(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】電極との生理食塩水接触の改善
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A61B18/14
(21)【出願番号】P 2020517842
(86)(22)【出願日】2018-09-25
(86)【国際出願番号】 IB2018057404
(87)【国際公開番号】W WO2019064174
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-24
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】デビソン・マーク・エイ
(72)【発明者】
【氏名】デイビス・クレイグ・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ブロック・ジェフリー・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】テーベ・マーク・イー
(72)【発明者】
【氏名】ワン・シャン
(72)【発明者】
【氏名】アルドリッジ・ジェフリー・エル
(72)【発明者】
【氏名】アッシャー・ライアン・エム
(72)【発明者】
【氏名】デンジンガー・クリステン・ジー
(72)【発明者】
【氏名】リヴァード・モニカ・エル
(72)【発明者】
【氏名】バッシュ・ケビン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ロバーソン・エリック・エム
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-526248(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0032785(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0197506(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0276757(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0045250(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科用装置のエンドエフェクタであって、
第1の流体経路と流体連通する遠位流体放出ポートと、
第2の流体経路と流体連通する遠位流体吸引ポートと、
第1の電極及び第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配設された分流装置と、を備え、前記分流装置は、マトリックス及び内部に配設された複数の空隙を有する多孔質材料を含み、
前記複数の空隙は、前記遠位流体放出ポートに流体連結されている、エンドエフェクタ。
【請求項2】
前記複数の空隙が、前記遠位流体放出ポートから前記分流装置の表面に流体を方向付けるように構成されている、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項3】
前記分流装置の前記表面が、前記分流装置の上面を含む、請求項2に記載のエンドエフェクタ。
【請求項4】
前記分流装置の前記表面が、前記分流装置の1つ以上の側面を含む、請求項2に記載のエンドエフェクタ。
【請求項5】
前記複数の空隙が、少なくとも1つのチャネルを含む、請求項2に記載のエンドエフェクタ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのチャネルが、前記遠位流体放出ポートに物理的に連結されているチャネルを含む、請求項5に記載のエンドエフェクタ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのチャネルは、前記流体の少なくとも一部を前記分流装置の第1の側面に方向付けるように構成されている第1のチャネルと、前記流体の少なくとも一部を前記分流装置の第2の側面に方向付けるように構成されている第2のチャネルと、を含む、請求項5に記載のエンドエフェクタ。
【請求項8】
前記マトリックスが、セラミックマトリックスを含む、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項9】
前記分流装置が、解放可能な分流装置アセンブリを含む、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項10】
前記遠位流体吸引ポートが、前記分流装置に近接する領域から物質を除去するように構成されている、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項11】
電気外科用装置のための解放可能な分流装置アセンブリであって、
前記電気外科用装置の第1の電極を受容するように構成されている第1のレセプタクルと、前記電気外科用装置の第2の電極を受容するように構成されている第2のレセプタクルと、を含む、アセンブリ本体と、
前記アセンブリ本体上に、かつ前記第1のレセプタクルに近接して取り付けられた第1の電極接点と、
前記アセンブリ本体上に、かつ前記第2のレセプタクルに近接して取り付けられた第2の電極接点と、
前記電気外科用装置の流体源ポートから流体を受容するように構成されている導管と、
前記第1の電極接点と前記第2の電極接点との間に配設された分流装置と、を備え、
前記分流装置は、マトリックスと、内部に配設された複数の空隙とを有する多孔質材料を含み、
前記複数の空隙は、前記導管に流体連結されている、解放可能な分流装置アセンブリ。
【請求項12】
前記複数の空隙が、前記導管から前記分流装置の表面に前記流体を方向付けるように構成されている、請求項11に記載の解放可能な分流装置アセンブリ。
【請求項13】
前記分流装置の前記表面が、前記分流装置の上面を含む、請求項12に記載の解放可能な分流装置アセンブリ。
【請求項14】
請求項1~10の何れか1つに記載のエンドエフェクタ、及び、シャフトアセンブリを備えた電気外科用装置
であって、
前記シャフトアセンブリは、前記第1の電極、前記第2の電極、前記第1の流体
経路、及び前記第2の流体
経路を包囲するように構成されているシャフト
を備える、
電気外科用装置。
【請求項15】
前記シャフトアセンブリは、前記シャフトの遠位端において前記シャフトの内部に配設され、かつ、前記第1の電極の遠位部分、前記第1の流体
経路の遠位部分、前記第2の電極の遠位部分、及び前記第2の流体
経路の遠位部分を受容するように構成されている遠位アイソレーションリングを更に備える、請求項14に記載の
電気外科用装置。
【請求項16】
請求項1~10の何れか1つに記載のエンドエフェクタを備えた電気外科用装置
であって、
前記遠位流体放出ポート
は、遠位オリフィスを含
み、
前記分流装置は、前記第1の電極及び前記第2の電極と機械的に
連通し、
前記分流装置が、前記遠位流体放出ポートの長手方向軸に平行な平面を含む第1面を有し、
前記分流装置の近位縁が前記遠位オリフィスに隣接し、前記分流装置が、前記第1面上で、前記遠位流体放出ポートによって放出された流体の少なくとも一部を受容し、前記第1の電極の表面及び前記第2の電極の表面と前記第1面上の前記流体の接触を維持するように構成されている、
電気外科用装置。
【請求項17】
前記分流装置が第2面を有し、前記第2面が、前記分流装置の前記第2面上の前記流体の流れを前記第1の電極又は前記第2の電極に向けて方向付けるように構成されている第2の複数の特徴部を含む、請求項
16に記載の
電気外科用装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多くの体内外科手術は、外科的処置の一部として組織の除去を必要とする。このような組織の除去は常に、複数の血管を切断して局部的失血をもたらす。大量の失血は、潜在的に血液量減少性ショックを導くことにより患者の健康に影響が及ぶ場合がある。微量の血液損失であっても、手術部位に血液が溜まって、外科医及び外科アシスタントから組織を見えにくくすることで手術を困難にする。手術部位への失血の問題は、手術中に複数の血管を切断することがある肝臓切除などの広域手術において特に重大になり得る。
【0002】
典型的には、電気外科用焼灼装置を使用して血管を封止することで、血液の損失を防止する。このような電気外科用焼灼装置は、組織及び血管を加熱し焼灼するために、RF(高周波)エネルギーから給電される一対の電極を組み込む双極装置を含んでもよい。組織への電極の直接適用は、局部的な組織の炭化や、付着する炭化組織成分による電極の汚れなどの不必要な影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
炭化及び付着汚れを低減する方法は、手術部位に食塩水を導入して部位を洗浄することを含むことができる。あるいは、食塩水を電極によって加熱して、組織を焼灼する蒸気を形成してもよい。このように、組織は電極と直接接触しないため、電極の付着汚れが防止される。食塩水を使用してもよいが、任意の導電性流体(例えば、イオン性塩を含有する水性混合物)を使用して、蒸気ベースの焼灼を促進することができる。熱を伝達することによって組織を蒸気焼灼した後、蒸気は水に凝縮し得る。得られた水を使用して、焼灼組織の残遺物などの不必要な成分を手術部位から取り除くことができる。吸引装置を使用して、水と遺残組織の混合物を除去してもよい。特に別個の装置が必要とされる場合、外科医が組織を焼灼し吸引することが困難かつ非効率的になる場合がある。したがって、焼灼及び吸引機能を組み込んだ装置が望ましい。
【0004】
食塩水源及び吸引用の瀉出源の両方を双極電気外科用焼灼器具に組み込むことは、問題となり得る。吸引装置が連続的に動作する場合、食塩水は、加熱されて蒸気を形成するのに十分な時間、電極と接触しない場合がある。食塩水源が連続的に動作する場合、過剰な食塩水が手術部位に供給され、外科医から手術部位を見えにくくすることがある。外科医が、複数のアクチュエータを備えた装置を使用して、電極によって気化される流体を選択的に放出し、手術部位を瀉出することもできる。しかしながら、このような複数のアクチュエータは扱いにくく、長時間の外科的処置中、手及び指の疲労をもたらす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、外科医が、外科用装置を過剰に操作する必要なく、手術部位に対し蒸気焼灼及び組織混合物の吸引を効果的かつ効率的に行うことができる装置を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、電気外科用装置のエンドエフェクタは、第1の流体経路と流体連通する遠位流体放出ポートと、第2の流体経路と流体連通する遠位流体吸引ポートと、第1の電極及び第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に配設された分流装置とを含んでもよく、分流装置は、マトリックスと、内部に配設された複数の空隙とを有する多孔質材料を含み、複数の空隙は、遠位流体放出ポートに流体連結される。
【0007】
エンドエフェクタの一態様では、複数の空隙は、流体を遠位流体放出ポートから分流装置の表面に方向付けるように構成されている。
【0008】
エンドエフェクタの一態様では、分流装置の表面は、分流装置の上面である。
【0009】
エンドエフェクタの一態様では、分流装置の表面は、分流装置の1つ以上の側面を含む。
【0010】
エンドエフェクタの一態様では、複数の空隙は、少なくとも1つのチャネルを含む。
【0011】
エンドエフェクタの一態様では、少なくとも1つのチャネルは、遠位流体放出ポートに物理的に連結されたチャネルを含む。
【0012】
エンドエフェクタの一態様では、少なくとも1つのチャネルは、流体の少なくとも一部を分流装置の第1の側面に方向付けるように構成された第1のチャネルと、流体の少なくとも一部を分流装置の第2の側面に方向付けるように構成された第2のチャネルと、を含む。
【0013】
エンドエフェクタの一態様では、マトリックスはセラミックマトリックスである。
【0014】
エンドエフェクタの一態様では、分流装置は、解放可能な分流装置アセンブリから構成される。
【0015】
エンドエフェクタの一態様では、遠位流体吸引ポートは、分流装置に近接した領域から物質を除去するように構成されている。
【0016】
一態様では、電気外科用装置のための解放可能な分流装置アセンブリは、第1のレセプタクル及び第2のレセプタクルを備えるアセンブリ本体を含んでもよい。第1のレセプタクルは、電気外科用装置の第1の電極を受容するように構成され得、第2のレセプタクルは、電気外科用装置の第2の電極を受容するように構成されてもよい。解放可能な分流装置アセンブリはまた、アセンブリ本体上に、かつ第1のレセプタクルに近接して取り付けられた第1の電極接点と、アセンブリ本体上に、かつ第2のレセプタクルに近接して取り付けられた第2の電極接点と、電気外科用装置の流体源ポートから流体を受容するように構成された導管と、第1の電極接点と第2の電極接点との間に配設された分流装置と、を含んでもよい。解放可能な分流装置アセンブリの態様では、分流装置は、マトリックス及び内部に配設された複数の空隙を有する多孔質材料から構成されてもよく、複数の空隙は導管に流体連結されてもよい。
【0017】
解放可能な分流装置アセンブリの一態様では、複数の空隙は、流体を導管から分流装置の表面に方向付けるように構成されている。
【0018】
解放可能な分流装置アセンブリの一態様では、分流装置の表面は、分流装置の上面を含む。
【0019】
一態様では、電気外科用装置のシャフトアセンブリは、第1の電極及び第2の電極と、第1の遠位側流体源ポートを有し、かつ第1の電極の外側表面に近接して配設された第1の流体カニューレと、第2の遠位流体源ポートを有し、かつ第2の電極の外側表面に近接して配設された第2の流体カニューレと、第1の電極と第2の電極との間に少なくとも部分的に配設された遠位流体瀉出ポートと、第1の電極、第2の電極、第1の流体カニューレ、及び第2の流体カニューレを包囲するように構成されたシャフトと、を含み得る。
【0020】
シャフトアセンブリの一態様では、第1の電極は第1の外側表面溝を有し、第2の電極は第2の外側表面溝を有し、第1の流体カニューレは、第1の外側表面溝内に配設され、第2の流体カニューレは、第2の外側表面溝内に配設される。
【0021】
シャフトアセンブリの一態様は、第1の電極及び第1の流体カニューレの周囲に配設された第1の絶縁カバーと、第2の電極及び第2の流体カニューレの周囲に配設された第2の絶縁カバーと、を更に含んでもよい。
【0022】
シャフトアセンブリの一態様は、シャフトの近位端の周りに配設された近位流体抽出アセンブリを更に含んでもよい。
【0023】
シャフトアセンブリの一態様では、近位流体抽出アセンブリは、遠位流体瀉出ポートに流体連結された近位流体抽出ポートと、第1の電極の近位部分、第1の流体カニューレの近位部分、第2の電極の近位部分、及び第2の流体カニューレの近位部分を受容するように構成された近位電極キャップと、を含み得る。
【0024】
シャフトアセンブリの一態様は、シャフトの遠位端においてシャフトの内部に配設され、第1の電極の遠位部分、第1の流体カニューレの遠位部分、第2の電極の遠位部分、及び第2の流体カニューレの遠位部分を受容するように構成された遠位アイソレーションリングを更に含んでもよい。
【0025】
シャフトアセンブリの一態様では、遠位流体瀉出ポートは、遠位アイソレーションリングの表面の少なくとも一部分を含み得る。
【0026】
電気外科用装置のエンドエフェクタの一態様は、遠位オリフィスを有する遠位流体放出ポートであって、遠位流体放出ポートはまた、第1の流体経路と流体連通している遠位流体放出ポートと、第2の流体経路と流体連通している遠位流体吸引ポートと、第1の電極及び第2の電極と、第1の電極及び第2の電極と機械的に連通し、それらの間に配設された分流装置と、を含んでもよい。更に、分流装置は、遠位流体放出ポートの長手方向軸に平行な平面を形成する第1面と、遠位オリフィスに隣接して配設された近位縁とを有し得る。加えて、分流装置は、第1面上に、遠位流体放出ポートによって放出された流体の少なくとも一部分を受容し、第1の電極の表面及び第2の電極の表面と第1面上の流体の接触を維持するように構成されてもよい。
【0027】
エンドエフェクタの一態様では、分流装置は、第1面上に複数の特徴部を備えてもよい。
【0028】
エンドエフェクタの一態様では、複数の特徴部は、分流装置の第1面上の流体の流れを、第1の電極又は第2の電極に向けて方向付けるように構成されている。
【0029】
エンドエフェクタの一態様では、複数の特徴部は、複数の凸部を含んでもよい。
【0030】
エンドエフェクタの一態様では、複数の特徴部は、複数の凹部を含んでもよい。
【0031】
エンドエフェクタの一態様では、分流装置の近位縁は、遠位オリフィスにまたがって中間に配設される。
【0032】
エンドエフェクタの一態様では、遠位オリフィスは楕円形の円周を有する。
【0033】
エンドエフェクタの一態様では、遠位オリフィスは円形の円周を有する。
【0034】
エンドエフェクタの一態様では、分流装置は第2面を有し、第2面は、分流装置の第2面上の流体の流れを、第1の電極又は第2の電極に向けて方向付けるように構成された第2の複数の特徴部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
様々な態様の特徴が、添付の特許請求の範囲で詳細に記載されている。しかしながら、それらの様々な態様は、その機構と動作方法のいずれに関しても、それらの利点と共に、以下の説明文を添付図面と併せて参照することで最良に理解され得る。
【
図2】
図1に示す電気外科用装置のエンドエフェクタの一態様の拡大図である。
【
図3】
図1に示す電気外科用装置の一態様の側斜視図である。
【
図4】それぞれ、
図1に示す電気外科用装置の一態様の底部、側部、及び上部の平面図である。
【
図5】それぞれ、
図1に示す電気外科用装置の一態様の底部、側部、及び上部の平面図である。
【
図6】それぞれ、
図1に示す電気外科用装置の一態様の底部、側部、及び上部の平面図である。
【
図7】
図1に示す電気外科用装置の一態様の前側(遠位)平面図である。
【
図8】
図1に示す電気外科用装置の一態様の後側(近位)平面図である。
【
図9】
図1に示す電気外科用装置の一態様の部分断面斜視図である。
【
図10】
図1に示す電気外科用装置の一態様の部分断面前側(遠位)平面図である。
【
図11】
図1に示す電気外科用装置のエンドエフェクタの一態様の斜視図である。
【
図12】
図1に示す電気外科用装置のエンドエフェクタの一態様のモデルの斜視図である。
【
図13】
図1に示す電気外科用装置のエンドエフェクタの一対の電極及び分流装置の第1の態様の斜視図である。
【
図14】
図13に示す一対の電極及び分流装置の第1の態様の上部平面図である。
【
図15】
図1に示す電気外科用装置のエンドエフェクタの一対の電極及び分流装置の第2の態様の斜視図である。
【
図16】
図15に示す一対の電極及び分流装置の第2の態様の上部平面図である。
【
図17】
図1に示す電気外科用装置のエンドエフェクタの一対の電極及び分流装置の第3の態様の斜視図である。
【
図18】
図17に示す一対の電極及び分流装置の第3の態様の上部平面図である。
【
図19】
図13に示す電気外科用装置のエンドエフェクタの別の態様の斜視図である。
【
図20】
図19に示す電気外科用装置のエンドエフェクタの別の態様の上部平面図である。
【
図21A】電気外科用装置のエンドエフェクタの一態様の前側(遠位)平面図である。
【
図21B】電気外科用装置のエンドエフェクタの第2の態様の前側(遠位)平面図である。
【
図21C】電気外科用装置のエンドエフェクタの一態様の側断面図である。
【
図21D】電気外科用装置のエンドエフェクタの一態様の上面断面図である。
【
図22A】解放可能な分流装置アセンブリの態様と共に、電気外科用装置のエンドエフェクタの一態様の斜視図を示す。
【
図22B】
図22Aに示されるような解放可能な分流装置アセンブリの態様に連結された電気外科用装置のエンドエフェクタの態様の斜視図を示す。
【
図22C】解放可能な分流装置アセンブリの複数の態様の上部平面図を示す。
【
図23A】電気外科用装置のエンドエフェクタの一態様の部分組立図を示す。
【
図24】電気外科用装置のエンドエフェクタの別の態様の斜視図を示す。
【
図25A】
図24に示すエンドエフェクタのいくつかの代替的態様の上面断面図を示す。
【
図25B】
図24に示すエンドエフェクタのいくつかの代替的態様の上面断面図を示す。
【
図29】電気外科用装置のエンドエフェクタの別の態様の斜視図を示す。
【
図31】電気外科用装置と共に使用するためのシャフトアセンブリの一態様の斜視図を示す。
【
図32】
図31に示すシャフトアセンブリの態様の透視斜視図である。
【
図33A】
図31に示すシャフトアセンブリのエンドエフェクタの一態様の斜視図である。
【
図34A】
図31に示されるシャフトアセンブリの近位流体抽出アセンブリ構成要素の一態様の透視斜視図である。
【
図34B】
図34Aに示される近位流体抽出アセンブリの態様の斜視側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本出願の出願人は、本出願と同時に出願された以下の特許出願を所有しており、これらの各々は、参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。
代理人整理番号END8256USNP/170167、本出願と同日付に出願の、発明者David A.Wittらによる、表題「BIPOLAR ELECTRODE SALINE LINKED CLOSED LOOP MODULATED VACUUM SYSTEM」。
【0037】
代理人整理番号END8258USNP/170169、本出願と同日付に出願の、発明者David A.Wittらによる、表題「SYSTEMS AND METHODS FOR MANAGING FLUID AND SUCTION IN ELECTROSURGICAL SYSTEMS」。
【0038】
代理人整理番号END8259USNP/170170、本出願と同日付に出願の、発明者David A.Wittらによる、表題「FLEXIBLE ELECTROSURGICAL INSTRUMENT」。
【0039】
上記に開示したように、電気外科用装置は、広い領域の外科的処置中に組織を焼灼及び吸引する機能を組み込んでもよい。いくつかの電気外科用装置では、通電された電極を使用して焼灼処置を行ってもよい。しかしながら、上記に開示したように、このような装置の電極は、焼灼中に電極と接触した組織によって付着汚れに遭いやすい場合がある。組織の焼灼は、組織を電極以外の加熱材料に曝露することによって達成できることが理解され得る。また、上記に開示したように、1つの非限定的な例では、食塩水などの流体は、電極によって加熱されてもよく、加熱された流体又は蒸気を使用して組織を焼灼することができる。食塩水又は他の導電性流体は、電極間を流れる電流によって加熱されてもよい。このようにして組織の焼灼のために使用される温度は、蒸気の温度(例えば、約100℃)によって限定されて組織炭化の可能性を低減することができる。更に、周囲組織を蒸気によって湿らせることで、加熱された装置に近接することによる乾燥を防止することができる。加えて、水蒸気は、組織との接触によって熱を失うと、水に凝結し、次いで、その水を使用して手術部位を灌注することができる。このように、食塩水を焼灼及び灌注の二重の目的で使用することにより、焼灼処置の効率を高めることができる。
【0040】
図1~
図8は、このような電気外科用装置100の一例を示す。
図1~
図8において共通する参照符号は、図面内の共通の構成要素を指す。
【0041】
電気外科用装置100は、ハウジング105を含み、シャフト135がハウジング105から遠位に延在してもよい。ハウジング105は、近位端に、近位流体源ポート115及び近位流体瀉出ポート110を含んでもよい。いくつかの電気外科用装置システムでは、近位流体源ポート115は、流体、例えば食塩水、緩衝食塩水、リンガー溶液、又はイオン性塩を含有する水性流体などの他の導電性流体の源と流体連通するように配設されてもよい。流体源は、重力供給源として動作してもよく、又は流体を近位流体源ポート115内に能動的に圧送する構成要素を含んでもよい。能動的に圧送する流体源としては、流体を能動的に圧送するポンピング動作をユーザが能動的に制御できる電源、ポンプ、流体源、及び制御電子機器が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの電気外科用装置システムでは、流体瀉出ポート110は、真空源と流体連通して配設されてもよい。真空源は、電源、ポンプ、真空源によって除去された材料を格納するための貯蔵構成要素、及び真空源のポンピング動作をユーザが能動的に制御できる制御電子機器を含んでもよい。
【0042】
加えて、ハウジング105は、エネルギー源120のケーブル117を取り付けることができるコネクタ116を含んでもよい。エネルギー源120は、電極145a、bにエネルギー(例えば、RF又は高周波エネルギー)を供給するように構成されてもよい。エネルギー源120は、ケーブル117などの外部手段を介して電気外科用装置100に電力を供給するように構成された発電機を含んでもよい。特定の例では、エネルギー源120は、外部の有線発電機に連結されたマイクロコントローラを含んでもよい。外部発電機は、AC電源によって給電されてもよい。エネルギー源120と関連付けられている電気回路要素及び電子回路要素は、例えば、制御回路基板アセンブリによって支持されてもよい。マイクロコントローラは一般に、メモリと、メモリに動作可能に連結されたマイクロプロセッサ(「プロセッサ」)とを含んでもよい。エネルギー源120の電子部分は、電気外科用装置100のエンドエフェクタ140における電極145a、bへのエネルギー伝送を制御するように構成されてもよい。プロセッサという用語は、本明細書で使用されるとき、任意の好適なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路に組み込んだ、他の基本コンピューティング装置を含むと理解されるべきである。プロセッサは、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的プログラマブル装置であってもよい。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。プロセッサは、二進数法で表される数字及び記号で動作する。エネルギー源120は、ユーザがエネルギー源120の動作をプログラムすることができる入力装置を更に含んでもよい。
【0043】
ハウジング105はまた、ユーザが電気外科用装置100の機能を制御することができるようにする1つ以上の起動装置を含んでもよい。いくつかの非限定的な例では、電気外科用装置100は、ユーザによって起動され得る絞り弁125を含み、電気外科用装置を通って流れる流体の量を制御し、遠位端において、エンドエフェクタ140への流体の量を提供することができる。いくつかの非限定的な例ではまた、絞り弁125によって、ユーザは、エネルギー源120によりエンドエフェクタ140の電極145a、bに供給されるエネルギーの量を制御することもできる。一例として、絞り弁125は、電気外科用装置100を通って流れる流体の流れを調節するためのねじ起動ピンチ弁を備えてもよい。加えて、絞り弁125は、ユーザが押しボタンを押すと、電流がエネルギー源120から電極145a、bへ流れるプッシュボタン起動機能を有してもよい。いくつかの非限定的な例では、ハウジング105は、電気外科用装置100を通る流体流の調節を可能にする絞り弁125と、電極145a、bに供給される電流量を制御する別個のエネルギー制御装置とを含んでもよいと認識され得る。
【0044】
ハウジング105はまた、ハウジング105の遠位端でシャフト135に取り付けられてもよい。エンドエフェクタ140は、シャフト135の遠位端に関連付けることもできる。エンドエフェクタ140は、エネルギー源120と電気的に接続され、そこから電力を受け取ることができる電極145a、bを含んでもよい。いくつかの非限定的な実施例では、第1の電極145aは、エネルギー供給部120から第1極性(正極など)の電気エネルギーを受け取り、第2の電極145bは、エネルギー供給部120から第2極性及び反対極性(負極など)の電気エネルギーを受け取ることができる。あるいは、第1の電極145aは、エネルギー供給部120の接地端子に接続され、第2の電極145bは、エネルギー供給部120の変動するAC電圧端子に接続されてもよい。電極145a、bは、シャフト135の遠位端を越えて延在してもよい。電極145a、bの延長端部は、分流装置155によって分離される。分流装置155は、分流装置155の第1縁で第1の電極145aに接触し、分流装置155は、分流装置155の第2縁で第2の電極145bに接触してもよい。分流装置155は、電気絶縁材料及び/又は耐熱材料を含んでもよく、このような材料としては、ポリカーボネート又はセラミックなどのプラスチックが挙げられるが、これらに限定されない。分流装置155は、変形可能であっても、変形不能であってもよい。いくつかの非限定的な例では、ハウジング105は、変形可能な分流装置155の形状を制御する機構を含んでもよい。
【0045】
エンドエフェクタ140は、第1の流体経路を介して流体源ポート115と流体連通し得る流体放出ポート150を更に含んでもよい。源流体経路(
図11の315を参照)などの第1の流体経路により、流体は流体源ポート115から流体放出ポート150へと流れることができる。いくつかの非限定的な例では、流体放出ポート150は分流装置155の上方に配設されて、流体放出ポート150によって放出された流体を分流装置155の上面で回収することができる。エンドエフェクタは、第2の流体経路を通じて流体瀉出ポート110と流体連通し得る流体吸引ポート165を更に含んでもよい。吸引流体経路(
図9の210を参照)などの第2の流体経路により、手術部位で生成された液体混合物を流体吸引ポート165から流体瀉出ポート110に流すことができる。その後、液体混合物は、真空源によって電気外科用装置100から除去され、その後の除去に備えて格納構成要素内に保管されてもよい。
【0046】
いくつかの非限定的な例では、流体吸引ポート165は、吸引管160の遠位端に形成されてもよい。吸引管160はまた、吸引流体経路210の一部を形成してもよい。吸引管160は、シャフト135内に位置してもよく、又はシャフト135の外側及び下方に位置してもよい。シャフト135の外側に位置する吸引管160は、シャフト135の外面と物理的に連結していてもよい。いくつかの例では、吸引管160は、シャフト135に対して固定位置を有してもよい。いくつかの代替例では、吸引管160は、シャフト135に対して遠位方向に拡張可能であってもよい。拡張可能吸引管160の拡張は、吸引管制御装置によって制御することができる。1つの非限定的な例として、吸引管制御装置はスライドスイッチ130を備えてもよい。スライドスイッチ130が第1の位置(例えば、近位位置)にあると、吸引管160は第1の位置又は後退位置に留まり、吸引ポート165は流体放出ポート150の略下方に位置することができる。しかしながら、スライドスイッチ130が第2の位置(例えば遠位位置)にあると、吸引管160は完全拡張位置まで遠位方向に延在して、吸引ポート165は流体放出ポート150に対して遠位かつ下方に位置することができる。一例では、スライドスイッチ130は、後退位置及び完全拡張位置などの2つの位置のうちの一方に吸引管160を優先的に位置付けることができる。しかしながら、スライドスイッチ130により、吸引管160は、後退位置と完全拡張位置との間の任意の位置を取ることもできると認識され得る。上記に開示したような吸引管160の位置にかかわらず、吸引ポート165は、分流装置155の上面によって画定される平面の下方の位置に維持されてもよい。このようにして、分流装置155は、流体放出ポート150によって放出された流体が吸引ポート165で直接除去されることを防止するように構成される。
【0047】
図9及び
図10は、電気外科用装置200の部分内面図である。
図1~
図8を参照して上記に開示した構成要素に加えて、電気外科用装置200は、近位流体瀉出ポート110と遠位流体吸引ポート165との間の流体連通を形成する吸引流体経路210を含む。絞り弁125の弁構成要素225、及び例えばスライドスイッチ130などの吸引管の制御構成要素230も図示されている。流体放出ポート150、電極145a、b、流体吸引ポート165、及びハウジング105の一部も、
図9及び
図10に示されている。
【0048】
図11は、エンドエフェクタ600の一般的な例を示す斜視図である。上記に開示したように、エンドエフェクタは、シャフト135から延在する一対の電極145a、b、遠位流体放出ポート150、分流装置155、及び吸引管160の一部であり得る吸引ポート165から構成されてもよい。分流装置155は、分流装置155の第1縁と一方の電極145aの面との接触、及び分流装置155の第2縁と第2の電極145b上の面との接触を形成するように、一対の電極145a、bの間に配設されてもよい。いくつかの例では、分流装置155の近位縁は、シャフト135の端面との機械的な連絡を形成し得る。このようにして、遠位流体放出ポート150によって放出される流体は、分流装置155の第1面上又は上面上に保持することができる。分流装置155の上面上の流体は、流体と両方の電極145a、bの面との接触を保つのに十分な時間、上面上に保持されてもよい。流体がイオン性流体である場合、電極145aと145bとの間の流体を通過する電流は、流体を十分に加熱して、組織を焼灼できる蒸気を形成してもよい。
【0049】
図12は、
図11のエンドエフェクタ600の製造モデルの斜視図である。
【0050】
図13~
図20は、
図11に示されるエンドエフェクタ600として一般的に開示されるエンドエフェクタの様々な例を示す図である。
【0051】
図13及び
図14はそれぞれ、エンドエフェクタ700の一例の斜視図及び上部平面図である。エンドエフェクタ700は、
図11のエンドエフェクタ600に関して上記に開示した多くの構成要素を示す。これらの構成要素は、シャフト135、流体放出ポート150、吸引ポート165、電極145a、b、及び吸引管160を含む。吸引ポート165に加えて、吸引管160は、吸引管160の長さに沿って追加ポートを含んで、手術部位から物質を吸引することができる。エンドエフェクタ700の分流装置755は、流体放出ポート150によって放出された流体の流れを電極145a、bの面に方向付けるように構成された多数の特徴部757aを含む。特徴部757aは、分流装置755の上面から突出する湾曲ガイドウェイを含んでもよい。加えて、分流装置755の上面は、流体を電極145a、bに向かって更に案内するために、遠位端に追加の特徴部を含んでもよい。電極145a、bは、シャフト135の遠位端の近傍部分に、略円形又は楕円形断面745a、bを有してもよい。更に、電極145a、bを、遠位端747a、bで面取りして、楕円形又は卵形の遠位端747a、bにしてもよい。
図14の断面Fは、電極145a、bの楕円形遠位端747a、bが、分流装置755から離れてエンドエフェクタ700の外側部分に方向付けられた長軸をそれぞれ有することを示す。
【0052】
図15及び
図16はそれぞれ、エンドエフェクタ700の別の例の斜視図及び上部平面図である。
図15及び
図16では、電極145a、bは、遠位部分が円形又は楕円形の断面を有し、電極145a、bは、シャフト135に近い(近位)部分が豆形状又は腎臓形状の断面745c、d有してもよい。このような豆形状断面745c、dは、電極145a、bの内面間に分流装置755を固定するため、電気外科用装置の製造中、有用であり得る。
図16の断面Gは、分流装置755を豆形状断面745c、dの内面にどのように固定できるかを示す。また、
図15及び
図16に示すエンドエフェクタ700の例は、突出流体ガイドウェイを含む特徴部757bが、分流装置755の上面上の流体を電極145a、bに方向付けるための直線ガイドウェイを含むという点で、
図13及び
図14に示す例と区別される。加えて、電極145a、bを面取りして楕円形の遠位端747c、dとしてもよく、各自の長軸749a、bは、エンドエフェクタ700の内側部分に向けて方向付けられ、分流装置755を指す。この形状は、
図16の断面Hに示されている。
【0053】
図17及び
図18はそれぞれ、エンドエフェクタ700の更に別の例の斜視図及び上部平面図である。
図17及び
図18に示すエンドエフェクタ700には、
図13~
図16に示す例と共通する構成要素が見られる。したがって、電極145a、bは、
図13及び
図14に示すように、円形又は楕円形の断面745a、bを有するが、
図15及び
図16に示すように、電極145a、bの遠位端に楕円形断面747c、dを含む。
図17及び
図18に示す流体流特徴部757cは、分流装置756の面に凹部として作製される。このような凹部特徴部757cは、
図18に示す矢印で示唆されるように、分流装置756の上面上の流体の流れを案内するために使用され得る溝を形成してもよい。また、凹部757cは、
図18にも示すように、電極145a、bの内面に対する流体流を特に案内してもよい。特徴部757cは、流体放出ポート150によって放出された流体を分流装置756の表面内の溝に向けて方向付ける排出路を更に含んでもよく、それによって、流体が最初に流体放出ポート150を出るときに流体が凹部から流出するのを防止する。
【0054】
図19及び
図20はそれぞれ、エンドエフェクタ700の更に別の例の斜視図及び上部平面図である。電極145a、b、シャフト135、流体放出ポート150、吸引ポート165、及び吸引管160は全て、
図13に示す例と同様である。加えて、流体放出ポート150の近位の源流体経路315の一部は、源流体経路315の内面に螺旋溝750などの特徴部を含んでもよい。そのような螺旋溝750は、特に流体が圧力下で供給される場合、流体放出ポート150によって放出される流体に乱流を付与することができる。したがって、源流体経路315の遠位端に入る流体(
図44の右側の矢印)は流体放出ポート150で放出され、
図20の分流装置755の上面に重ねて描かれた矢印で示されるように乱流を含み、この乱流は、分流装置755の上面の特徴部757aによってより容易に配送することができる。その結果、分流装置755の上面上の流体は、電極145a、bに接触するように更に容易に流れることができる。
【0055】
上述のように、生理食塩水などの流体は、電気外科用装置の一対の電極によって加熱されてもよく、加熱された流体又は蒸気を使用して組織を焼灼することができる。電気外科用装置の態様は、例えば、一対の電極の間に配設され、流体放出ポートから電極に流体を送達するように構成された分流装置を含んでもよい(かかる構成の例示的な態様は、
図11~
図19及び上記の付随する開示に見られ得る)。流体放出ポートからの流体は、重力供給機構に基づいて分流装置の表面上に流れることができる。分流装置が重力場にほぼ垂直になるようにエンドエフェクタが配設されると、流体は分流装置の上面上に流れて、両方の電極に接触するように広がることができる。しかしながら、ユーザがエンドエフェクタを傾けることは、ある電極又は他の電極に向かって流体が溜まること(ロール回転)、又は更には両方の電極との接触を回避すること(ピッチ回転)につながり得ると理解され得る。したがって、エンドエフェクタの配向にかかわらず、電気外科用装置の両電極との流体接触を可能にする電気外科用装置の一態様を有することが望ましい場合がある。
【0056】
図21A及び
図21Bは、分流装置上の方向依存性流体の流れを克服し得る電気外科用装置のエンドエフェクタ800a、bの態様の遠位端図を示す。図
図13~
図20に示される分流装置は、電極145a、bの間に配設され、流体が流体放出ポート150から吸引ポート165に直接流れるのを防止する。したがって、
図13~
図20に示される分流装置は、流体放出ポート150の遠位オリフィスの下に配設される。
図21A及び
図21Bに示される分流器155は、遠位流体放出ポート150の長手方向軸に平行な平面によって画定された上面を有してもよく、各分流装置155の近位縁2155a、bが流体放出ポート150の遠位オリフィス2150a、bに隣接して配設されるように配設されてもよい。このようにして、遠位オリフィス2150a、bの円周の第1の部分は、分流装置155の上面の上方に延在してもよく、遠位オリフィス2150a、bの円周の第2の部分は、分流装置155の底面の下方に延在してもよい。吸引ポート2165a、bが分流装置155の底面の下方に配設されるように、エンドエフェクタが配向されると、流体放出ポート150からの流体の少なくとも一部が分流装置155の上面上に流れ、電極145a、bに向けられる。しかしながら、エンドエフェクタが反転されている(その結果吸引ポート2165a、bが分流装置155の上方にある)場合、流体放出ポート150からの流体の少なくとも一部は、分流装置155の底面上に流れ、電極145a、bに向けられる。
【0057】
図21A及び
図21Bに示される分流装置155はまた、
図13~
図20に関して上記に開示されたものなどの表面特徴部を組み込んでもよいことが、理解され得る。このような表面特徴部は、各電極145a、bの表面の少なくとも一部分に接触するように、分流装置155の上面を横切る流体の流れを方向付けるように動作してもよい。電気外科用装置は、吸引ポート2165a、bが分流装置155の上方にあるように配向され得ることが予想され得るため、分流装置155の底面はまた、同様の目的のために
図13~
図20に示されるような表面特徴を含んでもよい。
【0058】
いくつかの態様では、分流装置155は、近位縁2155aが遠位オリフィス2150aにまたがってほぼ中間に位置するように配設されてもよい。他の態様では、分流装置155は、近位縁2155bが遠位オリフィス2150bの正中線の上方又は下方のいずれかに位置するように配設されてもよい。いくつかの態様では、遠位オリフィス2150aは、円形の円周を有してもよい。他の態様では、遠位オリフィス2150bは、楕円形の円周を有してもよい。吸引ポート2165a、bの出力端を画定するオリフィスは、円形の円周を有することに限定されず、流体及び他の材料を手術部位から受容する目的に好適であり得るような任意の形状の円周を有してもよいことも理解され得る。
【0059】
図21C及び
図21Dは、
図21A及び
図21Bに示されるエンドエフェクタ800a、bのいずれかの態様の側断面図及び上面断面図をそれぞれ示す。流体放出ポート150は、源流体経路315(エンドエフェクタの遠位端に向かって左を指す矢印で示される)と流体連通していてもよいことが観察され得る。更に、吸引ポート2165a、bは、吸引流体経路210(エンドエフェクタの近位端に向かって右を指す矢印で示される)と流体連通していてもよい。
【0060】
図22A~
図22Cは、エンドエフェクタの配向にかかわらず、電極に流体を方向付けるように構成された電気外科用装置のエンドエフェクタの別の態様を示す。
図22Aに示すように、エンドエフェクタは、解放可能な分流装置アセンブリ2260と共に電気外科用装置の遠位部分2240を備えてもよい。
【0061】
遠位部分2240は、一対の電極145a、b、遠位流体放出ポート150、及び吸引ポート165を収容するシャフト135を含んでもよい。遠位流体放出ポート150は、源流体経路315と流体連通してもよく、吸引ポート165は、吸引流体経路210と流体連通していてもよい。電極145a、bは、それらに接触する組織を焼灼するためにRF電力を受けるように構成されてもよい。いくつかの態様では、
図22Aに示される遠位部分2240は、分流装置(例えば155)を欠く電気外科用装置のエンドエフェクタを表し得る。上記のように、電極(例えば145a、b)の間に好適に配設された分流装置は、電極に流体を方向付け、それによって組織に焼灼蒸気を提供するように機能し得る。加えて、このような分流装置はまた、遠位流体放出ポート150から流れる流体が吸引ポート165によって手術部位から直接除去されることを防止することができる。解放可能な分流装置アセンブリ2260は、分流装置を含むように遠位部分2240を有する電気外科用装置を適合させるために使用されてもよい。
【0062】
解放可能な分流装置アセンブリ2260の一態様は、
図22Aの遠位部分2240とは別個に描かれている。解放可能な分流装置アセンブリ2260は、アセンブリ本体2265を含んでもよい。一部の態様では、アセンブリ本体2265は、電気絶縁材料で作製されてもよい。アセンブリ本体2265は、2つのレセプタクル2245a、bを含んでもよく、第1のレセプタクル2245aは、第1の電極145aを受容するように構成されてもよく、第2のレセプタクル2245bは、第2の電極145bを受容するように構成されてもよい。アセンブリ本体2265はまた、分流装置2255を含み得る。分流装置2255は、第1の側面上の第1の電極接点2247aに物理的に連結され、第2の側面上の第2の電極接点2247bに物理的に連結されてもよい。解放可能な分流装置アセンブリ2260が遠位部分2240に解放可能に取り付けられるとき、第1の電極145aの表面は、第1の電極接点2247aに電気的に連結されてもよく、第2の電極145bの表面は、第2の電極接点2247bに電気的に連結されてもよい。一態様では、分流装置2255は、
図11~
図19に示され、上記に開示されている分流装置のうちの1つを含んでもよい。そのような態様では、解放可能な分流装置アセンブリ2260は、遠位流体放出ポート150から分流装置2255の上面に流体を導くように構成された導管2250を含んでもよい。
【0063】
代替的な態様では、分流装置2255は、多孔質材料から構成されてもよい。本開示の目的のために、多孔質材料は、内部に分散された複数の空隙を有する固体マトリックスからなる材料として定義されてもよい。マトリックスは、剛性材料又は可撓性材料であってもよい。一実施例では、マトリックスは耐熱セラミック材料から構成されてもよい。いくつかの実施例では、空隙は、マトリックス全体に分散され、材料の内部から材料の任意の外部に流体を導くように構成された複数の孔を含んでもよい。いくつかの代替的な実施例では、空隙は、マトリックスを通して1つ以上の特別に設計されたデスティネーションに流体を方向付けるように構成された1つ以上のチャネルを含んでもよく、これには、材料の上面、材料の1つ以上の側面、及び/又は材料の底面を制限なく含み得る。いくつかの追加の実施例では、空隙は、上記のような孔とチャネルとの混在を含んでもよい。そのような態様では、解放可能な分流装置アセンブリ2260は、遠位流体放出ポート150から分流装置2225の内部に流体を導くように構成された導管2250を含んでもよい。
【0064】
図22Bは、遠位部分2240と解放可能な分流装置アセンブリ2260との組み合わせからなるエンドエフェクタ2270の図を示す。一部の態様では、解放可能な分流装置アセンブリ2260は、遠位部分2240の電極145a、bと摺動可能に関連付けられてもよい。いくつかの例では、解放可能な分流装置アセンブリ2260は、レセプタクル2245a、bに対する電極145a、bの摩擦力によって、遠位部分2240に解放可能に取り付けられてもよい。他の例では、解放可能な分流装置アセンブリ2260は、遠位部分2240のシャフト135の遠位部分に形成された切り欠き2235と嵌合し得るタブ2236によって、遠位部分2240に解放可能に取り付けられてもよい。
【0065】
図22Bは、外科手術中のエンドエフェクタ2270の使用を更に示す。流体源からの流体は、流体放出ポート150への源流体経路を通って流れることができる。解放可能な分流装置アセンブリ2260のアセンブリ本体2265内に組み込まれた導管2250は、流体を分流装置2255の内部に方向付けることができる。一実施例では、分流装置2255内の複数の空洞は、流体が分流装置2255の表面上に多数の流体液滴2290として現れるように、流体を方向付けることができる。次いで、流体液滴2290は、分流装置2255の表面を覆い、電気外科用装置の電極145a、bに接触してもよい。
【0066】
図22A及び
図22Bに示される態様では、エンドエフェクタ2270の向きにかかわらず、流体が分流装置2255の表面を覆い、電極145a、bと接触し得ることが理解され得る。理論に束縛されるものではないが、分流装置2255内の空隙のネットワークを通る流体の毛管現象と併せて流体源における流体圧力の組み合わせによって、流体が、分流装置2255の向きにかかわらず、分流装置2255の表面上に現れることが認識され得る。結果として、分流装置2255の表面は、流体でコーティングされてもよく、これは次いで、電気外科用装置の両電極145a、bに接触してもよい。
【0067】
図22Cは、いくつかの個別の解放可能な分流装置アセンブリ2260を示す。それぞれの解放可能な分流装置アセンブリ2260は、アセンブリ本体2265と、一対の電極接点2247a、bと、導管2250と、分流装置2255と、を含んでもよい。いくつかの態様では、解放可能な分流装置アセンブリ2260の群は、分流装置長さ、分流装置厚さ、分流装置表面特徴部の数及び/又は種類、分流装置マトリックス材料の種類、並びにマトリックス内の空隙の種類及び/又は配置が挙げられるが、これらに限定されない、同じ分流装置特性を有し得る。代替的な態様では、解放可能な分流装置アセンブリ2260は、そのような特性のうちの任意の1つ以上において異なっていてもよい。
【0068】
図22Cに示されるような解放可能な分流装置アセンブリ2260と共に使用され得る電気外科用装置のユーザは、外科的必要性と一致する解放可能な分流装置アセンブリ2260を選択してもよい。したがって、いくつかの状況では、例えば、
図13~
図20に示されるように、表面上の凹部及び/又は凸部を制限なく含む、1つ以上の表面特徴部から構成される固体分流装置を有する解放可能な分流装置アセンブリを使用することが好ましい場合がある。いくつかの状況では、遠位流体放出ポートの長手方向軸に平行な平面によって画定される上面を有する固体分流装置を有する解放可能な分流装置アセンブリを使用することが好ましい場合があり、これは、
図21A、
図21Bに示されるように、分流装置の近位縁が流体放出ポートの遠位オリフィスに隣接して配設されるように配設されてもよい。いくつかの代替的な状況では、空隙が複数の孔から構成される多孔性分流装置から構成され得る解放可能な分流装置アセンブリを使用することが好ましい場合がある。いくつかの代替的な状況では、空隙が複数のチャネルから構成される多孔性分流装置から構成され得る解放可能な分流装置アセンブリを使用することが好ましい場合がある。
【0069】
解放可能な分流装置アセンブリは、アセンブリ本体の長さに基づいて選択されてもよい。例えば、アセンブリ本体の長さは、組織を電極のより長い又はより短い範囲に露出させることが可能になるように選択されてもよい。同様の効果は、アセンブリ本体上の切り欠きの位置に基づいて実現されてもよい。したがって、一部の切り欠きの位置の結果として、アセンブリ本体のより長い範囲が電気外科用装置の遠位部分に取り付けられ、それによって、電極のより長い範囲を露出させることができる。あるいは、一部の切り欠きの結果として、アセンブリ本体のより短い範囲が電気外科用装置の遠位部分に取り付けられ、それによって、電極のより短い範囲を露出させることができる。解放可能な分流装置アセンブリは、複数の切り欠きを含んでもよく、それにより、解放可能な分流装置アセンブリを、遠位部分に沿った任意の数の位置で電気外科用装置の遠位部分に固定することが可能となることが認識され得る。
【0070】
解放可能な分流装置アセンブリは、解放可能な分流装置アセンブリが手術部位に供給できる流体の量に基づいて選択されてもよい。解放可能な分流装置アセンブリが手術部位に供給できる流体の量は、導管のサイズ、解放可能な分流装置アセンブリ内の孔及び/又はチャネルの数、並びに解放可能な分流装置アセンブリ内の孔及び/又はチャネルのサイズのうちの1つ以上に、少なくとも部分的に、基づいてもよい。
【0071】
図23A及び
図23Bは、電気外科用装置と共に使用するための多孔性分流装置の別の態様を示す。
図23Aには、一対の電極2345a、b及び分流装置2355からなる電気外科用装置のエンドエフェクタ2300が示されている。分流装置2355は、源流体経路315を通じて流体(矢印)を受容するように構成されている。
図23Aに示されるように、源流体経路315は、分流装置2355に直接流体連結されてもよい。分流装置2355は、上部2356及び下部2357から構成され得る。
図23A及び
図23Bの両方に示されるように、下部2357は、チャネル2359が作製される多孔質材料から形成されてもよい。このようなチャネル2359は、流体が電極2345a、bに接触するように、源流体経路315から下部2357を通って分流装置2355の側部へ、流体の流れを方向付けるように作製されてもよい。一態様では、分流装置2355の上部2356は、下部2357の上に非多孔質キャップを形成することができ、それにより、流体が分流装置2355の上面に流れるのを防ぐことができる。いくつかの代替的な態様では、上部2356は、流体の少なくとも一部分が、分流装置2355の上面に浸透し、それによって覆うことを可能にし得る多孔質表面であってもよい。
【0072】
分流装置の少なくとも一部に作製されたチャネルは、
図23A及び
図23Bに示されるものと異なっていてもよいことが理解され得る。
図24~
図25は、分流装置の両側に配設された電極へ、流体の流れを方向付けるように分流装置内に作製され得る代替チャネルを示す。
【0073】
図24は、例えば、分流装置2455の両側に配設された一対の電極145a、bへ、流体の流れ(矢印)を方向付けるように内部に作製されたチャネル2459a、bを有する分流装置2455を描写している電気外科用装置のエンドエフェクタ2400の斜視図を示す。分流装置2455の一態様では、第1チャネル2459aは、流体を第1の電極145aに方向付けるように構成されてもよく、第2チャネル2459bは、流体を第2の電極145aに方向付けるように構成されてもよく、図解の目的で、
図24の分流装置2455は、透明な斜視図で示されており、それによって、分流装置2455の内部部分内に配設された2つのチャネル2359a、b及び流体流(矢印)の図を示す。
【0074】
図24に示される図では、シャフト135は、2つのチャネル2459a、bへの源流体経路を覆う。
図25A及び
図25Bは、
図24に示される分流装置2455の態様の上部平面断面図であり、分流装置への代替的な流体経路を示す。
図25Aは、例えば、2つの源流体経路2515a及び2515bがチャネル2559a及び2559bにそれぞれ流体を送達する電気外科用装置を示す。具体的には、第1の源流体経路2515aは、流体を第1の電極145aの表面に送達するように構成された複数の流体放出ポート2550aを有する第1のチャネル2559aに流体を方向付ける。同様に、第2の源流体経路2515bは、流体を第2の電極145bの表面に送達するように構成された複数の流体放出ポート2550bを有する第2のチャネル2559bに流体を方向付ける。単一の吸引流体経路210もまた、電気外科用装置のシャフト135に示されている。
【0075】
図25Bは、単一の源流体経路2515が、tコネクタ又はyコネクタで流体連結された2つのチャネル2559c、dに流体を送達する電気外科用装置の代替例を示す。したがって、単一の源流体経路2515は、流体を第1の電極145aの表面に送達するように構成された複数の流体放出ポート2550cを有する第1のチャネル2559c、並びに(a well as)流体を第2の電極145bの表面に送達するように構成された複数の流体放出ポート2550dを有する第2のチャネル2559dの両方に流体を方向付ける。
図25Aの描写と同様に、
図25Bは、電気外科用装置のシャフト135内に配設された単一の吸引流体経路210を示す。
【0076】
図26A及び
図26Bは、分流装置2655の内部に1つ以上のチャネル(例えば、2559a、b)を組み込む分流装置2655の作製方法の一態様を示す。分流装置2655は、2つの構成要素、上部分流装置構成要素2656a、及び下部分流装置構成要素2656bから形成されてもよい。上部分流装置構成要素2656aは、上部分流装置構成要素2656aの底面上に作製された1つ以上の窪み2659aを含んでもよい。同様に、底部分流装置構成要素2656bは、下部分流装置構成要素2656bの上面上に作製された1つ以上の窪み2659bを含んでもよい。上部分流装置構成要素2656aが下部分流装置構成要素2656bと組み立てられるとき(
図26Aから
図26Bへの矢印によって示されるように)、窪み2659a、bは、共に嵌合してチャネル2559a、bを形成してもよい。窪み2659a、bは、当該技術分野において既知の任意の適切な方法に従って作製されてもよい。作製方法の一例では、窪み2659a及び2659bは、それぞれ、上部分流装置構成要素2656a及び下部分流装置構成要素2656bの成形プロセスの一部として作製されてもよい。作製方法の別の例では、窪み2659a及び2659bは、それぞれ、上部分流装置構成要素2656a及び下部分流装置構成要素2656bに機械で作られてもよい。上部分流装置構成要素2656a及び下部分流装置構成要素2656bは、上部分流装置構成要素2656a及び下部分流装置構成要素2656bで使用される材料に適切な任意の方法に従って一緒に封止されてもよい。
【0077】
図27A及び
図28Aは、それぞれ、
図25A及び
図25Bに示されるような分流装置2555a及び2555bの断面図を描写する。
図27Aは、2つの源流体経路2515a、bを図示する分流装置2555aの断面を示し、
図27Bは、単一の源流体経路2515を図示する分流装置2555bの断面を示す。
図28Aは、2つの流体チャネル2550a、bを図示する分流装置2555aの断面を示し、
図28Bは、2つの流体チャネル2550c、dを図示する分流装置2555bの断面を示す。加えて、
図28A及び
図28Bは、流体チャネル2559a、b、c、dの代替的な態様を示す。詳細には、
図28Aは、流体チャネル2559a、bが、角度のある内部を有し得ることを示す一方で、
図28Bは、流体チャネル2559c、dが丸みのある内部を有し得ることを示す。
【0078】
分流装置内に配設された流体チャネルは、それらの機能に必要とされ得る任意の断面形状を有し得ることが認識され得る。いくつかの態様では、分流装置内に配設された流体チャネルは、チャネルの長さに沿って同じ断面形状を有してもよい。他の態様では、分流装置内に配設された流体チャネルに沿った断面形状は、流体チャネルの長さに沿って変化し得る。流体チャネルは、分流装置内のその長さに沿って一定の直径を有してもよく、又は流体チャネルは、分流装置内のその長さに沿って変化する直径を有してもよい。いくつかの態様では、分流装置内に配設された単一の流体チャネルは、各電極の表面に流体を送達するように構成されてもよい。いくつかの態様では、分流装置内に配設された複数の流体チャネルは、各電極の表面に流体を送達するように構成されてもよい。
図29及び
図30A、
図30Bは、1つ以上の電極の表面又は分流装置の表面に流体を送達するための多数の流体チャネルを有する分流装置の更なる態様を示す。
【0079】
図29は、2つの電極145a、bの間に配設された分流装置2955からなるエンドエフェクタを示す。分流装置2955は、シャフト135内に配設され、分流装置2955に流体を供給する源流体経路315に流体連結される。分流装置2955は、分流装置2955の表面上に流れ又は液滴2990として流体を方向付けるように構成され、電極145a、bのそれぞれの表面に接触するように構成された表面上に複数の孔2956を含んでもよい。
【0080】
図30A及び
図30Bは、
図29に示される分流装置2955の更なる図を示す。分流装置2955は、そこから分流装置2955の表面上に、流れ又は液滴2990として流体が向けられる、複数の表面孔2956を含む。
図30Aに示されるように、分流装置2955は、源流体経路315に解放可能に接続されてもよい。いくつかの態様では、源流体経路315の端部は、分流装置2955のカラー2957に圧入又は摩擦嵌めされてもよい(
図30Aの矢印Aを参照)。源流体経路315内の小さい方の矢印は、源流体経路315を通って分流装置2955内への流体流れ方向を示すことが理解され得る。
図30Bは、分流装置2955内の内部流体流3090を、表面孔2956のうちの任意の1つ以上に方向付けることができる複数のチャネル3059を示す、分流装置2955の内部図を示す。
図30Bに示されるチャネル3059は、樹状ネットワークを形成しているが、他のタイプのチャネルネットワークが、分流装置の表面上の1つ以上の孔及び/又は出口に流体の流れを方向付けるように分流装置内に作製されてもよい。分流装置内部のチャネルのネットワークは、分流装置上の表面孔に加えて、電極の表面に近接する1つ以上の流体放出ポートに流体の流れを方向付けることができることが認識され得る。
【0081】
図31~
図34は、エンドエフェクタの向きにかかわらず、流体流が1つ以上の電極に接触し得る電気外科用装置のシャフトアセンブリの態様を示す。
【0082】
図31は、電気外科用装置のシャフトアセンブリ3100の外部斜視図を示す。シャフトアセンブリ3100は、シャフト3135と、シャフト3135内に配設された一対の電極3145a、bとを含む。シャフト3135の内部は、流体吸引ポート3165に流体連結された吸引流体経路を形成し得る。いくつかの態様では、流体吸引ポート3165は、アイソレーションリング3150の表面の少なくとも一部によって形成され得る。アイソレーションリング3150は、電極3145a、bの遠位端を安定化させ、それによってそれらの間の距離を維持するように更に機能し得る。いくつかの態様では、アイソレーションリング3150は、シャフト3135の内側表面に隣接して配設されてもよい。代替の態様では、アイソレーションリング3150は、シャフト3135の外側表面の遠位部分上にオーバーモールドされてもよい。
【0083】
シャフトアセンブリ3100はまた、一対のカニューレ3115a、bを含む。各カニューレ(例えば、3115b)は、電極(例えば、電極3145b)の表面の近位に位置してもよい。各カニューレ(例えば、3115b)は、流体源経路からその対応する電極(例えば、電極3145b)の表面に流体を送達するように構成されてもよい。いくつかの態様では、カニューレ(例えば、3115b)及びその対応する電極(例えば、電極3145b)は、絶縁カバー(例えば、3147b)で覆われてもよく、それによって、その対応する電極(例えば、電極3145b)に近接したカニューレ(例えば、3115b)の位置を安定化させることができる。いくつかの態様では、カニューレ3115a又は3115bは、
図31~
図33に示されるように、それぞれその対応する電極3145a又は3145bの外側表面上に配設されてもよい。代替的な態様では、カニューレ3115a又は3115bは、それぞれその対応する電極3145a又は3145bの内側表面上に配設されてもよい。一般に、カニューレ3115a又は3115bは、それぞれその対応する電極3145a又は3145bの任意の適切な表面に対して配設され得ることが認識され得る。
【0084】
いくつかの態様では、アイソレーションリング3150は、電極の遠位部分とその対応するカニューレの遠位部分との組み合わせを受容するように構成され得る。例えば、アイソレーションリング3150は、カニューレ3115a(
図33Bを参照)を有する電極3145a、及びカニューレ3115bを有する電極3145bを受容するように構成されてもよい。いくつかの代替的な態様では、アイソレーションリング3150は、電極の遠位部分、その対応するカニューレの遠位部分、及びそれらの対応する絶縁カバーの遠位部分の組み合わせを受容するように構成され得る。したがって、例えば、アイソレーションリング3150は、電極3145a、カニューレ3115a、及び絶縁カバー3147aの遠位部分、並びに電極3145b、カニューレ3115b、及び絶縁カバー3147bの遠位部分を受容するように構成され得る。
【0085】
加えて、シャフトアセンブリ3100は、流体瀉出ポート3113及びアセンブリキャップ3114を含み得る近位流体瀉出アセンブリ3112を含んでもよい。いくつかの非限定的な態様では、シャフト3135は、近位流体瀉出アセンブリ3112に隣接して又は内部に部分的に配設されてもよい。このようにして、流体吸引ポート3165に流体連結された吸引流体経路は、流体瀉出ポート3113に連結され得る。いくつかの電気外科用装置システムでは、流体瀉出ポート3113は、流体及び/又は他の材料を手術部位から除去するために、真空源と流体連通して配設されてもよい。
【0086】
図32は、
図31に示すシャフトアセンブリ3100の透視斜視図を示す。
図32は、それぞれのカニューレ/電極対を取り囲む絶縁カバー3147a及び3147b、例えば、カニューレ3115a及び電極3145aを取り囲む絶縁カバー3147a、並びにカニューレ3115b及び電極3145bを取り囲む絶縁カバー3147bを詳細に示す。絶縁カバー3147a、bは、部分的に、電極3145a、bを絶縁するように機能してもよく、これにより、吸引流体経路を通って流れる流体は、シャフト3135内の電極3145a、bの間の短絡をもたらし得ないことが認識され得る。いくつかの態様では、絶縁カバー3147a、bは、絶縁テープの巻線から構成されてもよい。いくつかの他の態様では、絶縁カバー3147a、bは、電極とその対応するカニューレとの組み合わせの周りに熱活性化されて成形され得る収縮性チューブで構成されてもよい。
【0087】
図33A~
図33Cは、
図31及び
図32に示されるシャフトアセンブリ3100のエンドエフェクタ3140の様々な図を示す。
図33Aは、エンドエフェクタ3140の外部斜視図を示し、
図33Bは、エンドエフェクタ3140の前部(遠位)端平面図を示し、
図33Cは、エンドエフェクタ3140の側面図を示す。
図31及び
図32に関連して上述した構成要素に加えて、
図33A~
図33Cは、それぞれ、各電極3145a及び3145bの表面に作製された表面溝3146a及び3146bを更に示す。
図31A~
図31Cに示されるように、表面溝3146a及び3146bのそれぞれは、カニューレ3115a及び3115bをそれぞれ受容するように構成されている。表面溝3146a、bは、それぞれの電極3145a、bに隣接するカニューレ3115a、bの位置を安定化させるために使用され得ることが認識され得る。絶縁カバー3147a、bの追加は、カニューレ3115a、bの位置を、それらの対応する表面溝3146a、b内に常駐するように更に安定化させることができる。このようにして、カニューレ3115a、bを通って流れることができる流体は、隣接する電極3145a、bの表面にそれぞれ接触し得る。
【0088】
図33A~
図33Cは、それぞれの電極3145a及び3145bの外面に沿って作製された表面溝3146a及び3146bを示すが、表面溝3146a及び3146bは、それぞれの電極3145a及び3145bの任意の適切な表面に沿って作製され得ることが認識され得る。したがって、表面溝3146a及び3146bは、それらの適切な機能に必要とされ得るように、それぞれの電極3145a及び3145bの外側表面、内側表面、上面、又は底面に沿って作製されてもよい。
【0089】
図34A~
図34Cは、近位流体瀉出アセンブリ3112の様々な図を示す。具体的には、
図34Aは、透視斜視図を示し、
図34Bは斜視断面図を示し、
図34Cは、近位流体瀉出アセンブリ3112の平面断面図を示す。
【0090】
図34Aは、具体的には、アセンブリキャップ3114を含む近位流体瀉出アセンブリ3112を示す。アセンブリキャップ3114は、近位流体瀉出アセンブリ3112の内部内に延在するアセンブリキャップ本体3123を更に含んでもよい。アセンブリキャップ本体3123は、流体密封シールを形成するために近位流体瀉出アセンブリ3112の内側表面に接して配設されてもよく、それによって、手術部位からの任意の排出された物質がシャフトアセンブリ3100からユーザの手の上に漏れることを防止する。
【0091】
加えて、アセンブリキャップ本体3123は、電極3145a、bの近位部分を、それらの対応するカニューレ3115a、bの近位部分及びそれらのそれぞれの絶縁カバー3147a、bの近位部分と一緒に固定してもよい。アセンブリキャップ本体3123はまた、電極3145a、bの近位部分、それらの対応するカニューレ3115a、bの近位部分、及びそれらのそれぞれの絶縁カバー3147a、bの近位部分の任意の1つ以上の組み合わせと流体密封シールを形成してもよいことが認識され得る。上記のように、電極3145a、b、それらの対応するカニューレ3115a、b、及びそれらのそれぞれの絶縁カバー3147a、bの近位部分の組み合わせで作製された流体密封シールは、シャフト3135の内部内の吸引流体経路からの物質の漏れを防止するように構成されてもよい。
【0092】
図34Aは、流体瀉出ポート3113もまた、シャフト3135の内部内の吸引流体経路に流体連結されていることを更に示す。
【0093】
図34Bに示す斜視断面図は、近位流体瀉出アセンブリ3112の追加態様を示す。例えば、
図34Bは、近位流体瀉出アセンブリ3112の遠位部分内に配設されたシャフト3135を示す。加えて、シャフト3135の内部内の吸引流体経路3110は、流体瀉出ポート3113内の内部流体経路3410に流体連結されているものとして示されている。更に、
図34Bは、アセンブリキャップ本体3123が近位流体瀉出アセンブリ3112の内側表面と流体密封シールを形成し得る機構の一態様を示す。いくつかの態様では、アセンブリキャップ本体3123は、近位流体瀉出アセンブリ3112のネック3414内に挿入され、流体密封接着剤によって取り付けられてもよい。別の態様では、アセンブリキャップ本体3123は、近位流体瀉出アセンブリ3112のネック3414に圧入されてもよく、流体密封シールは、アセンブリキャップ本体3123と近位流体瀉出アセンブリ3112の内側表面との間に配設された1つ以上のOリング3425によって形成されてもよい。
【0094】
図34Cに示される平面断面図は、近位流体瀉出アセンブリ3112の更なる詳細を示す。例えば、
図34Cは、各カニューレ3115a及び3115bの配置をそれぞれの電極3145a及び3145bと共に断面図で示す。
図34Cは、各絶縁カバー3147a及び3147bの関連電極/カニューレ対(3145a/3115a及び3145b/3115b)の周りの各絶縁カバーの配置を断面図で更に示す。絶縁カバー/電極/カニューレの組み合わせ(3147a/3145a/3115a及び3147b/3145b/3115b)の近位端は、アセンブリキャップ3114及びアセンブリキャップ本体3123によって固定されてもよい。アセンブリキャップ本体3123は、1つ以上のOリング3425を支持するための溝を組み込んでもよい。1つ以上のOリング3425は、近位流体瀉出アセンブリ3112のネック3414の内側表面に対して流体密封シールを形成してもよい。
【0095】
用語「近位」及び「遠位」は、本明細書を通して、患者を処置するために使用される器具の一端部を操作する臨床医に関して、使用されることが理解されよう。用語「近位」は臨床医に近接する器具の部分を指し、用語「遠位」は臨床医から最も離れた位置にある部分を指す。簡潔にするため、また明確にするために、「垂直」、「水平」、「上」、「下」などの空間的用語は、本明細書において、例示した実施形態に関して使用され得ることが、更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用することができ、これらの用語は、限定的又は絶対的であることを意図したものではない。
【0096】
外科用器具の様々な態様を本明細書に記載する。本明細書に記載の様々な態様が、記載された外科用器具で使用できることが、当業者によって理解されよう。説明は、例示のみ提供されており、当業者は、開示された例が本明細書に開示されるデバイスのみに制限されず、任意の互換性を有する外科用器具又はロボット外科用システムで使用できることを理解するであろう。
【0097】
本明細書の全体を通じて、「様々な態様」、「いくつかの態様」、「一例」、又は「一態様」などへの言及は、その態様との関連において記載される特定の機能、構造、又は特徴が、少なくとも1つの例に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通じて適所において、「様々な態様において」、「いくつかの態様において」、「一例において」、又は「一態様において」などの語句が出現するが、これらは必ずしも同じ態様を指すわけではない。更に、1つの例に関して図示又は記載される特定の機能、構造、又は特徴は、1つ以上の他の態様の特徴、構造、又は特性と、全体として又は部分的に、限定なしに組み合わせることができる。
【0098】
本明細書中の様々な態様はいくつかの態様の記載によって説明されており、例示的な実施形態がかなり詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限するか又はいかなる方法でも限定することは、本出願人の意図ではない。当業者には更なる利点及び改変がただちに明らかとなり得る。例えば、内視鏡手術は腹腔鏡手術よりも普及していると一般に認められている。したがって、本発明は内視鏡手術及び装置との関連において述べられた。しかしながら、本願における「内視鏡」などの用語の使用は、本発明を内視鏡管(例えば、トロカール)との組み合わせにおいてのみ使用される器具に限定するものとして解釈されるべきではない。むしろ本発明は、腹腔鏡手術及び開放手術などを含むがこれらに限定されない、小さな切開創にアクセスが限定されるあらゆる手術に用途を見出し得るものと考えられる。
【0099】
本明細書における図及び説明の少なくとも一部は、開示を明確に理解するのに関連する要素を示すために簡素化されており、明確にする目的でその他の要素を排除していることを理解すべきである。しかしながら、当業者は、これらの及びその他の要素が望ましい可能性があることを認識するであろう。しかしながら、そのような要素は当該技術分野において周知であり、それらは本開示のよりよい理解を促進しないため、本明細書ではそのような要素についての説明はしない。
【0100】
いくつかの態様を説明してきたが、本開示の利点の一部又は全てを習得した当業者は、これらの実施形態に対する様々な修正、変更及び適合を想起することができることは明白であろう。例えば、様々な態様によれば、所与の機能を実行するために、単一の構成要素が複数の構成要素で置き換えられてもよく、複数の構成要素が単一の構成要素で置き換えられてもよい。本願はしたがって、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲及び趣旨を逸脱することなく、そのような全ての修正、変更、及び改作を網羅することを意図したものである。
【0101】
全体又は部分的に、参照により本明細書に組み込まれると言及されるいずれの特許、刊行物又はその他の開示物も、組み込まれる内容が既存の定義、記述、又は本開示に記載されているその他の開示物と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれるものとする。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載された開示内容は、参考により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されたその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0102】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
実施例1:電気外科用装置のエンドエフェクタであって、
第1の流体経路と流体連通する遠位流体放出ポートと、
第2の流体経路と流体連通する遠位流体吸引ポートと、
第1の電極及び第2の電極と、
第1の電極と第2の電極との間に配設された分流装置と、を備え、分流装置は、マトリックス及び内部に配設された複数の空隙を有する多孔質材料を含み、
複数の空隙は、遠位流体放出ポートに流体連結されている、エンドエフェクタ。
【0103】
実施例2.複数の空隙は、遠位流体放出ポートから分流装置の表面に流体を方向付けるように構成されている、実施例1に記載のエンドエフェクタ。
【0104】
実施例3.分流装置の表面が、分流装置の上面を含む、実施例1~実施例2のいずれか1つ以上に記載のエンドエフェクタ。
【0105】
実施例4.分流装置の表面が、分流装置の1つ以上の側面を含む、実施例2~実施例3のいずれか1つ以上に記載のエンドエフェクタ。
【0106】
実施例5.複数の空隙が、少なくとも1つのチャネルを含む、実施例2~実施例4のいずれか1つ以上に記載のエンドエフェクタ。
【0107】
実施例6.少なくとも1つのチャネルは、遠位流体放出ポートに物理的に連結されたチャネルを含む、実施例5に記載のエンドエフェクタ。
【0108】
実施例7.少なくとも1つのチャネルは、流体の少なくとも一部を分流装置の第1の側面に方向付けるように構成されている第1のチャネルと、流体の少なくとも一部を分流装置の第2の側面に方向付けるように構成されている第2のチャネルと、を含む、実施例5~実施例6のいずれか1つ以上に記載のエンドエフェクタ。
【0109】
実施例8.マトリックスが、セラミックマトリックスを含む、実施例1~実施例7のいずれか1つ以上に記載のエンドエフェクタ。
【0110】
実施例9.分流装置は、解放可能な分流装置アセンブリを含む、実施例1~実施例8のいずれか1つ以上に記載のエンドエフェクタ。
【0111】
実施例10.遠位流体吸引ポートが、分流装置に近位の領域から物質を除去するように構成されている、実施例1~実施例9のいずれか1つ以上に記載のエンドエフェクタ。
【0112】
実施例11.電気外科用装置のための解放可能な分流装置アセンブリであって、
電気外科用装置の第1の電極を受容するように構成されている第1のレセプタクルと、電気外科用装置の第2の電極を受容するように構成されている第2のレセプタクルと、を含む、アセンブリ本体と、
アセンブリ本体上に、かつ第1のレセプタクルに近接して取り付けられた第1の電極接点と、
アセンブリ本体上に、かつ第2のレセプタクルに近接して取り付けられた第2の電極接点と、
電気外科用装置の流体源ポートから流体を受容するように構成されている導管と、
第1の電極接点と第2の電極接点との間に配設された分流装置と、を備え、
分流装置が、マトリックスと、内部に配設された複数の空隙とを有する多孔質材料を含み、
複数の空隙が、導管に流体連結されている、解放可能な分流装置アセンブリ。
【0113】
実施例12.複数の空隙が、導管から分流装置の表面に流体を方向付けるように構成されている、実施例11に記載の解放可能な分流装置アセンブリ。
【0114】
実施例13.分流装置の表面が、分流装置の上面を含む、実施例12に記載の解放可能な分流装置アセンブリ。
【0115】
実施例14.電気外科用装置のシャフトアセンブリであって、
第1の電極及び第2の電極と、
第1の遠位流体源ポートを有し、第1の電極の外側表面に近接して配設された第1の流体カニューレと、
第2の遠位流体源ポートを有し、第2の電極の外側表面に近接して配設された第2の流体カニューレと、
第1の電極と第2の電極との間に少なくとも部分的に配設された遠位流体瀉出ポートと、
第1の電極、第2の電極、第1の流体カニューレ、及び第2の流体カニューレを包囲するように構成されているシャフトと、を備える、シャフトアセンブリ。
【0116】
実施例15.第1の電極が第1の外側表面溝を含み、第2の電極が第2の外側表面溝を含み、
第1の流体カニューレが第1の外側表面溝内に配設され、第2の流体カニューレが第2の外側表面溝内に配設されている、実施例14に記載のシャフトアセンブリ。
【0117】
実施例16.第1の電極及び第1の流体カニューレの周囲に配設された第1の絶縁カバーと、第2の電極及び第2の流体カニューレの周囲に配設された第2の絶縁カバーを更に備える、実施例14~実施例15のいずれか1つ以上に記載のシャフトアセンブリ。
【0118】
実施例17.シャフトの近位端の周りに配設された近位流体抽出アセンブリを更に備える、実施例14~実施例16のいずれか1つ以上に記載のシャフトアセンブリ。
【0119】
実施例18.近位流体抽出アセンブリが、
遠位流体瀉出ポートに流体連結された近位流体抽出ポートと、
第1の電極の近位部分、第1の流体カニューレの近位部分、第2の電極の近位部分、及び第2の流体カニューレの近位部分を受容するように構成されている近位電極キャップと、を含む、実施例17に記載のシャフトアセンブリ。
【0120】
実施例19.シャフトの遠位端においてシャフトの内部に配設され、かつ第1の電極の遠位部分、第1の流体カニューレの遠位部分、第2の電極の遠位部分、及び第2の流体カニューレの遠位部分を受容するように構成されている遠位アイソレーションリングを更に備える、実施例14~実施例18のいずれか1つ以上に記載のシャフトアセンブリ。
【0121】
実施例20.遠位流体瀉出ポートが、遠位アイソレーションリングの表面の少なくとも一部を含む、実施例19に記載のシャフトアセンブリ。
【0122】
実施例21.電気外科用装置のエンドエフェクタであって、
第1の流体経路と流体連通する遠位流体放出ポートであって、遠位オリフィスを含む、遠位流体放出ポートと、
第2の流体経路と流体連通する遠位流体吸引ポートと、
第1の電極及び第2の電極と、
第1の電極及び第2の電極と機械的に連通し、それらの間に配設された分流装置と、を備え、
分流装置が、遠位流体放出ポートの長手方向軸に平行な平面を含む第1面を有し、
分流装置の近位縁が遠位オリフィスに隣接し、分流装置が、第1面上で、遠位流体放出ポートによって放出された流体の少なくとも一部を受容し、第1の電極の表面及び第2の電極の表面と第1面上の流体の接触を維持するように構成されている、エンドエフェクタ。
【0123】
実施例22.分流装置が、第1面上に複数の特徴部を備えている、実施例21に記載のエンドエフェクタ。
【0124】
実施例23.複数の特徴部が、分流装置の第1面上の流体の流れを、第1の電極又は第2の電極に向けて方向付けるように構成されている、実施例22に記載のエンドエフェクタ。
【0125】
実施例24.複数の特徴部が、複数の凸部を含む、実施例22~実施例23のいずれか1つ以上に記載のエンドエフェクタ。
【0126】
実施例25.複数の特徴部が、複数の凹部を含む、実施例22~実施例24のいずれか1つ以上に記載のエンドエフェクタ。
【0127】
実施例26.分流装置の近位縁が、遠位オリフィスにまたがって中間に配設されている、実施例21~実施例25のいずれか1つ以上に記載のエンドエフェクタ。
【0128】
実施例27.遠位オリフィスが、楕円形の円周を有する、実施例21~実施例26のいずれか1つ以上に記載のエンドエフェクタ。
【0129】
実施例28.遠位オリフィスが、円形の円周を有する、実施例21~実施例27のいずれか1つ以上に記載のエンドエフェクタ。
【0130】
実施例29.分流装置が第2面を有し、第2面が、分流装置の第2面上の流体の流れを第1の電極又は第2の電極に向けて方向付けるように構成されている第2の複数の特徴部を含む、実施例21~実施例28のいずれか1つ以上に記載のエンドエフェクタ。
【0131】
〔実施の態様〕
(1) 電気外科用装置のエンドエフェクタであって、
第1の流体経路と流体連通する遠位流体放出ポートと、
第2の流体経路と流体連通する遠位流体吸引ポートと、
第1の電極及び第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配設された分流装置と、を備え、前記分流装置は、マトリックス及び内部に配設された複数の空隙を有する多孔質材料を含み、
前記複数の空隙は、前記遠位流体放出ポートに流体連結されている、エンドエフェクタ。
(2) 前記複数の空隙が、前記遠位流体放出ポートから前記分流装置の表面に流体を方向付けるように構成されている、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(3) 前記分流装置の前記表面が、前記分流装置の上面を含む、実施態様2に記載のエンドエフェクタ。
(4) 前記分流装置の前記表面が、前記分流装置の1つ以上の側面を含む、実施態様2に記載のエンドエフェクタ。
(5) 前記複数の空隙が、少なくとも1つのチャネルを含む、実施態様2に記載のエンドエフェクタ。
【0132】
(6) 前記少なくとも1つのチャネルが、前記遠位流体放出ポートに物理的に連結されているチャネルを含む、実施態様5に記載のエンドエフェクタ。
(7) 前記少なくとも1つのチャネルは、前記流体の少なくとも一部を前記分流装置の第1の側面に方向付けるように構成されている第1のチャネルと、前記流体の少なくとも一部を前記分流装置の第2の側面に方向付けるように構成されている第2のチャネルと、を含む、実施態様5に記載のエンドエフェクタ。
(8) 前記マトリックスが、セラミックマトリックスを含む、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(9) 前記分流装置が、解放可能な分流装置アセンブリを含む、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
(10) 前記遠位流体吸引ポートが、前記分流装置に近接する領域から物質を除去するように構成されている、実施態様1に記載のエンドエフェクタ。
【0133】
(11) 電気外科用装置のための解放可能な分流装置アセンブリであって、
前記電気外科用装置の第1の電極を受容するように構成されている第1のレセプタクルと、前記電気外科用装置の第2の電極を受容するように構成されている第2のレセプタクルと、を含む、アセンブリ本体と、
前記アセンブリ本体上に、かつ前記第1のレセプタクルに近接して取り付けられた第1の電極接点と、
前記アセンブリ本体上に、かつ前記第2のレセプタクルに近接して取り付けられた第2の電極接点と、
前記電気外科用装置の流体源ポートから流体を受容するように構成されている導管と、
前記第1の電極接点と前記第2の電極接点との間に配設された分流装置と、を備え、
前記分流装置は、マトリックスと、内部に配設された複数の空隙とを有する多孔質材料を含み、
前記複数の空隙は、前記導管に流体連結されている、解放可能な分流装置アセンブリ。
(12) 前記複数の空隙が、前記導管から前記分流装置の表面に前記流体を方向付けるように構成されている、実施態様11に記載の解放可能な分流装置アセンブリ。
(13) 前記分流装置の前記表面が、前記分流装置の上面を含む、実施態様12に記載の解放可能な分流装置アセンブリ。
(14) 電気外科用装置のシャフトアセンブリであって、
第1の電極及び第2の電極と、
第1の遠位流体源ポートを有し、前記第1の電極の外側表面に近接して配設された第1の流体カニューレと、
第2の遠位流体源ポートを有し、前記第2の電極の外側表面に近接して配設された第2の流体カニューレと、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に少なくとも部分的に配設された遠位流体瀉出ポートと、
前記第1の電極、前記第2の電極、前記第1の流体カニューレ、及び前記第2の流体カニューレを包囲するように構成されているシャフトと、を備える、シャフトアセンブリ。
(15) 前記第1の電極が第1の外側表面溝を含み、前記第2の電極が第2の外側表面溝を含み、
前記第1の流体カニューレが前記第1の外側表面溝内に配設され、前記第2の流体カニューレが前記第2の外側表面溝内に配設されている、実施態様14に記載のシャフトアセンブリ。
【0134】
(16) 前記第1の電極及び前記第1の流体カニューレの周囲に配設された第1の絶縁カバーと、前記第2の電極及び前記第2の流体カニューレの周囲に配設された第2の絶縁カバーと、を更に備える、実施態様14に記載のシャフトアセンブリ。
(17) 前記シャフトの近位端の周りに配設された近位流体抽出アセンブリを更に備える、実施態様14に記載のシャフトアセンブリ。
(18) 前記近位流体抽出アセンブリが、
前記遠位流体瀉出ポートに流体連結された近位流体抽出ポートと、
前記第1の電極の近位部分、前記第1の流体カニューレの近位部分、前記第2の電極の近位部分、及び前記第2の流体カニューレの近位部分を受容するように構成されている近位電極キャップと、を備える、実施態様17に記載のシャフトアセンブリ。
(19) 前記シャフトの遠位端において前記シャフトの内部に配設され、かつ、前記第1の電極の遠位部分、前記第1の流体カニューレの遠位部分、前記第2の電極の遠位部分、及び前記第2の流体カニューレの遠位部分を受容するように構成されている遠位アイソレーションリングを更に備える、実施態様14に記載のシャフトアセンブリ。
(20) 前記遠位流体瀉出ポートが、前記遠位アイソレーションリングの表面の少なくとも一部分を含む、実施態様19に記載のシャフトアセンブリ。
【0135】
(21) 電気外科用装置のエンドエフェクタであって、
第1の流体経路と流体連通する遠位流体放出ポートであって、遠位オリフィスを含む、遠位流体放出ポートと、
第2の流体経路と流体連通する遠位流体吸引ポートと、
第1の電極及び第2の電極と、
前記第1の電極及び前記第2の電極と機械的に連通し、それらの間に配設された分流装置と、を備え、
前記分流装置が、前記遠位流体放出ポートの長手方向軸に平行な平面を含む第1面を有し、
前記分流装置の近位縁が前記遠位オリフィスに隣接し、前記分流装置が、前記第1面上で、前記遠位流体放出ポートによって放出された流体の少なくとも一部を受容し、前記第1の電極の表面及び前記第2の電極の表面と前記第1面上の前記流体の接触を維持するように構成されている、エンドエフェクタ。
(22) 前記分流装置が、前記第1面に複数の特徴部を備えている、実施態様21に記載のエンドエフェクタ。
(23) 前記複数の特徴部は、前記分流装置の前記第1面上の前記流体の流れを、前記第1の電極又は前記第2の電極に向けて方向付けるように構成されている、実施態様22に記載のエンドエフェクタ。
(24) 前記複数の特徴部が、複数の凸部を含む、実施態様22に記載のエンドエフェクタ。
(25) 前記複数の特徴部が、複数の凹部を含む、実施態様22に記載のエンドエフェクタ。
【0136】
(26) 前記分流装置の前記近位縁が、前記遠位オリフィスにまたがって中間に配設されている、実施態様21に記載のエンドエフェクタ。
(27) 前記遠位オリフィスが、楕円形の円周を有する、実施態様21に記載のエンドエフェクタ。
(28) 前記遠位オリフィスが、円形の円周を有する、実施態様21に記載のエンドエフェクタ。
(29) 前記分流装置が第2面を有し、前記第2面が、前記分流装置の前記第2面上の前記流体の流れを前記第1の電極又は前記第2の電極に向けて方向付けるように構成されている第2の複数の特徴部を含む、実施態様21に記載のエンドエフェクタ。