(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】発射の完了に基づいて力が低減されるカートリッジ本体の設計
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A61B17/072
(21)【出願番号】P 2020524085
(86)(22)【出願日】2018-10-26
(86)【国際出願番号】 US2018057635
(87)【国際公開番号】W WO2019089358
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-11
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ディナルド・ブライアン・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ハンター・モーガン・アール
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-213752(JP,A)
【文献】特開2015-217308(JP,A)
【文献】特表2016-506828(JP,A)
【文献】国際公開第2019/130087(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
スレッドと、
エンドエフェクタであって、
第1のジョーと、
前記第1のジョーに対して可動である第2のジョーと、
アンビルと、
ステープルカートリッジであって、
近位端と、
遠位端と、
カートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体内に支持されたステープルと、
ステープルドライバであって、前記スレッドが、前記ステープルドライバを第1の位置から第2の位置へと動かすことによって、前記カートリッジ本体から前記ステープルを展開するように構成されている、ステープルドライバと、を有する、ステープルカートリッジと、
前記ステープルカートリッジを取り外し可能に保持するように構成されたカートリッジチャネルであって、前記ステープルドライバが前記第1の位置にある状態では、前記カートリッジチャネルから前記ステープルカートリッジを取り外すために第1の負荷が必要とされ、前記ステープルドライバが前記第2の位置にある状態では、前記カートリッジチャネルから前記ステープルカートリッジを取り外すために前記第1の負荷よりも小さい第2の負荷が必要とされる、カートリッジチャネルと、を含む、エンドエフェクタと、を含む、外科用器具。
【請求項2】
前記ステープルを展開するために前記スレッドが前記近位端と前記遠位端との間で可動である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記スレッドが前記遠位端に向かって移動する際、前記第1の負荷が前記第2の負荷まで低減される、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記カートリッジ本体が、前記ステープルドライバの前記第1の位置に対応する窓を含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記ドライバが前記第1の位置にある間、前記ステープルドライバに対して押し当てられるように構成された保持部材を更に含む、請求項4に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記保持部材は、前記ステープルドライバが前記第1の位置にある間、前記ドライバによって付勢形態に維持される、請求項5に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記保持部材は、前記ステープルドライバが前記第2の位置に移動される際に弱付勢形態に復帰するように構成されている、請求項6に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記保持部材が戻り止めを含み、前記カートリッジチャネルは、前記ステープルドライバが前記第1の位置にある間、前記戻り止めを受容するように構成された溝を含む、請求項7に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記ステープルドライバが前記第2の位置にある間、前記戻り止めが前記溝から少なくとも部分的に除かれる、請求項8に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記戻り止めが第1の戻り止めであり、前記保持部材は、前記ステープルドライバが前記第1の位置にある間、前記ステープルドライバによって支持可能な第2の戻り止めを含む、請求項9に記載の外科用器具。
【請求項11】
外科用器具のカートリッジチャネルに取り外し可能に取り付け可能なステープルカートリッジであって、
近位端と、
遠位端と、
カートリッジ本体であって、
前記近位端と前記遠位端との間に延びるデッキと、
前記デッキに対して位置付けられた組織内に展開可能なステープルと、
前記カートリッジ本体から前記ステープルを展開するために第1の位置と第2の位置との間で可動であるステープルドライバと、
前記ステープルドライバが前記第1の位置にある間、前記ステープルドライバに対して位置付けられる可撓性部分と、を含む、カートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体に取り付けられたリテーナであって、前記リテーナは、前記可撓性部分に対して位置付けられた弾性部材を含み、前記可撓性部分は、前記ステープルドライバが前記第1の位置にある間、前記弾性部材を付勢形態に維持するように構成されている、リテーナと、を含む、ステープルカートリッジ。
【請求項12】
前記ステープルドライバの前記第1の位置から前記第2の位置への移動によって前記可撓性部分が撓曲し、これにより、前記弾性部材が弱付勢形態に復帰する、請求項11に記載のステープルカートリッジ。
【請求項13】
前記弾性部材が、前記付勢形態において前記カートリッジチャネルから前記ステープルカートリッジを取り外すための発射前負荷を維持するように構成された戻り止めを含む、請求項12に記載のステープルカートリッジ。
【請求項14】
前記戻り止めが、前記弱付勢形態において前記カートリッジチャネルから前記カートリッジを取り外すための発射後負荷を維持するように構成されており、前記発射後負荷が前記発射前負荷よりも小さい、請求項13に記載のステープルカートリッジ。
【請求項15】
前記ステープルドライバが前記第1の位置にある間、前記可撓性部分が前記ステープルドライバと前記弾性部材との間に位置付けられる、請求項11に記載のステープルカートリッジ。
【請求項16】
前記リテーナが、底面と、前記底面から延びる側壁とを含み、前記弾性部材が前記側壁内に画定され、前記弾性部材が前記
底面から離間している、請求項11に記載のステープルカートリッジ。
【請求項17】
前記カートリッジ本体が側壁を更に含み、前記可撓性部分が前記側壁内に画定されている、請求項11に記載のステープルカートリッジ。
【請求項18】
外科用器具であって、
スレッドと、
エンドエフェクタであって、
第1のジョーと、
前記第1のジョーに対して可動である第2のジョーと、
アンビルと、
ステープルカートリッジであって、
近位端と、
遠位端と、
カートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体内に支持されたステープルであって、前記スレッドが可動であることにより前記ステープルカートリッジと前記アンビルとの間に捕捉された組織に対して前記カートリッジ本体から前記ステープルを展開する、ステープルと、を含む、ステープルカートリッジと、
前記ステープルカートリッジを取り外し可能に保持するように構成されたカートリッジチャネルであって、前記カートリッジチャネルから前記ステープルカートリッジを取り外すために負荷が必要であり、前記スレッドは、前記カートリッジ取り外し負荷を低減するように構成されている、カートリッジチャネルと、を含む、エンドエフェクタと、を含む、外科用器具。
【請求項19】
前記スレッドが、前記近位端に隣接した第1の位置から、前記遠位端に隣接した第2の位置まで可動であることにより前記ステープルを展開する、請求項18に記載の外科用器具。
【請求項20】
前記カートリッジ取り外し負荷が、前記スレッドの移動時に低減される、請求項19に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科用器具に関し、また、様々な状況において、組織をステープル留めし、切断するために設計された、外科用ステープル留め及び切断器具並びにそれらと共に使用するためのステープルカートリッジに関する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
本明細書に記載する実施形態の様々な特徴は、それらの利点と共に、以下の添付図面と併せて以下の説明によって理解することができる。
【
図1】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具の斜視図である。
【
図2】組み立てられていない形態にある
図1の外科用器具の交換式シャフトアセンブリの部分斜視図及びハンドルの斜視図である。
【
図3】
図1の外科用器具のエンドエフェクタの斜視図である。
【
図4】
図3のエンドエフェクタのステープルカートリッジ及びカートリッジチャネルの分解図である。
【
図5】
図1の外科用器具のステープルカートリッジの部分図である。
【
図6】スレッドが近位位置に仮想線で示された、
図1の外科用器具のカートリッジチャネルと組み立てられたステープルカートリッジを示す。
【
図7】スレッドが遠位位置に仮想線で示された、
図1の外科用器具のカートリッジチャネルと組み立てられたステープルカートリッジを示す。
【
図12】本開示の少なくとも1つの態様による、ステープルカートリッジ及びカートリッジチャネルの分解図である。
【
図14】スレッドが近位位置に仮想線で示された、
図1の外科用器具のカートリッジチャネルと組み立てられたステープルカートリッジを示す。
【
図15】スレッドが遠位位置に仮想線で示された、
図1の外科用器具のカートリッジチャネルと組み立てられたステープルカートリッジを示す。
【発明を実施するための形態】
【0003】
明細書に記載され、添付の図面に示されるように、実施形態の全体的な構造、機能、製造、及び使用の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が説明される。周知の動作、構成要素、及び要素は、本明細書に記載される実施形態を不明瞭にしないようにするため、詳細に記載されていない。読者は、本明細書に記載され図示された実施形態は、非限定的な例であり、したがって本明細書に開示された特定の構造的及び機能的詳細は、代表的及び例示的であり得ることを、理解するであろう。特許請求の範囲から逸脱することなく、それに対する変形及び変更を行うことができる。
【0004】
用語「備える(comprise)」(「comprises」及び「comprising」など、compriseの任意の語形)、「有する(have)」(「has」及び「having」など、haveの任意の語形)、「含む(include)」(「includes」及び「including」など、includeの任意の語形)、及び「含有する(contain)」(「contains」及び「containing」など、containの任意の語形)は、オープンエンドの連結動詞である。結果として、1つ以上の要素を「備える」、「有する」、「含む」、若しくは「含有する」外科用システム、デバイス、又は装置は、それらの1つ以上の要素を有するが、それらの1つ以上の要素のみを有することに限定されない。同様に、1つ以上の特徴を「備える」、「有する」、「含む」、若しくは「含有する」、システム、デバイス、又は装置の要素は、それらの1つ以上の特徴を有するが、それらの1つ以上の特徴のみを有することに限定されない。
【0005】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0006】
腹腔鏡下及び低侵襲性の外科手術を行うための、様々な例示的なデバイス及び方法が提供される。しかしながら、本明細書に開示される様々な方法及びデバイスが、例えば開腹外科手術と関連するものを含む、多くの外科手術及び用途で使用され得ることが、読者には容易に理解されよう。本明細書の「発明を実施するための形態」を読み進めることで、読者は、本明細書に開示される様々な器具が、例えば、もとからある開口部を通じて、組織に形成された切開又は穿刺穴を通じてなど、任意の方法で体内に挿入され得ることを更に理解するであろう。これらの器具の作用部分すなわちエンドエフェクタ部分は、患者の体内に直接に挿入することもでき、又は、外科用器具のエンドエフェクタ及び細長いシャフトを進めることが可能な作用通路を有するアクセスデバイスを通じて挿入することもできる。
【0007】
本開示の様々な態様を、直線状ステープラに関連して本明細書で説明したが、これらの態様は、例えば、円形ステープラ及び/又は湾曲ステープラなどの他の外科用ステープラにおいて同様に実施することができる。また、本開示の様々な態様を手持ち式器具に関連して説明しているが、これらの態様は、ロボット外科用システムにおいて同様に実施することができる。様々な適当なロボット外科用システムが、参照によりその開示内容全体が本明細書に組み込まれる、2011年5月27日付けで出願された米国特許出願公開第2012/0298719号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」、現在は米国特許第9,072,535号に開示されている。
【0008】
主に
図1~
図3を参照すると、外科用ステープル留めシステム10は、シャフト11、及びシャフト11から延びるエンドエフェクタ12を備えている。エンドエフェクタ12は、第1のジョー14及び第2のジョー15を有している。第1のジョー14は、ステープルカートリッジ16を有している。ステープルカートリッジ16は、第1のジョー14のカートリッジパン又はチャネル17内に挿入可能及びそれらから取り外し可能であるが、ステープルカートリッジ16が第1のジョー14から取り外し可能でない又は少なくとも容易に交換可能でないその他の実施形態が想到される。第2のジョー15は、ステープルカートリッジ16から射出されたステープルを変形させるよう構成されたアンビル18を含んでいる。第2のジョー15は、閉鎖軸を中心として第1のジョー14に対して枢動可能であるが、第1のジョー14が第2のジョー15に対して枢動可能であるその他の実施形態も想到される。外科用ステープル留め器具10は、エンドエフェクタ12がシャフト11に対して回転される又は関節運動されることができるように構成された関節運動継手20を更に有する。エンドエフェクタ12は、関節運動継手20を通って延びる関節運動軸を中心として回転可能である。関節運動継手を含まない他の実施形態も想到される。
【0009】
図2を参照すると、様々な実施例において、外科用ステープル留め器具10は、臨床医が把持し、操作し、作動させるように構成されたハンドルアセンブリ35を備えたハウジング34を有している。ハウジング34は、エンドエフェクタ12及びシャフト11の少なくとも一部分を含む交換式シャフトアセンブリ36に動作可能に取り付けられるように構成されている。本開示によれば、様々な形態の交換式シャフトアセンブリを、ロボット制御された外科用システム及び手持ち式装置と共に効果的に使用することができる。「ハウジング」という用語は、交換式シャフトアセンブリを作動させるために利用できる少なくとも1つの制御運動を生成及び加えるように構成された少なくとも1つの駆動システムを収容するか又は別の方法で動作可能に支持する、ロボットシステムのハウジング又は類似部分を包含することができる。「フレーム」という用語は、手持ち式外科用器具の一部分を指してもよい。「フレーム」という用語はまた、ロボット制御式の外科用器具の一部分、及び/又は外科用器具を動作可能に制御するために使用され得るロボットシステムの一部分を表す場合もある。交換式シャフトアセンブリは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,072,535号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」に開示されている、様々なロボットシステム、器具、構成要素、及び方法と共に用いられてもよい。
【0010】
図3及び
図4を参照すると、ステープルカートリッジ16は、カートリッジ本体21を有している。カートリッジ本体21は、近位端22、遠位端23、及び近位端22と遠位端23との間に延びるデッキ24を有している。使用に際し、ステープルカートリッジ16はステープル留めされる組織の第1の側に位置付けられ、アンビル18は組織の第2の側に位置付けられる。アンビル18がステープルカートリッジ16に向かって動かされ、組織をデッキ24に対して圧縮してクランプする。その後、カートリッジ本体21に取り出し可能に格納されたステープル25(
図7)を組織内に展開することができる。カートリッジ本体21にはステープルキャビティ26が画定され、ステープル25はステープルキャビティ26内に取り出し可能に格納されている。ステープルキャビティ26は、6本の長手方向の列に配列されている。ステープルキャビティ26の3本の列は、長手方向スロット27の第1の側に位置付けられ、ステープルキャビティ26の3本の列は、長手方向スロット27の第2の側に位置付けられている。ステープルキャビティ26及びステープル25の他の配列も可能であり得る。
【0011】
ステープル25は、カートリッジ本体21内のステープルドライバ28によって支持されている。ステープルドライバ28は、ステープル25をステープルキャビティ26から射出するために、第1の、すなわち未発射位置と、第2の、すなわち発射済み位置との間で可動である。ステープルドライバ28は、パン又はリテーナ30によってカートリッジ本体21内に保持され、リテーナは、カートリッジ本体21の下部の周囲に延び、カートリッジ本体21を握把しかつリテーナ30をカートリッジ本体21に対して保持するように構成された弾性の部材31を含む。ステープルドライバ28は、スレッド32によってそれらの未発射位置とそれらの発射済み位置との間で可動である。スレッド32は、近位端22に隣接した近位位置40(
図6)と遠位端23に隣接した遠位位置41(
図7)との間で可動である。スレッド32は、ステープルドライバ28の下を摺動して、ステープルドライバ28及びその上に支持されたステープル25を、アンビル18の方向に持ち上げるように構成された複数の傾斜表面33を有している。
【0012】
上記に加えて、スレッド32は、発射部材160(図示せず)によって遠位方向に動かされる。発射部材は、スレッド32と接触してスレッド32を近位端22に隣接した近位位置40(
図6)から遠位端23に隣接した遠位位置41(
図7)に向かって押すように構成されている。カートリッジ本体21内に画定された長手方向スロット27は、発射部材を受容するように構成されている。アンビル18も発射部材を受容するように構成されたスロット(図示せず)を有している。発射部材は、第1のジョー14に係合する第1のカムと、第2のジョー15に係合する第2のカムとを更に有する。発射部材が遠位方向に前進させられる際、第1のカムと第2のカムとは、ステープルカートリッジ16のデッキ24とアンビル18との間の距離、すなわち組織隙間を調節することができる。発射部材はまた、ステープルカートリッジ16とアンビル18との間に捕捉された組織を切除するように構成されたナイフも有する。
【0013】
発射部材によってステープルカートリッジからステープルを適切に展開するには、ステープルカートリッジがカートリッジチャネル内に適切に保持されている必要がある。したがって、支障なく発射が行われるためにはステープルカートリッジがカートリッジチャネルに堅く固定されることが望ましい。しかしながら、ステープルカートリッジが発射された後、ユーザは、カートリッジチャネルに堅く固定された発射済みのステープルカートリッジを取り外すのに苦労する場合がある。本開示は、未発射のステープルカートリッジとカートリッジチャネルとの堅い取り付けを確実とするための様々な機構であって、この堅い取り付けが発射機構によって緩められるか又は弱められることによって発射済みのステープルカートリッジの取り外しを容易にする機構を提供するものである。様々な実施例において、堅い取り付けは、発射プロセスの最終段階で緩められるか、又は弱められる。様々な実施例において、堅い取り付けは、最も遠位側のステープル群の発射中に緩められるか、又は弱められる。様々な実施例において、取り付けは、スレッド32がステープルカートリッジ16の遠位端23に隣接する際に緩められるか、又は弱められる。
【0014】
様々な実施例において、ステープルカートリッジ16は、未発射のステープルカートリッジ16とカートリッジチャネル17との堅い取り付けを確実とするように構成された1つ以上の保持部材を含む。保持部材をステープルカートリッジ16の発射中に動かすか又は他の形で修正することによって、発射済みのステープルカートリッジ16とカートリッジチャネル17との取り付けを弱めることができる。取り付けが弱められることで、ユーザが発射済みのステープルカートリッジ16をカートリッジチャネル17から容易に取り外すことができる。
【0015】
図4及び
図5に示される実施例では、ステープルカートリッジ16は、カートリッジチャネル17内に取り外し可能に着座される。ステープルカートリッジ16は、ステープルカートリッジ16の両側に2個の保持部材37を有している。保持部材37は、ステープルカートリッジ16とカートリッジチャネル17との堅い取り付けを維持するか、又は維持を助けるように構成されている。保持部材37は、リテーナ30の底面19から延びることができる。様々な実施例において、保持部材37はリテーナ30の壁39から離間しており、保持部材37が壁39に対して屈曲することが可能となっている。
図5に示される実施例では、保持部材37は、スリット48によって壁39から分離されている。
【0016】
各保持部材37は、未発射のステープルカートリッジ16における付勢形態(
図8)と、発射済みのステープルカートリッジ16における非付勢又は弱付勢形態(
図9)との間で可動な弾性部材の形態を有する。未発射のステープルカートリッジ16では、保持部材37は、カートリッジチャネル17と係合するように付勢されることで、発射前カートリッジ取り外し負荷を維持するか又は維持を助ける。未発射のステープルカートリッジ16をカートリッジチャネル17から分離するには発射前カートリッジ取り外し負荷以上の負荷が必要とされる。
【0017】
発射済みのステープルカートリッジ16では、保持部材37間の係合は弱くなるか又はなくなり、発射前カートリッジ取り外し負荷よりも小さい発射後カートリッジ取り外し負荷が生じる。発射後カートリッジ取り外し負荷は、発射済みのステープルカートリッジ16をカートリッジチャネル17から容易に取り外すことを可能とする。
【0018】
主に
図4及び
図8を参照すると、各保持部材37は、カートリッジチャネル17の側壁46に画定された凹部又は溝45内に受容可能な第1の保持要素又は戻り止めを画定する第1の湾曲部分44を含んでいる。第1の湾曲部分44は、保持部材37が付勢形態にある間、溝45内に保持される。各保持部材37は、保持部材37が付勢形態にある間に少なくとも1つのステープルドライバ28に対して押し当てられるように構成された第2の保持要素戻り止めを画定する第2の湾曲部分47を更に含んでいる。カートリッジ本体21は、少なくとも1つのステープルドライバ28を露出させて第2の湾曲部分47が少なくとも1つのステープルドライバ28に対して押し当てられることを可能とする窓29を有している。様々な実施例において、各保持部材37は、底面19と交差する平面を画定し、第1の湾曲部分44は、この平面の第1の側に第1の戻り止めを画定し、第2の湾曲部分47は、この平面の第2の側に第2の戻り止めを画定する。
【0019】
図8及び
図10に示されるように、カートリッジチャネル17内に着座したステープルカートリッジ16が発射される前、保持部材37は、少なくとも1つのステープルドライバ28によって側壁46の方向に干渉距離(d1)だけ付勢され、これにより第1の湾曲部分44が溝45内に固定され、発射前カートリッジ取り外し負荷が生じる。
【0020】
しかしながら、発射時には、スレッド32(
図7)が発射部材によって前進させられ、少なくとも1つのステープルドライバ28が保持部材37との係合状態から外れるか又は係合状態から少なくとも部分的に外れるように持ち上げられるか、又は動かされる。
図9及び
図11に示されるように、少なくとも1つのステープルドライバ28が取り除かれることで、保持部材37は非付勢形態、又は弱付勢形態に復帰し、これにより、第1の湾曲部分44が溝45との係合状態から外れるか、又は係合状態から少なくとも部分的に外れ、発射後カートリッジ取り外し負荷が生じる。
図11に示されるように、保持部材37は、干渉距離(d1)よりも小さい干渉距離(d2)だけ自然位置から付勢される。
【0021】
上記に述べたように、スレッド32は、ステープルドライバ28の下を摺動して、ステープルドライバ28及びその上に支持されたステープル25を、アンビル18の方向に持ち上げるように構成された複数の傾斜表面33を有している。
図10及び
図11に示されるように、スレッド32による第1の位置(
図10)から第2の位置(
図11)への少なくとも1つのステープルドライバ28の持ち上げは間隙49を形成するが、これは付勢形態、又は弱付勢形態の保持部材37によって直ちに占有される。
【0022】
いくつかの実施例では、第1の湾曲部分44は、非付勢形態で溝45内に部分的に挿入された状態に維持される。その結果、保持部材37は、発射後カートリッジ取り外し負荷に寄与する。しかしながら、他の実施例では、第1の湾曲部分44は、非付勢形態で溝45から完全に外れてもよい。他の実施例では、保持部材37は発射後カートリッジ取り外し負荷に寄与せず、発射後カートリッジ取り外し負荷は、ステープルカートリッジ16の壁39とカートリッジチャネル17との間の摩擦によって規定され得る。いくつかの実施例では、保持部材37の第1の湾曲部分44は、カートリッジチャネル17の側壁46内の2つの別個であるが隣接する溝内に受容される2つの隣接するが別個の湾曲部分に置き換えられる。このような実施例では、保持部材37の2つの湾曲部分は、付勢形態で側壁46の2つの溝内に固定されて、発射前カートリッジ取り外し負荷が生じる。しかしながら、非付勢形態では、2つの湾曲部分のうちの1つのみがその溝内に固定された状態となり、発射前カートリッジ取り外し負荷よりも小さい発射後カートリッジ取り外し負荷を生じる。
図8~
図11の実施例は、付勢形態において発射前カートリッジ取り外し負荷を生じ、非付勢形態、又は弱付勢形態においてより小さい発射後カートリッジ取り外し負荷を生じる弾性部材としての保持部材37を示している。しかしながら、他の実施例では、保持部材37は弾性部材である必要はない。いくつかの実施例では、保持部材37は、発射前カートリッジ取り外し負荷に対応する第1の位置、及びより小さい発射後カートリッジ取り外し負荷に対応する第2の位置から能動的に動かすことができる。少なくとも1つの実施例では、保持部材37は、ピンを中心として第1の位置と第2の位置との間で枢動するように構成されることができる。第1の位置では、第1の湾曲部分44は溝45内に固定されることができる。スレッド32、又は発射部材は、保持部材37を第1の位置から第2の位置へと動かすことで、例えば、第1の湾曲部分44が溝45との係合から外れるように構成されることができる。
【0023】
代替的な実施形態では、
図12~
図17の実施例に示すように、ステープルカートリッジ16と多くの点で類似しているステープルカートリッジ16’をカートリッジチャネル17内に取り外し可能に着座させることができる。しかしながら、ステープルカートリッジ16’は、付勢形態でステープルドライバ28に対して直接押し当てられない保持部材57を有している。
図16及び
図17に最も分かりやすく示されるように、保持部材57は、付勢形態において、ステープルカートリッジ16’のカートリッジ本体21の可撓性部分51に対して押し当てられるように構成されている。別の言い方をすれば、ステープルカートリッジ16’のステープルドライバ28は保持部材57に対して直接露出されないが、その代わりに、可撓性部分51を介して保持部材57に支持を与えるように構成されている。様々な実施例において、
図12に示すように、可撓性部分51は、カートリッジ本体21の側壁62にスリット61を形成することによって形成される。
【0024】
ステープルカートリッジ16と同様、ステープルカートリッジ16’は、ステープルカートリッジ16’の両側に2個の保持部材57を有している。保持部材57は、ステープルカートリッジ16’とカートリッジチャネル17との堅い取り付けを維持するか、又は維持を助けるように構成されている。ステープルカートリッジ16の保持部材37とは異なり、ステープルカートリッジ16’の保持部材57はリテーナ30の底面19から延びていない。反対に、保持部材57はスリット58によって底面19から分離されている。その代わりに、保持部材57は底面19の方向に延びており、保持部材が壁39に対して曲がることを可能とするスリット60をリテーナ30の壁39に形成するように形成されることができる。
【0025】
保持部材37と同様、各保持部材57は、カートリッジチャネル17の側壁46に画定された凹部又は溝45内に受容可能な保持要素又は戻り止めを画定する湾曲部分54を含んでいる。湾曲部分54が溝45内に保持される一方で、保持部材57は、付勢形態において、ステープルカートリッジ16’とカートリッジチャネル17との堅い取り付けを維持するか、又は維持を助ける。
【0026】
図16に示されるように、カートリッジチャネル17内に着座したステープルカートリッジ16’が発射される前、保持部材57は、少なくとも1つのステープルドライバ28によって側壁46の方向に干渉距離(d1)だけ付勢され、これにより湾曲部分54が溝45内に固定され、発射前カートリッジ取り外し負荷が生じる。
【0027】
しかしながら、発射時には、スレッド32が発射部材によって前進させられ、少なくとも1つのステープルドライバ28が可撓性部分51との係合状態から外れるか又は係合状態から少なくとも部分的に外れるように持ち上げられるか、又は動かされる。その結果、
図17に示されるように、少なくとも1つのステープルドライバ28によってそれまで占有されていた空間に向かって可撓性部分51が撓曲すると、保持部材57が非付勢形態、又は弱付勢形態に復帰し、これにより、湾曲部分54が溝45との係合状態から外れるか、又は係合状態から少なくとも部分的に外れ、発射後カートリッジ取り外し負荷が生じる。
図17に示されるような弱付勢形態では、保持部材57は、干渉距離d1よりも小さい干渉距離d2だけ自然位置から付勢される。
【0028】
いくつかの実施例では、湾曲部分54は、非付勢形態で溝45内に部分的に挿入された状態に維持される。その結果、保持部材57は、発射後カートリッジ取り外し負荷に寄与する。しかしながら、他の実施例では、湾曲部分54は、非付勢形態で溝45から完全に外れてもよい。他の実施例では、保持部材57は発射後カートリッジ取り外し負荷に寄与せず、発射後カートリッジ取り外し負荷は、ステープルカートリッジ16の壁39とカートリッジチャネル17との間の摩擦によって規定され得る。
【0029】
図4~
図17の実施例では、保持部材37及び57は、溝45に係合している状態では付勢形態で示され、溝45から係脱されるか、又は部分的に係脱されている状態では非付勢形態又は弱付勢形態で示されている。しかしながら、他の実施例では、ステープルカートリッジの保持部材は、溝45と係合している状態で自然又は非付勢形態となるように構成されることができる。例えば、ステープルカートリッジの発射時にスレッド32によって外力を加えてこのような保持部材を対応する溝45との係合から外れるように付勢することができる。
【0030】
様々な実施例において、発射後カートリッジ取り外し負荷は、発射前カートリッジ取り外し負荷よりも約10%~約90%小さい。少なくとも1つの実施例では、発射後カートリッジ取り外し負荷は、発射前カートリッジ取り外し負荷よりも約40%~約60%小さい。少なくとも1つの実施例では、発射後カートリッジ取り外し負荷は、発射前カートリッジ取り外し負荷よりも約50%小さい。
【0031】
様々な態様において、多くの点で外科用器具10と同様の外科用器具は、その発射前カートリッジ取り外し負荷よりも高い発射後カートリッジ取り外し負荷を有する。このようなより高い発射後取り外し負荷は、使用済み、本明細書では発射済みとも呼ばれるステープルカートリッジが発射後に取り外されることを防止することができ、これにより外科用器具を効果的に使用不能とすることができる。
【0032】
発射後に発射済みのステープルが外科用器具のカートリッジチャネルから取り外されることを防止することは、発射後の外科用器具を再使用することが望ましくない状況において有利であり得る。例えば、外科用器具の発射後カートリッジ取り外し負荷がその発射前カートリッジ取り外し負荷と比較してより高いのは、非滅菌状態(例えば、内視鏡)のステープルカートリッジの発射を伴う状況であり得る。非無菌状態のステープルを外科用器具で発射した後では、外科用器具も非無菌状態となる。より高い発射後カートリッジ取り外し負荷は、使用済みのステープルカートリッジが外科用器具から取り外されることを防止し、これにより、外科用器具が再使用されないことを確実にする。
【0033】
1つの実施例では、ステープルカートリッジの発射前に付勢形態に保持されるロック機構を用いることによって、発射後カートリッジ取り外し負荷を増大させて使用済みのステープルカートリッジの取り外しを防止することができる。発射時には、ロック機構は、カートリッジチャネルとロックした係合状態となるようにスナップ嵌めされ、使用済みステープルカートリッジのカートリッジチャネルからの取り外しを防止する。カートリッジチャネルは、ロック機構を受容する保持窓を有することができる。
【0034】
一態様では、ステープルドライバを利用してロック機構をその付勢形態に維持することができる。ステープルカートリッジの発射時には、ステープルドライバがスレッドによって持ち上げられるため、ロック機構がステープルドライバとのその係合状態から解放される。付勢力によって、ロック機構は、カートリッジチャネルとロックした係合状態となるようにスナップ嵌めされる。複数のロック機構をステープルカートリッジの長さに沿って使用することで、使用済みのステープルカートリッジがカートリッジチャネルに取り付けられた状態を確実に維持することができる。
【0035】
様々な実施例において、外科用器具の発射後カートリッジ取り外し負荷がその発射前カートリッジ取り外し負荷と比較してより高いほど、外科用器具が所定の発射回数を超えて使用されないようにするうえで効果的となり得る。少なくとも1つの実施例では、外科用器具の発射アセンブリは、最後の発射済みのステープルカートリッジ内にわずかに前進することで、外科用器具からのその取り外しを防止することができる。外科用器具のコントローラは、外科用器具によって実行された発射回数を追跡するように構成されることができる。所定の発射回数に達した時点で、コントローラはモータを作動させて発射アセンブリをステープルカートリッジ内にわずかに前進させることができ、これにより、最後に使用された又は発射されたステープルカートリッジの取り外しが防止され、外科用器具がその安全限度を越えて再使用されることが防止される。
【0036】
別の実施例では、外科用器具の発射後カートリッジ取り外し負荷がその発射前カートリッジ取り外し負荷と比較してより高いほど、欠陥を有する外科用器具を永久的に停止させておくうえで効果的となり得る。外科用器具のコントローラを、外科用器具の様々な性能パラメータを追跡するように構成されることができる。コントローラは、外科用器具の欠陥を検出した場合に、外科用器具が再使用されることを防止することができる。上記に述べたように、外科用器具の再使用の防止は、最後に使用された又は発射されたステープルカートリッジの取り外しを防止することによって実現することができる。使用済み又は発射済みのステープルカートリッジが外科用器具から取り外されることを防止するため用いるのに好適なコントローラ、モータ、及び発射アセンブリが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2013年3月14日付けで出願された米国特許出願第13/803,210号、発明の名称「SENSOR ARRANGEMENTS FOR ABSOLUTE POSITIONING SYSTEM FOR SURGICAL INSTRUMENTS」、現在は米国特許出願公開第2014/0263538号に開示されている。
【0037】
特定の実施形態と共に本明細書で様々なデバイスについて説明したが、それらの実施形態に対して修正及び変更が実施されてもよい。特定の特徴、構造、又は特性を、1つ以上の実施形態で、任意の適切な様式で組み合わせてもよい。したがって、一実施形態に関して図示又は説明される特定の特徴、構造、又は特性は、無制限に、1つ以上のその他の実施形態の特徴、構造、又は特性と全て、あるいは、部分的に組み合わされてよい。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。更に、様々な実施形態に従って、所与の機能(複数可)を実行するために、単一の構成要素を複数の構成要素に置き換えてもよく、また複数の構成要素を単一の構成要素に置き換えてもよい。以上の説明及び以下の特許請求の範囲は、そのような修正及び変形形態を全て包含することが意図される。
【0038】
本明細書に開示される装置は、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、デバイスは少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整には、デバイスの分解工程、それに続くデバイスの特定の部品の洗浄工程又は交換工程、及びその後のデバイスの再組み立て工程の任意の組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。具体的には、再調整の施設及び/又は外科チームは、デバイスを分解することができ、デバイスの特定の部品を洗浄及び/又は交換した後、デバイスをその後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できることを理解するであろう。このような技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
【0039】
本明細書に開示のデバイスは、手術前に処理され得る。最初に、新品又は使用済みの器具が入手され、必要に応じて洗浄されてもよい。次いで器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次いで、容器及び器具を、γ線、X線、及び/又は高エネルギー電子などの、容器を透過し得る放射線野に置くことができる。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌済みの器具を滅菌容器内で保管することができる。密封容器は、医療施設で開けられるまで、器具を滅菌状態に保つことができる。デバイスはまた、β線、γ線、エチレンオキシド、過酸化水素プラズマ、及び/又は水蒸気が挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の他の技術を用いて滅菌され得る。
【0040】
代表的な設計を有するものとして本発明について記載してきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正されてもよい。したがって、本出願は、その一般的原理を使用する本発明のあらゆる変形、使用、又は適合を包含するものとする。
【0041】
その全体又は部分において本明細書に参照によって組み込まれるものとする全ての特許、刊行物、又はその他の開示文献は、組み込まれる資料が本開示に記載される既存の定義、記述、又はその他の開示内容と矛盾しない範囲においてのみ本明細書に組み込まれるものとする。そのようなものであるから、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参考として本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【実施例】
【0042】
実施例1-スレッドとエンドエフェクタとを含む外科用器具。エンドエフェクタは、第1のジョー、第1のジョーに対して可動である第2のジョー、アンビル、及びステープルカートリッジを含む。ステープルカートリッジは、近位端、遠位端、カートリッジ本体、カートリッジ本体内に支持されたステープル、及びステープルドライバを有する。スレッドは、ステープルドライバを第1の位置から第2の位置へと動かすことによって、カートリッジ本体からステープルを展開するように構成されている。エンドエフェクタは、ステープルカートリッジを取り外し可能に保持するように構成されたカートリッジチャネルを更に含む。ステープルドライバが第1の位置にある状態では、カートリッジチャネルからステープルカートリッジを取り外すために第1の負荷が必要とされる。ステープルドライバが第2の位置にある状態では、カートリッジチャネルからステープルカートリッジを取り外すために第1の負荷よりも小さい第2の負荷が必要とされる。
【0043】
実施例2-ステープルを展開するためにスレッドが近位端と遠位端との間で可動である、実施例1に記載の外科用器具。
【0044】
実施例3-スレッドが遠位端に向かって移動する際、第1の負荷が第2の負荷まで低減される、実施例2に記載の外科用器具。
【0045】
実施例4-カートリッジ本体が、ステープルドライバの第1の位置に対応する窓を含む、実施例1、2、又は3に記載の外科用器具。
【0046】
実施例5-ドライバが第1の位置にある間、ステープルドライバに対して押し当てられるように構成された保持部材を更に含む、実施例1、2、3、又は4に記載の外科用器具。
【0047】
実施例6-保持部材は、ステープルドライバが第1の位置にある間、ドライバによって付勢形態に維持される、実施例5に記載の外科用器具。
【0048】
実施例7-保持部材は、ステープルが第2の位置に移動される際に弱付勢形態に復帰するように構成されている、実施例5又は6に記載の外科用器具。
【0049】
実施例8-保持部材が戻り止めを含み、カートリッジチャネルは、ステープルドライバが第1の位置にある間、戻り止めを受容するように構成された溝を含む、実施例5、6、又は7に記載の外科用器具。
【0050】
実施例9-ステープルドライバが第2の位置にある間、戻り止めが溝から少なくとも部分的に除かれる、実施例8に記載の外科用器具。
【0051】
実施例10-戻り止めが第1の戻り止めであり、保持部材は、ステープルドライバが第1の位置にある間、ステープルドライバによって支持可能な第2の戻り止めを含む、実施例8又は9に記載の外科用器具。
【0052】
実施例11-外科用器具のカートリッジチャネルに取り外し可能に取り付け可能なステープルカートリッジ。ステープルカートリッジは、近位端と、遠位端と、カートリッジ本体とを含む。カートリッジ本体は、近位端と遠位端との間に延びるデッキと、デッキに対して位置付けられた組織内に展開可能なステープルと、第1の位置と第2の位置との間で可動であることによってカートリッジ本体からステープルを展開するステープルドライバと、ステープルドライバが第1の位置にある間、ステープルドライバに対して位置付けられる可撓性部分と、を含む。ステープルカートリッジは、カートリッジ本体に取り付けられたリテーナを更に含む。リテーナは、可撓性部分に対して位置付けられた弾性部材を含む。可撓性部分は、ステープルドライバが第1の位置にある間、弾性部材を付勢形態に維持するように構成されている。
【0053】
実施例12-ステープルドライバの第1の位置から第2の位置への移動によって可撓性部分が撓曲し、これにより、弾性部材が弱付勢形態に復帰する、実施例11に記載のステープルカートリッジ。
【0054】
実施例13-ステープルドライバの第1の位置から第2の位置への移動によって可撓性部分が撓曲し、これにより、弾性部材が弱付勢形態に復帰する、実施例11又は12に記載のステープルカートリッジ。
【0055】
実施例14-戻り止めが、弱付勢形態においてカートリッジチャネルからカートリッジを取り外すための発射後負荷を維持するように構成されており、発射後負荷が発射前負荷よりも小さい、実施例13に記載のステープルカートリッジ。
【0056】
実施例15-ステープルドライバが第1の位置にある間、可撓性部分がステープルドライバと弾性部材との間に位置付けられる、実施例11、12、13、又は14に記載のステープルカートリッジ。
【0057】
実施例16-リテーナが、底面と、底面から延びる側壁とを含み、弾性部材が側壁内に画定され、弾性部材が基部から離間している、実施例11、12、13、14、又は15に記載のステープルカートリッジ。
【0058】
実施例17-カートリッジ本体が側壁を更に含み、可撓性部分が側壁内に画定されている、実施例11、12、13、14、15、又は16に記載のステープルカートリッジ。
【0059】
実施例18-スレッドとエンドエフェクタとを含む外科用器具。エンドエフェクタは、第1のジョー、第1のジョーに対して可動である第2のジョー、アンビル、及びステープルカートリッジを含む。ステープルカートリッジは、近位端、遠位端、カートリッジ本体、及びカートリッジ本体内に支持されたステープルを含む。スレッドは可動であることによりステープルカートリッジとアンビルとの間に捕捉された組織に対してカートリッジ本体からステープルを展開する。エンドエフェクタは、ステープルカートリッジを取り外し可能に保持するように構成されたカートリッジチャネルを更に含み、カートリッジチャネルからステープルカートリッジを取り外すために負荷が必要であり、スレッドは、カートリッジ取り外し負荷を低減するように構成されている。
【0060】
実施例19-スレッドが、近位端に隣接した第1の位置から、遠位端に隣接した第2の位置まで可動であることによりステープルを展開する、実施例18に記載の外科用器具。
【0061】
実施例20-カートリッジ取り外し負荷が、スレッドの移動時に低減される、実施例18又は19に記載の外科用器具。
【0062】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
スレッドと、
エンドエフェクタであって、
第1のジョーと、
前記第1のジョーに対して可動である第2のジョーと、
アンビルと、
ステープルカートリッジであって、
近位端と、
遠位端と、
カートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体内に支持されたステープルと、
ステープルドライバであって、前記スレッドが、前記ステープルドライバを第1の位置から第2の位置へと動かすことによって、前記カートリッジ本体から前記ステープルを展開するように構成されている、ステープルドライバと、を有する、ステープルカートリッジと、
前記ステープルカートリッジを取り外し可能に保持するように構成されたカートリッジチャネルであって、前記ステープルドライバが前記第1の位置にある状態では、前記カートリッジチャネルから前記ステープルカートリッジを取り外すために第1の負荷が必要とされ、前記ステープルドライバが前記第2の位置にある状態では、前記カートリッジチャネルから前記ステープルカートリッジを取り外すために前記第1の負荷よりも小さい第2の負荷が必要とされる、カートリッジチャネルと、を含む、エンドエフェクタと、を含む、外科用器具。
(2) 前記ステープルを展開するために前記スレッドが前記近位端と前記遠位端との間で可動である、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記スレッドが前記遠位端に向かって移動する際、前記第1の負荷が前記第2の負荷まで低減される、実施態様2に記載の外科用器具。
(4) 前記カートリッジ本体が、前記ステープルドライバの前記第1の位置に対応する窓を含む、実施態様1に記載の外科用器具。
(5) 前記ドライバが前記第1の位置にある間、前記ステープルドライバに対して押し当てられるように構成された保持部材を更に含む、実施態様4に記載の外科用器具。
【0063】
(6) 前記保持部材は、前記ステープルドライバが前記第1の位置にある間、前記ドライバによって付勢形態に維持される、実施態様5に記載の外科用器具。
(7) 前記保持部材は、前記ステープルドライバが前記第2の位置に移動される際に弱付勢形態に復帰するように構成されている、実施態様6に記載の外科用器具。
(8) 前記保持部材が戻り止めを含み、前記カートリッジチャネルは、前記ステープルドライバが前記第1の位置にある間、前記戻り止めを受容するように構成された溝を含む、実施態様7に記載の外科用器具。
(9) 前記ステープルドライバが前記第2の位置にある間、前記戻り止めが前記溝から少なくとも部分的に除かれる、実施態様8に記載の外科用器具。
(10) 前記戻り止めが第1の戻り止めであり、前記保持部材は、前記ステープルドライバが前記第1の位置にある間、前記ステープルドライバによって支持可能な第2の戻り止めを含む、実施態様9に記載の外科用器具。
【0064】
(11) 外科用器具のカートリッジチャネルに取り外し可能に取り付け可能なステープルカートリッジであって、
近位端と、
遠位端と、
カートリッジ本体であって、
前記近位端と前記遠位端との間に延びるデッキと、
前記デッキに対して位置付けられた組織内に展開可能なステープルと、
前記カートリッジ本体から前記ステープルを展開するために第1の位置と第2の位置との間で可動であるステープルドライバと、
前記ステープルドライバが前記第1の位置にある間、前記ステープルドライバに対して位置付けられる可撓性部分と、を含む、カートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体に取り付けられたリテーナであって、前記リテーナは、前記可撓性部分に対して位置付けられた弾性部材を含み、前記可撓性部分は、前記ステープルドライバが前記第1の位置にある間、前記弾性部材を付勢形態に維持するように構成されている、リテーナと、を含む、ステープルカートリッジ。
(12) 前記ステープルドライバの前記第1の位置から前記第2の位置への移動によって前記可撓性部分が撓曲し、これにより、前記弾性部材が弱付勢形態に復帰する、実施態様11に記載のステープルカートリッジ。
(13) 前記弾性部材が、前記付勢形態において前記カートリッジチャネルから前記ステープルカートリッジを取り外すための発射前負荷を維持するように構成された戻り止めを含む、実施態様12に記載のステープルカートリッジ。
(14) 前記戻り止めが、前記弱付勢形態において前記カートリッジチャネルから前記カートリッジを取り外すための発射後負荷を維持するように構成されており、前記発射後負荷が前記発射前負荷よりも小さい、実施態様13に記載のステープルカートリッジ。
(15) 前記ステープルドライバが前記第1の位置にある間、前記可撓性部分が前記ステープルドライバと前記弾性部材との間に位置付けられる、実施態様11に記載のステープルカートリッジ。
【0065】
(16) 前記リテーナが、底面と、前記底面から延びる側壁とを含み、前記弾性部材が前記側壁内に画定され、前記弾性部材が前記基部から離間している、実施態様11に記載のステープルカートリッジ。
(17) 前記カートリッジ本体が側壁を更に含み、前記可撓性部分が前記側壁内に画定されている、実施態様11に記載のステープルカートリッジ。
(18) 外科用器具であって、
スレッドと、
エンドエフェクタであって、
第1のジョーと、
前記第1のジョーに対して可動である第2のジョーと、
アンビルと、
ステープルカートリッジであって、
近位端と、
遠位端と、
カートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体内に支持されたステープルであって、前記スレッドが可動であることにより前記ステープルカートリッジと前記アンビルとの間に捕捉された組織に対して前記カートリッジ本体から前記ステープルを展開する、ステープルと、を含む、ステープルカートリッジと、
前記ステープルカートリッジを取り外し可能に保持するように構成されたカートリッジチャネルであって、前記カートリッジチャネルから前記ステープルカートリッジを取り外すために負荷が必要であり、前記スレッドは、前記カートリッジ取り外し負荷を低減するように構成されている、カートリッジチャネルと、を含む、エンドエフェクタと、を含む、外科用器具。
(19) 前記スレッドが、前記近位端に隣接した第1の位置から、前記遠位端に隣接した第2の位置まで可動であることにより前記ステープルを展開する、実施態様18に記載の外科用器具。
(20) 前記カートリッジ取り外し負荷が、前記スレッドの移動時に低減される、実施態様19に記載の外科用器具。