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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】保持装置および搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
B25J15/06 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019152972
(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公開番号】P2021030367
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳也
(72)【発明者】
【氏名】奈良 康平
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-014097(JP,A)
【文献】特開2017-52069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着パッドと、
前記吸着パッドを第1回動軸の周りに回動自在に支持する第1リンクと、
前記第1リンクを第2回動軸の周りに回動自在に支持する第2リンクと、
前記第2リンクを第3回動軸の周りに回動自在に支持する基台と、
前記吸着パッドと前記基台を連通し、屈曲可能である管部材と、を有し、
前記第2回動軸および前記第3回動軸は、相互に非平行である、
保持装置。
【請求項2】
前記第1回動軸は、前記吸着パッドの中心軸であり、
前記第1回動軸は、前記第3回動軸と同軸状に配置され得る、
請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記第2回動軸は、前記第1回動軸と前記第3回動軸とが同軸状の場合に、前記吸着パッドの吸着面と交差する、
請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記第2回動軸は、前記第1回動軸と前記第3回動軸とが同軸状の場合に、前記吸着パッドの吸着面で前記第1回動軸および前記第3回動軸と交差する、
請求項3に記載の保持装置。
【請求項5】
前記管部材は、前記吸着パッドと前記基台との間で、非直線状に伸びる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項6】
回動部材である前記吸着パッド、前記第1リンクまたは前記第2リンクと、前記回動部材を支持する支持部材との間の回動を停止させる制動機構を有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項7】
前記制動機構は、前記管部材に連通し、空気圧により作動する、
請求項6に記載の保持装置。
【請求項8】
前記制動機構は、
空気圧により膨張および収縮が可能な袋体と、
前記袋体の内部に配置され、前記袋体の収縮により前記回動部材または前記支持部材に密着する規制部材と、を有する、
請求項6または7に記載の保持装置。
【請求項9】
前記制動機構は、
前記回動部材および前記支持部材のうち一方に配置されるピニオンと、
前記回動部材および前記支持部材のうち他方に配置され、前記ピニオンに噛み合うことが可能なラックと、を有する、
請求項6または7に記載の保持装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の保持装置と、
前記管部材に接続され、前記吸着パッドの空気圧を調整する空気圧調整装置と、
前記保持装置を移動させるロボットと、
前記保持装置、前記空気圧調整装置および前記ロボットを制御することにより、前記保持装置による保持対象物の吸着、搬送および解放を制御する制御部と、を有する、
搬送装置。
【請求項11】
前記保持装置は、回動部材である前記吸着パッド、前記第1リンクまたは前記第2リンクと、前記回動部材を支持する支持部材との間の、回動を停止させる制動機構を有し、
前記制御部は、
前記制動機構を作動させない状態で、前記吸着パッドの吸着面を前記保持対象物に当接させて前記保持対象物を吸着し、
前記制動機構を作動させない状態で、前記保持対象物を持ち上げ、
前記制動機構を作動させた状態で、前記保持対象物を搬送する、
請求項10に記載の搬送装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記保持対象物の重量が所定重量以上の場合に、前記制動機構を作動させる、
請求項11に記載の搬送装置。
【請求項13】
前記保持装置は、回動部材である前記吸着パッド、前記第1リンクまたは前記第2リンクと、前記回動部材を支持する支持部材との間の、回動角度に対応する角度信号を出力する角度センサを有し、
前記制御部は、
前記角度信号に基づいて前記吸着パッドの吸着面の傾斜角度を検知し、
前記吸着パッドが吸着する前記保持対象物の表面の傾斜角度と、前記吸着面の傾斜角度との差の大きさが所定角度以上の場合に、前記保持装置による前記保持対象物の吸着動作をやり直す、
請求項12に記載の搬送装置。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか1項に記載の保持装置を、前記吸着パッドから前記基台に向かう第1方向に交差する平面内に整列配置して構成される複数の保持装置と、
前記複数の保持装置の前記第1方向に配置され、前記複数の保持装置を前記第1方向および前記第1方向とは反対方向に移動可能に支持する複数の直動機構と、
前記複数の直動機構の前記第1方向に配置され、前記複数の直動機構を支持するベース部材と、
前記ベース部材を移動させるロボットと、
前記複数の保持装置の前記管部材に接続され、前記複数の保持装置の前記吸着パッドの空気圧を個別に調整可能な空気圧調整装置と、
前記複数の保持装置、前記空気圧調整装置および前記ロボットを制御することにより、前記複数の保持装置による保持対象物の吸着、搬送および解放を制御する制御部と、を有する、
搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、保持装置および搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷物(保持対象物)を保持する保持装置を備えた搬送装置が利用されている。保持装置には、様々な状態の保持対象物を保持することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-214277号公報
【文献】特開平7-178692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、様々な状態の保持対象物を保持することができる保持装置および搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の保持装置は、吸着パッドと、第1リンクと、第2リンクと、基台と、管部材と、を持つ。第1リンクは、吸着パッドを第1回動軸の周りに回動自在に支持する。第2リンクは、第1リンクを第2回動軸の周りに回動自在に支持する。基台は、第2リンクを第3回動軸の周りに回動自在に支持する。管部材は、吸着パッドと基台を連通し、屈曲可能である。第2回動軸および第3回動軸は、相互に非平行である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の搬送装置を含む搬送システムの概略構成図。
図2】実施形態の保持装置の側面図。
図3図4のIII-III線における断面図。
図4】保持装置の吸着パッドの倣い動作の第1説明図。
図5】保持装置の吸着パッドの倣い動作の第2説明図。
図6】保持装置のモデル図。
図7】制動機構の概略構成図。
図8】保持装置の保持動作の第1説明図。
図9】保持装置の保持動作の第2説明図。
図10】保持装置の保持動作の第3説明図。
図11】実施形態の搬送装置のブロック図。
図12】保持装置の下降動作の説明図。
図13】搬送方法のフローチャート。
図14】第1変形例の保持装置のモデル図。
図15】第2変形例の保持装置のモデル図。
図16】第3変形例の保持装置のモデル図。
図17】第4変形例の保持装置のモデル図。
図18】第5変形例の保持装置のモデル図。
図19】第6変形例の保持装置の側面図。
図20】第7変形例の制動機構の概略構成図。
図21】第8変形例の搬送装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の保持装置および搬送装置を、図面を参照して説明する。
実施形態の保持装置において、X方向、Y方向およびZ方向は以下のように定義される。Z方向は鉛直方向であり、+Z方向は上方向である。X方向およびY方向は、水平方向であり、相互に直交する。
【0008】
図1は、実施形態の搬送装置を含む搬送システムの概略構成図である。搬送システム100は、荷物置場120に配置された荷物(保持対象物)Gを、コンベア140などに移載する。荷物置場120は、棚、籠または箱などである。荷物置場120において、荷物Gはランダムに積層配置される場合がある。
搬送システム100は、認識装置130と、搬送装置110と、を有する。
【0009】
認識装置130は、荷物Gの状態を認識する。認識装置130は、保持装置1による荷物Gの吸着状態および保持状態を認識する。認識装置130は、複数の画像センサ131,132,133と、認識制御部135と、を有する。
複数の画像センサ131-133は、カメラなどである。カメラは、三次元計測カメラなどでもよい。複数の画像センサ131-133は、異なる方向から、荷物Gまたは荷物Gを吸着保持した保持装置1の画像を撮影する。複数の画像センサ131-133は、撮影した画像データを認識制御部135に送信する。
認識制御部135は、画像データを解析して、荷物Gの位置または姿勢などの荷物状態を認識する。認識制御部135は、画像データを解析して、保持装置1による荷物Gの吸着状態および保持状態を認識する。認識制御部135は、荷物状態、吸着状態および保持状態に関する情報を、搬送装置110に送信する。
【0010】
搬送装置110は、荷物Gを保持してコンベア140に搬送する。搬送装置110は、ロボットアーム(ロボット、マニピュレータ)111と、保持装置1と、空気圧調整装置70と、搬送制御部(制御部)115と、を有する。
ロボットアーム111は、複数のアーム部112と、複数の関節部113と、を有する。ロボットアーム111は、複数のアーム部112を直列に接続して形成される。複数のアーム部112は、複数の関節部113を介して直列に接続される。関節部113は、隣り合うアーム部112を相対的に回動させる。関節部113は、隣り合うアーム部112を相対的に直動させてもよい。例えば、ロボットアーム111の第1端部は、地面に接続される。ロボットアーム111の第2端部には、保持装置1が接続される。
空気圧調整装置70は、保持装置1で使用される空気の圧力を調整する。
【0011】
搬送制御部115は、ロボットアーム111、保持装置1および空気圧調整装置70の動作を制御する。搬送制御部115は、ロボットアーム111の動作を制御することにより、保持装置1を任意の位置に移動させる。搬送制御部115は、保持装置1および空気圧調整装置70の動作を制御することにより、荷物Gを保持および解放する。これにより搬送装置110は、荷物Gを保持してコンベア140などに搬送する。
保持装置1、空気圧調整装置70および搬送制御部115については後述する。
【0012】
コンベア140は、ベルトコンベアまたはローラコンベアなどである。コンベア140は、荷物Gを載置して移動させる。コンベア140の動作は、コンベア制御部145により制御される。
【0013】
保持装置1の構成について説明する。以下には、特に言及されない限り、吸着パッド2が荷物Gを吸着していない無負荷状態での保持装置1が説明される。
図2は、実施形態の保持装置1の側面図である。図3は、図5のIII-III線における保持装置1の断面図である。図2に示されるように、保持装置1は、吸着パッド2と、管部材4と、支持機構5と、を有する。
吸着パッド2は、ゴムなどの弾性材料により形成される。吸着パッド2は、釣鐘形状に形成され、-Z方向に開口する。吸着パッド2の開口面により、吸着面Fが定義される。吸着パッド2は、+Z方向に伸びるシャフト6(図3参照)を有する。シャフト6の中心軸は、吸着パッド2の中心軸と同軸状に配置される。
【0014】
吸着パッド2は、吸着センサ2s(図11参照)を有する。吸着センサ2sは、吸着パッド2の吸着状態に対応する吸着信号を出力する。吸着センサ2sは、圧力センサまたは距離センサ、流量センサなどである。圧力センサは、吸着パッド2の内側の圧力に対応する圧力信号を出力する。距離センサは、吸着パッド2から荷物Gまでの距離に対応する距離信号を出力する。流量センサは、吸着パッド2の内側の空気流量に対応する流量信号を出力する。圧力信号または距離信号、流量信号などの吸着信号に基づいて、吸着パッド2による荷物Gの吸着状態が検知される。
【0015】
管部材4は、ゴムなどの弾性材料により形成される。管部材4は、吸着パッド2の+Z方向に配置され、Z方向に沿って伸びる。管部材4の-Z方向の端部は、下継手4aを介して、吸着パッド2のシャフト6に接続される。管部材4は、吸着パッド2の内側に連通する。管部材4は、下継手4aから基台30のシャフト36に向かって直線状に伸びる。基台30のシャフト36の内部には管部材通路が形成され、管部材4は管部材通路に挿通される。管部材4は、シャフト36に対して相対移動可能な状態で管部材通路に挿通されてもよく、シャフト36に対して固定されてもよい。管部材4は、ロボットアーム111(図1参照)に沿って伸び、後述される空気圧調整装置70に接続される。
【0016】
支持機構5は、吸着パッド2の+Z方向に配置される。支持機構5は、-Z方向の端部において吸着パッド2を支持する。支持機構5は、荷物Gの吸着対象面の傾斜状態に倣って、吸着パッド2の吸着面Fを傾斜させることが可能である。
支持機構5は、複数の構成部材10,20,30を有する。吸着パッド2および複数の構成部材10,20,30は、複数の接続部18,28,38を介して、直列に接続される。複数の接続部18-38は、吸着パッド2および複数の構成部材10,20を、複数の回動軸r,s,tの周りに回動自在とすることが可能である。
【0017】
支持機構5は、複数の構成部材10,20,30として、第1リンク10と、第2リンク20と、基台30と、を有する。支持機構5は、複数の接続部18,28,38として、第1接続部18と、第2接続部28と、第3接続部38と、を有する。支持機構5は、複数の回動軸r,s,tとして、r軸(第1回動軸)と、s軸(第2回動軸)と、t軸(第3回動軸)と、を有する。第1接続部18は、吸着パッド2と第1リンク10との間を、r軸の周りに回動自在に接続する。第2接続部28は、第1リンク10と第2リンク20との間を、s軸の周りに回動自在に接続する。第3接続部38は、第2リンク20と基台30との間を、t軸の周りに回動自在に接続する。後述されるように、t軸とr軸とは平行であり、t軸とs軸とは非平行である。
【0018】
第1リンク10は、図3に示されるように、第1端部12と、中間部13と、第2端部14と、シャフト16と、を有する。第1端部12、中間部13および第2端部14は、金属材料等により、それぞれ平板状に形成される。
第1端部12は、r軸に対して垂直に配置される。第1端部12は、Z方向に貫通する貫通孔を有する。第1接続部18は、r軸を中心軸とする転がり軸受18Bを有する。転がり軸受18Bの外輪は、第1端部12の貫通孔に固定される。転がり軸受18Bの内輪は、吸着パッド2のシャフト6に固定される。これにより、第1端部12と吸着パッド2との間が、r軸の周りに回動自在に接続される。
【0019】
第2端部14は、s軸に対して垂直に配置される。
シャフト16は、第2端部14からs軸と平行に第2リンク20の方向に伸びる。
中間部13は、第1端部12の+X方向の端部と、第2端部14の+X方向の端部との間を接続する。
【0020】
第2リンク20は、第1端部22と、第2端部24と、を有する。第1端部22および第2端部24は、金属材料等により、それぞれ平板状に形成される。
第1端部22は、s軸に対して垂直に配置される。第1端部22は、s軸と平行に貫通する貫通孔を有する。第2接続部28は、s軸を中心軸とする転がり軸受28Bを有する。転がり軸受28Bの外輪は、第1端部22の貫通孔に固定される。転がり軸受28Bの内輪は、第1リンク10の第2端部14から伸びるシャフト16に固定される。これにより、第2リンク20の第1端部22と第1リンク10の第2端部14との間が、s軸の周りに回動自在に接続される。
第2端部24は、t軸に対して垂直に配置される。第2端部24は、Z方向に貫通する貫通孔を有する。
【0021】
基台30は、取付板34と、シャフト36と、を有する。取付板34およびシャフト36は、金属材料等により形成される。
取付板34は、t軸に対して垂直に配置される。取付板34は、保持装置1の+Z方向の端部に配置される。保持装置1は、取付板34を介してロボットアーム111(図1参照)に取り付けられる。
【0022】
シャフト36は、取付板34からt軸と平行に-Z方向に伸びる。第3接続部38は、t軸を中心軸とする転がり軸受38Bを有する。転がり軸受38Bの内輪は、シャフト36に支持される。転がり軸受38Bの外輪は、第2リンク20の第2端部24の貫通孔に支持される。これにより、基台30のシャフト36と第2リンク20の第2端部24との間が、t軸の周りに回動自在に接続される。
【0023】
シャフト36の内部には、管部材4が挿通される管部材通路が形成される。管部材通路は、シャフト36の-Z方向の端部から+Z方向に伸びる。管部材通路は、Y方向に湾曲し、シャフト36の外周面に開口する。
【0024】
図4は、保持装置1のモデル図である。図4では、管部材の記載が省略されている。図4では、第1接続部18がr軸に沿って配置され、第2接続部28がs軸に沿って配置され、第3接続部38がt軸に沿って配置されている。第1接続部18と第2接続部28との間が、第1リンク10に相当する線で接続されている。第2接続部28と第3接続部38との間が、第2リンク20に相当する線で接続されている。3節閉リンク機構のうち1節を弾性体の管部材として、保持装置1が構成される。第1接続部18と第3接続部38との間に配置される第1リンク10および第2リンク20が、第1接続部18および第3接続部38において回動可能である。
なお、各リンク10,20に相当する線の形状は、各リンク10,20の実際の形状に対応していない。各リンク10,20は、如何なる形状とすることも可能である。
【0025】
前述されたように、第2リンク20の第2端部24は、t軸に対して垂直に配置される。第2リンク20の第2端部24とs軸との交差角度をαとする。前述されたように、第1リンク10の第1端部12は、r軸に対して垂直に配置される。第1リンク10の第1端部12とs軸との交差角度をβとする。このとき、角度αと角度βとは等しい。さらに、角度αおよび角度βは、0°より大きく90°より小さい鋭角であることが望ましい。これにより、s軸は、吸着パッド2の開口の中心点P0の近くの交差点P1において、吸着面Fと交差する。
【0026】
吸着パッド2が荷物Gを吸着していない無負荷状態において、t軸とr軸とは相互に平行である。これに対して、t軸とs軸とは相互に非平行である。t軸とs軸とは、交差してもよいし、ねじれの位置にあってもよい。本実施形態において、t軸とs軸とは、第2接続部28より-Z方向において、角度θで交差する。
【0027】
無負荷状態において、吸着面FはXY平面と平行である。r軸、s軸およびt軸は、吸着面Fと交差する。吸着面Fは、吸着パッド2の内側の開口面だけでなく、開口面を含んで吸着パッド2の内外に伸びる平面の全体を意味する。
r軸は、吸着パッド2の中心軸に一致する。そのため、r軸は、吸着パッド2の開口の中心点P0において吸着面Fと交差する。r軸は、Z方向と平行である。
t軸は、Z方向と平行である。t軸とr軸とは、同軸状であってもよいし、非同軸状であってもよい。本実施形態において、t軸とr軸とは同軸状に配置され得る。このとき、t軸は、吸着パッド2の開口の中心点P0において吸着面Fと交差する。
s軸は、r軸とt軸とが同軸状の場合に、吸着面Fと交差する。s軸は、中心点P0とは異なる交差点P1において、吸着面Fと交差する。交差点P1は、吸着パッド2の開口の内側であっても良い。後述されるように、s軸は、中心点P0において吸着面Fと交差してもよい。前述されたように、角度αおよび角度βは鋭角である。そのため、s軸は、中心点P0の近くの交差点P1において、吸着面Fと交差する。
【0028】
吸着パッド2の吸着面Fの傾斜可能範囲について説明する。
図4の状態から、第2接続部28において第1リンク10を180°回転させる。これにより、吸着パッド2がs軸の周りを回転する。吸着パッド2の回転後の吸着面Fは、XY平面に対して角度φで傾斜する。角度φは、角度θの2倍になる。吸着パッド2が回転する過程で、吸着面Fの傾斜角度は、0からφまで連続的に変化する。なお、吸着パッド2が回転する過程で、管部材4が弾性変形する。管部材4の長さを予め調節することにより、吸着面Fが傾斜可能な角度範囲を予め規定することも可能である。
【0029】
次に、第3接続部38において第2リンク20を回転させる。これにより、吸着面Fが傾斜した状態で、吸着パッド2がt軸の周りを回転する。
以上により、吸着面Fは、t軸の周りの任意の位置で、XY平面に対して0からφまでの任意の角度で傾斜することが可能である。
【0030】
図4に示される荷物Gの傾斜面に向かって、保持装置1を下降させる場合を考える。吸着パッド2の交差点P1に近い部分は、荷物Gの傾斜面の上方に当接する。一方、荷物Gの傾斜面に倣って吸着パッド2の吸着面Fが傾斜するように、吸着パッド2がs軸の周りを回転する。これに伴って、吸着パッド2の交差点P1に近い部分は、吸着面Fの傾斜の下方に配置される。ここで、吸着パッド2は、第1接続部18においてr軸の周りを回転可能である。これにより、吸着パッド2の交差点P1に近い部分は、吸着面Fの傾斜の上方に移動可能である。したがって、吸着パッド2の交差点P1に近い部分を荷物Gの傾斜面の上方に当接させたまま、荷物Gの傾斜面に倣って吸着パッド2の吸着面Fを傾斜させることができる。
【0031】
前述されたように、s軸は、吸着パッド2の中心点P0の近くの交差点P1において、吸着面Fと交差する。そのため、吸着パッド2がs軸の周りを回転して、吸着面Fの傾斜角度が変化する過程で、吸着パッド2の中心点P0の移動量は小さい。すなわち、吸着パッド2の倣い動作に伴う吸着パッド2の移動量が小さい。したがって、吸着パッド2は、荷物Gの所望の位置を吸着することができる。
【0032】
図5は、保持装置1の吸着パッド2の倣い動作の第1説明図である。図6は第2説明図である。図5および図6は、保持装置1の斜視図である。前述されたように、支持機構5は、荷物Gの吸着対象面の傾斜状態に倣って、吸着パッド2の吸着面Fを傾斜させることが可能である。荷物Gの傾斜面が、+Y方向にかけて-Z方向に傾斜する場合を想定する。保持装置1を-Z方向に下降させると、図5に示される吸着パッド2の-Y方向の端点Pyが、荷物Gの傾斜面に対して最初に当接する。端点Pyは、荷物Gの傾斜面から、+Y方向および+Z方向の力Wを受ける。
【0033】
図6に示されるように、第2リンク20は、t軸の周りを、矢印Atの方向に回動する。第1リンク10は、s軸の周りを、矢印Asの方向に回動する。吸着パッド2は、r軸の周りを、矢印Arの方向に回動する。保持装置1の下降に伴って、これらの回動が同時に発生する。これにより、吸着パッド2の吸着面Fは、荷物Gの傾斜面に倣って、+Y方向にかけて-Z方向に傾斜する。荷物Gの傾斜面に対して最初に当接した端点Pyは、最初に当接した位置(またはその近く)に留まる。以上により、支持機構5は、荷物Gの吸着対象面の傾斜状態に倣って、吸着パッド2の吸着面Fを傾斜させることが可能である。すなわち、保持装置1の下降動作のみにより、吸着パッド2の倣い動作が実現される。
【0034】
図5に示されるように、各接続部18,28,38において、回動部材が支持部材に支持される。回動部材は、第1接続部18の吸着パッド2、第2接続部28の第1リンク10および第3接続部38の第2リンク20である。支持部材9は、第1接続部18の第1リンク10、第2接続部28の第2リンク20および第3接続部38の基台30である。管部材4は、第1接続部18の回動部材である吸着パッド2と、第3接続部38の支持部材である基台30との間に配置される。管部材4により、無負荷状態における各回動部材の初期の姿勢が規定される。
【0035】
吸着パッド2の倣い動作に伴って、吸着パッド2、第1リンク10および第2リンク20が回動する。これに伴って、図6に示されるように、管部材4が弾性変形する。吸着パッド2が荷物Gから離れると、管部材4の復元力により、吸着パッド2、第1リンク10および第2リンク20は初期の姿勢に復帰する。管部材4の復元力を補助するため、各接続部18,28,38に弾性部材が配置されてもよい。弾性部材は、ねじりバネやプランジャなどである。
【0036】
図7は、制動機構5bの概略構成図である。支持機構5は、吸着パッド2の吸着面Fの傾斜動作を停止させる制動機構5bを有する。制動機構5bは、各接続部18,28,38に設置される。制動機構5bは、空気圧により作動する。制動機構5bは、チャック式(グリッパ式)の制動機構である。制動機構5bは、袋体52と、規制部材としてのチャック54と、を有する。
【0037】
袋体52は、弾性シートなどにより形成される。袋体52は、各接続部18-38を気密に覆う。袋体52の内部は、空気圧調整装置70とは異なる空気圧調整装置に連通する。袋体52は、空気圧により膨張および収縮が可能である。袋体52の内部は、管部材4に連通してもよい。この場合、袋体52の内部は、管部材4と同様に空気圧調整装置70に連通する。
【0038】
規制部材は、袋体52の内部に配置される。規制部材は、袋体52の収縮により各接続部18-38に密着して、回動部材の回動を規制する。例えば、規制部材はチャック54である。チャック54は、金属材料等に形成される。各接続部18-38に当接するチャック54の表面には、ローレット加工等による溝または突条が形成されてもよい。
【0039】
空気圧調整装置により袋体52の内部を減圧すると、袋体52が収縮する。袋体52の内側に封入されたチャック54は、各接続部18-38の周囲に密着する。これにより、複数の接続部18-38の動きが拘束され、回動部材の回動が規制される。
【0040】
制動機構5bは、図3に示されるように、第1制動機構18bと、第2制動機構28bと、第3制動機構38bと、を有する。
第1制動機構18bは、第1接続部18に配置される。第1制動機構18bは、第1リンク10の第1端部12に装着され、吸着パッド2に接続された下継手4aに密着する。第1制動機構18bは、吸着パッド2の回動を規制する。
第2制動機構28bは、第2接続部28に配置される。第2制動機構28bは、第2リンク20の第1端部22に装着され、第1リンク10のシャフト16に密着する。第2制動機構28bは、第1リンク10の回動を規制する。
第3制動機構38bは、第3接続部38に配置される。第3制動機構38bは、第2リンク20の第2端部24に装着され、基台30のシャフト36に密着する。第3制動機構38bは、第2リンク20の回動を規制する。
【0041】
このように、図7に示される制動機構5bは、各接続部18-38の動きを拘束する。これにより、吸着パッド2、第1リンク10および第2リンク20の回動が規制され、吸着面Fの傾斜動作が停止する。
支持機構5は、制動機構5bを作動させた状態で、吸着面Fの傾斜動作を停止させる。支持機構5は、制動機構5bを作動させない状態で、吸着面Fを傾斜自在とすることが可能である。
【0042】
支持機構5は、各接続部18-38に角度センサ5s(図11参照)を有してもよい。角度センサ5sは、各回動軸r,s,tの周りにおける回動部材の回動角度に対応する角度信号を出力する。角度センサ5sは、ポテンショメータ、エンコーダまたはフォトインタラプタなどである。角度センサ5sから出力された角度信号に基づいて、吸着面Fの傾斜角度が算出される。また角度信号に基づいて、制動機構5bの故障が検知される。
【0043】
保持装置1の動作について説明する。
図8は、保持装置1の保持動作の第1説明図である。図9は第2説明図である。図10は第3説明図である。
図8に示されるように、保持装置1が荷物Gに向かって-Z方向に下降する。保持装置1は、制動機構5bを作動させない状態で、荷物Gに接近する。荷物Gの上面は傾斜している。
【0044】
図9に示されるように、保持装置1が荷物Gに当接する。保持装置1の制動機構5bは作動していない。吸着パッド2、第1リンク10および第2リンク20は、各回動軸r,s,tの周りを回動可能である。吸着面Fは、荷物Gの上面の傾斜に倣って傾斜する。吸着面Fは、荷物Gの上面に沿って配置される。吸着パッド2の内側を減圧すると、吸着面Fが荷物Gの上面を吸着する。
【0045】
図10に示されるように、保持装置1が荷物Gを吸着したまま+Z方向に上昇する。これにより保持装置1は、荷物Gを保持する。支持機構5が荷物Gの重量を支持する。管部材4は荷物Gの重量を支持しない。したがって保持装置1は、荷物Gを安定した状態で保持する。
【0046】
図11は、実施形態の搬送装置のブロック図である。前述されたように、搬送装置110は、ロボットアーム111と、保持装置1と、空気圧調整装置70と、搬送制御部115と、を有する。
ロボットアーム111は、重量センサ114を有する。重量センサ114は、ロボットアーム111と保持装置1との間に配置される。重量センサ114は、保持装置1が保持する荷物Gの重量に対応する重量信号を出力する。
【0047】
空気圧調整装置70は、減圧装置72と、加圧装置74と、切換え弁76と、を有する。
減圧装置72は、空気を大気圧より低い圧力に減圧する。減圧装置72は、真空ポンプなどである。
加圧装置74は、空気を大気圧より高い圧力に加圧する。加圧装置74は、コンプレッサなどである。
切換え弁76は、吸着パッド2の連通先を、減圧装置72と加圧装置74との間で切り換える。切換え弁76は、吸着パッド2と減圧装置72および加圧装置74との連通を遮断することも可能である。
【0048】
前述されたように、認識装置130は、荷物Gの状態を認識する。認識装置130は、保持装置1による荷物Gの吸着状態および保持状態を認識する。認識装置130は、複数の画像センサ131,132,133と、認識制御部135と、を有する。
複数の画像センサ131-133は、荷物Gまたは荷物Gを吸着保持した保持装置1の画像を撮影する。複数の画像センサ131-133は、撮影した画像データを認識制御部135に送信する。認識制御部135は、画像データを解析して、荷物Gの位置または姿勢などの状態を認識する。認識制御部135は、荷物Gの状態に関する荷物情報を搬送制御部115に送信する。
【0049】
認識制御部135は、画像データを解析して、保持装置1による荷物Gの吸着状態を認識する。認識制御部135は、保持装置1の吸着パッドの形状などから吸着状態を認識する。認識制御部135は、荷物Gの吸着状態に関する吸着情報を搬送制御部115に送信する。
認識制御部135は、画像データを解析して、保持装置1による荷物Gの保持状態を認識する。認識制御部135は、保持装置1により持上げられた荷物Gの姿勢または吸着パッドの形状などから保持状態を認識する。認識制御部135は、荷物Gの保持状態に関する保持情報を搬送制御部115に送信する。
【0050】
搬送制御部115は、CPU(Central Processing Unit)116などのプロセッサを備えるマイクロコンピュータである。搬送制御部115は、例えば、CPU116などのプロセッサが、メモリ117や補助記憶装置118に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。また、搬送制御部115のうち一部または全部は、LSI(LargeScale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0051】
搬送制御部115は、ロボットアーム111、保持装置1および空気圧調整装置70の動作を制御する。搬送制御部115は、ロボットアーム111の動作を制御することにより、保持装置1を任意の位置に移動させる。搬送制御部115は、保持装置1および空気圧調整装置70の動作を制御することにより、荷物Gを保持および解放する。搬送制御部115は、空気圧調整装置70の切換え弁76を切り換える。搬送制御部115は、吸着パッド2の連通先として減圧装置72を選択することにより、吸着パッド2の内側を減圧する。これにより保持装置1は、吸着パッド2で荷物Gを保持する。搬送制御部115は、吸着パッド2の連通先として加圧装置74を選択することにより、吸着パッド2の内側を加圧する。これにより保持装置1は、吸着パッド2から荷物Gを解放する。
【0052】
搬送制御部115は、機能部として、吸着制御部151と、保持制御部152と、重量物制御部153と、を有する。
【0053】
吸着制御部151は、保持装置1が適正に荷物Gを吸着するように制御する。吸着制御部151は、吸着センサ2sから受信した吸着信号に基づいて、吸着パッド2による吸着状態を検知する。吸着制御部151は、認識制御部135から受信した吸着情報に基づいて、吸着状態を検知してもよい。吸着制御部151は、吸着状態が不適正であると判断した場合に、保持装置1による吸着動作をやり直す。すなわち吸着制御部151は、吸着パッド2による荷物Gの吸着を一旦解除する。吸着制御部151は、保持装置1を異なる場所に移動させて、吸着パッド2により荷物Gを再吸着する。吸着制御部151は、吸着状態を再判断する。吸着制御部151は、吸着状態が適正であると判断されるまで、上記処理を繰り返す。
【0054】
吸着制御部151は、荷物Gの上面の傾斜角度および吸着面Fの角度に基づいて、吸着状態を判断してもよい。吸着パッド2が吸着する荷物Gの上面の傾斜角度は、認識制御部135から出力された荷物情報により検知される。吸着面Fの角度は、角度センサ5sから出力された角度信号に基づいて算出される。支持機構5の第1リンク10または第2リンク20が障害物に当接していると、吸着面Fが荷物Gの上面に沿って配置されない。この場合の吸着面Fの角度は、荷物Gの上面の傾斜角度と異なる。吸着制御部151は、荷物Gの上面の傾斜角度と吸着面Fの角度との差の大きさが所定角度以上の場合に、吸着状態が不適正であると判断する。
【0055】
吸着制御部151は、吸着動作をやり直すとき、荷物Gの状態に応じて保持装置1を移動させてもよい。荷物Gの状態は、認識制御部135から出力された荷物情報により検知される。吸着制御部151は、荷物Gの状態から障害物のない場所を検出して、保持装置1を移動させる。
【0056】
図12は、保持装置1の下降動作の説明図である。上面の傾斜角度が大きい荷物Gに対して、第1リンク10および第2リンク20を荷物Gの方向に配置した状態で、保持装置1を下降させる場合がある。この場合、保持装置1の第1リンク10および第2リンク20と荷物Gとの当接が発生する可能性がある。これにより、吸着パッド2が荷物Gの吸着対象面を吸着できずに、吸着状態が不適正になる。この場合には、吸着パッド2が荷物Gを向くように、保持装置1を傾けた状態で下降させることが望ましい。第1リンク10および第2リンク20は、自重により、第1接続部18および第3接続部38において回動する。第1リンク10および第2リンク20は、図12に示されるように、荷物Gの反対側に移動する。これにより、保持装置1の下降中に、第1リンク10および第2リンク20と荷物Gとの当接が回避される。その結果、吸着パッド2は荷物Gの吸着対称面を適正に吸着することができる。
【0057】
保持制御部152は、保持装置1が安定して荷物Gを保持するように制御する。吸着パッド2が荷物Gの重心から離れた位置を吸着する場合がある。この状態で荷物Gを持ち上げると、吸着パッド2に曲げモーメントやせん断力が作用して、吸着パッド2から荷物Gが外れやすくなる。この場合、保持装置1は安定して荷物Gを保持できない。
保持制御部152は、吸着センサ2sから受信した吸着信号に基づいて、保持装置1による保持状態を検知する。保持制御部152は、認識制御部135から受信した保持情報に基づいて、保持状態を検知してもよい。保持制御部152は、保持状態が不適正であると判断した場合に、保持装置1による保持動作をやり直す。すなわち保持制御部152は、吸着パッド2による荷物Gの吸着を一旦解除する。保持制御部152は、保持装置1を異なる場所に移動させて、吸着パッド2により荷物Gを再吸着する。保持制御部152は、保持装置1による保持状態を再判断する。保持制御部152は、保持状態が適正であると判断されるまで、上記処理を繰り返す。
【0058】
保持制御部152は、保持動作をやり直すとき、荷物Gの状態に応じて保持装置1を移動させてもよい。荷物Gの状態は、認識制御部135から出力された荷物情報により検知される。保持制御部152は、荷物Gの状態から荷物Gの重心位置を推測して、保持装置1を移動させる。
【0059】
重量物制御部153は、保持装置1が安定して重量物を搬送するように制御する。荷物Gが重量物であるとき、搬送中の荷物Gの姿勢が不安定になる。保持装置1が荷物Gを持ち上げたとき、重量センサ114は荷物Gの重量信号を出力する。重量物制御部153は、重量センサ114から受信した重量信号に基づいて、荷物Gの重量を検知する。重量物制御部153は、荷物Gの重量が所定重量以上のとき、荷物Gが重量物であると判断する。この場合に、重量物制御部153は、制動機構5bを作動させる。これにより、搬送中の荷物Gの姿勢が安定するので、保持装置1は安定して重量物を搬送する。
重量物制御部153は、荷物Gが重量物であって、保持装置1の搬送速度が所定速度以上のとき、制動機構5bを作動させてもよい。
【0060】
実施形態の搬送装置110を使用した搬送方法について説明する。
図13は、搬送方法のフローチャートである。
搬送制御部115は、ロボットアーム111の動作を制御して、保持装置1を下降させる(S10)。図1に示されるように、搬送制御部115は、荷物置場120に配置された荷物Gに向かって、保持装置1を下降させる。保持装置1の下降停止位置は、認識制御部135から出力された荷物情報により決定される。保持装置1は、吸着センサ2sとしての距離センサから出力された距離信号に基づいて荷物Gとの当接を検知し、下降を停止してもよい。保持装置1は、制動機構5bを作動させない状態で、荷物Gに当接する。吸着パッド2の吸着面Fは、荷物Gの上面の傾斜に倣って傾斜する。これにより、吸着面Fは、荷物Gの上面に沿って配置される。
【0061】
搬送制御部115は、空気圧調整装置70の動作を制御して、吸着パッド2を減圧する(S12)。これにより吸着パッド2は、荷物Gの上面を吸着する。制動機構5bは、吸着パッド2と同様に空気圧調整装置70に接続されてもよい。この場合には、吸着パッド2が荷物Gを吸着するのと同時に、制動機構5bが作動する。
【0062】
吸着制御部151は、保持装置1による荷物Gの吸着状態が適正か判断する(S14)。S14の判断がNoの場合に、吸着制御部151は、保持装置1による吸着動作をやり直す。すなわち、吸着制御部151は、空気圧調整装置70の動作を制御して、吸着パッド2を加圧する(S16)。これにより、吸着パッド2は、荷物Gを一旦解放する。吸着制御部151は、ロボットアーム111の動作を制御して、保持装置1を異なる場所に移動させる(S18)。吸着制御部151は、S10以下で実施した吸着動作を再実施する。吸着制御部151は、S14の判断がYesになるまで、上記処理を繰り返す。これにより、荷物Gが適正に吸着される。
【0063】
S14の判断がYesの場合に、搬送制御部115は、ロボットアーム111の動作を制御して、保持装置1を上昇させる(S20)。保持装置1は、制動機構5bを作動させない状態で、荷物Gを持ち上げる。このとき、荷物Gが最も安定するように、支持機構5が自動的に変位する。ただし、吸着パッド2が荷物Gの重心から離れた位置を吸着した場合には、荷物Gが不安定な状態で保持される。
【0064】
保持制御部152は、保持装置1による荷物Gの保持状態が安定しているか判断する(S22)。S22の判断がNoの場合に、保持制御部152は、保持装置1による保持動作をやり直す。すなわち保持制御部152は、ロボットアーム111の動作を制御して、保持装置1を下降させる(S24)。保持制御部152は、吸着パッド2を加圧して、荷物Gを一旦解放する(S26)。保持制御部152は、保持装置1を異なる場所に移動させる(S28)。保持制御部152は、S10以下で実施した吸着動作および保持動作を再実施する。保持制御部152は、S22の判断がYesになるまで、上記処理を繰り返す。これにより、荷物Gが安定して保持される。
【0065】
S22の判断がYesの場合に、重量物制御部153は、荷物Gが所定重量以上の重量物か判断する(S30)。S30の判断がYesの場合に、重量物制御部153は、制動機構5bを作動させる。これにより、荷物Gが安定して搬送される。
【0066】
搬送制御部115は、ロボットアーム111の動作を制御して、保持装置1で保持した荷物Gを搬送する(S34)。図1に示されるように、搬送制御部115は、コンベア140などの搬送先まで荷物Gを搬送する。搬送制御部115は、空気圧調整装置70の動作を制御して、吸着パッド2を加圧する(S36)。これにより吸着パッド2は、荷物Gをコンベア140の上に解放する。
以上により、搬送方法の処理が終了する。
【0067】
以上に詳述されたように、実施形態の保持装置1は、吸着パッド2と、第1リンク10と、第2リンク20と、基台30と、管部材4と、を持つ。第1リンク10は、吸着パッド2をr軸の周りに回動可能に支持する。第2リンク20は、第1リンク10をs軸の周りに回動可能に支持する。基台30は、第2リンク20をt軸の周りに回動可能に支持する。管部材4は、吸着パッド2の内側に連通するとともに、基台30に渡し掛けられる。s軸およびt軸は、相互に非平行である。
これにより、荷物Gの傾斜面に吸着パッド2が当接するとき、荷物Gの傾斜面に倣って吸着パッド2の吸着面Fが滑らかに傾斜する。したがって、保持装置1は、様々な状態の保持対象物を保持することができる。保持装置1は、吸着パッド2の倣い動作を、少ない部品点数と簡素な軸構成で実現する。したがって、保持装置1が小型化および高剛性化され、保持装置1の耐久性が向上する。
【0068】
r軸は、吸着パッド2の中心軸である。r軸は、吸着パッド2が保持対象物を吸着していない無負荷状態において、t軸と同軸状に配置される。
これにより、保持装置1の構造が単純化され、保持装置1の製造が容易になる。また、第1接続部18と第3接続部38との間に配置される第1リンク10および第2リンク20が、第1接続部18および第3接続部38において回動可能である。
【0069】
s軸は、前記無負荷状態において、吸着パッド2の吸着面Fと交差する。
これにより、吸着パッド2の倣い動作に伴う吸着パッド2の移動量が小さくなる。したがって、保持装置1は、荷物Gの所望の位置を吸着することができる。
【0070】
保持装置1は、管部材4を有する。管部材4は、吸着パッド2の内側に連通するとともに、基台30に渡し掛けられる。管部材4は、吸着パッド2、第1リンク10および第2リンク20の姿勢変化に伴って弾性変形可能である。
吸着パッド2の倣い動作に伴って、吸着パッド2、第1リンク10および第2リンク20の姿勢が変化して、管部材4が弾性変形する。吸着面Fが荷物Gから離れるとき、管部材4の復元力により、吸着パッド2、第1リンク10および第2リンク20が元の姿勢に復帰する。
【0071】
保持装置1は、制動機構5bを有する。制動機構5bは、回動部材である吸着パッド2、第1リンク10または第2リンク20と、前記回動部材を支持する支持部材との間の回動を停止させる。
制動機構5bを作動させることにより、荷物Gが重量物の場合でも安定して搬送される。
【0072】
制動機構5bは、管部材4に連通し、空気圧により作動する。
これにより、吸着パッド2による荷物Gの吸着と同時に、制動機構5bが作動する。また保持装置1の構成が簡略化される。
【0073】
制動機構5bは、袋体52と、チャック54と、を有する。袋体52は、空気圧により膨張および収縮が可能である。チャック54は、袋体52の内部に配置され、袋体52の収縮により前記回動部材または前記支持部材に密着する。
これにより、制動機構5bが簡易に形成される。
【0074】
実施形態の搬送装置110は、保持装置1と、空気圧調整装置70と、ロボットアーム111と、搬送制御部115と、を有する。空気圧調整装置70は、管部材4に接続され、吸着パッド2の空気圧を調整する。ロボットアーム111は、保持装置1を移動させる。搬送制御部115は、保持装置1、空気圧調整装置70およびロボットアーム111を制御することにより、保持装置1による荷物Gの吸着、搬送および解放を制御する。
搬送装置110は、保持装置1により様々な状態の荷物Gを保持して搬送できる。
【0075】
保持装置1は、制動機構5bを有する。制動機構5bは、回動部材である吸着パッド2、第1リンク10または第2リンク20と、前記回動部材を支持する支持部材との間の、回動を停止させる。搬送制御部115は、制動機構5bを作動させない状態で、吸着パッド2の吸着面Fを荷物Gに当接させて荷物Gを吸着する。搬送制御部115は、制動機構5bを作動させない状態で、荷物Gを持ち上げる。搬送制御部115は、制動機構5bを作動させた状態で、荷物Gを搬送する。
制動機構5bを作動させないことにより、吸着面Fを荷物Gに当接させるとき、吸着面Fは荷物Gの表面の傾斜に倣って自動的に傾斜する。荷物Gを持ち上げるとき、荷物Gが最も安定するように、吸着パッド2、第1リンク10または第2リンク20が自動的に回動する。制動機構5bを作動させることにより、荷物Gを搬送するとき、荷物Gは安定した状態で搬送される。
【0076】
搬送制御部115は、荷物Gの重量が所定重量以上の場合に、制動機構5bを作動させる。
これにより、荷物Gが重量物の場合に、荷物Gが安定した状態で搬送される。
【0077】
保持装置1は、角度センサ5sを有する。角度センサ5sは、回動部材である吸着パッド2、第1リンク10または第2リンク20と、前記回動部材を支持する支持部材との間の、回動角度に対応する角度信号を出力する。搬送制御部115は、角度信号に基づいて吸着パッド2の吸着面Fの傾斜角度を検知する。搬送制御部115は、吸着パッド2が吸着する荷物Gの表面の傾斜角度と、吸着面Fの傾斜角度との差の大きさが所定角度以上の場合に、保持装置1による荷物Gの吸着動作をやり直す。
角度差の大きさが所定角度以上の場合には、保持装置1による荷物Gの吸着状態が不適正である。荷物Gの吸着をやり直すことにより、荷物Gの吸着状態が適正になる。
【0078】
実施形態の変形例について説明する。前述された実施形態と同様となる部分の各変形例の説明は省略される。
図14は、第1変形例の保持装置101のモデル図である。
第1変形例において、s軸は、r軸とt軸とが同軸状の場合に、吸着パッド2の吸着面Fでr軸およびt軸と交差する。前述された実施形態と同様に、r軸およびt軸は、吸着パッド2の開口の中心点P0において吸着面Fと交差する。したがって、s軸も、吸着パッド2の開口の中心点P0において吸着面Fと交差する。
【0079】
第2接続部28において第1リンク10が回転すると、吸着パッド2がs軸の周りを回転し、吸着面Fが傾斜する。s軸は中心点P0において吸着面Fと交差するので、吸着面Fが傾斜する過程で吸着パッド2の中心点P0は移動しない。すなわち、吸着パッド2の倣い動作に伴う吸着パッド2の移動量が小さくなる。したがって、吸着パッド2は、荷物Gの所望の位置を吸着することができる。これに伴って、吸着パッド2を荷物Gの所望の位置に配置するため、ロボットアーム111(図1参照)により保持装置101を再移動させる必要性が低下する。
【0080】
以上に詳述されたように、第1変形例の保持装置101のs軸は、前記無負荷状態において、吸着パッド2の吸着面Fでr軸およびt軸と交差する。
これにより、吸着パッド2の倣い動作に伴う移動量が小さくなる。したがって、保持装置101は、保持対象物の所望の位置を保持することができる。
【0081】
図15は、第2変形例の保持装置201のモデル図である。
第2変形例では、第2リンク20の第2端部24が、t軸に対して非垂直に配置される。第2リンク20の第2端部24とs軸との交差角度をαとする。前述された実施形態と同様に、第1リンク10の第1端部12は、r軸に対して垂直に配置される。第1リンク10の第1端部12とs軸との交差角度をβとする。このとき、角度αと角度βとは異なる。
【0082】
前述されたように、各リンク10,20は、如何なる形状とすることも可能である。したがって、第2変形例の保持装置201は、前述された実施形態の保持装置1と同様の効果を有する。
【0083】
図16は、第3変形例の保持装置301のモデル図である。
第3変形例では、s軸が、X方向と平行である。s軸は、吸着面Fと交差しない。s軸は、第2接続部28と同じZ方向の位置で、t軸と交差する。第2リンク20の第2端部24とs軸との交差角度αは0°である。第1リンク10の第1端部12とs軸との交差角度βも0°である。
【0084】
第3変形例の保持装置301は、前述された実施形態の保持装置1と同様の効果を有する。ただし、第2接続部28において第1リンク10が回転し、吸着面Fが傾斜するとき、吸着パッド2の中心点P0の移動量が大きくなる。
【0085】
図17は、第4変形例の保持装置401のモデル図である。
第3変形例のs軸は、前述された実施形態のs軸とは逆方向に傾斜する。s軸は、第2接続部28より+Z方向で、t軸と交差する。s軸は、吸着パッド2の中心点P0から+X方向に離れた位置で、吸着面Fと交差する。第2リンク20の第2端部24とs軸との交差角度αは90°より大きい。第1リンク10の第1端部12とs軸との交差角度βも90°より大きい。
【0086】
第4変形例の保持装置401は、前述された実施形態の保持装置1と同様の効果を有する。ただし、第2接続部28において第1リンク10が回転し、吸着面Fが傾斜するとき、吸着パッド2の中心点P0の移動量が大きくなる。
【0087】
図18は、第5変形例の保持装置501のモデル図である。
第5変形例では、t軸とr軸とが非平行である。第1リンク10の第1端部12には、第1端部12の延在方向に沿って伸縮可能な第1伸縮部材15が配置される。第2リンク20の第2端部24には、第2端部24の延在方向に沿って伸縮可能な第2伸縮部材25が配置される。これにより、t軸とr軸とが非平行な場合でも、吸着パッド2は倣い動作を行うことができる。
【0088】
図19は、第6変形例の保持装置601の側面図である。
第6変形例では、管部材604が非直線状である。管部材604は、下継手4aから基台30のシャフト36に向かって、非直線状に伸びる。例えば、管部材604はスパイラル状である。管部材604は、曲線状など他の形状であってもよい。
管部材604が非直線状に形成されることにより、管部材604の長さが長くなる。下継手4aとシャフト36との間の管部材604の長さは、下継手4aとシャフト36とのとの間の直線距離より長い。この場合には、吸着パッド2の吸着面Fの傾斜可能範囲が、管部材604によって制限されにくい。したがって、保持装置601は、様々な状態の保持対象物を保持することができる。
【0089】
図20は、第7変形例の制動機構の概略構成図である。
第7変形例の制動機構705bは、ピニオン751と、ラック752と、を有する。ピニオン751は、回動部材7および支持部材9のうち一方に配置される。ラック752は、回動部材7および支持部材9のうち他方に配置される。回動部材7は、各接続部18,28,38において回動する部材である。支持部材9は、各接続部18,28,38において回動部材7を支持する部材である。
【0090】
制動機構705bは、図3に示されるように、第1制動機構18bと、第2制動機構28bと、第3制動機構38bと、を有する。
第1制動機構18bは、第1接続部18に配置される。第1制動機構18bでは、ピニオン751が、回動部材7である吸着パッド2に接続された下継手4aに配置される。ラック752が、支持部材9である第1リンク10の第1端部12に配置される。
第2制動機構28bは、第2接続部28に配置される。第2制動機構28bでは、ピニオン751が、回動部材7である第1リンク10のシャフト16に配置される。ラック752が、支持部材9である第2リンク20の第1端部22に配置される。
第3制動機構38bは、第3接続部38に配置される。第3制動機構38bでは、ピニオン751が、支持部材9である基台30のシャフト36に配置される。ラック752が、回動部材7である第2リンク20の第2端部24に配置される。
【0091】
図20に示されるように、ラック752は、シリンダ754に接続される。シリンダ754は、空気圧調整装置70とは異なる空気圧調整装置に連通する。シリンダ754は、管部材4と同様に空気圧調整装置70に連通してもよい。シリンダ754は、空気圧により、ラック752をピニオン751に対して接近および離反させる。ラック752は、ピニオン751に接近するとき、ピニオン751に噛み合うことが可能である。これにより、ラック752とピニオン751との相対回動が規制される。したがって、ラック752およびピニオン751が配置される回動部材7と支持部材9との相対回動が規制される。
【0092】
以上に詳述されたように、制動機構705bは、ピニオン751と、ラック752と、を有する。ピニオン751は、回動部材7および支持部材9のうち一方に配置される。ラック752は、回動部材7および支持部材9のうち他方に配置される。ラック752は、ピニオン751に噛み合うことが可能である。
これにより、制動機構705bが簡易に形成される。
【0093】
図21は、第8変形例の搬送装置801の概略構成図である。第8変形例の搬送装置801は、複数の保持装置1を備える。搬送装置801は、複数の保持装置1と、複数の直動機構809と、ベース部材808と、ロボットアーム(ロボット)111と、空気圧調整装置70(図11参照)と、搬送制御部115(制御部、図11参照)と、を有する。
【0094】
複数の保持装置1は、実施形態の保持装置1をXY面内に整列配置して構成される。
複数の直動機構809は、複数の保持装置1の+Z方向に配置される。+Z方向(第1方向)は、保持装置1の吸着パッド2から基台30に向かう方向である。複数の直動機構809は、複数の保持装置1を+Z方向および-Z方向に移動可能に支持する。
ベース部材808は、平板状に形成される。ベース部材808は、複数の直動機構809の+Z方向に配置され、複数の直動機構809を支持する。直動機構809は、ばねなどの弾性部材と円柱部材などを組み合わせた弾性的に直動する機構でも良い。また、直動機構809は、電動アクチュエータや空圧アクチュエータなどと組み合わせた能動的に直動する機構でも良い。
ロボットアーム111は、ベース部材808に接続される。
【0095】
空気圧調整装置70は、複数の切換え弁76を有する。複数の切換え弁76は、複数の保持装置1の管部材4にそれぞれ連通する。空気圧調整装置70は、複数の保持装置1の吸着パッド2の空気圧を個別に調整可能である。これにより、複数の保持装置1は、個別に吸着動作の実施および停止を制御される。
搬送制御部115は、複数の保持装置1、空気圧調整装置70およびロボットアーム111を制御する。これにより搬送制御部115は、複数の保持装置1による荷物Gの吸着、搬送および解放を制御する。
【0096】
ベース部材808を荷物Gに接近させると、荷物Gの表面の凹凸に倣って、複数の直動機構809がZ方向に伸縮する。これにより、複数の保持装置1がZ方向に移動する。さらに、複数の保持装置1の吸着面Fが、荷物Gの表面の傾斜に沿って回動する。これにより、搬送装置801は、表面に大きな凹凸のある荷物Gを保持できる。
複数の保持装置1の吸着動作の実施および停止は、個別に制御される。これにより搬送装置801は、様々な大きさの荷物Gを保持できる。
【0097】
実施形態の保持装置1において、制動機構5bは、空気圧により作動する。これに対して、制動機構は、電動機構でもよい。
実施形態の保持装置1において、吸着センサ2sは吸着パッド2に配置される。これに対して、吸着センサ2sとしての圧力センサが、空気圧調整装置70に配置されてもよい。
実施形態の保持装置1において、管部材4はZ方向に沿って配置される。これに対して、管部材は、複数のリンクに沿って配置されてもよい。また、複数のリンクの内部に空洞を設けて、空洞に管部材を配置してもよい。
【0098】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、s軸とt軸とが相互に非平行である。これにより、様々な状態の荷物Gを保持することができる。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0100】
F…吸着面、G…荷物(保持対象物)、r…第1回動軸、s…第2回動軸、t…第3回動軸、1,101,201,301,401,501,601…保持装置、2…吸着パッド、4,604…管部材、5b…制動機構、5s…角度センサ、7…回動部材、9…支持部材、10…第1リンク、20…第2リンク、30…基台、52…袋体、54…チャック(規制部材)、70…空気圧調整装置、110…搬送装置、111…ロボットアーム(ロボット)、115…搬送制御部(制御部)、705b…制動機構、751…ピニオン、752…ラック、801…搬送装置、808…ベース部材、809…直動機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図21