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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】半導体装置、及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 29/50 20060101AFI20221219BHJP
   G11C 5/14 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G11C29/50 100
G11C5/14 420
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019566003
(86)(22)【出願日】2019-01-11
(86)【国際出願番号】 IB2019050207
(87)【国際公開番号】W WO2019142081
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2018007209
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】國武 寛司
(72)【発明者】
【氏名】本田 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】熱海 知昭
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-188214(JP,A)
【文献】特表平8-508600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 29/50
G11C 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1トランジスタ、第1容量素子、第1出力端子、第1スイッチ、および第2スイッチを有し、
前記第1トランジスタのゲートとソースは電気的に接続され、
前記第1容量素子の第1端子および前記第1出力端子は、前記第1トランジスタのバックゲートに電気的に接続され、
前記第1容量素子の第2端子は、前記ソースに電気的に接続され、
前記第1スイッチは、前記バックゲートへの第1電圧の入力を制御し、
前記第1トランジスタのドレインは、第2電圧が入力され、
前記第2スイッチは、前記ソースへの第3電圧の入力を制御する半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチはそれぞれ、チャネル形成領域に金属酸化物を有するトランジスタである半導体装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記第1トランジスタはnチャネル型トランジスタであり、
前記第1乃至第3電圧は定電圧であり、
前記第1トランジスタはノーマリオン特性を示し、かつ前記ドレインと前記ソース間の電圧は0Vよりも大きくなるように、前記第2電圧および前記第3電圧が設定されている半導体装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1トランジスタはpチャネル型トランジスタであり、
前記第1乃至第3電圧は定電圧であり、
前記第1トランジスタがノーマリオン特性を示し、かつ前記ドレインと前記ソース間の電圧が0Vよりも小さくなるように、前記第2電圧および前記第3電圧が設定されている半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項において、
さらにバックゲートを有する第2トランジスタを有し、
前記第1出力端子から出力される第4電圧に応じて、前記第2トランジスタのバックゲートに入力される電圧が変化される半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか1項において、
さらに第3トランジスタを有し、
前記第1出力端子から出力される第4電圧に応じて、前記第3トランジスタのゲートに入力される電圧が変化される半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れか1項において、
さらに、第2容量素子、電流電圧変換回路および増幅回路を有し、
前記第2容量素子の第1端子は、前記第1出力端子に電気的に接続され、
前記第2容量素子の第2端子は、前記電流電圧変換回路の入力端子に電気的に接続され、
前記増幅回路は、前記電流電圧変換回路から出力される第5電圧を増幅し、第6電圧を出力する半導体装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記電流電圧変換回路は、ソースフォロワ回路である半導体装置。
【請求項9】
請求項7において、
温度が上昇すると、前記第6電圧は減少する半導体装置。
【請求項10】
請求項7乃至9の何れか1項において、
前記増幅回路は、オペアンプである半導体装置。
【請求項11】
請求項7乃至10の何れか1項において、
さらに、バックゲートを有する第4トランジスタを有し、
前記第6電圧に応じて、前記第4トランジスタのバックゲートに入力される電圧が変化される半導体装置。
【請求項12】
請求項7乃至10の何れか1項において、
さらに第5トランジスタを有し、
前記第6電圧に応じて、前記第5トランジスタのゲートに入力される電圧が変化する半導体装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1項に記載の半導体装置の動作方法であり、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチをオンにすること、
前記第1スイッチをオンにし、かつ前記第2スイッチをオフにすること、
前記第1スイッチをオフにし、かつ前記第2スイッチをオフにすること、
前記第1スイッチをオフにし、かつ前記第2スイッチをオンにすることを含む半導体装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、半導体装置、並びにその動作方法と作製方法等について説明する。
【0002】
本明細書において、半導体装置とは、半導体特性を利用した装置であり、半導体素子(トランジスタ、ダイオード、フォトダイオード等)を含む回路、同回路を有する装置等をいう。また、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般をいう。例えば、集積回路、集積回路を備えたチップや、パッケージにチップを収納した電子部品は半導体装置の一例である。また、記憶装置、表示装置、発光装置、照明装置及び電子機器等は、それ自体が半導体装置であり、半導体装置を有している場合がある。
【背景技術】
【0003】
トランジスタに適用可能な半導体として金属酸化物が注目されている。“IGZO”、“イグゾー”などと呼ばれるIn-Ga-Zn酸化物は、多元系金属酸化物の代表的なものである。IGZOに関する研究において、単結晶でも非晶質でもない、CAAC(c-axis aligned crystalline)構造、およびnc(nanocrystalline)構造が見出された(例えば、非特許文献1)。
【0004】
チャネル形成領域に金属酸化物半導体を有するトランジスタ(以下、「酸化物半導体トランジスタ」、または「OSトランジスタ」と呼ぶ場合がある。)は、極小オフ電流であることが報告されている(例えば、非特許文献1、2)。OSトランジスタが用いられた様々な半導体装置が作製されている(例えば、非特許文献3、4)。OSトランジスタの製造プロセスは、従来のSiトランジスタとのCMOSプロセスに組み込むことができ、OSトランジスタはSiトランジスタに積層することが可能である(例えば、非特許文献4)。
【0005】
Siトランジスタは、不純物導入によりしきい値電圧の制御が容易にできる。他方、OSトランジスタのしきい値電圧を制御する高い信頼性の製造技術は確立されていない。そこで、OSトランジスタに、第1ゲート電極(ゲート、またはフロントゲートともいう)、および第2ゲート電極(バックゲートともいう)を設け、第2ゲート電極の電圧を制御することで、OSトランジスタのしきい値電圧を制御している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-69932号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】S.Yamazaki et al.,“Properties of crystalline In-Ga-Zn-oxide semiconductor and its transistor characteristics,”Jpn.J.Appl.Phys.,vol.53,04ED18(2014).
【文献】K.Kato et al.,“Evaluation of Off-State Current Characteristics of Transistor Using Oxide Semiconductor Material,Indium-Gallium-Zinc Oxide,”Jpn.J.Appl.Phys.,vol.51,021201(2012).
【文献】S.Amano et al.,“Low Power LC Display Using In-Ga-Zn-Oxide TFTs Based on Variable Frame Frequency,“SID Symp.Dig.Papers,vol.41,pp.626-629(2010).
【文献】T.Ishizu et al.,“Embedded Oxide Semiconductor Memories:A Key Enabler for Low-Power ULSI,”ECS Tran.,vol.79,pp.149-156(2017).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一形態の課題は、例えば、トランジスタのしきい値電圧を取得できる半導体装置を提供すること、温度による性能変動が抑えられた半導体装置を提供すること、高信頼性の半導体装置を提供すること、又は低消費電力の半導体装置を提供することである。
【0009】
複数の課題の記載は、互いの課題の存在を妨げるものではない。本発明の一形態は、例示した全ての課題を解決する必要はない。また、列記した以外の課題が、本明細書の記載から、自ずと明らかとなり、このような課題も、本発明の一形態の課題となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の一形態は、第1トランジスタ、第1容量素子、第1出力端子、第1スイッチおよび第2スイッチを有する半導体装置であり、第1トランジスタのゲートとソースは電気的に接続され、第1容量素子の第1端子および第1出力端子は第1トランジスタのバックゲートに電気的に接続され、第1容量素子の第2端子はソースに電気的に接続され、第1スイッチはバックゲートへの第1電圧の入力を制御し、第1トランジスタのドレインは第2電圧が入力され、第2スイッチはソースへの第3電圧の入力を制御する半導体装置である。
【0011】
(2)本発明の一形態は、上記形態(1)の半導体装置を動作する方法であり、第1スイッチおよび第2スイッチをオンにすること、第1スイッチをオンにし、かつ第2スイッチをオフにすること、第1スイッチをオフにし且つ第2スイッチをオフにすること、第1スイッチをオフにし、かつ第2スイッチをオンにすることを含む。
【0012】
本明細書において、「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、順序を表すために使用される場合がある。または、構成要素の混同を避けるために使用する場合がある。これらの場合、序数詞の使用は発明の一態様の構成要素の個数を限定するものではない。また、例えば、「第1」を「第2」または「第3」に置き換えて、本発明の一形態を説明することができる。
【0013】
発明の一態様の構成要素の位置関係は、相対的である。従って、図面を参照して構成要素を説明する場合、位置関係を示す「上に」、「下に」等の語句は便宜的に用いられる場合がある。構成要素の位置関係は、本明細書の記載内容に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0014】
本明細書等において、XとYとが接続されていると記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図面または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に開示されているものとする。X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層など)であるとする。
【0015】
電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)、またはソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である。なお、電位とは相対的なものである。よって、GNDと記載されていても、必ずしも0Vを意味しない場合もある。
【0016】
ノードは、回路構成やデバイス構造等に応じて、端子、配線、電極、導電層、導電体、不純物領域等と言い換えることが可能である。また、端子、配線等をノードと言い換えることが可能である。
【0017】
本明細書において、「膜」という言葉と「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。例えば、「絶縁膜」という用語を「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0018】
図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一形態によって、トランジスタのしきい値電圧を取得できる半導体装置を提供すること、温度による性能変動が抑えられた半導体装置を提供すること、高信頼性の半導体装置を提供すること、または低消費電力の半導体装置を提供することが可能になる。
【0020】
複数の効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。また、本発明の一形態は、必ずしも、例示した効果の全てを有する必要はない。また、本発明の一形態について、上記以外の課題、効果、および新規な特徴については、本明細書の記載および図面から自ずと明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】半導体装置の構成例を示す機能ブロック図。
図2】A:バックゲートを有するトランジスタを説明する図。B:バックゲートを有するトランジスタの等価回路図。
図3】A:モニタ回路の構成例を示す回路図。B:モニタ回路の動作例を示すタイミングチャート。
図4】A~D:モニタ回路の動作例を示す回路図。
図5】A:シミュレーションでのモニタ回路の入力波形。B:モニタ回路のシミュレーション結果を示す図。
図6】モニタ回路の構成例を示す回路図。
図7】半導体装置の構成例を示す回路図。
図8】電圧生成回路の構成例を示す回路図。
図9】半導体装置の動作例を示すタイミングチャート。
図10】半導体装置の構成例を示す機能ブロック図。
図11】半導体装置の構成例を示す機能ブロック図。
図12】A:回路の構成例を示す回路図。B:回路の動作例を示すタイミングチャート。
図13】A:記憶装置の構成例を示す機能ブロック図。B:メモリセルアレイの構成例を示す回路図。
図14】A~D:メモリセルアレイの構成例を示す回路図。
図15】記憶装置の構成例を示す機能ブロック図。
図16】A:メモリセルアレイの構成例を示す回路図。B:記憶装置のパワーゲーティングの例を示すタイミングチャート。
図17】プロセッサの構成例を示す機能ブロック図。
図18】フリップフロップの構成例を示す回路図。
図19】電子機器の例を示す図。
図20】A:OSトランジスタの構成例を示す上面図。B、C:OSトランジスタの構成例を示す断面図。
図21】A:OSトランジスタの構成例を示す上面図。B、C:OSトランジスタの構成例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明の一形態は、以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明の一形態は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
以下に示される複数の実施の形態は適宜組み合わせることが可能である。また1の実施の形態の中に、複数の構成例(作製方法例、動作方法例、使用方法例等も含む。)が示される場合は、互いの構成例を適宜組み合わせること、および他の実施の形態に記載された1または複数の構成例と適宜組み合わせることも可能である。
【0024】
図面において、同一の要素または同様な機能を有する要素、同一の材質の要素、あるいは同時に形成される要素等には同一の符号を付す場合があり、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0025】
本明細書において、例えば、電源電位VDDを、電位VDD、VDD等と省略して記載する場合がある。これは、他の構成要素(例えば、信号、電圧、回路、素子、電極、配線等)についても同様である。
【0026】
また、複数の要素に同じ符号を用いる場合、特に、それらを区別する必要があるときには、符号に“_1”、”_2”、”[n]”、”[m,n]”等の識別用の符号を付記して記載する場合がある。例えば、2番目の配線GLを配線GL[2]と記載する。
【0027】
〔実施の形態1〕
本実施の形態では、バックゲートを有するトランジスタを有する半導体装置等について説明する。
【0028】
<<半導体装置100>>
図1は半導体装置100の機能ブロック図である。半導体装置100は、半導体装置110、および電圧出力回路120を有する。半導体装置110はトランジスタM1を有する。電圧出力回路120はモニタ回路130を有する。モニタ回路130は、トランジスタM1の電気特性の変動を監視する機能を備える。モニタ回路130が取得した情報に基づいて、電圧出力回路120は電圧VOT1を調整する。半導体装置110は、電圧出力回路120から電圧VOT1が供給される。
【0029】
図2A図2Bを参照して、トランジスタM1のしきい値電圧について説明する。トランジスタM1はソース(S)、ドレイン(D)、ゲート(G)、バックゲート(BG)、半導体層を有する。ゲートとバックゲートとは半導体層を挟んで上下に配置され、半導体層にはチャネル形成領域が設けられている。
【0030】
ゲートとソース間の電圧差(以下、電圧Vgsと呼ぶ)、またはバックゲートとソース間の電圧差(以下、電圧Vbgsと呼ぶ)に従って、トランジスタM1はオンまたはオフになる。電圧VgsがVTgよりも大きくなると、半導体層のゲート側の領域にはチャネルが形成される(または、キャリアが誘起される)場合がある。電圧VbgsがVTbgよりも大きくなると、半導体層のバックゲート側の領域にはチャネルが形成される(または、キャリアが誘起される)場合がある。つまり、トランジスタM1には、VTg、VTbgという2つのしきい値電圧が存在する。VTgは電圧Vgsに対するしきい値電圧であり、VTbgは電圧Vbgsに対するしきい値電圧である。
【0031】
Vgs>VTg、または、Vbgs>VTbgとなる場合に、トランジスタM1はオンになる。従って、しきい値電圧がVTgであるトランジスタMa1と、しきい値電圧がVTbgであるトランジスタMa2とが電気的に並列接続された回路10(図2B参照)と等価な機能をトランジスタM1は有しているといえる。
【0032】
トランジスタM1のチャネルの形成は、ゲート電圧Vgとバックゲート電圧Vbgとによって制御されるため、VTgはVbgsに依存し、VTbgはVgsに依存する。例えば、トランジスタM1がオンとなる条件は、下記式(1.1)で表される場合がある。式(1.1)において、VTは定電圧であり、Cgはゲートと半導体層の間の単位面積当たりのゲート容量であり、Cbgはバックゲートと半導体層の間の単位面積当たりのバックゲート容量である。
【0033】
(Cg×Vgs+Cbg×Vbgs)/(Cg+Cbg)>VT(1.1)
【0034】
上記の場合において、VTgは、式(1.2)に示すVbgsの線形関数で表すことができる。
VTg=(1+Cbg/Cg)×VT-Cbg/Cg×Vbgs(1.2)
【0035】
ゲートと半導体層間の電界強度はゲートと半導体層の間のゲート容量に依存し、バックゲートと半導体層間の電界強度は、バックゲートと半導体層の間のバックゲート容量に依存する。そのため、式(1.3)に示すように、VTbgは、VTgを変数とする線形関数で表される場合がある。βは係数であり、Vβは定電圧である。
VTbg=β×VTg+Vβ(1.3)
【0036】
なお、本明細書では、しきい値電圧VTgは、電圧Vgsを横軸、ドレイン電流Idの平方根を縦軸にプロットしたVgs-Id1/2特性曲線において、最大傾きである接線を外装した直線と、Id1/2=0Aとの交点における電圧Vgsである。同様に、しきい値電圧VTbgは、Vgsが0VのときのVbgs-Id1/2特性曲線において、最大傾きである接線を外装した直線とId1/2=0Aとの交点における電圧Vbgsである。
【0037】
または、トランジスタのチャネル長/チャネル幅がL/Wであるとき、しきい値電圧VTgは、Id×L/Wが1×10-12[A]であるときの電圧Vgsを指す場合がある。また、しきい値電圧VTbgは、Vgsが0Vであり、Id×L/Wが1×10-12[A]であるときの電圧Vbgsを指す場合がある。
【0038】
なお、本明細書では、バックゲートを有するトランジスタのしきい値電圧VTgは、Vbgsが0Vであるときの、Vgs-Id1/2特性から算出される。
【0039】
トランジスタの電気特性には温度依存性がある。温度TのときのVTg(T)とVbg(T)との関係は、式(1.4)で表されることを確認している。Trefは基準温度であり、αは係数である。
Vbg(T)-Vbg(Tref)
=α(VTg(T)-VTg(Tref))(1.4)
【0040】
<モニタ回路130>
図3Aはモニタ回路130の回路構成例を示す。モニタ回路130は、トランジスタM1r、M11、M12、容量素子C11、ノードSrb、Srs、および端子a1~a6を有する。
【0041】
ここでは、トランジスタM1r、M11、M12は、バックゲートを有するOSトランジスタである。ノードSrb、Srsは、トランジスタM1rのバックゲート、ソースにそれぞれ対応する。トランジスタM11、M12のバックゲートは電圧VBGM1が入力される。トランジスタM12のバックゲートに、電圧VBGM1と異なる電圧を入力してもよい。
【0042】
トランジスタM1rのゲート、ドレインはノードSrs、端子a4にそれぞれ電気的に接続されている。トランジスタM11のゲート、ソース、ドレインは端子a1、ノードSrb、端子a3にそれぞれ電気的に接続されている。トランジスタM12のゲート、ソース、ドレインは端子a2、a5、ノードSrsにそれぞれ電気的に接続されている。容量素子C11の第1端子、第2端子はノードSrb、Srsにそれぞれ電気的に接続されている。
【0043】
端子a1、a2は信号MON1、MON2がそれぞれ入力される。信号MON1、MON2の低レベル(“L”)、高レベル(“H”)はそれぞれVSSA、VDDAである。電圧VSSAは例えば、0VまたはGNDとすればよい。端子a3、a4、a5は電圧V1、V2、VSSAがそれぞれ入力される。端子a6はモニタ回路130の出力端子であり、ノードSrbに電気的に接続されている。
【0044】
モニタ回路130は、トランジスタM1rのしきい値電圧VTbgを監視する機能を備える。トランジスタM1rは代表的にはトランジスタM1のレプリカトランジスタであり、トランジスタM1と同じ仕様である。モニタ回路130で取得されたトランジスタM1rのしきい値電圧VTbgに関する情報をもとに、例えば、トランジスタM1のバックゲート電圧Vbg及び/又はゲート電圧Vgを変更することで、トランジスタM1のしきい値電圧VTg及び/又はVTbgの変動を補正することができる。
【0045】
図3A図3B図4A図4Dを参照して、モニタ回路130の動作例を説明する。以下の説明において、トランジスタM1rのしきい値電圧VTg(T)、VTbg(T)、ならびに電圧Vgs、Vbgs、VdsをそれぞれVTg(T)_r、VTbg(T)_r、Vgs_r、Vbgs_r、Vds_rと表す。本明細書では、PVT(プロセス・電圧・温度)のベストケース、ワーストケースでのトランジスタのしきい値電圧の絶対値は、最大、最小であるとする。半導体装置100の動作温度範囲はTmin以上Tmax以下であり、温度のベストケース、ワーストケースはそれぞれTmin、Tmaxである。
【0046】
図3Bは、期間TT1~TT4でのモニタ回路130のタイミングチャートである。図4A図4Dは、それぞれ、期間TT1~TT4でのモニタ回路130の動作を示す簡略化された回路図であり、トランジスタM11、M12はスイッチで示されている。Vrs、VrbはそれぞれノードSrs、Srbの電圧であり、Id_rはトランジスタM1rのドレイン電流である。温度はTmとする。
【0047】
(期間TT1:初期化動作)
期間TT1では、ノードSrs、Srbの初期化が行われる。トランジスタM11、M12をオンにするため、モニタ回路130には“H”の信号MON1、MON2が入力される。ノードSrs、SrbにはそれぞれVSSA、V1が入力される。
【0048】
トランジスタM1rはnチャネル型トランジスタであるため、式(2.1)~(2.3)を満たすように電圧V1、V2、Vaはそれぞれ設定されている。Vaは定電圧である。
V1>VTbg(Tmin)_r (2.1)
V2=V1-VTbg(Tmax)_r+Va>VSSA (2.2)
VTbg(Tmin)_r-VTbg(Tmax)_r+Va>0(2.3)
【0049】
式(2.1)を満たしたしているため、動作温度範囲において、トランジスタM1rはノーマリオン特性を示す。式(2.1)~(2.3)を満たしているため、電圧Vds_r=V2-VSSAは0Vよりも大きい。従って、ドレイン電流Id_rが流れる。
【0050】
(期間TT2)
トランジスタM12をオフにするため、モニタ回路130には“L”の信号MON2が入力される。ノードSrsは電気的に浮遊状態になる。
【0051】
ドレイン電流Id_rによって、容量素子C11は充電され、電圧Vrsは上昇する。そのため、電圧Vbgs_rは低下し、トランジスタM1rはサブスレショルド領域で動作する。電圧Vbgs_rがしきい値電圧VTbg(Tm)_rに至ると、トランジスタM1rはオフ状態となるため、電圧Vrsは、V1-VTbg(Tm)_rに収束する。なお、モニタ回路130の動作の理解を容易にするため、トランジスタM1r、M11、M12のリーク電流を無視している。
【0052】
式(2.1)~(2.3)を満たしているので、電圧VrsがV1-VTbg(Tm)_rに収束した状態でも、動作温度範囲においてトランジスタM1rの電圧Vds_rは0Vよりも大きい。
【0053】
(期間TT3)
トランジスタM11をオフにするため、モニタ回路130には“L”の信号MON1が入力される。期間TT3では、ノードSrs、Srbは電気的に浮遊状態になる。ノードSrbとノードSrs間の電圧差は、V1-(V1-VTbg(Tm)_r)=VTbg(Tm)_rである。つまり、容量素子C11によって、電圧Vbgs_rはVTbg(Tm)_rに固定されているので、トランジスタM1rはオフ状態が維持される。
【0054】
温度Tmaxにおいても、電圧Vbgs_rの変動を抑えるため、電圧VBGM1は十分に低い電圧であることが好ましい。
【0055】
(期間TT4)
期間TT4でトランジスタM12をオンにするため、モニタ回路130には“H”の信号MON2が入力される。ノードSrsには電圧VSSAが入力される。ノードSrbとノードSrs間の電圧差はVTbg(Tm)_rに固定されているので、電圧VrbはVTbg(Tm)_r+VSSAとなる。電圧Vrbが電圧Vmonとして端子a6から出力される。電圧VSSAは電源電圧であって、トランジスタM1rの電気特性に依存しないため、端子a6の電圧Vmonを取得することは、しきい値電圧VTbg(Tm)_rを取得することに相当する。例えば、電圧VSSAが0Vであれば、電圧Vmonはしきい値電圧VTbg(Tm)_rと同じになる。
【0056】
しきい値電圧VTbg(Tm)_r、VTg(Tm)_rには式(1.3)の関係があり、トランジスタM1rは、トランジスタM1のレプリカトランジスタである。したがって、電圧Vmonを用いることで、トランジスタM1のしきい値電圧VTg及び/又はVTbgの温度による変動を補正することができる。
【0057】
電圧出力回路120は、電圧Vmonに基づいて電圧VOT1を生成する。例えば、トランジスタM1のバックゲートに入力されるバイアス電圧として、電圧VOT1を用いることで、トランジスタM1のしきい値電圧VTgの温度による変化を補正することができる。別の例では、半導体装置110において、電圧VOT1に基づいて、トランジスタM1のゲート電圧の“H”及び/又は“L”の電圧を調整することで、トランジスタM1のオン電流特性およびオフ電流特性の温度による変化を補正することができる。
【0058】
モニタ回路130の動作をシミュレーションによって確認した。図5Aは、シミュレーションでのモニタ回路130のタイミングチャートである。電圧VSSA、VDDD、V1、V2は、それぞれ0V、3.3V、2.5V、2.9Vである。電圧VBGM1は0Vである。電圧VSSAが0Vであるため、電圧Vmonはしきい値電圧VTbg_rと同じになる。トランジスタM1rのしきい値電圧VTg_r、VTbg_rのみが温度によって変化すると想定し、しきい値電圧VTg_rに幾つかの電圧値を設定し、各電圧値について電圧Vmonを算出した。図5Bはシミュレーション結果であり、しきい値電圧VTg_rに対する電圧Vmonの変化を示している。図5Bは、電圧Vmonを取得することで、温度によるしきい値電圧VTg_rの変化を監視できることを示している。
【0059】
モニタ回路130の素子は非常に少ないので、トランジスタM1に近接してモニタ回路130を設けることが容易である。この場合、トランジスタM1の電気特性をより高精度に補正することができる。モニタ回路130を用いることで、温度センサを設けなくとも、トランジスタM1の電気特性の温度補正を行うことが可能である。したがって、モニタ回路130を用いることで、トランジスタM1のしきい値電圧の温度補正機能を半導体装置100に加えても、半導体装置100の面積およびエネルギーのペナルティーを抑えることができる。また、モニタ回路130自体を温度センサとして用いることができる。
【0060】
以下、半導体装置100の幾つかの変形例を示す。
【0061】
トランジスタM11、M12はOSトランジスタに限定されない。例えば、nチャネル型またはpチャネル型Siトランジスタとすることができる。なお、トランジスタM11、M12がSiトランジスタである場合、トランジスタM11、M12のオフ電流特性が十分ではないため、動作周波数が低すぎると、期間TT3、TT4において、電圧Vrb、Vrsの変動が許容されなくなる。他方、トランジスタM11、M12が極小オフ電流のOSトランジスタであれば、電圧Vrb、Vrsの変動を抑えることができるので、モニタ回路130の動作周波数を必要以上に高くしなくてもよい。よって、モニタ回路130の動的消費電力を抑えることができる。
【0062】
トランジスタM11、M12はバックゲートの無いトランジスタとすることができる。この場合、トランジスタM11、M12のオフ電流特性を向上させるため、例えば、トランジスタM11、M12がnチャネル型トランジスタであれば、信号MON1、MON2の“L”をVSSAよりも低くしてもよい。トランジスタM11、M12がpチャネル型トランジスタであれば、信号MON1、MON2の“H”をVDDAよりも高くしてもよい。
【0063】
トランジスタM1はバックゲートの無いトランジスタとすることができる。この場合、トランジスタM1rとトランジスタM1の差異は、バックゲートの有無になる。電圧Vmonを用いて、トランジスタM1のゲートに入力される“H”及び/又は“L”の電圧を調整することで、トランジスタM1のオン電流特性及び/又はオフ電流特性の変動を補正することができる。
【0064】
トランジスタM1、M1rはOSトランジスタに限定されず、nチャネル型トランジスタにも限定されない。トランジスタM1、M1rは例えば、nチャネル型またはpチャネル型Siトランジスタとすることができる。図6は、トランジスタM1rに代えてpチャネル型トランジスタM2rを用いたモニタ回路131の回路図を示す。モニタ回路131の機能は、モニタ回路130と同様であるので、モニタ回路131の電圧、電流の符号には、モニタ回路130と同じものを用いる。
【0065】
端子a5には電圧VDDAが入力される。トランジスタM2rの電圧Vgs_r、Vbgs_r、Vds_r、ドレイン電流Id_rの極性がトランジスタM1rのものと反対になるように、電圧V1、V2、Vaが設定される。具体的には、電圧V1、V2、Vaは式(2.4)~(2.6)を満たす。
V1<VTbg(Tmin)_r (2.4)
V2=V1ーVTbg(Tmax)_r+Va<VDDA (2.5)
VTbg(Tmin)_rーVTbg(Tmax)_r+Va<0(2.6)
【0066】
図3Bのタイミングチャートを用いて、モニタ回路131の動作を説明する。モニタ回路131の動作はモニタ回路130と同様なため、説明を簡略している。
【0067】
(期間TT1)
トランジスタM11、M12がオンであり、ノードSrs、Srbは電圧VDDA、V1が入力される。式(2.4)~(2.6)を満たすため、トランジスタM2rはノーマリオン特性を示す。電圧Vds_rは0Vよりも小さい。よって、ドレイン電流Id_rが流れる。
【0068】
(期間TT2)
トランジスタM12がオフであるので、ノードSrsは電気的に浮遊状態である。ドレイン電流Id_rが流れているため、電圧Vrsは低下する。やがて、電圧Vrsは、V1-VTbg(Tm)_rに収束し、ドレイン電流Id_rは流れなくなる。式(2.4)~(2.6)を満たしているので、電圧VrsがV1-VTbg(Tm)_rに収束した状態でも、動作温度範囲において電圧Vds_rは0Vよりも小さい。
【0069】
(期間TT3)
トランジスタM11がオフになるため、ノードSrs、Srbは電気的に浮遊状態になる。容量素子C11によって、電圧Vbgs_rがVTbg(Tm)_rに固定されているので、トランジスタM2rはオフ状態が維持される。
【0070】
(期間TT4)
トランジスタM12がオンになり、ノードSrsには電圧VDDAが入力される。ノードSrbとノードSrs間の電圧差はVTbg(Tm)_rに固定されているので、電圧VrbはVTbg(Tm)_r+VDDAになる。電圧Vrbが電圧Vmonとして端子a6から出力される。電圧VDDAは電源電圧であってトランジスタM2rの電気特性に依存しないため、端子a6の電圧Vmonからしきい値電圧VTbg(Tm)_rを取得することができる。
【0071】
<<半導体装置101>>
図7に示す半導体装置101は、半導体装置110、電圧出力回路122を有する。電圧出力回路122は、電圧補正回路150、電圧生成回路170、出力端子OUT2を有する。電圧生成回路170は電圧Vpwを出力する。電圧補正回路150は、電圧Vpwを補正し、電圧VOT2を生成する。出力端子OUT2は電圧VOT2を出力する。電圧VOT2は、半導体装置110においてトランジスタM1のバックゲートに入力される電圧VBG1として用いられる。
【0072】
<電圧補正回路150>
電圧補正回路150は、モニタ回路130、容量素子C12、C13、リセット回路132、ソースフォロワ回路134、オペアンプ136、スイッチ回路138を有する。容量素子C12の第1端子、第2端子は、モニタ回路130の出力端子(ノードSrb)、ソースフォロワ回路134の入力端子にそれぞれ電気的に接続されている。ここでは、ソースフォロワ回路134の入力端子、出力端子に相当するノードをそれぞれノードSrt、Ssfと呼ぶ。
【0073】
リセット回路132は、ノードSrtをリセットするための回路であり、トランジスタM14を有する。ここでは、トランジスタM14はバックゲートを有するOSトランジスタである。トランジスタM14のソースはノードSrtに電気的に接続され、ゲート、バックゲート、ドレインには信号RST1、電圧VBGR1、V4がそれぞれ入力される。
【0074】
ソースフォロワ回路134は、直列に電気的に接続されているトランジスタM15、M16を有する。ここでは、トランジスタM15、M16はnチャネル型Siトランジスタである。トランジスタM15のゲート、ソースは電圧VBIS1、VSSAが入力される。トランジスタM16のゲートがノードSrtに相当する。トランジスタM16のドレインには電圧V3が入力される。
【0075】
オペアンプ136の反転入力端子はノードSsfに電気的に接続され、非反転入力端子は電圧VSSAが入力される。ノードSapはオペアンプの出力端子に対応する。Ri、Rfはそれぞれ、入力抵抗、帰還抵抗である。オペアンプ136のトランジスタは、例えば、Siトランジスタである。
【0076】
容量素子C13の第1端子、第2端子は、ノードSap、出力端子OUT2にそれぞれ電気的に接続される。容量素子C13は、出力端子OUT2の電圧VOT2を保持する。
【0077】
スイッチ回路138は、電圧生成回路170の出力端子と出力端子OUT2との間の電気的接続を制御する。スイッチ回路138は、例えば、アナログスイッチ回路138a、インバータ回路138bを有する。信号SET1はアナログスイッチ回路138aのオンオフを制御する。アナログスイッチ回路138a、インバータ回路138bは、例えば、Siトランジスタで構成される。
【0078】
<電圧生成回路170>
図8に電圧生成回路170の一例を示す。電圧生成回路170は制御回路171、チャージポンプ回路173を有する。
【0079】
制御回路171は、信号WAKE1及びクロック信号CLK1に応じて、ゲーテッドクロック信号GCLK1(以下、クロック信号GCLK1と呼ぶ。)を生成する。クロック信号GCLK1は、チャージポンプ回路173に入力される。クロック信号GCLK1がアクティブであるとき、チャージポンプ回路173は動作する。
【0080】
図8に示すチャージポンプ回路173は、4段降圧型チャージポンプ回路であり、GNDから電圧Vpwを生成する。チャージポンプ回路173は、2個のインバータ回路、4個のダイオード接続されたトランジスタ、4個の容量素子を有する。トランジスタは、バックゲートを有するOSトランジスタであり、バックゲートとドレインとが互いに電気的に接続されている。
【0081】
チャージポンプ回路173のトランジスタは、バックゲートを有さないOSトランジスタでもよい。もちろん、トランジスタはOSトランジスタに限定されない、nチャネル型またはpチャネル型Siトランジスタであってもよい。なお、オン電流/オフ電流の比は、OSトランジスタのほうがSiトランジスタよりも高いため、OSトランジスタはチャージポンプ回路173に適している。
【0082】
例えば、電圧VpwをGNDまたは電圧VSSAにできる場合は、電圧出力回路122に電圧生成回路170を設けず、電圧Vpwとして、GNDまたは電圧VSSAを電圧補正回路150に入力すればよい。
【0083】
<電圧出力回路122の動作例>
図7図9を参照して、電圧出力回路122の動作例を説明する。図9において、t0~t8は時刻を表す。なお、t0~t5の間の温度TmはTp1であり、t6~t8の間の温度TmはTp2であるとする。
【0084】
t0~t1の間、信号WAKE1は“H”であるため、制御回路171はアクティブなクロック信号GCLK1を生成する。チャージポンプ回路173は降圧動作を行う。電圧Vpwは低下し、やがて電圧VINTに達する。半導体装置101のトランジスタM1は駆動されない。時刻t1で、信号WAKE1は“L”になり、チャージポンプ回路173は降圧動作を停止する。
【0085】
時刻t1で、信号RST1、SET1を“H”にして、ノードSrt、出力端子OUT2を初期化する。ノードSrt、出力端子OUT2は、電圧V4、VINTが入力される。電圧V4は、例えば、VDDA/2とすればよい。
【0086】
t2~t3の間、信号SET1、RST1を“H”に固定したまま、モニタ回路130を動作して、しきい値電圧VTbg_r(Tp1)を取得する。電圧VrbはVTbg_r(Tp1)+VSSである。信号MON1、MON2の電圧は不定である。
【0087】
時刻t3で信号SET1を“L”にして、出力端子OUT2への電圧VINTの入力を停止する。
【0088】
時刻t4で信号RST1を“L”にして、トランジスタM14をオフにする。ノードSrtは電気的に浮遊状態になるので、容量素子C12の電荷量に応じた電流がノードSrtを流れる。ソースフォロワ回路134は、ノードSrtを流れる電流を電圧に変換する。容量素子C12の電荷量は、電圧Vrb=VTbg_r(Tp1)+VSSに依存するため、電圧Vsfはしきい値電圧VTbg_r(Tp1)に依存する。
【0089】
上掲したように、しきい値電圧VTbg_rとしきい値電圧VTg_rとの関係は線形関数で表され、しきい値電圧VTg_rとバックゲート電圧Vbg_rとの関係が線形関数で表される場合、動作温度範囲において、ソースフォロワ回路134の入出力特性が線形性を示すように、トランジスタM14、M15のしきい値電圧、電圧V4、VBIS1を設定することが好ましい。
【0090】
オペアンプ136は電圧Vsfを増幅し、電圧Vapを生成する。そのため、電圧Vapは、しきい値電圧VTbg_r(Tp1)に依存する。スイッチ回路138はオフであるので、電圧Vap、容量素子C13の容量および出力端子OUT2の寄生容量に応じて、電圧VOT2は変化し、VINT+ΔVout2(Tp1)となる。電圧ΔVout2(Tp1)は、温度Tp1のときの電圧VOT2の補正電圧である。VINT+ΔVout2(Tm)がバックゲート電圧Vbg_r(Tm)と等しくなるように、電圧VINT、ソースフォロワ回路134の仕様(例えば、M15とM16のしきい値電圧、電圧V4)、オペアンプ136の仕様(例えば、ゲイン、RfとRiの抵抗値)、容量素子C12、C13の容量値などが設定される。
【0091】
例えば、電圧VINTが、基準温度TrefのときのトランジスタM1のバックゲート電圧Vbg(Tref)である場合、ΔVout2(Tm)は、ΔVout2(Tm)=Vbg(Tm)-Vbg(Tref)=Vbg_r(Tm)-Vbg_r(Tref)であればよい。
【0092】
ΔVout2(Tm)はモニタ回路130の出力電圧Vrbに依存する。温度Tmが上昇すると電圧Vrbは大きくなる。トランジスタM1のしきい値電圧VTgの変動を補正するためには、温度Tmが高くなるとΔVout2(Tm)を小さくし、温度Tmが下がるとΔVout2(Tm)を大きくする。以上のことから、オペアンプ136を反転増幅回路で構成している。
【0093】
時刻t4以降、電圧VOUT2はVINTから変化し、やがてVbg(Tp1)で安定する。電圧VOUT2が安定した後、時刻t5でトランジスタM1の駆動を開始する。t5~t6の期間、トランジスタM1のバックゲートには、電圧Vbg(Tp1)が入力される。
【0094】
時刻t2から一定期間経過後、モニタ回路130を動作させて、しきい値電圧VTbg_r(Tm)を再度取得する。まず、時刻t6で、トランジスタM1の駆動を停止する。t7~t8の期間に、モニタ回路130によってしきい値電圧VTbg_r(Tm2)を取得する。電圧VrbがVTbg_r(Tm2)+VSSで固定されると、電圧VOUT2はVbg(Tm2)で安定する。電圧VOUT2が安定した後、時刻t8でトランジスタM1の駆動を再開する。時刻t8以降、t5~t8の動作が繰り返される。例えば、t5~t8の動作が所定の回数行われたあとに、t0~t6の動作を実行してもよい。
【0095】
上掲したように、モニタ回路130によって、しきい値電圧VTbg_r(Tm)を定期的に取得することで、動作温度に適した電圧をトランジスタM1のバックゲートに入力できる。その結果、トランジスタM1のしきい値電圧VTgの温度による変動を定期的に補正することができる。
【0096】
<<半導体装置102>>
図10に示す半導体装置102は、半導体装置112、電圧出力回路124を有する。半導体装置112は、電圧VBG1が供給されるN(Nは1以上の整数)個のパワードメイン118[1]~118[N]を有する。パワードメイン118[1]~118[N]にはトランジスタM1が設けられている。電圧出力回路124は、電圧生成回路170、電圧補正回路160、N個の出力端子OUT2[1]~OUT2[N]を有する。電圧補正回路160はN個の電圧補正回路150[1]~151[N]を有する。電圧生成回路170は電圧補正回路150[1]~151[N]に電圧Vpwを供給する。電圧補正回路150[1]~150[N]は、出力端子OUT2[1]~OUT2[N]の電圧VOT2[1]~VOT2[N]を補正する。
【0097】
<<半導体装置103>>
図11に示す半導体装置103は、半導体装置113、電圧出力回路122を有する。半導体装置113は、ドライバ回路114、配線GL2、トランジスタM2を有する。トランジスタM2のゲートは配線GL2に電気的に接続されている。
【0098】
ドライバ回路114は、電圧VDDA、VIH2、VSSA、VIL2が入力される。電圧VDDA、VSSAは電源電圧である。電圧出力回路122の出力電圧VOT2は、ドライバ回路114において、電圧VIL2として用いられる。なお、電圧VIL2が供給されるN個のパワードメインを半導体装置112が有する場合は、図10に示す電圧出力回路124を用いればよい。
【0099】
電圧補正回路150は配線GL2の“L”を温度に応じて補正する。例えば、VINTを、基準温度TrefのときのVIL2(Tref)とする。トランジスタM1rとトランジスタM2の差異は、バックゲートの有無である。なお、トランジスタM2はバックゲートを有していてもよい。この場合、バックゲートは定電圧を入力する。または、ゲート、ソースおよびドレインの何れか1に電気的に接続される。
【0100】
ドライバ回路114は、図12Aに示す回路114Aを有する。回路114Aは、配線GLを選択するための信号SELGを生成する。回路114Aには、電圧VIH2、VIL2、VSSA、信号WIN、WINBが入力される。信号WINBは、信号WINの反転信号である。
【0101】
図12Bは回路114Aのタイミングチャートを示す。回路114Aは、信号WINが“H”のとき“H”の信号SELGを配線GLに出力し、信号WINが“L”のとき“L”の信号SELGを配線GLに出力する。信号WIN、WINBの“H”、“L”は、それぞれ電圧VDDA、VSSAである。信号SELGの“H”、“L”は、電圧VIH2、VIL2である。回路114Aは、信号WINをレベルシフトするレベルシフタとして用いられている。
【0102】
電圧VIL2は電圧出力回路122によって調整されるので、温度が上昇すると、電圧VIL2は小さくなる。よって、温度上昇によりトランジスタM2のしきい値電圧VTgが低下しても、電圧VIL2を低下させることで、トランジスタM2のオフ電流の増加をキャンセルすることができる。
【0103】
半導体装置103に、電圧VIH2を調整する電圧出力回路を設けてもよい。この場合、電圧出力回路のオペアンプは非反転増幅回路で構成することが好ましい。温度低下によりトランジスタM2のしきい値電圧VTgが上昇しても、電圧VIH2を大きくできるため、トランジスタM2のオン電流の低下をキャンセルすることができる。
【0104】
〔実施の形態2〕
本実施の形態では、OSトランジスタが用いられた半導体装置について説明する。
【0105】
<記憶装置200>
図13Aに示す記憶装置200は、パワードメイン210、211、パワースイッチ241~243を有する。パワードメイン210には、制御回路220、周辺回路221が設けられている。パワードメイン211には、メモリセルアレイ222、電圧出力回路271が設けられている。
【0106】
記憶装置200は、電圧VDDD、VSSS、VDHW、VDHR、クロック信号GCLK2、アドレス信号ADDR、信号PSE1、コマンド信号(例えば、チップイネーブル信号CE、書き込みイネーブル信号WE、バイト書き込みイネーブル信号BW)が入力される。記憶装置200に入力される電圧、信号等は、記憶装置200の回路構成、動作方法などに応じて適宜取捨される。
【0107】
制御回路220は記憶装置200全体を統括的に制御し、データの書き込み、読み出しを行う。制御回路220は、アドレス信号ADDR、外部からのコマンド信号を処理して、周辺回路221の制御信号を生成する。
【0108】
信号PSE1はパワースイッチ241~243のオンオフを制御する。信号PSE1は、例えば、PMU(電源管理装置)から送信される。パワースイッチ241~243は、パワードメイン210への電圧VDDD、VDHW、VDHRの入力をそれぞれ制御する。制御回路220、周辺回路221を動作させる必要がない期間、パワースイッチ241~243をオフにして、パワードメイン210をパワーゲーティングする。
【0109】
図13Bにメモリセルアレイ222の回路図を示す。メモリセルアレイ222は、メモリセル20、書込みワード線WWL、読出しワード線RWL、書込みビット線WBL、読出しビット線RBL、配線PL、BGCL1を有する。配線BGCL1は、電圧出力回路271に電気的に接続される。電圧VDDD、VSSSはそれぞれデータ“1”、“0”を表す電圧である。電圧VDHW、VHDRはそれぞれ書込みワード線WWL、読出しワード線RWLの“H”の電圧である。
【0110】
周辺回路221は、例えば、アドレス信号ADDRが指定するメモリセル20を選択する機能を有する。具体的にいえば、周辺回路221は、選択された行の書込みワード線WWL、読出しワード線RWLを選択する機能、アドレス信号ADDRが指定する列の書込みビット線WBLにデータを書き込む機能、および当該列の読出しビット線RBLからデータを読み出す機能をもつ。
【0111】
メモリセル20は2T1C(2トランジスタ1容量)型のゲインセルであり、トランジスタM21、M25、容量素子C25を有する。容量素子C25は、トランジスタM25のゲート電圧を保持するための保持容量である。トランジスタM21、M25はそれぞれ書き込みトランジスタ、読出しトランジスタである。トランジスタM21はバックゲートを有するOSトランジスタであり、トランジスタM25はpチャネル型Siトランジスタである。トランジスタM25はnチャネル型SiトランジスタまたはOSトランジスタとすることができる。トランジスタM21、M25がOSトランジスタであると、メモリセルアレイ222を制御回路220、周辺回路221に積層できるため、記憶装置200を小型化できる。
【0112】
電圧出力回路271には、電圧出力回路124が適用されている。電圧出力回路271は、電圧生成回路276、電圧補正回路277を有する。電圧生成回路276は、電圧VSSSを降圧して、電圧Vpwを生成する。電圧補正回路277には、トランジスタM21のレプリカトランジスタが設けられている。電圧補正回路277が生成する電圧VOT2は、電圧VBGC1として、配線BGCL1に入力される。
【0113】
なお、電圧生成回路276を記憶装置200の外部に設けてもよい。電圧Vpwとして電圧VSSSを用いることができる場合は、電圧生成回路276を設けなくてもよい。例えば、周辺回路221の書込みワード線WWLを選択する信号を生成する回路に、図11に示すドライバ回路114を適用してもよい。この場合、電圧出力回路271を設けず、電圧VBGC1として定電圧を外部から入力してもよい。
【0114】
メモリセル20は原理的に書き換え回数に制限はなく、データの書き換えを低エネルギーで行え、データの保持に電力を消費しない。トランジスタM21が極小オフ電流のOSであるため、メモリセル20は長時間データを保持することが可能である。しかしながら、トランジスタM21のしきい値電圧VTgの変化は、メモリセル20の書込み時間、保持時間を変化させる。温度が上がるとしきい値電圧VTgが下がるため、保持時間が短くなる。他方、温度が下がるとしきい値電圧VTgが上がるため、書込み時間が長くなる。
【0115】
電圧出力回路271によって、動作温度に適した電圧VBGC1をトランジスタM21のバックゲートに入力することができるため、トランジスタM21のしきい値電圧VTgの温度による変化を補正することができる。例えば、動作温度範囲において記憶装置200は、基準温度Trefのときと同程度の性能を実現することができる。図13Aの例では、メモリセルアレイ222は、電圧VBGC1が入力される複数のブロックに分割されているため、メモリセルアレイ222に近接してモニタ回路を設けることで、プロセス起因のメモリセル20の性能のばらつきを補正する効果が得られる。したがって、高い保持特性、長寿命、低消費電力、高信頼性の記憶装置200を提供することができる。
【0116】
以下に、メモリセルアレイ222の他の構成例を説明する。図14Aに示すメモリセルアレイ223Aは、メモリセル21、書込みワード線WWL、読出しワード線RWL、書込みビット線WBL、読出しビット線RBL、配線PL、CNL、BGCL1を有する。メモリセル21は3Tゲインセルであり、トランジスタM21、M25、M26、容量素子C25を有する。トランジスタM26は選択トランジスタである。トランジスタM25、M26はnチャネル型Siトランジスタ、またはOSトランジスタであってもよい。
【0117】
図14Bに示すメモリセルアレイ223Bは、メモリセル22、書込みワード線WWL、読出しワード線RWL、書込みビット線WBL、読出しビット線RBL、配線PL、BGCL1~BGCL3を有する。メモリセル22はトランジスタM21~M23、容量素子C22を有する。トランジスタM22、M23はそれぞれ、読出しトランジスタ、選択トランジスタである。容量素子C22は読出しトランジスタM22のゲート電圧を保持する保持容量である。
【0118】
トランジスタM22、M23は、バックゲートを有するOSトランジスタである。トランジスタM22、M23のバックゲートはそれぞれ配線BGCL2、BGCL3に電気的に接続されている。配線BGCL2、BGCL3には、電圧出力回路272、273から電圧VBGC2、VBGC3がそれぞれ入力される。電圧出力回路272、273は電圧出力回路271と同様の構成であり、パワードメイン212に設けられる。電圧出力回路272、273には、トランジスタM22、M23のレプリカトランジスタがそれぞれ設けられている。
【0119】
トランジスタM22のゲートと読出しビット線RBLとは容量結合しているため、データ“1”を読み出すとき、ブートストラップ効果が得られ、読出しビット線RBLの充電が加速される。つまり、読出し時間を短縮することができる。
【0120】
電圧VBGC1~VBGC3によって、トランジスタM21~M23のしきい値電圧VTgを最適化することができる。保持時間を長くするために、トランジスタM21のしきい値電圧VTgを最も高くする。読出し速度の向上のため、トランジスタM22のVTgを低くし、オン電流特性を向上させる。この場合、非選択メモリセル22から読出しビット線RWLへのリーク電流の増加が問題になる。非選択メモリセル22からのリーク電流は、保持時間を短くするだけでなく、データの読出しエラーの原因となる。そのため、トランジスタM23はオン電流特性よりもオフ電流特性を優先することが好ましい。よって、トランジスタM23のVTgは、トランジスタM22のVTgよりも小さくする。VBGC1~VBGC3は、VBGC1≦VBGC3<VBGC2であることが好ましい。
【0121】
電圧VBGC1~VBGC3の一部を温度補正しない構成としてもよい。例えば、配線BGCL3には定電圧を入力し、配線BGCL1、BGDL2の電圧を電圧出力回路271、272で補正する。
【0122】
図14Cに示すメモリセルアレイ222Cはメモリセルアレイ223Bの変形例であり、メモリセル23、書込みワード線WWL、読出しワード線RWL、書込みビット線WBL、読出しビット線RBL、配線PL、BGCL1~BGCL2を有する。メモリセル23は、メモリセル22と容量素子C22の接続が異なる。メモリセル23はメモリセル22と同様の特長をもつ。
【0123】
図14Dに示すメモリセルアレイ223Dは、メモリセル24、ビット線BL、BLB、ワード線WL、配線CNL、BGCL1を有する。メモリセル23は1T1C型セルであり、トランジスタM21、容量素子C21を有する。
【0124】
メモリセルアレイ223B~223DはOSトランジスタと容量素子とで構成されるため、制御回路220、周辺回路221に積層することができる。
【0125】
<記憶装置202>
図15に示す記憶装置202は、パワードメイン213~215、パワースイッチ244~248を有する。記憶装置202は、電圧VDDD、VSSS、VDDM、VDML、VSSM、アドレス信号ADDR、クロック信号GCLK3、コマンド信号(例えば、チップイネーブル信号CE、書き込みイネーブル信号WE、バイト書き込みイネーブル信号BW)、信号PSE3~PSE5、PG(パワーゲーティング)制御信号(図中、PG control signalsと図示)が入力される。記憶装置202に入力される電圧、信号等は回路構成、動作方法などに応じて適宜取捨される。
【0126】
信号PSE3は、パワースイッチ244、245のオンオフを制御する。パワースイッチ244、245は、パワードメイン213への電圧VDDD、VDHBの供給を制御する。パワードメイン213には、制御回路225、周辺回路226、バックアップ制御回路227が設けられている。信号PSE4はパワースイッチ246、247のオンオフを制御し、信号PSE5はパワースイッチ248のオンオフを制御する。パワースイッチ246~248は、パワードメイン214への電圧VDDM、VSSM、VDMLの供給を制御する。パワードメイン214には、メモリセルアレイ228が設けられている。メモリセルアレイ228は複数のメモリセル30を有する。
【0127】
パワードメイン215はパワーゲーティングされない。パワードメイン215には電圧出力回路274が設けられている。電圧出力回路274は、電圧出力回路271と同様の構成であり、電圧生成回路278、電圧補正回路279を有する。電圧補正回路279が生成する電圧VOT2は、電圧VBGC4として、メモリセルアレイ228に入力される。
【0128】
(メモリセルアレイ228)
図15に示すメモリセルアレイ228は、メモリセル30、ワード線WL、ビット線BL、BLB、配線OGL、BGCL4、V_VDM、V_VSMを有する。なお、配線V_VDMは、パワースイッチ246、248によって、電圧の入力が制御されるバーチャル電源線であり、配線V_VSMは、パワースイッチ247によって、電圧の入力が制御されるバーチャル電源線である。電圧VDHBは、配線OGLの高レベル電圧であり、VDDMよりも高い電圧である。
【0129】
図16Aに示すように、メモリセル30は、メモリセル32とバックアップ回路35を有する。メモリセル32は、標準的な6T(トランジスタ)SRAMセルと同じ回路構成であり、トランジスタMT1、MT2、ノードQ/Qb、ラッチ回路33を有する。ラッチ回路33は、ワード線WL、ビット線BL、BLB、配線V_VDM、V_VSMに電気的に接続されている。
【0130】
ワード線WL、ビット線BL、BLBは周辺回路226によって駆動される。配線V_VDMは、パワースイッチ246、248によって電圧の入力が制御されるバーチャル電源線である。配線V_VSMは、パワースイッチ247によって電圧の入力が制御されるバーチャル電源線である。パワースイッチ247を設けない構成することができる。この場合、配線V_VSMに代えて、例えば、電圧VSSSを供給する配線を設ければよい。
【0131】
バックアップ回路35は、メモリセル32のデータをバックアップする。バックアップ回路35は、トランジスタM31、M32、容量素子C31、C32でなる一対の2個T1C型メモリセルを有する。これらメモリセルの保持ノードが、ノードSN21、SN22である。メモリセル30にバックアップ回路35を設けることで、パワードメイン214をパワーゲーティングできる。
【0132】
トランジスタM31、M32はバックゲートを有するOSトランジスタである。トランジスタM31、M32のゲートは配線OGLに電気的に接続している。配線OGLはバックアップ制御回路227によって駆動される。トランジスタM31、M32のバックゲートは、配線BGCL4に電気的に接続されている。配線BGCL4には、電圧補正回路279から電圧VBG4が入力される。トランジスタM31、M32の仕様は同じであり、電圧補正回路279には、トランジスタM31のレプリカトランジスタが設けられる。したがって、電圧VBG4によって、トランジスタM31、M32のしきい値電圧VTgの温度による変動を補正することができるため、高信頼性のバックアップ回路35を提供することができる。
【0133】
バックアップ制御回路227に、ドライバ回路114を適用して、トランジスタM31、M32のゲート電圧を制御してもよい。この場合、電圧出力回路274を設けなくてもよい。
【0134】
<<記憶装置202の動作例>>
PG制御信号によって、記憶装置202の低消費電力モードが決定される。損益分岐時間(BET)が異なる4種類の低消費電力モード、(1)ビット線フローティングモード、(2)スリープモード、(3)セルアレイドメインPGモード、(4)全ドメインPGモードがある。信号PSE4~PSE6、PG制御信号に基づき、低消費電力モードが設定される。これら信号は、例えば、PMUから送信される。BETの異なる複数の低消費電力モードを設けることで、記憶装置202の消費電力を効率良く低減することができる。
【0135】
ビット線フローティングモードでは、ビット線対(BL,BLB)をフローティング状態にする。メモリセル31のデータは消失しない。
【0136】
スリープモードでは、パワードメイン214に電圧VDDMよりも低い電圧VDMLを供給する。電圧VDMLは、メモリセル32のデータが消失しない大きさである。ビット線対(BL,BLB)はフローティング状態である。
【0137】
セルアレイドメインPGモードでは、パワースイッチ246~248をオフにして、パワードメイン214への電圧VDDM、VDML、VSSMの供給を停止する。ビット線対(BL,BLB)をフローティング状態とする。メモリセル32のデータは消失する。
【0138】
全ドメインPGモードでは、パワーゲーティング可能な全てのドメインがパワーゲーティングされる。パワースイッチ244~248はオフである。
【0139】
<パワーゲーティングシーケンス>
図16Bに、パワードメイン214に対するパワーゲーティングシーケンスの一例を示す。
【0140】
(通常動作(図中、Normal Operationと図示))
時刻t1以前では、記憶装置202の状態は、通常動作状態(書き込み状態または読み出し状態)である。通常動作時は、記憶装置202はシングルポートSRAMと同様に動作する。パワースイッチ244、246~248はオンであり、パワースイッチ245はオフである。制御回路225は、記憶装置202全体を統括的に制御し、データの書き込み、読み出しを行う。制御回路225は、アドレス信号ADDR、外部からのコマンド信号(例えば、チップイネーブル信号CE、書き込みイネーブル信号WE、バイト書き込みイネーブル信号BW)を処理して、周辺回路226の制御信号を生成する。
【0141】
(バックアップ(図中、Backupと図示))
時刻t1で、PG制御信号に応じてバックアップシーケンスが開始する。バックアップ制御回路227は、全て配線OGLを“H”にする。ここでは、時刻t1でノードQ/Qbは“H”/“L”であり、ノードSN31/SN32は“L”/“H”であるので、トランジスタM31、M32がオンになると、ノードSN31の電圧はVSSMからVDDMに上昇し、ノードSN32の電圧はVDDMからVSSMに低下する。時刻t2で信号PGMが“L”となることで、バックアップ動作が終了する。ノードSN31/SN32には、時刻t1でのノードQ/Qbのデータが書き込まれる。
【0142】
(パワーゲーティング(図中、Power-gatingと図示))
時刻t2で、信号PSE4を“L”にして、パワースイッチ246、247をオフすることで、パワードメイン214のパワーゲーティングが開始する。配線V_VDMと配線V_VSMの電圧差が低下することで、ラッチ回路33は非アクティブになる。メモリセル32のデータは消失するが、バックアップ回路35はデータを保持し続ける。
【0143】
(リカバリ(図中、Recoveryと図示))
周辺回路226、バックアップ制御回路227は、PG制御信号に従い、リカバリ動作を行う。リカバリ動作では、ラッチ回路33は、ノードQ/Qbのデータを検知するためのセンスアンプとして機能する。まず、ノードQ、Qbのリセット動作が行われる。時刻t3で、周辺回路226は、全ビット線対(BL,BLB)をプリチャージする。全ビット線対(BL,BLB)には電圧Vpr2が入力される。次に、周辺回路226は、全ワード線WLを選択状態にする。配線V_VDM、V_VSMは電圧Vpr2にプリチャージされ、ノードQ、Qbは電圧Vpr2に固定される。
【0144】
時刻t4で、バックアップ制御回路227は、全て配線OGLを“H”にする。トランジスタM31、M32がオンになる。容量素子C31の電荷がノードQ、ノードSN31に分配され、容量素子C32の電荷がノードQb、ノードSN32に分配され、ノードQとノードQbとに電圧差が生じる。
【0145】
時刻t5で、パワースイッチ246、247をオンにして、パワードメイン214への電圧VDDM、VSSMの入力を再開する。ラッチ回路33はアクティブになると、ノードQとノードQbの電圧差を増幅する。最終的にノードQ、SN31の電圧はVDDMとなり、ノードQb、SN32の電圧はVSSMとなる。つまり、ノードQ/Qbの状態は、時刻t1での状態(“H”/“L”)に復帰する。時刻t7でリカバリ動作が終了し、通常動作が開始される。
【0146】
トランジスタM31、M32のしきい値電圧VTgの温度による変動を補正できるため、例えば、動作温度範囲において、バックアップ回路35は基準温度Trefのときと同程度の性能を実現することができる。よって、温度の上昇による保持時間の短縮、温度の低下によるバックアップ及びリカバリ時間の増加を抑えることができる。したがって、高信頼性、低消費電力の記憶装置202を提供することができる。
【0147】
本実施の形態の記憶装置に、温度センサとしてモニタ回路130を設けることができる。この場合、例えば、モニタ回路130の出力電圧に応じて、リフレッシュのサイクル、又はパワーゲーティングのタイミングを変更することができる。
【0148】
〔実施の形態3〕
本実施の形態では、OSトランジスタが用いられた半導体装置について説明する。
【0149】
<<プロセッサ300>>
図17に示すプロセッサ300は、バス305、306、バスブリッジ307、CPU310、記憶装置312、PMU314、クロック制御回路315、電源回路316、メモリ制御回路317、機能部318、インターフェース(I/F)部319を有する。プロセッサ300の内部回路は適宜取捨される。例えば、プロセッサ300にGPUを設けてもよい。
【0150】
図17に示すように、バス305、306、バスブリッジ307によって、プロセッサ300の内部回路が相互にデータの授受が可能に接続される。PMU314は、クロック制御回路315、電源回路316を制御する。PMU314は、プロセッサ300の内部回路(例えば、CPU310、記憶装置312、バス305等)のクロックゲーティング、およびパワーゲーティングを制御する。メモリ制御回路317は、外部記憶装置を制御する。プロセッサ300は、アプリケーションプロセッサとして用いることができる。そのため、各種の周辺機器をプロセッサ300で制御できるように、機能部318、インターフェース部319には各種の回路が設けられる。
【0151】
機能部318に設けられる機能回路は、例えば、ディスプレイ制御回路321、グラフィック処理回路322、ビデオ処理回路323、オーディオ処理回路324、音声処理回路、タイマー回路、ADC(アナログデジタル変換回路)などが設けられる。
【0152】
インターフェース部319には、例えば、ePCI(Peripheral Component Interconnect Express)、I2C(I-squared-C、Inter Integrated Circuit)、MIPI(Mobile Industry Processor Interface)、USB(Universal Serial Bus)、SPI(Serial Peripheral Interface)、HDMI(登録商標)/DP(High-Definition Multimedia Interface/DisplayPort)、eDP(embedded DisplayPort)、DSI(Display Serial Interface)などの規格に対応する回路が設けられる。
【0153】
記憶装置312には、実施の形態2の記憶装置が適用される。複数種類の記憶装置312をプロセッサ300に設けてもよい。PMU314は、記憶装置312が使用するパワースイッチの制御信号およびPG制御信号を生成する。記憶装置200をプロセッサ300に設ける場合、例えば、電圧生成回路276は、電源回路316に設けてもよい。記憶装置202についても同様である。
【0154】
CPU310は、CPUコア、キャッシュメモリ装置、電圧出力回路345、レベルシフタ348、パワースイッチ349等を有する(図18参照)。CPUコアには、図18に示すフリップフロップ340が設けられる。パワースイッチ349はCPUコアへの電圧VDDDの供給を制御する。パワースイッチ349のオンオフは、PMU314が生成する信号PSE9によって制御される。
【0155】
<フリップフロップ340>
フリップフロップ340はスキャンフリップフロップ341、バックアップ回路342を有する。フリップフロップ340にバックアップ回路342を設けることで、CPUコアのパワーゲーティングが可能となる。
【0156】
スキャンフリップフロップ341は、ノードD1、Q1、SD、SE、RT、CK、クロックバッファ回路341Aを有する。クロックバッファ回路341Aは、2個のインバータ、ノードCK1、CKB1を有する。ノードRTはリセット信号の入力ノードである。スキャンフリップフロップ341の回路構成は、図18に限定されない。標準的な回路ライブラリに用意されているフリップフロップを適用することができる。
【0157】
ノードD1はデータ入力ノードであり、ノードQ1はデータ出力ノードであり、ノードSDはスキャンテスト用データの入力ノードであり、バックアップ回路342のノードSD_INに電気的に接続される。ノードSE、CK、RTには、スキャンイネーブル信号SCE、リセット信号RST4、クロック信号GCLK4が入力される。スキャンイネーブル信号SCEはPMU314で生成され、リセット信号RST4、クロック信号GCLK4はクロック制御回路315で生成される。PMU314は、リカバリ信号RC、バックアップ信号BKを生成する。レベルシフタ348はリカバリ信号RC、バックアップ信号BKをレベルシフトし、リカバリ信号RCH、バックアップ信号BKHをバックアップ回路342に出力する。
【0158】
バックアップ回路342は、ノードSD_IN、SN35、トランジスタM35~M37、容量素子C35を有する。ノードSD_INは他のスキャンフリップフロップ341のノードQ1に電気的に接続される。ノードSN35は、バックアップ回路342の保持ノードである。容量素子C35はノードSN35の電圧を保持するための保持容量である。
【0159】
トランジスタM35による寄生容量がノードQ1に付加することになるが、ノードQ1に接続される論理回路による寄生容量と比較して小さいので、スキャンフリップフロップ341の動作に影響はない。つまり、バックアップ回路342を設けても、フリップフロップ340の性能は実質的に低下しない。
【0160】
トランジスタM35~M37は同じ仕様であり、バックゲートを有するOSトランジスタである。トランジスタM35~M37のバックゲートは、配線BGFLに電気的に接続されている。配線BGFLには、電圧出力回路345から電圧VBGFが入力される。
【0161】
電圧出力回路345は実施の形態1の電圧出力回路が適用され、電圧生成回路346および電圧補正回路347を有する。電圧生成回路346は、電圧VSSSを降圧して、電圧Vpwを生成する。例えば、電圧生成回路346を電源回路316に設けてもよい。電圧VpwがVSSSにすることができる場合は、電圧生成回路346を設けず、電圧VSSSを電圧補正回路347に出力すればよい。電圧補正回路347には、トランジスタM35のレプリカトランジスタが設けられている。電圧補正回路347が生成する電圧VOT2は、電圧VBGFとして、配線BGFLに入力される。
【0162】
レベルシフタ348に回路114Aおよび、実施の形態1の電圧出力回路を適用し、リカバリ信号RCH、バックアップ信号BKの“H”及び/又は“L”の電圧を補正するようにしてもよい。この場合、電圧出力回路345を設けなくてもよい。
【0163】
<パワーゲーティング>
CPUコアが通常動作を行っている間は、パワースイッチ349はオンであり、信号RC、BKは“L”に固定される。通常動作状態からパワーゲーティング状態に移行する場合には、スキャンフリップフロップ341のデータをバックアップ回路342にバックアップする動作が行われる。
【0164】
クロック信号GCLK4を非アクティブにする。信号BKを“H”にする。M35がオンになり、ノードQ1のデータがノードSN35に書き込まれる。次に、パワースイッチ349をオフにして、CPUコアへの電圧VDDDの供給を停止する。
【0165】
パワーゲーティング状態から通常動作状態に移行する場合には、スキャンフリップフロップ341のデータをバックアップ回路342に書き戻す。先ず、パワースイッチ349をオンにして、CPUコアへの電圧VDDDの供給を開始する。次に、PMU314は“H”の信号RC、SCEを出力する。トランジスタM36はオンになり、容量素子C35の電荷がノードSN35とノードSDとに分配される。ノードSEは“H”であるので、スキャンフリップフロップ341の入力側ラッチ回路にノードSDのデータが書き込まれる。次に、PMU314は、クロック制御回路315を制御し、クロック信号GCLK4をアクティブにする。入力側ラッチ回路のデータがノードQ1に書き込まれる。つまり、ノードSN35のデータがノードQ1に書き込まれたことになる。次に、PMU314は信号RC、SCEを“L”にする。リカバリ動作が終了する。
【0166】
トランジスタM35、M36のしきい値電圧VTgの温度による変動を補正できるため、例えば、動作温度範囲においてバックアップ回路342は、基準温度Trefのときと同程度の性能を実現することができる。よって、温度の上昇による保持時間の短縮、温度の低下によるバックアップ及びリカバリ時間の増加を抑えることができる。したがって、高信頼性、低消費電力のプロセッサ300を提供することができる。
【0167】
機能部318、インターフェース部319等に、実施の形態2の記憶装置及び/またはフリップフロップ340を適用することができる。
【0168】
本実施の形態のプロセッサに、温度センサとしてモニタ回路130を設けることができる。この場合、例えば、モニタ回路130の出力電圧に応じて、記憶装置のリフレッシュのサイクル、又はプロセッサのパワーゲーティングのタイミングを変更することができる。
【0169】
〔実施の形態4〕
図19を参照して、上記の半導体装置が組み込まれた電子機器を説明する。図19に示す電子機器には、電子部品7020及び/または電子部品7030を有する。電子部品7020は、実施の形態2の記憶装置が組み込まれ、電子部品7030には、実施の形態3のプロセッサが組み込まれている。
【0170】
ロボット7100は、照度センサ、マイクロホン、カメラ、スピーカ、ディスプレイ、各種センサ(赤外線センサ、超音波センサ、加速度センサ、ピエゾセンサ、光センサ、ジャイロセンサなど)、および移動機構などを備える。電子部品7030はこれら周辺機器を制御する。電子部品7020は例えば、センサで取得されたデータを記憶する。
【0171】
マイクロホンは、使用者の音声および環境音などの音響信号を検知する機能を有する。また、スピーカは、音声および警告音などのオーディオ信号を発する機能を有する。ロボット7100は、マイクロホンを介して入力されたオーディオ信号を解析し、必要なオーディオ信号をスピーカから発することができる。ロボット7100は、マイクロホン、およびスピーカを用いて、使用者とコミュニケーションをとることが可能である。
【0172】
カメラは、ロボット7100の周囲を撮像する機能を有する。また、ロボット7100は、移動機構を用いて移動する機能を有する。ロボット7100は、カメラを用いて周囲の画像を撮像し、画像を解析して移動する際の障害物の有無などを察知することができる。
【0173】
飛行体7120は、プロペラ、カメラ、およびバッテリなどを有し、自律して飛行する機能を有する。電子部品7030はこれら周辺機器を制御する。電子部品7030は、カメラで撮影した画像データを解析し、移動する際の障害物の有無などを察知する。例えば、画像データは、電子部品7020に記憶される。
【0174】
掃除ロボット7140は、上面に配置されたディスプレイ、側面に配置された複数のカメラ、ブラシ、操作ボタン、各種センサなどを有する。図示されていないが、掃除ロボット7140には、タイヤ、吸い込み口等が備えられている。掃除ロボット7140は自走し、ゴミを検知し、下面に設けられた吸い込み口からゴミを吸引することができる。例えば、電子部品7030は、カメラが撮影した画像を解析し、壁、家具または段差などの障害物の有無を判断する。画像解析により、配線などブラシに絡まりそうな物体を検知した場合は、ブラシの回転を停止する。
【0175】
自動車7160は、エンジン、タイヤ、ブレーキ、操舵装置、カメラなどを有する。例えば、電子部品7030は、ナビゲーション情報、速度、エンジンの状態、ギアの選択状態、ブレーキの使用頻度などのデータに基づいて、自動車7160の走行状態を最適化するための制御を行う。例えば、カメラで撮影した画像データは電子部品7020に記憶される。
【0176】
電子部品7020および/または電子部品7030は、TV装置(テレビジョン受像装置)7200、スマートフォン7210、PC(パーソナルコンピュータ)7220、7230、ゲーム機7240、ゲーム機7260等に組み込むことができる。例えば、TV装置7200に内蔵された電子部品7030は画像エンジンとして機能する。例えば、電子部品7030は、ノイズ除去、解像度アップコンバージョンなどの画像処理を行う。
【0177】
スマートフォン7210は、携帯情報端末の一例である。スマートフォン7210は、マイクロホン、カメラ、スピーカ、各種センサ、および表示部を有する。電子部品7030はこれら周辺機器を制御する。
【0178】
PC7220、PC7230はそれぞれノート型PC、据え置き型PCの例である。PC7230には、キーボード7232、およびモニタ装置7233が無線または有線により接続可能である。ゲーム機7240は携帯型ゲーム機の例である。ゲーム機7260は据え置き型ゲーム機の例である。ゲーム機7260には、無線または有線でコントローラ7262が接続されている。コントローラ7262に、電子部品7020および/または電子部品7030を組み込むこともできる。
【0179】
〔実施の形態5〕
本実施の形態では、OSトランジスタについて説明する。
【0180】
<OSトランジスタ590>
図20A図20Cはそれぞれ、OSトランジスタ590の上面図、チャネル長方向の断面図、チャネル幅方向の断面図である。図20Aに示すL1-L2線、W1-W2線は切断線である。図20Aは、図の明瞭化のために一部の構成要素が省略されている。
【0181】
図20A図20Cには、OSトランジスタ590、絶縁層510、絶縁層512、絶縁層514、絶縁層516、絶縁層580、絶縁層582、絶縁層584、導電層546a、導電層546b、および導電層503を示す。例えば、導電層546a、導電層546bはコンタクトクトプラグを構成し、導電層503は配線を構成する。
【0182】
OSトランジスタ590は、ゲートとして機能する導電層560(導電層560a、および導電層560b)、バックゲートとして機能する導電層505(導電層505a、および導電層505b)、ゲート絶縁層として機能する絶縁層550と、バックゲート絶縁層として機能する絶縁層520、522、524と、チャネル形成領域を有する酸化物層530(酸化物層530a、酸化物層530b、および酸化物層530c)と、ソース領域またはドレイン領域として機能する導電層540a、540bと、絶縁層574とを有する。
【0183】
酸化物層530c、絶縁層550および導電層560は、絶縁層580に設けられた開口部内に、絶縁層574を介して配置される。酸化物層530c、絶縁層550および導電層560は、導電層540aおよび導電層540bとの間に配置される。
【0184】
絶縁層510、512は層間膜として機能する。絶縁層512は、絶縁層510よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。絶縁層510、512は単層に限定されず、積層でもよい。他の絶縁層、導電層、酸化物層も同様に単層でも積層でもよい。
【0185】
層間膜としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)または(Ba,Sr)TiO(BST)などの絶縁体を単層または積層で用いることができる。またはこれらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層してもよい。
【0186】
絶縁層510は、水または水素などの不純物が、OSトランジスタ590に混入することを抑制するバリア性を有することが好ましい。絶縁層510の絶縁性材料は水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)絶縁性材料、または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)絶縁性材料であることが好ましい。このような機能を持つ絶縁性材料としては、例えば、酸化アルミニウム、窒化シリコンなどである。
【0187】
導電層503は、絶縁層512に埋め込まれるように形成される。導電層503の上面の高さと、絶縁層512の上面の高さは同程度にできる。導電層503は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性が高い導電性材料を用いることが好ましい。
【0188】
導電層505と導電層560とを重畳して設けることで、導電層560、および導電層505に電位を印加した場合、導電層560から生じる電界と、導電層505から生じる電界とがつながり、酸化物層530に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる場合がある。つまり、ゲートの電界とバックゲートの電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。本明細書において、ゲートおよびバックゲートの電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
【0189】
絶縁層514、516は、絶縁層510と同様に、層間膜として機能する。水または水素などの不純物がOSトランジスタ590に混入することを抑制するため、例えば、絶縁層514は、不純物の拡散を抑制するバリア膜であることが好ましい。配線間に生じる寄生容量を低減するため、例えば、絶縁層516は、絶縁層514よりも誘電率が低いことが好ましい。
【0190】
絶縁層514、516の開口の内壁に接して導電層505が形成されている。導電層505aおよび導電層505bの上面の高さと、絶縁層516の上面の高さは同程度にできる。導電層505aには、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料(不純物が透過しにくい導電性材料)、または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電性材料(以下、酸素が透過しにくい導電性材料と呼ぶ)を用いることが好ましい。本明細書において、不純物または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物および上記酸素のうちの少なくとも1つの拡散を抑制する機能とする。例えば、導電層505aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電層505bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。
【0191】
導電層505が配線の機能を兼ねる場合、導電層505bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電層を有する。導電層505bは、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電層との積層としてもよい。導電層505には導電性が高い導電性材料層を用いることが好ましい。その場合、導電層503は、必ずしも設けなくともよい。
【0192】
絶縁層522は、バリア性を有することが好ましい。絶縁層522がバリア性を有することで、OSトランジスタ590の周辺部からOSトランジスタ590への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。絶縁層522は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)または(Ba,Sr)TiO(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いることが好ましい。OSトランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁層の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁層にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保って、ゲート電圧の低減が可能となる。
【0193】
絶縁層520は、熱的に安定であることが好ましい。例えば、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、好適である。また、high-k材料の絶縁体を絶縁層522と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造のゲート絶縁層を得ることができる。
【0194】
〔酸化物半導体〕
OSトランジスタの酸化物半導体層は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含む金属酸化物を有することが好ましい。金属酸化物は、特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0195】
ここで、金属酸化物が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有する場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどである。元素Mに適用可能なその他の元素として、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
【0196】
なお、本明細書において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)の範疇に含むこととする。金属酸化物と区別する場合、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
【0197】
酸化物層530a~530cには、上掲の金属酸化物を用いることができる。酸化物層530において、酸化物層530a~530cが積層される領域を有する。この領域がチャネル形成領域になり、主に、酸化物層530bにチャネルが形成される。酸化物層530に、酸化物層530a、530cが存在することで、酸化物層530bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0198】
酸化物層530cは、絶縁層580に設けられた開口部内に、絶縁層574を介して設けられることが好ましい。絶縁層574がバリア性を有する場合、絶縁層580からの不純物が酸化物層530へと拡散することを抑制することができる。
【0199】
導電層540a、540bには、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金を用いることができる。特に、窒化タンタルなどの金属窒化物膜は、水素または酸素に対するバリア性があり、また、耐酸化性が高いため、好ましい。例えば、導電層540a、540bを2層構造とする場合、窒化タンタル膜上にタングステン膜を積層する、チタン膜またはタングステン膜上にアルミニウム膜を積層する、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜、チタン膜またはタングステン膜上に銅膜を積層した積層膜を用いればよい。
【0200】
また、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0201】
導電層540a、540b上に、酸素、または水素に対してバリア性を有するバリア層を設けてもよい。当該構成により、絶縁層574を成膜する際に、導電層540a、540bが酸化することを抑制することができる。バリア層には、例えば、金属酸化物を用いることができる。特に、酸素や水素に対してバリア性のある絶縁材料を用いることが好ましい。また、CVD法で形成した窒化シリコン層を用いてもよい。バリア層を導電層540a、540b上に設けることで、導電層540a、540bの材料選択性が向上する。例えば、導電層540a、540bに、タングステンや、アルミニウムなどの耐酸化性が低い一方で導電性が高い材料を用いることができる。また、例えば、成膜、または加工がしやすい導電体を用いることができる。
【0202】
絶縁層550は、絶縁層580に設けられた開口部内に、酸化物層530c、および絶縁層574を介して設けられることが好ましい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁層の薄膜化により、リーク電流などの問題が顕在化する場合がある。絶縁層550はゲート絶縁層を構成し、上掲のバックゲート絶縁層と同様の構成とすることができる。
【0203】
導電層560aは、導電層505aと同様に、不純物または酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。導電層560aが、特に、酸素の拡散を抑制する機能を持つことで、導電層560bの酸化が抑制され、導電率が低下することを防止することができる。そのため、導電層560bの材料選択性を向上することができる。
【0204】
酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、導電層560aとして、酸化物層530として用いることができる金属酸化物を用いることができる。その場合、導電層560bをスパッタリング法で成膜することで、導電層560aの電気抵抗値を低下させて導電体とすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。
【0205】
導電層560は配線として機能するため、導電層560bは、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。導電層560bには、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。
【0206】
絶縁層574は、水または水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制するバリア性を有することが好ましい。絶縁層574を有することで、絶縁層580が有する水、および水素などの不純物が酸化物層530c、絶縁層550を介して、酸化物層530bに拡散することを抑制することができる。また、絶縁層580が有する過剰酸素により、導電層560が酸化するのを抑制することができる。
【0207】
絶縁層574には、例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。他にも、例えば、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
【0208】
絶縁層580、582、584は、層間膜として機能する。絶縁層582は、絶縁層514と同様に、水または水素などの不純物が、外部からOSトランジスタ590に混入するのを抑制するバリア層として機能することが好ましい。絶縁層580、584は、絶縁層516と同様に、絶縁層582よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0209】
OSトランジスタ590は、絶縁層580、582、584に埋め込まれた導電層546a、導電層546bなどのプラグや配線を介して、他の構造と電気的に接続してもよい。導電層546a、導電層546bの材料は、導電層505のものと同様、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料である。例えば、耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましい。または、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
【0210】
導電層546a、導電層546bは、例えば、水素、および酸素に対してバリア性を有する窒化タンタル等と、導電性が高いタングステンとの積層であることで、配線としての導電性を保持したまま、外部からの不純物の拡散を抑制することができる。
【0211】
<OSトランジスタ592>
図21A図21Cはそれぞれ、OSトランジスタ592の上面図、チャネル長方向の断面図、チャネル幅方向の断面図である。図21Aに示すL1-L2線、W1-W2線は切断線である。図21Aは、図の明瞭化のために一部の構成要素は省略している。
【0212】
OSトランジスタ592はOSトランジスタ592の変形例であるため、主にOSトランジスタ592と異なる点について説明する。
【0213】
OSトランジスタ592は、導電層540a、540bのそれぞれが、酸化物層530c、絶縁層550、および導電層560と重畳する領域を有する。当該構造とすることで、オン電流が高いOSトランジスタを提供することができる。また、制御性が高いOSトランジスタを提供することができる。
【0214】
導電層560は、導電層560a上の導電層560bを有する。導電層560aは、導電層505aと同様に、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0215】
導電層560aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことで、導電層560bの酸化が抑制され、導電率が低下することを防止することができる。よって、導電層560bの材料選択性を向上することができる。
【0216】
また、導電層560の上面および側面、絶縁層550の側面、および酸化物層530cの側面を覆うように、絶縁層574を設けることが好ましい。なお、絶縁層574は、水または水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。また、他にも、例えば、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
【0217】
絶縁層574を設けることで、導電層560の酸化を抑制することができる。また、絶縁層574を有することで、絶縁層580が有する水、および水素などの不純物がOSトランジスタ592へ拡散することを抑制することができる。
【0218】
また、導電層546a、導電層546bと、絶縁層580との間に、バリア性を有する絶縁層576(絶縁層576a、および絶縁層576b)を配置してもよい。絶縁層576を設けることで、絶縁層580の酸素が導電層546a、5導電層46bと反応し、導電層546a、導電層546bが酸化することを抑制することができる。
【0219】
また、バリア性を有する絶縁層576を設けることで、プラグや配線に用いられる導電体の材料選択の幅を広げることができる。例えば、導電層546a、導電層546bに、酸素を吸収する性質を持つ一方で、導電性が高い金属材料を用いることで、低消費電力の半導体装置を提供することができる。具体的には、タングステンや、アルミニウムなどの耐酸化性が低い一方で導電性が高い材料を用いることができる。また、例えば、成膜、または加工がしやすい導電体を用いることができる。
【符号の説明】
【0220】
10:回路、100、101、102、103、110、112、113:半導体装置、114:ドライバ回路、114A:回路、118:パワードメイン、120、122、124:電圧出力回路、130、131:モニタ回路、132:リセット回路、134:ソースフォロワ回路、136:オペアンプ、138:スイッチ回路、140:電圧生成部、143:チャージポンプ回路、150:電圧補正回路、160:電圧補正回路、170:電圧生成回路、171:制御回路、173:チャージポンプ回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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