(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】電気回路体、電力変換装置、および電気回路体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20221219BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20221219BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H01L25/04 C
(21)【出願番号】P 2019169820
(22)【出願日】2019-09-18
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】露野 円丈
(72)【発明者】
【氏名】金子 裕二朗
(72)【発明者】
【氏名】松下 晃
(72)【発明者】
【氏名】望月 誠仁
(72)【発明者】
【氏名】井出 英一
(72)【発明者】
【氏名】楠川 順平
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-258334(JP,A)
【文献】特開2017-059606(JP,A)
【文献】特開2001-320005(JP,A)
【文献】特開2016-136604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29
H01L23/34 -23/36
H01L23/373-23/427
H01L23/44
H01L23/467-23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パワー半導体素子を有し、前記第1パワー半導体素子の一方の面を第1導体板によって、他方の面を第2導体板によって挟まれた回路体と、
前記回路体の両面に配置される冷却部材と、
少なくとも前記第2導体板と接着され、少なくとも樹脂絶縁層を有するシート状部材と、
前記シート状部材と前記冷却部材との間に、前記シート状部材および前記冷却部材と接触して設けられる金属系熱伝導部材とを備え
、
前記回路体は、第2パワー半導体素子と、前記第2パワー半導体素子の一方の面と他方の面とを挟む第3導体板および第4導体板とを含み、
前記シート状部材は、少なくとも前記第2導体板と前記第4導体板とを覆うように前記第2導体板と前記第4導体板に接着され、
前記金属系熱伝導部材は、前記第1パワー半導体素子と前記第2パワー半導体素子との配置方向に沿って厚みが異なる領域を有する電気回路体。
【請求項2】
第1パワー半導体素子を有し、前記第1パワー半導体素子の一方の面を第1導体板によって、他方の面を第2導体板によって挟まれた回路体と、
前記回路体の両面に配置される冷却部材と、
少なくとも前記第2導体板と接着され、少なくとも樹脂絶縁層を有するシート状部材と、
前記シート状部材と前記冷却部材との間に、前記シート状部材および前記冷却部材と接触して設けられる金属系熱伝導部材とを備え
、
前記回路体は、第2パワー半導体素子と、前記第2パワー半導体素子の一方の面と他方の面とを挟む第3導体板および第4導体板とを含み、
前記シート状部材は、前記第2導体板と接着される第1のシート状部材と、前記第4導体板と接着される第2のシート状部材とを含み、
前記金属系熱伝導部材は、前記第1のシート状部材と接触する部分と、前記第2のシート状部材と接触する部分とが、互いに分離して設けられ、
前記金属系熱伝導部材は、前記第1パワー半導体素子と前記第2パワー半導体素子との配置方向に沿って厚みが異なる領域を有する電気回路体。
【請求項3】
請求項1
または請求項
2に記載の電気回路体において、
前記金属系熱伝導部材は、前記冷却部材より降伏点が低い電気回路体。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電気回路体において、
前記金属系熱伝導部材の外周に接着部材を有する電気回路体。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の電気回路体において、
前記シート状部材は、前記樹脂絶縁層と金属箔からなり、前記金属箔は前記金属系熱伝導部材と接触している電気回路体。
【請求項6】
第1パワー半導体素子を有し、前記第1パワー半導体素子の一方の面を第1導体板によって、他方の面を第2導体板によって挟まれた回路体と、
前記回路体の両面に配置される冷却部材と、
少なくとも前記第2導体板と接着され、少なくとも樹脂絶縁層を有するシート状部材と、
前記シート状部材と前記冷却部材との間に、前記シート状部材および前記冷却部材と接触して設けられる金属系熱伝導部材とを備え、
前記シート状部材は、前記樹脂絶縁層と金属箔からなり、前記金属箔は前記金属系熱伝導部材と接触している電気回路体。
【請求項7】
請求項
5または6に記載の電気回路体において、
前記金属箔は前記金属系熱伝導部材と金属接合している電気回路体。
【請求項8】
請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載の電気回路体と、
前記電気回路体を組み合わせて構成されたインバータ回路部と、
を備え、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置。
【請求項9】
第1パワー半導体素子の一方の面を第1導体板によって、他方の面を第2導体板によって挟み、第2パワー半導体素子の一方の面を第3導体板によって、他方の面を第4導体板によって挟み、
少なくとも前記第2導体板と前記第4導体板とを覆うように、少なくとも樹脂絶縁層を有するシート状部材を前記第2導体板と前記第4導体板に接着し、
前記第1パワー半導体素子と前記第2パワー半導体素子との配置方向に沿って、厚みが異なる領域を有する金属系熱伝導部材を前記シート状部材に接着し、
前記金属系熱伝導部材に冷却部材を密着する電気回路体の製造方法。
【請求項10】
請求項
9に記載の電気回路体の製造方法において、
前記金属系熱伝導部材の外周に接着部材を塗布する電気回路体の製造方法。
【請求項11】
請求項
9に記載の電気回路体の製造方法において、
前記シート状部材は、前記樹脂絶縁層と金属箔からなり、前記金属箔は前記金属系熱伝導部材と接触する電気回路体の製造方法。
【請求項12】
請求項
11に記載の電気回路体の製造方法において、
前記金属箔は前記金属系熱伝導部材と金属接合する電気回路体の製造方法。
【請求項13】
請求項
9に記載の電気回路体の製造方法において、
前記第2導体板側および前記第4導体板側の前記シート状部材は、トランスファーモールドにより一体成型する電気回路体の製造方法。
【請求項14】
請求項
11に記載の電気回路体の製造方法において、
前記金属系熱伝導部材を溶融して前記金属箔に接合し、前記金属系熱伝導部材の表面を平坦化処理した後、前記冷却部材を密着する電気回路体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路体、電力変換装置、および電気回路体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体素子のスイッチングを用いた電力変換装置は、変換効率が高いため、民生用、車載用、鉄道用、変電設備等に幅広く利用されている。このパワー半導体素子は通電により発熱するため、高い放熱性が求められる。例えば、車載用においては、小型、軽量化のため水冷を用いた高効率な装置が採用されている。特許文献1には、IGBTやダイオードで発生した熱が、金属接合部、セラミックス基板、伝熱シートを介して冷却器に伝達されるパワーモジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたパワーモジュールは、高価なセラミックス基板が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様による電気回路体は、第1パワー半導体素子を有し、前記第1パワー半導体素子の一方の面を第1導体板によって、他方の面を第2導体板によって挟まれた回路体と、前記回路体の両面に配置される冷却部材と、少なくとも前記第2導体板と接着され、少なくとも樹脂絶縁層を有するシート状部材と、前記シート状部材と前記冷却部材との間に、前記シート状部材および前記冷却部材と接触して設けられる金属系熱伝導部材とを備え、前記回路体は、第2パワー半導体素子と、前記第2パワー半導体素子の一方の面と他方の面とを挟む第3導体板および第4導体板とを含み、前記シート状部材は、少なくとも前記第2導体板と前記第4導体板とを覆うように前記第2導体板と前記第4導体板に接着され、前記金属系熱伝導部材は、前記第1パワー半導体素子と前記第2パワー半導体素子との配置方向に沿って厚みが異なる領域を有する。
本発明の第2の態様による電気回路体は、第1パワー半導体素子を有し、前記第1パワー半導体素子の一方の面を第1導体板によって、他方の面を第2導体板によって挟まれた回路体と、前記回路体の両面に配置される冷却部材と、少なくとも前記第2導体板と接着され、少なくとも樹脂絶縁層を有するシート状部材と、前記シート状部材と前記冷却部材との間に、前記シート状部材および前記冷却部材と接触して設けられる金属系熱伝導部材とを備え、前記回路体は、第2パワー半導体素子と、前記第2パワー半導体素子の一方の面と他方の面とを挟む第3導体板および第4導体板とを含み、前記シート状部材は、前記第2導体板と接着される第1のシート状部材と、前記第4導体板と接着される第2のシート状部材とを含み、前記金属系熱伝導部材は、前記第1のシート状部材と接触する部分と、前記第2のシート状部材と接触する部分とが、互いに分離して設けられ、前記金属系熱伝導部材は、前記第1パワー半導体素子と前記第2パワー半導体素子との配置方向に沿って厚みが異なる領域を有する。
本発明の第3の態様による電気回路体は、第1パワー半導体素子を有し、前記第1パワー半導体素子の一方の面を第1導体板によって、他方の面を第2導体板によって挟まれた回路体と、前記回路体の両面に配置される冷却部材と、少なくとも前記第2導体板と接着され、少なくとも樹脂絶縁層を有するシート状部材と、前記シート状部材と前記冷却部材との間に、前記シート状部材および前記冷却部材と接触して設けられる金属系熱伝導部材とを備え、前記シート状部材は、前記樹脂絶縁層と金属箔からなり、前記金属箔は前記金属系熱伝導部材と接触している。
本発明による電気回路体の製造方法は、第1パワー半導体素子の一方の面を第1導体板によって、他方の面を第2導体板によって挟み、第2パワー半導体素子の一方の面を第3導体板によって、他方の面を第4導体板によって挟み、少なくとも前記第2導体板と前記第4導体板とを覆うように、少なくとも樹脂絶縁層を有するシート状部材を前記第2導体板と前記第4導体板に接着し、前記第1パワー半導体素子と前記第2パワー半導体素子との配置方向に沿って、厚みが異なる領域を有する金属系熱伝導部材を前記シート状部材に接着し、前記金属系熱伝導部材に冷却部材を密着する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、セラミックス基板を用いることなく、放熱性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図2は、電気回路体のX-X線断面図である。
【
図3】
図3は、電気回路体のY-Y線断面図である。
【
図4】
図4は、X-X線におけるパワーモジュールの断面斜視図である。
【
図5】
図5(a)~
図5(e)は、電気回路体の製造方法を示す断面図である。
【
図6】
図6(f)~
図6(h)は、電気回路体の製造方法を示す断面図である。
【
図7】
図7(i)~
図7(j)は、電気回路体の製造方法の変形例1を示す断面図である。
【
図8】
図8(k)~
図8(n)は、電気回路体の製造方法の変形例2を示す断面図である。
【
図9】
図9は、パワーモジュールの半透過平面図である。
【
図10】
図10は、パワーモジュールの回路の一例を示す回路図である。
【
図11】
図11は、パワーモジュールを用いた電力変換装置の回路図である。
【
図12】
図12は、電力変換装置の一例を示す外観斜視図である。
【
図13】
図13は、電力変換装置のXV-XV線断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0009】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0010】
図1は、本実施形態による電気回路体400の平面図、
図2は、電気回路体400の
図1に示すX-X線の断面図である。
図3は、電気回路体400の
図1に示すY-Y線の断面図である。
【0011】
図1に示すように、電気回路体400は、3個のパワーモジュール300と冷却部材340からなる。パワーモジュール300は、半導体素子を用い直流電流と交流電流を変換する機能があり、通電により発熱する。このため、冷却部材340の中に冷媒を流通して冷却する構造としている。冷媒には、水や水にエチレングリコールを混入した不凍液等を用いる。なお、冷却部材340は、ピン状のフィンが冷却部材340のベース板に立設された構成であってもよい。また、冷却部材340は、後述の金属系熱伝導部材450との接触面に凹凸を設け、金属系熱伝導部材450に食い込ませるようにしてもよい。
【0012】
パワーモジュール300は、直流回路のコンデンサモジュール500(後述の
図11参照)に連結する正極側端子315Bおよび負極側端子319B、交流回路のモータジェネレータ192、194(後述の
図11参照)に連結する交流側端子320B等の大電流が流れるパワー端子を備えている。また、下アームゲート信号端子325L、ミラーエミッタ信号端子325M、ケルビンエミッタ信号端子325K、上アームゲート信号端子325U、ミラーエミッタ信号端子325M、ケルビンエミッタ信号端子325K等のパワーモジュールの制御に用いる信号端子等を備えている。
【0013】
図2に示すように、上アーム回路を形成する第1パワー半導体素子として、第1能動素子155、第1ダイオード156を備える。第1能動素子155は、例えばIGBT、MOSFETなどであり、MOSFETの場合は第1ダイオード156は不要である。第1能動素子155を構成する半導体材料としては、例えば、Si、SiC、GaN、GaO、C等を用いることができる。能動素子のボディダイオードを用いる場合は、第1ダイオード156を省略してもよい。後述の第2能動素子157を構成する半導体材料も同様である。
【0014】
第1能動素子155のコレクタ側および第1ダイオード156のカソード側は、第1導体板430に接合されている。この接合には、はんだを用いてもよいし、焼結金属を用いてもよい。また、第1導体板430は、電気伝導性と熱伝導率が高い材料であれば特に限定されないが、銅系又はアルミ系材料が望ましい。これらは、単独で用いてもよいが、はんだや、焼結金属との接合性を高めるためNiやAg等のめっきを施してもよい。
【0015】
第1能動素子155のエミッタ側および第1ダイオード156のアノード側には第2導体板431が接合されている。すなわち、第1能動素子155は、その一方の面を第1導体板430に、他方の面を第2導体板431によって挟まれて回路体310を構成する。
【0016】
図4は、
図1に示すX-X線におけるパワーモジュール300の断面斜視図であり、電気回路体400から冷却部材340および金属系熱伝導部材450を取り除いた状態を示す。
図4に示すように、第2導体板431は、絶縁距離を確保するため第1能動素子155および第1ダイオード156と接続する領域の外周に凹みを有する。この凹みは、低コスト化のためプレス加工で形成することが望ましい。プレス加工で凹みを設けると、その裏面にこれに対応した変形が生じる。このため、
図2に示すように、第2導体板431は冷却部材340と接する側に所定の反り量、例えば40μmの反りを持つ。
【0017】
図3に示すように下アーム回路を形成する第2パワー半導体素子として、第2能動素子157、第2ダイオード158(後述の
図9、
図10参照)を備える。なお、第2ダイオード158は
図3に示す第2能動素子157の奥側に配置される。第2能動素子157のコレクタ側および第2ダイオード158のカソード側は、第3導体板432に接合されている。第2能動素子157のエミッタ側および第2ダイオード158のアノード側には第4導体板433が接合されている。第4導体板433は、第2導体板431と同様に冷却部材340と接する側に反りを持つ。また、第2導体板431と第4導体板433は、独立した導体板のためパワー半導体素子との接合時に異なる傾斜を持つ。このように、第2導体板431と第4導体板433は、単体として冷却部材340と接する側に所定の反り量(例えば40μm)の反りを持つだけでなく、
図3に示すように、第1パワー半導体素子(第1能動素子155)から第2パワー半導体素子(第2能動素子157)の配列方向にみると、第2導体板431と第4導体板433では冷却部材340と接する側に段差を持ち、最大の高さばらつきは例えば120μmである。
【0018】
一般に、第2導体板431、第4導体板433を絶縁層のみを介して冷却部材340と接する場合、絶縁性が確保できる絶縁層の厚さを120μmとすると、段差や反りにより生じた120μmの高さのばらつきを吸収するには、絶縁層の厚さを240μmに厚くする必要がある。絶縁層は、金属に比べ熱伝導率が低いため、絶縁層を厚くすると熱抵抗が大きくなり放熱性が著しく低下する。
【0019】
これに対し、本実施形態では、
図2に示すように、樹脂絶縁層441と金属箔442を有するシート状部材440を用いる。シート状部材440が、第2導体板431、第4導体板433の反りや段差に追従し変形することで、樹脂絶縁層441の厚さを絶縁性が確保できる例えば120μmの一定厚さにできる。シート状部材440と、冷却部材340の間に、例えば厚さ120μmの金属系熱伝導部材450を介在させ塑性変形させることで、金属系熱伝導部材450の厚さを変化させて、第2導体板431、第4導体板433に生じた反りや段差を吸収する。これにより、導体板を絶縁層のみを介して冷却部材340と接する場合に比べ、放熱性が著しく向上した。シート状部材440の樹脂絶縁層441は、第2導体板431、第4導体板433と接着性を有するものであれば特に限定されないが、粉末状の無機充填剤を分散したエポキシ樹脂系樹脂絶縁層が望ましい。これは、接着性と放熱性のバランスが良いためである。
【0020】
回路体310は、第1能動素子155の一方の面を第1導体板430によって、他方の面を第2導体板431によって挟まれて構成されるが、さらに、この回路体310の両面をシート状部材440によって挟んでパワーモジュール300を形成する。
【0021】
シート状部材440は、樹脂絶縁層441単体でもよいが、金属系熱伝導部材450と接する側に金属箔442を設けることが望ましい。金属箔442は金属系熱伝導部材450と金属接合する。金属箔442を設けることで、シート状部材440が、第2導体板431、第4導体板433の反りや段差に追従し変形する際、硬化前の樹脂絶縁層441が割れるのを防止できる効果がある。金属箔442の種類は特に限定されないがアルミ系又は銅系が望ましい。特に銅系は金属系熱伝導部材450と合金層を形成して接触熱抵抗を低減できる効果がある。冷却部材340は、熱伝導率が高く軽量なアルミ系が望ましい。冷却部材340は、押し出し成型や、鍛造、ろう付け等で作製する。
【0022】
金属系熱伝導部材450は、200℃以下の降伏点が、冷却部材340より低い材料であれば特に限定されないが、冷却部材340よりヤング率が低い材料がより好ましい。降伏点が明確でない場合、0.2%耐力点で比較してもよい。これは、冷却部材340を介して金属系熱伝導部材450を加熱、加圧することで、金属系熱伝導部材450を塑性変形させるためである。塑性変形された金属系熱伝導部材450は、第1能動素子155と第1ダイオード156、および第2能動素子157と第2ダイオード158との配置方向(
図4の左右方向)に沿って、前述の第2導体板431や第4導体板433の反り量に応じてその厚みが異なる領域を有する。また、第1能動素子155と第2能動素子157、および第2能動素子157と第2ダイオード158との配置方向(
図2の奥行き方向)に沿って、前述の第2導体板431と第4導体板433との段差に応じてその厚みが異なる領域を有する。
【0023】
金属系熱伝導部材450としては、アルミ系合金、スズ系合金、マグネシウム系合金、インジウム系合金、銀系合金、金系合金またはこれらの純金属を用いることができる。これらの中でインジウムは、高価であるが、ヤング率、降伏点の両方が低く好ましい。一方、スズ系合金は、インジウムに比べ、ヤング率、降伏点は高いものの、アルミ系冷却部材に比べヤング率、降伏点が低く最も好ましい。
【0024】
パワーモジュール300は、回路体310の両面をシート状部材440で挟んで形成されるが、さらに、シート状部材440に金属系熱伝導部材450を接着し、金属系熱伝導部材450に冷却部材340を密着して電気回路体400が形成される。
【0025】
図2から
図4に示すように、各パワー半導体素子及び第1導体板430~第4導体板433の一部はトランスファーモールド成型により封止樹脂360で被覆し保護している。シート状部材440を含めてトランスファーモールドしても良いし、トランスファーモールド後、シート状部材440を接着してもよい。シート状部材440を含めてトランスファーモールドした方が、シート状部材440の端部が封止樹脂360で被覆されることで信頼性が向上する効果がある。
【0026】
図2、
図3に示すように、金属系熱伝導部材450の外周は、接着部材460でシールしてもよい。これにより、金属系熱伝導部材450を冷却部材340に密着した状態で保持できる。また、接着部材460でシールすることで金属系熱伝導部材450の一部が周囲に飛散するのを防止できる。封止樹脂360の外周部に段差を設けることで、接着部材460が、金属系熱伝導部材450の間に侵入するのを防止することができる。接着部材460は、接着性を有する絶縁材料であれば特に限定されないが、塗布面からの流出が少ないよう、ずり速度比1(1/s)の粘度をずり速度比10(1/s)の粘度で除し求めたチキソ性が1.5以上の材料が望ましい。なかでも、シリコーン系樹脂やエポキシ系樹脂が望ましい。とくにシリコーン系樹脂は弾性率が低いため熱応力が低く望ましい。
【0027】
図5(a)~(e)、
図6(f)~(h)は、本実施形態の電気回路体400の製造方法を示す断面図である。各図の左側に
図1に示すX-X断面を、各図の右側に
図1に示すY-Y断面の1パワーモジュール分を示す。
【0028】
図5(a)は、第1導体板430、第3導体板432へのはんだ接続工程である。第1導体板430に第1能動素子155のコレクタ側および第1ダイオード156のカソード側を接続する。また、第3導体板432に第2能動素子157のコレクタ側および第2ダイオード158のカソード側を接続する。なお、第2ダイオード158は第2能動素子157の奥側に配置される。
【0029】
図5(b)は、ワイヤボンディング工程である。第1能動素子155、第2能動素子157のゲート電極を接続する。
【0030】
図5(c)は、第2導体板431、第4導体板433のはんだ接続工程である。第1能動素子155のエミッタ側および第1ダイオード156のアノード側を第2導体板431に接続する。第2能動素子157のエミッタ側および第2ダイオード158のアノード側を第4導体板433に接続する。これにより回路体310が形成される。
【0031】
図5(d)は、シート状部材440の圧着工程である。第1導体板430および第3導体板432と、第2導体板431および第4導体板433とを両側から挟むようにシート状部材440を各導体板に接着する。なお、シート状部材440は、第2導体板431および第4導体板433を覆う1枚のシート状部材440としたが、第2導体板431と第4導体板433との各々を別々のシート状部材440で覆う構成にしてもよい。
【0032】
図5(e)は、トランスファーモールド工程である。スプリング602とクッションシート603を備えたトランスファーモールド装置601で、第2導体板431および第4導体板433を覆うシート状部材440は、トランスファーモールド工程で一体成型する。また、トランスファーモールド工程において、シート状部材440の表面に封止樹脂360が回り込まないよう加圧して、封止樹脂360を注入する。
【0033】
図6(f)は、タイバーカット工程である。トランスファーモールド装置601から取り出し、図示していないタイバーを切断し、各端子を形成する。これにより、端子が形成され、樹脂絶縁層441と金属箔442よりなるシート状部材440を備えたパワーモジュール300が形成される。
【0034】
図6(g)は金属系熱伝導部材450の設置及び接着部材460の塗布工程である。シート状部材440に金属系熱伝導部材450を設置し、加熱、加圧することで金属系熱伝導部材450と金属箔442界面に合金層を形成し、この後、接着部材460を塗布する。金属箔442界面に合金層を形成することで金属系熱伝導部材450との接触熱抵抗が低減できる。金属系熱伝導部材450はその断面形状において中央部が太く、両端が細く形成されている。金属系熱伝導部材450の両端は接着部材460と接触する。
【0035】
なお、金属系熱伝導部材450は、第2導体板431および第4導体板433を覆う1枚の部材を例に説明したが、第2導体板431と第4導体板433との各々を覆う部材で構成してもよい。その場合は前述のように、第2導体板431と第4導体板433とを別々のシート状部材440で覆う構成とすることが好ましい。すなわち、金属系熱伝導部材450は、第2導体板431と接着されるシート状部材440と接触する部分と、第4導体板433と接着されるシート状部材440と接触する部分とを、互いに分離して設けるようにしてもよい。このようにしても、金属系熱伝導部材450がそれぞれ塑性変形されることで、第2導体板431、第4導体板433に生じた反りや段差を吸収し、放熱性の向上を図ることができる。
【0036】
図6(h)は、冷却部材340の密着工程である。冷却部材340を金属系熱伝導部材450及び接着部材460に密着させる。この時、加熱加圧することで、冷却部材340と金属系熱伝導部材450の接触熱抵抗を低減し、また接着部材460を硬化させる。これにより、電気回路体400が形成される。
【0037】
図7(i)~(j)は、本実施形態の電気回路体400の製造方法の変形例1を示す断面図である。各図の左側に
図1に示すX-X断面を、各図の右側に
図1に示すY-Y断面の1パワーモジュール分を示す。
【0038】
変形例1の製造方法においても、既に述べた
図6(f)までは同様であり、その説明を省略する。
【0039】
図7(i)は、金属系熱伝導部材450の設置工程である。シート状部材440に金属系熱伝導部材450を設置する。変形例1では接着部材460を用いない。金属系熱伝導部材450は断面が直方体形状である。
【0040】
図7(j)は、冷却部材340の密着工程である。冷却部材340を金属系熱伝導部材450に密着させる。この時、加熱加圧することで、冷却部材340と金属系熱伝導部材450の接触熱抵抗を低減させる。これにより、電気回路体400が形成される。
【0041】
図8(k)~(n)は、本実施形態の電気回路体の製造方法の変形例2を示す断面図である。各図の左側に
図1に示すX-X断面を、各図の右側に
図1に示すY-Y断面の1パワーモジュール分を示す。
【0042】
変形例2の製造方法においても、既に述べた
図6(f)までは同様であり、その説明を省略する。
【0043】
図8(k)は金属系熱伝導部材450の塗布工程である。シート状部材440に溶融した金属系熱伝導部材450を塗布する。溶融した金属系熱伝導部材450を塗布することで金属箔442と合金層を形成し接触熱抵抗を低減できる。また、溶融した金属系熱伝導部材450を塗布することで、シート状で設置するより低コスト化できる。
【0044】
図8(l)は、金属系熱伝導部材450の平坦化工程である。加熱した変形治具604を用い、塗布した金属系熱伝導部材450を溶融状態で平坦化する。
【0045】
図8(m)に、平坦化された後の金属系熱伝導部材450の断面を示す。
【0046】
図8(n)は、冷却部材340の密着工程である。冷却部材340を金属系熱伝導部材450に密着させる。この時、加熱加圧することで、冷却部材340と金属系熱伝導部材450の接触熱抵抗を低減させる。これにより、電気回路体400が形成される。
【0047】
図9は、パワーモジュール300の半透過平面図である。
図1では3個のパワーモジュール300を図示したが、
図9は1個のパワーモジュール300を例に示す。
図10は、1個のパワーモジュール300の回路図である。
【0048】
図9、
図10に示すように、上アーム回路は、上アーム回路の第1能動素子155と第1ダイオード156とを有する。下アーム回路は、下アーム回路の第2能動素子157と第2ダイオード158とを有する。第1能動素子155、第2能動素子157は、例えばIGBTである。
【0049】
図9、
図10に示すように、正極側端子315Bは、上アーム回路のコレクタ側から出力しており、正極側端子315Bは、バッテリ又はコンデンサの正極側に接続される。上アームゲート信号端子325Uは、上アーム回路の第1能動素子155のゲート及びエミッタセンスから出力している。負極側端子319Bは、下アーム回路のエミッタ側から出力しており、負極側端子319Bは、バッテリ若しくはコンデンサの負極側、又はGNDに接続される。下アームゲート信号端子325Lは、下アーム回路の第2能動素子157のゲート及びエミッタセンスから出力している。交流側端子320Bは、下アーム回路のコレクタ側から出力しており、モータに接続される。中性点接地をする場合は、下アーム回路は、GNDでなくコンデンサの負極側に接続する。
【0050】
図9に示すように、ケルビンエミッタ信号端子325K、下アームゲート信号端子325L、ミラーエミッタ信号端子325M、上アームゲート信号端子325Uなどの端子が設けられている。また、上アーム回路コレクタ側には第1導体板430、上アーム回路エミッタ側には第2導体板431、下アーム回路コレクタ側には第3導体板432、下アーム回路エミッタ側には第4導体板433が設けられ、封止樹脂360で封止されている。
【0051】
本実施形態のパワーモジュールは、上アーム回路及び下アーム回路の2つのアーム回路を、1つのパワーモジュールに一体化した構造である2in1構造である。2in1構造の他にも、3つのアーム回路を1つのパワーモジュールに一体化した構造である3in1構造、4つのアーム回路を1つのパワーモジュールに一体化した構造である4in1構造、6つのアーム回路を1つのパワーモジュールに一体化した構造である6in1構造等であってもよい。これらの構造を用いた場合、パワーモジュールからの出力端子の数を低減し小型化することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上アーム回路及び下アーム回路の2つのアーム回路を、1つのパワーモジュールに一体化した構造で説明したが、本実施形態を上アーム回路もしくは下アーム回路を、1つのパワーモジュールに一体化した構造に適用してもよい。すなわち、少なくとも1つのパワー半導体素子を有し、パワー半導体素子の両面にそれぞれ配置された導体板によってパワー半導体素子が挟まれたパワーモジュールと冷却部材とを接合する際に、本実施形態で説明したシート状部材440と金属系熱伝導部材450を用いることで、冷却部材との接合面における導体板の反りや段差を吸収することができる。これにより、従来の構造と比べて、放熱性を向上した電気回路体を構成することができる。
【0053】
図11は、パワーモジュールを用いた電力変換装置200の回路図である。
図11に示すように、電力変換装置200は、インバータ回路部140、142と、補機用のインバータ回路部43と、コンデンサモジュール500とを備えている。
【0054】
インバータ回路部140及び142は、パワーモジュール300を複数個備えており、それらを接続することにより三相インバータ回路を構成している。電流容量が大きい場合には、更にパワーモジュール300を並列接続し、これら並列接続を三相インバータ回路の各相に対応して行うことにより、電流容量の増大に対応できる。また、パワーモジュール300に内蔵しているパワー半導体素子である能動素子155、157やダイオード156、158を並列接続することでも電流容量の増大に対応できる。
【0055】
インバータ回路部140とインバータ回路部142とは、基本的な回路構成は同じであり、制御方法や動作も基本的には同じである。インバータ回路部140等の回路的な動作の概要は周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0056】
上アーム回路は、スイッチング用のパワー半導体素子として上アーム用の能動素子155と上アーム用のダイオード156とを備えており、下アーム回路は、スイッチング用のパワー半導体素子として下アーム用の能動素子157と下アーム用のダイオード158とを備えている。能動素子155、157は、ドライバ回路174を構成する2つのドライバ回路の一方あるいは他方から出力された駆動信号を受けてスイッチング動作し、バッテリ136から供給された直流電力を三相交流電力に変換し、モータジェネレータ192、194を駆動する。
【0057】
上アーム用の能動素子155および下アーム用の能動素子157は、コレクタ電極、エミッタ電極、ゲート電極を備えている。上アーム用のダイオード156および下アーム用のダイオード158は、カソード電極およびアノード電極の2つの電極を備えている。
図3に示すように、ダイオード156、158のカソード電極が能動素子(IGBT)155、157のコレクタ電極に、アノード電極が能動素子155、157のエミッタ電極にそれぞれ電気的に接続されている。これにより、上アーム用の能動素子155および下アーム用の能動素子157のエミッタ電極からコレクタ電極に向かう電流の流れが順方向となっている。
【0058】
なお、能動素子としてはMOSFET(金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ)を用いても良く、この場合は、上アーム用のダイオード156、下アーム用のダイオード158は不要となる。
【0059】
各上・下アーム直列回路の正極側端子315Bと負極側端子319Bとはコンデンサモジュール500のコンデンサ接続用の直流端子362A、362Bにそれぞれ接続されている。上アーム回路と下アーム回路の接続部にはそれぞれ交流電力が発生し、各上・下アーム直列回路の上アーム回路と下アーム回路の接続部は各パワーモジュール300の交流側端子320Bに接続されている。各相の各パワーモジュール300の交流側端子320Bはそれぞれ電力変換装置200の交流出力端子に接続され、発生した交流電力はモータジェネレータ192または194の固定子巻線に供給される。
【0060】
制御回路172は、車両側の制御装置やセンサ(例えば、電流センサ180)などからの入力情報に基づいて、上アーム用の能動素子155、下アームの能動素子157のスイッチングタイミングを制御するためのタイミング信号を生成する。ドライバ回路174は、制御回路172から出力されたタイミング信号に基づいて、上アーム用の能動素子155、下アーム用の能動素子157をスイッチング動作させるための駆動信号を生成する。なお、181、182、188はコネクタである。
【0061】
上・下アーム直列回路は、不図示の温度センサを含み、上・下アーム直列回路の温度情報が制御回路172に入力される。また、制御回路172には上・下アーム直列回路の直流正極側の電圧情報が入力される。制御回路172は、それらの情報に基づいて過温度検知および過電圧検知を行い、過温度或いは過電圧が検知された場合には全ての上アーム用の能動素子155、下アーム用の能動素子157のスイッチング動作を停止させ、上・下アーム直列回路を過温度或いは過電圧から保護する。
【0062】
図12は、
図11に示す電力変換装置の一例を示す外観斜視図であり、
図13は、
図12に示す電力変換装置のXV-XV線断面図である。
【0063】
図12に示すように、電力変換装置200は、下部ケース11および上部ケース10により構成され、ほぼ直方体形状に形成された筐体12を備えている。筐体12の内部には、電気回路体400、コンデンサモジュール500等が収容されている。電気回路体400は冷却流路を有しており、筐体12の一側面からは、冷却流路に連通する冷却水流入管13および冷却水流出管14が突出している。
図12に示すように、下部ケース11は、上部側(Z方向)が開口され、上部ケース10は、下部ケース11の開口を塞いで下部ケース11に取り付けられている。上部ケース10と下部ケース11とは、アルミニウム合金等により形成され、外部に対して密封して固定される。上部ケース10と下部ケース11とを一体化して構成してもよい。筐体12を、単純な直方体形状としたことで、車両等への取り付けが容易となり、また、製造も容易になる。
【0064】
図12に示すように、筐体12の長手方向の一側面に、コネクタ17が取り付けられており、このコネクタ17には、交流ターミナル18が接続されている。また、冷却水流入管13および冷却水流出管14が導出された面には、コネクタ21が設けられている。
【0065】
図13に示すように、筐体12内には、電気回路体400が収容されている。電気回路体400の上方には、制御回路172およびドライバ回路174が配置され、電気回路体400の直流端子側には、コンデンサモジュール500が収容されている。コンデンサモジュールを電気回路体400と同一高さに配置することで、電力変換装置200を薄型化でき、車両への設置自由度が向上する。電気回路体400の交流側端子320Bは、電流センサ180を貫通してコネクタ188に接続されている。
【0066】
本実施形態によれば、第2導体板431、第4導体板433に反りや傾斜があっても、熱伝導率の低い樹脂絶縁層441を含むシート状部材440は、一定厚さで第2導体板431、第4導体板433の反りや傾斜に追従し、かつ接着し、一方、熱伝導率の高い金属系熱伝導部材450は、その厚さが変化することで冷却部材340と密着し、放熱性が向上する。
【0067】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)電気回路体400は、第1パワー半導体素子(第1能動素子155)を有し、第1パワー半導体素子(第1能動素子155)の一方の面を第1導体板430によって、他方の面を第2導体板431によって挟まれた回路体310と、回路体310の両面に配置される冷却部材340と、少なくとも第2導体板431と接着され、少なくとも樹脂絶縁層441を有するシート状部材440と、シート状部材440と冷却部材340との間に、シート状部材440および冷却部材340と接触して設けられる金属系熱伝導部材450とを備えた。これにより、セラミックス基板を用いることなく、放熱性を向上できる。
【0068】
(2)電気回路体400の製造方法は、第1パワー半導体素子(第1能動素子155)の一方の面を第1導体板430によって、他方の面を第2導体板431によって挟み、第2パワー半導体素子(第2能動素子157)の一方の面を第3導体板432によって、他方の面を第4導体板433によって挟み、少なくとも第2導体板431と第4導体板433とを覆うように、少なくとも樹脂絶縁層441を有するシート状部材440を第2導体板431と第4導体板433に接着し、第1パワー半導体素子(第1能動素子155)と第2パワー半導体素子(第2能動素子157)との配置方向に沿って、厚みが異なる領域を有する金属系熱伝導部材450をシート状部材440に接着し、金属系熱伝導部材450に冷却部材340を密着する。これにより、セラミックス基板を用いることなく、放熱性を向上できる。
【0069】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限り、本発明の技術思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。また、上述の実施形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 上部ケース
11 下部ケース
13 冷却水流入管
14 冷却水流出管
17、21、181、182、188 コネクタ
18 交流ターミナル
43、140、142 インバータ回路部
155 第1能動素子
156 第1ダイオード
157 第2能動素子
158 第2ダイオード
172 制御回路
174 ドライバ回路
180 電流センサ
192、194 モータジェネレータ
200 電力変換装置
300 パワーモジュール
310 回路体
315B 正極側端子
319B 負極側端子
320B 交流側端子
325 信号端子
325K ケルビンエミッタ信号端子
325L 下アームゲート信号端子
325M ミラーエミッタ信号端子
325U 上アームゲート信号端子
340 冷却部材
360 封止樹脂
400 電気回路体
430 第1導体板(上アーム回路コレクタ側)
431 第2導体板(上アーム回路エミッタ側)
432 第3導体板(下アーム回路コレクタ側)
433 第4導体板(下アーム回路エミッタ側)
440 シート状部材
441 樹脂絶縁層
442 金属箔
450 金属系熱伝導部材
460 接着部材
500 コンデンサモジュール
601 トランスファーモールド装置
602 スプリング
603 クッションシート
604 変形治具