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特許7196166ツール交換装置、マスターユニットおよびツールユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】ツール交換装置、マスターユニットおよびツールユニット
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/04 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
B25J15/04 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020521051
(86)(22)【出願日】2019-03-14
(86)【国際出願番号】 JP2019010611
(87)【国際公開番号】W WO2019225126
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2018097500
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000145611
【氏名又は名称】株式会社コガネイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹林 悠
(72)【発明者】
【氏名】森口 翔太
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05002500(US,A)
【文献】特開2016-124070(JP,A)
【文献】実開昭59-173505(JP,U)
【文献】実開平05-002887(JP,U)
【文献】特開平07-290389(JP,A)
【文献】特開平04-183585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールが取り付けられるツールユニットと、前記ツールユニットが着脱自在に装着されるマスターユニットとを備えるツール交換装置であって、
前記マスターユニットは、
装着面と、前記装着面に対向する取付面と、前記装着面に開口する小径孔と、前記取付面に開口し前記小径孔に連通する大径孔と、前記大径孔と前記小径孔の間に形成される第1の段差面とを有するマスターブロックと、
前記小径孔に圧入されるとともに先端が装着面から突出する円筒部、および前記第1の段差面に突き当てられるフランジ部を備え、前記マスターブロックに取り付けられるボールホルダと、
前記円筒部に当該円筒部の外面から内面に向けて内径が大きくなるように傾斜したテーパ面により形成され、ボールを保持する複数のボール支持孔と、
先端に前記ボールが接触するボール駆動部が設けられるとともに、前記大径孔に軸方向に往復動自在に組み込まれ、前記第1の段差面との間で第1の加圧室を形成するピストンと、
前記大径孔に取り付けられ、前記ピストンとの間で第2の加圧室を形成するヘッドカバーと、
前記第2の加圧室に設けられ、前記ピストンに前記ボールホルダに向かう方向のばね力を付勢するコイルばねと、
を有し、
前記ツールユニットは、
前記マスターブロックの前記装着面に突き当てられる突き当て面と、当該突き当て面に対向し前記ツールが取り付けられる先端面と、前記突き当て面に開口し前記ボールホルダが挿入される挿入孔と、前記先端面に開口し前記挿入孔よりも大径の収容孔と、前記挿入孔と前記収容孔との間に形成される第2の段差面とを有するツールブロックと、
前記先端面の側から前記収容孔に圧入され、前記第2の段差面に突き当てられて前記ツールブロックに固定される係合リングと、
前記係合リングにテーパ形状に形成され、前記ボール駆動部により径方向外方に駆動された前記ボールが係合するボール係合面と、
を有する、ツール交換装置。
【請求項2】
請求項1記載のツール交換装置において、
前記ツールブロックにそれぞれ形成された嵌合孔に嵌合される嵌合部を備えた第1の位置決めピンと第2の位置決めピンとを、前記ピストンの中心軸に対して円周方向に180度ずらして前記マスターブロックに設け、
前記ピストンの中心軸と前記第1の位置決めピンの中心軸とに交差する径方向線に沿う方向における前記第2の位置決めピンの前記嵌合部の幅寸法を前記嵌合部の直径よりも短くし、前記嵌合部が嵌合される前記嵌合孔との間に隙間を形成することにより、前記ピストンの中心軸に対する前記第1の位置決めピンと前記第2の位置決めピンの径方向の寸法誤差を吸収する、ツール交換装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のツール交換装置において、
前記第1の段差面に環状溝を形成し、前記第1の段差面と前記フランジ部との間をシールするOリングを前記環状溝に設ける、ツール交換装置。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載のツール交換装置において、
前記マスターブロックにマスター側の空気流路を設け、前記ツールユニットに前記マスター側の空気流路に連通するツール側の空気流路を設け、
前記マスター側の空気流路と前記ツール側の空気流路の一方の連通端部に設けられたパッキン取付孔に円筒形状のパッキンを装着し、
前記パッキン取付孔の内径よりも大径の加圧密着部を前記パッキンに設け、
前記ツールに前記マスターブロックの側から空気を供給する、ツール交換装置。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載のツール交換装置において、
前記係合リングの前記突き当て面の側に、前記ボール係合面に向けて小径となるように傾斜したボールガイド面を設け
前記ボール係合面は前記突き当て面と前記先端面との間に形成される、ツール交換装置。
【請求項6】
ツールが取り付けられたツールユニットが着脱自在に装着されるマスターユニットであって、
装着面と、前記装着面に対向する取付面と、前記装着面に開口する小径孔と、前記取付面に開口し前記小径孔に連通する大径孔と、前記大径孔と前記小径孔の間に形成される段差面を有するマスターブロックと、
前記小径孔に圧入されるとともに先端が装着面から突出する円筒部、および前記段差面に突き当てられるフランジ部を備え、前記マスターブロックに取り付けられるボールホルダと、
前記円筒部に当該円筒部の外面から内面に向けて内径が大きくなるように傾斜したテーパ面により形成され、ボールを保持する複数のボール支持孔と、
先端に前記ボールが接触するボール駆動部が設けられるとともに、前記大径孔に軸方向に往復動自在に組み込まれ、前記段差面との間で第1の加圧室を形成するピストンと、
前記大径孔に取り付けられ、前記ピストンとの間で第2の加圧室を形成するヘッドカバーと、
前記第2の加圧室に設けられ、前記ピストンに前記ボールホルダに向かう方向のばね力を付勢するコイルばねと、
を有し、
前記ピストンは、前記ボール駆動部を介して前記ボールを径方向外側に押し出す第1の位置と、前記ボールを径方向に移動可能にする第2の位置とに移動し、
前記円筒部の前記小径孔への圧入により前記ボールホルダを前記マスターブロックに固定する、マスターユニット。
【請求項7】
請求項記載のマスターユニットにおいて、
前記第2の加圧室に圧力を供給すると、前記ピストンは前記第1の位置に駆動され、前記第1の加圧室に圧力を供給すると、前記ピストンは第2の位置に駆動される、マスターユニット。
【請求項8】
請求項6または7記載のマスターユニットにおいて、
前記ツールユニットのツールブロックにそれぞれ形成された嵌合孔に嵌合される嵌合部を備えた第1の位置決めピンと第2の位置決めピンとを、前記ピストンの中心軸に対して円周方向に180度ずらして前記マスターブロックに設け、
前記ピストンの中心軸と前記第1の位置決めピンの中心軸とに交差する径方向線に沿う方向における前記第2の位置決めピンの前記嵌合部の幅寸法を前記嵌合部の直径よりも短くし、前記嵌合部が嵌合される前記嵌合孔との間に隙間を形成することにより、前記ピストンの中心軸に対する前記第1の位置決めピンと前記第2の位置決めピンの径方向の寸法誤差を吸収する、マスターユニット。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1項に記載のマスターユニットにおいて、
前記ツールユニットのツールブロックにそれぞれ形成された嵌合孔に嵌合される嵌合部を備えた位置決めピンを前記マスターブロックに設け、
前記嵌合部は、先端面が基端部よりも細くなるテーパ面である、マスターユニット。
【請求項10】
ツールが取り付けられ、マスターユニットに着脱自在に装着されるツールユニットであって、
前記マスターユニットの装着面に突き当てられる突き当て面と、当該突き当て面に対向し前記ツールが取り付けられる先端面と、前記突き当て面に開口する挿入孔と、前記先端面に開口し前記挿入孔よりも大径の収容孔と、前記挿入孔と前記収容孔との間に形成される段差面とを有するツールブロックと、
前記先端面の側から前記収容孔への圧入により前記ツールブロックに固定され、前記段差面に突き当てられる係合リングと、
前記係合リングに形成されるテーパ形状のボール係合面と、
前記マスターユニットの中心軸に対して180度ずらして前記マスターユニットに設けられた第1の位置決めピンと第2の位置決めピンの嵌合部がそれぞれ嵌合されように前記ツールブロックに形成される嵌合孔と、
を有し、
前記マスターユニットの中心軸と前記第1の位置決めピンの中心軸とに交差する径方向線に沿う方向における前記第2の位置決めピンの前記嵌合部の幅寸法を前記嵌合部の直径よりも短くし、前記嵌合部が嵌合される前記嵌合孔との間に隙間を形成することにより、前記マスターユニットの中心軸に対する前記第1の位置決めピンと前記第2の位置決めピンの径方向の寸法誤差を吸収する、ツールユニット。
【請求項11】
請求項10記載のツールユニットにおいて、
前記係合リングの前記突き当て面の側に、前記ボール係合面に向けて小径となるように傾斜したボールガイド面を設け
前記ボール係合面は前記突き当て面と前記先端面との間に形成される、ツールユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動部材に取り付けられるマスターユニットと、このマスターユニットに着脱自在に装着されるツールユニットとを備えたツール交換装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを把持したり加工したりするツールが取り付けられるツールユニットを、ロボットアーム等の移動部材に装着するために、ツール交換装置が使用される。ツール交換装置は、ツールチェンジャーとも言われ、移動部材に取り付けられるマスターユニットと、これに着脱自在に装着されるツールユニットとを備えている。それぞれツールが取り付けられる複数のツールユニットが支持台に配置されており、加工や搬送等のワークに対する操作に応じて、いずれかのツールユニットがマスターユニットに自動的に装着される。
【0003】
このようなツール交換装置としては、従来、特許文献1に記載されるような自動着脱装置がある。この自動着脱装置は、マスターユニットとしての装置本体と、ツールユニットとしての接続部とを有している。装置本体はロボットアーム等の移動部材に取り付けられ、接続部が装置本体に着脱自在に装着される。複数の接続部のいずれもが装置本体に装着できるようになっており、ツール支持台には、ワークを把持するハンドが設けられた接続部やワークを加工するツールが設けられた接続部が配置されている。ロボットアームによる操作に応じて、いずれかの接続部つまりツールユニットが装置本体に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-300187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した自動着脱装置においては、複数の鋼球を備えた円筒部材が装置本体に設けられ、鋼球に係合する係合面が接続部に設けられている。ピストンロッドが装置本体に設けられ、鋼球を係合面に向けて突出させるテーパ面がピストンロッドに設けられており、ピストンロッドはピストンにより駆動される。装置本体にはヘッドカバーとロッドカバーとが設けられ、ヘッドカバーとピストンとの間と、ロッドカバーとピストンとの間には、それぞれ空気圧室つまり加圧室が形成されている。ピストンロッドはロッドカバーを貫通しており、鋼球が設けられた円筒部材はロッドカバーの外面に配置され、円筒部材はそのフランジ部を貫通する複数本のボルトにより装置本体に取り付けられている。
【0006】
このように、鋼球を保持する円筒部材はそのフランジ部を貫通する複数本のボルトにより装置本体に取り付けられているので、装置本体の径を小さくすることができなかった。同様に、接続部には係合面が形成された環状部材が複数本のボルトにより取り付けられており、装置本体と接続部とからなる自動着脱装置を小型化することができなかった。自動着脱装置が大型となると、その重量が嵩んでしまう。自動着脱装置が大型となり、重量が嵩むと、産業用ロボットのアーム等により迅速に自動着脱装置を移動させることができず、ロボットアームをツールにより操作してワークを迅速に加工したり、チャックを用いてワークを迅速に移動したりすることができなかった。
【0007】
本発明の目的は、ツール交換装置を構成するマスターユニット、ツールユニットの小型化を達成し、ツール交換装置の小型化および軽量化を達成することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、ツール交換装置の小型化および軽量化により、移動部材によりツール交換装置を迅速に移動させることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のツール交換装置は、ツールが取り付けられるツールユニットと、前記ツールユニットが着脱自在に装着されるマスターユニットとを備えるツール交換装置であって、前記マスターユニットは、装着面と、前記装着面に対向する取付面と、前記装着面に開口する小径孔と、前記取付面に開口し前記小径孔に連通する大径孔と、前記大径孔と前記小径孔の間に形成される第1の段差面とを有するマスターブロックと、前記小径孔に圧入されるとともに先端が装着面から突出する円筒部、および前記第1の段差面に突き当てられるフランジ部を備え、前記マスターブロックに取り付けられるボールホルダと、前記円筒部に当該円筒部の外面から内面に向けて内径が大きくなるように傾斜したテーパ面により形成され、ボールを保持する複数のボール支持孔と、先端に前記ボールが接触するボール駆動部が設けられるとともに、前記大径孔に軸方向に往復動自在に組み込まれ、前記第1の段差面との間で第1の加圧室を形成するピストンと、前記大径孔に取り付けられ、前記ピストンとの間で第2の加圧室を形成するヘッドカバーと、前記第2の加圧室に設けられ、前記ピストンに前記ボールホルダに向かう方向のばね力を付勢するコイルばねと、を有し、前記ツールユニットは、前記マスターブロックの前記装着面に突き当てられる突き当て面と、当該突き当て面に対向し前記ツールが取り付けられる先端面と、前記突き当て面に開口し前記ボールホルダが挿入される挿入孔と、前記先端面に開口し前記挿入孔よりも大径の収容孔と、前記挿入孔と前記収容孔との間に形成される第2の段差面とを有するツールブロックと、前記先端面の側から前記収容孔に圧入され、前記第2の段差面に突き当てられて前記ツールブロックに固定される係合リングと、前記係合リングにテーパ形状に形成され、前記ボール駆動部により径方向外方に駆動された前記ボールが係合するボール係合面と、を有する。
【0010】
本発明のマスターユニットは、ツールが取り付けられたツールユニットが着脱自在に装着されるマスターユニットであって、装着面と、前記装着面に対向する取付面と、前記装着面に開口する小径孔と、前記取付面に開口し前記小径孔に連通する大径孔と、前記大径孔と前記小径孔の間に形成される段差面を有するマスターブロックと、前記小径孔に圧入されるとともに先端が装着面から突出する円筒部、および前記段差面に突き当てられるフランジ部を備え、前記マスターブロックに取り付けられるボールホルダと、前記円筒部に当該円筒部の外面から内面に向けて内径が大きくなるように傾斜したテーパ面により形成され、ボールを保持する複数のボール支持孔と、先端に前記ボールが接触するボール駆動部が設けられるとともに、前記大径孔に軸方向に往復動自在に組み込まれ、前記段差面との間で第1の加圧室を形成するピストンと、前記大径孔に取り付けられ、前記ピストンとの間で第2の加圧室を形成するヘッドカバーと、前記第2の加圧室に設けられ、前記ピストンに前記ボールホルダに向かう方向のばね力を付勢するコイルばねと、を有し、前記ピストンは、前記ボール駆動部を介して前記ボールを径方向外側に押し出す第1の位置と、前記ボールを径方向に移動可能にする第2の位置とに移動し、前記円筒部の前記小径孔への圧入により前記ボールホルダを前記マスターブロックに固定する。
【0011】
本発明のツールユニットは、ツールが取り付けられ、マスターユニットに着脱自在に装着されるツールユニットであって、前記マスターユニットの装着面に突き当てられる突き当て面と、当該突き当て面に対向し前記ツールが取り付けられる先端面と、前記突き当て面に開口する挿入孔と、前記先端面に開口し前記挿入孔よりも大径の収容孔と、前記挿入孔と前記収容孔との間に形成される段差面とを有するツールブロックと、前記先端面の側から前記収容孔への圧入により前記ツールブロックに固定され、前記段差面に突き当てられる係合リングと、前記係合リングに形成されるテーパ形状のボール係合面と、前記マスターユニットの中心軸に対して180度ずらして前記マスターユニットに設けられた第1の位置決めピンと第2の位置決めピンの嵌合部がそれぞれ嵌合されように前記ツールブロックに形成される嵌合孔と、を有し、前記マスターユニットの中心軸と前記第1の位置決めピンの中心軸とに交差する径方向線に沿う方向における前記第2の位置決めピンの前記嵌合部の幅寸法を前記嵌合部の直径よりも短くし、前記嵌合部が嵌合される前記嵌合孔との間に隙間を形成することにより、前記マスターユニットの中心軸に対する前記第1の位置決めピンと前記第2の位置決めピンの径方向の寸法誤差を吸収する。
【発明の効果】
【0012】
マスターユニットは、マスターブロックとボールホルダとを有し、ボールホルダのフランジ部は段差面に突き当てられ、円筒部はマスターブロックに形成された小径孔に圧入される。円筒部が小径孔に圧入されることにより、ボールホルダはマスターブロックに固定される。したがって、ボルトによりフランジ部をマスターブロックに固定する場合に比して、マスターブロックを小型軽量化することができる。ツールユニットは、ツールブロックと係合リングとを有し、係合リングはツールブロックの先端面側から収容孔に挿入されて段差面に突き当てられる。係合リングはツールブロックに圧入されるので、係合リングをボルトにより固定する場合に比して、ツールブロックを小型軽量化することができる。
【0013】
マスターユニットとツールユニットの小型軽量化により、ツール交換装置の小型軽量化が達成されるので、ツール交換装置を取り付けたロボットアーム等の移動部材を、高速で移動させることができ、ツールを使用した量産品の製造能率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施の形態であるツール交換装置のマスターユニットとツールユニットを示す斜視図である。
図2図1におけるA-A線断面図である。
図3図2に示されたマスターブロックの装着面を示す底面図である。
図4】マスターユニットにツールユニットを装着している途中における図2と同様の部分を示す断面図である。
図5】マスターユニットにツールユニットを装着完了した状態における図2と同様の部分を示す断面図である。
図6図4の平面図である。
図7図6におけるB-B線断面図である。
図8図6に示された給排ポートと空気供給源との間に接続される空気圧配管図である。
図9図5におけるC-C線断面図である。
図10】(A)はパッキン取付孔に装着されるパッキンを示す断面図であり、(B)はパッキン取付孔に装着されたパッキンを示す断面図である。
図11】ツールユニットに装着されたツールと空気圧供給源との間に接続される空気圧配管図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1および図2に示されるように、ツール交換装置10は、マスターユニット11とツールユニット12とを備えており、ツールユニット12はマスターユニット11に着脱自在に装着される。マスターユニット11は、ほぼ円筒形状のマスターブロック13を有し、産業用ロボットのアームに取り付けられる。マスターブロック13はアルミニウム合金製である。マスターブロック13の外周面は円弧面14aと平坦なコネクタ取付面14bとによって形成されている。図において上面は、ロボットアーム等に取り付けられる取付面15であり、取付面15に対向する下面はツールユニット12が装着される装着面16である。マスターユニット11は、ツールを移動するためのロボットアームのような、移動部材に対して取り付けられる。
【0016】
貫通孔が設けられた移動部材にマスターユニット11をボルト等の雌ねじを有する固定用部材で取り付けるために、4つのねじ孔17が取付面15に開口してマスターブロック13に設けられている。それぞれのねじ孔17はマスターブロック13の中心軸Oから同一半径位置に、円周方向に90度置きに設けられている。一方、雌ねじが設けられた移動部材にマスターユニット11を取り付けるために、4つのボルト取付孔18が取付面15に開口してマスターブロック13に設けられている。それぞれのボルト取付孔18は段付き孔であり、中心軸Oから同一半径位置に、円周方向に90度置きに設けられている。このように、マスターユニット11はねじ孔17またはボルト取付孔18により移動部材に取り付けられる。移動部材にマスターユニット11を取り付けるときの円周方向の位置決めのために、ロボットアームに設けられた位置決めピンが挿入される位置決め孔19a、19bが取付面15に開口してマスターブロック13に形成されている。
【0017】
ツールユニット12はほぼ環状のツールブロック21を有し、ツールユニット12には、ワークを把持したり加工したりするツールが取り付けられる。ツールの一例としては、空気圧チャックやエアドリルや電動ドリル等がある。空気圧チャックは、空気圧によりフィンガー部材を開閉動作させてワークを把持する。エアドリルや電動ドリルは、ワークに穴あけ加工をする。
【0018】
ツールブロック21はアルミニウム合金製である。ツールブロック21の外周面は円弧面22aと平坦なコネクタ取付面22bとによって形成されている。図において上面は、マスターユニット11に突き当てられる突き当て面23であり、突き当て面23に対向する下面はツールが取り付けられる先端面24である。ツールを取り付けるために、4つのボルト取付孔25がツールブロック21を貫通して設けられており、それぞれのボルト取付孔25は段付き孔であり、ツールブロック21の中心軸Oから同一半径位置に円周方向に90度ずらして設けられている。
【0019】
ツールユニット12に空気圧アクチュエータが接続される場合には、空気圧アクチュエータに設けられるセンサスイッチ等の信号線は、コネクタ取付面22bに取り付けられるコネクタに接続される。ツールユニット12に電動ドライバなどの電動機器が接続される場合には、電動機器に設けられたエンコーダなどの出力信号線や、電動機器に取り付けられるモータの駆動信号線は、コネクタ取付面22bに取り付けられるコネクタに接続される。
【0020】
ツールユニット12をマスターユニット11に装着するときに、ツールユニット12のマスターユニット11に対する円周方向の位置決めを行うために、図2に示されるように、2本の位置決めピン26a、26bがマスターブロック13に取り付けられている。それぞれの位置決めピン26a、26bは鋼材により形成され、それぞれの中心軸O1、O2は中心軸Oを中心に円周方向に180度ずれている。それぞれの位置決めピン26a、26bはマスターブロック13から突出する嵌合部27a、27bを有しており、嵌合部27a、27bは先端面が基端部よりも細くなるように傾斜していて、全体的にテーパ面である。位置決めピン26a、26bが挿入される位置決め孔28a、28bがツールブロック21に設けられている。位置決め孔28a、28bの大径部には鋼材からなるブッシュ29a、29bが取り付けられており、位置決めピン26aの嵌合部27aはブッシュ29aの嵌合孔29cに嵌合され、位置決めピン26bの嵌合部27bはブッシュ29bの嵌合孔29dに嵌合される。これにより、ツールユニット12はマスターユニット11に対して所定の円周方向位置に位置決めされる。位置決めピン26a、26bの中心軸O1、O2は、嵌合孔29c、29dの中心軸と同軸である。位置決めピン26a、26bの嵌合部27a、27bをテーパ面とすることで、位置決めピン26a、26bが位置決め穴28a、28bから抜けやすくなり、ツールユニット12をマスターユニット11から容易に取り外すことができる。
【0021】
一方の位置決めピン26aを第1の位置決めピンとし、他方のピン26bを第2の位置決めピンとすると、図3に示されるように、第1の位置決めピン26aの嵌合部27aの基端部側の断面は円形である。これに対して、第2の位置決めピン26bの嵌合部27bの基端部側の断面は略ひし形であり、4つの平坦面30を有している。
【0022】
図3に示されるように、中心軸Oに直交するとともに位置決めピン26aの中心軸O1に直交する径方向線をRとする。径方向線Rは位置決めピン26bの中心軸O2にも直交しており、径方向線Rを中心に隣り合う2つの平坦面30は交差している。径方向線Rの方向の嵌合部27bの基端部の距離dは、径方向線Rに直角な方向の嵌合部27bの基端部の直径Dよりも短く設定されている。直径Dは嵌合孔29dの突き当て面23側の内径と一致しており、距離dは嵌合孔29dの突き当て面23側の内径よりも僅かに小さい。例えば、距離dは直径Dよりも0.1mm程度小径に設定されている。
【0023】
したがって、第2の位置決めピン26bの嵌合部27bと嵌合孔29dとの間には、差(D-d)に応じた隙間が形成される。隙間は、ピストン41の中心軸Oと第1の位置決めピン26aの中心軸O1に交差する径方向線Rに沿う方向に形成される。これに対して、切欠き面30が設けられていない円弧部30aの直径は嵌合孔29dと同一径である。つまり、第1の位置決めピン26aの中心軸O1と第2の位置決めピン26bの中心軸O2との間に径方向の寸法誤差が存在していても、第1の位置決めピン26aを基準として、第2の位置決めピン26bが径方向線Rの方向に移動する。これにより、ツールユニット12とマスターユニット11とを組み合わせるとき、中心軸O1、中心軸O2との間の径方向の寸法誤差を吸収することができる。
【0024】
図2に示されるように、小径孔31が装着面16に開口してマスターブロック13に形成されている。小径孔31よりも内径が大きい大径孔32が、取付面15に開口してマスターブロック13に形成されている。大径孔32は小径孔31と同軸であり、小径孔31に連通している。第1の段差面33が小径孔31と大径孔32の間に形成されている。ボールホルダ34がマスターブロック13に取り付けられている。ボールホルダ34は、円筒部35とフランジ部36とを備えており、円筒部35は装着面16から突出している。円筒部35の内面35aと外面35bとの間を径方向に貫通する複数のボール支持孔37が円筒部35に形成されている。それぞれのボール支持孔37は、外面35bから内面35aに向けて内径が大きくなるように傾斜したテーパ面である。それぞれのボール支持孔37の中心軸は、装着面16に平行な同一面に設けられている。それぞれのボール支持孔37に鋼材からなるボール38が保持されている。
【0025】
円筒部35を小径孔31に圧入することにより、ボールホルダ34はマスターブロック13に固定される。ボールホルダ34をマスターブロック13に取り付けるときには、大径孔32が開口された取付面15の側からボールホルダ34が大径孔32に挿入され、次いで円筒部35が小径孔31に圧入される。フランジ部36の径よりも大径の大径孔32が取付面15に開口しており、ボールホルダ34は取付面15側から挿入されるので、ボールホルダ34を取付面15側から容易に挿入することができる。したがって、ボールホルダ34の円筒部35を小径孔31に容易に圧入することができる。
【0026】
このように、ボールホルダ34をマスターブロック13に圧入により固定するようにしたので、フランジ部36をボルトによりマスターブロック13に固定する場合に比して、マスターブロック13およびフランジ部36の径を小径とすることができるとともに、マスターユニット11を軽量とすることができる。これにより、ツール交換装置10の小型化と軽量化とが達成され、ツール交換装置10をロボットアーム等の移動部材により迅速に高速移動することが可能となった。
【0027】
ピストン41が大径孔32に軸方向に往復動自在に組み込まれている。ピストン41の先端側に鋼材からなるロッド部42が一体に設けられ、ボール駆動部43がロッド部42に取り付けられている。ロッド部42の中心軸はマスターブロック13の中心軸Oと一致している。ロッド部42とボール駆動部43はボールホルダ34の円筒部35内に挿入され、ロッド部42と円筒部35の間はシール部材40によりシールされている。ピストン41とフランジ部36との間で第1の加圧室44が形成されている。ヘッドカバー45が大径孔32の取付面15側に取り付けられている。ヘッドカバー45は止めリング46によりマスターブロック13に固定されており、止めリング46は大径孔32に形成された環状溝に装着される。ヘッドカバー45とピストン41との間で第2の加圧室47が形成されている。ヘッドカバー45とピストン41との間には、圧縮コイルばね48が装着され、圧縮コイルばね48によりピストン41にはボールホルダ34の先端面に向かう方向つまり前進方向のばね力が付勢されている。
【0028】
第2の加圧室47に圧縮空気を供給すると、ピストン41を前進させる方向の空気の圧力がばね力に加えて付勢され、ピストン41は前進限位置つまり第1の位置にまで駆動される。一方、第1の加圧室44に圧縮空気を供給すると、ピストン41を後退させる方向の空気の圧力がばね力に抗して付勢され、ピストン41は後退限位置つまり第2の位置にまで駆動される。環状溝51が段差面33に形成され、環状溝51にはOリング52が設けられている。Oリング52は、段差面33とフランジ部36との間をシールし、第1の加圧室44に供給された圧縮空気がボールホルダ34とマスターブロック13との間から漏出することを防止する。ピストン41の外周面と大径孔32との間をシールするために、ピストン41にはシール部材53が設けられている。また、ヘッドカバー45の外周面と大径孔32との間をシールするために、ヘッドカバー45にはシール部材54が設けられている。
【0029】
ボール駆動部43は、外周面が中心軸Oに平行となった小径の先端部43aと、先端部43aからロッド部42側の基端部に向けて漸次大径となった駆動面43bとを有している。さらに、ボール駆動部43は、駆動面43bから基端部に向けて大径部43cを介して基端部に向けて漸次大径となったロック面43dを有している。図2においては、ピストン41が後退限位置まで駆動され、ヘッドカバー45に接触した状態が示されている。このときは、ボール駆動部43の先端部43aと駆動面43bとがボール38に接触し、ボール38が円筒部35の内部に落下するのが防止される。
【0030】
図2に示されるように、挿入孔55が突き当て面23に開口してツールブロック21に形成されている。挿入孔55よりも内径が大きい収容孔56が、先端面24に開口してツールブロック21に形成されており、収容孔56は挿入孔55と同軸であり、挿入孔55に連通している。第2の段差面57が挿入孔55と収容孔56との間に形成されている。鋼材からなる係合リング58がツールブロック21に取り付けられている。係合リング58を収容孔56に圧入することにより、係合リング58はツールブロック21に固定される。係合リング58をツールブロック21に取り付けるときには、収容孔56の先端側部56aから係合リング58が収容孔56に圧入され、段差面57に突き当てられる。先端側部56aは収容孔56よりも大径となっているので、係合リング58を先端側部56a内に容易に挿入することができ、係合リング58の収容孔56への圧入作業を容易に行うことができる。
【0031】
このように、係合リング58をツールブロック21に圧入により固定するようにしたので、係合リング58をボルトによりツールブロック21に固定する場合に比して、係合リング58の径を小径とすることができるとともに、ツールユニット12を軽量にすることができる。これにより、ツール交換装置10の小型化と軽量化とが達成され、ツール交換装置10をロボットアーム等の移動部材により迅速に高速移動することが可能となった。
【0032】
係合リング58は、小径部58aを介して突き当て面23側のボールガイド面58bと、その反対側のボール係合面58cとを有している。ボールガイド面58bはボール係合面58cに向けて小径となるように傾斜したテーパ形状であり、ボール係合面58cはボールガイド面58bに向けて小径となるように傾斜したテーパ形状である。ボールガイド面58bとボール係合面58cは傾斜方向が逆である。
【0033】
図2に示されるように、第1の加圧室44に圧力が供給されてピストン41が第2の位置となって、ピストン41がヘッドカバー45に接触した状態のもとでは、ボール38はボール駆動部43の先端部43aと駆動面43bとに接触しており、円筒部35の外面35bよりも径方向外方には突出していない。ボール38は径方向外方に移動可能である。この状態のもとで、ツールユニット12とマスターユニット11とを接近させて、それぞれの嵌合部27a、27bをブッシュ29a、29bに嵌合させるとともに、ボールホルダ34の円筒部35を係合リング58の内部に挿入すると、図4に示されるように、ツールブロック21の突き当て面23は、マスターブロック13の装着面16に突き当てられる。円筒部35を係合リング58に挿入するときに、ボール38の一部がボール支持孔37から径方向外方に突出していたとしても、ボール38はボールガイド面58bにより、径方向内方にガイドされる。
【0034】
2本の位置決めピン26a、26bの中心軸O1、O2の間の距離に加工誤差が発生していても、位置決めピン26aの嵌合部27aと嵌合孔29cとの嵌合によりマスターブロック13とツールブロック21との基準位置が設定される。そして、隙間内における位置決めピン26bの径方向移動により加工誤差が吸収されて、容易にマスターブロック13とツールブロック21とを組み合わせることができる。実施の形態においては、位置決めピン26bに切欠き面30を設けることにより、隙間を形成しているが、嵌合孔29dの一部を切り欠くことにより、同様の隙間を形成するようにしても良い。
【0035】
図4に示される状態のもとで、第2の加圧室47に圧縮空気を供給すると、圧縮コイルばね48のばね力と圧縮空気の圧力とにより、ピストン41は、前進方向つまり図4において下方に駆動される。ピストン41がこの方向に駆動されると、図5に示されるように、まず、ボール駆動部43の駆動面43bによりボール38は径方向外側に押し出される。つぎに、ボール駆動部43の移動によりボール38は、ロック面43dにより径方向外側に押し出されてボール係合面58cに押し付けられる。これにより、ツールユニット12はマスターユニット11にボール38を介して締結される。このときには、ピストン41およびロッド部42の中心軸Oは、係合リング58の中心軸Oと一致した状態となる。
【0036】
ツールユニット12がマスターユニット11に締結されたときには、ボールホルダ34には図5において下方に向かう引き抜き方向の力が加わるが、フランジ部36が段差面33に接触することにより、ボールホルダ34が抜けることはない。同様に、係合リング58には図5において上方に向かう引き抜き方向の力が加わるが、係合リング58が段差面57に接触することにより、係合リング58が抜けることはない。
【0037】
図7図6におけるB-B線断面図であり、第1の加圧室44に連通する第1の給排ポート61と、第2の加圧室47に連通する第2の給排ポート62がマスターブロック13に形成されている。それぞれの給排ポート61、62に接続される給排管61a、62bは、図8に示されるように、電磁弁63に接続されており、この電磁弁63の給気ポートには空気圧供給源64が接続されている。
【0038】
図1に示されるように、ツール側の空気流路65~68がツールブロック21に形成されている。それぞれのツール側の空気流路65~68に連通するマスター側の空気流路71~74が、図6において破線で示されるように、マスターブロック13に形成されている。図9図6におけるC-C線断面図であり、ツールブロック21に形成された空気流路66と、マスターブロック13に形成されて空気流路66に連通する空気流路72とが示されている。
【0039】
パッキン取付孔75が、マスター側の空気流路72のうちツール側の端部つまり連通端部に形成されており、円筒形状のパッキン取付孔75にはパッキン76が装着される。他のマスター側の空気流路71、73、74の連通端部にも同様にパッキン取付孔75が形成され、それぞれのパッキン取付孔75にパッキン76が装着される。
【0040】
図10(A)はパッキン76がパッキン取付孔75に装着される前の状態を示す断面図であり、図10(B)はパッキン76がパッキン取付孔75に装着された状態を示す。パッキン76の外周面は、パッキン取付孔75とほぼ同一径の小径部77と、これよりも大径の加圧密着部78とを有している。加圧密着部78はパッキン76の基端部側に設けられている。パッキン76をパッキン取付孔75に装着すると、加圧密着部78は小径部77よりも径方向に大きく収縮変形してパッキン取付孔75に加圧された状態で密着する。
【0041】
パッキン76の先端部は尖った突出部79であり、パッキン76をパッキン取付孔75に装着したときには、図10(B)に示されるように、マスターブロック13の装着面16よりも突出している。マスターユニット11とツールユニット12とを組み合わせると、図9に示されるように、突出部79はツールブロック21の突き当て面23により軸方向に押し潰されて突き当て面23に密着する。このように、パッキン76は基端部側が大きく収縮するように弾性変形し、先端の突出部79が軸方向に収縮するように弾性変形し、装着面16と突き当て面23との間からの空気の漏れが防止される。
【0042】
図9は、パッキン76がマスターブロック13に装着されたマスターユニット11を示しているが、パッキン取付孔75をツールブロック21に形成すると、パッキン76がツールブロック21に装着された形態となる。このように、パッキン76はマスターブロック13とツールブロック21の一方に設けられる。
【0043】
図11は、ツールユニット12にツールとしてのハンドつまりチャック81が取り付けられた状態を示す。チャック81はアダプタ82に取り付けられており、アダプタ82は図9に示したボルト取付孔25に取り付けられる図示しないボルトによりツールブロック21の先端面24に取り付けられる。チャック81は、ピストン83が往復動自在に組み込まれるシリンダ84を有し、シリンダ84に開閉自在に設けられたフィンガー部材85は、ピストン83の往復動により開閉駆動される。ピストン83の両側には前進用の圧力室86と後退用の圧力室87が設けられている。前進用の圧力室86に圧縮空気を供給すると、ピストン83が前進移動してフィンガー部材85は開かれる。一方、後退用の圧力室87に圧縮空気を供給すると、ピストン83が後退移動してフィンガー部材85は閉じられる。
【0044】
シリンダ84に接続された配管88は、前進用の圧力室86に連通し、シリンダ84に接続された配管89は、後退用の圧力室87に連通している。配管88は空気流路65のポート65aに連通しており、配管89は空気流路66のポート66aに連通している。ツール側の空気流路65は、マスター側の空気流路71に連通しており、この空気流路71のポート71aがマスターブロック13の外周面に開口している。ツール側の空気流路66は、マスター側の空気流路72に連通しており、この空気流路72のポート72aはマスターブロック13の外周面に開口している。
【0045】
図11に示されるように、マスターブロック13に接続される配管91は、ポート71aに連通し、マスターブロック13に接続される配管92は、ポート72aに連通している。それぞれの配管91、92と空気圧供給源64aとの間には、電磁弁63aが設けられている。電磁弁63aによりポート71aに圧縮空気を供給すると、ポート65aから配管88により前進用の圧力室86に圧縮空気が供給される。一方、ポート72aに圧縮空気を供給すると、ポート66aから配管89により後退用の圧力室87に圧縮空気が供給される。後退用の圧力室87に圧縮空気を供給すると、フィンガー部材85が閉じられて、フィンガー部材85により図示しない被搬送物を掴むことができる。前進用の圧力室86に圧縮空気を供給すると、フィンガー部材85が開かれて、掴まれていた被搬送物はフィンガー部材85から離れる。
【0046】
前進用の圧力室86内に圧縮コイルばねを組み込むと、後退用の圧力室87への圧縮空気の供給と排出とにより、フィンガー部材85を開閉動作させることができる。その場合には、配管88は使用されない。
【0047】
ツール側の空気流路67、68にそれぞれ連通してマスター側に設けられた空気流路73、74についても、他のツールに対して圧縮空気を供給することができる。
【0048】
ツールユニット12には、上述のようにツールが先端面に取り付けられるようになっており、それぞれ種々のツールが取り付けられた複数のツールユニットが図示しない支持台に配置されている。ロボットハンドには予めマスターユニット11が取り付けられており、ロボットが行う作業に応じて特定のツールユニットがマスターユニットに取り付けられる。ツールユニットが取り付けられたロボットアームは、ツール交換装置10を移動させることにより、種々の作業を行う。ツール交換装置10が小型軽量化されており、ロボットアームはツール交換装置10を高速で移動させることができる。
【0049】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。ツールとしては、空気圧のみならず、電動ドリルのように電力を駆動源とするものもツールユニットに装着することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
ツール交換装置は、ツールが取り付けられるツールユニットを、ロボットアーム等の移動部材に装着するために使用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11