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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】コネクタおよび接続方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/59 20110101AFI20221219BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
H01R12/59
H01R43/00 B
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019152531
(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公開番号】P2021034208
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】古本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】松尾 誠也
(72)【発明者】
【氏名】橋口 徹
(72)【発明者】
【氏名】木村 晃
(72)【発明者】
【氏名】松永 章宏
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-129244(JP,A)
【文献】特開2004-356032(JP,A)
【文献】特開2019-102312(JP,A)
【文献】米国特許第3696319(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/59
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル導体に接続されるコネクタであって、
突起を有する押し込み部材と、
導電性材料から形成され且つ前記突起が挿入される凹状の突起収容部を有するコンタクトと
を備え、
前記突起は、前記突起の突出方向に対して直交する方向に前記突起を横断するように延び且つ前記フレキシブル導体を保持するための保持部を有し、
前記フレキシブル導体の中間部が前記突起の前記保持部に保持された状態で、前記突起が前記フレキシブル導体と共に前記コンタクトの前記突起収容部に挿入された場合に、前記中間部に隣接して前記中間部の両側に位置する部分の前記フレキシブル導体がそれぞれ前記突起の側面と前記突起収容部の内面との間に挟まれて前記突起収容部の内面に接触することで前記コンタクトが前記フレキシブル導体に電気的に接続されることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記保持部は、前記突起の先端部において前記突出方向に開口し且つ前記突起を横切るように延びる保持溝からなる請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記保持部は、前記保持溝の内部に、前記保持溝が延びる方向の両端部における前記保持溝の幅よりも狭い幅の狭窄部を有する請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記保持部は、前記保持溝の内部に、前記突出方向に開口する前記保持溝の開口端部における前記保持溝の幅よりも広い幅の拡張部を有する請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記保持部は、前記突起を横切るように貫通する保持孔からなる請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記押し込み部材は、平板部と前記平板部に突出形成された複数の前記突起とを有するベース部材からなり、
複数の前記突起が、複数の前記フレキシブル導体を間に挟んで複数の前記コンタクトの前記突起収容部に挿入される請求項1~5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
複数の前記突起の前記保持部は、互いに同一方向に延びている請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記平板部は、それぞれ対応する前記突起を挟んで前記突起の両側に配置され且つ対応する前記フレキシブル導体が収容される複数のフレキシブル導体収容溝を有する請求項6または7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記突起の両側にそれぞれ配置された前記フレキシブル導体収容溝は、互いに交差する方向に延びている請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記コンタクトは、筒状部と、前記筒状部の一端に形成されたコンタクト側フランジを有し、
前記コンタクトの前記筒状部が貫通し且つ前記コンタクト側フランジよりも小さいコンタクト用貫通孔が形成されたハウジングをさらに備え、
前記コンタクト用貫通孔に前記コンタクトの前記筒状部を貫通させると共に前記コンタクト側フランジを前記ベース部材に向けて押しつけるように前記ハウジングが前記ベース部材に固定されることで、前記コンタクトが前記ベース部材に固定される請求項6~9のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記ハウジングは、前記ベース部材に向けて突出する複数のボスを有し、
前記ベース部材は、前記複数のボスが収容される複数のボス収容孔を有し、
前記複数のボスが前記複数のボス収容孔に収容されることで前記ハウジングは前記ベース部材に固定される請求項10に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記ハウジングは、絶縁性材料からなる請求項10または11に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記ハウジングは、相手側コネクタの一部が収容される相手側コネクタ収容部を有する請求項10~12のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記ベース部材は、絶縁性材料からなる請求項6~13のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記ベース部材に保持され且つ前記ベース部材の外部にまで延びるシート形状のコネクタ固定部材を備える請求項6~14のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項16】
前記押し込み部材は、前記突起の根本部分に接続された押し込み部材側フランジを有する請求項1~5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項17】
前記押し込み部材側フランジは、前記突起の前記保持部が延びる方向に対応する方向性を備えたキー部を有する請求項16に記載のコネクタ。
【請求項18】
前記フレキシブル導体は、独立して、前記押し込み部材に配置される請求項1~17のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項19】
前記フレキシブル導体は、絶縁性の基板本体の表面上に露出するように配置され、
前記フレキシブル導体が前記突起収容部の内面に対向し、前記基板本体の裏面が前記突起の側面に対向するように、前記フレキシブル導体が前記押し込み部材に配置される請求項1~17のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項20】
前記コンタクトは、プラグ型のコンタクトである請求項1~19のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項21】
前記コンタクトは、レセプタクル型のコンタクトである請求項1~19のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項22】
コンタクトをフレキシブル導体に接続する接続方法であって、
押し込み部材の突起の突出方向に対して直交する方向に前記突起を横断するように延びる保持部に前記フレキシブル導体の中間部を保持させ、
前記突起を前記フレキシブル導体と共に前記コンタクトの凹状の突起収容部に挿入することにより、前記中間部に隣接して前記中間部の両側に位置する部分の前記フレキシブル導体がそれぞれ前記突起の側面と前記突起収容部の内面との間に挟まれて前記突起収容部の内面に接触することで前記コンタクトが前記フレキシブル導体に電気的に接続されることを特徴とする接続方法。
【請求項23】
複数の前記押し込み部材を平板状の押し込み用治具に仮固定し、
複数の前記押し込み部材の前記突起の前記保持部にそれぞれ対応する前記フレキシブル導体の中間部を保持させ、
複数の前記コンタクトが保持されたハウジングに対して前記押し込み用治具を押しつけることにより、複数の前記押し込み部材の前記突起をそれぞれ対応する前記フレキシブル導体と共に対応する前記コンタクトの前記突起収容部に挿入し、
複数の前記押し込み部材から前記押し込み用治具を取り外す請求項22に記載の接続方法。
【請求項24】
前記押し込み部材は、前記突起の根本部分に接続され且つ前記突起の前記保持部が延びる方向に対応する方向性を備えたキー部が形成された押し込み部材側フランジを有し、
前記押し込み用治具は、前記押し込み部材側フランジが嵌め込まれ且つ前記キー部に対応するキー受け部が形成された押し込み部材側フランジ嵌合部を有し、
前記押し込み部材側フランジが前記押し込み部材側フランジ嵌合部に嵌め込まれることで、前記押し込み部材は前記押し込み用治具に仮固定される請求項23に記載の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタおよび接続方法に係り、特に、フレキシブル導体に接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル導体に接続されるコネクタとして、例えば、特許文献1には、図25に示されるようなコネクタが開示されている。このコネクタは、フレキシブル基板1を間に挟んでフレキシブル基板1の両側に配置されるコンタクト2とベース部材3を備えている。
【0003】
コンタクト2に対向するフレキシブル基板1の表面上にフレキシブル導体4が露出しており、コンタクト2は、フレキシブル導体4に対向するように形成された凹状の突起収容部5を有し、ベース部材3には、フレキシブル基板1の裏面に向かって突出する突起6が形成されている。フレキシブル基板1により突起6が覆われるようにフレキシブル基板1を間に挟んでベース部材3の突起6がフレキシブル基板1と共にコンタクト2の突起収容部5に挿入されると、突起6によりフレキシブル基板1がコンタクト2の突起収容部5の内面に押しつけられ、突起収容部5の内面がフレキシブル基板1の表面上に露出しているフレキシブル導体4に接触することで、コンタクト2がフレキシブル導体4に電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-129244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ベース部材3の突起6をフレキシブル基板1と共にコンタクト2の突起収容部5に挿入する際に、突起6に対してフレキシブル基板1がずれ易く、コンタクト2およびベース部材3からなるコネクタをフレキシブル基板1に接続する作業が難しいという問題がある。
特に、突起6に比べてフレキシブル基板1の幅が狭い場合には、突起6の頂部を横断するように突起6に対してフレキシブル基板1の位置を維持しながら、突起6とフレキシブル基板1とをコンタクト2の突起収容部5に挿入しなければならず、フレキシブル基板1へのコネクタの接続作業がさらに難しくなる。さらに、突起6に対するフレキシブル基板1の位置がずれてしまうと、フレキシブル導体4とコンタクト2との電気的接続の信頼性が損なわれるおそれがある。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、フレキシブル導体に容易に接続することが可能で且つフレキシブル導体に対する電気的接続の信頼性を確保することができるコネクタを提供することを目的とする。
また、この発明は、フレキシブル導体に対してコンタクトを容易に電気的に接続する接続方法を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るコネクタは、フレキシブル導体に接続されるコネクタであって、突起を有する押し込み部材と、導電性材料から形成され且つ突起が挿入される凹状の突起収容部を有するコンタクトとを備え、突起は、突起の突出方向に対して直交する方向に突起を横断するように延び且つフレキシブル導体を保持するための保持部を有し、フレキシブル導体の中間部が突起の保持部に保持された状態で、突起がフレキシブル導体と共にコンタクトの突起収容部に挿入された場合に、中間部に隣接して中間部の両側に位置する部分のフレキシブル導体がそれぞれ突起の側面と突起収容部の内面との間に挟まれて突起収容部の内面に接触することでコンタクトがフレキシブル導体に電気的に接続されるものである。
【0008】
保持部は、突起の先端部において突出方向に開口し且つ突起を横切るように延びる保持溝からなることが好ましい。
この場合、保持部は、保持溝の内部に、保持溝が延びる方向の両端部における保持溝の幅よりも狭い幅の狭窄部を有する、あるいは、保持溝の内部に、突出方向に開口する保持溝の開口端部における保持溝の幅よりも広い幅の拡張部を有することができる。
また、保持部は、突起を横切るように貫通する保持孔から形成されていてもよい。
【0009】
押し込み部材は、平板部と平板部に突出形成された複数の突起とを有するベース部材からなり、複数の突起が、複数のフレキシブル導体を間に挟んで複数のコンタクトの突起収容部に挿入されるように構成することができる。
複数の突起の保持部は、互いに同一方向に延びていることが好ましい。
平板部は、それぞれ対応する突起を挟んで突起の両側に配置され且つ対応するフレキシブル導体が収容される複数のフレキシブル導体収容溝を有することができる。突起の両側にそれぞれ配置されたフレキシブル導体収容溝は、互いに交差する方向に延びていてもよい。
【0010】
コンタクトは、筒状部と、筒状部の一端に形成されたコンタクト側フランジを有し、コンタクトの筒状部が貫通し且つコンタクト側フランジよりも小さいコンタクト用貫通孔が形成されたハウジングをさらに備え、コンタクト用貫通孔にコンタクトの筒状部を貫通させると共にコンタクト側フランジをベース部材に向けて押しつけるようにハウジングがベース部材に固定されることで、コンタクトがベース部材に固定されることが好ましい。
また、ハウジングは、ベース部材に向けて突出する複数のボスを有し、ベース部材は、複数のボスが収容される複数のボス収容孔を有し、複数のボスが複数のボス収容孔に収容されることでハウジングはベース部材に固定されることが好ましい。
【0011】
好ましくは、ハウジングは、絶縁性材料から形成されている。
ハウジングは、相手側コネクタの一部が収容される相手側コネクタ収容部を有することが好ましい。
ベース部材は、絶縁性材料からなることが好ましい。
さらに、ベース部材に保持され且つベース部材の外部にまで延びるシート形状のコネクタ固定部材を備えることができる。
【0012】
押し込み部材は、突起の根本部分に接続された押し込み部材側フランジを有するように構成することもできる。押し込み部材側フランジは、突起の保持部が延びる方向に対応する方向性を備えたキー部を有していてもよい。
フレキシブル導体は、独立して、押し込み部材に配置されるように構成することができる。
あるいは、フレキシブル導体は、絶縁性の基板本体の表面上に露出するように配置され、フレキシブル導体が突起収容部の内面に対向し、基板本体の裏面が突起の側面に対向するように、フレキシブル導体が押し込み部材に配置されるように構成することもできる。
なお、コンタクトは、プラグ型のコンタクトとすることもでき、あるいは、レセプタクル型のコンタクトとすることもできる。
【0013】
この発明に係る接続方法は、コンタクトをフレキシブル導体に接続する接続方法であって、押し込み部材の突起の突出方向に対して直交する方向に突起を横断するように延びる保持部にフレキシブル導体の中間部を保持させ、突起をフレキシブル導体と共にコンタクトの凹状の突起収容部に挿入することにより、中間部に隣接して中間部の両側に位置する部分のフレキシブル導体がそれぞれ突起の側面と突起収容部の内面との間に挟まれて突起収容部の内面に接触することでコンタクトがフレキシブル導体に電気的に接続される方法である。
【0014】
複数の押し込み部材を平板状の押し込み用治具に仮固定し、複数の押し込み部材の突起の保持部にそれぞれ対応するフレキシブル導体の中間部を保持させ、複数のコンタクトが保持されたハウジングに対して押し込み用治具を押しつけることにより、複数の押し込み部材の突起をそれぞれ対応するフレキシブル導体と共に対応するコンタクトの突起収容部に挿入し、複数の押し込み部材から押し込み用治具を取り外すように構成することができる。
押し込み部材は、突起の根本部分に接続され且つ突起の保持部が延びる方向に対応する方向性を備えたキー部が形成された押し込み部材側フランジを有し、押し込み用治具は、押し込み部材側フランジが嵌め込まれ且つキー部に対応するキー受け部が形成された押し込み部材側フランジ嵌合部を有し、押し込み部材側フランジが押し込み部材側フランジ嵌合部に嵌め込まれることで、押し込み部材を押し込み用治具に仮固定することもできる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、押し込み部材の突起は、突起の突出方向に対して直交する方向に突起を横断するように延び且つフレキシブル導体を保持するための保持部を有し、フレキシブル導体の中間部が突起の保持部に保持された状態で、突起がフレキシブル導体と共にコンタクトの突起収容部に挿入された場合に、中間部に隣接して中間部の両側に位置する部分のフレキシブル導体がそれぞれ突起の側面と突起収容部の内面との間に挟まれて突起収容部の内面に接触するので、フレキシブル導体に容易に接続することが可能で且つフレキシブル導体に対する電気的接続の信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の実施の形態1に係るコネクタを示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係るコネクタの分解斜視図である。
図3】実施の形態1に係るコネクタに用いられる突起を示す斜視図である。
図4】実施の形態1に係るコネクタに用いられるベース部材を示す平面図である。
図5】実施の形態1に係るコネクタに用いられるコンタクトを示す斜視断面図である。
図6】ベース部材の複数の突起に複数のフレキシブル導体が配置された状態を示す平面図である。
図7】ベース部材の複数の突起にそれぞれコンタクトが嵌め合わされた状態を示す斜視図である。
図8】実施の形態1に係るコネクタにおけるコンタクトと突起およびフレキシブル導体を示す側面断面図である。
図9】実施の形態2に係るコネクタに用いられる押し込み部材を示す斜視図である。
図10】実施の形態2に係るコネクタを組み立てる際に用いられる押し込み用治具を示す斜視図である。
図11】実施の形態2における押し込み用治具に複数の押し込み部材が保持された状態を示す斜視図である。
図12】実施の形態2における複数の押し込み部材と複数のフレキシブル導体が保持されている押し込み用治具を複数のコンタクトが保持されたハウジングに向けて押し込む状態を示す斜視図である。
図13】実施の形態2における複数の押し込み部材と複数のフレキシブル導体がハウジングに取り付けられた状態を示す斜視図である。
図14】実施の形態2の変形例に係るコネクタに用いられる押し込み部材を示す斜視図である。
図15】実施の形態2の変形例に係るコネクタを組み立てる際に用いられる押し込み用治具を示す斜視図である。
図16】実施の形態3に係るコネクタに用いられる突起を示す斜視図である。
図17】実施の形態3に係るコネクタに用いられる突起を示す平面図である。
図18】実施の形態3の変形例に係るコネクタに用いられる突起を示す斜視図である。
図19】実施の形態3の他の変形例に係るコネクタに用いられる突起を示す斜視図である。
図20】実施の形態3のさらに他の変形例に係るコネクタに用いられる突起を示す斜視図である。
図21】実施の形態4に係るコネクタを示す斜視図である。
図22】実施の形態4に係るコネクタの分解斜視図である。
図23】ハウジングを省略した実施の形態4に係るコネクタを示す斜視図である。
図24】実施の形態5に係るコネクタが接続されるフレキシブル導体を示す斜視図である。
図25】従来のコネクタにおけるコンタクトと突起およびフレキシブル基板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、実施の形態1に係るコネクタ11を示す。コネクタ11は、例えば、ウエアラブルデバイスを嵌合するための衣服側コネクタ部として使用されるもので、複数のフレキシブル導体21に接続されている。
【0018】
コネクタ11は、ハウジング12と、複数のコンタクト13と、複数のフレキシブル導体21を間に挟んでハウジング12に対向するベース部材14を備えており、複数のコンタクト13と複数のフレキシブル導体21が互いに電気的に接続されている。ハウジング12は、凹部12Aを有しており、複数のコンタクト13は、それぞれ、ハウジング12の凹部12A内において、凹部12Aの平面状の底面に対し垂直に突出している。
【0019】
また、フレキシブル導体21としては、複数の導電繊維を撚り合わせることにより作製された導電糸が使用されている。
ここで、便宜上、ハウジング12の凹部12Aの底面がXY面に沿って延び、それぞれのコンタクト13が突出する方向を+Z方向と呼ぶことにする。
複数のコンタクト13として、X方向に配列された4対のコンタクト13が配置されており、それぞれの対をなす2つのコンタクト13は、Y方向に並んでいる。
【0020】
図2に示されるように、ハウジング12は、絶縁性樹脂等の絶縁性材料からなり、+Z方向に向かって開いている凹部12A内に、複数のコンタクト用貫通孔12Bが形成されている。凹部12Aは、図示しない相手側コネクタの一部が収容される相手側コネクタ収容部を構成するものである。複数のコンタクト用貫通孔12Bは、複数のコンタクト13にそれぞれ対応している。また、ハウジング12の-Z方向側の裏面12Cに、それぞれ-Z方向に突出する複数のボス12Dが形成されている。
【0021】
複数のコンタクト13は、それぞれ、金属等の導電性材料から形成されたプラグ型のコンタクトで、ハウジング12の凹部12Aに図示しない相手側コネクタの一部が収容された場合に、相手側コネクタの対応するコンタクトに接続されるものである。コンタクト13は、Z方向に延びる円筒形状の筒状部13Aと、筒状部13Aの-Z方向端部からXY面に沿って延びるコンタクト側フランジ13Bを有している。
【0022】
ベース部材14は、押し込み部材を構成するもので、絶縁性樹脂等の絶縁性材料からなり、平板部14Aを有している。平板部14Aは、ハウジング12の-Z方向側の裏面12Cに対向するように+Z方向を向いた表面14Bを有しており、この表面14Bに、複数の突起15が突出形成されている。複数の突起15は、複数のコンタクト13に対応しており、X方向に配列された4対の突起15が配置され、それぞれの対をなす2つの突起15は、Y方向に並んでいる。
さらに、平板部14Aには、ハウジング12の複数のボス12Dに対応する複数のボス収容孔14Cが形成されている。
【0023】
ハウジング12の複数のコンタクト用貫通孔12Bと、複数のコンタクト13と、複数のフレキシブル導体21と、ベース部材14の複数の突起15は、互いにZ方向に整列する位置に配置されている。
同様に、ハウジング12の複数のボス12Dと、ベース部材14の複数のボス収容孔14Cは、互いにZ方向に整列する位置に配置されている。
【0024】
ハウジング12のコンタクト用貫通孔12Bは、コンタクト13の筒状部13Aの外径より大きく且つコンタクト側フランジ13Bの外径より小さい内径を有し、コンタクト13の筒状部13Aを円滑に挿入することができるように構成されている。
また、ベース部材14のボス収容孔14Cは、ハウジング12のボス12Dの外径に等しい、または、ボス12Dの外径よりもわずかに小さい内径を有し、複数のボス12Dを複数のボス収容孔14Cに圧入することで、ハウジング12とベース部材14が、互いに固定されるように構成されている。
【0025】
図3に示されるように、ベース部材14の突起15は、中心軸C1に沿って+Z方向に突出する概ね円柱形状の突起本体15Aを有している。突起本体15Aの+Z方向の先端部は、中心軸C1を挟んで2分割されており、これにより、突起15の+Z方向の先端部に、突起15の突出方向に開口し且つ突起15を横切る保持溝15Bが形成されている。
保持溝15Bは、導電糸からなるフレキシブル導体21の中間部を保持するための保持部を形成しており、フレキシブル導体21の直径寸法よりも大きい幅寸法を有し、フレキシブル導体21を+Z方向から保持溝15B内に円滑に挿入することができるように構成されている。
【0026】
図4に示されるように、ベース部材14の平板部14Aに突出形成されている複数の突起15は、互いに保持溝15Bが同一方向に延びるように配置されている。具体的には、それぞれの突起15の保持溝15Bは、X方向およびY方向に対して45度の角度で傾斜する傾斜方向D1に沿って延びている。
また、平板部14Aには、それぞれの突起15に対応し且つ突起15を挟んで突起15の両側に配置されたフレキシブル導体収容溝14Dが形成されている。これらのフレキシブル導体収容溝14Dは、それぞれ対応するコンタクト13に電気的に接続されたフレキシブル導体21を収容するためのものである。
【0027】
突起15の両側にそれぞれ配置されたフレキシブル導体収容溝14Dは、互いに交差する方向に延びている。具体的には、それぞれの突起15に対して、平板部14AのY方向の両端に位置する一対の側縁14Eのうち、より近い側縁14E側に配置されたフレキシブル導体収容溝14Dは、Y方向に沿って、より近い側縁14Eまで延びている。一方、それぞれの突起15に対して、より近い側縁14Eとは反対側に配置されたフレキシブル導体収容溝14Dは、傾斜方向D1に沿って延びている。
複数の突起15のうち傾斜方向D1に並んでいる2つの突起15の間には、双方の突起15に対応して配置されたフレキシブル導体収容溝14Dが傾斜方向D1に沿った同一線上に位置しており、これらフレキシブル導体収容溝14Dの間に平板部14Aから+Z方向に突出する隔壁部16が形成されている。
【0028】
図5に示されるように、コンタクト13の筒状部13Aは、+Z方向端部が閉じられた円筒形状を有し、コンタクト側フランジ13Bは、筒状部13Aの-Z方向端部に一体に形成され、筒状部13Aの内部に凹状の突起収容部13Cが形成されている。すなわち、突起収容部13Cの開口端部を囲むようにコンタクト側フランジ13Bが形成されている。
このようなコンタクト13は、例えば、プレス加工、切削、冷間圧造等により作製することができる。
【0029】
コネクタ11を複数のフレキシブル導体21に接続する際には、まず、図6に示されるように、ベース部材14のそれぞれの突起15の保持溝15Bに、対応するフレキシブル導体21の中間部21Bを挿入することにより、複数のフレキシブル導体21を複数の突起15の保持溝15Bに保持させる。このとき、突起15の保持溝15Bは、フレキシブル導体21の直径寸法よりも大きい幅寸法を有しているため、それぞれのフレキシブル導体21を+Z方向から対応する保持溝15B内に円滑に挿入することができる。
【0030】
それぞれのフレキシブル導体21は、ベース部材14の内部で終端する先端部21Aと、対応する突起15の保持溝15Bに挿入される中間部21Bとが、傾斜方向D1に沿って延び、中間部21Bに接続されてベース部材14の外部にまで延びる基端部21CがY方向に沿って延びるように、中間部21Bと基端部21Cとの間において屈曲している。これにより、それぞれのフレキシブル導体21は、対応する突起15の両側にそれぞれ配置されたフレキシブル導体収容溝14Dに沿って延びることとなる。
【0031】
この状態で、図7に示されるように、ベース部材14の複数の突起15に複数のコンタクト13が嵌め合わされる。このとき、図2において、複数のコンタクト13の筒状部13Aを-Z方向からハウジング12の複数のコンタクト用貫通孔12Bに挿入し、-Z方向から図6に示されるベース部材14を+Z方向に移動させてハウジング12に押し付けることにより、1工程で複数の突起15に複数のコンタクト13を嵌め合わせることができる。
【0032】
なお、図2に示される状態とは上下逆さにして、+Z方向が下方を向き、-Z方向が上方を向くように、裏面12Cを上方に向けてハウジング12を図示しない作業台等の表面上に配置し、複数のコンタクト13の筒状部13Aを上方からハウジング12の複数のコンタクト用貫通孔12Bに挿入し、この状態で、図6に示されるベース部材14を上下逆さにして上方からハウジング12に押し付けることで、複数のフレキシブル導体21へのコネクタ11の接続作業がやり易くなる。
また、ベース部材14をハウジング12に押し付けることにより、ハウジング12の複数のボス12Dがベース部材14の複数のボス収容孔14Cに圧入されて、ハウジング12とベース部材14が互いに固定され、複数のフレキシブル導体21へのコネクタ11の接続が完了する。
【0033】
このようにしてベース部材14の突起15にコンタクト13が嵌め合わされると、図8に示されるように、フレキシブル導体21を間に挟んで、ベース部材14のそれぞれの突起15が、対応するコンタクト13の凹状の突起収容部13Cに挿入され、突起15の保持溝15Bに挿入されているフレキシブル導体21の中間部21Bに隣接して中間部21Bの両側に位置する部分のフレキシブル導体21がそれぞれ突起15の側面とコンタクト13の突起収容部13Cの内面との間に挟まれる。これにより、フレキシブル導体21が突起収容部13Cの内面に接触し、コンタクト13がフレキシブル導体21に電気的に接続される。
なお、図8は、傾斜方向D1に沿った側面断面図である。
【0034】
この実施の形態1においては、ベース部材14の突起15の先端部に形成されている保持溝15Bにフレキシブル導体21を挿入して保持させ、この状態で、突起15をフレキシブル導体21と共にコンタクト13の凹状の突起収容部13Cに挿入するので、突起15の幅よりも狭い幅を有するフレキシブル導体21に対しても、突起15とフレキシブル導体21との相対位置がずれることなく、フレキシブル導体21にコネクタ11を容易に接続することが可能となる。
【0035】
また、フレキシブル導体21が、突起15の幅よりも広い幅を有するシート状または帯状の導体からなる場合であっても、例えばフレキシブル導体21を折り畳む等により、突起15の保持溝15Bに挿入することができれば、突起15とフレキシブル導体21との位置ずれを防止しつつ、フレキシブル導体21にコネクタ11を容易に接続することができる。さらに、その結果、フレキシブル導体21に対する電気的接続の信頼性を確保することが可能となる。
【0036】
なお、図3に示される突起15は、突起本体15Aの-Z方向側部分の側面に、突起本体15Aの側方に張り出す突状部を有している。この突状部は、コンタクト13の突起収容部13Cに突起15を圧入するためのものであるが、必ずしも必要ではない。保持溝15Bに保持されたフレキシブル導体21と共に突起15がコンタクト13の突起収容部13Cに挿入された際に、フレキシブル導体21が、突起15の側面とコンタクト13の突起収容部13Cの内面との間に挟まれて突起収容部13Cの内面に接触することができれば、突起15が、突起本体15Aの側方に張り出す突状部を有していなくてもよい。
【0037】
また、図6に示されるように、ベース部材14の複数の突起15のうち、それぞれの対をなす2つの突起15はY方向に並んでいるが、突起15の両側にそれぞれ配置されたフレキシブル導体収容溝14Dは、互いに交差する方向に延びており、対をなす2つの突起15の間に配置されている2つのフレキシブル導体収容溝14Dは、それぞれ傾斜方向D1に沿って延びている。このため、Y方向に並んで対をなしている2つの突起15の保持溝15Bに保持された2つのフレキシブル導体21が互いに接触して短絡することが防止される。
【0038】
さらに、複数の突起15のうち、傾斜方向D1に並んでいる2つの突起15の間において、双方のフレキシブル導体収容溝14Dが傾斜方向D1に沿った同一線上に位置しているが、これらのフレキシブル導体収容溝14Dの間に隔壁部16が形成されている。このため、傾斜方向D1に沿った同一線上に位置している2つのフレキシブル導体収容溝14Dに収容された2つのフレキシブル導体21が互いに接触して短絡することも防止されている。
【0039】
実施の形態2
実施の形態1では、突起15をコンタクト13の突起収容部13Cに押し込むための押し込み部材として、複数の突起15が形成されたベース部材14が用いられているが、これに限るものではない。
図9に、実施の形態2に係るコネクタにおいて用いられる押し込み部材31を示す。押し込み部材31は、1つの突起15の根本部分に押し込み部材側フランジ32が一体に形成されたものである。
【0040】
このような押し込み部材31の突起15の保持溝15Bにフレキシブル導体21を挿入して保持させ、押し込み部材31の突起15をフレキシブル導体21と共に対応するコンタクト13の突起収容部13Cに挿入することにより、コンタクト13をフレキシブル導体21に電気的に接続することができる。
【0041】
図9に示される押し込み部材31は、1つのコンタクト13の突起収容部13Cに1つの突起15を挿入するためのものであるが、例えば図10に示されるような押し込み用治具33を使用することにより、実施の形態1におけるベース部材14と同様に、複数の突起15を複数のコンタクト13の突起収容部13Cに同時に挿入することができる。
【0042】
図10において、押し込み用治具33は、平板状の治具本体33Aと、治具本体33Aの表面に形成された複数の押し込み部材側フランジ嵌合部33Bを有している。押し込み部材側フランジ嵌合部33Bは、押し込み部材31の押し込み部材側フランジ32とほぼ同等のサイズを有しており、押し込み部材側フランジ32を押し込み部材側フランジ嵌合部33Bに容易に嵌め込んで押し込み部材31を押し込み用治具33に仮固定することができるように構成されている。また、押し込み用治具33に仮固定された押し込み部材31を引っ張ることで、容易に押し込み部材31を押し込み用治具33から取り外すことができる。
【0043】
実施の形態2に係るコネクタを複数のフレキシブル導体21に接続する際には、まず、図11に示されるように、押し込み用治具33の複数の押し込み部材側フランジ嵌合部33Bにそれぞれ押し込み部材31の押し込み部材側フランジ32を嵌め込んで、押し込み用治具33に複数の押し込み部材31を仮固定する。
次に、それぞれの押し込み部材31における突起15の保持溝15Bに、対応するフレキシブル導体21を挿入することにより、複数のフレキシブル導体21を複数の突起15の保持溝15Bに保持させる。
【0044】
さらに、図12に示されるように、裏面12Cを上方に向けてハウジング12を図示しない作業台等の表面上に配置し、複数のコンタクト13の筒状部13Aを上方からハウジング12の複数のコンタクト用貫通孔12Bに挿入し、この状態で、複数の突起15が下方に突出するような向きで押し込み用治具33を上方からハウジング12に押し付ける。これにより、押し込み用治具33に仮固定されている複数の押し込み部材31の突起15が複数のフレキシブル導体21と共に複数のコンタクト13の突起収容部13Cに同時に挿入され、複数のコンタクト13が複数のフレキシブル導体21にそれぞれ電気的に接続される。
【0045】
その後、複数の押し込み部材31から押し込み用治具33を取り外すことにより、図13に示されるように、複数の押し込み部材31と複数のフレキシブル導体21がハウジング12に取り付けられた実施の形態2のコネクタが作製される。
【0046】
なお、押し込み部材31の代わりに図14に示される押し込み部材34を用いることもできる。押し込み部材34は、1つの突起15の突起本体15Aの根本部分に押し込み部材側フランジ35が一体に形成され、さらに、押し込み部材側フランジ35に、キー部36が形成されたものである。キー部36は、押し込み部材側フランジ35の一部が切り欠かれることで形成された平面部であり、突起15の保持溝15Bが延びる傾斜方向D1に対応する方向性を備えている。具体的には、キー部36は、傾斜方向D1に沿って延びる平面を有している。
【0047】
このようなキー部36を備えた押し込み部材34は、例えば図15に示されるような押し込み用治具37と共に使用される。押し込み用治具37は、平板状の治具本体37Aと、治具本体37Aの表面に形成された複数の押し込み部材側フランジ嵌合部37Bを有し、それぞれの押し込み部材側フランジ嵌合部37Bにキー受け部37Cが形成されている。キー受け部37Cは、押し込み部材34のキー部36に対応する平面を有しており、複数の押し込み部材側フランジ嵌合部37Bのキー受け部37Cは、互いに同じ方向を向いている。
【0048】
押し込み部材側フランジ嵌合部37Bは、押し込み部材34の押し込み部材側フランジ35とほぼ同等のサイズを有しており、キー部36とキー受け部37Cの存在により、押し込み部材側フランジ35が押し込み部材側フランジ嵌合部37Bに嵌め込まれることで仮固定される押し込み部材34の向きが規制されるように構成されている。
【0049】
このため、押し込み用治具37の複数の押し込み部材側フランジ嵌合部37Bにそれぞれ押し込み部材34を仮固定すると、複数の押し込み部材34の突起15の保持溝15Bは、互いに同じ傾斜方向D1に延びることとなる。従って、互いに独立した複数の押し込み部材34を用いながらも、複数のフレキシブル導体21の中間部21Bが延びる方向と複数の突起15の保持溝15Bが延びる方向を容易に揃えて、複数のフレキシブル導体21に対するコネクタの接続を行うことができる。
【0050】
実施の形態3
実施の形態1および2における突起15の代わりに、図16および図17に示されるような突起41を用いることもできる。この突起41は、実施の形態1および2において用いられた突起15において、保持溝15Bの内部に狭窄部41Aを有するものである。狭窄部41Aは、保持溝15Bが延びる傾斜方向D1の両端部における保持溝15Bの幅W1よりも狭い幅W2を有している。
【0051】
このため、フレキシブル導体21を突起41の保持溝15Bに挿入すると、フレキシブル導体21の一部は、狭窄部41Aにおいて傾斜方向D1と直交する方向に圧縮されることにより、保持溝15B内に係止され、保持溝15Bに対するフレキシブル導体21の位置が固定される。従って、フレキシブル導体21へのコネクタの接続作業中に、フレキシブル導体21が突起41の保持溝15Bから外れることが防止され、接続作業を効率よく行うことが可能となる。
【0052】
また、図18に示されるような突起42を用いることもできる。この突起42は、+Z方向に向かって延びる概ね円柱形状の突起本体42Aを有しており、突起本体42Aに、突起本体42Aを横切るように傾斜方向D1に沿って突起本体42Aを貫通する保持孔42Bが形成されている。
保持孔42Bは、導電糸からなるフレキシブル導体21の中間部を保持するための保持部を形成しており、フレキシブル導体21は、保持孔42Bに通されることで保持される。
このような突起42を用いても、突起42とフレキシブル導体21との位置ずれを防止しつつ、フレキシブル導体21にコネクタを容易に接続することができる。
【0053】
さらに、図19に示されるような突起43を用いてもよい。この突起43は、+Z方向に向かって延びる概ね円柱形状の突起本体43Aを有しており、突起本体43Aの+Z方向端部に保持溝43Bが形成されたものである。保持溝43Bは、突起43の突出方向である+Z方向に開口し且つ突起43を横切るように傾斜方向D1に沿って延びている。また、保持溝43Bの内部には、保持溝43Bの+Z方向の開口端部43Cにおける保持溝43Bの幅よりも広い幅の拡張部43Dが形成され、傾斜方向D1に沿って延びている。
【0054】
保持溝43Bは、導電糸からなるフレキシブル導体21の中間部を保持するための保持部を形成しており、特に、フレキシブル導体21の幅が、保持溝43Bの幅よりも大きい場合に、フレキシブル導体21は、保持溝43Bの開口端部43Cから-Z方向に挿入されて拡張部43Dの内部に保持される。
拡張部43Dにまで挿入されたフレキシブル導体21は、拡張部43Dの+Z方向側に拡張部43Dよりも狭い幅の開口端部43Cが存在するため、保持溝43Bから+Z方向に外れることが防止される。従って、突起43とフレキシブル導体21との位置ずれを防止しつつ、フレキシブル導体21にコネクタを容易に接続することが可能となる。
【0055】
なお、図16および図17に示される突起41、図18に示される突起42、図19に示される突起43においても、フレキシブル導体21は、導電糸に限るものではなく、シート状または帯状の導体からなる場合であっても、例えばフレキシブル導体21を折り畳む等により、突起41の保持溝15B、突起42の保持孔42B、突起43の保持溝43Bに保持させることができれば、突起41、42、43に対するフレキシブル導体21の位置ずれを防止しつつ、フレキシブル導体21にコネクタを容易に接続することができる。
【0056】
また、図20に示されるような突起44を用いることもできる。この突起44は、+Z方向に向かって延びる概ね円柱形状の突起本体44Aを有しており、突起本体44Aの+Z方向端部に+Z方向に開口し且つ突起44を横切るように傾斜方向D1に沿って延びる保持溝44Bが形成されたものである。保持溝44Bは、平面状の底面44Cを有している。
保持溝44Bの底面44Cが平面状であるため、突起44は、帯状のフレキシブル導体22にコネクタを接続する場合に、特に有効となる。このような突起44を用いることにより、突起44とフレキシブル導体22との位置ずれを防止しつつ、フレキシブル導体22にコネクタを容易に接続することが可能となる。
【0057】
実施の形態4
図21に、実施の形態4に係るコネクタ51を示す。このコネクタ51は、図1に示される実施の形態1に係るコネクタ11において、ハウジング12とベース部材14との間にシート形状のコネクタ固定部材52が配置されたものであり、その他の構成は、実施の形態1に係るコネクタ11と同様である。
コネクタ固定部材52は、絶縁性を有する樹脂または布から形成されており、ハウジング12の外周部を切れ目なく囲むようにハウジング12の外側にまで延びている。
【0058】
図22に示されるように、コネクタ固定部材52には、中央に位置する開口部52Aが形成されると共に、開口部52Aの周縁に沿って複数の貫通孔52Bが形成されている。
開口部52Aは、ハウジング12の複数のコンタクト用貫通孔12Bおよびベース部材14の複数の突起15を収容可能で且つハウジング12の複数のボス12Dにまでは至らない大きさを有しており、複数の貫通孔52Bは、ハウジング12の複数のボス12Dに対応している。
【0059】
コネクタ固定部材52がハウジング12とベース部材14との間に挟まれた状態で、ベース部材14をハウジング12に相対的に押し付けることにより、ハウジング12の複数のボス12Dが、コネクタ固定部材52の複数の貫通孔52Bを通ってベース部材14の複数のボス収容孔14Cに圧入され、これにより、ハウジング12とベース部材14が互いに固定されると共に、コネクタ固定部材52がハウジング12とベース部材14との間に固定される。
【0060】
このとき、図23に示されるように、複数のコンタクト13がコネクタ固定部材52の開口部52A内に位置することとなる。なお、図23は、ハウジング12を省略したコネクタ51の内部構成を示している。
ハウジング12の外側において、コネクタ固定部材52の周縁部を絶縁性糸等により衣服の布に縫合することにより、コネクタ51を衣服に取り付けることができる。
【0061】
実施の形態5
上記の実施の形態1~4では、導電糸からなるフレキシブル導体21、22が、例えば絶縁性の基板本体に支持されることなく、独立して突起15、41、42、43、44とコンタクト13との間に配置されているが、これに限るものではなく、図24に示されるようなフレキシブル基板61に、この発明に係るコネクタを接続することもできる。
フレキシブル基板61は、絶縁性材料からなるシート状の基板本体62の表面上に、フレキシブル導体63が露出した状態で配置されたものである。
【0062】
このようなフレキシブル基板61にコネクタを接続する際には、フレキシブル導体63がコンタクト13の突起収容部13Cの内面に対向し、基板本体62の裏面が突起15、41、42、43、44の側面に対向するように、フレキシブル基板61が配置される。これにより、実施の形態1~4と同様にして、コンタクト13をフレキシブル導体63に電気的に接続することが可能となる。
【0063】
また、上記の実施の形態1~5では、プラグ型のコンタクト13が用いられているが、これに限るものではなく、同様にして、レセプタクル型のコンタクトを、フレキシブル導体21、22、63に接続するコネクタを構成することもできる。
【符号の説明】
【0064】
1 フレキシブル基板、2 コンタクト、3 ベース部材、4 フレキシブル導体、5 突起収容部、6 突起、11,51 コネクタ、12 ハウジング、12A 凹部、12B コンタクト用貫通孔、12C 裏面、12D ボス、13 コンタクト、13A 筒状部、13B コンタクト側フランジ、13C 突起収容部、14 ベース部材(押し込み部材)、14A 平板部、14B 表面、14C ボス収容孔、14D フレキシブル導体収容溝、14E 側縁、15,41,42,43,44 突起、15A,42A,43A,44A 突起本体、15B,43B,44B 保持溝(保持部)、21,22,63 フレキシブル導体、21A 先端部、21B 中間部、21C 基端部、31,34 押し込み部材、32,35 押し込み部材側フランジ、33,37 押し込み用治具、33A,37A 治具本体、33B,37B 押し込み部材側フランジ嵌合部、36 キー部、37C キー受け部、41A 狭窄部、42B 保持孔(保持部)、43C 開口端部、43D 拡張部、44C 底面、52 コネクタ固定部材、52A 開口部、52B 貫通孔、61 フレキシブル基板、62 基板本体、C1 中心軸、D1 傾斜方向、W1,W2 幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図25