
【0085】
次に、S32において、異常診断部202は、例えば、図4のストレージ13からメモリ12に発電特徴量データセットを読み出す。
【0086】
次に、S33において、異常診断部202は、すべての判定対象時間について判定結果を算出したか否かを判断する。異常診断部202は、すべての判定対象時間について判定結果を算出した場合(S33:YES)、S37に進む。異常診断部202は、すべての判定対象時間について判定結果を算出していない場合(S33:NO)、S34に進む。
【0087】
次に、S34において、異常診断部202は、判定結果を算出していないいずれかの判定対象時間における比較する発電特徴量データを選択する。
【0088】
次に、S35において、異常診断部202は、例えば、ストレージ13からメモリ12に異常基準データD4を読み出す。
【0089】
次に、S36において、異常診断部202は、S34において選択した発電特徴量データの判定対象時間に関して、発電特徴量の差分の絶対値が判定基準を超過する場合に、その分散電源の発電量を異常と判定し、超過しない場合に正常と判定する。
【0090】
例えば、閾値がε、分散電源21a、21bの発電特徴量がそれぞれα、αであるときに、以下の式(2)を満たす場合には、分散電源21a、21bのどちらかが異常と判定し、満たさない場合には正常と判定する。
【0091】
|α-α|>ε ・・・(2)
【0092】
例えば、α=0.15、α=0.30、ε=0.10であるときには、異常診断部202は、分散電源21a、21bのどちらかが異常であると診断する。
【0093】
あるいは、2つ以上の複数種別の特徴量を用いて異常判定してもよい。例えば、複数の特徴量に関する差分の絶対値の重み付け和を、閾値と比較する判定式を用いてもよい。一例としては、重み付けの閾値をε、各分散電源21a、21bの別の特徴量(例えば、定格発電量と発電量大きさの比)をβ、βとすると、以下の式(3)を満たす場合には、異常と判定し、満たさない場合には正常と判定するようにしてもよい。
【0094】
|α-α|+|β-β|>ε ・・・(3)
【0095】
次に、S37において、異常診断部202は、判定結果データD5を出力する。このとき、複数の分散電源(分散電源21b、21c、…)の特徴量の比較によってそれぞれ判定結果を算出した場合には、総数の多い方の判定結果を総合判定として算出して出力してもよい。当日発生した異常発生回数の総数または複数の分散電源の特徴量の比較によって、異常判定割合、各分散電源および各時刻の判定結果を示してもよい。
【0096】
図10は、図1の表示部にて表示される判定結果の通知画面の一例を示す図である。
図10において、通知画面16Aは、図4の表示装置16のような表示機能を持ったデバイスに表示される。通知画面16Aは、判定結果データD5を集約した異常診断結果データD7を表示する。例えば、通知画面16Aは、電源別の平常か異常かを所定時間間隔(例えば、10分間隔)で表示し、対象となる分散電源の状態、異常診断割合および当日の異常発生回数を表示することができる。これにより、データ処理装置100は、分散電源に関するセンサデータの取扱者に対して、対象となる分散電源の計測データの状態の認識に必要な項目を伝達できる。
【0097】
以上説明したように、上述した実施形態によれば、すべての電力ネットワーク網の潮流情報を持たないkWh価値取引市場において、発電量メータの故障によって誤った取引データが生成された場合においても、分散電源の発電量の異常を検知することができ、非kWh価値取引に用いる分散電源の発電量データの信頼性を向上させることができる。
【0098】
例えば、電源または家庭用電気機器がIoT(Internet of Technology)機能を有するようになってきたことに伴い、発電量を計量する簡易メータと通信機能を有した機器が普及しており、それらの普及した簡易メータの計量を発電量データとして使用することができる。これらの簡易メータの発電量データを非kWh価値取引に使用する場合には、取引データの運用中に異常データの発生を検出し、異常データが正常データ中に紛れ込んだ場合においても、発電量の異常を即座に検知するように運用することができる。
【0099】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。
【0100】
例えば、データ処理装置100は、発電特徴量算出部201、異常診断部202、結果出力部203の1つまたは複数を、クラウド基盤のような計算機リソースプール(例えば、インターフェースデバイス部、記憶部およびプロセッサ部)に基づき提供される仮想的な装置、またはソフトウェアディファインドの装置で実現し、複数の分散電源に関する発電量データD1に関する発電量パケットデータに基づき、複数の分散電源に関して一度に異常判定してもよい。
【符号の説明】
【0101】
100:データ処理装置、21a~21c:分散電源、22a~22c:センサ、23b、23c:パケット通信端末、200:パケット生成部、201:発電特徴量算出部、202:異常診断部、203:結果出力部、206:表示部、D1:発電量データ、D2:発電量パケットデータ、D3:発電特徴量データ、D4:異常基準データ、D5:判定結果データ、D6:識別データ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10