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特許7196172液体エアロゾルを発生するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】液体エアロゾルを発生するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20221219BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20221219BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20221219BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F47/00
A24F40/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020524476
(86)(22)【出願日】2018-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2018081980
(87)【国際公開番号】W WO2019105812
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】17204740.9
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】クルバ ジェローム クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第3200559(EP,A2)
【文献】欧州特許出願公開第3188570(EP,A2)
【文献】特表2012-533313(JP,A)
【文献】特開2010-88979(JP,A)
【文献】米国特許第5267555(US,A)
【文献】米国特許第3232292(US,A)
【文献】特表2008-544834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
気流出口を画定するハウジングと、
液体エアロゾル形成基体と、
前記液体エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生するように構成されたエアロゾル発生器と、
前記エアロゾル発生器と前記気流出口の間に配置された穿孔されたプレートであって、前記穿孔されたプレートを通って延びる複数の開口部を画定する、穿孔されたプレートと、
前記エアロゾル発生器と前記穿孔されたプレートの間に配置された電極と、を備え、前記穿孔されたプレートが導電性であり、かつ前記エアロゾル発生システムが前記電極と前記穿孔されたプレートの間に電位差を発生するように構成されている、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記穿孔されたプレートが、第一の複数の平行なフィラメントおよび第二の複数の平行なフィラメントで形成されていて、前記第一の複数のフィラメントが前記第二の複数のフィラメントと直交し、これによって前記複数の開口部が開口部のグリッドである、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記エアロゾル発生システムが、前記電極と前記穿孔されたプレートの間に0.5キロボルト~30キロボルトの電位差を発生するように構成されている、請求項1または2に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記電極と前記穿孔されたプレートの間の間隔が、1ミリメートル~50ミリメートルである、請求項1、2、または3に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記穿孔されたプレートに接続された、かつ使用中に前記穿孔されたプレート内に流れる電流の測定を可能にするように構成された、制御回路をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
エアロゾル発生システムであって、
気流出口を画定するハウジングと、
液体エアロゾル形成基体と、
電源と、
コントローラと、
液体エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生するように構成されたエアロゾル発生器と、
回路接地と、前記エアロゾル発生器によって発生したエアロゾルとの流体連通のために配設された電極とを備えるエアロゾル帯電回路であって、前記コントローラが、前記回路接地に対して0.5キロボルトから30キロボルトの電位差へと前記電極を荷電するために前記電源から前記電極への電力の供給を制御するように構成されている、帯電回路と、
前記電極と前記気流出口の間に配置された穿孔されたプレートであって、前記穿孔されたプレートを通って延びる複数の開口部を画定する、穿孔されたプレートと、を備えるエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記電極が、エアロゾルを前記気流出口に方向付けるように構成されたノズルである、請求項6に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記電極と前記穿孔されたプレートの間の分離部が、1ミリメートル~50ミリメートルである、請求項6または7に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記穿孔されたプレートが、前記回路接地に電気的に接続されている、請求項6、7、または8に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記コントローラが、前記穿孔されたプレートに接続されていて、かつ使用中に前記穿孔されたプレート内に流れる電流の測定を可能にするように構成されている、請求項6~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記穿孔されたプレートが、第一の複数の平行なフィラメントおよび第二の複数の平行なフィラメントで形成されていて、前記第一の複数のフィラメントが前記第二の複数のフィラメントと直交し、これによって前記複数の開口部が開口部のグリッドである、請求項6~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記液体エアロゾル形成基体を収容する第一の貯蔵部と、イオン化可能な液体を収容する第二の貯蔵部と、をさらに備える、請求項6~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記電極が、液体エアロゾル形成基体を前記第一の貯蔵部から排出するように構成された第一のノズルと、前記第二の貯蔵部からイオン化可能な液体を排出するように構成された第二のノズルとを含む、二つの同軸ノズルで形成されている、請求項12に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生器と気流出口の間に配置された穿孔されたプレートを備えるエアロゾル発生システムに関する。本発明はまた、エアロゾルと流体連通するように配設された電極を備えるエアロゾル帯電回路を含むエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーによる吸入のためのエアロゾルを発生するための装置は、当業界で周知である。こうしたシステムは典型的に、液体を加熱して気化し、エアロゾルを発生する。こうした装置は典型的に、液体エアロゾル形成基体または「eリキッド」の分量を保持するための液体貯蔵部分または貯蔵部、およびeリキッドを加熱してエアロゾルを発生するためのヒーターを含む。こうした装置はまた、エアロゾルを気流経路に沿って運び、かつユーザーに送達することができるように、ヒーターと連通する気流経路を含む。
【0003】
周知の装置によって発生したエアロゾルの質は、数多くの異なる因子を使用して評価することができる。因子としては、発生したエアロゾルの量、エアロゾル内の液滴の密度、エアロゾルの温度、およびエアロゾルの送達の速度を挙げうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改善されたユーザー体験を提供しうるエアロゾルの送達を容易にするエアロゾル発生システムを提供することが望ましいことになる。エアロゾルの一貫した送達を容易にするエアロゾル発生システムを提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様によると、気流出口を画定するハウジングと、液体エアロゾル形成基体とを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。システムはまた、液体エアロゾル形成基体からエアロゾルを形成するように構成されたエアロゾル発生器と、エアロゾル発生器と気流出口の間に配置された穿孔されたプレートとを備える。穿孔されたプレートは、穿孔されたプレートを通って延びる複数の開口部を画定する。
【0006】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱すること、またはその他のエアロゾル化手段によって放出されてもよい。適切な基体は、eリキッドなどの液体状である可能性がある。
【0007】
本発明の発明者らは、ユーザー体験に影響を与える場合があるエアロゾルの特性が、エアロゾルの平均液滴サイズであることを認識した。特に、本発明の発明者らは、過大な平均液滴サイズを含むエアロゾルが、ユーザー体験に悪影響を及ぼす場合があることを認識した。
【0008】
本発明によるエアロゾル発生システムは、エアロゾル発生器と気流出口の間に穿孔されたプレートを含む。従って、使用中、エアロゾル発生器によって生成されたエアロゾルは、吸入可能になる前に穿孔されたプレートを通過しなくてはならない。有利なことに、穿孔されたプレート内の開口部より大きいエアロゾルのいかなる液滴も、穿孔されたプレートを通過することが妨げられる。従って、穿孔されたプレートは有利なことに、ユーザーに送達されるエアロゾルの最大液滴サイズを制限するように構成される場合がある。例えば、穿孔されたプレート内の開口部より大きいエアロゾルの液滴を、各開口部を画定するプレートによってブロックすることができる。
【0009】
有利なことに、エアロゾル発生システムによって発生されるエアロゾルの最大液滴サイズを制御することは、穿孔されたプレートがユーザーへのエアロゾルの一貫した送達を容易にすることを可能にする。本発明によるエアロゾル発生システムによって送達されるエアロゾルの一貫した液滴サイズは、一貫したユーザー体験を提供する。
【0010】
穿孔されたプレートは、シート材料を通って延びる複数の開口部を備えるシート材料から成ってもよい。シート材料は単一の要素であってもよい。複数の開口部は、任意の適切なプロセスを使用してシート材料内に形成されてもよい。複数の開口部は、ドリル、パンチング、レーザー穿孔、および放電加工のうちの少なくとも一つを使用して形成されてもよい。
【0011】
穿孔されたプレートは、複合材料構造を通って延びる複数の開口を共に画定する複数の要素で形成された複合材料構造を備えてもよく、複数の開口は複数の開口部を形成する。穿孔されたプレートは、平面状の複合材料構造を形成するように接続された複数の細長い要素を備えてもよい。穿孔されたプレートは、フィラメントまたは糸のアレイを備えてもよく、複数の開口部の各々は、連続するフィラメントまたは糸の間に画定された開口によって形成されている。
【0012】
フィラメントのアレイは、それらの間に細長い開口部を画定する複数の平行なフィラメントで形成されてもよい。本明細書で使用される「平行」という用語は、プラスまたはマイナス10度以内、好ましくはプラスまたはマイナス5度以内の実質的な平行を意味する。フィラメントのアレイは、第一の複数の平行なフィラメントおよび第二の複数の平行なフィラメントで形成されていて、第一の複数のフィラメントは第二の複数のフィラメントと直交することが好ましい。複数の開口部は、開口部のグリッドであってもよい。第一の複数の平行なフィラメントおよび第二の複数の平行なフィラメントは、単一の平面内に置かれることが好ましい。
【0013】
穿孔されたプレートを形成するフィラメントの各々は、約10マイクロメートル~約500マイクロメートルの最大厚さを有することが好ましい。有利なことに、この範囲内の最大厚さを有するフィラメントを提供することは、エアロゾルの大きい液滴をブロックしうる。
【0014】
穿孔されたプレートはメッシュを備えてもよい。
【0015】
エアロゾル発生器はヒーターを含んでもよい。使用中、ヒーターは液体エアロゾル形成基体を気化する。ヒーターは電気ヒーターであることが好ましい。
【0016】
ヒーターは抵抗ヒーターであってもよい。
【0017】
ヒーターは誘導ヒーターであってもよい。エアロゾル発生器はサセプタをさらに含んでもよく、誘導ヒーターは使用中にサセプタを誘導加熱するように構成されている。誘導ヒーターは、サセプタの一部分の周りに位置付けられてもよい。
【0018】
エアロゾル発生システムは、液体エアロゾル形成基体を収容する貯蔵部を含んでもよい。貯蔵部はハウジング内に配置されてもよい。
【0019】
エアロゾル発生器は貯蔵部の出口に位置付けられてもよい。エアロゾル発生システムは、貯蔵部からエアロゾル発生器に液体エアロゾル形成基体を移動するように配設された液体移動要素を備えてもよい。液体移動要素は、芯または毛細管のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0020】
エアロゾル発生器はノズル組立品を備えてもよい。使用中、貯蔵部からの液体エアロゾル形成基体の液滴はノズルを通して排出される。エアロゾル発生器は圧電構成要素を備えてもよい。使用中、圧電構成要素は、液体エアロゾル形成基体の液滴を、ノズルを通して排出する。ノズルは貯蔵部と流体連通している。ノズルは貯蔵部の一部を形成してもよい。圧電構成要素は貯蔵部の内側に位置付けられてもよい。エアロゾル発生器はノズルの出口を覆うメッシュを備えてもよい。使用中、液体エアロゾル形成基体は、液体エアロゾル形成基体の液滴がノズル出口から排出されるのに従って、メッシュを通過する。
【0021】
穿孔されたプレートの各開口部は、穿孔されたプレートによって画定された平面内の最大幅を有することが好ましい。各開口部の最大幅は約10マイクロメートル~約100マイクロメートルであることが好ましい。有利なことに、約100マイクロメートルより大きい直径を有するエアロゾル液滴は除去されてもよく、または約100マイクロメートル未満の最大幅を有する開口部によってより小さい液滴へとサイズ変更されてもよい。有利なことに、約10マイクロメートルより大きい最大幅を有する開口部は、穿孔されたプレート上でのエアロゾル液滴の凝縮を低減または最小化するために、穿孔されたプレートを通る十分な気流を容易にする場合がある。
【0022】
開口部の各々は、実質的に正方形、または実質的に長方形であってもよい。
【0023】
ハウジングは、エアロゾル発生器と気流出口の間に延びる気流チャネルを画定することが好ましい。穿孔されたプレートは、気流チャネルを横切って延びることが好ましい。有利なことに、穿孔されたプレートは、使用中にエアロゾル発生器によって発生したエアロゾルが、気流出口を介して吸入される前に、穿孔されたプレートを通過することを確実にする。穿孔されたプレートは、平面を画定することが好ましく、平面は気流チャネルの長軸方向軸に対して直交するように延びる。平面は、使用中に気流チャネルを通る気流の方向に対して直交するように延びることが好ましい。
【0024】
エアロゾル発生器は、エアロゾル発生器によって発生したエアロゾルを穿孔されたプレートに向かって方向付けるように配設されていることが好ましい。有利なことに、発生したエアロゾルを穿孔されたプレートに直接方向付けることは、穿孔されたプレートに達する時にエアロゾル液滴の速度を最大化する場合がある。有利なことに、穿孔されたプレートに遭遇する時の液滴の速度を最大化することは、穿孔されたプレートの開口部を通過する際に、より大きい液滴をブロックすることを容易にする場合がある。有利なことに、液滴の速度を最大化することは、穿孔されたプレート上の液滴の収集および堆積を低減または最小化する場合がある。有利なことに、液滴の速度を最大化することは、エアロゾル発生システムのクリーニングの必要性を低減または最小化する場合がある。
【0025】
穿孔されたプレートは任意の適切な材料から構築されてもよい。穿孔されたプレートはポリマー材料から形成されてもよい。穿孔されたプレートは金属から形成されていることが好ましい。適切な金属は鋼を含む。穿孔されたプレートはステンレス鋼から形成されていることが好ましい。
【0026】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生器と穿孔されたプレートの間に配置された電極をさらに含んでもよく、電極はエアロゾルを静電気的に帯電するように構成されている。電極が提供されている時に、穿孔されたプレートは導電性であり、エアロゾル発生システムは、電極と穿孔されたプレートの間に電位差を発生するように構成されていることが好ましい。別の方法として、電極が提供されている時に、穿孔されたプレートは電気的に絶縁されてもよい。
【0027】
有利なことに、エアロゾル発生器によって発生したエアロゾルの液滴は、電極によって静電気的に帯電されてもよく、これによってエアロゾルの液滴は穿孔されたプレートに静電気的に引き付けられている。有利なことに、静電引力は穿孔されたプレートに向かって液滴を加速する。有利なことに、穿孔されたプレートに向かってエアロゾルの液滴を加速することは、穿孔されたプレートを通過する液滴の速度を増加させる場合がある。有利なことに、液滴のこの増加した速度は、穿孔されたプレートを通過する際に、より大きい液滴をブロックすることを容易にする場合がある。有利なことに、より大きい液滴をブロックすることは、穿孔されたプレート上の液滴の収集および堆積を低減または最小化する場合がある。有利なことに、液滴の収集および堆積の低減または最小化は、エアロゾル発生システムのクリーニングの必要性を低減または最小化する場合がある。
【0028】
エアロゾル発生システムは、電極と穿孔されたプレートの間に約0.5キロボルト~約50キロボルトの電位差を発生するように構成されていることが好ましく、約5キロボルト~約15キロボルトの電位差がより好ましく、約10キロボルトの電位差が最も好ましい。有利なことに、エアロゾル発生システムの典型的な寸法では、約50キロボルト未満の電位差は、システム内の空気の絶縁破壊を生じるのに不十分である。有利なことに、0.5キロボルトを超える電位差は、穿孔されたプレートに向かってエアロゾルの帯電した液滴に十分な加速を提供するのに十分強い場合がある。電位差は、エアロゾル発生システム内の変圧器を使用して提供されてもよい。電位差は、少なくとも一つのブーストコンバータを使用して提供されてもよい。
【0029】
電極と穿孔されたプレートの間の間隔は、約1ミリメートル~約50ミリメートルであることが好ましく、約3ミリメートル~約10ミリメートルであることがより好ましい。有利なことに、これらの範囲内の間隔は、特に本明細書に定義された電位差の好ましい範囲で組み合わされた時に、システム内の空気の電気絶縁破壊のリスクを低減または最小化する場合がある。有利なことに、約3ミリメートル~約10ミリメートルの好ましい範囲内の間隔は、従来の紙巻たばことより厳密に似たサイズのエアロゾル発生システムの構築を可能にする場合がある。有利なことに、従来の紙巻たばこのサイズと類似したサイズを有するエアロゾル発生システムは、従来の紙巻たばこと類似した様態でエアロゾル発生システムを容易に格納または搬送することを可能にする場合がある。
【0030】
穿孔されたプレートは、電極に対して接地されていることが好ましい。穿孔されたプレートを接地することは、電極によって帯電したエアロゾル液滴が、その電荷を穿孔されたプレートに放出することを可能にしうる。穿孔されたプレートを接地することは、ユーザーに送達されたエアロゾルの液滴を中性に、または帯電していないようにすることを可能にする場合がある。
【0031】
穿孔されたプレートは、電極に対して接地されていなくてもよく、これによってエアロゾル液滴は穿孔されたプレート内の開口部を通過する際それらの電荷を保持し、帯電したエアロゾル液滴はユーザーに送達されて吸い込まれる。
【0032】
エアロゾル発生システムは、制御回路をさらに備えることが好ましい。
【0033】
エアロゾル発生器が電気ヒーターおよび圧電構成要素のうちの少なくとも一つを含む実施形態において、制御回路は、電気ヒーター、圧電構成要素、またはその両方への電力の供給を制御するように構成されていることが好ましい。
【0034】
エアロゾル発生システムが電極を備える実施形態において、制御回路は、電極と穿孔されたプレートの間に電位差を発生する電極への電力の供給を制御するように構成されていることが好ましい。制御回路は、穿孔されたプレートへの電力の供給を制御して、電極と穿孔されたプレートの間の電位差の発生を容易にするように構成されてもよい。制御回路は、穿孔されたプレートに接続されていて、かつ使用中に、穿孔されたプレート内の電流を測定するように構成されていることが好ましい。有利なことに、穿孔されたプレート内の電流を測定することは、穿孔されたプレートを通るエアロゾルの流量の表示を提供する場合がある。言い換えれば、穿孔されたプレートで入射するエアロゾルの帯電された液滴は、穿孔されたプレート内に電流を発生する場合がある。帯電した液滴がアレイを通過する速度は、穿孔されたプレートで測定される電流を変化させることになる。有利なことに、使用中に、穿孔されたプレート内の電流を測定することは、制御回路がユーザーに送達されるエアロゾルの量を推定することを可能にする場合がある。有利なことに、ユーザーに送達されるエアロゾルの量の推定は、経時的なエアロゾル発生システムの動作および効率をモニターすることを可能にする場合がある。例えば、ユーザーに送達されるエアロゾルの量の推定は、エアロゾル発生システム内に残っている液体エアロゾル形成基体の量を推定するために使用されてもよい。
【0035】
液体エアロゾル形成基体は水を含んでもよい。
【0036】
液体エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含んでもよい。本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時に高密度でかつ安定したエアロゾルの形成を容易にする任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を指す。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1、3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1、3-ブタンジオール、最も好ましくはグリセリンまたはポリエチレングリコール)である。
【0037】
液体エアロゾル形成基体は、ニコチンまたはたばこ製品のうちの少なくとも一つを含んでもよい。追加的に、または別の方法として、液体エアロゾル形成基体はユーザーに送達するための別の標的化合物を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体がニコチンを含む実施形態において、ニコチンはエアロゾル形成体とともに液体エアロゾル形成基体に含まれてもよい。
【0038】
エアロゾル発生システムは気流入口を備えることが好ましい。気流入口はエアロゾル発生器と流体連通していることが好ましい。使用中、空気は気流入口を通してエアロゾル発生システムに入り、気流出口を通してエアロゾル発生システムを出る。
【0039】
エアロゾル発生システムは、少なくとも一つの電源を備えることが好ましい。エアロゾル発生器が電気ヒーターおよび圧電構成要素のうちの少なくとも一つを含む実施形態において、少なくとも一つの電源は、電気ヒーター、圧電構成要素、またはその両方への電力の供給を提供するように構成されていることが好ましい。
【0040】
エアロゾル発生システムが電極を備える実施形態において、少なくとも一つの電源は、電極と穿孔されたプレートの間に電位差を発生するための電極への電力の供給を提供するように構成されていることが好ましい。少なくとも一つの電源は、穿孔されたプレートへの電力の供給を提供して、電極と穿孔されたプレートの間の電位差の発生を容易にするように構成されてもよい。
【0041】
少なくとも一つの電源は、エアロゾル発生器への電力の供給を提供するように構成された第一の電源と、電極への電力の供給を提供するように構成された第二の電源とを備えてもよい。
【0042】
エアロゾル発生システムが制御回路を備える実施形態において、制御回路は、少なくとも一つの電源からエアロゾル発生器、電極、および穿孔されたプレートのうちの少なくとも一つへの電力の供給を制御するように構成されていることが好ましい。
【0043】
少なくとも一つの電源は、再充電可能なリチウムイオン電池などの電池を備えてもよい。少なくとも一つの電源はコンデンサーなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。少なくとも一つの電源は再充電を必要とする場合がある。少なくとも一つの電源は、エアロゾル発生システムの一回以上の使用のために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有してもよい。例えば、少なくとも一つの電源は従来の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる一般的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、少なくとも一つの電源は所定の吸煙回数、または不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0044】
エアロゾル発生システムの一部の態様または構成要素は、分離可能、取り外し可能、または単回使用かつ使い捨てであってもよい。本明細書にさらに記載の通り、システムは、完全に組み立てられた時に吸入可能なエアロゾルを生成するために使用するように構成されている。エアロゾル発生システムは、電源セクションと、電源セクションに取り付けるように構成されたエアロゾル発生セクションとを備えてもよい。エアロゾル発生システムが電源および制御回路のうちの少なくとも一つを含む実施形態において、電源および制御回路は電源セクション内に位置付けられていることが好ましい。液体エアロゾル形成基体および気流出口は、エアロゾル発生セクション内に提供されていることが好ましい。エアロゾル発生器および穿孔されたプレートは各々、電源セクションまたはエアロゾル発生セクションの一部を形成する場合がある。
【0045】
本発明の第二の態様によると、気流出口を画定するハウジングと、液体エアロゾル形成基体と、電源と、コントローラと、液体エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生するように構成されたエアロゾル発生器と、回路接地を備え、エアロゾル発生器によって発生したエアロゾルと流体連通するように配設された電極を備えるエアロゾル帯電回路と、を備えるエアロゾル発生システムが提供されていて、コントローラは、回路接地に対して約0.5キロボルト~約30キロボルトの電位差に電極を荷電するように、電源から電極への電力の供給を制御するように構成されている。コントローラは、約5キロボルト~約15キロボルトの電位差に電極を荷電するように構成されていることが好ましく、回路接地に対して約10キロボルトに荷電することが最も好ましい。
【0046】
有利なことに、使用中に電極はエアロゾル発生器によって発生したエアロゾルの液滴を帯電またはイオン化する。液滴が帯電されると、帯電された液滴内で反発力が発生される。各液滴内の各eリキッド粒子の静電気的な帯電は相互に反発し、また各液滴の外表面上に作用する表面張力は液滴を一緒に保持する。液滴がより大きいほど、液滴内により多くのeリキッド粒子が含有され、また液滴が帯電すると、液滴内により大きい静電反発力がある。レイリー限界として周知のものにて、内部反発力は表面張力に打ち勝ち、液滴は複数のより小さい液滴へと分裂する。このプロセスはクーロン分裂として知られている。本発明の発明者らは、これによって最大の所定のサイズを越えた液滴がそのレイリー限界に達し、より小さい液滴へと分裂するように、発生したエアロゾルの液滴を帯電することは、エアロゾル液滴の最大サイズを制限するための信頼性のある、そして一貫した機構を提供し、かつユーザーが吸い込むことをより楽しめる、より均一なエアロゾルを提供することを理解した。液滴が帯電される正確な値は、特定の液体エアロゾル形成基体に対して選ばれてもよい。有利なことに、エアロゾル発生システムの典型的な寸法では、約30キロボルト未満の電位差は、システム内の空気の絶縁破壊を生じるのに不十分である。
【0047】
本発明の発明者らは、エアロゾルの最大液滴サイズが約2マイクロメートル以下である時、ユーザー体験が特に好ましくなる場合があることを認識してきた。本発明の発明者らは、典型的な液体エアロゾル形成基体について、少なくとも約0.5キロボルトの電位差が、約2マイクロメートルを超えるサイズの液滴をレイリー限界を超える電気的な帯電に電気的に帯電するために十分であることをさらに認識してきた。
【0048】
電位差は、エアロゾル発生システム内の変圧器を使用して提供されてもよい。電位差は、少なくとも一つのブーストコンバータを使用して提供されてもよい。
【0049】
電源は単一の電源であってもよく、またコントローラは単一の電源からエアロゾル発生器およびエアロゾル帯電回路への電力の供給を制御するように構成されてもよい。電源は、第一および第二の電源を備えてもよく、コントローラは、第一の電源からエアロゾル発生器への電力の供給を制御し、かつ第二の電源からエアロゾル帯電回路への電力の供給を制御するように構成されている。
【0050】
エアロゾル発生器はヒーターを含んでもよい。使用中、ヒーターは液体エアロゾル形成基体を気化する。ヒーターは電気ヒーターであることが好ましい。
【0051】
ヒーターは抵抗ヒーターであってもよい。
【0052】
ヒーターは誘導ヒーターであってもよい。エアロゾル発生器はサセプタをさらに含んでもよく、誘導ヒーターは使用中にサセプタを誘導加熱するように構成されている。誘導ヒーターは、サセプタの一部分の周りに位置付けられてもよい。
【0053】
エアロゾル発生システムは、液体エアロゾル形成基体を収容する貯蔵部を含んでもよい。貯蔵部はハウジング内に配置されてもよい。
【0054】
エアロゾル発生器は貯蔵部の出口に位置付けられてもよい。エアロゾル発生システムは、貯蔵部からエアロゾル発生器に液体エアロゾル形成基体を移動するように配設された液体移動要素を備えてもよい。液体移動要素は、芯または毛細管のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0055】
エアロゾル発生器はノズル組立品を備えてもよい。使用中、貯蔵部からの液体エアロゾル形成基体の液滴はノズルを通して排出される。エアロゾル発生器は圧電構成要素を備えてもよい。使用中、圧電構成要素は、液体エアロゾル形成基体の液滴を、ノズルを通して排出する。ノズルは貯蔵部と流体連通している。ノズルは貯蔵部の一部を形成してもよい。圧電構成要素は貯蔵部の内側に位置付けられてもよい。エアロゾル発生器はノズルの出口を覆うメッシュを備えてもよい。使用中、液体エアロゾル形成基体は、液体エアロゾル形成基体の液滴がノズル出口から排出されるのに従って、メッシュを通過する。
【0056】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生器と流体連通している内部気流チャネルを備えてもよい。内部気流チャネルは気流入口と気流出口の間に延びることが好ましい。使用中、気流チャネルを通過する気流は、気流がエアロゾル発生器を通る際に、発生したエアロゾルを取り込む場合がある。発生したエアロゾルを含有する気流は、気流出口から排出されて、ユーザーによって吸入されうる。気流入口および気流出口の位置付けに基づいて、本発明のエアロゾル発生システム内の要素の相対的な位置付けは、それらがその他の要素から上流にあるか、または下流にあるかどうかによって画定されてもよい。気流入口は気流出口の上流である。エアロゾル発生器は気流入口の下流であり、電極の上流である。
【0057】
電極は、エアロゾル発生器の下流であり、気流出口の上流に位置付けられていることが好ましい。電極は、リング電極およびメッシュ電極のうちの少なくとも一つを含んでもよい。使用中、エアロゾル発生器によって発生したエアロゾルは、電極を通過することが好ましい。
【0058】
電極は、エアロゾルを気流出口に方向付けるように構成されたノズルであってもよい。ノズルはノズル出口を画定することが好ましく、エアロゾルはこれを通って気流出口に流れる。荷電ノズルは、包囲する領域内に電界を作り出してもよい。特に、ノズル電極はノズル出口内に電界を作り出してもよい。使用中、発生したエアロゾルはノズル出口を通過し、エアロゾルの液滴はここでイオン化される。有利なことに、電極のノズル構成は、エアロゾルのすべての液滴が確実に電極の近くを、従って電界を通って通過しなければならないことを確実にする。有利なことに、ノズル構成は効率的なイオン化組立品を提供する。エアロゾル発生器がノズル組立品を備える実施形態において、エアロゾル発生器ノズルおよび電極ノズルは同一のノズルであってもよい。
【0059】
エアロゾル発生システムが、液体エアロゾル形成基体を保存するための貯蔵部を備える実施形態において、貯蔵部は第一の貯蔵部であってもよい。エアロゾル発生システムは、イオン化可能な液体用の第二の貯蔵部をさらに備えてもよい。第二の貯蔵部はイオン化可能な液体を収容してもよい。吸入のために好ましい場合がある一部の液体エアロゾル形成基体は、簡単にイオン化されない場合がある。イオン化可能な液体は、所与の液体エアロゾル形成基体よりも簡単にイオン化される場合がある。イオン化可能な液体は、所与の液体エアロゾル形成基体より低い電位差にてイオン化される場合がある。所与の電位差にて、同一の電位差での所与の液体エアロゾル形成基体の比率より大きい比率のイオン化可能な液体がイオン化される場合がある。有利なことに、イオン化可能な液体は、液体エアロゾル形成基体のイオン化を容易にする場合がある。エアロゾル発生システムは、第二の貯蔵部からのイオン化可能な液体を、第一の貯蔵部からの液体エアロゾル形成基体と組み合わせるように構成されていることが好ましい。エアロゾル発生システムは、液体エアロゾル形成基体のエアロゾル化の前に、イオン化液体と液体エアロゾル形成基体とを組み合わせるように構成されてもよい。エアロゾル発生システムは、液体エアロゾル形成基体のエアロゾル化の後で、かつ電極の上流で、イオン化液体と液体エアロゾル形成基体とを組み合わせるように構成されてもよい。イオン化可能な液体は、エアロゾル化可能なものおよび揮発性のもののうちの少なくとも一つでありうる。適切なイオン化可能な液体はエタノールを含んでもよい。
【0060】
エアロゾル発生器がノズル組立品を備える実施形態において、ノズル組立品のノズルは二つの同軸ノズルで形成されてもよい。二つの同軸ノズルは、第一の貯蔵部からの液体エアロゾル形成基体を排出するように構成された第一のノズルと、第二の貯蔵部からのイオン化可能な液体を排出するように構成された第二のノズルとを備えてもよい。有利なことには、二つの同軸ノズルは、液体エアロゾル形成基体およびイオン化可能な液体の同軸流れを(一方をもう一方の中に)発生する。有利なことに、これは、液体エアロゾル形成基体とイオン化可能な液体との混合を促進する場合がある。有利なことに、これは液体エアロゾル形成基体とイオン化可能な液体とのより均一な混合物をもたらす場合があり、これは電極による液滴エアロゾルの帯電を容易にする場合がある。
【0061】
コントローラは、第一のノズルおよび第二のノズルのうちの少なくとも一つへの電力の供給を制御するように構成されていることが好ましい。コントローラは、第一のノズルおよび第二のノズルへの同一の電力の供給を制御して、第一のノズルおよび第二のノズルを回路接地に対して同じ電位差に帯電させるように構成されてもよい。コントローラは、第一のノズルおよび第二のノズルへの異なる電力の供給を制御して、第一のノズルおよび第二のノズルを回路接地に対して異なる電位差に帯電させるように構成されてもよい。コントローラは、第一のノズルおよび第二のノズルのうちの一つのみへの電力の供給を制御するように構成されてもよい。
【0062】
エアロゾル発生システムは、電極と気流出口の間に位置付けられた導電性の穿孔されたプレートをさらに備えてもよい。穿孔されたプレートは、穿孔されたプレートを通って延びる複数の開口部を画定する。エアロゾル発生器および電極によって発生される帯電したエアロゾルは、エアロゾルを吸入することができる前に、穿孔されたプレートを通過しなくてはならない。有利なことに、穿孔されたプレート内に画定された開口部より大きいエアロゾルのいかなる液滴も、穿孔されたプレートを通過することが防止される。従って、穿孔されたプレートは有利なことに、ユーザーに送達されるエアロゾルの最大液滴サイズを制限するように構成される場合がある。
【0063】
穿孔されたプレートは、本発明の第一の態様に関して本明細書に記載の穿孔されたプレートの随意のまたは好ましい特徴のうちのいずれかを備えてもよい。
【0064】
エアロゾル発生システムは、電極と回路接地との間の電位差を発生するように電極が帯電される時に、電極と穿孔されたプレートの間に電位差も発生するように構成されていることが好ましい。有利なことに、使用中、電極によって静電気的に帯電したエアロゾルの液滴は、穿孔されたプレートに静電気的に引き付けられる。有利なことに、静電引力は穿孔されたプレートに向かって液滴を加速する。有利なことに、穿孔されたプレートに向かってエアロゾルの液滴を加速することは、穿孔されたプレートを通過する液滴の速度を増加させる場合がある。有利なことに、エアロゾルの液滴の加速は、穿孔されたプレートを通過する際に、より大きい液滴をブロックすることを容易にする場合がある。有利なことに、エアロゾルの液滴を加速することは、穿孔されたプレート上の液滴の収集および堆積を低減または最小化する場合がある。有利なことに、エアロゾルの液滴を加速することは、エアロゾル発生システムのクリーニングの必要性を低減または最小化する場合がある。
【0065】
コントローラは、電極と穿孔されたプレートの間の電位差の発生を容易にするために、穿孔されたプレートへの電力の供給を制御するように構成されてもよい。
【0066】
穿孔されたプレートは、エアロゾル帯電回路の回路接地の一部に接続されてもよく、またはその一部を形成してもよい。
【0067】
電極と穿孔されたプレートの間の間隔は、約1ミリメートル~約50ミリメートルであることが好ましく、約3ミリメートル~約10ミリメートルであることがより好ましい。有利なことに、これらの範囲内の間隔は、特に本発明の第二の態様による電位差の範囲で組み合わされた時に、システム内の空気の電気絶縁破壊のリスクを低減または最小化する場合がある。有利なことに、約3ミリメートル~約10ミリメートルの好ましい範囲内の間隔は、従来の紙巻たばことより厳密に似たサイズのエアロゾル発生システムの構築を可能にする場合がある。有利なことに、従来の紙巻たばこのサイズと類似したサイズを有するエアロゾル発生システムは、従来の紙巻たばこと類似した様態でエアロゾル発生システムを容易に格納または搬送することを可能にする場合がある。
【0068】
コントローラは、穿孔されたプレートに接続されていて、かつ使用中に、穿孔されたプレート内の電流を測定するように構成されていることが好ましい。有利なことに、穿孔されたプレート内の電流を測定することは、穿孔されたプレートを通るエアロゾルの流量の表示を提供する場合がある。言い換えれば、穿孔されたプレートで入射するエアロゾルの帯電された液滴は、穿孔されたプレート内に電流を発生する場合がある。帯電した液滴が穿孔されたプレートを通過する速度は、穿孔されたプレートで測定される電流を変化させることになる。有利なことに、使用中に、穿孔されたプレート内の電流を測定することは、制御回路がユーザーに送達されるエアロゾルの量を推定することを可能にする場合がある。有利なことに、ユーザーに送達されるエアロゾルの量を推定することは、経時的なエアロゾル発生システムの動作および効率をモニターすることを可能にする場合がある。例えば、ユーザーに送達されるエアロゾルの量の推定は、エアロゾル発生システム内に残っている液体エアロゾル形成基体の量を推定するために使用されてもよい。
【0069】
穿孔されたプレートは、回路接地に電気的に接続されていることが好ましい。
【0070】
液体エアロゾル形成基体は水を含んでもよい。
【0071】
液体エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含んでもよい。本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時に高密度でかつ安定したエアロゾルの形成を容易にする任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を指す。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1、3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1、3-ブタンジオール、最も好ましくはグリセリンまたはポリエチレングリコール)である。
【0072】
液体エアロゾル形成基体は、ニコチンまたはたばこ製品のうちの少なくとも一つを含んでもよい。追加的に、または別の方法として、液体エアロゾル形成基体はユーザーに送達するための別の標的化合物を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体がニコチンを含む実施形態において、ニコチンはエアロゾル形成体とともに液体エアロゾル形成基体に含まれてもよい。
【0073】
電源は、エアロゾル発生器への電力の供給を提供するように構成された第一の電源と、電極への電力の供給を提供するように構成された第二の電源とを備えてもよい。
【0074】
電源は再充電可能なリチウムイオン電池などの電池を備えてもよい。電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置を備えてもよい。電源は再充電を必要とする場合がある。電源は、エアロゾル発生システムの一回以上の使用のために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は従来の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる一般的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、または不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0075】
エアロゾル発生システムの一部の態様または構成要素は、分離可能、取り外し可能、または単回使用かつ使い捨てであってもよい。本明細書にさらに記載の通り、システムは、完全に組み立てられた時に吸入可能なエアロゾルを生成するために使用するように構成されている。エアロゾル発生システムは、電源セクションと、電源セクションに取り付けるように構成されたエアロゾル発生セクションとを備えてもよい。電源およびコントローラは電源セクション内に位置付けられていることが好ましい。液体エアロゾル形成基体および気流出口は、エアロゾル発生セクション内に提供されていることが好ましい。エアロゾル発生器および電極は各々、電源セクションまたはエアロゾル発生セクションの一部を形成してもよい。
【0076】
一態様または一実施形態に関して説明される特徴はまた、その他の態様および実施形態にも適用できる場合がある。ここで特定の実施形態を、例証としてのみであるが、図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1図1は、本発明によるエアロゾル発生システムの第一の実施形態の概略図を示す。
図2図2は、本発明で使用するエアロゾル発生器の配設を示す。
図3図3は、本発明で使用するエアロゾル発生器の配設を示す。
図4図4は、本発明で使用するヒーター配設を示す。
図5図5は本発明による穿孔されたプレートを示す。
図6図6は本発明によるエアロゾル発生システムの第二の実施形態の概略図を示す。
図7図7は、代替的な電極構造を有する第二の実施形態の概略図を示す。
図8図8は、本発明によるエアロゾル発生システムの第三の実施形態の概略図を示す。
図9図9は、本発明によるエアロゾル発生システムの第三の実施形態の概略図を示す。
図10図10は、本発明によるエアロゾル発生システムの第三の実施形態の特定の構成の概略図を示す。
図11図11は、図10のエアロゾル発生システムのノズル構成の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1はエアロゾル発生システム10の概略図を示す。エアロゾル発生システム10は、気流入口14および気流出口16を有するハウジング12を備える。ハウジング12内には、電源13および制御ユニット18、液体エアロゾル形成基体21の貯蔵部20、エアロゾル発生器22、および穿孔されたプレート24がある。
【0079】
第一の構成におけるエアロゾル発生器22は、貯蔵部20とは別個のタンク26であるが、貯蔵部20と流体連通しており、これによって液体エアロゾル形成基体21を貯蔵部20からタンク26に流して、エアロゾル化することができる。タンク26は、圧電構成要素28およびメッシュ30を備える。圧電構成要素28およびメッシュ30は一緒に、タンク26内の液体エアロゾル形成基体をエアロゾル化するように構成されている。図2に示す通り、圧電構成要素28が励起されていない時に、貯蔵部20からの液体エアロゾル形成基体21は、一方向弁32を通してタンク26に入ることができる。図3に示す通り、圧電構成要素28が励起されている時に、圧電構成要素28はタンク26内の液体エアロゾル形成基体を振動し、かつ圧縮する。圧電構成要素28は、交流電流が圧電構成要素28を通過することによって励起される。電流は電源13および制御ユニット18によって提供されている。励起された時、圧電構成要素28は曲がり、またはたわみ、タンク26内の圧力は増加する。一方向弁32は、液体エアロゾル形成基体の流れが一方向弁32を通って戻るのを妨げ、または防止し、そのためタンク26内の圧力は液体エアロゾル形成基体を強制してメッシュ30に通し、エアロゾル液滴としてノズル34を通して出す。このようにして、液体エアロゾル形成基体21はエアロゾル化される。
【0080】
第二の構成におけるエアロゾル発生器22は、液体エアロゾル形成基体21を気化してエアロゾルを形成するために液体エアロゾル形成基体21を加熱するように構成されたヒーター組立品36である。例示的なヒーター組立品36を図4に示す。ヒーター組立品36は、芯38およびヒーターコイル40を含む。芯38は貯蔵部20の中に延びて、液体エアロゾル形成基体を貯蔵部20からヒーターコイル40に吸い出す。芯38は、毛細管作用を介して液体エアロゾル形成基体を搬送するための、ある長さの吸収材料または毛細管であってもよい。ヒーターコイル40は、電源13および制御ユニット18によって電力供給される。ヒーターコイル40は、抵抗性材料(好ましくは金属)のコイルであり、これは電流がヒーターコイル40を通過する時に抵抗加熱される。電源13および制御ユニット18は、芯38内の液体エアロゾル形成基体を加熱し、かつ揮発させるために、ヒーターコイル40に電流を通過させる。
【0081】
別の方法として、ヒーター組立品36は、代替的な構成(芯の一方の端に、または芯の長さに沿って位置付けられた抵抗性メッシュなど)の抵抗ヒーターとすることが可能である。別の方法として、ヒーター組立品36は、貯蔵部20の中に突出するロッドまたはブレードの形態の抵抗ヒーターとすることが可能である。別の方法として、ヒーター組立品36は、芯と熱的接触している、または貯蔵部20の中に突出するサセプタと、サセプタを誘導加熱するように構成されたインダクタコイルとの組み合わせとすることが可能である。
【0082】
エアロゾル発生器22によって発生したエアロゾルは、ユーザーが気流出口16を通して空気を引き出す時に、エアロゾル発生システム10を通る気流によって捕らえられる。エアロゾル発生器22は、ユーザーがエアロゾル発生システム10を吸い込む時にのみエアロゾルが発生するように制御され、かつ電力供給されてもよい。ユーザーがエアロゾル発生システム10を吸い込んでいる時を判定するために、圧力センサーは制御ユニット18の中に組み込まれてもよい。
【0083】
図2図4に示すエアロゾル発生器22の両方の構成は、発生したエアロゾル内の幅広い範囲の液滴サイズを生成しうる。望ましい最大サイズより大きい液滴を除去またはサイズ変更することによって、発生したエアロゾル内の液滴サイズを均一化するために、本発明のこの第一の実施形態において、エアロゾル発生システムはエアロゾル発生器22と気流出口16の間に、穿孔されたプレート24をさらに備える。使用中、エアロゾル発生器22によって発生したエアロゾルは、穿孔されたプレート24に向かって流れる。穿孔されたプレート24は、穿孔されたプレート24を通って延びる複数の開口部54を備える。開口部54は、直径が約10マイクロメートルである。穿孔されたプレート24は、10マイクロメートルを超える直径で液滴を除去またはサイズ変更するように構成されている。図5に示す実施形態において、穿孔されたプレート24は、複数の整列されたフィラメント51を備える。フィラメント51はステンレス鋼で形成されてもよい。フィラメント51は、気流入口14と気流出口16の間に延びる内側気流チャネルの幅全体を横切って広がるように、ハウジング12の内壁に接続されている。本実施形態において、穿孔されたプレート24は、整列されたフィラメント52の第一の列と、第一の列に直交してフィラメント51間の正方形の開口部54のグリッドを提供する、整列されたフィラメント53の第二の列を備える。言い換えれば、穿孔されたプレート24は、複数の開口部54を画定するメッシュから形成されている。
【0084】
エアロゾル発生器22によって発生したエアロゾルは、穿孔されたプレート24を通って流れる。開口部54より大きい、エアロゾル内の液滴は、フィラメント51によってブロックされる。このようにして、気流出口16を出るエアロゾルは、開口部54より大きいいかなる液滴も含まない。
【0085】
図6はエアロゾル発生システム60の第二の実施形態の概略図を示す。第二の実施形態は、気流入口14および気流出口16を有するハウジング12など、第一の実施形態と同一の要素の多くを含む。同様の部品を指定するために、同様の参照符号が使用されている。ハウジング12内には、電源13および制御ユニット18、液体エアロゾル形成基体21の貯蔵部20、およびエアロゾル発生器22がある。図2図4に示すエアロゾル発生器22の構成のいずれかを、本発明のこの第二の実施形態で使用することが可能である。エアロゾル発生システム60の第二の実施形態は電極62をさらに含む。エアロゾル発生器22によって発生したエアロゾルは、気流出口16に向かって流れるエアロゾルの液滴として電極62を通り過ぎ、またエアロゾルの液滴は電極62によってイオン化される、または帯電される。電極62は、エアロゾルが通過することができるメッシュもしくはリング、または中央穴を有するプレートのうちの少なくとも一つを含んでもよい。この構成において、エアロゾルは、ユーザーがシステムを吸い込む時に作り出された気流によって電極62を通して引き出される。エアロゾルの液滴が、電極62によって作り出された電界を通過すると、液滴はイオン化される。本明細書に記載の通り、2マイクロメートルより大きい直径を有する液滴は、そのレイリー限界を超えて帯電される。これは、内部静電力が表面張力に打ち勝つので、2マイクロメートルを超える直径を有する液滴が分裂することを確実にする。
【0086】
図7に示す通りの代替的な配設において、電極はノズル64であってもよい。エアロゾル発生器22によって発生したすべてのエアロゾルは、荷電したノズル64を通過しなければならない。従ってエアロゾルのすべての液滴は、電極64によって作り出された電界の中心を通過することになる。ノズル64は、荷電されたエアロゾルを、吸入されるために気流出口16に向かって方向付ける。発生したエアロゾルの液滴を、(レイリー限界として使用され、知られる液体エアロゾル形成基体に依存して選ばれた)所定の電荷に荷電することは、内部の静電気的な反発力が表面張力に打ち勝つので、所定の最大サイズを越える液滴が分裂すること確実にする。所定の最大サイズより小さい液滴のみが、気流出口16を通して出て吸入される。
【0087】
第三の実施形態において、第一の実施形態および第二の実施形態の特徴が組み合わされている。図8および図9はエアロゾル発生システム70の第三の実施形態の代替の概略図を示す。この第三の実施形態において、エアロゾルは、電極62(図8)または電極64(図9)によって帯電され、また吸入される前に、穿孔されたプレート24を通過する。穿孔されたプレート24は、電極62または64に対して電気的に接地されていることが好ましい。従って、電極62または64によって荷電された液滴は、穿孔されたプレート24に静電気的に引き付けられ、穿孔されたプレート24に向かって加速する。
【0088】
電極62または64と穿孔されたプレート24の間の電位差、および電極62または64と穿孔されたプレートの間の距離は、電極62または64と穿孔されたプレート24の間の空気の電気絶縁破壊を生じさせるのには不十分であるが、2マイクロメートルを超える直径を有する液滴がレイリー限界を超えて荷電されることを可能にするのに十分強い場合がある電界を提供するように選ばれる。
【0089】
本発明の第三の実施形態のさらなる代替的な構成において、エアロゾル発生システム80は、ハウジング12内に配置された第二の貯蔵部72をさらに備える。この構成を図10に示す。第二の貯蔵部72はイオン化可能な液体73を収容する。エアロゾル発生器22は、図11に示す通り、液体エアロゾル形成基体21およびイオン化可能な液体73(この場合ではエタノール)を、それぞれ同軸ノズル68および65を通して排出する。ノズル65、68のうちの少なくとも一つは、この構成の電極を形成し、これによってノズル65、68から排出されるイオン化可能な液体と液体エアロゾル形成基体の混合物はイオン化される。この構成は、イオン化可能な液体の添加なしにイオン化することが困難でありうる液体エアロゾル形成基体を使用する時に、特に適切である場合がある。
【0090】
エアロゾル発生システム70、80の第三の実施形態の構成のうちのいずれかにおいて、穿孔されたプレート24は、穿孔されたプレート24内の任意の電流を測定することができるようなやり方で、制御ユニット18に接続されてもよい。別の方法として、電流測定装置または回路を制御ユニット18とは別個に提供することができる。帯電した液滴が穿孔されたプレート24を通過すると、液滴は接地された穿孔されたプレート24にその電荷を付与し、これは穿孔されたプレート24内に電流を作り出す。従って、穿孔されたプレート24内の電流を測定することによって、アレイを通過する液滴の速度を判定することができる。
【0091】
上述の例示的な実施形態は、特許請求の範囲の範囲を制限することを意図するものではない。上述の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態は、当業者に明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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図11