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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】タービンホイール
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/10 20060101AFI20221219BHJP
   F16F 15/32 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
F01D5/10
F16F15/32 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020020333
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2021124106
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 翔策
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 泰行
(72)【発明者】
【氏名】村形 直
(72)【発明者】
【氏名】坂本 芳樹
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-064601(JP,U)
【文献】特開2001-027101(JP,A)
【文献】特開2005-351271(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0216383(US,A1)
【文献】中国実用新案第202493292(CN,U)
【文献】特開平5-177495(JP,A)
【文献】米国特許第4842485(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/10
F01D 25/04
F16F 15/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に延在する底面と開口を形成する一対の側壁面とを有する溝部が形成されたタービンホイールであって、
前記溝部の前記一対の側壁面の一方側に向かって開口する貫通孔を有し、前記溝部の開口における周方向の任意の位置から挿入可能で前記溝部内に配置されるバランスウェイトと、
前記バランスウェイトの前記貫通孔に挿通された状態で前記溝部における前記一対の側壁面の一方側の部分に接触することで、前記バランスウェイトを前記溝部の前記一対の側壁面の他方に当接させて前記バランスウェイトを前記溝部内に保持する保持部材とを備え、
前記溝部は、前記底面に周方向に間隔をあけて複数設けられた係合凹部、又は、前記底面に周方向に間隔をあけて複数設けられた嵌合凹部に嵌合して前記底面から突出する係合突起部を有し、
前記バランスウェイトは、前記溝部の前記係合凹部又は前記係合突起部に係合し、前記溝部内の前記バランスウェイトの周方向の移動を拘束する係合突起部又は係合溝部を有する
ことを特徴とするタービンホイール。
【請求項2】
請求項1に記載のタービンホイールにおいて、
前記溝部は、前記係合凹部を有し、
前記バランスウェイトは、
前記貫通孔を有する本体部と、
前記本体部と一体に形成された前記係合突起部とで構成されている
ことを特徴とするタービンホイール。
【請求項3】
請求項1に記載のタービンホイールにおいて、
前記溝部は、前記係合凹部を有し、
前記バランスウェイトは、
前記貫通孔を有すると共に、前記溝部の前記底面側に向く側の部分に設けられた嵌合凹部を有する本体部と、
前記本体部の前記嵌合凹部に嵌合する前記係合突起部とで構成されている
ことを特徴とするタービンホイール。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のタービンホイールにおいて、
前記バランスウェイトは、
前記溝部の前記底面側を向く後面と、
前記後面の反対側に位置し、前記溝部の前記開口側を向く前面と、
前記後面と前記前面とに接続され、前記溝部の前記一対の側壁面の一方側を向く第1側面と、
前記後面と前記前面とに接続され、前記第1側面の反対側に位置して前記溝部の前記一対の側壁面の他方側を向く第2側面とを有し、
前記バランスウェイトは、前記前面と前記第2側面との辺稜から前記係合突起部の先端面における前記第1側面側の端部までの長さが、前記溝部の前記開口における前記一対の側壁面の一方側の開口縁ら前記溝部の前記係合凹部の開口縁における前記一対の側壁面の他方側の端部までの長さよりも、短くなるように形成されている
ことを特徴とするタービンホイール。
【請求項5】
請求項1に記載のタービンホイールにおいて、
前記溝部は、前記一対の側壁面の一方側の隅部が凹曲面に形成され、
前記保持部材は、その先端部が前記溝部の前記隅部の凹曲面の一部分に対して線接触するように形成されている
ことを特徴とするタービンホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンのタービンホイールに係り、更に詳しくは、バランスウェイトを備えるタービンホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機と、圧縮機からの圧縮空気を燃料と混合して燃焼させることで燃焼ガスを生成する燃焼器と、燃焼器からの燃焼ガスによって軸動力を得るタービンとで大略構成されている。タービンは、燃焼ガスの運動エネルギを回転動力に変換するタービンロータを備えている。タービンでは、回転中の振動を低減するために、タービンロータのバランスを調整する必要がある。タービンロータのバランスを調整する方法として、タービンロータの構成部品の一部分に対して削り加工を行うことやタービンロータの構成部品に対してバランスウェイトを取り付けることなどが挙げられる。
【0003】
バランスウェイトの取付によりタービンロータのバランスを調整する技術は、一般的に、タービンホイールの壁面に設けた環状のダブテール溝(あり溝)内の周方向の適切な位置に少なくとも1つのバランスウェイトを配置するものである(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載のタービン翼車用釣合いおもり(バランスウェイト)は、タービンホイールに形成されたダブテール形状の円周溝内の任意の位置に挿入スロットを設けることなく挿入できるように形成されたものである。このタービン翼車用釣合いおもりは、その本体部の他側面に開口する傾斜通路内に挿入した固定手段がタービンホイールの円周溝の他側面を圧することで、本体部の一側面の突起が円周溝の一側面と当接して円周溝内に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭48-64601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガスタービンは、高温高圧の燃焼ガスによってタービンロータの軸動力を得るものなので、タービンホイールやタービン動翼等のタービンロータを構成する各部を冷却空気により冷却し、各部の温度上昇を抑制する必要がある。ガスタービンでは、一般的に、圧縮機から抽出した圧縮空気を冷却空気として用いている。この場合、冷却空気の流量を増加させることは、圧縮機から抽気する圧縮空気の流量を増加させることを意味する。したがって、冷却空気の流量を増加させると、その分、タービンロータを駆動する燃焼ガスの流量が減少するので、ガスタービン全体の効率が低下する。
【0006】
ガスタービンの高効率化の有効な手段の1つとして、タービンロータの各部を冷却する冷却空気を削減することが挙げられる。この場合、タービンホイールの軸方向の前後に形成されたホイールスペース内の雰囲気温度が上昇する。そこで、タービンホイールの材質を従来の12Cr鋼材よりも耐熱性の優れたNi基合金に変更することが提案されている。ただし、Ni基合金の材料により形成された部品では、残留引張応力が生じた状態において高温環境下で使用されると、残留引張応力に起因した割れの発生が懸念されている。
【0007】
特許文献1に記載の技術では、釣合いおもりの傾斜通路内に挿入された固定手段がタービンホイールの円周溝の他側面を圧して釣合いおもりの突起を円周溝の一側面に当接させることで、釣合いおもりを円周溝内に保持する。このように釣合いおもりを円周溝内に保持する技術においては、釣合いおもりの円周溝に沿った周方向への移動を阻止するために、タービンホイールの円周溝の開口縁部をかしめることがある。この場合、タービンホイールのかしめ部分やその周辺部に残留引張応力が生じてしまう。
【0008】
上述したようなタービンホイールの一部分のかしめにより釣合いおもりの移動を阻止する方法が採用されるタービンホイールに対して、12Cr鋼材でなく、Ni基合金の材質を適用する場合、かしめにより生じる残留引張応力に起因してタービンホイールの割れの発生が懸念される。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、バランスウェイトの固定の際にタービンホイールに生じる残留引張応力を抑制することができるタービンホイールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、周方向に延在する底面と開口を形成する一対の側壁面とを有する溝部が形成されたタービンホイールであって、前記溝部の前記一対の側壁面の一方側に向かって開口する貫通孔を有し、前記溝部の開口における周方向の任意の位置から挿入可能で前記溝部内に配置されるバランスウェイトと、前記バランスウェイトの前記貫通孔に挿通された状態で前記溝部における前記一対の側壁面の一方側の部分に接触することで、前記バランスウェイトを前記溝部の前記一対の側壁面の他方に当接させて前記バランスウェイトを前記溝部内に保持する保持部材とを備え、前記溝部は、前記底面に周方向に間隔をあけて複数設けられた係合凹部、又は、前記底面に周方向に間隔をあけて複数設けられた嵌合凹部に嵌合して前記底面から突出する係合突起部を有し、前記バランスウェイトは、前記溝部の前記係合凹部又は前記係合突起部に係合し、前記溝部内の前記バランスウェイトの周方向の移動を拘束する係合突起部又は係合溝部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タービンホイールの溝部における係合凹部又は係合突起部に対してバランスウェイトの係合突起部又は係合溝部が係合することで、溝部内のバランスウェイトの周方向の移動が拘束されるので、バランスウェイトを固定するためのタービンホイールのかしめが不要となる。したがって、バランスウェイトの固定の際にタービンホイールに生じる残留引張応力を抑制することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のタービンホイールの第1の実施の形態を備えるガスタービンを下半部を省略した状態で示す断面図である。
図2図1に示す本発明のタービンホイールの第1の実施の形態を備えるタービンロータの一部分を拡大した状態で示す断面図である。
図3】本発明のタービンホイールの第1の実施の形態におけるバランスウェイトの取付構造を軸方向から見た拡大図である。
図4図3に示す本発明のタービンホイールの第1の実施の形態における溝部内のバランスウェイトの固定状態をIV-IV矢視から見た断面図である。
図5図3に示す本発明のタービンホイールの第1の実施の形態における溝部をV-V矢視から見た断面図である。
図6】本発明のタービンホイールの第1の実施の形態におけるバランスウェイトの断面図である。
図7図6に示す本発明のタービンホイールの第1の実施の形態におけるバランスウェイトを矢視VIIから見た図である。
図8】本発明のタービンホイールの第1の実施の形態における保持部材を示す正面図である。
図9】本発明のタービンホイールの第1の実施の形態におけるバランスウェイトの溝部内への挿入方法の一例を示す説明図である。
図10】本発明のタービンホイールの第2の実施の形態におけるバランスウェイトを示す断面図である。
図11図10に示す本発明のタービンホイールの第2の実施の形態におけるバランスウェイトを矢視XIから見た図である。
図12】本発明のタービンホイールの第3実施の形態における溝部を示す断面図である。
図13】本発明のタービンホイールの第3実施の形態におけるバランスウェイトを示す断面図である。
図14図13に示す本発明のタービンホイールの第3実施の形態におけるバランスウェイトを矢視XIVから見た図である。
図15】本発明のタービンホイールの第3の実施の形態におけるバランスウェイトの溝部内への挿入方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のタービンホイールの実施の形態について図面を用いて説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
まず、本発明のタービンホイールの第1の実施の形態を備えるガスタービンの構成を図1及び図2を用いて説明する。図1は本発明のタービンホイールの第1の実施の形態を備えるガスタービンを下半部を省略した状態で示す断面図である。図2図1に示す本発明のタービンホイールの第1の実施の形態を備えるタービンロータの一部分を拡大した状態で示す断面図である。
【0015】
図1において、ガスタービンは、圧縮機1と、燃焼器2と、タービン3とを備えている。圧縮機1は、吸い込んだ空気を圧縮して圧縮空気を生成するものである。燃焼器2は、圧縮機1で生成された圧縮空気を燃料系統(図示せず)からの燃料と混合して燃焼させることで燃焼ガスを生成するものである。本ガスタービンは、例えば、多缶型燃焼器であり、複数の燃焼器2が円環状に間隔をあけて配置されている。タービン3は、燃焼器2で生成された高温高圧の燃焼ガスにより回転駆動されることで、圧縮機1を駆動すると共に図示しない負荷(発電機,ポンプ,プロセス圧縮機などの被駆動機)を駆動するものである。タービン3には、タービン3の構成部品を冷却する冷却空気として、圧縮機1から抽気された圧縮空気が供給される。
【0016】
圧縮機1は、タービン3により回転駆動される圧縮機ロータ10と、圧縮機ロータ10を回転可能に内包する圧縮機ケーシング15とを備えている。圧縮機1は、例えば、軸流圧縮機である。圧縮機ロータ10は、軸方向に複数積層された円盤状の圧縮機ホイール11と、各圧縮機ホイール11の外周縁部に結合された複数の圧縮機動翼12とを備えている。圧縮機ロータ10では、各圧縮機ホイール11の外周縁部に環状に配列された複数の圧縮機動翼12により1つの圧縮機動翼列が構成されている。
【0017】
各圧縮機動翼列における作動流体の流れの下流側には、複数の圧縮機静翼16が環状に配列されている。環状に配列された複数の圧縮機静翼16により1つの圧縮機静翼列が構成されている。圧縮機静翼列は、圧縮機ケーシング15の内側に固定されている。圧縮機1では、各圧縮機動翼列とその直ぐ下流側の各圧縮機静翼列とにより1つの段落が構成されている。
【0018】
タービン3は、燃焼器2からの燃焼ガスにより回転駆動されるタービンロータ30と、タービンロータ30を回転可能に内包するタービンケーシング35とを備えている。タービン3は、軸流タービンである。タービンロータ30とタービンケーシング35の間には、燃焼ガスが流れる流路Pが形成されている。
【0019】
タービンロータ30は、図1及び図2に示すように、外周縁部における周方向に複数のタービン動翼31を結合させた円盤状のタービンホイール40と円盤状のスペーサ32とを軸方向に交互に複数積層して構成されている。積層されたタービンホイール40とスペーサ32は、スタッキングボルト33によって固定されている。タービンロータ30では、各タービンホイール40の外周縁部に環状に配列された複数のタービン動翼31により1つのタービン動翼列が構成されている。各タービン動翼列は、流路P内に配置されている。
【0020】
各タービン動翼列における作動流体の流れの上流側には、複数のタービン静翼36が環状に配列されている。環状に配列された複数のタービン静翼36により1つのタービン静翼列が構成されている。タービン静翼列は、タービンケーシング35の内側に固定されており、流路P内に配置されている。タービン3では、各タービン静翼列とその直ぐ下流側の各タービン動翼列とにより1つの段落が構成されている。
【0021】
タービンロータ30は、中間軸38を介して圧縮機ロータ10に接続されている。タービンケーシング35は、圧縮機ケーシング15に接続されている。
【0022】
次に、本発明のタービンホイールの第1の実施の形態の構成及び構造を図2図8を用いて説明する。図3は本発明のタービンホイールの第1の実施の形態におけるバランスウェイトの取付構造を軸方向から見た拡大図である。図4図3に示す本発明のタービンホイールの第1の実施の形態における溝部内のバランスウェイトの固定状態をIV-IV矢視から見た断面図である。図5図3に示す本発明のタービンホイールの第1の実施の形態における溝部をV-V矢視から見た断面図である。図6は本発明のタービンホイールの第1の実施の形態におけるバランスウェイトの断面図である。図7図6に示す本発明のタービンホイールの第1の実施の形態におけるバランスウェイトを矢視VIIから見た図である。図8は本発明のタービンホイールの第1の実施の形態における保持部材を示す正面図である。
【0023】
図2及び図3において、タービンホイール40は、Ni基合金を基材として形成されている。タービンホイール40の径方向Rの中間部における環状の厚肉部41には、軸方向A(タービンホイール40の厚み方向)に貫通するボルト穴43が設けられている。ボルト穴43は、周方向Cに所定の間隔をあけて複数設けられている。各ボルト穴43には、スタッキングボルト33が挿通される。
【0024】
また、タービンホイール40の厚肉部41における軸方向Aの端面には、図3に示すように、溝部50がタービンホイール40の周方向Cに延在するように形成されている。溝部50は、例えば、ボルト穴43を挟んで断続的にタービンホイール40の全周に亘って延在している。溝部50内には、タービンロータ30(図2を参照)のバランス調整のために、バランスウェイト60が配置される。バランスウェイト60は、必要に応じて、溝部50内に複数配置されることがある。バランスウェイト60は、保持部材として止めねじ部材80によって溝部50内に保持されている。
【0025】
溝部50は、図4及び図5に示すように、底面51の幅(図4及び図5中、上下方向又は径方向Rの長さ)が開口58の幅(図4及び図5中、上下方向又は径方向Rの長さ)より大きくなるように形成されており、例えば、蟻溝状に形成されている。溝部50は、例えば、底面51の幅及び開口58の幅が周方向Cで略同じとなるように形成されている。
【0026】
溝部50は、タービンホイール40の厚肉部41の軸方向Aの端面に対して略平行で平坦な底面51と、底面51から離れる方向(図4及び図5中、左方向)に向かうにしたがって互いが接近して開口58を形成する一対の側壁面としての第1側壁面52及び第2側壁面53とを有している。第1側壁面52は、底面51側から開口58側へ向かって徐々に径方向外側Roに位置するように傾斜している。一方、第2側壁面53は、底面51側から開口58側へ向かって徐々に径方向内側Riに位置するように傾斜しており、第1側壁面52よりも径方向外側Roに位置している。
【0027】
第1側壁面52と底面51との間の第1隅部54は、凹曲面に形成されている。第1隅部54の凹曲面は、例えば、その断面形状が所定の曲率半径を有している。第2側壁面53と底面51との間の第2隅部55は、第1隅部54と同様に、その断面形状が所定の曲率半径を有する凹曲面に形成されている。
【0028】
溝部50の底面51には、図3図5に示すように、係合凹部56が周方向Cに間隔をあけて複数設けられている。係合凹部56は、バランスウェイト60の後述の係合突起部71と係合するものであり、溝部50内のバランスウェイト60の周方向C(溝部50の延在方向)の移動を拘束する機能を有している。係合凹部56は、例えば、溝部50の溝幅方向(図4及び図5中の上下方向又は径方向R)に延在する溝部(係合溝部)として形成されている。溝部50は、図5に示すにように、タービンホイール40における係合凹部56を含む子午面断面において、溝部50の開口58における第2側壁面53側の開口縁58bから溝部50の係合凹部56の開口縁59おける第1側壁面52側の端部59aまでの長さLgが所定の長さとなるように設定されている。
【0029】
図3及び図4において、バランスウェイト60は、タービンホイール40の溝部50の開口58における周方向Cの任意の位置から挿入可能に形成されている。また、バランスウェイト60は、溝部50の第2側壁面53に当接すると共に、溝部50の係合凹部56に係合するように形成されている。
【0030】
具体的には、バランスウェイト60は、図4に示すように、溝部50の第1側壁面52と第2側壁面53との間に配置される本体部61と、本体部61と一体に形成された係合突起部71とで構成されている。本体部61は、溝部50の第2側壁面53に当接する部分であり、溝部50内のバランスウェイト60の径方向R(溝部50の溝幅方向)の移動を拘束する機能を有している。係合突起部71は、溝部50の係合凹部56に係合する部分であり、溝部50内のバランスウェイト60の周方向C(溝部50の延在方向)の移動を拘束する機能を有している。
【0031】
本体部61は、溝部50の第2側壁面53側の側部が溝部50の溝形状に対して略相補形状に形成されており、溝部50の第2側壁面53に対して面接触(当接)可能な形状になっている。また、本体部61の第2側壁面53側の側部は、溝部50の第2隅部55側の角部に相当する部分が切り取られており、溝部50の開口58からのバランスウェイト60の挿入を阻害しない形状となっている。また、本体部61の第1側壁面52側の側部は、溝部50の溝形状に対して相補形状ではなく、第1側壁面52との間に間隙が生じる形状に形成され、且つ、溝部50の第1隅部54側の角部に相当する部分が切り取られている。すなわち、本体部61の第1側壁面52側の側部は、溝部50の開口58からのバランスウェイト60の挿入を阻害しない形状となっている。
【0032】
より詳細には、本体部61は、例えば図4図6図7に示すように、溝部50の底面51側を向く後面62と、後面62の反対側に位置して溝部50の開口58側を向く前面63と、後面62と前面63とに接続され、溝部50の第1側壁面52側を向く第1側面64と、後面62と前面63とに接続され、第1側面64の反対側に位置して溝部50の第2側壁面53側を向く第2側面65と、後面62と前面63とに接続されると共に第1側面64と第2側面65とに接続され、溝部50の周方向Cを向く一対の周方向側面66と有している。
【0033】
前面63と後面62は、互いが略平行になるように形成されている。前面63における第1側面64側の辺稜E1から第2側面65側の辺稜までの長さLw1(図6を参照)は、図4に示すように、溝部50の開口58の幅よりも僅かに小さくなるように設定されている。
【0034】
第1側面64は、図4及び図6に示すように、前面63に対して略直交して接続する垂直面64aと、垂直面64aから第2側面65に近づく方向に傾斜して後面62に接続する第1傾斜面64bとで構成されている。この第1側面64の構成により、バランスウェイト60は、第1側面64が溝部50の第1側壁面52側の開口縁58aに接触せずに溝部50内へ挿入可能となっている。
【0035】
第2側面65は、前面63から後面62側に向かうにしたがって第1側面64から離れる方向へ傾斜する当接面65aと、当接面65aから第1側面64に近づく方向に傾斜して後面62に接続する第2傾斜面65bとで構成されている。当接面65aは、その傾斜角が溝部50の第2側壁面53の傾斜角と略同じとなるように形成されており、第2側壁面53に対して面接触が可能となるように形成されている。
【0036】
一対の周方向側面66は、図7に示すように、底面62及び前面63に対して略直交し、互いが略平行になるように形成されている。一対の周方向側面66は、例えば、バランスウェイト60を溝部50内へ挿入する際の作業者の把持部となる部分である。
【0037】
バランスウェイト60の係合突起部71は、図4図6図7に示すように、本体部61の後面62から突出し、溝部50の係合凹部56に対して概ね相補形状となるように形成されている。係合突起部71は、例えば、第1側面64側と第2側面65側とを結ぶ方向(溝部50の溝幅方向)に延在する凸条部として形成されている。
【0038】
バランスウェイト60には、本体部61を貫通して溝部50の第1側壁面52側に向かって開口する貫通孔68が設けられている。貫通孔68は、例えば、本体部61の前面63及び第1側面64の第1傾斜面64bにそれぞれ開口している。貫通孔68には、例えば、雌ねじ部が設けられている。雌ねじ部を有する貫通孔68には、図4に示すように、保持部材としての止めねじ部材80がねじ込まれた(挿通された)状態で配置される。
【0039】
また、バランスウェイト60は、本体部61の前面63と第2側面65との辺稜E1から係合突起部71の先端面71aにおける第1側面64側の端部E2までの長さLw2(図6を参照)が、溝部50の開口58における第2側壁面53側の開口縁58bから係合凹部56の開口縁59における第1側壁面52側の端部59aまでの長さLg(図5を参照)よりも、短くなるように形成されている(後述の図9も参照)。これにより、バランスウェイト60は、係合突起部71が溝部50の係合凹部56の開口縁59に接触せずに溝部50内へ挿入可能となっている。
【0040】
なお、バランスウェイト60は、例えば、一対の周方向側面66の間の長さが異なるものであってもよい。この場合、異なる重量のバランスウェイトを確保することができる。
【0041】
止めねじ部材80は、図4に示すように、バランスウェイト60の貫通孔68に挿通された状態で溝部50の第1側壁面52の第1隅部54に接触することで、バランスウェイト60の本体部61の第2側面65(当接面65a)を溝部50の第2側壁面53に当接させてバランスウェイト60を溝部50内に保持するものである。止めねじ部材80は、図4及び図8に示すように、雄ねじ部を有する本体部81と、本体部81の一方側に一体に形成された曲面状の先端部82とで構成されている。先端部82は、溝部50の第1隅部54の凹曲面の一部に対して線接触するように形成されている。先端部82は、例えば、その子午面断面の輪郭形状が第1隅部54の凹曲面の断面形状の曲率半径と略同じ曲率半径を有する凸曲面形状となっている。
【0042】
次に、本発明のタービンホイールの第1の実施の形態におけるバランスウェイトの溝部への組付け手順の一例を図4及び図9を用いて説明する。図9は本発明のタービンホイールの第1の実施の形態におけるバランスウェイトの溝部内への挿入方法の一例を示す説明図である。
【0043】
先ず、図9に示すように、バランスウェイト60の本体部61の前面63と第2側面65との辺稜E1を溝部50の開口58における第2側壁面53側の開口縁58bに当接させる。この状態において、当該辺稜E1を軸線として、バランスウェイト60を溝部50の底面51側へ向かって回転させる。このとき、バランスウェイト60の係合突起部71が溝部50の係合凹部56に沿って相対的に移動する。これにより、バランスウェイト60の本体部61が溝部50の第1側壁面52と第2側壁面53との間に配置される共に、バランスウェイト60の係合突起部71が溝部50の係合凹部56内に配置される。
【0044】
本実施の形態においては、バランスウェイト60の辺稜E1から係合突起部71の先端面71aにおける第1側面64側の端部E2までの長さLw2が、溝部50の開口58における第2側壁面53側の開口縁58bから係合凹部56の開口縁59における第1側壁面52側の端部59aまでの長さLgよりも短くなるように設定されている。したがって、バランスウェイト60の係合突起部71が溝部50の係合凹部56の開口縁59に接触せずに、バランスウェイト60の溝部50内への挿入が可能となっている。
【0045】
次に、図4に示すように、バランスウェイト60の雌ねじ部が形成された貫通孔68に止めねじ部材80をねじ込み(挿通させ)、止めねじ部材80の先端部82を溝部50の第1隅部54の凹曲面に押し当てる。貫通孔68に対して止めねじ部材80を更にねじ込むことで、バランスウェイト60が止めねじ部材80に沿って溝部50の第2側壁面53側へ移動する。最終的には、バランスウェイト60の第2側面65の当接面65aが溝部50の第2側壁面53に面接触する。
【0046】
このように、本実施の形態においては、止めねじ部材80がバランスウェイト60の貫通孔68に挿通された状態で溝部50の第1側壁面52側の第1隅部54に接触することで、バランスウェイト60の当接面65aを溝部50の第2側壁面53に面接触(当接)させている。これにより、溝部50内のバランスウェイト60の径方向R(溝部50の溝幅方向)の移動が拘束され、バランスウェイト60が溝部50内に保持される。また、バランスウェイト60の係合突起部71が溝部50の係合凹部56に係合することにより、溝部50内のバランスウェイト60の周方向C(溝部50の延在方向)への移動が拘束される。したがって、タービンホイール40をかしめることなく、バランスウェイト60をタービンホイール40の溝部50内に固定することできる。
【0047】
上述したように、本発明のタービンホイールの第1の実施の形態によれば、タービンホイール40の溝部50の係合凹部56に対してバランスウェイト60の係合突起部71が係合することで、溝部50内のバランスウェイト60の周方向Cの移動が拘束される。このように、止めネジ部材80による固定に加えて、係合突起部71でもバランスウェイト60の移動を拘束するように構成しているので、確実にバランスウェイト60を固定することができる。この結果、バランスウェイト60を固定するためのタービンホイール40のかしめが不要となる。したがって、バランスウェイト60の固定の際にタービンホイール40に生じる残留引張応力を抑制することができる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、バランスウェイト60の本体部61の前面63と第2側面65との辺稜E1から係合突起部71の先端面71aにおける第1側面64側の端部E2までの長さLw2が、溝部50の開口58における第2側壁面53側の開口縁58bから係合凹部56の開口縁59における第1側壁面52側の端部59aまでの長さLgよりも短くなるように設定されているので、タービンホイール40の溝部50の開口58における周方向Cの任意の位置から、バランスウェイト60を溝部50内へ挿入することが可能である。
【0049】
さらに、本実施の形態によれば、バランスウェイト60の本体部61と係合突起部71とを一体に形成しているので、バランスウェイトの本体部と係合突起部が別部材である構成よりも、バランスウェイト60の溝部50への組付けが容易である。すなわち、バランスウェイト60の本体部61と係合突起部71とを一体構造とすることにより、バランスウェイト60自体の組み立て作業が不要となる。これに伴い、本体部61と係合突起部71を別部材とした場合における、本体部61からの係合突起部71の脱落を回避することが可能となる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、溝部50の第1隅部54を凹曲面に形成すると共に、止めねじ部材80の先端部82を溝部50の第1隅部54の凹曲面の一部分に対して線接触するように形成したので、止めねじ部材80が接触する溝部50の第1隅部54の部分に生じる残留引張応力を更に抑制することができる。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、本発明のタービンホイールの第2の実施の形態を図10及び図11を用いて説明する。図10は本発明のタービンホイールの第2の実施の形態におけるバランスウェイトを示す断面図である。図11図10に示す本発明のタービンホイールの第2の実施の形態におけるバランスウェイトを矢視XIから見た図である。なお、図10及び図11において、図1図9に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0052】
図10及び図11に示す本発明のタービンホイールの第2の実施の形態は、第1の実施の形態がバランスウェイト60の本体部61と係合突起部71とを一体に形成したものであるのに対して(図6を参照)、バランスウェイト60Aの本体部61Aと係合突起部72とを別部材で構成したものである。
【0053】
具体的には、バランスウェイト60Aは、貫通孔68及び嵌合凹部69を有する本体部61Aと、本体部61Aの嵌合凹部69に嵌合して取り付けられたピン72とで構成されている。本体部61Aは、第1の実施の形態のバランスウェイト60の本体部61と同様に、後面62、前面63、第1側面64、第2側面65、一対の周方向側面66を有している。第1側面64は、第1の実施の形態と同様に、垂直面64aと第1傾斜面64bとで構成されている。第2側面65は、第1の実施の形態と同様に、当接面65aと第2傾斜面65bとで構成されている。後面62の略中央部には、嵌合凹部69が設けられている。嵌合凹部69は、例えば、断面が円形状である。ピン72は、本体部61Aとは別部材であり、溝部50の係合凹部56と係合する係合突起部として機能するものである。ピン72は、例えば、横断面が円形状である。
【0054】
バランスウェイト60Aは、本体部61Aの前面63と第2側面65との辺稜E1から係合突起部としてのピン72の先端面72aにおける第1側面64側の端部E3までの長さLw3が、溝部50の開口58における第2側壁面53側の開口縁58bから係合凹部56の開口縁59における第1側壁面52側の端部59aまでの長さLg(図5を参照)よりも、短くなるように形成されている。これにより、バランスウェイト60Aは、係合突起部としてのピン72が溝部50の係合凹部56の開口縁59に接触せずに溝部50内へ挿入可能となっている。
【0055】
上述した本発明のタービンホイールの第2の実施の形態によれば、前述した第1の実施の形態と同様に、タービンホイール40の溝部50の係合凹部56に対してバランスウェイト60Aの係合突起部としてのピン72が係合することで、溝部50内のバランスウェイト60Aの周方向Cの移動が拘束されるので、バランスウェイト60Aを固定するためのタービンホイール40のかしめが不要となる。したがって、バランスウェイト60Aの固定の際にタービンホイール40に生じる残留引張応力を抑制することができる。
【0056】
[第3の実施の形態]
次に、本発明のタービンホイールの第3の実施の形態の構成及び構造を図12図14を用いて説明する。図12は本発明のタービンホイールの第3実施の形態における溝部を示す断面図である。図13は本発明のタービンホイールの第3実施の形態におけるバランスウェイトを示す断面図である。図14図13に示す本発明のタービンホイールの第3実施の形態におけるバランスウェイトを矢視XIVから見た図である。なお、図12図14において、図1図11に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0057】
図12図14に示す本発明のタービンホイールの第3の実施の形態が第1の実施の形態と相違する点は、タービンホイール40の溝部とバランスウェイトの係合部分の凹凸形状が逆転することである。すなわち、第1の実施の形態は、タービンホイール40の溝部50の係合凹部56にバランスウェイト60の係合突起部71を係合させることで、溝部50内のバランスウェイト60の周方向Cの移動を拘束するものである(図4を参照)。一方、第3の実施の形態は、溝部50Bの係合突起部としてのピン57にバランスウェイト60Bの係合溝部69Bを係合させることで、溝部50B内のバランスウェイト60Bの周方向Cの移動を拘束するものである。
【0058】
具体的には、図12に示すように、溝部50Bの底面51には、嵌合凹部56Bが周方向Cに間隔をあけて複数設けられている。各嵌合凹部56Bには、ピン57を嵌合して固定することが可能である。ピン57は、溝部50Bの底面51から突出してバランスウェイト60Bの係合溝部69Bと係合するものであり、溝部50B内のバランスウェイト60Bの周方向Cの移動を拘束する係合突起部として機能する。ピン57は、溝部50Bの複数の嵌合凹部56Bのうち、バランスウェイト60Bの組付け位置に対応した嵌合凹部56Bのみに嵌合させればよい。
【0059】
バランスウェイト60Bにおいては、図13図14に示すように、本体部61Bの後面62に係合溝部69Bが設けられている。係合溝部69Bは、第2側面65側の端縁から中央部の位置まで第1側面64側に向かって延在して後面62側及び第2側面65側に開口している。係合溝部69Bは、溝部50の嵌合凹部56Bに嵌合するピン57と係合するものであり、溝部50B内のバランスウェイト60Bの周方向Cの移動を拘束する機能を有している。
【0060】
次に、本発明のタービンホイールの第3の実施の形態におけるバランスウェイトの溝部への組付け手順の一例について図15を用いて説明する。図15は本発明のタービンホイールの第3の実施の形態におけるバランスウェイトの溝部内への挿入方法の一例を示す説明図である。
【0061】
図15に示すように、バランスウェイト60Bの本体部61Bの前面63と第2側面65との辺稜E1を溝部50Bの開口58における第2側壁面53側の開口縁58bに当接させる。この状態において、当該辺稜E1を軸線として、バランスウェイト60Bを溝部50Bの底面51側へ向かって回転させる。
【0062】
本実施の形態においては、溝部50Bの嵌合凹部56Bに嵌合したピン57がバランスウェイト60Bの本体部61Bの係合溝部69Bに沿って相対的に移動する。これにより、バランスウェイト60Bの第2側面65及び後面62が溝部50Bの係合突起部としてのピン57に接触せずに、バランスウェイト60が溝部50B内へ挿入される。
【0063】
本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、止めねじ部材80(図4を参照)がバランスウェイト60Bの貫通孔68に挿通された状態で溝部50Bの第1側壁面52側の第1隅部54に接触することで、バランスウェイト60Bの当接面65aを溝部50Bの第2側壁面53に面接触させる。これにより、溝部50B内のバランスウェイト60Bの径方向R(溝部50の溝幅方向)の移動が拘束され、バランスウェイト60が溝部50内に保持される。また、バランスウェイト60Bの係合溝部69Bが溝部50の嵌合凹部56Bに嵌合したピン57と係合することにより、溝部50B内のバランスウェイト60Bの周方向C(溝部50Bの延在方向)の移動が拘束される。したがって、タービンホイール40をかしめることなく、バランスウェイト60Bを溝部50B内に固定することできる。
【0064】
上述した本発明のタービンホイールの第3の実施の形態によれば、タービンホイール40の溝部50Bにおける係合突起部としてのピン57に対してバランスウェイト60Bの係合溝部69Bが係合することで、溝部50B内のバランスウェイト60Bの周方向Cの移動が拘束されるので、バランスウェイト60Bを固定するためのタービンホイール40のかしめが不要となる。したがって、バランスウェイト60Bの固定の際にタービンホイール40に生じる残留引張応力を抑制することができる。
【0065】
[その他の実施形態]
なお、本発明は上述した第1~第3実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0066】
例えば、上述した第1の実施の形態においては、バランスウェイト60の係合突起部71を第1側面64側と第2側面65側とを結ぶ方向(溝部50の溝幅方向)に延在する凸条部として形成した例を示した。しかし、係合突起部71は、タービンホイール40の溝部50の係合凹部56と係合することで、バランスウェイト60の周方向Cの移動を拘束する形状であれば任意である。係合突起部71は、例えば、断面形状が円形や矩形、多角形状に形成することも可能である。
【0067】
また、上述した第1及び第2の実施の形態においては、係合凹部56を溝部50の溝幅方向に延在する溝部(係合溝部)として形成した例を示した。しかし、係合凹部56は、バランスウェイト60の係合突起部71又はバランスウェイト60Aのピン72と係合することで、バランスウェイト60、60Aの周方向Cの移動を拘束可能な形状であれば任意である。
【符号の説明】
【0068】
40…タービンホイール、 50、50B…溝部、 51…底面、 52…第1側壁面(一対の側壁面)、54…第1隅部(隅部)、 53…第2側壁面(一対の側壁面)、 56…係合凹部、 56B…嵌合凹部、 57…ピン(係合突起部)、 58…開口、 58b…開口縁、 59…開口縁、 59a…端部、 60、60A、60B…バランスウェイト、 61、61A…本体部、 62…後面、 63…前面、 64…第1側面、 65…第2側面、 68…貫通孔、 69…嵌合凹部、 71…係合突起部、 71a…先端面、72…ピン(係合突起部)、 72a…先端面、 80…止めねじ部材(保持部材)、 82…先端部、 E1…辺稜、 E2…端部、E3…端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15