(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】光コネクタ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/36 20060101AFI20221219BHJP
G02B 6/40 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G02B6/36
G02B6/40
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019193818
(22)【出願日】2019-10-24
【審査請求日】2022-04-21
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000231936
【氏名又は名称】日本通信電材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519381838
【氏名又は名称】チェン スティーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】大塚 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 元佳
(72)【発明者】
【氏名】大村 真樹
(72)【発明者】
【氏名】チェン スティーブ
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-333454(JP,A)
【文献】特開2004-318005(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038120(WO,A1)
【文献】特開2009-211034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24, 6/255, 6/36-6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端と後端との間を伸びる中心軸を有する光コネクタであって、
前記光コネクタの前記後端に位置し、光ファイバケーブルが挿通されるリアハウジングと、
フェルールを収納するように構成された少なくとも1つの保持孔をその先端に有し、その後方部分が前記リアハウジングに収納されるインナーハウジングであって、当該インナーハウジングは、前記中心軸に沿って前記リアハウジングが当該インナーハウジングに対して直線移動可能なように構成され且つ前記中心軸を中心として前記リアハウジングが当該インナーハウジングに対して回転可能なように構成される、インナーハウジングと、
前記リアハウジングと共に、前記中心軸に沿って前記インナーハウジングに対して直線移動するように構成されるアームと、
前記インナーハウジングの前方部分を覆うように前記インナーハウジングの外周に配置されるアウターハウジングであって、前記アームとの間で協働するように構成された回転ガイド機構により前記中心軸を中心として前記インナーハウジングに対して回転するように構成される、アウターハウジングと、
を備え、
前記アウターハウジングは、前記インナーハウジングの先端を覆う前方壁を有し、前記前方壁には少なくとも1つの開口領域が設けられ、前記開口領域は、前記アウターハウジングが前記インナーハウジングに対して前記回転ガイド機構により初期位置から接続位置に回転された際に前記保持孔又は前記フェルールのファイバ露出面に揃うように構成されている、光コネクタ。
【請求項2】
前記回転ガイド機構は、
前記アウターハウジングの内周面又は前記アームの一対の側壁の外周面の一方に設けられ、前記中心軸に対して傾斜する傾斜部をそれぞれが有する、一対のガイド溝と、
前記アウターハウジングの内周面又は前記アームの前記一対の側壁の外周面の他方に設けられ、前記一対のガイド溝それぞれに向かって突出する、一対のガイド突起と、
を備え、
前記ガイド突起のそれぞれが、対応する前記ガイド溝内を移動することにより、前記アウターハウジングが前記インナーハウジングに対して前記初期位置と前記接続位置との間で回転する、
請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記一対のガイド溝は、前記各傾斜部の前記中心軸に対する傾斜方向が互いに交差するように構成されている、
請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記一対のガイド溝は前記アウターハウジングの内周面に設けられ、前記一対のガイド突起は前記アームの前記一対の側壁の各外周面にそれぞれ設けられる、
請求項2又は請求項3に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記アームは、それぞれが断面視円弧状を有する前記一対の側壁を有し、当該側壁のそれぞれの後方には外に向かって突出する凸部が設けられており、
前記リアハウジングの内周面には周方向に延びる円周溝が設けられており、
前記アームの前記凸部が前記円周溝に収納され、前記アームが前記リアハウジングに対して回転可能である、
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項6】
前記アウターハウジングの内周には一対の係合突起が設けられており、前記インナーハウジングの外周には一対の係合段差が設けられており、
前記一対の係合突起が前記一対の係合段差に係合することにより、回転した前記アウターハウジングが前記インナーハウジングに対して係止される、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項7】
前記インナーハウジングは、段差と、前記段差の周方向の横及び当該横から前記中心軸に沿って前記後端に向かって延びる領域に設けられる凹面又は空隙と、を備え、
前記リアハウジングは、ラッチとスライド突起とを備え、
前記リアハウジングが前記中心軸に沿って前記前端に向かって直線移動した際に、前記リアハウジングの前記ラッチが前記インナーハウジングの前記段差を乗り越えて、前記リアハウジングを前記インナーハウジングに対してロックさせる、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項8】
前記リアハウジング又は前記アウターハウジングの一方は、少なくとも1つのロック凸部を有し、前記リアハウジング又は前記アウターハウジングの他方は、前記ロック凸部を受け入れるロック用開口を少なくとも1つ有しており、前記リアハウジングが前記中心軸に沿って前記前端に向かって移動した際に前記ロック凸部が前記ロック用開口に係合し、前記アウターハウジングを前記リアハウジングに対してロックさせる、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項9】
前記アウターハウジングが前記リアハウジングに対してロックされた後に前記リアハウジングが周方向に回転した場合に、前記ロック凸部が前記ロック用開口との係合から外れて前記アウターハウジングの前記リアハウジングによる当該ロックが解除される、
請求項8に記載の光コネクタ。
【請求項10】
前記ロック凸部が前記リアハウジングの外周面に設けられており、前記ロック用開口が前記アウターハウジングに設けられている、
請求項8又は請求項9に記載の光コネクタ。
【請求項11】
前記インナーハウジングを覆うアダプターロック補強部材を更に備え、
前記インナーハウジングは、アダプターに設けられるラッチと係合するように構成される凹部を備え、前記アダプターロック補強部材は、前記インナーハウジングの前記凹部を覆う補強板を備える、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項12】
前記アウターハウジングは、前記前方壁の少なくとも内側に配置されたクリーナを備えており、当該クリーナは、光ファイバの先端を清掃する、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項13】
前記光ファイバケーブルに収納される少なくとも1つの光ファイバの先端部分を収納するフェルールを更に備え、前記フェルールは、そのファイバ露出面が前記前端を向くように前記インナーハウジングの前記保持孔に収納される、
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項14】
前記光ファイバケーブルに収納される少なくとも1つの光ファイバの先端部分を収納するフェルールを更に備え、前記フェルールは、その前端の中央に凹部が設けられる、
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の光コネクタを他の光コネクタに接続する方法であって、
(a) 前記リアハウジングを前記中心軸に沿って前記インナーハウジングに対して直線移動する工程と、
(b) 前記工程(a)に伴って、前記前端に向かって前記アームを前記中心軸に沿って直線移動する工程と、
(c) 前記工程(b)に伴って、その一部が前記アームに設けられている前記回転ガイド機構により、前記アームの直線移動を前記アウターハウジングの回転移動に変換して前記アウターハウジングを前記初期位置から前記接続位置へ回転する工程と、
を備え、
前記工程(c)において、前記アウターハウジングの前記前方壁に設けられた前記開口領域に前記保持孔に収納されたフェルールが位置すると共に当該フェルールの先端部分が前記前方壁から押し出される、接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して光コネクタに関する。
【発明の概要】
【0002】
[0002]本開示は、前端から後端に伸びる中心軸を有する光コネクタを提供する。この光コネクタは、リアハウジングと、インナーハウジングと、アームと、アウターハウジングと、を備える。リアハウジングは、光コネクタの後端に位置し、光ファイバケーブルをその中に挿通する。インナーハウジングは、フェルールを収納するように構成された少なくとも1つの保持孔をその先端に有し、その後方部分がリアハウジングに収納される。インナーハウジングは、中心軸に沿ってリアハウジングが当該インナーハウジングに対して直線移動可能なように構成され、且つ、中心軸を中心としてリアハウジングが当該インナーハウジングに対して回転可能なように構成される。アームは、リアハウジングと共に、中心軸に沿ってインナーハウジングに対して直線移動するように構成される。アウターハウジングは、インナーハウジングの前方部分を覆うようにその外周に配置される。アウターハウジングは、アームとの間で協働するように構成された回転ガイド機構により中心軸を中心としてインナーハウジングに対して回転するように構成される。アウターハウジングは、インナーハウジングの先端を覆う前方壁を有し、前方壁には少なくとも1つの開口領域が設けられる。開口領域は、アウターハウジングがインナーハウジングに対して回転ガイド機構により初期位置から接続位置に回転された際に保持孔又はフェルールのファイバ露出面に揃うように構成される。
【0003】
[0003]前述した及び他の課題、観点、及び、効果については、図面を参照して本開示に係る実施形態の以下の詳細な説明からよりよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る光コネクタの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す光コネクタのリアハウジングの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す光コネクタのインナーハウジングの斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す光コネクタのアームの斜視図である。
【
図6B】
図6Bは、アウターハウジングを前方から視た前面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す光コネクタにおけるリアハウジングとアームとアウターハウジングとの連結関係を説明するための斜視図である。
【
図8】
図8の(a)は、リアハウジングをアウターハウジングに対して直線移動させる際の動作を説明するための図であり、
図8の(b)は、
図8の(a)に示す状態からリアハウジングを更にアウターハウジングに対して直線移動させた際の動作を説明するための図である。
【
図9】
図9の(a)~(d)は、
図1に示す光コネクタにおいてリアハウジングをインナーハウジングに対して直線移動させてロックする際の動作及びそのロックを解除する際の動作を順に示す斜視図である。
【
図10】
図10の(a)~(e)は、初期位置にある光コネクタのアウターハウジングがインナーハウジングに対して回転してフェルールをアウターハウジングの開口領域から突出させる動作及び初期位置に戻る動作を順に示す模式図である。
【
図11】
図11は、
図1に示す光コネクタにおいて、フェルール(保持孔)がアウターハウジングの開口領域に位置している状態を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る光コネクタの斜視図である。
【
図15】
図15の(a)は、
図12に示す光コネクタにおいて、フェルールの端面がアウターハウジングによって覆われている状態を示す斜視図であり、
図15の(b)は、フェルールがアウターハウジングの開口領域に揃ってそこから突出し、他のコネクタと接続できる状態を示す斜視図である。
【
図17】
図17の(a)は、
図12に示す光コネクタに用いられる連結用アダプターを一方から視た斜視図であり、
図17の(b)は、他方から視た斜視図である。
【
図18】
図18は、第3実施形態に係る光コネクタを示す斜視図である。
【
図24】
図24は、インナーハウジングにアダプターロック補強部材を装着した状態を示す斜視図である。
【
図25】
図25の(a)は、
図18に示す光コネクタに用いられる連結用アダプターを一方から視た斜視図であり、
図25の(b)は、その他方から視た斜視図である。
【
図26】
図26は、連結用アダプターに光コネクタを取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図27】
図27は、第4実施形態に係る光コネクタを示す斜視図である。
【
図29】
図29の(a)は、
図27に示す光コネクタに用いられる連結用アダプターを一方から視た斜視図であり、
図29の(b)は、その他方から視た斜視図である。
【
図30】
図30は、連結用アダプターに光コネクタを取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図31】
図31は、第5実施形態に係る光コネクタを示す斜視図である。
【
図39】
図39は、インナーハウジングと当該インナーハウジングに装着されたアダプターロック補強部材との斜視図である。
【
図40】
図40の(a)は、
図31に示す光コネクタに用いられる連結用アダプターを一方から視た斜視図であり、
図40の(b)は、その連結用アダプターを他方から視た斜視図である。
【
図41】
図41の(a)~(c)は、初期位置から接続位置まで動く光コネクタであって、その後、接続位置から初期位置まで動く光コネクタの斜視図である。
【
図42】
図42の(a)は、初期位置の状態にある光コネクタの側面図であり、
図42の(b)は、接続位置の状態にある光コネクタの側面図である。
【
図43】
図43の(a)は、光コネクタが連結用アダプターに挿入された直後の状態を示す斜視図であり、
図43の(b)は、この光コネクタが連結用アダプターにロックされた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[本開示の実施形態の説明]
[0048]最初に本開示に係る実施形態を列記して説明する。本開示の一態様に係る光コネクタは、前端から後端に伸びる中心軸を有する。この光コネクタは、リアハウジングと、インナーハウジングと、アームと、アウターハウジングと、を備える。リアハウジングは、光コネクタの後端に位置し、光ファイバケーブルをその中に挿通する。インナーハウジングは、フェルールを収納するように構成された少なくとも1つの保持孔をその先端に有し、その後方部分がリアハウジングに収納される。インナーハウジングは、中心軸に沿ってリアハウジングが当該インナーハウジングに対して直線移動可能なように構成され、且つ、中心軸を中心としてリアハウジングが当該インナーハウジングに対して回転可能なように構成される。アームは、リアハウジングと共に、中心軸に沿ってインナーハウジングに対して直線移動するように構成される。アウターハウジングは、インナーハウジングの前方部分を覆うようにその外周に配置される。アウターハウジングは、アームとの間で協働する回転ガイド機構により中心軸を中心としてインナーハウジングに対して回転するように構成される。アウターハウジングは、インナーハウジングの先端を覆う前方壁を有し、前方壁には少なくとも1つの開口領域が設けられる。開口領域は、アウターハウジングがインナーハウジングに対して回転ガイド機構により初期位置から接続位置に回転された際に保持孔又はフェルールのファイバ露出面に揃うように構成される。
【0006】
[0049]この光コネクタでは、回転ガイド機構によりアウターハウジングがインナーハウジングに対して初期位置から接続位置(回転位置)へと回転した際に、アウターハウジングの前方壁の開口領域がフェルール収納用の保持孔又はフェルールのファイバ露出面に揃う位置に移動する。よって、この光コネクタを例えば他のコネクタ等に差し込むために初期位置から接続位置に回転した際、フェルールの先端、即ちフェルールによって保持される光ファイバの先端を外部に露出させることになるため(それまでは保護しているため)、光ファイバの端面へのゴミの付着等を抑制することができる。また、回転ガイド機構を用いてアウターハウジングの回転を行っているため、操作が容易である。
【0007】
[0050]一実施形態では、回転ガイド機構は、1つのガイド溝と1つのガイド突起とを備えてもよい。ガイド溝は、アウターハウジングの内周面又はアームの側壁の外周面の一方に設けられてもよい。ガイド溝は、中心軸に対して傾斜する傾斜部を有してもよい。ガイド突起は、アウターハウジングの内周面又は前記アームの側壁の外周面の他方に設けられてもよい。ガイド突起は、ガイド溝に向かって突出してもよい。ガイド突起がガイド溝内を移動することにより、アウターハウジングがインナーハウジングに対して初期位置と接続位置との間で回転する。この実施形態によれば、簡易な構造の回転ガイド機構が提供される。
【0008】
[0051]一実施形態では、回転ガイド機構は、一対のガイド溝と一対のガイド突起とを備えてもよい。一対のガイド溝は、アウターハウジングの内周面又はアームの側壁の外周面の一方に設けられてもよい。一対のガイド溝は、中心軸に対して傾斜する傾斜部をそれぞれが有してもよい。一対のガイド突起は、アウターハウジングの内周面又はアームの側壁の外周面の他方に設けられてもよい。一対のガイド突起は、一対のガイド溝それぞれに向かって突出してもよい。ガイド突起のそれぞれが、対応するガイド溝内を移動することにより、アウターハウジングがインナーハウジングに対して初期位置と接続位置との間で回転する。この実施形態によれば、簡易な構造の回転ガイド機構が提供される。
【0009】
[0052]上記一対のガイド溝は、各傾斜部の中心軸に対する傾斜方向が互いに交差するように構成されてもよい。上記一対のガイド溝それぞれは、傾斜部の両端それぞれから中心軸に沿って延在する第1ストレート部と第2ストレート部とを有していてもよい。上記一対のガイド溝はアウターハウジングの内周面に設けられ、一対のガイド突起はアームの各側壁の外周面に設けられていてもよい。また、アウターハウジングの内周には一対の係合突起が設けられてもよく、インナーハウジングの外周には一対の係合段差が設けられてもよい。一対の係合突起が前記一対の係合段差に係合することにより、アウターハウジングがインナーハウジングに対して係止されてもよい。
【0010】
[0053]一実施形態では、光コネクタは、アウターハウジングを前端に向かって押圧し且つアーム又はリアハウジングを後端に向かって押圧する弾性部材を更に備えていてもよい。この実施形態によれば、アウターハウジング及びリアハウジングのインナーハウジングに対する係合が解除された際に、弾性部材がアウターハウジング及びアーム(又はリアハウジング)を初期位置に容易に復帰させることができる。また、光コネクタは、アウターハウジングをインナーハウジングに対して前端に向かって押圧する第1の弾性部材と、アーム又はリアハウジングをインナーハウジングに対して後端に向かって押圧する第2の弾性部材とを更に備えてもよい。この場合もアウターハウジング等を初期位置に容易に復帰させることができる。
【0011】
[0054]一実施形態では、インナーハウジングは略円筒形状を有し、その一部に中心軸に沿って延びる一対の切欠きが設けられてもよく、アームは、それぞれが断面視円弧状を呈する少なくとも一対の側壁を有してもよい。アームの一対の側壁それぞれは、一対の切欠きそれぞれに収納されてもよく、切欠き内においてインナーハウジングに対してスライド移動可能であってもよい。この実施形態によれば、インナーハウジングとアームとを効率的に配置することができるので、光コネクタを小型化できる。この実施形態において、インナーハウジングの外周面とアームの一対の側壁の外周面とが一致してもよい。
【0012】
[0055]一実施形態では、アームは、それぞれが断面視円弧状を有する少なくとも一対の側壁を有してもよく、当該側壁のそれぞれの後方には外に向かって突出する凸部が設けられていてもよい。リアハウジングの内周面には周方向に延びる円周溝が設けられており、アームの凸部が円周溝に収納され、アームがリアハウジングに対して回転可能であってもよい。
【0013】
[0056]一実施形態では、インナーハウジングは、その周面に、段差と、当該段差の周方向の横及び当該横から中心軸方向に沿って後端に向かって延びる領域に設けられる凹面又は空隙と、を備えてもよい。リアハウジングは、ラッチとスライド突起とを備えてもよい。リアハウジングが中心軸に沿って前端に向かって直線移動した際に、リアハウジングのラッチがインナーハウジングの段差を乗り越えて、リアハウジングをインナーハウジングにロックしてもよい。
【0014】
[0057]上述した実施形態において、リアハウジングをインナーハウジングに対してロックした後にリアハウジングを周方向に回転させた際、リアハウジングのラッチが段差との係合から外れてリアハウジングのスライド突起がインナーハウジングの凹面又は空隙を後端に向かって移動してリアハウジングのロックが解除されてもよい。インナーハウジングの凹面又は空隙は、リアハウジングのスライド突起をガイドしてロックを解除する位置まで誘導するように構成された傾斜面を有していてもよい。段差とラッチとは、ラッチが段差を乗り越えて係合された際に、クリック音を生成するように構成されていてもよい。
【0015】
[0058]一実施形態において、光コネクタは、インナーハウジングを覆うアダプターロック補強部材を更に備えてもよい。インナーハウジングは、アダプターに設けられるラッチと係合するように構成される凹部を備えてもよい。アダプターロック補強部材は、インナーハウジングの凹部を覆う補強板と、インナーハウジングの凹面又は空隙に隣接して設けられる解除用突起とを備えてもよい。この光コネクタは、リアハウジングをインナーハウジングに対してロックするとともにアダプターのラッチがインナーハウジングの凹部と係合した後にリアハウジングを周方向に回転させた際、リアハウジングのラッチがインナーハウジングの段差との係合から外れてリアハウジングのスライド突起がアダプターロック補強部材の解除用突起に向かって移動し、スライド突起が解除用突起を周方向に押すことでアダプターロック補強部材全体が中心軸に沿って後端に向かって移動し、インナーハウジングの凹部から補強板が外れるように構成されていてもよい。
【0016】
[0059]上記の実施形態において、リアハウジングは、当該リアハウジングの内周面に設けられて周方向に延びるスロープと、スロープの終端に設けられる段差とを備えてもよい。インナーハウジングは、スロープ及び段差に対向する突起を備えてもよい。この光コネクタは、リアハウジングをインナーハウジングに対してロックするとともにアダプターのラッチがインナーハウジングの凹部と係合した後にリアハウジングを周方向に回転させた際、インナーハウジングの突起がスロープを段差に向かって登り、凹部から補強板が外れた時に突起が段差から落ちてクリック音を生成するように構成されていてもよい。
【0017】
[0060]一実施形態では、アウターハウジングは、前方壁の内側にクリーナを備えてもよい。このクリーナは、光ファイバの先端を清掃する。クリーナは、中心軸に対して直交する面に平行となるように前方壁に貼り付けられていてもよいし、クリーナは、中心軸に対して直交する面に対して傾斜するように前方壁に貼り付けられていてもよい。この実施形態によれば、光コネクタを他のコネクタ等に差し込む際に初期位置から接続位置に回転すると、クリーナによりフェルールの先端をより清潔にすることできる。
【0018】
[0061]一実施形態では、光コネクタは、光ファイバケーブルに収納される少なくとも1つの光ファイバの先端部分を収納するフェルールを更に備えてもよい。この実施形態によれば、フェルールによって光ファイバを精度良く配置することができる。なお、光コネクタは、複数の光ファイバがその中に収納され、リアハウジングに挿通される光ファイバケーブルを更に備えてもよい。
【0019】
[0062]一実施形態では、光コネクタは、光ファイバケーブルに収納される少なくとも1つの光ファイバの先端部分を収納するフェルールを更に備えてもよく、当該フェルールは、その前端の中央に凹部が設けられていてもよい。例えば上記構成の光コネクタを小型化した場合、従来のフェルールのままだとアウターハウジングの回転が阻害される可能性があるが、本実施形態のように当該回転を阻害するフェルール構成のうち中央部分を取り除く構成を採用することにより、光コネクタの小型化を容易に実現できる。
【0020】
[0063]一実施形態では、リアハウジング又はアウターハウジングの一方は、少なくとも1つのロック凸部を有し、リアハウジング又はアウターハウジングの他方は、ロック凸部を受け入れるロック用開口を少なくとも1つ有していてもよい。リアハウジングが中心軸に沿って前端に向かって移動した際にロック凸部がロック用開口に係合し、アウターハウジングをリアハウジングに対してロックしてもよい。この実施形態によれば、光コネクタの使用者はアウターハウジングがリアハウジングに強固にロックされている、つまり、光コネクタが初期位置から接続位置まで確かに遷移したことを実感することができる。この実施形態において、アウターハウジングをリアハウジングに対してロックした後にリアハウジングを周方向に回転させた際、ロック凸部がロック用開口との係合から外れ、アウターハウジングのリアハウジングによる当該ロックが解除されてもよい。また、ロック凸部がリアハウジングの外周面に設けられてもよく、ロック用凹部がアウターハウジングに設けられていてもよい。
【0021】
[0064]上記の実施形態において、アウターハウジングは、ロック凸部が初期位置に向かうようにガイドするように構成された傾斜面を備えていてもよい。この傾斜面は、ロック用開口に近接した位置にあり、中心軸に対して傾斜していてもよい。この実施形態によれば、光コネクタを接続位置から初期位置にスムーズに移動させることができる。
【0022】
[0065]一実施形態では、ロック凸部は、中心軸に沿って伸びる第1の傾斜面を有してもよい。この実施形態によれば、ロック凸部のロック用開口へのロックのための移動を容易なものとすることができる。また、ロック凸部は、リアハウジングの周方向に沿って延在する第2の傾斜面を有していてもよい。この実施形態によれば、ロック凸部のロック用開口からのロック解除動作を容易なものとすることができる。
【0023】
[0066]一実施形態では、リアハウジングは一対のロック凸部を備えていてもよく、アウターハウジングは一対のロック用開口を備えていてもよい。リアハウジングが中心軸に沿って前端に向かって移動した際に一対のロック凸部はそれぞれ一対のロック用開口に係合し、アウターハウジングをリアハウジングに対してロックしてもよい。この実施形態によれば、ロック凸部をロック用凹部にロックさせる動作のバランスを取りやすくなる。
【0024】
[0067]一実施形態では アウターハウジングは、前方壁の内側に配置されたクリーナを備えてもよく、当該クリーナは、光ファイバの先端を清掃する。また、このクリーナ―は開口領域を通って前方壁に巻き付けられていてもよい。この実施形態によれば、前方壁にクリーナを接着するための接着剤の使用をやめて、光ファイバの先端がその接着剤によって汚されるといったことを避けることができる。また、前方壁はフェルールの前端面と平行でない鋭角部分を含んでいてもよく、クリーナがこの鋭角部分の表面に配置されていてもよい。この実施形態によれば、クリーナによる光ファイバ先端の清掃機能を高めることができる。
【0025】
[0068]また、本開示は、上記何れかの実施形態に係る光コネクタを他の光コネクタに接続する方法を提供する。この接続方法は、(a) リアハウジングを中心軸に沿ってインナーハウジングに対して直線移動する工程と、(b) 工程(a)に伴って、前端に向かってアームを中心軸に沿って直線移動する工程と、(c) 工程(b)に伴って、その一部がアームに設けられている回転ガイド機構により、アームの直線移動をアウターハウジングの回転移動に変換してアウターハウジングを初期位置から接続位置へ回転する工程と、を備える。工程(c)において、アウターハウジングの前方壁に設けられた開口領域に保持孔に収納されるフェルールが位置すると共にフェルールの先端部分が前方壁から押し出される。
【0026】
[0069]本発明の実施形態に係る光コネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0027】
[第1実施形態]
[0070]
図1は、第1実施形態に係る光コネクタを示す斜視図である。
図2は、
図1に示す光コネクタの分解斜視図である。光コネクタ1は、
図1に示されるように、前端1aから後端1bに伸びる中心軸Gに沿って伸びる略円柱形状の接続部材である。光ファイバケーブルCは、光コネクタ1の後端1bから光コネクタ1の内部に挿通されて使用される。光ファイバケーブルCは、多数(一例では96芯)の光ファイバを内部に収納する。光コネクタ1は、その前端1aに配置される複数(一例では4個)のフェルール2a~2dを含んでいる。フェルール2a~2dは、例えばMTフェルールである。フェルール2a~2dそれぞれは、光ファイバケーブルCの複数(一例では12芯又は24芯)の光ファイバFの先端部分を収納し、光ファイバFの先端を前端面3a~3dに露出させる。光コネクタ1の外形は、略円筒形状に限定されずに、略角柱形状であってもよい。光コネクタ1に用いられる光ファイバF及びフェルール2a~2dの数や種類は特に限定されない。なお、以後の説明において、フェルール2a~2dが配置される側を「前(端)」又は「前方」と称することがあり、光ファイバケーブルCが挿入される側を「後(端)」又は「後方」と称することがある。
【0028】
[0071]光コネクタ1は、
図1及び
図2に示すように、リアハウジング10と、インナーハウジング20と、アーム30と、アウターハウジング40と、弾性部材50と、を備えている。光コネクタ1では、リアハウジング10とアウターハウジング40との内側にインナーハウジング20とアーム30と弾性部材50とが収納される。
【0029】
[0072]リアハウジング10は、
図1~
図3に示すように、光コネクタ1の後端1bに位置し、光ファイバケーブルCをその中に挿通する部材である。
図3は、リアハウジング10の斜視図である。リアハウジング10は、光ファイバケーブルC又はその光ファイバFが挿入される内孔を有するブーツ部分11と、ブーツ部分11に連通して形成されブーツ部分11より大きい外径を有する収納部分12と、を有している。収納部分12は、その外形が略円筒形状であり、内周面のうちブーツ部分11に隣接する領域に周方向に伸びる円周溝13が設けられている。円周溝13にはアーム30の一対の側壁31,32に設けられる凸部31a,32a(
図2及び
図5参照)が収納され、これにより、アーム30がリアハウジング10に対して中心軸Gを中心として回転可能とされる。光ファイバケーブルCは、リアハウジング10に対して固定されていなくてもよい。
【0030】
[0073]リアハウジング10は、中心軸Gに沿って延在する一対の突出片14,15を収納部分12に有しており、一対の突出片14,15は、中心軸Gに対して点対象、または中心軸Gを軸として回転対称となる位置に設けられている。突出片14,15は、中心軸Gに沿った方向において、リアハウジング10をインナーハウジング20に対してロックするための部分である。突出片14,15の内周面には、それぞれ内側に向かって突出するラッチ14a,15a及びスライド突起14b,15bが設けられている。ラッチ14a,15aは、リアハウジング10が中心軸Gに沿ってインナーハウジング20に対して前方に直線移動した際に、インナーハウジング20の段差24(
図2及び
図4参照)を乗り越えて段差24に係合する。この際、リアハウジング10とインナーハウジング20との係合を知覚できるように、ラッチ14a,15aと段差24とは、ラッチ14a,15aが段差24を乗り越えて係合された際にクリック音を生成するように構成されていてもよい。スライド突起14b,15bは円筒形状を有している。リアハウジング10は、例えばポリカーボネート(PC)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はポリエーテルサルフォン(PES)等の樹脂材料から形成することができ、所定のじん性及び低摩擦の摺動特性を有している。インナーハウジング20、アーム30及びアウターハウジング40も同様の材料から構成することができる。
【0031】
[0074]インナーハウジング20は、
図2及び
図4に示すように、前方部分21と後方部分22とを有する。
図4は、インナーハウジング20の斜視図である。
図4に示すように、前方部分21は、例えばフェルール2a~2dを収納するための4つの保持孔23a~23dを有している。各保持孔23a~23dは、前方に向かって矩形形状で開口しており、フェルール2a~2dが収納された場合に、フェルール2a~2dの前端面3a~3dが前方を向くように構成されている。各保持孔23a~23dの開口は、後方まで貫通している孔であり、フェルール2a~2dに保持される光ファイバが、リアハウジング10を越えて光ファイバケーブルCの中まで延びることができるようになっている。また、各保持孔23a~23dのうち後方部分22に対応する箇所それぞれには、フェルール2a~2dを前方に付勢するバネ部材が収納されており、フェルール2a~2dを前方に付勢する。各保持孔23a~23dは、隣接する保持孔間の角度αが例えば90度となるように設けられている。インナーハウジング20は、フェルールを収納するための4つの保持孔を有する構成に限定されず、フェルールを収納する1つ以上の保持孔を有する構成であればよい。また、インナーハウジング20の前方部分21と後方部分22との間には、アウターハウジング40の内周に設けられる一対の係合突起に係合する一対の係合段差21aが設けられている。
【0032】
[0075]インナーハウジング20の後方部分22は、一部が切り欠かれた略円筒形状の外形を有し、一対の段差24と、一対の凹面25と、一対の傾斜面26と、を有する。
図4には、一方の段差24と凹面25と傾斜面26とを開示しているが、中心軸Gに対して点対称、または中心軸Gを軸として回転対称に設けられる他方の段差24と凹面25と傾斜面26も同様の構成である。段差24は、周方向に延びる突状部分であり、リアハウジング10のラッチ14a,15aと係合する。凹面25は、段差24よりも内側に凹んだ外周面であり、段差24の周方向の横及び横から中心軸Gに沿って後端に向かって延びる略台形形状の領域から形成されている。凹面25の一部には、傾斜面26が設けられている。傾斜面26は、前方から後方に向かって凹面25の周方向の幅が狭くなるように傾斜している。ラッチ14a,15aが段差24に係合した後にリアハウジング10をインナーハウジング20に対して回転すると、ラッチ14a,15aが段差24から外れ、リアハウジング10のスライド突起14b,15bが傾斜面26をスライドして後方に移動し、リアハウジング10が初期位置に戻る。
【0033】
[0076]インナーハウジング20の前方部分21と後方部分22とには、一対の段差24等が設けられている領域の周方向における間を前端から後端に向けて延びる一対の切欠き27が設けられている。切欠き27は、前方部分21では、2つの保持孔23b,23cの間及び保持孔23a,23dの間に設けられている。切欠き27は、断面視した際の形状が例えば角度90度の扇形であり、アーム30の一対の側壁31,32それぞれをその中に収納する。切欠き27に収納されたアーム30の側壁31,32の外周は、インナーハウジング20の凹面25を取り巻く外周面28と一致する。切欠き27を画定する面27a,27bには、収納されるアーム30の側壁31,32の中心軸Gに沿った直線動作を阻害する突起等は設けられていないため、アーム30は、インナーハウジング20に対して中心軸Gに沿って直線動作を行うことができる。また、インナーハウジング20の前方部分21と後方部分22の中心部分には、前端から後端に伸びる貫通孔29が設けられている。貫通孔29には、バネなどの弾性部材50が収納される。
【0034】
[0077]アーム30は、
図2及び
図5に示すように、一対の側壁31,32と、側壁31,32を連結する連結部33と、連結部33の中央から前端に向かって延びる受け部34と、を有している。
図5は、アーム30の斜視図である。側壁31,32は、断面視円弧形状であり、中心軸Gに沿った方向における後方に凸部31a,32aを、前方にガイド突起31b,32bを、有している。ガイド突起31b,32bは円筒形状を有している。凸部31a,32aは、リアハウジング10の円周溝13に収納され、アーム30をリアハウジング10に対して回転可能な状態で係合する。ガイド突起31b,32bは、アーム30の中心軸Gに沿った直線動作をアウターハウジング40の回転動作に変換する回転ガイド機構S(
図8の(a)及び(b)を参照)の一部を構成し、アウターハウジング40のガイド溝41,42に収納される。受け部34は、バネ等の弾性部材50の後端を受ける。これにより、アーム30が後方に、即ちリアハウジング10に向けて押圧される。
【0035】
[0078]アウターハウジング40は、
図2、
図6A及び
図6Bに示すように、ガイド溝41,42と、前方壁43と、開口領域44a~44dと、クリーナ45a~45dと、受け部46と、一対の係合突起47と、を有している。
図6Aは、アウターハウジング40の斜視図であり、
図6Bは、アウターハウジング40を前方から視た前面図である。受け部46は、バネ等の弾性部材50の前端を受ける。これにより、アウターハウジング40が前方に向けて押圧される。但し、アウターハウジング40の内周に設けられる一対の係合突起47がインナーハウジング20の係合段差21aに係合するように構成されていることから、アウターハウジング40はインナーハウジング20から外れないようになっている。
【0036】
[0079]ガイド溝41,42は、中心軸Gに対して傾斜する傾斜部41a,42aと、傾斜部41a,42aの両端から中心軸Gに沿ってそれぞれ延びる第1ストレート部41b,42bと、第2ストレート部41c,42cと、を有している(
図8の(a)及び(b)を参照)。 リアハウジング10をインナーハウジング20に対して前方に直線移動すると、リアハウジング10と共にアーム30もインナーハウジング20に対して前方に直線移動する。この際、アーム30のガイド突起31b,32bがガイド溝41,42内の第1ストレート部41bから傾斜部41aに移動し、傾斜部41a内を前方に移動することにより、アウターハウジング40がインナーハウジング20に対して所定角度(例えば30度~60度、本実施形態では例えば35度)回転すると共に、インナーハウジング20に対して近づく。このような回転をアウターハウジング40に与える回転ガイド機構Sは、アーム30のガイド突起31b,32bと、アウターハウジング40のガイド溝41,42と、を含んで構成される。回転ガイド機構Sによる回転移動により、インナーハウジング20に収納されているフェルール2a~2d(ファイバ露出面)又は保持孔23a~23dは、アウターハウジング40の前方壁43の開口領域44a~44dに位置する。リアハウジング10を更に前方に押し込むと、ガイド突起31b,32bが傾斜部41a,42aの他端に位置する第2ストレート部41c,42c内を更に前方に進み、フェルール2a~2dの前端面3a~3dがアウターハウジング40の前方壁43よりも前方に突出する。
【0037】
[0080]アウターハウジング40のクリーナ45a~45dは、前方壁43の内側であって、各開口領域44a~44dの一方の縁に貼り付けられている。クリーナ45a~45dは、フェルール2a~2dにその先端部分が保持されている光ファイバFの先端に付着しているゴミ等を取り除くための布製のクリーナである。クリーナ45a~45dは、例えば前方壁43の内側に接着剤等により貼り付けられており、必要に応じて取り換え可能になっている。クリーナ45a~45dを取り換える際、クリーナ45a~45dのみを交換してもよいし、又は、クリーナ45a~45dが貼り付けられたアウターハウジング40を新たなクリーナ45a~45dが貼り付けられた別のアウターハウジング40に部材毎、交換してもよい。クリーナ45a~45dは、アウターハウジング40がインナーハウジング20に対する回転を終了して初期位置に戻った際にクリーナ45a~45dがフェルール2a~2dに揃う位置、即ち前端面3a~3dに揃う位置に来るように、貼り付け位置が設定されている。
【0038】
[0081]クリーナ45a~45dは、初期位置では、フェルール2a~2dの前端面3a~3dに対して僅かに離間している。そして、アウターハウジング40が回転する際、アウターハウジング40に対してインナーハウジング20が僅かに前進し、この前進により、フェルール2a~2dの前端面3a~3dがクリーナ45a~45dに押し当てられる。その後、アウターハウジング40の回転を続けると、クリーナ45a~45dに前端面3a~3dが押し当てられたフェルール2a~2dが開口領域44a~44dに向かって移動し、その際の回転動作により、フェルール2a~2dの前端面3a~3dがクリーナ45a~45dにより清掃される。この清掃により、光コネクタ1を用いて光接続を行った場合、付着したゴミ等による接続損失の低下を抑制する。クリーナ45a~45dは、初期位置においては、フェルール2a~2dの前端面3a~3dに対して僅かな隙間を有して平行となるように前方壁43に貼り付けられているが、フェルール2a~2dの前端面3a~3dが傾斜面である場合には、中心軸Gに対して直交する面に対して傾斜するように前方壁43に貼り付けられていてもよい。また、クリーナ45a~45dは、アウターハウジング40の回転を阻害しないようであれば、初期位置においてフェルール2a~2dの前端面3a~3dに接するように配置されていてもよい。なお、アウターハウジング40は、上述したようにリアハウジング10と同様の材料から構成してもよいが、フェルール2a~2dの位置等を外部から視認できるようにするためには、透明な部材(例えば、ポリカーボネート又はポリエーテルイミドの樹脂材料)から構成されていてもよい。
【0039】
[0082]弾性部材50は、アウターハウジング40を前端1aに向かって押圧し且つアーム30を後端1b又はリアハウジング10に向かって押圧する部材である。弾性部材50は、光コネクタ1が回転動作をして他のコネクタへ接続できる接続位置になった後に接続が解除されると、その弾性力により、光コネクタ1の各部材を初期位置に復帰させる。弾性部材50は、例えば、アウターハウジング40の前方壁43の内周面に設けられた受け部46からアーム30の受け部34まで伸びる1本のバネであり、インナーハウジング20の内部に設けられた貫通孔29(
図4参照)内に、ある程度縮められた状態で、収納される。弾性部材50は、1本のバネであることに限定されるものではなく、例えば、アウターハウジング40の受け部46とインナーハウジング20の中央部分との間に設けられ、アウターハウジング40を前方に押圧する第1バネと、アーム30の受け部34とインナーハウジング20の中央部分との間に設けられ、アーム30を後方に押圧する第2バネといったように、複数のバネから構成されてもよい。この場合、インナーハウジング20の貫通孔29の中央部分には、第1バネ及び第2バネを受ける底部を設けてもよい。弾性部材50により、アーム30及びアウターハウジング40はそれぞれ外方に押圧されるが、アーム30とアウターハウジング40とは、回転ガイド機構Sであるガイド突起31b,32bとガイド溝41,42とにより相互に連結されているため、両者が外れてしまうことがないようになっている。
【0040】
[0083]ここで、
図7、
図8の(a)及び(b)を参照して、リアハウジング10とアーム30とアウターハウジング40との間における連結関係について説明する。
図7は、光コネクタにおけるリアハウジングとアームとアウターハウジングとの連結関係を説明するための斜視図である。
図8の(a)は、リアハウジングをアウターハウジングに対して直線移動させた際の動作を説明するための図である。
図8の(b)は、
図8の(a)に示す状態からリアハウジングを更にアウターハウジングに対して直線移動させた際の動作を説明するための図である。
【0041】
[0084]まず、リアハウジング10とアーム30との連結関係について説明する。
図7に示すように、アーム30は、側壁31,32の後端に設けられた凸部31a,32aがリアハウジング10の円周溝13に収納されることにより、中心軸Gを中心としてリアハウジング10に対して相対的に回転可能な状態でリアハウジング10に取り付けられている。但し、リアハウジング10の内周にはラッチ14a,15a及びスライド突起14b,15bが設けられていることから、アーム30のインナーハウジング20に対する回転は、ある程度の角度に制限されている。
【0042】
[0085]続いて、リアハウジング10及びアーム30のアウターハウジング40に対する連結関係及び動作関係について説明する。
図7、
図8の(a)及び(b)に示すように、アーム30は、側壁31,32の前端に設けられたガイド突起31b,32bがアウターハウジング40のガイド溝41,42に内周面側から収納されて、アウターハウジング40と連結されている。アーム30は、
図7等には不図示のインナーハウジング20の切欠きに配置されて周方向の内側へ曲がらないようにされていることから、アーム30のガイド突起31b,32bがアウターハウジング40のガイド溝41、42からは外れないように構成される。アウターハウジング40が初期位置(回転前の位置)にある場合、ガイド突起31b,32bは、ガイド溝41,42の第1ストレート部41b,42bに位置する。
【0043】
[0086]
図8の(a)に示すように、リアハウジング10が後端から前端方向に押し出されると、リアハウジング10の円周溝13に凸部31a,32aが収納されているアーム30も前端方向に移動する。この際、リアハウジング10が
図8の(a)には不図示のインナーハウジング20を前方に押し出すため、インナーハウジング20に収納されたフェルール2a~2dの前端面3a~3dがアウターハウジング40のクリーナ45a~45dに押し当てられる。この動作により、アーム30のガイド突起31b,32bがガイド溝41,42の第1ストレート部41b,42bから傾斜部41a,42aに移動する。そして、
図8の(b)に示すように、リアハウジング10が前端方向に更に押し出されると、アーム30のガイド突起31b,32bがガイド溝41,42の傾斜部41a,42aを第2ストレート部41c,42c付近まで移動する。この移動により、アウターハウジング40は、リアハウジング10及びアーム30に対して中心軸Gを中心として所定角度回転すると共に、リアハウジング10に近づく。なお、アウターハウジング40は、不図示のインナーハウジング20に対しても中心軸Gを中心として所定角度回転する。その後、リアハウジング10を更に前方に押し込むと、アーム30のガイド突起31b,32bが傾斜部41a,42aから第2ストレート部41c,42cに入る。この際、リアハウジング10が不図示のインナーハウジング20を前方に押し出すため、移動しないアウターハウジング40の開口領域44a~44dからインナーハウジング20に収納されているフェルール2a~2dの前端面3a~3dが突出して、他の光コネクタと接続できるようになる。
【0044】
[0087]次に、
図9の(a)~(d)を参照して、リアハウジング10とインナーハウジング20との動作関係について説明する。
図9の(a)に示すように、光コネクタ1が初期位置にある場合、リアハウジング10は、インナーハウジング20に対して、中心軸Gに沿って直線移動可能であり、且つ、中心軸Gを中心として回転可能になっている。リアハウジング10をインナーハウジング20に対して中心軸Gに沿って前方に移動すると、リアハウジング10の突出片14,15の内周面に設けられたラッチ14a,15aが、インナーハウジング20の段差24に向かって移動する。そして、
図9の(b)に示すように、ラッチ14a,15aが段差24を越えて両者が係合されると、リアハウジング10はインナーハウジング20に対して直線方向の移動がロックされる。
図9の(a)から
図9の(b)へとリアハウジング10が前方へ移動すると、上述したように、アーム30によってアウターハウジング40が所定角度回転されている(
図8の(b)参照)。
図9の(b)は、回転後の位置を示している。
【0045】
[0088]続いて、
図9の(b)に示す回転後の位置から、
図9の(c)に示すように、リアハウジング10をインナーハウジング20に対して回転すると、ラッチ14a,15aの段差24への係合が解かれ、ロックが解除される。そして、リアハウジング10の内周面に設けられたスライド突起14b,15bがインナーハウジング20の凹面25を傾斜面26に沿ってスライド移動する。その後、
図9の(d)に示すように、初期位置に復帰する。この際、アウターハウジング40は、初期位置に戻り、インナーハウジング20に収納されているフェルール2a~2dを前方壁43で覆うようになる。
【0046】
[0089]次に、
図10の(a)~(e)を参照して、光コネクタ1が初期位置から接続位置(回転位置)に移動した場合、及び、接続位置から初期位置に復帰した場合において、インナーハウジング20に収納されたフェルール2a~2dと、アウターハウジング40との相対的な位置関係について説明する。
図10の(a)~(e)は、初期位置にある光コネクタのアウターハウジングがインナーハウジングに対して回転してフェルールをアウターハウジングの開口領域から突出させる動作及び初期位置に戻る動作を順に示す模式図である。
図10の(a)~(e)において、I列は、光コネクタ1を斜めから見た状態を示し、II列は、光コネクタ1を前方から見た状態を示し、III列は、クリーナ45a~45dとフェルール2a~2dとの関係を示し、各列における各図は互いに対応している。
【0047】
[0090]光コネクタ1は、
図10の(a)に示すように、初期位置において、フェルール2a~2dは、少なくとも光ファイバFの先端が露出する前端面3a~3dがアウターハウジング40の前方壁43の非開口領域に位置するようになっている。すなわち、フェルール2a~2dの前端面3a~3dは、位置合わせ用のピンを除き、その略全体が前方壁43、特にクリーナ45a~45dに、所定の隙間を介して対向している。
【0048】
[0091]続いて、
図10の(b)に示すように、リアハウジング10を前方に押し出すことによりインナーハウジング20がアウターハウジング40に向かって移動し、フェルール2a~2dの前端面3a~3dがクリーナ45a~45dに押し付けられる。次に、アウターハウジング40が回転されると、この回転動作に伴ってクリーナ45a~45dにより清掃されたフェルール2a~2dの前端面3a~3dが開口領域44a~44dに徐々に露出する。そして、
図10の(c)に示すように、アウターハウジング40の所定角の回転動作が完了すると、フェルール2a~2dの前端面3a~3dが略完全に開口領域44a~44dに露出する(
図11を参照)。その後、更にリアハウジング10を前方に押し込むと、インナーハウジング20がアウターハウジング40に対して前方に突出し、フェルール2a~2dの前端面3a~3dが前方壁43よりも前方に突出する。この状態で、光コネクタ1は、他の光コネクタに光接続される。
【0049】
[0092]続いて、
図10の(d)に示すように、リアハウジング10を中心軸Gを中心としてインナーハウジング20に対して回転すると、リアハウジング10のラッチ14a,15aの段差24への係合が解除される。そして、
図10の(e)に示すように、リアハウジング10がインナーハウジング20に対して後退して、弾性部材50の弾性力により各部材が初期位置に復帰する。この際に、アウターハウジング40の前方壁43の内面のうち開口領域44a~44dに隣接する領域に設けられたクリーナ45a~45dにより、フェルール2a~2dの前端面3a~3dが清掃され、付着したゴミ等があれば取り除かれてもよい。つまり、光ファイバFが初期位置に復帰する際のアウターハウジングの回転を効果的に利用して、クリーナ45a~45dによって、フェルール2a~2dの前端面3a~3dを清掃するようにしてもよい。
【0050】
[0093]ここで、光コネクタ1を同様の構造を有する他の光コネクタに接続する方法について、説明する。まず、リアハウジング10を中心軸Gに沿ってインナーハウジング20に対して直線移動する。すると、この直線移動に伴って、前端1aに向かってアーム30が中心軸Gに沿って直線移動することになる。アーム30が直線移動すると、それに伴い、その一部がアーム30に設けられている回転ガイド機構Sにより、アーム30の直線移動をアウターハウジング40の回転移動に変換する。このような操作により、アウターハウジング40を回転前の初期位置から回転位置へと回転し、インナーハウジング20に近づけることになる。この回転がされた際、アウターハウジング40の前方壁43に設けられた開口領域44a~44dにフェルール2a~2dが位置すると共にフェルール2a~2dの先端部分が前方壁43から外部に押し出される。これにより、他の光コネクタと接続することが可能となる。
【0051】
[0094]以上、本実施形態に係る光コネクタ1では、回転ガイド機構Sによりアウターハウジング40がインナーハウジング20に対して初期位置から接続位置へと回転した際に、アウターハウジング40の前方壁43の開口領域44a~44dがフェルール2a~2d又は保持孔23a~23dに揃う位置に移動する。よって、光コネクタ1を他のコネクタ等に差し込むために初期位置から接続位置へと回転した際にフェルール2a~2dの前端面3a~3d、即ちフェルール2a~2dによって保持される光ファイバFの先端を外部に露出させることになるため、光ファイバFの先端面へのゴミの付着等を抑制することができる。しかも、アウターハウジング40は、初期位置から接続位置に向かって回転する際にフェルール2a~2dの前端面3a~3dを清掃するクリーナ45a~45dを有している。このため、光ファイバFの先端面へ付着したゴミ等を除去して光ファイバの露出端面を清浄な状態とすることができる。その結果、光コネクタ1を用いて光ファイバを接続する場合、ゴミの付着等による接続損失を低減することができる。
【0052】
[0095]更に、光コネクタ1では、これに限定されないが、多数の光ファイバ(例えば96芯の光ファイバ)を一括して他の光ファイバに接続することができるため、接続作業に係る時間を従来に比べて低減することができる。しかも、接続位置から初期位置へ弾性部材50によって復帰できる構成になっていることから、接続の解除作業も容易に行える。
【0053】
[第2実施形態]
[0096]第2実施形態に係る光コネクタ101について、
図12及び
図13を参照して説明する。
図12は、光コネクタ101の斜視図である。
図13は、光コネクタ101の分解斜視図である。
図12及び
図13に示すように、光コネクタ101は、第1実施形態に係る光コネクタ1と同様に、リアハウジング110と、インナーハウジング120と、アーム130と、アウターハウジング140と、弾性部材150と、を備えている。光コネクタ101は、少数(例えば8芯)の光ファイバFを収納して接続するように構成されたコネクタである。リアハウジング110とインナーハウジング120とアーム130とアウターハウジング140と弾性部材150の基本的な構成及び機能は、第1実施形態に係る光コネクタ1のリアハウジング10とインナーハウジング20とアーム30とアウターハウジング40と弾性部材50の構成及び機能と同様である。以下では、光コネクタ1と相違する点について主に説明し、同様な部分の説明は省略することがある。
【0054】
[0097]リアハウジング110は、光コネクタ101の後端101bに位置し、光ファイバケーブルCをその中に挿通する部材であり、ブーツ部分111と収納部分112とを有する。リアハウジング110では、光コネクタ1の構成と異なり、突出片114,115が収納部分112の内部に独立して設けられている。各突出片114,115の先端には、外側に向けて突出するラッチ114a,115aが設けられている。光コネクタ101では、ラッチ114a,115aが光コネクタ1のリアハウジング10に設けられたラッチ14a,14bの機能に加えて、スライド突起14b,15bの機能も奏する。リアハウジング110の収納部分112の前端は、インナーハウジング120及びアーム130の外周に配置される弾性部材150の後端を受ける。
【0055】
[0098]インナーハウジング120は、前方部分121と後方部分122とを有する。前方部分121には、1つのフェルール102を収納するための1つの保持孔123が設けられている。保持孔123は、インナーハウジング120の前端面の略中央に設けられている。後方部分122には、一対の段差124と、一対の空隙125と、一対の傾斜面126とが設けられている。
図13には、一方の段差124と空隙125と傾斜面126とを開示しているが、中心軸Gを中心として点対称、または中心軸Gを軸として回転対称に配置される他方の段差124と空隙125と傾斜面126も同様の構成を有している。
【0056】
[0099]段差124は、リアハウジング110のラッチ114a,115aが内側から係合できるように開口部の縁に設けられている。空隙125はそれぞれ、段差124の周方向の横の領域と、その横から中心軸Gに沿って後端に向かって延びる略平行四辺形状の領域とを含む。空隙125の一部には、傾斜面126が設けられている。傾斜面126は、前方から後方に向かって中心軸Gに対して傾斜している。ラッチ114a,115aが各段差124に係合した後にリアハウジング110をインナーハウジング120に対して回転すると、ラッチ114a,115aが段差124から外れ、傾斜面126をスライドして後方に移動し、リアハウジング110が初期位置に戻る。
【0057】
[0100]アーム130は、一対の側壁131,132と、側壁131,132を連結する円環形状の連結部133と、を有している。側壁131,132は、中心軸Gに沿った方向における後方に凸部131a,132aを、前方にガイド突起131b,132bを、有している。凸部131a,132aは、リアハウジング110の円周溝に収納され、アーム130をリアハウジング110に対して回転可能な状態で係合する。ガイド突起131b,132bは、アーム130の中心軸Gに沿った直線動作をアウターハウジング140の回転動作に変換する回転ガイド機構の一部を構成し、アウターハウジング140のガイド溝に収納される。
【0058】
[0101]アウターハウジング140は、ガイド溝と、前方壁143と、開口領域144a,144bと、クリーナと、を有している。アウターハウジング140のガイド溝は、その内周に光コネクタ1のガイド溝と同様の構成を有しており、アーム130のガイド突起131b,132bに連結され、第1実施形態と同様の回転動作を行う。アウターハウジング140がインナーハウジング120に対して所定角度回転して近づくと、2つの開口領域144a,144bにフェルール102の前端面103a,103bが位置する(
図15の(b)及び
図16の(b)参照)。
【0059】
[0102]弾性部材150は、アウターハウジング140とリアハウジング110との間に配置され、アウターハウジング140を前端101aに向かって押圧し且つリアハウジング110を後端101b又は後方に向かって押圧する部材である。光コネクタ101では、弾性部材150は、インナーハウジング120及びアーム130の外周に配置されており、アウターハウジング140の後端とリアハウジング110の前端との間に位置する。
【0060】
[0103]上述した構成を備えた光コネクタ101における各部品間の連結関係及び基本的な動作は、光コネクタ1と同様である。即ち、リアハウジング110を中心軸Gに沿ってインナーハウジング120に対して前方に移動すると、リアハウジング110と共に、アーム130がインナーハウジング120に対して前方に移動する。そして、アーム130が中心軸Gに沿って前方に直線移動すると、アーム130のガイド突起131b,132bとアウターハウジング140の内周に設けられたガイド溝を含む回転ガイド機構により、アウターハウジング140が中心軸Gを中心としてインナーハウジング120に対して回転すると共に近づく。この操作により、アウターハウジング140の開口領域144a,144bにフェルール102又は保持孔123が保持する光ファイバFの前端面103a,103bが揃う配置となる。
【0061】
[0104]ここで、アウターハウジング140がインナーハウジング120に対して回転して、開口領域144a,144bにフェルール102の前端面103a,103bが揃う動作及びそのための各部材の構成について説明する。フェルール102は、第1実施形態のフェルール2と異なる構成であり、まずフェルール102の構成について、
図14を参照して説明する。
図14は、フェルール102の斜視図である。第2実施形態に係る光コネクタ101は、これに限定されないが一例として小型の光コネクタに適用されるため、1つのフェルールを用いて構成されている。このため、フェルールは、アウターハウジング140等の回転動作の中心軸Gにフェルールが位置することになる。そこで、第2実施形態に係る光コネクタ101は、フェルール102の前端に凹部105を有し、当該凹部105にアウターハウジング140の前方壁143の中心片143aが位置できる構成になっている。フェルール102では、凹部105により、光ファイバFの先端が露出する面が2つの前端面103a,103bに分離される。
【0062】
[0105]このような構成のフェルール102を有する光コネクタ101では、
図15の(a),
図15の(b)及び
図16の(a),
図16の(b)に示すように、アウターハウジング140の前方壁143の中心片143aにフェルール102の凹部105が位置する。アウターハウジング140が回転する前の初期位置(
図15の(a)及び
図16の(a))から、アウターハウジング140がインナーハウジング120に対して回転して近づくと、フェルール102の凹部105内に前方壁143の中心片143aが収納される(
図15の(b)及び
図16の(b))。そして、フェルール102の一方の前端面103aが開口領域144aに位置し、他方の前端面103bが開口領域144bに位置するようになる。光コネクタ101は、フェルール102の前端面103a,103bが前方壁143から前方外側に十分に露出し、対応する光コネクタ又はフェルールに保持される光ファイバと確実に光結合できるように、中心片143aの厚みよりも凹部105のほうが深くなるように形成されている。
【0063】
[0106]以上、第2実施形態に係る光コネクタ101では、回転ガイド機構によりアウターハウジング140がインナーハウジング120に対して初期位置から接続位置へと回転した際に、アウターハウジング140の前方壁143の開口領域144a,144bがフェルール102の前端面3a,3b(ファイバ露出面)に揃う位置に移動する。よって、光コネクタ101を他のコネクタ等に接続するために初期位置から接続位置へと回転した際にフェルール102の前端面103a,103b、即ちフェルール102によって保持される光ファイバFの先端を外部に露出させることになるため、光ファイバFの先端面へのゴミの付着等を抑制することができる。しかも、アウターハウジング140は、初期位置から接続位置に向かって回転する際にフェルール102の前端面103a,103bを清掃するクリーナを有している。このため、光コネクタ101を接続する際、光ファイバFの先端面へ付着したゴミ等を除去して光ファイバの露出端面を清浄な状態とすることができる。その結果、光コネクタ101を用いて光ファイバを接続する場合、ゴミの付着等による接続損失を低減することができる。光コネクタ101では、これに加え、フェルール102の構成により、光コネクタを小型化してもアウターハウジング140の回転動作によるフェルール102の端面露出を問題なく行うことができる。
【0064】
[0107]光コネクタ101は、例えば
図17の(a)及び(b)に示すアダプター180を介して、同様の形状の光コネクタに接続することができる。アダプター180は、2つの突出片181,182に設けられたラッチ181a,182aをそれぞれの開口に備えており、挿入された光コネクタ101を、一方のラッチ181a,182aにより、所定の位置に係合し、他の光コネクタと光接続させる。他のラッチ181a,182aには、他の光コネクタが係合される。
【0065】
[第3実施形態]
[0108]第3実施形態に係る光コネクタ201について、
図18及び
図19を参照して説明する。
図18は、光コネクタ201の斜視図である。
図19は、光コネクタ201の分解斜視図である。
【0066】
[0109]光コネクタ201は、
図18及び
図19に示すように、第1実施形態に係る光コネクタ1の一部構成を変更したコネクタであり、光コネクタ1と同様に、リアハウジング210と、インナーハウジング220と、アーム230と、アウターハウジング240と、弾性部材250a,250bと、を備えている。光コネクタ201は、光コネクタ1と同様に多数の光ファイバを収納して接続するためのコネクタであり、リアハウジング210とインナーハウジング220とアーム230とアウターハウジング240と弾性部材250a,250bの基本的な構成及び機能は、光コネクタ1のリアハウジング10とインナーハウジング20とアーム30とアウターハウジング40と弾性部材50の構成及び機能と同様である。光コネクタ201は、アダプターロック補強部材260を更に備えている。以下では、光コネクタ1との相違点について主に説明し、同様な部分の説明は省略することがある。
【0067】
[0110]リアハウジング210は、光コネクタ201の後端に位置し、光ファイバケーブルCをその中に挿通する部材である。リアハウジング210は、
図19及び
図20に示すように、リアハウジング210をインナーハウジング220に対してロックするための突出片214,215を有する。突出片214,215の内周面には、それぞれ内側に向かって突出するラッチ214a,215a及びスライド突起214b,215bが設けられている。ラッチ214a,215aは、リアハウジング210が中心軸Gに沿ってインナーハウジング220に対して前方に直線移動した際に、インナーハウジング220の段差224を乗り越えて段差224に係合する。ラッチ214a,215aが段差224に係合した後にリアハウジング210をインナーハウジング220に対して回転すると、ラッチ214a,215aが段差224から外れ、リアハウジング210のスライド突起214b,215bが傾斜面226をスライドして後方に移動し、リアハウジング210が初期位置に戻る。
【0068】
[0111]リアハウジング210は、突出片214,215の間の内周面に、一対のスロープ216及び段差217を有する。
図20には、一方のスロープ216及び段差217が示されているが、他方のスロープ及び段差は、中心軸Gを軸として一方のスロープ216及び段差217と点対称及び回転対称に設けられている。リアハウジング210がインナーハウジング220に対してロックされて光コネクタ201が接続位置になった後、リアハウジング210をインナーハウジングに対して回転(ロック解除)すると、インナーハウジング220の外周に設けられた一対の突起229が各スロープ216を登り、段差217の上を通過し、段差217から落ちる。一対の突起229が段差217から落ちた際に、クリック音が生成される。この構成により、ロック解除が可能となったこと、すなわち、光コネクタ201を後述するアダプター280から引き抜くことができるようになったことを使用者が知覚できる。
【0069】
[0112]インナーハウジング220は、
図19及び
図21に示すように、その前方に、フェルール2a~2dを収納するための4つの保持孔223a~223dを有している。インナーハウジング220は、その後方に、一対の段差224と、一対の凹面225と、一対の傾斜面226と、を有する。
図21には、一方の段差224と凹面225と傾斜面226とを開示しているが、中心軸Gを軸として点対称及び回転対称に設けられる他方の段差224と凹面225と傾斜面226も同様の構成である。段差224は、リアハウジング210のラッチ214a,215aと係合する。ラッチ214a,215aが段差224に係合した後にリアハウジング210をインナーハウジング220に対して回転すると、ラッチ214a,215aが段差224から外れ、リアハウジング210のスライド突起214b,215bが傾斜面226をスライドして後方に移動し、リアハウジング210が初期位置に戻る。また、インナーハウジング220は、その外周に一対の突起229を有する。突起229が形成される外周面の肉厚は他の部分より薄く形成されていてもよく、また、突起229は外周面の端部近くに形成されてもよい。これらの構成により、突起229が形成される面は、中心軸Gと交差する方向に変形しやすくなり、突起229がスロープを登り易くなる。
【0070】
[0113]インナーハウジング220は、保持孔223a~223dの各外周部分に4つの凹部221を有している。凹部221は、アダプター280の各ラッチ281a~284aを係合させる部分である(
図25の(a)、(b)及び
図26を参照)。また、インナーハウジング220は、4つの凹部221のうちの2つの凹部221の後方に、2つの横長の溝222を有し、バネ223を溝222に収納する。バネ223は、後述するアダプターロック補強部材260を前方に付勢するように機能する。
【0071】
[0114]アーム230は、
図19に示すように、一対の側壁231,232と、側壁231,232を連結する連結部233と、連結部233の中央から前端に向かって延びる受け部234と、を有している。側壁231,232は、後方に凸部231a,232aを、前方にガイド突起231b,232bを、有している。凸部231a,232aは、リアハウジング210の円周溝に収納され、アーム230をリアハウジング210に対して回転可能な状態で係合する。ガイド突起231b,232bは、アーム230の中心軸Gに沿った直線動作をアウターハウジング240の回転動作に変換する回転ガイド機構の一部を構成し、アウターハウジング240のガイド溝241,242に収納される(
図22A及び
図22Bを参照)。ガイド突起231b,232bのガイド溝241,242内での動作は、光コネクタ1と同様である。受け部234は、弾性部材250bの後端を受ける。これにより、アーム230が後方に、即ちリアハウジング210に向けて押圧される。
【0072】
[0115]アウターハウジング240は、
図22A及び
図22Bに示すように、第1実施形態のアウターハウジング40と同様に4つのクリーナ45a~45dを前方壁243の内面側に備えているが、前方壁243を支持する部材が2つの支柱247である点で相違する。アウターハウジング240では、2つの支柱247で前方壁243を支持することから、開口領域244a~244dの構造が異なっており、特に支柱247が形成されていない開口領域244a,244cの構造がアウターハウジング40の開口領域の形状と異なっている。即ち、アウターハウジング240の開口領域224a,224cは、初期位置においてフェルール2a,2cの前端面3a,3cを覆う領域以外はすべて開口領域であり(
図18参照)、開口領域224b,224dに比べて非常に広い空隙を形成している。
【0073】
[0116]アウターハウジング240には、アウターハウジング240をインナーハウジング220に対して所定角度回転させると共に、インナーハウジング220に対して近づけるための回転ガイド機構として機能するガイド溝241,242が設けられている。ガイド溝241,242は、光コネクタ1と同様に、中心軸Gに対して傾斜する傾斜部241a,242aと、傾斜部241a,242aの両端から中心軸Gに沿ってそれぞれ延びる第1ストレート部241b,242bと、第2ストレート部241c,242cと、を有している。ガイド溝241,242には、アーム230のガイド突起231b,232bが収納され、アーム230の前方への直線移動に伴って、アウターハウジング240をインナーハウジング220に対して回転させると共に近づける。また、アウターハウジング240は、弾性部材250aの前端を受ける受け部246を有する。これにより、アウターハウジング240が前方に向けて押圧される。
【0074】
[0117]弾性部材250aは、
図19に示すように、アウターハウジング240をインナーハウジング220に対して前方に押圧する。弾性部材250bは、アーム230をインナーハウジング220に対して後方に押圧する。一例では、アーム230を後方に押圧する弾性部材250bの方が、弾性部材250aよりも付勢力(バネ力)が強くなるように構成してもよい。このように後方の弾性部材250bの付勢力を強くすることにより、インナーハウジング220に収納されるフェルール2a~2dの前端面をアウターハウジング240が有するクリーナ45a~45dに押し付ける力を大きくでき、フェルール2a~2dの前端面、及びフェルール2a~2dによって保持される光ファイバの先端を効果的に清掃することができる。インナーハウジング220とリアハウジング210のラッチの係合を維持する力、及び、リアハウジング210を回してラッチを解除した後、初期位置に戻る力を好適なものとすることができる。弾性部材250aの後端及び弾性部材250bの前端は、インナーハウジング220の中央の孔に設けられた受け板により支持される。
【0075】
[0118]アダプターロック補強部材260は、
図19及び
図23に示すように、略円筒形状の外形を有し、インナーハウジング220の前方部分の外側に配置される(
図24参照)。アダプターロック補強部材260は、アダプター280(
図25の(a)及び(b)参照)を介して光コネクタ201を他の光コネクタに接続する際、アダプター280へのロックを補強する部材である。アダプター280には、その内周に4つの突出片281~284が周方向に等間隔で設けられている。突出片281~284の各先端にはラッチ281a~284aが設けられている。光コネクタ201をアダプター280に接続する際、ラッチ281a~284aがインナーハウジング220の凹部221に係合し、光コネクタ201がアダプター280にロックされる。アダプターロック補強部材260は、このロックをした際にラッチ281a~284aが外側に外れて意図しないロック解除が発生しないように、4つの補強板262によりラッチ281a~284aを内部方向に固定する。 アダプターロック補強部材260は、光コネクタ201がアダプター280に接続されて、ラッチ281a~284aがインナーハウジング220の凹部221まで移動する際、バネ223の付勢に抗して、一時的にやや後方に移動することができる。そして、アダプターロック補強部材260は、ラッチ281a~284aが凹部221に完全に係合した後、バネ223により前方に移動してラッチ281a~284aを外側から覆い、光コネクタ201のアダプター280へのロックを補強する。
【0076】
[0119]アダプターロック補強部材260は、三角形状又は矩形状の解除用突起264をそれぞれが含む一対の突出片265を後端に有している。一対の突出片265は、中心軸Gを軸として回転対称に設けられている。各突出片265は、
図24に示すように、アダプターロック補強部材260がインナーハウジング220の前方外周に配置された際、インナーハウジング220の段差224の横の空隙227に配置される。即ち、段差224の周方向の横に解除用突起264が位置するように、突出片265が配置される。この構成により、光コネクタが接続位置から初期位置に復帰する際、リアハウジング210のラッチ214a,215aがインナーハウジング220の段差224から横にずれた際、スライド突起214b,215bが、アダプターロック補強部材260の解除用突起264に一時的に係合する。そして、リアハウジング210を更に回転させると、スライド突起214b,215bが解除用突起264を回転方向に押すことによってアダプターロック補強部材260を一時的に後方に引き下げる。これにより、アダプター280のラッチ281a~284aが係合するインナーハウジング220の凹部221から補強板262が外れて、光コネクタとアダプター280とのロックが解除される。解除用突起264の形状は限定されないが、三角形状であると、リアハウジング210の回転によってアダプターロック補強部材260を引き下げることが可能であり、アダプターロック補強部材260を一時的に引き下げた後、リアハウジング210のスライド突起214b,215bの後方への動作をスムーズにすることができる。
【0077】
[0120]アダプターロック補強部材260には、一対の凹み266が更に設けられている。凹み266は、アダプター280の内周に設けられた一対の凸部286に対応する。凸部286が湾曲した凸形状を有する場合、凹み266は湾曲した凹面を有する。このような構成により、凹み266が凸部286に位置するように光コネクタ201をアダプター280に接続させることで、光コネクタ201は、回転方向における位置決めを確実に行うことができる。また、光コネクタ201(インナーハウジング220)に一対の矢印228を設け、アダプター280に矢印288に対応する一対の矢印288を設け、これにより、外観から光コネクア201の位置決めを行えるようにしてもよい。このような位置決めにより、光コネクタ201のアダプター280又は接続される別の光コネクタに対する回転方向の位置決めが確実に行われる。
図26には、光コネクタ201を他のコネクタに接続するために、光コネクタ201がアダプター280に取り付けられている例が示されている。
【0078】
[0121]このような構成を備えた光コネクタ201における各部品間の連結関係及び基本的な動作は、光コネクタ1と同様である。即ち、リアハウジング210を中心軸Gに沿ってインナーハウジング220に対して前方に移動すると、リアハウジング210と共に、アーム230がインナーハウジング220に対して前方に移動する。そして、アーム230が中心軸Gに沿って前方に直線移動すると、アーム230のガイド突起231b,232bとアウターハウジング240の内周に設けられたガイド溝241,242とを含む回転ガイド機構により、アウターハウジング240が中心軸Gを中心としてインナーハウジング220に対して回転すると共に近づく。この操作により、アウターハウジング240の開口領域244a~244dにフェルール2a~2d又は保持孔223a~223dが保持する光ファイバFの前端面3a~3dが揃う配置となる。
【0079】
[0122]以上、第3実施形態に係る光コネクタ201は、光コネクタ1と同様に、回転ガイド機構によりアウターハウジング240がインナーハウジング220に対して初期位置から接続位置へと回転した際に、アウターハウジング240の前方壁243の開口領域244a~244dがフェルール2a~2d又は保持孔223a~223dに揃う位置に移動する。よって、光コネクタ201を他のコネクタ等に差し込む際に初期位置から接続位置へと回転した際にフェルール2a~2dの前端面、即ちフェルール2a~2dによって保持される光ファイバFの先端を外部に露出させることになるため、光ファイバFの先端面へのゴミの付着等を抑制することができる。しかも、アウターハウジング240は、初期位置から接続位置に向かって回転する際にフェルール2a~2dの前端面を清掃するクリーナ45a~45dを有している。このため、光コネクタ201を接続する際、光ファイバFの先端面へ付着したゴミ等を除去して光ファイバの露出端面を清浄な状態とすることができる。その結果、光コネクタ201を用いて光ファイバを接続する場合、ゴミの付着等による接続損失を低減することができる。
【0080】
[0123]光コネクタ201では、これに限定されないが、多数の光ファイバ(例えば96芯の光ファイバ)を一括して他の光ファイバに接続することができるため、接続作業に係る時間を従来に比べて低減することができる。しかも、接続位置から初期位置へ弾性部材250a,250bによって復帰できる構成になっていることから、接続の解除作業も容易に行える。
【0081】
[0124]光コネクタ201は、アダプターロック補強部材260及びそれに対応するインナーハウジング220のバネ構成等を備えている。このため、アダプター280を介して光コネクタ201を他の光コネクタに接続する場合、光コネクタ201をアダプター280により確実且つ堅固に接続させることができる。
【0082】
[第4実施形態]
[0125]第4実施形態に係る光コネクタ301について、
図27及び
図28を参照して説明する。
図27は、光コネクタ301の斜視図である。
図28は、光コネクタ301の分解斜視図である。
【0083】
[0126]光コネクタ301は、
図27及び
図28に示すように、第2実施形態に係る光コネクタ101の一部構成を変更したコネクタであり、光コネクタ101と同様に、リアハウジング310と、インナーハウジング320と、アーム330と、アウターハウジング340と、弾性部材350と、を備えている。光コネクタ301では、リアハウジング310とインナーハウジング320とアーム330とアウターハウジング340と弾性部材350との基本的な構成及び機能は、光コネクタ101のリアハウジング110とインナーハウジング120とアーム130とアウターハウジング140と弾性部材150の構成及び機能と同様である。光コネクタ301は、アダプターロック補強部材360を更に備えている。アダプターロック補強部材360の主な構成及び機能は、第3実施形態の光コネクタ201のアダプターロック補強部材260と同様である。以下では、光コネクタ101,201と相違する点について主に説明し、同様な部分の説明は省略することがある。
【0084】
[0127]リアハウジング310は、光コネクタ301の後端に位置し、光ファイバケーブルCをその中に挿通する部材である。リアハウジング310では、光コネクタ101の構成と異なり、突出片314,315が円筒形状の筒部に設けられている。突出片314,315の内周面には、それぞれ内側に向かって突出するラッチ315a及びスライド突起315bが設けられている。ラッチ315aは、リアハウジング310が中心軸Gに沿ってインナーハウジング320に対して前方に直線移動した際に、インナーハウジング320の段差324を乗り越えて段差324に係合する。ラッチ315aが段差324に係合した後にリアハウジング310をインナーハウジング320に対して回転すると、ラッチ315aが段差324から外れ、リアハウジング310のスライド突起315bが傾斜面366をスライドして後方に移動し、リアハウジング310が初期位置に戻る。これらの構成は、光コネクタ1,201と同様である。なお、本実施形態では、傾斜面366は、アダプターロック補強部材360に設けられている。
【0085】
[0128]インナーハウジング320は、前方に、1つのフェルール102を収納するための1つの保持孔を有する。インナーハウジング320は、後方に、一対の段差324と、一対の凹面325と、傾斜面366を含む突出片365を収納するための空隙327と、を有している。
図28には、一方の段差324と凹面325と空隙327とを開示しているが、中心軸Gを軸として点対称及び回転対称に配置される他方の段差と凹面と空隙も同様の構成を有している。ラッチ315aが各段差324に係合した後にリアハウジング310をインナーハウジング320に対して回転すると、ラッチ315aが段差324から外れ、リアハウジング310のスライド突起315bが空隙327に収納された突出片365の傾斜面366をスライドして後方に移動し、リアハウジング310が初期位置に戻る。インナーハウジング320は、その外周に一対のバネ323を有する。バネ323は、第3実施形態のバネ223と同様、アダプターロック補強部材360を前方に付勢する。インナーハウジング320は、更に、一対の突起329を有する。突起329は、第3実施形態の突起229と同様、ロック解除した際に、リアハウジング310内に設けられるスロープ及び段差と協働して、クリック音を生成する。
【0086】
[0129]アーム330は、一対の側壁331,332と、側壁331,332を連結する連結部333と、を有している。側壁331,332は、後方に凸部331a,332aを、前方にガイド突起331b,332bを、有している。凸部331a,332aは、リアハウジング310の円周溝に収納され、アーム330をリアハウジング310に対して回転可能な状態で係合する。ガイド突起331b,332bは、アーム330の中心軸Gに沿った直線動作をアウターハウジング340の回転動作に変換する回転ガイド機構の一部を構成し、アウターハウジング340のガイド溝に収納される。
【0087】
[0130]アウターハウジング340は、ガイド溝と、前方壁343と、開口領域344a,344bと、クリーナと、を有している。アウターハウジング340のガイド溝は、その内周に光コネクタ1のガイド溝41,42と同様の構成を有しており、アーム330のガイド突起331b,332bに連結され、第1実施形態等と同様の回転動作を行う。アウターハウジング340がインナーハウジング320に対して所定角度回転して近づくと、2つの開口領域344a,344bにフェルール102の前端面103a,103bが位置する。
【0088】
[0131]弾性部材350は、インナーハウジング320とアーム330(連結部333)との間に配置され、インナーハウジング320に対してリアハウジング310及びアーム330を後方に向かって押圧する。光コネクタ301では、弾性部材350は、インナーハウジング320及びアーム330の内側に配置されている。また、光コネクタ301は、インナーハウジング320の外周に位置する一対の弾性部材351を有しており、これにより、アウターハウジング340が前方に押圧される。
【0089】
[0132]アダプターロック補強部材360は、略円筒形状の外形を有し、インナーハウジング320の前方部分の外側に配置される。アダプターロック補強部材360は、アダプター380(
図29の(a)及び(b)参照)を介して光コネクタ301を他の光コネクタに接続する際、アダプター380へのロックを補強する部材である。アダプター380には、その内周に2つの突出片381,382が周方向に等間隔で設けられている。突出片381,382の各先端にはラッチ381a,382aが設けられている。光コネクタ301をアダプター380に接続する際、ラッチ381a,382aがインナーハウジング320の一対の凹部に係合し、光コネクタ301がアダプター380にロックされる。アダプターロック補強部材360は、このロックをした際にラッチ381a,381bが外側に外れて意図しないロック解除が発生しないように、2つの補強板362によりラッチ381a,382aを内部方向に固定する。
【0090】
[0133]アダプターロック補強部材360は、三角形状又は矩形状の解除用突起364をそれぞれが含む一対の突出片365を後端に有している。解除用突起364には傾斜面366が設けられている。一対の突出片365は、中心軸Gを軸として回転対称に設けられている。各突出片365は、アダプターロック補強部材360がインナーハウジング320の前方外周に配置された際、インナーハウジング320の段差324の横の空隙327に配置される。このような構成により、第3実施形態と同様に、光コネクタが接続位置から初期位置に復帰する際、アダプターロック補強部材360を僅かに後方に移動させ、光コネクタ301をアダプター380とのロックから容易に解除させる。
【0091】
[0134]また、光コネクタ301(インナーハウジング320)に一対の矢印328を設けて、アダプター380に矢印388に対応する一対の矢印388を設け、これにより、外観から光コネクタ301の位置決めを行えるようにしてもよい。このような位置決めにより、光コネクタ301のアダプター380又は接続される別の光コネクタに対する回転方向の位置決めが確実に行われる。
図30には、光コネクタ301を他のコネクタに接続するために、光コネクタ301がアダプター380に取り付けられている例が示されている。
【0092】
[0135]上述した構成を備えた光コネクタ301における各部品間の連結関係及び基本的な動作は、光コネクタ101と同様である。即ち、リアハウジング310を中心軸Gに沿ってインナーハウジング320に対して前方に移動すると、リアハウジング310と共に、アーム330がインナーハウジング320に対して前方に移動する。そして、アーム330が中心軸Gに沿って前方に直線移動すると、アーム330のガイド突起331b,332bとアウターハウジング340の内周に設けられたガイド溝とを含む回転ガイド機構により、アウターハウジング340が中心軸Gを中心としてインナーハウジング320に対して回転すると共に近づく。この操作により、アウターハウジング340の開口領域344a,344bにフェルール102又は保持孔が保持する光ファイバFの前端面103a,103bが揃う配置となる。
【0093】
[0136]以上、第4実施形態に係る光コネクタ301では、回転ガイド機構によりアウターハウジング340がインナーハウジング320に対して初期位置から接続位置へと回転した際に、アウターハウジング340の前方壁343の開口領域344a,344bがフェルール102の前端面(ファイバ露出面)に揃う位置に移動する。よって、光コネクタ301を他のコネクタ等に差し込むために初期位置から接続位置へと回転した際にフェルール102の前端面、即ちフェルール102によって保持される光ファイバFの先端を外部に露出させることになるため、光ファイバFの先端面へのゴミの付着等を抑制することができる。しかも、アウターハウジング340は、初期位置から接続位置に向かって回転する際にフェルール102の前端面を清掃するクリーナを有している。このため、光コネクタ301を接続する際、光ファイバFの先端面へ付着したゴミ等を除去して光ファイバの露出端面を清浄な状態とすることができる。その結果、光コネクタ301を用いて光ファイバを接続する場合、ゴミの付着等による接続損失を低減することができる。また、光コネクタ301では、これに加え、フェルール102の構成により、光コネクタを小型化してもアウターハウジング340の回転動作によるフェルール102の端面露出を問題なく行うことができる。
【0094】
[第5実施形態]
[0137]第5実施形態に係る光コネクタ401について、
図31及び
図32を参照して説明する。
図31は、光コネクタ401の斜視図である。
図32は、光コネクタ401の分解斜視図である。
【0095】
[0138]光コネクタ401は、
図31及び
図32に示すように、第3実施形態に係る光コネクタ201を更に変更したコネクタであり、光コネクタ201と同様に、リアハウジング410と、インナーハウジング420と、アーム430と、アウターハウジング440と、弾性部材450a,450bと、アダプターロック補強部材460と、を備えている。光コネクタ401は、光コネクタ201と同様に多数の光ファイバを収納して接続するためのコネクタであり、リアハウジング410とインナーハウジング420とアーム430とアウターハウジング440と弾性部材450a,450bとアダプターロック補強部材460の基本的な構成及び機能は、光コネクタ201のリアハウジング210とインナーハウジング220とアーム230とアウターハウジング240と弾性部材250a及び250bとアダプターロック補強部材260の構成及び機能と同様である。以下の説明では、光コネクタ201との相違点について主に説明し、同様な部分の説明は省略することがある。
【0096】
[0139]リアハウジング410は、光コネクタ401の後端に位置し、光ファイバケーブルCをその中に挿通する部材である。リアハウジング410は、
図32及び
図33に示すように、一対の円周溝413と、一対の突出片414と、一対のスライド突起415と、一対のロック凸部418と、を備えている。一対の円周溝413、一対のスライド突起415及び一対のロック凸部418は、中心軸Gを中心として点対称に配置されている。
図33は、一方の円周溝413、一方のスライド突起415及び一方のロック凸部418を示しているが、他方の円周溝413、他方のスライド突起415及び他方のロック凸部418は中心軸Gを中心として、一方の円周溝413、一方のスライド突起415及び一方のロック凸部418に対して回転対称に配置されている。
【0097】
[0140]リアハウジング410の一対の円周溝413は、アーム430の凸部431a,432a(
図35を参照)をそれぞれ受け入れ、アーム430をリアハウジング410に対して所定の角度範囲で回転させる。各突出片414の内周面には、それぞれ内側に向かって突出するスライド突起415が設けられている。一対のスライド突起415は、光コネクタ401が接続位置から初期位置に戻る際のリアハウジング410の回転動作をガイドする。本実施形態では、突出片414は、リアハウジング410をインナーハウジング420にロックするためのラッチ、例えば第3実施形態のラッチ214a,215aのようなラッチ、を有していない。その代わり、リアハウジング410は、その外周面に一対のロック凸部418を有している。
【0098】
[0141]一対のロック凸部418は、光コネクタ401が初期位置から接続位置へと移動した際にアウターハウジング440をリアハウジング410に対してロックするために使用されるものである。一対のロック凸部418は中心軸Gを中心として点対称に配置されている。各ロック凸部418は、第1の傾斜面418aと第2の傾斜面418bとを含んでいる。第1の傾斜面418aは中心軸Gに沿って延在し、第2の傾斜面418bはリアハウジング410の周方向に沿って延在している。光コネクタ401が初期位置から接続位置へと移動する際、アウターハウジング440に設けられた一対の開口449の外側の縁部が第1の傾斜面418aを昇り、ロック凸部418がスムーズに開口449の内側にロックされる。光コネクタ401が接続位置から初期位置に移動する場合には、アウターハウジング440の開口449の内側の縁が第2の傾斜面418bを昇り、ロック凸部418がスムーズに開口449から解除される。
【0099】
[0142]インナーハウジング420は、
図32及び
図34に示すように、その前方に、フェルール2a~2dを収納するための4つの保持孔423a~423dを有している。インナーハウジング420は、その後方に、一対の凹面425と、一対の傾斜面426と、を有している。一対の凹面425と一対の傾斜面426は中心軸Gを中心として点対称に配置されている。
図34は、一方の凹面425と傾斜面426とを開示している。他方の凹面425と傾斜面426とは、一方の凹面425と傾斜面426と中心軸Gを中心として回転対称に配置されている。このインナーハウジングは、リアハウジング410のラッチを係合するための段差、第3実施形態の段差224のような段差、を含んでいない。
【0100】
[0143]インナーハウジング420は、保持孔423a~423dの各外周部分に4つの凹部421を更に有している。凹部421は、アダプター480の各ラッチ481~484を係合させる部分である(
図40の(a)及び(b)を参照)。インナーハウジング420は、4つの凹部421のうちの2つの凹部421の後方に、2つの横長の溝422を有し、バネ423を溝422に収納する。バネ423は、後述するアダプターロック補強部材460を前方に付勢するように機能する。
【0101】
[0144]アーム430は、
図32及び
図35に示すように、一対の側壁431,432と、側壁431,432を連結する連結部433と、連結部433の中央から前端に向かって延びる受け部434と、を有している。側壁431,432は、後方に凸部431a,432aを、前方にガイド突起431b,432bを、有している。凸部431a,432aは、リアハウジング410の各円周溝413に収納され、アーム430をリアハウジング410に対して所定の角度範囲で回転可能な状態で係合する。ガイド突起431b,432bは、アーム430の中心軸Gに沿った直線動作をアウターハウジング440の回転動作に変換する回転ガイド機構の一部を構成し、アウターハウジング440のガイド溝441に収納される(
図36A及び
図36Bを参照)。ガイド突起431b,432bの各ガイド溝441内での動作は、光コネクタ201の場合と同様である。受け部434は、弾性部材450bの後端を受ける。これにより、アーム430が後方に、即ちリアハウジング410に向けて押圧される。
【0102】
[0145]アウターハウジング440は、
図32、
図36A及び
図36Bに示すように、一対の溝441、前方壁443、4つの開口領域444a~444d、4つのクリーナ445a~445d、及び、一対のロック用開口449を備えている。
【0103】
[0146]アウターハウジング440には、アウターハウジング440をインナーハウジング420及びリアハウジング410に対して所定角度回転させると共に、インナーハウジング420に対して近づけるための回転ガイド機構として機能するガイド溝441が設けられている。各ガイド溝441は、光コネクタ201の場合と同様に、中心軸Gに対して傾斜する傾斜部441aと、傾斜部441aの両端から中心軸Gに沿ってそれぞれ延びる第1ストレート部441b及び第2ストレート部441cと、を有している。各ガイド溝441には、アーム430のガイド突起431b,432bがそれぞれ収納され、アーム430の前方への直線移動に伴って、アウターハウジング440をインナーハウジング420に対して回転させると共にインナーハウジング420に近づける。また、アウターハウジング440は、弾性部材450aの前端を受ける受け部446を有する。これにより、アウターハウジング440が前方に向けて押圧される。
【0104】
[0147]アウターハウジング440の前方壁443には、4つの開口領域444a~444dが設けられており、光コネクタ401が初期位置から接続位置まで移動すると、フェルール2a~2dの前端面3a~3dが各開口領域444a~444dから突出する(
図41の(c)を参照)。クリーナ445a~445dは、前方壁443の内側に位置しており、光コネクタ401が初期位置から接続位置まで移動してフェルール2a~2dを保持するインナーハウジング420に対してアウターハウジング440が回転した際に、フェルール2a~2dの前端面3a~3dや各フェルール2a~2dによって保持されている光ファイバの先端面を清掃する。
【0105】
[0148]クリーナ445a~445dは、
図37A及び
図37Bに示すように、前方壁443の内側表面に位置している。
図37Bは、クリーナ445bとそれに対応するフェルール2bとの断面図である。クリーナ445a,445c,445dは、
図37Bに示すクリーナ445bと同様の構成を備えている。この実施形態では、各クリーナ445a~445dは、フェルール2a~2dの前端面3a~3dと平行でなく且つフェルール2a~2dの前端面3a~3dよりもより鋭角な表面を有する鋭角部分446を有している。即ち、鋭角部分446は、鋭角形状でフェルール2bに向かって突出している。鋭角部分446は中心軸Gに対する角度は、例えば、30度~83度の範囲であってもよい。各クリーナ445a~445dは、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂等の樹脂材料から形成されるクリーニング布447を備えていている。クリーニング布447は、アウターハウジング440を回転させる際にフェルール2a~2dの前端面3a~3dを清掃するのに使用されるものであり、各開口領域444a~444dを通って鋭角部分446を含む前方壁443の一部に巻き付けられてもよい。クリーナ445a~445dは、
図37Cに示すように、フェルール2a~2dの前端面3a~3dと平行な面を有していてもよく、また、クリーナ445a~445dは前方壁443の内面に接着されていてもよい。
【0106】
[0149]弾性部材450aは、
図32に示すように、アウターハウジング440をインナーハウジング420に対して前方に押圧する。弾性部材450bは、アーム430をインナーハウジング420に対して後方に押圧する。一例では、アーム430を後方に押圧する弾性部材450bの方が、弾性部材450aよりも付勢力(バネ力)が強くなるように構成してもよい。このように後方の弾性部材450bの付勢力を強くすることにより、インナーハウジング420に収納されるフェルール2a~2dの前端面をアウターハウジング440が有するクリーナ445a~445dに押し付ける力を大きくすることができ、フェルール2a~2dの前端面、及びフェルール2a~2dによって保持される光ファイバの先端を効果的に清掃することができる。リアハウジング410とアウターハウジング440のロック係合を維持する力、及び、リアハウジング410を回してロックを解除した後、初期位置に戻る力を好適なものとすることができる。弾性部材450aの後端及び弾性部材450bの前端は、インナーハウジング420の中央の孔に設けられた受け板により支持される。
【0107】
[0150]アダプターロック補強部材460は、
図32及び
図38に示すように、略円筒形状の外形を有し、インナーハウジング420の前方部分の外側に配置される(
図39を参照)。アダプターロック補強部材460は、アダプター480(
図43の(a)及び(b)を参照)を介して光コネクタ401を他の光コネクタに接続する際、アダプター480へのロックを補強する部材である。アダプター480には、その内周に4つの突出片481~484が周方向に等間隔で設けられており、また、一対の位置決め部材486も設けられている(
図40の(a)及び(b)を参照)。一対の位置決め部材486は、光コネクタ401の回転方向の位置を調整する。突出片481~484の各先端にはラッチが設けられている。光コネクタ401をアダプター480に接続する際、これらのラッチがインナーハウジング420の凹部421に係合し、光コネクタ401がアダプター480にロックされる。アダプターロック補強部材460は、このロックをした際にラッチが外側に外れて意図しないロック解除が発生しないように、4つの補強板462により突出片481~484のラッチを内部方向に固定する。アダプターロック補強部材460は、光コネクタ201がアダプター280に接続されて、これらラッチがインナーハウジング420の凹部421まで移動する際、バネ423の付勢に抗して、一時的にやや後方に移動することができる。そして、アダプターロック補強部材460は、ラッチが凹部421に完全に係合した後、バネ423により前方に移動してラッチを外側から覆い、光コネクタ401のアダプター480へのロックを補強する。
【0108】
[0151]アダプターロック補強部材460は、三角形状又は矩形状の解除用突起464をそれぞれが含む一対の突出片465を後端に有している。一対の突出片465は、中心軸Gを中心として回転対称に設けられている。各突出片465は、
図38及び
図39に示すように、アダプターロック補強部材460がインナーハウジング420の前方外周に配置された際、インナーハウジング420の空隙427に配置される。この構成により、光コネクタが接続位置から初期位置に復帰する際、スライド突起415が一時的に解除用突起464に係合する。そして、リアハウジング410が更に回転させると、スライド突起415が解除用突起464を回転方向に押すことにより、アダプターロック補強部材460を一時的に後方に引き下げる。これにより、アダプター480のラッチが係合するインナーハウジング420の凹部421から補強板462が外れて、光コネクタ401がアダプター480からロック解除される。解除用突起464の形状は限定されないが、三角形状であると、リアハウジング410の回転によってアダプターロック補強部材460を引き下げることが可能であり、アダプターロック補強部材460を一時的に引き下げた後、リアハウジング410のスライド突起415の後方への動作をスムーズにすることができる。
【0109】
[0152]光コネクタ401(インナーハウジング420及びアウターハウジング440)に一対の矢印428及び一対の矢印448を設け、アダプター480に二対の矢印488を設けてもよい。この二対の矢印488の第1の対の矢印488は、矢印428及び矢印448に対応する。これにより、外観から光コネクタ401の位置決めを行うことができる。一対の矢印428は、インナーハウジング420の外周面において、中心軸Gに対して点対称又は回転対称となる位置に配置される。一対の矢印448は、アウターハウジング440の外周面において、中心軸Gに対して点対称又は回転対称となる位置に配置される。二対の矢印488の第1及び第2の対の矢印488は、アダプター480の外周面において、中心軸Gに対して点対称又は回転対称となる位置に配置される。このような位置決めにより、光コネクタ401のアダプター480又は接続される他の光コネクタに対する回転方向の位置決めを確実に行うことができる。第2の対の矢印488は、他の光コネクタのアダプター480に対する位置決めのために用いられる。
図43の(a)には、光コネクタ401を他の光コネクタに接続するために、光コネクタ401がアダプター480に取り付けられた例が示されている。なお、一対の矢印428、一対の矢印448、第1の一対の矢印488のぞれぞれは互いに色分けされていてもよい。例えば、一対の矢印428の一方、一対の矢印448の一方、第1の一対の矢印488の一方がオレンジ色付けされており、一対の矢印428の他方、一対の矢印448の他方、第1の一対の矢印488の他方が青色付けされていてもよい。これにより、使用者は、光コネクタ401をアダプター480に接続した後、アダプター480に対する光コネクタ401の回転方向、例えば、0度又は180度の回転角度の何れであるか、を認識することができる。なお、第2の対の矢印488が色分けされていてもよい。
【0110】
[0153]上述した構成を備えた光コネクタ401における各部品間の連結関係及び基本的な動作は、光コネクタ201と同様である。即ち、リアハウジング410を中心軸Gに沿ってインナーハウジング420に対して前方に移動すると、リアハウジング410と共に、アーム430がインナーハウジング420に対して前方に移動する。そして、アーム430が中心軸Gに沿って前方に直線移動すると、アーム430のガイド突起431b,432bとアウターハウジング440の内周に設けられた両ガイド溝441とを含む回転ガイド機構により、アウターハウジング440が中心軸Gを中心としてインナーハウジング420に対して回転すると共に近づく。この操作により、アウターハウジング440の開口領域444a~444dにフェルール2a~2d又は保持孔423a~423dが保持する光ファイバFの前端面3a~3dが揃う配置となる。この接続位置では、各ロック凸部418は、ロック用開口449内に移動し、回転したアウターハウジング440をリアハウジング410に対してロックする。
【0111】
[0154]光コネクタ401は、本実施形態においては、リアハウジング410をインナーハウジング420に接続するためのラッチ機構を有していない。しかしながら、光コネクタ401は、アウターハウジング440をリアハウジング410に対してロックするためのロック機構を有している。
図41の(a)、
図41の(b)、
図42の(a)に示すように、光コネクタ401が初期位置から接続位置まで遷移する場合、リアハウジング410はアウターハウジング440に向かって直線状に移動し、このリアハウジング410の直線移動を維持しつつアウターハウジング440をリアハウジング410に対して回転することにより、リアハウジング410は、中心軸Gに対して斜めに移動する。そして、リアハウジング410は、
図41の(b)及び
図42の(b)に示すように、各ロック凸部418を各ロック用開口449に挿入することにより、アウターハウジング440をロックする。このロックにより、アウターハウジング440は、直線的な移動、及び/又は、リアハウジング410やインナーハウジング420に対する回転動作を停止させられ、接続位置であることが維持される。これらロック凸部418及びロック用開口449によるロック動作は、光コネクタ401がアダプター480にラッチされた後に行われるようにしてもよい。これにより、光コネクタ401の使用者はアウターハウジングがリアハウジングに強固にロックされている、つまり、光コネクタが初期位置から接続位置まで確かに遷移したことを実感することができる。
【0112】
[0155]リアハウジング410がアウターハウジング440をロックした後、
図41の(b)及び(c)に示すように、リアハウジング410を周方向に回転することにより、各ロック凸部418の各ロック用開口449への係合が取り除かれると、アウターハウジング440がリアハウジング410からロック解除される。その後、
図41の(a)及び
図42の(a)に示すように、弾性部材450a,450bがリアハウジング410を後ろ側に押し出して初期位置に戻る。なお、アウターハウジング440には、一対の傾斜面449aが設けられてもよく、この傾斜面449aは、ロック凸部418が初期位置に向かう際のガイドをするように構成されている。各傾斜面449aは、ロック用開口449に近接して位置しており、中心軸Gに対して傾斜している。このような傾斜面449aは、光コネクタ401(ロック凸部418)が接続位置から初期位置に戻る際の動きをスムーズなものとすることができる。
【0113】
[0156]以上、第5実施形態に係る光コネクタ401は、光コネクタ201と同様に、回転ガイド機構によりアウターハウジング440がインナーハウジング420に対して初期位置から接続位置へと回転した際に、アウターハウジング440の前方壁443の開口領域444a~444dがフェルール2a~2d又は保持孔423a~423dに揃う位置に移動する。よって、光コネクタ401を他のコネクタ等に差し込むために初期位置から接続位置へと回転した際にフェルール2a~2dの前端面、即ちフェルール2a~2dによって保持される光ファイバFの先端を外部に露出させることになるため、光ファイバFの先端面へのゴミの付着等を抑制することができる。しかも、アウターハウジング440は、初期位置から接続位置に向かって回転する際にフェルール2a~2dの前端面を清掃するクリーナ445a~445dを有している。このため、光コネクタ401を接続する際、光ファイバFの先端面へ付着したゴミ等を除去して光ファイバの露出端面を清浄な状態とすることができる。その結果、光コネクタ401を用いて光ファイバを接続する場合、ゴミの付着等による接続損失を低減することができる。
【0114】
[0157]光コネクタ401では、これに限定されないが、多数の光ファイバ(例えば96芯の光ファイバ)を一括して他の光ファイバに接続することができるため、接続作業に係る時間を従来に比べて低減することができる。しかも、接続位置から初期位置へ弾性部材450a,450bによって復帰できる構成になっていることから、接続の解除作業も容易に行える。
【0115】
[0158]光コネクタ401は、アダプターロック補強部材460及びそれに対応するインナーハウジング420のバネ構成等を備えている。このため、アダプター480を介して光コネクタ401を他の光コネクタに接続する場合、光コネクタ401をアダプター480により確実且つ堅固に接続させることができる。
【0116】
[0159]光コネクタ401では、各ロック凸部418が中心軸Gに沿って延在する第1の傾斜面418aを有している。この傾斜面は、ロック凸部418のロック用開口491へのロック用の移動を容易なものとすることができる。また、各ロック凸部418は、リアハウジング410の周方向に沿って延在する第2の傾斜面418bを有している。この傾斜面は、ロック凸部418のロック用開口491からのロック解除動作を容易なものとすることができる。
【0117】
[0160]光コネクタ401では、アウターハウジング440は、前方壁の内側に位置するクリーナ445a~445dを有しており、クリーナ―445a~445dは各光ファイバの先端を清掃する。クリーナ445a~445dは、開口領域444a~444dを介して前方壁443の周りに、巻き付けられてよい。この構成によれば、前方壁にクリーナを接着する接着剤の使用をやめて、光ファイバの先端が接着剤によって汚されることを避けることができる。また、前方壁443は、フェルール2a~2dの前方壁に対して平行でない鋭角部分446を有していてもよい。クリーニング布447は、鋭角部分446に取り付けられていてもよい。このような構成により、光ファイバの先端の清掃機能が強化される。
【0118】
[0161]以上、各実施形態に係る光コネクタ及びアダプター等について説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変形を適用することができる。例えば、光コネクタ1等では、回転ガイド機構Sの一方を構成するガイド突起をアームの外周に設け、回転ガイド機構Sの他方を構成するガイドをアウターハウジングの内周に設けているが、逆に、回転ガイド機構Sの一方を構成するガイド突起をアウターハウジングの内周に設け、回転ガイド機構Sの他方を構成するガイド溝をアームの外周に設けてもよい。また、耐久性に効果的である点と機能の説明のし易さの点から、1つのラッチ又は1つの突起が1つの機能を備える例と、小型化に効果的である点から1つのラッチ又は1つの突起が複数の機能を兼ね備える例を示したが、1つのラッチ又は1つの突起がいくつの機能を備えるかについては適宜変更することが可能である。また、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。