(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】ひき肉レプリカ
(51)【国際特許分類】
A23J 3/00 20060101AFI20221219BHJP
A23J 3/12 20060101ALI20221219BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20221219BHJP
A23L 29/00 20160101ALI20221219BHJP
【FI】
A23J3/00 503
A23J3/12
A23J3/14
A23L29/00
(21)【出願番号】P 2020147463
(22)【出願日】2020-09-02
(62)【分割の表示】P 2016559955の分割
【原出願日】2015-03-31
【審査請求日】2020-10-02
(32)【優先日】2014-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514009867
【氏名又は名称】インポッシブル フーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217663
【氏名又は名称】末広 尚也
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラダン,ランジャニ
(72)【発明者】
【氏名】ソロマティン,セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ホルツ-シーティンガー,セレスト
(72)【発明者】
【氏名】コーン,エリシア
(72)【発明者】
【氏名】クラフォルツ-ブラウン,アリエル
(72)【発明者】
【氏名】シウ,ジェニファー ウォーン‐イ
(72)【発明者】
【氏名】ケール,アニケット
(72)【発明者】
【氏名】カール,ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】フラサー,レイチェル
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-509349(JP,A)
【文献】特開2010-200627(JP,A)
【文献】特開昭51-063971(JP,A)
【文献】国際公開第2013/010042(WO,A1)
【文献】特表2009-537178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23J 3/00
A23J 3/12
A23J 3/14
A23L 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)単離された植物タンパク質および食用の繊維状構成成分を含む肉の生地を5重量%から88重量%;
(b)炭水化物系ゲルを0重量%から40重量%;
(c)非動物脂肪を5重量%から35重量%;
(d)結合剤を0重量%から15重量%;
(e)ヘム含有タンパク質および/または鉄塩を0.01重量%から4重量%;ならびに
(f)
テトラヒドロ-6-メチル-2H-ピラン-2-オン、δ-オクタラクトン、5-エチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、ブチロラクトン、ジヒドロ-5-ペンチル-2(3H)-フラノン、ジヒドロ-3-メチレン-2,5-フランジオン、l-ペントイルラクトン、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、6-ヘプチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、γ-オクタラクトン、5-ヒドロキシメチルジヒドロフラン-2-オン、5-エチル-2(5H)-フラノン、5-アセチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、trans-3-メチル-4-オクタノリド2(5H)-フラノン、3-(1,1-ジメチルエチル)-2,5-ウランジオン、3,4-ジヒドロキシ-5-メチル-ジヒドロフラン-2-オン、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、δ-テトラデカラクトンおよびジヒドロ-4-ヒドロキシ-2(3H)-フラノンからなる群から選択される1種または複数の化合物
を含む、食肉レプリカ組成物。
【請求項2】
前記生地中の食用の繊維状構成成分は、単離された植物タンパク質の押出成形された混合物を含むまたは溶液紡糸タンパク質繊維である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ヘム含有タンパク質が、前記組成物の0.01重量%から2重量%である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
食肉レプリカを製造する方法であって、
単離された植物タンパク質、
食用の繊維状構成成分、
を含む成分を混合することと、
水性構成成分を添加することと、および
手動でもしくは機械的に混合し、肉の生地を形成することと、および
前記肉の生地をヘム含有タンパク質および/または鉄塩
;炭水化物系ゲル
;非動物脂肪
;結合剤
;ならびに、テトラヒドロ-6-メチル-2H-ピラン-2-オン、δ-オクタラクトン、5-エチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、ブチロラクトン、ジヒドロ-5-ペンチル-2(3H)-フラノン、ジヒドロ-3-メチレン-2,5-フランジオン、l-ペントイルラクトン、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、6-ヘプチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、γ-オクタラクトン、5-ヒドロキシメチルジヒドロフラン-2-オン、5-エチル-2(5H)-フラノン、5-アセチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、trans-3-メチル-4-オクタノリド2(5H)-フラノン、3-(1,1-ジメチルエチル)-2,5-ウランジオン、3,4-ジヒドロキシ-5-メチル-ジヒドロフラン-2-オン、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、δ-テトラデカラクトンおよびジヒドロ-4-ヒドロキシ-2(3H)-フラノンからなる群から選択される1種または複数の化合物と混合し、食肉レプリカを形成することと、を含み、前記食肉レプリカは、
(a)肉の生地を5重量%から88重量%、
(b)炭水化物系ゲルを0重量%から40重量%、
(c)非動物脂肪を5重量%から35重量%、
(d)結合剤を0重量%から15重量%、
(e)ヘム含有タンパク質および/または鉄塩を0.01重量%から4重量%、ならびに
(f)
テトラヒドロ-6-メチル-2H-ピラン-2-オン、δ-オクタラクトン、5-エチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、ブチロラクトン、ジヒドロ-5-ペンチル-2(3H)-フラノン、ジヒドロ-3-メチレン-2,5-フランジオン、l-ペントイルラクトン、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、6-ヘプチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、γ-オクタラクトン、5-ヒドロキシメチルジヒドロフラン-2-オン、5-エチル-2(5H)-フラノン、5-アセチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、trans-3-メチル-4-オクタノリド2(5H)-フラノン、3-(1,1-ジメチルエチル)-2,5-ウランジオン、3,4-ジヒドロキシ-5-メチル-ジヒドロフラン-2-オン、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、δ-テトラデカラクトンおよびジヒドロ-4-ヒドロキシ-2(3H)-フラノンからなる群から選択される1種または複数の化合物
を含む、方法。
【請求項5】
前記ヘム含有タンパク質が、前記食肉レプリカの0.01重量%から2重量%である、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記ヘム含有タンパク質は、植物ヘム含有タンパク質、藻類ヘム含有タンパク質、真菌類ヘム含有タンパク質、繊毛虫類ヘム含有タンパク質、または細菌ヘム含有タンパク質である、請求項
4または
5に記載の方法。
【請求項7】
前記ヘム含有タンパク質は、哺乳動物ヘム含有タンパク質である、請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
カロテノイドをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記カロテノイドが、β-カロテン、ゼアキサンチン、ルテイン、trans-β-アポ-8’-カロテナル、リコペン、カンタキサンチン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項
8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ヘム含有タンパク質は、植物ヘム含有タンパク質、藻類ヘム含有タンパク質、真菌類ヘム含有タンパク質、繊毛虫類ヘム含有タンパク質、または細菌ヘム含有タンパク質である、請求項1~
3、8および9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ヘム含有タンパク質は、哺乳動物ヘム含有タンパク質である、請求項1~
3、8および
9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記非動物脂肪が、単離された
植物タンパク質を含むエマルションに存在する、請求項1~
3および
8~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記炭水化物系ゲルが、寒天、ペクチン、カラギーナン、コンニャク、メチルセルロース、改質されたデンプン、グアーガム、イナゴマメガム、キサンタンガム、またはそれらの混合物を含む、請求項1~
3および
8~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記非動物脂肪が、トウモロコシ油、ダイズ油、ラッカセイ油、カノーラ油、ヒマワリ油、アマニ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、およびそれらの混合物から選択される、請求項1~
3および
8~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記肉の生地にカロテノイドをさらに混合し、前記食肉レプリカがカロテノイドを含む、請求項4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記カロテノイドが、β-カロテン、ゼアキサンチン、ルテイン、trans-β-アポ-8’-カロテナル、リコペン、カンタキサンチン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記生地における前記食用の繊維状構成成分が、単離された植物タンパク質の押出成形された混合物または溶液紡糸繊維である、請求項
4~
7、15および
16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記非動物脂肪が、単離された
植物タンパク質を含むエマルションに存在する、請求項
4~
7および15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記非動物脂肪が、トウモロコシ油、ダイズ油、ラッカセイ油、カノーラ油、ヒマワリ油、アマニ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、およびそれらの混合物から選択される、請求項
4~
7および15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記炭水化物系ゲルが、寒天、ペクチン、カラギーナン、コンニャク、メチルセルロース、改質されたデンプン、グアーガム、イナゴマメガム、キサンタンガム、またはそれらの混合物を含む、請求項
4~
7および15~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年3月31日出願の米国特許出願第61/973,181号明細書
、および2014年10月1日出願の米国特許出願第62/058,230号明細書の優
先権を主張し、その開示はその全体を参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、ひき肉レプリカなどの食肉レプリカ、より具体的には、繊維性、質感の不均
一性、牛肉のような風味、およびひき肉の調理中の赤色から褐色への色の変化などの、質
感、外観、ならびにひき肉を調理するおよび食べるという感覚的側面を含めた、ひき肉の
質感、外観、および感覚的側面を模倣する植物ベースの製品に関する。本開示はまた、チ
ーズまたは食肉レプリカなどの食品または食品レプリカの風味を変更するための組成物お
よび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
食肉代用組成物は、典型的には押出成形されたダイズ/穀物混合物であるが、これは食
肉を調理するおよび食べる体験を再現できない。植物ベースの食肉代用製品に共通する欠
点としては、相当する食肉製品よりも質感と食感(mouth feel)が均質であることが挙げ
られる。さらに、これらの製品の大部分が、人工の風味および芳香が予め取り込まれた状
態で事前に調理されて販売されるはずなので、これらの製品は、芳香、風味、ならびに調
理中または調理済みの食肉に伴う質感および食感などの他の最重要な特徴を再現すること
ができず、さらにこれらに異臭が加わる恐れもある。その結果、これらの製品は、主とし
てすでに菜食主義に傾倒している限られた消費者層には訴えるものがあるが、肉食が習慣
となっているより大型の消費者集団への訴えかけには失敗している。調理中および/また
は調理後食肉の繊維性、質感、芳香および風味をより良く再現する植物ベースの食肉代用
品を改善することは有用であると予想される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本文書は、繊維性、質感の不均一性、牛肉のようなまたは他の食肉の風味、および異臭
のないひき肉の調理中赤色から褐色への色の変化を含めた、ひき肉を模倣することができ
る植物ベースの製品を製造するための方法および材料に基づいている。例えば、本文書は
、これらが、調理中の食肉の挙動および品質、すなわち、引き締まり、シネレシス(水の
放出)、噛みごたえ(chew texture)、または食感を再現するためにゲル化するおよび/
または変性する、温度に基づいて選択されるタンパク質を含む食肉レプリカを提供する。
例えば、食肉レプリカの形態になるよう選択されたタンパク質の変性するおよびゲル化す
る温度は、食肉中に通常見出されるタンパク質(例えば、アクチンおよびミオシン)の温
度に類似し得る。さらに、本明細書で提供される植物ベースの製品は、植物ベースの食肉
レプリカが、より自然の風味を持ち、異臭がないように肉のような風味を提供することが
できる、矯味剤(例えば、調味料、風味付け前駆物質、および/または風味付け化合物)
を含むことができる。したがって、本文書はまた、矯味剤などを含有する植物ベースの製
品を製造するための方法を提供する。
【0005】
一態様では、本文書は、肉の生地約5重量%から約88重量%(例えば、約40重量%
から約88重量%、約45重量%から約60重量%、または約15重量%から約55重量
%);炭水化物系ゲル約0重量%から約40重量%(例えば、約1重量%から約30重量
%、約5重量%から約25重量%、または約15重量%から約25重量%);脂肪約5重
量%から約35重量%(例えば、約10重量%から約15重量%、約12重量%から約1
8重量%、または約20重量%から約25重量%);矯味剤約0.00001重量%から
約10重量%(例えば、約3重量%から約7重量%、約0.001重量%から約2重量%
、または約0.00001重量%から約2重量%);結合剤約0重量%から約15重量%
(例えば、約2重量%から約15重量%または約2重量%から約10重量%);ならびに
ヘム含有タンパク質および/または鉄塩約0.01重量%から約4重量%(例えば、約0
.05重量%から約1重量%、または約0.5重量%から約2重量%)を含む食肉レプリ
カ組成物を特徴とする。肉の生地は、矯味剤を含むことができる。脂肪は、矯味剤を含む
ことができる。肉の生地は、組成物の約45重量%から約60重量%であり得る。炭水化
物系ゲルは、組成物の約10重量%から約25重量%であり得る。脂肪は、組成物の約1
0重量%から約15重量%であり得る。矯味剤は、組成物の約3重量%から約7重量%ま
たは約0.001重量%から約2重量%であり得る。矯味剤は、1種もしくは複数のフレ
ーバー前駆物質、調味料、または風味付け化合物を含むことができる。矯味剤は、調味料
および1種もまたは複数のフレーバー前駆物質の組合せであり得る。結合剤は、組成物の
約2重量%から約10重量%であり得る。結合剤は、それらの組織構造上の特性および/
または風味特性を改善する、またはそれらの変性およびゲル化温度を修正するために化学
的にまたは酵素的に修飾されている1種または複数のタンパク質を含むことができる。ヘ
ム含有タンパク質は、組成物の約0.01重量%から約2重量%であり得る。組成物は、
ヘム含有タンパク質および鉄塩を含むことができる。肉の生地は、単離された植物タンパ
ク質、食用の繊維状構成成分、任意選択の矯味剤、および任意選択の脂肪を含むことがで
きる。結合剤は、コングリシニンタンパク質であり得る。
【0006】
別の態様では、本文書は、肉の生地約5重量%から約80重量%(例えば、約20重量
%から約30重量%);脂肪約5重量%から約35重量%(例えば、約15重量%から約
25重量%);食用の繊維状構成成分約15重量%から約40重量%(例えば、約15重
量%から約25重量%);炭水化物系ゲル約0.1重量%から約18重量%(例えば、約
7重量%から約18重量%);矯味剤約0重量%から約10重量%(例えば、約0重量%
から約10重量%);結合剤約0.5重量%から約15重量%(例えば、約5重量%から
約15重量%);ならびにヘム含有タンパク質および/または鉄塩約0.1重量%から約
8重量%(例えば、約2重量%から約8重量%)を含む食肉レプリカ組成物を特徴とする
。
【0007】
別の態様では、本文書は、ひき肉レプリカを製造する方法を特徴とする。方法は、(a
)生地を150°Fから250°Fまでの温度に加熱するステップであって、生地が、単
離された植物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、1種または複数の任意選択
の矯味剤、および任意選択の脂肪を含む、ステップと;(b)加熱後、生地を脂肪と合わ
せるステップであって、脂肪が、矯味剤および/または単離された植物タンパク質を任意
選択で含有する、ステップと;(c)ステップ(b)からの生地を炭水化物系ゲル、任意
選択の食用の繊維状構成成分、任意選択の結合剤、鉄イオンと錯化された高度に共役した
複素環式環および/または鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤を合わせて
、ひき肉レプリカを製造するステップとを含むことができる。方法は、炭水化物系ゲル、
任意選択の食用の繊維状構成成分、任意選択の結合剤、鉄イオンと錯化された高度に共役
した複素環式環および/または鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わ
せる前に、ステップ(b)からの生地を粉砕するステップをさらに含むことができる。
【0008】
別の態様では、本文書は、肉の生地に風味付けする方法を特徴とする。方法は、(a)
第1の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または第1の鉄塩を1種
もしくは複数のフレーバー前駆物質および任意選択の脂肪と合わせるステップと;(b)
混合物を加熱して、1種または複数のフレーバー化合物を形成するステップと;(c)単
離された植物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、およびステップ(b)から
の混合物を含む生地を作製するステップとを含むことができる。方法は、(d)加熱後、
生地を脂肪と合わせるステップであって、脂肪が、任意選択で、矯味剤および/または単
離された植物タンパク質を含有する、ステップと;(e)ステップ(d)の生地を、炭水
化物系ゲル、任意選択の結合剤、第2の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環
および/または第2の鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせて、ひ
き肉レプリカを製造するステップとをさらに含むことができる。方法は、炭水化物系ゲル
、任意選択の結合剤、第2の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/ま
たは第2の鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせる前に、ステップ
(d)からの生地を粉砕するステップをさらに含むことができる。
【0009】
別の態様では、本文書は、肉の生地に風味付けする方法であって、(a)単離された植
物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、1種または複数の任意選択の矯味剤、
および任意選択の脂肪を含む生地を作製するステップと;(b)脂肪を鉄イオンと錯化さ
れた高度に共役した複素環式環および/または第1の鉄塩、および1種もしくは複数のフ
レーバー前駆物質と合わせ、混合物を加熱することにより風味を付けた脂肪を作製するス
テップと;(c)加熱後、生地を、風味を付けた脂肪と合わせるステップとを含む方法を
特徴とする。方法は、ステップ(c)の生地を炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、第2
の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または第2の鉄塩、および1
種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせて、ひき肉レプリカを製造するステップをさ
らに含むことができる。方法は、炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、第2の鉄イオンと
錯化された高度に共役した複素環式環および/または第2の鉄塩、および1種もしくは複
数の任意選択の矯味剤と合わせる前に、ステップ(c)の生地を砕くステップをさらに含
むことができる。
【0010】
本文書はまた、ひき肉レプリカを製造する方法であって、(a)鉄塩を1種または複数
のフレーバー前駆物質および任意選択の脂肪と合わせるステップと;(b)混合物を加熱
して、1種または複数のフレーバー化合物を形成するステップと;(c)単離された植物
タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、およびステップ(b)からの混合物を含
む生地を作製するステップと;(d)加熱後、生地を脂肪と合わせるステップであり、脂
肪が、矯味剤および/または単離された植物タンパク質を任意選択で含有する、ステップ
と;(e)ステップ(d)の生地を炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、任意選択の鉄塩
、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環、および1種もしくは複数の任意選択
の矯味剤と合わせて、ひき肉レプリカを製造するステップとを含む方法を特徴とする。方
法は、炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、鉄塩、任意選択の鉄イオンと錯化された高度
に共役した複素環式環、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせる前に、ス
テップ(d)からの生地を粉砕するステップをさらに含むことができる。いくつかの実施
形態では、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環は、混合物を加熱する前に、
鉄塩、1種または複数のフレーバー前駆物質、および脂肪と合わせることができる。
【0011】
さらに別の態様では、本文書は、ひき肉レプリカを製造する方法を特徴とする。方法は
、(a)単離された植物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、1種または複数
の任意選択の矯味剤、および任意選択の脂肪を含む生地を作製するステップと;(b)脂
肪を鉄塩および1種または複数のフレーバー前駆物質と合わせ、混合物を加熱することに
より風味を付けた脂肪を作製するステップと;(c)加熱後、生地を風味を付けた脂肪と
合わせるステップと;(d)ステップ(c)の生地を炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤
、鉄塩、任意選択の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環、および1種または
複数の任意選択の矯味剤と合わせて、ひき肉レプリカを製造するステップとを含むことが
できる。方法は、炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、鉄塩、任意選択の鉄イオンと錯化
された高度に共役した複素環式環、および1種または複数の任意選択の矯味剤と合わせる
前に、ステップ(c)からの生地を砕くステップをさらに含むことができる。いくつかの
実施形態では、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環は、混合物を加熱する前
に、脂肪、鉄塩、および1種または複数のフレーバー前駆物質と合わせることができる。
【0012】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、鉄塩は、グルコン酸鉄、
塩化鉄、シュウ酸鉄、硝酸鉄、クエン酸鉄、アスコルビン酸鉄(iron ascorbate)、硫酸
第一鉄、ピロリン酸第二鉄、または任意の他の水溶性の塩であり得る。
【0013】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、ヘム含有タンパク質は、
植物由来のヘム含有タンパク質(例えば、レグヘモグロビン)などの非動物ヘム含有タン
パク質であり得る。さらに、いくつかの実施形態では、ヘム含有タンパク質は、単離する
または単離および精製することができる。
【0014】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、1種または複数のフレー
バー前駆物質は、糖、糖アルコール、糖酸、糖誘導体、油、遊離脂肪酸、アミノ酸もしく
はその誘導体、ヌクレオシド、ヌクレオチド、ビタミン、酸、ペプチド、リン脂質、タン
パク質加水分解物、酵母抽出物、またはそれらの混合物であり得る。例えば、フレーバー
前駆物質は、グルコース、フルクトース、リボース、アラビノース、グルコース-6-リ
ン酸、フルクトース6-リン酸、フルクトース1,6-二リン酸、イノシトール、マルト
ース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチドに結合された糖、
糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、イノシン一リン酸(IMP)、グアノシン一リン
酸(GMP)、ピラジン、アデノシン一リン酸(AMP)、乳酸、コハク酸、グリコール
酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸塩、植物油、藻類油、ヒマワリ油、トウモロコシ
油、ダイズ油、ヤシの実の油、パーム核油、ベニバナ油、アマニ油、米糠油、綿実油、オ
リーブ油、ヒマワリ油、カノーラ油、アマニ油、ヤシ油、マンゴー油、遊離脂肪酸、シス
テイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン
、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパ
ラギン酸塩、グルタミン酸塩、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グ
ルタチオン、アミノ酸誘導体、尿素、パントテン酸、オルニチン、ナイアシン、グリセロ
ール、シトルリン、タウリン、ビオチン、ルリジサ油、真菌油(fungal oil)、クロスグ
リ油、ベタイン、βカロテン、B-ビタミン、N-アセチルL-システイン、グルタミン
酸鉄およびペプトン、またはそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0015】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、生地中の単離された植物
タンパク質は、コムギグルテン、デヒドリンタンパク質、アルブミン、グロブリン、もし
くはゼイン、またはそれらの混合物を含むことができる。
【0016】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、任意選択の食用の繊維状
構成成分は、ニンジン、タケ、エンドウマメ、ブロッコリー、ジャガイモ、サツマイモ、
トウモロコシ、全粒粉、アルファルファ、ケール、セロリ、セロリの根、パセリ、キャベ
ツ、ズッキーニ、グリーンビーンズ、インゲンマメ、クロマメ、アズキ、白インゲン、ビ
ート、カリフラワー、ナッツ、リンゴの皮、カラスムギ、コムギ、もしくはオオバコ、ま
たはそれらの混合物由来の植物繊維を含むことができる。
【0017】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、食用の繊維状構成成分は
、単離された植物タンパク質の押出成形された混合物を含むことができる。押出成形され
た混合物は、コムギグルテンおよびダイズタンパク質単離物を含有することができ、場合
によっては、矯味剤(例えば、酵母抽出物、タンパク質加水分解物、もしくは油などの調
味料;フレーバー化合物;またはフレーバー前駆物質)をさらに含有することができる。
いくつかの実施形態では、食用の繊維状構成成分は、溶液紡糸タンパク質繊維(例えば、
トウモロコシゼイン、エンドウマメプロラミン、カフェリン(kafirin)、セカリン、ホ
ルデイン、アベニン、またはそれらの混合物などのプロラミンを含有する溶液紡糸タンパ
ク質繊維)であり得る。
【0018】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、脂肪は、非動物脂肪、動
物脂肪、または非動物および動物脂肪の混合物であり得る。脂肪は、藻類油、真菌油、ト
ウモロコシ油、オリーブ油、ダイズ油、ラッカセイ油、クルミ油、扁桃油、ゴマ油、綿実
油、ナタネ油、カノーラ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、アマニ油、パーム油、パーム核油
、ヤシ油、ババス油、シアバター、マンゴーバター、カカオバター、コムギ胚芽油、ルリ
ジサ油、クロスグリ油、シーバックソーン油、マカダミア油、ノコギリヤシ油、共役リノ
ール酸油、アラキドン酸強化油、ドコサヘキサエン酸(DHA)強化油、エイコサペンタ
エン酸(EPA)強化油、パームステアリン酸、シーバックソーンベリー油、マカダミア
油、ノコギリヤシ油、もしくは米糠油;またはマーガリンもしくは他の水素化された脂肪
であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、脂肪は、藻類油である。脂肪は、矯味剤
および/または単離された植物タンパク質(例えば、コングリシニンタンパク質)を含有
することができる。
【0019】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、生地は、矯味剤を含むこ
とができる。方法または組成物のいずれかにおいて、生地中の非動物脂肪は、矯味剤を含
むことができる。矯味剤は、野菜抽出物、果実抽出物、酸、酸化防止剤、カロテノイド、
ラクトン、およびそれらの組合せからなる群から選択することができる。酸化防止剤は、
没食子酸エピガロカテキンであり得る。カロテノイドは、ルテイン、β-カロテン、ゼア
キサンチン、trans-β-アポ-8’-カロテナル、リコペン、またはカンタキサン
チンであり得る。野菜抽出物は、キュウリまたはトマト由来であり得る。果実抽出物は、
メロンまたはパイナップル由来であり得る。
【0020】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、炭水化物系ゲルは、融解
温度が約45℃から約85℃の間であり得る。炭水化物系ゲルは、寒天、ペクチン、カラ
ギーナン、コンニャク、アルギン酸塩、化学的に修飾されたアガロース、またはそれらの
混合物を含むことができる。
【0021】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、ひき肉レプリカは、結合
剤を含有することができる。結合剤は、単離された植物タンパク質(例えば、RuBis
CO、アルブミン、グルテン、コングリシニン、またはそれらの混合物)であり得る。結
合剤の変性温度は、約40℃から約80℃の間であり得る。結合剤は、調理後140°F
から190°Fまでで固くなる炭水化物系ゲルであり得る。炭水化物系ゲルは、メチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアーガム、イナゴマメガム、キサン
タンガム、またはそれらの混合物を含有することができる。結合剤は、卵アルブミンまた
はコラーゲンであり得る。
【0022】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、鉄イオンと錯化された高
度に共役した複素環式環は、ヘム部分、またはポルフィリン、ポルフィリノーゲン、コリ
ン、コリノイド、クロリン、バクテリオクロロフィル、コルフィン(corphin)、クロロ
フィリン、バクテリオクロリン、または鉄イオンと錯化されたイソバクテリオクロリン部
分であり得る。ヘム部分は、ヘム含有タンパク質(例えば、非共生ヘモグロビン、ヘルズ
ゲート(Hell's gate)グロビンI、フラボヘムタンパク質(flavohemoprotein)、レグ
ヘモグロビン、ヘム依存性ペルオキシダーゼ、チトクロムcペルオキシダーゼ、または哺
乳動物のミオグロビン)であり得る。いくつかの実施形態では、ヘム含有タンパク質は、
レグヘモグロビンであり得る。レグヘモグロビンは、ダイズ、エンドウマメ、またはササ
ゲ由来であり得る。
【0023】
別の態様では、本文書は、食肉の風味を増すまたは食品中の植物材料からの異臭をマス
キングする方法を特徴とする。方法は、食品の10-3から10-11の濃度で1種また
は複数のラクトンを食品に加えるステップであって、ラクトンが、テトラヒドロ-6-メ
チル-2H-ピラン-2-オン、δ-オクタラクトン、5-エチルジヒドロ-2(3H)
-フラノン、ブチロラクトン、ジヒドロ-5-ペンチル-2(3H)-フラノン、ジヒド
ロ-3-メチレン-2,5-フランジオン、l-ペントイルラクトン、テトラヒドロ-2
H-ピラン-2-オン、6-ヘプチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、γ-オク
タラクトン、5-ヒドロキシメチルジヒドロフラン-2-オン、5-エチル-2(5H)
-フラノン、5-アセチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、trans-3-メチル-
4-オクタノリド2(5H)-フラノン、3-(1,1-ジメチルエチル)-2,5-ウ
ランジオン、3,4-ジヒドロキシ-5-メチル-ジヒドロフラン-2-オン、5-エチ
ル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、δ-テトラデカラクトン、お
よびジヒドロ-4-ヒドロキシ-2(3H)-フラノンからなる群から選択される、ステ
ップを含む。いくつかの実施形態では、ラクトンは、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-
メチル-3(2H)-フラノン、ブチロラクトン、γ-オクタラクトン、およびδ-テト
ラデカラクトンであり得る。食品は、食肉レプリカであり得る。食肉レプリカは、動物性
生成物を含まないこともある。
【0024】
本文書はまた、食肉の風味を増すまたは食品中の植物材料からの異臭をマスキングする
方法であって、食品の0.00001%から0.1%の間の濃度で1種または複数のカロ
テノイドを食品に加えるステップであり、カロテノイドが、β-カロテン、ゼアキサンチ
ン、ルテイン、trans-β-アポ-8’-カロテナル、リコペン、カンタキサンチン
、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ステップ含む方法を特徴とする。食
品は、食肉レプリカであり得る。食肉レプリカは、動物性生成物を含まないこともある。
【0025】
別の実施形態では、本文書は、食肉レプリカの食肉の風味を増す方法を特徴とする。方
法は、食肉レプリカに、食肉レプリカの0.0001%から10%までの濃度で野菜ジュ
ース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物を、食肉レプ
リカに加えるステップを含むことができる。野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、
果汁、果実ピューレ、または果実抽出物は、ウリ属(Cucumis)液汁、ピューレ、または
抽出物(例えば、キュウリもしくはメロン由来の液汁、ピューレ、または抽出物)であり
得る。方法の野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果
実抽出物は、調理することができ、食肉レプリカに加える前に別の方法で処理してタンパ
ク質を変性させることもできる。食肉レプリカは、動物性生成物を含まないこともある。
【0026】
別の態様では、本文書は、食品の10-3から10-11の濃度でヘム含有タンパク質
および1種もしくは複数のラクトンを含有する食品または食品レプリカ生成物であって、
1種または複数のラクトンが、テトラヒドロ-6-メチル-2H-ピラン-2-オン、δ
-オクタラクトン、5-エチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、ブチロラクトン、ジヒ
ドロ-5-ペンチル-2(3H)-フラノン、ジヒドロ-3-メチレン-2,5-フラン
ジオン、l-ペントイルラクトン、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、6-ヘプチ
ルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、γ-オクタラクトン、5-ヒドロキシメチル
ジヒドロフラン-2-オン、5-エチル-2(5H)-フラノン、5-アセチルジヒドロ
-2(3H)-フラノン、trans-3-メチル-4-オクタノリド2(5H)-フラ
ノン、3-(1,1-ジメチルエチル)-2,5-ウランジオン、3,4-ジヒドロキシ
-5-メチル-ジヒドロフラン-2-オン、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-
3(2H)-フラノン、δ-テトラデカラクトン、およびジヒドロ-4-ヒドロキシ-2
(3H)-フラノンからなる群から選択される、食品または食品レプリカ生成物を特徴と
する。例えば、1種または複数のラクトンは、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル
-3(2H)-フラノン、ブチロラクトン、γ-オクタラクトン、およびδ-テトラデカ
ラクトンであり得る。食品または食品レプリカ生成物は、食肉レプリカであり得る。食肉
レプリカは、動物性生成物を含まないこともある。
【0027】
本文書はまた、食品の0.00001%から0.1%の間の濃度でヘム含有タンパク質
および1種もしくは複数のカロテノイドを含有する食品または食品レプリカ生成物であっ
て、1種または複数のカロテノイドが、β-カロテン、ゼアキサンチン、ルテイン、tr
ans-β-アポ-8’-カロテナル、リコペン、カンタキサンチン、およびそれらの組
合せからなる群から選択される、食品または食品レプリカ生成物を特徴とする。食品また
は食品レプリカ生成物は、食肉レプリカであり得る。食肉レプリカは、動物性生成物を含
まないこともある。
【0028】
別の態様では、本文書は、食品の0.0001%から10%の濃度で、(a)ヘム含有
タンパク質、および(b)野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピュー
レ、または果実抽出物を含有する食品または食品レプリカ生成物を特徴とする。野菜ジュ
ース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物は、ウリ属(
Cucumis)液汁、ピューレ、または抽出物であり得る。ウリ属(Cucumis)液汁、ピューレ
、または抽出物は、キュウリまたはメロン由来であり得る。野菜ジュース、野菜ピューレ
、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、もしくは果実抽出物は、調理されていてもよく、ま
たは食品レプリカ生成物に加えられる前に別の方法で処理してタンパク質を変性させてい
てもよい。例えば、野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、ま
たは果実抽出物は、食品レプリカ生成物に加えられる前に約60℃から約100℃の温度
に加熱されていてもよい。食品は、動物性生成物を含まないこともある。
【0029】
別の態様では、本文書は、食品の10-3から10-11の濃度で1種または複数のラ
クトンを含有する食品レプリカ生成物であって、1種または複数のラクトンが、テトラヒ
ドロ-6-メチル-2H-ピラン-2-オン、δ-オクタラクトン、5-エチルジヒドロ
-2(3H)-フラノン、ブチロラクトン、ジヒドロ-5-ペンチル-2(3H)-フラ
ノン、ジヒドロ-3-メチレン-2,5-フランジオン、l-ペントイルラクトン、テト
ラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、6-ヘプチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オ
ン、γ-オクタラクトン、5-ヒドロキシメチルジヒドロフラン-2-オン、5-エチル
-2(5H)-フラノン、5-アセチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、trans-
3-メチル-4-オクタノリド2(5H)-フラノン、3-(1,1-ジメチルエチル)
-2,5-ウランジオン、3,4-ジヒドロキシ-5-メチル-ジヒドロフラン-2-オ
ン、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、δ-テトラデカ
ラクトン、およびジヒドロ-4-ヒドロキシ-2(3H)-フラノンからなる群から選択
される、食品レプリカ生成物を特徴とする。1種または複数のラクトンは、5-エチル-
4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、ブチロラクトン、γ-オクタラク
トン、およびδ-テトラデカラクトンであり得る。
【0030】
さらに別の態様では、本文書は、食品の0.00001%から0.1%の間の濃度で1
種または複数のカロテノイドを含有する食品レプリカ生成物であって、1種または複数の
カロテノイドが、β-カロテン、ゼアキサンチン、ルテイン、trans-β-アポ-8
’-カロテナル、リコペン、カンタキサンチン、およびそれらの組合せからなる群から選
択される、食品レプリカ生成物を特徴とする。
【0031】
本文書はまた、食品の0.0001%から10%の濃度で野菜ジュース、野菜ピューレ
、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物を含有する食品レプリカ生成物を
特徴とする。野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果
実抽出物は、ウリ属(Cucumis)液汁、ピューレ、または抽出物(例えば、ウリ属(Cucum
is)液汁、ピューレ、またはキュウリもしくはメロン由来の抽出物)であり得る。野菜ジ
ュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物は、調理さ
れていてもよく、食品レプリカ生成物に加えられる前に別の方法で処理してタンパク質を
変性させていてもよい。例えば、野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実
ピューレ、または果実抽出物は、食品レプリカ生成物に加えられる前に約60℃から約1
00℃の温度に加熱されていてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される食品レプリカ生成物は、動物性生成物
、コムギグルテン、ダイズタンパク質、および/または豆腐を含まないこともある。
【0033】
本明細書で提供される食品レプリカ生成物のいずれかは、肉の生地、炭水化物系ゲル、
非動物脂肪、および結合剤のうち1種または複数を含有することができる。
【0034】
本明細書で提供される食品レプリカ生成物のいずれかは、食肉レプリカであり得る。食
肉レプリカを製造するためのさらなる材料および方法は、例えば、米国特許出願公開第2
014/0193547号明細書、およびPCT特許公報国際公開第2014/1105
32号パンフレットおよび国際公開第2014/110539号パンフレットにおいて見
出すことができ、そのそれぞれは、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
本明細書で提供される食品レプリカ生成物のいずれかは、チーズレプリカであり得る。
チーズレプリカは、ナッツミルク(nut milk)、架橋結合酵素、またはチーズ培養物を含
有することができる。チーズレプリカを製造するためのさらなる材料および方法は、例え
ば、米国特許出願公開第2014/0127358号明細書、およびPCT特許公報国際
公開第2014/110540号パンフレットにおいて見出すことができ、その両方は、
その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
さらに別の態様では、本文書は、(a)単離された植物タンパク質、任意選択の食用の
繊維状構成成分、1種または複数の任意選択の矯味剤、および任意選択の脂肪を含有する
生地;(b)脂肪、矯味剤を任意選択で含有する脂肪および/または単離された植物タン
パク質;ならびに(c)炭水化物系ゲル、結合剤、鉄イオンと錯化された高度に共役した
複素環式環および/または鉄塩、任意選択の食用の繊維状構成成分、および1種もしくは
複数の任意選択の矯味剤を含有するひき肉レプリカを特徴とする。結合剤は、単離された
植物タンパク質(例えば、RuBisCO、アルブミン、グルテン、コングリシニン、ま
たはそれらの混合物)であり得る。結合剤の変性温度は、約40℃から約80℃の間であ
り得る。
【0037】
別段定義されない限り、本明細書に用いられるすべての技術用語および科学用語は、本
発明に関係する当業者によって普通に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載
したものと類似のまたはそれに相当する方法および材料を、本発明を実行するために用い
ることができるが、適当な方法および材料は、後述される。本明細書で言及されたすべて
の刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体を参照により組み込まれる
。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。さらに、材料、方法
、および例は、例示的なものにすぎず、限定するものではない。
【0038】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細は、以下の添付図面および説明に記載される
。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範
囲から明らかである。特許請求の範囲における用語「含む(comprising)」は、特許法の
おける標準的な慣行に従って「本質的にからなる」によってまたは「からなる」で置き換
えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
一般に、本文書は、ひき肉レプリカ(例えば、牛のひき肉、鶏のひき肉、七面鳥のひき
肉、子羊のひき肉、または豚のひき肉)、ならびに肉および魚の切り身のレプリカを含め
た食肉レプリカを生成するための方法および材料を提供する。概して、本文書は、任意選
択の食用の繊維状構成成分を含む食肉レプリカ生地(本明細書において「肉の生地」と称
する)を調製するステップと、肉の生地を矯味剤および/または単離された植物タンパク
質を任意選択で含むことができる脂肪(動物系脂肪が用いられ得ることに留意するべきで
あるが、通常、非動物系脂肪)と合わせるステップと、炭水化物系ゲル、任意選択の食用
の繊維状構成成分、結合剤、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/ま
たは鉄塩、および1種もしくは複数の矯味剤を加えてレプリカを製造するステップとを含
むひき肉レプリカを製造するための方法を提供する。肉の生地を脂肪と合わせた後、混合
物は、さらなる成分を加える前により細かく砕くことができる。
【0040】
肉の生地は、食用の繊維状構成成分を取り込んで、ひき肉(例えば、牛のひき肉)の不
均一性および質感に類似している食肉レプリカにおいて組織構造上の不均一性および繊維
性を達成するのに役立てることができる。矯味剤を食肉レプリカの複数の構成成分(例え
ば、肉の生地、食用の繊維状構成成分、非動物系脂肪、または組み合わせて作られたレプ
リカ(assembled replica)のうちの2つ以上)に取り込むことにより、ひき肉の感覚的
な特性を模倣するのに役立つ。いくつかの実施形態では、矯味剤は、食肉レプリカの3種
の構成成分に取り込まれる。いくつかの実施形態では、矯味剤は、食肉レプリカの4種の
構成成分に取り込まれる。
【0041】
本明細書に記載した通り、矯味剤は、フレーバー前駆物質、フレーバー前駆物質を鉄と
反応させることにより生成されたフレーバー化合物、または抽出物(例えば、麦芽抽出物
、酵母抽出物、キュウリ抽出物もしくはメロン抽出物などの野菜または果実抽出物、また
はペプトン)などの調味料または植物性タンパク質加水分解物、ダイズタンパク質加水分
解物、酵母タンパク質加水分解物、藻類タンパク質加水分解物、もしくは食肉タンパク質
加水分解物などのタンパク質加水分解物または天然もしくは合成のフレーバー化合物であ
り得る。フレーバー前駆物質は、例えば、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式
環または鉄塩中の鉄と、互いに反応させてもよく、加熱後、調味料と反応させてもよい。
したがって、本明細書に記載した食肉レプリカにおいて、予め調理された、すなわち、反
応させた、風味構成成分、レプリカの調理中(例えば、鉄塩および/もしくは鉄イオンと
錯化された高度に共役した複素環式環とまたは互いに)反応させることができる調理され
ていないフレーバー前駆物質、または調味料もしくは反応を必要とせずに風味を導入する
フレーバー化合物の組合せは、食肉レプリカに取り込まれて、調理するおよび調理済みの
ひき肉を食べる感覚的な体験を再現することができる。ひき肉生成物の風味および/また
は芳香プロファイルは、他の因子の中でもとりわけ、フレーバー前駆物質のタイプおよび
濃度、反応のpH、調理の長さ、鉄複合体のタイプおよび量(例えば、ヘム含有タンパク
質、または非ペプチド性ポリマーもしくは巨大分子に結合したヘムなどのヘム-補因子)
、反応の温度、ならびに生成物中の水分活性の量によって調節することができる。
【0042】
鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環は、鉄複合体と本明細書で称される。
かかる鉄複合体には、ヘム部分または鉄イオンと錯化された他の高度に共役した複素環式
環が含まれる。「ヘム」とは、ポルフィリン環の中心で鉄(Fe2+またはFe3+)に
結合される補欠分子族を意味する。したがって、鉄複合体は、ヘム部分、またはポルフィ
リン、ポルフィリノーゲン、コリン、コリノイド、クロリン、バクテリオクロロフィル、
コルフィン(corphin)、クロロフィリン、バクテリオクロリン、または鉄イオンと錯化
されたイソバクテリオクロリン部分であり得る。ヘム部分は、ヘム含有タンパク質などの
ヘム補因子;非ペプチド性ポリマーまたはリポソーム、ポリエチレングリコール、炭水化
物、多糖類、もしくはシクロデキストリンなどの他の巨大分子に結合されるヘム部分であ
り得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、鉄複合体は、単離され精製されるヘム含有タンパク質である
。本明細書で使用される場合、タンパク質またはタンパク質画分に関する用語「単離され
精製された」は、タンパク質またはタンパク質画分が、原料物質の他の構成成分の乾燥重
量により少なくとも50%(例えば、少なくとも55%、60%、65%、70%、75
%、80%、85%、90%、95%、または99%)を含まないように、タンパク質ま
たはタンパク質画分が、原料物質(例えば、他の動物、植物、真菌、藻類、または細菌タ
ンパク質)の他の構成成分から分離されていることを示す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「濃縮された」タンパク質またはタンパク質画分組成物は
、原料物質に対してそのタンパク質またはタンパク質画分中で少なくとも2倍(例えば、
少なくとも3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍)濃縮される。
【0045】
用語「ヘム含有タンパク質」は、「ヘム含有ポリペプチド」または「ヘムタンパク質」
または「ヘムポリペプチド」と同義的に用いることができ、ヘム部分に共有結合または非
共有結合することができる任意のポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ヘム含
有ポリペプチドは、グロビンであり、グロビンフォールドを含むことができ、これは一連
の7個から9個のαヘリックスを含む。グロビンタイプタンパク質は、任意のクラス(例
えば、クラスI、クラスII、またはクラスIII)のものであり得、いくつかの実施形
態では、酸素を輸送または貯蔵することができる。例えば、ヘム含有タンパク質は、ヘモ
グロビンまたはレグヘモグロビンの非共生タイプであり得る。ヘム含有ポリペプチドは、
モノマー、すなわち、単一のポリペプチド鎖であってもよく、二量体、三量体、四量体、
および/または高次のオリゴマーであってもよい。ヘム含有タンパク質の酸化したFe2
+状態の寿命は、ミオグロビンの寿命と類似してもよく、ヘムタンパク質含有消耗品が製
造される、貯蔵される、取り扱われるまたは消費のために調製される条件下で、それを1
0%、20%、30%、50%、100%またはそれ以上まで超えてもよい。ヘム含有タ
ンパク質の酸化されないFe2+状態の寿命は、ミオグロビンの寿命と類似してもよく、
ヘムタンパク質含有消耗品が、製造される、貯蔵される、取り扱われるまたは消費のため
に調製される条件下で、それを10%、20%、30%、50%、100%またはそれ以
上まで超えてもよい。
【0046】
ヘム含有ポリペプチドの非限定的な例には、アンドログロビン、サイトグロビン、グロ
ビンE、グロビンX、グロビンY、ヘモグロビン、ミオグロビン、エリトロクルオリン、
βヘモグロビン、αヘモグロビン、プロトグロビン、シアノグロビン、サイトグロビン、
ヒストグロビン、ニューログロビン、クロロクルオリン、切断型ヘモグロビン(例えば、
HbNまたはHbO)、切断型2/2グロビン、ヘモグロビン3(例えば、Glb3)、
チトクロム、またはペルオキシダーゼを含むことができる。
【0047】
本明細書に記載したひき肉レプリカにおいて用いることができるヘム含有タンパク質は
、哺乳動物(例えば、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、雄ウシ、またはウサギなどの家畜)
、鳥類、植物、藻類、真菌類(例えば、酵母または糸状菌)、繊毛虫類、または細菌由来
であり得る。例えば、ヘム含有タンパク質は、家畜(例えば、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブ
タ、魚、雄ウシ、またはウサギ)などの哺乳動物または七面鳥もしくはニワトリなどの鳥
類由来であり得る。ヘム含有タンパク質は、ニコチアナ・タバクム(Nicotiana tabacum
)またはニコチアナ・シルベストリス(Nicotiana sylvestris)(タバコ);ゼア・マユ
ス(Zea mays)(トウモロコシ)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、グリシン
・マックス(Glycine max)(ダイズ)、ヒヨコマメ(cicer arietinum)(ガルバンゾま
たはヒヨコマメ)、エンドウ(garden pea)もしくはスナップエンドウなどのピスム・サ
ティヴム(Pisum sativum)(エンドウマメ)品種などのマメ科植物、グリーンビーンズ
、クロマメ、白インゲンマメ、ノーザンビーンズ(northern beans)、もしくはピントビ
ーン(pinto bean)などのインゲンマメのファセオルス・ブルガリス(Phaseolus vulgar
is)品種、ヴィグナ・ウングイクラタ(Vigna unguiculata)品種(ササゲ)、ヴィグナ
・ラジアタ(Vigna radiata)(リョクトウ)、ルピナス・アルブス(Lupinus albus)(
ルピナス)、またはメジカゴ・サチヴァ(Medicago sativa)(アルファルファ);ブラ
シカ・ナパス(Brassica napus)(カノーラ);トリチカム(Triticum)種(コムギ粒、
およびスペルトコムギを含めたコムギ);ゴシピウム・ヒルスツム(Gossypium hirsutum
)(ワタ);オリザ・サティヴァ(Oryza sativa)(イネ);ジザニア(Zizania)種(
ワイルドライス);ヘリアンサス・アンヌウス(Helianthus annuus)(ヒマワリ);ベ
ータ・ブルガリス(Beta vulgaris)(サトウダイコン);ペニセツム・グラウクム(Pen
nisetum glaucum)(パールミレット);ケノポジウム(Chenopodium)種(キノア);セ
サマム(Sesamum)種(ゴマ);リナム・ウシタチシマム(Linum usitatissimum)(フラ
ックス);あるいはホルデウム・ウルガレ(Hordeum vulgare)(オオムギ)などの植物
由来であり得る。ヘム含有タンパク質は、酵母(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・
パストリス(Pichia pastoris)、マグナポルテ・オリザエ(Magnaporthe oryzae)、フ
サリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、コウジカビ(Aspergillus oryzae
)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、ミセリオプテラ・テルモフィル(
Myceliopthera thermophile)、クルイベラミセス・ラクチス(Kluyveramyces lactis)
、またはフサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)などの真菌類から単離する
ことができる。ヘム含有タンパク質は、細菌、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、枯
草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)
、巨大菌(Bacillus megaterium)、シネコシスティス(Synechocistis)種、アクイフェ
クス・エオリクス(Aquifex aeolicus)、メチルアシジフィルム・インフェルノラム(Me
thylacidiphilum infernorum)、またはテルモフィラス(Thermophilus)種などの好熱性
細菌から単離することができる。多数のヘム含有タンパク質の配列および構造は、公知で
ある。例えば、Reedy, et al., Nucleic Acids Research, 2008, Vol. 36, Database iss
ue D307-D313およびワールドワイドウェブ(http://hemeprotein.info/heme.php)で利用
可能なヘムタンパク質データベースを参照のこと。
【0048】
いくつかの実施形態では、非共生ヘモグロビンは、任意の植物由来であり得る。いくつ
かの実施形態では、非共生ヘモグロビンは、ダイズ、発芽ダイズ、アルファルファ、ゴー
ルデンフラックス(golden flax)、クロマメ、ブラックアイドピー(black eyed pea)
、ノーザンビーン、タバコ、エンドウマメ、ガルバンゾ、リョクトウ、ササゲ、ピントビ
ーン、サヤエンドウ、キノア、ゴマ、ヒマワリ、コムギ粒、スペルト、オオムギ、ワイル
ドライス、およびイネからなる群から選択される植物由来であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、レグヘモグロビンは、ダイズ、エンドウマメ、またはササゲ
レグヘモグロビンであり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、単離された植物タンパク質が用いられる。本明細書で使用さ
れる場合、タンパク質またはタンパク質画分(例えば、7S画分)に関する用語「単離さ
れた」は、タンパク質またはタンパク質画分が、原料物質の他の構成成分の乾燥重量によ
り少なくとも2%(例えば、少なくとも5%、10%、20%、25%、30%、35%
、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%
、90%、95%、または99%)を含まないように、タンパク質またはタンパク質画分
が、原料物質(例えば、他の動物、植物、真菌、藻類、または細菌タンパク質)の他の構
成成分から分離されていることを示す。したがって、いくつかの実施形態では、鉄複合体
は、単離されるヘム含有タンパク質(例えば、植物ヘム含有タンパク質)であり得る。タ
ンパク質は、これらの分子量に基づき、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、膜によ
る限外ろ過、または密度遠心分離により分離することができる。いくつかの実施形態では
、タンパク質は、これらの表面電荷に基づき、例えば、等電沈澱、陰イオン交換クロマト
グラフィー、または陽イオン交換クロマトグラフィーにより分離することができる。タン
パク質はまた、これらの溶解性に基づき、例えば、硫酸アンモニウム沈澱、等電沈澱、界
面活性剤、洗剤または溶媒抽出により分離することができる。タンパク質はまた、例えば
、疎水性相互作用クロマトグラフィー、反応染料、またはヒドロキシアパタイトを用いて
、別の分子へのそれらの親和性により、分離することができる。アフィニティークロマト
グラフィーはまた、ヘム含有タンパク質に対する特異的結合親和性を有する抗体、His
-タグ付き組換えタンパク質のためのニッケルニトリロ酢酸(NTA)、糖タンパク質に
おいて糖部分に結合するためのレクチン、またはタンパク質を特異的に結合させる他の分
子を用いることを含むことができる。
【0051】
実施例2は、植物(例えば、ホウレンソウまたはアルファルファ)からRuBisCO
を単離するための方法を記載している。抽出プロセスは、メタ重亜硫酸塩(約2%w/v
またはそれ以上の溶液)などの還元剤を初回の抽出緩衝液に加え、プロセスを通して嫌気
条件を維持することにより、および/またはSuperfloc 781G,Magna
floc LT 7989(BASF)、またはTramfloc 863Aなどの0.
05~1%v/v陽イオン性凝集剤を、抽出緩衝液に加えることにより、さらに改善する
ことができる。pH7.0の精密ろ過後、かかる方法からの再懸濁させたタンパク質ペレ
ットは、それでもなお機能し、同じ色を呈し、同じ変性特性を有する。
【0052】
実施例4は、ダイズなどの植物からコングリシニン(7S画分と称することもできる)
を単離するための方法を記載している。7Sの他の供給源には、それだけには限らないが
、エンドウマメ、ヒヨコマメ、リョクトウ、インゲンマメ、ソラマメ、ササゲ、松の実、
イネ、トウモロコシ、およびゴマなどの種子が含まれる。可溶性タンパク質は、脱脂ダイ
ズ粉から抽出し、次いで、混合物を、(例えば、pH4.5まで)酸性にしてタンパク質
を沈殿させることができる。コングリシニンは、再溶解させ、例えば、限外ろ過を用いて
濃縮することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、単離されたタンパク質は、脱色される。例えば、RuBis
CO濃縮物は、活性炭で充てんされたカラムに通すことにより脱色することができる(p
H7~9)。着色料はカラムに結合することができ、一方、RuBisCOは、ろ液中で
単離することができる。あるいは、RuBisCO濃縮物は、カラムまたはバッチモード
に充てんされたFPX66(Dow Chemicals)樹脂で溶液をインキュベート
することにより脱色することができる。スラリーは、30分間インキュベートされ、次い
で、液体は、樹脂から分離される。着色料は、樹脂に結合することができ、RuBisC
Oは、カラム通過画分中で収集することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、単離されたタンパク質は、実施例3に記載されている通り精
製し、脱色することができる。2014年10月1日出願の米国特許出願第62/058
,211号「Methods for Extracting and Purifying Native Proteins」も参照のこと。
【0055】
いくつかの実施形態では、脱色された単離された植物タンパク質は、脱色せずに単離さ
れた植物タンパク質を含む、対応する食肉レプリカと比較して、食肉レプリカの赤色に対
する有効期間の安定性を高めることができる。いくつかの実施形態では、脱色されたタン
パク質は、対応する脱色せずに単離された植物タンパク質を含む食肉レプリカにおいて観
察されたものと比較して、食肉レプリカの風味プロファイルを改善させる。
【0056】
ヘム含有または他のタンパク質はまた、ポリペプチド発現技法(例えば、細菌細胞、昆
虫細胞、酵母などの真菌細胞、タバコ、ダイズ、もしくはアラビドプシス(Arabidopsis
)などの植物細胞、または哺乳動物細胞を用いた異種の発現技法)を用いて組み換えによ
って生成することができる。例えば、レグヘモグロビンは、実施例1に記載されている通
り大腸菌(E.coli)またはピキア・パストリス(Pichia pastoris)において組み換えに
よって生成することができる。場合によっては、標準的なポリペプチド合成技法(例えば
、液相ポリペプチド合成技法または固相ポリペプチド合成技法)を用いて、ヘム含有タン
パク質を合成により生成することができる。場合によっては、in vitro転写-翻
訳技法を用いて、ヘム含有タンパク質を生成することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される食肉レプリカは、非動物供給源、例え
ば、植物、真菌、または微生物ベースの供給源に由来する成分から実質的にまたは完全に
構成される。いくつかの実施形態では、食肉レプリカは、1種または複数の動物ベースの
生成物を含むことができる。例えば、食肉レプリカは、植物ベースおよび動物ベースの供
給源の組合せから製造することができる。
【0058】
食肉レプリカの製造
肉の生地は、単離された植物タンパク質および任意選択の食用の繊維状構成成分、任意
選択の矯味剤、および任意選択の非動物脂肪を混合し、水またはブロスなどの水性構成成
分を、混合物に加え、手動でもしくは機械的に練り合わせてまたは別の方法で混合し、生
地を形成することにより調製することができる。植物タンパク質および繊維状構成成分の
混合物に加える前に、水性構成成分は加熱することができる。肉の生地が形成された後、
肉の生地を、150°Fから250°F(例えば、160°Fから240°F、170°
Fから230°F、180°Fから220°F、または190°Fから212°F)まで
の温度に加熱する(例えば、蒸すまたはゆでる)。例えば、肉の生地は、炊飯器、スチー
ムキャビネット、またはトンネルスチーマーに置くことにより蒸すことができる。肉の生
地は、乾熱を加える、例えば、パン焼き器もしくはオーブンに置くことにより、または熱
湯もしくはブロスに浸漬することにより加熱することができる。ブロスでゆでると、有益
な風味および異臭マスキング剤を生地に吸収させることができるため、肉の生地の風味を
向上することができる。質感特性はまた、調理方法の選択により調節することもできる。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「単離された植物タンパク質」は、タンパク質または
タンパク質画分が、原料物質の他の構成成分の乾燥重量により少なくとも2%(例えば、
少なくとも5%、10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、
55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または9
9%)を含まないように、植物タンパク質(例えば、ヘム含有タンパク質、コムギグルテ
ン、デヒドリンタンパク質、アルブミン、グロブリン、コングリシニン、グリシニン、も
しくはゼイン、またはそれらの混合物)または植物タンパク質画分(例えば、7S画分)
は、原料物質(例えば、他の動物、植物、真菌、藻類、または細菌タンパク質)の他の構
成成分から分離されていることを示す。例えば、コムギグルテンは、単独でまたは1種も
しくは複数の他のタンパク質(例えば、デヒドリン)と組み合わせて用いることができる
。デヒドリンは、ひき肉レプリカにおいて多汁性および質感を高めるために特に有用であ
り得る。いくつかの実施形態では、食肉レプリカは、グルテンを含まないように配合する
ことができ、例えば、トウモロコシデンプン、タピオカ粉、米粉、およびグアーガムのブ
レンドは、肉の生地中のコムギグルテンと置換することができる。
【0060】
食用の繊維状構成成分は、植物繊維、単離された植物タンパク質(例えば、コムギグル
テンまたは他の単離された植物タンパク質、例えば、グルテリン、アルブミン、レグミン
、ビシリン(vicillin)、コンビシリン、グリシニンおよびダイズ、エンドウマメ、レン
ズマメなどを含めた任意の種子またはマメ由来などのタンパク質分離物など)の押出成形
された混合物、または溶液紡糸タンパク質繊維であり得る。いくつかの実施形態では、溶
液紡糸タンパク質繊維は、プロラミン溶液紡糸タンパク質繊維である。プロラミンは、任
意の植物供給源(例えば、トウモロコシまたはエンドウマメ)由来であり得、ゼイン、プ
ロラミン、カフェリン(kafirin)、セカリン、ホルデイン、またはアベニンを含むこと
ができる。ひき肉生成物(例えば、肉のパテ)の質感は、繊維性および引張強さなどの食
用の繊維状構成成分の特性に依存する。本明細書に記載した通り、単離された植物タンパ
ク質または溶液紡糸タンパク質繊維の押出成形された混合物は、結合組織レプリカと称す
ることができ、結合組織レプリカの繊維性および引張強さは、温度、処理量、およびダイ
寸法などの押出パラメーターの共変動により制御することができる。例えば、より低い押
出温度、中間/低処理量およびより小型のダイの組合せは、引張強さが低い繊維性のより
高い組織の生成に好都合に働き、より高い押出温度、より高い処理量およびより大型のダ
イは、引張強さが非常に高い繊維性の低い組織レプリカの生成に好都合に働く。
【0061】
結合組織レプリカの繊維性および引張強さはまた、押出混合物の組成を変化させること
により調節することもできる。例えば、単離された植物タンパク質(例えば、コングリシ
ニンなどのダイズタンパク質)とコムギグルテンとの比を3:1w/wに上げ、同時に押
出混合物の含水量を50%まで減らすことにより、繊維よりが薄く引張強さがより大きい
結合組織レプリカを製造することができる。
【0062】
肉の生地の質感はまた、酒石酸水素カリウムを調製に加えることにより改変することも
できる。例えば、酒石酸水素カリウムを含有する肉の生地調製は、成形しやすいように、
牛のひき肉と類似する挽いた後の形状因子により、より粘着力があってもよい。酒石酸水
素カリウムは、0.05%から2.5%の間(例えば、0.5%)で加えることができる
。
【0063】
ひき肉レプリカの外観は、食用の繊維状構成成分を、所望のサイズおよび形状の断片に
細長く切ることにより調節することができる。いくつかの実施形態では、食用の繊維状構
成成分は、市販のシュレッダー、例えば、艶消し刃が付属したCuisineartチョ
ッパー/グラインダー、UM12、Comitrolシュレッダー(Urschel L
aboratories、Indiana)または類似のシュレッダーを用いて細長く切
ることができる。繊維のサイズは、シュレッダーのタイプ、刃の選択、およびスクリーン
のタイプによりならびに細長く切る時間を調整することにより、肉の繊維の外観を模倣す
るために調整することができる。
【0064】
他の実施形態では、食用の繊維状構成成分は、携帯型のカーダー(carder)または梳綿
機、例えば、Pat Greenカーダーを用いて梳くことにより繊維に分離することが
できる。サイズを変えるおよびカーディングドラムのピンの間隔を開けることにより、繊
維のサイズを調整して、肉の繊維の外観を模倣することができる。
【0065】
他の実施形態では、食用の繊維状構成成分は、ローラー(例えば、KITCHENAI
D(登録商標)パスタアタッチメント)に通してそれを押し、その後、UM12マシンで
、例えば、艶消し刃を用いて、静かに細長く切ることにより繊維に分離することができる
。ローラーの番号およびローラー間の間隔を変えることにより、繊維のサイズを調整して
、肉の繊維の外観を模倣することができる。
【0066】
結合組織レプリカの繊維性、引張強さ、および外観は、目的に合わせて、特定のひき肉
生成物(例えば、牛のひき肉または挽くことができる牛肉の異なる切り身)を模倣して作
ることができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、食用の繊維状構成成分には、可溶性または不溶性植物繊維が
含まれる。例えば、ニンジン、タケ、エンドウマメ、ブロッコリー、ジャガイモ、サツマ
イモ、トウモロコシ、全粒粉、アルファルファ、ケール、セロリ、セロリの根、パセリ、
キャベツ、ズッキーニ、グリーンビーンズ、インゲンマメ、クロマメ、アズキ、白インゲ
ン、ビート、カリフラワー、ナッツ、リンゴの皮、カラスムギ、コムギ、もしくはオオバ
コ、またはそれらの混合物由来の植物繊維は、食用の繊維状構成成分として用いることが
できる。
【0068】
いくつかの実施形態では、食用の繊維状構成成分には、押出プロセス中に異臭の発生を
防止する化合物が含まれ得る。押出混合物が押出プロセス中に曝露される温度が高く水分
が少ない条件により、穀物のような(grainy)、木のような、ナッツのような、ゴムのよ
うなおよび他の異臭を伴う化合物を形成する。酸化防止剤またはカロテノイドなどのある
特定のクラスの化合物を含むことによって、異臭化合物の形成を低下させるのに役立てる
ことができる。例えば、押出成形された混合物は、穀物のような異臭の発生を防止するた
めにカンタキサンチンを含むことができる。カロテノイドは、食用の繊維状構成成分の約
0重量%から約1重量%であり得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、肉の生地は、単離された植物タンパク質と食用の繊維状構成
成分のおおよそ等しい割合を用いて形成される。比は、最終生成物の特性を目的に合わせ
て作るのに望ましいように変えることができることが理解されよう。
【0070】
いくつかの実施形態では、ブロス、例えば、風味を付けたブロスは、肉の生地に用いる
ことができる。例えば、肉の生地は、単離された植物タンパク質とブロスのおおよそ等し
い割合を用いて形成することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、風味ブロスには、肉の生地に加える前にフレーバー前駆物質
を予備反応させる(調理する)ことにより創出された風味混合物が含まれる。フレーバー
前駆物質分子または組成物は、精製された形態で予備反応混合物に加えられてもよいし、
および/または例えばヤシ油、システイン、グルコース、リボース、チアミン、藻類油、
乳酸および/または酵母抽出物などの特定のフレーバー前駆物質または組成物のうち1種
または複数を含有するかおよび/またはそれらが富化された未調理の肉の生地中の成分に
由来するものでもよい。得られた風味および/または芳香プロファイルは、他の因子の中
でもとりわけ、フレーバー前駆物質のタイプおよび濃度、反応のpH、調理の長さ、調理
の温度、鉄複合体(例えば、タンパク質を含有する鉄、ヘム含有タンパク質などのヘム補
因子、または鉄クロロフィリン)または鉄塩(グルコン酸鉄)のタイプおよび量、反応の
温度、ならびに生成物中の水分活性の量により調節することができる。風味ブロスは、非
動物性生成物(例えば、植物)を含有してもよく、風味ブロスは、動物および非動物ベー
スの前駆物質(例えば、ラード)の組合せであってもよい。風味ブロスは、牛肉、ベーコ
ン、豚肉、仔ヒツジの肉、ヤギ肉、七面鳥の肉、鴨肉、鹿肉、ヤクの肉、バイソンの肉、
鶏肉の味およびにおいまたは望ましい食肉の風味になる消費できる食品に風味をもたらし
得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、風味を付けたブロスは、鉄複合体(例えば、単離されたヘム
含有タンパク質)および/または鉄塩(例えば、グルコン酸鉄、塩化鉄、シュウ酸塩、硝
酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、硫酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、または任意の他
の水溶性の塩)を、1種もしくは複数のフレーバー前駆物質および脂肪(例えば、非動物
系脂肪)と組み合わせることにより、ならびに混合物を加熱して、1種または複数のフレ
ーバー化合物を含有する風味を付けたブロスを得ることにより作製することができる。適
当なフレーバー前駆物質には、糖、糖アルコール、糖誘導体、遊離脂肪酸、トリグリセリ
ド、α-ヒドロキシ酸、ジカルボン酸、アミノ酸およびその誘導体、ヌクレオシド、ヌク
レオチド、ビタミン、ペプチド、リン脂質、レシチン、ピラジン、クレアチン、ピロリン
酸塩および有機分子が含まれる。例えば、糖、糖アルコール、糖酸、および糖誘導体は、
グルコース、フルクトース、リボース、スクロース、アラビノース、グルコース-6-リ
ン酸、フルクトース-6-リン酸、フルクトース1,6-二リン酸、イノシトール、マル
トース、マンノース、グリセロール、糖蜜、マルトデキストリン、グリコーゲン、ガラク
トース、ラクトース、リビトール、グルコン酸、グルクロン酸、アミロース、アミロペク
チン、またはキシロースを含むことができる。遊離脂肪酸は、カプリル酸、カプリン酸、
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、リノール酸、αリノレン酸、γリノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸
、エイコサペンタエン酸、ペトロセリン酸またはエルカ酸を含むことができる。トリグリ
セリドは、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミ
トレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、αリノレン酸、γリノレン酸、ア
ラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エイコサペンタエン酸、ペトロセリン酸またはエ
ルカ酸の脂肪酸エステルを含むことができる。アミノ酸およびその誘導体は、システイン
、シスチン、システインスルホキシド、アリシン、セレノシステイン、メチオニン、イソ
ロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、5-ヒ
ドロキシトリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、
アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシ
ン、オルニチン、カルノシン、シトルリン、カルニチン、オルニチン、テアニン、および
タウリンを含むことができる。リン脂質は、脂肪酸、グリセロールおよび極性基を含む、
複数の両親媒性分子を含むことができる。脂肪酸は、オレイン酸、パルミトレイン酸、パ
ルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、
カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、20:1エイコサン酸、アラキ
ドン酸、エイコサペンタン酸、ドコサヘキサン酸、18:2共役リノール酸、共役オレイ
ン酸、またはオレイン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸
、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン
酸、リノール酸、20:1エイコサン酸、アラキドン酸、エイコサペンタン酸、ドコサヘ
キサン酸、18:2共役リノール酸もしくは共役オレイン酸のエステル、またはオレイン
酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、
カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、20
:1エイコサン酸、アラキドン酸、エイコサペンタン酸、ドコサヘキサン酸、18:2共
役リノール酸もしくは共役オレイン酸のグリセロールエステル、またはオレイン酸、パル
ミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン
酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、20:1エイ
コサン酸、アラキドン酸、エイコサペンタン酸、ドコサヘキサン酸、18:2共役リノー
ル酸、もしくは共役オレイン酸のトリグリセリド誘導体からなる群から選択される。いく
つかの実施形態では、極性基は、コリン、エタノールアミン、セリン、リン酸塩、グリセ
ロール-3-リン酸、イノシトールおよびイノシトールリン酸からなる群から選択される
。
【0073】
ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、イノシン、イノシン一リン酸(IMP)、グアノ
シン、グアノシン一リン酸(GMP)、アデノシン、またはアデノシン一リン酸(AMP
)を含むことができる。ビタミンは、チアミン、ビタミンB2、ビタミンB9、ビタミン
C、4-アミノ安息香酸、コリン、ナイアシン、ビタミンB8、ビタミンB12、ビオチ
ン、ベタイン、ビタミンA、βカロテン、ビタミンD、ビタミンB6、またはビタミンE
を含むことができる。酸、例えば、酢酸、コーヒー酸、グリコール酸、アスパラギン酸、
パントテン酸、乳酸もしくはグリコール酸などのαヒドロキシ酸、クエン酸などのトリカ
ルボン酸、またはコハク酸もしくは酒石酸などのジカルボン酸。ペプチドおよびタンパク
質加水分解物は、グルタチオン、植物性タンパク質加水分解物、ダイズタンパク質加水分
解物、コムギタンパク質加水分解物、トウモロコシタンパク質加水分解物、酵母タンパク
質加水分解物、藻類タンパク質加水分解物、および食肉タンパク質加水分解物を含むこと
ができる。抽出物は、麦芽抽出物、酵母抽出物、またはペプトンを含むことができる。
【0074】
例えば、いくつかの実施形態では、ブロスは、鉄複合体(例えば、レグヘモグロビンな
どの単離され精製されたヘム含有タンパク質)および/または鉄塩(例えば、グルコン酸
鉄、塩化鉄、シュウ酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、硫酸第一鉄、ピロリ
ン酸第二鉄、または任意の他の水溶性の塩)を1種または複数のフレーバー前駆物質(例
えば、表2または表13に示される前駆物質のミックス)および脂肪(例えば、非動物系
脂肪)と合わせることにより、ならびに混合物を加熱して1種または複数のフレーバー化
合物を含有する風味を付けたブロスを得ることにより作製することができる。非動物脂肪
は、植物由来油、藻類油、または細菌もしくは真菌類由来の油を含むことができる。適当
な植物由来油には、ヤシ油、マンゴー油、ヒマワリ油、綿実油、ベニバナ油、米糠油、カ
カオバター、パーム核油、ヤシの実の油、パーム油、ダイズ油、ナタネ油、カノーラ油、
トウモロコシ油、ゴマ油、クルミ油、扁桃油、アマニ油、ホホバ油、ヒマシ油、グレープ
シード油、ラッカセイ油、オリーブ油、ルリジサ油、藻類油、真菌油、クロスグリ油、バ
バス油、シアバター、マンゴーバター、コムギ胚芽油、クロスグリ油、シーバックソーン
油、マカダミア油、ノコギリヤシ油、共役リノール酸油、アラキドン酸強化油、ドコサヘ
キサエン酸(DHA)強化油、エイコサペンタエン酸(EPA)強化油、またはマーガリ
ンが含まれる。油は、水素化されていても(例えば、水素化された植物油)、水素化され
ていなくてもよい。ステアリン(例えば、パームステアリン)またはオレインなどの油画
分を用いることもできる。例えば、非動物脂肪は、ヤシ油でも、ヤシ油およびステアリン
の組合せでもよい。いくつかの実施形態では、脂肪は、非動物(例えば、植物)生成物を
含有してもよく、脂肪は、動物および非動物ベースの前駆物質(例えば、ラード)の組合
せ、またはもっぱら動物系脂肪でもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、風味を付けたブロスは、水、ヤシ油などの非動物系脂肪、お
よび酸(例えば、乳酸)などの矯味剤、カロテノイド(例えば、ルテイン)、または酸化
防止剤を合わせることにより、ならびに混合物を加熱してブロスを作製することにより作
製することができる。
【0076】
前述した肉の生地を加熱後、矯味剤を任意選択で含有する非動物脂肪は、肉の生地と合
わせることができる。通常、肉の生地は、肉の生地を非動物脂肪と合わせる前に(例えば
、室温まで)放冷する。非動物脂肪は、非動物脂肪を、鉄複合体または鉄塩および(前述
の)1種もしくは複数のフレーバー前駆物質と合わせることによりならびに混合物を加熱
してフレーバー化合物を生成することにより風味付けすることができる。非動物系脂肪が
固化することができるように加熱された混合物は、冷却することができる。1種または複
数の追加の非動物脂肪(例えば、藻類油)、1種もしくは複数のマスキング剤(例えば、
ラクトン、例えばブチロラクトン、δ-トリデカラクトン、γデカラクトン、δ-ドデカ
ラクトン、γ-オクタラクトン、ジヒドロ-5-メチル2(3H)-フラノン、4-ヒド
ロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-
メチル-3(2H)-フラノン、δ-テトラデカラクトン、またはそれらの組合せ)、ま
たは1種もしくは複数の風味付け化合物(例えば、アセトイン、カロテノイド、酸化防止
剤、野菜ジュースもしくは果汁、ピューレ、または抽出物)は、混合物が固化する前に加
えて非動物脂肪の風味を改善することができる。いくつかの実施形態では、5-エチル-
4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、ブチロラクトン、γ-オクタラク
トン、および/またはδ-テトラデカラクトンの組合せは、マスキング剤として用いるこ
とができる。(例えば、10-3から10-10の濃度で)1種または複数のラクトンを
加えると、その結果、穀物、卵、苦味、厚紙、肝臓、またはマッシュルームのように感じ
る異臭が減り、クリームのような、バターのような、カラメルになった、脂っこい、新鮮
な、およびフルーツのようななどの所望の風味を増すことができる。例えば、2種、3種
、または4種のラクトンの組合せを用いて、苦味などの特性をマスキングすることができ
る。さらに、ラクトンはまた、10-3から10-11の間の濃度で用いて、クリームの
ような、バターのような、カラメルになった、脂っこい、新鮮な、フルーツのような、獣
脂および肉のような香気などの所望の風味を、食肉レプリカに与えることができる。した
がって、ラクトンは、マスキング剤または矯味剤として用いることができる。ラクトンは
、それだけには限らないが、牛乳、チーズ、およびヨーグルトなどの乳製品のレプリカ、
またはプロテインバーおよびタンパク質粉末などのタンパク質サプリメントを含めた、他
の製品においてマスキング剤として作用することができる。ラクトンの組合せは、食肉レ
プリカなどの食品において肉の風味(例えば、脂っこい獣脂および甘い芳香)を創出する
または非牛肉食品に牛肉の風味を与える上で重要な独特な風味プロファイルを提供するこ
とができる。食肉レプリカは、ラクトンが生成物に加えられる場合、全体的な嗜好および
肉のような特質(meatiness)の評価を改善する。いくつかの実施形態では、例えば、ブ
チロラクトン、δ-テトラデカラクトン、および5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチ
ル-3(2H)-フラノンの組合せは、肉のような風味を提供するために用いることがで
きる。ラクトンは、植物油に加えて、より動物脂肪に近い脂肪の味を作り、口全体に広が
る感じ(perception of mouth coating)を増すことができる。ラクトンはまた、糖含有
量を変えずに生成物の甘味を増すために加えることもできる。ラクトンおよびカロテノイ
ドなどの作用物質が、食肉またはチーズレプリカを含めた、食品レプリカ(例えば、植物
ベースの食品レプリカ)に風味を付けるために用いることができ、食肉およびチーズなど
の食品の風味を変更するために(例えば、食肉またはチーズ風味を増すために)用いるこ
ともできることに留意するべきである。
【0077】
いくつかの実施形態では、β-カロテン、ゼアキサンチン、ルテイン、trans-β
-アポ-8’-カロテナル、リコペン、およびカンタキサンチンなどのカロテノイドを用
いて、所望の風味の創出を制御し、植物ベースの食品(例えば、本明細書に記載した食肉
レプリカ)などの食品を創出することによって望まれない風味を防止することができる。
カロテノイドは、乳製品のレプリカを含めた、他の食品における植物の異臭を減らすため
に用いることができる。カロテノイドの各タイプは、所望の風味を創出するおよび異臭を
制御する異なる特性を有することが判明した。実施例18および26を参照のこと。カロ
テノイドは、0.00001%から0.1%の間で加えられる場合、食肉レプリカを改善
する甘いおよび脂のような香気を増すことができる。
【0078】
カロテノイドは、風味エマルションまたは風味ブロスにカロテノイドを加えることによ
り食肉レプリカに加えることができる。カロテノイドは、調理前後に加えることができる
。カロテノイドは、0.00001%から0.1%の間で加えることができる。カロテノ
イドを調理前に加える場合、カロテノイドは、食肉レプリカに加える前に風味を創出する
反応風味混合物において基質として作用することができる。カロテノイドはまた、酸化防
止剤として作用することによって生成される他の風味についての経路を変える。カロテノ
イドを加えると、風味エマルションは、風味の質を改善することができ;(ろうのような
、魚のような、絵の具のような)質の悪い酸化臭が減少し、(土のような、マッシュルー
ム、穀物のような、豆のような)他の質の悪い香気が減少し、甘い、脂っこい、肉のよう
な、および新鮮な風味が増す。各カロテノイドは、得られた異なる風味プロファイルを有
する。例えば、調理前に風味エマルションにリコペンを加えると、淡泊な風味になり、一
方、β-カロテンは、非常に味が良く、対照と比べて脂っこいおよび肉のような香気が加
わる。調理前にカロテノイドを加える風味プロファイルは、風味プロファイルに大きな効
果を有する。調理後にカロテノイドを加える場合、特に貯蔵で生じる異臭を減じることに
関して、さらに有益な効果であり得る。風味エマルションまたは風味ブロス中の他のフレ
ーバー前駆物質分子は、カロテノイドの効果に影響を与える。得られた風味および/また
は芳香プロファイルは、他の因子の中でもとりわけ、フレーバー前駆物質のタイプおよび
濃度、反応のpH、調理の長さ、調理の温度、鉄複合体(例えば、ヘム含有タンパク質な
どのヘム補因子、または鉄クロロフィリン)または鉄塩(グルコン酸鉄)のタイプおよび
量、反応の温度、ならびに生成物中の水分活性の量により調節することができ、そのすべ
ては、カロテノイドがどのように風味プロファイルを変えるかによって変わる。特定の例
には、特に油供給源中に金属がある場合、カロテノイドがどのように植物油において生成
されるフレーバー化合物の創出を減らすまたは防止することができるかが含まれる。リノ
ール酸、γリノール酸、DHA、およびEPAのようなポリ不飽和脂肪酸を有する脂肪お
よび油を含む風味エマルションに加える場合、カロテノイドは、腐った魚のような、絵の
具のような、および野菜風味の香気を抑制し、肉のような特質と甘い香気の生成を促進す
ることができる。
【0079】
特にカロテノイドは、穀物のような、木のような、土のような、マッシュルーム、植物
臭および酸化臭を減らすことができる。カロテノイドは、植物ベースの製品の異なるパー
トに加えて、異なる影響を与えることができる。カロテノイドは、コムギグルテンを含め
た小麦粉において生成された異臭化合物の創出を減らすまたは防止することができる。例
えば、ルテインは、生肉の生地に加え、全体的な風味の強度を低下させ、調理された肉の
生地および最終生成物において穀物のような、木のような香気、および酸化臭を減らすこ
とができる。風味の特徴のこれらの変化は、いくつかの場合においてSPMEガスクロマ
トグラフィー-質量分析(GC-MS)によって示されている通り、特定のフレーバー化
合物の減少によって裏付けられ、他の場合では、フレーバー化合物の変化はないが、穀物
の特徴の減少が観察され、起こっている化学反応を変化させることによりおよび特定の風
味をマスキングすることによりカロテノイドが作用することが示唆されている。さらに、
肉の生地に加えられたカロテノイドによって、試料がカロテノイドを含まない対照よりも
脂っこく甘くなったいうことが記載されている。ルテインによって減少した主な化合物に
は、(Z)-2-ノネナール、(E,E)-2,4-ノナジエナール、および1-ペンテ
ン-3-オールを含めたアルコールおよびアルデヒドのような酸化したフレーバー化合物
が含まれ;さらに、硫黄化合物は、メタンチオール、2-アセチルチアゾール、および硫
化ジメチルを含めたルテインで減少し;これらの化合物の多くはまた、ガスクロマトグラ
フィー-嗅覚検査(GCO)により訓練を受けたフレーバーサイエンティストにより穀物
のような香気および酸化臭と記載された。
【0080】
没食子酸エピガロカテキン(EGCG)などの酸化防止剤はまた、植物ベースの製品(
例えば、食肉レプリカ)などの食品の異臭を減らすために用いることができる。緑茶抽出
物において見出される(および緑茶抽出物から精製することができる)、EGCGなどの
酸化防止剤は、0.0001%から0.1%で加えることができる。EGCGを含めた酸
化防止剤はまた、肉の生地に加え、調理された肉の生地および生地から創出された消費者
製品の両方の風味プロファイルを変化させることができる。EGCGは、生地の風味全体
を低下させ、特に、訓練を受けたフレーバーサイエンティストによって記載され、GCM
Sを用いて確認された通り、穀物のような、および酸化した風味のような異臭を減少させ
る。
【0081】
野菜または果物(液汁、ピューレ、または抽出物)は、食肉レプリカに加えて、知覚さ
れる食肉の風味(例えば、肉のような特質)および生成物の好ましさを高める、ならびに
知覚される脂肪質および口全体に広がる脂肪を増すことができる。さらに、これらにより
、食肉レプリカの知覚される多汁性を増やして、製品を食べる場合、食味検査員は、唾液
分泌が多くなり得る。野菜または果物が増強する食肉の風味のタイプは、タイプおよび加
工に依存している。例には、調理で強化されるキュウリおよびメロンに由来する追加の獣
脂の脂のような香気;ハネデューに由来する追加の甘い芳香、黒こげの肉(char meat)
および香ばしい香気;パイナップルに由来する追加の甘い芳香および新鮮さならびにトマ
トに由来する追加の香ばしい、きつね色に焼けた食肉の風味が含まれる。
【0082】
野菜または果物は、加圧、搾汁、流動留出物、加圧蒸留、溶媒によって補助された風味
抽出、または他の方法から創出された、液汁、ピューレ、抽出物の形態で食肉の再現物に
加えることができる。野菜または果物は、調理されていなくても処理されていなくてもよ
い、または調理されていてもよく、別の方法で処理して(例えば、低温殺菌によってまた
は酵素不活性化によって)、タンパク質(例えば、リポキシゲナーゼ)を変性されていて
もよい。風味プロファイル、すなわち、果物または野菜の青っぽいもしくは野菜のような
香気を含めた、肉のような特質および腐った香気の量の両方は、調理または他の処理に応
じて、ならびに調理または他の処理の量およびプロセスに応じて変化し得る。果物および
野菜の抽出物、ピューレ、および液汁の風味の多くは、酵素によって創出される。これら
の酵素は、望まれるもしくは望まれない風味を創出することができ、所望の風味は、抽出
物および液汁の適用に依存している。果物または野菜の適切なタイプの選択および処理に
よって、食肉レプリカについて適切な風味の創出が可能になる。さらに、加工中、異臭を
引き起こす恐れがある酵素を非活性化することが望ましいこともある。食肉の再現のため
に加えられる場合、抽出物中で異臭を生成し得る特定の酵素は、リポキシゲナーゼであり
、リポキシゲナーゼは、果物および野菜の皮に特に活性がある。皮の破損によって、リポ
キシゲナーゼ活性を高めることができる。したがって、果物または野菜の皮を切る前の酵
素不活性化は、異臭を減らすのに役立ち得る。果物および野菜抽出物、ピューレ、または
液汁の生成において、酵素は、60℃を超える加熱、高圧低温殺菌、または酵素阻害によ
り非活性化することができる。いくつかの実施形態では、例えば、リポキシゲナーゼは、
没食子酸エピガロカテキン(EGCG)などの阻害物質の添加により、または他の酸化還
元活性のある酵素の添加により阻害することができる。いくつかの実施形態では、丸ごと
の果物または野菜は、皮を貫通させる前に調理しても処理してもよく、調理は、生成物を
切った後行ってもよい。調理または他の処理は、短時間(分)でも長時間(時間)でもよ
い。調理が用いられる場合、温度は、室温から圧力下120℃を超えるまでわずかに上昇
させることができる。例えば、果物または野菜は、60~100℃(例えば、70~80
℃、80~90℃、または90~100℃)の温度で調理することができる。プロセスは
、ブレンディング、伸長、およびまたは加圧を含むことができる。種子は、場合によって
は除去することができるまたは種子は残すことができる。
【0083】
例えば、食肉レプリカに加えられたキュウリピューレは、追加の脂っこい獣脂の風味を
提供することができるが、青野菜の香気をもたらす恐れがある。果物が最初に調理される
場合、青っぽい、および強いキュウリの香気の原因である2-ノネナールおよび2,6-
ノナジエナールを含むがそれだけに限らない数種の化合物が減少する。さらに、バターの
ような、脂っこい、および獣脂の風味が増し、これらは、SPME GC-MSによって
示されている通りラクトンの濃度の増加から起こり得る。トマトを調理することによって
も、青っぽいおよびトマト風味を低減しながら、肉のような香気を強める。
【0084】
果物または野菜風味の液体は、生成物の異なる構成成分に加えることができ、例えば、
調理前に肉の生地に加える、調理後または調理前に脂肪エマルションに加える、ゲル状の
基質に加える、完全に組み合わせて作られた生成物に加える、または未反応の風味ブロス
に加えることができる。抽出物は、抽出物の場合の0.0001%からピューレおよび液
汁の場合の最大10%まで加えることができる。
【0085】
乳酸などの酸は、肉の生地に加えて、pHを低下させ、調理および加工で起こる風味反
応を変化させることができる。牛肉は、pHがおよそ5.5であり;pH5.5の肉の生
地を達成させるために、追加の酸性度が必要とされる。乳酸は、牛肉において示されるも
のように望ましい新鮮な、酸味をもたらす。
【0086】
他の実施形態では、非動物脂肪は、単離された植物タンパク質を含むことができる。例
えば、エマルションは、植物由来の油、藻類油、または細菌もしくは真菌類由来の油およ
び任意選択のフレーバー剤を、単離された植物タンパク質(例えば、ダイズ由来のコング
リシニン)の水溶液と合わせること、次いで、例えば、高速ホモジナイザーを用いて混合
物をホモジナイズすることおよび短期間、例えば、90℃で5分間これを加熱することに
より作製することができる。融解温度、硬度、脆性、色などのエマルションの物理的特性
は、異なるタイプの単離されたタンパク質を用いること、タンパク質濃度、油対水の比、
ホモジナイゼーションの速度、加熱温度および加熱時間を変化させることにより調節する
ことができる。例えば、油対水の比が高くタンパク質濃度が低いエマルションは、より壊
れやすく、融解し易いが、油対水の比がより低くタンパク質濃度がより高いエマルション
は、より軟らかく、壊れにくく、より粘着性があり、より高い温度で融解する。
【0087】
いくつかの実施形態では、エマルションは、植物由来の油、藻類油、または細菌もしく
は真菌類由来の油および任意選択の矯味剤を、pH>10(例えば、pH12)を有する
単離されたタンパク質(例えば、ダイズコングリシニン)の例えば、水酸化ナトリウムを
含む水溶液と合わせることにより作製することができる。本混合物を振とう、撹拌または
ホモジナイゼーションによって、エマルションが形成される。エマルションが形成された
後、pHは、例えば、塩酸または乳酸を加えることにより中性または酸性pHに調整する
ことができる。これらのエマルションの物理的特性は、タンパク質タイプ、タンパク質濃
度、ホモジナイゼーション時のpHレベル、ホモジナイゼーションの速度および油対水の
比を変化させることにより制御することができる。
【0088】
他の実施形態では、エマルションは、植物由来の油、藻類油、または細菌もしくは真菌
類由来の油、塩および矯味剤(例えば、フレーバー前駆物質)の水溶液、ならびに乳化剤
を混合することにより作製することができる。例えば、モノ/ジグリセリド、レシチン、
リン脂質、Tween界面活性剤、ステアロイル乳酸ナトリウム、またはDATEM(モ
ノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル)は、乳化剤として用いることができる。これ
らのエマルションの物理的特性は、乳化剤タイプおよび濃度、ホモジナイゼーションの速
度および油対水の比を変化させることにより制御することができる。
【0089】
固化された、任意選択で風味を注入したおよび/またはタンパク質を含有する脂肪は、
肉の生地と合わせることができ、肉の生地および非動物脂肪の混合物は、例えば、みじん
切りにする、挽く、切断する、ミンチにする、剪断する、または引きちぎることにより、
より細かく砕くことができる。いくつかの実施形態では、剪断は、加熱しながら生地に適
用することができ、その結果、生地が固まり、最終的に、調理プロセス中粉砕される。し
たがって、粉砕するための別のステップは必要ないはずである。
【0090】
炭水化物系ゲルおよび任意選択の結合剤は、生地-脂肪混合物に加えることができる。
炭水化物系ゲルはまた、食肉レプリカの質感を生じるおよびべとべとせずに最終生成物に
多汁性をもたらすために有用である。通常、融解温度が約45℃から約85℃の間である
炭水化物系ゲルが用いられる。適当な炭水化物系ゲルの非限定的な例には、寒天、ペクチ
ン、カラギーナン、(グルコマンナンとしても公知の)コンニャク、アルギン酸塩、化学
修飾されたアガロース、またはそれらの混合物が含まれる。
【0091】
結合剤は、単離された植物タンパク質でも炭水化物系ゲルでもよい。適当な植物タンパ
ク質の非限定的な例には、RuBisCO、アルブミン、グルテン、グリシニン、コング
リシニン、レグミン、グロブリン、ビシリン、コンアルブミン、グリアジン、グルテリン
、グルテニン、ホルデイン、プロラミン、ファゼオリン、プロテイノプラスト、セカリン
、コムギ連(triticeae)グルテン、ゼイン、オレオシン、カロレオシン(caloleosin)
、ステロレオシン(steroleosin)、またはそれらの混合物(例えば、アルブミン画分)
が含まれる。植物タンパク質は、ダイズ、エンドウマメまたはレンズマメを含めた、任意
の供給源から得ることができる。いくつかの実施形態では、有用な結合剤は、非植物ベー
スの供給源から得ることができる。例えば、卵アルブミンまたはコラーゲンは、いくつか
の実施形態において結合剤として用いることができる。
【0092】
結合剤がタンパク質である場合、タンパク質の変性温度が炭水化物系ゲルの融解温度よ
り低いため有用である。例えば、適当なタンパク質結合剤(例えば、RuBisCO、ア
ルブミン、ダイズコングリシニン、もしくはグルテン、またはそれらの混合物)の変性温
度は、約40℃から約80℃の間であり得る。これによって、タンパク質結合剤が変性し
た後に炭水化物系ゲルが融解することが可能になり、一緒になって食肉レプリカが結合さ
れ、より良い質感がもたらされ、食肉レプリカが形成される。
【0093】
いくつかの実施形態では、結合剤として用いられるタンパク質は、化学的にまたは酵素
的に修飾されて、これらの組織構造上の特性および/または風味特性を改善することがで
きる。例えば、タンパク質を、パパインなどの食品用酵素を用いて部分的にタンパク分解
して、ゲル化および調理中に、より優れた水放出プロファイルをもたらすことができる。
いくつかの実施形態では、結合剤として用いられるタンパク質は、化学的にまたは酵素的
に修飾されてタンパク質の変性およびゲル化温度を変更し、例えば、特定のゲル化温度(
例えば、ミオシンを模倣するためには52℃またはアクチンを模倣するためには68℃)
に達してもよい。いくつかの例では、プロテアーゼなどのタンパク質は、精製されたタン
パク質画分に存在し得る苦味を減らすために用いることができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、結合剤は、炭水化物系ゲルである。例えば、140°Fから
190°F(例えば、150°Fから180°F)まで調理後固くなる炭水化物系ゲル。
炭水化物系ゲルの非限定的な例には、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロースなどの改質されたデンプン、グアーガム、イナゴマメガム、キサンタンガム、また
はそれらの混合物が含まれる。
【0095】
さらに、鉄-複合体および/または鉄塩および矯味剤は、食肉レプリカに加えることが
できる。鉄-複合体および/または鉄塩は、肉の生地、結合組織レプリカ、または非動物
系脂肪に風味を付けるために用いられる鉄-複合体および/または鉄塩と同一でも異なっ
ていてもよい。調理後、食肉レプリカ、鉄-複合体および/または鉄塩ならびにフレーバ
ー前駆物質が反応し、フレーバー化合物を生成することができるように、矯味剤は、フレ
ーバー前駆物質または(前述の通り)フレーバー前駆物質の混合物であり得る。矯味剤は
また、酵母抽出物、加水分解されたタンパク質、またはフレーバー化合物などの調味料で
あり得る。フレーバー化合物には、例えば、フェニル酢酸、(E,E)-2,4-ノナジ
エナール、水溶性樹脂タマネギ、油溶性タマネギ、p-クレゾール、酢酸アセトニル、4
-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、(E,E)-2,4-オクタ
ジエナール、2-メチル-1-ブタンチオール、2-メチル-3-フリルテトラスルフィ
ド、2-メルカプトプロピオン酸エチル、2-メルカプト-3-ブタノール(異性体の混
合物)、n-デカン-d22、油溶性ニンニク、スルフロール、酢酸スルフリル、メルカ
プト-3-ブタノール、スピロミート(spiromeat)、1-ペンテン-3-オン、2-メ
チル-3-フランチオール、2-メチル-3-テトラヒドロフランチオール、オレイン酸
、ジプロピルトリスルフィド、ジフルフリルジスルフィド、メチルシクロペンテノロン、
3-メチルチオヘキサナール、酪酸、ブチロラクトン、5-メチル-2(3H)-フラノ
ン、フラネオール、1-(1H-ピロール-2-イル)-エタノン、ヘキサン酸、および
それらの組合せを含むことができる。追加のフレーバー化合物は、Sigma Aldr
ich(St.Louis、MO)、Penta Manufacturing Co.
(Fairfield、NJ)、Advanced Biotech(Totowa、N
J)、Firmenich(Meyrin、Switzerland)、Givauda
n(Vernier、Switzerland)、International Fla
vors and Fragrances(New York、NY)、およびWild
Flavors(Erlanger、KY)などの会社から市販品として購入すること
ができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、シーズニング剤、例えば、食用塩(例えば、塩化ナトリウム
または塩化カリウム)、ニンニク、またはハーブ(例えば、ローズマリー、タイム、バジ
ル、セージ、またはミント)、乳化剤(例えば、レシチン)、追加の繊維(例えば、ゼイ
ンまたはイヌリン)、鉱物(例えば、ヨウ素、亜鉛、および/またはカルシウム)、肉の
保存期間延長剤(meat shelf life extender)(例えば、一酸化炭素、亜硝酸塩、メタ重
亜硫酸ナトリウム、ボンバル(Bombal)、ビタミンE、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物
、カテキンおよび他の酸化防止剤)は、食肉レプリカに取り込むことができる。
【0097】
本明細書に記載した食肉レプリカはまた、ウコンもしくはビート液汁などの天然着色剤
、またはアゾ染料、トリフェニルメタン、キサンテン、キニン、インジゴイド、二酸化チ
タン、赤色3号、赤色40号、青色1号、もしくは黄色5号などの人工着色剤、または天
然および/もしくは人工着色剤の任意の組合せを含むこともできる。
【0098】
本明細書に記載したレプリカのいずれかは、所望の使用に成形する、例えば、パテ、ロ
ーフ、チャブ(chubs)、ミートボール、またはナゲットに形成する、ひき肉が用いられ
る食品の任意のタイプにおいて、例えば、タコスの具(taco filling)として、またはキ
ャセロール、ソース、トッピング、スープ、シチュー、ミートボール、またはミートロー
フにおいて用いることができる。いくつかの実施形態では、食肉レプリカは、例えば、ミ
ートボールまたはナゲットに形成し、次いで、利便性をよくするためにパン粉、コメ、ま
たは小麦粉(例えば、カラスムギ粉もしくはココナッツ粉)でコーティングすることがで
きる。
【0099】
食肉レプリカ
本明細書に記載した食肉レプリカは、食肉レプリカ生地約5重量%から約88重量%(
例えば、約10重量%から約40重量%、約25重量%から約35重量%、約40重量%
から約88重量%、または45重量%から約60重量%);炭水化物系ゲル約0重量%か
ら約40重量%(例えば、約15重量%から約25重量%);非動物脂肪約3重量%から
約35重量%(例えば、約10重量%から約15重量%);矯味剤約0.00001重量
%から約10重量%;結合剤約0重量%から約15重量%(例えば、約2重量%から約1
5重量%または約2重量%から約10重量%);ならびにヘム含有タンパク質および/ま
たは鉄塩などの鉄複合体約0.01重量%から約4重量%(例えば、約0.05重量%か
ら約1重量%、または約0.2重量%から約2重量%)を含むことができる。矯味剤の量
は、矯味剤のタイプに応じて変わり得る。いくつかの実施形態では、矯味剤は、食肉レプ
リカの約0.5%から約7%であり得る。例えば、フレーバー前駆物質の混合物などの矯
味剤は、食肉レプリカの約0.5%から約7%(例えば、約1%から約3%;約3%から
約6%;約4%から約7%)であり得る。いくつかの実施形態では、風味付け化合物など
の矯味剤は、食肉レプリカの約0.00001%から約2%であり得る。
【0100】
本明細書に記載した通り、構成成分の1種もしくは複数、2種以上、3種以上、または
4種以上は、矯味剤を含むことができる。例えば、肉の生地は、矯味剤(例えば、鉄複合
体または鉄塩を1種もしくは複数のフレーバー前駆物質と合わせ加熱することにより生成
された風味付け化合物)を含むことができる、または食用の繊維状構成成分中の酵母抽出
物などの調味料を含むことができる。非動物脂肪はまた、矯味剤(例えば、鉄複合体また
は鉄塩を1種もしくは複数のフレーバー前駆物質と合わせ加熱することにより生成された
風味付け化合物)を含むことができる。レプリカはまた、レプリカを調理する際に反応し
て、レプリカを調理する感覚的な体験を強化することができる、鉄複合体または鉄塩およ
び1種もしくは複数のフレーバー前駆物質を含むことができる。さらに、レプリカは、調
味料または風味付け化合物を含むことができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、構成成分を、所望の粒度で生成させ、次いで、5分間から2
4時間(例えば、10分間から2時間、1から4時間、4から8時間、6から12時間、
または12から24時間)一緒に圧縮して、構成成分を食肉レプリカに付着させる。次い
で、食肉レプリカを挽いて、ひき肉の特質を再現することができる。食肉レプリカを、任
意の所望の形態に圧縮して、例えば、ステーキ、テンダーロイン、チョップ、またはヒレ
肉の形状および密度を再現することができる。食肉レプリカはまた、ソーセージなどの加
工肉にさらに加工することができる。
【0102】
本発明は、以下の実施例にさらに記載されており、これは、特許請求の範囲に記載され
ている本発明の範囲を限定しない。
[実施例]
【実施例1】
【0103】
レグヘモグロビンの単離および精製
ダイズ(Glycine max)レグヘモグロビンC2(Uniprot KB P02236
)をN-末端His6エピトープタグおよびTEV切断部位でコードする核酸を、pJe
xpress401ベクター(DNA2.0)にクローン化し、大腸菌(E.coli)BL2
1に形質転換した。形質転換細胞を、カナマイシン、0.1mM塩化第二鉄および5-ア
ミノレブリン酸10μg/mlを補充した流加発酵(fed-batch fermentation)により増
殖させた。0.3mMイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)に
よって発現を誘導し、細胞を30℃で24時間増殖させた。細胞を遠心分離によって濃縮
し、20mMリン酸カリウム(pH7.8)、100mM NaClに再懸濁させた。高
圧ホモジナイゼーションによって細胞を溶解させ、遠心分離および精密ろ過によって澄ま
せた。レグヘモグロビンを、亜鉛によって荷電された(zinc-charged)IMACセファロ
ース高速流動樹脂(GE Healthcare)を用いて可溶性ライセートから精製し
た。結合されたレグヘモグロビンは、500mMリン酸二水素カリウム、100mM N
aClで樹脂を溶出させた。精製されたレグヘモグロビンを、中和させ、限外ろ過を用い
て濃縮した。濃縮されたレグヘモグロビンを20mM亜ジチオン酸Naで還元した。亜ジ
チオン酸Naを、ダイアフィルトレーションにより除去した。レグヘモグロビン濃度を、
ソーレーピーク(soret peak)吸収度によって決定し、60~70mg/mlに調整した
。最終レグヘモグロビン生成物を、液体窒素で凍結し、凍結乾燥し、-20℃で貯蔵した
。レグヘモグロビンの純度(部分存在量)を、SDS-PAGEによって分析し、約80
%と決定した。UV-VISスペクトル(250~700nm)の分析によって、ヘムを
負荷したレグヘモグロビンと整合したスペクトルの痕跡が明らかになった。
【0104】
(表1に列挙される)ダイズ(Glycine max)レグヘモグロビンC2および8つのピキ
ア・パストリス(Pichia pastoris)ヘム生合成遺伝子を、pAOX1メタノール誘導プ
ロモーターの制御下で、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)発現ベクターpJA(
BioGrammatics Inc.;Carlsbad、CA)にクローン化した。
ピキア・パストリス(Pichia pastoris)株Bg11(BioGrammatics、I
nc.)を、線形化されたプラスミドで形質転換し、安定した成分を、抗生物質抵抗性に
よって選択した。
【0105】
【0106】
形質転換されたピキア(Pichia)細胞を、流加発酵によって増殖させ、レグヘモグロビ
ン発現を、メタノールで30℃で120時間誘導した。細胞を遠心分離によって濃縮し、
水に再懸濁させ、高圧ホモジナイゼーションにより溶解させた。固体を、Tramflo
c 863Aによる処理、遠心分離、および0.2μm精密ろ過(Koch Membr
ane Systems)により除去した。可溶性ライセートを濃縮し、3kDa限外ろ
過(Spectrum Laboratories)を用いて水で透析ろ過した。配合さ
れたライセートを、HPA25L陰イオン交換樹脂(Mitsubishi)を用いて、
最終純度約40%まで部分的に精製した。部分的に精製されたレグヘモグロビン溶液を、
濃縮および3kDa限外ろ過(Spectrum Laboratories)を用いた
水ダイアフィルトレーションによって再配合し、Q高速流動陰イオン交換樹脂(GE L
ifesciences)を用いてさらに精製した。最終レグヘモグロビン生成物を、3
kD限外ろ過を用いて濃縮し、-20℃で凍結した。最終生成物は、純度約80%であり
、80g/Lのレグヘモグロビンを含有した。
【実施例2】
【0107】
RuBisCOの単離
新鮮なホウレンソウの葉1kgを、0.1M NaClを含有するリン酸カリウム緩衝
液(pH7.4)で1:1の比で Vita-prep 3 blender(Vita
mix Corp、Cleveland、OH)に浸軟した。抽出を、最高設定(3HP
モーター)で10分間行った。温度を30℃未満で維持した。10M NaOH溶液を用
いて挽いた後、pHを7.4に調整した。ホモジネートを3500gで5分間遠心分離し
、スケールで(供給量約1gpmでGEA Westfalia decanter G
CE-345を用いて)条件をシミュレートした。ペレットを捨てた。次いで、遠心分離
液(liquid centrate)(約1.6L)を、中空糸形式(Spectrum Labor
atories Inc. Rancho Dominguez、CAのKrosFlo
K02E20U-05N)の0.2μm改変されたポリエーテルスルホン(mPES)
膜を用いてマイクロフィルターにかけた。残余分(約0.25L)を、抽出緩衝液約1.
5Lを用いて透析ろ過した。このろ過ステップからの透過物(約3L)を、10kDa
mPES膜(Spectrum Laboratories Inc. Rancho
Dominguez、CAのMiniKros N02E010-05N)を用いて約0
.1Lまで濃縮した。タンパク質濃縮物は、pH約7.4であった。6M塩酸などの濃酸
溶液を、濃縮物にゆっくりと加えて、pHを5まで下げた。混合物を、マグネチックスタ
ープレートまたはホモジナイザーを用いて30分間激しく撹拌し、次いで、3500gで
5分間遠心分離して、オフホワイトのペレットおよび褐色の遠心分離液を得た。遠心分離
液を捨て、タンパク質ペレットを脱イオン水で洗浄した。ペレットを0.05~0.1L
のDI水に再懸濁させた。溶液を、一様のスラリーに激しく混合し、10M水酸化ナトリ
ウムなどの濃縮された基礎液を用いて、pHを11までゆっくりと上げた。得られた溶液
は、清澄な黄色であった。次いで、pHを9まで下げて、清澄な混合物を維持した。生成
物を、噴霧乾燥機を用いて乾燥させた、または凍結乾燥器を用いて凍結し乾燥させた。こ
の材料を、AAOC法(AOAC、2000)によりLeco FP-528 Nitr
ogen Combustion Analyzer(Leco、St.Joseph、
MI)を用いて分析した。タンパク質を、%窒素×6.25として算出し、タンパク質8
6%と算出した。得られた生成物は、わずかに脱色し、低温変性特性を保持した。
【実施例3】
【0108】
RuBisCOの単離および脱色
新鮮なホウレンソウの葉1kgを、8%(w/v)PEG(Carbowax Sen
try PEG 8000;Dow Chemicals、Midland、MI)およ
び0.1%(w/v)陽イオン性凝集剤(863A;Tramfloc、Inc.、Ho
uston、TX)を含有するリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で1:1(w/w)
の比でVita-prep 3 bender(Vitamix Corp.、Clev
eland、OH)で浸軟した。抽出を、すべての時間で30℃未満の温度を維持しなが
ら最高設定(3HPモーター)で3分間行った。挽いた後10M NaOH溶液を用いて
pHを7.4まで調整した。ホモジネートを、ベンチトップ遠心分離機(Allegra
X15R、SX4750ローター;Beckman Coulter、Inc.、Pa
sadena、CA)を用いて、3500gで5分間遠心分離した。ペレットを捨て、上
澄み(約1.6L)を別々に収集した。硫酸マグネシウム七水和物の塩(K+S KAL
I GmbH、Kassel、Germany)を上澄みに加えて、1M濃度にした。溶
液を完全に混合し、ベンチトップ遠心分離機(Allegra X15R、SX4750
ローター;Beckman Coulter、Inc.)を用いて、5451gで3分間
遠心分離した。3つの層が遠心分離ボトル中に形成され、残りの緑色の固体を、ペレット
(約0.1L)として分離した。PEG層(約0.3L)を分離し、最上層を形成し、着
色化合物および臭気化合物を選択的に分画した。次いで、中間層に残存する清澄な生成物
を、中空糸形式(Spectrum Laboratories Inc.)で0.2μ
m改変されたポリエーテルスルホン(mPES)膜を用いてマイクロフィルターにかけた
。残余分(約0.25L)を、1M硫酸マグネシウム溶液約0.75Lを用いて透析ろ過
した。このろ過ステップからの透過物(約3L)を、70kDa mPES膜(Spec
trum Laboratories、Inc.)を用いて約0.1Lに濃縮した。これ
を、5つのステップで約0.5LのDI水でさらに透析ろ過した。タンパク質濃縮物は、
pH約7であり、導電率は、5mS/cm未満であった。得られたタンパク質濃縮物は、
清澄な淡黄色であった。生成物を、噴霧乾燥機を用いて乾燥させた、または凍結乾燥器を
用いて凍結し乾燥させた。この材料を、標準の660nm Pierceタンパク質アッ
セイおよびSDSゲルデンシトメトリーを用いて分析した。乾燥固形物を、IR湿度計を
用いて分析した。最終生成物中の凝集剤およびPEG濃度を、滴定法を用いて分析した。
タンパク質濃度は、約91%(w/w)であり、全固形分は、約95%(w/w)であっ
た。PEGおよび凝集剤濃度を、0.2%(w/w)未満で分析した。生成物は、純度9
0%を超え、プロセスを通じて90%を超える回収であった。得られた生成物は、脱色し
、低温変性特性を保持した。
【実施例4】
【0109】
可溶性ダイズコングリシニンの単離
ダイズタンパク質の可溶性コングリシニン画分(7S画分)を、以下の方法を用いて得
た。脱脂ダイズ粉(CHS HONEYSOY(登録商標)PDI 90)1kgを、オ
ーバーヘッドミキサーを取り付けた容器で10Lの脱イオン水で混合した。ダイズ粉の凝
集塊が分散した後、スラリーのpHを、2N NaOHを用いて8まで調整した。混合物
を、4℃で1時間撹拌して、すべての可溶性タンパク質を抽出した。次いで、混合物のp
Hを2N H2SO4を用いて5.8まで調整し、4℃でさらに1時間混合した。次いで
、混合物を、JLA 8.1ローター(JHC遠心分離機、Beckman Coult
er Inc.)において10000gで10分間遠心分離して、不溶性炭水化物および
タンパク質(グリシニン)を除去した。可溶性の上澄みを、2N H2SO4を用いてp
H4.5までさらに酸性にし、4℃で1時間混合した。次いで、酸性化混合物を1000
0gで10分間遠心分離して、沈殿したタンパク質を収集し、リポキシゲナーゼ、ダイズ
レシチンおよびトリプシン阻害物質を含有する上澄みを捨てた。4体積の水(およそ2L
)にペレットを再懸濁することにより、pH4.5の沈殿したタンパク質画分中のコング
リシニンを溶解化し、2N NaOHを用いてpH8まで調整した。混合物を、4℃で1
時間撹拌した。混合物のpHを2N H2SO4を用いて再度5.8まで下げて、汚染物
タンパク質の同時精製を最小限にした。混合物を15000gで20分間遠心分離して、
上澄み中の可溶性コングリシニンを収集した。コングリシニン画分を、限外ろ過(70k
Da mPES限外ろ過膜、2600sq. cm、Spectrum Laborat
ories Inc.)を用いて濃縮した。得られたタンパク質溶液(10%タンパク質
濃度でおよそ0.5L)は、65℃で55~65%純コングリシニンおよびゲルを含む。
次いで、タンパク質を、凍結乾燥し、食肉レプリカの製造に用いられるまで室温で貯蔵し
た。
【実施例5】
【0110】
肉の生地を予め風味付けするための生地ブロスの調製
生地ブロスを、1×前駆物質のミックス1(表2を参照のこと)、0.5%レグヘモグ
ロビン(LegH、実施例1に記載されている通り単離され精製された)、および18%
純化、漂白、脱臭された(RBD:Refined、Bleached、and Deo
dorized)ヤシ油(Shay and company、Milwaukie、O
R)を混合し、溶液が沸騰するまで加熱しながら撹拌し、次いで、ぐつぐつと(at a low
boil)10分間煮立たせることにより創出した。この溶液を、「生地ブロス」と称し、
実施例10の肉の生地を創出するために用いた。ヤシ油をLegHおよび前駆物質の混合
でインキュベートすることにより、カラメルになった、脂っこい、牛肉のような、ナッツ
のような、硫黄、金属に似た、バターのような、甘い、香ばしい、およびうま味を含めて
、ブロス中の香ばしいまたは肉のような風味が生成される。
【0111】
【実施例6】
【0112】
風味を注入された脂肪レプリカの調製
風味を付けた脂肪レプリカを、0.5%の(実施例1からの)LegH、1×前駆物質
のミックス1(表1)、および30%RBDヤシ油(Shay and company
、Milwaukie、OR)の溶液を混合し、沸騰するまで加熱しながら撹拌し、次い
で、10分間ぐつぐつと煮立たせることにより創出した。溶液を冷却して油を固化させた
。油が固化した後、これを水層から分離し、実施例11に記載のハンバーガーを調製する
のに用いた。ヤシ油をLegHおよび前駆物質のミックスでインキュベートすることによ
り、香ばしい、肉のような、牛肉の脂肪、わずかに甘いおよび硫黄を含めて、油中に風味
の香気が注入される。
【実施例7】
【0113】
「軟らかい結合」組織レプリカの調製
軟らかい結合組織レプリカを、ダイズタンパク質単離物(SUPRO(登録商標)EX
38(Solae))、Vitalコムギグルテン(131100、Guisto’s
Specialty Foods、San Francisco、CA)、および水を用
いて調製した。Nano16押出機((Leistritz Advanced Tec
hnologies Corp.、Somerville、NJ)を、特注の冷却ダイ(
円形、ID 6.5mm、長さ300mm)、冷却水サーキュレーター、および高圧水ポ
ンプ(Optos、Eldex Laboratories Inc.)と共に用いた。
【0114】
ダイズタンパク質単離物50gおよびコムギグルテン粉末50gを、5分間手動混合お
よび混転で完全に混合し、次いで、押出機の原料投入機(batch feeder)の装填管(load
ing tube)に添加した。乾燥混合物を2.4g/分の速度で押出機に送った。3.6ml
/分の速度で押出機のバレルの第2のゾーンにポンプにより水を送った。押出機のスクリ
ュー速度を、120RPMで維持した。温度勾配を、押出機バレルに沿って次の通り設定
した。供給ゾーン-25℃、ゾーン1-30℃、ゾーン2-60℃、ゾーン3-110℃
、ゾーン4-110℃。ダイプレートは、能動的に加熱も冷却もされなかった。冷却ダイ
を、24℃でダイを維持する冷却水サーキュレーターにより冷却した。
【0115】
本方法によって生成された軟らかい結合レプリカは、色がオフホワイトであり、繊維性
の高い/糸状であり、味および風味がはっきりしなかった。この材料の引張強さは低く、
柔らかい牛肉のローストの引張強さに匹敵した。
【実施例8】
【0116】
「硬い繊維性の結合」組織レプリカの調製
硬い繊維性の結合組織レプリカを調製するために、ダイズタンパク質単離物50gおよ
びコムギグルテン粉末50gを、5分間手動混合および混転で完全に混合し、押出機の原
料投入機の装填管に添加した。乾燥混合物を、3.6g/分の速度で押出機に送った。5
.4ml/分の速度で押出機のバレルの第2のゾーンにポンプにより水を送った。押出機
のスクリュー速度を120RPMで維持した。温度勾配を押出機バレルに沿って次の通り
設定した。供給ゾーン-25℃、ゾーン1-37℃、ゾーン2-61℃、ゾーン3-13
5℃、ゾーン4-135℃。ダイプレートを、能動的に加熱も冷却もしなかった。冷却ダ
イを、26℃でダイを維持する冷却水サーキュレーターにより冷却した。
【0117】
本方法によって生成された硬い繊維性の結合レプリカは、薄褐色であり、はっきりしな
い味および風味を有する繊維状/層状材料であった。この材料の引張強さは、高く、調理
された牛肉の腱の引張強さに匹敵した。
【実施例9】
【0118】
予め風味付けされた「軟らかい結合」組織の調製
風味を付けた軟らかい結合組織レプリカを調製するために、ダイズタンパク質単離物5
0g、コムギグルテン粉末50g、酵母抽出物番号9(Flavor house In
c.、X11020)1g、および酵母抽出物番号21(Biospringer 14
05/40 MGl)を、5分間手動混合および混転で完全に混合し、押出機の原料投入
機の装填管に添加し、実施例7に記載されている通り押出成形した。予め風味付けされた
軟らかい結合組織は、香ばしい味がし、実施例7で生成された軟らかい結合組織に比べて
、風味の複雑性が増し、腐った香気が減った。
【実施例10】
【0119】
「肉の生地」の調製
牛のひき肉-レプリカのための「肉の生地」を、以下の成分を用いて調製した。
a.Vitalコムギグルテン(番号131100、Guisto’s Specia
lty Foods、San Francisco、CA)
b.軟らかい結合組織レプリカ(実施例7を参照のこと、実施例9の予め風味付けされ
た軟らかい結合組織もまた用いられ得る)
c.生地ブロス(実施例5を参照のこと)
【0120】
肉の生地の一部100gを以下の通り調製した。第一に、軟らかい結合組織レプリカ2
5gを、1本の長さおよそ1インチに、縦方向に手で細かくちぎった(hand shredded)
。細かくちぎられた軟らかい結合レプリカを、ミキシングボウルにおいて乾燥コムギグル
テン25gと合わせ、手で静かに軽く混ぜて、均等に混合した。別々の容器において、生
地ブロス50mLを沸騰させ、10分間弱火で煮立てた。熱い生地ブロスを、乾燥グルテ
ン-結合組織レプリカミックスに加え、スタンドミキサー(例えば、生地を混合する付属
品が付いたKITCHENAID(登録商標)Professional 600 Se
ries 6 Quart Bowl-Lift Stand Mixer model
KP26M1XER、速度2に設定)で30秒間練って、肉の生地を形成した。
【0121】
練った後、肉の生地を平板に形成し、蒸すために別の容器に移した。肉の生地を、(A
roma Rice cooker Model No.ARC-1030SB中で)で
内部温度が、およそ200°Fになるまで蒸し、さらに20分間その温度で保持した。蒸
した後、生地を、氷上の容器に移して、室温まで冷却した。蒸した肉の生地はまた、この
時点で4℃で最大1週間まで貯蔵することができる。牛肉パテのレプリカを形成する前に
、蒸した肉の生地を、手でおよそ1インチ角に細かく裂いた。混合物は、牛肉パテのレプ
リカ(実施例11および12に記載されている)の形成において、すぐに用いることがで
きる状態である。
【実施例11】
【0122】
ハンバーガーの組み立ておよび調理
表3の成分を含有するレプリカハンバーガーを調製した。1%寒天調製物を、ガラスビ
ーカー中で水99mlに寒天粉末(品目6410、Now Foods Bloomin
gdale、IL)1gを加えることにより作製した。混合物を撹拌しながら100℃ま
で加熱することにより寒天を完全に可溶化し、次いで、堅固なゲルが固まるまで氷浴で2
0~30分間冷却した。次いで、ゲルをコーヒーグラインダー(Cuisinart(登
録商標)Model番号CUI DCG-20N)に移し、20秒間挽いて、混合するた
めに細かく砕いた。
【0123】
【0124】
肉の生地(実施例10)および風味を付けたヤシ油(実施例6)をボウル中で手で混合
した。典型的なバッチサイズは、100gから2000gであった。次いで、混合物を、
食品グラインダー付属品を取り付けたスタンドミキサー(KITCHENAID(登録商
標)Professional 600 Series 6 Quart Bowl-L
ift Stand Mixer model KP26M1XERおよびKITCHE
NAID(登録商標)Food Grinder model FGA、St.Jose
ph、MI)を用いて、速度設定1で挽いた。混合物を、固定孔プレートの前に据え付け
られた回転ナイフを通り過ぎてスクリューコンベヤーにより送った。挽いた組織をボウル
に収集した。
【0125】
次いで、以下の成分を、表3に示される比:1%寒天調製物、RuBisCO(およそ
50重量% RuBisCO)、16×前駆物質のミックス2、およびLegH(350
~650mg/g)で加えた。成分を、ここに列挙された順序で加え、それぞれ加えた後
、材料を静かに混合した。次いで、挽いた組織の部分30gまたは90gを、手で円形の
パテ形に形成した。パテ30gの典型的な寸法は、50mm×12mmであった。パテ9
0gの典型的な寸法は、70mm×18mmであった。組み立て、挽くおよび形成する間
、すべての材料を、低温(4~15℃)に保った。パテを調理するまで冷蔵した。パテを
、予熱した(325~345°F)焦げ付かないフライパン(non-stick skillet)で調
理し、2分ごとにひっくり返しながら、内部温度160°Fまで加熱した。典型的な調理
時間は、12から15分に及んだ。調理されたパテは、訓練を受けた官能試験調査員によ
って判断される通り、外観、質感、および風味が、牛のひき肉に類似した。パテ形式で調
理するほかに、未形成の材料はまた、タコスの具、キャセロール、ソース、トッピング、
スープ、シチュー、またはローフなど様々な料理に用いることもできる。
【実施例12】
【0126】
フレーバー分子のハンバーガーへの添加
表4の成分を含有するレプリカハンバーガーを調製した。
【0127】
【0128】
味が付いていない肉の生地(コムギグルテン、味が付いていない軟らかい結合組織、お
よび水)およびヤシ油を、ボウル中で手で混合し、実施例11に記載されている通り挽い
た。次いで、以下の成分を、表4の比:1%寒天調製物、RuBisCO(およそ50重
量%)、16×前駆物質のミックス2、およびLegH(350~650mg/g)で加
えた。フレーバー化合物およびニンニク油を1×10-2まで希釈し、次いで、表4に列
挙された濃度で加えた。成分を、ここに列挙された順序で加え、それぞれ加えた後、材料
を静かに混合した。次いで、挽いた組織の部分100gを手で円形のパテ形に形成した。
組み立て、挽くおよび形成する間、すべての材料を、低温(4~15℃)に保った。パテ
を、予熱した(325~345°F)焦げ付かないフライパンで調理し、2分ごとにひっ
くり返しながら、内部温度160°Fまで加熱した。パテは、通常、12から15分で調
理した。調理されたパテは、外観、質感、および風味が牛のひき肉に類似にした。これら
のパテは、予め風味付けされた生地および脂肪で創出されたハンバーガーと同じくらいの
風味の深みがなかったが、これらのハンバーガーは、訓練を受けた官能試験調査員によっ
て判定された通り、牛肉に伴う追加の風味の香気を有した。
【実施例13】
【0129】
結合組織レプリカについての溶液紡糸ゼイン繊維の調製
溶液紡糸ゼイン繊維を、ゼイン粉末(Prairie Gold Inc.、Bloo
mington、IL)、エタノール(Luxcoによる190 proof Ever
clear)、水酸化ナトリウム(Fisher Scientific)、グリセロー
ル、(Fisher Scientific)、および水を用いて生成した。ゼイン粉末
50g、グリセロール10g、エタノール36g、および水4gを、ホモジナイザーを用
いて5分間ガラス製広口びん中で混合した。溶液のpHを、水酸化ナトリウムのエタノー
ル1M溶液で7.0まで調整した。溶液を、30ゲージ針を有する1ml注射器に装填し
た。注射器をシリンジポンプ(New Era Syringe Pumps、Inc.
)に取り付け、Delrinスプールを有する特注のファイバースプーラーに対して、針
を下に向け、これを垂直に据え付けた。スプーリングロッドを3RPMで回転するように
設定した。
【0130】
シリンジポンプを、0.12ml/hに設定して作動させた。溶液の液滴が針の先端で
形成された場合、これをへらですくい取り、繊維に広げた。繊維の端を、付着するまでス
プーリングロッドに接触させた。次いで、繊維アタッチメントの位置でスプーリングロッ
ドに面している加熱ファンにスイッチを入れ、繊維乾燥を容易にした。繊維を、注射器が
空になるまでスプールに巻き、その後、注射器に再装填し、上記の手順を繰り返した。ス
プールに巻いた後、繊維を110℃のオーブンで1時間早期硬化させ、次いで、175℃
で5分間焼くことにより完了した。
【0131】
本プロセスによって得られたゼイン繊維は、光学顕微鏡により測定された通り、60~
80マイクロメータ厚のやや清澄な、薄黄色に着色された繊維であった。これらは、空気
および水に非常に柔軟性があり、数時間の水浸後でも、動物の結合組織(10~15MP
a)に類似の高い引張強さを維持した。
【実施例14】
【0132】
予め風味付けしている肉の生地についてのグルコン酸鉄による生地ブロスの調製
生地ブロスを、1×前駆物質のミックス1(表2を参照のこと)、1mMグルコン酸鉄
、および18%純化、漂白、脱臭された(RBD)ヤシ油(Shay and comp
any)を混合し、溶液を沸騰するまで加熱しながら撹拌し、次いで、ぐつぐつと30分
間煮立たせることにより創出した。この溶液を、「グルコン酸鉄生地ブロス」と称し、実
施例10の肉の生地において用いられる「生地ブロス」の代わりに用いることができる。
ヤシ油をグルコン酸鉄および前駆物質のミックスでインキュベートすることにより、ブロ
ス中の豚肉、牛肉のような、硫黄、金属に似た、甘い、香ばしい、およびうま味を含めて
、ブロス中の香ばしいおよびまたは肉のような風味が生成される。
【実施例15】
【0133】
風味を注入された脂肪レプリカのグルコン酸鉄による調製
グルコン酸鉄を含有する風味を付けた脂肪レプリカを、0.25%のLegHの溶液、1
mMグルコン酸鉄、1×前駆物質のミックス1(表1)、および30%RBDヤシ油(S
hay and company)を混合し、沸騰するまで加熱しながら混合物を撹拌し
、次いで、ぐつぐつと10分間煮立たせることにより創出した。溶液を4℃まで冷却して
、油を固化させた。油が固化した後、これを水層から分離し、実施例13に記載されてい
るハンバーガーを調製する際に風味を付けた脂肪レプリカの代わりに用いた。ヤシ油をL
egH、グルコン酸鉄、および前駆物質のミックスでインキュベートすることにより、香
ばしい、肉のような、牛肉の脂肪の香気、甘い、金属に似た、および硫黄の香気を含めて
、油において風味の香気を注入する。
【実施例16】
【0134】
酒石酸水素カリウムを含有する肉の生地の調製
肉の生地を、表5に示される成分を用いて以下の通り調製した。
【0135】
【0136】
第1に、水、ヤシ油、1M乳酸溶液、および加水分解された植物性タンパク質を、混合
し、60℃まで加熱してブロスを作製した。融解させ、ヤシ油を分布させるのを助けるた
めに加熱を行った。グルテン粉(vitalコムギグルテン番号131100、Guis
to’s Specialty Foods、San Francisco、CA)およ
び酒石酸水素カリウムを、別々の容器において混合した。次いで、温かいブロスを、乾燥
混合物に加えて、スタンドミキサー(例えば、生地を混合する付属品が付いた、KITC
HENAID(登録商標)Professional 600 Series 6 Qu
art Bowl-Lift Stand Mixer model KP26M1XE
R、速度2に設定)で30秒間練って、肉の生地を形成した。練った後、肉の生地を平板
に形成し、蒸すために別の容器に移した。内部温度がおよそ88℃になるまで、肉の生地
を、(例えば、Aroma Rice cooker Model No.ARC-10
30SB)で蒸した。蒸した後、生地を氷上の容器に移して4℃まで冷却した。酒石酸水
素カリウムは、有利な方法で生地の質感を改質した。実施例10の肉の生地と比較した場
合、本実施例の肉の生地は、より粘着性であり、挽いた後、牛のひき肉により類似した形
状因子であり、成形しやすくパテを形成しやすかったため、未加工の取扱い特性を改善し
た。
【実施例17】
【0137】
ルテインを含有する肉の生地の調製
肉の生地を表6に示される成分を用いて以下の通り調製した。
【0138】
【0139】
第1に、水、ヤシ油(Shay and company、Milwaukie、OR
)、およびルテイン(FloraGLO Lutein 20%SAF、DSM Nut
ritional Products、Overland Park、KS)を混合し、
25℃を超えるまで加熱してブロスを作製した。融解させ、ヤシ油およびルテインを分布
させるのを助けるために加熱を行った。次いで、温かいブロスを、グルテン粉(vita
lコムギグルテン PROLIGHT(登録商標)LF、ADM、Chicago、IL
)に加え、速度「2」で設定したスタンドミキサー(例えば、生地を混合する付属品が付
いたKITCHENAID(登録商標)Professional 600 Serie
s 6 Quart Bowl-Lift Stand Mixer model KP
26M1XER)で30秒間練って、肉の生地を形成させた。練った後、肉の生地を平板
に形成し、実施例16と同様に、蒸すために別の容器に移し、次いで、氷上の容器に移し
て4℃まで冷却した。肉の生地の対照バッチを、ルテインを加えなかったことを除いて前
述した通り作製した。ルテインを含有する肉の生地は、穀物のような風味が少なく、対照
の肉の生地よりも牛肉に近いと記載された。
【実施例18】
【0140】
カロテノイドの添加による穀物の風味および異臭の低減
肉の生地を表7に示される成分を用いて以下の通り調製した。
【0141】
【0142】
第1に、融解したヤシ油(50℃)をカロテノイドで混合し、次いで、これを水に混合
した。ブロスを、激しく撹拌し、次いで、速やかにコムギグルテン粉をブロスに加え、ス
プーンでよく混合した。形成した生肉の生地を、実施例16に記載されている通り、蒸す
ために金属製ラミキンまたはガラスビーカーに移し、次いで、氷上の容器に移して4℃ま
で冷却した。
【0143】
カロテノイドを加えて、有利な方法で生地の風味が改質され;カロテノイドを含まない
肉の生地(実施例10)と比較した場合、5名の訓練を受けたフレーバーサイエンティス
トは、カロテノイドを含む肉の生地が、4品の試食では穀物の風味が少なく、酸化臭が弱
く、全体的な異臭が少ないと記載した。表8は、穀物の風味に関して5名の訓練を受けた
フレーバーサイエンティストによって評価された、異なるカロテノイドを含む試料のパネ
ルにより得られたまとめられた感覚についての結果を示す。訓練を受けたフレーバーサイ
エンティストは、穀物の風味に対して試料を1から5で評価し、1は穀物の風味が最も低
く、5は最も高かった。ルテインを含む肉の生地中の異臭の減少は、SPMEガスクロマ
トグラフィー-質量分析(GC-MS)データによって裏付けられた。さらに、カロテノ
イド(リコペン、β-カロテン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、およびルテイン)
を肉の生地に加えると、試料が、より脂っこいおよびより甘いということが記載された。
【0144】
肉の生地にルテインを加えることによって、大部分のフレーバー化合物は、ルテインの
濃度に応じて低下した。表9を参照のこと;ルテイン濃度は、なし、0.0005%、お
よび0.005%であった。カロテノイドにより低下した主な化合物には、(Z)-2-
ノネナール、(E,E)-2,4-ノナジエナール、および1-ペンテン-3-オールを
含めた、アルコールおよびアルデヒドのような、酸化したフレーバー化合物が含まれ;さ
らに、メタンチオール、2-アセチルチアゾール、および硫化ジメチルを含めた、硫黄化
合物も低下し;これらの化合物の多くはまた、ガスクロマトグラフィー-嗅覚検査(GC
O)による訓練を受けたフレーバーサイエンティストによって、穀物のような香気および
酸化臭と記載された。
【0145】
【0146】
【実施例19】
【0147】
酸化防止剤の添加による穀物の風味および異臭の低減
肉の生地を、表10に示される成分を用いて以下の通り調製した。
【0148】
【0149】
EGCG(没食子酸エピガロカテキン)を、水に可溶化し、次いで、融解したヤシ油(
50℃)を、水に混合した。ブロスを激しく撹拌し、次いで、速やかにコムギグルテン粉
をブロスに加え、スプーンでよく混合した。形成した生肉の生地を、実施例16に記載さ
れている通り、蒸すため金属製ラミキンまたはガラスビーカーに移し、次いで、氷上の容
器に移して4℃まで冷却した。
【0150】
訓練を受けたフレーバーサイエンティストにより記載された、EGCGを添加した肉の
生地中の異臭の減少は、SPME GC-MSデータによって裏付けられる。GCMSデ
ータでは、GCOによって穀物のような香気および酸化臭であると記載された、化合物2
-ペンチル-フラン、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン、1-ペンテン-3-オール
、2-ペンテン-1-オール、メチル-ピラジン、ブタナール、5-エチル-2(5H)
-フラノン、5-エチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、2-ノネナール、フェニルア
セトアルデヒド、および3,5-オクタジエン-2-オンを含めて、もはや検出不可能で
あるまたは少なくとも2倍減少した複数のフレーバー化合物が示された。
【実施例20】
【0151】
コムギグルテンを洗浄することによる穀物の風味を低減した肉の生地の調製
肉の生地を、表11に示される成分を用いて以下の通り調製した。
【0152】
【0153】
コムギグルテン粉(ADM PROLITE(登録商標)Low Flavor Vi
tal Wheat Gluten)を、10×洗浄溶液(50mM NaCl)を含有
する溶液中へゆっくりと撹拌し、次いで、十分に混合して凝集塊を形成するのを防いだ。
溶液を5分間氷上に置き、その間、コムギグルテンは底に沈んだ。第2の洗浄ステップ後
、第1の洗浄溶液を除去し、10×新鮮な洗浄溶液中に撹拌した。第2の溶液を捨て、続
いて、水道水で最後の洗浄を行った。水洗浄溶液を捨て、次いで、洗浄したコムギグルテ
ンを測定して、水の正確な量が取り込まれたことを判定した。コムギグルテン生地の重さ
が、量り分けた最初のコムギグルテン粉の量および理論水量に等しくなるように、水を加
えたまたは圧搾した。融解したヤシ油を加え、生地を30秒間手練りして、油を取り込ん
だ。形成した生肉の生地を、実施例16と同様に蒸すために金属製ラミキンまたはガラス
ビーカーに移し、次いで、氷上の容器に移して4℃まで冷却した。
【0154】
洗浄ステップによって、有利な方法で生地の風味が改質され;洗浄していない肉の生地
と比較した場合、5名の訓練を受けたフレーバーサイエンティストは、洗浄した肉の生地
が、4品の試食では穀物の風味が少なく、酸化臭が弱く、全体的な異臭が少ないと記載し
た。洗浄した肉の生地の異臭の減少は、洗浄していない肉の生地を、洗浄した肉の生地と
比較したGCOと一緒に、SPME GC-MSによって裏付けられる。洗浄した肉の生
地において、フレーバー化合物は、アルコールおよびアルデヒドなどの酸化したフレーバ
ー化合物、ならびに1-(2-フラニル)-エタノン、メチル-ピラジン、ペンタン酸、
3-メチル-1-ブタノール、2,3-ブタンジオン、ベンジルアルコール、(E,E)
3,5-オクタジエン-2-オン、(E)-2-ノネナール、(E,E)-2,4-デカ
ジエナール、および1-オクテン-3-オンを含めた特定の化合物を含めて減少し、GC
Oにより臭気活性化合物と決定され、これらの化合物の検出は、洗浄した肉の生地におい
て減少したまたは検出されなかった。
【実施例21】
【0155】
血液寒天の調製
血液寒天を、表12に示される成分を用いて調製した。
【0156】
【0157】
寒天粉末(Now Foods、Bloomingdale、IL)を、撹拌ビーカー
中で100℃まで加熱することにより、乳酸および風味ブロスの混合物(表13からの1
0%ヤシ油およびマジックミックス1を用いたことを除いて、実施例5と同様に作製した
)に溶解した。溶液を、氷浴に浸漬することにより65℃まで冷却した。次いで、17×
液体マジックミックス(表13からのマジックミックス2)およびレグヘモグロビンをど
ちらも4℃で加え、混合物の温度を50℃まで下げた。レグヘモグロビンを変性させない
ようにするために、レグヘモグロビンを加える前に、混合物を冷却することが重要である
。次いで、乾燥RuBisCOを加え、混合物を、手で激しく撹拌した。RuBisCO
を加える場合、40℃から60℃の間の温度であることが重要である。温度が非常に高い
場合、RuBisCOは、変性する恐れがあり、最終生成物の調理中、固化剤(firming
agent)として機能しない。温度が非常に低い場合、寒天は、固化し、均質な混合物の生
成を妨げる。
【0158】
【実施例22】
【0159】
血液寒天の調製
血液寒天を、表14に示される成分を用いて調製した。
【0160】
【0161】
寒天粉末(Agar100、TIC Gums、White Marsh、MD)を、
撹拌ビーカー中で少なくとも91℃まで加熱することにより、水および乳酸の混合物に溶
解した。加熱を行って、寒天を完全に可溶化した。次いで、溶液を50~70℃まで冷却
し、レグヘモグロビン(発現したピキア(Pichia)、実施例1)および17×液体マジッ
クミックス(表12)の予備混合物を加えた。温度が非常に高い場合、レグヘモグロビン
は、変性する恐れがあり、風味反応化学を目的としたとき機能しない。温度が非常に低い
場合、寒天は、固化し、均質な混合物の生成を妨げる。次いで、混合物を撹拌し、さらに
、4~25℃まで冷却した。完成された生成物は、外観および質感がケチャップのようで
ある。
【実施例23】
【0162】
溶融性、接着性および食感特性を改善した脂質レプリカエマルションの調製
脂質レプリカ100gを調製するため、乾燥前駆物質の混合1(表12)1gを、水1
8.8mlに溶解し、pHを濃縮NaOH溶液で6まで調整した。レグヘモグロビン(5
.5%)の凍結した溶液を前駆物質溶液に加え、回転速度250RPMで、160℃で維
持した撹拌ホットプレートに入れた。
【0163】
別々の容器において、ヤシ油(Shay and company、Milwauki
e、OR)35gおよびパームステアリン35gを、60℃の水浴で一緒に融解した。融
解した油混合物を、撹拌速度を450RPMまで上げながら、ゆっくりと(約12ml/
分)前駆物質およびレグヘモグロビンの溶液に加えた。
【0164】
油を加えた後、得られた高濃度のエマルションを、同じ温度および撹拌速度で23分間
維持した。次いで、エマルションを600mlビーカーに移し、急冷のために氷上に置き
、冷蔵庫に入れた。エマルションが25℃に達した場合、藻類植物油0.35gおよびア
セトイン0.35gを、エマルションに加え、へらで急速に混合した。(実施例31に記
載されている通り)風味を改善し、異臭をマスキングするためのラクトンを、以下の量で
加えた。5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノンを、最終濃度
2.5*10-5%まで加え、ブチロラクトンを、最終濃度2.5*10-8%まで加え
、δ-テトラデカラクトンを、最終濃度5*10-9%まで加えた。エマルションを、設
定6で携帯型ホモジナイザーを用いて、2.5分間ホモジナイズした。エマルションを、
完全に固形化するまで、4℃でインキュベートした。
【0165】
凝固した後、脂質レプリカエマルションは、オフホワイトからわずかに褐色であり、室
温でろう状の固形物であり、風味は、香ばしい、肉のような、血液のような、および鶏脂
様と特徴付けられた。牛のひき肉レプリカに取り込まれる場合、レプリカの取り扱われる
および成形される能力と同様にレプリカの粘着性は高まった。
【実施例24】
【0166】
ダイズコングリシニンタンパク質によって安定化された脂質レプリカエマルションの調
製
脂質レプリカ100gを調製するため、実施例4からの単離されたダイズコングリシニ
ン粉末1.5gを水28.5mlに溶解し、熱撹拌プレート(hot stir plate)に置いた
。別々の容器において、ヤシ油(Shay and company)70gを 60℃
の水浴で融解した。融解した油混合物を、一定の撹拌で、精製されたタンパク質の溶液に
ゆっくりと(約12ml/分)加えた。得られたエマルションを最高90℃の温度まで加
熱し、この温度で5分間維持した。次いで、エマルションを、600mlビーカーに移し
、急冷のために氷上に置き、冷蔵庫に入れた。エマルションが25℃に達した場合、藻類
植物油0.35gをエマルションに加え、へらで急速に混合した。(実施例31に記載さ
れている通り)風味を改善し、異臭をマスキングするためのラクトンを、以下の量で加え
た。5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノンを、最終濃度2.
5*10-5%まで加え、ブチロラクトンを、最終濃度2.5*10-8%まで加え、δ
-テトラデカラクトンを最終濃度5*10-9%まで加えた。エマルションを、設定6で
携帯型ホモジナイザーを用いて2.5分間ホモジナイズし、完全に固形化するまで、4℃
の冷蔵庫でインキュベートした。凝固した後、脂質レプリカエマルションは、白色からわ
ずかにオフホワイト色であり、室温で固体であり、刺激の少ない、非常にはっきりしない
風味であり、質感は、与えられた牛肉の脂肪と類似するものと特徴付けられた。
【実施例25】
【0167】
pH逸脱方法によるダイズコングリシニンタンパク質によって安定化された脂肪レプリカ
エマルションの調製
脂肪レプリカ100gを調製するために、実施例4からの単離されたダイズグリシニン
タンパク質粉末0.5gをビーカー中の水29.5mlに溶解した。水酸化ナトリウム2
M溶液を用いて、タンパク質溶液のpHを12に調整した。別々の容器において、ヤシ油
(Shay and company)70gを60℃の水浴で融解した。融解した油混
合物を、一定の撹拌で、精製されたタンパク質の溶液にゆっくりと(約12ml/分)加
えた。藻類植物油0.35gを、エマルションに加え、へらで急速に混合した。水酸化ナ
トリウム2M溶液を用いて、タンパク質溶液のpHを12に調整し、エマルションを、設
定6で携帯型ホモジナイザーを用いて30s(30秒)間ホモジナイズし、完全に固形化
するまで4℃でインキュベートした。凝固した後、脂質レプリカエマルションは、白色か
らわずかにオフホワイト色であり、室温で固体であり、刺激の少ない、非常にはっきりし
ない風味であり、カッテージチーズ様の質感であった。
【実施例26】
【0168】
風味エマルション中にカロテノイドを加えて肉のような風味を高める
各カロテノイド(カンタキサンチン、β-カロテン、ルテイン、またはリコペン)(S
hay and company、Milwaukie、OR)を、溶解性に応じて、1
0%でヤシ油または水に個別に溶解した。0.5%のLegHの溶液、1×前駆物質のミ
ックス1(表1)、30%RBDヤシ油、および個別の10%カロテノイド溶液(エマル
ション中の最終カロテノイド濃度は、0.025%であった)を混合し、沸騰するまで加
熱しながら混合物を撹拌し、次いで、10分間ぐつぐつと煮立たせることにより、カロテ
ノイドを調理前に風味エマルションに加えた。0.7%の追加の藻類植物油を、実施例3
2に記載されている通り、風味の創出のための追加の前駆物質について加えた。(実施例
31に記載されている通り)風味を改善し、異臭をマスキングするためのラクトンを、以
下の量で加えた。5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノンを最
終濃度2.5*10-5%まで加え、ブチロラクトンを最終濃度2.5*10-8%まで
加え、δ-テトラデカラクトンを最終濃度5*10-9%まで加えた。エマルションを、
設定6で携帯型ホモジナイザーを用いて2.5分間ホモジナイズし、次いで、完全に固形
化するまで4℃でインキュベートした。次いで、エマルションを、実施例30に記載され
ている通り調製したタコスミートに加えた。次いで、試料を、カロテノイドを加えない対
照と異なるカロテノイドと比較した。試料は、少なくとも5名の訓練を受けたフレーバー
サイエンティストによって評価された。結果を表15にまとめた。
【0169】
【実施例27】
【0170】
ハンバーガーの組み立ておよび調理
表16の成分を含有するレプリカハンバーガーを調製した。
【0171】
【0172】
冷却した肉の生地を、食品グラインダー付属品(KITCHENAID(登録商標)P
rofessional 600 Series 6 Quart Bowl-Lift
Stand Mixer model KP26M1XERおよびKITCHENAI
D(登録商標)Food Grinder model FGA、St. Joseph
、MI)を取り付けたスタンドミキサーを用いて、速度設定1で挽いた。本装置において
、材料を、固定孔プレートの前に据え付けられた回転ナイフを通り過ぎてスクリューコン
ベヤーにより送った。軟らかい結合組織を、鈍い刃を取り付け、低速で20~30秒間運
転したUniversal Machine(UM-12、Stephen Machi
nery GmbH、Schwarzenbeck、Germany)を用いて細長く切
った。風味を付けたエマルションを、-20℃まで冷却し、次いで、一段階プロセスにお
いて、ミニチョッパー(Mini-Prep(登録商標)Plus Processor
model DLC-2L Cuisinart、Stamford、CT)で刻んだ
。エマルションおよそ400gを、ミニチョッパーに入れ、細断設定で60秒間処理して
、長さ1~3mmの切片を得た。
【0173】
次いで、ひき肉生地、細長く切られた軟らかい結合組織、および風味を付けたエマルシ
ョン片を混合した。混合中、混合物を-5から4℃で維持して、脂肪を溶融しないように
した。次いで、血液寒天を加え、完全に取り込まれるまで混合した。合計バッチサイズは
、1kgであった。次いで、挽いた組織の部分50gまたは150gを、手で円形のパテ
形に形成した。パテ50gの典型的な寸法は、55mm×15mmであった。パテ150
gの典型的な寸法は、100mm×22mmであった。パテを調理するまで冷蔵した。パ
テを、予熱した(325~345°F)焦げ付かないフライパンで調理し、2分ごとにひ
っくり返しながら、内部温度160°Fまで加熱した。調理されたパテは、牛のひき肉と
類似の外観、質感、および風味であった。パテ形式で調理するほかに、未形成の材料はま
た、タコスの具、キャセロール、ソース、トッピング、スープ、シチュー、またはローフ
など様々な料理に用いることができる。
【実施例28】
【0174】
ハンバーガーの組み立ておよび調理
表17の成分を含有するレプリカハンバーガーを調製した。
【0175】
【0176】
冷却した肉の生地を、食品グラインダー付属品(KITCHENAID(登録商標)P
rofessional 600 Series 6 Quart Bowl-Lift
Stand Mixer model KP26M1XERおよびKITCHENAI
D(登録商標)Food Grinder model FGA、St.Joseph、
MI)を取り付けたスタンドミキサーを用いて、速度設定1で挽いた。軟らかい結合組織
を、鈍い刃を取り付け、低速で20~30秒間運転したUniversal Machi
ne(UM-12、Stephen Machinery GmbH、Schwarze
nbeck、Germany)を用いて細長く切った。風味を付けたエマルションを、-
20℃まで冷却し、次いで、SALADSHOOTER(登録商標)National
Presto Industries、Inc. Eau Claire、WI)で刻ん
で、長さ1~3mmの切片を得た。次いで、ひき肉生地、細長く切られた軟らかい結合組
織、風味を付けたエマルション片、および乾燥ダイズコングリシニンを混合した。混合中
、混合物を-5から4℃で維持して、脂肪を溶融しないようにした。次いで、水和液体(
実施例22に記載されている通りレグヘモグロビンおよび17×液体マジックミックスが
1:1の混合物)を加え、混合物を最低15分間4℃で保持して、乾燥ダイズコングリシ
ニンを水和させた。最後に、血液寒天を加え、完全に取り込まれるまで混合した。合計バ
ッチサイズは、200gであった。次いで、挽いた組織の部分50gを、手で円形のパテ
形に形成した。パテ50gの典型的な寸法は、55mm×15mmであった。パテは、調
理するまで冷蔵した。パテを、予熱した(325~345°F)焦げ付かないフライパン
で調理し、毎分ひっくり返しながら、内部温度170°Fまで加熱した。調理されたパテ
は、牛のひき肉と類似の外観、質感、および風味であった。パテ形式で調理するほかに、
未形成の材料はまた、タコスの具、キャセロール、ソース、トッピング、スープ、シチュ
ー、またはローフなど様々な料理に用いることができる。
【実施例29】
【0177】
10%の肉の生地を有するハンバーガーの組み立ておよび調理
表18の成分を含有するレプリカハンバーガーを調製した。
【0178】
【0179】
冷却した肉の生地を、食品グラインダー付属品(KITCHENAID(登録商標)P
rofessional 600 Series 6 Quart Bowl-Lift
Stand Mixer model KP26M1XERおよびKITCHENAI
D(登録商標)Food Grinder model FGA、St.Joseph、
MI)を取り付けたスタンドミキサーを用いて、速度設定1で挽いた。軟らかい結合組織
を、鈍い刃を取り付け、低速で20~30秒間運転したUniversal Machi
ne(UM-12、Stephen Machinery GmbH、Schwarze
nbeck、Germany)を用いて細長く切った。風味を付けたエマルションを、-
20℃まで冷却し、次いで、SALADSHOOTER(登録商標)National
Presto Industries、Inc. Eau Claire、WI)で刻ん
で、長さ1~3mmの切片を得た。次いで、ひき肉生地、細長く切られた軟らかい結合組
織、風味を付けたエマルション片、および乾燥ダイズコングリシニンを混合した。混合中
、混合物を-5から4℃で維持して、脂肪を溶融しないようにした。次いで、水和液体(
実施例22に記載されている通りレグヘモグロビンおよび17×液体マジックミックスが
1:1の混合物)を加え、混合物を最低15分間4℃で保持して、乾燥ダイズコングリシ
ニンを水和させた。最後に、血液寒天を加え、完全に取り込まれるまで混合した。合計バ
ッチサイズは、200gであった。次いで、挽いた組織の部分50gを、手で円形のパテ
形に形成した。パテ50gの典型的な寸法は、55mm×15mmであった。パテを調理
するまで冷蔵した。パテを予熱した(325~345°F)焦げ付かないフライパンで調
理し、毎分ひっくり返しながら内部温度170°Fまで加熱した。調理されたパテは、牛
のひき肉と類似の外観、質感、および風味であった。パテ形式で調理するほかに、未形成
の材料はまた、タコスの具、キャセロール、ソース、トッピング、スープ、シチュー、ま
たはローフなど様々な料理に用いることができる。
【実施例30】
【0180】
「タコスミート」の組み立ておよび調理
表19の成分を含有する「タコスミート」レプリカを調製した。
【0181】
【0182】
冷却した肉の生地を挽き、軟らかい結合組織を細長く切り、風味を付けたエマルション
を実施例28に記載されている通り刻んだ。次いで、ひき肉生地、細長く切られた軟らか
い結合組織、および風味を付けたエマルション片を混合した。混合中、混合物を-5から
4℃で維持して、脂肪を溶融しないようにした。次いで、水和液体(実施例22に記載さ
れている通りレグヘモグロビンおよび17×液体マジックミックスが1:1の混合物)お
よび血液寒天を加え、混合した。合計バッチサイズは、20gであった。次いで、混合し
た組織を、予熱した(325~345°F)焦げ付かないフライパンで160°Fまでで
調理した。調理された組織は、牛のひき肉と類似の外観、質感、および風味であった。こ
の物質は、外観がタコスミートに似ており;7Sタンパク質を含まなくても、この肉は、
共に等しく硬くならず固着しなかった。
【実施例31】
【0183】
マスキング剤としてのラクトンの使用
ラクトンを、溶解性に応じて水または油に希釈した。次いで、希釈したラクトンを、表
20に示される通り、風味を付けたエマルション(実施例23)に加え、ホモジナイズし
た。ラクトンの最終濃度を、表20に示す。風味を付けたエマルションを、ひき肉(例え
ば、タコスミート)(食肉レプリカのすべての構成成分は、RuBisCOを含まない)
の最終の20%のために加えた。風味を付けたエマルションを、例17に示した通りであ
るがRuBisCOを含まず、肉の生地、結合組織、マジックミックスおよびヘムと混合
した。次いで、ひき肉は、全体的な味、異臭の任意の減少、および全体的な改善について
、5名の訓練を受けたフレーバーサイエンティストによって試験された。まとめた結果を
、表20に示す。特定のラクトンおよびラクトンの組合せを加えると、穀物、卵のような
、苦味、肝臓のような、およびマッシュルームを含めた、異臭が低減された。苦味のよう
な特定のマスキング特性のために独自の組合せを必要とした。ラクトンはまた、クリーム
のような、バターのような、カラメルになった、脂っこい、新鮮な、およびフルーツのよ
うな所望の風味を増した。
【0184】
【0185】
【0186】
【実施例32】
【0187】
肉のような脂肪風味の創出のための多価不飽和脂肪の添加
藻類植物油(DSM life’s omega 45 02412-0100)を、
食肉レプリカ中の最終濃度0.07%について、風味を付けたエマルション(実施例23
)に加え、次いで、ホモジナイズした。風味エマルションを、実施例27に記載されてい
る通り、レプリカに加えた。藻類植物油を加えると、訓練を受けたフレーバーサイエンテ
ィストによって記載された通り、獣脂の味、脂肪質、および全体的な肉のような特質が増
したレプリカになった。
【0188】
藻類油を添加すると、脂っこいフレーバー分子の創出のために必要であるエイコサペン
タエン酸およびドコサヘキサエン酸を含めた、前駆物質が増加した。SPMEガスクロマ
トグラフィー-質量分析(GC-MS)によって検出された通り、藻類油を含まない対照
と比較して、藻類油を前駆物質のミックスおよびヘモグロビンに添加することにより、ノ
ナン、(E,E)-3,5-オクタジエン-2-オン、1-ヘプテン-3-オール、1-
ペンテン-3-オン、2-プロピルフラン、n-カプロン酸ビニルエステル、3-エチル
-2-メチル-1,3-ヘキサジエン、1-エチル-5-メチルシクロペンテン、tra
ns-2-(2-ペンテニル)フラン、1-ペンテン-3-オール、4,7-ジメチル-
ウンデカン、1-オクタノール、3-エチル-ピリジン、3-エチルシクロペンタノン、
(Z)-2-オクテン-1-オール、2-n-ヘプチルフラン、(Z)-2-デセナール
、ヘキサン酸、(E,E)-2,4-ノナジエナール、6-メチル-2-ヘプタノン、(
Z)-2-ヘプテナール、(E,E)-2,4-ヘプタジエナール、1-ヘキサノール、
(E,E)-2,4-デカジエナール、(E,Z)-2,6-ノナジエナール、および1
-オクテン-3-オールを含めた風味を創出した。
【実施例33】
【0189】
食肉レプリカのためのウリ属(Cucumis)スラリーの創出
ゆでたキュウリスラリーを創出するため、(皮を剥かずに、または別の方法でばらばら
にして)浸透させなかった新鮮な種類のキュウリを丸ごと用いた。水浴は、80~90℃
まで加熱し、キュウリを丸ごと水浴に入れ、キュウリの内部温度が水浴の温度と平衡する
まで、本実施例の場合およそ30分間調理した。次いで、水浴からキュウリを引き上げ、
キュウリの皮を身から完全に取り除いた。キュウリの身を種子とブレンドし、次いで、ふ
るいにかけて、より大きい微粒子物のいずれかを分離した。次いで、ブレンドしたキュウ
リの身をスラリーとして用い、食肉レプリカに加えた。ハネデューメロンおよびカンタロ
ープを含めたウリ属(Cucumis)の他の品種でこの同じ方法を用いた。
【実施例34】
【0190】
溶媒によって補助された風味抽出を用いたウリ属(Cucumis)抽出物の創出
抽出物を、溶媒によって補助された風味抽出(SAFE:solvent assisted flavor ex
traction)、および溶媒として水を用いて創出した。SAFEは、圧力を加え、温度をわ
ずかに上昇させた材料の外にフレーバー化合物を引き出すことにより行われる。
【0191】
抽出物を、新鮮な種類のキュウリの皮をすべて取り除き、キュウリを細断することによ
り創出し、次いで、特効薬とブレンドした。次いで、キュウリスラリーを、Edward
s 12床用電気掃除機(floor vacuum)を用いて圧力下にある、SAFEガラス製品の
試料の注入口に注ぎ入れ、温度を、水ポンプおよび試料丸底フラスコのための温水浴で4
0℃に設定した。少量(試料2~4mL)のキュウリスラリーを、試料丸底フラスコに入
れた。試料丸底フラスコに移動させたとき、スラリーは、直ちに沸騰するようにみえた。
目に見えて沸騰が停止したとき、より多く試料体積を試料丸底フラスコに加えた。試料全
体がSAFEガラス製品装置に入るまで、これを続けた。試料全体がなくなったら、水浴
が40℃に達するにつれて試料を抽出し続け、次いで、さらに20分間抽出した。抽出が
行われるとき、収集丸底フラスコを、液体窒素に沈め、コールドフィンガー注入口を、液
体窒素で満たした。次いで、抽出物を、収集丸底フラスコから収集した。
【実施例35】
【0192】
ゲル状の基質に加えることにより肉のような特質および脂肪質を増加させるためのウリ
属(Cucumis)液体の食肉レプリカへの添加
実施例22で概説した血液寒天を、DI水の代わりにウリ属(Cucumis)液体を加える
ことを除いて記載された通り、作製した。ウリ属(Cucumis)液体は以下のうち1つであ
った。(i)DI水2%で加えた、カンタロープメロン由来の市販の水抽出物、(ii)
~(v)実施例33に記載されている通り、ハネデューメロン(6.25%)またはキュ
ウリ(3.2%)の調理済みもしくは調理されていないスラリー、または(vi)実施例
34に記載されている通り、キュウリ(加圧蒸留物)の溶媒によって補助されたフレーバ
ー抽出物。これらのキュウリおよびメロン抽出物を加えることにより、肉のような風味プ
ロファイルのある特定の要素が、レプリカの全体的な嗜好および肉のような特質を増強し
た。SPME GC-MSによって実証され、訓練を受けたフレーバーサイエンティスト
によりGCOを用いて臭気活性化合物と確認された通り、化合物の多くは、アルデヒド、
ラクトンであり、それらの多くは、牛肉において見られる。牛肉とウリ属(Cucumis)と
の間で類似する化合物には、それだけには限らないが、ノナナール、2-デセナール、2
-ノネナール、2-ヘプテナール、2,6-ノナジエナール、2,4-デカジエナール、
2-ウンデセナール、2-オクテナール、2-ノネナール、ドデカナール、2,4-ヘプ
タジエナール、2,6-ノナジエナール、2,4-ノナジエナール、2,4-オクタジエ
ナール、デカナール、5-(メチレンシクロプロピル)-ペンタナール、6-ノネナール
、3,7-ジメチル1,6-オクタジエン-3-オール、2-ノネン-1-オール、3-
ノネン-1-オール、3,5-オクタジエン-2-オン、2,3-ブタンジオン、2-メ
チル-シクロペンタノン、2-ブタノン、a-イオノン、6-オクテン-2-オン、ジヒ
ドロ-5-ペンチル-2(3H)-フラノン、l-メントン、n-カプロン酸ビニルエス
テル、4-メチルオクタン酸、および酢酸エテニルエステルが含まれる。
【0193】
抽出物を含む血液寒天が、実施例30に記載されている通り、食肉レプリカに加えられ
る場合、甘い芳香、脂肪質、いくつかの場合において、獣脂および牛肉のような風味が高
まった。5名の訓練を受けたフレーバーサイエンティストによる、対照および盲検の対照
において示されなかった追加の風味の香気の十分な説明について、表21を参照のこと。
さらに、これらのメロンおよびキュウリ抽出物の添加によって、穀物のような、土のよう
な、木のような、および渋みのある臭いを含めた異臭の認識も減ったことが観察された。
【0194】
これらの抽出物のうちの3つを、8名の訓練を受けたパネリストを含む正式な記述的パ
ネルで試験し、対照、80:20牛肉、およびウリ属(Cucumis)液体を含む3種の追加
の試料(調理済みのキュウリスラリーは最終タコスミートの0.37%で試験され、調理
済みのハネデュースラリーは最終タコスミートの0.73%で試験され、カンタロープ抽
出物(TREATT製)は最終タコスミートの0.24%で試験された)とは表示されな
い盲検対照として表示された1つの対照レプリカと比較した。結果では、3つすべての試
料は、脂肪質および甘い芳香が高く、土のような、穀物のような、渋みのある、および青
っぽい腐った香気が減ったと評価されたことが示された。カンタロープ抽出物は、牛肉に
おいて味わわれるものと違って甘いメロン風味の対照からの追加の腐った香気を有した。
他の2つの試料である、実施例33に記載されている通り作製された、調理済みのハネデ
ュースラリーおよびキュウリスラリーは共に、両方の対照よりも肉のような特質および脂
肪質が高く、記載された追加の腐った香気を有さなかったと評価された。
【0195】
【0196】
他の実施形態
本発明は、その詳細な説明と併せて記載されており、前述の説明は、例証であり、本発明の範囲を制限するものではなく、添付した特許請求の範囲の範囲によって定義されるものと理解されるべきである。他の態様、利点、および修正は、以下の特許請求の範囲内である。
本発明は、以下の態様を含み得る。
[1]
(a)肉の生地約5重量%から約88重量%;
(b)炭水化物系ゲル約0重量%から約40重量%;
(c)非動物脂肪約5重量%から約35重量%;
(d)矯味剤約0.00001重量%から約10重量%;
(e)結合剤約0重量%から約15重量%;ならびに
(f)ヘム含有タンパク質および/または鉄塩約0.01重量%から約4重量%
を含む、食肉レプリカ組成物。
[2]
前記肉の生地が、矯味剤を含む、[1]に記載の組成物。
[3]
前記非動物脂肪が、矯味剤を含む、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]
前記肉の生地が、前記組成物の約45重量%から約60重量%である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の組成物。
[5]
前記炭水化物系ゲルが、前記組成物の約10重量%から約25重量%である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の組成物。
[6]
前記非動物脂肪が、前記組成物の約10重量%から約15重量%である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の組成物。
[7]
前記矯味剤が、前記組成物の約3重量%から約7重量%である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の組成物。
[8]
前記矯味剤が、1種または複数のフレーバー前駆物質を含む、[1]~[7]のいずれか一項に記載の組成物。
[9]
前記矯味剤が、前記組成物の約0.001重量%から約2重量%である、[1]~[7]のいずれか一項に記載の組成物。
[10]
前記矯味剤が、調味料または風味付け化合物を含む、[9]に記載の組成物。
[11]
前記矯味剤が、調味料および1種または複数のフレーバー前駆物質の組合せである、[1]~[10]のいずれか一項に記載の組成物。
[12]
前記結合剤が、前記組成物の約2重量%から約10重量%である、[1]~[11]のいずれか一項に記載の組成物。
[13]
前記結合剤が、これらの組織構造上の特性および/もしくは風味特性を改善するために、または1種もしくは複数のタンパク質の変性およびゲル化温度を改変するために、化学的または酵素的に修飾されている1種または複数のタンパク質を含む、[1]~[12]のいずれか一項に記載の組成物。
[14]
前記ヘム含有タンパク質が、前記組成物の約0.01重量%から約2重量%である、[1]~[13]のいずれか一項に記載の組成物。
[15]
前記ヘム含有タンパク質および前記鉄塩を含む、[1]~[14]のいずれか一項に記載の組成物。
[16]
前記肉の生地が、単離された植物タンパク質、食用の繊維状構成成分、任意選択の矯味剤、および任意選択の非動物脂肪を含む、[1]~[15]のいずれか一項に記載の組成物。
[17]
前記結合剤が、コングリシニンタンパク質である、[12]に記載の組成物。
[18]
(a)肉の生地約5重量%から約80重量%;
(b)非動物脂肪約5重量%から約35重量%;
(c)食用の繊維状構成成分約15重量%から約40重量%;
(d)炭水化物系ゲル約0.1重量%から約18重量%;
(e)矯味剤約0重量%から約10重量%;
(f)結合剤約0.5重量%から約15重量%;ならびに
(g)ヘム含有タンパク質および/または鉄塩約0.1重量%から約8重量%
を含む、食肉レプリカ組成物。
[19]
(a)肉の生地約20重量%から約30重量%;
(b)非動物脂肪約15重量%から約25重量%;
(c)食用の繊維状構成成分約15重量%から約25重量%;
(d)炭水化物系ゲル約7重量%から約18重量%;
(e)矯味剤約0重量%から約10重量%;
(f)結合剤約5重量%から約15重量%;ならびに
(g)ヘム含有タンパク質および/または鉄塩約2重量%から約8重量%
を含む、[18]に記載の食肉レプリカ組成物。
[20]
ひき肉レプリカを製造する方法であって、
(a)150°Fから250°Fまでの温度まで生地を加熱するステップであり、前記生地が、単離された植物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、1種または複数の任意選択の矯味剤、および任意選択の非動物脂肪を含む、ステップと;
(b)前記生地を、加熱後、非動物脂肪と合わせるステップであり、前記非動物脂肪が、矯味剤および/または単離された植物タンパク質を任意選択で含有する、ステップと;
(c)ステップ(b)からの生地を、炭水化物系ゲル、任意選択の食用の繊維状構成成分、任意選択の結合剤、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせて、前記ひき肉レプリカを製造するステップと
を含む、方法。
[21]
前記炭水化物系ゲル、前記任意選択の食用の繊維状構成成分、前記任意選択の結合剤、前記鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または前記鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせる前に、ステップ(b)からの生地を粉砕するステップをさらに含む、[20]に記載の方法。
[22]
肉の生地に風味付けする方法であって、
(a)第1の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または第1の鉄塩を、1種または複数のフレーバー前駆物質および任意選択の非動物脂肪と合わせるステップと;
(b)混合物を加熱して、1種または複数のフレーバー化合物を形成するステップと;
(c)単離された植物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、およびステップ(b)からの混合物を含む生地を作製するステップと
を含む、方法。
[23]
(d)前記生地を、加熱後、非動物脂肪と合わせるステップであって、前記非動物脂肪が、矯味剤および/または単離された植物タンパク質を任意選択で含有する、ステップと;
(e)ステップ(d)の生地を、炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、第2の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または第2の鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせて、ひき肉レプリカを製造するステップとをさらに含む、[22]に記載の方法。
[24]
前記炭水化物系ゲル、前記任意選択の結合剤、前記第2の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または前記第2の鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせる前に、ステップ(d)からの生地を粉砕するステップをさらに含む、[23]に記載の方法。
[25]
肉の生地に風味付けする方法であって、
(a)単離された植物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、1種または複数の任意選択の矯味剤、および任意選択の非動物脂肪を含む生地を作製するステップと;
(b)非動物脂肪を、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または第1の鉄塩、および1種もしくは複数のフレーバー前駆物質と合わせ、混合物を加熱することにより風味を付けた非動物脂肪を作製するステップと;
(c)前記生地を、加熱後、前記風味を付けた非動物脂肪と合わせるステップと
を含む、方法。
[26]
ステップ(c)の生地を、炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、第2の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または第2の鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせて、ひき肉レプリカを製造するステップをさらに含む、[25]に記載の方法。
[27]
前記炭水化物系ゲル、前記任意選択の結合剤、前記第2の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または前記第2の鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせる前に、ステップ(c)の生地を砕くステップをさらに含む、[26]に記載の方法。
[28]
ひき肉レプリカを製造する方法であって、
(a)鉄塩を、1種または複数のフレーバー前駆物質および任意選択の非動物脂肪と合わせるステップと;
(b)混合物を加熱して、1種または複数のフレーバー化合物を形成するステップと;
(c)単離された植物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、およびステップ(b)からの混合物を含む生地を作製するステップと;
(d)前記生地を、加熱後、非動物脂肪と合わせるステップであり、前記非動物脂肪が、矯味剤および/または単離された植物タンパク質を任意選択で含有する、ステップと;
(e)ステップ(d)の生地を、炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、任意選択の鉄塩、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせて、前記ひき肉レプリカを製造するステップと
を含む、方法。
[29]
前記炭水化物系ゲル、前記任意選択の結合剤、前記鉄塩、前記任意選択の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環、および1種または複数の任意選択の矯味剤と合わせる前に、ステップ(d)からの生地を粉砕するステップをさらに含む、[28]に記載の方法。
[30]
ひき肉レプリカを製造する方法であって、
(a)単離された植物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、1種または複数の任意選択の矯味剤、および任意選択の非動物脂肪を含む生地を作製するステップと;
(b)非動物脂肪を、鉄塩および1種または複数のフレーバー前駆物質と合わせ、混合物を加熱することにより、風味を付けた非動物脂肪を作製するステップと;
(c)前記生地を、加熱後、前記風味を付けた非動物脂肪と合わせるステップと;
(d)ステップ(c)の生地を、炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、鉄塩、任意選択の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせて、前記ひき肉レプリカを製造するステップと
を含む、方法。
[31]
前記炭水化物系ゲル、前記任意選択の結合剤、前記鉄塩、前記任意選択の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせる前に、ステップ(c)からの生地を砕くステップをさらに含む、[30]に記載の方法。
[32]
前記鉄塩が、グルコン酸鉄、塩化鉄、シュウ酸鉄、硝酸鉄、クエン酸鉄、アスコルビン酸鉄(iron ascorbate)、硫酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、または任意の他の水溶性の塩である、[20]~[31]のいずれか一項に記載の方法。
[33]
前記混合物を加熱する前に、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環を、前記鉄塩、前記1種または複数のフレーバー前駆物質、および前記非動物脂肪と合わせる、[28]に記載の方法。
[34]
鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環を、前記混合物を加熱する前に、前記非動物脂肪、前記鉄塩、および前記1種または複数のフレーバー前駆物質と合わせる、[30]に記載の方法。
[35]
前記1種または複数のフレーバー前駆物質が、糖、糖アルコール、糖酸、糖誘導体、油、遊離脂肪酸、アミノ酸もしくはその誘導体、ヌクレオシド、ヌクレオチド、ビタミン、酸、ペプチド、リン脂質、タンパク質加水分解物、酵母抽出物、またはそれらの混合物である、[22]~[31]のいずれか一項に記載の方法。
[36]
前記フレーバー前駆物質が、グルコース、フルクトース、リボース、アラビノース、グルコース-6-リン酸、フルクトース6-リン酸、フルクトース1,6-二リン酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチドに結合された糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、イノシン一リン酸(IMP)、グアノシン一リン酸(GMP)、ピラジン、アデノシン一リン酸(AMP)、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸塩、植物油、藻類油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、ヤシの実の油、パーム核油、ベニバナ油、アマニ油、米糠油、綿実油、オリーブ油、ヒマワリ油、カノーラ油、アマニ油、ヤシ油、マンゴー油、遊離脂肪酸、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、尿素、パントテン酸、オルニチン、ナイアシン、グリセロール、シトルリン、タウリン、ビオチン、ルリジサ油、真菌油、クロスグリ油、ベタイン、βカロテン、B-ビタミン、N-アセチルL-システイン、グルタミン酸鉄およびペプトン、またはそれらの混合物からなる群から選択される、[35]に記載の方法。
[37]
前記生地中の前記単離された植物タンパク質が、コムギグルテンを含む、[20]~[36]のいずれか一項に記載の方法。
[38]
前記生地中の前記単離された植物タンパク質が、コムギグルテン、デヒドリンタンパク質、アルブミン、グロブリン、もしくはゼイン、またはそれらの混合物を含む、請求項20~36のいずれか一項に記載の方法。
[39]
前記ひき肉レプリカが、前記任意選択の食用の繊維状構成成分を含む、[20]~[38]のいずれか一項に記載の方法。
[40]
前記任意選択の食用の繊維状構成成分が、ニンジン、タケ、エンドウマメ、ブロッコリー、ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、全粒粉、アルファルファ、ケール、セロリ、セロリの根、パセリ、キャベツ、ズッキーニ、グリーンビーンズ、インゲンマメ、クロマメ、アズキ、白インゲン、ビート、カリフラワー、ナッツ、リンゴの皮、カラスムギ、コムギ、もしくはオオバコ、またはそれらの混合物由来の植物繊維を含む、[39]に記載の方法。
[41]
前記任意選択の食用の繊維状構成成分が、単離された植物タンパク質の押出成形された混合物を含む、[39]に記載の方法。
[42]
前記押出成形された混合物が、コムギグルテンおよびダイズタンパク質単離物を含む、[41]に記載の方法。
[43]
前記押出成形された混合物が、矯味剤をさらに含む、[41]または[42]に記載の方法。
[44]
前記矯味剤が、調味料、フレーバー化合物、またはフレーバー前駆物質である、[43]に記載の方法。
[45]
前記調味料が、酵母抽出物、タンパク質加水分解物、または油である、[44]に記載の方法。
[46]
前記食用の繊維状構成成分が、溶液紡糸タンパク質繊維である、[39]に記載の方法。
[47]
前記溶液紡糸タンパク質繊維が、プロラミンを含む、[46]に記載の方法。
[48]
前記プロラミンが、トウモロコシゼイン、エンドウマメプロラミン、カフェリン(kafirin)、セカリン、ホルデイン、アベニン、またはそれらの混合物である、[47]に記載の方法。
[49]
前記非動物脂肪が、藻類油、真菌油、トウモロコシ油、オリーブ油、ダイズ油、ラッカセイ油、クルミ油、扁桃油、ゴマ油、綿実油、ナタネ油、カノーラ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、アマニ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ババス油、シアバター、マンゴーバター、カカオバター、コムギ胚芽油、ルリジサ油、クロスグリ油、シーバックソーン油、マカダミア油、ノコギリヤシ油、共役リノール酸油、アラキドン酸強化油、ドコサヘキサエン酸(DHA)強化油、エイコサペンタエン酸(EPA)強化油、パームステアリン酸、シーバックソーンベリー油、マカダミア油、ノコギリヤシ油、もしくは米糠油;あるいはマーガリンまたは他の水素化された脂肪である、[20]~[48]のいずれか一項に記載の方法。
[50]
前記非動物脂肪が、藻類油である、[20]~[48]のいずれか一項に記載の方法。
[51]
前記非動物脂肪が、前記任意選択の矯味剤を含む、[49]または[50]に記載の方法。
[52]
前記非動物脂肪が、前記任意選択の単離された植物タンパク質を含む、[49]~[51]のいずれか一項に記載の方法。
[53]
前記任意選択の単離された植物タンパク質が、コングリシニンタンパク質である、[52]に記載の方法。
[54]
前記生地が、前記矯味剤を含む、[20]、[21]、または[23]~[53]のいずれか一項に記載の方法。
[55]
前記生地中の前記非動物脂肪が、矯味剤を含む、[20]~[52]のいずれか一項に記載の方法。
[56]
前記矯味剤が、野菜抽出物、果実抽出物、酸、酸化防止剤、カロテノイド、ラクトン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、[54]または[55]に記載の方法。
[57]
前記酸化防止剤が、没食子酸エピガロカテキンである、[56]に記載の方法。
[58]
前記カロテノイドが、ルテイン、β-カロテン、ゼアキサンチン、trans-β-アポ-8’-カロテナル、リコペン、またはカンタキサンチンである、[56]に記載の方法。
[59]
前記野菜抽出物が、キュウリまたはトマト由来である、[56]に記載の方法。
[60]
前記果実抽出物が、メロンまたはパイナップル由来である、[56]に記載の方法。
[61]
前記炭水化物系ゲルが、約45℃から約85℃の間の融解温度を有する、[20]~[60]のいずれか一項に記載の方法。
[62]
前記炭水化物系ゲルが、寒天、ペクチン、カラギーナン、コンニャク、アルギン酸塩、化学的に修飾されたアガロース、またはそれらの混合物を含む、[61]に記載の方法。
[63]
前記ひき肉レプリカが、前記任意選択の結合剤を含む、[20]~[62]のいずれか一項に記載の方法。
[64]
前記任意選択の結合剤が、単離された植物タンパク質である、[63]に記載の方法。
[65]
前記結合剤の変性温度が、約40℃から約80℃の間である、[64]に記載の方法。
[66]
前記単離された植物タンパク質が、RuBisCO、アルブミン、グルテン、コングリシニン、またはそれらの混合物である、[64]に記載の方法。
[67]
前記結合剤が、調理後、140°Fから190°Fまでで固まる炭水化物系ゲルである、[63]に記載の方法。
[68]
前記炭水化物系ゲルが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアーガム、イナゴマメガム、キサンタンガム、またはそれらの混合物を含む、[67]に記載の方法。
[69]
前記結合剤が、卵アルブミンまたはコラーゲンである、[63]に記載の方法。
[70]
前記鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環が、ヘム部分、またはポルフィリン、ポルフィリノーゲン、コリン、コリノイド、クロリン、バクテリオクロロフィル(bacteriochorophyll)、コルフィン(corphin)、クロロフィリン、バクテリオクロリン、または鉄イオンと錯化されたイソバクテリオクロリン部分である、[20]~[69]のいずれか一項に記載の方法。
[71]
前記ヘム部分が、ヘム含有タンパク質である、[70]に記載の方法。
[72]
前記ヘム含有タンパク質が、非共生ヘモグロビン、ヘルズゲートグロビンI、フラボヘムタンパク質、レグヘモグロビン、ヘム依存性ペルオキシダーゼ、チトクロムcペルオキシダーゼ、または哺乳動物のミオグロビンである、[71]に記載の方法。
[73]
前記ヘム含有タンパク質が、レグヘモグロビンである、[71]に記載の方法。
[74]
前記レグヘモグロビンが、ダイズ、エンドウマメ、またはササゲ由来である、[73]に記載の方法。
[75]
食肉の風味を増すまたは食品中の植物材料からの異臭をマスキングする方法であって、前記食品の10
-3
から10
-11
までの濃度で、前記食品に1種または複数のラクトンを加えるステップであり、前記ラクトンが、テトラヒドロ-6-メチル-2H-ピラン-2-オン、δ-オクタラクトン、5-エチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、ブチロラクトン、ジヒドロ-5-ペンチル-2(3H)-フラノン、ジヒドロ-3-メチレン-2,5-フランジオン、l-ペントイルラクトン、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、6-ヘプチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、γ-オクタラクトン、5-ヒドロキシメチルジヒドロフラン-2-オン、5-エチル-2(5H)-フラノン、5-アセチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、trans-3-メチル-4-オクタノリド2(5H)-フラノン、3-(1,1-ジメチルエチル)-2,5-ウランジオン、3,4-ジヒドロキシ-5-メチル-ジヒドロフラン-2-オン、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、δ-テトラデカラクトン、およびジヒドロ-4-ヒドロキシ-2(3H)-フラノンからなる群から選択される、ステップを含む方法。
[76]
前記ラクトンが、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、ブチロラクトン、γ-オクタラクトン、およびδ-テトラデカラクトンである、[75]に記載の方法。
[77]
食肉の風味を増すまたは食品中の植物材料からの異臭をマスキングする方法であって、前記食品の0.00001%から0.1%の間の濃度で、前記食品に1種または複数のカロテノイドを加えるステップであり、前記カロテノイドが、β-カロテン、ゼアキサンチン、ルテイン、trans-β-アポ-8’-カロテナル、リコペン、カンタキサンチン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ステップを含む方法。
[78]
前記食品が、食肉レプリカである、[75]~[77]のいずれか一項に記載の方法。
[79]
前記食肉レプリカが、動物性生成物を含まない、[78]に記載の方法。
[80]
食肉レプリカの食肉の風味を増す方法であって、前記食肉レプリカに、野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物を、前記食肉レプリカの0.0001%から10%までの濃度で前記食肉レプリカに加えるステップを含む方法。
[81]
前記野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物が、ウリ属(Cucumis)液汁、ピューレ、または抽出物である、[80]に記載の方法。
[82]
前記ウリ属(Cucumis)液汁、ピューレ、または抽出物が、キュウリまたはメロン由来である、[81]に記載の方法。
[83]
前記野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、もしくは果実抽出物を調理し、または前記食肉レプリカに加える前に別の方法で処理して、タンパク質を変性させる、[80]~[82]のいずれか一項に記載の方法。
[84]
前記食肉レプリカが、動物性生成物を含まない、[80]~[83]のいずれか一項に記載の方法。
[85]
食品の10
-3
から10
-11
の濃度でヘム含有タンパク質および1種または複数のラクトンを含む食品または食品レプリカ生成物であって、前記1種または複数のラクトンが、テトラヒドロ-6-メチル-2H-ピラン-2-オン、δ-オクタラクトン、5-エチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、ブチロラクトン、ジヒドロ-5-ペンチル-2(3H)-フラノン、ジヒドロ-3-メチレン-2,5-フランジオン、l-ペントイルラクトン、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、6-ヘプチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、γ-オクタラクトン、5-ヒドロキシメチルジヒドロフラン-2-オン、5-エチル-2(5H)-フラノン、5-アセチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、trans-3-メチル-4-オクタノリド2(5H)-フラノン、3-(1,1-ジメチルエチル)-2,5-ウランジオン、3,4-ジヒドロキシ-5-メチル-ジヒドロフラン-2-オン、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、δ-テトラデカラクトン、およびジヒドロ-4-ヒドロキシ-2(3H)-フラノンからなる群から選択される、食品または食品レプリカ生成物。
[86]
前記1種または複数のラクトンが、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、ブチロラクトン、γ-オクタラクトン、およびδ-テトラデカラクトンである、[85]に記載の食品または食品レプリカ生成物。
[87]
食品の0.00001%から0.1%の間の濃度でヘム含有タンパク質および1種または複数のカロテノイドを含む食品または食品レプリカ生成物であって、前記1種または複数のカロテノイドが、β-カロテン、ゼアキサンチン、ルテイン、trans-β-アポ-8’-カロテナル、リコペン、カンタキサンチン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、食品または食品レプリカ生成物。
[88]
前記食品レプリカ生成物が、食肉レプリカである、[85]~[87]のいずれか一項に記載の食品または食品レプリカ生成物。
[89]
前記食肉レプリカが、動物性生成物を含まない、[88]に記載の食品または食品レプリカ生成物。
[90]
食品の0.0001%から10%までの濃度で(a)ヘム含有タンパク質、および(b)野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物を含む、食品または食品レプリカ生成物。
[91]
前記野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物が、ウリ属(Cucumis)液汁、ピューレ、または抽出物である、[90]に記載の食品または食品レプリカ生成物。
[92]
前記ウリ属(Cucumis)液汁、ピューレ、または抽出物が、キュウリまたはメロン由来である、[91]に記載の食品または食品レプリカ生成物。
[93]
前記野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物を調理し、または前記食品レプリカ生成物に加える前に別の方法で処理してタンパク質を変性させる、[90]~[92]のいずれか一項に記載の食品または食品レプリカ生成物。
[94]
前記野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物を、前記食品レプリカ生成物に加える前に約60℃から約100℃の温度に加熱した、[93]に記載の食品または食品レプリカ生成物。
[95]
前記食品が、動物性生成物を含まない、[90]から[94]のいずれか一項に記載の食品または食品レプリカ生成物。
[96]
肉の生地、炭水化物系ゲル、非動物脂肪、および結合剤のうちの1種または複数をさらに含む、[85]から[95]のいずれか一項に記載の食品または食品レプリカ生成物。
[97]
食品の10
-3
から10
-11
の濃度で1種または複数のラクトンを含む食品レプリカ生成物であって、前記1種または複数のラクトンが、テトラヒドロ-6-メチル-2H-ピラン-2-オン、δ-オクタラクトン、5-エチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、ブチロラクトン、ジヒドロ-5-ペンチル-2(3H)-フラノン、ジヒドロ-3-メチレン-2,5-フランジオン、l-ペントイルラクトン、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、6-ヘプチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、γ-オクタラクトン、5-ヒドロキシメチルジヒドロフラン-2-オン、5-エチル-2(5H)-フラノン、5-アセチルジヒドロ-2(3H)-フラノン、trans-3-メチル-4-オクタノリド2(5H)-フラノン、3-(1,1-ジメチルエチル)-2,5-ウランジオン、3,4-ジヒドロキシ-5-メチル-ジヒドロフラン-2-オン、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、δ-テトラデカラクトン、およびジヒドロ-4-ヒドロキシ-2(3H)-フラノンからなる群から選択される、食品レプリカ生成物。
[98]
前記1種または複数のラクトンが、5-エチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-3(2H)-フラノン、ブチロラクトン、γ-オクタラクトン、およびδ-テトラデカラクトンである、[97]に記載の食品レプリカ生成物。
[99]
食品の0.00001%から0.1%の間の濃度で1種または複数のカロテノイドを含む食品レプリカ生成物であって、前記1種または複数のカロテノイドが、β-カロテン、ゼアキサンチン、ルテイン、trans-β-アポ-8’-カロテナル、リコペン、カンタキサンチン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、食品レプリカ生成物。
[100]
食品の0.0001%から10%までの濃度で野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物を含む、食品レプリカ生成物。
[101]
前記野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物が、ウリ属(Cucumis)液汁、ピューレ、または抽出物である、[100]に記載の食品レプリカ生成物。
[102]
前記ウリ属(Cucumis)液汁、ピューレ、または抽出物が、キュウリまたはメロン由来である、[101]に記載の食品レプリカ生成物。
[103]
前記野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物を調理し、または前記食品レプリカ生成物に加える前に別の方法で処理してタンパク質を変性させる、[100]から[102]のいずれか一項に記載の食品レプリカ生成物。
[104]
前記野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物を、前記食品レプリカ生成物に加える前に約60℃から約100℃の温度に加熱した、[103]に記載の食品レプリカ生成物。
[105]
前記食品が、動物性生成物を含まない、[97]から[104]のいずれか一項に記載の食品レプリカ生成物。
[106]
肉の生地、炭水化物系ゲル、非動物脂肪、および結合剤のうちの1種または複数をさらに含む、[97]から[105]のいずれか一項に記載の食品レプリカ生成物。
[107]
食肉レプリカである、[97]から[105]のいずれか一項に記載の食品レプリカ生成物。
[108]
チーズレプリカである、[97]から[105]のいずれか一項に記載の食品レプリカ生成物。
[109]
前記チーズレプリカが、ナッツミルク、架橋結合酵素、またはチーズ培養物を含む、[108]に記載の食品レプリカ生成物。
[110]
(a)単離された植物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、1種または複数の任意選択の矯味剤、および任意選択の非動物脂肪を含む生地;
(b)任意選択で矯味剤および/または単離された植物タンパク質を含有する非動物脂肪);ならびに
(c)炭水化物系ゲル、結合剤、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または鉄塩、任意選択の食用の繊維状構成成分、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤
を含む、ひき肉レプリカ。
[111]
前記結合剤が、単離された植物タンパク質である、[110]に記載のひき肉レプリカ。
[112]
前記単離された植物タンパク質が、RuBisCO、アルブミン、グルテン、コングリシニン、またはそれらの混合物である、[110]に記載のひき肉レプリカ。
[113]
前記結合剤の変性温度が、約40℃から約80℃の間である、[110]に記載のひき肉レプリカ。