(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】作業音検出装置
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20221219BHJP
H01R 13/64 20060101ALI20221219BHJP
G01P 15/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H01R13/64
H04R3/00 320
G01P15/00 Z
(21)【出願番号】P 2019164010
(22)【出願日】2019-09-09
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】511192595
【氏名又は名称】ディー・クルー・テクノロジーズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】弁理士法人クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 成治
(72)【発明者】
【氏名】太田 正太郎
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-161045(JP,A)
【文献】特開2010-186651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H01R 13/64
G01P 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の手首に取り付けられ、作業音を電気的な音声信号に変換する集音部と、前記手首の加速度を検出する加速度検出部と、を含む手首ユニットと、
前記音声信号と前記加速度とがともに時間的に一定の範囲内において一定の変化パターンを示したことを検出された場合に、目的の作業が正しく行われたことを利用者に通知する制御ユニットと、を有
し、
前記制御ユニットは、
前記加速度の移動平均値を有する移動平均信号を生成する移動積分部と、
前記加速度検出部から出力される前記加速度と前記移動平均信号との差分値が一定の変化量となる期間にハイレベルとなる第1の二値化信号を生成する第1の二値化処理部と、
前記集音部から得られる前記音声信号を増幅する増幅器と、
前記増幅器で増幅された前記音声信号が継続する期間にハイレベルとなる第2の二値化信号を生成する第2の二値化処理部と、
前記第2の二値化信号の立ち上がりに応じて、一定のパルス幅を有するワンショットパルス信号を出力するワンショットパルス生成部と、
前記ワンショットパルス信号がハイレベルである期間に、前記第1の二値化信号がハイレベルとなった場合に作業音通知信号を出力する作業音通知信号生成部と、
を有する作業音検出装置。
【請求項2】
作業者の手首に取り付けられ、作業音を電気的な音声信号に変換する集音部と、前記手首の加速度を検出する加速度検出部と、を含む手首ユニットと、
前記加速度が時間的に一定の範囲内において一定の変化パターンを示したことを検出する制御ユニットと、
作業者が作業音を聞くためのイヤホンと、を有し、
前記制御ユニットは、
前記集音部から得られる前記音声信号を増幅する増幅器と、
前記加速度検出部により得られる前記加速度の変化パターンを示す取得加速度パターンが予め設定した作業時パターンの条件を満たした事に応じてゲートオープン指示信号を有効化させるゲート期間制御部と、
前記ゲートオープン指示信号が有効化されている期間に前記増幅器で増幅された前記音声信号を通過させるゲート回路と、
前記ゲート回路を通過した前記音声信号を外部に出力する外部出力インタフェース回路と、
を有
し、
前記イヤホンは、前記外部出力インタフェース回路に接続され、前記取得加速度パターンに基づき選択された作業音を伝える、作業音検出装置。
【請求項3】
前記ゲート期間制御部は、前記取得加速度パターンが前記作業時パターンの条件を満
たしているかを判定する加速度判定部を有する請求項2に記載の作業音検出装置。
【請求項4】
前記ゲート期間制御部は、前記加速度判定部が前記取得加速度パターンが前記作業時パターンの条件を満たしていると判定した場合に予め設定された一定期間の間、前記ゲートオープン指示信号を有効化するウィンド設定処理部を有する請求項3に記載の作業音検出装置。
【請求項5】
前記増幅器と前記ゲート回路の間に前記音声信号のノイズを除去するフィルタ回路が設けられる請求項2乃至4のいずれか1項に記載の作業音検出装置。
【請求項6】
前記ゲート回路の出力信号として前記音声信号が出力された場合に外部に検出すべき前記作業音の入力があったことを通知する作業音判定部をさらに有する請求項2乃至5のいずれか1項に記載の作業音検出装置。
【請求項7】
前記音声信号を外部に設けられる表示装置に表示する外部波形モニタ処理部をさらに有する請求項2乃至6のいずれか1項に記載の作業音検出装置。
【請求項8】
前記増幅器の後段において、前記音声信号を抑圧又は増幅することで最大電圧を一定のレベルに揃えるイコライジング処理部を有する請求項
1又は2に記載の作業音検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業音検出装置に関し、例えば、作業により生じる特定の音を検出して作業者に当該特定の音を通知する作業音検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場内では、多くの機械が稼働しているため、大きな騒音が発生している。そのような大きな騒音環境下では、例えば、コネクタの嵌合音等の作業音が騒音に紛れてしまい、作業者が作業の完了を認識できない等の問題が発生する。そこで、特許文献1、2には、コネクタの嵌合音を検出する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のコネクタ検査装置は、一方の電気回路が接続されるプラグと、他方の電気回路が接続されるソケットと、このプラグとソケットとを嵌合させたときに両者をロックするロック機構によって構成される所定数のコネクタの接続状態を検査するコネクタ検査装置であって、前記プラグとソケットとが完全に嵌合したときにコネクタのロック機構から発生する音声を検出する検出手段と、この検出手段からの検出信号を計数する計数手段と、この計数手段による計数値と当該コネクタ数によって設定される所定値とを比較してコネクタの接続状態を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0004】
特許文献2に記載のコネクタ嵌合保証システムは、電気コネクタのための嵌合ゾーンの近傍に位置するように構成されるマイクロフォンであって、電気コネクタが嵌合されるときの可聴音を検出するように構成されるマイクロフォンと、マイクロフォンに接続され、マイクロフォンからの音声信号を受信する出力ユニットであって、嵌合保証のために音声信号を処理する出力ユニットとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平4-370673号公報
【文献】特開2016-536773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
工場内は、大きな騒音環境下であり、特許文献1、2に記載の技術を用いる場合、騒音をキャンセルするためのノイズ低減処理をしなければ、嵌合音を誤検出してしまう可能性がある。そして、このノイズ低減処理には、大きな演算処理負荷、或いは、回路規模の増加が発生するという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態1にかかる作業音検出装置は、作業者の手首に取り付けられ、作業音を電気的な音声信号に変換する集音部と、前記手首の加速度を検出する加速度検出部と、を含む手首ユニットと、前記音声信号と前記加速度とがともに時間的に一定の範囲内において一定の変化パターンを示したことを検出された場合に、目的の作業が正しく行われたことを利用者に通知する制御ユニットと、を有する。
【0008】
本発明にかかる作業音検出装置によれば、作業タイミングを加速度検出部により検出された取得加速度パターンに基づき作業完了時を含む時間帯を選択して音声信号を作業者に通知することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる作業音検出装置によれば、ノイズ抑制処理にかかる処理負荷、或いは、回路規模の増大を抑制しながら、ノイズの影響の少ない作業音を作業者に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1にかかる作業音検出装置の概要を説明する概略図である。
【
図2】実施の形態1にかかる作業音検出装置のブロック図である。
【
図3】実施の形態1にかかる作業音検出装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【
図4】実施の形態2にかかる作業音検出装置のブロック図である。
【
図5】実施の形態3にかかる作業音検出装置のブロック図である。
【
図6】実施の形態4にかかる作業音検出装置のブロック図である。
【
図7】実施の形態4にかかる作業音検出装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【
図8】実施の形態5にかかる作業音検出装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
図1に実施の形態1にかかる作業音検出装置1の概要を説明する概略図を示す。
図1に示すように、実施の形態1にかかる作業音検出装置1は、作業者Hの身体に装着する手首ユニット10、制御ユニット20及びイヤホン30を有する。また、以下の説明では、作業音の一例として、コネクタの嵌合音を検出する例について説明するが、検出する作業音は嵌合音に限られず、例えば、ボルトの締め付け完了音でもよい。
【0013】
図1に示す例では、手首ユニット10を作業者Hの手首に取り付けたが、手首ユニット10は、作業において作業音の発生源に近づき、かつ、作業において特徴的な加速度を示す部位に取り付けられるものである。
【0014】
また、
図1では、制御ユニット20は、作業者Hの上腕に取り付ける例を示したが、制御ユニット20の取り付け位置は、上腕に限らず、腰等の他の場所であっても構わない。イヤホン30は、作業者Hの耳に取り付けられ、制御ユニット20を介して音声信号が出力される。
【0015】
以下では、実施の形態1にかかる作業音検出装置1についてより詳細に説明する。
図2に実施の形態1にかかる作業音検出装置1のブロック図を示す。
図2に示すように、手首ユニット10は、集音部(例えば、集音センサ11)及び加速度検出部(例えば、加速度センサ12)を有する。集音センサ11は、作業音を電気的な音声信号に変換する。集音センサ11としては、例えば、コンデンサマイク等の小型のマイクを用いることが適している。加速度センサ12は、作業に特徴的な加速度変化を示す部分(例えば、手首)の加速度を検出する。加速度センサ12は、検出した加速度を加速度情報として制御ユニット20に出力する。
【0016】
制御ユニット20は、音声信号と加速度とがともに時間的に一定の範囲内において一定の変化パターンを示したことを検出された場合に、目的の作業が正しく行われたことを利用者に通知する。制御ユニット20は、増幅器21、フィルタ回路22、ゲート期間制御部23、ゲート回路26、外部出力インタフェース回路(例えば、オーディオアンプ27)を有する。増幅器21は、集音センサ11から得られる音声信号を増幅する。フィルタ回路22は、増幅器21とゲート回路26の間に設けられる回路であって、音声信号のノイズを除去する回路である。フィルタ回路22は、例えば、嵌合音より低い周波数帯域のノイズ(例えば、機械が動作する際に生じる騒音)の音声レベルを低減するハイパスフィルタである。
図2に示す例では、フィルタ回路を通過した後の音声信号を音声信号S1として示した。
【0017】
ゲート期間制御部23は、加速度センサ12により得られる加速度の変化パターンを示す取得加速度パターンが予め設定した作業時パターンの条件を満たした事に応じてゲートオープン指示信号S3を有効化させる(例えば、ハイレベルとする)。ここで、予め設定する作業時パターンは、単に加速度が作業中であることを示す閾値を一点設けるものでもよく、一定時間中の加速度の変化パターンを予め設定するものであっても良い。
【0018】
ゲート期間制御部23は、加速度判定部24及びウィンド設定処理部25を有する。加速度判定部24は、取得加速度パターンが作業時パターンの条件を満たしたしているかを判定する。そして、加速度判定部24は、取得加速度パターンが作業時パターンの条件を満たしている場合、判定結果通知信号S2をロウレベルからハイレベルにする。ウィンド設定処理部25は、加速度判定部が取得加速度パターンが作業時パターンの条件を満たしていると判定した場合に予め設定された一定期間の間、ゲートオープン指示信号S3を有効化する。なお、ウィンド設定処理部25は、一定期間の間ゲートオープン指示信号S3を有効化した後は、ゲートオープン指示信号S3を無効化する(例えば、ロウレベルとする)。
【0019】
ゲート回路26は、ゲートオープン指示信号S3が有効化している期間に増幅器21で増幅された音声信号S3を通過させる。ゲート回路26は、例えば、ゲートオープン指示信号S3によりオンオフ状態が切り替えられるスイッチ回路である。また、
図2では、ゲート回路26の出力信号を出力信号S4とした。オーディオアンプ27は、ゲート回路26を通過した音声信号S3(この音声信号S3は、出力信号S4に含まれる)を外部に出力する。オーディオアンプ27が出力した信号は、イヤホン端子28を介してイヤホン30に伝達され、イヤホン30から音声として出力される。
【0020】
続いて、実施の形態1にかかる作業音検出装置1の動作について説明する。そこで、
図3に実施の形態1にかかる作業音検出装置1の動作を説明するタイミングチャートを示す。
図3に示すように、実施の形態1にかかる作業音検出装置1は、取得加速度パターンが作業時パターンの条件を満たすタイミングT1より前の期間では、集音センサ11で取得され、ゲート回路26に入力される音声信号S1を遮断して、出力信号S4を無音状態とする。
【0021】
そして、タイミングT1において、取得加速度パターンが作業時パターンの条件を満たすと、加速度判定部24が判定結果通知信号S2を無効状態から有効状態に切り替える。これにより、ウィンド設定処理部25が、所定の期間として設定されるタイミングT1からタイミングT2までの間ゲートオープン指示信号S3を無効状態から有効状態に切り替える。そして、ゲートオープン指示信号S3が有効状態となっている期間は、出力信号S4として音声信号S1が出力される。そして、タイミングT2において、ゲートオープン指示信号S3が有効状態から無効状態に切り替わると、ゲート回路26が閉じて出力信号S4は再度無音状態となる。
【0022】
上記説明より、実施の形態1にかかる作業音検出装置1では、嵌合音が発生する期間を選択して嵌合音を作業者に聞かせることができる。このように嵌合音が発生する期間を選択して、選択した期間の音声信号を作業者に聞かせる構成とすることで、作業者に聞かせたい嵌合音が最大音声となるように増幅器21の増幅率を設定して、より明瞭に作業者に嵌合音を聞かせることができる。一方、嵌合音の発生期間を選択せずに作業者に音声を通知した場合において、嵌合音を最大のレベルにすると、環境音がクリップするレベルまで増幅されるため、作業者には不快な音量レベルの音声信号が作業者に常時届くことになるため、嵌合音の聞き逃しのみならず、作業者の不快感が大きくなる。しかし、実施の形態1にかかる作業音検出装置1では、不快な大音量の環境音が作業者に伝達される期間が大幅に少なくなるため、上記したような嵌合音の聞き逃しや、不快感が大幅に改善される。
【0023】
また、実施の形態1にかかる作業音検出装置1では、作業時に特徴的な加速度を示す手首の加速度の変化パターンを示す取得加速度パターンに基づき嵌合音の発生する時間を選択して、選択した期間の音声信号S1を出力信号S4として作業者に伝える。これにより、実施の形態1にかかる作業音検出装置1では、複雑なノイズ除去処理を行う事無く聞き取りやすい嵌合音を作業者に伝達することができる。また、これにより、実施の形態1にかかる作業音検出装置1では、複雑なノイズ除去に起因する処理負荷の低減及びノイズ除去回路の回路規模増大の抑制を実現することができる。
【0024】
また、実施の形態1にかかる作業音検出装置1では、ゲートオープン指示信号S3を有効化する期間を一定期間の間維持する。これにより、実施の形態1にかかる作業音検出装置1では、出力信号S4としてゲートオープン指示信号S3が断続的に出力されることを防止する。
【0025】
また、実施の形態1にかかる作業音検出装置1では、加速度判定部24により取得加速度パターンが作業時パターンにより示される条件と一致するか否かを判定する。このとき、作業時パターンとして所定の時間幅における加速度の変化パターンを規定することで、実施の形態1にかかる作業音検出装置1は、一時的な大きな加速度変化を嵌合音が発生する作業期間と誤認識することを防止することができる。
【0026】
また、実施の形態1にかかる作業音検出装置1は、フィルタ回路22を備えることで、検出したい嵌合音から離れた周波数帯の作業音の音量レベルを低減することができる。これにより、実施の形態1にかかる作業音検出装置1は、時間的な選択によるゲートオープン指示信号S3の出力だけを行う場合よりもさらに嵌合音の明瞭性を向上させることができる。
【0027】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1にかかる作業音検出装置1の別の形態について説明する。なお、実施の形態2の説明において、実施の形態1で説明した構成要素については実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0028】
図4に実施の形態2にかかる作業音検出装置2のブロック図を示す。
図4に示すように、実施の形態2にかかる作業音検出装置2は、制御ユニット20を制御ユニット40に置き換えたものである。制御ユニット40は、制御ユニット20に嵌合音判定部41及びインジケータ表示部42を追加したものである。嵌合音判定部41は、出力信号S4としてゲートオープン指示信号S3が出力された場合に、ゲート回路26の出力信号S4として音声信号S3が出力された場合に外部に検出すべき嵌合音の入力があったことを通知する。インジケータ表示部42は、通知の一態様を実現するものであり、例えば、嵌合音判定部41が通知すべき信号があったときに点灯させるLED等のインジケータが設けられるものである。
【0029】
このように、嵌合音判定部41及びインジケータ表示部42を設けることで、音だけでなく、光による通知も出来るようになるため、より嵌合作業の確実性を増すことができる。
【0030】
実施の形態3
実施の形態3では、実施の形態1、2にかかる作業音検出装置1の別の形態について説明する。なお、実施の形態3の説明において、実施の形態1、2で説明した構成要素については実施の形態1、2と同じ符号を付して説明を省略する。
【0031】
図5に実施の形態3にかかる作業音検出装置3のブロック図を示す。
図5に示すように、実施の形態3にかかる作業音検出装置3は、実施の形態2にかかる制御ユニット40に信号処理部51、無線通信部52、53、波形表示装置54を追加した制御ユニット50を有する。
【0032】
信号処理部51は、音声信号S1をデジタル値のデータに変換する。無線通信部52は、信号処理部51でデジタル値に変換された音声信号S1を無線通信部53に無線信号を用いて送信する。無線通信部53は、無線通信部52から受信した音声信号S1を波形表示装置54に伝達する。波形表示装置54は、無線通信部53から出力された音声信号S1を波形データに変換して表示する。
【0033】
このように、実施の形態3にかかる作業音検出装置3では、音声信号S1を波形データとして視覚的に認識することができる。これにより、実施の形態3にかかる作業音検出装置3では、波形情報により嵌合音を認識することができるため、実施の形態1にかかる作業音検出装置1よりもさらに作業の確実性を向上させることができる。
【0034】
実施の形態4
実施の形態4では、実施の形態1にかかる作業音検出装置1の別の形態について説明する。なお、実施の形態4の説明において、実施の形態1で説明した構成要素については実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0035】
図6に実施の形態4にかかる作業音検出装置4のブロック図を示す。
図6に示すように、実施の形態4にかかる作業音検出装置4は、制御ユニット20に代えて制御ユニット60を有する。制御ユニット60は、実施の形態1の増幅器21、フィルタ回路22、及びオーディオアンプ27に移動積分部61、第1の二値化処理部62、第2の二値化処理部63、ワンショットパルス生成部64、作業音通知信号生成部(例えば、嵌合音通知信号生成部65)を追加したものである。また、実施の形態4にかかる作業音検出装置4では、フィルタ回路22から出力される音声信号S12が直接オーディオアンプ27を介して出力される。さらに、実施の形態4にかかる作業音検出装置4は、オーディオアンプ27から音声信号S10を常時出力すると共に、嵌合音通知信号生成部65が出力する作業音通知信号(例えば、嵌合通知信号S15)に応じて嵌合通知部66に利用者に作業が完了したことを通知させる。嵌合通知部66は、作業の完了を、例えば、LED等を用いた発光、ブザー等の音等を用いた通知を行う。
【0036】
移動積分部は、加速度センサ12が出力する加速度の移動平均値を有する移動平均信号S10を生成する第1の二値化処理部62は、加速度センサ12から出力される加速度と移動平均信号との差分値が一定の変化量となる期間にハイレベルとなる第1の二値化信号S11を生成する。第2の二値化処理部63は、増幅器21で増幅された音声信号S12が継続する期間にハイレベルとなる第2の二値化信号S13を生成する。ワンショットパルス生成部64は、第2の二値化信号S12の立ち上がりに応じて、一定のパルス幅を有するワンショットパルス信号S14を出力する。ワンショットパルス信号S14がハイレベルである期間に、第1の二値化信号S11がハイレベルとなった場合に嵌合通知信号S15を出力する。
【0037】
続いて、実施の形態4にかかる作業音検出装置4の動作について説明する。そこで、
図7に実施の形態4にかかる作業音検出装置4の動作を説明するタイミングチャートを示す。
【0038】
図7に示すように、加速度センサ12は、種類によっては、周波数が低く大きな電圧変動を示し、当該電圧変動に重畳する形で手首の動きに対応する電圧変化が重畳する特徴を有する。また、加速度センサ出力は、様々な処理の後に出力されるため、作業音に対応する音声信号S12の変化タイミングから遅れたタイミングで手首の動きに対応する電圧変化を示すことがある。実施の形態4にかかる作業音検出装置4は、このような特徴を有する加速度センサ12に対応するものである。
【0039】
そして、
図7に示す例では、タイミングT10において音声信号S12のとして作業音(例えば、コネクタの嵌合音)が入力される。これにより、実施の形態4にかかる作業音検出装置4では、第2の二値化処理部63が音声信号S12の振幅が一定の振幅レベル以上になる期間にハイレベルとなる第2の二値化信号S13を出力する。また、第2の二値化信号S13の立ち上がりに応じて、ワンショットパルス生成部64がワンショットパルス信号S14を出力する。このワンショットパルス信号S14は予め決定された所定の期間の間ハイレベルが維持される信号である。
図7に示す例では、タイミングT10からタイミングT12の長さで予め決定された長さの加速度監視期間の間ワンショットパルス信号S14はハイレベルとなる。
【0040】
そして、タイミングT10の後、かつ、タイミングT12の前のタイミングT11で加速度センサ12が手首の動きに対応する電圧変化を示す。これにより、第1の二値化処理部62が第1の二値化信号S11をハイレベルとする。そして、このタイミングT11では、ワンショットパルス信号S14がハイレベルであるため、嵌合音通知信号生成部65が嵌合通知信号S15をハイレベルとする。なお、嵌合音通知信号生成部65が嵌合通知信号S15をハイレベルとする期間の長さは予め決定された長さである。
【0041】
また、
図7に示す例では、タイミングT13で第1の二値化信号S11がハイレベルとなる加速度センサ出力が制御ユニット60に入力されるが、この時音声信号S12は、無信号レベルを示しているためワンショットパルス信号S14は、ロウレベルとなっており、嵌合音通知信号生成部65は、嵌合通知信号S15をロウレベルのまま維持する。
【0042】
上記説明より、実施の形態4にかかる作業音検出装置4は、加速度センサ12が手首の動きに対応する電圧変化を出力するタイミングが実際の作業から遅れる場合であっても、作業差に作業の完了(例えば、コネクタの嵌合の完了)を通知する信号を生成することができる。
【0043】
また、実施の形態4にかかる作業音検出装置4では、音声信号S12は常に作業者に届けられるため、作業者は、嵌合通知部66の通知を確認しながら、音声による作業の完了も確認することができ、作業完了確認の精度を高めることができる。
【0044】
実施の形態5
実施の形態5では、実施の形態4にかかる作業音検出装置4の別の形態について説明する。なお、実施の形態6の説明において、実施の形態1、4で説明した構成要素については実施の形態1、4と同じ符号を付して説明を省略する。
【0045】
図8に実施の形態5にかかる作業音検出装置5のブロック図を示す。
図8に示すように、実施の形態5にかかる作業音検出装置5は、制御ユニット60に代えて制御ユニット70を有する。制御ユニット70は、制御ユニット60にイコライジング処理部71を追加したものである。イコライジング処理部71は、増幅器21の後段において、音声信号S12を抑圧又は増幅することで最大電圧を一定のレベルに揃える。
図7に示す例では、イコライジング処理部71は、増幅器21の後段に配置されるフィルタ回路22の後段に配置される。このように、フィルタ回路22の後段にイコライジング処理部71を配置することで、ノイズのない音声信号S12に対して最大振幅レベルが一定のレベルに揃えられたイコライジング処理を行うことができる。
【0046】
また、
図7に示すように、第2の二値化処理部63等の音声信号S12の出力を用いる回路は、イコライジング処理部71の後段に配置されることが望ましい。これは、第2の二値化処理部63等が音声信号S12に対してする判断を音声信号S12の最大振幅レベルによらず統一することが出来るからである。
【0047】
上記説明より、実施の形態5にかかる作業音検出装置5では、イコライジング処理部71を設けることで、イコライジング処理部71の後段に配置される回路の処理、判断を統一することができる。また、イコライジング処理部71を設けることで、作業者に通知恵される音声信号S12が、音声信号S12の最大振幅レベルによらず統一されるため、作業者の音声確認の負担を軽減することができる。なお、イコライジング処理部71は、例えば、実施の形態1にかかる作業音検出装置1のフィルタ回路22とゲート回路26との間に設けることができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
4 作業音検出装置
5 作業音検出装置
1~5 作業音検出装置
10 手首ユニット
11 集音センサ
12 加速度センサ
20、40、50 制御ユニット
21 増幅器
22 フィルタ回路
23 ゲート期間制御部
24 加速度判定部
25 ウィンド設定処理部
26 ゲート回路
27 オーディオアンプ
28 イヤホン端子
30 イヤホン
41 嵌合音判定部
42 インジケータ表示部
51 信号処理部
52 無線通信部
53 無線通信部
54 波形表示装置
60 制御ユニット
61 移動積分部
62 第1の二値化処理部
63 第2の二値化処理部
64 ワンショットパルス生成部
65 嵌合音通知信号生成部
66 嵌合通知部
70 制御ユニット
71 イコライジング処理部
H 作業者
S1 音声信号
S2 判定結果通知信号
S3 ゲートオープン指示信号
S4 出力信号
S10 移動平均信号
S11 第1の二値化信号
S12 音声信号
S13 第2の二値化信号
S14 ワンショットパルス信号
S15 嵌合通知信号